明 細 書
無線ローカルエリアネットワークにおける無線通信装置及び無線通信方 法
技術分野
[0001] 本発明は、一般的には、無線通信装置に関し、特に、無線の混雑状況を監視する 無線環境監視技術に関する。
背景技術
[0002] 近年、無線 LAN (local area network)等の無線通信分野では、 ISM (
industrial, scientific and medical applications)バンドと呼ぶ周波数帯域を使用する無 線通信方式の利用が増大している。
[0003] ISMバンドは、各種の電子機器や、近距離通信にも使用されている周波数帯域で ある。このため、 ISMバンドのような特定の周波数帯域を使用する無線通信が増大し てくると、無線の干渉による無線通信環境の悪化が問題になる。即ち、無線通信装置 間での無線通信環境において、使用周波数帯域での無線の混雑が影響して、無線 通信のスループットが低下するような事態を招く。
[0004] 一般のユーザは、無線通信装置や無線通信機能を備えた PDA (personal digital assistant)等の情報端末を操作するときに、無線の混雑を要因として無線通信のスル 一プットが低下しても、その要因を理解することは困難である。これは、無線の混雑状 況を把握することが困難であり、これ以外に無線機器の故障や設置場所などの要因 も考えられるためである。
[0005] 従って、一般のユーザが操作する無線機器等においては、使用周波数帯域での 無線の混雑状況を表示する機能があれば、非常に有用である。従来では、電波の受 信状況を表示する機能を備えた無線通信システムが提案されてレ、る(例えば、 日本 国特許公開公報 9-102766を参照)。
[0006] 一般のユーザには、電波の受信状況を表示するだけでは、自身が操作する機器の 周辺における無線の混雑状況を判断することは困難である。
発明の開示
[0007] 本発明の観点は、無線通信の混雑状況を表示できる機能を備えた無線通信装置 を提供することにある。
[0008] 本発明の観点に従った無線通信装置は、電波の受信を行なう受信ユニットと、前記 受信手段での受信強度を測定する測定ユニットと、前記測定ユニットにより測定され た受信強度に基づいて無線通信の混雑状況を段階的に評価する評定レベルを決定 する監視ユニットと、前記監視ユニットにより決定された評定レベルに対応する表示 処理を実行する表示処理ユニットとを備えたものである。
図面の簡単な説明
[0009] [図 1]本発明の実施形態に関する無線通信装置の要部を示すブロック図。
[図 2]本実施形態に関する表示処理結果を説明するための図。
[図 3]本実施形態に関する電波の受信強度特性を説明するための図。
[図 4]本実施形態に関する無線環境監視ユニットの処理を説明するための図。
[図 5]本実施形態に関する環境評定レベルの決定処理を説明するための図。
[図 6]本実施形態に関する無線環境監視の処理手順を説明するためのフローチヤ一 卜。
[図 7]他の実施形態に関する無線通信装置の要部を示すブロック図。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
[0011] (無線通信装置の構成)
図 1は本実施形態に関する無線通信装置の要部を示すブロック図である。
[0012] 本無線通信装置は、例えば無線 LANによる無線通信環境下で、他の無線通信機 器との無線通信を行なうものであり、例えば PDAに組み込まれる無線通信デバイス である。
[0013] 本無線通信装置は、図 1に示すように、電波の送受信を行なうためのアンテナ 10と 、無線ユニット 11と、ベースバンド処理ユニット 12と、システム制御ユニット 13と、無線 環境監視ユニット 14と、 LED (light emitting diode)力もなる表示器(以下 LEDと表記 する) 16を駆動制御する LED制御ユニット 15とを有する。
[0014] 無線ユニット 11は、いわゆる RF (radio frequency)処理ユニットであり、送受信される
電波を処理するための回路である。無線ユニット 11は、アンテナ 10で受信された電 波の受信強度を測定するための RSSI(received signal strength indicator)回路を含 む。
[0015] ベースバンド処理ユニット 12は、送受信される電波信号のデジタル処理 (変調ゃ復 調など)を行なう回路である。システム制御ユニット 13は、マイクロプロセッサ(CPU) やメモリなどを含み、装置全体の制御を実行する。
[0016] 無線環境監視ユニット 14は、後述するように、装置の使用周波数帯域の無線の混 雑状況を監視するための要素である。具体的には、無線環境監視ユニット 14は、マ イク口プロセッサ(CPU)やメモリを含み、無線環境監視用のアプリケーション'プログ ラムから構成される。なお、無線環境監視ユニット 14は、システム制御ユニット 13に 含まれる CPUが無線環境監視用のアプリケーション 'プログラムを実行する構成でも よい。
[0017] LED制御ユニット 15及び LED16は、本装置の表示装置であり、システム制御ュニ ット 13の制御下で、無線環境監視ユニット 14から出力される監視結果(図 2を参照) に従った表示動作を実行する。
[0018] (無線環境監視の動作)
以下主として図 6のフローチャートを参照して、本実施形態に関する無線環境監視 の処理手順を説明する。
[0019] 無線環境監視ユニット 14は、他の無線通信装置との接続状態とは無関係に、タイ マを使用して定期的 (指定の期間ごと)に監視処理を実行する。無線環境監視ュニッ ト 14は、定期的に起動されるタイマのタイムアップに応じて、監視処理(無線の混雑 状況の測定)を開始する(ステップ S1の YES)。
[0020] 無線環境監視ユニット 14は、ベースバンド処理ユニット 12を介して無線ユニット 11 により、周辺における使用周波数帯域の走查を行なう(ステップ S2)。実際では、使 用周波数帯域より少し広い帯域を走查する。無線ユニット 11は、アンテナ 10で受信 された電波の受信強度を測定するための RSSI回路を含み、周波数帯域に対応する 受信強度を示す情報を出力する。
[0021] 無線環境監視ユニット 14は、無線ユニット 11からベースバンド処理ユニット 12を介
して、概念的には図 3に示すような情報を取得する。図 3は、横軸が周波数で、縦軸 が受信強度を示す電波受信特性図である。
[0022] 無線環境監視ユニット 14は、取得した情報から、概念的には図 4に示すように、周 波数帯域に対応する受信強度を、数段階 (ここでは基準強度レベルを 1とする 5段階 )の受信強度レベルで示す情報を生成する。基準強度レベル 1は、雑音レベルに相 当し、この強度レベルを超える場合に、周辺の無線による干渉の影響を受ける可能 性を示す閾値として設定される。従って、受信強度レベル 2— 5は、無線による干渉 の影響を受ける程度を示すものである。
[0023] 次に、無線環境監視ユニット 14は、図 4に示す情報から、使用周波数帯域 Fa— Fb に対応する無線の混雑状況を測定して、その程度を評価するための環境評定レべ ノレ(ここでは 0 5の 6段階とする)を決定する処理を実行する(ステップ S3, S4, S6)
[0024] まず、無線環境監視ユニット 14は、使用周波数帯域 Fa— Fbでの受信強度レベル が基準強度レベル 1以下であれば、図 5に示すように、環境評定レベルを 0と設定す る(ステップ S3の YES, S6)。環境評定レベル 0は、図 2に示すように、無線環境にお ける無線の混雑がなレ、状況であることを示す。
[0025] 一方、無線環境監視ユニット 14は、使用周波数帯域 Fa— Fbでの受信強度レベル が基準強度レベル 1を超えるレベルの場合には、当該受信強度レベルに従って、環 境評定レベルを設定する(ステップ S3の NO, S4)。具体的には、図 5に示すように、 基準強度レベル 1を超えて受信強度レベル 2までは、環境評定レベルを 1に設定する 。同様に、受信強度レベル 2を超える範囲に応じて、環境評定レベルを 2から 5の段 階に設定する。
[0026] 無線環境監視ユニット 14は、決定した環境評定レベルを示す情報に基づレ、て、シ ステム制御ユニット 13を介して、 LED16に対する表示処理を実行させる(ステップ S 5)。
[0027] LED16は、システム制御ユニット 13及び LED制御ユニット 15の制御により、図 2に 示すように、環境評定レベル (0 5)に対応する表示動作を実行する。具体的には、 環境評定レベルが 0であれば、 LED 16は表示しなレ、。一方、環境評定レベルが 1か
ら 5の段階に応じて、 LED16は、例えば表示色を「緑」、「青」、「紫」、「橙」、「赤」に 変化するような表示動作を行なう。また、 LED16は、表示色は一色(例えば緑)で、 環境評定レベルが 1から 5の段階に応じて、点滅間隔を変化させる。
[0028] 本実施形態では、環境評定レベルが 1から 5の段階で、レベル値が大きくなるほど、 無線の混雑状況の程度が大きくなることを意味する。従って、例えば環境評定レベル 力 の段階では、無線の干渉による影響が大きぐ無線通信のスループットが顕著に 低下する。
[0029] 以上のように本実施形態の無線環境監視ユニット 14は、使用周波数帯域より広い 帯域を走査して取得した受信強度を示す情報に基づいて、周辺の無線の混雑状況 の程度を、環境評定レベルとして示す情報を生成する。システム制御ユニット 13は、 当該情報に従って、環境評定レベルに応じた LED16の表示動作 (表示色または点 滅間隔の変化)を実行させる。
[0030] 従って、例えば PDAに組み込まれた当該無線通信装置にぉレ、て、無線の混雑状 況を監視した結果が、 LED16の表示状態で自動的に表示される。これにより、一般 のユーザは、無線の混雑状況を、 LED16の表示状態で視覚的に把握できる。一般 のユーザは、無線の混雑状況を容易に把握できるため、例えば場所または時間帯に より、無線通信のスループットの低下を事前に予測することもできる。
[0031] 以上要するに、本実施形態の無線通信装置は、無線通信での使用周波数帯域で の受信強度レベルに基づいて、無線の混雑状況を監視し、その監視結果を視覚的 に識別できるように表示する。従って、無線通信の混雑状況を視覚的に認識できるた め、無線通信環境の状況を容易に把握することが可能となる。
[0032] (他の実施形態)
図 7は、他の実施形態に関する無線通信装置の要部を示すブロック図である。
[0033] 本実施形態の無線通信装置 (または PDA)は、表示装置として、液晶ディスプレイ( LCD) 21及び LCD制御ユニット 20を備えている構成である。なお、他の構成要素は 、図 1に示す装置と同様である。
[0034] 本実施形態の無線通信装置では、無線環境監視ユニット 14が生成した情報 (環境 評定レベルの決定)に従って、 LCD21は、無線の混雑状況を示す情報を画像や文
字として表示する。従って、一般のユーザは、 LED16による表示状態と比較して、よ り具体的に無線の混雑状況を示す情報を認識できる。
[0035] なお、表示装置としては、 LED16及び LCD21の両方を備えた構成でもよい。この 場合には、 LED16及び LCD21の一方に、無線の混雑状況を表示するモードを選 択指定できる構成でもよい。また、表示装置としては、環境評定レベルの段階に応じ て、無線の混雑状況を示す情報を視覚的に表示できるものであれば、 LED16又は LCD21以外の表示装置でもよい。
産業上の利用可能性
[0036] 本発明の無線通信装置であれば、無線通信の混雑状況を視覚的に認識できるた め、無線通信環境の状況を容易に把握することが可能となる。