明細書
可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質 技術分野
本発明は、 可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質、 該タンパク質をコードする cDNA、 該 cDNAを保持する組換えベクター、 該組換えベクターで形質転換 された非ヒト形質転換細胞、 可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質の製造方法、 可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質を含有してなる薬剤、 等に関する。
背景技術
先天性免疫システムは防御の第一線として微生物の侵入を防ぎ、 適応免疫のク ローン応答を促進する。 To 1 1様受容体 (T LR s) は病原体に関連する分子 パターンの認識とシグナル伝達に関与していると考えられてきた。 TLR2タン パク質および TLR4タンパク質はリポ多糖 (LPS) 、 ペプチドダリカン、 リ ポティコ酸、 細菌のリポタンパク質、 マイコ A"クテリアのリポアラビノマンナン およびザィモサンの認識とシグナル伝達で重要な役割を果たしている。 TLR4 遺伝子欠損マウスの特' [生から、 T L R 4タンノ ク質が L P Sのシグナル伝達の受 容体であるという説得力のある証拠が得られる (J. Exp. Me d. 189 : 615— 625 (1999) ) 。 すなわち、 712番目の P r oを H i sに代 えたアミノ酸配列をコードする T 1 r 4変異 ¾:伝子をもつ C 3HZHe Jマウス は LPSに対して不完全な応答を示す。 LP Sに効果的に応答するためには、 T LR 4タンパク質はアクセサリ一タンパク質の MD— 2タンパク質を必要とする 。 分泌型 M D— 2タンパク質は T L R 4タン ク質に L P S感受性をもたらす。 免疫沈降分析の結果、 MD— 2タンパク質は Γ L R 4夕ンパク質と結合すること が明らかとなっている。 MD— 2タンパク質 部位特異的突然変異誘発の実験か ら、 TLR4タンパク質のシグナル伝達では スルフイド結合と N—グリコシル 化が重要であることが示された。 MD— 2夕ンパク質は細菌のリポ多糖と結合す ることが示されているが、 T L R 4タンパク質と結合するために必要な M D— 2 タンパク質の領域は LP S応答性の領域とは なると思われる。 TLRタンパク 質によるリガンド認識の機構は完全にはわかっていない。 T L R 2タンパク質の
細胞外ドメインが直接 S t aphy l o c o c c u s au r eu s由来のぺプ チドグリカンおよびザィモサンに結合し、 40番目の S e rから 64番目の I 1 eを含有し、 30番目の Cy sから 39番目の S e rを含有しない T L R 2タン パク質の細胞外領域はべプチドグリ力ン認識に重要である。 そしてこのことは、 リガンド認識における T L R 2タンパク質の細胞外ドメインの重要性を示してい る。 LP Sは CD 14タンパク質と共発現したときのみ TLR4タンパク質と M D—2タンパク質とクロスリンクし、 このことは LPSが受容体の複合体に密接 にあることを示唆している。 発明の開示
To 1 1様受容体 (TLRs) は病原体に関連した分子パターンの認識に関与 していると考えられてきた。 TLR 4タンパク質はリポ多糖 (LPS) のシグナ ル伝達受容体であるが、 LPSに効果的に応答するためにはさらに MD— 2タン パク質を必要とする。 これまでは LPS認識の際に必要な TLR4タンパク質の 構造は明らかではなかった。
発明者らは、 T L R 4夕ンパク質の細胞外ドメインと MD— 2タンパク質およ び L P Sとの相互作用を試験し、 T L R 4タンパク質の細胞外ドメインと MD— 2タンパク質の複合体は L P Sに結合することができ、 ロイシンリツチな繰り返 しを含有する TLR 4タンパク質の 55番目の S e rから 567番目の Pheま での細胞外領域が MD— 2タンパク質への結合および TLR 4タンパク質の LP S認識を可能にすることを明らかにした。 この知見に基づき、 本発明を完成する に至った。
すなわち、 本発明は、
(1) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ 酸配列を含有する可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質;
(2) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列または前記アミノ酸配列中 1ないし 数個のアミノ酸が欠失、 置換、 もしくは付加しているアミノ酸配列を含有する上 記 (1) 記載の可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質;
(3) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を有する上記 (1) 記載の可溶型 T o 1 1様受容体 4タンパク質;
(4) 上記 (1) から (3) のいずれかに記載の可溶型 To 1 1様受容体 4タン パク質をコードする cDNA;
(5) 上記 (4) に記載の cDNAを保持する組換えベクター;
(6) 上記 (5) に記載の組換えべクタ一で形質転換された非ヒト形質転換細胞
(7) 非ヒト形質転換細胞が昆虫細胞由来である、 上記 (6) 記載の非ヒト形質 転換細胞;
(8) 上記 (6) または (7) 記載の非ヒト形質転換細胞を培養し、 上記 (1) から (3) のいずれかに記載の可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質を発現させ ることを特徴とする、 上記 (1) から (3) のいずれかに記載の可溶型 To 1 1 様受容体 4タンパク質の製造方法;
(9) 上記 (1) から (3) のいずれかに記載の可溶型 To 1 1様受容体 4タン パク質を含有してなる薬剤;
(10) エンドトキシ 惹起炎症の治療のための抗炎症剤である、 上記 (9) 記 載の薬剤;等を提供する。
本発明の可溶性 To 1 1様受容体 4タンパク質を用いることにより、 エンドト キシン惹起性の炎症を弱める新規の治療方法を提供することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 s TLR sの模式図である。
図 2は、 組換えタンパク質の電気泳動分析の結果を示す図である。
図 3は、 組換え MD— 2タンパク質が TLR4をトランスフエクトした細胞に LPS応答性を賦与することを示す図である。
図 4は、 T L R 4の細胞外ドメインが MD― 2に結合することを示す図である 。 (A) は、 MD— 2の s TLR4への結合を示す。 (B) は、 STLR4の M D— 2への結合を示す。 (C) は、 溶液中の s TLR4の MD— 2への結合を示 す。
図 5は、 s TLR 4の固定化 MD— 2との結合と解離を示す図である。
図 6は、 STLR4— MD— 2複合体が L P Sに結合することを示す図である 図 7は、 s TLR4タンパク質が LPSに惹起される NF— κΒ活性化を減弱 できることを示す図である。
図 8は、 s T L R 4タンパク質が L P S惹起 I L一 8分泌を抑制することを示 す図である。
図 9は、 s TLR 4と MD— 2のマウス肺への同時投与により肺の炎症性サイ トカインが減少することを示す図である。 発明を実施するための最良の形態
まず本発明は、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同 一のアミノ酸配列を含有する可溶型 To 1 1様受容体 4タンパク質を提供する。 To 1 1様受容体 4タンパク質 (以下、 TLR4タンパク質と称する;配列番号 : 2) はエンドトキシン惹起性炎症反応のシグナル伝達に必須の分子であって ( I誦 unity 1999,11: 443-51; Sciencel998, 282: 2085-2088; J Immunol 1999, 162: 3749-52.) 、 ロイシンリッチな繰り返しを有する点で他の TLRタンパク 質および CD 14タンパク質と相同である。 TLR4タンパク質は 1番目の Me tから 54番目の Ph eまでのァミノ末端領域、 ロイシンリッチな繰り返しを含 む 55番目の S e rから 567番目の Ph eまでの領域、 568番目の P r oか ら 631番目の Ly sまでの領域、 および膜貫通および細胞質ドメインと推定さ れる 632番目の Th rから 839番目の I 1 eまでの領域からなる (Blood 1998, 91: 4020 - 4027、 および、 PredictProteinによる解析) 。 本発明者らは、 TLR4タンパク質の MD— 2タンパク質と LPSに対する直接的な相互作用を 試験し、 リガンド認識に際して TLR4タンパク質の構造の必要な領域を決定し 、 本発明を完成させた。 より詳しくは、 発明者らは TLR4タンパク質の細胞外 ドメインからなる可溶型 TLR4組換えタンパク質 (S TLR4) を作製し、 s TLR 4タンパク質が TLR 4タンパク質と共にエンドトキシン惹起炎症反応に 必須な MD— 2タンパク質と結合し、 MD— 2タンパク質との複合体形成によつ
てエンドトキシンを認識することを示した。 S TLR4タンパク質は、 野生型 T LR 4タンパク質の惹起するシグナル伝達を抑制することから、 エンドトキシン 惹起性炎症の治療に有効であることを示した。
本発明で用いられる TLR4タンパク質は、 例えば、 ヒトやその他の哺乳動物 (例えば、 モルモット、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ブ夕、 ヒッジ、 ゥシ、 サルな ど) のあらゆる細胞、 またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織に由来する夕 ンパク質であってもよく、 また合成夕ンパク質であってもよい。
TLR 4タンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードする DN Aの塩基配列 はヒト、 マウス等で公知であり、 ヒトにおける遺伝子領域のイントロンを含む全 DN A配列は登録番号: AF 177765 (配列番号: 3として配列表に記す) として、 マウスの c DN Aの塩基配列は登録番号: BC 029856 (アミノ酸 配列を配列番号: 4として、 塩基配列を配列番号: 5として配列表に記す) とし て、 GenB ankに登録されている。 本発明で提供される可溶型 T o 1 1様受 容体 4タンパク質は、 TLR4タンパク質の細胞内および膜貫通ドメインと推定 される領域を欠失する細胞外ドメインからなるタンパク質である (以下、 可溶型 To 1 1様受容体 4夕; >パク質を s TLR 4タンパク質という) 。
s T L R 4タンパク質として用いることができる T L R 4タンパク質は配列番 号: 1またはそれと実質的に同一の配列を有するものであるが、 特に、 sTLR 4タンパク質として、 24番目の G 1 uから 631番目の Ly sまでのアミノ酸 の配列が好ましく用いられる。
本発明の s TLR 4タンパク質が含有する配列番号: 1で表されるアミノ酸配 列は、 配列番号: 2で表される TLR4タンパク質のアミノ酸配列中 24番目の G 1 uから 631番目の Ly sまでのアミノ酸からなる配列である。 しかし、 配 列番号: 1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列として、 例え ば、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と 85%以上、 好ましくは約 90%以 上、 より好ましくは約 95 %以上の相同性を有するアミノ酸配列などを用いるこ とができる。
本発明の配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列 を含有するタンパク質としては、 例えば、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列
と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列 を有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。 そのようなタンパク質として、 例えば、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列に おいて、 1〜30個、 好ましくは 1〜20個、 より好ましくは 1〜10個、 さら に好ましくは 1〜数個 (例えば 6個) 、 さらに好ましくは 1〜2個のアミノ酸残 基が欠失、 置換、 挿入および Zまたは付加したアミノ酸配列を有し、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質の活性を有する夕 ンパク質があげられる。 ここで 「実質的に同質の活性」 とは、 比較されるタンパ ク質どうしの活性が性質的に (例えば生理化学的に、 または薬理学的に) 同質で あることを示す。
実質的に同質の活性としては、 具体的には例えば、 MD— 2結合性とエンドト キシン結合性に基づくェンドトキシン惹起炎症の抑制活性が挙げられる。 実質的 に同質とは、 比較されるタンパク質どうしの活性が性質的に同等 (例、 約 0. 0 :!〜 100倍、 好ましくは約 0. 5〜20倍、 より好ましくは約 0. 5〜2倍) であることが好ましいが、 活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異 なっていてもよい。
エンドトキシンにより惹起される炎症の抑制活性、 NF K— B活性化、 インタ 一ロイキン 8分泌などの活性の測定は、 後述の実施例で用いた公知の方法に準じ て行なうことができる。
また、 本発明の STLR4タンパク質は、 好ましくは 24番目の G 1 uから 6 31番目の Ly sまでのアミノ酸の配列にヒスチジンタグを付加させた組換え夕 ンパク質である。
上記の夕ンパク質は後述するように、 タンパク質をコードする c DNAを出発 材料とし、 公知の遺伝子組換え技術を用いて、 微生物等に産生させることができ る。
本発明の s TLR 4タンパク質等を発現させるための組換えベクターは、 例え ば、 (ィ) 本発明の s TLR4タンパク質等をコードする DNAを含有する DN A (例えば、 cDNA) から目的とする DNA断片を切り出し、 (口) 該 DNA
断 ^を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造す ることができる。
ここで、 s TLR4タンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 7で 表ざれる塩基配列を有する DNA、 配列番号: 7で表される塩基配列と相補的な 塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズする D N A があげられる。 本明細書でいう 「ストリンジェントな条件」 は、 低ストリンジェ ン卜な条件、 中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれ でちよい。 「低ストリンジェントな条件」 は、 例えば、 5XSSC、 5Xデンハルト 溶液、 0.5%SDS、 50%ホルムアミド、 32°Cの条件である。 また、 「中ストリン ジ: r ントな条件」 は、 例えば、 5XSS 5Xデンハルト溶液、 0.5%SDS、 50%ホ ルムアミド、 42°Cの条件である。 「高ストリンジェントな条件」 は、 例えば、 5 XSS 5 Xデンハルト溶液、 0.5%SDS、 50%ホルムアミド、 50°Cの条件である 。 これらの条件において、 温度を上げるほど高い相同性を有する DNAが効率的 に得られることが期待できる。 ただし、 ハイブリダィゼ一シヨンのストリンジェ ンシ一に影響する要素としては温度、 プローブ濃度、 プローブの長さ、 イオン強 度、 時間、 塩濃度など複数の要素が考えられ、 当業者であればこれら要素を適宜 選沢することで同様のストリンジェンシ一を実現することが可能である。
ベクターとして、 大腸菌由来のプラスミド (例、 pBR322、 pBR 325 、 UC 12, pUC 13、 p CDNA3. 1 (十) ) 、 枯草菌由来のプラスミ ド (例、 pUB 1 10、 pTP 5、 p C 194) 、 酵母由来プラスミド (例、 p SHI 9, p SH 15) 、 λファージなどのパクテリオファージ、 レトロウィル ス、 ワクシニアウィルス、 バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 ρΑ 1— 1 1、 pXTl、 pRc/CMV, pR c/RS V, p cDNAI/Ne o などを用いることができる。
本発明では具体的には、 p cDNA3. 1 (+ ) 、 および、 pVL 1392等 、 市販のプラスミドベクタ一を用いることができる。
ヒト TLR4 c DNA (配列番号: 7) は、 例えば Sh imaz u, R. ら の文献 (J. Exp. Me d. 189 : 1777-1782 (1999) ) に 記載された方法により得ることができる。 また、 C末端融合 FLAGタグと 6個
の H i sタグを含有する TLR4— FLAG— H i sをコードする cDNA (配 列番号: 8) をプラスミドベクター p c DNA3. 1 (+ ) ( I n v i t r o g en) にサブクロ一ニングするために、 例えば製品添付のマニュアルに記載の方 法を用いること力 sできる。
本発明で用いられるプロモ一夕一としては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応 して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。 発現プラスミドの作製 において有用なベクタ一としては、 構成性プロモーター、 誘導性プロモーター、 組織特異的プロモーターなどのプロモーターなどが挙げられる。 構成性プロモー 夕一の具体例としては、 例えば、 サイトメガロウィルス (CMV) 由来、 ラウス 肉腫ウィルス (RSV) 由来、 シミアンウィルス— 40 (S V40) 由来、 ある いは単純へルぺスウィルス (HSV) 由来のプロモーターなど、 ウィルス由来の 強力なプロモーターが挙げられる。 組織特異的プロモーターの具体例としては、 筋 3ァクチンプ σモータ一が挙げられる。 誘導性あるいは調節性のプロモーター としては、 例え {¾ 成長ホルモン調節性プロモーター、 l a cオペロン配列の制 御下にあるプロモータ一、 あるいは抗生物質誘導性プロモーター、 あるいは亜鉛 誘導性メタロチ才ネィ: yプロモーターなどが挙げられる。 本発明で用いるプロモ 一夕一としては、 例えば、 宿主が昆虫細胞である場合は、 ポリヘドリンプロモ一 夕一、 P 10プロモータ一などが好ましい。
発現べクタ一 ίこは、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシングシ ダナル、 ポリ Α付加シグナル、 選択マーカ一、 SV40複製オリジン (以下、 S V40 o r iと略称する場合がある) などを含有しているものを用いることがで きる。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 dh f r と略称する場合力ある) 遺伝子 〔メソトレキセート (MTX) 耐性〕 、 アンピシ リン耐性遺伝子 (以下、 Amprと略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺 伝子 (以下、 N e orと略称する場合がある、 G418耐性) 等が挙げられる。 特に、 CHO (dh f r") 細胞を用いて dh f r遺伝子を選択マ一カーとして 使用する場合、 目的遺伝子をチミジン不含培地によっても選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明のレセプタータン パク質の Ν端末ィ則に付加する。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 PhoA
•シグナル配列、 OmpA ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場 合は、 ひ _アミラーゼ'シグナル配列、 サブチリシン 'シグナル配列などが、 宿 主が酵母である場合は、 MF ·シグナル配列、 SUC 2 ·シグナル配列など、 宿主が動物細胞である場合には、 インシュリン ·シグナル配列、 一インターフ ェロン ·シグナル配列、 抗体分子 ·シグナル配列などがそれぞれ利用できる。 さ らに、 転写あるいはポリアデニル化シグナルのスプライシングのためのイントロ ン配列などの RNAプロセシング配列、 あるいは C pGモチーフとして知られて いる免疫刺激 DN A配列などを含むことができる。
本発明は、 上記の組換えべクタ一で形質転換された非ヒト形質転換細胞、 特に 非ヒト形質転換細胞が昆虫細胞由来である非ヒト形質転換細胞をも提供する。 本 発明はまた、 上記の非ヒト形質転換細胞を培養し、 S TLR4タンパク質を発現 させることを特徴とする、 s T L R 4夕ンパク質の製造方法を提供する。
上記のように構築した本究明の s T L R 4夕ンパク質等をコ一ドする DNAを 含有する組換えべクタ一を用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 s TLR 4タンパク質等を発現できるものであれば特に限定さ れるものではない。 例えば、 E s c h e r i c h i a c o l i等のェシエリヒ ァ属菌、 B a c i l l u s s ub t i l i s等のバチルス属菌、 S a c c h a r omy c e s c e r e v i s i a e、 S c i z o s a c c ha r omy c e s p omb e、 P i c h i a p a s t o r i s等の酵母、 S f 9細胞、 S f 21細胞、 BmN細胞等の昆虫細胞、 カイコ等の昆虫、 COS細胞、 CH〇細 胞等の動物細胞などが用いられる。 本発明においては、 S TLR4タンパク質等 を効率的に体調生産できるという理由から、 特に昆虫細胞が好
ましい。
ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌等の細菌への組換えべクタ一の導入方法とし ては、 細菌に DNAを導入する方法であれば特に限定されない。 例えばカルシゥ ムイオンを用いる方法 [C o h e n, S. N. e t a 1. : P r o c. Na t 1. Ac ad. S c i . USA, 69 : 2 1 10 (1972) ] 、 エレクト口 ポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主として用いる場合は、 発現ベクターとして例えば YEp 13、 YE p 24、 YCp 50等が用いられる。 この場合のプロモーターとしては、 酵母中 で発現できるものであれば特に限定されず、 例えば GAL 1プロモーター、 GA L 10プロモーター、 ヒートショックタンノ、。ク質プロモーター、 MF a lプロモ —夕一、 GAPプロモーター等が挙げられる。
酵母への組換えべクタ一の導入方法としては、 酵母に DN Aを導入する方法で あれば特に限定されず、 例えばエレクト口ポレーシヨン法 [B e c k e r, D. M. and L. Gu a r en t e : M e t ho d s. E n z ymo 1. 1 94 : 182 (1990) ] 、 スフエロプラスト法 [H i nne n, A. e t a 1. : P r o c. Na t 1. Ac ad. S c i. USA, 75 : 1929 ( 1978) ] 、 酢酸リチウム法 [I t oh, H. e t a 1. : J . B a c t e r i o l. 153, 163 (1983 ) ] 等が挙げられる。
動物細胞を宿主として用いる場合は、 発現ベクターとして例えば p cDNAl
. lZAmp、 p cDNAl. 1 (いずれも I nv i t r og en社) 、 pS I Ve c t o r, p C I V e c t o r (いずれも P r om e g a社) 等が用いら れる。 この場合、 プロモータ一としてヒトサイトメガロウィルスの初期遺伝子プ 口モータ—等を用いてもよい。 動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、 例えばエレクト口ポレーシ ヨン法、 リン酸カルシウム法、 リポフエクシヨン法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合は、 現ベクタ一として例えば pVL 139 2、 p VL 1393 (いずれも I n V i t r o g e n社) 、 pMB a c (S t r a t agene社) 、 pB a c PAK8/"9 (C l on t e c h社) 等が用いら れる。
昆虫細胞への組換えべクタ一の導入方 ¾としては、 例えばリン酸カルシウム法 、 リポフエクシヨン法、 エレクトロボレ一シヨン法等が挙げられる。
本発明の sTLR 4タンパク質等は、 ttf記形質転換体を培地に培養し、 その培 養物から採取することにより得ることができる。 本発明の形質転換体を培地に培 養する方法は、 宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
細菌や酵母等の微生物を宿主として得られた形質 換体を培養する培地として は、 微生物が資化し得る炭素源、 窒素源、 無機塩類等を含有し、 形質転換体の培 養を効率的に行える培地であれば、 天然培地、 合成培地のいずれを用いてもよい 炭素源としては、 グルコース、 フラクトース、 スクロース、 デンプン、 マルト ース、 デキストリン等の炭水化物、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸、 エタノール 、 プロパノール等のアルコール類が用いられる。 窒素源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモニゥム、 酢酸アンモニゥム、 リン酸アンモニゥム 等の無機酸若しくは有機酸のアンモニゥム塩又はその他の含窒素化合物のほか、 ペプトン、 肉エキス、 コーンスティ一プリカ一、 カザミノ酸、 N Zァミン等が用 いられる。 無機物としては、 リン酸第一カリウム、 υン酸第二カリウム、 塩化力 ルシゥム、 硫酸マグネシウム、 塩化ナトリウム、 硫酸第一鉄、 硫酸マンガン、 硫 酸銅、 炭酸カルシウム、 硫酸亜鉛、 塩化コバルト等が用いられる。
培養は、 通常、 振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、 3 0 °〇で2 4 〜 9 6時間行う。 培養期間中、 ρ Ηは 5 . 0〜8 . 0に保持する。 ρ Ηの調整は 、 無機又は有機の酸、 アルカリ溶液等を用いて行う。 培養中は必要に応じてアン ピシリンゃテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のものを用いた発現ベクターで形質転換した微生物 を培養する場合は、 必要に応じてインデュ一サーを培地に添加してもよい。 例え ば、 L a cプロモーターを用いた発現べクタ一で形質転換した微生物を培養する ときにはイソプロピル一) 3— D—チォガラクトピラノシド (I P T G) 等を、 t r pプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときに はインドールアクリル酸 (I AA) 等を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に使 用されている R P M I 1 6 4 0培地、 D MEM培地スはこれらの培地に牛胎児血 清等を添加した培地等が用いられる。 培養は、 通常、 5 % C〇2存在下、 2 0〜 3 0 °Cで 1〜7日行う。 培養中は必要に応じてカナマイシン、 ペニシリン等の抗 生物質を培地に添加してもよい。
昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 Gr a c e ' s I n s e c t M e d i um [Gr a c e, T. C. C. Na t u r e , 195 : 788 (1962) ] に 10 %ゥシ胎児血清などの添加物を適宜加え たものなどが挙げられる。 培地の pHは 6. 0〜7. 0に調製し、 通常 25 で 1〜 7日培養を行い、 必要に応じて通気や攪拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明の s T L R 4タンパク質等を生成できる。
上記培養物から本発明の s TLR 4タンパク質等を分離精製するには、 例えば 、 下記の方法により行なうことができる。
本発明の s TLR4タンパク質等を培養上清から抽出するに際しては、 培養終 了後、 公知の方法で細胞と上清とを分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清中に含まれる s TLR4タンパク質等の精製 は、 公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。 これらの公 知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、 透 析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および SDS—ポリアクリルアミドゲノレ電気泳 動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換ク口マトグラフィー などの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティ一クロマトグラフィーなどの特異 的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水' ['生の差を 利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法など力 S用いら れる。
このようにして得られる S TLR4タンパク質等が遊離体で得られた場合には 、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することがでさ、 逆に 塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体また は他の塩に変換することができる。
なお、 組換え体が産生する sTLR 4タンパク質等を、 精製前または精製後に 適当なタンパク質修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポ リペプチドを部分的に除去することもできる。 タンパク質修飾酵素としては、 例 えば、 トリプシン、 キモトリブシン、 アルギニルエンドべプチダーゼ、 プロティ ンキナーゼ、 グリコシダ一ゼなどが用いられる。
本発明においては、 宿主として昆虫細胞を用いると効率よく本発明のタンパク 質を大量生産できる。 具体的には、 本発明の s TLR4タンパク質等を O' R r e i 1 1 yらの方法 (O'Reilly DR, Miller KL, Luckow VA. 1992 Baculovirus Expression Vector. A laboratory mannuak. WH Freeman and Company, New York) を用いて、 バキュロウィルス一昆虫細胞発現システムにより発現させる ことができる。 具体的には、 1 X 107から 5x 108p f u/m 1 好ましくは 2 x 107から 5 x 108p f uZmlになるように増幅する。 本発明では〜 4 X 108ρ ί u/mlまで増幅したものが好ましく用いられる。 組換えウィルスを無血清培地 (Sf900II SFM (GIBCO, Invitrogen) ) 中で昆虫細胞である T n i細胞の単層 に感染多重度 (MO Iともいう) を少なくとも 0. 2から 0. 5、 最も好ましく は 1から 5で感染させることができる。 培養 3- 5日後、 好ましくは 4日後、 sT LR4タンパク質と MD— 2タンパク質はニッケル一二トリ口三酢酸ビーズカラ ム (Q i ag en、 Va l e nc i a, CA) を用いて、 文献 (J. B i o l. Chem. 277 : 24315-24320 (2002) および J. B i o l . Ch em. 275 : 22442-22451 (2000) ) に記載の方法に より精製することができる。 また、 昆虫細胞中に産生される可溶型組換え TLR 2 (以下、 S TLR2と略記する) または CHO細胞中に産生される可溶型 CD 14 (以下、 s CD 14と略記する) は、 文献 (J. B i o 1. Ch em. 2 77 : 24315-24320 (2002) および J . B i o l. Chem. 275 : 22442-22451 (2000) ) の記載にしたがって調製するこ とができる。
本発明はまた、 上記の STLR4タンパク質を含有してなる薬剤、 特にエンド トキシンにより'惹起される炎症の治療のための坊炎症剤を提供する。
本発明の s TLR 4タンパク質は MD— 2タンパク質の存在下、 エンドトキシ ンにより惹起される炎症を抑制する作用を有するので、 該タンパク質をエンドト キシン惹起性の炎症の治療剤などとして使用することができる。
本発明の s TLR4タンパク質を上記治療剤として使用する場合は、 常套手段 に従って製剤化することができる。
本発明の s T L R 4タンパク質は、 必要に応じて糖衣を施した錠剤、 カプセル 剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤などとして経口的に、 あるいは水もしく はそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注射 剤の形で非経口的に使用できる。 例えば、 本発明の s T L R 4タンパク質を生理 学的に認められる公知の担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結 合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和す ることによって製造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示さ れた範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、 カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラ チン、 コーンスターチ、 トラガント、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セル ロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのような膨 化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサッカリ ンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリ一のような香味剤な どが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 上記タイプの材料に さらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成物 は注射用水のようなベ tクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油などのような天然産 出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ とができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他 の補助薬を含む等張液 (例えば、 D—ソルビトール、 D—マンニトール、 塩化ナ トリウムなど) などが用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレンダリ コール) 、 非イオン性界面活性剤 (例、 ポリソルベート 8 0™、 H C O - 5 0 ) などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いら れ、 溶解補助剤である安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコールなどと併用しても よい。
また、 上記治療剤は例えば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 酢酸ナトリウ ム緩衝液) 、 無痛化剤 (例えば、 塩ィ匕ベンザルコニゥム、 塩酸プロ力インなど) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレングリコールなど) 、 保存
剤 (例えば、 ベンジルアルコール、 フエノールなど) 、 酸化防止剤などと配合し てもよい。 調製された注射液は通常、 適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトやその 他の哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
本発明のレセプタータンパク質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与 方法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 エンドトキシ ン惹起性炎症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. lmg〜l 0 Omg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg である。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症 状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 ェ ンドトキシン惹起性炎症患者 (6 O kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30mg程度、 好ましくは約 0. l〜20mg程度、 より好ましくは約 0 . 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の動物の場 合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる。 本明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
配列番号: 1
ヒト s TLR 4タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号: 2
ヒト TLR 4タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号: 3
ヒト TLR4タンパク質をコードする遺伝子領域のィントロンを含む全 DN A の塩基配列を示す。
配列番号: 4
マウス T L R 4タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号: 5
マウス TLR4タンパク質をコードする cDNAの塩基配列を示す。
配列番号: 6
ヒト TLR 2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号: 7
ヒト TLR 4タンパク質をコードする cDNAの塩基配列を示す。
配列番号: 8
C末端融合 FLAGタグと 6個の H i sタグを含有する TL R 4— F L AG— H i sをコードする cDN Aの塩基配列を示す。
配列番号: 9
ヒト TLR 2タンパク質をコードする cDN Aの塩基配列を示す。
配列番号: 10
実施例 1で使用したセンスプライマーの塩基配列を示す。
配列番号: 11
実施例 1で使用したアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
配列番号: 12
実施例 2で決定した s T L R 4タンパク質の N末端のアミノ酸配列を示す。 実施例
以下に、 実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明はそれら に限定されるものではない。 使用した実験材料
組換え MD— 2タンパク質
C末端に V 5タグと 6個の H i sタグを含有する MD— 2— V5— H i sタン パク質を作製するために、 p EFBOSベクタ一に挿入してあるヒト MD— 2 cDNAを No t Iと Pme Iで消化し、 pcDNA3. 1D/V5-H i s - T〇P〇 ( I η ν i t r o g e n) にサブクローニングした。 この p cDNA3 . 1 (+ ) ベクター中の MD— 2 cDNAを Pme I消化し、 pVL 1392 ベクターの Sma I部位にサブクローニングした。 このベクターとバキュロウィ ルス DNAを S f 9細胞にトランスフエクトし、 MD—2 cDNAをコードす るパキュロウィルスを得た。 公知の方法に従い、 MD— 2コードバキュ口ウィル
スを増幅させ、 Tn i細胞に感染させ、 培養液中に MD— 2タンパク質を分泌さ せた。 常法にしたがい、 MD— 2タンパク質を精製した。 s TLR 2タンパク質
昆虫細胞を用いて産生される sTLR 2タンパク質は、 文献 (J. B i o l. Ch em. 277 : 24315-24320 (2002) ) の記載にしたがつ て調製することができる。 具体的には以下のように調製した。
TLR2 (アミノ酸配列を配列番号: 6として、 塩基配列を配列番号: 9とし て配列表に記載) の細胞外ドメインの C末端に H i sタグを付加した cDNAを p VL 1392ベクタ一にサブクロ一エングし、 S TLR2 cDNAとバキュ ロウィルス DNAを S f 9細胞にトランスフエクトして、 S TLR2 cDNA をコードするバキュロウィルスを得て、 増幅させた。 STLR2コードバキュ口 ウィルスを T n i細胞に感染させ、 培養液中に分泌される s T L R 2タンパク質 をニッケルカラムにて精製した。 s CD 14タンパク質 .
CHO細胞を用いて産生される可溶型 CD 14 (以下、 s CD 14と略記する ) は、 文献 (J. B i o l . Ch em. 275 : 22442-22451 (2 000) ) の記載にしたがって調製することができる。 具体的には以下のように 調製した。
s CD 14の C末端に H ί sタグを付加した cDNAを ρΕΕ 14ベクタ一に サブクロ一ニングし、 CHO細胞にトランスフエクトした。 Methionine sulfoxideにて、 s CD 14発現 CHO細胞を選択し、 安定な細胞株を確立した 。 s CD 14発現 CHO細胞株を無血清培地で、 培養し、 分泌される s CD 14 タンパク質をニッケルカラムにて精製した。 その他の材料
ヒト胎児腎臓 293細胞 (以下、 HEK 293細胞と記載する) は、 10%ゥ シ胎仔血清を添加した DMEMで培養維持することが望ましい。 Re 595 L
?3は3 i gm a社等の市販製品を用いた。 s TL R 4に対するモノクローナル 抗体 (mAb) である 4D 9は Ko h 1 e r, G. と M i l s t e i n, C. の 文献 (Na t u r e 256 : 495-497 (1975) ) に記載の方法に基 づいたハイプリドーマ技術を用いて作製した。 抗 FLAG抗体、 抗 FLAG抗体 結合ァガロースビーズ、 抗 V 5 mAbは、 S i gma社、 I nv i t r og e n社等の市販製品を用いた。 実施例 1
組換え s TLR 4タンパク質の調製
本実施例で調製した s TLR 4タンパク質は、 TLR 4タンパク質の細胞外に 突出していると推定されるドメイン (1番目の Me tから 631番目の Ly s) と C末端の 6個の Hi sタグからなる (図 1) 。 この s TLR4タンパク質をコ ードする STLR4 cDNAを PCRにより構築した。 センスプライマーおよ ぴアンチセンスプライマーとしてそれぞれ、 5' -TGCCAGGATGATG TCTGCC- 3 ' (配列番号: 10) 、 5 ' — TTAGTGATGGTGAT
1) を用い、 全量 50 1の反応系 (センスプライマー (10 M) 1. 5 a 1 、 アンチセンスプライマー (10 ^M) 1. 5 1、 ポリメラ一ゼ0. 5 P 1 p f Xポリメラーゼ 1 OXバッファー 5 1、 10mM dNTPミック ス 1. 5 1、 5 OmM 硫酸マグネシウム 1 1、 T L R 4 cDNA 5 1 (50ng) 、 水 34 1の組成) で、 P C Rの反応条件としては、 90°C ·
30秒、 55 · 30秒、 72 °C · 2分の条件を用いた。 PCR後に、 s TLR
4 cDNAを DNA配列決定法により確認した。 上記のようにして得られた s TLR 4 cDNAを、 制限酵素 N o t Iと B amH Iを用いて消化し、 同様の 制限酵素で消化した pVL 1392プラスミドベクターと DNAリガーゼを用い て連結することによりサブクローニングした。 ' 上記のようにして得られたベクターをバキュロウィルス DNAとともに、 S f 9細胞にトランスフエクトし、 さらに〇' Re i 1 l yらの記載の方法 ( O'Reilly DR, Miller KL, Luckow VA. 1992 Baculovirus Expression Vector.
A laboratory inannuak. WH Freeman and Company, New York) にしたがって、 バキュ口ウイルス一昆虫細胞系の発現システムを用いて、 この形質転換体を培養 し、 s TLR 4タンパク質を発現させた。
Ap p l i e d B i o s y s t ems P r o c i s e 492シーケンサ 一で決定した s TLR 4タンパク質の N末端の配列は、 ESWEPCVEVVP N I TYQCMEL (配列番号: 1 2) であった。 この配列は、 24番目の01 uから始まる TLR4タンパク質の推定アミノ酸配列と一致した。
昆虫細胞で産生される MD— 2タンパク質、 s TLR4タンパク質および s T LR 2タンパク質、 およびチャイニーズハムスターの卵巣細胞で産生される s C D 14タンパク質をレーンあたり、 10 gの MD— 2タンパク質、 5 8の3 TLR 2タンパク質、 s TLR4タンパク質および s CD 14タンパク質をロー ドし、 還元条件下で SDS— PAGE (10%ポリアクリルアミドゲル) にかけ た。 タンパク質をクーマシ一ブリリアントブルー染色で染色した。 図 2に示すよ うに、 電気 動による解析から、 MD— 2タンパク質は分子量 23から 3 O kD aの幅の広いバンドを示すことが明らかとなった。 s TLR4タンパク質は還元 条件下で分子量約 80 l^D aの単一バンドとして移動した。 文献 (J. B i o l . Ch em. 277 : 24315-24320 (2002) ; J. B i o l . Ch em. 275 : 22442-22451 (2000) ; Eu r. J. B i o c h em. 236 : 457-464 (1 996) ) に記載されているように 、 s TLR 2タンパク質および s CD 14タンパク質は、 分子量〜 70 kD aの 単一バンドおよび 46から 56 kD aの幅の広いバンドをそれぞれ示した。 実施例 2
精製 M D—2タンパク質の LPS惹起性の N F— κ B活性化に対する効果
TLR 4タンパク質をトランスフエクトした HEK 293細胞における精製 M D— 2夕ンパク質の L P Sに惹起される NF— κ B活性化に対する効果を試験し た。 N F— κ Bの活性化は、 文献 (J. B i o l . C em. 277 : 243 1 5-24320 (2002) および J. B i o l . C em. 276 : 41 350 -41356 (200 1) ) に記載の方法により測定した。 トランスフエ
クション前日に HEK293細胞をゥエルあたり 1 X 105細胞で、 24ゥエル プレートに播いた。 この細胞を、 FuGENE 6トランスフエクシヨン試薬 ( Ro c h e Mo l e c u l a r B i o c h em i c a l s, B a s e l、 S w i t z e r l and) により、 30ngの NF— κΒコンストラクト (pNF -κ Β— Lu c ; S t r a t age n e> L a 】 0 1 1 &、 〇八) と1011 のゥミシィタケ ルシフェラ一ゼ発現用コントロールコンストラクト (pRL- TK、 P r ome g a、 Ma d i s on、 WI) と、 80 ngの TLR4タンパ ク質、 あるいは、 MD— 2タンパク質をコードする cDNAとともに一過的にト ランスフエクトした。 トランスフエクシヨンの 24時間後、 細胞を一定濃度の L PSで 6時間あるいは 12時間刺激し、 ルシフェラーゼ活性をマニュアル記載の 方法にしたがい、 例えばデュアルルシフェラーゼレポ一夕一アツセィシステム ( P r ome g a) により測定した。 3回の実験の平均 + S Eでデータを示した。 図 3に示したように、 LPS (100 ng/ml) は MD— 2タンパク質なし では NF— κΒ活性化を誘導しなかった。 対照的に、 MD—2タンパク質を添加 すると、 LP Sに応答して、 TLR4タンパク質をトランスフエクトした細胞に NF一 κΒ活性化能が劇的に賦与された。 精製 MD— 2タンパク質の LPSに惹 起される NF— κ B活性化に対する促進効果は濃度依存性であった。 これらの結 果は、 培地中に外部から添加された MD— 2タンパク質が L P Sレセプ夕一複合 体として機能できることを示している。 実施例 3
MD— 2タンパク質と s TLR4タンパク質、 s T L R 2タンパク質または s C D 1 4タンパク質との結合実験
s TLR4タンパク質、 MD— 2タンパク質、 S TLR2タンパク質、 s CD 14タンパク質あるいはゥシ血清アルブミン (以下、 BSAと略記する; 2 iig / 1、 50 i 1 Zゥエル) でマイクロ夕イタ一ゥエル ( I mmu 1 o n I B 、 Dyn e x) をコートした。 3% (w/v) BSAを含有する PBS (以下、 ブロッキング緩衝液と称する) でゥエルをブロックした後、 ブロッキング緩衝液 に容解した一定濃度の MD— 2夕ンパク質またはピオチン化 s T L R 4夕ンパク
質 (50 1/ゥエル) を添加し、 その懸濁液を 37°Cで、 2時間インキュベー 卜した。 ゥエルを 3 % (wZv) スキムミルクと 0. 1 % (v/v) T r i t o n X— 100を含有する PB Sで洗浄後、 固相タンパク質への MD— 2タンパ ク質の結合を、 抗 V5 mAb、 続いてセィヨウヮサビ 'パーォキシダーゼ (H RP) 標識化抗マウス I gGとのインキュベーションにより検出した。 具体的に は、 固相化 STLR4タンパク質、 STLR2タンパク質、 S CD 14タンパク 質, B S Aに対する MD— 2タンパク質の結合をみる場合、 2 g/mlの sT LR 4タンパク質、 S TLR2タンパク質、 s CD 14タンパク質、 BSAを 5 0 IX 1 Zゥエルでマイクロタイターゥエルに注入し、 2時間室温で放置し固相化 させた。 固相化溶液を除去後、 ブロッキング緩衝液を 50 1/ゥエルで加え、 37°C、 1時間放置しブロッキングした。 ブロッキング緩衝液を除去後、 ブロッ キング緩衝液に溶解した図に示した濃度の MD— 2タンパク質を 50 1 /ゥェ ルでゥエルに添加し 37 °Cで、 2時間インキュベートした。 MD— 2タンパク質 懸濁液を除去後、 ゥエルを 3% (w/v) スキムミルクと 0. 1% (v/v) T r i t on X— 100を含有する P B Sで 3回洗浄し、 同洗浄液で 1 : 200 0に希釈した抗 V 5 Ab懸濁液を 50 1 /ゥエルで加え、 90分室温でィ ンキュベ一トした。 抗 V5 mAb懸濁液を除去後、 同洗浄液 3回洗浄し、 同洗 浄液で 1 : 1000に希釈した HR P標識化抗マウス I g G懸濁液を 50 1 Z ゥエルで加え、 60分室温でインキュベートした。 HRP標識化抗マウス I gG 懸濁液を除去後、 0. 1 % (v/v) T r i t o n X— 100を含有する PB Sで 3回洗浄し、 クェン酸バッファーで 1回洗浄後、 クェン酸バッファーで希釈 した 0—フエ二レンジァミン (l OmgZl OmL) を 50 1 ウエルで加え 15分間インキュベートした後に 0. 1規定硫酸で反応を止め、 492 nm吸光 度を測定した。
製品添付のマニュアルにしたがって、 EZ— L i nk Su 1 f o-NHS- LC一 B i o t i n (P I ERCE) を用いてピオチン化した s T L R 4タンパ ク質の固相タン/ \°ク質への結合は、 HRP結合ストレプトアビジンにより検出し た。 すなわち、 /、°一ォキシダ一ゼ反応は o—フエ二レンジアミンを基質に用いて 実施し、 492 rimの吸収を測定した。 具体的には、 MD— 2タンパク質に対す
るピオチン化 s TLR 4タンパク質の結合をみる場合、 2 gZm 1の MD— 2 タンパク質を 50 1 /ゥエルでマイクロタイ夕一ゥエルに注入し、 2時間室温 で放置し固相化させた。 固相化溶液を除去後、 ブロッキング緩衝液を 50 1Z ゥエルで加え、 37°C、 ー特間放置しブロッキングした。 ブロッキング緩衝液を 除去後、 ブロッキング緩衝液に溶解した図に示した濃度のピオチン化 STLR4 タンパク質を 50 1/ゥェルでゥエルに添加し 37°Cで、 2時間インキュベー 卜した。 ピオチン化 s TLR 4タンパク質懸濁液を除去後、 0. 1% (v/v) Tr i t on X— 100を含有する P B Sで 3回洗浄し、 クェン酸バッファ一 で 1回洗浄後、 クェン酸バッファ一で希釈した o—フエ二レンジァミン (10m g/1 OmL) を 50 1Zゥエルで加え、 発色後、 0. 1規定硫酸で反応を止 め、 492 nmの吸光度を浪!!定した。 その結果を図 4 (A) から (C) に示した
(A) は MD— 2タンパク質の s TLR 4タンパク質への結合を示す結果であ る。 指示された濃度の MD— 2をマイクロタイターゥエルにコートした s TLR 4タンパク質 (黒丸) 、 STLR2タンパク質 (白三角) 、 CD 14タンパク質 (白四角) または BSA (白丸) (2 ^ gZml、 50^ 1) と 37°Cで 2時間 インキュベートした。 固相タンパク質へ結合した MD— 2タンパク質を、 抗 V5 モノクローナル抗体、 続いて HRP標識抗マウス I gGによるインキュべ一ショ ンで検出した。 データは 3回の実験の平均 +SEを示す。 (B) は STLR4夕 ンパク質の MD— 2タンパク質への結合を示す結果である。 指示された濃度のビ ォチン化 s TLR 4タンパク質をマイクロタイターゥエルにコートした MD— 2 タンパク質 (黒丸) または: BS A (白丸) (S ^ gZm^ 50^ 1) と 37°C で 2時間インキュベートした。 固相タンパク質へ結合した s T L R 4タンパク質 を、 HRP結合ストレプトアビジンにより検出した。 データは 3回の実験の平均 +SEを示す。
図示したように、 各種濃度の MD— 2タンパク質をマイクロ夕イタ一ゥエルに コートした s TLR4タンノ°ク質、' s TLR 2タンパク質、 s CD 14タンパク 質または B S Aとィンキュベ一トすると、 MD— 2夕ンパク質は濃度依存的に固 相 s TLR4タンパク質に凝合した。 しかし、 MD— 2タンパク質は s TLR2
タンパク質、 s CD 14タンパク質または B S Aとは顕著な結合を示さなかった 。 s TLR4タンパク質をマイクロタイタ一ゥエルにコートした MD— 2タンパ ク質とインキュベートすると、 sTL: 4タンパク質は固相 MD— 2タンパク質 と結合した。
s TLR 4タンパク質と MD— 2タンパク質の相互作用をまた液相アツセィで 試験した。 それぞれ 2 の s TLR 4タンパク質、 MD— 2タンパク質または s TLR4タンパク質 + MD— 2タンノ ク質を 100 1のブロッキング緩衝液 に添加し、 30分間、 37 °Cでインキュベートした。 インキュベーション後、 ブ ロッキング緩衝液を加えることにより反応液の全容量を 500 1に調整した。 この混合液を 40 1のプロテイン Gセファロ一ス (?83への50%懸濁液) と 1時間、 41でインキュベートし、 夾雑物を除去した。 この後、 1 8の抗¥ 5 mAbまたは 2 gの抗 s TLR 4 mAb 4 D 9と 1時間、 4。Cでイン キュペートした。 免疫複合体を 40 1のプロテイン Gセファロースに 2時間、 4°Cで結合させた。 セファロ一スビーズを 0. 1 % (v/v) Tr i t on X 一 100を含有する PBSで 3回洗 し、 最終的に 20 1の SDSサンプル緩 衝液に再懸濁した後、 還元条件下で 3分間煮沸した。 この試料を SDS— PAG Eにかけた後、 ポリビニルイデンジフルオリド (以下、 PVDFと略記する) 膜 にゲル上のタンパク質を To wb i n らの方法 (Towbin H, Staehelin T, Gordon J. 1979, Proc Natl Acad Sci USA 76:4350-4354.) を用いて移した。 この膜を抗 STLR4 mAb 4 D 9、 続いて HR P結合抗マウス I g Gとィ ンキュペートした。 MD— 2タンパグ質は HRP結合抗 V5 mAbを用いて検 出した。 抗体と反応したタンパク質をケミルミネセンス試薬 (Sup e r s i g n a 1、 P i e r c e) を用いて、 試薬添付のマニュアルに従って可視化した。 図 4 Cに示したように、 両タンパク質を共にインキュベートすると、 sTLR 4タンパク質は、 抗 V5抗体で免疫?!:降する MD— 2タンパク質と結合しており (上側のパネル) 、 同様に MD— 2タンパク質は、 抗 s TLR4抗体で免疫沈降 する s TLR4タンパク質と結合していた (下側のパネル) 。 これらの結果は、 24番目の G 1 uから 631番目のし y sを含有する T L R 4タンパク質の細胞 外ドメインが直接 MD— 2タンパク質に結合できるが、 ロイシンリツチな繰り返
しを含有する T L R 4タンパク質に相同なタンパク質である T L R 2タンパク質 と CD 14タンパク質は MD— 2タンパク質と相互作用できないことを示してい る。 実施例 4
MD— 2タンパク質と s TLR 4タンパク質との相互作用の B I Ac o r e解析 s TLR4タンパク質の MD— 2タンパク質への結合のパラメ一夕一を B I A c o r e 3000 (B IAc o r e AB) を用いた表面プラズモン共鳴解析によ り決定した。 10mM酢酸ナトリウム (ρΗ5· 0) に溶解した MD— 2タンパ ク質 (30 gZmi) を CM5センサ一チップ上にアミンカプリング法を用い て固定化した。 150mM NaC lを含有する 5mM Tr i s緩衝液 (pH 7. 4) 中に溶解した 250 nMから 1. 5 Mの s T L R 4タンパク質を流速 3 1ノ分でセンサ一チップ表面に通した。 相互作用を 25°Cにおける表面プ ラズモン共鳴応答の変化としてモニタ一した。 モニター 2分後、 解離のために s TLR4タンパク質溶液に代わって同一緩衝液をセンサ一チップ上に通した。 セ ンサー表面をそれぞれ 実験の終わりに 10 mM H C 1を用いて再生すること が望ましい。 結合速度定数 (kass) と解離速度定数 (kdis ) を B IAe v a 1 u a t i onソフトウェア (バージョン 3. 1、 B I Ac o r e AB) により、 プログラム 1 : 1 (L angmu i r) 結合モデルを用いて計算した。 さらに、 この結果から解離定数 (KD) を kdissZkassで決定した。
図 5に示したように、 センサーチップに固定化された MD— 2タンパク質上を 各種濃度の STLR4タンパク質を通すことにより、 結合速度定数 kass=7. 5 6 X 103M— 1 · s— 解離速度定数 kdiss=4. 76 X 1 O—4 · s— および解離定 数 KD (kdiss/kass ) =6. 29 X 10— 8Mという値を得た。 実施例 5
s T L R 4タンパク質一 M D— 2タンパク質複合体と L P Sとの結合実験
s T L R 4タンパク質— M D— 2タンパク質複合 が直接 LPSに結合するか を LP Sセファロースビーズへの結合により試験しんこ。
大腸菌 026 : B6 (2mg、 S i gma) の L P Sを添付のマニュアルに従 い、 エポキシ活性化セファロ一ス 6 B (ゲル容量 3ml、 Ph a rma c i a B i o t e c h) にクロスリンクさせ、 L P Sセファロースビーズを作製した。 それぞれ 2 gの s TLR4タンパク質、 MD— 2タンパク質または s TLR 4タンパク質 + MD— 2タンパク質を 100 1のブロッキング緩衝液に添加し 、 37 °Cで 30分間、 予めインキュベートした。 LPS結合セファロ一スビーズ (80 1、 PBS中 50%懸濁液) または対照のセファロー又ビーズを s TL R 4タンパク質およびノまたは MD— 2タンパク質を含有する餒液に添加しプロ ッキング緩衝液を加えることにより、 懸濁液の全容量を 500 1に調整した。 懸濁液を 37°Cで 2時間緩やかに揺らしながらインキュベートした。 インキュべ —シヨン後、 ビーズを 0. 1% (w/v) Tr i t on X- 1 00を含有する P B Sで 3回洗浄した。 LPSセファロースビーズを含有する最終的な沈殿を S DS— PAGEにかけ、 ゲル上のタンパク質を PVDF膜に電気的に移した。 L PSセファロ一スビーズと共沈した s TLR 4タンパク質と MD— 2タンパク質 を検出するために、 ウェスタンプロット分析を上述のように、 s TLR4 m Ab 4D9と抗 V5 mAbを用い、 続いて HR P結合抗マウス I g Gを用い たインキュベーションにより行った。
s TLR4タンパク質、 MD— 2タンパク質または s TLR4タンパク質 + M D— 2夕ンパク質を L P Sセファロースと共にィンキュベートし、 LPSビーズ を沈降させた。 その後、 ビーズに結合したタンパク質をウェスタンプロットによ り解析した。 図 6に示すように、 MD— 2タンパク質だけを LPSビーズとイン キュベ一卜すると、 かなりの量の MD— 2夕ンパク質が L P Sビーズと共沈し、 このことは MD— 2タンパク質が LPSと結合できることを示している。 s TL R 4夕ンパク質だけでィンキュベ一トした L P Sビーズは s Tし R 4夕ンパク質 を共沈せず、 このことは TLR 4タンパク質が LP Sに結合できないことを示し ている。 しかし、 s TLR4タンパク質と MD— 2タンパク質の両者を共にイン キュベートすると、 LPSビ一ズはかなりの量の s T L R 4夕ンパク質と MD— 2夕ンパク質を共沈した。 対照ビーズは s T L R 4タンパク質も M D— 2タンパ ク質もどちらも共沈しなかった。 これらの結果は、 TLR4タンパク質だけでは
LPSと相互作用できないが、 TL R 4夕ンパク質の細胞外ドメインと MD— 2 タンパク質の複合体は L P Sに結合できることを示している。 実施例 6
s TLR4タンパク質による野生型 TLR4 c DNAをトランスフエクトし 細胞の L P Sに惹起される N F— κ B活性化の減弱
上述のように、 NF— κΒレポ一夕一プラスミドおよび対照レポ一夕一プラス ミドと共に野生型の TLR4 cDNA (100 n g) を用いて、 HEK293 細胞をトランスフエクトした。 空の pcDNA3. 1 (+ ) ベクタ一 80ngを 加えることにより、 プラスミドの全量をゥエルあたり 200 n gに調整した。 卜 ランスフエクシヨンの 24時間後、 細胞を 12時間、 l OngZml (白いバー ) または 100ng/ml (黒いバー) の LPSと共に、 4 gZml sTし R 4タンパク質および Zまたは 0. l gZml 組換え MD— 2タンパク質を 用いて、 または用いず予めインキュベートした培地中でインキュベートした。 N F— / B活性を前述の方法により調べた。 示したデータは、 3回の実験の平均 + SEである。 図 7にそ 結果を示す。 MD— 2+LPSの存在下で、 STLR4 なしの条件での結果を比べた際の、 *は p<0.. 05、 * *は pく 0. 02を示 す。
野生型 (wt) TLR4 cDNAをトランスフエクトした HEK293細胞 の LP Sに惹起される NF— κΒ活性化に対する s T L R 4タンパク質の効果を 試験した。 図 7に示すように、 l O OngZml MD— 2タンパク質を培地に 外部から添加すると、 LPSはNF— B活性化を惹起した。 l OngZmlお よび l O Ongゾ ml L P Sで惹起された NF— κ B活性化は、 4 ig/m l の s TLR4タンパク質を添加することにより著しく減弱した。 これらの結果 、 s TLR4タンパク質が野生型 TLR4 c DNAをトランスフエクトした細 胞における L P Sに惹起される NF— κ B活性化を中和できることを示している
実施例 7
2005/018207
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野生型 T L R 4発現細胞における L P S惹起性 I L一 8分泌に対する s T L R 4 の効果
野生型 (wt) TLR 4を発現する分化 U 937細胞の LP Sに惹起される I L— 8の分泌に対する s TLR4タンパク質の効果を試験した。 S TLR4 (1 0 g/m 1 ) と MD— 2 (0. 25 g/m 1 ) を 7 · 8— 31. 3 n g/m 1の LPS存在下で 37 °Cで 1時間プレインキュベ一トし、 その後、 マクロファ —ジ細胞株の U 937細胞 ( 1 X 1 05) とさらに 6時間ィンキュベートした。 ィンキュベート後、 培養液中に分泌された I L— 8量を酵素免疫測定法で測定し た。 図 8に示すように、 s TLR 4タンパク質が LPS惹起 I L— 8分泌を抑制 することが明らかとなった。 実施例 8
LPSによって誘導された肺炎症モデルマウスの気管支肺胞洗浄液への TN F— の分泌に対する S TLR4ZMD— 2複合体の効果
雌の BALB/Cマウス (7— 8週齢) を、 9 Omg/k gのケ夕ミン HC 1
、 および 2 O gZkgのキシラジン塩酸塩の腹腔内注射により麻酔し、 および s TLR 2 (3. 5 g) , s TLR4 (3. 5 g) , または MD— 2 (2.
5 g) の存在または非存在下で、 LPS (1 g) を気管切開の後に気管内に 滴下した。 LPS滴下の 16時間後に、 気管支肺胞洗浄 (BAL) をハンクス溶 液 lmlにより行った。 BAL溶液中の TNF— αの濃度を EL I SAにより測 定した。 図 9にその結果を示す。 ここで、 値は 10から 12回の実験の平均土標 準偏差を表す。
LPSの気管内投与によるマウス肺炎症モデルにおいて、 L P S投与時に s T LR4タンパク質と MD— 2を同時に投与すると、 肺胞腔中の炎症性サイトカイ ンの減少がみられ、 肺組織像においても細胞浸潤や浮腫など炎症所見が消失した 。 このことは、 in vivoにおいても s TLR 4タンパク質と MD— 2の投与がェ ンド卜キシン惹起炎症の抑制に有用であり、 応用可能であることを示している。 産業上の利用可能性
s TLR 4タンパク質を用いることにより、 エンドトキシン惹起性の炎症を弱 める新規の治療方法を提供することができる。