明 細 書
ワーククランプ装置
技術分野
[0001] この発明は、数値制御(Numerical Control;以下、 NCという)装置等により制御さ れ、エンジンのピストン等のワークを切削加工する加工機のワーククランプ装置に関 するものであり、詳細には、ワークを、低クランプ力から高クランプ力まで、広範囲の 可変クランプ力でクランプすることができる装置に関するものである。
背景技術
[0002] 従来のワーククランプ装置として、流体ァクチユエータを含むクランプ手段によりクラ ンパを移動させワークをクランプ 'アンクランプするワーククランプ装置において、前記 クランパをワーククランプ方向へ移動させ加工抵抗に耐えうる高クランプ力にて前記 ワークをクランプする第 1クランプ手段と、前記第 1クランプ手段の停止状態において 、前記クランパをワーククランプ方向へ移動させ前記高クランプ力よりも小さぐ前記ヮ ークに衝撃力が作用しない低クランプ力で前記ワークをクランプする第 2クランプ手 段と、前記第 1クランプ手段及び前記第 2クランプ手段に直接作用し前記クランパを 少なくとも前記ワークと前記クランパとの間に隙間が形成されるまでワークアンクラン プ方向へ移動させ前記ワークをアンクランプするアンクランプ手段とを備えたものがあ る。
[0003] このワーククランプ装置では、第 1クランプ手段によりクランパをワーククランプ方向 へ移動させ加工抵抗に耐えうる高クランプ力にてワークをクランプする工程と、その後 前記第 1クランプ手段の動作停止状態でアンクランプ手段により前記クランパを少な くとも前記ワークと前記クランパとの間に隙間が形成されるまでワークアンクランプ方 向へ移動させて前記ワークをアンクランプする工程と、その後第 2クランプ手段により 前記クランパをワーククランプ方向へ移動させ前記高クランプ力よりも小さぐ前記ヮ ークに衝撃力が作用しない低クランプ力で前記ワークをクランプする工程と、この低ク ランプ力でのクランプ状態のままで前記第 1クランプ手段により前記高クランプ力にて 前記ワークをクランプする工程とを含んでワークをクランプする。このようにワークをク
ランプすることにより、ワークには衝撃力によるクランプ歪みが発生することがない(例 えば、特許文献 1参照)。
[0004] 特許文献 1:特開平 2000— 354923号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] し力しながら、上記した文献に記載されたワーククランプ装置及びワーククランプ方 法では、ワーク加工時は、予め定められた一つの高クランプ力値でしかワークをクラ ンプできず、剛性の低いワークをカ卩ェするときには、クランプによりワークが歪んだ状 態で力卩ェが行われてしまい、加工精度が低下するという問題があった。
[0006] 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワークの種類に応じて、又は一つ のワークの加工工程に応じて、所定の閾値以下の低クランプ力から該閾値以上の高 クランプ力までの広範囲の可変クランプ力を発生させることができ、剛性の低いワーク であっても、加工時のクランプ歪を必要最小限として、高精度の加工を行うことができ るワーククランプ装置を得ることを目的として!/ヽる。
課題を解決するための手段
[0007] 上述した課題を解決し、 目的を達成するために、本発明にカゝかるワーククランプ装 置にあっては、ワークをカ卩工機にクランプするクランパと、橈み変形量に応じて該クラ ンパに所定の閾値以下の可変低クランプ力を付与するクランプスプリングと、伝動装 置を介して前記クランプスプリング及び前記クランパに接続され、該クランプスプリン グを橈み変形させ、かつ、該クランパに所定の閾値以上の可変高クランプ力を付与 するサーボモータと、加工プログラムにより前記閾値以下の所定の低クランプ力での 前記ワークのクランプが指令されたときには、前記サーボモータを位置制御すること により前記クランプスプリングの橈み変形量を制御して前記クランパに前記所定の低 クランプ力を付与し、前記加工プログラムにより前記閾値以上の所定の高クランプ力 での前記ワークのクランプが指令されたときには、前記サーボモータを電流制御して 前記クランパに前記所定の高クランプ力を付与する制御手段と、を備えたことを特徴 とする。
[0008] 次の発明にかかるワーククランプ装置にあっては、前記制御手段は、前記加工機を
数値制御する NC装置であること特徴とする。
[0009] 次の発明に力かるワーククランプ装置にあっては、前記サーボモータの電流制御領 域を、該サーボモータの電流値と前記伝動装置が出力するクランプ力とが比例する 領域としたことを特徴とする。
[0010] 次の発明に力かるワーククランプ装置にあっては、前記可変低クランプ力と前記可 変高クランプ力とは前記閾値でオーバーラップしていることを特徴とする。
[0011] 次の発明に力かるワーククランプ装置にあっては、前記伝動装置は、ボールナット' スクリュー機構を有し、前記サーボモータの回転力を前記クランパのクランプ力に変 換することを特徴とする。
[0012] 次の発明に力かるワーククランプ装置にあっては、前記伝動装置は、前記クランパ を前記ワークの回転軸回りに回転自在に保持することを特徴とする。
[0013] 次の発明に力かるワーククランプ装置にあっては、前記サーボモータは、リニアサ一 ボモータであることを特徴とする。
発明の効果
[0014] この発明に力かるワーククランプ装置によれば、ワークの種類に応じて、又は一つの ワークの加工工程に応じて、所定の閾値以下の低クランプ力から該閾値以上の高ク ランプ力までの広範囲の可変クランプ力を発生させることができ、剛性の低いワーク であっても、加工時のクランプ歪を必要最小限として、高精度の加工をすることができ るという効果を奏する。
[0015] 次の発明に力かるワーククランプ装置によれば、 NCカ卩ェ機のワーククランプ装置と して単一の NC装置により制御することができる。
[0016] 次の発明に力かるワーククランプ装置によれば、サーボモータの電流値とクランプ 力との関係が一次関数式で表せるのでサーボモータの制御が容易となる。
[0017] 次の発明にかかるワーククランプ装置によれば、低クランプ力から高クランプ力まで 切れ目のない広範囲の可変クランプ力を得ることができる。
[0018] 次の発明に力かるワーククランプ装置によれば、 NCカ卩ェ機に通常用いられている 回転式サーボモータをワーククランプ装置に用いることができる。
[0019] 次の発明に力かるワーククランプ装置によれば、回転軸回りに回転して加工される
ワークをクランプすることができる。
[0020] 次の発明に力かるワーククランプ装置によれば、動力伝達機構及びボールナット' スクリュー機構が不要となる。
図面の簡単な説明
[0021] [図 1]図 1は、本発明の実施の形態 1のワーククランプ装置をピストン加工機に適用し た例を示す断面図である。
[図 2A]図 2Aは、ワークの一例としてのエンジンピストンの一部破断正面図である。
[図 2B]図 2Bは、同側面図である。
[図 3]図 3は、サーボモータ電流と伝動装置が出力するクランプ力の関係を示す特性 図である。
[図 4]図 4は、指令クランプ力とクランパのクランプ力の関係を示す特性図である。
[図 5]図 5は、クランプ動作の説明図である。
[図 6]図 6は、クランプ指令プログラムフォーマットを示す図である。
[図 7]図 7は、クランプスキップ指令プログラムフォーマットを示す図である。
[図 8]図 8は、 NCメインプログラムの一例を示す図である。
[図 9]図 9は、 G200マクロプログラムの一例を示す図である。
符号の説明
[0022] 1 ピストン(ワーク)
2 回転主軸
3 縦軸
10 クランプヘッド
11 支持軸
12 センターピン
13 スプリング
14 クランノ
15 スプリングシート
16 クランプスプリング
20 伝動装置
21 クランプスライダ
22 ベアリング
23 中空軸
24 ケース
25 ボーノレナット
26 ベアリング
27 ボーノレスクリュー
28 動力伝達機構
30 サーボモータ
40 NC装置 (制御手段)
100 ワーククランプ装置
発明を実施するための最良の形態
[0023] 以下に、本発明にかかるワーククランプ装置の実施の形態を図面に基づいて詳細 に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[0024] 実施の形態 1.
図 1は、実施の形態 1のワーククランプ装置をピストン加工機に適用した例を示す断 面図であり、図 2Aは、ワークの一例としてのエンジンピストンの一部破断正面図であ り、図 2Bは、同側面図である。
[0025] ピストンカ卩工機によるワークとしてのピストン 1の加工には、リング溝 laの 卩ェ、同 仕上加工、ピン孔 lbの粗加工、同仕上力卩ェ、スカート部 lcの外周粗仕上ターユング 、同外周仕上ターユング等がある。ピストン 1は、軽量ィ匕のため材質にアルミ合金が用 いられ、スカート部 lc等は極限まで薄くされていて剛性が低い。このようなピストン 1を 加工するとき、加工部位及びカ卩工種類によりピストン 1にかかる力は大きく異なる。
[0026] 例えば、ピン孔 lbの ft¾卩ェ時は、大きな切削力がワークにかかるので、ワークを大 きな力でクランプする必要がある。一方、スカート部 lcの外周仕上ターニング時は、 薄肉部を高精度に加工するために、剛性の低 、スカート部 lcが歪まな 、ようにクラン プカを小さくし、軽切削力でカ卩ェしなければならない。このように、ピストン 1の加工に おいては、加工部位及びカ卩工種類に応じて、クランプ力を必要最小限とするように適
正に変更する必要がある。
[0027] 図 1を参照して、ピストン加工機に適用したワーククランプ装置 100の構成を説明す る。ワークとしてのピストン 1は、図示しないピストンカ卩工機の縦軸 3回りに回転する回 転主軸 2に、クランプ基準面 Idを載せて載置される。ワーククランプ装置 100は、ビス トン 1をカ卩ェ機の回転主軸 2にクランプするクランプヘッド 10と、クランプヘッド 10を駆 動しクランプ力を制御するサーボモータ 30と、サーボモータ 30を制御する NC装置 4 0と、クランプヘッド 10に接続してこれを保持しサーボモータ 30の駆動力をクランプへ ッド 10に伝達する伝動装置 20と力も成っている。サーボモータ 30及び NC装置 40は 、通常の NC制御加工機に用いられるものである。
[0028] クランプヘッド 10は、伝動装置 20に接続されクランプ軸 3上に保持される支持軸 11 と、支持軸 11の先端の穴に摺動可能に挿入されたセンターピン 12及び微小なばね 力のスプリング 13と、支持軸 11の先端に摺動可能に嵌合されることにより伝動装置 2 0に接続し、その鍔部 11aに保持された円形キャップ状のクランパ 14と、支持軸 11の 中間部に摺動可能に嵌合されボス部 15aを有する円板状のスプリングシート 15と、ボ ス部 15aに緩く嵌合されクランパ 14とスプリングシート 15とに挟まれることにより伝動 装置 20に接続するクランプスプリング 16と力も成っている。クランプスプリング 16は、 圧縮歪み変形量に比例する反力を生ずる圧縮コイルスプリング力 成っている。
[0029] 円形キャップ状のクランパ 14は、外周縁部 14aをピストン 1の冠面 leに当て回転主 軸 2との間でピストン 1をクランプする。クランプ力は、冠面 leとクランプ基準面 Idの間 に加えられる。クランパ 14によるピストン 1のクランプ時には、先にセンターピン 12をピ ストン 1の冠中心に予め設けられた基準穴 Ifに挿し込み、クランパ 14のクランプ位置 をガイドさせる。クランパ 14がピストン 1をクランプした状態でスプリングシート 15が押 圧されると、クランプスプリング 16が橈み変形し、その橈み変形量に応じてクランパ 1 4に可変低クランプ力が付与される。
[0030] 伝動装置 20は、支持軸 11の後端に接続してこれを保持するクランプスライダ 21と、 ベアリング 22、 22を介してクランプスライダ 21をクランプ軸 3回りに回転自在に保持 する中空軸 23と、スライド部 24aで中空軸 23を上下摺動自在に保持する筒状のケー ス 24と、中空軸 23の後端に取付けられたボールナット 25と、ケース 24の後端にベア
リング 26、 26を介してクランプ軸 3回りに回転自在に保持され、ボールナット 25に接 続するボールスクリュー 27と、ボールスクリュー 27とサーボモータ 30とを接続してサ ーボモータ 30の回転をボールスクリュー 27に伝達する動力伝達機構 28とから成って いる。動力伝達機構 28は、ベルト伝動機構やギヤ伝動機構を採用することができる。
[0031] クランパ 14が支持軸 11の鍔部 11aに接触し、かつ、クランプスプリング 16が歪み変 形量 0で一端力 Sクランパ 14に接触し他端力 Sスプリングシート 15に接触している状態で 、クランプスライダ 21の先端面力スプリングシート 15の背面に接触するように位置調 整して、支持軸 11の後端をクランプスライダ 21に接続する。すなわち、クランパ 14、 コイルスプリング 16、スプリングシート 15及びクランプスライダ 21の間には、クランプ 軸 3方向の隙間を設けていない。従って、クランプスライダ 21を下降させ、クランパ 14 がピストン 1に当たった後、少しでもクランプスライダ 21を下降させると、ただちにクラ ンプスプリング 16が圧縮されてクランパ 14に可変低クランプ力が付与される。
[0032] 次に、上述のワーククランプ装置の動作及び動作特性を説明する。中空軸 23は、 クランプスライダ 21を介してクランプヘッド 10に接続し、クランプ軸 3回りに回転するピ ストン 1をクランプヘッド 10を介してクランプするので、クランプヘッド 10及びピストン 1 の回転ぶれが発生しないように、ケース 24のスライド部 24aにより高剛性、高精度に 保持されている。従って、スライド部 24aと中空軸 23との間の嵌合隙間は殆んどなぐ 両者のスライド時には比較的大きな摩擦力が発生する。
[0033] 図 3は、サーボモータ電流と伝動装置 20が出力するクランプ力の関係を示す特性 図であり、図 4は、 NC装置の指令クランプ力とクランパ 14のクランプ力の関係を示す 特性図である。図 3の実線で示す実測特性は、中空軸 23を下方にスライドさせるとき のサーボモータ電流と伝動装置 20が出力するクランプ力(有効クランプ力)との関係 を示している。サーボモータ電流値は、サーボモータ 30の定格電流のパーセント(% M直を示している。電流値が 0%から 20%付近までは、スライド部 24aと中空軸 23との 摩擦力により有効なクランプ力が発生せず、 20%付近力も 30数%までは、非線形な 特'性となっている。
[0034] このため、 30数%以下の電流値では、クランプ力を高精度に制御することは、殆ん ど不可能である。 30数%電流値以上では、電流値とクランプ力とは比例関係にあり、
この領域では、摩擦力に相当する電流値を補正 (加算)すれば、図 3の破線で示すよ うに、電流値とクランプ力のオフセットのない比例特性が得られる。従って、 120kg以 上のクランプ力は、サーボモータ 30の電流制御により、高精度に制御することができ る。このとき、力センサー等を用いてクランプ力をフィードバック制御するような必要は ない。
[0035] モータ電流の制限値 Iとクランプ力 Fと関係は以下の式で表される。
し
I =PZ(2 TU K ) X (F + F ) (1)
L T F
ここで、
p:ボーノレスクリュー 27のリード(cm)
K :サーボモータ 30のトルク定数(kg. cmZ A)
τ
F:ワーククランプ装置 100の摩擦力(kg)
F
[0036] また、モータ電流の制限値 Iをモータ定格電流 Iのパーセント値 I に置き換えると し S LPT
I =ρ/ (2 π Κ ) X (F + F ) /\ X 100
LPT T F S
=k X F+I (%) (2)
LP LC
となる。ここで、
k =p/ (2 π K ) /I X 100 (%/kg) · · · (3)
LP T s
は、クランプ力をモータ電流値 (定格電流に対する%表示)に換算する定数であり、 また、 I
LCは、摩擦力に相当するモータ電流値を定格電流に対する%で表示したもの であり、予め、それぞれ計算又は測定しておく。
[0037] 以下の説明では、特に断らない限り、サーボモータの定格電流に対する%表示し た電流値を単に"電流値"と呼ぶこととする。
[0038] ここで、クランプ力と電流値が比例関係にある領域のクランプ力の下限値 120kgの 近傍に一つの閾値、例えば、 130kgを設定する。そして、 NC装置 40で指令された 指令クランプ力 Fがこの閾値を超える場合は、式 (2)により、指令すべき電流制限値 I を計算し、サーボモータ 30の電流を制限することにより、指令されたクランプ力を し PT
発生させることができる。このようにサーボモータ 30の電流制御領域を、サーボモー タ 30の電流値と伝動装置 20によるクランプ力とが比例する領域としたので、サーボ
モータ 30の電流値とクランプ力との関係が一次関数式で表せるのでサーボモータ 3 0の制御が容易である。
[0039] 次に、閾値 130kg以下の高精度な可変クランプ力を得るために設けたクランプへッ ド 10の作用によるクランプ力特性を説明する。クランプスプリング 16の橈み変形量を 制御してクランパ 14のクランプ力を制御する場合、クランプスプリング 16のばね定数 力 S小さいほど高精度な制御が可能となるが、反面、クランプスプリング 16で閾値近傍 の高クランプ力を得るためには、橈み変形量を大きくしなければならなくなるので、機 械構造的な面も考慮し、適度なばね定数を選定する。本実施の形態では、ばね定数 kを 10kgZmm、有効橈み変形量を 14mmとしている。従って、クランプスプリング 16 の橈み変形による最大クランプ力は、 140kgである。
[0040] サーボモータ 30を作動させ、スプリングシート 15を押圧するクランプスライダ 21のピ ストン 1に対する位置を制御することによりクランプスプリング 16の橈み変形量を制御 する。クランパ 14の外周縁部 14aの下面がピストン 1の冠面 leに接し、クランプスプリ ング 16の橈み変形量が 0で、かつ、クランプスライダ 21の下面がスプリングシート 15 背面に接している位置を基準として、クランプスライダ 21を下方に Lmm移動させれ ば、
F=kX L (kg) (4)
のクランプ力を得ることができる。従って、
L = C X F (mm) (5)
M
により、クランプ力 Fに対応するクランプスプリング 16の橈み変形量 Lを求めることが できる。ここで、 C = lZk(mmZkg)は、クランプスプリング 16のコンプライアンスで
M
ある。
[0041] すなわち、指令されたクランプ力 F力 閾値(130kg)以下の場合は、式(5)によりク ランプスプリング 16の橈み変形量 Lを計算し、クランプスライダ 21を下方に Lmm移動 させ位置決めすることにより、指令されたクランプ力を得ることができる。サーボモータ 30の NC制御では、マイクロメートル単位の位置制御が可能であり、クランプ力の高 い分解能を得ることができ、また、クランプスプリング 16は、単純構造の圧縮コイルス プリングで構成して ヽるので、高精度な直線性が得られる。
[0042] 本実施の形態では、クランプスプリング 16によるクランプ力の制御は 140kgまでで きるようにし (クランプ力 140kgのとき、クランプスプリング 16は完全圧縮される力 又 は、スプリングシート 15のボス部 15aの下面がクランパ 14の背面に当たるようにする。 )、サーボモータ 30の電流制御によるクランプ力の制御は 120kg力もできるようにし て両者の制御範囲をオーバラップさせ、閾値 130kgを境にサーボモータ 30の位置 制御と電流制御の制御モードを切り換えるようにして 、る。オーバーラップさせること により、低クランプ力から高クランプ力まで切れ目のない広範囲の可変クランプ力を 得ることができる。
[0043] 以上に説明したように、 NC装置 40の指令クランプ力に応じて、サーボモータ 30の 位置制御によるクランプスプリング 16の橈み変形量制御と、サーボモータ 30の電流 制御によるトルク制御とを切り換えて制御することにより、図 4に示すように低クランプ 力から高クランプ力までの広範囲にわたる可変クランプ力特性が得られる。
[0044] 図 5は、クランプヘッド 10によるピストン 1のクランプ動作の説明図である。ピストン 1 を加工する場合、 NC装置 40に、ピストン 1の加工部位及び種類、すなわちリング溝 1 aの粗加工、同仕上力卩ェ、ピン穴 lbの粗加工、同仕上力卩ェ、スカート部 lcの外周粗 仕上ターユング及び同仕上ターユング等に対応した指令クランプ力力 NCプロダラ ムにより与えられる。 NCプログラムの指令により、サーボモータ 30が最高速度で回転 し、動力伝達機構 28を介してボールスクリュー 27を回転させ、ボールナット 25を介し て中空軸 23及びクランプスライダ 21を下降させ、クランパ 14の外周縁部 14aの下面 を、予め定めたクランパ原点位置 50からピストン 1の冠面 leの僅か手前のアプローチ 点 51まで高速移動させる。
[0045] 次に、指令クランプ力が閾値 130kgを超えている場合は、予め設定された送り速度 で、冠面 leから予め設定されたオーバーラン量(# 506 :クランプスプリング 16の有 効橈み変形量 14mm以上の距離)だけ下がった位置を制御目標位置としてクランパ 14を下降させ、クランパ 14の下面をピストン 1の冠面 leに押し当て、さらにクランプス プリング 16を橈み変形量 13mm以上圧縮する。この状態で、サーボモータ 30の電流 力 式 (2)で求めた電流指令値に達したことを別途設けられた判定手段によりにより 判定し、サーボモータ 30の送り指令を停止し、そのクランプ力を維持する。
[0046] 指令クランプ力が閾値 130kg以下の場合は、サーボモータ 30を位置制御してクラ ンパ 14を下降させ、式(5)から求めたクランプスプリング 16の橈み変形量 Lをァプロ ーチ点 51から冠面 leまでの距離(# 501)に加算した距離だけ送り、クランプスプリ ング 16を橈み変形量 Lだけ圧縮することにより、ピストン 1を指令された低クランプ力 で回転主軸 2にクランプする。
[0047] 図 6は、クランプ指令プログラムフォーマットを示す図であり、図 7は、クランプスキッ プ指令プログラムフォーマットを示す図であり、図 8は、 NCメインプログラムの一例を 示す図であり、図 9は、 G200マクロプログラムの一例を示す図である。これらの図を 参照して、サーボモータ 30の NC制御方法を説明する。
[0048] まず、 NC制御を行なうために、図 6に示すクランプ指令プログラムフォーマット及び 図 7に示すクランプスキップ指令プログラムフォーマットを新たに作成し、以下のように 定義する。すなわち、図 6のクランプ指令プログラムフォーマットおいて、
G200:クランプ指令を表す準備語
A :クランプパ 14を図 5に示すアプローチ点 51まで、早送り(NCプログラムに おける GOO指令速度)で移動させるための命令アドレス記号で、クランパ 14がピスト ン 1から比較的離れたところにある場合 (例えば、クランパ 14が原点位置 50にある場 合等)に、移動速度を上げる目的で使用する。この場合、 "A1〃と指令する。なお、ピ ストン 1をクランプしたまま、そのクランプ力を変更する場合は、このアドレスは指定し ない。
Q :指令クランプ力を表すアドレス記号で、 "ql"を kg単位で指令する。
F :クランプを行う場合のクランパ 14の速度を表すアドレス記号で、 ¾"を111 mZmin単位で指令する。
なお、 "A1"と指令した場合は、クランパ 14は、 Fの指令速度にかかわらず、図 5に 示すアプローチ点 51まで早送りされる。
[0049] また、図 7のクランプスキップ指令プログラムフォーマットにおいて、
G160 :クランプスキップ指令を表す準備語
A :クランプ軸を表すアドレス記号で、 "a 1"は mm単位で指令する。
Q :スキップクランプ力を表すアドレス記号で、 "ql"はモータ電流をモータ定
格電流の%で指令する。
F :クランプを行う場合のクランパ 14の速度を表すアドレス記号で、 "fl"は m mZmin単位で指令する。
なお、 G160はモーダル Gコードであり、クランプ軸の移動指令の GOOや G01が指 令されるまで維持される。
[0050] このクランプスキップ指令により、指令速度" fl"で、指令された距離 "al"を移動す る過程でクランパ 14がピストン 1に当接し、 "ql "で指令されたモータ電流値に達する と、判定手段によりスキップ信号が発せられ、移動指令を停止すると共に、移動指令 の残りをキャンセルする。クランプ力は、溜りパルス dにより維持される。この溜りパル ス dは、位置ループゲインを Kp (lZsec)とすると、ほぼ、
d=fl/ (60 X Kp) + A a (mm) (6)
の大きさとなる。ここで、 Δ aはスキップ信号が発生してから、移動指令を停止するま での間に、移動指令が進む距離である。
[0051] G160コードを用いたワーククランプが完了し、そのクランプ力で行う加工工程が終 了した後、クランプ軸を移動指令 (GOO、 G01等)により駆動する場合、この溜りパル ス dを、クランプ軸がその移動指令で起動する前にキャンセルし、クランプ軸の現在位 置 (位置フィードバック値)に指令値を合わせる。
[0052] 図 8は、 NCメインプログラムの一例を示す図である。この例では、まず、大きな加工 反力が発生するピン穴粗加工を行い、次に、比較的大きな加工反力が発生するリン グ溝粗加工を行い、続いて、それぞれの仕上加工を行い、次に、スカート部 lcの外 周粗仕上ターニンダカ卩ェを行い、最後に最も小さいクランプ力でスカート部 lcの外 周仕上ターニンダカ卩ェを行って 、る。この場合のクランプ動作にっ 、て説明する。
[0053] プログラム運転をする前に、第 9図のマクロプログラムに示す変数の内、クランプ送り 速度 1 ( # 9)、クランプ送り速度 2 ( # 10)、ワーク冠面座標値( # 500)、アプローチ 距離( # 501)、電流制御と位置制御のクランプ力閾値( # 502)、パネ定数 ( # 503) 、力 ·電流変換定数 ( # 504)、電流補正値( # 505)およびオーバラン指令距離 ( # 506)を、予め入力しておく。
[0054] 新たなワーク(ピストン) 1が停止している回転主軸 2にセットされ、図 8に示すメイン
プログラムの加工工程 Aにおいて、プログラムのブロック N010で図 9の G200マクロ プログラムを呼び出し、クランプ動作に入る前の移動モーダル Gコード(# 4001)、同 期 Z非同期モーダル Gコード(# 4005)、非同期送り速度 Fモーダル(# 4109)、絶 対 Z増分 Gコード( # 4003)を変数アドレス # 2から # 5にそれぞれ記憶する。この記 憶動作はクランプ動作が終了した場合に、クランプ動作に入る前の状態に復帰させ るために行うものである。
[0055] 本実施の形態では、クランプ動作を絶対値指令で行うので、次のブロックで絶対値 指令 Gコードの G90を指令し、また、クランプ動作は、回転主軸 2の回転と非同期で 実行するので、次に、非同期送り Gコードの G98を指令している。図 8のメインプログ ラムで命令 A1を指定しており、 # 1が"空"でないので初回クランプと判別し、クランパ 14が、クランパ原点位置 50からアプローチ点(# 500+ # 501)まで、別途設定され た最高速度 (NC指令の G00)で移動する。ブロック N100で指令クランプ力 300kg ( # 17)が別途定めたクランプ力閾値 130kg ( # 502)を超えているので、ブロック N2 00にジャンプし、電流制御によるクランプ力制御が選択される。
[0056] 次のブロックで、指令クランプ力(# 17)力も電流値(# 18)に換算する。続いて、 G 160コードにおいて、クランプスプリング 16の有効橈み変形量 14mmに数 mmをカロ 算したオーバーラン指令距離 ( # 506)だけ、ピストン冠面 leより下の位置を制御目 標位置として、ピストン 1に衝撃を与えな 、程度のクランプ送り速度 1 ( # 9:例えば 10 OmmZmin)で、クランパ 14をピストン 1の冠面 leに当接させる。式(2)で決まる電流 値に達するまでクランパ 14をピストン 1に押し付け、その電流値に達すると、別途構 成する判定手段によりスキップ信号が発せられ、移動指令を停止すると共に、移動指 令の残りをキャンセルする。クランプ力は溜りパルス dにより維持される。
[0057] 続、て、 # 2から # 5に記憶させた各種モーダル値を元に戻す。これで、 300kgの クランプ工程が完了し、 M99指令により、図 8に示すメインプログラムの加工工程 Aの 先頭部分にプログラムが戻り、別途指令される回転主軸 2の位置制御により、図 2に 示すピストン 1のピン穴 lbの位置を、図示しないドリリングユニットのドリルのセンター に位置決めし、ピン穴 lbの粗加工を行う。
[0058] ピン穴 lbの粗加工終了後、図 8に示すメインプログラムの次のブロック N020で、指
令クランプ力を 150kg ( # 17)に変更し、リング溝 卩ェ工程に進む。図 9に示すマ クロプログラムへジャンプし、各種モーダル値 # 4001、 # 4005、 # 4109及び # 40 03を # 2から # 5にそれぞれ記憶し、続いて G90及び G98指令を実行する。このクラ ンプ指令では、初回指令 Aを指令していないので、マクロプログラムの最初の IF文に より、ブロック N 100にジャンプする。
[0059] すなわち、 300kgクランプ状態から、アンクランプせずに次のクランプ動作を行う。
指令クランプ力が閾値 130kg ( # 502)を超えて!/、るので、ブロック N200にジャンプ し、電流制御によるクランプ力制御が選択され、新しい指令クランプ力に対し、式 (2) で求められたモータ電流値を制限値とし、前述の 300kgクランプと同様なシーケンス によりピストン 1は 150kgでクランプされる。続いて、 # 2から # 5に記憶させた各種モ 一ダル値を元にした後、 M99指令により図 8に示すメインプログラムの加工工程 Bの 先頭部分にプログラムが戻り、別途指令される回転主軸 2の回転指令によりピストン 1 を 150kgでクランプした状態で回転させ、図 2に示すピストン 1のリング溝 laを、図示 しな 、工具により 卩ェする。
[0060] リング溝 laの 卩ェ終了後、メインプログラムの次のブロック N030で指令クランプ 力を 60kgに下げ、クランプ力によるピストン 1の歪を軽減させ、リング溝 la及びピン穴 lbの仕上加工を軽切削で行う加工工程 C、 Dに進む。マクロプログラムにジャンプし 、各種モーダノレ値 # 4001、 # 4005、 # 4109及び # 4003を、 # 2力ら # 5にそれ ぞれ記憶し、続いて G90及び G98指令を実行する。このクランプ指令でも、初回指 令 Aを指令して!/、ないので、マクロプログラムの最初の IF文によりブロック N 100にジ ヤンプし、指令クランプ力 ( # 17)が閾値 130kg ( # 502)以下であるので、位置制御 によるクランプ力制御が選択される。
[0061] 次のブロックでは、クランプ軸の移動指令 G01が指定されているので、 G160コード の仕様にっ 、て述べたように、前の工程で G 160コードを用 、た 150kgクランプにお V、て生じた溜りパルスをここでキャンセルし、クランプ軸の現在位置 (位置フィードバッ ク値)に指令値を一致させる。溜りパルスキャンセル後、式 (5)から計算されるクラン プスプリング 16の歪み変形量 L ( # 503 X # 17)だけ、ピストン 1の冠面 le座標値( # 500)より下の位置を目標に、クランプ送り速度 f 2 ( # 10 :例えば 50mmZmin)で位
置決めする。
[0062] これにより、ピストン 1は 60kgの力でクランプされる。ここで、 G160モーダルは G1コ ードによりキャンセルされる。続いて、 # 2から # 5に記憶させた各種モーダル値を元 に戻す。これにより、 60kgのクランプ工程が完了し、 M99指令により図 8に示すカロェ 工程 Cの先頭部分にプログラムが戻り、別途指令される主軸回転指令によりピストン 1 を 60kgでクランプした状態で回転させ、ピストン 1のリング溝 laを仕上カ卩ェする。
[0063] 次に、加工工程 Dに進み、別途指令される主軸位置決め指令により、ピストン 1のピ ン穴 lbの位置を図示しないドリリングユニットのドリルのセンターに位置決めし、ピン 穴 lbの仕上加工を行う。
[0064] リング溝 la及びピン穴 lbの仕上加工終了後、メインプログラムの次のブロック N04 0で指令クランプ力( # 17)を 90kgに変更し、ピストン 1のスカート部 lcの ft¾卩ェ工程 に進む。マクロプログラムにジャンプし、各種モーダノレ値 # 4001、 # 4005、 # 4109 及び # 4003を、 # 2から # 5にそれぞれ記憶し、続いて、 G90および G98指令を実 行する。このクランプ指令でも、初回指令 Aを指令していないので、マクロプログラム の最初の IF文によりブロック N100にジャンプし、また、指令クランプ力( # 17)が閾 値( # 502)以下であるので、位置制御によるクランプ力制御が選択される。
[0065] この場合、前工程の位置制御によるクランプの際、 G160モーダルはキャンセルさ れているので、溜りパルスキャンセルは行われない。次の G01指令により、前述の 60 kgクランプと同様なシーケンスによりピストン 1は 90kgでクランプされる。続いて、 # 2 力も # 5に記憶させた各種モーダル値を元にした後、 M99指令により、メインプロダラ ムの加工工程 Eの先頭部分にプログラムが戻り、別途指令される主軸回転指令により ピストン 1を 90kgでクランプした状態で回転させ、図示しない工具によりスカート部 lc のプロファイルの粗加工を行う。
[0066] スカート部 lcの 卩ェ終了後、メインプログラムの次のブロック N050で指令クラン プカ( # 17)を 30kgに下げ、ピストン 1の薄肉部であるスカート部 lcの仕上力卩ェに進 む。マクロプログラムにジャンプし、各種モーダル値 # 4001、 # 4005、 # 4109及び # 4003を、 # 2から # 5にそれぞれ記憶し、続いて G90および G98指令を実行する 。このクランプ指令でも、初回指令 Aを指令していないので、マクロプログラムの最初
の IF文によりブロック N100にジャンプし、また、指令クランプ力( # 17)が閾値( # 50 2)以下であるので、前述の 90kgクランプと同様なシーケンスによりピストン 1は、スカ ート部 lcの歪を最小限に抑え、かつ仕上力卩ェの軽切削に耐える 30kgにクランプさ れる。
[0067] 続いて、 # 2から # 5に記憶させた各種モーダル値を元にした後、 M99指令により 、メインプログラムの加工工程 Fの先頭部分にプログラムが戻り、別途指令される主軸 回転指令によりピストン 1を 30kgでクランプした状態で回転させ、図示しない工具に よりスカート部 lcのプロファイルの仕上力卩ェを行う。加工終了後、別途指令される主 軸停止指令により主軸回転を停止させ、ブロック N070のクランプ軸原点復帰指令に より、早送りでクランパ 14を原点位置まで戻し、一連の工程を終了する。
[0068] 実施の形態 2.
実施の形態 1では、回転式サーボモータ 30と、ボールナット 25及びボールスクリュ 一 27から成るボールナット'スクリュー機構を用いている力 これに代えて、リニアサ ーボモータを用いてもよい。これによれば、ボールナット'スクリュー機構が不要となる 。また、実施の形態 1は、ワーク 1がクランプ軸 3回りに回転する加工機のワーククラン プ装置であるが、ワークが回転しない加工機にも本発明のワーククランプ装置を適用 することができる。また、サーボモータの制御装置は、 NC装置以外の制御装置を用 いてもよい。また、クランプ軸 3は縦軸としている力 横軸としてもよい。
産業上の利用可能性
[0069] 以上のように、本発明に力かるワーククランプ装置は、剛性の低 、ワークを加工する 加工機に有用であり、特に、エンジンのピストンの加工等を行なう加工機に適してい る。