以下、判別用情報生成装置、調整用情報生成装置、調整作業補助装置および調整装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す光量測定装置1は、「調整用情報生成装置」を備えて構成された「調整作業補助装置」および「調整装置」の一例であって、赤色レーザ(「赤色光源」の一例)からの赤色レーザ光Lrの出射量、緑色レーザ(「緑色光源」の一例)からの緑色レーザ光Lgの出射量、および青色レーザ(「青色光源」の一例)からの青色レーザ光Lbの出射量を変化させることにより、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lgおよび青色レーザ光Lbの合成光Lrgbによって観者に認識させる色および明るさを任意に変化させるレーザプロジェクタ(「光出力装置」の一例)を「調整対象」とするホワイトバランスの調整作業の補助や、自動調整処理を実行可能に構成されている。なお、以下に説明する例では、ホワイトバランスの調整作業が「任意の色および任意の明るさが認識されるように各光源からの光の出射量をそれぞれ調整する」との作業に相当する。
具体的には、光量測定装置1は、受光部2R,2G,2B、信号変換部3R,3G,3B、操作部4、表示部5、処理部6および記憶部7を備えて構成されている。なお、本例の光量測定装置1は、実際には、各受光部2R,2G,2Bに対する光の入射方向や入射量を規制するための光拡散部やアパーチャなどを備えているが、これらの構成および機能については公知のため、図示および詳細な説明を省略する。
受光部2R,2G,2B(以下、区別しないときには「受光部2」ともいう)は、受光センサ10a,10bおよび光学フィルタ11をそれぞれ備えて構成されている。また、受光センサ10aは、光学フィルタ12aおよび光電変換部13aを備えて構成され、受光センサ10bは、光学フィルタ12bおよび光電変換部13bを備えて構成されている。この場合、本例の光量測定装置1では、受光部2Rの光学フィルタ11が、赤色レーザ光Lrの重心波長を中心として予め規定された「測定対象波長範囲(赤色光波長領域)」内の波長の光の受光センサ10a,10bに対する入射を許容しつつ、「測定対象波長範囲」よりも短い波長の光や「測定対象波長範囲」よりも長い波長の光の受光センサ10a,10bに対する入射を規制するように構成されている。
また、本例の光量測定装置1では、受光部2Gの光学フィルタ11が、緑色レーザ光Lgの重心波長を中心として予め規定された「測定対象波長範囲(緑色光波長領域)」内の波長の光の受光センサ10a,10bに対する入射を許容しつつ、「測定対象波長範囲」よりも短い波長の光や「測定対象波長範囲」よりも長い波長の光の受光センサ10a,10bに対する入射を規制するように構成されている。さらに、本例の光量測定装置1では、受光部2Bの光学フィルタ11が、青色レーザ光Lbの重心波長を中心として予め規定された「測定対象波長範囲(青色光波長領域)」内の波長の光の受光センサ10a,10bに対する入射を許容しつつ、「測定対象波長範囲」よりも短い波長の光や「測定対象波長範囲」よりも長い波長の光の受光センサ10a,10bに対する入射を規制するように構成されている。
また、本例の光量測定装置1では、受光センサ10aの分光感度と受光センサ10bの分光感度との比が、各受光部2毎に規定された上記の「測定対象波長範囲」内の各波長の光毎に相違するように両光学フィルタ12a,12bの光学特性(光透過特性)がそれぞれ規定されている。具体的には、一例として、光電変換部13aの受光面側に配設されている光学フィルタ12aは、受光センサ10aの分光感度特性が長い波長の光ほど感度が高い特性となるように光電変換部13aに対する光の入射量を制限(規制)する光学特性が付与されている。また、光電変換部13bの受光面側に配設されている光学フィルタ12bは、受光センサ10bの分光感度特性が短い波長の光ほど感度が高い特性となるように光電変換部13bに対する光の入射量を制限(規制)する光学特性が付与されている。
光電変換部13aは、光学フィルタ11,12aを透過した光を受光可能に配設され、その受光量に応じた検出信号Sa(受光量に応じた電流信号)を出力する。また、光電変換部13bは、光学フィルタ11,12bを透過した光を受光可能に配設され、その受光量に応じた検出信号Sb(受光量に応じた電流信号)を出力する。なお、本例の光量測定装置1では、一例として、同じ製品で構成された光電変換部13a,13b(各波長の光についての感度が互いに等しい「光電変換部」)が採用されて両受光センサ10a,10bがそれぞれ構成されている。
信号変換部3R,3G,3B(以下、区別しないときには「信号変換部3」ともいう)は、光電変換部13a,13b(受光センサ10a,10b)から出力される検出信号Sa,SbをI/V変換するI/V変換部と、I/V変換部から出力される検出信号(電圧信号)をA/D変換処理して検出信号データDa,Dbを生成するA/D変換部とをそれぞれ備えている。
操作部4は、後述する各種処理の条件の設定操作や、処理の開始/停止を指示する各種の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部6に出力する。表示部5は、処理部6の制御に従い、後述する調整作業補助画面や調整結果報知画面(共に図示せず)などの各種の表示画面を表示する。
処理部6は、光量測定装置1を総括的に制御する。この処理部6は、各受光部2および各信号変換部3と相俟って「処理部」を構成する。この処理部6は、後述するように、光量測定装置1を「調整用情報生成装置」および「調整作業補助装置」として機能させたときに、図2に示す調整作業補助処理20を実行し、「調整用情報」に相当する調整値データD1を生成すると共に、「調整対象」としてのレーザプロジェクタの調整状態を判定して作業者に対して報知する。
また、本例の光量測定装置1では、後述するように、一例として、図1に破線で示すように信号ケーブルを介してレーザプロジェクタと接続されている状態において「調整装置」として機能させたときに、処理部6が、生成した調整値データD1に応じてレーザプロジェクタのホワイトバランスを自動調整する「調整処理」を実行する構成が採用されている。なお、調整作業補助処理20や「調整処理」の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
記憶部7は、処理部6の動作プログラムDpや、各種の色空間において定義されている等色関数が記録された等色関数データD0を記憶すると共に、処理部6によって生成された調整値データD1などを記憶する。この場合、本例の光量測定装置1では、一例として、CIE1931標準表色系(「第2の色空間」の一例)、およびCIE1964UCS標準表色系(「第1の色空間」の一例)の2種類の色空間の等色関数が等色関数データD0の初期値として記憶部7に記憶され、必要に応じて、これらの色空間以外の任意の色空間の等色関数についての等色関数データD0を記憶部7に記憶させることができるように構成されている。
なお、本例の光量測定装置1は、「調整用情報生成装置」、「調整作業補助装置」および「調整装置」としての用途だけではなく、各種の被測定光の「光量(「輝度」および「照度」などの「測光量」)」や「色度」を測定して測定値を表示する「測定装置」として使用することができるように構成されているが、「調整用情報生成装置」、「調整作業補助装置」および「調整装置」についての理解を容易とするために、通常の「測定装置」としての使用方法に関する説明を省略する。
次に、光量測定装置1を使用したホワイトバランス調整作業の一例について説明する。
まず、一例として、「調整対象」のレーザプロジェクタによって各種の映像を投影するスクリーンの位置に光量測定装置1を設置する。この際には、レーザプロジェクタ(各レーザ)からの赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lgおよび青色レーザ光Lb(以下、これらを区別しないときには「レーザ光L」ともいう)が各受光部2に対して照射されるように、各受光部2の受光面をレーザプロジェクタに向けて光量測定装置1を設置する。次いで、レーザプロジェクタの電源を投入し、ホワイトバランス調整用の映像(以下、この映像を「調整用映像」ともいう)の投影を開始させる。この際には、一例として、投影領域の全域に亘って均一な白色の映像を調整用映像として投影させる。
なお、この調整用映像の投影時にレーザプロジェクタから出射される合成光Lrgbについてのスクリーンの位置において測定されるべき「色度値」である「目標色度値:x’10,y’10(「目標色度値x’1,y’1」の一例)」、および「目標色度値:x’10,y’10に対する色度値許容誤差」や、スクリーンの位置において測定されるべき「測光量」である「目標測光量:E’(「目標測光量E’」の一例)」および「目標測光量:E’に対する測光量許容誤差」が利用者によって指定されているものとする。また、本例では、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標色度値:x’10,y’10に対する色度値許容誤差」がCIE1964UCS標準表色系に対応させた数値(色度)で指定されると共に、「目標測光量:E’」および「目標測光量:E’に対する測光量許容誤差」がCIE1931標準表色系に対応させた数値(測光量)で指定されているものとする。
一方、本例の光量測定装置1では、例えば、受光部2Rにおいて、光学フィルタ11によって緑色レーザ光Lgおよび青色レーザ光Lbの入射が規制されて赤色レーザ光Lrの入射が許容されている。このため、上記のように調整用映像を投影させた状態において、受光部2Rでは、赤色レーザからの赤色レーザ光Lrの重心波長に応じて、光学フィルタ12aを透過する赤色レーザ光Lrの光電変換部13aによる受光量に応じた電流値の検出信号Saが光電変換部13aから出力され、かつ光学フィルタ12bを透過する赤色レーザ光Lrの光電変換部13bによる受光量に応じた電流値の検出信号Sbが光電変換部13bから出力される状態となる。
また、受光部2Gでは、光学フィルタ11によって赤色レーザ光Lrおよび青色レーザ光Lbの入射が規制されて緑色レーザ光Lgの入射が許容されている。このため、受光部2Gでは、緑色レーザからの緑色レーザ光Lgの重心波長に応じて、光学フィルタ12aを透過する緑色レーザ光Lgの光電変換部13aによる受光量に応じた電流値の検出信号Saが光電変換部13aから出力され、かつ光学フィルタ12bを透過する緑色レーザ光Lgの光電変換部13bによる受光量に応じた電流値の検出信号Sbが光電変換部13bから出力される状態となる。
さらに、受光部2Bでは、光学フィルタ11によって赤色レーザ光Lrおよび緑色レーザ光Lgの入射が規制されて青色レーザ光Lbの入射が許容されている。このため、受光部2Bでは、青色レーザからの青色レーザ光Lbの重心波長に応じて、光学フィルタ12aを透過する青色レーザ光Lbの光電変換部13aによる受光量に応じた電流値の検出信号Saが光電変換部13aから出力され、かつ光学フィルタ12bを透過する青色レーザ光Lbの光電変換部13bによる受光量に応じた電流値の検出信号Sbが光電変換部13bから出力される状態となる。
この状態において、操作部4の操作によって処理の開始が指示されたときに、処理部6は、図2に示す調整作業補助処理20を開始する。この調整作業補助処理20では、処理部6は、まず、各レーザ(光源)から出力されているレーザ光Lの三刺激値の特定を開始する(「測定処理」の一例:ステップ21)。この場合、本例の光量測定装置1では、このステップ21の処理において、CIE1964UCS標準表色系における三刺激値:X10,Y10,Z10(「三刺激値X1,Y1,Z1」の一例)、およびCIE1931標準表色系における三刺激値:X,Y,Z(「三刺激値X2,Y2,Z2」の一例)を、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lgおよび青色レーザ光Lb毎にそれぞれ測定する。
具体的には、処理部6は、まず、受光部2Rの受光センサ10a,10bから出力されて信号変換部3Rによって変換された検出信号データDa,Dbに基づき、受光部2Rに入射している赤色レーザ光Lrの「重心波長:λgr」を特定する。同様にして、受光部2Gの受光センサ10a,10bから出力されて信号変換部3Gによって変換された検出信号データDa,Dbに基づき、受光部2Gに入射している緑色レーザ光Lgの「重心波長:λgg」を特定すると共に、受光部2Bの受光センサ10a,10bから出力されて信号変換部3Bによって変換された検出信号データDa,Dbに基づき、受光部2Bに入射している青色レーザ光Lbの「重心波長:λgb」を特定する。
この際に、処理部6は、各受光部2毎の検出信号データDaの値と検出信号データDbの値とのいずれか予め規定された一方に対する他方の比(一例として、検出信号データDaの値に対する検出信号データDbの値の比:検出信号データDbの値/検出信号データDaの値)を演算し、演算した比に基づいて、各受光部2の受光センサ10a,10bに入射したレーザ光Lの重心波長λgを特定(演算)する。これにより、赤色レーザから出力される赤色レーザ光Lrの「重心波長:λgr」と、緑色レーザから出力される緑色レーザ光Lgの「重心波長:λgg」と、青色レーザから出力される青色レーザ光Lbの「重心波長:λgb」とがそれぞれ特定される。
次いで、処理部6は、各レーザ光Lの「レーザ出力値(光パワー):P」をそれぞれ特定する。この際に、処理部6は、検出信号データDa,Dbのいずれか一方(一例として、受光センサ10a,10bのうちの特定した「重心波長:λg」における感度が高い一方から出力された検出信号Sに対応する検出信号データD)と、特定した「重心波長:λg」とに基づいて「レーザ出力値:P」を演算する。これにより、赤色レーザから出力される赤色レーザ光Lrの「レーザ出力値:Pr」と、緑色レーザから出力される緑色レーザ光Lgの「レーザ出力値:Pg」と、青色レーザから出力される青色レーザ光Lbの「レーザ出力値:Pb」とがそれぞれ特定される。
続いて、処理部6は、特定した「重心波長:λgr,λgg,λgb」、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」および「CIE1964UCS標準表色系の等色関数:x10(λ),y10(λ),z10(λ)」を用いて、下記の[数1]に示すように、赤色レーザからの赤色レーザ光Lrの「三刺激値:X10r,Y10r,Z10r」と、緑色レーザからの緑色レーザ光Lgの「三刺激値:X10g,Y10g,Z10g」と、青色レーザからの青色レーザ光Lbの「三刺激値:X10b,Y10b,Z10b」とをそれぞれ演算する。同様にして、処理部6は、特定した「重心波長:λgr,λgg,λgb」、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」および「CIE1931標準表色系の等色関数:x(λ),y(λ),z(λ)」を用いて、下記の[数1]に示すように、赤色レーザからの赤色レーザ光Lrの「三刺激値:Xr,Yr,Zr」と、緑色レーザからの緑色レーザ光Lgの「三刺激値:Xg,Yg,Zg」と、青色レーザからの青色レーザ光Lbの「三刺激値:Xb,Yb,Zb」とをそれぞれ演算する。
なお、レーザプロジェクタから出力されるレーザ光Lr,Lg,Lb(合成光Lrgb)の「三刺激値:X10rgb,Y10rgb,Z10rgb」および「三刺激値:Xrgb,Yrgb,Zrgb」は、それぞれ[数2]に示すとおりとなる。
次いで、処理部6は、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」となる「レーザ出力値(目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b:「目標調整値」の一例)」を特定する(「調整値特定処理」の一例:ステップ22)。
具体的には、処理部6は、まず、指定されている「目標色度値:x’10,y’10(「目標色度値x’1,y’1」の一例)」、「目標測光量:E’(「目標測光量E’」の一例)」、ステップ21において演算した「三刺激値:X10b,Y10b,Z10b」および「三刺激値:Xb,Yb,Zb」に基づき、調整用映像を表示させた状態においてレーザプロジェクタ(赤色レーザ、緑色レーザおよび青色レーザ)から出力されるべきレーザ光Lr,Lg,Lb(合成光Lrgb)の「目標三刺激値:X’10rgb,Y’10rgb,Z’10rgb(「第1の色空間における目標三刺激値X’1,Y’1,Z’1」の一例)」を[数3]に示すように演算する。
この場合、前述したように、CIE1964UCS標準表色系では、「測光量」を導出可能な等色関数が定義されていないため、「目標調整値」等の演算に際しては、CIE1931標準表色系に対応する数値を使用する必要がある。また、「目標測光量:E’」についても上記したようにCIE1931標準表色系に対応する「測光量」で指定されている。したがって、本例の光量測定装置1では、[数3]のように、CIE1931標準表色系に対応している上記の「目標測光量:E’」と、CIE1964UCS標準表色系に対応している上記の「目標三刺激値:Y’10rgb」との相違を補う(「目標測光量:E’」と「目標三刺激値:Y’10rgb」とを関連付けする)「定数:u(「定数」の一例)」を定めて各種の演算処理を実行する構成が採用されている。なお、この「定数:u」を演算する処理(「定数演算処理」の一例)については、後に説明する。
一方、演算した「目標三刺激値:X’10rgb,Y’10rgb,Z’10rgb」については、「赤色レーザ光Lr用の補正係数:k」、「緑色レーザ光Lg用の補正係数:l」および「青色レーザ光Lb用の補正係数:m」とすると、[数4]に示すように表すことができる。
したがって、一例として、[数5]に示すように、上記の「補正係数:k,l,m」を演算する。
この場合、上記の[数5]の演算処理では、CIE1931標準表色系に対応する数値が使用されているため、この[数5]の演算処理によって演算される「補正係数:k,l,m」は、[数6]に示す条件を満たしている必要がある。
したがって、「定数:u」については、[数7]に示すように演算することができる(「定数演算処理」の一例)。
これにより、「補正係数:k,l,m」については、[数8]に示すように演算することができる。
続いて、上記の各測定値および演算結果に基づき、調整後のレーザプロジェクタから出力されるべき光の「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」を[数9]に示すように演算する。
なお、本例のように「光出力装置(調整対象)」がレーザプロジェクタである場合には、上記のステップ22の演算処理において、「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」を[数10]に示すように演算することもできる。
この場合、「定数:u」については、一例として、[数11]に示すように演算する(「定数演算処理」の他の一例)。
したがって、「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」については、[数12]に示すように演算することができる。
以上により、赤色レーザから出力される赤色レーザ光Lr、緑色レーザから出力される緑色レーザ光Lg、および青色レーザから出力される青色レーザ光Lb毎の「目標調整値」である「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」が特定(演算)されて「調整値特定処理」が完了する。
この場合、本例の光量測定装置1では、上記のステップ22の処理によって特定された「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」に対する「許容範囲」を演算し、演算結果に基づいて調整値データD1を生成する構成が採用されている。具体的には、処理部6は、上記のステップ21の測定結果、およびステップ22の演算結果に基づき、「調整完了判定範囲(目標三刺激値範囲を特定可能な目標調整値範囲)」を特定し(調整範囲特定処理)、特定結果に基づいて調整値データD1を生成する(ステップ23)。
より具体的には、このステップ23では、まず、指定されている「目標色度値:x’10,y’10」、およびその「許容誤差:△x’10,△y’10」と、指定されている「目標測光量:E’」、およびその「許容誤差:△E’」とに基づき、「目標色度値範囲内の任意の色度(一例として、「下限値:x10min,y10min」)」、および「目標測光量範囲内の任意の光量(一例として、「下限値:Emin」)」に対応する「補正係数:k’,l’,m’」をそれぞれ演算する。次いで、演算結果から「補正係数の許容誤差:△k,△l,△m」を演算して各レーザ光L毎の「調整完了判定範囲」を特定する。続いて、特定した各「調整完了判定範囲」に基づき、調整値データD1を生成して記憶部7に記憶させる。以上により、「調整用情報」の生成が完了し、調整作業を補助する準備が整う。
この場合、本例の光量測定装置1による上記のような「調整用情報(調整値データD1)」の生成方法とは異なるが、例えば、特許第5721188号公報には、CIE1931標準表色系における三刺激値である測定XYZ値を特定(測定)すると共に、CIE1931標準表色系における三刺激値で指定された目標XYZ値に基づいてCIE1964UCS標準表色系における三刺激値である目標X10Y10Z10値を演算し、かつ演算結果から、CIE1931標準表色系における三刺激値で指定された目標XYZ値(表示装置の表示特性に応じた目標値)を演算し、この演算結果(目標XYZ値)および測定XYZ値に基づいてCIE1931標準表色系に対応する数値の校正値を導出する方法が開示されている。この場合、上記の目標X10Y10Z10値の演算や、目標XYZ値を演算においては、予め規定された「係数」を用いた行列式を使用すると開示されている。
また、特許第5765793号公報には、CIE1931標準表色系における三刺激値である測定XYZ値を特定(測定)し、かつ特定した測定XYZ値に基づいてCIE1964UCS標準表色系における三刺激値である測定X10Y10Z10値を演算すると共に、CIE1931標準表色系における三刺激値で指定された目標XYZ値に基づいてCIE1964UCS標準表色系における三刺激値である目標X10Y10Z10値を演算し、演算した測定X10Y10Z10値と目標X10Y10Z10値を演算とに基づいてCIE1964UCS標準表色系に対応する数値の校正値を演算し、その演算結果に基づいてCIE1931標準表色系に対応する数値の校正値を導出する方法が開示されている。測定X10Y10Z10値を演算する処理、目標X10Y10Z10値を演算する処理、およびCIE1964UCS標準表色系に対応する数値の校正値からCIE1931標準表色系に対応する数値の校正値を導出する処理においては、予め規定された「係数」を用いた行列式を使用すると開示されている。
しかしながら、上記の両特許文献には、2つの色空間(表色系)の相違を補う「係数」をどのように定義するかについて具体的に開示されておらず、この種の装置を使用した調整作業に精通した者であっても、この「係数」をどのような値に定義することで好適な調整を行い得る校正値を導出できるのかを理解することはできない。このため、両特許文献に開示の構成装置・構成方法では、好適な調整作業が可能な校正値が得られているのか否かも判らない。これに対して、本例の光量測定装置1では、上記したように、「定数:u」が自動的に演算されて「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」が定量的に導出される。この「定数:u」の算出根拠についても上記のとおり明確であり、この「定数:u」の導入により、CIE1964UCS標準表色系の等色関数、およびCIE1931標準表色系の等色関数の2種類の関数を使用しているにも拘わらず、的確な「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」が自動的に算出されている。
一方、処理部6は、上記の調整値データD1の生成が完了したときに、上記のステップ22で演算した「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」の値と共に、一例として「調整作業を開始して下さい」とのメッセージを表示部5に表示させる。これに応じて、作業者は、レーザプロジェクタ(赤色レーザ、緑色レーザおよび青色レーザ)からの各レーザ光Lの出射量を調整する作業を開始する。
また、処理部6は、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb(各赤色レーザ、緑色レーザおよび青色レーザからのレーザ光Lの出射量)」が調整値データD1に基づいて特定される「目標調整値範囲」内の値となっているか否かの判定(「第1判定処理」の一例)と、各レーザ光Lの合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値となっているか否か、および各レーザ光Lの合成光Lrgbの「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内となっているか否かの判定(「第2判定処理」の一例)とを実行し、判定結果を作業者に対して報知する。
具体的には、処理部6は、まず、各信号変換部3から出力されている検出信号データDa,Dbに基づき、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」、「色度値:x10,y10」および「測光量:Y」をそれぞれ特定し(ステップ24)、特定した各値を表示部5に表示させる。
次いで、処理部6は、「レーザ出力値:Pr」が、調整値データD1に基づいて特定される「調整完了判定範囲(「(k’+△k)Pr≦Pr≦k’Pr」および「k’Pr≦Pr≦(k’+△k)Pr」のいずれか)」内の値となったか否か、「レーザ出力値:Pg」が、調整値データD1に基づいて特定される「調整完了判定範囲(「(l’+△l)Pg≦Pg≦l’Pg」および「l’Pg≦Pg≦(l’+△l)Pg」のいずれか)」内の値となったか否か、および「レーザ出力値:Pb」が、調整値データD1に基づいて特定される「調整完了判定範囲(「(m’+△m)Pb≦Pb≦m’Pb」および「m’Pb≦Pb≦(m’+△mPb」のいずれか)」内の値となったか否かをそれぞれ判定する(ステップ25)。
この場合、本例の光量測定装置1では、一例として、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「調整完了判定範囲」を外れていると判定されたときに、その値が白色の背景に重ねて数値で表示される。したがって、作業者は、既に表示されている「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」と、ステップ24において特定されることで表示される「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」とを参照することにより、赤色レーザからの赤色レーザ光Lrの出射量、緑色レーザからの緑色レーザ光Lgの出射量、および青色レーザからの青色レーザ光Lbの出射量をそれぞれ調整する。
具体的には、「レーザ出力値:Pr」が「目標レーザ出力値:P’r」よりも小さいときには、赤色レーザからの赤色レーザ光Lrの出射量を増加させる調整作業を行い、「レーザ出力値:Pr」が「目標レーザ出力値:P’r」よりも大きいときには、赤色レーザ光Lrの出射量を減少させる調整作業を行う。また、「レーザ出力値:Pg」が「目標レーザ出力値:P’g」よりも小さいときには、緑色レーザからの緑色レーザ光Lgの出射量を増加させる調整作業を行い、「レーザ出力値:Pg」が「目標レーザ出力値:P’g」よりも大きいときには、緑色レーザ光Lgの出射量を減少させる調整作業を行う。さらに、「レーザ出力値:Pb」が「目標レーザ出力値:P’b」よりも小さいときには、青色レーザからの青色レーザ光Lbの出射量を増加させる調整作業を行い、「レーザ出力値:Pb」が「目標レーザ出力値:P’b」よりも大きいときには、青色レーザ光Lbの出射量を減少させる調整作業を行う。
一方、上記のステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「調整完了判定範囲」内の値になっていないと判定したときに、処理部6は、ステップ24において特定した合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値になっているか否か、および合成光Lrgbの「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の値になっているか否かをそれぞれ判定する(ステップ26)。この際には、調整作業の開始直後であるため、処理部6は、「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲外の「色度値:x10,y10」、および「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲外の「測光量:Y」が特定されたと判定し、さらに、いずれのレーザについての調整も完了していないと判別した後に(ステップ27)、上記のステップ24に戻る。
また、本例の光量測定装置1では、作業者による調整作業によって「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のいずれかが「調整完了判定範囲」内の値となり(「各光源からの光の出射量が、目標色度値に対する色度値許容誤差の範囲内の色度値に対応し、かつ目標測光量に対する測光量許容誤差の範囲内の測光量に対応する出射量になっている」との状態の一例)、ステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のいずれかが「調整完了判定範囲」内の値になったと判定されたときに、その値の背景色が白色以外の背景色に変更される。
具体的には、例えば、赤色レーザ光Lrの出射量の調整が行われて「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」内の値となったときには(ステップ25)、背景色が白色から赤色に変更された状態で「レーザ出力値:Pr」が数値で表示される(「調整完了判定範囲内の値となった旨を報知する第1報知処理」の一例:ステップ28)。また、緑色レーザ光Lgの出射量の調整が行われて「レーザ出力値:Pg」が「調整完了判定範囲」内の値となったときには(ステップ25)、背景色が白色から緑色に変更された状態で「レーザ出力値:Pg」が数値で表示される(「調整完了判定範囲内の値となった旨の報知」の他の一例:ステップ28)。さらに、青色レーザ光Lbの出射量の調整が行われて「レーザ出力値:Pb」が「調整完了判定範囲」内の値となったときには(ステップ25)、背景色が白色から青色に変更された状態で「レーザ出力値:Pb」が数値で表示される(「調整完了判定範囲内の値となった旨の報知」のさらに他の一例:ステップ28)。
したがって、作業者は、表示部5に表示されている「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」と「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」との大小関係に応じて対応するレーザ光Lの出射量を増加させるか減少させるかを判断するだけでよく、各レーザ光Lの出射量をどの程度変更すればよいかが判らない状態であっても、赤色レーザ光Lrの調整時には、表示部5に表示されている「レーザ出力値:Pr」の背景色が赤色になるまでその値を変更し、緑色レーザ光Lgの調整時には、表示部5に表示されている「レーザ出力値:Pg」の背景色が緑色になるまでその値を変更し、青色レーザ光Lbの調整時には、表示部5に表示されている「レーザ出力値:Pb」の背景色が青色になるまでその値を変更するだけで、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」を「調整完了判定範囲」内の値に調整することが可能となる。
なお、ステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のいずれかが「調整完了判定範囲」内の値になったと判定したときに、表示部5に表示されている「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」の背景色を白色以外の背景色に変更することで「調整完了判定範囲内の値となった」と報知する上記の構成・方法に代えて(または、そのような構成・方法に加えて)、一例として、図3に示す調整状態報知用表示40を表示部5に表示させ、この調整状態報知用表示40を参照させつつ各レーザ光Lの出射量を調整する作業を実行させる構成・方法を採用することができる。
この調整状態報知用表示40は、赤色レーザ光Lrの「レーザ出力値:Pr」の変更作業を補助するためのバー41r,42rおよびカーソル43rと、緑色レーザ光Lgの「レーザ出力値:Pg」の変更作業を補助するためのバー41g,42gおよびカーソル43gと、青色レーザ光Lbの「レーザ出力値:Pb」の変更作業を補助するためのバー41b,42bおよびカーソル43bとを備えている。
この場合、バー41r,41g,41b(以下、区別しないときには「バー41」ともいう)は、赤色レーザ、緑色レーザおよび青色レーザの「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」の「調整可能範囲(レーザプロジェクタの仕様として各レーザ毎に調整を許容されている範囲)」を示す表示であって、一例として、その左端部が「調整可能範囲」内の出力値のうちの最小値に対応させられ、かつその右端部が「調整可能範囲」内の出力値のうちの最大値に対応させられている。
また、バー42r,42g,42b(以下、区別しないときには「バー42」ともいう)は、上記のステップ23において特定される「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」の「調整完了判定範囲」を示す表示であって、一例として、上記のバー41に重ねて表示されることで、「調整可能範囲」に対する「調整完了判定範囲」の相対的な位置および大きさを示すように表示される。このバー42は、その左端部が「調整完了判定範囲」内の出力値のうちの最小値に対応させられ、かつその右端部が「調整完了判定範囲」内の出力値のうちの最大値に対応させられると共に、一例として、「調整完了判定範囲」の中心値を示す縦線が左右方向の中心部に表示される。
さらに、カーソル43r,43g,43b(以下、区別しないときには「カーソル43」ともいう)は、「調整可能範囲」および「調整完了判定範囲」に対する「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb(ステップ24において特定される値)」の相対的な位置を示す表示であって、一例として、上記のバー41,42の上に並んで表示される。
この場合、図3の例では、ステップ24において特定された赤色レーザ光Lrの「レーザ出力値:Pr」が、ステップ23において特定された「調整完了判定範囲」よりも小さな値であり、ステップ24において特定された緑色レーザ光Lgの「レーザ出力値:Pg」が、ステップ23において特定された「調整完了判定範囲」内の値であり、ステップ24において特定された青色レーザ光Lbの「レーザ出力値:Pb」が、ステップ23において特定された「調整完了判定範囲」よりも大きな値であることが示されている。
したがって、この調整状態報知用表示40を見た作業者は、バー42rに対するカーソル43rの位置に基づいて「レーザ出力値:Pr」が小さいと認識し、カーソル43rがバー42rと重なるまで赤色レーザ光Lrの出射量を増加させる調整作業を行うと共に、バー42bに対するカーソル43bの位置に基づいて「レーザ出力値:Pb」が大きいと認識し、カーソル43bがバー42bと重なるまで赤色レーザ光Lrの出射量を減少させる調整作業を行う。
この場合、例えば、上記の調整作業によって「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」内の出射量となり、カーソル43rがバー42rと重なるように表示される状態となれば、赤色レーザ光Lrの調整作業が完了する。しかしながら、「調整完了判定範囲」を示すバー42rが表示されている状態において、多くの作業者は、図4に示すように、カーソル43rがバー42rの中心部に位置するように調整作業を実施する。これにより、調整状態報知用表示40を参照させつつ調整作業を実施させることにより、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のすべてが、それぞれの「調整完了判定範囲」の中心値、または中心値に近い値に調整される。なお、上記の調整状態報知用表示40を表示させる構成・方法においては、カーソル43をバー42と重なる位置に表示させる処理が、「調整完了判定範囲内の値となった旨を報知する第1報知処理」に相当する。
一方、上記のステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「調整完了判定範囲」内の値となっていないと判別した後、または、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のいずれかが「調整完了判定範囲」内の値となったと判別して上記のステップ28において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のいずれかが「調整完了判定範囲」内の値となった旨を報知した後に、処理部6は、ステップ24において特定した合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値になっているか否か、および合成光Lrgbの「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の値になっているか否かをそれぞれ判定する(ステップ26)。
また、「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値になっていない、および/または、合成光Lrgbの「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の値になっていないときに、処理部6は、すべてのレーザについての調整が完了したか否か(「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のすべてがそれぞれ「調整完了判定範囲」内の値になったか)を判別する(ステップ27)。この際に、いずれかのレーザについての調整が完了していない(「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のいずれかが「調整完了判定範囲」内の値になっていない)ときに、処理部6は、ステップ24に戻る。
この場合、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のうちのいずれかが「調整完了判定範囲」内の値になっていない状態、すなわち、いずれかのレーザについての調整が完了していない状態であっても、例えば、「調整完了判定範囲」内の値になっていない「レーザ出力値:P」が「調整完了判定範囲」に近い値のときには、合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値で、かつ「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の値になる(ホワイトバランス調整が完了した状態となる)ことがある。
したがって、処理部6は、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のうちのいずれかが「調整完了判定範囲」内の値になっていない状態であったとしても、ステップ26において、合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内で、かつ合成光Lrgbの「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内となっていると判定したときに、一例として、表示部5に表示させている「色度値:x10,y10」および「測光量:Y」の値に重ねて「PASS」との文字列を表示部5に表示させることで、各レーザ光Lについての調整作業が完了したことを作業者に対して報知した後に(「第2報知処理」の一例:ステップ29)、この調整作業補助処理20を終了する。
一方、本例の光量測定装置1では、ステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のすべてが「調整完了判定範囲」内の値になっていると判定したにも拘わらず、ステップ26において合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内ではないと判定したとき(「第1条件」が満たされた状態の一例)、および/または、ステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のすべてが「調整完了判定範囲」内の値になっていると判定したにも拘わらず、ステップ26において合成光Lrgbの「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内ではないと判定したとき(「第2条件」が満たされた状態の一例)に、処理部6が、ステップ27においてすべてのレーザについての調整が完了したと判定した後に、その時点において使用している調整値データD1の「調整完了判定範囲」よりも狭い「調整完了判定範囲」を新たに規定して、作業者に対して各レーザ光Lの出射量を再調整させる。
具体的には、上記の「第1条件」および「第2条件」の少なくとも一方が満たされ、ステップ27においてすべてのレーザについての調整が完了したと判定したときに、処理部6は、直前に実施したステップ25において使用した「調整完了判定範囲」よりも狭い「調整完了判定範囲」を特定して調整値データD1を生成する(ステップ30)。具体的には、処理部6は、一例として、ステップ25において使用した「調整完了判定範囲」、すなわち、前述したステップ23において特定した「調整完了判定範囲」の下限値を5%から10%の範囲内で大きな値に変更し、かつ上限値を5%から10%の範囲内で小さな値に変更することにより、10%から20%(一例として、15%)狭い新たな「調整完了判定範囲」を特定する。
この後、処理部6は、上記のステップ24以降の各処理を再び実行する。これにより、新たに特定された十分に狭い「調整完了判定範囲」内の値となるように調整作業が行われる結果、ステップ25において「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」のすべてが「調整完了判定範囲」内の値になっていると判定され、ステップ26において、合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値で、かつ「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の値であると判定される状態となる。この際に、処理部6は、一例として「PASS」との文字列を表示部5に表示させることで、各レーザ光Lについての調整作業が完了したことを作業者に対して報知した後(ステップ29)に、この調整作業補助処理20を終了する。
このように、この光量測定装置1では、例えば、CIE1964UCS標準表色系に対応させた色度によって任意の色に対応する「目標色度値:x’10,y’10」が指定され、かつ、CIE1931標準表色系に対応させた測光量によって任意の明るさに対応する「目標測光量:E’」が指定されたときに、CIE1964UCS標準表色系における「三刺激値:X10,Y10,Z10」、およびCIE1931標準表色系における「三刺激値:X,Y,Z」を各レーザ(各光源)から出力されるレーザ光L毎にそれぞれ測定する「測定処理」と(ステップ21)、「目標色度値:x’10,y’10」、「目標測光量:E’」、「三刺激値:X10,Y10,Z10」および「三刺激値:X,Y,Z」に基づき、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」に対応するCIE1964UCS標準表色系における「目標三刺激値:X’10rgb,Y’10rgb,Z’10rgb」をそれぞれ演算し、各レーザ光L毎に、各レーザからのレーザ光Lの出射量が「目標三刺激値:X’10rgb,Y’10rgb,Z’10rgb」に対応する量となる「目標調整値(本例では、「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」)」をそれぞれ演算する「調整値特定処理」とを実行して(ステップ22)各「目標調整値」に基づいて調整値データD1を生成すると共に、「調整値特定処理」において、CIE1931標準表色系に対応している「目標測光量:E’」とCIE1964UCS標準表色系に対応している「目標三刺激値:Y’」との相違を補う「定数:u」を演算する「定数演算処理」を実行し、演算した「定数:u」を用いて「目標調整値」を演算する。
したがって、この光量測定装置1によれば、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」が互いに相違する色空間に対応する数値で指定された場合であっても調整値データD1を確実かつ容易に生成することができ、これにより、調整値データD1に基づいて特定される3つのレーザ光Lr,Lg,Lb毎の「目標調整値(または、目標調整値範囲)」に基づき、少なくとも、各レーザ光Lの出射量がそれぞれの「目標調整値(または、目標調整値範囲内の値)」に対応する出射量となっていない状態においては、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」が測定される状態になっていない(調整が完了していない)と判断することができる。このため、例えば、その時点において測定される「色度値:x10,y10」および「測光量:Y」と、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」とに基づいて、3つのレーザ光Lr,Lg,Lbの出射量の調整の要否や調整量を推定する必要がなくなり、各レーザ光Lr,Lg,Lbのうちのいずれの出射量を変更すべきか、および各レーザ光Lr,Lg,Lbのうちのいずれの出射量を増加させていずれの出射量を減少させるべきかを確実かつ容易に認識することができる。これにより、この種の調整作業に不慣れな作業者であっても、調整作業を短時間で容易に実行することができる。
また、この光量測定装置1によれば、各レーザからのレーザ光Lの出射量が、調整値データD1に基づいて特定される「目標調整値範囲」内の「調整値」に対応する出射量になっているかを判定する「第1判定処理」を実行すると共に(ステップ24,25)、「第1判定処理」の結果を特定可能に報知する「第1報知処理」を実行することにより(ステップ28)、調整作業中のレーザからのレーザ光Lの出射量が「目標調整値範囲」内の「調整値」に対応する出射量になったか否かを容易に認識することができるため、この種の調整作業に不慣れな作業者であっても、調整作業を一層容易に実行することができる。
さらに、この光量測定装置1によれば、各レーザからのレーザ光Lの合成光が、「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の「色度値:x10,y10」で、かつ「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の「測光量:Y」になっていると判定したときに(ステップ26)、各レーザからのレーザ光Lの出射量の調整が完了したことを特定可能に報知する「第2報知処理」を実行することにより(ステップ29)、例えば、各レーザ光L毎の調整作業中に、いずれかのレーザ光Lの出射量が「目標調整値範囲」内の値とはなっていなくても、合成光Lrgbの「色度値:x10,y10」が「目標色度値:x’10,y’10」に対する「許容誤差:△x’10,△y’10」の範囲内の値で、「測光量:Y」が「目標測光量:E’」に対する「許容誤差:△E’」の範囲内の値となったとき、すなわち、それ以上の調整作業が不要な状態となったときに、不要な調整作業を継続させることなく、調整作業を速やかに終了させることができる。
なお、「調整用情報生成装置」および「調整作業補助装置」の構成は、上記の光量測定装置1の構成の例に限定されない。例えば、「第1の色空間」の一例であるCIE1964UCS標準表色系に対応する「目標色度値x’1,y’1(目標色度値:x’10,y’10)」、および「第2の色空間」の一例であるCIE1931標準表色系に対応する「目標測光量E’(目標測光量:E’)」が指定された場合を想定して調整値データD1を生成する例について説明したが、「目標色度値x’1,y’1」についてCIE1964UCS標準表色系以外の各種の色空間(第1の色空間:一例として「CIE170−2:2015基準色度図」)に対応する色度値で「目標色度値x’1,y’1」が指定された場合においても、その色空間の等色関数を使用した演算処理を行うことで、上記の例と同様に「調整用情報」を生成することができる。
また、「目標測光量E’」についても、CIE1931標準表色系以外の色空間において「測光量」を導出可能な等色関数が定義されている場合には、そのような色空間(第2の色空間)に対応する測光量で「目標測光量E’」が指定された場合においても、その色空間の等色関数を使用した演算処理を行うことで、上記の例と同様に「調整用情報」を生成することができる。
さらに、「目標調整値(上記の例では、「目標レーザ出力値:P’r,P’g,P’b」)」に基づいて「目標調整値範囲」を特定し、特定した「目標調整値範囲」に基づいて「調整用情報」としての調整値データD1を生成する構成を例に挙げて説明したが、「目標調整値」そのものを「調整用情報」として生成する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合には、「調整用情報」を利用した調整作業に先立って「目標調整値範囲」を特定することにより、上記の例と同様に調整作業を進めることができる。
また、赤色レーザ、緑色レーザおよび青色レーザを備えたレーザプロジェクタを「調整対象」とする処理手順の例について説明したが、「調整対象」としての「光出力装置」はこれに限定されない、例えば、「赤色光源」、「緑色光源」および「青色光源」を備えた液晶表示器や有機EL表示器などの各種表示器を「調整対象」として「赤色光」、「緑色光」および「青色光」の出射量を調整する作業を補助することもできる。この場合、液晶表示器や有機EL表示器においては、「赤色光源」から「赤色光」以外の波長の光が出射され、「緑色光源」から「緑色光」以外の波長の光が出射され、かつ「青色光源」から「青色光」以外の波長の光が出射されることが知られている。
したがって、液晶表示器や有機EL表示器を「調整対象」とする場合には、上記の光量測定装置1における受光部2R,2G,2Bや信号変換部3R,3G,3Bに代えて、一例として、「赤色光」の波長領域から「青色光」の波長領域までの十分に広い波長領域に亘って各波長の光の測光量を測定可能な分光光度計の構成を備えて「調整用情報生成装置」および「調整作業補助装置」を構成する。また、「測定処理」に際しては、一例として、「赤色光源」だけを点灯させた状態で「赤色光源」から出力される光の「三刺激値:X10r,Y10r,Z10r」および「三刺激値:Xr,Yr,Zr」を測定し、「緑色光源」だけを点灯させた状態で「緑色光源」から出力される光の「三刺激値:X10g,Y10g,Z10g」および「三刺激値:Xg,Yg,Zg」を測定し、かつ「青色光源」だけを点灯させた状態で「青色光源」から出力される光の「三刺激値:X10b,Y10b,Z10b」および「三刺激値:Xb,Yb,Zb」を測定することで、他の光源から出力される光の影響を受けることなく、各光源からの光毎の三刺激値をそれぞれ測定する。
さらに、「調整値特定処理」においては、一例として、「目標色度値:x’10,y’10」、「目標測光量:E’」、および「測定処理」によって測定した各「三刺激値:X10r,Y10r,Z10r,X10g,Y10g,Z10g,X10b,Y10b,Z10b」および各「三刺激値:Xr,Yr,Zr,Xg,Yg,Zg,Xb,Yb,Zb」に基づき、各光源から出力されるべき光毎に、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」に対応する「目標三刺激値:X’10r,Y’10r,Z’10r,X’10g,Y’10g,Z’10g,X’10b,Y’10b,Z’10b」そのものを「目標調整値」として演算する。この場合、求められる「目標調整値」は、[数13]に示すようになる。なお、「補正係数:k,l,m」の演算方法等や、その際に使用する「定数:u」については、前述した例と同様のため、詳細な説明を省略する。
また、「調整値特定処理」(および調整範囲の特定処理)においては、前述した「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」(およびその調整範囲)の特定方法と同様にして、「赤色光源」からの光の「三刺激値:X10r」(およびその調整範囲)、「三刺激値:Y10r」(およびその調整範囲)、並びに「三刺激値:Z10r」(およびその調整範囲)と、「緑色光源」からの光の「三刺激値:X10g」(およびその調整範囲)、「三刺激値:Y10g」(およびその調整範囲)、並びに「三刺激値:Z10g」(およびその調整範囲)と、「青色光源」からの光の「三刺激値:X10b」(およびその調整範囲)、「三刺激値:Y10b」(およびその調整範囲)、並びに「三刺激値:Z10b」(およびその調整範囲)とをそれぞれ特定する。これにより、各「目標調整値範囲」を特定可能な「調整用情報」の生成が完了する。
一方、調整作業に際しては、一例として、「赤色光源」だけを点灯させた状態で「赤色光源」からの光の出射量を調整し、かつ「緑色光源」だけを点灯させた状態で「緑色光源」からの光の出射量を調整すると共に、「青色光源」だけを点灯させた状態で「青色光源」からの光の出射量を調整する。この際に、例えば、「赤色光源」からの光の出射量を調整しているときには、「赤色光源」からの光の「三刺激値:X10,Y10,Z10」を測定し、その値が「三刺激値:X10r」と等しい値(または、調整範囲内の値)となり、「三刺激値:Y10r」と等しい値(または、調整範囲内の値)となり、かつ「三刺激値:Z10r」と等しい値(または、調整範囲内の値)となったときに、「赤色光源」からの光の出射量に関する調整が完了したと判定する。同様にして、「緑色光源」からの光や「青色光源」からの光の出射量についても調整する。
これにより、液晶表示器や有機EL表示器において、「赤色光源」、「緑色光源」および「青色光源」のすべてを点灯させたときに、「目標色度値:x’10,y’10」および「目標測光量:E’」の測定が可能な状態に調整することができる。なお、液晶表示器や有機EL表示器の調整作業に際しては、一例として、いずれかの「光源」からの光の出射量を変更する都度(または、作業者によって指定された任意のタイミングで)、すべての「光源」を点灯させて各「光源」からの「合成光」の「色度値:x10,y10」および「測光量:Y」を測定し、測定結果が許容範囲内の値となっているか否かを判定すると共に、許容範囲内の値であると判定した時点において、調整が完了した旨を報知する構成を採用するのが好ましい。
また、「第1報知処理」において、測定値(例えば、測定される「レーザ出力値:P」の値)が「目標調整値範囲」内の値となっているか否かに応じて、その測定値の背景色を変更することで「調整値(測定値)」が「目標調整値範囲」内の値となったことを報知したり、調整状態報知用表示40(バー41,42およびカーソル43)を表示させることでバー42に対するカーソル43の位置によって「調整値(測定値)」が「目標調整値範囲」内の値となったか否かを報知したりする例について説明したが、このような事項を報知するための具体的な構成は、上記の例に限定されない。
例えば、所定の図柄の表示/非表示を切り替えることで「調整値(測定値)」が「目標調整値範囲」内の値となったことを報知する構成、または測定値や図柄を点滅表示から静止表示に切り替えることで「調整値(測定値)」が「目標調整値範囲」内の値となったことを報知する構成などを採用することができる。また、予め規定された音声の出力(ブザー音や、音声メッセージの出力)によって「調整値(測定値)」が「目標調整値範囲」内の値となったことを報知する構成を採用することもできる。同様にして、「第2報知処理」における報知の方法に関しても、「PASS」等の文字列の表示に限定されず、「第1報知処理」と同様の各種の報知方法を採用することができる。
さらに、例えば各レーザからのレーザ光Lの出射量が、調整値データD1に基づいて特定される「目標調整値範囲(調整完了判定範囲)」内の「調整値」に対応する出射量になっているかを判定する「第1判定処理」、および「第1判定処理」の結果を特定可能に報知する「第1報知処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、このような構成・方法に代えて、各レーザからのレーザ光Lの出射量が、調整値データD1に基づいて特定される「目標調整値範囲」の「中心値」に対応する出射量を超えて変化させられて「目標調整値範囲」内の「調整値」に対応する出射量になっているかを判定する「第3判定処理」、および「第3判定処理」の結果を特定可能に報知する「第3報知処理」を実行する構成・方法を採用することもできる。
具体的には、この「第3の判定処理」および「第3報知処理」では、一例として、赤色レーザからの「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」よりも小さな値であることで調整作業によって赤色レーザ光Lrの出射量が増加させられたときに、「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」の中心値を超えて「調整完了判定範囲」内の値に変化させられたか否か(つまり、「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」の中心値よりも大きく、かつ「調整完了判定範囲」の上限値以下の値であるか否か)を判定してその結果を報知する。
この際に、調整作業によって赤色レーザ光Lrの出射量が必要以上に増加させられたとき(すなわち、「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」の中心値を超えて変化させられたものの、「調整完了判定範囲」よりも大きな値に変化させられてしまったとき)には、次に実行する「第3の判定処理」および「第3報知処理」において、「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」の中心値を超えて(下回って)「調整完了判定範囲」内の値に変化させられたか否か(つまり、「レーザ出力値:Pr」が「調整完了判定範囲」の中心値よりも小さく、かつ「調整完了判定範囲」の下限値以上の値であるか否か)を判定してその結果を報知する処理を実行する。
このような構成・方法を採用することにより、レーザからのレーザ光Lの出射量が「目標調整値範囲(調整完了判定範囲)」内の「調整値」に対応する出射量ではないと認識した作業者が調整作業に際して出射量を少しずつ変化させるときに、出射量が「目標調整値範囲」の中心値を超えたと報知されるまで調整作業が継続されることとなるため、出射量が「目標調整値範囲」の内の「調整値」となった時点、すなわち、「目標調整値範囲」の上限値や下限値に近い「調整値」に対応する値となった時点で調整作業が終了されてしまう事態を回避して、「目標調整値範囲」の中心値に近い「調整値」に対応する出射量が特定される状態となるまで好適に調整させることができる。
一方、光量測定装置1を「調整作業補助装置」として動作させて作業者が各レーザ光Lr,Lg,Lbの出射量(または、液晶表示器や有機EL表示器などの各種表示器における各光源からの光の出射量)をそれぞれ調整する調整作業を実施する例について説明したが、光量測定装置1を「調整装置」として動作させて各レーザ光Lr,Lg,Lb等の出射量を「目標調整値範囲」内の「調整値」に自動的に調整させることもできる。
具体的には、前述した調整作業補助処理20におけるステップ23までの処理(「調整用情報生成装置」として実行する処理)を実行して「調整用情報」としての調整値データD1を生成する。次いで、調整作業補助処理20におけるステップ24の処理と同様の処理を実行することにより、各信号変換部3から出力されている検出信号データDa,Dbに基づいて「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」を特定する。続いて、図1に破線で示すように光量測定装置1(処理部6)とレーザプロジェクタとを信号ケーブルによって相互に接続する。
次いで、特定した「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が、調整値データD1に基づいて特定される「目標調整値」(または、「目標調整値」に対して規定される「目標調整値範囲(調整完了判定範囲)」内の値)になっているか否かを判定する(「各光源からの光の出射量が調整用情報に基づいて特定される目標調整値範囲内の調整値に対応する出射量になっているかを判定する判定処理」の一例)。
この際に、一例として、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「目標調整値(または、目標調整値範囲)」よりも小さな値のときには、上記の信号ケーブルを介してレーザプロジェクタ(各レーザ)を制御して「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」を増加させる(「各光源からの光の出射量を予め規定された変更量だけ変更する出射量調整処理」の一例)。また、「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「目標調整値(または、目標調整値範囲)」よりも大な値のときには、上記の信号ケーブルを介してレーザプロジェクタ(各レーザ)を制御して「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」を減少させる(「各光源からの光の出射量を予め規定された変更量だけ変更する出射量調整処理」の他の一例)。
この場合、本例の光量測定装置1では、処理部6が、例えば、特定した「レーザ出力値:Pr」が「目標調整値(または、目標調整値範囲内の値)」ではないと判定したときに、特定した「レーザ出力値:Pr」と「目標調整値(または、目標調整値範囲の中心値):(すなわち、前述した「目標レーザ出力値P’r」)」との差を演算し、演算した値を、赤色レーザからの赤色レーザ光Lrの出射量の変更量として規定する。
次いで、特定した「レーザ出力値:Pr」が「目標調整値(または、目標調整値範囲)」よりも小さな値であったときには、規定した変更量だけ赤色レーザ光Lrの出射量を増加させるようにレーザプロジェクタ(赤色レーザ)を制御し、特定した「レーザ出力値:Pr」が「目標調整値(または、目標調整値範囲)」よりも大きな値であったときには、規定した変更量だけ赤色レーザ光Lrの出射量を減少させるようにレーザプロジェクタ(赤色レーザ)を制御する。なお、詳細な説明を省略するが、緑色レーザ光Lgおよび青色レーザ光Lbについても赤色レーザ光Lrと同様の処理(「判定処理」、「変更量の規定」および「出力値の変更」)を実行する。
続いて、処理部6は、各信号変換部3から出力されている検出信号データDa,Dbに基づいて「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」を再び特定し、特定した「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「目標調整値(または、目標調整値範囲内の値)」となっているか否かを再判定する(「出射量調整処理の後に実行する判定処理」の一例)。この際に、特定した「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「目標調整値(または、目標調整値範囲内の値)」となっているときには、その旨を報知して一連の調整処理を終了する。一方、特定した「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「目標調整値(または、目標調整値範囲内の値)」となっていないとき(「各光源からの光の出射量が目標調整値範囲を外れた調整値に対応する出射量に変更されたと判定したとき」の一例)には、「変更量の規定」および「出力値の変更」)を再び実行する。
この場合、本例の光量測定装置1では、例えば、赤色レーザ光Lrについての2回目以降の「変更量の規定」および「出力値の変更」に際して、まず、特定した「レーザ出力値:Pr」と「目標調整値(または、目標調整値範囲の中心値)」との差を演算すると共に、その「演算した差」と、直前に実行した「変更量の規定」に際して規定した「変更量」とを比較する。
この際に、「演算した差」が、直前に規定した「変更量」よりも小さいときには、その「演算した差」を赤色レーザ光Lrの出射量の変更量として新たに規定して(次に実行する出射量調整処理時に各光源からの光の出射量を変更する変更量を、直前に実行した出射量調整処理時に各光源からの光の出射量を変更した変更量よりも予め規定された量だけ少なく規定する」との処理の一例)、規定した「変更量」分の「出力値の変更」を実行する。
また、「演算した差」が、直前に規定した「変更量」よりも大きいとき、すなわち、規定した「変更量」分の出射量の変更を行ったときに、赤色レーザ光Lr等の出射量が想定しているよりも大きく変化することが判明したときには、直前に規定した「変更量」よりも予め規定された量だけ少ない量(一例として、直前に規定した「変更量」の1/2の量)を新たな「変更量」として規定して、規定した「変更量」分の「出力値の変更」を実行する。
これらの処理を、検出信号データDa,Dbに基づいて特定される「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」が「目標調整値(または、目標調整値範囲内の値)」となるまで繰り返し実行することにより、各レーザ光Lについての調整処理が完了する。なお、上記の「変更量」については、特定した「レーザ出力値:Pr,Pg,Pb」と「目標調整値(または、目標調整値範囲の中心値)」との差に限定されず、作業者などが経験則に基づいて任意に定めたりすることができる。また、レーザ光Lr,Lg,Lbの調整処理の例について説明したが、液晶表示器や有機EL表示器などの各種表示器を「調整対象」として調整処理を実行することもできる。
このように、この光量測定装置1では、任意の色および任意の明るさが認識されるように各光源からの光の出射量をそれぞれ調整可能に構成され、各光源からの光の出射量が「調整用情報」に基づいて特定される「目標調整値範囲」内の調整値に対応する出射量になっているかを判定する「判定処理」を実行し、各光源からの光の出射量が「目標調整値範囲」内の調整値に対応する出射量になっていないときに、各光源からの光の出射量を予め規定された変更量だけ変更する「出射量調整処理」を実行した後に「判定処理」を再び実行する。
したがって、この光量測定装置1によれば、作業者が「目標調整値範囲」を規定したり、規定した「目標調整値範囲」内の調整値に対応する出射量となるように調整作業を行ったりすることなく、「目標調整値範囲」を規定する処理から、光源からの光の出射量が「目標調整値範囲」内の調整値に対応する出射量となるような調整処理までの一連の処理を自動的に実行させることができるため、この種の装置(作業)に不慣れな者であっても、任意の色および任意の明るさが認識されるように各光源からの光の出射量を確実かつ容易に調整させることができる。
一方、光量測定装置1を「調整用情報生成装置」、「調整作業補助装置」および「調整装置」として動作させる例について説明したが、光量測定装置1を「判別用情報生成装置」として動作させて、「光出力装置」を対象として「任意の色および任意の明るさが認識される出射量の光」が各光源からそれぞれ出力されているか否かを判別可能な「判別用情報」を生成させたり、光量測定装置1を「検査装置」として動作させて、「判別用情報」に基づいて「光出力装置」の状態を検査させたりすることもできる。
具体的には、光量測定装置1を「判別用情報生成装置」として動作させる場合には、「第1の色空間」に対応させた色度によって「任意の色に対応する目標色度値x’1,y’1」が指定され、かつ、「第2の色空間」に対応させた測光量によって「任意の明るさに対応する目標測光量E’」が指定されたときに、処理部6が、「第1の色空間」における「三刺激値X1,Y1,Z1」、および「第2の色空間」における「三刺激値X2,Y2,Z2」を各光源から出力される光毎にそれぞれ測定する「測定処理」を実行すると共に、前述した「調整値特定処理」に代えて、「目標色度値x’1,y’1」、「目標測光量E’」、「三刺激値X1,Y1,Z1」および「三刺激値X2,Y2,Z2」に基づき、「目標色度値x’1,y’1」および「目標測光量E’」に対応する「第1の色空間」における「目標三刺激値X’1,Y’1,Z’1」をそれぞれ演算し、各光源から出力されるべき光毎に、各光源からの光の出射量が「目標三刺激値X’1,Y’1,Z’1」に対応する量となる「目標出射量」をそれぞれ演算する「目標出射量特定処理」を実行し、各「目標出射量」に基づいて「判別用情報」を生成する。この際に、処理部6は、「目標出射量特定処理」において、「第2の色空間」に対応している「目標測光量E’」と「第1の色空間」に対応している「目標三刺激値Y’1」との相違を補う「定数(上記の例における「u」)」を演算する「定数演算処理」を実行し、その「定数」を用いて「目標出射量」を演算する。
このように、光量測定装置1を「判別用情報生成装置」として動作させることにより、「目標色度値x’1,y’1」および「目標測光量E’」が互いに相違する色空間に対応する数値で指定された場合であっても「判別用情報」を確実かつ容易に生成することができ、これにより、「判別用情報」に基づいて特定される3つの光(各光源からの光)毎の「目標出射量」に基づき、少なくとも、各光源からの光の出射量がそれぞれの「目標出射量」に対応する出射量となっていない状態においては、「目標色度値x’1,y’1」および「目標測光量E’」が測定される状態になっていないと判断することができる。このため、「光出力装置」の状態の判別に不慣れな作業者であっても、「光出力装置」の状態を短時間で容易に把握可能な情報(判別用情報)を提供することができる。
また、生成した「判別用情報」に基づいて「光出力装置」の状態を検査する「検査装置」として動作させることにより、対象の「光出力装置」が、「任意の色および任意の明るさが認識される出射量の光が光源からそれぞれ出力されているか否か」を確実かつ容易に検査することができる。