WO2005089588A1 - 塗布体付き容器 - Google Patents

Abstract

　　簡単な構造でありながら、しごき部に付着した汚れが容器の口元に噴出するという問題を解決することのできる塗布体付き容器であって、更に詳細には容器体と、先端に塗布体が設けられた軸体を有する蓋体とよりなる塗布体付き容器において、前記容器体口部にしごき部を、前記蓋体の軸部に環状突起を設け、更に前記軸体の環状突起の上と下に、軸体内を通じ空気を流通可能とする微小な空気流通孔を設けてなることを特徴とする塗布体付き容器。  

Description

明 細 書

塗布体付き容器

技術分野

[0001] 本発明は、塗布体付き容器に関し、更に詳細には、ペースト状リップダロス、ペース ト状口紅、マスカラ等のある程度の粘性の化粧料について、塗布体に余分に付着し た化粧料を落とすためのしごき部を有しながら、圧力変化による内容物や汚れ物の 噴出を防ぐことのできる塗布体付き容器に関する。

背景技術

[0002] 従来から、マスカラ、液状アイライナー、ペースト状口紅、ペースト状リップダロス、マ ニキユア等のメークアップ用化粧組成物は、睫毛、目周辺、口唇、爪等に付着させる 必要があるため、ある程度の高粘性を有するものが多い。そして、これらの化粧料は

、組成物が入った筒状の容器と、塗布体を有する蓋部から構成されることが多いが、 組成物の粘性が高ぐ塗布体に余分に付着することが多いため、容器の開口部近く に、しごき部を設け、余分の糸且成物を拭い落とすようにすることが多力つた。

[0003] し力しながら、このようにしごき部を設けると、容器内部と外部との間での空気の流 通が妨げられ、特に塗布体の挿入に伴う圧力変化により、しごき部に付着した組成物 が汚れとなって容器の口元に噴出すると 、う問題があった。

[0004] このような問題に対しては、しごき部の形状や材質の工夫、塗布体を取り付ける筆 軸の形状の工夫、しごき部と筆軸の間隔調整等で対応しているが、使用しやすさと汚 れ噴出の解消の両方を満足させることは困難であった。

[0005] 上記の問題を解消する手段の一つとして、しごき部（払拭部材)の両側に通気のた めの微小孔を設けることも行われている（例えば、特許文献 1参照)。

[0006] しかし、しごき部の中心から外れた部分に微小孔を開けることは、作業的に難しぐ 煩雑な工程が必要になり実用性に欠けるという問題があった。

[0007] また、筆軸を中空として、ここから空気を流通させて容器内外の圧力差をなくすこと も試みられて ヽる（例えば、特許文献 2参照)。

[0008] この特許文献 2の粘性液用容器は、筆軸を中空状として長い空気流通路を設けた ものであり、ここ力も組成物が漏出することを前提に、蓋内にこれを吸着する多孔質 体が設けられているものであった。しかし、蓋の中に多孔質体を設けることは構造的 に煩雑となると共に、最終的には、多孔質体が組成物で詰まり、空気流通路の意味 がなくなるおそれもあるものである。

[0009] 特許文献 1 :特開平 9 238741号

特許文献 2：実公昭 60— 33868号

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0010] 従って、簡単な構造でありながら、しごき部に付着した汚れが容器の口元に噴出す るという問題を解決することのできる塗布体付き容器の開発が求められていた。 課題を解決するための手段

[0011] 本発明者は、上記課題を解決すベぐ特に特許文献 2に示すような筆軸を中空状と して空気流通路を設ける容器について検討を行った。そしてその結果、この容器が 蓋の中に多孔質体を設けなければならな 、理由は、長すぎる空気流通路を有するた め、容器の内外の圧力差が大きくならないことに気づいた。すなわち、蓋を開けるとき は容器内の圧力が低下し、ー且空気流通路に流れ込んだ組成物を容器中に引き戻 す力が働くはずであるが、あまり圧力差がな ヽ場合には完全には容器中に戻らな ヽ 。そして、再度組成物が空気流通路に流れ込むと、残存した組成物は順次空気流通 路を移動することになり、最終的には多孔質体に吸収させることが必要となるのであ る。

[0012] 本発明者は、この知見に基づき、容器の蓋を開けるときに確実に空気流通路から 組成物を容器中に引き戻す機構を研究し、本発明を完成した。

[0013] すなわち本発明は、容器体と、先端に塗布体が設けられた軸体を有する蓋体とより なる塗布体付き容器において、前記容器体口部にしごき部を、前記蓋体の軸体に環 状突起を設け、更に前記軸体の環状突起の上と下に、軸体内を通じ空気を流通可 能とする微小な空気流通孔を設けてなることを特徴とする塗布体付き容器である。 発明の効果 [0014] 本発明の塗布体付き容器 1によれば、化粧組成物が容器の口元に噴出するという 問題を解消することができるので、高粘性の化粧料を充填する容器として安心して使 用することができる。

発明を実施するための最良の形態

[0015] 以下、本発明の塗布体付き容器の一態様を示す図面と共に本発明を更に詳しく説 明する。

[0016] 図 1は、本発明の塗布体付き容器（円柱状)の、蓋を閉めたときの状態を示す一部 切り欠き図であり、図 2は蓋を開けるときの状態を示す一部切り欠き図、図 3は、蓋を 閉めるときの状態を示す一部切り欠き図である。また図 4は、蓋体に取り付けられる取 り付け部と軸体を示す図面である。図中、 1は塗布体付き容器、 2は容器体、 3は蓋体 、 4は軸体、 5は塗布体、 6はしごき部、 7は環状突起、 8は空気流通孔、 9は空気流通 部、 10は取り付け部を示し、 Aは化粧料組成物を示す。

[0017] 本発明の塗布体付き容器 1の容器体 2は、細い円筒状であり、その上部の口部内 側には、しごき部 6が設けられている。また、容器体 2上端の開口部は、シールにより 、気密が維持される。

[0018] 一方、塗布体付き容器 1の蓋は、蓋体 3と、取り付け部 10を介してこれに取り付けら れた軸体 4よりなり、軸体 4の先端には塗布体 5 (図ではブラシを模式的に描 、て!/、る )が設けられている。また、軸体 4の手元側は、中空になっており、空気流通部 9を形 成する。更に、この手元側には、環状突起 7が設けられ、この上および下に前記空気 流通部 9とつながる空気流通孔 8aおよび 8bが開けられている。この空気流通孔 8aお よび 8bの間隔はなるべく短いことが好ましぐ例えば、 1一 3cm程度、特に 0. 5— lc mが望ましい。

[0019] 上記環状突起 7の下面は、蓋体を完全閉じたときに上記しごき部 6の上面と密接す るものとして、容器体 2内を気密に保ち不要な化粧組成物 Aの残存を防ぐことが好ま しい。

[0020] 本発明の塗布体付き容器 1は、使用しないときは、図 1に示すように、容器体 2の開 口部のシールにより気密が保たれている力 これを開けると図 2に示すように蓋体 3が 上昇する。そして、この上昇に伴い、軸体 4も上昇する結果、容器体 2内は減圧状態 となる。そして、この状態では、軸体 4としごき部 6の間は密接しているので、空気は環 状突起 7の上の空気流通孔 8bから空気流通部 9を通り、環状突起 7の下の空気流通 孔 8aから容器体 2内部に流れ込む。この際、空気流通部 9内に化粧組成物 Aが漏出 している場合は、これも空気と一緒に容器体 2内に戻る。

[0021] 一方、使用後に蓋を閉める場合は、図 3に示すように、塗布体 5から軸体 4が容器 体 2内に挿入されていくが、これにより容器体 2内の圧力は高まる。そして、高まった 圧力は、密封寸前にしごき部 6の下に位置する空気流通孔 8aから空気流通部 9およ び空気流通孔 8bを通り抜けてゆく。前記したように、漏出する化粧組成物 Aが空気 流通部 9にもしあつたとしても、これは蓋体を開けた時に容器体内に戻っているため、 化粧糸且成物 Aが空気流通孔 8bから空気と共に吹き出すことはない。

[0022] 本発明の塗布体付き容器 1は、（0空気流通部 9とこれにつながる空気流通孔 8a、 8 bの存在と、 GOこの空気流通孔 8aが環状突起 7の下に、空気流通孔 8bが環状突起 7 の上にあるという位置の点に特徴があるものであり、それ以外は、通常の塗布体付き 容器と同様で良い。

[0023] 例えば、塗布体 5としては、図に示したような形状のブラシに限定されるものではな ぐ球状ないしは楕円球状、断面円形ないし楕円形の円筒状 (先端部は円球状、平 面状、斜平面状等、特に制限しない)、円錐台筒状、へら状、ねじ状、くし状等の剛 体または弾性体で形成される塗布体、またはこれらに静電植毛したもの等、内容物を 塗布できるものであれば良い。材質も金属をはじめ、ナイロンゃジユラコン等のプラス チック、ポリウレタン、ポリエステル等のエラストマ一等、何れのものも使用できる。また 、容器体 2としても、円柱のみならず、四角柱等の多角柱であっても良ぐ材質も、透 明ないし半透明のガラス、プラスチック等であっても良ぐ金属等の不透明なものであ つても良い。更に、しごき部 6も、図に示すような、開口部のシールと一体ィ匕した部材 で形成されたものに限らず、容器と一体ィ匕して形成されたものであっても、また、リン グ状部材を挿入したものであっても良 、。

[0024] 次に、本発明の塗布体付き容器の別の態様を図 6に示す。 6はしごき部、 7は環状 突起、 8は空気流通孔、 9は空気流通部、 11は摺動開始部、 12は摺動部、 13は容 器体口部、 14は空間をそれぞれ示す。 [0025] 図 6の実施態様においては、環状突起 7の径を摺動部 12内径よりも大きくし、摺動 部 12に弾力性をもたせることで、環状突起 7および摺動部 12がより一層密接し、よつ て開口部のシール機能はより強化されている。また、空気流通孔 8aの位置を、環状 突起 7が摺動開始部 11に接したときにしごき部 6のシールを外れるようにしたことで、 シール機能および、軸体 4に付着した化粧料組成物 Aの押し込み機能が強化されて いる。

[0026] 図 6の環状突起 7の径は、摺動部 12内径よりも大きくなつている力 環状突起 7の摺 動そのものを妨げるほどのものではない。そして、環状突起 7の摺動に応じて摺動部 12が適宜に橈むことにより、環状突起 7は摺動部 12に確実に密接した状態で摺動 することが可能になる。この摺動部 12の橈みは、例えば本実施態様のように、摺動部 12の裏側すなわち外周部を抜き、摺動部 12の肉厚を薄くして、好ましくは容器体口 部 13 (片側だけ図示)の内側と摺動部 12の外側との間に空間 14を設けて弾性力を 増加させ、更に摺動部 12の材質をゴムなどの弾力性を有する材質にすることにより 可能となる。

[0027] この実施態様での各部分の作用を、図 5により、より詳しく説明する。図 5中、 aない し cは、本発明の塗布体付き容器（円柱状)の、蓋を閉めたときの状態力ゝら蓋を外すま での一連の状態を示す一部切り欠き図であり、図 5中、 dないし gは、蓋を開けた状態 から蓋を閉めるまでの一連の状態を示す一部切り欠き図である。

[0028] 空気流通孔 8aは、図 6に示すように、環状突起 7が摺動開始部 11に当接したときに しごき部 6のシールを外れる位置に形成されている。すなわち、図 5dに示すように、 蓋体 3を容器体 2に収納する作業において、ちょうど、環状突起 7が摺動開始部 11に 当接する位置まで押し下げられた時点で、空気流通孔 8aがしごき部 6のシールを外 れて、容器体 2内に位置する部分に形成されている。ここで、蓋体の開閉による容器 内と外部との間で圧力差をより大きなものとするためにも、空気流通部 9の距離、すな わち、空気流通孔 8aと空気流通孔 8bとの間隔はなるべく短い方が望ましいのは既に 述べたとおりである力 以下の理由により当該位置であることがより好ましい。

[0029] すなわち、使用後に蓋を閉める場合は、塗布体 5から軸体 4が容器体 2内に挿入さ れていくが、この際軸体 4としごき部 6の間がシールされるため、これにより容器体 2内 の圧力は徐々に高まる。そして、軸体 4に付着していた化粧料組成物 Aは、しごき部 6のシールにより、摺動部 12内に蓄積される。

[0030] そして、更に、軸体 4の容器体 2内への挿入を、環状突起 7が摺動開始部 11に当 接する位置まで進めた時点で（図 5d参照）、空気流通孔 8aがしごき部 6のシールを 外れるため、加圧状態となっていた容器体 2内の空気力 空気流通孔 8aから空気流 通部 9および空気流通孔 8bを経て外部へと通り抜けてゆく。ここにいたって、容器体 2内は空気流通部 9により外部と通じるために、以降、軸体 4の容器体 2内への挿入 を進めて、蓋体 3により容器体 2を完全に密閉するまで、容器体 2の空気圧は常圧に 保たれる。

[0031] 一方で、軸体 4の容器体 2内への挿入を、図 5dから図 5gに示すように、環状突起 7 が摺動開始部 11から摺動部 12を移動し、しごき部 6に当接する位置まで進める過程 で、環状突起 7およびしごき部 6のシールにより、環状突起 7およびしごき部 6の間の 空間は常圧から加圧状態に変化する。そして、上述のとおり、環状突起 7と摺動部 12 との密接度、すなわちシールはより強化されているので、加圧された空気は、当該空 間に蓄積されている化粧料組成物 Aとともに、常圧状態の容器体 2内へと押し込まれ ることになる。

[0032] 以上の通り、本実施態様においては、空気流通孔 8aを、環状突起 7が摺動開始部 11に当接したときにしごき部 6のシールを外れる位置に形成したことにより、環状突 起 7による摺動をスムーズにするとともに、容器体 2内への化粧料組成物 Aの押し込 み機能が強化されている。

[0033] 更に、本実施態様においては、空気流通孔 8aを通じて空気流通部 9内へ漏出する 化粧組成物 Aの量をより減少させるために、空気流通孔 8aの径を、空気流通孔 8bの 径と同じかまたはそれよりも小さくすることが好ましぐ例えば、空気流通孔 8bの直径 を 0. 8—1. Omm程度にした場合、空気流通孔 8aの直径を 0. 5mm— 0. 8mm程 度にするのが望ましい。

[0034] また、本実施例においては、軸体 4の強度を確保するために、軸体の太さ、とりわけ 、空気流通孔が形成されている部分を中心に太くし、また軸形状もくびれを少なくす ることで、強度の確保を図っている。 [0035] 本発明の塗布体付き容器 1は、粘性のある種々の溶液の容器として使用できるが、 特に高粘性の化粧料、例えば、マスカラ、液状アイライナー、ペースト状口紅、ペース ト状リップダロス、マ-キュア等のメークアップ化粧料として有利に利用することができ る。

[0036] 本発明は、短い距離の空気流通部を設けることにより、しごき部に付着した組成物 が汚れとなって容器の口元に噴出するという問題を解消したものである。すなわち、 蓋体の開閉により、容器内と外部との間で圧力差が生じるが、同じ体積変化であって も短い空気流通部を設けているために、ここでの圧力変化は相対的に大きくなり、保 存中に漏出したィ匕粧組成物を確実に容器内に戻す圧力を得ることができるのである

[0037] また、このように容器内外の圧力差を解消する流路 (空気流通孔 8a—空気流通部 9 一空気流通孔 8b)を持って 、るために、軸体およびしごき部の隙間から化粧組成物 が噴出することはない。

[0038] これに対し、空気流通部が長い場合は、一定の体積変化に対する圧力変化が小さ いため、保存中に漏出したィ匕粧組成物を完全に戻すことは困難であり、これに対する 何らかの対応が必要となる。

図面の簡単な説明

[0039] [図 1]本発明の塗布体付き容器の、蓋を閉めた状態を示す一部切り欠き図。

[図 2]本発明の塗布体付き容器の、蓋を開けるときの状態を示す一部切り欠き図。

[図 3]本発明の塗布体付き容器の、蓋を閉めるときの状態を示す一部切り欠き図。

[図 4]蓋体に取り付けられる取り付け部と軸体を示す図面。

[図 5]本発明の塗布体付き容器の、蓋を閉めたときの状態力も蓋を外すまでの

一連の状態を示す図。

[図 6]本発明の塗布体付き容器の、環状突起が摺動開始部に当接したときの状

態を示す一部切り欠き図。

符号の説明

[0040] 1……塗布体付き容器

2……容器体 3……蓋体

4 軸体

5……塗布体

6……しごきき

7……環状突起

8……空気流通孔

9……空気流通部

0……取り付け部

1……摺動開始部

2……摺動部

3……容器体口部

4……空間

A……化粧料組成物

以 上

Claims

請求の範囲

[1] 容器体と、先端に塗布体が設けられた軸体を有する蓋体とよりなる塗布体付き容器 において、前記容器体口部の内側にしごき部を、前記蓋体の軸部に環状突起を設 け、更に前記軸体の環状突起の上と下に、軸体内を通じ空気を流通可能とする微小 な空気流通孔を設けてなることを特徴とする塗布体付き容器。

[2] 環状突起が、蓋体を完全に閉じたときに前記しごき部と密接するものである請求項 第 1項記載の塗布体付き容器。

[3] 軸体の環状突起の下部が逆円錐台形状であることを特徴とする請求項第 1項また は第 2項記載の塗布体付き容器。

[4] しごき部上部壁面に弾性を有する摺動部を設けたことを特徴とする請求項第 1項な

V、し第 3項の何れかに記載の塗布体付き容器。

[5] 摺動部の裏側を抜いて肉厚を薄くし、容器体口部の内側と摺動部の外側との間に 空間を設けたことを特徴とする請求項 4記載の塗布体付き容器。

[6] 環状突起の下に形成された空気流通孔が、環状突起が摺動開始部に当接する位 置まで押し下げられた時点でしごき部のシールを外れて容器体内に位置するように 設けられたことを特徴とする請求項第 1項ないし第 5項の何れかに記載の塗布体付き 谷器。

[7] 環状突起の下に形成された空気流通孔の径を、環状突起の上に形成された空気 流通孔の径と同じ力またはそれよりも小さくしたことを特徴とする請求項第 1項ないし 第 6項の何れかに記載の塗布体付き容器。