ホメオボックス遺伝子の発現による癌の判定方法 技術分野
本発明は、 ホメォボックス遺伝子の発現量および発現パターンを測定することにより、 癌の存在、 癌の転移の可能性、 癌の浸潤の可能性、 または癌の進行度を判定および Zま たは診断する方法、 およびキットに関する。 背景技術
ホメオボックス遺伝子は、 胚発生の形態形成のマスタ一調節遺伝子であり、 転写因子 をコードしている。 ホメォボックス遺伝子の 1ファミリーである HO X遺伝子群は、 4 つの染色体に存在し、 各染色体上には 9から · 1 1個の遺伝子からなるクラスターを形成 している。 現在、 Η Ο Χファミリーに属する遺伝子は、 ヒトでは 3 9個の遺伝子が同定 されている。 3 9個の ΗΟ Χ遺伝子は、 胚発生の形態形成過程では時間的、 空間的に統 制のとれた発現パターンを示す。 Η Ο Χ遺伝子は、 細胞の持つ位置情報 (番地) の担い 手であり、 その発現パターンが発現領域における組織構築や機能の特異化を決定してい る。 Η Ο Χ遺伝子は、 胎生期だけでなく成体においても臓器、 組織に特徴的な発現バタ —ンを示し、 組織構築や機能の維持に一役を担つていると考えられる。
—方、 一般に癌が転移性および Ζまたは浸潤性のものであるかどうかを判定およぴ/ または診断することは容易ではなく、 さらにどの部位に転移するのかを事前に判定およ ぴ Ζまたは診断することは、 事実上不可能である。 また、 癌の存在やその進行度を判定 および Ζまたは診断する方法については、 多くの提案がなされているが、 まだ改善の余 地がある。
ところで、 癌と ΗΟ Χ遺伝子の発現との関連については、 いくつかの報告がなされて いる (例えば、 Cillo C, et al, J. Cell Physiol 188:161-169, 2001; CiUo C, Invasion Metastasis 14:38-49, 1994-95; Tiberi C, et al, Int. J. Cancer 58:608-615, 1994; Calvo R, et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:12776-12781, 2000; Taniguc i Y, et al, Bioscim Ciophys Acta 1132:332-334, 1992) 。 し力 し、 これらの報告には、 HO X遺 伝子の発現量を測定し、 これに基づいて癌の存在、 癌の転移の可能性、 癌の浸潤の可能
性、 癌の進行度を判定および/または診断することについては記载されていない。 また、 複数の H O X遺伝子の発現量を用いることにより、 これらの判定および/または診断の 精度が向上することについても知られていない。 発明の開示
(発明が解決しようとする課題)
本発明の課題は、 癌の存在、 癌の転移の可能性、 癌の浸潤の可能性、 および癌の進行 度を判定および Zまたは診断するための有用な方法およびキットを提供することにある。
(課題を解決するための手段)
癌における組織構築の乱れや浸潤、 転移といった現象は、 細胞の持つ位置情報 (番 地) の異常が原因と捉えることができる。 即ち、 間違った番地には住めないから癌細胞 は原発巣から出て行き、 番地にあった転移巣へ移住するというのが浸潤、 転移であると 考えることができる。 したがって、 HOX遺伝子によって位置情報が決められているの であれば、 癌組織の HO X遺伝子の発現バタ ンを解析すれば、 その癌が転移しやすい の力 \ またどこのβに転移するのかわかるはずである。 本発明者らは、 上記の発想の 下に研究を進めた結果、 H O X遺伝子の発現量を測定し、 これをあらかじめ決定した閾 値 H O X遺伝子の発現量と比較することにより、 癌の存在、 癌の転移の可能性、 癌の浸 潤の可能性、 および癌の進行度を判定およびノまたは診断できることを見出し、 本発明 を完成させた。
即ち、 本発明は、 癌の存在、 癌の転移の可能性、 癌の浸潤の可能性、 または癌の進行 度を判定および Zまたは診断する方法であって、
( 1 ) 被験者から採取した組織の少なくとも 1つの HO X遺伝子の発現量を測定するェ 、
( 2 ) 前記 H O X遺伝子の発現量を対応する閾値 H O X遺伝子発現量と比較する工程、 を含み、
ここで、 前記 HO X遺伝子の発現量が閾値 HOX遺伝子発現量より高い場合または低い 場合に、 癌が存在する、 癌の転移の可能性がある、 癌の浸潤の可能性がある、 または、 癌が進行している、 と判定および Zまたは診断される方法、 に関連する。
さらに、 本発明は、 HO X遺伝子の発現量を測定する手段を備えた、 癌の存在、 癌の 転移の可能性、 癌の浸潤の可能性、 癌の進行度を判定およびノまたは診断するためのキ
ットに関連する。 図面の簡単な説明
図 1は、 ヒトの正常臓器の各 HOX遺伝子の発現量を測定した結果を示す。
図 2は、 甲状腺癌糸 ¾胞株 8株 (IAA, MSA, K~ 119, ROA, KOA~2, 8 305 C, 8505 C, TCO— 1) と正常甲状腺における HOX遺伝子の発現量を測 定した結果を示す
図 3は、 ヒト甲状腺癌細胞の浸潤能を評価した結果を示す。
図 4は、 ヒト甲状腺細胞の浸潤能と HOX遺伝子の発現量との関係を示す。
図 5は、 ヒ ト胃癌組織における HOX遺伝子の発現量を示す。
図 6は、 リンパ節転移または肝転移のあるヒト胃癌組織における H O X遺伝子の発現量 を示す。
—図 7は、 ヒト肝癌組織における H-OX遺伝子の発現量を示す。
図 8は、 浸潤によるヒト肝癌組織における HOX遺伝子の発現量および各進行度におけ るヒ ト肝癌組織における HOX遺伝子の発現量を示す。
図 9は、 ヒト乳癌組織における HOX遺伝子の発現量を示す。
図 10は、 検体別のヒト乳癌組織における HOX遺伝子の発現量を示す。
図 1 1は、 ヒト大腸癌組織における HOX遺伝子の発現量を示す。
図 12は、 検体別のヒト大腸癌組織における HOX遺伝子の発現量を示す。
図 13は、 肝転移のあるヒト大腸癌組織における H〇X遺伝子の発現量を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明において、 HOX遺伝子の発現量を測定する方法または手段としては、 その発 現を定量することができるものであれば特に制限はないが、 PCRを用いた以下の方法 が好ましい。 即ち、 組織または細胞から全 RNAを抽出し、 この全 RNAに対する cD NAを逆転写反応により得た後、 例えば表 1に示されるプライマーペアを用いて定量的 PCRにより各 HOX遺伝子の発現量を測定することができる。 この場合、 最初の RN A量に依存したサンプル間のばらつきをなくすために、 例えば、 0—ァクチン遺伝子ま たは G 3 PDH遺伝子等の細胞内で安定して発現する遺伝子を內部標準として用いるこ とができる。 そして、 これら内部標準遺伝子の発現についても同様の定量を行い、 HO
X遺伝子の発現量をこれら内部標準遺伝子の発現量で割つて規格化した値を、 H 0 X遺 伝子発現量として用いてもよい。 また、 HO X遺伝子の発現量を測定する他の方法また は手段としては、 例えば、 DNAチップを用いるものや、 H〇X遺伝子産物に対する抗 体を用いるものなどを挙げることができる。 特に、 本発明のキットに用いる HO X遺伝 子の発現量を測定する手段としては、 D NAチップまたは抗体を用いるものが簡便であ り、 好ましい。
本発明に用いられる閾値 HOX遺伝子発現量としては、 本発明の判定および Zまたは 診断ができるものであれば特に制限はないが、 例えば、 正常な糸且織における HO X遺伝 子の発現量、 癌組織における HO X遺伝子の発現量、 転移能および Zまたは浸潤能を有 しない癌組織の HO X遺伝子の発現量、 転移能おょぴ Zまたは浸潤能を有する癌組織の HO X遺伝子の発現量、 I期ないし I V期からなる群より選ばれる少なくとも 1つの進 行度の癌組織における HO X遺伝子の発現量等を挙げることができる。 また、 例えば、 正常な組織と癌組織との間で H O X遺伝子の発現量が異なる場合、 これらをあらかじめ 求めておき、 これらの間で任意にカットオフ値を設定し、 これを閾値 HO X遺伝子発現 量とすることもできる。 同様に、 浸潤能のある組織とない組織、 転移能のある組織とな レ、組織、 進行度の異なる組織間における H O X遺伝子発現量の違!/、をあらかじめ求めて おき、 これらの間で閾値 H OX遺伝子発現量を設定することもできる。
そして、 被験者から採取した組織の少なくとも 1つの HO X遺伝子発現量が、 判定お よび Zまたは診断の目的に応じてあら力 じめ決定した閾値 H O X遣伝子発現量より高い 場合または低い場合に、 癌が存在する、 癌の転移の可能性がある、 癌の浸潤の可能性が ある、 または、 癌が進行していると判定および Zまたは診断されることとなる。 さらに、 転移や浸潤に関しては、 どの部位に転移や浸潤が起こるのかを判定および Zまたは診断 することも可能となる。
本発明において比較される HO X遺伝子の数としては、 少なくとも 1つであるが、 好 ましくは 2つ以上、 より好ましくは 3つ以上、 さらに好ましくは 4つ以上である。 比較 される HOX遺伝子の数が多いほど、 判定および Zまたは診断の精度が向上することと なる。
本発明で対象となる癌としては、 細胞の増殖異常に起因する疾患であれが特に制限は ないが、 例えば、 甲状腺癌、 胃癌、 肝癌、 乳癌、 大腸癌、 脳腫瘍、 腎臓癌、 膝臓癌、 胆 嚢 '胆道癌、 肺癌、 前立腺癌、 卵巣癌、 子宮癌、 骨肉月重等を挙げることができる。 また、
原発巣不明の癌 (転移巣しか見いだせない癌) についても、 HOX遺伝子の発現を調べ ることにより、 その起源を明らかにすることができるようになる。 以下に実施例を用いて本発明をさらに説明するが、 実施例は例示のためのものであり、 本発明を限定するものではない。 実施例
1. HOX遺伝子の発現量の測定方法
(プライマーペアの設計)
H〇X遺伝子の塩基配列を P r ime r Ex p r e s s (A p l i e d B i o s y s t erns J a p a ) に入力し、 各 HOX遺伝子閬でホモロジ一の高い領域 を排除してプライマーを設計した。 得られたプライマーペアにより増幅される領域を S m.1 ' n— Wa t e r m a n DNA ¾ e r e 、 S W s r c hP r o g r ams : h t t p : / / ww. d n a . a f f r c . g o. j p h t d o c s/SWs r c / i n d e x. h tml) で解析し、 他の遺伝子を増幅する可能性のないことを確認 した。
さらに設計したプライマ ' 。、Ύを用いて得られる PCR産物が目的の HO X遺伝子で あることを次のようにして確認した。 まず、 被験者から採取した組織から、 TR I z o 1 r e a g e n t (I nv i t r o g e n, Ca r l s b a d, C A) を レヽて、 全 RNAを抽出した。 そして、 3 i gの全RNAを、 4 U/ Lのモロ-一ゥサギ白血病 ウイノレス転写酵素 (I nv i t r o g en) , 7. 5 mMのジチオスレィトール、 0. 5mMの Mg C 12、 0. 5 μ Μの d Ν Τ Ρ、 2 μΜのランダムプライマーを含んだ-全 量 50 μ Lの反応液中で 3 7 °Cで 2時間反応させて逆転写を行い、 cDNAを得た。 そ して、 1 μ Lの c DNAを用いて、 15mMの T r i s— HC 1 (pH8. 05) 、 5 01111 の;^ 1、 1. 5mMの MgC l 2、 200 μΜの dNTP、 400nMのプラ イマー、 0. 1 υΖμ Lの Amp 1 i T a Q G 0 1 d DNA ポリメラーゼ (A p p l i e d B i o s y s t ems J a a n) を含む 25 μ Lの反応液中で P CR反 応を行った。 PCRは、 95°C、 10分の初期変性を行った後、 94°Cで 40秒、 6 0°Cで 40秒、 72。Cで 1分のサイクルを 35サイクル行った。 PCR産物は、 TOP 〇一 TAクローニングキット ( I n V i t r o g e n) でクローニングし、 : CR 2.
1— H〇Xプラスミドベクターを得た。 内部標準としての ]8—ァクチン遺伝子およびグ リセロール一 3—ホスフェイトデヒドロゲナーゼ (G 3 PDH) 遺伝子についても同様 にクロー-ングを行い、 p CR2. 1— —ァクチンプラスミドベクターおよび p CR 2. 1一 G 3 P DHプラスミドべクタ一を得た。 これらのプラスミドベクタ—を錄型に して、 DYE n a m i c™ ET ターミネータ一サイクルシークェンシングキット (Am e r s h am B i o s c i e n c e s ^ T o k y o) を用レヽ ンークエンス 応を行い、 シークェンサ一 AB I PR I SM3 77 (A l i e d B i o s y s t ern s J a p a n) で塩基配列を決定した。 その結果、 表 1に示すプライマ一ペア は、 各 HOX遺伝子を特異的に増幅できることを確認した。
(検量線の作成)
上記で得た p CR 2. 1一 H〇Xプラスミドベクタ一の 5 X 104~5個を鎵型とし て、 表 1に示したプライマーペアと Qu a n t i T e x t™S YBRG r e e n PC Rマスターミックス (Q i a g e n, To k y o) を加えた全量 20 /z Lの反応液を、 初期変成 (95°C、 1 5分) の後、 95 °Cで 1 5秒、 60°Cで 30秒、 72 で1分、 を 1サイクルとして、 40サイクルの PC Rによる増幅を行った。 これらの初期の既知 量の対数値に対して、 目的遺伝子の; PC R反応生成物量が一定量 (レポーター (SYB RG r e e n) の蛍光強度で 0, 3) に到達するのに必要な P C Rのサイクル数 (C t ) をプロットし、 検量線を作成した。 各 HOX遺伝子の発現は、 5 X 1 04〜 1 0コ ピ一の範囲で定量可能であった。 また、 内部標準としての p CR 2. 1一 β—ァクチン プラスミ ドベクタ一および p CR 2. 1一 G 3 PDHプラスミ ドベクターについても、 5 X 1 06〜1 03個を錄型として、 同様に検量線を作成した。
(Η Ο X遺伝子発現量の定量)
被験者から採取した組織または細胞から、 TR I z o l r e a g e n t (I n v i t r o g e n, C a r l s b a d, CA) を用いて、 全 RNAを抽出した。 1 μ gの全 RNAを用いて、 T a qMa nRT緩衝液 (Ap p 1 i e d B i o s y s t em s J a p a n) 、 5. 5raMの Mg C l 2、 500 ;uMの dNTP、 2. 5 μΜのランダ ムへキサマー、 0. 411ノ Lの RN a s eインヒビター、 1. 2 5 U/ Lの Mu l t i S c r i b eTM逆転写酵素を含む 1 00 μ Lの反応液中で、 25。Cで 1 0分、 4 8。Cで 30分、 95°Cで 5分間反応させ、 cDNAを得た。 そして、 2 の( 01^ を铸型にして、 表 1に示したプライマーペアと Qu a n t i T e c t™SYBRG r
e e n P CRマスターミックス (Q i a g en、 Toky o) を加えた全量 20 乙の 反応液を、 初期変成 (95。C、 15分) の後、 95 Cで 15秒、 60°Cで 30秒、 7 2°Cで 1分を 1サイクルとして、 40サイクルの增幅を行った。
そして、 レポーターの蛍光強度が 0. 3となるのに必要なサイクノレ数から、 検量線を 用いて内揷法により初期量を求めた。 そして、 最初の RNA量に依存したサンプル間の ばらつきをなくすために、 内部標準として用いた /3—ァクチン遺伝子または G3 PDH 遺伝子の初期量で各 HOX遺伝子の初期量を規格化した量 ( (HOX遺伝子の初期量 Z 一ァクチンまたは G 3 PDHの初期量) X I 00) を、 HOX遺伝子の発現量とし た。
なお、 40サイクルの反応終了後、 95。Cで 15秒、 60。Cで 15秒、 95°Cで 15 秒の反応を行い、 解離曲線を描き、 得られた PCR産物が単一の Tm値を持つことを確 認した。 これにより、 表 1に示したプライマーペアを用いて定量的リアルタイム RT— PCRを行つた場合、 プライマーダイマーな-どの非特異的な P C R産物が生じな Vヽこと を確認した。 .
2. ヒト正常 g iにおける HOX遺伝子発現量の測定例
上記の方法を用いて、 ヒトの正常臓器の各 HOX遺伝子の発現量を測定した結果を表 2および図 1に示す。 図 1では、 最も発現量の高いものを白色、 発現のないものを黒色 で表している。 発現している H〇X遺伝子の種類は、 頭部側に位置する藤器ほど少なく、 尾部側の臓器ほど多いことがわかる。 また、 HOXパラログの番号の大きい遺伝子 (例 えば、 HO 12、 HOX13等の、 H O Xクラスタ一のなかでも、 より 5' 側のゲノ ムに位置しているもの) ほど、 尾部側の II器で発現が高いことがわかる。
3. 甲状腺癌細胞株における H O X遺伝子発現量の測定
甲状腺癌細胞株 8株 (IAA, MSA, K—119, ROA, KOA— 2, 8305 C, 8505C, TCO-1) と正常甲状腺における H O X遺伝子発現量を測定した結 杲を図 2に示す。 なお、 IAA, MSA, -119, ROA, KOA—2は、 大阪大 学大学院医学研究科病態制御外科より、 8305C, 8505 C, TCO— 1は、 Th e He a l t h S c i e nc e Re s e a r c n Re s o u r c e s Ba n k (S e nn a n, J a p a n) より得た。 また、 正常甲状腺は、 RNAを B D B i
o s c i e n c e s C I o n t e c k J a p a n (To k y o, J a a n) より 得た。 図 2より、 パラログ 9から 1 3の HOX遺伝子の発現に特に差があることがわか つた。 例えば、 HOXD 9は正常甲状腺では発現しているが、 癌細胞では全く発現が見 られなかった。 また、 H〇XA1 0、 HOXAl l、 HOXA1 3, HOXB 9、 HO XB 1 3 HOXC 1 0、 H〇XC 1 1、 HOXC 1 3、 HOXD 1 1 , HOXD 1 2 は正常甲状腺では発現していないが、 癌細胞では発現しているものがみられた。 したが つて、 正常甲状腺における HOX遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量とし、 HOX D 9の発現量が、 正常甲状腺の HOXD 9の発現量より低い場合に、 甲状腺癌が存在す ると判定および/または診断されることとなる。 例えば、 図 2より、 閾値 HOX遺伝子 発現量として、 0. 001〜0. 0 1を設定することができる。 また、 正常甲状腺にお ける H〇X遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量とし、 ΗΟΧΑ10、 ΗΟΧΑ1 1、 HOXA 1 3、 HOXB 9、 HOXB 1 3、 HOXC 1 0、 HOXC 1 1、 HOXC 1 3、 HOXD 1 1 HOXD 1 2からなる群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺伝 子の発現量が、 対応する正常甲状腺における HOX遺伝子発現量より高い場合に、 甲状 腺癌が存在すると判定および/または診断されることとなる。 例えば、 図 2より、 それ ぞれの閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXA1 0について 0. 00 1、 HOXA1 1について 0. 00 1、 HOXA1 3について 0. 001、 HOXB 9について 0. 0 1、 HOXB 1 3について 0. 0 1、 HOXC 1 0について 0. 00 1、 HOXC 1 1 について 0. 00 1、 HOXC 1 3について 0. 000 1、 HOXD 1 1について 0. 0001、 HOXD 1 2について 0. 001を設定することができる。
次に、 8株の甲状腺癌細胞の i n V i t r oにおける浸潤能を内皮下基底膜のモデ ルであるマトリゲル TMに対する浸潤ァッセィにより評価した。 浸潤ァッセィは、 8 μ mの小孔の開いたフィルターで上下に仕切られたチャンバ一 (BD B i o C o a t Ma t r l g e 1 I n v a s i o n Ch amb e r, B e e t o n D i c k i n s o n, B e d f o r d, MA) を用いて行った。 フィルターの上面には、 あら力 じめ マトリゲルのバリァが形成されている。 500 μ 1の培養液に懸濁した 2万個の癌細胞 を上室に入れ、 下室には 750 1のゥシフイブロネクチンを含んだ培養液を注入した。 24時間 C〇2インキュベーターで培養後、 細胞をホルマリンで固定し、 ギムザ染色を 施し、 フィルター上面の細胞を綿棒で拭い去った。 顕微鏡下でフィルター下面の細胞を 観察し、 200倍の視野あたりの細胞数により浸潤能を評価した。 結果を図 3に示す。
I AAおよび ROA細胞は、 他の 6株に比べ浸潤能が低いことがわかった。 次に、 高浸 潤株と低浸潤株とを区別できる H O X遺伝子を前方選択による特徴選択アルゴリズムに より解析し、 HOXB 6、 HOXB 1 3および HOXD 4を選定した。 いずれの発現も 低浸潤株で低い傾向にある。 そして、 この 3つの遺伝子のうちの 2つ以上、 好ましくは 3つすベてを組み合わせることにより、 浸潤能をより高い精度で判定および Zまたは診 断できるようになった (図 4) 。 即ち、 I AAまたは ROA細胞における HOX遺伝子 発現量を閾値 HOX遺伝子発現量とし、 HOXB 6、 HOXB 1 3, HOXD4からな る群より選ばれる少なくとも 1つの、 好ましくは 2つの、 最も好ましくは 3つの HOX 遺伝子の発現量が、 対応する閾値 HOX遺伝子発現量より高い場合に、 浸潤する可能性 のある甲状腺癌であると判定および/または診断されることとなる。 例えば、 I AA細 胞における HOXB 6、 HOXB 1 3、 HOXD4の閾値を、 それぞれ 0. 00 2、 0. 00007、 0. 0002と、 RO A細胞における HOXB 6、 HOXB 1 3、 HOX D 4の閾値を、 それぞれ 0. 008、 0. 0002、 0. 00004と、 設定すること ができる。
4. 胃癌における HOX遺伝子発現量の測定
胃癌の手術検体 (癌部 2 1例、 非癌部 6例) の HOX遺伝子発現量を測定した結果を 図 5に示す。 図 5より、 胃癌組織では、 HOXB 5、 HOXB 6、 HOXB 7、 HOX B 9、 H〇XC 6、 HOXC 8、 HOXC 9、 HOXC 1 0, HOXC l lの発現量が、 非癌部組織に比べて有意に高かった (Ma n n-Wh i t n e yの U検定、 pく 0. 0 1) 。 したがって、 非疬部組織の HOX遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXB 5, HOXB 6, HOXB 7. HOXB 9, HOXC 6^ HOXC 8, HOX C 9、 HOXC 1 0、 HOXC 1 1からなる群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺 伝子の発現量が、 対応する閾値 HOX遺伝子発現量より高い場合に、 胃癌が存在すると 判定およびノまたは診断されることとなる。 例えば、 閾値を HOXB 5について 0. 2、 HOXB 6について 0. 3、 HOXB 7について 0. 3、 HOX B 9について 0. 1、 HOXC 6について 0. 0 7、 H〇XC 8について 0. 04、 HOXC 9について 0. 05、 HOXC 10について 0. 0 7、 HOXC 1 1について 0. 0 7と設定すること ができる。
また、 胃癌組織の中でも、 リンパ節転移のある症例 (1 4例) は、 これのない症例
(7例) に比べ、 HOXB 6 (p < 0. 01) 、 HOXB 5, HOXB 7、 HOXB 8 および HOXB9 (p<0. 05) の発現量が有意に高かった (図 6参照) 。 したがつ て、 リンパ節転移のない症例の HOX遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXB5、 HOXB 6, HOXB 7, HOXB 8, HOXB 9, HOXD1 1からな る群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺伝子の発現量が、 閾値 HO X遺伝子発現量 より高い場合に、 リンパ節転移する可能性のある胃癌であると判定および/または診断 されることとなる。
さらに、 HOXB 6において、 (HOX遺伝子の初期量 —ァクチンの初期量) X 100で表される ΗΟΧ遺伝子の発現量が 0. 243と0. 301の間にカットォ フ値を設定すると、 各群の 1例を除きリンパ節転移の有無を判定およびノまたは診断で きた。 また、 HOXB 5は 0. 372以上、 HOXB 7は 0. 333以上、 H03 B8 は 0. 05以上の場合、 各々 1例を除きリンパ節転移があると判定および/または診断 できた。 なお、 特異値を示した症例 (s t 95および s t 110) は、 複数の HOX遺 伝子において同様に特異値を示すため、 リンパ節に微小転移 (組織学的検索では検出不 可能なほど小さな転移巣の形成) を起こしている可能性も考えられる。 したがって、 H OXB5、 HOXB 6 HOXB 7、 HOXB 8、 HOX B 9の閾値 H〇X遺伝子発現 量を、 それぞれ 372、 0. 243、 0. 333、 0. 05、 0. 084、 として、 HOXB 5、 HOXB 6、 HOXB 7、 HOXB 8、 HOX B 9からなる群より選ばれ る少なくとも 1つの HOX遺伝子の発現量が、 閾値 H〇X遺伝子発現量より高い場合に、 リンパ節転移する可能性のある胃癌であると判定および/または診断されることとなる。 また、 胃癌組織の中でも、 肝転移のある症例 (5例) は、 これのない症例 (16例) に比べ、 HOXD 11の発現量が有意に高かった (pく 0. 05) 。 したがって、 肝転 移のない症例の HOX遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXD 1 1の 発現量が、 対応する閾値 HOX遺伝子発現量より高い場合に、 肝転移する可能性のある 胃癌であると判定および/または診断されることとなる。 例えば、 肝転移に関する HO 011の閾値を0. 036に設定することができる。
5. 肝癌における HOX遺伝子発現量の測定
肝癌組織 (25例) と非癌部組織 (19例) の HOX遺伝子発現量を測定した結果を 図 7に示す。 なお、 非癌部組織は、 病理組織学的に硬変肝、 線維肝、 慢性肝炎および正
常と診断された組織である。 図 7より、 非癌部組織で発現のあった HOX遺伝子は、 パ ラログ 2からパラログ 5に属するものであり、 その発現レベルは、 HOXB 2、 HOX B 3、 HQXB 4を除いて極めて低く、 ]3—ァクチン遺伝子発現との相対比で 0. 1% 以下であった。 一方、 癌組織は、 ほとんどすべての HOX遺伝子を発現していたが、 例 外的に HOXB 6、 HOXB 9、 HOXD 1 1を発現している癌組織はほとんどみられ なかった。 そして、 癌組織と非癌組織の H〇X遺伝子の発現量を比較すると、 3 9個の うち 28個の O X遺伝子の発現量が癌組織にお t、て有意に高!、ことが明らかとなった (Ma nn Wh i t n e yの U検定、 pく 0. 01 ) 。 具体的には、 H〇X A 3、 H OXA5、 HOXA6、 HOXA7 HOXA9、 HOXA1 0、 HOXAl l、 HO XA 1 3 HOXB l、 HOXB 6、 HOXB 7、 HOXB 8, HOXB 9、 HOXB 1 3、 HOXC 5, HOXC 6, HOXC 8, HOXC 9, HOXC 10, HOXC l 1、 HOXC 1 2, HOXC 13. HOXD 1 , HOXD 3, HOXD 4 HOXD 8, HOXD9、 HOXD 1 0の発現量が有意に高く、 特に HOXA9、 HOXC 9, HO XD4、 HOXD 9において、 その差が大きかった。 したがって、 非癌部組織の HOX 遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXA3、 HOXA5s HOXA6、 HOXA7, HOXA 9, HOXA 1 0、 HOXAl l、 HOXA1 3、 HOXB 1 , HOXB 6s HOXB 7, HOXB 8, HOXB 9, HOXB 1 3, HOXC 5, HO XC 6、 HOXC 8、 HOXC 9、 HOXC 1 0、 HOXC 1 1、 HO C 1 2、 HO XC 1 3、 HOXD 1 , HOXD 3、 HOXD4, HOXD 8, HOXD 9, HOXD 10からなる群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺伝子の発現量が、 閾値 HOX遺 伝子発現量より高い場合に、 肝癌が存在すると判定および/または診断されることとな る。 例えば、 閾値としては、 HOXA3について 0. 1 45、 HOXA5について 0. 31 0、 HOXA6について 0. 275、 HOXA7について 0. 01 7、 HOXA9 について 0. 1 66、 HOXA 1 0について 0. 064、 HOX A 1 1について 0. 0 21、 HOXA1 3について 0. 266、 HOX B 1について 0. 029、 HOXB 6 について 0. 0 53、 HOXB 7について 0. 066、 HO X B 8について 0. 090、 HOXB 9について 0. 036、 HOXB 1 3について 0. 019、 HOXC 5につい て 0. 290、 HOXC 6について 0. 023、 HOXC 8について 0. 03 1、 HO XC 9について 0. 147、 HOXC 1 0について 0. 02 1、 HOX C 1 1について 0. 036、 HOXC 1 2について 0. 021、 HOX C 1 3について 0. 050、 H
OXD iについて 0. 021、 HOXD3について 0. ◦ 28、 HO XD 4について 1 · 486、 HOXD 8について 0. 044、 HO X D 9について 0. 089、 HOXD1 0について 0. 007をそれぞれ設定することができる。
次に、 Ρ¾脈、 肝動脈、 肝静脈、 または胆管への癌細胞浸潤のみられた組織では、 これ がみられなかった組織と比べ、 HOXA5 (p < 0. 01) 、 HOXA2, HOXA4、 HOXA6、 HOXA7、 H〇XA9、 HOXA10, HOXB 1, HOXB 5N HO XB 7、 HOXB 8, HOXB 13, HOXC4、 HOXC 5, HOXC8、 HOXC 9、 HOXC 10、 HOXC 11、 HOXD 1 (p<0. 05) の発現量の低下が認め られた (図 8 (1) 参照) 。 したがって、 癌細胞浸潤のみられた組織の HOX遺伝子発 現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXA2、 HOXA4, HOXA5、 HOX A6、 HOXA7 HOXA9, HOXA10、 HOXB 1 , HOXB 5, HOXB 7、 HOXB 8, HOXB 13, HOXC4、 HOXC 5, HOXC 8, HOXC 9 , HO XC10、 HOXC 1 1、 HOXD 1からなる群より選ばれる少なくとも 1つの: HOX 遺伝子の発現量が、 閾値 HOX遺伝子発現量より低い場合に、 門脈、 肝動脈、 肝静脈、 または胆管に浸潤する可能性がある肝癌であると判定および Zまたは診断されることと なる。 例えば、 閾値としては、 HOXA2について 0. 061、 HOXA4について 0. 045、 HOXA5について 0. 065、 HOX A 6について 0. 027、 H O X A 7 について 0. 025、 HOXA9について 0. 142、 HOX A 10について 0. 06 7、 HOXB 1について 0. 025、 HOXB 5について 0. 067、 HOXB 7につ いて 0. 053、 HOXB 8について 0. 01 7、 HOX B 13について 0. 015、 HOXC4について 0. 068、 HOXC 5について 0. 038、 HOX C 8について 0. 017、 HOXC9について 0, 158、 HOXC 10について 0. 024、 HO XC 11について 0. 032、 HOXD 1について 0. 043を設定することができる。 なお、 ここで示した脈管侵襲を伴った肝癌組織における HOX遺伝子のうち、 HOX A5、 HOXA6、 HOXA7、 HOXA9、 HOXA10、 HOXB 1 , HOXB 7、 HOXB 8, HOXB 13 HOXC 5, HOXC 8, HOXC 9, HOXC 10, H OXCl l、 HOXD 1の 15の H〇 X遺伝子の発現量は、 非癌部組織の発現量と同程 度であるため、 これら 15の HOX遺伝子の発現量は、 月干癌と診断されたものについて の脈管侵襲の可能性の判定および/または診断に利用することができる。 そして、 HO XA3、 HOXA11. HOXA13, HOXB 6, HOXB 9, HOXC 6, HOX
C12、 HOXC13、 HOXD3、 HOXD4、 HOXD 8, HOXD9および HO
XD10遺伝子の発現量を、 正常か肝癌かを判定および/または診断することに用いる など、 目的に応じた使い分けをすることにより、 より有用な指標とすることができる。 さらに、 癌の進行度を I、 I I期と I I I、 I V期に分けて比較すると、 I I I、 I V期の組織の; HOXB 1および HOXA4遺伝子の発現が、 I、 I I期のものより低か つた (pく 0. 05) (図 8 (2) 、 (3) 参照) 。 したがって、 I期または I I期に おける HOX遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXA4および/また は HOXB 1の発現量が、 閾値 HOX遺伝子発現量より低い場合に、 I I I期または I V期に進行した肝癌であると判定および/または診断されることとなる。 例えば、 閾値 を HOXA4について 0. 045、 HOXB 1について 0. 059と設定することがで さる。
6. 乳癌における H O X遺伝子発現量の測定
乳癌の手術検体 (癌部 26例、 非癌部 6例) の HOX遺伝子発現量を測定した結果を 図 9に示す。 図 9に示すように、 乳癌組織における HOXAl、 HOXA2、 HOX A 3、 HOXA5、 HOXA9、 HOXD 3, HOXD4、 HOXD 8, HOXD 9, H OXD 10の発現量が、 非癌部組織に比べて有意に低かった (Ma nn— Wh i t n e yの U検定、 pく 0. 01) 。 なお、 これら 10の HOX遺伝子の発現量を検体別に棒 グラフで図 10に示す。 これより、 3、 4例の検体を除き、 非癌部組織の発現量より、 癌分組織の発現量の方が低いことが明らかである。 特に、 ΗΟΧΑ1、 HOXA3、 H OXA9、 HOXD 3では、 3、 4例の検体を除き、 非癌部組織の発現量の最低値より、 癌分組織の発現量の方が低いことが明らかである。 したがって、 非癌部組織における H OX遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXAl、 HOXA2、 HOX A3、 HOXA5, HOXA9, HOXD3、 HOXD4、 HOXD 8, HOXD 9, HOXD 10からなる群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺伝子の発現量が、 閾値 H O X遺伝子発現量より低レ、場合に、 乳痛が存在すると判定および/または診断される こととなる。 例えば、 閾値として、 HOXA1について 0. 058、 HOXA2につい て 0. 257、 HOXA3について 0. 090、 HOXA5について 0. 278、 HO XA9について 0. 130、 HOXD 3について 0. 179、 HOXD 4について 0. 170、 HOXD 8について 0. 446、 HOXD 9について 0. 170、 H〇XD1
0について 0. 033を設定することができる。
7. 大腸癌における H〇 X遺伝子発現量の測定
大腸癌の手 i検体 (癌部 30例、 非癌部 20例) の HOX遺伝子発現量を図 1 1に示 す。 図 1 1より、 大腸癌組織では、 HOXA9、 HOXB 2N HOXB 3S HOXB 8、 HOXB 9の発現量が、 非癌部組織に比べて有意に高かった (Ma n n -Wh i t n e yの U検定、 pく 0. 0 1) 。 一方、 HOXD l、 HOXD 3、 HOXD4の発現量は、 非癌部,袓織に比べて有意に低かった (p<0. 0 1) 。 なお、 図 1 2に、 これら 8つの HOX遺伝子発現量を検体別に点グラフで示す。 したがって、 非癌都組織における HO X遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HOXA9、 HOXB 2、 HOXB 3、 HOXB 8、 HOXB 9からなる群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺伝子の 発現量が、 閾値 HOX遺伝子発現量より高い力 および/または、 HOXD l、 HOX D3、 HOXD 4からなる群より選ばれる少なくとも 1つの H〇X遺伝子の発現量が、 閾値 HOX遺伝子発現量より低い場合に、 大腸癌が存在すると判定および Zまたは診断 されることとなる。 例えば、 閾値としては、 ΗΌΧΑ9について 1. 232、 HOXB 2について 0. 660、 HO B 3について 0. 703、 HOXB 8について 0. 6 7
8、 HOXB 9について 0. 632、 HOXD 1について 0. 075、 HOXD 3につ いて 0. 028、 HOXD4について 0. 1 03を設定することができる。
また、 癌組織の中で、 肝転移のある症例 (1 0例) とない症例 (20例) について H O X遺伝子発現量を測定した結果を図 1 3に示す。 肝転移症例では、 H O X A 4、 HO XB 1、 HO C 1 2、 HOXC 1 3の発現量が、 肝転移のない症例に比べ有意に高い ことが明らかとなった (Ma nn— Wh i t n e yの U検定、 pく 0. 0 1) 。 したが つて、 肝転移のない症例の H〇X遺伝子発現量を閾値 HOX遺伝子発現量として、 HO XA4、 HOXB 1、 HOXC 1 2、 HOXC 1 3からなる群より選ばれる少なくとも 1つの HOX遺伝子の発現量が、 閾値 HOX遺伝子発現量より高い場合に、 肝転移の可 能性のある大腸癌であると判定および Zまたは診断されることとなる。
さらに、 図 1 1より、 (HOX遺伝子の初期量 /j8—ァクチンの初期量) X 1 00 で表される HOX遺伝子の発現量について、 HOXA4は 0. 062と 0. 08 3の間、 HOXB 1は 0. 006と 0. 00 7の間、 HOXC 1 2は 0. 008と 0. 0 1 1の 間、 HOXC 1 3は 0. 0 1 7と 0. 0 1 8の間、 にそれぞれカツトオフ値を設定する
と、 3つ以上の HO X遺伝子においてその発現量がカツトオフ値を上回っている症例は、 肝転移を起こしている可能性が高い (70%) と判定および/または診断できた。 した がって、 HOXA4、 HOXB l、 HOXC12、 HOX C 1 3の閾値 HOX遺伝子発 現量を、 それぞれ 0. 062、 0. 006、 0. 008、 0. 017とし、 HOXA4、 HOXBl、 HOXC12、 HOX C 13からなる群より選ばれる少なくとも 1つの、 好ましくは 2つの、 より好ましくは 3つの、 最も好ましくは 4つすベての、 HOX遺伝 子の発現量が、 閾値 HOX遺伝子発現量より高い場合に、 肝転移の可能性のある大腸癌 であると判定および Zまたは診断されることとなる。
なお、 肝転移のない 20例のうちの 2例において、 これらの HOX遺伝子のうちの 3 つの発現量がカットオフ値以上であつたが、 これらについては、 今後肝転移を起こす可 能性があると考えられる。
表 1 定量的リアルタイム RT—PCRを用いてヒト HOX遺伝子を
検出するためのプライマ一^。、了
ブライマー配列(5' to 3') ブライマー 増幅産物の 質伝子 Accession no.
Forward Reverse 濃度 (μΜ) 大きさ(bp)
HOXA1 S79910 TCCTGGAATACCCCATACTTAGCA GCCGCCGCAACTGTTG 0.3
HOXB1 X1666 CTCCTCTCCGAGGACAAGGAA CTCTCrTGGGTGGGTTTCTCTTAA
HOXD1 AF241528 CGACCCCCATCCCTATCTAGAC TGGAACTCGGAAGCCAACTAAA 0.3
HOXA2 M一 006735, ACAGCGAAGGGAAATGTAAAAGC GGGCCCCAGAGACGCTAA 0.3
XM一 040798
HOXB2 X16665 TCCTTGGCCGTCTACTGGAA AGTGGATTAAACGCTAATTCAGTAATACC 0.9
HOXA3 XM_040SQO, TGCAAAAAGCGACCTACTACGA CGTCGGCGCCCAAAG 0.9
NM一 030661 '
HOXB3 U59298 CCTGGCCTGAGAGGTTGCT TCCCGGGCGTGGAATT 0.9
HOXD3 BC008789 CCATAAATCAGCCGCAAGGAT GATGGGTCTCAGACTTACCnTGG 03
HOXA4 NMJ02141 TCCCCATCTGGACCATAATAGG GCAACCAGCACAGACTCTTAACC 0.9 101
HOXB4 NM_024015 TTTRCAGCTTTGGCGAAGATG ACCGAGGCCCGTCTTCTC 0.9 102
HOXC4 NM_014620 GGCAGCTACCCCGGGTACT TGTGAGTTATGTnTATAACCTGGTAATGTC 0.9
XM— 042818 GGCGGGATTCTCTCTCTAAGTATATTATA GAGCGGTGATTTTCATAAGTTTAATGA 92
HOXA5 NM_01 102 TCTCGTTGGCCTAATTCATCTTTT CATTCAGGACAAAGAGATGAACAGAA
106 119
126 790 688116252 7211
101 92
HOXD12 NM_02J]93 TGTGTGAGCGCAGTCTCTACAGA CGGCCTCAGGT GGAGAAG 0.9 92
HOXA13 XM— 004921 AAATGTACTGCCCCAAAGAGCA ATCCGAGGGATGGGAGACC 03 81
HOXB13 XM一 030437 CCACTGGCTGCTGGACTGTT TATGACTGGGCCAGGTTCTTTG 0.3 US
HOXCJ3 XM一 006804 AAGGTGGTCAGCAAATCGAAAG TGGTACAAAGCGGAGACATAAATAGA 94
HOXD13 XM一 002542 CTGGGCTACGGCTACCACTTC GCGATGACTTGAGCGCATT 0.3 91 β-aclin X .037235 TTGCCGACAGGATGCAGAA GCCGATCCACACGGAGTACT 0.3 101
G3PDH NM_002046 TCACCAGGGCTGCTTTTAACTC 3GAATCATATTGGAACATGTAAACCAT 0.3 101
*全コード配列は、 2つのァクセッション番号に基づいて組立てた。
成人正常臓器における HOX遺伝子の発現プロフィール 発現比 (H0X/G3PDH) X 100
A1 B1 D1 A2 B2 A3 B3 D3 A4 B4 C4 D4 A5
1 -00E-04 1.00E-04 4.33E-02 1. OOE-04 1.36E-02 1. OOE-04 2.87E-03 3.64E-03 1.OOE-04 2.62E-03 2.9 I E - 03 1 .OOE-04 1 .OOE-04
1.00E-04 1.0QE-Q4 1.50E-01 2.83E-03 5.08E-03 4.79E-03 4.1 5E-03 1.22E-02 3.05E-03 3.07E-03 1 .21 E-02 5.57E-03 8.04E-03 1.00E-04 1.00E-04 1.OOE-04 1.52E-02 5.20E-02 1. OOE-04 2.58E-02 1 .OOE-04 4.13E-01 5.84E-02 1 .OOE-04 1 .OOE-04 1 .49E-02 1 .00E-04 1.00E-04 6.50E-03 3.75E-03 1 .75E-02 6.31 E-03 6.78E-03 3.92E-03 1.OOE-04 1.70E-02 6.89E-03 1 .37ΕΌ2 4.30E-03 8.87E-03 1.00E-04. 3.84E-03 8.69E-03 5.88E-02 2.46E-02 1.74E-02 1.OOE-04 1.08E-02 4.1 9E-02 4.1 1 E-03 5.39E-03 5.65E-03 7.69E-03 1 .00E-04 9.31 E-03 6.31 E-02 1.03E-01 1 .19E-01 1.1 9E-01 2.68E-02 3.04E-02 1 .1 5E-01 3.46E-02 8:59E-02 5.20E-02 1 .34E-01 4.37.E-02 2.41 E-02 1 .52E-01 6.31 E-01 3.88E-01 7.14E-01 1 .67E-02 7.67E-02 4.96E-01 3.39E-02 5.77E-02 2.13E-01 1 .23E-01 1 .00E-04 1 .1 E-01 2.16E-01 5.05E-01 2.62E-01 5.48E-01 7.55E-02 2.Ί 5Ε-0Ί 7.40E-01 1 .31 E-01 6.08E-01 3.23E-01 2.45E-02 1 -00E-04 1 .47E-01 2.10E-01 4.57E-01 4.96E-01 4.09E-01 3.59E-02 2.47E-01 8.18E-01 6.05E-02 2.48E-02 8.85E-01 7.47E-04 1 !OOE-04 1 .26E-03 5.90E-03 1 .62E-02 4.42E-02 7.18E-03 6.06.E-03 1.27E-02 1.1 1 E-02 1 .89E-02 3.1 1 E-02 4.48E-02 3.59E-02 Ί .00E-04 9.13E-03 1 .19E-01 1 .96E-01 1.74E-01 1 .1 1 E-01 1.07E-02 1.89E-02 2.81 E-01 2.26E-02 3.96E-02 3.41 E-02 1 .07E-02 1 .OOE-04 4.1 OE-03 .77E-02 9.68E-02 2.54E-02 4.41 E-02 3.21 E-03 8.93E-03 8.92E-02 1.02E-02 1 .72E-02 4.06E-02 3.87E-02 1.OOE-04 6.07E-02 1.94E-01 1 .41 E-01 4.04E-0T 5.95E-01 4.1 8E-02 8.83E-02 5.14E-01 1 .88E-01 1斑- 01 2.52E-01 2.92E-02 1.OOE-04 1.40E-02 1.58E-01 9.85E-01 1.18E-01 2.73E-01 1.13E-01 1 .47E-01 5.68E-01 1 .66E-01 5.37E-01 5.69E+0 1 .00E-04 1 .OOE-04 1 .OOE-04 1 .OOE-04 4.31 E-01 1.67E-02 2.1 5E-01 7.86E-03 1 .OOE-04 4.31 E-01 1 .60E-01 3.86E-02 3.31 E-02 3.1 1 E-02 1.OOE-04 4.82E-02 2.73E-01 7.09E-01 9.68E-01 1.12E+0 7.48E-01 1.24E-01 1.02E+0 3.30E-01 3.02E+0 1 .49E+0 2.63E-02 6.56E-03 1.65E-01 9.01 E-02 5.17E-01 4.59E-01 5.39E-01 3.73E-01 1 .50E-01 6.1 2E-01 3.00E-01 1 .79E+0 8.0ZE-01 7.25E-0Z 1.OOE-04 1.23E-01 1.35E-01 1.94E-01 3.68E-01 8.18E-01 6.37E-02 3.78E-02 4.99E-01 4.04E-02 2.31 E-01 2.76E-0T 4.28E-02 1.OOE-04 2.92E-01 1.36E-01 5.94E-01 4.86E-01 5.69E-01 2.55E-01 6.62E-02 4.74E-01 8.81 E-02 6.38E-01 6.8ZE-01 2.44E-02 3.24E-02 1.52E-01 3.07E-02 1 .62E-01 3.42E-01 7.87E-01 2.50E-01 3.56E-02 4.S2E-01 3.50E-01 5.1 6E-01 7.36E - 02
Ξ-χ 'は 10_xを表す
·拏 5χ - 0 ). x - Ξ
L0-3Zl7 Z0-300 Z0-39Z-2 0+3S9U 10-3Z8-Z ZO-ョ OS' 10-3£9'S 20-3S9-6 Ζ0-32Ζ· I LO-390'Ζ L0-38 S zo-ョ ζε'ζ L0-3S8'L 0+3817· L ίθ-306'ε 20-302' L 20-369'8 10-3ZS'Z L0-3LZ'L L0-38Z-1 LO-ョ 10-39S-L εθ-300'8 10-39 TS
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Z0-3S9"l Z0-3S0'£ 20-3SE-6 20-329'9 ΖΟ-381'ε L0-3£9'L ΙΟ-396'Ζ LO-396'L Z0-3i^8"2 ΖΟ-361'Ζ L0-3£S"S
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60 ea 6V 8Q 90 83 zv 90 99 9V 90 sg .
00 L X (HQdSD/XOH) 襲
z-z
表 2— 3 成人正常臓器における HOX遺伝子の発現プロフィール 発現比 (H0X/G3PDH) X 100
D9 Α10 C10 D10 Α11 C11 D11 C12 D12 Α13 Β13 C13 D13
Ί .00Ε-04 1.00E-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1.ΟΟΕ-04 1 ,ΟΟΕ-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 Ί .00Ε-04 1.00Ε-Ο4 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 .ΟΟΕ-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1服- 04 1 .00Ε-04 .00Ε-04 1裏- 04 1.00Ε-04 1斑- 04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε 04 · 1 .ΟΟΕ-04 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 8.30Ε-03 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 6.28Ε-03 7.94Ε-03 1 .00Ε-04 1 .Q0E-04 Ζ.56Ε-02 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1裏- 04 1 .00Ε-04 .00Ε-04 1 .Ζ1 Ε-01 1 .00Ε-04 1 .00E-Q4 3.06Ε-03 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 1 ,ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 1.ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04■ 6.47Ε-02 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 3.24Ε-03 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1避- 04 1.ΟΟΕ-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 2.58Ε-01 Τ.00Ε-04 1斑- 04 1斑- 04 1 ,οοε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.Q0E-Q4 OOE-04 1.ΟΟΕ-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00E-04 1 .04Ε-01 Λ斑- 04 1.00Ε-04 6.84Ε-03 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1斑- 04 Ί .ΌΟΕ-04 1.00Ε-04 .1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 4.12Ε-02 3.57Ε-03 2.08Ε-01 1.00Ε-04 2.16Ε-03 4.47Ε-03 1斑- 04 1.ΟΟΕ-04 1 ,00Ε-04 1.95Ε-03 1 .ΟΟΕ-04 1.00Ε-.04 1 .00Ε-04 4.10E-02 3.26Ε-02 1.00Ε-04 1斑- 04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 2.36Ε-03 1.00Ε-04 1.00Ε-04 7.96Ε-03 6.1 8Ε-03 1 .0DE-04 1.00Ε-04 3.72Ε-03 1 .00Ε-04 1 .Q0E-04 Ί .00Ε-04 1 ,00Ε-04 5.58Ε-03 6.03Ε-03 1 .00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 5.02Ε-02 6.41 Ε-03 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 .00Ε-04 .90Ε-02 .00Ε-04 .00Ε-04 1.00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε - 04 5.10E-01 2.31 E-02 1 .46Ε-02 Ί .00Ε-04 2.69Ε-02 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 2.1 8Ε-02 1 .00Ε-04 1 .ΟΟΕ-04 1 .00Ε-04 1.19E-01 6.98Ε-02 1 .67Ε-02 1 .Ζ1 Ε-0Ζ 4.40E-01 2.98Ε-0Ζ λ .00Ε-04 6.67Ε-03 1.00Ε-04 1 .13Ε+0 3.17Ε-02 1 .1 8Ε-02 1 .ΟΟΕ-04 4Α6Ε+0 3.85Ε-0Ί 1.20Ε-07 1.19E+0 3.56Ε+0 5.99Ε-02 5.53Ε-01 1.00Ε-04 1.00Ε-04 8.91 Ε-01 1 .00Ε-04 1.00Ε-04 3.75Ε-02 1 .26Ε+0 4.89Ε-02 3.54Ε-01 1.90Ε-01 7.21 Ε-02 2.37Ε-02 4.57Ε-02 1.00Ε-04 1.00Ε-04 6.93Ε-03 1.00Ε-04 1.00Ε-04 1.00Ε-04 大腸 Z.53E-01 8.82Ε-02 5.13Ε-03 4.26Ε-02 3.43E-01 4.45Ε-03 3.99Ε-02 1.00E-04 8.26Ε-03 4.79E-01 6.81 Ε-01 1.00Ε-04 7.74Ε-0Ζ 前立腺 1 .43Ε+0 Ί .55Ε-01 3.59Ε-02 3.40Ε-01 1 .36Ε+0 1 .60Ε-02 3.96Ε-01 1.00Ε-04 3.18Ε-02 2.53Ε+0 8.21 Ε+0 1.ΟΟΕ-04 6.05Ε-01 7.59Ε-01 3.24Ε-03 1.17E-01 6.29Ε-02 5.06Ε-02 2.1 5E-01 5.37Ε-02 1 .32Ε-02 8.61 Ε-02 1 .78Ε-02 1 .09Ε-02 4.17Ε-02 6.77Ε-02
Ε - χは icrxを表す.