WO2006054668A1 - 水素結合により結合した多層膜を含む積層体、該積層体から得られる自立した薄膜、ならびにそれらの製造方法及び用途 - Google Patents

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Abstract

 本発明は、支持体上に水素結合により結合した多層膜が形成され、該多層膜上に更に薄膜が形成された積層体;前記積層体から得られる自立した薄膜;支持体を、積層する物質を含む二種類以上の溶液に交互に接触させることにより多層膜を形成させ、蒸着法、スピンコート法及び交互吸着法から選ばれる方法にて薄膜を形成することを特徴とする前記積層体の製造方法;前記積層体をpH調整した水溶液中に浸漬することにより、多層膜を溶出させ、薄膜を支持体より剥離させることを特徴とする自立した薄膜の製造方法;前記積層体から得られる細胞培養用薄膜及び徐放性薬用カプセル;ならびに前記薄膜から得られるセンサー、分離膜、触媒反応用デバイス及び透過型測定用試料薄片に関する。

Description

水素結合により結合した多層膜を含む積層体、 該積層体から得られる自立した薄 膜、 ならびにそれらの製造方法及び用途
技術分野
本発明は、 水素結合により結合した多層膜を含む積層体、 該積層体から得られ る自立した薄膜、 ならびにそれらの製造方法及び用途、 特に、 酸アルカリや温度 明
変化に敏感で壊れやすい物質を含む薄膜を、 生物学的、 電子的、 磁気的、 光学的 な特性を失うことなく回収する技術に関する。
書 背景技術
メディカルデバイス、 電子材料、 光学材料、 センサーなど、 さまざまな機能デ バイスの開発において、 その高機能化、 多機能化、 集積化のため、 高度に制御さ れた薄膜の開発が強く求められている。 薄膜の製造方法には、 真空蒸着法、 分子 線エピタキシー、 溶液キャス ト法、 スピンコート法、 ラングミュア 'ブロジェッ ト(Langmuir- Blodgett)法、 交互吸着法 (米国特許第 5 2 0 8 1 1 1号明細書; D echerら, Sci ence, 277, 1232, 1997; Mult i layer Thin Fi lms: Sequent ial Ass embly of Nanocomposi te Material s; Decher, and Schlenof f , J. B. , eds. , Wi ley-VCH : Weinheim, 2003) などが知られている。 一般に、 上述した製法で得ら れた薄膜は、 通常は支持体と共に使用されることが多い。 支持体から切り離され た膜単体、 即ち自立膜の状態で使用できれば、 更に実用範囲が広くなるものと期 待され、 支持体から薄膜を剥離する技術の確立が求められていた。
薄膜を得る一般的な方法としては、 スピンコート法が用いられている。 スピン コート法は、 常温 ·常圧で行える簡便な手法であるが、 膜厚のナノメートルレべ ルの制御性に欠けること、 大面積化が困難なこと、 薄膜の形態が平面状に限られ ること、 剥離の際に形状を損なう恐れが多いこと、 など制限がある。
一方、 支持体表面を外部刺激応答材料で被覆し、 その表面上に所望の薄膜を作 製後、 外部刺激により外部刺激応答材料の物性を変化させ所望の薄膜を剥離する 方法がいくつか報告された。 支持体表面を被覆する外部刺激応答材料に、 i ) 温 度応答性のポリ(N—ィソプロピルァクリルアミ ド) (国際公開第 0 2 / 0 8 3 8 7号パンフレツト ;欧州特許出願公開第 1 2 6 4 8 7 7号明細書)、 i i ) 有機溶剤 に可溶なァセチル · セルロース (米国特許出願公開第 2 0 0 1 / 0 0 4 6 5 6 4 号明細書; Kotovら, Nature Materials, 2, 413, 2003)などが用いられている。 i ) では、 市販の培養皿表面を、 温度応答性のポリ (N—イソプロピルアク リル アミ ド) を電子線を用い表面グラフトし、 培養温度 (3 7 °C) では、 その表面が 疎水性になるため細胞が接着するのに対し、 低温 (3 2 °C) では高度に親水化す るため細胞が培養皿表面からその構造と機能を損なうことなく 自発的に脱離する 特徴を持つことが開示されている。 この技術は、 トリプシンなどの蛋白分解酵素 を用いた既存の細胞回収方法では不可能であった、 低損傷で細胞を回収すること を可能にした画期的な方法である。 ただし、 温度変化に不安定な物質への応用や 更なる積層化が困難であるという制限がある。 i i ) には、 ァセチル 'セルロース で被覆した支持体上に、 水溶性高分子と粘土鉱物から構成される交互積層膜を製 膜し、 その後アセトン溶液に浸漬するとァセチル 'セルロースのみが溶出し交互 積層膜を得ることができる方法が開示されている。
交互吸着法では、 正の電解質ポリマー (カチオン) の水溶液と、 負の電解質ポ リマー (ァニオン) の水溶液とを準備し、 所望の支持体を、 両溶液に交互に浸す ことにより、 支持体表面上に多層構造を有する交互積層膜が得られ、 特殊な装置 や環境制御が不要なうえ、 支持体の材質や形態を問わず、 大面積の薄膜を製造可 能であるという利点を有している。更に、電荷を有する広範囲の物質群、例えば、 タンパク質、 粘土鉱物、 半導体微粒子、 ヘテロポリ酸、 色素などに適用できる。 更に、 使用する材料によってさまざまな機能を付与しうる交互積層膜のみを支持 体から外して取出すことができれば、 支持体による制限を受けることなく付与し た機能を利用することができる可能性を有している。 しかしながら、 薄膜を切り 離す方法として、 前記の i i) の方法を用いると、 有機溶剤に対して不安定な物質 を含む薄膜の回収には不向きという制限がある。 すなわち、 従来技術では支持体 から薄膜を切り離すプロセスで膜に損傷を与える可能性が高く、 温度変化や有機 溶剤に対して不安定な物質を含む自立した薄膜を低損傷で得ることは困難だった。 最近、 中性 p H (p H 6以上) で溶出する、 交互積層膜 (ポリアクリル酸ーポ リジァリルジメチルアンモニゥム共重合体とポリスチレンスルホン酸間の静電相 互作用を利用して構築される交互積層膜) を利用して、 前記の問題を解決した技 術が開示された (国際公開第 0 2ノ0 8 5 5 0 0号パンフレツ ト ; Schlenoff ら, J. Am. Chem. Soc. , 123, 5368, 2001)。 ただし、 溶出膜 (ポリアクリル酸一ポ リジァリルジメチルアンモニゥム共重合体とポリスチレンスルホン酸間の静電相 互作用を利用して構築される交互積層膜) の構成成分の生体適合性が低いため、 生体材料分野での使用は不向きという課題が残される。
すなわち、支持体から薄膜を切り離すプロセスで膜構成成分に損傷を与えずに、 しかも切り離した後に不要な物質が系内に残らない方法の開発が、 メディカルデ バイス、 電子材料、 光学材料、 センサ一など、 さまざまな機能デバイスの、 高機 能化、 多機能化、 集積化のため、 必要とされていた。
一方、 中性 p Hで溶出する材料として、 水素結合を介して構築された交互積層 膜が報告されている (Sukhishvili ら, J. Am. Chem. Soc. , 122, 9550, 2000; S ukhishvili ら, Macromolecules, 35, 301, 2002 ; Hammondら, Langrauir, 15, 1 360, 1999; Caruso ら, Macromolecules, 36, 2845, 2003) 力 この水素結合の p H応答性を利用して、 自立性薄膜を得た報告や、 その製法に関する報告例はな レ、。 発明の開示
本発明は、 適用範囲の広い自立した薄膜、 水素結合により結合した多層膜を含 む積層体ならびにその製造方法及び用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、 前記課題を解決することを目的として、 薄膜の積層中は溶出せ ず、 水中に浸漬して初めて溶出する多層膜の開発を試みた。 その結果、 水素結合 を介して構築される多層膜が低 p H下で構築され、 かつその膜が中性 p H (通常 p H 4. 0〜9. 4、 好ましくは p H 6. 0〜8. 0、 より好ましくは p H 7. 2〜7. 5) の水に浸すだけで溶出することを見出した。 更に i ) この p H応答 性を有する水素結合を介して構築される多層膜の表面上に、 種々の薄膜を構築可 能なこと、 ii) 水中に浸漬すると深部にある水素結合により結合した多層膜のみ が溶出し、 前記薄膜が水中に自然に剥離すること、 iii) 剥離した薄膜を水中から 取り出し乾燥すると自立した薄膜が得られることを見出し、 本発明を完成した。 すなわち、 本発明は以下の発明を包含する。
(1) 支持体上に水素結合により結合した多層膜が形成され、 該多層膜上に更に 薄膜が形成された積層体。
(2) 水素結合により結合した多層膜が、 pH調整した水溶液に溶出し、 薄膜が 剥離するものである前記 (1) に記載の積層体。
(3) 支持体上に形成された多層膜が、 二種類以上の要素を含有するものである 前記 (1) 又は (2) に記載の積層体。
(4) 支持体上に形成された多層膜が、 生理的に許容されるポリマーを含有する ものである前記 (1) 〜 (3) のいずれかに記載の積層体。
(5) 支持体上に形成された多層膜の厚さが 0. 0005〜 1 0 / inである前記 (1) 〜 (4) のいずれかに記載の積層体。
(6) 薄膜がその構造中に電解質ポリマーからなる交互積層膜を含むものである 前記 (1) 〜 (5) のいずれかに記載の積層体。
(7) 薄膜がタンパク質、 細胞、 コロイ ド粒子、 粘土鉱物、 半導体微粒子及び色 素分子から選ばれる少なくとも 1種を含むものである前記 (1) 〜 (6) のいず れかに記載の積層体。
(8) 多層膜と薄膜の間に仕切り層を有する前記 (1) 〜 (7) のいずれかに記 載の積層体。
(9) (1) 〜 (8) のいずれかに記載の積層体の薄膜上に、 更に多層構造を有す る薄膜が形成された積層体。
( 1 0) 前記 (1) 〜 (9) のいずれかに記載の積層体から得られる自立した薄 膜。
(1 1) 支持体を、 積層する物質を含む二種類以上の溶液に交互に接触させるこ とにより多層膜を形成させ、 蒸着法、 スピンコート法及び交互吸着法から選ばれ る方法にて薄膜を形成することを特徴とする前記 (1) 〜 (9) のいずれかに記 載の積層体の製造方法。
(1 2) 薄膜の形成を、 積層する物質を含む二種類以上の溶液に交互に接触させ ることにより行う前記 (1 1) に記載の製造方法。
(1 3) 前記 (1) 〜 (9) のいずれかに記載の積層体を pH調整した水溶液中 に浸漬することにより、 多層膜を溶出させ、 薄膜を支持体より剥離させることを 特徴とする自立した薄膜の製造方法。
(1 4) 前記 (1) 〜 (9) のいずれかに記載の積層体から得られる細胞培養用 薄膜。
(1 5) 前記 (1) 〜 (9) のいずれかに記載の積層体から得られる徐放性薬用 カプセル。
(1 6) m己 (1 0) に記載の自立した薄膜から得られる分離膜。
(1 7) 目 U BS (1 0) に記載の自立した薄膜から得られる触媒反応用デバイス。
(1 8) 目 IJ!E (1 0) に記載の自立した薄膜から得られる透過型測定用試料薄片
( 1 9) 前記 (1 0) に記載の自立した薄膜から得られるチューブ状自立した薄 膜。
本発明の好ましい形態の一例を図 1に示す。 この形態は、 pH応答性の水素結 合を介して構築される多層膜の表面上に、 酸アルカリや温度変化に敏感で壊れや すい物質を含む所望の薄膜を作製後、 水中に浸すと (pHを変えると) 水素結合 により結合した多層膜だけが溶出することを利用して、 不安定な物質を含む自立 した薄膜を低損傷で作製するというものである。従来技術に対して、溶出材料が、 中性の pH (例えば、 pH4. 0〜9. 4 (好ましくは pH 6. 0〜8. 0、 よ り好ましくは pH7. 2〜7. 5)) で溶出するため、 所望の薄膜中に含まれた不 安定な物質の生物学的、 電子的、 磁気的、 光学的な特性を失うことなく 自立した 薄膜を作製することが可能である。 更に、 溶出する支持体被覆材料を構成する物 質としてすベて、 ポリエチレングリコール、 ポリアクリル酸など、 生理的に許容 されるポリマー、 すなわち、 生体適合性及び 又は生分解性を有するポリマーを 選択すれば、 生体材料分野にも好適である。
以下、 本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に用いる支持体の材質としては、 特に制限はなく、 例えば、 シリ コンゥ' ヱハー、 石英、 ガラスなどが好適に用いられる。 またその形態は、 その表面に直 接又は間接的に、 水素結合により結合した多層膜を形成しうるものであれば、 特 に制限はなく、 具体的には、 平面上、 球面上、 柱状表面上、 柱状内壁上いずれの 表面にも適用することができる。 例えば、 柱状内壁を支持体とし、 水素結合によ り結合した多層膜(水素結合を介して構築される p H応答性の交互積層膜) (以下 「水素結合膜」 という。) で内壁を被覆後、 静電気的相互作用を介して構築される 交互積層膜 (薄膜) を積層し、 水素結合膜を溶出させると、 チューブ状の自立し た薄膜 (交互積層膜) が得られる。 また、 水素結合膜を構成する物質のうち少な く とも一つからなる粒子を支持体として、 水素結合膜で被覆後、 静電気的相互作 用を介して構築される交互積層膜を積層し、 水素結合膜を溶出させると、 カプセ ル状の自立した交互積層膜を作製可能である。 更に、 薬理作用のある物質を含有 させ水素結合膜表面に、 静電気的相互作用を介して構築される交互積層膜を積層 させた粒子は、 p H変化に応じて薬理作用のある物質が徐放されるシステム (例 えば、 徐放性製剤) を構築可能である。
本発明における水素結合膜を構成する物質には、通常、水素結合を形成し得る、 電気陰性度の高い酸素、 窒素などの原子と水素からなる結合を有する物質の少な く とも一種と、 電気陰性度の高い酸素、 窒素などの原子を有する物質の少なく と も一種の、 二種類以上の物質が含まれる。 これらは、 用途や使用環境などを勘案 して任意に選択することができ、 例えば、 有機ポリマー、 具体的には、 ポリェチ レンォキシド、 ポリエチレングリ コール、 ポリプロピレングリ コール、 ポリ ビニ ノレピロ リ ドン、 ポリ ビニルピリジン、 ポリ ビエルアルコール、 ポリアク リル酸、 ポリメタクリル酸、 ポリ乳酸、 ポリアミノ酸 (例えば、 ポリグルタミン酸、 ポリ リジン)、 ポリ力プロラク トン、 ポリウレタン等を使用できる。 生体材料分野で使 用する際は、 生理的に許容されるポリマー、 すなわち、 生体適合性及び/又は生 分解性を有するポリマーや、 前記薬理作用のある物質又は前記薄膜に含まれるタ ンパク質、 細胞等に悪影響を及ぼさないポリマー、 具体的には、 ポリエチレンォ キシド、 ポリエチレングリ コール、 ポリプロピレングリ コール、 ポリ ビニルピロ リ ドン、 ポリアクリル酸、 ポリメタクリル酸、 ポリ乳酸、 ポリアミノ酸 (例えば、 ポリグルタミン酸、 ポリ リジン) などが好適に用いられる。 前記水素結合を形成 し得る、 電気陰性度の高い酸素、 窒素などの原子と水素からなる結合を有する物 質と、 前記電気陰性度の高い酸素、 窒素などの原子を有する物質の組み合わせと しては、 例えば、 ポリアクリル酸とポリエチレングリコール、 ポリメタクリル酸 とポリエチレングリ コール、 ポリアク リル酸とポリ ビュルピロ リ ドン、 ポリメタ クリル酸とポリビュルピロリ ドン等が挙げられる。これらのポリマーの分子量は、 通常、 1 , 0 0 0〜 5 , 0 0 0, 0 0 0 g/m o 1、 好ましくは、 1 0, 0 0 0 〜: I , 0 0 0 , 0 0 0 gZm o l、 より好ましぐは、 5 0, 0 0 0〜 2 5 0 , 0 0 0 g /m o 1である。
前記水素結合膜の厚さは特に限定されないが、 積層体に形成される薄膜を後に 自立膜として取り出そうとする場合、 水素結合膜を挟んでいる支持体と薄膜が十 分に (p H変化に応じて溶出し得ないような結合、 例えば静電的相互作用など、 が生じないほど) 離れていることが望ましく、 通常 0. 0 0 0 5〜1 0 ;u m、 好 ましくは 0. 0 0 5〜 1. O jLi m、 より好ましくは 0. 0 5〜0. 5 μ mである。 本発明において、 水素結合膜上に形成される薄膜としては、 前記水素結合膜上 に直接又は仕切り層を介して形成でき、 p H 4. 0〜9. 4の範囲内の少なくと もいずれか p Hの水又は水溶液中で安定であり、 かつ自立膜として有用性を有す るものであれば制限はなく、有機分子、有機ポリマー、無機分子、無機ポリマー、 有機無機複合物、 金属、 金属酸化物等からなるものが例示できる。 これらは一種 以上の領域から構成されてもよいし、 また複数種からなる多層構造を形成しても 良い。 またその一部または全領域が多層膜でもよい。 その中でも交互積層膜が好 ましい。 このような交互積層膜を構成する物質には、 反対の電荷を有する二種類 以上の物質であれば用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。 例えば、 電解質ポリマー、 タンパク質、 コロイ ド粒子 (金属コロイ ド、 酸化物コ ロイ ド、 ラテックスコロイ ド)、 粘土鉱物、 半導体微粒子、 ヘテロポリ酸、 色素な どが用いられる。 目的、 用途、 所望の特性 (生物学的、 電子的、 磁気的、 光学的 な特性)、使用環境などを勘案して任意に選択することができる。電解質ポリマー としては、 電荷を有する官能基を主鎖又は側鎖にもつ高分子であり、 ポリアニォ ン、 ポリカチオンのいずれも適用できる。
ポリア二オンとしては一般に、 スルホン酸、 硫酸、 カルボン酸など負電荷を帯 びることができる官能基を有するもの、 例えば、 ポリスチレンスルホン酸 (P S S)、 ポリ ビニル硫酸 (PV S)、 デキス トラン硫酸、 コンドロイチン硫酸、 ヒア ルロン酸、 ポリアクリル酸 (PAA)、 ポリメタクリル酸 (PMA)、 ポリマレイ ン酸.、 ポジフマノレ酸、 Poly (1- (4- (3-carboxy-4-hydroxyphenylazo) benzenesulfo namido) -1, 2-ethanediyl) 、PAZ O)、 Poly (anilmepropanesulionic acid) 、P AP SA)、 Sulfonated polyaniline (S PAN)、 Poly (thiophene- 3 - acetic ac id) (PTAA)、 Poly (2- acrylamido-2_raethyl - 1 - propanesulfonic acid) (PA MP S A)、ポリチォフェンやポリア-リンなどの導電性高分子、発色団を有する 高分子、 液晶型ポリマー、 DNA などの生体高分子が用いられ、 好ましくは、 ポリ スチレンスルホン酸 (P S S) やポリアクリル酸 (PAA) などが用いられる。 ポリカチオンとしては一般に、 4級アンモニゥム基、 アミノ基などの正荷電を 帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンィミン(P E I )、 ポリアリルアミン塩酸塩(P AH)、 ポリジァリルジメチルアンモニゥムクロリ ド (PDDA)、 ポリビニルピリジン (PVP)、 ポリ リジン、 polystylenemethyle nediethylmethylamine P S MD ϋ M A) ¾ precursor oi poly (phenylene vinyl ene) ( P r e— P PV)、 polymethylpyr idyl vinyl (PMP y V)、 protonated p oly(p- pyridyl vinylene) (R_PHP yV)、 好ましくは、 ポリエチレンィミン (P E I )、 ポリアリルアミン塩酸塩 (PAH) などを用いることができる。 ポリア二オンとポリカチオンとの組み合わせとしては、 好ましくは、 ポリアリ ルァミン塩酸塩 (PAH) とポリスチレンスルホン酸 (P S S)、 ポリアリルアミ ン塩酸塩 (PAH) とポリアクリル酸 (PAA) が挙げられる。
これらの有機高分子イオンは、 いずれも水溶性あるいは水と有機溶媒との混合 液に可溶なものである。 また、 電子材料や表示材料など、 自立した交互積層膜に 導電性を付与する場合は、 導電性高分子、 例えばポリ (フエ二レンビニレン) (P P V) なども用いることが可能である。 前記薄膜が高分子膜である場合、 用いる 高分子の分子量は通常 1 , 0 0 0〜5, 0 0 0, 0 0 0 g /m o 1、好ましくは、 1 0, 0 0 0〜: 1 , 0 0 0, O O O gZm o l より好ましくは、 5 0, 0 0 0 〜 2 5 0, 0 0 0 g/mo 1である。 バイオセンサーや酵素反応場を構築する際 は、 チトクロム C、 リゾチーム、 ヒス トン F 3、 ミオグロビン、 ノくクテリオロ ド プシン、 アルブミン、 ダルコアミラーゼなどのタンパク質や、 種々のデォキシリ ボ核酸 (DNA) ゃリボ核酸 (RNA)、 ぺクチンなどの電荷を有する多糖類など の電荷を持つ生体高分子を用いることができる。 自立した交互積層膜の機械強度 向上などには、粘土鉱物など例えばモンモリロナイ ト、へク トライ ト、カオリン、 ラボナイ トなどが好適に用いられる。
前記薄膜としては、 交互吸着法により形成された交互積層膜の他、 蒸着法 (例 えば、真空蒸着法)、 スピンコート法などにより形成された薄膜を用いることもで きる。
本発明における自立した交互積層膜などの薄膜には、 必要に応じて、 酸アル力 リ、温度変化又は有機溶剤に敏感で壊れやすい物質を含ませてもよい。 「酸アル力 リ、 温度変化又は有機溶剤に敏感で壊れやすい物質」 とは、 元来その物質が有す る生物学的、 電子的、 磁気的又は光学的な特性が、 p H変化、 温度変化又は有機 溶剤により低下する物質を指し、 例えば、 タンパク質、 細胞、 触媒、 金属などが 挙げられる。 例えば、 ρ Η4. 0〜 9 · 4 (好ましくは ρ Η6. 0〜8. 0、 よ り好ましくは p H 7. 2〜 7. 5) で、 又は 3 5〜4 0°Cで、 その触媒作用が発 現するが、 その範囲外では発現しない、 あるいは低下するタンパク質からなる酵 素触媒が挙げられる。
前記薄膜の膜厚は、通常 0. 0 0 0 5〜: 1 0 /z m、好ましくは 0. 0 0 5〜: 1. 0 /i m、 より好ましくは 0. 0 5〜0. 5 / mである。
本発明によれば、 前記薄膜中に 「酸アルカリ、 温度変化又は有機溶剤に敏感で 壊れやすい物質」 を含ませた場合でも、 元来その物質が発現しうる生物学的、 電 子的、 磁気的又は光学的な特性が高く保持され、 好ましくは 8 0%以上維持され た低損傷の状態で自立した薄膜を得ることができる。 例えば、 タンパク質が変性 を起こさずに、 集積され回収されることを指す。
本発明においては、水素結合膜と薄膜の間に仕切り層を設けることが好ましい。 この仕切り層は、 所望の薄膜の作製に使用する酸アルカリや温度変化に敏感で壊 れやすい物質を含む溶液 (中性 p H、 通常 p H4. 0〜9. 4、 好ましくは p H 6. 0〜8. 0、 より好ましくは p H 7. 2〜 7. 5) 、 既に形成した、 薄膜 内を拡散し、 水素結合膜が溶出することを防ぐ役割を果たす。 仕切り層を構成す る物質としては、 前記薄膜を構成する物質と同様の物質を使用することが可能で ある。 特に効率的に表面を被覆する、 分岐ポリマーや層状化合物、 例えば、 分岐 状ポリエチレンィミンゃモンモリロナイ トが好適に用いられる。 仕切り層の厚さ は、 通常 5ナノメートル以上、 好ましくは 1 0ナノメートル以上、 より好ましく は 5 0ナノメートル以上、 1 0マイクロメ一トル以下である。
本発明の積層体は、 支持体、 水素結合膜 (p Hに応じて溶解する部分) 及び薄 膜 (p Hに応じて溶解しない部分) を含むことを特徴とし、 好ましくは、 支持体 /水素結合膜 仕切り層ノ薄膜からなる。 支持体 Z水素結合膜 (仕切り層ノ) 薄膜の順序は限定されるが、 得られた積層体表面に再度、 水素結合膜 (仕切り 層 Z) 薄膜を構築することが可能であり、 水素結合膜ノ (仕切り層 ) 薄膜の繰 り返し回数は限定されるものではない。 また、 このような構造も本発明において 好ましい態様である。 その他支持体 Z水素結合膜ノ (仕切り層ノ) 薄膜からなる 構造の上に、 更なる薄膜を形成することが可能であることは、 前述のとおりであ る。 本発明において例えば、 支持体一 (水素結合膜 1 Z (仕切り層 1ノ) 薄膜 1 ) 一 (水素結合膜 2 Z (仕切り層 2 ) 薄膜 2 ) からなる積層体を、 水素結合膜 1 と水素結合膜 2では溶出し始める p Hが異なるように構築し、 徐々に p Hを変化 させると、 二種類の薄膜 1 , 2を、 異なる p Hで段階的に放出することが可能で ある。 一方、 有機ポリマーから構成される薄膜内部では、 ポリマー鎖は互いに絡 み合っている。 このため、 水素結合膜を十分薄く設計すると、 水素結合膜を挟ん でいる二種類の、 静電気的相互作用を介して構築される交互積層膜 (薄膜) は互 いに絡み合った状態になり、 水素結合膜の溶出後でも相互作用し、 下層から剥離 しない状態にすることができる。 例えば、 支持体一 (水素結合膜 1 (仕切り層 1 /) 薄膜 1 ) 一 (水素結合膜 2 Z (仕切り層 2ノ) 薄膜 2 ) のうち、 水素結合 膜 1と水素結合膜 2を十分薄く設計すると、 支持体— (仕切り層 1 Z薄膜 1 ) 一 (仕切り層 2 Z薄膜 2 ) で表される積層体が得られる。 このような積層体は、 薄 膜 1及び薄膜 2を、一時的に隔離した後に改めて接触させたい場合に有用である。 例えば、 国際公開第 0 2 0 8 3 8 7号パンフレツ ト及び欧州特許出願公開第 1 2 6 4 8 7 7号明細書に記載されているような三次元細胞培養法では、 複数種の 細胞シートをそれぞれ作製後、 得られたシートを適宜重層する工程を経る。 これ に対して上述の方法では、 複数種の細胞を一つの薄膜中でそれぞれ水素結合膜で 隔離して培養後、 隔離に使用した水素結合膜を溶出させることで、 所望の細胞積 層膜を得ることができる。
本発明の積層体の製造方法における、 支持体上への水素結合膜、 仕切り膜、 薄 膜の構築方法は、 特に制限されない。 好ましくはいずれの層も二種類以上の溶液 を基板表面に交互に接触させることにより形成することができる。 例えば、 Dech erら, Science, 277, 1232, 1997に記載されているデイツビング法、 Schlenoff ら、 Langmuir, 16 (26), 9968, 2000に記載されているスプレー法、 Lee ら、 Lang muir, 19 (18) , 7592, 2003 もしくは J. Polymer Sc ience, part B, polymer ph ys i cs, 42, 3654, 2004 に記載されているスピンコート法などを用いることがで きる。 例えば、 水溶性有機ポリマーの交互積層膜をスプレー法で構築する場合、 水溶液の濃度は重量濃度で、 通常、 0 . 0 1〜4 0 %、 好ましくは、 0 . 1〜 1 0 %であり、積層表面への水溶液の接触時間は、通常、 1〜6 0秒、好ましくは、 3〜 3 0秒であり、 積層表面からスプレー口までの距離は、 通常、 3〜 1 5セン チメートル、 好ましくは、 5〜 8センチメートルである。 各有機ポリマー溶液噴 霧後、 ポリマー分子を含まない溶液で洗浄し、 過剰に吸着したポリマーを洗い落 とす。 ポリマー溶液、 洗浄の過程を繰り返すことによって、 交互積層膜を構築す る。 各溶液の p Hは、 水素結合膜及び仕切り膜の構築には、 水素結合膜が溶出し ない p Hを利用し、 所望の薄膜 (静電気的相互作用を介して構築される交互積層 膜) には、 含まれる物質に最適な p Hを用いることができる。
前記積層体を利用して、 自立した薄膜を低損傷で得る方法においては、 前記積 層体を水溶液に浸漬すると、 水素結合膜が溶出し、 静電気的相互作用を介して構 築される薄膜が水溶液中に放出される。 浸漬から薄膜の放出にかかる時間は、 通 常 5秒〜 2 4時間、 好ましくは 5分〜 2 4時間、 より好ましくは 5分から 6 0分 である。 浸漬する水溶液の p Hは、 水素結合膜の水素結合が解離する p H以上に 調節する。 例えば、 ポリアクリル酸とポリエチレンォキシドからなる水素結合膜 は p H 3 . 6以上、 ポリメタクリル酸とポリエチレンォキシドからなる水素結合 膜は p H 4 . 6以上で、 解離し始める。 徐放する水素結合膜を構成する物質がす ベて、 生体適合性、 生分解性の場合、 生理的安全性の面で有利であり、 生体材料 などの分野で好適に用いられる。 更に、 水素結合膜や薄膜の積層回数をそれぞれ 変えることにより、 水素結合膜の溶解速度、 すなわち自立した薄膜の徐放速度を コントロールできる。 また水素結合膜に用いるポリマーの種類の選択により、 溶 解する p Hをコントロ一ルできる。
水素結合膜を溶出させる溶液としては、 pHをコントロールした水溶液のほ力 、 水素結合膜を溶出させるものであれば特に制限されない。 例えば、 urea (尿素) なども用いることができる。
前記積層体から得られる自立した薄膜は、 産業的に使用可能なサイズ、 具体的 には、 数センチメートルサイズの薄膜として得ることができる。 また、 膜厚は、 5 0ナノメートルから数マイクロメートルの範囲で、 誤差範囲約 1 0 %以内 (一 般には、蒸着法、交互吸着法の場合、それぞれ誤差 2〜 3 %以内、又は 5 %以内、 スピンコートの場合は、 約 1 0 %) で製造できる。
本発明の積層体は、 細胞培養用薄膜、 徐放性薬用カプセルなどの製造に用いる ことができる。 例えば、 細胞培養用薄膜の製造に用いる場合には、 本積層体の水 素結合膜の最外表面上で、 常法に従い細胞培養を行った後、 積層体全体を水に浸 すだけで、 細胞を培養した薄膜だけが、 自発的に脱離する。 ただし培養する細胞 によって、 培地を始めとする培養条件を至適化する必要がある。 通常回収のため に添加するタンパク質分解酵素トリプシンなどを添加しなくてもよい。 したがつ て、細胞がその構造と機能を損なうことなく薄膜シートとして回収できる。また、 徐放性薬用カプセルの製造に用いる場合には、 徐放する物質を、 例えばポリアク リル酸とポリエチレングリコールのどちらか一つの溶液に混合させておき、 徐放 する物質とポリアクリル酸とポリエチレンダリコールからなる水素結合膜を構築 後 (p H 2 . 0 0 )、 最終層がポリアクリル酸である水素結合膜表面上に、 ポリア リルアミン塩酸塩とポリスルホン酸塩からなる高分子電解質積層膜を密度制御の 上作製、 カプセル化し (p H 2 . 0 0 )、 p H 7 . 0 0に調整した水溶液中に浸漬 すると、 水素結合膜が溶出し、 それに伴い徐放する物質が染み出し、 徐放性カブ セルとして利用できる。
本発明の自立した薄膜は、 分離膜、 触媒反応用デバイス、 透過型測定用試料薄 片などの製造に用いることができる。 この場合、 用いる高分子の種類や導入する 物質の種類を選択することにより、 分離膜や触媒反応器として用いることができ る。 例えば、 正や負の電解質ポリマーを選択すると、 煙やマイナスイオンなどの 荷電粒子をクーロン力により吸着する。そのほ力、特定のガスを吸着する物質を、 積層膜構成要素として選択すれば、 吸着しない物質のみ透過し、 分離膜として用 いることができる。 積層膜構成要素としてタンパク質を選択した場合は、 タンパ ク質を積層膜内に分散固定できるため酵素触媒反応器として利用できる。 特に得 られた自立した薄膜は支持体を必要としないので、 分離前の混合物と分離後の生 成物、 あるいは反応物と生成物に制限がない。 また従来、 交互吸着法で得られた 薄膜は、 支持体からはがすことが不可能であったため、 透過型の分析ができなか つたが、 本発明によって交互積層膜の透過型電子顕微鏡、 分光法 (紫外可視、 赤 外など) 分析が可能になった。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の好ましい形態の一例を示す。
図 2は、 水素結合膜の膜厚変化と、 その成長挙動のポリアクリル酸分子量依存 性を示す。 図 2中の符号の意味は以下のとおりである。
〇 ポリアクリル酸分子量 2 5 0 , 0 0 0 g m o 1
□ ポリアクリル酸分子量 1 0 0, O O O g Zm o l
◊ ポリアクリル酸分子量 3 0, 0 0 0 g /m o 1
X ポリアクリル酸分子量 2, 0 0 0 g /m o 1
図 3は、 実施例 5における水溶液中での水素結合膜の溶出を示す。
図 4は、 水素結合膜の膜厚変化と、 その成長挙動のポリアクリル酸分子量依存 性を示す。 図 4中の符号の意味は以下のとおりである。
• ポリアクリル酸分子量 2 5 0 , 0 0 0 g /m o 1
□ ポリアクリル酸分子量 1 0 0, O O O g /m o l
♦ ポリアクリル酸分子量 3 0, 0 0 0 g /m o 1
図 5は、 実施例 1 2〜 1 6における水溶液中での水素結合膜の溶出を示す。 図 5中の符号の意味は以下のとおりである。
♦ 実施例 1 2 (ポリアクリル酸水溶液とポリエチレングリコール水溶液への 接触回数 3回) □ 実施例 1 3 (ポリアクリル酸水溶液とポリエチレングリコール水溶液への 接触回数 5回)
画 実施例 1 4 (ポリアクリル酸水溶液とポリエチレングリコール水溶液への 接触回数 7回)
〇 実施例 1 5 (ポリアクリル酸水溶液とポリエチレングリコール水溶液への 接触回数 9回)
• 実施例 1 6 (ポリアクリル酸水溶液とポリエチレングリコール水溶液への 接触回数 1 1回)
図 6は、 水素結合膜表面へ静電的相互作用による交互積層膜の構築したときの 膜厚変化を示す。
図 7は、 自然剥離した薄膜 (水中) の写真である。
図 8は、 自然剥離し乾燥させた自立性薄膜の写真 (大気中) である。
図 9は、 溶けずに残った静電的相互作用を介して構築された交互積層膜の原子 間力顕微鏡による膜厚測定を説明するための図である。
図 1 0は、 水素結合膜 Z静電相互作用膜の成長 (剥離しない場合) を示す。 図 1 1は、 実施例 2 1における水溶液中での水素結合膜の溶出を示す。 本明細書は、 本願の優先権の基礎である特願 2004 - 3 3 38 76の明細書 及び Z又は図面に記載された内容を包含する。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を実施例により詳細に報告する。 実施例に示す 「水」 には、 超純 水 (Milli- Q, Millipore GmbH)を使用した。 p H調整には塩酸を用いた。 実施例 に示す膜厚の測定は、 エリプソメ トリー (PLASMOS SD2300) で、 波長 6 3 2. 8 ナノメートル (ヘリウム—ネオンレーザー)、 入射角 45° の条件で行った。 積層 後もしくは溶出後、 窒素ガスブローにより乾燥させたものを被試験体とし、 大気 中で、 毎回同じスポッ トを 5回測定し、 その平均値を膜厚とした。
実施例 1〜4 ポリアタリル酸 ポリエチレンダリコールからなる水素結合膜の 製造 水及びァセトンで洗浄し窒素ガスブローで乾燥させた、 幅 2 4ミ リメートル 長さ 7 6ミリメートルのシリコンウェハ一表面に、 水溶性のポリァクリル酸水溶 液 (分子量: 2, 0 0 0 g/m 0 1 (実施例 1 ), 3 0, 0 0 0 g/m o 1 (実施 例 2), 1 0 0, 0 0 0 g/mo 1 (実施例 3), 2 5 0, 0 0 0 g/m o 1 (実 施例 4), 濃度: l O Om gZ l O OmL, p H= 2) と水溶性のポリエチレング リ コール水溶液 (分子量: 1 8, 0 0 0 g/m o 1 , 濃度: l O Om gZ l O O mL, p H= 2) をスプレー法 (溶液の接触時間 3 0秒、 スプレー距離 1 0セン チメートル、 各ポリマー溶液の噴霧後に p H 2に調整した水溶液で洗浄 2 0秒) により交互に接触させ、 水素結合膜を作製した。 図 2は、 得られた水素結合膜の 膜厚変化と、その成長挙動のポリアクリル酸分子量依存性を示したグラフである。 この場合、 ポリアクリル酸の分子量が 3 0 , 0 0 0〜2 5 0, 0 0 0 g/m o 1 の範囲で、 積層ごとに膜厚が指数関数的に増加することが示されている。 また、 分子量が大きいほど、 膜厚の増加分が大きい傾向も示されている。
実施例 5 水素結合膜の溶出
実施例 4の方法で得た水素結合膜を p H 7. 4の水溶液に浸漬後、 逐次取り出 し膜厚の変化を測定した。 結果を図 3に示す。 p H 7. 4では約 3 0分以内でほ ぼ溶出が終了することが示されている。
実施例 6〜8 ポリアクリル酸 ポリエチレンダリコールからなる水素結合膜の 製造
水及びアセ トンで洗浄し窒素ガスブローで乾燥させた、 幅 24ミリメートル、 長さ 7 6ミリメートルのシリ コンウェハー表面に、 まず、 水溶性のポリエチレン ィミン水溶液 (分子量: 2 5, 0 0 0 g/m o 1、 p Hコントロールなし) を、 スプレー法 (溶液の接触時間 3 0秒、 スプレー距離 1 0センチメートル、 ポリエ チレンィミン水溶液の噴霧後に中性 p Hの水で洗浄 2 0秒) により接触させ、 一 層目を作製した。 その表面上に、 水溶性のポリアクリル酸水溶液 (3 0, 0 0 0 g/m o 1 (実施例 6), 1 0 0, 0 0 0 g/m o 1 (実施例 7), 2 5 0, 0 0 0 g Zm o 1 (実施例 8 ) , 濃度 l O Om gZ l O OmL, p H= 2) と水溶性 のポリエチレンダリ コール水溶液 (分子量: 1 5, 0 0 0 g/m o 1 , 濃度: 1 0 Om g/ 1 0 OmL, p H= 2) をスプレー法 (溶液の接触時間 3 0秒、 スプ レー距離 1 0センチメートル、 各ポリマー溶液の噴霧後に p H 2に調整した水溶 液で洗浄 2 0秒) により交互に接触させ、 水素結合膜を作製した。 図 4は、 得ら れた水素結合膜の膜厚変化と、 その成長挙動のポリアクリル酸分子量依存性を示 したグラフである。この場合、ポリァクリル酸の分子量が 3 0 , 0 0 0〜 2 5 0, 0 0 0 g/mo 1の範囲で、 積層ごとに膜厚が増加することが示されている。 ま た、 分子量が大きいほど、 膜厚の増加分が大きい傾向も示されている。
実施例 9〜1 1 ポリアクリル酸 Zポリエチレンダリコールからなる水素結合膜 の製造
水及びァセトンで洗浄し窒素ガスブローで乾燥させた、 幅 2 4ミ リメートル、 長さ 7 6ミリメートルのシリ コンウェハー表面に、 水溶性のポリアクリル酸水溶 液 (3 0, 0 0 0 g/m o 1 (実施例 9), 1 0 0, 0 0 0 g/m o 1 (実施例 1 0), 2 5 0, 0 0 0 g /m o 1 (実施例 1 1 ), 濃度: 1 0 0mg// 1 0 0mL, p H= 2) と水溶性のポリエチレングリコール水溶液 (分子量: 1 5, 0 0 0 g /m o 1 , 濃度 l O Om gZ l O OmL, p H= 2) をスプレー法 (溶液の接 触時間 3 0秒、 スプレー距離 1 0センチメートル、 各ポリマー溶液の噴霧後に p H 2に調整した水溶液で洗浄 2 0秒) により交互に接触させ、 水素結合膜を作製 した。 得られた水素結合膜の膜厚変化と、 その成長挙動は、 ほぼ図 4と同様の結 果が得られた。
実施例 1 2〜 1 6 水素結合膜の溶出
水及びアセ トンで洗浄し窒素ガスブローで乾燥させた、 幅 24ミリメートル、 長さ 7 6ミリメートルのシリ コンウェハー表面に、 まず、 水溶性のポリエチレン ィミン水溶液 (分子量: 2 5 , 0 0 0 g /m o 1、 p Hコント口ールなし) を、 スプレー法 (溶液の接触時間 3 0秒、 スプレー距離 1 0センチメートル、 ポリエ チレンィミン水溶液の噴霧後に中性 p Hの水で洗浄 2 0秒) により接触させ、 一 層目を作製した。 その表面上に、 水溶性のポリアクリル酸水溶液 (2 5 0, 0 0 0 g/m o 1 , 濃度: 1 0 0 m gZ l 0 0mL, p H= 2) と水溶性のポリェチ レンダリコール水溶液 (分子量: 1 5 , 0 0 0 g/m o 1 ' 濃度 : 1 0 OmgZ l O OmL, p H= 2) をスプレー法 (溶液の接触時間 3 0秒、 スプレー距離 1 0センチメートル、 各ポリマー溶液の噴霧後に p H 2に調整した水溶液で洗浄 2 0秒) により、 それぞれ 3回 (実施例 1 2)、 5回 (実施例 1 3)、 7回 (実施例 14)、 9回 (実施例 1 5)、 1 1回 (実施例 1 6)、 交互に接触させ、 水素結合膜 を作製した。 実施例 1 2〜 1 6の方法で得た水素結合膜を p H約 7. 0の水溶液 に浸漬後、 逐次取り出し膜厚の変化を測定した。 結果を図 5に示す。 ΡΗ 7· 0 では約 30分から数時間以内でほぼ溶出が終了することが示されている。
実施例 1 7 水素結合膜表面への静電的相互作用による交互積層膜の構築 実施例 8の方法で得た水素結合膜の表面上に、 静電的相互作用による交互積層 膜を構築した。 図 6に、 その膜厚変化を示す。 この場合、 水素結合膜はポリアク リル酸で終了し、 膜表面に負電荷を露出させ、 静電的相互作用による交互積層膜 の積層は、 ポリカチオンであるポリアリルァミンから始めた。 静電的相互作用に よる交互積層膜の構築は、 水溶性のポリアリルアミン塩酸塩水溶液 (分子量: 7 0 , 000 g /m o 1 , 濃度 : 27. 4mg//1 00mL, p H= 2 ) と水溶性 のポリスチレンスルホン酸水溶液 (分子量: 70, 000 g/mo 1 , 濃度: 6 1. 4mg/l 0 OmL, p H= 2) を、 スプレー法 (溶液の接触時間 30秒、 スプレー距離 1 0センチメートル、 各ポリマー溶液の噴霧後に p H 2に調整した 水溶液で洗浄 20秒) により交互に接触させることにより行った。 両ポリマー水 溶液中には、 膜厚を制御することを目的として、 塩化ナトリ ウム (2. 9 2 g/ 1 0 OmL) を含有させた。 図 6では、 ポリアクリル酸とポリエチレングリコー ルの交互積層 (9. 5ペア) 膜上に、 ポリアリルアミン塩酸塩とポリスチレンス ルホン酸の交互積層 (72ペア) 膜を構築した。 ポリアリルアミン塩酸塩とポリ スチレンスルホン酸交互積層莫の直線状の成長が示された。
実施例 1 8 自立した交互積層膜の製造
実施例 1 7で得た積層体を pH約 7. 0付近の水溶液に浸すと、 下層部の水素 結合が弱まり (図 1)、 水素結合膜部分のみが水溶液中で溶解し、 静電的相互作用 を介して構築された交互積層膜が水溶液中に自然に剥離した (図 7)。剥離してき た図 7の膜を乾燥させ、 交互積層膜を回収した。 得られた交互積層膜の膜厚は、 図 6から 200ナノメートル以下と見積もられ、 透明かつ大気中で自立性を有し た (図 8)。 また、 図 7に示した自然剥離した膜は、 透過型電子顕微鏡用のグリツ ド上に取り出すことができ、 TEM解析も可能である。 実施例 1 9、 2 0 溶けずに残った静電的相互作用を介して構築された交互積層 膜の膜厚測定
実施例 1 7に記述した方法を用いて、 ポリアクリル酸とポリエチレンダリコー ルの交互積層 (9 . 5ペア) 膜上に、 ポリアリルアミン塩酸塩とポリスチレンス ルホン酸の交互積層膜 ( 2 0ペア(実施例 1 9 )、 8 0ペア (実施例 2 0 ) ) を構築 した。 積層膜の一部を p H約 7 . 0付近の水溶液に浸すと、 浸っていない部分は 膜に固定されたまま、 浸った部分だけが水溶液中に浮いた(図 9 D )。 水素結合膜 の溶出が十分に終わるように、 3時間放置後、積層膜全体を大気中に引き上げた。 溶けずに残った静電的相互作用を介して構築された交互積層膜の端(図 9 A)を、 原子間力顕微鏡により観察し、 交互積層膜の高さと基板の高さの差 (静電的相互 作用を介して構築された交互積層膜の膜厚)を測定した(図 9 B、 C )。その結果、 ポリアリルァミン塩酸塩とポリスチレンスルホン酸の交互積層膜、 2 0ペアでは、 5 5ナノメートル、 8 0ペアでは 2 0 0ナノメートルだった。 また、 折りたたま れた薄膜末端の場合、 薄膜二枚分の個所では前記膜厚の二倍 (2 0ペアでは 1 1 0ナノメートル、 8 0ペアでは 4 0 0ナノメートル) と、 倍数の段差が観測され た。
実施例 2 1 自立した交互積層膜が得られない場合
実施例 1 7と同様に、 水素結合膜の表面上に、 静電的相互作用による交互積層 膜を構築した。 本例では、 ポリアクリル酸とポリエチレングリコールの交互積層 膜を薄く設計した (5 . 5ペア) (図 1 0 )。 この場合、 この積層体を p H 5〜8 付近の水溶液に浸すと、 下層部の水素結合が弱まり (図 1 )、 水素結合膜部分のみ が水溶液中で溶解し、 全体の膜厚が減少したが (図 1 1 )、 静電的相互作用を介し て構築された交互積層膜は水溶液中に剥離しなかった。 これは、 水素結合膜が薄 すぎ、 静電相互作用膜と支持体の間に静電相互作用が働いているためと考えられ る。 つまり、 水素結合膜の積層回数によって、 剥離の有無を設計可能であること を示している。
実施例 2 2 タンパク質導入例
支持体を、 上述の方法によりポリアクリル酸、 ポリエチレングリコールからな る水素結合膜で被覆した (p H 2 . 0 0 )。 最外層がポリアクリル酸 (ポリアニォ ン) である水素結合膜表面上に、 ポリアリルアミン塩酸塩 (ポリカチオン) とポ リスルホン酸塩 (ポリア二オン) からなる高分子電解質積層膜を作製した (pH 2. 00)。 目的のタンパク質と反対電荷を有するポリマーを最外層として固定し た。 ミオグロビン (ポリカチオン) の固定には、 高分子電解質積層膜の最外層が ポリスルホン酸塩になるように作製しその表面に、 水溶液に溶解させたペルォキ シダーゼ (l m gZ l m 1 ) を接触させて固定化した (pH4. 00)。 この積層 体を pH 7. 00に調整した水溶液中に浸漬したところ、 水素結合膜が溶出し、 自然にタンパク質を含む高分子積層膜が放出されたことが目視で確認された。 実施例 23 自立したチューブ状薄膜
チューブ状物質の疎水性内壁表面 (例えばガラスチューブ) を支持体として、 ポリアクリル酸とポリエチレンダリコールからなる水素結合膜によりこのチュー ブ内壁表面を被覆した (pH 2. 00)。 チューブ内壁表面への高分子溶液の接触 方法は、 チューブを高分子溶液に浸漬した。 実施例 1〜4と同様、 高分子溶液接 触後、 余剰に吸着した高分子を除去するため pH2. 00の水溶液で流す工程を 経た。 最終層がポリアクリル酸である水素結合膜表面上に、 ポリアリルアミン塩 酸塩とポリスルホン酸塩からなる高分子電解質積層膜を、 水素結合膜と同様の方 法で作製した。 ガラスチューブ状物質の内壁を、 pH 7. 00に調整した水溶液 中に浸漬した。 放置しておく と、 チューブ状の自立した薄膜が水溶液中に放出さ れたことが目視で確認された。 本結果は、 水溶液中に浸漬した際に、 水分子が高 分子電解質積層膜を透過し水素結合膜まで到達したことにより水素結合膜が溶出 し、 水素結合膜の崩壊と同時に、 ポリアリルアミン塩酸塩とポリスルホン酸塩か らなる高分子電解質積層膜が自動的に放出されたことを示している。 本明細書中で引用した全ての刊行物、 特許及び特許出願をそのまま参考として 本明細書中にとり入れるものとする。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 適用範囲の広い自立した薄膜を得ることができる。 特に、 酸 アル力リ、温度変化又は有機溶剤に敏感で壊れやすい物質を含む薄膜についても、 生物学的、 電子的、 磁気的、 光学的な特性を失うことなく薄膜を得ることができ る。 低損傷で得られることから、 従来薄膜の機械強度を上げるために追加せざる を得なかった無機物質を使用しなくてもよいなど、 自立膜として得られる物質の 可能性が拡がり、 細胞培養シート、 徐放性薬用カプセルなどの医用工学、 医学、 生物学の分野や、 自立型分離膜などの化学工学分野などに広く適用できる。

Claims

請 求 の 範 囲
I . 支持体上に水素結合により結合した多層膜が形成され、 該多層膜上に更に薄 膜が形成された積層体。
2 . 水素結合により結合した多層膜が、 p H調整した水溶液に溶出し、 薄膜が剥 離するものである請求項 1記載の積層体。
3 . 支持体上に形成された多層膜が、 二種類以上の要素を含有するものである請 求項 1記載の積層体。
4 . 支持体上に形成された多層膜が、 生理的に許容されるポリマーを含有するも のである請求項 1記載の積層体。
5 . 支持体上に形成された多層膜の厚さが 0 . 0 0 0 5〜 1 0 μ mである請求項 1記載の積層体。
6 . 薄膜がその構造中に電解質ポリマーからなる交互積層膜を含むものである請 求項 1記載の積層体。
7 . 薄膜がタンパク質、 細胞、 コロイ ド粒子、 粘土鉱物、 半導体微粒子及び色素 分子から選ばれる少なく とも 1種を含むものである請求項 1記載の積層体。
8 . 多層膜と薄膜の間に仕切り層を有する請求項 1記載の積層体。
9 . 請求項 1記載の積層体の薄膜上に、 更に多層構造を有する薄膜が形成された 積層体。
1 0 . 請求項 1記載の積層体から得られる自立した薄膜。
I I . 支持体を、 積層する物質を含む二種類以上の溶液に交互に接触させること により多層膜を形成させ、 蒸着法、 スピンコート法及び交互吸着法から選ばれる 方法にて薄膜を形成することを特徴とする請求項 1記載の積層体の製造方法。
1 2 . 薄膜の形成を、 積層する物質を含む二種類以上の溶液に交互に接触させる ことにより行う請求項 1 1記載の製造方法。
1 3 . 請求項 1記載の積層体を p H調整した水溶液中に浸漬することにより、 多 層膜を溶出させ、 薄膜を支持体より剥離させることを特徴とする自立した薄膜の 製造方法。
1 4 .請求項 1〜 9のいずれか 1項に記載の積層体から得られる細胞培養用薄膜。
1 5. 請求項 1〜 9のいずれか 1項に記載の積層体から得られる徐放性薬用カプ セル。
1 6. 請求項 1 0記載の自立した薄膜から得られる分離膜。
1 7. 請求項 1 0記載の自立した薄膜から得られる触媒反応用デバイス。
1 8. 請求項 1 0記載の自立した薄膜から得られる透過型測定用試料薄片。
1 9. 請求項 1 0記載の自立した薄膜から得られるチューブ状自立した薄膜。
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