WO2005085330A1

WO2005085330A1 - 光屈曲性液晶成形体

Info

Publication number: WO2005085330A1
Application number: PCT/JP2004/002607
Authority: WO
Inventors: Tomiki Ikeda; Makoto Nakano; Yanlei Yu
Original assignee: The Circle For The Promotion Of Science And Engineering
Priority date: 2004-03-03
Filing date: 2004-03-03
Publication date: 2005-09-15

Abstract

本発明は、光の入射方向を変えることにより任意の方向に光屈曲−復元応答を行いうる光屈曲性液晶成形体（フィルム等）を提供する。本発明の光屈曲性液晶成形体は、光照射に応じて光屈曲−復元応答を示し、かつポリドメイン構造を有する。この光屈曲性液晶成形体は、光を照射して、該光屈曲性液晶成形体に光屈曲−復元応答させることができるので、プラスチックモーター、光学素子、表示素子、スイッチング素子、記憶素子、玩具等に利用できる。

Description

光屈曲性液晶成形体

技術分野

本発明は光屈曲性液晶成形体の光屈曲一復元（すなわち光屈伸）応答方法に関する。

明背景技術田

液晶は液体の流動性と結晶の配向性書を兼ね備えた物質であり、液晶ディスプレイとして広く用いられており、さらには高速光スィッチング、光記録、ホログラフィ一等のフォトニクス材料としての用途への期待も大きい。本発明者らは、先般、光照射に応じて光屈曲一復元応答を示す光屈曲性液晶フィルムを提案した（特開平 2 0 0 2 - 2 5 6 0 3 1号公報； Adv. Mat er . 2003 , 15 , No. 3 , February 5) 。この光屈曲性液晶フィルムは、 6— [4— ( 4—へキシルォキシフエニルァゾ）フエノキシ]へキシルァクリレートをァゾベンゼン含有モノマーとして、そして 4，4' 一ビス [6— (ァクリロイルォキシ）へキシルォキシ]ァゾベンゼンを架橋性モノマーとして用いて共重合させ、ついでフィルム形成時にラビング処理して得られる 1軸配向（すなわちモノドメイン）液晶フィルムである。そして、この配向フィルムは、トルエンに浸漬し、膨潤状態としても複屈折性および 1軸配向性を有しており、波長 3 6 0 n mの紫外光を照射すると配向方向と直角方向に屈曲し、ついで 4 5 0 n mの可視光を照射すると元の状態に復元する。この液晶フィルムは電界ではなく、光で駆動しうるという点に特徴を有するが、光屈曲一復元の方向は限られる。そこで、本発明者は、任意の方向に光屈曲しうる液晶フィルムならびにそれを用いる光屈曲一復元方法を見出すべく検討し、意外にも、液晶成形体において必須であると考えられているフィルム形成時の配向処理を行わないで、すなわちモノドメイン構造ではなくポリドメイン構造で用いても、光屈曲性は保持され、しかも光の入射方向を変えることにより任意の方向に光屈曲一復元応答を行いうることを見出し、本発明に到達した。発明の開示

すなわち、本発明は、光照射に応じて光屈曲一復元応答を示し、かつポリドメイン構造を有する光屈曲性液晶フィルム等の光屈曲性液晶成形体、ならびに光照射に応じて光屈曲一復元応答を示し、かつポリドメイン構造を有する光屈曲性液晶成形体に光を照射して、該光屈曲性液晶成形体に光屈曲一復元応答させることを特徴とする光屈曲性液晶成形体の光屈曲一復元応答方法、を提供するものである。図面の簡単な説明

図 1 ( a ) および 1 ( b ) は、本発明の光屈曲性液晶フィルムの光屈曲応答を示す図である。発明を実施するための最良の形態

まず、本発明に係る光屈曲性液晶成形体は、光照射に応じて光屈曲一復元応答を示し、かつポリドメイン構造を有する。成形体の形態としてはフィルム、シート等が挙げられるが、以下フィルムについて説明する。本発明において、光屈曲一復元応答は、光の照射方向を選ぶことにより任意の方向に光屈曲し、復元しうる。すなわち、第 1 の特定波長を有する光が照射されると、液晶フィルムは屈曲し、その照射が停止されてもその屈曲を維持し、ついで第 2の特定波長を有する光が照射されると、液晶フィルムは元の形態に復元されうる。この第 1 もしくは第 2 の特定波長は光異性化を誘起させるものであり、光屈曲性液晶フィルムの種類により変動する。たとえばトランス一シス光異性化しうる構造を有する場合には、第 1の特定波長はトランス体の有する吸収帯に属する波長であり、一方第 2 の特定波長はシス体の有する吸収帯であり、トランス体の吸収帯に重ならない波長である。たとえば、光屈曲性液晶フィルムがァゾべンゼン構造のトランスーシス光異性化しうる場合には、ァゾベンゼン骨格に結合している置換基にもよるが、第 1 の特定波長は 3 0 0 〜 4 0 0 n m程度であり、第 2の特定波長は 5 0 0 〜 6 5 0 n m程度である。

照射光としては偏光もしくは非偏光が使用されるが、明瞭な応答性の観点からは、たとえば屈曲に際しては偏光、そして復元の際には非偏光が好適に使用される。すなわち、本発明の光屈曲性液晶フイルムは、偏光照射に応じて偏光方向に対応する方向に光屈曲応答、そして非偏光照射に応じて復元応答、を示すものが好適である。光の照射量は特に制限されないが、屈曲に際しては、通常 1 〜 1 0 O m J/ c m ² 、そして復元の際には通常 1 0 〜 1 0 0 O m J/ c m ² から選ばれる。

このような光屈曲性液晶フィルムは、可逆的な光異性化しうる基を有する単官能重合性モノマー、および該単官能重合性モノマーと共重合しうる多官能重合性モノマーから得られる共重合体からなり、配向処理されていない点に特徴を有する。

単官能重合性モノマーとしては、トランスーシス光異性化もしくは開環-閉環光異性化しうる基を有するものが挙げられる。トランス一シス光異性化しうる基を有する単官能重合性モノマーとしては、たとえばァゾベンゼン構造もしくはスチルペン構造等を有するものが挙げられるが、ァゾベンゼン構造を有するものがトランスおよびシス体の吸収波長が離れており、かつ異性化による分子形状の変化が大きい点から好適である。そして、開環-閉環光異性化しうる基を有するもの単官能重合性モノマーとしては、たとえばスピロピラン構造もしくはジァリル構造等を有するものが挙げられる。

この単官能重合性モノマーは、多官能重合性モノマーと共重合して得られる共重合体において適切な光屈曲一復元応答を示すために、単官能重合性モノマー（たとえば上記のァゾベンゼン含有モノマ一）によってある程度の大きさの長鎖ポリマーセグメントが形成され、この長鎖ポリマーセグメントが多官能重合性モノマーにより適宜の密度で架橋された架橋構造が形成される。

一方、多官能重合性モノマーとしては、 2官能もしくは 3官能以上の（メタ）アクリル酸エステル類、等が挙げられ。そして、この多官能重合性モノマーは可逆的な光異性化しうる基を有する単官能重合性モノマーと同一の可逆的な光異性化しうる基を有していてもよい。

好適には、 .たとえば、次の式（ 1 ) で示される 6— [4一（4—へキシルォキシフエニルァゾ）フエノキシ]へキシルアタリレート

( 1 )

が単官能重合性モノマーとして、そして次の式（ 2 ) で示される 4， 4' 一ビス [6— （アタリロイルォキシ）へキシルォキシ]ァゾベンゼン

が多官能重合性モノマーとして、使用される。

これらの単官能重合性モノマーおよび多官能重合性モノマーの量比は、通常 9 5〜 7 0 モル。/。： 5〜 3 0 モル％、好適には 9 0〜 7 5 モノレ％： 1 0〜 2 5モル⁰ /₀から選択される。

重合法自体は従来用いられている共重合法によることができ、たとえば、ラビング処理を行なう点を除いて、上記の特開平 2 0 0 2 - 2 5 6 0 3 1号公報に記載された方法と同様な方法によることができる。すなわち、注型重合法により共重合と同時にフィルム等の成形体を形成するのが好適である。重合は熱重合もしくは光重合によるのが好適であり、熱重合はたとえば重合開始剤 1 〜 1 0 w t % を用いて、空気中、常圧で溶媒なしで 5 0〜 1 2 0 °Cに加熱して行われる。光重合はこのような熱重合において光を照射して行われるフィルムの厚みは目的により適宜選定しうるが、通常 1〜 5 0 μ m程度である。

上記のように、本発明の光屈曲性液晶フィルムはポリドメイン構造を有するが、明瞭な応答性の観点から好適にはポリドメイン構造のドメインサイズは、 5 0 11 111〜 1 0 111でぁる。このポリドメィン構造により、本発明の光屈曲性液晶フィルムは、たとえば種々の配向方向のァゾベンゼン分子を有しており、トルエン、クロ口ホルム、酢酸ェチル等の膨潤用液体により膨潤させて、または空気中で、たとえば 8 0 °C以上に加熱して、たとえば波長 3 6 0 n mの直線偏光を照射すると偏光方向と平行に配向したァゾベンゼン分子のドメインが選択的に光を吸収し、トランス体よりシス体に異性化する

。これにより、体積収縮し、偏光方向に屈曲する。図 1 ( a ) および図 1 ( b ) は本発明の光屈曲性液晶フィルムの光屈曲応答を模式的に示すものであり、 1 は直線偏光を示し、 2はァゾベンゼン分子の配向方向を示す。光屈曲性液晶フィルムは直線偏光の照射によりトランス体よりシス体に光異性化され偏光方向に対応する方向に光屈曲応答する。そして、可視光を照射するとシス体よりトランス体に光異性化され、復元応答する。

本発明の光屈曲性液晶成形体は、上記のような光屈曲一復元応答特性を有するので、種々の用途に用いることができる。たとえば、プラスチックモーター、光学素子、表示素子、スイツチング素子、記憶素子、玩具、等に利用しうる。

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は' これらの実施例に限定されない。

実施例 1

( 1 ) 6 - [4 - ( 4一へキシルォキシフエニルァゾ）フエノキシ ]へキシルァクリレート（単官能重合性モノマー）はたとえば次のような方法で得られる。 4 一二トロフエノール、 1 一ブロモへキサン、および炭酸力リゥムを反応させて 4 _へキシルォキシ二ト口べンゼンを合成し、得られた反応生成物に水素化ホウ素ナトリウムを添加してパラジウム触媒の存在下に反応させることにより 4 一へキシルォキシァ二リンを得る。ついで、得られた反応生成物の塩化水素溶液に亜硝酸ナトリゥムを添加して反応させ、さらに水酸化ナトリゥム水溶液にフェノールを添加した溶液を添加して反応させることにより 4' —ヒドロキシ一 4 一へキシルォキシァゾベンゼンを得る。得られた反応生成物、 6—クロ口へキサノールおよび炭酸カリゥムをジメチルホルムアミドに溶解して加熱することにより、 4' 一 ( 6—ヒドロキシへキシノレオキシ）一 4 —へキシノレォキシァゾべンゼンを得る。ついで、得られた反応生成物にトリェチルァミンおよび無水テトラヒドロフランを添加し、さらにヒドロキノンを添加し、希釈されたアクリル酸クロライドを滴下して反応させることにより目的とする 6— [4一（4—へキシルォキシフエニルァゾ）フエノキシ]へキシルァクリレートを得ることができる。

( 2 ) 4 , 4 ' 一ビス [6— (ァクリロイルォキシ) へキシルォキシ]ァゾベンゼン（多官能重合性モノマー）はたとえば次のような方法で得られる。 4 —ニトロフエノール、 1 一クロ口へキサノール、および炭酸カリウムを反応させて 4 一（一ヒドロキシへキシルォキシ）ニトロベンゼンを合成し、得られた反応生成物に水素化ホウ素ナトリウムを添加してパラジゥム触媒の存在下に反応させることにより 4— ( 6—ヒドロキシへキシルォキシ）ァニリンを得る。ついで、得られた反応生成物の塩化水素溶液に亜硝酸ナトリウムを添加して反応させ、さらに水酸化ナトリゥム水溶液にフノ一ルを添加した溶液を添加して反応させることにより 4，一ヒドロキシ一 4 - ( 6—ヒドロキンへキシルォキシ）ァゾベンゼンを得る。得られた反応生成物、 6—クロ口へキサノールおよび炭酸カリゥムをジメチルホルムアミドに溶解して加熱することにより、 4，一（ 6—ヒドロキシへキシルォキシ）一 4 一へキシルォキシァゾベンゼンを得る。ついで、得られた反応生成物にトリェチルァミンおよび無水テトラヒドロフランを添加し、さらにヒドロキノンを添加し、希釈されたアクリル酸クロライドを滴下して反応させることにより目的とする 4，4' —ビス [6— （ァクリロイルォキシ）へキシルォキシ]ァゾベンゼンを得ることができる。

( 3 ) 上記の 6— [4— ( 4一へキシルォキシフエニルァゾ）フエノキシ]へキシルアタリレート（単官能重合性モノマー）および 4 , 4 ，一ビス [6_ (アタリ口イノレオキシ）へキシノレオキシ]ァゾベンゼン（多官能重合性モノマー）を用いて、液晶性フィルムを調製した。すなわち、単官能重合性モノマー 9 0モル％、多官能重合性モノマー 2 0モル⁰ /oからなるモノマー成分合計量に対して 2モル⁰ /₀の割合の光重合開始剤（「 I r g a c u r e 7 8 4」（チパ · スぺシャリティ ' ケミカルズ製））を混合した。ついで、この混合物を 1 0 0 °Cに加熱して等方相にし、 2枚のガラス基板の間にシリカビーズを入れて約 1 0 μ mの間隙を形成して得られたセル内に、上記混合物を充填し、 0 . 5 °C/分で徐冷して 8 5 °Cにし、 5 0 0 Wの超高圧水銀灯の 5 4 0 n m以上の光を 2時間照射して重合した。その後、重合反応物をセルから取り出し、さらにクロ口ホルムで洗浄して未反応モノマーを除去した。得られた液晶フィルムは各ドメインにおいてはァゾベンゼン分子は 1方向に配向しているが、各ドメインの配向はランダムであり、ポリドメイン構造どなっていた。

( 4 ) 得られた液晶フィルム（ 4 . 5 m m X 3 m m X 7 ) を 8 5 °Cのホットプレート上に置き、 3 6 6 n mの直線偏光をフィルム上部から垂直に 3 mW/ c m ² の光強度で照射したところ、偏光方向と同方向に 1 0秒で 2つに折りたたまれるように屈曲した。ついで、 5 4 7 n mの可視光を同様に、 2 5 m W/ c m ² の光強度で照射したところ、 1 0秒で元の平らな状態を回復した。産業上の利用の可能性

本発明の光屈曲性液晶成形体は、その光屈曲一復元応答特性を利用して、たとえば、プラスチックモーター、光学素子、表示素子、スイッチング素子、記憶素子、玩具等、種々の用途に用いることができる。

Claims

1 . 光照射に応じて光屈曲一復元応答を示し、かつポリドメイン構造を有する光屈曲性液晶成形体。

2 . 光屈曲性液晶成形体が可逆的な光異性化しうる基を有する単官能重合性モノマー、および該単官能重合性モノマーと共重合しう請

る多官能重合性モノマーから得られる共重合体からなり、配向処理されていない請求項 1記載の光屈曲性液晶成形体。

3 . 単官能重合性モノマーが、のトランス一シス光異性化もしくは開環-閉環光異性化しうる基を有する請求項 2記載の光屈曲性液晶成形体。囲

4 . 単官能重合性モノマーがァゾベンゼン構造を有する請求項 1 〜 3のいずれか記載の光屈曲性液晶成形体。

5 . 多官能重合性モノマーが 2官能もしくは 3官能以上の（メタ ) ァクリル酸エステル類である請求項 2記載の光屈曲性液晶成形体

6 . 多官能重合性モノマーが、可逆的な光異性化しうる基を有する単官能重合性モノマーと同一の、可逆的な光異性化しうる基を有する請求項 5記載の光屈曲性液晶成形体。

7 . ポリドメイン構造のドメインサイズが 5 O n m〜 1 0 /z mである請求項 1記載の光屈曲性液晶成形体。

8 . 偏光照射に応じて光屈曲応答、そして非偏光照射に応じて復元応答、を示す請求項 1記載の光屈曲性液晶成形体。

9 . 照射する偏光が直線偏光である請求項 8記載の光屈曲性液晶成形体。

1 0 . 照射する偏光の方向に応じて屈曲方向を任意に調節しうる請求項 8記載の光屈曲性液晶成形体。

1 1 . 光照射に応じて光屈曲一復元応答を示し、かつポリドメイン構造を有する光屈曲性液晶成形体に光を照射して、該光屈曲性液晶成形体に光屈曲一復元応答させることを特徴とする光屈曲性液晶成形体の光屈曲一復元応答方法。

1 2 . 光屈曲性液晶成形体がァゾベンゼン構造を有する単官能重合性モノマー、および該単官能重合性モノマーと共重合しうる多官能重合性モノマーから得られる共重合体からなり、配向処理されていない請求項 1 1記載の光屈曲一復元応答方法。

1 3 . 偏光を照射して光屈曲応答させ、そして非偏光を照射して復元応答させる請求項 1 1記載の光屈曲性液晶成形体。

1 4 . ポリドメイン構造のドメインサイズが 5 Ο η π！〜 1 0 / m である請求項 1 1記載の光屈曲一復元応答方法。

1 5 . 照射する光の方向に応じて屈曲方向を任意に調節しうる請求項 1 1記載の光屈曲一復元応答方法。