WO2006013843A1

WO2006013843A1 - 携帯電話機

Info

Publication number: WO2006013843A1
Application number: PCT/JP2005/014091
Authority: WO
Inventors: Yukari Yamazaki; Yutaka Saito; Yoshio Koyanagi; Kiyoshi Egawa; Hiroyuki Sasaki
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.
Priority date: 2004-08-03
Filing date: 2005-08-02
Publication date: 2006-02-09
Also published as: JP2006050136A

Abstract

　様々な使用状態に対応して動作モードの異なるアンテナを選択的に切り替えながら、放送電波を受信するときに高いアンテナ感度を実現する放送用受信機付きの携帯電話機を開示する。水平指向特性を有する磁界モードアンテナ素子であるループアンテナ素子（７）が、下部筐体（２）のヒンジ部（３）の近傍において携帯電話機（１００）の幅方向（Ｙ軸方向）に沿って配置され、整合回路（８）を介して高周波スイッチ（９）に接続されている。垂直指向特性を有する電界モードアンテナ素子であるイヤホンケーブル（１２）で受信されたテレビジョン放送信号はイヤホンコネクタ（１３）を経由して高周波スイッチ（９）に入力される。アンテナ切替制御部（１５）は、放送受信回路（１０）における受信信号強度を検出し、その受信信号レベルに応じて高周波スイッチ（９）をループアンテナ素子（７）またはイヤホンコネクタ（１３）へ選択的に切り替えるように動作する。

Description

明細書

携帯電話機

技術分野

[0001] 本発明は、放送電波を受信する放送用受信機を備えた携帯電話機に関し、特に、放送電波を受信するための放送受信用アンテナに改良を加えた携帯電話機に関する。

背景技術

[0002] 近年、テレビジョン受信機能の搭載された放送用受信機付きの携帯電話機 (以下、単に携帯電話機という）が広く普及しており、これらの携帯電話機のテレビジョン受信用アンテナには様々な改良が加えられてアンテナ特性の向上が図られている。

[0003] 例えば、特許文献 1には、モノポールアンテナと電池とによってダイポールアンテナを構成し、受信機に対して垂直に伸びるアンテナ部分を短くしても高、アンテナ利得が得られるテレビジョン受信用アンテナの技術が開示されている。

[0004] また、特許文献 2には、 2つのループアンテナを直交するように配置し、人体装着時における使用状態に対応して偏波を切り替えることによって人体の影響による特性劣化の防止を図ったアンテナ技術が開示されている。

[0005] さらに、特許文献 3には、受信チャネルに応じて 2つのアンテナの組み合せを切り替えることによって高、アンテナ利得が得られるアンテナ技術が開示されて、る。

特許文献 1：特開 2001— 251131号公報

特許文献 2：特開平 10— 84209号公報

特許文献 3：特開平 6 - 113220号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] し力しながら、上記の特許文献 1に示されて、る技術では、アンテナの主偏波が垂直偏波であるため、テレビジョン放送電波において主流である水平偏波に対する感度を高くすすることができな、。

[0007] また、上記の特許文献 2に示されている技術では、主偏波方向を 2つの異なる方向へ切り替えることは可能であるが、使用者が携帯電話機を手で保持した状態や、携帯電話機を人体に近接した場合や人体から離した場合などの様々な使用状態に対応して最適なアンテナ性能を確保できるように考慮されていない。つまり、磁界アンテナであるために人体力離れた場合には十分な利得が得られない。さらには、ループアンテナが大き!/、ために携帯電話機としての外観がよくな、。

[0008] また、上記の特許文献 3に示されている技術では、携帯電話機に搭載可能な小型アンテナの構造についての考慮がなされていないので、携帯電話機などに適用することができない。

[0009] 本発明の目的は、様々な使用状態に対応して動作モードの異なるアンテナを選択的に切り替えながら、放送電波を受信するときに高いアンテナ感度を実現する放送用受信機付きの携帯電話機を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明に係る携帯電話機は、放送電波を受信する放送受信機を備えた携帯電話機であって、磁界モードで動作する磁界モードアンテナ素子と、電界モードで動作する電界モードアンテナ素子と、磁界モードアンテナ素子と電界モードアンテナ素子を選択的に切り替えるアンテナ切替手段と、放送電波を受信する放送受信手段と、放送受信手段の受信状態に応じてアンテナ切替手段の切替え制御を行うアンテナ切替制御手段とを備えた構成を採る。

発明の効果

[0011] 本発明の携帯電話機によれば、放送電波の受信状態 (つまり、受信信号レベル）に応じて、磁界モードアンテナ素子と電界モードアンテナ素子とを選択的に切り替えているので、有効に偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。したがって、放送電波を受信するときに常に高いアンテナ性能を実現することができる。また、磁界モードアンテナであるループアンテナ素子のループ開口面が携帯電話機の表面に対して直交に配置された構成になっているので、使用者が携帯電話機を人体に近接させて放送電波を受信しているときでも、人体力離して放送電波を受信しているきでも、常に高

V、アンテナ性能を得ることができる。

[0012] また、本発明の携帯電話機によれば、ループアンテナ素子のループ開口面が携帯電話機の長手方向に対して平行に配置されていると共に、ループアンテナ素子が携帯電話機の表示部に対向して配置されているので、使用者が携帯電話機を用いて放送電波を視聴する状態にぉヽては、放送電波の主成分である水平偏波特性について高いアンテナ性能を得ることができる。さらに、本発明の携帯電話機によれば、電界モードアンテナ素子としてイヤホンケーブルを用いたり、ヘリカルアンテナ素子を用いたりしているので、使用者が携帯電話機を人体に近接させて使用した場合でも人体力離して使用した場合でも、偏波ダイバーシチ効果によって常に高いアンテナ性能が得られ、かつ、偏波ダイバーシチ効果が得られる。

[0013] つまり、本発明によれば、放送用受信機付きの携帯電話機を用いてテレビジョン放送を視聴している状態においては、携帯電話機が人体に近接した場合でも、人体から離れた場合でも、常に高いアンテナ性能が得られる。言い換えれば、携帯電話機が人体近傍に置かれる位置関係や携帯電話機の向きにかかわらず、常に高いアンテナ性能が得られ、安定したテレビジョン映像を受信することができる。

図面の簡単な説明

[0014] [図 1]本発明の実施の形態 1に係る携帯電話機の背面透視図

[図 2A]図 1に示す携帯電話機の一部分の背面透視図

[図 2B]図 1に示す携帯電話機の一部分の側面透視図

[図 2C]図 1に示す携帯電話機の一部分の上面透視図

[図 3]図 1に示す携帯電話機におけるイヤホンケーブルの説明図

[図 4]図 1に示す携帯電話機を用いてテレビジョン放送を視聴する状態を示す概念図 [図 5]図 1に示す携帯電話機を用いたときの各アンテナの平均利得を示す特性図 [図 6]本発明の実施の形態 2に係る携帯電話機の背面透視図

[図 7]本発明の実施の形態 3に係る携帯電話機の透視図

[図 8]図 7に示す携帯電話機を胸ポケットに入れて放送を聴いている状態を示す概念図

発明を実施するための最良の形態

[0015] 以下、図面を参照しながら、本発明における放送用受信機付き携帯電話機の実施の形態の幾つかを詳細に説明する。なお、各実施の形態で用いる図面で同一の構成要素は同一符号を付し、かつ重複する説明は省略することにする。また、以下の各実施の形態では、放送用受信機付き携帯電話機を単に携帯電話機とヽぅ。

[0016] まず、理解を容易にするために本発明における携帯無線端末の概要にっ、て説明する。本発明における携帯無線端末は、放送電波を受信する機能を有する携帯電話機であって、地上に対して水平指向特性を有し、磁界モードで動作する磁界モ一ドアンテナ素子と、地上に対して垂直指向特性を有し、電界モードで動作する電界モードアンテナ素子との 2つのアンテナを備えて、る。

[0017] そして、アンテナ切替手段が放送電波の受信状態に応じて受信信号レベルの高い方のアンテナ素子を選択する。これによつて、放送電波に対して常に高いアンテナ感度を維持することができる。具体的には、磁界モードアンテナ素子としてループアンテナ素子を用い、電界モードアンテナ素子としてイヤホンケーブルを用い、ループアンテナ素子又はイヤホンケーブルの、ずれかのうち受信信号レベルが高、方のアンテナ素子を選択してアンテナ特性の高、状態を維持して、る。

[0018] (実施の形態 1)

図 1は、本発明の実施の形態 1に係る携帯電話機の背面透視図である。また、図 2 は、図 1に示す携帯電話機におけるループアンテナ素子の説明図であり、図 2Aは携帯電話機の一部分の背面透視図、図 2Bは図 2Aの側面透視図、図 2Cは図 2Aの上面透視図である。さら〖こ、図 3は、図 1に示す携帯電話機におけるイヤホンケーブルの説明図である。

[0019] なお、図 1及び図 2にはそれぞれ座標系が示されている力以下の説明において電波の指向方向などを指定するためにこの座標系を用いるので、ここで各図における座標系の定義について説明する。図 1の場合、右手の人差指と中指と親指とをそれぞれ直角にしたとき、中指を X軸方向（図の紙裏力も紙表に向力方向）、親指を Y軸方向（図の左力右に向力方向）、人差指を Z軸方向（図の下部から上部に向かう方向）に向ける座標系が示されている。

[0020] 図 2に示されている座標系の定義も図 1と同じである。つまり、図 2Aでは、 X軸（中指）が図の紙裏力も紙表に向力方向、 Y軸 (親指）が図の左から右に向力方向、 Z 軸 (人差指）が図の下部から上部に向力方向を示している。また、図 2Bでは、 ¥軸（親指）が図の紙表力も紙裏に向力方向、 X軸（中指）が図の左力も右に向力方向、 Z軸 (人差指）が図の下部力上部に向力方向を示し、図 2Cでは、 Z軸 (人差指）が図の紙表力紙裏に向力う方向、 Y軸 (親指）が図の左力右に向力う方向、 X軸（中指）が図の下部から上部に向力う方向を示している。

[0021] 以下、図 1、図 2及び図 3を用いて本発明の実施の形態 1における携帯電話機について説明する。図 1に示すように、実施の形態 1の携帯電話機 100は、上部筐体 1及び下部筐体 2がヒンジ部 3によって回動可能なように支持された構造の折畳式携帯電話機である。上部筐体 1及び下部筐体 2は絶縁体である榭脂材料による成形品で構成されている。

[0022] 下部筐体 2のヒンジ部 3の近傍に配置されている通信アンテナ 4は、例えばヘリカルアンテナ素子で構成される携帯電話機の無線通信用アンテナである。通信アンテナ

4は給電線 5によって送受信回路 6から給電されており、送受信回路 6は携帯電話機 100の無線通信電波の送受信を行う。

[0023] ループアンテナ素子 7 (つまり、磁界モードアンテナ素子）は、テレビジョン受信用内蔵アンテナとして動作するものであり、下部筐体 2のヒンジ部 3近傍に携帯電話機の幅方向すなわち Y軸方向に沿って配置されている。なお、ループアンテナ素子 7は、整合回路 8によってテレビジョン放送周波数である 470MHzから 700MHz程度の範囲にお、てインピーダンス整合が取られて!/、る。

[0024] 高周波スィッチ (アンテナ切替手段） 9は、例えば PINダイオードや FETで構成される高周波切替回路であり、その一端には整合回路 8が接続されている。また、高周波スィッチ 9の出力端子は放送受信回路 10に入力されている。なお、放送受信回路（放送受信手段） 10はテレビジョン放送波の受信を行う受信回路である。

[0025] イヤホン 11は、使用者が耳に差し込みテレビジョンの音声を聴くためのものであり、イヤホンケーブル 12によってイヤホンコネクタ 13に接続されている。放送受信回路 1 0から出力された音声信号が音声信号線 14を介してイヤホンコネクタ 13に入力される。表示部 16は、上部筐体 1の表面すなわち X軸側 (紙面の裏側）の面に配置された液晶表示装置である。放送受信回路 10から出力された映像信号は、映像信号線 18を介してヒンジ部 3を通して上部筐体 1の内部に配置された画像処理部 17に入力され、画像処理部 17が表示部 16の画像表示の制御を行う。

[0026] イヤホンケーブル 12は、音声信号を伝送すると共にテレビジョン放送波の受信を行う外部アンテナ（つまり、電界モードアンテナ素子）としても動作する。イヤホンケープル 12によって受信されたテレビジョン放送電波はイヤホンコネクタ 13を経由して高周波スィッチ 9に入力される。

[0027] アンテナ切替制御部（アンテナ切替制御手段） 15は放送受信回路 10における受信信号強度を検出し、その受信信号レベルに応じて高周波スィッチ 9を切り替えるように動作する。例えば、ループアンテナ素子 7又はイヤホンケーブル 12のいずれかのうち、受信信号レベルが高い方のアンテナを選択するようにアンテナ切替制御部 1 5を動作させるようにすれば、常にアンテナ特性が高、方の素子を選択することができる。

[0028] 次に、図 2を用いてループアンテナ素子 7の動作について説明する。ループアンテナ素子 7は、例えば、幅方向長さ L1が 40mm、素子高さ L2が 10mm、素子幅 L3が 10mmで折り返された板厚 lmm程度の導体板で構成されている。また、ループアンテナ素子 7の給電部の間隔 L4は 5mm程度に設定される。さらに、ループアンテナ素子 7は、下部筐体 2に搭載されている回路基板 19との間隔 L5が 2mmに設定されて固定されている。

[0029] このように構成されたループアンテナ素子 7のループ開口面 7aは、携帯電話機の面、すなわち回路基板 19に対して直交することになる。回路基板 19には一般にダランドパターンが全面に配置されており、したがって、ループアンテナ素子 ₇のループ開口面 7aは携帯電話機 100のグランドパターンすなわち接地面に対して直交することになる。

[0030] また、ループアンテナ素子 7のループ開口面 7aは携帯電話機 100の幅方向（Y軸方向）に平行に配置されている。言い換えれば、携帯電話機 100の長手方向（Z軸方向）に対して直交する方向（つまり、 Y軸方向）に平行に配置されている。このように構成されることで、ループアンテナ素子 7の放射特性として、携帯電話機 100の幅方向 (Y軸方向）に平行、すなわち図 2に示す携帯電話機の配置において水平方向 (Y軸方向）の水平偏波特性が得られる。 [0031] また、ループアンテナ素子 7は、携帯電話機 100の表示部 16が配置された面に対向する面、すなわち図 2Bにおける +X軸方向の面側に配置されている。このように構成されることで、ループアンテナ素子 7の放射特性として、表示部 16が配置された面に対向する面側（つまり、図 2Bにおける +X軸方向の面）に水平偏波の高いアンテナ利得が得られる。

[0032] 次に、図 3を用いてイヤホンケーブル 12のアンテナ動作を説明する。図 3において、グランド外導体 20は、イヤホンケーブル 12の内部において、音声信号線 21をシールドするように覆う、例えば網線状の導線で構成されている。グランド外導体 20及び音声信号線 21はイヤホンケーブル 12内でイヤホン 11まで接続されて、る。

[0033] イヤホンケーブル 12の長さは、例えば 50cmから 100cm程度に設定される。この長さは、テレビジョン放送受信帯域において約 0.8波長から 2.3波長程度となる。ィャホンケーブル 12は、挿入コネクタ部 22がイヤホンコネクタ 13に挿入されることで携帯電話機 100の内部の回路に接続される。グランド外導体 20はコイル 23を介して携帯電話機 100の内部のグランド、すなわち接地電位に接続されており、これにより音声信号線 21がグランド外導体 20によって音声信号帯域である低周波帯域においてシールド遮蔽される。

[0034] 一方、グランド外導体 20は整合回路 24を介して高周波スィッチ 9に接続される。ここでコイル 23のインダクタンス値をテレビジョン放送周波数帯域においてインピーダンスが十分高くなるように設定しておく。このように構成することで、グランド外導体 20 は、電界モードによる外部アンテナとして動作し、テレビジョン放送電波を受信する。

[0035] 上記のように構成された携帯電話機 100のアンテナ動作を図 4及び図 5を用いて説明する。図 4は、図 1に示す携帯電話機を用いてテレビジョン放送を視聴する状態を示す概念図である。つまり、図 4は、使用者 25が携帯電話機 100を顔の正面において手で保持し、表示部 16を顔に向けてテレビジョン放送を視聴してヽる状態を示している。このとき、イヤホン 11は使用者 25の耳に挿入されており、イヤホンケーブル 12 は耳力携帯電話機 100まで垂らされている。

[0036] このような状態においては、ループアンテナ素子 7は人体の正面、すなわち +X軸方向に配置されており、人体の正面方向にぉ、て水平偏波の高、アンテナ利得が得られる。また、イヤホンケーブル 12はほぼ垂直方向、すなわち Z軸方向に垂らされるため、イヤホンケーブル 12内のグランド外導体 20はほぼ垂直偏波特性のアンテナとして動作する。

[0037] このように、使用者 25が携帯電話機 100を用いてテレビジョン放送を視聴している状態において、ループアンテナ素子 7とイヤホンケーブル 12は、水平偏波と垂直偏波の異なる偏波特性を有するアンテナとして動作することになり、この二つのアンテナ（つまり、ループアンテナ素子 7とイヤホンケーブル 12)を高周波スィッチ 9で選択することにより、偏波ダイバーシチの効果が得られる。一般に、市街地など反射物が多く存在する多重波伝搬環境においては、上記の偏波ダイバーシチの動作によって約 5dB〜： LOdB程度のダイバーシチ効果が得られる。

[0038] 図 5は、図 1に示す携帯電話機を用いたときの各アンテナの平均利得を示す特性図である。つまり、図 5は、図 4に示すように使用者 25が携帯電話機 100を用いてテレビジョン放送を視聴して、る状態における、ループアンテナ素子 7とイヤホンケープル 12の水平面 (XY面）の平均利得をグラフで示したものである。図 5において、横軸は、使用者 25の顔の表面と携帯電話機 100の表示部 16との間隔 d〔cm〕（図 4参照）を示し、縦軸は水平面 (XY面）の平均利得〔(1 〕を示している。つまり、図 5の特性は、使用者 25の顔の表面と携帯電話機 100の表示部 16との間隔 dを変化させた場合の水平面（XY面）の平均利得をプロットしたものである。

[0039] 図 5において、実線（図中（a) )はループアンテナ素子 7の平均利得を示し、点線（図中（b) )はイヤホンケーブル 12の平均利得を示している。図 5から明らかなように、使用者 25の顔と携帯電話機 100の表示部 16との間隔 dが約 10cm以上の範囲においては、イヤホンケーブル 12の平均利得 (b)がループアンテナ素子 7の平均利得（a )もよりも高くなる。一方、間隔 dが約 10cm以下の範囲においては、イヤホンケーブル 12の平均利得 (b)がループアンテナ素子 7の平均利得 (a)もよりも低くなる。

[0040] このような現象が発生する原因は、ループアンテナ素子 7は磁界モードアンテナ素子として動作しており、イヤホンケーブル 12が電界モードアンテナ素子として動作していることにより、使用者 25の人体力も受けるアンテナ動作への影響が異なるからである。 [0041] 磁界モードアンテナとして動作するループアンテナ素子 7は、人体との間隔 dが約 0 .2波長 (約 10cm)程度以下となる範囲においては、人体が反射体として動作すると共に人体との電磁的相互作用によって放射抵抗が高くなるため放射効率が改善する。このために、携帯電話機 100と人体との間隔 dが約 10cm以下となるような人体近傍において利得が向上する人体効果が発生する。

[0042] 一方、電界モードアンテナとして動作するイヤホンケーブル 12は、人体との間隔 d が約 0.2波長 (約 10cm)程度以上に離れた状態では高い放射効率を示すが、人体に近接した場合は人体との電磁的相互作用によって放射抵抗が低下するため放射効率が急激に劣化する。このため、携帯電話機 100が約 10cm以上人体力も離れた場合においては利得が向上する。

[0043] このようなアンテナ特性から、ループアンテナ素子 7とイヤホンケーブル 12とを適宜に選択することにより、テレビジョン放送を視聴している状態においては、携帯電話機 100が人体に近接した場合でも人体カゝら離れた場合でも常に高いアンテナ性能を得ることができる。このようなことから、ループアンテナ素子 7 (磁界モードアンテナ素子）とイヤホンケーブル 12 (電界モードアンテナ素子）のいずれか一方のみを固定的に使用する場合に比べて、いずれか一方のアンテナを選択的に使用する場合は、 3dB 力も 10dB程度の人体影響に対する切替効果が得られる。さらに、このような人体影響に対する切替効果は、上記の偏波ダイバーシチ効果をさらに高めるような効果を発揮することは言うまでもな、。

[0044] なお、実施の形態 1においては、ループアンテナ素子 7を下部筐体 2内に内蔵した力本発明の携帯電話機 100はこのような構成に限定されるものではなぐ使用状態にお、て使用者の手で覆われな、位置にループアンテナ素子 7を配置すればどのような構成であってもよ、。

[0045] また、磁界モードアンテナ素子は、ノレープアンテナ素子 7に限るものではなぐスロットアンテナ素子など磁界モードで動作するアンテナであればどのようなアンテナ素子であってもよい。

[0046] さらに、電界モードアンテナ素子は、イヤホンケーブル 12に内蔵した構成に限らず、例えばモノポールアンテナ素子などの電界モードで動作するアンテナであればよい。

[0047] また、ループアンテナ素子 7の配置方向は、実施の形態 1の方向に限らず、例えば、ループ開口面が携帯電話機 100の長手方向に平行に配置された場合には、偏波ダイバーシチの効果は低くなるが人体の影響に対する切替効果は得られるので、そのような平行配置にすることもできる。

[0048] また、放送受信用アンテナの一方又は両方を携帯電話機通信用のアンテナと共用してもよい。例えば、通信アンテナ 4を放送受信用アンテナの電界モードアンテナとして共用してもよい。また、ループアンテナ素子 7を携帯電話通信用の内蔵アンテナとして共用してちょい。

[0049] さらに、磁界モードアンテナ素子と電界モードアンテナ素子を切り替える方法としては、受信レベルに応じて切り替える方法に限らず、例えばユーザが携帯電話機 100 の操作によってマニュアルで切り替えるように構成してもよいし、イヤホンケーブル 12 をイヤホンコネクタ 13に挿入した場合にはイヤホンケーブル 12側に強制的に切り替えられるように構成してちょ、。

[0050] また、実施の形態 1においては、折畳式携帯電話機における構成例を示したが、上部筐体 1と下部筐体 2に分割されていないストレート型携帯電話機においても、磁界モードアンテナと電界モードアンテナとを適切に配置して切り替えれば、前述の実施の形態 1と同様の効果が得られることは言うまでもない。

[0051] (実施の形態 2)

図 6は、本発明の実施の形態 2に係る携帯電話機の背面透視図である。図 6に示す実施の形態 2の携帯電話機が図 1に示す実施の形態 1の携帯電話機と異なるところは、テレビジョン放送用のループアンテナ素子 7、整合回路 8、高周波スィッチ 9、放送受信回路 10、及びアンテナ切替制御部 15などを下部筐体 2から上部筐体 1へ移動させたことと、下部筐体 2の通信アンテナ 4を取り除いて、上部筐体 1にヘリカルアンテナ素子 28と整合回路 29を設けた点である。

[0052] つまり、図 6において、ループアンテナ素子 7は上部筐体 1の下端部において、表示部 16が配置される面の対向する側の面、すなわち図 6における +X軸側面に配置されている。 [0053] この実施の形態の場合も、ループアンテナ素子 7のループ開口面は携帯電話機の面に対して直交しており、かつ携帯電話機の幅方向（Y軸方向）に平行となっている。また、ヘリカルアンテナル素子 28は、ノーマルモードへリカルアンテナとして動作するコイル状の導線で構成されており、整合回路 29によってインピーダンス整合が取られて上部筐体 1内のグランドすなわち接地電位に対して不平衡給電されるように構成されている。なお、ヘリカルアンテナ素子 28の長さは例えば 5cm程度に設定されている。

[0054] このように構成されたへリカルアンテナ素子 28は電界モードアンテナ素子として動作し、その主偏波方向は垂直方向すなわち Z軸方向となる。また、このへリカルアンテナ素子 28とループアンテナ素子 7は、図 1の場合と同様に高周波スィッチ 9によつて選択して動作させるように構成されて、る。

[0055] このように構成することにより、実施の形態 1に示した場合と同様に、偏波ダイバーシチの効果と人体影響に対する切替効果とが得られ、常に最適なアンテナ特性で動作させることができる。ここで、携帯電話機の無線通信回路やアンテナを下部筐体 2 に内蔵しておけば、テレビジョン受信用アンテナとの間隔を確保することができるため、携帯電話機の送信波によるテレビジョン受信への影響などの相互干渉を低減することができる。なお、電界モードアンテナとしては、ヘリカルアンテナ素子に限らず、ミアンダ状導体素子、モノポール素子、あるいはホイップ素子などを用いてもよい。

[0056] (実施の形態 3)

図 7は、本発明の実施の形態 3に係る携帯電話機の透視図である。図 7では、折畳式携帯電話機の上部筐体 1と下部筐体 2を閉じた状態を示している。ループアンテナ素子 7は上部筐体 1のヒンジ部 3の近傍において、下部筐体 2に対向する側の面すなわち +X軸側の面に配置されている。この場合も、ループアンテナ素子 7のループ開口面は携帯電話機の面に対して直交しており、かつ携帯電話機の幅方向 (Y軸方向 )に平行となっている。

[0057] また、イヤホン 11がイヤホンケーブル 12によってイヤホンコネクタ 13に接続されており、イヤホンコネクタ 13は上部筐体 1の、例えば側面に配置されている。使用者はこのように構成された携帯電話機を閉じた状態で胸ポケットに収納する。図 8は、図 7 に示すような閉じた放送用受信機付き携帯電話機を使用者の胸ポケットに入れて放送を聴、て、る状態を示す概念図である。

[0058] 図 8において、使用者 30は、携帯電話機 100の上部筐体 1を使用者 30の正面方向（+X軸方向）へ向け、かつ携帯電話機 100の幅方向（Y軸方向）を水平に、すなわち携帯電話機 100の長手方向を垂直方向（一 Z軸方向）に向けて胸ポケット 31に収納している。そして、使用者 30はイヤホン 11を耳に挿入し、イヤホンケーブル 12は携帯電話機の位置まで垂れ下がつている。このような状態は、使用者 30が携帯電話機 100を胸ポケット 31に入れて放送波の音声のみを聴、て、る状態の代表的なものを示している。

[0059] このとき、ループアンテナ素子 7は使用者 30の正面方向すなわち +X軸方向に向いている場合、実施の形態 1で説明したような偏波ダイバーシチの効果と人体影響に対する切替効果の両方が得られることになる。仮に、携帯電話機 100の下部筐体 2を使用者 30の正面方向すなわち +X軸方向へ向けて胸ポケット 31に入れた場合においては、ループアンテナ素子 7は使用者側に向けられるためアンテナ性能が劣化する力この場合は、イヤホンケーブル 12によって一定のアンテナ性能が確保される。このように、実施の形態 3の携帯電話機 100によれば、携帯電話機 100を胸ポケット 3 1に入れる向きにかかわらず、つまり、携帯電話機 100が人体近傍に置かれる位置関係や向きに影響されることなぐ常に高いアンテナ性能を確保することができる。

[0060] 本明細書は、 2004年 8月 3日出願の特願 2004— 226657に基づくものである。この内容は全てここに含めておく。

産業上の利用可能性

[0061] 以上のように、本発明に係る放送受信器付きの携帯電話機は、テレビジョン放送を視聴して!/ヽる状態にお!ヽて、携帯電話機が人体に近接した場合や人体から離れた場合など、携帯電話機が人体近傍に置かれる位置関係や向きに関わらず常に高いアンテナ性能が得られるので、受信性能の改善を図った放送用受信機付きの携帯電話機を構築することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 放送電波を受信する放送受信機を備えた携帯電話機であって、

磁界モードで動作する磁界モードアンテナ素子と、

電界モードで動作する電界モードアンテナ素子と、

前記磁界モードアンテナ素子と前記電界モードアンテナ素子を選択的に切り替えるアンテナ切替手段と、

前記放送電波を受信する放送受信手段と、

前記放送受信手段の受信状態に応じて前記アンテナ切替手段の切替え制御を行うアンテナ切替制御手段と、を備える携帯電話機。

[2] 前記アンテナ切替制御手段は、前記受信状態を判断するために前記放送電波の受信信号レベルを用いる請求項 1に記載の携帯電話機。

[3] 前記磁界モードアンテナ素子は、ループアンテナ素子のループ開口面が携帯電話機の面に対して直交に配置されて構成されたものである請求項 1記載の携帯電話機

[4] 前記ループアンテナ素子は、前記ループ開口面が携帯電話機の長手方向に対して平行に配置されている請求項 3に記載の携帯電話機。

[5] 前記ループアンテナ素子は、携帯電話機の表示部が配置されている面に対向する面側に配置されている請求項 3記載の携帯電話機。

[6] 前記電界モードアンテナ素子は、イヤホンを接続するイヤホンケーブルによって構成されて!/、る請求項 1記載の携帯電話機。

[7] 前記電界モードアンテナ素子は、ヘリカルアンテナ素子である請求項 1記載の携帯電話機。