WO2006030749A1

WO2006030749A1 - 成分採取デバイス

Info

Publication number: WO2006030749A1
Application number: PCT/JP2005/016782
Authority: WO
Inventors: Hideaki Murahashi; Yoshihiro Yoshikawa; Norihisa Sasayama; Akio Shirasu; Kazuki Ishihara
Original assignee: Nipro Corporation
Priority date: 2004-09-13
Filing date: 2005-09-12
Publication date: 2006-03-23
Also published as: JP2006078428A; JP4239220B2

Abstract

　複数の成分を含む溶液から、目的成分を容易かつ効率よく採取するための成分採取デバイスを提供することを課題とする。具体的には、血液から血小板血漿（Platelet-rich plasma:PRP）を調製するためのPRP採取デバイスを提供することを課題とする。　複数成分含有溶液から遠心分離により目的成分を採取する場合に、遠心操作に使用した容器に、必要成分分離用デバイスを装着することによる。該必要成分分離用デバイスは、容器に装着可能なホルダーと、該ホルダーの軸方向に貫通された吸引用筒状体を含み、該ホルダーから容器内に突出する該吸引用筒状体の長さが調節可能な構造からなる。該吸引用筒状体の長さを調節して吸引する成分層の位置におき、成分を吸引する。

Description

成分採取デバイス

技術分野

[0001] 本発明は、複数の成分を含む液体から、目的成分を採取するための成分採取デバイスに関する。背景技術

[0002] 複数の成分を含む液体から目的成分を採取する場合、一般的には遠心分離により上清あるいは沈殿物を採取することにより達成される。例えば、遠心管に複数の成分を含む液体を加えて遠心処理した後、上清液を別の容器に移し替える、又は上清液を廃棄して沈殿物を収集するのが一般的である。

しかし、該目的成分をできる限り無菌の状態で採取したい場合は、上記上清や沈殿物を採取する操作は煩雑となる。特に、少なくとも 2回以上の遠心処理を必要とする場合には、さらにその操作は煩雑となる。

[0003] 血小板血漿（Platelet- rich plasma:以下、単に「PRP」 t 、う場合もある。 )は、医療や口腔外科の領域で広く用いられている。 PRPは、その中の血小板の脱顆粒により放出される成長因子、即ち、血小板由来増殖因子 (Platelet- derived growth factor, PD GF)、交換成長因子 (transforming growth factor- β ,TGF- j8 )及びインスリン様増殖因子 (Insulin-like growth factor-I,IGF-I)などを多く含むため、例えば、骨再生促進剤等として使用されている (特許文献 1)。特許文献 1で開示する PRPは、二段の遠心分離法により調製されている。

具体的には、採血した全血を第一の遠心（弱遠心）により、赤血球、白血球を含む層（パフィーコート)及び血小板を含む血漿の三層に分離させる。次に、上層の血小板を含む血漿を採取して別の容器に移し、第二の遠心 (強遠心）により、該血小板を含む血漿を血小板と血漿に分離する。そして、上層の余分の血漿を抜き取り、残った血小板を多く含む血漿を PRPとして取得する。

[0004] し力しながら、二段の遠心分離法は極めて煩雑な方法であるため、容易に PRPを調製する方法が、種々検討されている。例えば、 2つのチャンバ一が連通しており、第 1チャンバ一に全血を入れて第一の遠心を行い、上澄みを第 2チャンバ一にデカントし、次に第二の遠心を行う。次に、第 2チャンバ一内の血小板に乏しい血漿の一定量を除去することで、第 2チャンバ一内に PRPを得る方法が開示されている（特許文献 2、 3)。し力しながら、この方法は、該チャンバ一用の特殊な遠心分離機を必要とする。

[0005] 他の方法として、 2本の吸引用パイプ付遠心管を用いる方法が開示されている（特許文献 4)。この遠心管は、異なる長さの 2本の吸引用パイプが、遠心管用キャップに固定されている。さらに詳しくは、第 1のノイブは、遠心管の底部にほぼ届く長さに設定されており、第 2のパイプは、やや短い長さに設定されている。この遠心管を用いる方法とは、まず遠心管に全血を加え、第一の遠心後に底部の赤血球を長いパイプから吸引除去する。次に第二の遠心を行い、その後上部の血小板に乏しい血漿の一定量を吸引除去することで、血小板を多く含む PRPを得ることができる。しかしながら、この遠心管は、 2本のパイプが一定の長さは固定されており、長さを調節することができな!/、ので、遠心管に採取された血液量や血小板量に応じた適切な処理を行うことができない。

特許文献 1：特開 2003-055237号公報

特許文献 2：特開平 09-103707号公報

特許文献 3：特表 2000-610582号公報

特許文献 4：国際公開 WO02/098566A2号パンフレット

図面の簡単な説明

[0006] [図 1]成分採取デバイスの全体を示す図である。（実施例 1)

[図 2]図 1のデバイスの断面図である。（実施例 1)

[図 3]デバイスを真空採血管に装着した態様を示す図である。（実施例 2)

[図 4]エアー取り込み手段を施した成分採取デバイスを示す図である。（実施例 3)

[図 5]デバイスの使用態様を示す図である。（実施例 4)

[図 6]デバイスの使用態様を示す図である。（実施例 5)

符号の説明

[0007] 1 ホノレダー 12 ねじ部

13 容器との装着部位

2 吸引用筒状体

22 ねじ部

23 容器内の吸引用筒状体端部

24 容器外の吸引用筒状体端部

3 エアー取り込み用筒

4 真空採血管

41 ゴム栓

5 シリンジ

a 血揿

b 赤血球層

c ノフィーコート層

d 血漿，血小板層

e 血小板層

f 血漿層

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 複数の成分を含む液体から、目的成分を容易かつ効率よく採取するための成分採取デバイスを提供することである。

課題を解決するための手段

[0009] 上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を進めた結果、成分を吸引するための筒状体の長さを変えることができれば、容易に目的成分を採取できることに着目し、本発明の成分採取デバイスを完成した。

[0010] すなわち、本発明は、以下よりなる。

1.容器にキャップとして装着可能なホルダーと、該ホルダーの縦軸方向に貫通された吸引用筒状体を含み、該ホルダーから容器内に突出する該吸引用筒状体の長さが調節可能な構造を備えた成分採取デバイス。 2.吸引用筒状体の長さが調節可能な構造が、前記ホルダーの内側と前記吸引用筒状体との螺合構造である前項 1に記載の成分採取デバイス。

3.前記吸引用筒状体の容器の外方向に突出する端部が、吸引可能な装置、容器又はデバイスと連結可能な構造カゝらなる前項 1に記載の成分採取デバイス。

4.前記吸引用筒状体の容器内に突出する端部が、吸引針の構造力なる前項 1に記載の成分採取デバイス。

5.前記容器がゴム栓をした容器であり、前記吸引針が前記ゴム栓を刺通可能な金属針である前項 4に記載の成分採取デバイス。

6.前記ホルダー及び Z又は吸引用筒状体に容器内部と外部とを連通するエアー取り込み手段を設けた前項 1に記載の成分採取デバイス。

7.前記容器がゴム栓をした容器であり、前記エアー取り込み手段が前記ゴム栓を刺通可能な金属筒である前項 6に記載の成分採取デバイス。

8.前項 1に記載の成分採取デバイスを用いた目的成分の採取方法。

9.以下の 1)〜4)の工程を含む前項 8に記載の目的成分の採取方法：

1)複数成分含有液を含む容器を遠心分離する工程；

2)成分採取デバイスを容器に装着する工程；

3)遠心分離により形成された分離層であって、複数成分含有液のうち吸引する特定成分の分離層に、吸引用筒状体の先端が位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

4)上記 3)の目的成分を採取する工程。

10.上記 4)の工程において目的成分を採取する別途容器を使用し、上記 1)の工程における容器および該別途容器がゴム栓をした真空採血管であることを特徴とする前項 9に記載の目的成分の採取方法。

11.複数成分含有液が血液である前項 10に記載の目的成分の採取方法。

12.以下の 1)〜4)の工程を含む必要成分濃縮液の調製方法であって、少なくとも 1 )、 3)及び 4)の工程を、異なる条件で 2回以上繰り返すことを特徴とする必要成分濃縮液の調製方法。

1)全血を含む容器を遠心分離する工程； 2)成分採取デバイスを容器に装着する工程；

3)遠心分離により形成された分離層であって、吸引する目的成分の分離層に、吸引用筒状体の先端が位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

4)上記 3)の目的成分を採取する工程。

13. 目的成分が血小板及び Z又は血漿である前項 12に記載の必要成分濃縮液の調製方法。

14.以下の工程を含む前項 13に記載の必要成分濃縮液の調製方法：

1)全血を収容した容器を遠心分離し、下から赤血球層、バフィ一コート層、血漿 '血小板層に分離する工程；

2)成分採取デバイスを 1)の容器に装着する工程；

3)吸引用筒状体の先端が血漿'血小板層に位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

4)血漿および血小板を採取する工程；

5)血漿および血小板を別途容器に移す工程；

6)血漿および血小板を含む容器を遠心分離し、下力血小板層、血漿層に分離する工程；

7)成分採取デバイスを 6)の容器に装着する工程；

8)吸引用筒状体の先端が血漿層に位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

9)一定量の血漿を採取する工程；

10)容器内に残った血漿および血小板を懸濁する工程。

15.前項 1に記載の成分採取デバイスを含む成分採取キット。

発明の効果

本発明の成分採取デバイスを使用すると、容器内の複数成分含有溶液から効率的に目的成分を採取ことができる。また、本発明の成分採取デバイスは、遠心分離可能な既存の容器に装着できる構造にすれば、特殊な容器や遠心分離機を準備する必要なぐ容易に目的成分を採取ことができる。例えば、採血管に採取した血液から、容易に効率的に PRPを調製することができる。発明を実施するための最良の形態

[0012] 本発明の複数成分含有液とは、異なる比重を有する複数の成分を含有する溶液または分散液を意味し、具体的には血液、尿等の生体成分、細胞培養液、リンパ液、組織液、タンパク含有液、 DNA含有液、高分子溶液、有機溶媒/水溶液混合液 (水と油）等を例示することができ、より好適には、血液を例示することができる。血液には赤血球、白血球、血小板等の比重の異なる複数の成分が含まれている。採血した血液から、目的成分を取得するために、回転数の異なる複数の遠心分離処理を行い、必要に応じて上清を取得したり、上清を廃棄したりする必要がある。

また、血液は、病院等の検査機関等において採血され、採血管に保存される。保存された採血管等の容器をそのまま利用して血液中の目的成分を採取することができれば、便利であるば力りではなぐ血液等が人の手に直接触れることなぐ安全かつ衛生的である。

[0013] 本発明の成分採取デバイスの説明にあたり、「容器」とは、複数成分含有液を収容しうる容器であって、例えば血液、尿などの検体の収集容器であり、遠心分離可能なものをいう。具体的には、採血管や、遠心管などがあげられる。

[0014] 「容器にキャップとして装着可能なホルダー」とは、上述の容器の蓋をしたまま、又は容器の蓋をはずした状態で、容器の開口部にキャップとして装着可能であり、該ホルダ一の縦軸方向に貫通された吸引用筒状体を容器内に挿入し、固定することができる吸引用筒状体を支えるものを意味する。該ホルダーの容器に装着可能な部位は、容器側の装着部位、例えば採血管の蓋部又は開口部を覆って固定され、キャップとして装着しうる大きさの形状であれば良い。該ホルダーが容器に装着されることによつて、本発明の成分採取デバイスそのものが容器に装着されることとなる。ホルダーの素材は、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等が好適である。

[0015] 本発明の「ホルダーの縦軸方向に貫通された吸引用筒状体」とは、上述のホルダ一の縦軸方向に貫通されており、容器内に挿入され、遠心処理によって多層に分離された複数の成分うち特定成分の層に吸引用筒状体の先端がくるように調節し、該特定成分を吸引するためのものをいう。ここで、「特定成分」とは、目的成分であっても良いし、目的成分を容器内に残しておきたい場合は目的外の成分であっても良い

[0016] 本発明の吸引用筒状体は、ホルダーが容器に装着され、容器内に挿入されている状態で、その長さを自在に調節できることが必要である。吸引用筒状体の長さの調節方法は、例えば、吸引用筒状体をホルダー内でスライドさせてもよいが、好ましくは、前記ホルダーの内側と、吸引用筒状体との螺合構造により達成される。この螺合構造により、安定した状態でホルダーと吸引用筒状体が保持される。

容器内に突出した吸引用筒状体は、容器の底面部にほぼ届く程度の長さから容器内の複数成分含有溶液の液面よりやや下に届く長さの間で調節可能であればよい。本発明の吸引用筒状体の容器内に突出する部分の筒状体の形状は、複数成分含有溶液を遠心分離し、特定成分を吸引しうる形状であれば良く特に限定されないが、例えば注射針のような形状とすることができる。

[0017] 例えば、血液力も PRPを取得するために、本発明の成分採取デバイスを使用する場合は、採血管に収集した血液を採血管に入れたまま遠心分離し、そのまま該デバイスを採血管に装着し、利用できれば、特別の容器や特別の遠心分離器を準備する必要なぐ便利である。

特に、例えば採血管の蓋をしたまま、本発明のデバイスを装着できれば安全性、衛生面からも、特に好適である。このような観点から、本発明の容器内に突出する吸引用筒状体の端部の形状は、採血管のゴム栓等を貫通しうる形状をして、ることが好ましい。具体的には、吸引針のような形状とすることができる。また、該吸引用筒状体の素材は、上記目的を達成可能なものであれば特に限定されず、プラスチック又は金属製のものを使用することができる。例えばゴム蓋を刺通させる場合には、ゴム片が容器内に脱落しな、ことが必要であるため、具体的には注射針等に適用される金属針が好適である。

[0018] 本発明の吸引用筒状体の容器外に突出する端部は、例えばァスピレーター、真空採血管又はシリンジのような容器内の成分を吸引可能な装置、容器、デバイス等と結合可能であれば良い。例えば真空採血管と結合させる場合には、吸引用筒状体の容器外に突出する端部は、採血管のゴム蓋を刺通可能な形状、例えば金属針のような形状とすることができる。一方、シリンジと結合させる場合には、吸引用筒状体の容器外に突出する端部は、市販のルアー式、ロック式の両方のシリンジと結合可能な構造であることが好適である。

[0019] さらに、本発明の成分採取デバイスとともに、エアー取り込み手段を設けることができる。例えば、本発明の吸引用筒状体を、複数成分含有溶液を含む容器のゴム栓に刺通させたとき、容器が密封状態になり、特定成分を吸引することが困難な場合がある。そのような場合に、エアー取り込み手段を設けることによって、容器内部気圧が低下することなぐスムーズに特定成分を吸引することができる。エアー取り込み手段は

、成分採取デバイスのホルダー及び Z又は吸引用筒状体に設けることができる。例えば、吸引用筒状体とホルダーの連結部付近に、吸引用筒状体を貫通させた別の筒状体を設置することで、エアーを取り込むことができる。例えば、別の筒状体と吸引用筒状体を共に容器のゴム栓に刺通させたとき、吸引用筒状体と、別の筒状体の間に隙間ができ、該隙間と上記ねじ部の隙間から容器内にエアーを取り込むことができる。

[0020] 本発明の成分採取デバイスを用いた目的成分は、少なくとも以下の 1)〜4)の工程を含む方法により採取することができる。

1)複数成分含有溶液を含む容器を遠心分離する工程；

2)成分採取デバイスを容器に装着する工程；

3)遠心分離により形成された分離層であって、複数成分含有溶液のうち吸引する特定成分の分離層に、吸引用筒状体の先端が位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

4)上記 3)の目的成分を採取する工程。

[0021] さらに、上記 4)の工程において目的成分を採取する別途容器を使用し、上記 1)の工程における容器および該別途容器がゴム栓をした真空採血管である場合、密封した容器から別途密封した容器へ目的の成分のみを採取することができ、コンタミを防止することができて好まし、。

[0022] また、上記の工程のうち、容器の形状、遠心分離器の形状により、まず 2)の成分採取デバイスを容器に装着する工程を 1)複数成分含有溶液を含む容器を遠心分離する工程の前に行うこともできる。

[0023] さらに、上記の工程のうち、少なくとも 1)、 3)及び 4)の工程を、異なる条件において 2回以上繰り返し、目的成分を採取することを利用して必要成分濃縮液を調製することができる。ここで、 2)の成分採取デバイスを容器に装着する工程を複数回繰り返すことを必須の要件としないのは、成分採取デバイスを容器に装着したまま、遠心分離器にかけることができれば、再度の装着は必要としないからである。また、異なる条件で繰り返すとは、例えば遠心分離処理の回転数、処理時間や、筒状体の長さ、吸引する成分の具体的な物質等が異なることを、う。

[0024] 本発明の目的成分採取方法は、複数成分含有液が血液にも適用することができる。そして、該血液力も多血小板血漿を調製することができる。例えば、次の工程を含む方法により、血小板血漿を調製することができる。

1)全血を収容する容器を遠心分離し、下から赤血球層、バフィ一コート層、血漿 '血小板層に分離する工程；

2)成分採取デバイスを 1)の容器に装着する工程；

4)血漿および血小板を採取する工程；

5)血漿および血小板を別途容器に移す工程；

6)血漿および血小板を含む容器を遠心分離機にかけ、下から血小板層、血漿層に分離する工程；

7)成分採取デバイスを 6)の容器に装着する工程；

9)一定量の血漿を採取する工程；

10)容器内に残った血漿および血小板を懸濁する工程。

[0025] なお、本発明は成分採取デバイス、該成分採取デバイスを用いた目的成分採取方法及び目的成分採取キットにも及ぶ。例えば、吸引用筒状体の容器外に突出する端部にァスピレーターまたはゴム栓をした真空採血管などに結合可能な別途結合部材が挙げられる。該別途結合部材とは金属針を備えたホルダーなどがあり、該金属針を備えたホルダーは吸引用筒状体の容器外に突出する端部に直接またはチューブを介して接続することができる。特に、金属針を備えたホルダーを、チューブを介して接続する場合は、真空採血管を逆さにすることがなく操作性が向上するため好ましいさらに、本発明の目的成分採取キットにおける好ましい例として、筒状体が金属針の構造である場合、誤穿刺による医療事故を防止するために、該金属針周辺を覆うカバーまたは容器を安定に固定させるスタンドなどが挙げられる。

実施例

[0026] 本発明の理解を助けるために、以下に実施例として添付図面を参照しながら説明する。なお、図中同一符号は同一又は対応する部分を示すものとする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

[0027] (実施例 1)成分採取デバイス

以下に、添付図面の図 1及び 2について説明する。図 1は本発明の成分採取デバイスの一例であり、図 2は、図 1のデバイスの断面図である。

装着可能なホルダー (1)は、ホルダー上部の内側の一部にねじ部 (12)を有する。上該ホルダー (1)の縦軸方向に吸引用筒状体 (2)が貫通されている。該吸引用筒状体 (2 )にはホルダー内部のねじ部 (12)と勘合するようにねじ部 (22)が設けられている。採血管等の容器内に挿入される側の吸引用筒状体の先端部 (23)は、採血管のゴム蓋を貫通可能なように刺通可能な形状となっている。採血管等の容器の外側の吸引用筒状体の端部 (24)は、シリンジ、真空採血管等と結合可能な形状である。真空採血管等と結合させるために、注射針を介することもできる。

[0028] (実施例 2)成分採取デバイスの使用態様

実施例 1の成分採取デバイスを、容器の一例である真空採血管に装着した図を図 3に示す。真空採血管に吸引用筒状体を挿入し、ホルダーの端部 (13)を、真空採血管の蓋部にキャップのように装着し、固定する。ホルダー内部のねじ部 (12)と吸引用筒状体のねじ部 (22)を回転させて、容器内に突出した吸引用筒状体の長さを調節することがでさる。 [0029] (実施例 3)エアー取り込み手段

実施例 1の成分採取デバイスに、エアー取り込み手段を設けた図を図 4に示す。吸引用筒状体とホルダーの連結部付近に、吸引用筒状体を貫通させた別の筒状体を設置することによる。別の筒状体は吸引用筒状体と共に容器のゴム栓に刺通させると

、吸引用筒状体と、別の筒状体の間に隙間ができ、該隙間と上記ねじ部の隙間から容器内にエアーを取り込むことができる。

[0030] (実施例 4)デバイスにシリンジを連結する場合

血液力血小板血漿 (PRP)を調製する場合の方法を例示して説明する（図 5)。

1)採血した血液 (全血)を含む採血管を、回転数 160gで 10分間遠心分離機にかけ、下から赤血球層、バフィ一コート層、血漿 '血小板層に分離する工程；

2)実施例 1の成分採取デバイスを容器に装着する工程；

3)上記 1)の工程で得た分離層のうち、吸引用筒状体の先端 (23)が血漿'血小板層に位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

4)吸引用筒状体 (24)にシリンジを連結し、該シリンジ内に血漿および血小板を採取する工程；

5)シリンジ内に吸引した血漿および血小板を別の採血管に採取する工程；

6)血小板を含む血漿を含む採血管を、回転数 400gで 10分間遠心分離機にかけ、下から血小板層、血漿層に分離する工程；

7)成分採取デバイスを 6)の容器に装着する工程；

8)上記 6)の工程で得た分離層のうち、吸引用筒状体の先端 (23)が血漿層に位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

9)吸引用筒状体にシリンジを連結し、該シリンジ内に血漿を適当量吸引する工程；

10)容器内に残った血漿および血小板を懸濁することで、 PRPを採取する。

[0031] (実施例 5)デバイスに真空採血管を連結する場合

血液から PRPを調製する場合の方法を例示して説明する（図 6)。

1)〜3)については実施例 4と同様に行う。

4)吸引用筒状体 (24)に、真空採血管を連結し、該真空採血管内に血漿および血小板を採取する工程； 5) 4)で血漿および血小板を採取した真空採血管からデバイスを取り外し、該真空採血管を回転数 400gで 10分間遠心分離機にかけ、下力血小板層、血漿層に分離する工程；

6)上記 5)の工程で得た分離層のうち、吸引用筒状体の先端 (23)を血漿の層に届く長さに調節する工程；

7)吸引用筒状体 (24)に別の真空採血管を連結し、該シリンジ内に血漿を適当量吸引する工程；

8)容器内に残った血漿および血小板を懸濁することで、 PRPを採取する。

産業上の利用可能性

本発明の成分採取デバイスを使用すると、例えば、採血管に採取した血液から、容易に PRPを調製することができる。この場合、既に市販されている採血管及び既存の遠心分離器を用いて調製することができるので、既存の容器、機器を有効活用しな力必要成分の濃縮液を得ることができる。

例えば、 PRPは口腔外科領域でも使用されるが、本発明の成分採取デバイスを使用すると、病院又は検査機関等で採血管に採血した血液を用いて開業歯科医等が医院内に別の遠心分離器を設置する必要なく容易に効率よく PRPを調製することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 容器にキャップとして装着可能なホルダーと、該ホルダーの縦軸方向に貫通された吸引用筒状体を含み、該ホルダー力容器内に突出する該吸引用筒状体の長さが調節可能な構造を備えた成分採取デバイス。

[2] 吸引用筒状体の長さが調節可能な構造が、前記ホルダーの内側と前記吸引用筒状体との螺合構造である請求項 1に記載の成分採取デバイス。

[3] 前記吸引用筒状体の容器の外方向に突出する端部が、容器内の成分を吸引可能な装置、容器又はデバイスと連結可能な構造力なる請求項 1に記載の成分採取デバイス。

[4] 前記吸引用筒状体の容器内に突出する端部が、吸引針の構造力なる請求項 1に記載の成分採取デバイス。

[5] 前記容器がゴム栓をした容器であり、前記吸引針が前記ゴム栓を刺通可能な金属針である請求項 4に記載の成分採取デバイス。

[6] 前記ホルダー及び Z又は吸引用筒状体に容器内部と外部とを連通するエアー取り込み手段を設けた請求項 1に記載の成分採取デバイス。

[7] 前記容器がゴム栓をした容器であり、前記エアー取り込み手段が前記ゴム栓を刺通可能な金属筒である請求項 6に記載の成分採取デバイス。

[8] 請求項 1に記載の成分採取デバイスを用いた目的成分の採取方法。

[9] 以下の 1)〜4)の工程を含む請求項 8に記載の目的成分の採取方法：

1)複数成分含有液を含む容器を遠心分離する工程；

2)成分採取デバイスを容器に装着する工程；

4)上記 3)の目的成分を採取する工程。

[10] 上記 4)の工程において目的成分を採取する別途容器を使用し、上記 1)の工程における容器および該別途容器がゴム栓をした真空採血管であることを特徴とする請求項 9に記載の目的成分の採取方法。

[11] 複数成分含有液が血液である請求項 10に記載の目的成分の採取方法。

[12] 以下の 1)〜4)の工程を含む必要成分濃縮液の調製方法であって、少なくとも 1)、

3)及び 4)の工程を、異なる条件で 2回以上繰り返すことを特徴とする必要成分濃縮液の調製方法。

1)全血を含む容器を遠心分離する工程；

2)成分採取デバイスを容器に装着する工程；

3)遠心分離により形成された分離層であって、吸引する目的成分の分離層に、吸弓用筒状体の先端が位置するように吸引用筒状体の長さを調節する工程；

4)上記 3)の目的成分を採取する工程。

[13] 目的成分が血小板及び Z又は血漿である請求項 12に記載の必要成分濃縮液の調製方法。

[14] 以下の工程を含む請求項 13に記載の必要成分濃縮液の調製方法：

2)成分採取デバイスを 1)の容器に装着する工程；

4)血漿および血小板を採取する工程；

5)血漿および血小板を別途容器に移す工程；

7)成分採取デバイスを 6)の容器に装着する工程；

9)一定量の血漿を採取する工程；

10)容器内に残った血漿および血小板を懸濁する工程。

[15] 請求項 1に記載の成分採取デバイスを含む成分採取キット。