カラーモニタの白色色度測定装置
技 術 分 野
本発明はカラーモニタの白色色度測定装置に関し、 特に、 三原色 R G Bを用 いてカラ一画像を表示する機能をもったカラーモニタの所定の照明環境下にお 明
ける白色の色度を目視により測定するための装置に関する。
細 背 景 技 術
一般に、 モニタ (ディスプレイ装置) は、 個々の製品ごとに表示特性が異な り、 パソコンなどに接続して利用する場合、 個々の表示特性に応じた補正を行 うのが好ましい。 このような補正を行うには、 予め個々のモニタの表示特性を 測定し、 その結果を客観的なデータとして用意しておく必要がある。 通常、 こ のようなデータは、 個々のモニタのプロファイルデータと呼ばれている。 パソ コンにモニタを接続して利用する場合、 当該モニタのプロファイルデータをパ ソコンに組み込んでおけば、 このプロフアイルデータに基づく補正が可能にな り、 個々のモニタに固有の表示特性に左右されない普遍的な表示結果を得るこ とができるようになる。
三原色 R G Bを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタの代 表的な表示特性は、 三原色の色度、 白色の色度、 階調再現特性である。 ここで、 白色の色度は、 個々のカラーモニタに白色表示を行わせる場合に必要な三原色 R G Bの階調値として求められる。 パソコン上で動作しているアプリケ一ショ ンプログラムが、 モニタに白色を表示させたい場合には、 この白色の色度とし て求められている三原色 R G Bの階調値を、 モニタに対して与える処理を行え ばよい。
この白色の色度は、 光学的な測定器を用いた物理的な測定により求めること ができ、 一般的な商用カラーモニタには、 出荷時に測定された白色の色度が、 モニタプロファイルデータとして添付されることが多い。 また、 最近では、 特 別な測定器を用いることなしに、 モニタに接続されたパソコンなどに専用のプ ログラムを組み込むことにより、 白色の色度を求める方法も提案されている。 たとえば、 特開 2 0 0 0— 0 2 9 4 4 4号公報には、 オペレータの目視により、 白色の色度を測定する方法が開示されている。
上述したように、 個々のモニタについて、 白色色度を示すモニタプロフアイ ルデータを用意しておき、 このプロファイルデータに基づく白色表示特性の補 正を行えば、 個々のモニタに固有の表示特性に左右されない普遍的な白色表示 を行うことが可能になる。 しかしながら、 従来のプロファイルデータは、 個々 のモニタ自身の物理的な白色表示特性を示すものであって、 モニタを特定の照 明環境下においたときのオペレータから見た視覚的な特性を示すものではない。 このため、 同じ照明環境下で使用する複数台のカラ一モニタについては、 従来 の方法で測定された白色色度を示すモニタプロファイルデータを用いて白色表 示特性の補正を行えば、 ほぼ同一の白色再現性が得られることになるが、 異な る照明環境下で使用する複数台のカラ一モニタについては、 同一の白色再現性 を得ることはできない。 これは、 実用上、 大きな問題となる。
たとえば、 商用印刷物を作成する D T P処理では、 多数のスタッフがカラー モニタを見ながら、 それぞれに分担された作業を進めてゆくのが一般的である。 ところが、 各スタッフが作業を行う部屋の照明環境は、 必ずしも同一にはなら ない。 たとえば、 出版会社内部の編集者の作業環境と、 外部のデザイン事務所 のデザイナーの作業環境とは、 通常、 異なるのが当然である。 具体的には、 室 内照明が蛍光灯か電球か、 室内の壁紙が何色か、 太陽光が差し込むか否か、 な どの条件によって、 個々の照明環境は大幅に異なることになる。 このような場 合、 従来の方法で測定された白色色度 (モニタごとの純粋な白色色度) による
補正を行ったとしても、 各スタッフがモニタ上で目視する白色の色合いは、 そ れぞれの照明環境の影響を受けて異なるものになってしまう。 非接触で測色で きる測定機 (たとえば、 フォトリサーチ社製の分光放射輝度計 型番 P R— 7 0 5など) を用いれば、 照明を考慮した白色の測定は可能であるが、 そのよう な測定機は高価であり、 一般的ではない。
そこで本発明は、 設置場所の照明環境を考慮した白色色度を容易に測定する ことが可能なカラーモニタの白色色度測定装置を提供することを目的とする。 発 明 の 開 示
(1) 本発明の第 1の態様は、 三原色 R G Bを用いてカラー画像を表示する 機能をもったカラーモニタにおける白色の色度を測定するためのカラ一モニタ の白色色度測定装置において、
三原色 R G Bの階調値の組み合わせを格納する階調値格納手段と、
この階調値格納手段に格納されている三原色 R G Bの階調値に基づいて、 力 ラ一モニタの画面上にテストパターンを表示させるテストパターン表示手段と、 階調値格納手段内に格納されている階調値を予め定められた所定の規則に従 つて時間とともに変動させる変動操作を行う階調値変動手段と、
階調値変動手段による変動操作が行われている状態において、 カラーモニタ の画面上に表示されたテストパターンを目視するオペレータから、 テストパタ ーンの近傍に配置された 「基準となる白色を示す基準体」 の色とテストパター ンの色とを比較対象とする比較結果を入力する比較結果入力手段と、
比較結果入力手段に、 比較対象が一致した旨の比較結果が入力された時点で、 階調値格納手段に格納されている三原色 R G Bの階調値の組み合わせを、 カラ —モニタの現照明環境下における基準体を基準とした白色色度を示す測定結果 として出力する測定結果出力手段と、
を設けるようにしたものである。
(2) 本発明の第 2の態様は、 上述の第 1の態様に係るカラーモニタの白色 色度測定装置において、
階調値変動手段が、 オペレータから与えられる変動指示に応じて、 所定の原 色の階調値に対して所定周期で所定の変動量を加えるもしくは減じる変動操作 を開始および停止する機能を有するようにしたものである。
(3) 本発明の第 3の態様は、 上述の第 1または第 2の態様に係るカラーモ 二夕の白色色度測定装置において、
階調値変動手段が、 三原色 R G Bのうちの原色 Rについては、 常に最大階調 値に固定した状態とし、 原色 Gおよび原色 Bについてのみ階調値の変動操作を 行うようにしたものである。
(4) 本発明の第 4の態様は、 上述の第 1〜第 3の態様に係るカラーモニタ の白色色度測定装置において、
階調値変動手段が、 変動対象となる特定の原色の階調値に対して所定周期で 所定の変動量を加えるもしくは減じる変動操作を行うとともに、 比較結果入力 手段に入力された比較結果に応じて、 変動対象となる特定の原色を切り替える 機能を有するようにしたものである。
(5) 本発明の第 5の態様は、 上述の第 1の態様に係るカラーモニタの白色 色度測定装置において、
階調値変動手段が、 原色 Gの階調値に対して所定周期で所定の変動量を加え るもしくは減じる緑色変動操作と、 原色 Bの階調値に対して所定周期で所定の 変動量を加えるもしくは減じる青色変動操作と、 を選択的に行う機能を有し、 比較結果入力手段が、 階調値変動手段が緑色変動操作を行っている状態にお いて、 基準体の色とテストパターンの色とが最も近似した旨を示す緑色近似信 号と、 階調値変動手段が青色変動操作を行っている状態において、 基準体の色 とテストパターンの色とが最も近似した旨を示す青色近似信号と、 をオペレー 夕から入力する機能を有し、 緑色近似信号と青色近似信号との双方が入力され
たときに、 比較対象が一致した旨の比較結果が入力されたものとして取り扱う ようにしたものである。
(6) 本発明の第 6の態様は、 上述の第 5の態様に係るカラーモニタの白色 色度測定装置において、
変動操作を行う際に、 階調値の変動範囲を設定し、 変動量を加算する変動操 作により得られる階調値が変動範囲の最大階調値を上回ってしまう場合には、 変動範囲の最小階調値側から計数する循環処理を行い、 変動量を減算する変動 操作により得られる階調値が最小階調値を下回ってしまう場合には、 最大階調 値側から計数する循環処理を行い、 変動範囲内を階調値が循環変動するように したものである。
(7) 本発明の第 7の態様は、 上述の第 5の態様に係るカラーモニタの白色 色度測定装置において、
変動操作を行う際に、 階調値の変動範囲を設定し、 変動量を加算する変動操 作により得られる階調値が変動範囲の最大階調値を上回ってしまう場合には、 最大階調値側から変動量を減算する変動操作に切り換える折り返し処理を行い、 変動量を減算する変動操作により得られる階調値が変動範囲の最小階調値を下 回ってしまう場合には、 最小階調値側から変動量を加算する変動操作に切り換 える折り返し処理を行い、 変動範囲内を階調値が往復変動するようにしたもの である。
(8) 本発明の第 8の態様は、 上述の第 6または第 7の態様に係るカラーモ 二夕の白色色度測定装置において、
階調値変動手段が、 緑色変動操作を行っている状態において緑色近似信号が 入力された時点で青色変動操作を開始し、 青色変動操作を行っている状態にお いて青色近似信号が入力された時点で緑色変動操作を開始し、 緑色変動操作と 青色変動操作とを交互に繰り返し実行する機能を有し、 かつ、 階調値の変動量 および変動範囲を徐々に減少させながら繰り返し実行する機能を有し、
比較結果入力手段が、 変動量が所定の規定値に達した後に、 緑色近似信号と 青色近似信号との双方の入力が完了した場合に、 比較対象が一致した旨の比較 結果が入力されたものとして取り扱うようにしたものである。
(9) 本発明の第 9の態様は上述の第 1の態様に係るカラーモニタの白色色 度測定装置において、
階調値変動手段が、 原色 Rの階調値に対して所定周期で所定の変動量を加え るもしくは減じるか、 または、 原色 Gの階調値に対して所定周期で所定の変動 量を加えるもしくは減じる変動を行う赤ノ緑変動操作と、 原色 Rの階調値およ び原色 Gの階調値に対して所定周期で所定の同一変動量を同時に加えるもしく は減じるか、 または、 原色 Bの階調値に対して所定周期で所定の変動量を加え るもしくは減じる変動を行う黄/青変動操作と、 を選択的に行う機能を有し、 比較結果入力手段が、 階調値変動手段が赤 緑変動操作を行っている状態に おいて、 基準体の色とテストパターンの色とが最も近似した旨を示す赤/緑近 似信号と、 階調値変動手段が黄/青変動操作を行っている状態において、 基準 体の色とテストパターンの色とが最も近似した旨を示す黄 青近似信号と、 を オペレー夕から入力する機能を有し、 赤ノ緑近似信号と黄 青近似信号との双 方が入力されたときに、 比較対象が一致した旨の比較結果が入力されたものと して取り扱うようにしたものである。
(10) 本発明の第 1 0の態様は上述の第 9の態様に係るカラ一モニタの白色 色度測定装置において、
赤 Z緑変動操作を行う際に、 原色 Rの階調値を変動させる第 1の操作と、 原 色 Gの階調値を変動させる第 2の操作と、 を交互に繰り返し実行し、
黄 Z青変動操作を行う際に、 原色 Rおよび原色 Gの階調値を変動させる第 3 の操作と、 原色 Bの階調値を変動させる第 4の操作と、 を交互に繰り返し実行 するようにしたものである。
(11) 本発明の第 1 1の態様は上述の第 9または第 1 0の態様に係るカラー
モニタの白色色度測定装置において、
変動操作を行う際に、 階調値の変動範囲を設定し、 変動量を加算する変動操 作により得られる階調値が変動範囲の最大階調値を上回ってしまう場合には
(原色 Rと原色 Gを同時に変動させる場合は、 原色 Rか原色 Gかの少なくとも いずれか一方の階調値が最大階調値を上回ってしまう場合には)、 変動範囲の 最小階調値側から計数する循環処理を行い (原色 Rと原色 Gを同時に変動させ る場合は、 原色 Rの階調値か原色 Gの階調値か、 いずれか小さい方が最小階調 値側へと循環し、 かつ、 両階調値の差が一定となるようにする処理を行い)、 変動量を減算する変動操作により得られる階調値が最小階調値を下回ってしま う場合には (原色 Rと原色 Gを同時に変動させる場合は、 原色 Rか原色 Gかの 少なくともいずれか一方の階調値が最小階調値を下回ってしまう場合には)、 最大階調値側から計数する循環処理を行い (原色 Rと原色 Gを同時に変動させ る場合は、 原色 Rの階調値か原色 Gの階調値か、 いずれか大きい方が最大階調 値側へと循環し、 かつ、 両階調値の差が一定となるようにする処理を行い)、 変動範囲内を階調値が循環変動するようにしたものである。
(12) 本発明の第 1 2の態様は上述の第 9または第 1 0の態様に係るカラ一 モニタの白色色度測定装置において、
変動操作を行う際に、 階調値の変動範囲を設定し、 変動量を加算する変動操 作により得られる階調値が変動範囲の最大階調値を上回ってしまう場合には (原色 Rと原色 Gを同時に変動させる場合は、 原色 Rか原色 Gかの少なくとも いずれか一方の階調値が最大階調値を上回ってしまう場合には)、 変動量を減 算する変動操作に切り換える折り返し処理を行い、 変動量を減算する変動操作 により得られる階調値が最小階調値を下回つてしまう場合には (原色 Rと原色 Gを同時に変動させる場合は、 原色 Rか原色 Gかの少なくともいずれか一方の 階調値が最小階調値を下回つてしまう場合には)、 変動量を加算する変動操作 に切り換える折り返し処理を行い、 変動範囲内を階調値が往復変動するように
したものである。
(13) 本発明の第 1 3の態様は上述の第 9〜第 1 2の態様に係るカラーモニ 夕の白色色度測定装置において、
階調値変動手段が、 赤/緑変動操作を行っている状態において赤ノ緑近似信 号が入力された時点で黄/青変動操作を開始し、 黄 青変動操作を行っている 状態において黄 青近似信号が入力された時点で赤 Z緑変動操作を開始し、 赤 /緑変動操作と黄 青変動操作とを交互に繰り返し実行する機能を有し、 かつ、 階調値の変動量および変動範囲を徐々に減少させながら繰り返し実行する機能 有し、
比較結果入力手段が、 変動量が所定の規定値に達した後に、 赤 緑近似信号 と黄ノ青近似信号との双方の入力が完了した場合に、 比較対象が一致した旨の 比較結果が入力されたものとして取り扱うようにしたものである。
(14) 本発明の第 1 4の態様は上述の第 1〜第 1 3の態様に係るカラーモニ 夕の白色色度測定装置を、 コンピュータの機能によって実現させるためのプロ グラムを用意し、 このプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記 録して配付できるようにしたものである。 図 面 の 簡 単 な 説 明
図 1は、 本発明の基本的な実施形態に係るカラーモニタの白色色度測定装置 の構成を示すブロック図である。
図 2は、 図 1に示す白色色度測定装置による測定作業に利用する操作パネル の一例を示す平面図である。
図 3は、 特定色の階調値を変動させる際の循環変動の操作と往復変動の操作 とを示す図である。
図 4は、 図 1に示す白色色度測定装置による測定作業に利用する操作パネル の別な一例を示す平面図である。
図 5は、 図 4に示す操作パネルを用いた測定手順を示す流れ図である。
図 6は、 本発明に係る白色色度測定装置における最も実用的な測定手順を示 す流れ図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。 図 1は、 本発明の基 本的な実施形態を示すプロック図である。 ここで、 カラーモニタ 1 0 0は、 三 原色 R G Bを用いてカラー画像を表示する機能をもったモニタであり、 C R T 式のモニタであっても、 液晶式のモニタであってもかまわない。 一方、 白色色 度測定装置 2 0 0は、 本発明に係る測定装置であり、 カラ一モニタ 1 0 0につ いて、 その設置場所の照明環境を考慮した白色色度を測定する機能を有する。 本発明の基本原理は、 予め基準となる白色を示す基準体 Qなるものを用意し、 カラ一モニタ 1 0 0の画面上に表示させたテストパターン Tの色が、 この基準 体 Qの色と同じ色に見えるように調整を行う、 という点にある。 すなわち、 図 1において、 カラ一モニタ 1 0 0の画面内に描かれたテストパターン Tは、 測 定装置 2 0 0側から与えられる信号に基づいて、 カラーモニタ 1 0 0の画面上 に表示されたパターンであるのに対して、 基準体 Qは、 オペレータが手に保持 した実在の物体である。 オペレータは、 テストパターン Tの近傍に基準体 Qを 配置し、 両者の色を肉眼で比較しながら、 比較結果を測定装置 2 0 0に入力す る作業を行うことになる。
基準体 Qとしては、 基準となる白色を示す物体であれば、 どのようなもので もかまわない。 たとえば、 一般的なカード状の白紙を基準体 Qとして用いるこ とができる。 ただ、 測定時には、 複数のモニタに対して、 常に同一の基準体 Q を用いるのが好ましいので、 実用上は、 ある程度の堅牢性をもった物体を基準 体 Qとして用いるのがよい。 たとえば、 白いタイルなどは、 実用上、 十分な堅 牢性をもった基準体 Qとして用いることができる。 また、 基準体 Qは、 「白」
の統一基準を示す指標として利用されるため、 できるだけ物理的に白色の物体 にするのが好ましい。 このような点からは、 硫酸バリウムを用いた完全拡散板 なども、 基準体 Qとして用いるのに適している。 もちろん、 基準となる基準モ 二夕を別に用意し、 この基準モニタに白色表示させた画面を、 基準体 Qとして 用いることも可能である。 ただ、 基準モニタの白色表示は、 経年変化により変 動する可能性があり、 また、 装置自体の大きさや重さを考慮すると、 取り扱い に不便であり、 実用上はあまり好ましくない。 なお、 印刷物を作成するための D T Pの作業をモニタ上で行う場合は、 印刷物上の白色とモニタ上の白色とを 一致させるようにするのが好ましいので、 実際の印刷工程で用いる用紙をその まま基準体 Qとして用いるようにすればよい。 そうすれば、 用紙の色が完全な 白色からずれているような場合でも、 印刷物上の白色 (インキが付着していな い部分の色) とモニタ上の白色とを合わせることができる。
さて、 本発明に係る白色色度測定装置 2 0 0は、 図示のとおり、 テストパタ ーン表示手段 2 1 0、 階調値格納手段 2 2 0、 比較結果入力手段 2 3 0、 階調 値変動手段 2 4 0、 測定結果出力手段 2 5 0によって構成されている。 もっと も、 実際には、 白色色度測定装置 2 0 0は、 カラーモニタ 1 0 0に接続された パソコンなどのコンピュータにより実現される装置であり、 上記各構成要素は、 いずれもこのコンピュータに組み込まれたプログラムによつて実現される構成 要素である。 このプログラムは、 コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納 して配付することも可能である。
テストパターン表示手段 2 1 0は、 測定対象となるカラーモニタ 1 0 0の画 面上に、 テストパターン Tを表示させる機能をもった構成要素である。 図示の 例では、 正方形の領域をもったテストパターン Tが表示されているが、 表示さ れるテストパターン Tの大きさや形状は、 特に限定されるものではない。 ただ、 後述するように、 オペレータの目視による比較作業を行う上では、 用いる基準 体 Qとほぼ同一の形状および大きさをもったテストパターン Tを表示するのが
好ましい。 これは、 人間の目の特性として、 同一の色であっても、 提示される 面積の大小によって、 感覚的に認識される色に変動が生じるためである。
一方、 階調値格納手段 2 2 0には、 三原色 R G Bの階調値の組み合わせが格 納されている。 たとえば、 三原色 R G Bの階調値が、 0〜2 5 5の範囲をとる 8ビットのデ一夕で表現されていたとすると、 階調値格納手段 2 2 0には、 R = 2 5 5 , G = 2 0 0 , B = 2 3 4のような階調値が格納されることになる。 テストパターン表示手段 2 1 0は、 この階調値格納手段 2 2 0に格納されてい る三原色 R G Bの階調値の組み合わせに基づいて、 テストパターン Tの表示を 行う。 すなわち、 テストパターン Tは、 その全領域にわたって、 均一の色をも つたパターンであるが、 その色は、 階調値格納手段 2 2 0内に格納されている 三原色 R G Bの階調値に基づいて決定されることになる。 上述の例のように、 階調値格納手段 2 2 0内に、 R = 2 5 5 , G = 2 0 0 , B = 2 3 4という階調 値が格納されていた場合、 テストパターン Tの全領域が、 この階調値に対応す る色で表示されることになる。 もちろん、 同じ階調値 R= 2 5 5, G= 2 0 0 , B = 2 3 4を与えても、 テストパターン Tとして表示される実際の物理的な色 は、 個々のモニタごとに異なる。
階調値変動手段 2 4 0は、 階調値格納手段 2 2 0内に格納されている階調値 を、 予め定められた所定の規則に従って時間とともに変動させる変動操作を行 う機能を有している。 この変動操作の具体的な内容については後に詳述するが、 この変動操作により、 階調値格納手段 2 2 0内の階調値は時々刻々と変化する ことになり、 当然、 カラーモニタ 1 0 0の画面上に表示されるテストパターン Tの色も時々刻々と変化することになる。 オペレータは、 この時々刻々と変化 するテストパターン Tの色と基準体 Qの色とを比較する作業を行うことになる。 比較結果入力手段 2 3 0は、 階調値変動手段 2 4 0による変動操作が行われ ている状態において、 カラーモニタ 1 0 0の画面上に表示されたテストパター ン Tを目視するオペレータから、 基準体 Qの色とテストパターン Tの色とを比
較対象とする比較結果を入力する機能を果たす。 そして、 オペレータから、 比 較対象となる 2つの色が一致した旨の比較結果が入力されると、 測定結果出力 手段 2 5 0に対して一致信号を与える。
測定結果出力手段 2 5 0は、 比較結果入力手段 2 3 0から一致信号が与えら れた時点で (すなわち、 オペレータが、 比較対象となる 2つの色が一致した旨 の比較結果を入力した時点で)、 階調値格納手段 2 2 0に格納されている Ξ原 色 R G Bの階調値の組み合わせ (たとえば、 Rw, Gw, B w) を、 カラーモ 二夕 1 0 0の現照明環境下における基準体 Qを基準とした白色色度を示す測定 結果として出力する。
結局、 測定結果出力手段 2 5 0から出力された階調値 Rw, Gw, B wは、 測定対象となるカラ一モニタ 1 0 0に、 当該階調値を与えると、 現在の照明環 境の下において基準体 Qと同一色として観測される色表示が行われることを示 している。 たとえば、 Rw= 2 5 5, Gw= 2 0 5 , B w= 1 8 0という結果 が出力されたとすれば、 このカラーモニタ 1 0 0の表示画面上に、 現在の照明 環境下で、 基準体 Qと同等の白色を表示させるためには、 R = 2 5 5 , G= 2 0 5 , B = 1 8 0なる階調値の組み合わせを与えればよいことがわかる。 もち ろん、 測定結果として得られる階調値 Rw, Gw, B wの具体的な値は、 個々 の照明環境下に設置されたカラ一モニタごとに異なるが、 少なくとも、 個々の カラーモニタに対して、 個々の測定結果として得られた階調値 Rw, Gw, B wを与えれば、 その照明環境下で観察した基準体 Qと同等の白色が得られるこ とになる。
したがって、 本発明に係る白色色度測定装置による測定結果は、 多数のスタ ッフの分業により商用印刷物を作成する D T P処理を行うような場合に有用で · ある。 個々のスタッフは、 それぞれ独自の照明環境下で、 それぞれ固有の特性 をもったカラーモニタを利用することになるが、 全スタッフがそれぞれ共通の 基準体 Qを使って、 本発明に係る白色色度測定装置 2 0 0による測定を行い、
得られた白色色度のプロフアイルデータを各自のパソコンに組み込んで補正を 行うようにすれば、 いずれのスタッフも、 室内照明が蛍光灯か電球か、 室内の 壁紙が何色か、 太陽光が差し込むか否か、 などの条件に左右されることなしに、 目視の感覚上では、 同一の白色を基準としたカラ一画像を各自のモニタ上で見 ることができるようになる。
もちろん、 測定時に異なる白色特性をもつた基準体 Qを用いて得られたプロ ファイルデータでは、 このような統一性を得ることはできないが、 たとえば、 硫酸バリウムからなる完全拡散板を標準の基準体 Qとして用いる、 というよう な取り決めをしておけば、 必ずしも物理的に同一の物体を基準体として用いな くても、 かなり広い統一性をもったプロファイルデータを得ることができるよ うになる。
続いて、 階調値変動手段 2 4 0による具体的な変動操作と、 比較結果入力手 段 2 3 0に対する比較結果の具体的な入力方法について説明する。 前述のとお り、 階調値変動手段 2 4 0は、 階調値格納手段 2 2 0内に格納されている階調 値を、 予め定められた所定の規則に従って、 時間とともに変動させる変動操作 を行う構成要素であるが、 実用上は、 複数の原色の階調値を同時に変動させる のではなく、 三原色 R G Bのうちの 1つを特定色として選択して、 一度に 1つ の特定色についての階調値を変動させるようにした方が、 オペレータの比較作 業も容易になる。 そうすれば、 オペレータは、 三原色 R G Bのそれぞれについ て、 基準体 Qの色と一致をとるための最適な階調値を別個独立して決定するこ とができるようになる。
図 2は、 このような作業を行うために用いる操作パネルの一例を示す平面図 である。 ここで、 ポタン 1 1〜1 3は、 三原色 R, G, Bそれぞれについての 変動開始ポタンであり、 ポタン 1 4は、 三原色に共通の変動停止ポタンであり、 ポタン 1 5は、 一致ポタンである。 ここで、 変動開始ポタン 1 1〜1 3および 変動停止ポ夕ン 1 4は、 オペレータが階調値変動手段 2 4 0に対して変動指示
を与えるために利用されるポタンであり、 一致ポタン 1 5は、 オペレータが比 較結果入力手段 2 3 0に対して一致を示す比較結果を入力するために利用され るポタンである。 これらのポタンは、 カラ一モニタ 1 0 0の表示画面上に、 テ ストパターン Tとともに表示され、 マウスポインタなどでクリックすることに より押すことができる。
オペレータが、 変動開始ポタン 1 1をクリックすると、 階調値変動手段 2 4 0は、 このオペレ"夕からの変動指示に応じて、 階調値格納手段 2 2 0内に格 納されている階調値 Rを変動させる変動操作を開始する。 具体的には、 階調値 Rに対して、 所定周期で所定の変動量を加えるもしくは減じる変動操作が開始 されることになる。 たとえば、 階調値格納手段 2 2 0内に格納されている階調 値 Rの初期値が R = l 0 0であり、 所定周期が 1秒であり、 変動量が 5であつ た場合、 変動開始ポタン 1 1をクリックすることにより、 R = 1 0 5 , 1 1 0 , 1 1 5…と 1秒おきに変化してゆく。 当然、 カラーモニタ 1 0 0上のテストパ ターン Tの色合いも徐々に変化してゆくことになる。 変動停止ポタン 1 4は、 このような変動操作を停止させるためのポタンであり、 階調値変動手段 2 4 0 に対して、 変動操作を停止させる指示を与えることができる。
同様に、 変動開始ポタン 1 2は、 階調値変動手段 2 4 0に対して、 階調値 G を変動させる変動操作を開始させる指示を与えるポタンであり、 変動開始ポ夕 ン 1 3は、 階調値変動手段 2 4 0に対して、 階調値 Bを変動させる変動操作を 開始させる指示を与えるポタンである。
なお、 このような階調値の変動操作は、 0〜 2 5 5の階調値の範囲内で階調 値を循環変動もしくは往復変動させることにより、 変動停止ボタン 1 4がクリ ックされるまで、 永遠に続行されるようにしておく。 図 3は、 この循環変動と 往復変動とを説明する図である。 図示の例は、 最小階調値 0〜最大階調値 2 5 5までの範囲を変動範囲 Lとして設定したものである。
循環変動による変動操作は、 図 3の (1) に示すように、 変動量を加算する変
動操作により得られる階調値が変動範囲 Lの最大階調値 255を上回ってしま う場合には、 変動範囲 Lの最小階調値 0側から計数する循環処理を行い、 逆に、 変動量を減算する変動操作により得られる階調値が変動範囲 Lの最小階調値 0 を下回ってしまう場合には、 最大階調値 255側から計数する循環処理を行う というものである。 たとえば、 変動量 S = 5を加算する変動操作により、 階調 値が…… 245, 250と増加してゆき 255まで達したとすると、 次に 5を 加算すると 260になってしまうが、 この場合には、 256を減じて、 次の階 調値を 4とし、 9, 14, 19, …と循環させればよい。 変動量 S=5を減算 する場合は、 逆に、 … 19, 14, 9, 4, 255, 250…と循環させれば よい。
一方、 往復変動による変動操作は、 図 3の (2) に示すように、 変動量を加算 する変動操作により得られる階調値が変動範囲 Lの最大階調値 255を上回つ てしまう場合には、 この最大階調値 255側から変動量を減算する変動操作に 切り換える折り返し処理を行い、 逆に、 変動量を減算する変動操作により得ら れる階調値が変動範囲 Lの最小階調値 0を下回ってしまう場合には、 この最小 階調値 0側から変動量を加算する変動操作に切り換える折り返し処理を行うと いうものである。 たとえば、 変動量 S = 5を加算する変動操作により、 階調値 が…… 245, 250と増加してゆき 255まで達したとすると、 次に 5を加 算すると 260になってしまうが、 この場合には、 255に達した時点で変動 量 5を減算するように転じて、 次の階調'値を 250, 245, 240, …とす るような折り返し処理を行えばよい。 そして、 階調値が 15, 10, 5, 0ま で到達したら、 再び、 変動量 5を加算するように転じて、 5, 10, 15, … のように折り返せばよい。
• 図 2に示す変動開始ポタン 1 1, 12, 13のいずれかがクリックされた場 合、 該当する原色の階調値が、 0〜255の変動範囲を循環変動もしくは往復 変動することになるので、 オペレータは、 テストパターン Tが一定周期で繰り
返し変動するリズムを把握することができるようになる。 このようなリズムを 把握することができれば、 テス卜パターン Tの色と基準体 Qの色とが最も近く なった時点で、 変動停止ポタン 1 4をクリックする操作が比較的容易に行える ようになろう。
なお、 この実施形態の場合、 階調値の変動操作は、 常に、 三原色 R G Bのい ずれか 1つの特定色の階調値のみを変動させる操作として行われるので、 変動 開始ボタン 1 1 , 1 2 , 1 3のいずれかをクリックして、 特定色の階調値の変 動操作が行われた後は、 変動停止ボタン 1 4をクリックして、 当該特定色に関 する変動操作を停止した後でなければ、 別な色の変動開始ポタンが機能しない ようなしくみにするか、 あるいは、 第 1の特定色に関する変動操作が行われて いる最中に、 第 2の特定色についての変動開始ポタンがクリックされたときに は、 第 1の特定色についての変動操作を自動的に停止した上で、 第 2の特定色 についての変動操作を開始するようなしくみにしておくのが好ましい。
このように、 階調値変動手段 2 4 0に、 オペレータから与えられる変動指示 に応じて、 所定の原色の階調値に対して所定周期で所定の変動量を加えるもし くは減じる変動操作を開始および停止する機能をもたせておけば、 オペレータ は、 必要に応じて、 三原色 R G Bのうちの所望の原色に対する変動操作を開始 させたり停止させたりする指示を与えることができ、 テストパターン Tの色を 基準体 Qの色に近づける作業を行うことができる。 そして、 最終的に、 この比 較対象が一致したと認識できる状態になったら、 一致ポタン 1 5をクリックす ればよい。
なお、 本願において、 「色が一致」 あるいは 「色が同じ」 とは、 必ずしも完 全に 2つの色が一致したとの認識が得られる状態を言うものではなく、 一方の 色を変動させた状態において、 両者が最も近くなつたとの認識が得られる状態 も意味するものである。 したがって、 オペレータは、 色が変動中のテストパ夕 ーン Tと基準体 Qとを見比べながら、 両者の色合いが最も近くなつたと感じた
瞬間に、 一致ポタン 1 5をクリックする操作を行えばよい。 この一致ポタン 1 5がクリックされると、 比較結果入力手段 2 3 0に対して、 比較対象が一致し た旨の比較結果が入力されることになり、 比較結果入力手段 2 3 0から測定結 果出力手段 2 5 0に対して、 一致信号が与えられる。 測定結果出力手段 2 5 0 が、 この時点で、 階調値格納手段 2 2 0内に格納されている三原色 R G Bの階 調値 Rw, Gw, B wを測定結果として出力する処理を行うことは、 既に述べ たとおりである。
ただ、 実用上は、 図 2に示すような操作パネルを用いて、 三原色 R G Bの各 階調値をそれぞれ変動させる形態は、 ォペレ一夕にとって必ずしも操作性のよ いものではない。 その理由は、 変動対象となるパラメ一夕が、 原色 R, G, B という 3通りになるためである。 実際、 この 3通りのパラメ一タを調整して、 テストパターン Tの色を基準体 Qの色に一致させようとする作業を行うには、 かなりの熟練を要する。 一般的なオペレータは、 両者が一致していないことは 認識できても、 どの原色の階調値をどのように変えれば、 両者が一致するよう になるのか、 ということを把握することば困難である。
そこで、 実用上は、 いずれか 1つの原色の階調値を最大階調値に固定し、 残 りの 2つの原色の階調値のみを変動させるような変動操作を行うようにするの が好ましい。 そもそも白色は、 理論的には、 各原色の発光輝度を最大にするこ とにより得られる色であるので、 三原色 R G Bのうちの少なくとも 1つの原色 の階調値は、 最大階調値に設定するのが好ましい。 したがって、 1つの原色の 階調値が常に最大階調値となるように固定しても、 何ら支障は生じない。
本願発明者は、 多数のメーカ一から市販されている多種類のカラーモニタの 白色特性を種々の照明環境で調べたところ、 ある共通した傾向があることを発 見した。 それは、 いずれのケースも、 三原色 R G Bのそれぞれを最大階調値に した場合 (すなわち、 R = 2 5 5 , G = 2 5 5 , B = 2 5 5なる階調値を与え た場合)、 画面上に表示される色は、 本来の白色よりもやや緑色がかるか、 や
や青色がかる傾向にあり、 決して赤っぽく観察されることはない、 という事実 である。 別言すれば、 いずれのケースでも、 白色を表示させるためには、 R = 2 5 5 , G= 2 5 5 , B = 2 5 5の状態から、 原色 Gの階調値を若干減少させ るか、 あるいは原色 Bの階調値を若干減少させればよいことになる。
このような事実を踏まえると、 実用上は、 三原色 R G Bのうちの原色 Rにつ いては、 常に最大階調値 R = 2 5 5に固定した状態とし、 原色 Gおよび原色 B についてのみ階調値の変動操作を行うようにすれば合理的である。 図 4は、 こ のような観点に立つた操作パネルの一例を示す平面図である。 この操作パネル には、 スタートポタン 2 1と、 2つの一致ポタン 2 2, 2 3とが設けられてい るだけであり、 オペレータは、 三原色 R G Bという概念をもつ必要はない。 各 ポタンの脇には、 それぞれ説明文が表示されており、 オペレータは、 この説明 文に従って、 ポタンをクリックする操作を行えばよい。
まず、 オペレータは、 「ステップ 0 :測定を開始する時に押して下さい」 な る説明文に従って、 スタートポタン 2 1をクリックする。 すると、 原色 Gにつ いての変動操作が開始する。 このとき、 原色 Rと Bの階調値は固定のままであ る。 オペレータは、 この変動操作中、 テストパターン Tを見ながら、 基準体 Q と同じ色になったと認識した時点で、 「ステップ 1 :色が同じになったら押し てください」 なる説明文に従って、 一致ボタン 2 2をクリックする。 すると、 今度は、 原色 Bについての変動操作が開始する。 このとき、 原色 Rと Gの階調 値は固定のままである。 すなわち、 一致ポタン 2 2をクリックした時点で、 原 色 Gについての変動操作は停止し、 停止時の階調値をそのまま維持することに なる。 オペレータは、 原色 Bについての変動操作中、 テストパターン Tを見な がら、 基準体 Qと同じ色になったと認識した時点で、 「ステップ 2 :色が同じ になったら押してください」 なる説明文に従って、 一致ポタン 2 3をクリック する。
以上の操作で、 テストパターン Tの色と基準体 Qの色とを一致させる上での、
原色 Gについての最適階調値 と原色 Bについての最適階調値 B wとが、 ォ ペレ一夕のポタン操作により決定する。 このとき、 原色 Rは最大階調値 R = 2 5 5に固定されたままであり、 原色 Rについての最適階調値は、 常に Rw= 2 5 5になる。
このように、 この図 4に示す操作パネルを用いた例では、 階調値変動手段 2 4 0は、 変動対象となる特定の原色の階調値に対して所定周期で所定の変動量 を加えるもしくは減じる変動操作を行うとともに、 比較結果入力手段 2 3 0に 入力された比較結果に応じて、 変動対象となる特定の原色を切り替える処理を 行っていることになる。 すなわち、 一致ポタン 2 2は、 テストパターン Tの色 と基準体 Qの色とがー致した (あるいは近づいた) 旨の比較結果を入力するポ タンであるが、 原色 Gについての変動操作から原色 Bについての変動操作に切 り替える指示を与えるポタンとしても機能していることになる。
結局、 図 4に示す操作パネルを用いて測定を行うことができるようにするた めには、 階調値変動手段 2 4 0に、 原色 Gの階調値に対して所定周期で所定の 変動量を加えるもしくは減じる緑色変動操作と、 原色 Bの階調値に対して所定 周期で所定の変動量を加えるもしくは減じる青色変動操作と、 を選択的に行う 機能をもたせておくようにし、 比較結果入力手段 2 3 0には、 階調値変動手段 2 4 0が緑色変動操作を行っている状態において、 基準体 Qの色とテストパタ ーン Tの色とが最も近似した旨を示す緑色近似信号と、 階調値変動手段 2 4 0 が青色変動操作を行っている状態において、 基準体 Qの色とテストパターン T の色とが最も近似した旨を示す青色近似信号と、 をオペレータから入力する機 能をもたせておくようにすればよい。 そして、 比較結果入力手段 2 3 0に、 青 色近似信号と緑色近似信号との双方が入力されたときに、 比較対象が一致した 旨の比較結果が入力されたものとして取り扱い、 測定結果出力手段 2 5 0に対 して一致信号を与えるようにすればよい。
図 5は、 図 4に示す操作パネルを用いた測定手順を示す流れ図である。 まず、
ステップ S I 1において、 各原色の階調値が初期値に設定される。 この例では、 原色 Rの初期値は 2 5 5となっているが、 原色 Gの初期値 G Oおよび原色 Bの 初期値 B 0は、 任意の値でかまわない。 続いて、 ステップ S 1 2において、 ス タートポタン 2 1が押されたか否かが検知される。 スタートポタン 2 1カ 甲さ れると、 ステップ S 1 3において、 緑色変動操作が実行される。 すなわち、 原 色 Gの階調値が、 所定の変動量だけ増減されることになる。 このとき、 必要に 応じて、 循環処理あるいは折り返し処理が行われる。 そして、 ステップ S 1 4 では、 一致ポタン 2 2が押されたか否かが検知され、 一致ポタン 2 2が押され るまで、 ステップ S 1 3の緑色変動操作が繰り返し実行される。 なお、 このス テツプ S 1 3 , S 1 4のループ処理は、 たとえば、 1秒周期など、 所定の周期 で実行されるような設定がなされる。
やがて、 一致ポタン 2 2が押されると、 ステップ S 1 5において、 青色変動 操作が実行される。 すなわち、 一致ポタン 2 2が押された時点で、 比較結果入 力手段 2 3 0には、 緑色近似信号が与えられることになり、 これまで行われて いた緑色変動操作は停止され、 原色 Gの階調値はその時点の値に固定される。 そして、 これまで固定されていた原色 Bの階調値に対する変動操作が開始する。 すなわち、 原色 Bの階調値が、 所定の変動量だけ増減されることになる。 この とき、 必要に応じて、 循環処理あるいは折り返し処理が行われる。 そして、 ス テツプ S 1 6では、 一致ポタン 2 3が押されたか否かが検知され、 一致ポタン 2 3が押されるまで、 ステップ S 1 5の青色変動操作が繰り返し実行される。 このステップ S 1 5 , S 1 6のループ処理も、 たとえば、 1秒周期など、 所定 の周期で実行されるような設定がなされる。
こうして、 一致ポタン 2 3が押されると、 ステップ S 1 7が実行される。 す なわち、 一致ポタン 2 3が押された時点で、 比較結果入力手段 2 3 0には、 青 色近似信号が与えられることになり、 これまで行われていた青色変動操作は停 止され、 原色 Bの階調値はその時点の値に固定される。 そして、 比較結果入力
手段 2 3 0から測定結果出力手段 2 5 0に対して、 一致信号が与えられる。 こ の一致信号を受けた測定結果出力手段 2 5 0は、 その時点で階調値格納手段 2 2 0に格納されていた原色 R G Bの各階調値を、 測定結果として出力する処理 を行う。
この図 5の流れ図に示す測定手順では、 オペレータは、 ステップ S 1 4にお ける一致ポタン 2 2のクリックにより原色 Gの階調値を定め、 ステップ S 1 6 における一致ポタン 2 3のクリックにより原色 Bの階調値を定めることになり、 これらのステップで定まった階調値 Gw, B wと、 始めから固定されていた階 調値 Rw (= 2 5 5 ) とが、 測定結果として出力されることになる。 このよう な方法でも、 各色の変動操作中は、 階調値が循環変動もしくは往復変動するの で、 オペレータは、 最も色が近くなつた時点で一致ポタンのクリックを行うこ とができ、 ある程度正確に最適な階調値を定めることが可能である。
ただ、 より実用的な運用を考慮すると、 原色 G, Bの階調値をそれぞれ 1回 のクリック操作で決定してしまうよりは、 オペレータが最終決定を行う際に、 何度かチャンスを与えるようにするのが好ましい。 図 6の流れ図に示す測定手 順は、 このような点を考慮した実施形態を示すものである。 この実施形態では、 原色 Rの階調値を最大階調値 2 5 5に固定する点は変わりないが、 原色 G, B の階調値については、 オペレータの複数回のクリック操作で決定することにな る。
まず、 ステップ S 2 1において、 各原色の階調値が初期値に設定される。 や はり、 原色 Rの初期値は 2 5 5となっているが、 原色 Gの初期値 G Oおよび原 色 Bの初期値 B 0は、 任意の値でかまわない。 ここでは、 説明の便宜上、 G O = 2 0 0 , B 0 = 2 0 0に設定したものとしょう。 また、 このステップ S 2 1 では、 変動操作の変動量 Sの初期値 S 0および変動範囲 Lの初期値 L 0も設定 される。 ここでは、 S 0 = 1 0, L 0 = 0〜2 5 5に設定されたものとしょう。 続いて、 ステップ S 2 2において、 マウスクリックが行われたか否かが検知
される。 この実施形態では、 これまでの実施形態のように複数のポタンを表示 することはせず、 単一のポタンだけを画面上に表示するようにしている。 'いわ ば、 この単一のポタンは、 この測定手順を次のステップに移行させるためのス テツプ移行ポタンとしての役割を果たすことになる。 したがって、 オペレータ は、 この単一のポタンをマウスなどでクリックする操作を行うだけでよく、 ポ タンを選択する作業は不要である。 また、 特定のポタンを全く表示させずに、 画面上のどの位置でマウスクリックを行ってもクリック操作が行われたものと して認識するようにしてもかまわない。 もちろん、 オペレータの操作は、 必ず しもマウスクリックに限定されるものではなく、 たとえば、 キーボードのスぺ —スキーなどを押す操作を、 マウスクリック操作の代わりに利用してもかまわ ない。
さて、 ステップ S 2 2で、 クリックが検出されると、 ステップ S 2 3におい て、 緑色変動操作が実行される。 すなわち、 原色 Gの階調値が、 その時点での 変動量 Sの値だけ増減されることになる。 このとき、 必要に応じて、 循環処理 あるいは折り返し処理が行われるが、 この循環処理あるいは折り返し処理の基 準となる変動範囲 Lは、 その時点での設定値ということになる。 ここでは説明 の便宜上、 常に、 変動量 Sだけ増加させる変動操作を行うとともに、 変動範囲 Lを越えてしまう場合には、 常に循環処理を行うことにより対処する例を述べ よう。 上述の例では、 変動量 Sは初期値 S 0 = 1 0に設定されており、 変動範 囲 Lも初期値 L 0 = 0〜2 5 5に設定されているので、 ステップ S 2 3では、 まず、 原色 Gの階調値が、 初期値 2 0 0から 2 1 0に更新されることになり、 最大階調値 2 5 5を越えるまで、 1 0ずつ増加させる更新処理が続けられるこ とになる。
こうして、 ステップ S 2 4において、 クリックの検出が行われるまで、 ステ ップ S 2 3, S 2 4をループする処理が繰り返し実行され、 原色 Gの階調値に ついて、 2 2 0, 2 3 0 , 2 4 0 , 2 5 0 , …と変動量 S = 1 0ずつ増加させ
る更新が行われる。 そして、 次の段階で階調値 260に更新されると、 変動範 囲 Lの最大階調値 255を上回わることになるので、 循環処理を行うために 2 56を減じることにより、 新たな階調値を 4に設定する処理が行われ、 以後、 14, 24, 34, …と変動量 S =l 0ずつ増加させる更新が行われる。 なお、 このとき、 原色 R, Bは、 それぞれ R= 255, B = 200に固定されたまま である。
このような更新処理を、 たとえば、 1秒周期で行うとすれば、 原色 Gの階調 値は、 約 25秒で一巡することになり、 オペレータは、 テストパターン Tの色 合いが約 25秒周期で変動する様子を観察することができる。 そして、 テス卜 パターン Tの色が基準体 Qの色に最も近いと感じた時点で、 クリック操作を行 う。 ここでは、 一例として、 原色 G== 193のときに、 オペレータによるクリ ック操作が行われたものとして、 以下の説明を続けることにする。
ステップ S 24で、 クリックが検出されると、 ステップ S 25において、 青 色変動操作が実行される。 このステップ S 24におけるクリック操作は、 比較 結果入力手段 230に対して緑色近似信号を入力するとともに、 階調値変動手 段 240に対して、 変動対象となる原色を切り替える指示を与える意味をもつ。 これにより、 原色 Gの変動操作は停止し、 原色 Gの階調値は、 G=193の状 態を維持することになる。 そして、 今度は、 原色 Bの階調値が、 変動量 S=l 0の値だけ増加される変動操作が行われる。 このとき、 他の原色は、 R= 25 5、 G= 193に固定されたままである。
こうして、 ステップ S 26において、 次のクリックの検出が行われるまで、 ステップ S 25, S 26をループする処理が繰り返し実行され、 原色 Bの階調 値について、 210, 220, 230, 240, 250, 4, 14, 24…と 変動量 S==l 0ずつ循環変動により増加させる更新が継続される。 オペレータ は、 再び、 テストパターン Tの色が基準体 Qの色に最も近いと感じた時点で、 クリック操作を行う。 ここでは、 一例として、 原色 B = 231のときに、 オペ
レー夕によるクリツク操作が行われたものとして、 以下の説明を続けることに する。 この時点で、 階調値格納手段 220内に格納されている各原色の階調値 は、 R=255, G= 193, B = 231である。
ステップ S 26で、 クリックが検出されると、 ステップ S 27へと進むこと になる。 このステップ S 26におけるクリック操作は、 比較結果入力手段 23 0に対して青色近似信号を入力するとともに、 階調値変動手段 240に対して、 変動対象となる原色を切り替える指示を与える意味をもつ。 すなわち、 ステツ プ S 27, S 28を経て、 再びステップ S 23からの処理が実行されることに なり、 原色 Bの変動操作は停止し、 原色 Gの変動操作が再開される。 ただし、 この二巡目の手順では、 変動量 Sおよび変動範囲 Lが更新されることになる。 具体的には、 ステップ S 28において、 変動量 Sおよび変動範囲 Lを、 ともに 減少させる更新処理が実行される。 ここでは、 二巡目については、 変動量 S = 3、 変動範囲 L = ± 30というような更新が行われたものとしょう。 なお、 L = ±30なる変動範囲は、 現時点での階調値を中心として、 上下に 30の幅を もった範囲を意味する。 .
さて、 二巡目のステップ S 23, S 24のル一プでは、 原色 Gの階調値に対 して、 新たな変動量 S = 3ずつ増加する更新が行われる。 したがって、 上述の 例の場合、 G= 193, 196, 199, 202…というような更新が行われ る。 ただし、 変動範囲 L = ± 30という新たな設定となっているため、 具体的 な変動範囲は、 原色 Gの二巡目当初の階調値 G=l 93を中心として ±30の 幅となり、 163〜223という範囲になる。 結局、 二巡目では、 この 163 〜223という変動範囲内で、 3刻みで原色 Gの階調値が循環変動することに なる。
同様に、 二巡目のステップ S 25, S 26のループでは、 原色 Bの階調値に 対して、 新たな変動量 S = 3ずつ増加する更新が行われる。 したがって、 上述 の例の場合、 G=231, 234, 237, 240…というような更新が行わ
れる。 ただし、 変動範囲 L = ± 30という新たな設定となっているため、 具体 的な変動範囲は、 原色 Bの二巡目当初の階調値 G= 231を中心として ±30 の幅となり、 201〜261 (実際には、 循環変動により、 256〜261の 部分については、 0〜5に置き換わる) という範囲になり、 この変動範囲内で、 3刻みで原色 Bの階調値が循環変動することになる。
このような処理が、 ステップ S 27において変動量 Sが規定値に達したと判 断されるまで、 繰り返し実行される。 たとえば、 変動量 S =lを規定値に設定 しておけば、 変動量 Sが 1に達するまで、 ステップ S 28における更新が行わ れ、 ステップ S 23〜S 26の処理が繰り返されることになる。
ステップ S 28における更新幅は、 変動量 Sおよび変動範囲 Lが徐々に減少 するような設定であれば、 どのような設定を行ってもかまわないが、 具体的に は、 たとえば、 変動量 Sについては、 「10」 → 「3」 → 「1」 のように更新 値を定めておき、 変動範囲 Lについては、 「全範囲 (0〜255)」 → 「±30J → 「±7」 のように更新値を定めておけばよい。 この場合、 一巡目は、 S=l 0, L= 0〜255なる設定で処理が行われ、 二巡目は、 S = 3, L = ±30 なる設定で処理が行われ、 三巡目は、 S = l, L = ± 7なる設定で処理が行わ れることになり、 三巡目が完了したときに、 ステップ S 27において、 Sが規 定値に達したと判断され、 ステップ S 29へと進むことになる。
こうして、 ステップ S 27で Sが規定値に達したと判断された時点で、 比較 結果入力手段 230から階調値変動手段 240に対して一致信号が与えられる ことになる。 そして、 ステップ S 29に示すとおり、 測定結果出力手段 250 によって、 その時点で階調値格納手段 220内に格納されている三原色 RGB の階調値が、 測定結果 Rw, Gw, Bwとして出力される処理が実行される。 この図 6の流れ図に示すような測定手順を実行するためには、 階調値変動手 段 240に、 緑色変動操作を行っている状態において緑色近似信号が入力され た時点で青色変動操作を開始し、 青色変動操作を行っている状態において青色
近似信号が入力された時点で緑色変動操作を開始し、 緑色変動操作と青色変動 操作とを交互に繰り返し実行する機能をもたせるようにし、 かつ、 階調値の変 動量 Sおよび変動範囲 Lを徐々に減少させながら繰り返し実行する機能をもた せておくようにすればよい。 また、 比較結果入力手段 2 3 0には、 変動量 Sが 所定の規定値に達した後に、 緑色近似信号と青色近似信号との双方の入力が完 了した場合に、 比較対象が一致した旨の比較結果が入力されたものとして取り 扱い、 一致信号を出力する機能をもたせておくようにすればよい。
このように、 図 6の流れ図に示す測定処理では、 階調値の変動量 Sおよび変 動範囲 Lを徐々に減少させながら、 ォペレ一夕に色一致の認識入力を繰り返し 実行させることができるため、 図 5の流れ図に示す測定処理に比べて、 より精 度の高い測定結果を得ることが可能になる。 すなわち、 一巡目、 二巡目、 三巡 目と繰り返してゆくうちに、 原色 G,, Bの階調値が徐々に最適な値へと近づい てゆくことになる。 また、 階調値の変動量 Sが、 徐々に減少してゆくので、 変 動操作の刻み幅は、 最初は粗く、 徐々に細かくなつてゆくことになり、 しかも、 変動範囲 Lも徐々に狭まってゆくことになるので、 階調値が徐々に最適値へと 絞り込まれるようになり、 効率良い測定操作が可能になる。
また、 この測定処理では、 オペレータ側から見た操作性も極めて高くなる。 前述したように、 オペレータの操作としては、 単なるマウスクリックだけでよ いので、 テストパターン Tと基準体 Qとを注視しながら作業を進めることがで きる。 要するに、 オペレータは、 両方の色が最も近くなつたと感じた瞬間に、 マウスをクリックする作業を繰り返してゆくだけでよく、 上述の例の場合、 三 巡の処理において、 合計 6回だけクリック操作を行えば、 測定は自動的に完了 することになる。 なお、 実用上は、 クリック操作が行われるたびに、 オペレー 夕に対して、 何らかの音を提示するか、 何らかのメッセ一ジを画面上に表示す るようにして、 6回の測定を繰り返し実行していることを認識させるとともに、 各回の区切りが明確に把握できるようにするのが好ましい。
以上、 図 5および図 6の流れ図を参照しながら、 三原色 R G Bのうちの原色 Rについては、 常に最大階調値 R = 2 5 5に固定した状態とし、 原色 Gおよび 原色 Bについてのみ階調値の変動操作を行う実施例を述べた。 ここでは、 続い て、 別なアプローチに基づく実施例を述べておく。
ここで述べる別なアプローチは、 赤の反対色が緑、 黄の反対色が青、 という 人間の色に対する一般的な知覚に基づくものである。 すなわち、 人間の知覚に よると、 赤っぽいか緑っぽいか、 というバランスが色の 1つの尺度となってお り、 また、 黄色っぽいか青っぽいか、 というバランスが色のもう 1つの尺度と なっている。 本願発明者は、 このような人間の色に対する知覚を利用して、 赤 っぽいか緑っぽいかという観点からの白色認識作業と、 黄色っぽいか青っぽい かという観点からの白色認識作業とを行うようにすれば、 より人間の知覚に合 致した測定作業が可能になることを見出した。
すなわち、 まず、 テストパターン Tの表示色を、 緑色の状態から徐々に緑色 を薄めてゆき、 白色を経てやがて薄い赤色に転じ、 徐々に赤色を強めてゆく、 というように変動させたり、 あるいは、 逆に、 赤色の状態から徐々に赤色を薄 めてゆき、 白色を経てやがて薄い緑色に転じ、 徐々に緑色を強めてゆく、 とい うように変動させたりすれば、 赤っぽくもなく緑っぽくもない、 という赤と緑 の中間点として、 白色の認識が可能になる。 ここでは、 このような変動操作を 赤 緑変動操作と呼ぶことにする。 この赤/緑変動操作において、 オペレータ が白色と認識した色は、 あくまでも赤 Z緑という反対色成分が中和した色とし ての意味をもつ。
一方、 テストパターン Tの表示色を、 黄色の状態から徐々に黄色を薄めてゆ き、 白色を経てやがて薄い青色に転じ、 徐々に青色を強めてゆく、 というよう に変動させたり、 あるいは、 逆に、 青色の状態から徐々に青色を薄めてゆき、 白色を経てやがて薄い黄色に転じ、 徐々に黄色を強めてゆく、 というように変 動させたりすれば、 黄色っぽくもなく青っぽくもない、 という黄と青の中間点
として、 白色の認識が可能になる。 ここでは、 このような変動操作を黄ノ青変 動操作と呼ぶことにする。 この黄/青変動操作において、 オペレータが白色と 認識した色は、 あくまでも黄/青という反対色成分が中和した色としての意味 をもつ。
結局、 テス卜パターン Tの表示色を、 上述した赤/緑変動操作により変動さ せた状態で、 オペレータから色が一致した旨の信号を入力し、 更に、 上述した 黄/青変動操作により変動させた状態で、 オペレータから色が一致した旨の信 号を入力すれば、 赤 緑という反対色成分と黄 Z青という反対色成分との双方 について中和した色が得られることになり、 人間の色に対する知覚に合致した 精度の高い測定結果を得ることができる。
このようなアプローチをとる場合、 図 5および図 6の流れ図に示す手順を若 干修正すればよい。 まず、 図 5のステップ S I 1では、 三原色 R G Bの階調値 をそれぞれ所定の初期値に設定する。 この実施例では、 原色 Rも固定されるこ とはなく、 階調値の変動対象となる。 ステップ S 1 2において、 スタートポ夕 ン 2 1が押されたことが検知されると、 測定作業が開始する点は、 前述の実施 例と全く同様である。 ただ、 ステップ S 1 3では、 緑色変動操作の代わりに、 上述した赤ノ緑変動操作が実施される。 このため、 ステップ S 1 4において一 致ポタン 2 2が押された場合、 赤 Z緑という反対色成分のバランスに関する観 点において、 色の一致が得られたことになる。 ここでは、 このステップ S 1 4 における一致ポタン 2 2の操作により得られる信号を赤 緑近似信号と呼ぶこ とにする。 · 一方、 ステップ S 1 5では、 青色変動操作の代わりに、 上述した黄ノ青変動 操作が実施される。 このため、 ステップ S 1 6において一致ポタン 2 3が押さ れた場合、 黄 Z青という反対色成分のバランスに関する観点において、 色の一 致が得られたことになる。 ここでは、 このステップ S 1 6における一致ポタン 2 3の操作により得られる信号を黄/青近似信号と呼ぶことにする。 かくして、
ステップ S 1 4において赤 緑近似信号が得られ、 ステップ S 1 6において黄 /青近似信号が得られたら、 赤 Z緑という反対色成分のバランスに関しても、 黄 青という反対色成分のパランスに関しても、 色の一致が得られたことにな るので、 最終的に、 ステップ S 1 7において、 その時点の三原色 R G Bの各階 調値が測定結果として出力されることになる。
ステップ S 1 3において、 赤 Z緑変動操作を実施するには、 階調値変動手段 2 4 0に、 原色 Rの階調値に対して所定周期で所定の変動量を加えるもしくは 減じるか、 または、 原色 Gの階調値に対して所定周期で所定の変動量を加える もしくは減じる変動を行う機能を設けておけばよい。 赤/緑という反対色成分 のバランスを調整するには、 原色 Rの階調値を増減してもよいし、 原色 Gの階 調値を増減してもよい。 両¾^は反対色であるため、 両者のバランス調整を行う 上では、 原色 Rの階調値を増加させる変動操作と原色 Gの階調値を減少させる 変動操作とは等価になり、 同様に、 原色 Gの階調値を増加させる変動操作と原 色 Rの階調値を減少させる変動操作とは等価になる。
したがって、 たとえば、 原色 Rの階調値を徐々に増加させていった結果、 最 大階調値にまで達してしまった場合 (たとえば、 R = 2 5 5 )、 今度は原色 G の階調値を徐々に減少させることにより、 視覚的には、 赤味を強め、 緑味を弱 めるという同一の調整方向への変動を継続させることも可能である。 同様に、 原色 Rの階調値を徐々に減少させていった結果、 最小階調値にまで達してしま つた場合 (たとえば、 R = 0 )、 今度は原色 Gの階調値を徐々に増加させるこ とにより、 視覚的には、 緑味を強め、 赤味を弱めるという同一の調整方向への 変動を継続させることも可能である。
このように、 赤/緑変動操作は、 原理的には、 原色 Rの階調値を増減する方 法によっても、 原色 Gの階調値を増減する方法によっても、 実施することが可 能であるが、 実用上は、 原色 Rの階調値を変動させる操作と、 原色 Gの階調値 を変動させる操作と、 を交互に繰り返し実行するのが好ましい。 たとえば、 原
色 Rの階調値を徐々に増加させてゆき、 最大階調値に達した場合 (たとえば、 R = 2 5 5 )、 今度は原色 Gの階調値を徐々に減少させてゆく操作を行う。 そ して、 原色 Gの階調値が最小階調値に達した場合 (たとえば、 G = 0 )、 今度 は、 原色 Rの階調値を徐々に減少させてゆき、 原色 Rの階調値が最小値に達し た場合 (たとえば、 R = 0 )、 今後は、 原色 Gの階調値を徐々に増加させてゆ く。 そして、 原色 Gの階調値が最大階調値に達した場合 (たとえば、 G = 2 5 5 )、 今度は、 原色 Rの階調値を徐々に増加させてゆく。 このように、 原色 R の変動と原色 Gの変動とを交互に行えば、 オペレータには、 赤味—緑味→赤味 →緑味→と交互に赤っぽくなつたり緑っぽくなつたり周期的に変化するテスト パターンを提示することができ、 しかも各色の階調値を最大階調値から最小階 調値までの全範囲で変動させることが可能になる。
一方、 ステップ S 1 5において、 黄 青変動操作を実施するには、 原理的に は、 階調値変動手段 2 4 0に、 原色 Yの階調値に対して所定周期で所定の変動 量を加えるもしくは減じるか、 または、 原色 Bの階調値に対して所定周期で所 定の変動量を加えるもしくは減じる変動を行う機能を設けておけばよい。 黄 Z 青という反対色成分のバランスを調整するには、 原色 Yの階調値を増減しても よいし、 原色 Bの階調値を増減してもよい。 両者は反対色であるため、 両者の バランス調整を行う上では、 原色 Yの階調値を増加させる変動操作と原色 Bの 階調値を減少させる変動操作とは等価になり、 同様に、 原色 Bの階調値を増加 させる変動操作と原色 Yの階調値を減少させる変動操作とは等価になる。
しかしながら、 実際には、 カラーモニタの三原色は R G Bであり、 原色 Yの 成分は含まれていないため、 原色 Yの階調値を直接増減させるような変動操作 は行うことはできない。 そこで、 本実施例では、 原色 Yが、 原色 Rと原色 Gと の混色として得られる点に着目し、 原色 Rと原色 Gとの組み合わせを原色 Yの 代わりに用いることにより、 上述した原理に基づく黄 青変動操作を実施する ようにしている。
具体的には、 階調値変動手段 240に、 原色 Rの階調値および原色 Gの階調 値に対して所定周期で所定の同一変動量を同時に加えるもしくは減じる力、、 ま たは、 原色 Bの階調値に対して所定周期で所定の変動量を同時に加えるもしく は減じる変動を行う機能を設けておけばよい。 黄 青という反対色成分のパラ ンスを調整するには、 原色 Rと原色 Gの階調値を同時に同じ量だけ増減しても よいし (実質的に、 原色 Yの階調値を増減することと等価になる)、 原色 Bの 階調値を増減してもよい。 原色 Y (原色 Rと原色 Gとの混色) と原色 Bは反対 色であるため、 両者のバランス調整を行う上では、 原色 Rおよび Gの階調値を 同時に同量だけ増加させる変動操作と原色 Bの階調値を減少させる変動操作と は等価になり、 同様に、 原色 Bの階調値を増加させる変動操作と原色 Rおよび Gの階調値を同時に同量だけ減少させる変動操作とは等価になる。
したがって、 たとえば、 原色 Rおよび Gの階調値を、 (R= 2 0 0, G= 1 0 0) → (R- 20 5, G= 1 0 5) → (R=2 1 0, G= 1 1 0) → (R = 2 1 5, G= 1 1 5) →……と、 徐々に増加させていった結果、 少なくともそ の一方が最大階調値にまで達してしまった場合 (たとえば、 R= 2 5 5, G = 1 5 5)、 今度は原色 Bの階調値を、 たとえば、 B= 1 2 0→1 1 5→1 1 0 →1 0 5→……と、 徐々に減少させることにより、 視覚的には、 黄味を強め、 青味を弱めるという同一の調整方向への変動を継続させることが可能である。 同様に、 原色 Rおよび Gの階調値を、 (R= 2 0 0, G= 1 0 0) → (R= 1 9 5, G=9 5) → (R= 1 9 0, G= 90) →……と、 徐々に減少させてい つた結果、 少なくともその一方が最小階調値にまで達してしまった塲合 (たと えば、 R= 1 0 0, G= 0)、 今度は原色 Bの階調値を、 たとえば、 B= 1 2 0→1 2 5→1 3 0→1 3 5→……と、 徐々に増加させることにより、 視覚的 には、 青味を強め、 黄味を弱めるという同一の調整方向への変動を継続させる ことが可能である。
このように、 黄ノ青変動操作は、 原理的には、 原色 Rおよび Gの階調値を同
時に同量だけ増減する方法によっても、 原色 Bの階調値を増減する方法によつ ても、 実施することが可能であるが、 実用上は、 原色 Rおよび Gの階調値を同 時に同量だけ変動させる操作と、 原色 Bの階調値を変動させる操作と、 を交互 に繰り返し実行するのが好ましい。 たとえば、 原色 Rおよび Gの階調値を同時 に同量だけ徐々に増加させてゆき、いずれか一方が最大階調値に達した場合(た とえば、 R = 2 5 5 )、 今度は原色 Bの階調値を徐々に減少させてゆく操作を 行う。 そして、 原色 Bの階調値が最小階調値に達した場合 (たとえば、 B = 0 )、 今度は、 原色 Rおよび Gの階調値を同時に同量だけ徐々に減少させてゆき、 い ずれか一方が最小値に達した場合 (たとえば、 G = 0 )、 今後は、 原色 Bの階 調値を徐々に増加させてゆく。 そして、 原色 Bの階調値が最大階調値に達した 場合 (たとえば、 B = 2 5 5 )、 今度は、 原色 Rおよび Gの階調値を同時に同 量だけ徐々に増加させてゆく。 このように、 原色 Rおよび Gの変動と原色 Bの 変動とを交互に行えば、 オペレータには、 黄味→青味—黄味→青味—と交互に 黄色っぽくなつたり青っぽくなつたり周期的に変化するテストパターンを提示 することができ、 しかも各色の階調値を最大階調値から最小階調値までの全範 囲で変動させることが可能になる。
結局、 この実施例では、 比較結果入力手段 2 3 0は、 階調値変動手段 2 4 0 が赤/緑変動操作を行っている状態において、 基準体 Qの色とテストパターン Tの色とが最も近似した旨を示す赤 Z緑近似信号と、 階調値変動手段 2 4 0が 黄ノ青変動操作を行っている状態において、 基準体 Qの色とテストパターン T の色とが最も近似した旨を示す黄 Z青近似信号と、 をオペレータから入力する 機能を有し、 赤/緑近似信号と黄/青近似信号との双方が入力されたときに、 比較対象が一致した旨の比較結果が入力されたものとして取り扱うことになる。 もちろん、 図 6の流れ図に示す実施例においても、 同様のアプローチをとる ことが可能である。 すなわち、 ステップ S 2 1では、 三原色 R G Bの階調値に それぞれ所定の初期値を設定し、 ステップ S 2 3では、 緑色変動操作の代わり
に、 上述した赤/緑変動操作を行うようにし、 ステップ S 24のクリック操作 で、 赤 Z緑近似信号を入力できるようにする。 同様に、 ステップ S 25では、 青色変動操作の代わりに、 上述した黄ノ青変動操作を行うようにし、 ステップ S 26のクリック操作で、 黄/青近似信号を入力できるようにする。 結局、 階 調値変動手段 240は、 赤/緑変動操作を行っている状態 (ステップ S 23)' において赤/緑近似信号が入力された時点 (ステップ S 24) で黄/青変動操 作を開始し、 黄 青変動操作を行っている状態 (ステップ S 25) において黄 /青近似信号が入力された時点 (ステップ S 26) で赤/緑変動操作を開始し、 赤/緑変動操作と黄 青変動操作とを交互に繰り返し実行し、 かつ、 階調値の 変動量および変動範囲を徐々に減少させながら繰り返し実行することになる。 また、 比較結果入力手段 230は、 変動量が所定の規定値に達した後に、 赤 Z 緑近似信号と黄 Z青近似信号との双方の入力が完了した場合に、 比較対象が一 致した旨の比較結果が入力されたものとして取り扱うことになる。
なお、 黄ノ青変動操作中に、 図 3に示す循環変動や往復変動を行う場合は、 若干留意すべき事項がある。 まず、 循環変動を行う場合には、 原色 Rか原色 G かの少なくともいずれか一方の階調値が最大階調値を上回ってしまう場合に、 原色 Rの階調値か原色 Gの階調値か、 いずれか小さい方が最小階調値側へと循 環し、 かつ、 両階調値の差が一定となるようにする処理を行うことになる。 た とえば、 0〜255の変動範囲が設定されている状態において、 (R=200, G= 100) → (R= 205, G= 105) → (R= 210, G= 1 10) → (R=215, G= 1 15) →……と、 徐々に増加させていった結果、 (R = 255, G-155) に到達してしまった場合、.原色 Rの階調値が最大階調値 を上回ってしまうことになるので、 小さい方の原色 Gの階調値 (G=155) を最小階調値側へと循環させ、 たとえば、 G=0に設定する。 そして、 もう一 方の原色 Rの階調値は、 原色 Gの階調値との差が一定となるように、 R=10 0に設定すればよい。 そうすれば、 原色 R, Gの階調値の差を常に 100に維
持したまま、 循環変動を行うことができる。 同様に、 原色 Rか原色 Gかの少な くともいずれか一方の階調値が最小階調値を下回ってしまう場合には、 原色 R の階調値か原色 Gの階調値か、 いずれか大きい方が最大階調値側へと循環し、 かつ、 両階調値の差が一定となるようにする処理を行えばよい。
また、 ·往復変動を行う場合には、 原色 Rか原色 Gかの少なくともいずれか一 方の階調値が最大階調値を上回ってしまう場合、 原色 Rの階調値と原色 Gの階 調値との双方について、 変動量を減算する変動操作に切り換える折り返し処理 を行えばよい。 たとえば、 0〜255の変動範囲が設定されている状態におい て、 (R=200, G= 100) → (R= 205, G= 105) → (R= 21 0, G= 110) → (R= 215, G= 115) →……と、 徐々に増加させて いった結果、 (R= 255, G= 155) に到達してしまった場合、 原色尺の 階調値が最大階調値を上回ってしまうことになるので、 今度は、 (R=250, G= 150) → (R=245, G= 145) → (R= 240, G= 140) → ……と、 双方の階調値を減じる変動操作に切り換えればよい。 そうすれば、 原 色 R, Gの階調値の差を常に 100に維持したまま、 往復変動を行うことがで きる。 同様に、 原色 Rか原色 Gかの少なくともいずれか一方の階調値が最小階 調値を下回ってしまう場合には、 原色 Rの階調値と原色 Gの階調値との双方に ついて、 変動量を加算する変動操作に切り換える折り返し処理を行えばよい。 以上のとおり、本発明に係るカラ一モニタの白色色度測定装置によれば、個々 のカラーモニタごとに、 その設置場所の照明環境を考慮した白色色度を容易に 測定することが可能になる。 産 業 上 の 利 用 可 能 性 本発明に係るカラーモニタの白色色度測定装置は、 コンピュータによる画像 処理を行う分野で広く利用することができる。 特に、 多数のスタッフが、 それ ぞれ特定の環境に設置されたカラ一モニタを見ながら、 商用印刷物を作成する
作業を行う必要がある DTP処理の分野に利用するのに最適である (