明細書
経皮投与用医薬組成物
技術分野
本発明は、 N— ( 4—トリフルォロメチルフエニル) 一 5—メチルイソォキサ ゾ一ルー 4一カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許 容される塩を有効成分として含有する経皮投与用医薬組成物に関する。 詳しくい えば、 本発明は、 N— (4—トリフルォロメチルフエニル) 一 5—メチルイソォ キサゾ一ル _ 4—カルボキシアミド、 またはその活性代謝体である N— ( 4—ト リフルォロメチルフエニル) 一 2—シァノー 3—ヒドロキシーク口トンアミドも しくはその薬理学的に許容される塩を、 ( 1 ) 特定の溶解用基剤を含有する経皮 投与用キャリア中に溶解状態で含有する、 または (2 ) 特定の懸濁用基剤を含有 する経皮投与用キヤリァ中に懸濁状態で含有する炎症部位等を治療するための経 皮投与用医薬組成物またはその投与方法に関する。
背景技術
N - ( 4—トリフルォロメチルフエニル) — 5—メチルイソォキサゾ一ル一 4 —カルボキシアミドは、 レフルノミドとして知られる、 抗炎症作用、 鎮痛作用を 有する、 以下の構造式で表される化合物である。 その製造方法等は、 特開昭 55- 83767号公報、 米国特許第 4, 087, 535号明細書、 米国特許第 4, 284, 786号明細 書などに記載されている。
N— (4 _トリフルォロメチルフエニル) 一 2—シァノ _ 3—ヒドロキシーク 口トンアミ ドは、 抗炎症作用、 鎮痛作用を有する、 以下の構造式で表される化合 物である。 それは、 N— ( 4—トリフルォロメチルフエニル) 一 5—メチルイソ ォキサゾ一ルー 4—カルボキシアミドの活性代謝体として知られており、 その詳 細は米国特許第 4, 061, 767号明細書に記載されている。
これらの化合物については、 これまでも種々の疾患の治療用途やさまざまな剤 型が提案されている。
日本特許第 3 2 8 5 2 2 6号公報には、 N— ( 4—トリフルォロメチルフエ二 ソレ) _ 5—メチルイソォキサゾ一ルー 4一カルボキシアミド、 あるいは N— ( 4 —トリフルォロメチルフエニル) 一 2—シァノー 3—ヒドロキシ一クロトンアミ ド (またはその薬理学的に許容される塩を含む) からなる、 移植臓器に対する臓 器レシピエントの超急性または慢性拒絶反応治療用医薬が記載されている。 また、 日本特許第 3 1 3 1 6 9 3号公報には、 5—メチルーイソォキサゾール —4—カルボン酸ァニリド類および 2—ヒドロキシェチリデンーシァノ酢酸ァニ リ ド類を含有する、 ブドウ糖膜眼炎、 網膜炎、 アレルギー、 乾燥症の治療のため の眼薬組成物が記載されている。
日本特許第 2 9 3 0 2 8 1号公報には、 N— ( 4ートリフルォロメチルフエ二 ル) 一 5—メチルイソォキサゾ一ル一 4—カルボキシアミドおよび N— ( 4—ト リフルォロメチルフエニル) - 2—シァノ一 3—ヒドロキシ一クロトンアミ ドを 含む特定の化合物を活性成分として含有する、 乾癬、 アトピー性皮膚炎、 アレル ギー性皮膚炎、 薬物性皮膚炎などの皮膚疾患の予防または治療用薬剤が記載され ている。
経皮投与では薬物を直接患部に投与できることから、 患部での薬物濃度を局所 的に高めることができる。 経皮剤は、 経口剤での肝初回通過効果を回避すること ができ、 副作用の低減が期待できる。 また、 投与回数の低減や薬効の持続性が付 与できるといった利点を有する。 さらに、 経口投与が困難な患者にとっても、 経 皮投与であれば、 投与が容易であるという大きな利点があることから、 各種薬剤 について、 経皮投与剤の検討がなされている。
しかし、 N— (4—トリフルォロメチルフエニル) 一 5—メチルイソォキサゾ ール一 4—カルボキシアミド、 あるいは N— (4—トリフルォロメチルフエ二 ル) 一 2—シァノー 3—ヒドロキシーク口トンアミド (またはその薬理学的に許 容される塩) においては、 慢性関節リウマチや関節炎などのような皮膚疾患以外 の治療を主たる目的とした経皮投与剤に関する研究は知られていない。 さらに、 これら薬物を特定のキャリアを用いて、 経皮投与した際の抗リウマチ作用、 抗炎 症作用についても知られていない。
発明の開示
本発明が解決しょうとする課題は、 N— ( 4—トリフルォロメチルフエニル) —5—メチルイソォキサゾ一ル— 4一カルボキシアミド、 またはその活性代謝体 もしくはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする、 優れた治療効果、 安定 性を有する新規な経皮投与用医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、 前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、 N— (4 _トリ フルォロメチルフエニル) 一 5—メチルイソォキサゾール一 4一カルボキシアミ ドを有効成分とし、 特定の基剤を含有する経皮投与用キャリア中に、 該有効成分 を含有させた経皮投与用医薬組成物が、
( 1 ) 安定性に優れ、
( 2 ) 投与部位において薬剤の生体内への取り込みが向上し、
( 3 ) 患部における抗リウマチ作用あるいは抗炎症作用が著しく向上すること を見出し、 さらなる検討を加え、 本発明を完成させるに至った。
すなわち、 本発明は:
[ 1 ] a ) 有効成分として、 N— ( 4—トリフルォロメチルフエニル) 一 5—メ チルイソォキサゾ一ルー 4一カルボキシァミドまたはその活性代謝体もしくはそ の薬理学的に許容される塩;および
b ) ( 1 ) 溶解用基剤を少なくとも 4 O w/w%以上含有する絰皮投与用キヤリ ァ、 または
( 2 ) 疎水性であって、 かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも 7 O wノ w%以上含有する経皮投与用キヤリア;
を含有する経皮投与用医薬組成物。
[2] 活性代謝体が、 N— (4ートリフルォロメチルフエニル) —2—シァノー 3—ヒドロキシ—クロトンアミドである上記 [1] に記載の経皮投与用医薬組成 物。
[ 3 ] 経皮投与用キヤリァが、 溶解用基剤を少なくとも 40 wZw%以上含有す る絰皮投与用キャリアであり、 有効成分溶解型である上記 [1] または [2] に 記載の経皮投与用医薬組成物。
[4] 溶解用基剤が二塩基酸ジアルキルエステル、 ポリオキシエチレンポリオキ シプロピレングリコ一ル、 中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびマクロゴールから選 択される一種またはそれ以上の混合物である上記 [3] に記載の経皮投与用医薬 組成物。
[5] 経皮投与用キャリア中における炭化水素油の含有量が、 40w/w%以下 である上記 [3] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[ 6 ] 経皮投与用キヤリァ中における溶解用基剤の含有量が、 50 w/w%以上 である上記 [3] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[7] 経皮投与用キャリアが、 さらに親油性の非イオン性界面活性剤を含有する 上記 [3] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[8] 二塩基酸ジアルキルエステルが、 セバシン酸ジェチル、 セバシン酸ジイソ プロピルおよびアジピン酸ジイソプロピルから選択される一種またはそれ以上の 混合物である上記 [4] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[9] ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが 30°Cで液状を呈 するものから選択される一種またはそれ以上の混合物である上記 [4] に記載の 経皮投与用医薬組成物。
[10] 中鎖脂肪酸トリグリセリ ドが、 炭素数 8〜 10の脂肪酸で構成されるト リグリセリ ドの一種またはそれ以上の混合物である上記 [4] に記載の経皮投与 用医薬組成物。
[1 1] 親油性の非イオン性界面活性剤が、 ひ一モノアルキルグリセリルェ一テ ルである上記 [7] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[12] 経皮投与用キャリア中における親油性の非イオン性界面活性剤の含有量 が、 0. 1〜10wZw%である上記 [7] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[13]液剤、 軟膏剤、 ゲル製剤または貼付剤の剤型である上記 [3] に記載の 絰皮投与用医薬組成物。
[14]液剤、 軟膏剤またはゲル製剤の剤型である上記 [13] に記載の経皮投 与用医薬組成物。
[15]経皮投与用キャリアが、 疎水性であって、 かつ分子内に極性基を有しな い懸濁用基剤を少なくとも 70 w/w%以上含有する経皮投与用キヤリァであり、 該キャリア中に有効成分が安定に懸濁している上記 [1] または [2] に記載の 経皮投与用医薬組成物。
[16]疎水性であって、 かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤が、 炭化水 素油である上記 [15] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[17]疎水性であって、 かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤が、 ゲル化 炭化水素である上記 [15] に記載の経皮投与用医薬組成物。
[18]経皮投与用キャリアが、 疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用 基剤のみからなる上記 [15] 〜 [17] のいずれかに記載の経皮投与用医薬組 成物。
[19]経皮投与用キヤリア中に懸濁する有効成分の全ての粒子が実質的に 10 0 /m以下の粒子径で、 かつ平均粒子径が 20 m以下である上記 [15] に記 載の経皮投与用医薬組成物。
[20]経皮投与用キヤリア中に懸濁する有効成分の全ての粒子が実質的に 20 m以下の粒子径で、 かつ平均粒子径が 10 m以下である上記 [15] に記載 の経皮投与用医薬組成物。
[21]軟膏剤、 液剤または貼付剤の剤型である上記 [15] に記載の経皮投与 用医薬組成物。
[22]懸濁軟膏剤または懸濁液剤の剤型である上記 [21] に記載の経皮投与 用医薬組成物。
[23]有効成分の量が 0.1〜10w w%である上記 [1] に記載の経皮投 与用医薬組成物。
[24]上記 [1] に記載の経皮投与用組成物からなる、 経皮投与用の慢性関節 リウマチ又は関節炎の治療剤を製造するための、 N— (4一トリフルォロメチル
フエニル) 一 5—メチルイソォキサゾ一ルー 4一カルボキシアミド、 またはその 活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩の使用。
[ 2 5 ] a ) 有効成分として、 N— ( 4—トリフルォロメチルフエニル) 一5— メチルイソォキサゾ一ル一 4—カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくは その薬理学的に許容される塩;および
b ) ( 1 ) 溶解用基剤を少なくとも 4 0 w/w%以上含有する経皮投与用キヤリ ァ、 または
( 2 ) 疎水性であって、 かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも 7 0 w,w%以上含有する経皮投与用キヤリア;
を含有する経皮投与用医薬組成物を経皮的に投与する慢性関節リゥマチまたは関 節炎の治療のための投与方法。
[ 2 6 ]経皮投与用キヤリァが、 溶解用基剤を少なくとも 4 0 w w%以上含有 する経皮投与用キヤリァであり、 有効成分を経皮投与用キヤリァ中に溶解させた 状態で経皮的に投与する、 上記 [ 2 5 ] に記載の投与方法:等に関する。
本発明のレフルノミド類を含有する経皮投与用医薬組成物は、 外用剤として直 接患部近傍の皮膚に投与することで、 抗炎症作用、 抗リウマチ作用を示す。 更に 本発明の溶解型経皮投与用医薬,組成物および懸濁型経皮投与用医薬組成物は、 レ フルノミド類を安定に保持し、 製剤安定性に優れる。
図面の簡単な説明
図 1は、 試験例 1のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射 足に対する治療効果を示すグラフである。
図 2は、 試験例 1のレフルノミ ド外用剤のアジュバント関節炎における注射足 に対する治療効果を示すグラフである。
図 3は、 試験例 2のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射 足に対する治療効果を示すグラフである。
図 4は、 試験例 2のレフルノミ ド外用剤のアジュバント関節炎における注射足 に対する治療効果を示すグラフである。
図 5は、 試験例 3のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射 足に対する治療効果を示すグラフである。
図 6は、 試験例 3のレフルノミ ド外用剤のアジュバント関節炎における注射足 に対する治療効果を示すグラフである。
図 7は、 試験例 3のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における体重変 化に対する効果を示すグラフである。
図 8は、 試験例 4のレフルノミ ド外用剤のアジュバント関節炎における非注射 足に対する治療効果を示すグラフである。
図 9は、 試験例 4のレフルノミ ド外用剤のアジュバント関節炎における注射足 に対する治療効果を示すグラフである。
図 1 0は、 試験例 5のレフルノミド外用剤を経皮投与した場合の血清中濃度推 移を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
本発明の経皮投与用医薬組成物の有効成分は、 N— (4—トリフルォロメチル フエニル) 一 5—メチルイソォキサゾール—4一カルボキシアミド (以下、 本明 細書ではレフルノミドと略することがある。 ) またはその活性代謝体もしくはそ の薬理学的に許容される塩である。 N— (4—トリフルォロメチルフエニル) 一 5—メチルイソォキサゾ一ル—4—カルボキシアミドの活性代謝体とは、 N— ( 4 -トリフルォロメチルフエニル) 一2—シァノ一 3—ヒドロキシーク口トン アミド (以下、 本明細書ではレフルノミド代謝体と略す場合がある。 ) である。 その活性代謝体の薬理学的に許容される塩としては、 例えば、 ナトリウム、 カリ ゥム等のアルカリ金属塩、 カルシウム等のアルカリ土類金属塩、 アンモニア、 ト リェチルァミン、 ピリジン等の有機ァンモニゥム塩等が挙げられる。
本発明の経皮投与用医薬組成物は、 有効成分であるレフルノミドまたはレフル ノミド代謝体またはその薬理学的に許容される塩 (以下、 本明細書では両者を含 めてレフルノミド類と略すことがある。 ) を、 特定の基剤を含むキャリア中に含 有させることにより、 有効成分を安定に保持させることができる。 そして、 その 結果、 吸収性が高まり、 目的とする抗炎症作用あるいは抗リウマチ作用が著しく 向上するという特徴を有している。
本発明の経皮投与用医薬組成物に有効成分として含有されるレフルノミド類の 量としては、 剤の全体量に対して 0 . 0 1 ~ 1 0 w/w%、 好ましくは 0 . 1〜 1 0 w/w%の範囲から選択される。 より好ましくは 0 . 2〜5 wZw%の範囲 から選択され、 さらに好ましくは 1〜 5 w/w%の範囲から選択される。
本発明の経皮投与用医薬組成物の有効成分であるレフルノミド類は、 選択する 基剤によって、 溶解性、 安定性等の物理化学的特性が大きく異なる。 選択された 基剤成分を含むキヤリア中で、 有効成分が物理化学的に安定に保持されなければ、 製剤安定性だけでなく、 有効成分の吸収性や薬効に対しても大きく影響を及ぼす 可能性がある。
本発明において 「経皮投与用キャリア」 とは、 本発明の経皮投与用医薬組成物 から有効成分のレフルノミド類を除いた成分をいう。
本発明の経皮投与用キャリアは、 「溶解用基剤」 または 「疎水性であって、 か つ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」 を含有する。
本発明の経皮投与用医薬組成物は、 溶解用基剤を用いた場合は有効成分が溶解 した状態の 「溶解型経皮投与用医薬組成物」 となり、 疎水性であって、 かつ分子 内に極性基を有しない懸濁型基剤を用いた場合は有効成分が懸濁された状態の 「懸濁型経皮投与用医薬組成物」 となる。 以下、 それぞれについて説明する。 1 · 溶解型経皮投与用医薬組成物
本発明の 「溶解型経皮投与用医薬組成物」 における経皮投与用キャリアの一成 分として使用される 「溶解用基剤」 とは、 有効成分であるレフルノミド類を製剤 中で、 溶解状態で保持させて、 経皮的にレフルノミド類を吸収させるための基剤 である。 溶解用基剤としては、 例えば、 二塩基酸ジアルキルエステル、 ポリオキ シエチレンポリオキシプロピレングリコ一ル、 中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび マクロゴールから選択される一種またはそれ以上の混合物が挙げられる。
「二塩基酸ジアルキルエステル」 は、 薬理学的に許容されるものの中から選択 することができる。 具体的には、 例えば、 セバシン酸ジェチル、 セバシン酸ジィ ソプロピル、 ァジピン酸ジィソプロピル、 アジピン酸ジィソブチル等が挙げられ る。 好ましいものとしては、 例えば、 セバシン酸ジェチルまたはアジピン酸ジィ ソプロピル等が挙げられる。
また、 これらは一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、 種々のメ一 カーから市販されている。
「ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール」 は、 薬理学的に許容 されるものの中から適宜選択することができる。 具体的には、 例えば、 ポリオキ シエチレン (20) ポリオキシプロピレン (20) グリコール、 ポリオキシェチ レン (3) ポリオキシプロピレン (17) グリコール、 ポリオキシエチレン (4 2) ポリオキシプロピレン (67) グリコール、 ポリオキシエチレン (54) ポ リオキシプロピレン (39) グリコール、 ポリオキシエチレン (120) ポリオ キシプロピレン (40) グリコール、 ポリオキシエチレン (160) ポリオキシ プロピレン (30) グリコール、 ポリオキシエチレン (196) ポリオキシプロ ピレン (67) グリコール等が挙げられる。 好ましいものとしては、 30°Cで液 状を呈するものが挙げられ、 具体的には、 ポリオキシエチレン (20) ポリオキ シプロピレン (20) グリコール、 またはポリオキシエチレン (3) ポリオキシ プロピレン (17) グリコールが挙げられる。 特に好ましいものとして、 ポリオ キシエチレン (20) ポリオキシプロピレン (20) グリコールが挙げられる。 これらは、 一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、 種々のメーカー から市販されている。
「中鎖脂肪酸卜リグリセリド」 は、 薬理学的に許容されるものの中から適宜選 択することができる。 「中鎖脂肪酸トリグリセリド」 としては、 例えば、 炭素数 8〜12の脂肪酸で構成されるグリセリンのトリエステル等が挙げられる。 具体 的には、 例えば、 トリ力プリル酸グリセリン、 トリイソオクタン酸グリセリン、 トリノナン酸グリセリン、 トリ力プリン酸グリセリン、 トリゥンデカン酸グリセ リン、 トリラウリン酸グリセリン等の単一鎖長からなる脂肪酸トリグリセリドの 他、 混合脂肪酸のェステルである、 トリ (カプリル酸、 力プリン酸) グリセリン やトリ (力プリル酸、 力プリン酸、 ラウリン酸) グリセリン等が挙げられる。 好 ましいものとしては、 炭素数 8〜 12の脂肪酸で構成される混合脂肪酸のトリグ リセリ ド等が挙げられる。 さらに好ましいものとしては、 融点や溶解性の点から、 炭素数 8〜 10の脂肪酸で構成される混合脂肪酸型のトリグリセリ ド等が挙げら
これらは、 一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、 種々のメーカ一 から市販されている。
「マクロゴール (ポリエチレングリコ一ル類) 」 は、 薬理学的に許容されるも のの中から適宜選択することができる。 具体的には、 例えば、 マクロゴール 2 0 0、 マクロゴール 3 0 0、 マクロゴール 4 0 0、 マクロゴール 1 0 0 0、 マクロ ゴール 1 5 0 0、 マクロゴール 1 5 4 0、 マクロゴール 4 0 0 0、 マクロゴール 6 0 0 0等が挙げられる。 好ましいものとしては、 3 0。Cで液状を示すものが挙 げられる。 具体的には、 例えば、 マクロゴール 2 0 0、 3 0 0、 または 4 0 0等 が挙げられる。
これらは、 一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、 種々のメーカー から市販されている。
上記の各溶解用基剤は、 それそれ単独でも、 あるいは混合物としても使用する ことができる。 複数選択する場合、 第一の溶解用基剤として、 二塩基酸ジアルキ ルエステル、 またはポリォキシエチレンポリォキシプロピレングリコールを選択 することが好ましい。 更に好ましいものとしては、 二塩基酸ジアルキルエステル が挙げられ、 特に好ましいものとして、 セバシン酸ジェチルまたはアジピン酸ジ イソプロピルが挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物における経皮投与用キヤリァ中の溶解用 基剤の含有量は、 当該キャリア中において少なくとも 4 0 w/w%、 好ましくは 5 0 w/w%以上、 より好ましくは 6 0 wZw%以上である。
このとき、 溶解用基剤の含有量が 4 0 w/w%未満になると、 有効成分である レフルノミ ド類の経皮投与用キャリアに対する溶解安定性が低下し、 その結果、 目的とする薬効が得られなくなる恐れがある。
本発明においては、 溶解用基剤を少なくとも 4 0 w/w%含有するキャリアと することにより、 有効成分の溶解状態が十分に保持され、 溶解型経皮投与用医薬 組成物としての安定性に優れ、 かつ有効成分の経皮吸収性が高まるため、 優れた 薬効を発現させることができる。
一方、 本発明の経皮投与用医薬組成物における有効成分であるレフルノミド類 は、 炭化水素油にほとんど溶解しない性質を有する。 経皮投与用キャリア中に許
容される以上に炭化水素油が含まれると、 レフルノミド類の溶解性が急激に低下 する。 その結果、 本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物の場合、 レフルノミド類 が保存中に析出、 あるいは結晶成長する場合がある。 レフルノミド類の含有量が 高い場合には溶解度の問題から、 溶解用基剤との間で相分離を起こしてしまう場 合がある。 そのため経皮投与用キャリア中に当該キャリアの一成分として一定以 上の炭化水素油を含有することは、 製剤安定性や薬効の面で好ましくない。
具体的には、 経皮投与用キヤリァに用いる基剤成分の一つとして炭化水素油を 用いる場合は、 その含有量を 4 0 w/w%以下とし、 溶解用基剤の含有量を超え ないようにすることが望ましい。
炭化水素油としては、 炭素原子と水素原子で構成される無極性油が挙げられる。 具体的には、 例えば、 流動パラフィン、 n—パラフィン、 i s o—パラフィン、 ゲル化炭化水素、 ポリブテン、 ワセリン、 白色ヮセリン、 固形パラフィン、 マイ クロクリス夕リンヮヅクス等の石油系炭化水素の他、 スクヮランゃスクワレン等 の動植物系の炭化水素油が挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物においては、 経皮投与用キャリアの成分 として上記の溶解用基剤成分に加えて、 有効成分の溶解状態を損なわない範囲で 経皮吸収促進剤を使用することもできる。
経皮吸収促進剤としては、 ラウリン酸、 ォレイン酸、 イソステアリン酸等の脂 肪酸類、 ラウリルアルコール、 ォレイルアルコール、 イソステアリルアルコール 等の高級アルコール類、 親油性の非イオン性界面活性剤、 あるいは 1—メント一 ル、 1ーリモネン、 d—リモネン、 d 1—リモネンまたはその他の精油、 および その他公知の吸収促進剤等が挙げられ、 目的に応じて使用することができる。 本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物においては、 その中でも特に、 特定の親 油性非イオン性界面活性剤を配合することにより、 有効成分であるレフルノミド 類の溶解性を損なわず、 投与部位における吸収性を向上させ、 桀効をさらに高め ることができる。
親油性の非イオン性界面活性剤としては、 例えば、 ひ—モノアルキルグリセリ ルェ一テル類、 グリセリンモノ脂肪酸エステル類、 ポリグリセリン脂肪酸エステ ル類、 ソルビ夕ン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
ひ一モノアルキルグリセリルェ一テルとしては、 具体的には、 例えば、 α—モ ノラゥリルグリセリルエーテル、 ひ—モノ トリデシルグリセリルェ一テル、 α一 モノミリスチルグリセリルエーテル、 ひ一モノペン夕デシルグリセリルエーテル、 ひ一モノセチルグリセリルェ一テル、 ひーモノステアリルグリセリルエーテル、 α—モノイソステアリルグリセリルェ一テル、 一モノォレイルグリセリルエー テル等が挙げられる。 好ましいものとしては、 融点が比較的低く、 皮膚上で液状 となるものが挙げられ、 具体的には、 例えば、 α—モノイソステアリルグリセリ ルエーテル、 α—モノォレイルグリセリルェ一テル等が挙げられる。
グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、 具体的には、 例えば、 モノラウリン 酸グリセリンエステル、 モノ トリデカン酸グリセリンエステル、 モノミリスチン 酸グリセリンエステル、 モノペン夕デカン酸グリセリンエステル、 モノパルミチ ン酸グリセリンエステル、 モノステアリン酸グリセリンエステル、 モノイソステ アリン酸グリセリンエステル、 モノォレイン酸グリセリンエステル等が挙げられ る。 その中で好ましいものとしては、 融点が比較的低く、 皮膚上で液状となるも のが挙げられ、 具体的には、 例えば、 モノイソステアリン酸グリセリンエステル、 モノォレイン酸グリセリンエステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、 具体的には、 例えば、 上記のグリセ リン脂肪酸エステル類と同様に、 ラウリン酸、 トリデカン酸、 ミリスチン酸、 ぺ ン夕デカン酸、 パルミチン酸、 ステアリン酸、 イソステアリン酸、 ォレイン酸な どとポリグリセリンとのエステルが挙げられる。 ポリグリセリンとしては、 ジグ リセリン、 トリグリセリン、 テトラグリセリン、 へキサグリセリン、 デカグリセ リン等が挙げられる。
ソルビ夕ン脂肪酸エステルとしては、 具体的には、 例えば、 モノラウリン酸ソ ルビタンエステル、 ジラウリン酸ソルビ夕ンエステル、 モノミリスチン酸ソルビ タンエステル、 ジミリスチン酸ソルビ夕ンエステル、 モノパルミチン酸ソルビ夕 ンエステル、 ジパルミチン酸ソルビ夕ンエステル、 モノステアリン酸ソルビ夕ン エステル、 ジステアリン酸ソルビ夕ンエステル、 モノイソステアリン酸ソルビ夕 ンエステル、 ジイソステアリン酸ソルビ夕ンエステル、 モノォレイン酸ソルビタ ンエステル、 ジォレイン酸ソルビタンエステル等が挙げられる。
ポリグリセリン S旨肪酸エステル類ゃソルビ夕ン脂肪酸エステル類の場合、 好ま しいものとしては、 融点が比較的低く、 皮膚上で液状となるものが挙げられ、 具 体的には、 例えば、 イソステアリン酸エステル、 またはォレイン酸エステルが挙 げられる。
親油性の非イオン性界面活性剤として好ましいのとしては、 ひ一モノアルキル グリセリルエーテル類が挙げられ、 その中でも更に好ましいものとしては、 ひ一 モノイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物において、 経皮投与用キヤリア中におけ る親油性の非ィオン性界面活性剤の含有量は、 0 . 1〜 1 0 wZw%の範囲から 選択される。 好ましくは 0 . 2〜5 w/w%の範囲から、 さらに好ましくは 0 . 5〜3 w/w%の範囲から選択される。
このとき、 含有量が 0 . l wZw%未満では、 親油性の非イオン性界面活性剤 の効果が十分に得られない可能性があり、 逆に 1 0 wZw%を超えると、 主成分 となる基剤によっては、 得られる経皮投与用医薬組成物の安定性が低下する恐れ がある。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物に有効成分として含有されるレフルノミ ド類の量としては、 剤の全体量に対して 0 . 0 1〜1 0 wZw%、 好ましくは 0 . 1〜1 0 wZw%の範囲から選択される。 より好ましくは 0 . 2〜5 w/w%の 範囲から選択され、 さらに好ましくは l ~ 5 w/w%の範囲から選択される。 本発明の、 レフルノミド類を有効成分として含有する、 溶解型経皮投与用医薬 組成物における最終的な製剤形態としては、 従来外用剤として慣用されている剤 型のうちから、 例えば軟膏剤、 液剤、 ゲル製剤、 貼付剤等の剤型が挙げられる。 これらの剤型の外用剤は、 通常の基剤や粘稠剤等を用いて、 通常の方法で製造 することができる。 これらは、 例えば、 「経皮適用製剤開発マニュアル」松本 光男監修 (1985 ) 、 特許第 2651616号公報、 W 096/12465号公報、 特開平 9-27 8651号公報等の記載に従って、 製造することができる。
軟膏剤としては、 例えば油脂性軟膏、 親水性軟膏等が挙げられる。 それぞれの 剤に応じて経皮投与用キャリアに用いる成分を選択する。
油脂性軟膏の場合、 溶解用基剤は、 例えば、 二塩基酸ジアルキルエステルや中 鎖脂肪酸トリグリセリド等およびそれらの混合物から選択される。
具体的には、 例えば、 二塩基酸ジアルキルエステルであるセバシン酸ジェチル、 アジピン酸ジイソプロピルや中鎖旨肪酸トリグリセリドであるトリ (力プリル酸、 力プリン酸) グリセリンから選択される。
また、 有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、 経 皮投与用キャリアの成分として、 例えば植物油、 動物油等の脂肪油、 脂肪酸エス テル類、 脂肪族アルコール類、 ポリアルキレングリコール類の他、 炭化水素油等 の一般に軟膏用基剤として知られているものを適宜選択して配合することができ る。 具体的には、 例えば、 ステアリン酸プチル、 イソステアリン酸へキサデシル、 パルミチン酸イソプロピル、 ノ レミチン酸イソステアリル、 ミリスチン酸イソプ 口ピル、 ミリスチン酸ォクチルドデシル、 ミリスチン酸セチル、 ォレイン酸ォレ ィル、 ォレイン酸デシル、 トリミリスチン酸グリセリン、 ヒマシ油、 硬化油、 モ ノステアリン酸グリセリン、 ステアリン酸、 イソステアリン酸、 ステアリルアル コール、 セチルアルコール、 ォレイルアルコール、 液状ラノリン、 ラノリン、 精 製ラノリン、 ミヅロウ、 サラシミヅロウ、 流動パラフィン、 ゲル化炭化水素、 ス クヮラン、 スクワレン、 ポリブテン、 ワセリン、 白色ワセリン、 固形パラフィン、 マイクロクリス夕リンワックス、 シリコーン油、 硬化油等、 および目的に応じて これらの基剤 1つまたはそれらの混合物が挙げられる。
油脂性軟膏剤は、 溶解用基剤、 または必要に応じて溶解用基剤に上記の成分を 適宜加えた基剤混合物として、 経皮投与用キヤリァを増粘化することにより調製 すればよい。
水溶性軟膏の場合、 溶解用基剤は、 例えば、 ポリオキシエチレンポリオキシプ ロピレングリコールゃマクロゴール (ポリエチレングリコ一ル) 類等およびその 混合物から選択される。 具体的には、 例えば、 ポリオキシエチレン (2 0 ) ポリ ォキシプロピレン (2 0 ) グリコール、 ポリオキシエチレン ( 3 ) ポリオキシプ ロピレン ( 1 7 ) グリコ一ル、 ポリオキシエチレン (4 2 ) ポリオキシプロピレ ン (6 7 ) グリコール、 ポリオキシエチレン (5 4 ) ポリオキシプロピレン (3
9 ) グリコール、 ポリオキシエチレン (1 2 0 ) ポリオキシプロピレン (4 0 )
グリコ一ル、 ポリオキシエチレン ( 1 6 0 ) ポリオキシプロピレン (3 0 ) グリ コール、 ポリオキシエチレン (1 9 6 ) ポリオキシプロピレン (6 7 ) グリコ一 ルなどの他、 マクロゴール 2 0 0、 マクロゴール 3 0 0、 マクロゴール 4 0 0、 マクロゴール 1 5 0 0、 マクロゴール 1 5 4 0、 マクロゴール 4 0 0 0、 マクロ ゴ一ル 2 0 0 0 0等のマクロゴール類等及びそれらの混合物から選択される。 さらに経皮投与用キヤリァに用いる他の成分として、 有効成分であるレフルノ ミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、 プロピレングリコール等のアルコ一 ル類、 ポビドン、 ポリビニルアルコール等の水溶性高分子等、 セバシン酸ジェチ ルゃアジピン酸ジィソプロピルなどの二塩基酸ジアルキルエステル等や中鎖脂肪 酸トリグリセリ ド等の上記以外の溶解用基剤等またはそれらの混合物を配合する こともできる。
液剤としては、 油脂性の溶解液剤と親水性の溶解液剤が挙げられる。
油脂性の溶解液剤の場合、 溶解用基剤は、 例えば、 セバシン酸ジェチル、 アジ ピン酸ジィソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、 トリ (力プリル ·カプ リン酸) グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびそれらの混合物から選 択される。
油脂性の溶解液剤に用いられる経皮投与用キヤリアとしては、 セバシン酸ジェ チル、 アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、 トリ (カプ リル '力プリン酸) グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリドなどと、 ポリオキ シエチレンポリオキシプロピレングリコ一ル類などを組み合わせて使用すること により、 これら溶解用基剤のみからなるキャリアを選択して調製することもでき る。
さらに経皮投与用キヤリアに用いる他の成分として、 有効成分であるレフルノ ミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、 植物油、 動物油等の脂肪油、 脂肪酸 エステル類、 脂肪族アルコール類、 ポリアルキレングリコール類等の中から、 液 状のもの及びそれらの混合物を配合することもできる。 具体的には、 例えば、 ミ リスチン酸イソプロピル、 ミリスチン酸ォクチルドデシル、 ォレイン酸ォレイル、 ォレイン酸デシル、 イソステアリン酸、 ォレイルアルコール、 液状ラノリン、 流
動パラフィン、 スクヮラン、 スクワレン、 ポリブテン、 シリコーン油等およびそ れらの混合物が挙げられる。
親水性の溶解液剤の場合、 溶解用基剤は、 例えば、 ポリオキシエチレンポリオ キシプロピレングリコ一ル類やマク口ゴール類等およびそれらの混合物から選択 される。
有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、 溶解用基 剤の他に、 経皮投与用キャリアの成分として、 例えば、 プロピレングリコール等 のアルコール類等およびそれらの混合物を配合することもできる。
さらに、 経皮投与用キャリアの均一性を損なわない範囲で、 上記以外の溶解用 基剤であるセバシン酸ジェチル、 アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアル キルエステル、 トリ (力プリル .力プリン酸) グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグ リセリ ドなどを配合することもできる。
ゲル製剤としては、 油性ゲルと水性ゲルが挙げられる。
油性ゲルの場合、 溶解用基剤は、 例えば、 セバシン酸ジェチル、 アジピン酸ジ イソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、 トリ (力プリル '力プリン酸) グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリド等およびそれらの混合物から選択され る。
有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、 溶解用基 剤以外の経皮投与用キャリアの成分として、 例えば、 植物油、 動物油等の脂肪油、 脂肪酸エステル類、 脂肪族アルコール類、 ポリアルキレングリコール類等の中か ら、 液状のものを前述の溶解用基剤と必要に応じて適宜組み合わせて使用するこ ともできる。
油性ゲル製剤は、 これらの溶解用基剤あるいは溶解用基剤を含む基剤混合物に 対して、 他の経皮投与用キャリアの成分として、 さらにこれをゲル化もしくは増 粘化するための成分を配合することにより調製される。 ゲル化もしくは增粘化す るための成分として、 例えば、 高分子化合物ゃステアリン酸アルミニウムなどの 金属石鹼、 無機塩類、 ヘクトライト類などの精製有機粘土等およびそれらの混合 物を使用することができる。
水性ゲルの場合、 溶解用基剤は、 例えば、 ポリオキシエチレンポリオキシプロ ビレングリコ一ル類やマク口ゴール類等およびそれらの混合物から選択される。 有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、 溶解用基 剤以外の経皮投与用キャリアの成分として、 例えば、 プロピレングリコ一ル等の アルコール類などを前述の溶解用基剤と必要に応じて適宜組み合わせて使用する こともできる。
水性ゲル製剤は、 これらの溶解用基剤あるいは溶解用基剤を含む基剤混合物に、 経皮投与用キヤリアの成分として、 さらにこれをゲル化もしくは增粘化するため の成分を配合することにより調製される。 ゲル化もしくは増粘化するための成分 として、 例えば、 カルボキシメチルポリマ一、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ポリビニルアルコールなどの水性高分子を配合することができる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物においては、 さらに貼付剤などの剤型を 選択することができる。
貼付剤は、 支持体上に粘着性の膏体を積層したものである。 支持体としては皮 膚の伸縮に自在に追随し得る柔軟な素材が好ましく、 例えば、 ポリエチレン、 ポ リエチレンテレフ夕レ一ト、 ポリプロピレン等のプラスティヅク製フィルム、 不 織布、 布、 紙等の公知のものが挙げられる。
貼付剤を構成する膏体としては、 溶解用基剤および粘着剤、 あるいは必要に応 じてさらに粘着付与剤と軟化剤を添加したものからなり、 皮膚安全性、 皮膚への 付着性等を考慮して公知のものより適時選択できる。
貼付剤に用いられる溶解用基剤としては、 例えば、 セバシン酸ジェチル、 アジ ピン酸ジィソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、 卜リ (力プリル ·カプ リン酸) グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリ ド等およびそれらの混合物が選 択される。
粘着剤としては、 例えば、 アクリル系、 ゴム系、 シリコーン系等から選択する ことができる。
このうち、 アクリル系としては、 例えば (メタ) アクリル酸アルキルエステル を主体とする (共) 重合体が挙げられる。 この (共) 重合体は、 2種類以上の
(メタ) アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよく、 また (メ夕)
アクリル酸アルキルエステルと共重合しうる官能性モノマーと (メ夕) アクリル 酸アルキルエステルとの共重合体であってもよい。
ゴム系としては、 例えば天然ゴム、 ポリイソプロピレンゴム、 ポリイソプチレ ンゴム、 スチレン一イソプレン一スチレンブロック共重合体、 スチレン一ブ夕ジ ェン一スチレンプロヅク共重合体等のゴム粘着剤を主成分とするものが挙げられ る
シリコーン系としては、 例えばポリジメチルシロキサン、 ジフヱニルシロキサ ン等のシリコーンゴムを主成分とするものが挙げられる。
粘着付与剤としては、 ロジン、 水添ロジン、 ロジンエステル、 水添ロジンエス テル、 ポリテルペン樹脂、 油溶性フエノール樹脂等が挙げられる。
軟化剤は、 上記の粘着剤および粘着付与剤を可塑化、 軟化させ皮膚への適度な 付着性を維持させるものであり、 例えば、 アーモンド油、 ォリーブ油、 ヅバキ油、 パーシック油、 ラッカセィ油、 ォレフィン酸、 流動パラフィン等を使用すること ができる。
貼付剤において、 支持体に積層する膏体の厚さは、 1〜 1 0 0 0 111の範囲が 選択され、 好ましくは 1 0 ~ 5 0 0 z mの範囲が選択される。 さらに好ましくは
2 0〜2 0 0 z mの範囲から選択される。
軟膏剤、 液剤、 ゲル製剤、 貼付剤中に有効成分として含有されるレフルノミド 類の量としては、 剤の全体量に対して 0 . 0 1〜 1 0 wZw%の範囲から選択さ れ、 好ましくは 0 . 1〜 1 0 wZw%の範囲から選択される。 より好ましくは◦ .
2〜5 w/w%の範囲から選択され、 さらに好ましくは 1〜5 w/w%の範囲か ら選択される。
さらに、 これらの軟膏剤、 液剤、 ゲル化剤、 貼付剤には、 所望に応じ、 経皮投 与用キャリアの成分として、 本発明の目的を損なわない範囲で、 薬理上許容され る各種の添加剤、 例えば香料、 充填剤、 湿潤剤、 安定化剤、 保存剤、 あるいは乳 化剤などを配合することもできる。
湿潤剤としては、 例えば、 プロピレングリコール、 グリセリン、 1 , 3—プチ レングリコ一ル等が挙げられる。
安定化剤としては、 例えば、 ジプチルヒドロキシトルエン、 d l—a—トコフ エロール、 酢酸トコフエロール、 没食子酸プロピル等が挙げられる。
保存剤としては、 例えば、 メチルパラベン、 ェチルパラベン、 プロピルパラべ ン、 クロロブ夕ノール、 ベンジルアルコール等が挙げられる。
乳化剤としては、 一般に医薬品に用いられるものの中から適宜選択して用いる ことができ、 具体的には、 例えば、 ショ糖脂肪酸エステル類、 ポリオキシェチレ ンソルビ夕ンモノステアレ一ト、 ポリオキシエチレンソルビ夕ンモノォレート、 ポリオキシエチレンソルビ夕ントリオレ一ト等のポリソルベート類、 ポリオキシ ェチレンセチルェ一テル、 ポリォキシェチレンォレイルェ一テル等のポリオキシ エチレンアルキルェ一テル類、 ステアリン酸ポリオキシル 4 0、 モノラウリン酸 ポリエチレングリコール等のポリォキシェチレン脂肪酸エステル類等が挙げられ る。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、 有効成分であるレフルノミド類を特 定の溶解用基剤に溶解させて調製される。 具体的には、 例えば、 レフルノミド類 を溶解用基剤中に添加して十分に溶解させる。 選択する剤型に応じて、 種々の基 剤や添加剤等を加えて、 軟膏剤、 液剤、 ゲル製剤等の剤型とする。 温度や攪拌力 などの調製条件はそれぞれの剤型に適した条件から選択すればよい。 通常は、 軟 膏剤であれば、 室温付近から 8 0 °Cくらいまでの範囲内で、 液剤であれば室温付 近から 5 0 °Cくらいまでの範囲内で、 ゲル製剤であれば、 室温付近から 6 0 °Cく らいまでの範囲内で調製される。 また、 貼付剤の場合であれば、 例えば、 レフル ノミド類を溶解用基剤中に添加して十分に溶解させた後、 これを前述のように粘 着剤、 あるいは必要に応じてさらに粘着付与剤と軟化剤と混合して調製した膏体 をプラスティヅク製フィルム等の支持体上に積層して調製される。 貼付剤の調製 法としては、 ホットメルト法と溶媒法が挙げられ、 目的に応じて適宜選択して調 製すればよい。 通常は、 ホットメルト法であれば、 選択するエラストマ一の種類 により、 1 5 0 °C前後から 2 5 0 °Cくらいまでの範囲内で、 溶媒法であれば、 例 えばへキサンであれば 6 0 °Cくらいまでの範囲内で調製される。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物の剤型例としては、 軟膏剤、 液剤、 ゲル 製剤、 貼付剤等が挙げられるが、 その中でも好ましいのは、 軟膏剤、 液剤または 貼付剤であり、 特に好ましいのは液剤または貼付剤である。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、 これらの剤型を選択することにより、 有効成分であるレフルノミド類を安定に溶解させることができ、 その結果、 優れ た吸収性と薬効を発現させることができる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、 有効成分の含量均一性が担保されや すく、 かつ製造が容易であるという利点がある。
2 . 懸濁型経皮投与用医薬組成物
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、 有効成分であるレフルノミド類を懸 濁状態で含有させたものである。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物において、 経皮投与用キャリアは、 疎水 性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤から一つもしくは複数を選択した もの、 またはこれらの懸濁用基剤と製剤化に必要な他の成分との混合物からなる。 特にレフルノミド類は、 親水性、 疎水性を問わず、 種々の極性基を有する物質 に弱い親和性を有しているため、 懸濁させる 「経皮投与用キャリア」 に許容され る以上に極性基を有する物質が含まれると、 レフルノミド類の溶解性が向上し、 その結果、 保存中に結晶成長や相分離等の好ましくない形態変化を起こす。
本明細書でいう 「極性基」 とは、 具体的には、 例えば、 水酸基、 カルボキシ基、 カルボニル基、 アミノ基、 アミン基、 アンモニゥム基、 ハロゲン基、 酸性基 (例 えば、 スルホニル基、 リン酸基等) や種々の金属塩を指す。
「経皮投与用キャリア」 に用いられる、 疎水性でかつ分子内に極性基を有しな い懸濁用基剤としては、 薬理学的に許容される種々の基剤から選択できるが、 レ フルノミド類の溶解特性や安定性の面を考慮すると、 炭化水素油を選択すること が好ましく、 更に粘性の高いものがより好ましい。
「炭化水素油」 としては、 例えば、 ワセリン、 白色ワセリン、 精製ワセリン、 n—パラフィン、 イソパラフィン、 流動パラフィン、 ゲル化炭化水素、 マイクロ クリス夕リンヮヅクス、 スクァラン、 スクアレン、 ポリブテン、 ポリイソプレン などが挙げられ、 好ましいものとしては、 ゲル化炭化水素が挙げられる。
「ゲル化炭化水素」 は、 液状の炭化水素油である重質流動パラフィンをポリエ チレンによってゲル化したものであり、 プラスティベース (PLASTIBASE、 登録 商標) として市販されている。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物における 「経皮投与用キャリア」 に用い られる、 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」 の含有量は、 当 該キャリアに対して 7 0 wZw%以上、 好ましくは 8 0 wZw%以上、 より好ま しくは 9 O wZw%以上、 特に好ましくは 9 5 w/w%以上の範囲から選択され 本発明においては、 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」 を 主成分とするキャリアを選択することにより、 レフルノミド類の安定性に特に優 れた懸濁型経皮投与用医薬組成物を調製することができる。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物に用いられる有効成分であるレフルノミ ド類の形状は特に限定されない。 懸濁型製剤を調製する場合においては分散物の 一次粒子の破砕を伴わないことから、 本発明の経皮投与用キヤリア中に懸濁させ るレフルノミド類としては、 粒子径が 1 0 0 zm以下のものを選択することが好 ましい。 好ましくは実質的に全ての粒子が 1 0 0 m以下の粒子径で、 かつ平均 粒子径が 2 0 z m以下のものを選択する。 さらに好ましくは、 実質的に全ての粒 子が 2 0 zm以下の粒子径で、 かつ平均粒子径が 1 0 m以下のものを選択する。 有効成分の粒子径が 1 0 0 mを超えると、 最終的に得られる医薬組成物の均 一性や経皮的な吸収性が損なわれる恐れがある。
実質的に全ての粒子が 1 0 0 z m以下あるいは 2 0 zm以下とは、 例えば、 粒 子径を体積換算で測定した際、 全粒子の 9 0 %以上が 1 0 0 m以下あるいは 2 0 zm以下の粒子径である粒度分布を有することを示す。 また、 平均粒子径とは、 平均体積径を意味する。
また、 本明細書において平均粒子径および粒度分布は、 レーザ一回折式粒度分 布測定装置によって測定され、 その具体的な測定方法は実施例に記載したとおり ある。
所望の粒子径を得るためには、 有効成分の原体から、 ジヱットミル等を用いて 粉砕する。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、 有効成分として含有されるレフルノ ミド類が経皮投与用キャリア中に安定に懸濁している。 その含有量としては、 レ フルノミド類の溶解度等を考慮せずに広い範囲から選択することができる。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物に有効成分として含有されるレフルノミ ド類の量としては、 具体的には、 組成物の全体量に対して 0 . 0 1〜2 0 w/ w%範囲から選択され、 好ましくは 0 . 1〜1 0 w/w%の範囲から選択される。 より好ましくは 0 . 5〜1 0 w/w%の範囲から選択され、 さらに好ましくは 1 〜5 w/w%の範囲から選択される。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物の剤型としては、 従来外用剤として慣用 されている剤型のとしては、 使用する 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない 懸濁用基剤」 の粘度によって、 例えば軟膏剤、 液剤、 貼付剤等の剤型が挙げられ これらの剤型の外用剤は、 通常の基剤や粘稠剤等を用いて、 通常の方法で製造 することができる。 これらは、 例えば、 「経皮適用製剤開発マニュアル」松本 光男監修 (1985 ) 、 特許第 2651616号公報、 W 096/12465号公報、 特開平 9-27 8651号公報等の記載に従って、 製造することができる。
軟膏剤としては、 例えば油脂性の懸濁軟膏が挙げられる。
油脂性の懸濁性軟膏に用いられる 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸 濁用基剤」 としては、 例えば、 ワセリン、 白色ワセリン、 精製ワセリン、 パラフ イン、 流動パラフィン、 炭化水素、 ゲル化炭化水素、 スクアレン、 スクァラン、 ポリブテン等の極性基を有しない懸濁用基剤が挙げられる。
それ以外の成分として、 有効成分であるレフルノミド類の懸濁性や安定性を妨 げない範囲で、 例えば植物油、 動物油等の脂肪油、 脂肪酸エステル類、 脂肪族ァ ルコール類、 ポリアルキレングリコール類等の一般に軟膏用基剤として知られて いるものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物に用いることのできる 「疎水性でかつ分 子内に極性基を有しない懸濁用基剤」 以外の成分としては、 例えば、 ラノリン、 液状ラノリン、 精製ラノリン、 ミヅロウ、 サラシミヅロウ、 セバシン酸ジェチル、 アジピン酸ジィソプロピルや中鎖脂肪酸トリグリセリ ドであるトリ (カブリル酸、
力プリン酸) グリセリン、 ステアリン酸プチル、 イソステアリン酸へキサデシル、 パルミチン酸イソプロピル、 パルミチン酸イソステアリル、 ミリスチン酸イソプ 口ピル、 ミリスチン酸ォクチルドデシル、 ミリスチン酸セチル、 ォレイン酸ォレ ィル、 ォレイン酸デシル、 トリミリスチン酸グリセリン、 ヒマシ油、 硬化油、 モ ノステアリン酸グリセリン、 ステアリン酸、 イソステアリン酸、 ステアリルアル コール、 セチルアルコール、 ォレイルアルコール、 シリコーン油等が挙げられる。 目的に応じてこれらの基剤の 1つまたは複数を適宜選択することができる。
上記の 「疎水性でかつ極性基を有しない懸濁用基剤」 以外の成分の含有量は、 キヤリアに対して 3 0 w/w%を超えないようにするのが望ましい。
懸濁液剤としては、 例えば油脂性の懸濁液剤が挙げられ、 上記の軟膏と同様に 目的に応じてキャリアに用いる基剤を選択する。
油脂性の懸濁液剤に用いられる 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁 用基剤」 は、 例えば、 流動パラフィン、 炭化水素、 スクアレン、 スクァラン、 ポ リブテン等の極性基を有しない懸濁用基剤のうち、 液状であるものから選択する。 さらにそれ以外の成分として、 有効成分であるレフルノミド類の懸濁性や安定 性を妨げない範囲で、 例えば植物油、 動物油等の脂肪油、 脂肪酸エステル類、 脂 肪族アルコール類、 ポリアルキレングリコ一ル類等の一般に軟膏用基剤として知 られているものの中から液状のものを適宜選択して用いることができる。
油脂性の懸濁液剤に用いることのできる 「疎水性でかつ分子内に極性基を有し ない懸濁用基剤」 以外の成分としては、 具体的には、 例えば、 セバシン酸ジェチ ル、 アジピン酸ジイソプロピル、 トリ (力プリル酸、 力プリン酸) グリセリン等 の中鎖脂肪酸トリグリセリド、 ミリスチン酸イソプロピル、 ミリスチン酸ォクチ ルドデシル、 ォレイン酸ォレイル、 ォレイン酸デシル、 トリミリスチン酸グリセ リン、 ヒマシ油、 イソステアリン酸、 ォレイルアルコール、 シリコーン油等が挙 げられる。 目的に応じてこれらの基剤の 1つまたは複数を適宜選択し混合するこ とができる。
上記の 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」 以外の成分の含 有量は、 キャリアに対して 3 O w/w%を超えないようにするのが望ましい。
懸濁型貼付剤は、 支持体上に 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用 基剤」 を用いた粘着性の膏体を積層したものである。 支持体としては皮膚の伸縮 に自在に追随し得る柔軟な素材が好ましく、 例えば、 ポリエチレン、 ポリエチレ ンテレフ夕レート、 ポリプロピレン等のプラスティック製フィルム、 不織布、 布、 紙等の公知のものが挙げられる。
貼付剤を構成する膏体としては、 懸濁用基剤および粘着剤、 あるいは必要に応 じてさらに粘着付与剤と軟化剤を添加したものからなり、 皮膚安全性、 皮膚への 付着性等を考慮して公知のものより適時選択できる。
貼付剤に用いられる 「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」 と しては、 例えば、 ワセリン、 白色ワセリン、 精製ワセリン、 パラフィン、 流動パ ラフィン、 炭化水素、 ゲル化炭化水素、 スクアレン、 スクァラン、 ポリブテン等 が選択される。
粘着剤としては、 例えば、 アクリル系、 ゴム系、 シリコーン系等から選択する ことができる。
このうち、 アクリル系としては、 例えば (メタ) アクリル酸アルキルエステル を主体とする (共) 重合体が挙げられる。 この (共) 重合体は、 2種類以上の
(メ夕) アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよく、 また (メ夕) アクリル酸アルキルエステルと共重合しうる官能性モノマーと (メ夕) アクリル 酸アルキルエステルとの共重合体であってもよい。
ゴム系としては、 例えば天然ゴム、 ポリイソプロピレンゴム、 ポリイソプチレン ゴム、 スチレン一イソプレン一スチレンブロック共重合体、 スチレン一ブタジエン 一スチレンブロヅク共重合体等のゴム粘着剤を主成分とするものが挙げられる。 シリコーン系としては、 例えばポリジメチルシロキサン、 ジフエニルシロキサ ン等のシリコーンゴムを主成分とするものが挙げられる。
粘着付与剤としては、 ロジン、 水添ロジン、 ロジンエステル、 水添ロジンエス テル、 ポリテルペン樹脂、 油溶性フエノール樹脂等が挙げられる。
懸濁型貼付剤において、 支持体に積層する膏体の厚さは、 l〜1 0 0 0 /mの 範囲が選択され、 好ましくは 1 0〜5 0 0 mの範囲が選択される。 さらに好ま しくは 2 0 ~ 2 0 の範囲から選択される。
懸濁軟膏、 懸濁液剤または懸濁型貼付剤には、 有効成分であるレフルノミド類 の懸濁性や安定性を妨げない範囲で、 「親油性の非イオン界面活性剤」 などを添 加することもできる。
「親油性の非イオン界面活性剤」 としては、 具体的には、 例えば、 モノステア リン酸ソルビ夕ン、 モノパルミチン酸ソルビタン、 モノォレイン酸ソルビタン、 セスキォレイン酸ソルビ夕ン等のソルビ夕ン脂肪酸ェステル類、 モノステアリン 酸グリセリン、 モノイソステアリン酸グリセリン、 モノォレイン酸グリセリン等 のグリセリン脂肪酸エステル類、 バチルアルコール、 セラキルアルコール、 ひ一 モノイソステアリルグリセリルエーテル等のひ一モノアルキルグリセリルエーテ ル類、 ショ糖脂肪酸エステル類、 ポリオキシエチレンソルビ夕ンモノステアレー ト、 ポリオキシエチレンソルビ夕ンモノォレート、 ポリオキシエチレンソルビ夕 ントリオレ一ト等のポリソルべ一ト類、 ポリオキシエチレンセチルエーテル、 ポ リォキシエチレンォレイルェ一テル等のポリォキシェチレンアルキルエーテル類、 ステアリン酸ポリオキシル、 モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリオ キシエチレン脂肪酸エステル類などが挙げられる。
上記 「親油性の非イオン界面活性剤」 の含有量は、 上記の 「疎水性でかつ分子 内に極性基を有しない懸濁用基剤」以外の成分の含有量と合わせて、 キャリアに 対して 3 0 wZw%を超えないようにすることが望ましい。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物においては、 これらの親油性非イオン界 面活性剤を加えることによって、 皮膚への親和性を向上させる効果がある。
懸濁型経皮投与用医薬組成物の剤型の中で、 特に好ましいのは軟膏剤である。 本発明のレフルノミド類を含有する懸濁型経皮投与用医薬組成物は、 適度な粘 稠度を有する軟膏剤とすることにより、 有効成分としてキヤリァ中に懸濁してい るレフルノミド類の分散安定性が保持されると共に、 投与後も長期にわたって皮 膚上に留めることができ、 その結果、 優れた薬効を発現させることができる。 上記の軟膏剤、 液剤または貼付剤中に有効成分として含有されるレフルノミド 類の量としては、 剤の全体量に対して 0 . 0 1〜 2 O wZw の範囲から選択さ れ、 好ましくは 0 . 1 ~ 1 O w/w%の範囲から選択される。 より好ましくは 0 .
2〜1 0 wZw%の範囲から選択され、 さらに好ましくは l〜5 wZw%の範囲 から選択される。
本発明の懸濁型経皮投与用医菜組成物は、 有効成分であるレフルノミ ド類を特 定の懸濁用基剤中に懸濁 ·分散させて調製される。 具体的には、 例えば、 充分に 粉砕されたレフルノミド類の原末を懸濁用基剤中に添加して十分に攪拌する。 そ の後、 選択する剤型に応じて、 種々の基剤や添加剤等を加えることにより、 軟膏 剤、 液剤等の剤型とする。 温度や攪拌力などの調製条件はそれそれの剤型に適し た条件から選択すればよい。 ただし、 過剰な加温は有効成分としてキャリア中に 懸濁しているレフルノミ ド類の結晶状態を変化させてしまう可能性があるため、 例えば、 室温付近から 5 0 °Cくらいまでの範囲内で調製するのが望ましい。
軟膏剤であれば、 例えば自転公転式ミキサー (あわとり練太郎 AR- 250、 (株) シンキー製) を用いることにより、 室温付近で調製することができる。 また、 真 空乳化機等を用いて温度を制御しながら十分に攪拌することにより調製すること もできる。
また、 懸濁貼付剤の場合であれば、 例えば、 充分に粉砕されたレフルノミド類 の原末を懸濁用基剤中に添加して十分に攪拌して、 懸濁 ·分散させた後、 これを 前述のように粘着剤、 あるいは必要に応じてさらに粘着付与剤と軟化剤と混合し て調製した膏体をプラスティック製フィルム等の支持体上に積層して調製される。 貼付剤の調製法としては、 ホットメルト法と溶媒法が挙げられ、 目的に応じて適 宜選択して調製すればよい。 温度などの調製条件はそれそれの調製法に適した条 件から選択すればよい。 ただし、 過剰な加温は有効成分としてキャリア中に懸濁 しているレフルノミ ド類の結晶状態を変化させてしまう可能性があるため、 例え ば、 溶媒法を用いて室温付近から 5 0 °Cくらいまでの範囲内で調製するのが望ま しい。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物および懸濁型経皮投与用医薬組成物は、 上記のごとく優れた抗炎症作用を有するため、 治療の対象となる疾患は特に限定 されないが、 特に慢性関節リウマチまたは関節炎の治療用として優れている。 また、 その投与部位は、 皮膚であればどの部位に塗布してもかまわないが、 患 部またはその近傍の皮膚に塗布することが好ましい。
用量は患者の年齢、 体重、 性別、 症状、 剤型、 投与部位により適宜選択される。 通常は成人に対して、 レフルノミド類として lmg〜: LOg/日となるように投与 する。
実施例
以下に、 本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらの例 によって何ら限定されるものではない。
なお、 懸濁型経皮投与用医薬組成物の調製にはジエツトミルを用いて粉砕した レフルノミドを使用した。 この原末を、 レーザー回折式粒度分布測定装置 (SAL D-3000、 島津製作所 (株) 製) で分析したところ、 平均粒子径は 7〃mであり、 9 0 %以上の粒子が 2 0 m以下に含まれていた。 (測定条件:乾式、 屈折率: 1.70-0.00i )
実施例 1
レフノレノミド溶解液剤 ( 1 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 9 9 gを約 4 0 °Cに加温し、 攪拌しながらレフルノミド 1 gを加えた。 溶解を確認し た後、 室温まで冷却し、 レフルノミドの 1 %溶解液剤 Aを得た。
実施例 2
レフノレノミド溶解液剤 (2 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP、 日光ケミカルズ (株) ) 9 5 gを約 4 0 °Cに加温し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを加えた。 溶解を確認し た後、 室温まで冷却し、 レフルノミドの 5 %溶解液剤 Bを得た。
実施例 3
レフルノミド溶解液剤 (3 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 5 0 gとアジピン酸ジイソプロピル (商品名 : NIKKOL DID、 日光ケミカルズ (株) ) 4 5 gを室温で混合し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを加えた。 溶解 を確認し、 レフルノミ ドの 5 %溶解液剤 Cを得た。
実施例 4
フルノミ ド溶解液き II
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品名:ァ デカプル口ニック L- 44、 旭電化工業 (株) 製) 95 gを攪拌しながら、 室温で レフルノミド 5 gを加えた。 溶解を確認し、 レフルノミドの 5%溶解液剤 Dを得
/ ο
実施例 5
レフルノミ ド溶解液剤 (5)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品名:ァ デカプル口ニック L- 44、 旭電化工業 (株) 製) 9 O gを攪拌しながら、 室温で レフルノミド 10 gを加えた。 溶解を確認し、 レフルノミドの 10%溶解液剤 E を得た。
実施例 6
レフルノミ ド溶解液剤 (6)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP 日光ケミカルズ (株) ) 55 gとポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品名: アデカプル口ニック L-44、 旭電化工業 (株) 製) 4 O gを室温で混合し、 攪拌 しながらレフルノミド 5 gを加えた。 溶解を確認し、 レフルノミドの 5%溶解液 剤 Fを得た。
実施例 7
レフルノミ ド溶解液剤 (7)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 95 gとひ—モノイソステアリルグリセリルェ一テル (商品名:ぺネトール GE- IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを室温で混合し、 レフルノミ ド 2. 5 gを加えた。 溶解 を確認し、 レフルノミドの 2. 5%溶解液剤 Gを得た。
実施例 8
レフルノミ ド溶解液剤 (8)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP、 日光ケミカルズ (株) ) 92.
5 gとひ一モノイソステアリルグリセリルエーテル (商品名:ぺネトール GE- IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを室温で混合し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを加え た。 溶解を確認し、 レフルノミ ドの 5%溶解液剤 Hを得た。
実施例 9
レフルノミ ド溶解液剤 (9)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品名:ァ デカプルロニヅク L-44、 旭電化工業 (株) 製) 9 2. 5 gと α—モノイソステ ァリルグリセリルエーテル (商品名:ぺネトール GE-IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを室温で混合し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを加えた。 溶解を確認し、 レ フルノミ ドの 5 %溶解液剤 Iを得た。
実施例 1 0
レフルノミ ド溶解液剤 ( 1 0)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 5 2. 5 gとエタノール 4 2. 5 gを室温で混合し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを 加えた。 溶解を確認し、 レフルノミドの 5 %溶解液剤 Jを得た。
実施例 1 1
レフルノミド溶解液剤 ( 1 1 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP、 日光ケミカルズ (株) ) 40 g:、 アジピン酸ジイソプロピル (商品名 : NIKKOL DID, 日光ケミカルズ (株) ) 1 2 g、 ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコー ル (商品名:アデカプルロニヅク L - 44、 旭電化工業 (株) 製) 3 0 g、 プロピ レングリコール (旭電化工業 (株) 製) 1 3 gおよび α—モノイソステアリルグ リセリルエーテル (商品名:ぺネト一ル GE- IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを室温 で混合し、 攪拌しながらレフルノミド 2. 5 gを加えた。 溶解を確認し、 レフル ノミドの 2. 5 %溶解液剤 Kを得た。
実施例 1 2
レフルノミ ド溶解液剤 ( 1 2 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP、 日光ケミカルズ (株) ) 4 0 g、 アジピン酸ジイソプロピル (商品名 : NIKKOL DID, 日光ケミカルズ
(株) ) 1 2 g、 中鎖脂肪酸トリグリセリ ド (商品名 : 0D0、 日清オイリオ
(株) 製) 3 0 g、 ミリスチン酸イソプロピル (商品名: NIKKOL IPM- 100、 日 光ケミカルズ (株) ) 1 3 gおよび 一モノイソステアリルグリセリルエーテル
(商品名:ベネトール GE-IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを室温で混合し、 攪拌し ながらレフルノミド 2. 5 gを加えた。 溶解を確認し、 レフルノミドの 2. 5% 溶解液剤 Lを得た。
実施例 13
レフルノミド溶解液剤 (13)
アジピン酸ジイソプロピル (商品名: NIKKOL DID, 日光ケミカルズ (株) ) 12 g、 ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品 名:アデカプル口ニック L-44、 旭電化工業 (株) 製) 53 g、 プロピレングリ コール (旭電化工業 (株) 製) 30gおよびひ一モノイソステアリルグリセリル エーテル (商品名:ぺネトール GE- IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを室温で混合し、 攪拌しながらレフルノミド 2. 5 gを加えた。 溶解を確認し、 レフルノミ ドの 2. 5%溶解液剤 Mを得た。
実施例 14
レフルノミ ド溶解液剤 (14)
アジピン酸ジイソプロピル (商品名: NIKKOL DID, 日光ケミカルズ (株) ) 34. 5 g ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品名:アデカプル口ニック L- 44、 旭電化工業 (株) 製) 30 g、 マクロゴ —ル 400 (商品名:マクロゴール 400、 日本油脂 (株) 製) 27. 5g、 a 一モノォレイルグリセリルエーテル (商品名: NIKKOL セラキルアルコール、 日 光ケミカルズ (株) ) 2. 5 gを 40°Cに加温して混合し、 攪拌しながらジブチ ルヒドロキシトルエン (商品名:ヨシノックス BHT、 (株) ェ一ピ一アイコ一 ポレーシヨン製) 0. 5 gをカロえ、 完全に溶解した後、 さらにレフルノミド 5g を加えた。 溶解を確認し、 レフルノミドの 5%溶解液剤 Nを得た。
実施例 15
レフルノミド溶解液剤 (15)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 65 gとレフルノミド 5 gを室温で混合、 攪拌し、 レフルノミ ドを溶解させた。 攪拌 しながらさらに流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 30gをカロえ、 レフルノミ ドの 5%溶解液剤 0を得た。
実施例 16
レフルノミド溶解液剤 (16)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 40 gとレフルノミ ド 2. 5gを室温で混合、 攪拌して、 溶解を確認した。 さらに攪 拌しながら、 アジピン酸ジイソプロピル (商品名: NIKKOL DID、 日光ケミカル ズ (株) ) 12 g、 中鎖脂肪酸トリグリセリ ド (商品名: 0D0、 日清オイリォ (株) 製) 30g、 流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 13 gおよび ひーモ ノイソステアリルグリセリルエーテル (商品名:ぺネトール GE-IS、 花王 (株) 製) 2. 5 gを加えて均一に溶解し、 レフルノミ ドの 2. 5%溶解液剤 Pを得た。 実施例 17
レフルノミド溶解軟膏剤 (1)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール (商品名:ァ デカプル口ニック L- 44、 旭電化工業 (株) 製) 50 g、 マクロゴール 400 (商品名:マクロゴール 400、 日本油脂 (株) 製) 10g、 アジピン酸ジイソ プロピル (商品名: NIKKOL DID, 日光ケミカルズ (株) ) 10gとレフルノミ ド 5 gを室温下で混合、 溶解し、 約 60°Cに加温した。 これを、 あらかじめ約 7 0°Cに加温、 融解したマクロゴール 4000 (商品名:マクロゴール 4000、 日本油脂 (株) 製) 14 gとステアリルアルコール (商品名:カルコ一ル 8688、 花王 (株) 製) 11 gの混合物中に攪拌しながら徐々に添加した。 攪拌しながら、 固まるまで徐々に冷却し、 レフルノミドの 5%溶解軟膏剤 Qを得た。
実施例 18
レフルノミド溶解軟膏剤 (2)
マクロゴール 400 (商品名:マクロゴール 400、 日本油脂 (株) 製) 45 gとレフルノミ ド 5gを室温下で混合、 溶解し、 約 60°Cに加温した。 これを、 あらかじめ約 60°Cに加温し、 融解したマクロゴール 4000 (商品名:マクロ ゴール 4000、 日本油脂 (株) 製) 50 g中に攪拌しながら徐々に添加し、 溶 融確認した。 攪拌しながら、 固まるまで徐々に冷却し、 レフルノミドの 5%溶解 軟膏剤 Rを得た。
実施例 19
レフルノミド溶解ゲル製剤
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 8 0 gを約 4 0 °Cに加温し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを加えて、 溶解を確認し た。 これにジメチルジステアリルアンモニゥムヘクトライ ト (商品名:ル一セン タイト SAN、 コープケミカル (株) 製) 1 5 gを加えて、 十分に攪拌しながら冷 却し、 レフルノミドの 5 %溶解ゲル製剤 Sを得た。
実施例 2 0
レフルノミド溶解貼付剤 ( 1 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP, 日光ケミカルズ (株) ) 2 0 gを約 4 0 °Cに加温し、 攪拌しながらレフルノミド 2 . 5 gを加えて、 溶解を確 認した。 さらに攪拌しながら、 ひ一モノイソステアリルグリセリルエーテル (商 品名:ぺネト一ル GE- IS、 花王 (株) 製) 2 . 5 gを加えて均一に溶解し、 レフ ルノミド溶解液を調製した。 別に、 スチレン一イソプレン一スチレンプロヅク共 重合体 (商品名: KRATON D-1107CP, クレイトンポリマージャパン (株) ) 4 0 gおよび水添ロジンエステル誘導体 (商品名:エステルガム H、 荒川化学工業 (株) ) 1 2 . 5 gを加熱して混合し、 均一に溶融したことを確認した後、 さら にセバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 2 2 . 5 gを加えて溶解したものに、 上記のレフルノミド溶解液を混合し、 レフルノミ ドの 2 . 5 %溶解貼付剤 T (膏体) を得た。
実施例 2 1
レフルノミ ド溶解貼付剤 (2 )
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP, 日光ケミカルズ (株) ) 2 0 gを約 4 0 °Cに加温し、 攪拌しながらレフルノミド 5 gを加えて、 溶解を確認し た。 さらに攪拌しながら、 一モノイソステアリルグリセリルエーテル (商品 名:ぺネトール GE-IS、 花王 (株) 製) 2 . 5 gを加えて均一に溶解し、 レフル ノミド溶解液を調製した。 別に、 スチレン一イソプレン一スチレンブロック共重 合体 (商品名: KRATON D-1107CP, クレイ トンポリマージャパン (株) ) 4 0 g および水添ロジンエステル誘導体 (商品名:エステルガム H、 荒川化学工業
(株) ) 1 2 . 5 gを加熱して混合し、 均一に溶融したことを確認した後、 さら
にセバシン酸ジェチル (商品名:NIKK0L DES-SP, 日光ケミカルズ (株) ) 20 gを加えて溶解したものに、 上記のレフルノミド溶解液を混合し、 PETフィル ム (片面コロナ放電処理品、 藤森工業 (株) ) に塗布した後、 約 80°Cで乾燥す ることにより、 レフルノミドの 5%溶解貼付剤 Uを得た。
実施例 22
レフルノミド懸濁軟膏 (1)
プラスティべ一ス (商品名:プラスティベース、 ブリストル製薬 (株) 製) 9
5 gにレフルノミド 5 gを加え、 室温下で十分に攪拌し、 脱泡し、 レフルノミド
5%懸濁軟膏 aを得た。
実施例 23
レフルノミ ド懸濁軟膏 (2)
プラスティベース (商品名 プラスティベース、 ブリストル製薬 (株) ) 99 gにレフルノミ ド 1 gを加え 室温下で十分に攪拌し、 脱泡し、 レフルノミ ド
1%懸濁軟膏 bを得た。
実施例 24
レフルノミド懸濁軟膏 (3)
精製白色ワセリン (商品名:サンホワイト P- 200、 日興リカ (株) 製) 85g と流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 1 Ogとを混合し、 約 70°Cに加温して 溶融させた。 攪袢しながら徐々に冷却し、 約 50°Cでレフルノミド 5 gを加え、 10分間攪拌した。 攪拌しながら固まるまで徐々に冷却し、 レフルノミ ド 5%懸 濁軟膏 cを得た。
実施例 25
レフルノミ ド懸濁軟膏 (4)
プラスティべ一ス (商品名:プラスティベース、 ブリストル製薬 (株) ) 85 gとひ一モノイソステアリルグリセリルエーテル (商品名:ぺネト一ル GE-IS、 花王 (株) 製) 10 gおよびレフルノミド 5 gを加え、 室温で十分に攪拌し、 脱 泡し、 レフルノミド 5%懸濁軟膏 dを得た。
実施例 26
レフルノミ ド懸濁軟膏 (5)
精製ワセリン (商品名:サンホワイ ト P-150、 日興リカ (株) 製) 85gとミ リスチン酸イソプロピル (商品名: NIKKOL IPM- 100、 日光ケミカルズ (株) ) 10 gおよびレフルノミド 5 gを加え、 室温下で十分に攪拌し、 脱泡し、 レフル ノミド 5%懸濁軟膏 eを得た。
実施例 27
レフルノミ ド懸濁液剤 (1)
スクァラン (商品名:スーパ一スクァラン、 (株) スクァテヅク製) 95 に レフルノミ ド 5 gを加え、 室温で十分に攪拌し、 レフルノミド 5%懸濁液剤 fを 得た。
実施例 28
レフルノミ ド懸濁液剤 (2)
流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 95 gにレフルノミド 5 gを加え、 室温 で十分に攪拌し、 レフルノミド 5 %懸濁液剤 gを得た。
比較例 1
レフルノミ ド溶解液剤 (17)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 35 gとレフルノミド 5 gを 40°Cで混合、 攪拌した。 レフルノミドを完全に溶解さ せた。 攪拌しながらさらに流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 60gを加え、 レフルノミ ド 5 %溶解液剤 Vを得た。
比較例 2
レフルノミド溶解液剤 (18)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP、 日光ケミカルズ (株) ) 50 gとレフルノミド 5 gを 40°Cで混合、 攪拌し、 レフルノミドを溶解させた。 攪 拌しながらさらに流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 45gをカロえ、 レフルノ ミドの 5 %溶解液剤 Wを得た。
比較例 3
レフルノミ ド溶解液剤 (19)
セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES- SP、 日光ケミカルズ (株) ) 45 gとレフルノミド 5 gを室温で混合、 攪拌し、 レフルノミドを溶解させた。 攪拌
しながらさらにスクァラン 5 0 g (商品名:ス一パースクァラン、 (株) スクァ テック製) を加え、 レフルノミドの 5 %溶解液剤 Xを得た。
比較例 4
レフルノミ ド懸濁液剤 (3 )
スクァラン (商品名:スーパ一スクァラン、 (株) スクァテヅク製) 5 5 gに セバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP, 日光ケミカルズ (株) ) 4 0 g を加えて均一化した後、 レフルノミド 5 gを加えた。 室温で十分に攪拌し、 レフ ルノミドの 5 %懸濁液剤 hを得た。
比較例 5
レフルノミド懸濁液剤 (4 )
流動パラフィン (油化産業 (株) 製) 6 5 gにセバシン酸ジェチル (商品名: NIKKOL DES-SP, 日光ケミカルズ (株) ) 3 0 gを加えて均一化した後、 レフル ノミド 5 gを加えた。 室温で十分に攪拌し、 レフルノミドの 5 %懸濁液剤 iを得 た。
試験例 1
レフルノミ ド外用剤のアジュバント関節炎に対する治療効果 ( 1 )
日本チヤ一ルスリバー株式会社より購入した 6週齢の Lewis系雄性ラヅトを 用いて、 本実験を行った。
アジュバント関節炎は、 Mycobacterium butyricum死菌菌体 (Difco) を 0 . 5 %の濃度になるよう流動パラフィンで懸濁したものを 0 · 2 m lずつェ一テ ル麻酔下でラッ卜の右側後肢足躕皮下に注入し、 作成した。 注射後 1 7日目に左 側後肢に浮腫を呈する動物を選択し、 左側後肢容積と体重を基準にして群分けし た。 被験物質は群分け当日から 1日 1回、 連続 5日間塗布した。 また、 ラットが 肢を舐めるのを防止するため塗布部を、 アルミホイルを用いてカバ一した。 最終 塗布の約 5時間後に水置換法にて両側後肢容積を測定し、 群分け時との差を算出 し評価した。
群構成は以下の表 1のとおりとした。
なお、 レフルノミド外用剤は実施例で調製したものを用い、 各試料に対応する 製剤ブランクは同組成でレフルノミドを除いて調製したものを使用した。
表 1 評価試験の群構成
a) l回に片肢に 100mg、 両肢で 200mg塗布した。 試験結果を表 2および図 1、 2に示す。
a)増加量の単位: m l , 平均土 S D 結果に示した通り、 レフルノミドの溶解液剤及び懸濁軟膏は 1日 1回塗布でプ ランクと比較して高い浮腫抑制作用を示した。
一般に、 アジュバント関節炎モデルを用いて抗リゥマチ作用を評価する場合は 、 注射足 (浮腫側) だけでなく、 むしろ非注射足に対する抑制作用が、 より重視
される o
表 2の結果は、 本発明のレフルノミド含有製剤は非注射足側においても高い浮 腫抑制作用を示している。
試験例 2
レフルノミド外用剤のアジュバント関節炎に対する治療効果 (2 )
試験例 1に従って、 種々の組成を有するレフルノミド外用剤のアジュバント閧 節炎に対する治療効果を評価した。
群構成は以下の表 3のとおりとした。 結果を表 4および図 3、 4に示す。 なお、 各試料に対応する記号を付与した製剤ブランクは、 同組成でレフルノミ ドを除いて調製したものを使用した。 表 3 評価試験の群構成
a) 1回に片肢に 100mg、 両肢で 200mg塗布した。
表 4 レフルノミド外用剤の浮腫抑制効果
a)増加量の単位: m 1、 平均土 S D 結果に示した通り、 本発明のレフルノミド含有製剤はいずれの製剤も 1日 1回 塗布で浮腫抑制作用を示した。
さらに、 ひ—モノアルキルグリセリルエーテルを添加した処方では、 未添加の 処方と比較して、 浮腫抑制作用が著しく高まっていることがわかる。
以上の結果より、 レフルノミドは、 特定の基剤中に含有させて経皮投与するこ とで、 優れた薬効を示す。
試験例 3
レフルノミド溶解液剤のアジュバント関節炎に対する治療効果 (3 )
試験例 1に従って、 種々の組成を有するレフルノミド溶解液剤のアジュバント 関節炎に対する治療効果を評価した。
群構成は以下の表 5のとおりとした。 結果を表 6および図 5、 6に示す。 また、 試験前後における体重変化を表 7および図 7に示す。
なお、 各試料に対応する記号を付与した製剤ブランクは、 同組成でレフルノミ ドを除いて調製したものを使用した。
表 5 評価試験の群構成
a) 1回に片肢に 100mg、 両肢で 200mg塗布した。 レフルノミド外用剤の浮腫抑制効果
a)増加量の単位: m 1、 平均土 S D 結果に示した通り、 本発明のレフルノミドの溶解液剤はいずれの製剤も 1曰 1 回塗布でブランクと比較して高い浮腫抑制作用を示した。
レフルノミド外用剤の体重増加に対する影響
a)増加量の単位: g、 平均土 S D 結果に示した通り、 製剤ブランクでは体重の減少が認められたが、 レフルノミ ド溶解液剤ではいずれの製剤も体重増加した。 体重減少は、 レフルノミドの副作 用の一つとして知られている。
以上の結果より、 本発明のレフルノミド含有製剤は、 特定の基剤中に溶解状態 で含有させることにより、 優れた薬効を示すことに加え、 安全性の面でも優れて いることがわかる。
試験例 4
レフルノミ ド溶解液剤のアジュバント関節炎に対する治療効果 (4 )
試験例 1に従って、 種々の組成を有するレフルノミド溶解液剤と、 レフルノミ ド溶解貼付剤のアジュバント関節炎に対する治療効果を評価した。 ただし、 貼付 剤 Uは後肢全体を包むように貼付し、 さらに貼付剤がずれるのを防止するため、 包帯で固定した。 さらに、 貼付剤 Tの場合はラット後肢へ完全に密着させること が困難なため、 支持体を除いた膏体のみを投与した。
群構成は以下の表 8のとおりとした。 結果を表 9および図 8、 9に示す。 なお、 各試料に対応する記号を付与した製剤ブランクは、 同組成でレフルノミ ドを除いて調製したものを使用した。
表 8 評価試験の群構成
a) 1回に片肢に 100mg、 両肢で 200mg塗布した。
b) 1回に片肢に膏体量として 100mg、 両肢で 200ragとなるように貼付した。 c) l回に片肢に膏体量として 50mg、 両肢で lOOmgとなるように貼付した。 レフルノミド外用剤の浮腫抑制効果
a)増加量の単位: m l、 平均土 S D
結果に示した通り、 本発明のレフルノミドの溶解型製剤はいずれの製剤も 1日 1回の投与でブランクと比較して高い浮腫抑制作用を示した。
また、 貼付剤 Uも結果として完全に密着させることができなかったにもかかわ らず、 プランクと比較して十分な浮腫抑制作用を示した。
試験例 5
レフルノミド溶解液剤を経皮投与した場合の血中濃度の測定
試験例 1と同様に作成したアジュバント関節炎ラヅ トに実施例で示したレフル ノミド外用剤を単回投与したときの、 レフルノミ ドの血清中濃度を LC—MSZ MSを用いて測定した。 また、 同時にレフルノミドを単回経口投与 (20mg/kg)し た時の血清中濃度を測定し、 比較した。
群構成を表 10に、 結果を表 1 1および図 10に示した。 表 10 評価試験の群構成
a)片肢に 100mg、 両肢で 200mgを 1回塗布した
表 1 1 アジュバント関節炎ラヅ トにおける薬物動態パラメ一夕
a) 血中薬物濃度下面積 [AUC((1
b)最高血清中濃度
c) 最高血清中濃度到達時間
結果に示した通り、 レフルノミド溶解液剤は、 経口投与と比較して Cmaxは 1 / 2以下に低く抑えられているにもかかわらず、 t maxは 4倍に、 A U C (°—T)は 約 2倍に向上しているのがわかる。 また、 レフルノミド懸濁軟膏は、 経口投与と 比較して A U C ( τ)はほぼ同等であるにもかかわらず、 Cmaxは 1 / 5以下に抑 えられ、 かつ t maxは 8倍も改善されていることがわかる。
以上の結果より、 本発明の経皮投与用医薬組成物は副作用や持続性の点でも優 れた製剤であることがわかる。
試験例 6
レフルノミ ド溶解液剤の安定性評価 ( 1 )
実施例 2、 6、 8、 1 2で調製した各製剤について、 苛酷条件下で安定性試験 を行つ,こ。 .
すなわち、 上記の各試料を 1 O m L容ガラス製ねじ口試験管 (N R— 1 0、 マ ルェム (株) 製) に 3 m L入れて密栓し、 6 0 °C恒温槽に保存した。 保存後 3週 目および 6週目にそれぞれ取り出し、 液体クロマトグラフィ分析を行った。
安定性は、 別途調製したレフルノミド標準溶液を同時に分析し、 標準溶液のレ フルノミドピーク面積値を 1 0 0とした場合の各試料の不純物ピーク面積値の合 計を類縁物質含量 (%) とし、 イニシャル値との比較を行うことにより評価した。 なお、 この類縁物質量には基剤由来ピークも含まれている。
結果を表 1 2に示した。 表 1 2 レフルノミ ド溶解液剤の安定性
表 1 2より明らかなように、 本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、 いずれ も高い安定性を示すことがわかる。
試験例 7
レフルノミド溶解液剤の安定性評価 (2)
実施例 1〜 16で調製した溶解液剤 A〜Pおよび比較例 1〜3で調製した溶解 液剤 V~Xについて、 それそれガラス製ねじ口試験管 (NR— 10、 マルェム (株) 製) に入れて密栓し、 5°Cの保冷庫に保存したものを、 1、 3、 5、 7、 14、 21、 28日後のそれそれ一定の時間に取り出し、 さらに室温に 2時間放 置した後に結晶析出の有無を肉眼で観察した。 その結果、 実施例 1〜16で調製 した溶解液剤 A〜Pはいずれも結晶等の固形物の析出が一切認められなかった。 一方、 比較例 1から 3で調製した溶解液剤 V、 Wおよび Xについては、 同様の 試験でいずれも 3日以内にレフルノミ ドの結晶析出や相分離が認められた。 本結果より、 本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、 経皮投与用キャリア中 に有効成分が安定に溶解していることが確認された。
試験例 8
レフルノミ ド懸濁軟膏の安定件評価 ( 1)
実施例 22および 23で調製された製剤 (5%レフルノミド懸濁軟膏 a、 1% レフルノミ ド懸濁軟膏 b) について、 苛酷安定性試験を行い、 有効成分の安定性 を評価した。
すなわち、 試料を 10 gアルミチューブ (関西チューブ (株) 製) に充填して 密栓し、 60°C恒温槽に保存した。 保存後 2週目および 4週目にそれそれ取り出 し、 液体クロマトグラフィによる分析を行った。 安定性は、 レフルノミドのピー ク面積に対する不純物ピークの割合の合計を類縁物質含量とし、 イニシャル値と の比較を行うことにより評価した。 試験は η= 3で実施し、 平均値を算出した。 結果を表 13に示した。 表 13 レフルノミド懸濁軟膏の苛酷安定性
平均類縁物質含量 (%)
試料
イニシャル 60°Cx2weeks 60°Cx4 eeks
実施例 22 0. 18 0. 19 0. 19
実施例 23 0. 18 0. 19 0. 19
1385
6 0 °Cでの苛酷安定性試験の結果、 表 1 3より明らかなように、 本発明の懸濁 型経皮投与用医薬組成物は高い安定性を示すことがわかる。
なお、 各試料共に、 キャリア中に懸濁している結晶の粒子径は、 6 0 °Cで 6週 経過しても変ィ匕がなかった。
試験例 9
レフルノミド懸濁軟膏の安定性評価 (2 )
実施例 2 2および 2 3で調製された製剤 (5 %レフルノミド懸濁軟膏 a、 1 % レフルノミド懸濁軟膏 b ) について、 長期保存安定性試験を行い、 有効成分の安 定性を評価した。
すなわち、 試料を 1 0 gアルミチューブ (関西チューブ (株) 製) に充填して 密栓し、 5 °C保冷庫に保存した。 保存後 4ヶ月目および 6ヶ月目にそれぞれ取り 出し、 液体クロマトグラフィによる分析を行った。 安定性は、 レフルノミドのピ —ク面積に対する不純物ピークの割合の合計を類縁物質含量とし、 イニシャル値 との比較を行うことにより評価した。 試験は n = 3で実施し、 平均値を算出した。 結果を表 1 4に示した。 レフルノミド懸濁軟膏の長期安定性
5 °Cでの長期安定性試験の結果、 表 1 4より明らかなように、 本発明の懸濁型 経皮投与用医薬組成物は高い安定性を示すことがわかる。
なお、 各試料共に、 懸濁している結晶の粒子径は、 5 °Cで 6ヶ月経過後も変化 がなかった。
試験例 1 0
レフルノミ ド懸濁液剤の安定性評価
実施例 2 7および 2 8、 比較例 4および 5で調製した各液剤を用いて、 結晶形 態の安定性試験を行った。
すなわち、 1 O mL容ガラス製フ夕付試験管に充填、 密栓した各試料を、 振と うしながら 4 0 °C水浴中で加温し、 6時間後に取り出した後、 試験管に沈降した レフルノミド結晶を肉眼観察した。 その結果、 実施例 2 7および 2 8の試料は比 較例 4および 5の試料と比較して明らかに結晶量の減少が認められた。
次いで、 それらの試料を 5 °C保冷庫中で 3日間保存し、 取り出したサンプルに ついて、 光学顕微鏡を用いて懸濁結晶の形態観察を行い、 別途調製直後より 5 °C で保管しておいたものと比較した。
その結果、 実施例 2 7および 2 8で調製した液剤では結晶の形態変化が見られ なかったのに対し、 比較例 4および 5で調製した液剤では 1 0 0 // m以上の結晶 が多数観察され、 結晶形態が明らかに変化していることが確認された。
以上の結果より、 本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、 安定性に優れた製 剤であることがわかる。
試験例 1 1
レフルノミ ド懸濁軟膏のアジュバント関節炎に対する治療効果
日本チヤ一ルスリバ一株式会社より購入した 6週齢の Lewis 系雄性ラヅトを 用いて、 本実験を行った。
アジュバント関節炎は Mycobacterium butyricum 死菌菌体 (Difco) を 0 . 5 %の濃度になるよう流動パラフィンで懸濁したものを 0 . 2 m lずつェ一テ ル麻酔下でラットの右側後肢足躕皮下に注入し作成した。 注射後 1 7日目に左側 後肢に浮腫を呈する動物を選択し、 左側後肢容積と体重を基準にして群分けした。 被験物質は群分け当日から 1日 1回、 連続 5日間塗布した。 また、 ラットが肢を 舐めるのを防止するため塗布部をアルミホイルを用いて軽くカバ一した。 最終塗 布の約 5時間後に水置換法にて両側後肢容積を測定し、 群分け時との差を算出し 評価した。
群構成は以下の表 1 5のとおりとした。
なお、 レフルノミド懸濁軟膏は実施例で調製したものを用い、 製剤ブランクは 同組成でレフルノミドを除いたものを使用した。
1385 表 15 評価試験の群構成
a) 1回に片肢に 100mg、 両肢で 200mg塗布した。 試験結果を表 16に示す。 レフルノミ ド懸濁軟膏の浮腫抑制効果
a)増加量の単位: m 1、 平均土 S D 結果に示した通り、 本発明のレフルノミド懸濁軟膏は 1日 1回塗布で明らかに 浮腫抑制作用を示した。
産業上の利用可能性
本発明のレフルノミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容され る塩を含有する経皮投与用医薬組成物は、 直接患部およびその近傍の皮膚に投与 することで、 有効な抗炎症、 抗リウマチ効果を示すことができる。 本出願は、 日本で出願された特願 2003-286418および特願 2003 -289457を基礎としており、 その内容は本明細書にすべて包含されるもの める。