明 細 書
冷却装置とそれを用いた冷蔵庫
技術分野
[0001] 本発明は、冷凍サイクル中の冷却管内での冷媒流音を低減された冷却装置とそれ を用いた冷蔵庫に関する。
背景技術
[0002] 図 6は従来の冷蔵庫の冷凍サイクル図である。この冷凍サイクルは、圧縮機 36、凝 縮器 37、ドライヤー 38、毛細管 39、冷蔵室用蒸発器 (以下、蒸発器) 33、冷凍室用 蒸発器 (以下、蒸発器) 34、アキュームレータ 35及びこれらを接続する配管で形成さ れている。
[0003] 図 7は図 6におけるアキュームレータ 35と蒸発器 34とを示す拡大図である。冷却運 転中の蒸発器 34管内の冷媒は、蒸発して発生したガス冷媒 45と未蒸発の液冷媒 4 6との気液二層流を形成して 、る。蒸発器 34で蒸発しな力つた液冷媒 46はアキユー ムレータ 35内に滞留して蒸発し、液冷媒 46が吸入管 49を経て圧縮機 36に液の状 態で吸入されるのを防止している。アキュームレータ 35内には蒸発器 34の出口管 5 0と接続されたインナーパイプ 44が配置され、出口管 50には、アキュームレータ 35 入口付近で曲部 51が設けられ、立ち上がり部 43を介してインナーパイプ 44と接続さ れている。インナーパイプ 44は吐出される気液二層冷媒をアキュームレータ 35内壁 に流出させ、気'液に分離する。インナーパイプ 44下部に設けられた油戻し穴 48は 、冷媒内に混入した油がアキュームレータ 35内に溜まることを防止して!/、る。
[0004] 冷蔵庫が所定温度に到達し、圧縮機 36が停止するとガス冷媒 45は蒸発器 34内に 封じられる。そして庫内温度の上昇とともに蒸発器 34内に封じ込まれた液冷媒 46の 一部は気化する。そのため、蒸発器 34内に封じ込まれたガス冷媒 45は体積を増し、 圧力が上昇し、蒸発器 34の出口の液冷媒 46を押しつつ気体の塊 47となって流動す る。このとき、一部のガス冷媒 45はインナーパイプ 44下部の油戻し穴 48からアキュ 一ムレータ 35内に吐出される。その際、冷媒流音(ぼこぼこ音)が発生する。この種の 冷媒流音の低減を図るため、インナーパイプ 44には複数の油戻し穴 48が設けられ
ている。このような冷蔵庫は例えば、特開平 7-280394号公報に開示されている。
[0005] しかしながら直冷式冷蔵庫や封入冷媒量の多!ヽ冷蔵庫に上記従来の構成を適用 した場合、封入冷媒量の増加により冷媒流音を低減することが困難である。ここで、 直冷式冷蔵庫は、送風機を用いず蒸発器から自然対流により庫内を冷却する。直冷 式冷蔵庫では、熱伝達率が小さいため蒸発器 3の表面積すなわち蒸発器 3内の内 容積を大きくする必要があり、それにより封入冷媒量を多くする必要がある。また、蒸 発器 3では庫内温度との温度差が大きく気化作用が激しくなり、ガス冷媒 45が発生し やすくなる。
発明の開示
[0006] 本発明の冷却装置では、圧縮機、凝縮器、毛細管、蒸発器、アキュームレータが順 次接続され、これらを冷媒が循環する。そして蒸発器とアキュームレータとの間には U トラップ管が設けられている。この Uトラップ管内に液冷媒を溜めることで気体の塊が 流動しにくくなり、またアキュームレータ内の液冷媒量をも減らすことができる。そのた め、圧縮機停止とともに発生する冷媒流音が低減される。この冷却装置は冷蔵庫に 好適である。
図面の簡単な説明
[0007] [図 1]図 1は本発明の実施の形態による冷蔵庫の縦断面図である。
[図 2]図 2は図 1に示す冷蔵庫に組み込まれている冷却装置の構成を示す冷凍サイ クル図である。
[図 3]図 3は図 2に示す冷却装置のアキュームレータと冷蔵室用蒸発器の要部断面 図である。
[図 4]図 4は本発明の実施の形態によるアキュームレータと冷蔵室用蒸発器の他の位 置関係を示す要部断面図である。
[図 5]図 5は本発明の実施の形態によるアキュームレータと冷蔵室用蒸発器の他の構 成を示す要部断面図である。
[図 6]図 6は従来の冷蔵庫の冷凍サイクル図である。
[図 7]図 7は従来の冷蔵庫のアキュームレータと冷凍室用蒸発器とを示す要部断面図 である。
符号の説明
1 冷蔵室
2 冷凍室
3 冷蔵室用蒸発器
4 冷凍室用蒸発器
5 アキュームレータ
6 圧縮機
7 凝縮器
8 ドライヤー
9 毛細管
10 出口管
11 曲部
12 Uトラップ管
13 立ち上がり部
14 インナーパイプ
15 ガス冷媒
16 液冷媒
17 気体の塊
18 油戻し穴
19 吸入管
20 冷却装置
21 外装管
33 冷蔵室用蒸発器
34 冷凍室用蒸発器
35 アキュームレータ
36 圧縮機
37 凝縮器
38 ドライヤー
39 毛細管
43 立ち上がり部
44 インナーパイプ
45 ガス冷媒
46 液冷媒
47 気体の塊
48 油戻し穴
49 吸入管
50 出口管
51 曲部
発明を実施するための最良の形態
[0009] 図 1は本発明の実施の形態による冷蔵庫の概略断面図である。図 2は同冷蔵庫に 組み込まれている冷却装置の冷凍サイクル図であり、図 3は同冷却装置のアキユーム レータと冷蔵室用蒸発器の要部拡大図である。
[0010] 本実施の形態による冷蔵庫には、冷蔵室 1と冷凍室 2とが上下に区画形成されてい る。冷蔵室 1内には冷蔵室用蒸発器 (以下、蒸発器) 3、冷凍室 2内には冷凍室用蒸 発器 (以下、蒸発器) 4、冷凍室 2の背面にはアキュームレータ 5が設けられている。ま た、図 2に示すように、本実施の形態における冷蔵庫の冷却装置 20は、圧縮機 6、凝 縮器 7、ドライヤー 8、毛細管 9、蒸発器 4、蒸発器 3、アキュームレータ 5及びこれらを この順に接続する配管で形成されて ヽる。蒸発器 3の最低到達温度は蒸発器 4よりも 高い。なお、ドライヤー 8は必須ではない。
[0011] そして図 3に示すように蒸発器 3の出口管 10は曲部 11を介して Uトラップ管 12と接 続され、さらに立ち上がり部 13を介してインナーパイプ 14と接続されている。インナ 一パイプ 14を内部に設けられた外装管 21は吸入管 19を介して圧縮機 6に接続され て ヽる。以上のように構成された本実施の形態における冷却装置を組み込んだ冷蔵 庫について、以下その動作を説明する。
[0012] 冷却運転中の蒸発器 3の管内の冷媒は、蒸発して発生したガス冷媒 15と未蒸発の 液冷媒 16との気液二層流を形成している。蒸発器 3で蒸発しなカゝつた液冷媒 16はァ
キュームレータ 5内に滞留して蒸発し、液冷媒 16が吸入管 19を経て圧縮機 6に液の 状態で吸入されるのを防止して 、る。アキュームレータ 5内には Uトラップ管 12を介し て蒸発器 3の出口管 10と接続されたインナーパイプ 14が配置されている。インナー パイプ 14は吐出される気液二層冷媒をアキュームレータ 5内壁に流出させ、気 '液に 分離する。インナーパイプ 14下部に設けられた油戻し穴 18は、冷媒内に混入した油 がアキュームレータ 5内に溜まることを防止している。
[0013] 冷蔵庫が所定温度に到達し、圧縮機 6が停止するとガス冷媒 15は蒸発器 3、 4内に 封じられる。庫内温度の上昇とともに蒸発器 3内に封じ込まれた液冷媒 16の一部は 気化する。そのため、封じ込まれたガス冷媒 15は体積を増し、圧力が上昇し、蒸発 器 3の出口の液冷媒 16を押しつつ気体の塊 17となって流動する。このとき、一部の ガス冷媒 15はインナーパイプ 14下部の油戻し穴 18からアキュームレータ 5内に吐出 する。その際、冷媒流音(ぼこぼこ音)が発生する。この種の冷媒流音の低減を図る ため、インナーパイプ 14には複数の油戻し穴 18が設けられている。
[0014] さらに本実施の形態では直冷式冷蔵庫の蒸発器 3の出口部に Uトラップ管 12が設 けられているので、封入冷媒量が増加してもこの構成では、 Uトラップ管 12に液冷媒 16を溜めることができる。また、蒸発器 3では庫内温度との温度差が大きく気化作用 が激しい。しかし、 Uトラップ管 12を設けることにより、圧縮機 6の停止後、冷凍サイク ル内の圧力がバランスするまで、気体の塊 17のアキュームレータ 5への移動を低減 することができる。
[0015] 以上のように冷却装置 20は、蒸発器 3の出口部に Uトラップ管 12を有することによ り、 Uトラップ管 12に液冷媒 16が溜まり気体の塊 17が流動しにくい。またアキユーム レータ 5内の液冷媒 16の量を減らすことができるため、圧縮機 6の停止とともに発生 する冷媒流音が低減される。
[0016] 冷却装置 20は、直冷式冷蔵庫のように封入冷媒量を多く設定する必要がある冷蔵 庫にぉ 、て特に有効である。
[0017] 次に、アキュームレータ 5と蒸発器 3との位置関係について好ましい状態を説明する 。図 4は本発明の実施の形態によるアキュームレータと蒸発器 3の他の位置関係を示 す要部断面図である。
[0018] 図 4では、アキュームレータ 5は蒸発器 3の下端より高いところに位置し、その位置ま で立ち上がり部 13が伸びている。それ以外は図 3に示す構造と同様である。以上の ように構成された冷蔵庫につ!ヽて、以下その動作を説明する。
[0019] 圧縮機 6の停止とともにガス冷媒 15と液冷媒 16とは蒸発器 3、 4内に閉じ込められ、 庫内の温度上昇とともに液冷媒 16の一部は気化する。そのため、ガス冷媒 15は体 積を増し、気体の塊 17となってアキュームレータ 5側に流動する。蒸発器 3の出口部 には Uトラップ管 12が設けられているので Uトラップ管 12に液冷媒 16が溜まる。さら にアキュームレータ 5が蒸発器 3の下端位置より高 、位置にあることから、アキユーム レータ 5内の液冷媒量を減らすことができる。そのため、圧縮機 6の停止とともに発生 する冷媒流音がさらに低減される。
[0020] 次に、アキュームレータ 5と蒸発器 3との好ましい構成を説明する。図 5は本発明の 実施の形態によるアキュームレータと冷蔵室用蒸発器の他の構成を示す要部断面 図である。
[0021] 図 5では、蒸発器 3の出口管 10は曲部 11を介し Uトラップ管 12と接続され、立ち上 力 Sり部 13を介してインナーパイプ 14と接続されている。またインナーパイプ 14の内径 は、 Uトラップ管 12の内径より大きい。それ以外は図 3に示す構造と同様である。以 上のように構成された冷蔵庫につ!、て、以下その動作を説明する。
[0022] 圧縮機 6の停止とともにガス冷媒 15と液冷媒 16は蒸発器 3、 4内に閉じ込められ、 庫内の温度上昇とともに液冷媒 16の一部は気化する。そのため、ガス冷媒 15は体 積を増し、気体の塊 17となってアキュームレータ 5側に流動する。このとき一部のガス 冷媒 15はインナーノィプ 14下部の油戻し穴 18からアキュームレータ 5に吐出されよ うとする。
[0023] しかしながら、図 5の構成ではインナーパイプ 14の内径が Uトラップ管 12の内径より 大きいため、インナーノイブ 14内で気体の塊 17が液冷媒 16を封じる状態が生じな い。よって、油戻し穴 18からガス冷媒 15が噴出しにくぐ圧縮機 6の停止とともに発生 する冷媒流音がさらに低減される。
産業上の利用可能性
[0024] 以上のように本発明による冷却装置は、 Uトラップ管内に液冷媒を溜めることで気体
の塊が流動しに《なり、またアキュームレータ内の液冷媒量をも減らすことができる。 そのため、圧縮機停止とともに発生する冷媒流音(ぼこぼこ音)が低減される。このよ うな冷凍サイクルで構成された冷却装置は、冷蔵庫をはじめとする冷凍空調機器分 野の冷媒流音低減技術として幅広く適用できる。