明 細 書 . 機能的糖ペプチドの合理的設計および合成 技術分野
本発明は、 糖ペプチドおよび糖タンパク質 (特記しない限り、 本明細書におい て、 これらを総称して 「糖ペプチド」 と呼ぶ) およびそれを簡便に製造するため の方法に関する。 背景技術
ペプチドおよびタンパク質は、 生理活性物質の典型例としてこれまでに研究が 進められている。 生物 (特に、 真核生物) は、 遺伝子の転写および翻訳という機 構を通じてべプチドおよび夕ンパク質を生産した後に、 翻訳後修飾することが多 く、 多くのペプチドおよびタンパク質は、 翻訳後修飾により機能を発揮し、 調節 (例えば、 増強または低減) される。 翻訳後修飾としては、 例えば、 アミノ酸レ ベル (すなわち、 シグナルペプチド切断など) のもののほか、 例えば、 糖鎖、 脂 質などの他の生体分子による修飾が挙げられる。 この中で、 糖鎖による修飾は代 表的なものであり、真核生物において非常に多くのべプチドおよび夕ンパク質は、 糖鎖を有するといわれている。
このような糖鎖修飾を模倣して、 近年、 機能を調節した人工的に複合ペプチド を生産する試みがなされている (特開 2000— 300287、 特開 2001— 278899、 WO 96/06181および W〇 96/10089) 。
しかし、どのように糖鎖を導入すればよいかが解明された例はなぐその種類、 位置などに関する特定方法の解明が待たれている。 発明の開示
本発明は、 生物学的活性などの機能を増強するのに有用である、 ペプチドに外 的に糖鎖を導入する機構を提供することを課題とする。
本発明者らば鋭意検討した結果、 生物学的活性を有する形態のぺプチドにおい て、 該ペプチドの少なくとも 1つのアミノ酸残基に存在するかまたは導入された ダル夕ミンを適切な条件および適切な糖鎖で糖鎖修飾することにより生物学的活 性を有意に増強または調節することが可能であることが判明したことによって、 上記課題を解決した。
従って、 本発明は、 以下を提供する。
(1) 少なくとも 1つのアミノ酸残基にグルタミンを有する、 生物学的活性を有 する形態のペプチドのグルタミンが、 糖鎖で修飾されている、 糖ペプチド。
(2) 上記アミノ酸残基は、 グルタミン残基に置換しても上記ペプチドの生物学 的活性に実質的に影響を与えない、 項目 1に記載の糖ペプチド。
(3) 上記ペプチドは、 トランスダル夕ミナーゼの酵素活性が発揮される少なく とも 1つの条件において水溶性である、
項目 1〜 2のいずれかに記載の糖べプチド。
(4) 上記グルタミンに置換される残基は、 上記ペプチドの表面上に存在する、 項目 1〜 3のいずれかに記載の糖べプチド。
(5) 上記グルタミンは、 野生型形態におけるグルタミン以外のアミノ酸残基が 置換されたものである、 項目 1〜4のいずれかに記載の糖ペプチド。
(6) 上記糖ペプチドの機能を有する形態は、 野生型形態である、 項目 1~5の いずれかに記載の糖べプチド。
(7) 上記グルタミンに置換される残基は、 プロテアーゼ消化を受けやすい部位 にある、 項目 1〜 6のいずれかに記載の糖べプチド。
(8) 上記糖鎖は、 スぺ一サーを介してグルタミンに結合される、 項目 1〜7の いずれかに記載の糖べプチド。
(9) 上記スぺーサ一は、 —CH2—R—であって、 該 Rは、 アルキル、 置換され
たアルキル、 アルケニル、 置換されたァルケニル、 アルキニル、 置換されたアル キニル、 ァリ一ル、 置換されたァリール、 炭素環基、 置換された炭素環基、 複素 環基および置換された複素環基からなる群より選択される基から水素が 1つ脱離 して生ずる基である、 項目 8に記載の糖ペプチド。
(10) 上記スぺーサ一は、' C 1一 C 10ポリメチレンを含む、 項目 8に記載の 糖ペプチド。
(1 1) 上記スぺーサ一は、 C 1一 C 6ポリメチレンを含む、 項目 8に記載の糖 ペプチド。
(12) 上記スぺーサ一は、 C6— C 10ポリメチレンを含む、 項目 8に記載の 糖ペプチド。
(13) 上記グルタミンは、 上記 C末端または上記 N末端から 5アミノ酸以内に 存在する、 項目 1〜13のいずれかに記載の糖ペプチド。
(14) 上記グルタミンは、 上記 C末端または上記 N末端に存在する、 項目 1〜 13のいずれかに記載の糖ペプチド。
(15) 上記グルタミンは、 N末端に存在する、 項目 1〜13のいずれかに記載 の糖ペプチド。
(16) 上記糖鎖は、 シアル酸を含む、 項目 1〜1 5のいずれかに記載の糖ぺプ チド。
(17) 上記糖鎖は、 L a c、 L a cNAc、 S i a a 2, 3— La c、 S i a 2, 3-L a cNAc, S i a a 2, 6— L a c、 S i a a 2, 6 -L a c N
Ac s Fu c a 1, 2 -L a c> S i a a 2, 8 -S i a a; 2, 3 -L a c, S i a a 2, 8 -S i a o; 2, 3—L a cNAc、 S i a a; 2, 8 -S i a a 2, 6— L a c、 S i a a 2, 8 -S i a a 2, 6 -L a c NAc S i a a; 2, 8 -S i a a 2, 3— (Fu c a 1, 2 -) L a c、 および S i a « 2, 8— S i aひ 2, 6_ (Fu c CK 1, 2 -) L a c (式中、 L a cはラクトース、 La c NAcは 2—ァセチルアミノラクトース、 S i aはシアル酸、 Fu cはフコース
を表す) からなる群より選択される、 項目 6のいずれかに記載の糖べプチ ド。
(18) 上記糖鎖は、 少なくとも 3糖の大きさを有する、 項目 1〜17のいずれ 力 こ記載の糖ペプチド。
(19) 上記糖鎖は、 分枝状または直鎖状である、 項目 1〜18のいずれかに記 載の糖ペプチド。
(20)上記糖ペプチドは、酵素、抗体、 ワクチン、血清タンパク質、 ホルモン、 サイト力イン、 増殖因子、 細胞接着分子、 レセプ夕一、 およびシグナル伝達因子 からなる群より選択される、 項目 1〜19のいずれかに記載の糖ペプチド。
(21) 上記糖ペプチドは、 インスリン、 エリスロポエチン、 ィムネ一ス、 G—
CSF、 グルカゴン、 ソマトス夕チン、 コレシストキニン、 アドレナリン、 副腎 皮質剌激ホルモン、 i8エンドルフィンおよびネオエンドルフィンからなる群より 選択される、 項目 1〜20のいずれかに記載の糖ペプチド。
(22) 上記糖ペプチドは、 インスリンである、 項目 1〜21のいずれかに記載 の糖ペプチド。
(23) 上記糖ペプチドは、 インスリンであり、 上記グルタミンは、 該インスリ ンの B鎖の C末端から 11残基以内および/または N末端から 9アミノ酸以内に 存在する、 項目 1〜22のいずれかに記載の糖ペプチド。
(24) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記糖鎖はシァリルラクトースで ある、 項目 1 ~ 23のいずれかに記載の糖べプチド。
(25) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記糖鎖は該インスリンの B鎖に おいてグルタミンに置換された N末端に結合する、 項目 1〜24のいずれかに記 載の糖ペプチド。
(26) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記アミノ酸残基は該インスリン の B鎖の N末端を含み、 該 B鎖の N末端はシァリルラクトースで置換される、 項 目 1〜 25のいずれかに記載の糖べプチド。
(27) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記糖鎖は 3糖以上の大きさであ る、 項目 1〜 26のいずれかに記載の糖べプチド。
(28) 1以上のアミノ酸残基の置換、 付加および Zもしくは欠失、 ならびに Z または糖鎖および脂質からなる群より選択される少なくとも 1つの生体分子をさ らに含む、 項目 1〜 27のいずれかに記載の糖べプチド。
(29) 以下の工程:
A) 少なくとも 1つのアミノ酸残基にグルタミンを含む、 目的とするペプチド を提供する工程;および
B) 該グルタミンに糖鎖を導入する工程、
を包含する、 機能的糖ペプチドを調製する方法。
(30) 上記目的とするペプチドは、 野生型形態のペプチドにおいて、 少なくと も 1つのグルタミン以外のアミノ酸残基をグルタミンに置換することにより提供 される、 項目 29に記載の方法。
(31) 上記目的とするペプチドのアミノ酸配列において、 グルタミンに変化さ せても該目的とするペプチドの生物学的活性を喪失しない残基を同定する工程を さらに包含し、
上記少なくとも 1つのアミノ酸残基は、 該同定された残基である、 項目 30に 記載の方法。
(32) 上記目的とするペプチドは、 野生型形態のペプチドである、 項目 29〜 31のいずれかに記載の方法。
(33) 上記グルタミンへの糖鎖の導入は、 トランスグル夕ミナーゼを利用し、 上記糖鎖はアミノ基を含む、 項目 29〜32のいずれかに記載の方法。
(34) 上記目的とするペプチドは、 トランスダル夕ミナ一ゼの酵素活性が発揮 される少なくとも 1つの条件において水溶性である、 項目 29〜33のいずれか に記載の方法。
(35) 上記同定工程は、 上記糖ペプチドの表面上のアミノ酸残基を同定するこ
とを包含する、 項目 29〜 34のいずれかに記載の方法。
(36) 上記目的とするペプチドは、 上記目的とするペプチドの野生型形態にお いてプロテア一ゼ消化を受けやすい部位を同定し、 該部位にグルタミンが存在し ない場合、 該プロテアーゼ消化を受けやすい部位をグルタミンに置換することに よって提供される、 項目 29〜 35のいずれかに記載の方法。
(37) さらに、
C) アミノ基を含む糖鎖を調製する工程を包含する、
項目 33に記載の方法。
(38) 上記工程 C) は、 ァミノ基と水酸基とスぺ一サ一とを含む化合物を糖鎖 に結合させることによって達成される、 項目 37に記載の方法。
(39) 上記工程 C).は、 上記化合物を保護した後にグリコシデーシヨン反応を 行い、 その後脱保護することによって達成される、 項目 38に記載の方法。
(40) 上記糖鎖はさらにスぺーサ一を含む、 項目 29〜 39のいずれかに記載 の方法。
(41) 上記スぺ一サ一は、 _CH2—R—であって、 該 Rは、 アルキル、 置換さ れたアルキル、 アルケニル、 置換されたァルケニル、 アルキニル、 置換されたァ ルキニル、 ァリール、 置換されたァリール、 炭素環基、 置換された炭素環基、 複 素環基および置換された複素環基からなる群より選択される基から水素原子が 1 つ脱離して生ずる基である、 項目 40に記載の方法。
(42) 上記スぺ一サ一は、 C 1 _C 10ポリメチレンを含む、 項目 40に記載 の方法。 (43) 上記スぺーサ一は、 C 1—C6ポリメチレンを含む、 項目 40 に記載の方法。
(44) 上記スぺ一サ一は、 C 6— C 10ポリメチレンを含む、 項目 40に記載 の方法。
(45) 上記グルタミンは、 上記 C末端または上記 N末端から 5アミノ酸以内に 存在する、 項目 29〜44のいずれかに記載の方法。
(46) 上記グルタミンは、 上記 C末端または上記 N末端に存在する、 項目 29 〜45のいずれかに記載の方法。
(47) 上記グルタミンは、 N末端に存在する、 項目 2 9〜46のいずれかに記 載の方法。
(48)上記糖鎖は、シアル酸を含む、項目 2 9〜47のいずれかに記載の方法。
(49) 上記糖鎖は、 L a c、 L a c NAc、 S i a a 2, 3— L a c、 S i a 2, 3— L a c NAc、 S i aひ 2, 6— L a c、 S i a a 2, 6 -L a c N Ac, Fu c a; 1, 2 -L a c , S i a a 2, 8 - S i a a 2, 3—L a c、 S i a a 2, 8 -S i a a 2, 3— L a cNAc、 S i a a 2, 8 -S i a a 2, 6 _L a c、 S i a a; 2, 8 -S i a a 2, 6— L a cNAc、 S i a a 2, 8 — S i aひ 2, 3 - (Fu c a 1, 2 -) L a c, および S i a c¾ 2, 8— S i a CK 2, 6— (Fu c a 1, 2 -) L a c (式中、 L a cはラクト一ス、 L a c NAcは 2—ァセチルアミノラクトース、 S i aはシアル酸、 Fu cはフコース を表す) からなる群より選択される、 項目 2 9 ~48のいずれかに記載の方法。 (5 0) 上記糖鎖は、 少なくとも 3糖の大きさを有する、 項目 2 9〜49のいず れかに記載の方法。
(5 1) 上記トランスダル夕ミナーゼによる糖鎖付加反応は、 0. ImM以下の タンパク質濃度、 GSHの非存在下、 5 mM以上のカルシウム濃度、 および還元 剤の除去処置後からなる群より選択される少なくとも 1つの条件を含む条件下で 行われる、 項目 3 3に記載の方法。
(5 2)上記糖ペプチドは、酵素、抗体、 ワクチン、血清タンパク質、 ホルモン、 サイト力イン、 増殖因子、 レセプ夕一およびシグナル伝達因子からなる群より選 択される、 項目 2 9〜5 1のいずれかに記載の方法。
(5 3) 上記糖ペプチドは、 インスリン、 エリスロポエチン、 ィムネース、 G— CSF、 グルカゴン、 ソマトス夕チン、 コレシストキニン、 アドレナリン、 副腎 皮質刺激ホルモン、 j3エンドルフィンおよびネオエンドルフィンからなる群より
選択される、 項目 29〜 52のいずれかに記載の:^法。
(54) 上記糖ペプチドは、 インスリンである、 項目 29〜 53のいずれかに記 載の方法。
(55) 上記糖ペプチドは、 インスリンであり、 上記グルタミンは、 該インスリ ンの B鎖の C末端から 1 1残基以内および Zまたは N末端から 9アミノ酸以内に 存在する、 項目 29〜 54のいずれかに記載の方法。
(56) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記糖鎖はシァリルラクト一スで ある、 項目 29~55のいずれかに記載の方法。
(57) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記糖鎖は該インスリンの B鎖に おいてグルタミンに置換された N末端に結合する、 項目 29〜56のいずれかに 記載の方法。
(58) 上記糖ペプチドはインスリンであり、 上記アミノ酸残基は該インスリン の B鎖の N末端を含み、 該 B鎖の N末端はシァリルラクトースで置換される、 項 目 29 ~ 57のいずれかに記載の方法。
(59) 糖鎖を伸長する工程をさらに包含する、 項目 29〜58のいずれかに記 載の方法。
(60) 上記糖鎖伸長は、 /31, 4_ガラクト―ス転移酵素、 ひ 1, 3—ガラク ト―ス転移酵素, )31, 4一ガラクトース転移酵素, i31, 3—ガラクトース転 移酵素, ;61, 6—ガラクトース転移酵素、 α 2, 6—シアル酸転移酵素、 α ΐ, 4 _ガラクトース転移酵素、 セラミドガラクト一ス転移酵素、 ひ 1, 2—フコー ス転移酵素、 ひ 1, 3—フコース転移酵素、 ひ 1, 4—フコース転移酵素、 ひ 1, 6—フコース転移酵素、 α 1, 3—Ν_ァセチルガラクトサミン転移酵素、 a 1, 6— Ν—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 β 1, 4一 Ν—ァセチルガラク卜サ ミン転移酵素、 ポリペプチド Ν—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 )31, 4— Ν—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1, 2— Ν—ァセチルダルコサミン転移 酵素、 jS l, 3— N—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1, 6—Ν—ァセチル
ダルコサミン転移酵素、 α ΐ, 4—Ν—ァセチルダルコサミン転移酵素、 /31, 4一マンノース転移酵素、 ひ 1, 2—マンノース転移酵素、 ひ 1, 3—マンノー ス転移酵素、 a l, 4一マンノース転移酵素、 α ΐ, 6—マンノース転移酵素、 1, 2—グルコース転移酵素、 α 1, 3—グルコース転移酵素、 ひ 2, 3—シ アル酸転移酵素、 ひ 2, 8—シアル酸転移酵素、 ひ 1, 6—ダルコサミン転移酵 素、 α 1, 6—キシロース転移酵素、 3キシロース転移酵素 (プロテオダリカン コア構造合成酵素) 、 β 1, 3—グルクロン酸転移酵素およびヒアルロン酸合成 酵素からなる群より選択される酵素を利用する、 項目 59に記載の方法。
(61) 1以上のアミノ酸残基の置換、 付加および/もしくは欠失、 ならびに Ζ または糖鎖および脂質からなる群より選択される少なくとも 1つの生体分子を導 入する工程をさらに包含する、 項目 29〜60のいずれかに記載の方法。
(62) 糖鎖が導入された上記機能的糖ペプチドを精製する工程をさらに包含す る、 項目 29〜61のいずれかに記載の方法。
(63) 上記置換されたアミノ酸配列を有するペプチドは、 合成により生産され る、 項目 29〜62のいずれかに記載の方法。
(64) 上記置換されたアミノ酸配列を有するペプチドは、 遺伝子工学的に生産 される、 項目 29〜 63のいずれかに記載の方法。
(65) 所望の生物学的活性が 7ΐ進されているかどうかを判定する工程をさらに 包含する、 項目 29〜 64のいずれかに記載の方法。
(66) 項目 29〜65のいずれかに記載の方法によって調製された、 糖べプチ ド。
(67) 項目 1〜28または 66に記載の糖ペプチドを含む、 医薬組成物。 (68) 項目 1〜 28または 66に記載の糖べプチドを含む、 食品組成物。 (69) 項目 1〜28または 66に記載の糖ペプチドを含む、 化粧品組成物。 (70)項目 1〜28または 66に記載の糖ペプチドを含む、高分子材料組成物。
(71) 項目 1〜28または 66に記載の糖ペプチドを含む、 農薬組成物。
(72) グルタミンのアミノ酸側鎖である— (CH2) 2-C ( = 0) — NH2が 麵— (CH2>m—NH - C(=0)— (CH2)2-、
麵—(CH2)m— NH - (CH2)n-C(=0)-NH
麟ー(CH2>P— NH - C(=0) - CH
(CH2)5
NH
c(=o)
I
(CH2)2 糖鎖— (CH2)m— NH— (CH2)n— C(=0)— NH
— NH— C(=0)— CH— NH— C(=0)— CH
糖鎖— (CH2)t_NH— C(=0)— (CH2)U
糖鎖—(CH2)m— NH— C(=0)— (CH2)n— CH2
I
糖鎖— (CH2)。_NH-C(=0)— CH-NH— C(=0)— (CH2>3— C(=0)- -NH 讓—(CH2)に NH - C(=0)_CH— NH— C(=0). -CH 麟—(CH2)U— NH— C(=0)— (CH2)V {CH2)W
NH
I
c(=o)
(CH2)2
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 v、 および wはそれぞれ独立して:!〜 10の 整数を表す) である、 項目 1〜28のいずれかに記載の糖ペプチド。
糖鎖とメチレンとの結合様式は、 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「0— C」 結合である。
(73) 上記糖ペプチドは、 インスリン、 エリスロポエチン、 ィムネース、 G— CSF、 グ^/力ゴン、 ソマトス夕チン、 コレシストキニン、 アドレナリン、 副腎
皮質剌激ホルモン、 j8ェンドルフィンおよびネオェンドルフィンからなる群より 選択される、 項目 7 2に記載の糖ペプチド。
(74) 上記糖ペプチドは、 インスリンである、 項目 7 2に記載の糖ペプチド。 (7 5) 上記糖鎖は、 L a c、 L a cNAc、 S i a CK 2, 3— L a c、 S i a 2, 3—L a c NAc、 S i a a 2, 6— L a c、 S i a a; 2, 6 -L a c N Ac、 Fu c a 1, 2 -L a C S i a a 2 , 8 -S i a a 2, 3_L a c、 S i a a; 2, 8 - S i a a 2, 3一 L a cNAc、 S i a a; 2, 8 -S i a a 2, 6— L a c、 S i a a 2, 8 -S i a 2 , 6一 L a cNAc、 S i a a 2, 8 -S i a a; 2, 3一 (Fu c a 1, 2 -) L a c. および S i a a 2, 8— S i a 2, 6 - (Fu c a 1, 2 -) L a c (式中、 L a cはラクト一ス、 L a c NAcは 2—ァセチルアミノラクト一ス、 S i aはシアル酸、 Fu cはフコース を表す) からなる群より選択される、 項目 7 2~ 74のいずれかに記載の糖ぺプ チド。
(76) ィンスリンの N末端のフエ二ルァラニンがグルタミンに変換されたぺプ チドの N末端または N末端から 4番目のグルタミンのアミノ酸側鎖が、以下の式:
讓ー (CH2)m-NH - C(=0)— (CH2)2-、
顧—(CH2)m— NH— (CH2)n-C(=0)-NH
I
纖— (CH2>P - NH - C(-O) - CH
(CH2)S
NH
c(=o)
糖鎖一 (CH2)P— NH— C(=0)— CH— NH— C(=0)— CH
糖鎖—(CH2)t— NH— C(=0)_(CH2)u
H H H
または
糖鎖一 (CH2)m— NH— C(=0)— (CH2)n— CH2
I
糖鎖— (CH2)D-NH-C(=0)— CH-NH— C(=0)— (CH2)3— C(=0)- •NH 顏—(CH2)に NH— C(=0)— CH— NH— C(=0)- -CH 讓—(CH2)U—NH— C(=0)—(CH2)V (CH2)W
I
NH
I
C{=0) (CH2)2
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 v、 および wはそれぞれ独立して 1〜: 10の 整数を表す)
で表される側鎖である、 インスリン。
糖鎖とメチレンとの結合様式は、 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「〇一 C」 結合である。
(77) 以下の式:
纖— (CH^m - NH2、
糖鎖一 (CH2〉m - NH - (CH2)n-C(=0)-NH
纖 (CH2)P -匪— C(=0) - CH
(CHZ)S
NH2,
圃ー (CH2)m - NH -(CH2)n— C(=0)— NH
纖—(CH2)P— NH— C(=0) - CH - NH— C(=0) - CH
麵ー (CH2)t— NH_C(=0)—(CH2)u (CH2)S
I
NH2、 または
糖鎖一 (CH2)m- NH - C(=0) -(CH2)n— CH2
職一(CH3)P - NH— C(=0) - CH - NH— C(=0) -(CH2)s— C(=0)— NH 麵— (CH2)t_NH— C(=0) - CH— NH - C(=0) - CH ' 顏 -(CH2)U -題— C(=0) - (CH2)V (CH2)W
NH2
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 vおよび wはそれぞれ独立して 1〜10の整 数を表す) で表される化合物と、 少なくとも 1つのアミノ酸残基にグルタミンを 含むぺプチドと、 をトランスグルタミナ一ゼの存在下で反応させることを特徴と する、 糖ペプチドの製造方法。
糖鎖とメチレンとの結合様式は、 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「〇_C」 結合である。
(78) 上記スぺ一サ一は、 式:
-(CH2)m -
-(CH2)m-NH- (CH2)n-C(=0)-NH
-(CH2)D-NH-C(=0)-CH
(CH2);
-(CH2)m-NH-(CH2)„-C(=0)-NH
-(CH2)p-NH-C(=0)-CH-NH-C(=0)-CH
I I
一 (CH2) NH— C(=Q)— (CH2)U (CH2)S
、 または
-(CH2)m-NH-C(=0)-(CH2)n-CH2
I
-(CH2)p-NH-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(CH2)s-C(=0)-NH
-(CH2)t-NH-C(=0)-CH-NH-C(=0)-CH
I I
-(CH2)U-NH- C{=0)-(CH2)v <CH2)W
I
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 vおよび wはそれぞれ独立して:!〜 10の整 数を表す)
で表される基である項目 8に記載の糖べプチド。
糖鎖とメチレンとの結合様式は、 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「〇_C」 結合である。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の直鎖状糖鎖を付加したィンスリンモデル図を示す。
図 2 Aおよび Bは、 野生型インスリン [I n s. (WT) ] と改変型インスリ ン [I n s. (B-F 1Q) 、 I n s (B-T30 Q) ] とをマウスに投与した ときの血糖値の変化を示す。
図 3 A〜 Cは、 野生型ィンスリン [I n s. (WT) ] と本発明の糖鎖付加型 インスリン [I n s. (B-F 1 Q) , L a c - I η s. (B— F lQ) 、 S i a— La c— I n s. (B— F 1 Q) ] とをマウスに投与したときの血糖値の変
化を示す。
図 4A〜Cは、 本発明の分枝状 (二本鎖型 (D I) 、 三本鎖型 (TR I) およ び四本鎖型 (TETRA) ) 糖鎖の構造を示す。
図 5は、 本発明の二本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 1を示す。 図 6は、 本発明の二本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 2を示す。 図 7は、 本発明の三本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 3を示す。 図 8は、 本発明の三本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 4を示す。 図 9は、 本発明の三本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 5を示す。 図 10は、 本発明の四本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 6を示す。 図 11は、 本発明の四本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 7を示す。 図 12は、 本発明の四本鎖型分枝状糖鎖の合成におけるスキーム 8を示す。 図 13は、本発明におけるィンスリン [ I n s (B-F 1Q) ]への分枝状(二 本鎖型 (D I) 、 三本鎖型 (TR I) および四本鎖型 (TETRA) ) 糖鎖の付 加反応の模式図を示す。
図 14A〜Cは、 本発明における分枝状糖鎖付加したインスリンの模式図を示 す。
図 15は、 野生型インスリン [I n s (WT) ] と本発明の糖鎖付加型インス リン [S i a 2, 6— D I - I n s. (B— F 1Q) 、 S i a 2, 3 - D I— I n s. (B-F 1Q) , S.i a 2, 6-TR I - I n s. (B— F 1Q) ] とを マウスに投与したときの血糖値の変化を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を説明する。 本明細書の全体にわたり、 単数形の表現は、 特に言 及しない限り、 その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。 また、 本明細書において使用される用語は、 特に言及しない限り、 当該分野で通常用い られる意味で用いられることが理解されるべきである。
(用語)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において 「糖鎖」 とは、 単位糖 (単糖および/またはその誘導体) が
1つ以上連なってできた化合物をいう。 単位糖が 2つ以上連なる場合は、 各々の 単位糖同士の間は、 グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。 このよう な糖鎖としては、 例えば、 生体中に含有される多糖類 (グルコース、 ガラクトー ス、 マンノース、 フコース、 キシロース、 N—ァセチルダルコサミン、 N—ァセ チルガラクトサミン、 シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体) の他、 分 解された多糖、 糖タンパク質、 プロテオダリカン、 グリコサミノダリカン、 糖脂 質などの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げら れるがそれらに限定されない。 したがって、 本明細書では、 糖鎖は、 「多糖 (ポ リサッカリド) 」 、 「糖質」 、 「炭水化物」 と互換可能に使用され得る。 また、 特に言及しない場合、 本明細書において 「糖鎖」 は、 糖鎖および糖鎖含有物質の 両方を包含することがある。
本明細書において 「単糖」 とは、 これより簡単な分子に加水分解されず、 少な くとも 1つの水酸基および少なくとも 1つのアルデヒド基またはケトン基を含む、 ポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒドロキシケトンならびにその誘導体をい う。通常単糖は、一般式 CnH2nOnで表されるがそれらに限定されず、ダルコ一ス、 フコース (デォキシへキソース) 、 N—ァセチルダルコサミンなども含まれる。 ここで、 上の式において、 n = 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9および 1 0であ るものを、 それぞれジオース、 トリオース、 テトロース、 ペントース、 へキソ一 ス、 ヘプトース、 ォクト一ス、 ノノースおよびデコースという。 一般に鎖式多価 アルコールのアルデヒドまたはケトンに相当するもので、 前者をアルドース、 後 者をケト一スという。
本明細書において特に言及するときは、 「単糖の誘導体」 は、 置換されていな い単糖上の一つ以上の永酸基が別の置換基に置換され、 結果生じる物質をいう。 そのような単糖の誘導体としては、 カルボキシル基を有する糖 (例えば、 C— 1 位が酸化されてカルボン酸となったアルドン酸 (例えば、 D—グルコースが酸化 された D—ダルコン酸) 、 末端の C原子がカルボン酸となったゥロン酸 (D—グ
ルコースが酸化された D—グルクロン酸)、アミノ基またはァミノ基の誘導体(例 えば、 ァセチル化されたアミノ基) を有する糖 (例えば、 N—ァセチルー D—グ ルコサミン、 N—ァセチルー D—ガラクトサミンなど) 、 アミノ基およびカルボ キシル基を両方とも有する糖(例えば、 N—ァセチルノイラミン酸(シアル酸)、 N—ァセチルムラミン酸など) 、 デォキシ化された糖 (例えば、 2—デォキシ— D—リポース) 、 硫酸基を含む硫酸化糖、 リン酸基を含むリン酸化糖などがある がそれらに限定されない。 本明細書では、 単糖という場合は、 上記誘導体も包含 する。 あるいは、 へミアセタール構造を形成した糖において、 アルコールと反応 してァセタール構造のグリコシドもまた、 単糖の範囲内にある。
本明細書において 「糖ペプチド」 および 「糖タンパク質」 は、 互換可能に使用 され、 少なくとも 1つの糖鎖を含むペプチドおよびタンパク質をいう。 通常、 糖 タンパク質は、高等生物において機能を発揮するために必要な糖鎖を有している。 糖鎖とペプチドまたはタンパク質との間は直接結合されていてもよく、 スぺーサ ― (例えば、 ポリメチレン基などの任意の二価の基) を介して間接的に結合され ていてもよい。 そのような糖タンパク質としては、 例えば、 酵素、 ホルモン、 サ イト力イン、 抗体、 ワクチン、 レセプ夕一、 血清タンパク質などが挙げられるが それらに限定されない。
インスリンなどのペプチドは周知のものを使用することができる。 例示として インスリンとしては、 ヒトインスリン、 ブ夕インスリン、 ゥシインスリンなどを 挙げることができるが、 これらに限定されない。 インスリンには A鎖、 B鎖の N 末端のアミノ基、 およびリジン残基の側鎖アミノ基が存在する。 種により、 リジ ン残基の違いが存在することが知られているが、 どのようなものでも使用するこ とができる。
また、 特に言及しない場合、 本明細書において 「糖鎖」 は、 糖鎖および糖鎖含 有物質の両方を包含することがある。 単位糖同士の結合は、 その位置によって、 1 , 2—、 1 , 3—、 1 , 4 _、 a 1 , 6 _、 β 1 , 2—などがあり、 そ れらの表示は結合する単位糖における炭素の位置を併記すること、 および通常そ の結合に関するァノマー (ひ、 /3 ) を記載する。 糖鎖の結合に関する情報は複雑 であり、 ポリペプチド、 ポリヌクレオチドのように簡素化することが困難である
が、 例えば、 Tr end s i n G l yc o s c i enc e and G 1 y c o t e c hno l ogy 14, 127- 137 (2002) では、 リニアコ —ドで糖鎖を表すことを提唱している。 本明細書では、 通常、 D型または L型の 別、 ァノマ一型 (例えば、 ひまたは) 3型) 、 結合 (例えば、 1, 4など) 、 糖の 種類 (例えば、 グルコース、 本明細書ではしばしば 3文字表記する〉 およびピラ ノース型、 フラノース型などを利用して糖鎖を表記するが、 当該分野において慣 用される他の表現様式もまた使用され得る。 本発明の通常の表記様式に従えば、 例えば、 ― (1) 一 ]3— D— Xy l p— (1, 4) — )3— D— Ga l pは、 1つ 目の Xy l (キシロース) がビラノース型であり、 )3型をしており、 D型のもの であって、 キシロースが他の分子と 1位で結合していることを示し、 2つ目の G a 1 (ガラクト一ス) がビラノース型であり、 j3型をしており、 D型のものであ つて、 ガラクトースがキシロースと 1, 4結合していることを示す。
本明細書において 「スぺ一ザ一」 とは、 2つの分子の間に連結して存在する物 質であり、 間隔をあけるためまたは直接結合し得ない 2つの分子を間接的に結合 させるために利用される。 そのようなスぺ一サ一としては、 例えば、 C 1— 10 ポリメチレン、 — CH2— R— (ここで、 Rは、 アルキル、 置換されたアルキル、 アルケニル、 置換されたァルケニル、 アルキニル、 置換されたアルキニル、 ァリ ール、 置換されたァリール、 炭素環基、 置換された炭素環基、 複素環基および置 換された複素環基からなる群より選択される基から水素原子が 1つ脱離して生ず る基である) が挙げられるがそれらに限定されない。 好ましくは、 このスぺーサ 一は、 C 1一 10ポリメチレンを含む。 別の実施形態では、 スぺ一サ一は、 C 1 一 6·ポリメチレンを含む。 他の好ましい実施形態では、 スぺ一サ一は、 C6—C 10ポリメチレンを含むがそれらに限定されない。 さらに他の好ましい実施形態 では、 スぺーサ一は、 式:
-(CH2)m -,
-(CH2)m-NH- (CH2)n-C(=0)-NH
-(CH2)D-NH-C(=0)-CH
(CH2)S
-(CH2)m-NH-(CH2)„-C(=0)-NH
一(CH2)P_NH— C(=0)— CH— NH - C(=0>— CH
一 (CH2)t— NH— C(=0)— (CH2)U (CH2)S
、 または
-(CH2)m-NH-C(=0)-(CH2)n-CH2
-(CH2)p-NH-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(CH2)s-C(=0)-NH
-(CH2)t-NH-C(=0)-CH-NH-C(=0)-CH -(CH2)U-NH- C<=0)-(CH2)v (CH2)W
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 vおよび wはそれぞれ独立して:!〜 10の整 数を表す)
で表される基が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において 「相互作用」 とは、 2つの物体について言及するとき、 その 2つの物体が相互に力を及ぼしあうことをいう。 そのような相互作用としては、 例えば、 共有結合、 水素結合、 ファンデルヮ一ルスカ、 イオン性相互作用、 非ィ オン性相互作用、 疎水性相互作用、 静電的相互作用などが挙げられるがそれらに 限定されない。好ましくは、相互作用は、共有結合である。本明細書において「共 有結合」 とは、 当該分野における通常の意味で用いられ、 電子対が 2つの原子に 共有されて形成する化学結合をいう。 スぺーサ一は、 対象とする 2つの分子と共 有結合されていることが好ましい。
本明細書において、 生物学的活性に 「実質的に影響を与えない」 とは、 目的と する生物学的活性が保持されていることを意味する。 従って、 もとの生物学的活
性 (例えば、 インスリンであれば血糖値低下作甩など) の少なくとも約 1 0 %、 好ましくは約 3 0 %、 より好ましくは約 5 0 %、 さらに好ましくは約 8 0 %、 も つとも好ましくは約 1 0 0 %保持されていることが好ましくあり得る。 別の実施 形態では、 そのような生物学的活性は、 上昇していてもよく、 上昇されているこ とが有利であり得る。 生物学的活性が複数ある場合、 少なくとも 1つの生物学的 活性が保持されていることで十分であり得る。
本明細書において「水溶性」とは、水に対するある物質の溶解性を示す。通常、 水溶性は、 1 0 0 gの水に対して溶解する溶質の量で示される。
本明細書において糖ペプチドの 「表面」 とは、 ある糖ペプチドが水溶液中に存 在する場合、 水分子と相互作用し得る部分をいう。 そのような表面に該当する位 置は、 当該分野において周知の X線結晶構造解析などによって同定することがで さる。
本明細書においてペプチドおよびタンパク質(例えば、インスリン)などの「野 生型」 (本明細書において WTともいう) とは、 天然に存在するペプチドおよび タンパク質などのうち、 由来となる生物種においてもっとも広汎に存在するもの をいう。 通常、 ある種において最初に同定されるインスリンは野生型といえる。 野生型はまた、 「天然標準型」 ともいう。 そのような野生型インスリンは、 ヒト インスリンであれば、 図 1に示す配列 ( A鎖および B鎖は、 それぞれ配列番号 1 および 3 (核酸配列) 、 配列番号 2および 4 (アミノ酸配列) ) を有する。 本明細書において 「トランスダル夕ミナ一ゼ」 (時に、 T G a s eと略す) と は、 タンパク質およびペプチド鎖の中のグルタミン (G i n ) 残基におけるァ一 カルポキシアミド基と、 リジン (L y s ) 残基における ε —アミノ基またはアル キルアミンとの間のァシル転位反応を触媒する酵素をいう。 トランスダル夕ミナ ーゼは、動物(種々の組織、血球および血漿)および微生物などに広く分布する。 従って、 トランスダル夕ミナ一ゼは、 種々の分子形態をとつているが、 その分子 形態は多岐にわたる。 トランスダル夕ミナーゼは、 生体内においてペプチド鎖間
または内の ε— ( —グルタミル) リジン—イソペプチド結合による架橋形成反 応を触媒する。 トランスダル夕ミナーゼは G 1 η残基に対する基質特異性が極め て高いことから、 アルキルァミンなどの分子を用いることにより、 タンパク質中 の特定の G 1 η残基のみを改変することができる。 トランスダル夕ミナーゼは、 フイブリン分子架橋、 表皮細胞の角質化、 精液凝固および創傷組織の治癒などに 関与するといわれている。
トランスダル夕ミナ一ゼの存在下、 グルタミン含有ポリペプチドにアミノアル キルグリコシドを作用させることにより、 ぺプチドのグルタミン残基にアミノァ ルキルなどのスぺ一サーを介して糖鎖が容易に導入される。 糖鎖のドナ一として 用いられるアミノアルキルグリコシドなどは、導入れるべき糖鎖に対応する糖と、 ァグリコンであるアミノアルキルなどの部分とからなり、 ァミノアル力ノールな どの基質と糖とを常法にしたがって反応させれば容易に得られる。 糖としては、 本明細書において他の場所にも記すように、グルコース、マンノ一ス等の単糖類、 ラクトース、 マルトース、 ショ糖類のオリゴ糖およびデンプン等の多糖類が含ま れる。 アミノアルカノールとしては、 2—アミノエ夕ノール、 3—ァミノプロパ ノ一ル、 4ーァミノ— η—ブ夕ノール等が含まれる。
本明細書において 「転移酵素」 とは、 基転移反応を触媒する酵素をいう。 本明 細書において使用される代表的な転移酵素としては、 糖転移酵素があり、 糖転移 酵素は、 糖の転移を触媒する。 例示的な糖転移酵素としては、 例えば、 J3 1 , 4 —ガラクト—ス転移酵素、 ひ 1, 3—ガラクト―ス転移酵素, β 1 , 4—ガラク ト―ス転移酵素, 3 1, 3 _ガラクト―ス転移酵素, β 1, 6—ガラクト―ス転 移酵素、 ひ 2, 6—シアル酸転移酵素、 ひ 1, 4一ガラクトース転移酵素、 セラ ミドガラクトース転移酵素、 1, 2—フコース転移酵素、 ひ 1, 3—フコース 転移酵素、 α ΐ , 4—フコース転移酵素、 ひ 1 , 6—フコース転移酵素、 ひ 1 , 3— Ν—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 ひ 1, 6— Ν—ァセチルガラクトサ ミン転移酵素、 β 1 , 4— Ν—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 ポリペプチド
N—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 )3 1 , 4.— N—ァセチルダルコサミン転 移酵素、 )3 1, 2— N—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1 , 3— Ν _ァセチ ルダルコサミン転移酵素、 β 1 , 6 - Ν—ァセチルダルコサミン転移酵素、 a 1, 4一 N—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1, 4—マンノース転移酵素、 a 1 , 2—マンノース転移酵素、 ひ 1 , 3—マンノース転移酵素、 ee l , 4—マンノー ス転移酵素、 ひ 1, 6—マンノース転移酵素、 ひ 1 , 2—グルコース転移酵素、 l , 3—グルコース転移酵素、 ひ 2, 3—シアル酸転移酵素、 ひ 2 , 8—シァ ル酸転移酵素、 α ΐ , 6—ダルコサミン転移酵素、 ひ 1, 6—キシロース転移酵 素、 /3キシロース転移酵素 (プロテオダリカンコア構造合成酵素) 、 β 1 , 3 - ダルク口ン酸転移酵素およびヒアルロン酸合成酵素が挙げられるがそれらに限定 されない。
本明細書において 「残基」 は、 当該分野において通常の意味で用いられ、 重合 体における単位物質の分子の根幹部をいう。 従って、 糖鎖または糖ペプチドにお いて、 キシロース残基という場合、 キシロースから糖またはペプチドとの結合に 必要な部分 (例えば、 水素原子) を除いた部分をいう。 ただし、 特に区別を必要 としない場合は、 糖残基またはアミノ酸残基は、 通常の糖またはアミノ酸と互換 可能に使用され得る。
本明細書において使用される用語 「タンパク質」 、 「ポリペプチド」 、 「オリ ゴペプチド」 および 「ペプチド」 は、 本明細書において同じ意味で使用され、 任 意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。 このポリマーは、 直鎖であっても分岐し ていてもよく、 環状であってもよい。 アミノ酸は、 天然のものであっても非天然 のものであってもよく、 改変されたアミノ酸であってもよい。 この用語はまた、 複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。 この用 語はまた、 天然または人工的に改 されたアミノ酸ポリマ一も包含する。 そのよ うな改変としては、 例えば、 ジスルフイド結合形成、 グリコシル化、 脂質化、 ァ セチル化、 リン酸化または任意の他の操作もしくは改変 (例えば、 標識成分との
結合体化) 。 この定義にはまた、 例えば、 アミノ酸の 1または 2以上のアナログ を含むポリペプチド (例えば、 非天然のアミノ酸などを含む) 、 ペプチド様化合 物(例えば、ぺプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。 本発明の遺伝子産物は、 通常ポリペプチド形態をとる。 このようなポリペプチド 形態の本発明の遺伝子産物は、 本発明の診断、 予防、 治療または予後のための組 成物として有用である。
本明細書において使用される用語 「ポリヌクレオチド」 、 「オリゴヌクレオチ ド」 および 「核酸」 は、 本明細書において同じ意味で使用され、 任意の長さのヌ クレオチドのポリマーをいう。 この用語はまた、 「誘導体オリゴヌクレオチド」 または 「誘導体ポリヌクレオチド」 を含む。 「誘導体オリゴヌクレオチド」 また は 「誘導体ポリヌクレオチド」 とは、 ヌクレオチドの誘導体を含むか、 またはヌ クレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチ ドをいい、 互換的に使用される。 そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的に は、 例えば、 2, —0_メチル—リポヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のリ ン酸ジエステル結合がホスホロチォェ一ト結合に変換された誘導体オリゴヌクレ ォチド、 オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合が N 3' -P 5 ' ホスホ ロアミデ一卜結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド 中のリポースとリン酸ジエステル結合とがべプチド核酸結合に変換された誘導体 ォリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C― 5プロピニルゥラ シルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のゥラシル が C— 5チアゾールゥラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌ クレオチド中のシトシンが C— 5プロピニルシトシンで置換された誘導体ォリゴ ヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン (phe nox a z i ne—mo d i f i e d c y t o s i ne) で置換され た誘導体オリゴヌクレオチド、 DNA中のリポースが 2' —O—プロピルリポ一
スが 2' —メトキシエトキシリポースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドな どが例示される。 他にそうではないと示されなければ、 特定の核酸配列はまた、 明示的に示された配列と同様に、 その保存的に改変された改変体 (例えば、 縮重 コドン置換体) および相補配列を包含することが企図される。 具体的には、 縮重 コドン置換体は、 1またはそれ以上の選択された (または、 すべての) コドンの 3番目の位置が混合塩基および/またはデォキシイノシン残基で置換された配列 を作成することにより達成され得る (Ba t z e rら、 Nuc l e i c Ac i d Re s. 19 : 5081 (1991) ;〇h t s uk aら、 J。 B i o l . Ch em. 260 : 2605-2608 (1985) ; Ro s s o l i n iら、 Mo l . Ce l l. P r obe s 8 : 91— 98 (1994) ) 。 本発明の遺 伝子は、 通常、 このポリヌクレオチド形態をとる。 このようなポリヌクレオチド 形態の本発明の遺伝子または遺伝子産物は、 本発明の診断、 予防、 治療または予 後のための組成物として有用である。
本明細書では 「核酸分子」 もまた、 核酸、 オリゴヌクレオチドおよびポリヌク レオチドと互換可能に使用され、 cDNA、 mRNA、ゲノム DNAなどを含む。 本明細書では、 核酸および核酸分子は、 用語 「遺伝子」 の概念に含まれ得る。 あ る遺伝子配列をコードする核酸分子はまた、 「スプライス変異体 (改変体) 」 を 包含する。 同様に、 核酸によりコードされた特定のタンパク質は、 その核酸のス プライス改変体によりコ一ドされる任意の夕ンパク質を包含する。 その名が示 するように 「スプライス変異体」 は、 遺伝子のオルタナティブスプライシングの 産物である。 転写後、 最初の核酸転写物は、 異なる (別の) 核酸スプライス産物 が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。 スプライス変異 体の産生機構は変化するが、 ェキソンのオルタナティブスプライシングを含む。 読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、 この定義に包 含される。 スプライシング反応の任意の産物 (組換え形態のスプライス産物を含 む) がこの定義に含まれる。 したがって、 本明細書では、 たとえば、 本発明の遺
伝子には、 そのスプライス変異体もまた包含され得る。
本明細書において、 「遺伝子」 とは、 遺伝形質を規定する因子をいう。 通常染 色体上に一定の順序に配列している。 タンパク質の一次構造を規定するものを構 造遺伝子といい、 その発現を左右するものを調節遺伝子 (たとえば、 プロモ一夕 ―) という。 本明細書では、 遺伝子は、 特に言及しない限り、 構造遺伝子および 調節遺伝子を包含する。 したがって、 インスリンなどの遺伝子というときは、 通 常、 本発明の遺伝子の構造遺伝子ならびにそのプロモーターなどの転写および Z または翻訳の調節配列の両方を包含する。 本発明では、 構造遺伝子のほか、 転写 および/または翻訳な の調節配列もまた、 神経再生、 神経疾患の診断、 治療、 予防、 予後などに有用であることが理解される。 本明細書では、 「遺伝子」 は、 「ポリヌクレオチド」 、 「オリゴヌクレオチド」 、 「核酸」 および 「核酸分子」 ならびに /または 「タンパク質」 、 「ポリペプチド」 、 「オリゴペプチド」 およ び「ペプチド」 を指すことがある。本明細書においてはまた、 「遺伝子産物」は、 遺伝子によって発現された「ポリヌクレオチド」、 「オリゴヌクレオチド」、 「核 酸」 および 「核酸分子」 ならびに または 「タンパク質」 、 「ポリペプチド」 、 「オリゴペプチド」 および 「ペプチド」 を包含する。 当業者であれば、 遺伝子産 物が何たるかはその状況に応じて理解することができる。
本明細書において遺伝子(例えば、 核酸配列、 アミノ酸配列など) の 「相同性」 とは、 2以上の遺伝子配列の、 互いに対する同一性の程度をいう。 また、 本明細 書において配列 (核酸配列、 アミノ酸配列など) の同一性とは、 2以上の対比可 能な配列の、 互いに対する同一の配列 (個々の核酸、 アミノ酸など) の程度をい う。 従って、 ある 2つの遺伝子の相同性が高いほど、 それらの配列の同一性また は類似性は高い。 2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、 または核酸の場合ス卜リンジェン卜な条件下でのハイプリダイゼーション法によ つて調べられ得る。 2つの遺伝子配列を直接比較する場合、 その遺伝子配列間で D N A配列が、 代表的には少なくとも 5 0 %同一である場合、 好ましくは少なく
とも 7 0 %同一である場合、より好ましくは少なくとも 8 0 %、 9 0 %、 9 5 %、 9 6 %、 9 7 %、 9 8 %または 9 9 %同一である場合、 それらの遺伝子は相同性 を有する。 本明細書において、 遺伝子 (例えば、 核酸配列、 アミノ酸配列など) の 「類似性」 とは、 上記相同性において、 保存的置換をポジティブ (同一) とみ なした場合の、 2以上の遺伝子配列の、 互いに対する同一性の程度をいう。 従つ て、 保存的置換がある場合は、 その保存的置換の存在に応じて相同性と類似性と は異なる。また、保存的置換がない場合は、相同性と類似性とは同じ数値を示す。 本明細書では、 アミノ酸配列および塩基配列の類似性、 同一性および相同性の 比較は、 配列分析用ツールである F A S TAを用い、 デフォルトパラメ一夕を用 いて算出される。
本明細書において、 「アミノ酸」. は、 本発明の目的を満たす限り、 天然のもの でも非天然のものでもよい。 「誘導体アミノ酸」 または 「アミノ酸アナログ」 と は、 天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有する ものをいう。 そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸アナログは、 当該分野に おいて周知である。 用語 「天然のアミノ酸」 とは、 天然のアミノ酸の L—異性体 を意味する。 天然のアミノ酸は、 グリシン、 ァラニン、 パリン、 ロイシン、 イソ ロイシン、 セリン、 メチォニン、 トレオニン、 フエ二ルァラニン、 チロシン、 ト リブトフアン、 システィン、 プロリン、 ヒスチジン、 ァスパラギン酸、 ァスパラ ギン、 グルタミン酸、 グルタミン、 ァ一力ルポキシグルタミン酸、 アルギニン、 オル二チン、 およびリジンである。 特に示されない限り、 本明細書でいう全ての アミノ酸は L体であるが、 D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内に ある。 用語 「非天然アミノ酸」 とは、 タンパク質中で通常は天然に見出されない アミノ酸を意味する。 非天然アミノ酸の例として、 ノルロイシン、 パラーニトロ フエ二ルァラニン、 ホモフエ二ルァラニン、 パラーフルオロフェニルァラニン、 3—ァミノ— 2—ベンジルプロピオン酸、 ホモアルギニンの D体または L体およ び D—フエ二ルァラニンが挙げられる。 「アミノ酸アナログ」 とは、 アミノ酸で
はないが、 アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。 アミノ酸 アナログとしては、 例えば、 ェチォニン、 カナバニン、 2—メチルグルタミンな どが挙げられる。 アミノ酸模倣物とは、 アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる 構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。 アミノ酸は、 その一般に公知の 3文字記号か、 または I UPAC— I UB B i o c hemi c a l Nomenc l a t u r e Co mm i s s i o nによ り推奨される 1文字記号のいずれかにより、 本明細書中で言及され得る。 ヌクレ ォチドも同様に、 一般に認知された 1文字コードにより言及され得る。
本明細書において、 「対応する」 アミノ酸とは、 あるタンパク質分子またはポ リペプチド分子において、 比較の基準となるタンパク質またはポリペプチドにお ける所定のアミノ酸と同様の作用を有するか、 または有することが予測されるァ ミノ酸をいい、 特に酵素分子にあっては、 活性部位中の同様の位置に存在し触媒 活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。 例えば、 アンチセンス分子であれば、 そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分で あり得る。
本明細書において、 「対応する」 遺伝子とは、 ある種において、 比較の基準と なる種における所定の遺伝子と同様の作用を有する力、 または有することが予測 される遺伝子をいい、 そのような作用を有する遺伝子が複数存在する塲合、 進ィ匕 学的に同じ起源を有するものをいう。 従って、 ある遺伝子の対応する遺伝子は、 その遺伝子のオルソログであり得る。 したがって、 マウスのインスリンなどの遺 伝子に対応する遺伝子は、 他の動物 (ヒ卜、 ラッ卜、 ブ夕、 ゥシなど) において も見出すことができる。 そのような対応する遺伝子は、 当該分野において周知の 技術を用いて同定することができる。 したがって、 例えば、 ある動物における対 応する遺伝子は、 対応する遺伝子の基準となる遺伝子 (例えば、 マウスのインス リンなどの遺伝子) の配列をクエリ配列として用いてその動物 (例えばヒト、 ラ ッ卜) の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。 「誘導体ヌクレオチド」 または 「ヌクレオチドアナログ」 とは、 天然に存在する ヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう c そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、 当該分野におい て周知である。 そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例 としては、 ホスホロチォェ一卜、 ホスホルアミデート、 メチルホスホネート、 キ ラルメチルホスホネート、 2— O—メチルリポヌクレオチド、ペプチド—核酸(P NA) が含まれるが、 これらに限定されない。 .
本明細書において 「フラグメント」 とは、 全長のポリペプチドまたはポリヌク レオチド (長さが n) に対して、 l〜n— 1までの配列長さを有するポリべプチ ドまたはポリヌクレオチドをいう。 フラグメントの長さは、 その目的に応じて、 適宜変更することができ、 例えば、 その長さの下限としては、 ポリペプチドの場 合、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 1 0、 1 5, 2 0、 2 5、 3 0、 4 0、 5 0 およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、 ここの具体的に列挙していない整数で表 される長さ (例えば、 1 1など) もまた、 下限として適切であり得る。 また、 ポ リヌクレオチドの場合、 5、 6、 7、 8、 9、 1 0、 1 5 , 2 0、 2 5、 3 0、 4 0、 5 0、 7 5、 1 0 0およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、 ここの具 体的に列挙していない整数で表される長さ (例えば、 1 1など) もまた、 下限と して適切であり得る。 本明細書において、 ポリペプチドおよびポリヌクレオチド の長さは、 上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができる が、 上述の個数は絶対的なものではなく、 同じ機能を有する限り、 上限または加 減としての上述の個数は、 その個数の上下数個 (または例えば上下 1 0 %) のも のも含むことが意図される。 そのような意図を表現するために、 本明細書では、 個数の前に 「約」 を付けて表現することがある。 しかし、 本明細書では、 「約」 のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。 本 明細書において有用なフラグメントの長さは、 そのフラグメントの基準となる全
長タンパク質の機能のうち少なくとも 1つの機能が保持されているかどうかによ つて決定され得る。
本明細書において第一の物質または因子が第二の物質または因子に 「特異的に 相互作用する」とは、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して、 第二の物質または因子以外の物質または因子 (特に、 第二の物質または因子を含 むサンプル中に存在する他の物質または因子) に対するよりも高い親和性で相互 作用することをいう。 物質または因子について特異的な相互作用としては、 例え ば、 核酸における八イブリダィゼーシヨン、 タンパク質における抗原抗体反応、 リガンドーレセプ夕一反応、 酵素一基質反応など、 核酸およびタンパク質の両方 が関係する塲合、 転写因子とその転写因子の結合部位との反応など、 タンパク質 一脂質相互作用、核酸—脂質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。 従って、 物質または因子がともに核酸である場合、 第一の物質または因子が第二 の物質または因子に 「特異的に相互作用する」 ことには、 第一の物質または因子 が、 第二の物質または因子に対して少なくとも一部に相補性を有することが包含 される。 また例えば、 物質または因子がともにタンパク質である場合、 第一の物 質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」こととしては、 例えば、 抗原抗体反応による相互作用、 レセプ夕一一リガンド反応による相互作 用、 酵素一基質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。 2種類の物 質または因子がタンパク質および核酸を含む塲合、 第一の物質または因子が第二 の物質または因子に 「特異的に相互作用する」 ことには、 転写因子と、 その転写 因子が対象とする核酸分子の結合領域との間の相互作用が包含される。 したがつ て、 本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリぺプチドなどの生物学的因子 に対して 「特異的に相互作用する因子」 とは、 そのポリヌグレオチドまたはその ポリペプチドなどの生物学的因子に対する親和性が、 他の無関連の (特に、 同一 性が 3 0 %未満の)ポリヌクレオチドまたはポリぺプチドに対する親和性よりも、 代表的には同等またはより高いか、 好ましくは有意に (例えば、 統計学的に有意
に) 高いものを包含する。 そのような親和性は、 .例えば、 ハイブリダィゼ一ショ ンアツセィ、 結合アツセィなどによって測定することができる。 本明細書におい て 「因子」 (a g e n t ) としては、 意図する目的を達成することができる限り どのような物質または他の要素 (例えば、 光、 放射能、 熱、 電気などのエネルギ 一) でもあってもよい。 そのような物質としては、 例えば、 タンパク質、 ポリべ プチド、 オリゴペプチド、 ペプチド、 ポリヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド、 ヌクレオチド、 核酸 (例えば、 c D NA、 ゲノム D NAのような D NA、 mR N Aのような R NAを含む) 、 ポリサッカリド、 オリゴサッカリド、 脂質、 有機低 分子 (例えば、 ホルモン、 リガンド、 情報伝達物質、 有機低分子、 コンビナトリ アルケミストリで合成された分子、 医薬品として利用され得る低分子 (例えば、 低分子リガンドなど) など) 、 これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定さ れない。 ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、 代表的には、 そのポ リヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を (例えば、 7 0 %以上の配列 同一性)'もって相補性を有するポリヌクレオチド、 プロモーター領域に結合する 転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。 ポリ ペプチドに対して特異的な因子としては、 代表的には、 そのポリペプチドに対し て特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物 (例えば、 単鎖 抗体) 、 そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリ ガンドまたはレセプ夕一、 そのポリペプチドが酵素である場合、 その基質などが 挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において用いられる用語 「抗体」 は、 ポリクローナル抗体、 モノクロ —ナル抗体、 ヒト抗体、 ヒト化抗体、 多重特異性抗体、 キメラ抗体、 および抗ィ ディォタイプ抗体、 ならびにそれらの断片、 例えば F ( a b, ) 2および F a b 断片、 ならびにその他の組換えにより生産された結合体を含む。 さらにこのよう な抗体を、酵素、例えばアルカリホスファタ一ゼ、西洋ヮサビペルォキシダーゼ、 ガラクトシダ一ゼなど、 に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。
本明細書において「複合分子」 とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、 糖、 低分子などの分子が複数種連結してできた分子をいう。 そのような複合分子 としては、 例えば、 糖脂質、 糖ペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されな い。
本明細書において 「単離きれた」 生物学的因子 (例えば、 核酸またはタンパク 質など) とは、 その生物学的因子が天然に存在する生物体の細胞内の他の生物学 的因子 (例えば、 核酸である場合、 核酸以外の因子および目的とする核酸以外の 核酸配列を含む核酸;タンパク質である場合、 タンパク質以外の因子および目的 とするタンパク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など) から実質的に分離 または精製されたものをいう。 「単離された」 核酸およびタンパク質には、 標準 的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、 単離された核酸およびタンパク質は、 化学的に合成した核酸およびタンパク質を 包含する。
本明細書において 「生物学的活性」 および 「生理活性」 は、 本明細書において 互換的に使用され、 ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、 生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性) を発揮する活性が包含される。 例えば、 2つの因子が相互作用する (例えば、 ィ ンスリンが肝臓などにおけるインスリンレセプ夕一に作用する) 場合、 その生物 学的活性は、 その二分子との間の結合およびそれによつて生じる生物学的変化、 例えば、 一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、 2分子は結合していると考えられる。 したがって、 そのような共沈を見ることが 一つの判断手法として挙げられる。 また、 神経突起の伸展を指標にしてある分子 と他の分子とが機能的に関連していると関連付けることができる。 具体的には、 インスリンの血糖低下作用を確認することなどを包含する。 例えば、 ある因子が 酵素である場合、 その生物学的活性は、 その酵素活性を包含する。 別の例では、 ある因子がリガンドである場合、 そのリガンドが対応するレセプタ一への結合を
包含する。 そのような生物学的活性は、 当該分野において周知の技術によって測 定することができる。
本明細書において 「生理活性物質」 は、 上述のような生物学的活性を有する任 意の物質をいう。 そのような物質としては、 例えば、 酵素、 抗体、 ワクチン、 血 清タンパク質、ホルモン、サイトカイン、増殖因子、細胞接着分子、 レセプ夕一、 シグナル伝達因子などが挙げられるがそれに限定されない。
本明細書において 「活性」 は、 結合 (直接的または間接的のいずれか) を示す かまたは明らかにするか;応答に影響する (すなわち、 いくちかの曝露または刺 激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、 本発明のポリぺプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、 または例えば、 いくつかの刺激後または事象後の上流または下流のタンパク質の 量あるいは他の類似の機能の尺度が、 挙げられる。 このような活性は、 競合阻害 のようなアツセィによって測定され得る。
本明細書中で使用される用語 「結合」 は、 2つのタンパク質もしくは化合物ま たは関連するタンパク質もしくは化合物の間、 あるいはそれらの組み合わせの間 での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合、 非イオン結合、 水素結合、 ファンデルワールス結合、 疎水性相互作用などが含ま れる。 物理的相互作用 (結合) は、 直接的または間接的であり得、 間接的なもの は、 別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。 直接的な結 合とは、 別のタンパク質またはィヒ合物の効果を介してもまたはそれらに起因して も起こらず、 他の実質的な化学中間体を伴わない、 相互作用をいう。
本明細書中で使用される用語 「調節する (m o d u 1 a t e ) 」 または 「改変 する (m o d i f y) 」 は、 特定の活性またはタンパク質の量、 質または効果に おける増加または減少を意味する。
本発明では、 野生型のペプチドをコードする核酸とストリンジェン卜な条件で ハイブリダィズする核酸によってコードされるペプチドも使用され得ることが理
解される。
本明細書において、 「ストリンジェン卜な条件でハイブリダィズする」 ポリヌ クレオチドとは、 当該分野で慣用される周知の条件をいう。 本発明のポリヌクレ ォチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、 コロニー 'ハイブ リダィゼーシヨン法、 プラーク 'ハイブリダィゼ一シヨン法あるいはサザンブロ ットハイプリダイゼ一ション法等を用いることにより、 そのようなポリヌクレオ チドを得ることができる。 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DN A を固定化したフィル夕一を用いて、 0. 7~1. OMのNa'C l存在下、 65°C でハイプリダイゼ一ションを行つた後、 0. 1〜 2倍濃度の S S C (s a l i n e— s od i um c i t r a t e) 溶液 ( 1倍濃度の S S C溶液の組成は、 1 5 OmM 塩化ナトリウム、 15mM クェン酸ナトリウムである) を用い、 6 5 °C条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意 味する。 ハイプリダイゼーションは、 Mo l e cu l a r C l on i ng 2 n d e d. , Cu r r en t P r o t o c o l s i n Mo 1 e c u 1 a r B i o l ogy, Supp l eme n t 1〜38、 DNA C l on i n g 1 : C o r e Te chn i que s, A P r a c t i c a l App r o a c h, S e c ond Ed i t i on, Ox f o r d Un i v e r s i t y P r e s s (1995) 等の実験書に記載されている方法に準じて行うこと ができる。ここで、ストリンジェン卜な条件下で八ィプリダイズする配列からは、 好ましくは、 A配列のみまたは T配列のみを含む配列が除外される。 「八イブリ ダイズ可能なポリヌクレオチド」 とは、 上記八イブリダィズ条件下で別のポリヌ クレオチドにハイプリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。 Λィブ リダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、 本発明で具体的に示される ァミノ酸配列を有するポリペプチドをコ一ドする D N Aの塩基配列と少なくとも 60 %以上の相同性を有するポリヌクレオチド、 好ましくは 80%以上の相同性 を有するポリヌクレオチド、 さらに好ましくは 95%以上の相同性を有するポリ
ヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において 「高度にストリンジェントな条件」 は、 核酸配列において高 度の相補性を有する D N A鎖のハイブリダイゼ一シヨンを可能にし、 そしてミス マッチを有意に有する DN Aのハイブリダィゼーシヨンを除外するように設計さ れた条件をいう。ハイブリダィゼ一ションのストリンジエンシーは、主に、温度、 イオン強度、 およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。 こ のようなハイブリダィゼーシヨンおよび洗浄に関する 「高度にストリンジェン卜 な条件」 の例は、 0. 0015M塩化ナトリウム、 0. 0015M クェン酸ナト リウム、 65〜68°C、 または 0. 015M塩化ナ卜リウム、 0. 0015M クェン酸ナトリウム、 および 50% ホルムアミド、 42°Cである。 このような高 度にストリンジェントな条件については、 S amb r ook e t a 1. , Mo 1 e c u 1 a r C 1 o n i n g : A Labo r a t o r y Manu a l、第 2 版、 Co l d Sp r i ng Ha r bo r Labo r a t o r y (Co 1 dSp r i ng Ha r bo r, N, Y. 1989) ;および A nd e r s on e t a l . 、 Nuc l e i c Ac i d Hyb r i d i z a t i on : a P r a c t i c a l app r o ac h> IV、 I R L P r e s s L imi t e d (Ox f o r d, Eng l and) . L imi t ed, Ox f o r d, Eng l andを 参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、 より低いイオン強度、 より高いホルムアミド、 または他の変性剤) を、 使用して もよい。 他の薬剤が、 非特異的なハイブリダィゼーシヨンおよび/またはバック グラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、 ハイブリダイゼーショ ン緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、 0. 1%ゥシ血清アルブミン、 0. 1 %ポリビニルピロリドン、 0. 1%ピロリン酸 ナトリゥム、 0. 1%ドデシル硫酸ナトリウム(N a D o d S〇4または S D S)、 F i c o l Denh a r d t溶液、 超音波処理されたサケ精子 DN A (また は別の非相補的 DNA) および硫酸デキストランであるが、 他の適切な薬剤もま
た、 使用され得る。 これらの添加物の濃度および型は、 ハイブリダィゼ一シヨン 条件のストリンジエンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。 ハイ ブリダィゼ一シヨン実験は、 通常、 pH6. 8〜7. 4で実施されるが;代表的 なイオン強度条件において、 ハイブリダィゼーシヨンの速度は、 ほとんど pH独 である。 And e r s on e t a l . 、 Nuc l e i cAc i d Hyb r i d i z a t i on : a P r a c t i c a l App r o a c h
、 第 4章、 I RL P r e s s L imi t ed (Ox f o r d, Eng l and) を参照のこと。
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、 塩基の組成、 長さおよび 塩基対不一致の程度が挙げられる。 ハイブリダィゼ一シヨン条件は、 当業者によ つて調整され得、 これらの変数を適用させ、 そして異なる配列関連性の DNAが ハイプリッドを形成するのを可能にする。 完全に一致した DN A二重鎖の融解温 度は、 以下の式によって概算され得る。
Tm (°C) =81. 5 + 16. 6 (l og [Na+] ) + 0. 41 (%G+C) - 600ZN—0. 72 (%ホルムアミド)
ここで、 Nは、 形成される二重鎖の長さであり、 [Na+] は、 ハイブリダィゼ ーション溶液または洗浄溶液中のナトリゥムイオンのモル濃度であり、 %G + C は、 ハイブリッド中の (グァニン +シトシン) 塩基のパーセンテージである。 不 完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、 各 1%不一致(ミスマッチ) に対して約 1°Cずつ減少する。
本明細書において 「中程度にストリンジェン卜な条件」 とは、 「高度にストリ ンジェントな条件」 下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有する DNA 二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にス卜リンジ: ϋン卜な条件」 の例は、 0. 015M塩化ナトリウム、 0. 0015Μ クェン酸ナトリウム、 5 0〜65°C、 または 0. 015M塩化ナトリウム、 0. 0015M クェン酸ナ トリウム、 および 20 %ホルムアミド、 37〜50°Cである。 例として、 0。 0
15 Mナトリウムイオン中、 50 の 「中程度にストリンジェントな」 条件は、 約 21 %の不一致を許容する。
本明細書において 「高度」 にストリンジェン卜な条件と 「中程度」 にストリン ジェン卜な条件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、 当業者 によって理解される。 例えぼ、 0. 015Mナトリウムイオン (ホルムアミドな し)において、完全に一致した長い DN Aの融解温度は、約 71°Cである。 65°C (同じイオン強度) での洗浄において、 これは、 約 6%不一致を許容にする。 よ り離れた関連する配列を捕獲するために、当業者は、単に温度を低下させ得るか、 またはイオン強度を上昇し得る。
約 20 n tまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、 1M NaC lにおけ る融解温度の適切な概算は、
Tm= (1つの A— T塩基につき 2°C) + (1っの0—(3塩基対にっき4°0 によって提供される。 なお、 6 Xクェン酸ナトリウム塩 (SSC) におけるナト リウムイオン濃度は、 1Mである (Sugg sら、 Deve l opmen t a l B i o l ogy Us i ng Pu r i f i e d Gene s、 683頁、 B r ow nおよび Fox (編) (1981) を参照のこと) 。
インスリンなどのタンパク質をコードする天然の核酸は、 例えば、 配列番号 1 などの核酸配列の一部またはその改変体を含む PC Rプライマーおよび Λイブリ ダイゼーションプローブを有する c DN Aライブラリーから容易に分離される。 好ましいインスリンなどをコードする核酸は、 本質的に 1 %ゥシ血清アルブミン (BSA) ; 50 OmM リン酸ナトリウム (NaP〇4) ; ImM EDTA;
42 °Cの温度で 7% SDS を含むハイブリダィゼ一シヨン緩衝液、 および 本質的に 2XSSC (600mM NaC l ; 60mM クェン酸ナトリウム) ;
50 °Cの 0. 1 % SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ス卜リンジェ ント条件下、 さらに好ましくは本質的に 50°Cの温度での 1 %ゥシ血清アルプミ ン (BSA) ; 50 OmM リン酸ナトリウム (N a P O 4) ; 15 %ホルムァ
ミド; ImM EDTA; 7% SDS を含むハイブリダィゼーシヨン緩衝 液、 および本質的に 50°Cの 1 XSSC (300 mM NaC 1 ; 3 OmM クェン酸ナトリウム) ; 1% SDSを含む洗挣緩衝液によって定義される低 ストリンジェント条件下、 最も好ましくは本質的に 5 CTCの温度での 1%ゥシ血 清アルブミン (BSA) ; 20 OmM リン酸ナトリウム (N a P〇4) ; 15 ホルムアミド; ImM EDTA; 7 %SDSを含むハイブリダィゼ一シヨン緩 衝液、 および本質的に 65 °Cの 0. 5XSSC (150mM Na C 1 ; 15m M クェン酸ナトリウム) ; 0. 1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義さ れる低ス卜リンジヱント条件下に配列番号 1などに示す配列の 1つまたはその一 部とハイブリダィズし得る。
'本明細書において、 「検索」 とは、 電子的にまたは生物学的あるいは他の方法 により、 ある核酸塩基配列を利用して、 特定の機能および/または性質を有する 他の核酸塩基配列を見出すことをいう。 電子的な検索としては、 BLAST (A 1 t s c hu 1 e t a l. , J. Mo l . B i o l . 215 : 403-41 0 (1990) )、 FASTA (P e a r s o n & L i pman, P r o c. Na t 1. Ac a d. S c i . , USA 85 : 2444-2448 (1988) )> Smi t h and Wa t e rman¾ (Smi t h and Wa t e rm an, J. Mo l . B i o l . 147 : 195- 197 (1981) ) 、 および Ne ed 1 eman and Wun s c h¾ (Ne e d l eman and Wun s c h, J. Mo 1. B i o l . 48 : 443-453 (1970) ) な どが挙げられるがそれらに限定されない。 生物学的な検索としては、 ストリンジ ェントハイブリダィゼーシヨン、 ゲノム DN Aをナイロンメンブレン等に貼り付 けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ (マイクロアレイ アツセィ) 、 PCRおよび i n s i t uハイブリダィゼーシヨンなどが挙げら れるがそれらに限定されない。 本明細書において、 本発明において使用されるィ ンスリンなどの生理活性物質には、 このような電子的検索、 生物学的検索によつ
て同定された対応遺伝子も含まれるべきであることが意図される。
インスリンなどの生理活性物質における、 特定の相互作用を担うドメインはま た、 当該分野において周知の X線結晶構造解析の手法 (例えば、 BW7 bビーム ライン (DESYZEMBL、 Hambu r g, Ge rmany) を用いた X線 解析、 Ma r Re s e a c hイメージングプレート検出器を用いたデータ測定、 DENZOおよび S CLAEPACKなどのプログラムを用いたデータ処理) 、 およびコンピュータモデリングの手法 (例えば、 CNSプログラム、 XPL〇2 Dプログラム、 プログラム 0、 PROCHECK, WHATCHECK, WHA T I Fなどを用いた精密化など) を用いて同定することができる。 したがって、 任意の生理活性物質は、 上述の方法を用いて同定された相互作用ドメインまたは それ以外の領域において改変を導入することによって本発明の目的の改変を導入 することができる。 そのような改変は、 好ましくは、 野生型におけるアミノ酸を 他のアミノ酸 (例えば、 グルタミンなど) に置換することを包含する。 例えば、 配列番号 2および 4に示されるヒト由来のィンスリンの場合、 B鎖の 1位フエ二 ルァラニンのグルタミンへの置換が挙げられる。 本発明のインスリンは、 プロテ ァーゼとの相互作用ドメインにあるアミノ酸残基を改変することによって、 酵素 活性が高まり、 副反応である加水分解活性が減少した。 特に、 酵素活性の上昇お よび加水分解活性の低下が同じドメィンの改変、 より好ましくは同じ残基の改変 (例えば、 アミノ酸置換) により達成されたことは、 従来の技術では予想不可能 であったことであり、 本発明はその意味でも顕著な効果を奏するといえる。
(遺伝子、 タンパク質分子、 核酸分子などの改変)
あるタンパク質分子 (例えば、 インスリンなど) において、 配列に含まれるあ るアミノ酸は、 相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、 例えば、 力 チオン性領域または基質分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のァ ミノ酸に置換され得る。 あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、 タンパ ク質の相互作用能力および性質である。 従って、 特定のアミノ酸の置換がァミノ
酸配列において、 またはその DNAコード配列のレベルにおいて行われ得、 置換 後もなお、 もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。 従って、 生物学的有用 性の明らかな損失なしに、 種々の改変が、 本明細書において開示されたペプチド またはこのペプチドをコードする対応する DN Aにおいて行われ得る。
上記のような改変を設計する際に、 アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。 夕 ンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の 重要性は、 一般に当該分野で認められている (Ky t e. Jおよび Do o l i t t i e, R. F. J . Mo 1. B i o l. 157 (1) : 105 - 132, 19 82) 。 アミノ酸の疎水的性質は、 生成したタンパク質の二次構造に寄与し、 次 いでそのタンパク質と他の分子 (例えば、 酵素、 基質、 レセプ夕一、 DNA、 抗 体、 抗原など) との相互作用を規定する。 各アミノ酸は、 それらの疎水性および 電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。 それらは:イソロイシン (+ 4. 5) ;パリン (+4. 2) ; ロイシン (+3. 8) ;フエ二ルァラニン (+
2. 8) ;システィン シスチン (+2. 5) ;メチォニン (+ 1. 9) ;ァラ ニン (+1. 8) ;グリシン (一0. 4) ;スレオニン (- 0. 7) ;セリン (―
0. 8) ; トリブトファン (—0. 9) ;チロシン (一 1. 3) ;プロリン (― 1. 6) ;ヒスチジン (一3. 2) ;グルタミン酸 (一3. 5) ;グルタミン (一
3, 5) ;ァスパラギン酸 (一3. 5) ;ァスパラギン (一3. 5) ;リジン (一 3. 9) ;およびアルギニン (—4. 5) ) である。
あるアミノ酸を、 同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、 そ して依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質 (例えば、 酵素活性にお いて等価なタンパク質) を生じさせ得ることが当該分野で周知である。 このよう なアミノ酸置換において、 疎水性指数が ±2以内であることが好ましく、 土 1以 内であることがより好ましく、 および ±0. 5以内であることがさらにより好ま しい。 疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野 において理解される。 米国特許第 4, 554, 101号に記載されるように、 以
下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3. 0) リジン (+3. 0) ;ァスパラギン酸 (+3. 0± 1) ;グルタミン酸 (+3, 0±1) ;セリン (+0. 3) ;ァスパラギン (+0. 2) ;グルタミン (+0
2) ;グリシン (0) スレオニン (一 0. 4) ;プロリン (一0. 5± 1) ; ァラニン (—0. 5) ヒスチジン (一0. 5) ;システィン (一1. 0) ;メ チォニン (一 1. 3) パリン (一 1. 5) ;ロイシン (一 1. 8) ;イソロイ シン (— 1. 8) ;チロシン (一 2. 3) ;フエ二ルァラニン (一2. 5) ;ぉ よびトリブトファン (一 3. 4) 。 アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然 として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。 こ のようなアミノ酸置換において、 親水性指数が ±2以内であることが好ましく、 ± 1以内であることがより好ましく、 および ±0. 5以内であることがさらによ り好ましい。
本明細書において、 「保存的置換」 とは、 アミノ酸置換において、 元のアミノ 酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または Zおよび疎水性指数が上記のよう に類似している置換をいう。 保存的置換の例としては、 例えば、 親水性指数また は疎水性指数が、. ±2以内のもの同士、 好ましくは ± 1以内のもの同士、 より好 ましくは ± 0. 5以内のもの同士のものが挙げられるがそれらに限定されない。 従って、 保存的置換の例は、 当業者に周知であり、 例えば、 次の各グループ内で の置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびァスパラギン酸;セリン およびスレオニン;グルタミンおよびァスパラギン;ならびにパリン、ロイシン、 およびィソロイシン、 などが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、 「改変体」 とは、 もとのポリペプチドまたはポリヌクレオ チドなどの物質に対して、 一部が変更されているものをいう。 そのような改変体 としては、 置換改変体、 付加改変体、 欠失改変体、 短縮 (t runc a t e d) 改変体、 対立遺伝子変異体などが挙げられる。 そのような改変体としては、 基準 となる核酸分子またはポリペプチドに対して、 1または数個の置換、 付加および
/または欠失、 あるいは 1つ以上の置換、 付加および/または欠失を含むものが 挙げられるがそれらに限定されない。 対立遺伝子 (a l l e l e) とは、 同一遺 伝子座に属し、 互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。 従って、 「対立遺 伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。 そのような対立遺伝子変異体は、 通常その対応する対立遺伝子と同一または非常 に類似性の高い配列を有し、 通常はほぼ同一の生物学的活性を有するが、 まれに 異なる生物学的活性を有することもある。 「種相同体またはホモログ (homo l og) 」 とは、 ある種の中で、 ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチ ドレベルで、相同性(好ましくは、 60%以上の相同性、より好ましくは、 80% 以上、 85%以上、 90%以上、 95%以上の相同性) を有するものをいう。 そ のような種相同体を取得する方法は、 本明細書の記載から明らかである。 「オル ソログ (o r t h 010 g) 」 とは、 オルソロガス遺伝子 (o r t h o 1 o g o u s gene) ともいい、 二つの遺伝子がある共通袓先からの種分化に由来す る遺伝子をいう。 例えば、 多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリー を例にとると、ヒトおよびマウスの αヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが, ヒトのひへモグロビン遺伝子および j8へモグロビン遺伝子はパラログ (遺伝子重 複で生じた遺伝子) である。 オルソログは、 分子系統樹の推定に有用である。 ォ ルソログは、 通常別の種において、 もとの種と同様の機能を果たしていることが あり得ることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。 本明細書において 「保存的 (に改変された) 改変体」 は、 アミノ酸配列および 核酸配列の両方に適用される。 特定の核酸配列に関して、 保存的に改変された改 変体とは、 同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、 核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、 本質的に同一な配列をいう。 遺伝 コードの縮重のため、 多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコ —ドする。 例えば、 コドン GCA、 GCC、 GCG、 および GCUはすべて、 ァ ミノ酸ァラニンをコードする。 したがって、 ァラニンがコドンにより特定される
全ての位置で、 そのコドンは、 コードされたポリペプチドを変更することなく、 記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。 このような核酸の変動 は、 保存的に改変された変異の 1つの種である 「サイレント改変 (変異) 」 であ る。 ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、 その核酸 の可能なすべてのサイレント変異を記載する。 当該分野において、 核酸中の各コ ドン (通常メチォニンのための唯一のコドンである AUG、 および通常トリブト ファンのための唯一のコドンである TGGを除く) が、 機能的に同一な分子を産 生するために改変され得ることが理解される。 したがって、 ポリペプチドをコー ドする核酸の各サイレント変異は、 記載された各配列において暗黙に含まれる。 好ましくは、 そのような改変は、 ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与える アミノ酸であるシスティンの置換を回避するようになされ得る。 このような塩基 配列の改変法としては、 制限酵素などによる切断、 DNAポリメラーゼ、 Kl e nowフラグメント、 DNAリガ一ゼなどによる処理等による連結等の処理、 合 成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法 (特定部位指向突然変 異法; Ma r k Z o 1 1 e r and M i c h a e l Smi t h, Me t hod s i n Enz ymo l ogy, 100, 468-500 (1983) ) が挙げられるが、 この他にも通常分子生物学の分野で用いられる方法によって改 変を行うこともできる。
本明細書中において、 機能的に等価なポリペプチドを作製するために、 ァミノ 酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。 アミノ酸の置換とは、 もとのペプチドを 1つ以上、 例えば、 1~10個、 好まし くは 1〜5個、 より好ましくは 1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。 アミ ノ酸の付加とは、 もとのペプチド鎖に 1つ以上、 例えば、 1〜; 10個、 好ましく は 1〜5個、 より好ましくは 1~3個のアミノ酸を付加することをいう。 ァミノ 酸の欠失とは、 もとのペプチドから 1つ以上、 例えば、 1〜10個、 好ましくは 1〜5個、 より好ましくは 1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。 ァミノ
酸修飾は、 アミド化、 カルボキシル化、硫酸化、 Λロゲン化、 短縮化、 脂質化(1 i p i d a t i o n ) 、 ホスホリル化、 アルキル化、 グリコシル化、 リン酸化、 水酸化、ァシル化(例えば、ァセチル化)などを含むが、 これらに限定されない。 置換、 または付加されるアミノ酸は、 天然のアミノ酸であってもよく、 非天然の アミノ酸、 またはアミノ酸アナログでもよい。 天然のアミノ酸が好ましい。 本明細書において使用される用語 「ペプチドアナログ」 または 「ペプチド誘導 体」 とは、 ペプチドとは異なる化合物であるが、 ペプチドと少なくとも 1つの化 学的機能または生物学的機能が等価であるものをいう。 したがって、 ペプチドァ ナログには、 もとのペプチドに対して、 1つ以上のアミノ酸アナログまたはアミ ノ酸誘導体が付加または置換されているものが含まれる。 ペプチドアナログは、 その機能が、 もとのペプチドの機能 (例えば、 p K a値が類似していること、 官 能基が類似していること、 他の分子との結合様式が類似していること、 水溶性が 類似していることなど) と実質的に同様であるように、 このような付加または置 換がされている。 そのようなペプチドアナログは、 当該分野において周知の技術 を用いて作製することができる。 したがって、 ペプチドアナログは、 アミノ酸ァ ナログを含むポリマーであり得る。
同様に、 「ポリヌクレオチドアナログ」 、 「核酸アナログ」 は、 ポリヌクレオ チドまたは核酸とは異なる化合物であるが、 ポリヌクレオチドまたは核酸と少な くとも 1つの化学的機能または生物学的機能が等価であるものをいう。 したがつ て、 ポリヌクレオチドアナログまたは核酸アナログには、 もとのペプチドに対し て、 1つ以上のヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド誘導体が付加または置 換されているものが含まれる。
本明細書において使用される核酸分子は、 発現されるポリペプチドが天然型の ポリぺプチドと実質的に同一の活性を有する限り、 上述のようにその核酸の配列 の一部が欠失または他の塩基により置換されていてもよく、 あるいは他の核酸配 列が一部挿入されていてもよい。 あるいは、 5 ' 末端および Zまたは 3 ' 末端に
他の核酸が結合していてもよい。 また、 ポリペプチドをコードする遺伝子をスト リンジェントな条件下でハイプリダイズし、 そのポリぺプチドと実質的に同一の 機能を有するポリペプチドをコードする核酸分子でもよい。このような遺伝子は、 当該分野において公知であり、 本発明において利用することができる。
このような核酸は、 周知の PCR法により得ることができ、 化学的に合成する こともできる。 これらの方法に、 例えば、 部位特異的変位誘発法、 八イブリダィ ゼーション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、 ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの 「置換、 付加また は欠失」 とは、 もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、 それぞれ アミノ酸もしくはその代替物、 またはヌクレオチドもしくはその代替物が、 置き 換わること、 付け加わることまたは取り除かれることをいう。 このような置換、 付加または欠失の技術は、 当該分野において周知であり、 そのような技術の例と しては、 部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。 置換、 付加または欠失は、 1つ以上であれば任意の数でよく、 そのような数は、 その置換、 付加または欠失 を有する改変体において目的とする機能 (例えば、 ホルモン、 サイト力インの情 報伝達機能など) が保持される限り、 多くすることができる。 例えば、 そのよう な数は、 1または数個であり得、 そして好ましくは、 全体の長さの 20%以内、 10%以内、 または 100個以下、 50個以下、 25個以下などであり得る。
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、 生化学的手法、 微生物学的手 法は、 当該分野において周知であり慣用されるものであり、 例えば、 S amb r o ok J . e t a 1. (1989) . Mo l e c u l a r C l on i ng : A Labo r a t o ry Manua l, Co l d Sp r i ng H a r b o rおよびその 3 r d Ed. (2001) ; Au s u b e 1 , F. M. (1 987). Cu r r en t P r o t o c o l s i n Mo l e cu l a r B i o l ogy, Gr e ene Pub. As s o c i a t e s and W i 1
ey- I n t e r s c i enc e ; Au s ub e l, F. M. (1989) . S h o r t P r o t o c o l s i n Mo l e cu l a r B i o l o gy : A C omp e n d i um o f Me t hod s f r om C u r r e n t P r o t oc o l s i n Mo l e cu l a r B i o l ogy, Gr e e n e Pub. As s o c i a t E S and Wi l ey— I n t e r s c i enc e ; S amb r ook, J. e t a 1 - (1989) . Mo l e c u 1 a r C l on i ng : A Labo r a t o ry Manua l, Co I d Sp r i ng H a r b o rおよびその 3 r d Ed. (2001) ; I n n i s, M. A. (1990) . PCR P r o t o c o l s : A Gu i d e t o Me t hod s and App l i c a t i on s, Ac ad e mi c P r e s s ; Au s ube l, F. M. (1992) . Sho r t
P r o t oc o l s i n Mo l e c u l a r B i o l o y : A C omp end i um o f Me t hod s f r om Cu r r en t P r o t o c o l s i n Mo l e c u l a r B i o l ogy, Gr e e ne Pub. As s o c i a t e s ; Au s ube l, F. M. ( 1995) . S h o r t P r o t oc o l s i n Mo l e cu l a r B i o l ogy : A Comp e nd i um o f Me t hod s f r om Cu r r e n t P r o t oc o l s i n Mo l e cu l a r B i o l ogy, G r e e n e Pub. As s o c i a t e s ; I nn i s, M. A. e t a l . (1 995) . PCR S t r a t e g i e s, Ac ad emi c P r e s s ; A u s u b e 1 , F. M. (1999) . Sho r t P r o t o c o l s i n
Mo l e cu l a r B i o l o gy : A Comp e nd i um o f Me t hod s f r om Cu r r en t P r o t o c o l s i n Mo 1 e c u 1 a r B i o l ogy, Wi l ey, and annua 1 u p d a t e s ; Sn i n s ky, J. J. e t a 1. (1999) . PCR Ap p l i c a t i on s : P r o t o c o l s f o r Func t i ona l
Genomi c s, Ac ad emi c P r e s s, 別冊実験医学 「遺伝子導 入&発現解析実験法」 羊土社、 1997などに記載されており、 これらは本明細 書において関連する部分 (全部であり得る) が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するための DN A合成技術および核酸化学につ いては、 例えば、 Ga i t, M. J. (1985) . 01 i gonuc l e o t i d e Syn t he s i s : A P r a c t i c a l App r o ac h, I RLP r e s s ; Ga i t, M. J. (1990) . O l i gonuc l e o t i d e Syn t he s i s : A P r a c t i c a l A'p p r o a c h, I RL P r e s s ; Ec k s t e i n, F. (1991) . O gonuc l e o t i d e s and An a l ogue s : A P r a c t i c a l A p p r o a c , I R L P r e s s ;Ad ams, R. L. e t a l . (1992) . The B i oc hemi s t r y o f t he Nuc l e i c Ac i d s, Chapman&Ha l l ; Sh ab a r ova, Z. e t a 1. (19 94) - Advanc e d Or g an i c Chemi s t r y o f Nu c 1 e i c Ac i d s, We i nhe im ; B l a c k bu r n, G. M. e t a 1. (1996) . Nuc l e i c Ac i d s i n Chemi s t r y and B i o l ogy, Ox f o r d Un i ve r s i t y P r e s s ; He rman s on, G. T. (1996) . B i o c on j uga t e Te c hn i que s, Ac ad emi c P r e s sなどに記載されており、 これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
(遺伝子工学)
本発明において用いられるインスリンなどならびにそのフラグメントおよび改 変体は、 遺伝子工学技術を用いて生産することができる。
本明細書において遺伝子について言及する場合、 「ベクター」 または 「組み換 えべクタ一」 とは、 目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させるこ とができるベクタ一をいう。 そのようなベクターとしては、 原核細胞、 酵母、 動
物細胞、 植物細胞、 昆虫細胞、 動物個体および植物個体などの宿主細胞において 自立複製が可能、 または染色体中への組込みが可能で、 本発明のポリヌクレオチ ドの転写に適した位置にプロモータ一を含有しているものが例示される。 ベクタ
—のうち、 クローニングに適したベクタ一を 「クローニングベクタ一」 という。 そのようなクロ一ニングベクタ一は通常、 制限酵素部位を複数含むマルチプルク ローニング部位を含む。 そのような制限酵素部位およびマルチプルクローニング 部位は、 当該分野において周知であり、 当業者は、 目的に合わせて適宜選択して 使用することができる。そのような技術は、本明細書に記載される文献(例えば、 S a m b r o o kら、 前出) に記載されている。 好ましいベクタ一としては、 プ ラスミド、 ファージ、 コスミド、 ェピソーム、 ウィルス粒子またはウィルスおよ び組み込み可能な D NAフラグメント (すなわち、 相同組換えによって宿主ゲノ ム中に組み込み可能なフラグメント) が挙げられるが、 これらに限定されない。 好ましいウィルス粒子としては、 アデノウイルス、 バキュロウィルス、 パルボウ ィルス、 ヘルぺスウィルス、 ボックスウィルス、 アデノ随伴ウィルス、 セムリキ 森林ウィルス、 ワクシニアウィルスおよびレトロウイルスが挙げられるが、 これ らに限定されない。
ベクタ一の 1つの型は、 「プラスミド」 であり、 これは、 さらなる D NAセグ メントが連結され得る環状二重鎖 D N Aループをいう。 別の型のベクタ一は、 ゥ ィルスベクターであり、 ここで、 さらなる D NAセグメントは、 ウィルスゲノム 中に連結され得る。 特定のベクター (例えば、 細菌の複製起点を有する細菌べク ターおよびェピソ一ム哺乳動物ベクター) は、 これらが導入される宿主細胞中で 自律的に複製し得る。 他のベクター (例えば、 非ェピソーム哺乳動物ベクター) は、 宿主細胞中への導入の際に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、 それにより、 宿主ゲノムと共に複製される。 さらに、 特定のベクターは、 これらが作動可能に 連結される遺伝子の発現を指向し得る。 このようなベクタ一は、 本明細書中で、 「発現べクタ一」 といわれる。
従って、 本明細書において 「発現べクタ一」 とは、 構造遺伝子およびその発現 を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し 得る状態で連結されている核酸配列をいう。 調節エレメントは、 好ましくは、 夕 —ミネ一夕一、 薬剤耐性遺伝子のような選択マーカーおよび、 ェンハンサーを含 み得る。 生物 (例えば、 動物) の発現ベクターのタイプおよび使用される調節ェ レメントの種類が、 宿主細胞に応じて変わり得ることは、 当業者に周^]の事項で ある。
本発明において用いられ得る原核細胞に対する「組み換えベクター」としては、 p c DNA3 (十)、 pB l ue s c r i p t -SK (+/-)、 p GEM— T、 pEF— B〇S、 pEGFP、 pHAT、 pUC 18、 pFT— DEST™42 GATEWAY (I nv i t r ogen) などが例示される。
本発明において用いられ得る動物細胞に対する「組み換えべクタ一」としては、 p cDNA I/Amp、 p cDNA I、 pCDM8 (いずれもフナコシより市販)、 PAGE 107 [特開平 3— 229 (I nv i t r oge n) , p AGE 103 [J. B i o c hem. , 101, 1307 (1987) ] 、 pAMo、 p AM oA[J. B i o l . Chem. , 268, 22782— 22787 (1993)]、 マウス幹細胞ウィルス (Mu r i n e S t em Ce l l V i r u s) (M SCV) に基づいたレトロウイルス型発現ベクター、 pEF— BOS、 pEGF Pなどが例示される。
本明細書において 「夕一ミネ一夕一」 は、 遺伝子のタンパク質をコードする領 域の下流に位置し、 DN Aが mRN Aに転写される際の転写の終結、 ポリ A配列 の付加に関与する配列である。 ターミネータ一は、 mRN Aの安定性に関与して 遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。
本明細書において 「プロモーター」 とは、 遺伝子の転写の開始部位を決定し、 またその頻度を直接的に調節する DNA上の領域をいい、 通常 RNAポリメラー ゼが結合して転写を始める塩基配列である。 したがって、 本明細書においてある
遺伝子のプロモーターの働きを有する部分を 「プロモーター部分」 という。 プロ モーターの領域は、 通常、 推定タンパク質コード領域の第 1ェキソンの上流約 2 k b p以内の領域であることが多いので、 DN A解析用ソフトウェアを用いてゲ ノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、 プロモータ領域を推定す ることはできる。 推定プロモーター領域は、 構造遺伝子ごとに変動するが、 通常 構造遺伝子の上流にあるが、 これらに限定されず、 構造遺伝子の下流にもあり得 る。 好ましくは、 推定プロモーター領域は、 第一ェキソン翻訳開始点から上流約 2 k bp以内に存在する。
本明細書において 「複製起点」 とは、 DN A複製が開始する染色体上の特定領 域をいう。 複製起点は、 内因性起点を含むようにそのべクタ一を構築することに よって提供され得るか、 または宿主細胞の染色体複製機構により提供され得るか のいずれかであり得る。そのベクターが、宿主細胞染色体中に組み込まれる場合、 後者が十分であり得る。 あるいは、 ウィルス複製起点を含むベクタ一を使用する よりも、 当業者は、 選択マ一カーと本発明の DNAとを同時形質転換する方法に よって、 哺乳動物細胞を形質転換し得る。 適切な選択マーカ一の例は、 ジヒドロ 葉酸還元酵素 (DHFR) またはチミジンキナーゼである (米国特許第 4, 39 9, 216号を参照) 。
例えば、 組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現することによって、 組換え哺乳動物発現ベクターでは、 特定の細胞型において核酸の発現を優先的に 指向し得る。 組織特異的調節エレメントは、 当該分野で公知である。 適切な組織 特異的プロモーターの非限定的な例としては、 発生的に調節されたプロモーター (例えば、 マウス h 0 Xプロモ一夕一 (K e s s e 1および G r u s s (199 0) S c i enc e 249, 374— 379) およびひ一フエトプロテインプ 口モー夕— (c amp e sおよび T i l ghman (1989) Ge ne s D ev. 3, 537— 546) ) 、 アルブミンプロモ一夕一 (肝臓特異的; P i n k e r tら (1987) Ge ne s Dev. 1, 268— 277) 、 リンパ特
異的プロモーター (Ca 1 am eおよび E a t on (1988) Adv. I mm uno l。 43, 235 - 275) 、 特に T細胞レセプ夕一 (W i n o t oおよ び Ba l t imo r e (1989) EMBO J. 8, 729 - 733) および 免疫グロブリン (Bane r j iら (1983) C e 1 1 33, 729 - 74 0 ; Qu e e nおよび B a 1 t imo r e (1983) Ce l l 33, 741 - 748) のプロモーター、 ニュ一ロン特異的プロモー夕一 (例えば、 神経線維 プロモーター; By r n eおよび Rud d l e (1989) P r o c. Na t l . Ac ad. S c i . USA 86, 5473— 5477) 、 滕臓特異的プロモ一 夕一(Ed l undら (1985) S c i enc e 230, 912— 916)、 および乳腺特異的プロモーター (例えば、 乳清プロモ一夕一;米国特許第 4, 8 73, 316号および欧州出願公開番号 264, 166) が挙げられるがそれら に限定されない。
本明細書において 「ェンハンサー」 とは、 目的遺伝子の発現効率を高めるため に用いられる配列をいう。 そのようなェンハンサ一は当該分野において周知であ る。 ェンハンサ一は複数個用いられ得るが 1個用いられてもよいし、 用いなくと もよい。
本明細書において「作動可能に連結された(る)」 とは、所望の配列の発現(作 動) がある転写翻訳調節配列 (例えば、 プロモーター、 ェンハンサーなど) また は翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。 プロモーターが遺伝子に作動 可能に連結されるためには、 通常、 その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置 されるが、 必ずしも隣接して配置される必要はない。
本明細書において、 核酸分子を細胞に導入する技術は、 どのような技術でもよ く、 例えば、 形質転換、 形質導入、 卜ランスフエクシヨンなどが挙げられる。 そ のような核酸分子の導入技術は、 当該分野において周知であり、 かつ、 慣用され るものであり、 例えば、 Au s u b e 1 F. A. ら編 (1988) 、 Cu r r e n t P r o t o c o l s i n Mo l e c u l a r B i o l ogy、 W
i 1 e y, New Yo r k, NY ; S amb r ook Jら ( 1987) Mo 1 e c u 1 a r C 1 o n i n g : A Labo r a t o ry Manua l, 2nd Ed. およびその第三版, Co l d Sp r i ng Ha r bo r L abo r a t o ry P r e s s, Co l d Sp r i ng Ha r bo r, N Y、 別冊実験医学 「遺伝子導入 &発現解析実験法」 羊土社、 1997などに記載 される。 遺伝子の導入は、 ノーザンプロット、 ウェスタンプロット分析のような 本明細書に記載される方法または他の周知慣用技術を用いて確認することができ る。 ·
また、 ベクタ一の導入方法としては、 細胞に DNAを導入する上述のような方 法であればいずれも用いることができ、 例えば、 トランスフエクシヨン、 形質導 入、 形質転換など (例えば、 リン酸カルシウム法、 リボソーム法、 DEAEデキ ストラン法、 エレクト口ポレーシヨン法、 パーティクルガン (遺伝子銃) を用い る方法など) が挙げられる。
本明細書において 「形質転換体」 とは、 形質転換によって作製された細胞など の生命体の全部または一部をいう。 形質転換体としては、 原核細胞、 酵母、 動物 細胞、 植物細胞、 昆虫細胞などが例示される。 形質転換体は、 その対象に依存し て、 形質転換細胞、 形質転換組織、 形質転換宿主などともいわれる。 本発明にお いて用いられる細胞は、 形質転換体であってもよい。
本発明において遺伝子操作などにおいて原核生物細胞が使用される場合、 原核 生物細胞としては、 E s c he r i c h i a属、 S e r r a t i a属、 B a c i l l u s属、 B r ev i b a c t e r i u m属、 Co r yne b ac t e r i u m属、 Mi c r ob a c t e r i um属、 P s eudomon a s属などに属す る原核生物細胞、 例えば、 E s c he r i c h i a c o l i XL 1 -B 1 u e、 Es c he r i c h i a c o l i XL2-B l ue, E s c he r i c i a c o l i DH1が例示される。
本明細書において使用される塲合、 動物細胞としては、 マウス 'ミエローマ細
胞、 ラット ·ミエローマ細胞、 マウス ·八イブリドーマ細胞、 チャイニーズ ·ハ ムスターの細胞である CHO細胞、 BHK細胞、 アフリカミドリザル腎臓細胞、 ヒト白血病細胞、 HBT 5637 (特開昭 63 - 299) 、 ヒト結腸癌細胞株な どを挙げることができる。 マウス ·ミエローマ細胞としては、 p s 20、 NSO など、 ラット 'ミエローマ細胞としては YB 2/0など、 ヒト胎児腎臓細胞とし ては HEK293 (ATCC: CRL— 1573) など、 ヒト白血病細胞として は BALL— 1など、 アフリカミドリザル腎臓細胞としては COS— 1、 COS —7、 ヒト結腸癌細胞株としては HCT— 15、 ヒト神経芽細胞腫 SK— N— S H、 SK— N— SH— 5Y、 マウス神経芽細胞腫 Ne u r ο 2 Αなどが例示され る。
本明細書において使用される場合、 組換えベクターの導入方法としては、 DN Aを導入する方法であればいずれも用いることができ、 例えば、 塩化カルシウム 法、 エレクトロポレーシヨン法 [Me t hod s. Enz ymo l. , 194, 182 (1990) ] 、 リポフエクション法、 スフエロプラスト法 [P r o c. Na t l. Ac ad. S c i . USA, 84, 1929 (1978) ] 、 酢酸リ チウム法 [J. Ba c t e r i o l . , 153, 163 (1983) ] 、 P r o c. Na t l. Ac ad. S c i . USA, 75, 1929 (1978) 記載の 方法などが例示される。
本明細書において、レトロウイルスの感染方法は、例えば、 Cu r r en t P r o t o c o l s i n Mo l e c u l a r B i o l ogy 前出 (特に U n i t s 9. 9-9. 14) などに記載されるように、 当該分野において周知 であり、 例えば、 トリプシナイズして胚性幹細胞を単一細胞懸濁物 (s i ng 1 e— c e l l s u s p en s i on) にした後、 ウィルス産生細胞 (v i r u s -p r oduc i ng e e l I s) 、パッケージング細胞株 = a c k a g i ng c e l l 1 i n e s ) の培養上清と一緒に;!〜 2時間共培養 (c o— c u 1 t u r e) することにより、 十分量の感染細胞を得ることができる。
本明細書において使用されるゲノムまたは遺伝子座などを除去する方法におい て用いられる、 C r e酵素の一過的発現、染色体上での DNAマッピングなどは、 細胞工学別冊実験プロ卜コールシリーズ 「F I SH実験プロトコ一ル ヒ卜 ·ゲ ノム解析から染色体 ·遺伝子診断まで」 松原謙一、 吉川 寛 監修 秀潤社 (東 京) などに記載されるよう fc、 当該分野において周知である。
本明細書において遺伝子発現 (たとえば、 mRNA発現、 ポリペプチド発現) の 「検出」 または 「定量」 は、 例えば、 mRN Aの測定および免疫学的測定方法 を含む適切な方法を用いて達成され得る。 分子生物学的測定方法としては、 例え ば、 ノーザンプロット法、 ドットプロット法または PCR法などが例示される。 免疫学的測定方法としては、 例えば、 方法としては、 マイクロタイタープレート を用いる EL I S A法、 R IA法、 蛍光抗体法、 ウエスタンプロット法、 免疫組 織染色法などが例示される。 また、 定量方法としては、 EL I SA法または R I A法などが例示される。 アレイ (例えば、 DNAアレイ、 プロテインアレイ) を 用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。 DNAアレイについては、 (秀潤 社編、 細胞工学別冊 「DNAマイクロアレイと最新 PCR法」 ) に広く概説され ている。プロテインアレイについては、 Na t Gene t. 2002 De c ; 32 Supp l : 526-32に詳述されている。 遺伝子発現の分析法として は、 上述に加えて、 RT_PCR、 RACE法、 SSCP法、 免疫沈降法、 tw o-hy r i dシステム、 インビト口翻訳などが挙げられるがそれらに限定さ れない。 そのようなさらなる分析方法は、 例えば、 ゲノム解析実験法 · 中村 祐輔ラボ ·マニュアル、 編集 ·中村祐輔 羊土社 (2002) などに記載されて おり、 本明細書においてそれらの記載はすべて参考として援用される。
本明細書において 「発現量」 とは、 対象となる細胞などにおいて、 ポリべプチ ドまたは mRNAが発現される量をいう。 そのような発現量としては、 本発明の 抗体を用いて EL I S A法、 R I A法、 蛍光抗体法、 ウエスタンブロッ卜法、 免 疫組織染色法などの免疫学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される
本発明ポリぺプチドの夕ンパク質レベルでの発現量、またはノーザンプロット法、 ドットブロット法、 P CR法などの分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方 法により評価される本発明のポリぺプチドの mR N Aレベルでの発現量が挙げら れる。 「発現量の変化」 とは、 上記免疫学的測定方法または分子生物学的測定方 法を含む任意の適切な方法により評価される本発明のポリペプチドのタンパク質 レベルまたは m R N Aレベルでの発現量が増加あるいは減少することを意味する。 本明細書において 「上流」 という用語は、 特定の基準点からポリヌクレオチド の 5' 末端に向かう位置を示す。
本明細書において 「下流」 という用語は、 特定の基準点からポリヌクレオチド の 3' 末端に向かう位置を示す。
本明細書において 「塩基対の」 および 「Watson & Crick塩基対の」 という表現 は、本明細書では同義に用いられ、二重らせん状の DNAにおいて見られるものと同 様に、 アデニン残基が 2つの水素結合によってチミン残基またはゥラシル残基と 結合し、 3つの水素結合によってシトシン残基とグァニン残基とが結合するという 配列の正体に基づいて互いに水素結合可能なヌクレオチドを示す(S t r y e r, L., B i oc hemi s t ry, 4 t h e d i t i on, 1995を参照)。 本明細書において 「相補的」 または 「相補体」 という用語は、 本明細書では、 相補領域全体がそのまま別の特定のポリヌクレオチドと Wa t s on & Cr i c k塩基対を形成することのできるポリヌクレオチドの配列を示す。 本発明の 目的で、 第 1のポリヌクレオチドの各塩基がその相補塩基と対になっている場合 に、 この第 1のポリヌクレオチドは第 2のポリヌクレオチドと相補であるとみな す。 相補塩基は一般に、 Aと T (あるいは Aと U) 、 または Cと Gである。 本願 明細書では、 「相補」 という語を 「相補ポリヌクレオチド」 、 「相補核酸」 およ び 「相補ヌクレオチド配列」 の同義語として使用する。 これらの用語は、 その配 列のみに基づいてポリヌクレオチドの対に適用されるものであり、 2つのポリヌ クレオチドが事実上結合状態にある特定のセッ卜に適用されるものではない。
(ポリペプチドの製造方法)
本発明のポリペプチド (例えば、 インスリンまたはその改変体もしくはフラグ メントなど) をコードする D NAを組み込んだ組換え体ベクターを保有する微生 物、 動物細胞などに由来する形質転換体を、 通常の培養方法に従って培養し、 本 発明のポリペプチドを生成 ¾積させ、 本発明の培養物より本発明のポリペプチド を採取することにより、 本発明に係るポリぺプチドを製造することができる。 本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、 宿主の培養に用いられる通常の 方法に従って行うことができる。 大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核生物 を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 本発明の生物が資化 し得る炭素源、 窒素源、 無機塩類等を含有し、 形質転換体の培養を効率的に行え る培地であれば天然培地、 合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、 それぞれの微生物が資化し得るものであればよく、 ダルコ一 ス、 フラクト一ス、 スクロース、 これらを含有する糖蜜、 デンプンあるいはデン プン加水分解物等の炭水化物、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸、 エタノール、 プ ロパノール等のアルコール類を用いることができる。
窒素源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモニゥム、 酢酸ァ ンモニゥム、リン酸アンモニゥム等の各種無機酸または有機酸のアンモニゥム塩、 その他含窒素物質、 ならびに、 ペプトン、 肉エキス、 酵母エキス、 コーンスチー プリカ一、 カゼイン加水分解物、 大豆粕および大豆粕加水分解物、 各種発酵菌体 およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、 リン酸第一カリウム、 リン酸第二カリウム、 リン酸マグネシ ゥム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、 炭酸カルシウム等を用いることができる。 培養は、 振盪培養または深部通気攪拌 培養等の好気的条件下で行う。
培養温度は 1 5〜4 0 °Cがよく、 培養時間は、 通常 5時間〜 7日間である。 培 養中 p Hは、 3 . 0〜9 . 0に保持する。 p Hの調整は、無機あるいは有機の酸、
アルカリ溶液、 尿素、 炭酸カルシウム、 アンモニア等を用いて行う。 また培養中 必要に応じて、 アンピシリンまたはテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加 してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換し た微生物を培養するときにほ、 必要に応じてインデューサーを培地に添加しても よい。 例えば、 1 a cプロモータ一を用いた発現ベクターで形質転換した微生物 を培養するときにはイソプロピル—) 8—D—チォガラクトビラノシド等を、 t r pプロモータ一を用いた発現べクタ一で形質転換した微生物を培養するときには ィンドールァクリル酸等を培地に添加してもよい。 遺伝子を導入した細胞または 器官は、 ジャーフアーメン夕一を用いて大量培養することができる。
例えば、 動物細胞を用いる場合、 本発明の細胞を培養する培地は、 一般に使用 されている RPM I 1640培地 (Th e J ou r n a l o f t he A me r i c a n Me d i c a l As s o c i a t i on, 199, 519 (1 967) ) 、 E a g 1 eの MEM培地 (S c i enc e, 122, 501 (19 52) ) 、 DMEM培地 (V i r o l ogy, 8, 396 (1959) ) 、 19 9培地 (P r oc e e d i ng s o f t he So c i e t y f o r t he B i o l og i c a l Me d i c i ne, 73, 1 (1950) ) また はこれら培地にゥシ胎児血清等を添加した培地等が用いられる。
培養は、 通常 PH6〜8、 25~40°C、 5 % C 02存在下等の条件下で 1〜 7 日間行う。 また培養中必要に応じて、 カナマイシン、 ペニシリン、 ストレブトマ イシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列で形質転換された形質転換体の培 養物から、 本発明のポリペプチドを単離または精製するためには、 当該分野で周 知慣用の通常の酵素の単離または精製法を用いることができる。 例えば、 本発明 のポリペプチドが本発明のポリペプチド製造用形質転換体の細胞外に本発明のポ リぺプチドが分泌される場合には、その培養物を遠心分離等の手法により処理し、
可溶性画分を取得する。 その可溶性画分から、 溶媒抽出法、 硫安等による塩析法 脱塩法、 有機溶媒による沈澱法、 ジェチルアミノエチル (DEAE) — S e ph a r o s e, D I A I ON HPA-75 (三菱化学) 等樹脂を用いた陰イオン 交換クロマトグラフィー法、 S-S e pha r o s e F F (Pha rma c i a)等の樹脂を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、プチルセファロース、 フエ二ルセファロース等の樹脂を用いた疎水性ク口マトグラフィ一法、 分子篩を 用いたゲルろ過法、 ァフィ二ティ一クロマトグラフィー法、 クロマトフォーカシ ング法、 等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を用い、 精製標品を得ることが できる。
本発明のポリペプチド (例えば、 インスリンなど) が本発明のポリペプチド製 造用形質転換体の細胞内に溶解状態で蓄積する場合には、 培養物を遠心分離する ことにより、 培養物中の細胞を集め、 その細胞を洗浄した後に、 超音波破碎機、 フレンチプレス、 マントンガウリンホモジナイザー、 ダイノミル等により細胞を 破碎し、 無細胞抽出液を得る。 その無細胞抽出液を遠心分離することにより得ら れた上清から、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱塩法、有機溶媒による沈澱法、 ジェチルアミノエチル (DEAE) -S e ph a r o s e, D IAION HP A— 75 (三菱化学) 等樹脂を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、 S— S e pha r o s e FF (Pha rma c i a) 等の樹脂を用いた陽イオン交 換クロマトグラフィー法、 プチルセファロース、 フエ二ルセファロース等の樹脂 を用いた疎水性クロマトグラフィー法、 分子篩を用いたゲルろ過法、 ァフィニテ ィ一クロマトグラフィー法、 クロマトフォーカシング法、 等電点電気泳動等の電 気泳動法等の手法を用いることによって、 精製標品を得ることができる。
本発明のポリペプチドが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、 同様に細 胞を回収後破砕し、 遠心分離を行うことにより得られた沈澱画分より、 通常の方 法により本発明のポリペプチドを回収後、 そのポリペプチドの不溶体をポリぺプ チド変性剤で可溶化する。 この可溶化液を、 ポリペプチド変性剤を含まないある
いはポリペプチド変性剤の濃度がポリペプチドが変性しない程度に希薄な溶液に 希釈、あるいは透析し、本発明のポリぺプチドを正常な立体構造に構成させた後、 上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることができる。
また、 通常の夕ンパク質の精製方法 [J. Evan. S ad l e rら: Me t hod s i n En z ymo l ogy, 83, 458] に準じて精製できる。 また、本発明のポリペプチドを他のタンパク質との融合タンパク質として生産し、 融合したタンパク質に親和性をもつ物質を用いたァフィ二ティ一クロマトグラフ ィ一を利用して精製することもできる [山川彰夫, 実験医学' (Exp e r ime n t a 1 Med i c i ne) , 13, 469 -474 (1995) ]。例えば、 Loweらの方法 [P r o c. Na t l . Ac ad. S c i . , USA, 86, 8227-8231 (1989) 、 Gene sDeve l op. , 4, 1288 (1990) ] に記載の方法に準じて、 本発明のポリペプチドをプロテイン Aと の融合タンパク質として生産し、 ィムノグロブリン Gを用いるァフィ二ティーク 口マトグラフィ一により精製することができる。
また、 本発明のポリペプチドを FLAGペプチドとの融合タンパク質として生 産し、 抗 FLAG抗体を用いるァフィ二ティ一クロマトグラフィーにより精製す ることができる [P r o c. Na t l. Ac ad. S c i. , USA, 86, 8 227 (1989)、 Gene s Deve l op. , 4, 1288 (1990)]。 このような融合タンパク質では、 発現べクタ一において、 タンパク質分解切断部 位は、 融合タンパク質の精製に続いて、 融合部分からの組換えタンパク質の分離 を可能にするために、 融合部分と組換えタンパク質との接合部に導入される。 こ のような酵素およびこれらの同族の認識配列は、 第 Xa因子、 トロンビン、 およ びェンテロキナ一ゼを含む。 代表的な融合発現べクタ一としては、 それぞれ、 グ ル夕チオン一 S—トランスフェラーゼ(GST)、マルト一ス E結合タンパク質、 またはプロテイン Aを標的組換えタンパク質に融合する、 pGEX (Pha rm a c i a B i o t e c h ; Sm i t hおよび J ohn s on (1988) G e .
n e 67, 31〜40) 、 pMAL (New Eng l and B i o l ab s, Beve r l y, Ma s s. ) および p R I T 5 (Ph a rma c i a, P i s c a t away, N. J. ) が挙げられる。
さらに、 本発明のポリペプチド自身に対する抗体を用いたァフィ二ティーク口 マトグラフィ一で精製することもできる。 本発明のポリペプチドは、 公知の方法 [ J . B i omo 1 e c u 1 a r NMR, 6, 129— 134、 S c i enc e, 242, 1162— 1164、 J. B i o c hem. , 110, 166- 1 68 (1991) ] に準じて、 i n v i t r o転写 ·翻訳系を用いてを生産す ることができる。
本発明のポリペプチドは、 そのアミノ酸情報を基に、 Fmo c法 (フルォレニ ルメチルォキシカルボニル法) 、 t B o c法 ( t -ブチルォキシカルポニル法) 等の化学合成法によっても製造することができる。 また、 Advanc e d C h emT e c h、 A p p 1 i e d B i o s y s t ems、 Ph a rma c i a B i o t e c h、 P r o t e i n Te c hno l ogy I n s t r ume n t、 S y n t h e c e 1 1— Ve ga、 Pe r S e p t i ve^ 島津製作所等 のべプチド合成機を利用し化学合成することもできる。
精製した本発明のポリぺプチドの構造解析は、 夕ンパク質化学で通常用いられ る方法、 例えば遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析 (平野久著、 東 京化学同人発行、 1993年) に記載の方法により実施可能である。 本発明のポ リペプチドの生理活性は、 公知の測定法に準じて測定することができる。
本発明において有用な可溶性ポリペプチドの産生もまた、 当該分野で公知の 種々の方法によって達成され得る。 例えば、 ポリペプチドは、 ェキソぺプチダー ゼ、 エドマン分解またはその両方と組み合わせて特定のエンドべプチダーゼを使 用することによるタンパク質分解によって、 インタクトな膜貫通 p 75ポリぺプ チド分子から誘導され得る。 このインタク卜な p 75ポリペプチド分子は、 従来 の方法を使用して、 その天然の供給源から精製され得る。 あるいは、 インタクト
な p 75ポリペプチドは、 cDNA、 発現べクタ一および組換え遺伝子発現のた めの周知技術を利用する組換え DN A技術によって生成され得る。
好ましくは、本発明において有用な可溶性ポリぺプチドは、直接的に産生され、 従って、出発材料としての P 75ポリペプチド全体の必要性を排除する。これは、 従来の化学合成技術によって達成され得るか、または周知の組換え DNA技術(こ こで、 所望のペプチドをコードする DNA配列のみが形質転換された宿主で発現 される) によって達成され得る。 例えば、 所望の可溶性 p 75ポリペプチドをコ ードする遺伝子は、 オリゴヌクレオチド合成機を使用する化学的手段によって合 成され得る。 このようなオリゴヌクレオチドは、 所望の可溶性 P 75ポリべプチ ドのアミノ酸配列に基づいて設計される。 所望のペプチドをコードする特定の D N A配列はまた、特定の制限エンドヌクレアーゼフラグメントの単離によってか、 または c D N Aからの特定の領域の P C R合成によって、 全長 D N A配列から誘 導され得る。
(改変体ポリぺプチドの作製方法)
本発明のポリペプチド (例えば、 インスリンなど) のアミノ酸の欠失、 置換も しくは付加 (融合を含む) は、 周知技術である部位特異的変異誘発法により実施 することができる。 力、かる 1もしくは数個のアミノ酸が欠失、 置換もしくは付加 は、 Mo l e cu l a r C l on i ng, A Labo r a t o ry Man u a 1 , S e c ond Ed i t i on, Co l d Sp r i ng H a r b o r Labo r a t o r y P r e s s (1989) 、 Cu r r en t P r o t o c o l s i n Mo l e cu l a r B i o l ogy, S u p p 1 eme n t 1〜38, J ohnWi 1 ey & Son s ( 1987— 1997) 、 Nu c l e i c Ac i d s Re s e a r c h, 10, 6487 (1982) , P r o c. Na t l . Ac ad. S c i. , USA, 79, 6409 (1982)、 Ge ne, 34, 315 (1985) 、 Nuc l e i c Ac i d s Re s e a r c h, 13, 4431 (1985) 、 P r o c . Na t l. Ac ad. S c
i USA, 82, 488 (1985) 、 P r o.c. Na t l. Ac ad. S c i. , USA, 81, 5662 (1984) 、 S c i e nc e, 224, 143 1 (1984) 、 PCT WO 85/00817 (1985) 、 Na t u r e, 316, 601 (1985) 等に記載の方法に準じて調製することができる。
(有機化学)
本明細書において使用されるスぺーサ一は、 二価の化学基であって、 1級アミ ンを形成することができるものであれば、 どのようなものであってもよい。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「アルキ ル J とは、 メタン、 ェタン、 プロパンのような脂肪族炭化水素 (アルカン) から 水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をいい、一般に CnH2n+1—で表される (こ こで、 nは正の整数である) 。 アルキルは、 直鎖または分枝鎖であり得る。 本明 細書において 「置換されたアルキル」 とは、 以下に規定する置換基によってアル キルの Hが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、 C 1〜C 2アルキル、 C 1〜C 3アルキル、 C 1〜C4アルキル、 C 1〜C 5アルキル、 C 1〜C 6ァ ルキル、 C 1〜 C 7アルキル、 C 1〜 C 8アルキル、 C 1〜 C 9アルキル、 C 1 〜C 10アルキル、 C 1〜C 1 1アルキルまたは C 1〜C 12アルキル、 C l〜 C 2置換されたアルキル、 C 1~C 3置換されたアルキル、 C 1~C4置換され たアルキル、 C 1〜C 5置換されたアルキル、 C 1〜C 6置換されたアルキル、 C 1~C 7置換されたアルキル、 C 1〜C 8置換されたアルキル、 C 1~C9置 換されたアルキル、 C 1〜C 10置換されたアルキル、 C 1〜C 11置換された アルキルまたは C 1〜C 12置換されたアルキルであり得る。 ここで、 例えば C 1〜C 10アルキルとは、 炭素原子を 1〜10偭有する直鎖または分枝状のアル キルを意味し、 メチル (CH3—) 、 ェチル (C2H5—) 、 n—プロピル (CH3C H2CH2— ) 、 イソプロピル ( (CH3) 2CH—) 、 n—ブチル (CH3CH2CH2 CH2— ) 、 n—ペンチル (CH3CH2CH2CH2CH2—) 、 n—へキシル (CH3 CH2CH2CH2CH2CH2— ) 、 n—ヘプチル (CH3CH2CH2CH2GH2CH2
CH2—) 、 n—ォクチ^/ (CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2—) 、 n_ ノニル (CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2 -) 、 n—デシル (CH3 CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-) 、 一 C (CH3) 2CH2CH2C H (CH3) 2、 -CH2CH (CH3) 2などが例示される。 また、 例え
ば、 C 1〜C 10置換されたアルキルとは、 C 1〜C 10アルキルであって、 そ のうち 1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「ポリメ チレン」 とは、 ― (CH2) —が 1または複数連結した化学基をいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「ァルケ ニル」 とは、 エチレン、 プロピレンのような、 分子内に二重結合を一つ有する脂 肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をいい、 一般に CnH2n— i—で表される (ここで、 nは 2以上の正の整数である) 。 「置換されたァルケ二 ル」 とは、 以下に規定する置換基によってァルケエルの Hが置換されたァルケ二 ルをいう。 具体例としては、 C2〜C3アルケニル、 C2〜C4アルケニル、 C 2〜C 5アルケニル、 C2〜C6アルケニル、 C 2〜C 7アルケニル、 C 2〜C 8アルケニル、 C2〜C9アルケニル、 C2〜C10アルケニル、 C2〜C11 アルケニルまたは C 2〜C 12アルケニル、 C 2 ~C 3置換されたァルケニル、 C 2 ~C 4置換されたァルケニル、 C 2〜C 5置換されたァルケニル、 C2〜C 6置換されたァルケニル、 C 2 ~C 7置換されたァルケニル、 C2〜C8置換さ れたァルケニル、 C 2〜C 9置換されたァルケニル、 C2~C10置換されたァ ルケニル、 C2〜C11置換されたアルケニルまたは C 2〜C 12置換されたァ ルケニルであり得る。 ここで、 例えば C2〜C 10アルキルとは、 炭素原子を 2 〜10個含む直鎖または分枝状のアルケニルを意味し、ビニル(CH2=CH—)、 ァリル (CH2=CHCH2— ) 、 CH3CH = CH—などが例示される。 また、 例 えば、 C 2~C 10置換されたアルケニルとは、 C 2〜C 10アルケニルであつ て、そのうち 1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「アルキ ニル」 とは、 アセチレンのような、 分子内に三重結合を一つ有する脂肪族炭化水 素から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をいい、一般に CnH2n— 3—で表され る (ここで、 nは 2以上の正の整数である) 。 「置換されたアルキニル」 とは、 以下に規定する置換基によってアルキニルの Hが置換されたアルキニルをいう。 具体例としては、 C2〜C3アルキニル、 C2〜C4アルキニル、 C 2~C 5ァ ルキニル、 C 2〜C 6アルキニル、 C 2〜C 7アルキニル、 C 2〜C 8アルキニ ル、 C 2〜 C 9アルキニル、 C 2 ~ C 10アルキニル、 C 2〜 C 11アルキニル、 C2〜C 12アルキニル、 C 2〜C 3置換されたアルキニル、 C2〜C4置換さ れたアルキニル、 C 2〜C 5置換されたアルキニル、 C2〜C6置換されたアル キニル、 C 2〜C 7置換されたアルキニル、 C 2〜C 8置換されたアルキニル、 C 2〜C 9置換されたアルキニル、 C 2〜C 10置換されたアルキニル、 C2〜 C 1 1置換されたアルキニルまたは C 2〜C 12置換されたアルキニルであり得 る。 ここで、 例えば、 C 2〜(: 10アルキニルとは、 例えば炭素原子を 2〜10 個含む直鎖または分枝状のアルキニルを意味し、 ェチニル (CH三 C_) 、 1 - プロピエル (CH3C三 C— ) などが例示される。 また、 例えば、 C2~C 10置 換されたアルキニルとは、 C 2〜C 10アルキニルであって、 そのうち 1または 複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「八ロゲ ン」 とは、 周期表 7 B族に属するフッ素 (F) 、 塩素 (C 1) 、 臭素 (Br) 、 ヨウ素 (I) などの元素の 1価の基をいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「ヒドロ キシ」 とは、 一〇Hで表される基をいう。 「置換されたヒドロキシ」 とは、 ヒド 口キシの Hが下記で定義される置換基で置換されているものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「チォ一 ル J とは、 ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基 (メルカプト基) で
あり、 一 S Hで表される。 「置換されたチオール」 とは、 メルカプトの Hが下記 で定義される置換基で置換されている基をいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「シァノ」 とは、— C Nで表される基をいう。 「ニトロ」とは、一 N 02で表される基をいう。 「ァミノ」 とは、 —NH2で表される基をいう。 「置換されたァミノ」 とは、 アミ ノの Hが以下で定義される置換基で置換されたものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「力ルポ キシ」 とは、 — C O OHで表される基をいう。 「置換された力ルポキシ」 とは、 力ルポキシの Hが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「チォ力 ルポキシ」 とは、 カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基をいい、 — C
(= S ) OH、 — C (=0) S Hまたは— C S S Hで表され得る。 「置換された チォカルボキシ」 とは、 チォカルポキシの Hが以下に定義される置換基で置換さ れたものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「ァシル」 とは、 カルボン酸から OHを除いてできる 1価の基をいう。 ァシル基の代表例と しては、 ァセチル (C H3C O— ) 、 ベンゾィル (C6H5 C〇—) などが挙げられ る。 「置換されたァシル」 とは、 ァシルの水素を以下に定義される置換基で置換 したものをいう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「アミド」 とは、 アンモニアの水素を酸基 (ァシル基) で置換した基であり、 好ましくは、 — C〇NH2で表される。 '「置換されたアミド」 とは、 アミドが置換されたものを いう。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「力ルポ ニル」 とは、 アルデヒドおよびケトンの特性基である— (C = 0) —を含むもの を総称したものをいう。 「置換されたカルボニル」 は、 下記において選択される
置換基で置換されている力ルポ二ル基を意味する。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「チォ力 ルポニル」 とは、 カルポニルにおける酸素原子を硫黄原子に置換した基であり、 特性基— (c = s ) —を含む。 チォカルポニルには、 チオケトンおよびチォアル デヒドが含まれる。 「置換されたチォカルボニル」 とは、 下記において選択され る置換基で置換されたチォカルポニルを意味する。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「スルホ ニル」 とは、 特性基である一 S 02—を含むものを総称したものをいう。 「置換さ れたスルホニル」 とは、 下記において選択される置換基で置換されたスルホニル を意味する。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「スルフ ィニル」 とは、 特性基である— S O—を含むものを総称したものをいう。 「置換 されたスルフィニル」 とは、 下記において選択される置換基で置換されているス ルフィニルを意味する。
本明細書において 「炭素環基」 とは、 炭素元素のみで環の骨格を形成する化学 基をいう。 そのような飽和または不飽和の炭素環基としては、 シクロアルキル、 シクロアルケニル、 シクロアルカジエニル基等、 ァリール基等が挙げられるがそ れらに限定されない。
本明細書において単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる 「ァリ— ル」 とは、 芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が 1個離脱して生ずる基をい い、 本明細書において、 炭素環基に包含される。
本明細書中、 「複素環基」 とは、 環系を構成する原子として酸素、 硫黄、 窒素 の少なくとも 1個のへテロ原子を含有する複素環基を意味し、 好ましくは芳香族 複素環基であり、 例えば、 芳香族単環式複素環基、 2環性または 3環性の芳香族 縮合複素環基等が挙げられる。 その単環式複素環基の具体例としては、 例えば、 フリル、 チェニル、 ピロニル、 ォキサゾリル、 イソォキサゾリル、 チアゾリル、
イソチアゾリル、 イミダゾリル、 ピラゾリル、 1 , 2 , 3—ォキサジァゾリル、 1, 3, 4一ォキサジァゾリル、 フラザニル、 1 , 2 , 3—チアジアゾリル、 1, 2 , 4—チアジアゾリル、 1, 3 , 4—チアジアゾリル、 1, 2, 3—トリァゾ リル、 1, 2 , 4—トリァゾリル、 テトラゾリル、 ピリジル、 ピリダジニル、 ピ リミジニル、 ピラジニル、 卜リアジニル、 キノリル等が挙げられる。 また、 その 2環性または 3環性の芳香族縮合複素環基の具体例としては、 例えば、 ベンゾフ ラニル、 イソベンゾフラニル、 ベンゾ 〔b〕 チェニル、 インドリル、 イソインド リル、 1 H—インダゾリル、 ベンゾイミダゾリル、 ベンゾォキサゾリル、 1, 2 —ベンゾィソォキサゾリル、ベンゾチアゾリル、 1 , 2—ベンゾィソチアゾリル、 1 H—べンゾトリァゾリル、 キノリル、 イソキノリル、 シンノニル、 キナゾリ二 ル、キノキサリニル、 フタラジニル、ナフチリジニル、 プリニル、 プテリジエル、 カルパゾリル、 α—カルボリニル、 )8—カルポリニル、 ァ—カルポリニル、 ァク リジニル、 フエノキサジニル、 フエノチアジニル、 フエナジニル、 フエノキサチ ィニル、 チアントレニル、 フエナトリジニル、 フエナトロリニル、 インドリジニ ル、 ピロ口 〔1, 2— b〕 ピリダジニル、 ピラゾ口 〔1, 5— a〕 ピリジル、 ィ ミダゾ〔 1, 2 _ a〕 ピリジル、イミダゾ〔 1 , 5— a ) ピリジル、イミダゾ〔 1, 2— b〕 ピリダジニル、 イミダゾ 〔1, 2 - a ] ピリミジニル、 1 , 2 , 4—ト リアゾロ 〔4, 3— a〕 ピリジル、 1, 2, 4—トリァゾロ 〔4, 3— a〕 ピリ ダジニル等が挙げられる。
本明細書においては、 特に言及がない限り、 置換は、 ある有機化合物または置 換基中の 1または 2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることを いう。 水素原子を 1つ除去して 1価の置換基に置換することも可能であり、 そし て水素原子を 2つ除去して 2価の置換基に置換することも可能である。
本明細書において、 C l、 C 2、 、 C nは、 炭素数を表す。 従って、 C 1は炭 素数 1個の置換基を表すために使用される。
本明細書において、 「光学異性体」 とは、 結晶または分子の構造が鏡像関係に
あって、 重ねあわせることのできない一対の化合物の一方またはその組をいう。 立体異性体の一形態であり、 他の性質は同じであるにもかかわらず、 旋光性のみ が異なる。
本発明の各方法において、 目的とする生成物は、 反応液から夾雑物 (未反応減 量、副生成物、溶媒など) を、 当該分野で慣用される方法(例えば、抽出、 蒸留、 洗浄、 濃縮、 沈澱、 濾過、 乾燥など) によって除去した後に、 当該分野で慣用さ れる後処理方法 (例えば、 吸着、 溶離、 蒸留、 沈澱、 析出、 クロマトグラフィー など) を組み合わせて処理して単離し得る。
(医薬,化粧品など、 およびそれを用いる治療、 予防など)
別の局面において、本発明は、医薬(例えば、 ワクチン等の医薬品、健康食品、 タンパク質または脂質は抗原性を低減した医薬品) および化粧品に関する。 この 医薬および化粧品は、 薬学的に受容可能なキャリアなどをさらに含み得る。 本発 明の医薬に含まれる薬学的に受容可能なキャリアとしては、 当該分野において公 知の任意の物質が挙げられる。
そのような適切な処方材料または薬学的に受容可能なキャリアとしては、 抗酸 化剤、 保存剤、 着色料、 風味料、 および希釈剤、 乳化剤、 懸濁化剤、 溶媒、 フィ ラー、 増量剤、 緩衝剤、 送達ビヒクル、 希釈剤、 賦形剤および Zまたは薬学的ァ ジュパント挙げられるがそれらに限定されない。 代表的には、 本発明の医薬は、 化合物、 またはその改変体もしくは誘導体を、 1つ以上の生理的に受容可能なキ ャリア、 賦形剤または希釈剤とともに含む組成物の形態で投与される。 例えば、 適切なビヒクルは、 注射用水、 生理的溶液、 または人工脳脊髄液であり得、 これ らには、 非経口送達のための組成物に一般的な他の物質を補充することが可能で のる。
本明細書で使用される受容可能なキャリア、 賦形剤または安定化剤は、 レシピ ェントに対して非毒性であり、 そして好ましくは、 使用される投薬量および濃度 において不活性であり、 そして以下が挙げられる: リン酸塩、 クェン酸塩、 また
は他の有機酸;ァスコルビン酸、 0!—トコフエロール;低分子量ポリペプチド; タンパク質 (例えば、 血清アルブミン、 ゼラチンまたは免疫グロブリン) ;親水 性ポリマー (例えば、 ポリビニルピロリドン) ;アミノ酸 (例えば、 グリシン、 グルタミン、 ァスパラギン、 アルギニンまたはリジン) ;モノサッカリド、 ジサ ッカリドおよび他の炭水化物 (グルコース、 マンノース、 またはデキストリンを 含む) ;キレート剤 (例えば、 E D TA) ;糖アルコール (例えば、 マンニトー ルまたはソルビトール) ;塩形成対イオン (例えば、 ナトリウム) ;ならびに / あるいは非イオン性表面活性化剤 (例えば、 Tw e e n、 プル口ニック (p 1 u r o n i c ) またはポリエチレングリコール (P E G) ) 。
例示の適切なキャリアとしては、 中性緩衝化生理食塩水、 または血清アルブミ ンと混合された生理食塩水が挙げられる。 好ましくは、 その生成物は、 適切な賦 形剤 (例えば、 スクロース) を用いて凍結乾燥剤として処方される。 他の標準的 なキャリア、 希釈剤および賦形剤は所望に応じて含まれ得る。 他の例示的な組成 物は、 p H 7 . 0— 8 . 5の T r i s緩衝剤または p H 4. 0 - 5 . 5の酢酸緩 衝剤を含み、 これらは、 さらに、 ソルビトールまたはその適切な代替物を含み得 る。
以下に本発明の医薬組成物の一般的な調製法を示す。 なお、 動物薬組成物、 医 薬部外品、 水産薬組成物、 食品組成物および化粧品組成物等についても公知の調 製法により製造することができる。
本発明のポリペプチド、 ポリヌクレオチドなどは、 薬学的に受容可能なキヤリ ァと配合し、 錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤、 散剤、 粉剤、 座剤等の固形製剤、 また はシロップ剤、 注射剤、 懸濁剤、 溶液剤、 スプレー剤等の液状製剤として経口ま たは非経口的に投与することができる。 薬学的に受容可能なキヤリアとしては、 上述のように、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壌剤、崩壊阻害剤、 吸収促進剤、 吸着剤、 保湿剤、 溶解補助剤、 安定化剤、 液状製剤における溶剤、 溶解補助剤、 懸濁化剤、 等張化剤、 緩衝剤、 無痛化剤等が挙げられる。 また、 必
要に応じ、 防腐剤、 抗酸化剤、 着色剤、 甘味剤等の製剤添加物を用いることがで きる。 また、 本発明の組成物には本発明のポリヌクレオチド、 ポリペプチドなど 以外の物質を配合することも可能である。 非経口の投与経路としては、 静脈内注 射、 筋肉内注射、 経鼻、 直腸、 膣および経皮等が挙げられるがそれらに限定され ない。
固形製剤における賦形剤としては、 例えば、 グルコース、 ラクトース、 スクロ ース、 D—マンニトール、 結晶セルロース、 デンプン、 炭酸カルシウム、 軽質無 水ケィ酸、 塩化ナトリウム、 カオリンおよび尿素等が挙げられる。
固形製剤における滑沢剤としては、 例えば、 ステアリン酸マグネシウム、 ステ アリン酸カルシウム、 ホウ酸末、 コロイド状ケィ酸、 タルクおよびポリエチレン グリコ一ル等が挙げられるがそれらに限定されない。
固形製剤における結合剤としては、 例えば、 水、 エタノール、 プロパノール、 白糖、 D—マンニトール、 結晶セルロース、 デキストリン、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 カルボ キシメチルセルロース、 デンプン溶液、 ゼラチン溶液、 ポリビニルピロリドン、 リン酸カルシウム、 リン酸カリウム、 およびシェラック等が挙げられる。
固形製剤における崩壊剤としては、 例えば、 デンプン、 カルポキシメチルセル ロース、 カルボキシメチルセルロースカルシウム、 カンテン末、 ラミナラン末、 クロスカルメ口一スナトリゥム、 カルボキシメチルス夕一チナトリゥム、 アルギ ン酸ナトリウム、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸カルシウム、 ポリオキシエチレンソ ルビタン脂肪酸エステル類、 ラウリル硫酸ナトリウム、 デンプン、 ステアリン酸 モノグリセリド、 ラクト一スおよび繊維素グリコール酸カルシウム等が挙げられ るがそれらに限定されない。
固形製剤における崩壊阻害剤の好適な例としては、 水素添加油、 白糖、 ステア リン、 カカオ脂および硬化油等が挙げられるがそれらに限定されない。
固形製剤における吸収促進剤としては、 例えば、 第四級アンモニゥム塩基類お
よびラウリル硫酸ナトリゥム等が挙げられるがそれらに限定されない。
固形製剤における吸着剤としては、例えば、デンプン、 ラクトース、カオリン、 ベントナイ卜およびコロイド状ケィ酸等が挙げられるがそれらに限定されない。 固形製剤における保湿剤としては、 例えば、 グリセリン、 デンプン等が挙げら れるがそれらに限定されな 。
固形製剤における溶解補助剤としては、 例えば、 アルギニン、 グルタミン酸、 ァスパラギン酸等が挙げられるがそれらに限定されない。
固形製剤における安定化剤としては、 例えば、 ヒト血清アルブミン、 ラクトー ス等が挙げられるがそれらに限定されない。
固形製剤として錠剤、 丸剤等を調製する際には、 必要により胃溶性または腸溶 性物質 (白糖、 ゼラチン、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピル メチルセルロースフタレート等) のフィルムで被覆していてもよい。 錠剤には、 必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、 例えば、 糖衣錠、 ゼラチン被包錠、 腸溶被 錠、 フィルムコーティング錠あるいは二重錠、 多層錠が含まれる。 カプセル剤に はハードカプセルおよびソフ卜カプセルが含まれる。 座剤の形態に成形する際に は、 上記に列挙した添加物以外に、 例えば、 高級アルコール、 高級アルコールの エステル類、 半合成グリセライド等を添加することができるがそれらに限定され ない。
液状製剤における溶剤の好適な例としては、 注射用水、 アルコール、 プロピレ ングリコール、 マクロゴール、 ゴマ油およびトウモロコシ油等が挙げられる。 液状製剤における溶解補助剤の好適な例としては、 ポリエチレングリコール、 プロピレングリコ一ル、 D—マンニトール、 安息香酸ベンジル、 エタノール、 ト リスアミノメタン、 コレステロール、 トリエタノールァミン、 炭酸ナトリウムお よびクェン酸ナ卜リゥム等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における懸濁化剤の好適な例としては、 ステアリルトリエタノールァ ミン、 ラウリル硫酸ナトリウム、 ラウリルアミノプロピオン酸、 レシチン、 塩化
ベンザルコニゥム、 塩化べンゼトニゥム、 モノステアリン酸グリセリン等の界面 活性剤、 例えば、 ポリビニルアルコール、 ポリビエルピロリドン、 カルボキシメ チルセルロースナトリウム、 メチルセルロース、 ヒドロキシメチルセルロース、 ヒドロキシェチルセルロース、 ヒドロキシェチルセルロース、 ヒドロキシプロピ ルセルロース等の親水性高分子等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリゥム、グリセリン、 D—マンニトール等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における緩衝剤の好適な例としては、 リン酸塩、 酢酸塩、 炭酸塩およ びクェン酸塩等の緩衝液等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における無痛化剤の好適な例としては、 ベンジルアルコール、 塩化べ ンザルコニゥムおよび塩酸プロ力イン等が挙げられるがそれらに限定されない。 液状製剤における防腐剤の好適な例としては、パラォキシ安息香酸エステル類、 クロロブタノ一ル、 ベンジルアルコ一ル、 2—フエニルエチルアルコール、 デヒ ドロ酢酸、 ソルビン酸等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における抗酸ィ匕剤の好適な例としては、 亜硫酸塩、 ァスコルビン酸、
0;—トコフエ口一ルぉよびシスティン等が挙げられるがそれらに限定されない。 注射剤として調製する際には、 液剤および懸濁剤は殺菌され、 かっ血液と等張 であることが好ましい。 通常、 これらは、 パクテリア保留フィルタ一等を用いる ろ過、 殺菌剤の配合または照射によって無菌化する。 さらにこれらの処理後、 凍 結乾燥等の方法により固形物とし、 使用直前に無菌水または無菌の注射用希釈剤 (塩酸リドカイン水溶液、 生理食塩水、 ブドウ糖水溶液、 エタノールまたはこれ らの混合溶液等) を添加してもよい。
さらに、 必要ならば、 医薬組成物は、 着色料、 保存剤、 香料、 矯味矯臭剤、 甘 味料等、 ならびに他の薬剤を含んでいてもよい。
本発明の医薬は、 経口的または非経口的に投与され得る。 あるいは、 本発明の 医薬は、 静脈内または皮下で投与され得る。 全身投与されるとき、 本発明におい
て使用される医薬は、 発熱物質を含まない、 薬学的に受容可能な水溶液の形態で あり得る。 そのような薬学的に受容可能な組成物の調製は、 PH、 等張性、 安定 性などを考慮することにより、 当業者は、 容易に行うことができる。 本明細書に おいて、投与方法は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、 皮下投与、 皮内投与、 粘膜投与、 直腸内投与、 膣内投与、 患部への局所投与、 皮 膚投与など) であり得る。 そのような投与のための処方物は、 任意の製剤形態で 提供され得る。 そのような製剤形態としては、 例えば、 液剤、 注射剤、 徐放剤が 挙げられる。
本発明の医薬は、 必要に応じて生理学的に受容可能なキャリア、 賦型剤または 安定化剤 (日本薬局方第 14版またはその最新版、 Remi ng t on' s P ha rma c eu t i c a l S c i enc e s, 18 t h Ed i t i on, A. R. Ge nna r o, e d. , Ma c k Pub l i s h i ng C omp any, 1990などを参照) と、 所望の程度の純度を有する糖鎖組成物とを混 合することによって、 凍結乾燥されたケーキまたは水溶液の形態で調製され保存 され得る。
様々な送達系が公知であり、 そして本発明の化合物を投与するために用いられ 得る (例えば、 リボソーム、 微粒子、 マイクロカプセルなど) 。 導入方法として は、 皮内、 筋内、 腹腔内、 静脈内、 皮下、 鼻腔内、 硬膜外、 および経口経路が挙 げられるがそれらに限定されない。 化合物または組成物は、 任意の好都合な経路 により (例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜内層(例えば、 口腔粘膜、 直腸粘膜および腸粘膜など) を通しての吸収により) 投与され得、 そ して他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。 投与は、 全身的または局 所的であり得る。 さらに、 本発明の薬学的化合物または組成物を、 任意の適切な 経路 (脳室内注射および髄腔内注射を包含し;脳室内注射は、 例えば、 Omma y aリザーパのようなリザ一パに取り付けられた脳室内カテーテルにより容易に され得る) により中枢神経系に導入することが望まれ得る。 例えば、 吸入器また
は噴霧器の使用、 およびエアロゾル化剤を用いた処方により、 肺投与もまた使用 され得る。
特定の実施形態において、 本発明のポリペプチド、 ポリヌクレオチドまたは組 成物を、 処置の必要な領域 (例えば、 中枢神経、 脳など) に局所的に投与するこ とが望まれ得る;これは、制限する目的ではないが、例えば、手術中の局部注入、 局所適用 (例えば、 手術後の創傷包帯との組み合わせて) により、 注射により、 カテーテルにより、 坐剤により、 またはインプラント (このインプラントは、 シ アラスティック(s i'a 1 a s t i c)膜のような膜または繊維を含む、多孔性、 非多孔性、 または膝様材料である) により達成され得る。 好ましくは、 抗体を含 む本発明のタンパク質を投与する際、 タンパク質が吸収されない材料を使用する ために注意が払われなければならない。
別の実施形態において、 化合物または組成物は、 小胞、 特に、 リボソーム中に 封入された状態で送達され得る (L ange r, S c i e nc e 249 : 15. 27 - 1533 (1990) ; Tr e a tら, L i po s ome s i n t h e The r apy o f I n f e c t i ou s D i s e a s e and Canc e r, Lop e z-Be r e s t e i nおよび F i d l e r (編) , L i s s, New Yo r k, 353〜 365頁 ( 1989 ) ; Lop e z— Be r e s t e i n,同書 317〜327頁を参照のこと;広く同書を参照のこと)。 さらに別の実施形態において、 化合物または組成物は、 制御された徐放系中で 送達され得る。 1つの実施形態において、 ポンプが用いられ得る (Lange r (前出) ; S e f t on, CRC Cr i t. Re f . B i omed. Eng.. 14 : 201 (1987) ; Buc hwa l dら, Su r ge r y 88 : 50 7 (1980) ; S aud e kら, N. Eng l . J. Med. 321 : 574 (1989) を参照のこと) 。 別の実施形態において、 高分子材料が用いられ得 る (Med i c a l App l i c a t i on s o f Con t r o l l e d Re l e a s e, Lange rおよび W i s e (編) , CRC P r e s. ,
Bo c a Ra t on, F l o r i d a (197.4) ; Con t r o l l e d D rug B i o ava i l ab i l i t y, D rug P r oduc t D e s i gn and Pe r f o rmanc e, Smo l e nおよび B a 1 1 (編), Wi l ey, New Y o r k ( 1984) ; R a n g e rおよび P e ρ p a s, J. 、 Ma c r omo l. S c i . Rev. M c r omo 1. Ch em. 23 : 61 (1983) を参照のこと; Levyら, S c i enc e 228 : 190 (1985) ; Du r i ngら, Ann. Neu r o l. 25 : 351 (198 9) ; Howa r dら, J. Neu r o s u r g. 71 : 105 (1989) も また参照のこと) 。
さらに別の実施形態において、 制御された徐放系は、 治療標的、 即ち、 脳の近 くに置かれ得、 従って、 全身用量の一部のみを必要とする (例えば、 Good s on, Me d i c a l App l i c a t i on s o f Con t r o l 1 e d Re l e a s e, (前出) , 第 2巻, 115〜: 138頁 (1984) を参照 のこと) 。
他の制御された徐放系は、 L a n g e rにより総説において議論される (S c i e nc e 249 : 1527— 1533 (1990) ) 。
本発明の処置方法において使用される組成物の量は、 使用目的、 対象疾患 (種 類、 重篤度など) 、 患者の年齢、 体重、 性別、 既往歴、 細胞の形態または種類な どを考慮して、 当業者が容易に決定することができる。 本発明の処置方法を被験 体 (または患者) に対して施す頻度もまた、 使用目的、 対象疾患 (種類、 重篤度 など) 、 患者の年齢、 体重、 性別、 既往歴、 および治療経過などを考慮して、 当 業者が容易に決定することができる。 頻度としては、 例えば、 毎日一数ケ月に 1 回 (例えば、 1週間に 1回一 1ヶ月に 1回) の投与が挙げられる。 1週間— 1ケ 月に 1回の投与を、 経過を見ながら施すことが好ましい。
本発明のポリペプチド、 ポリヌクレオチドなどの投与量は、 被験体の年齢、 体 重、 症状または投与方法などにより異なり、 特に限定されないが、 通常成人 1日
あたり、 経口投与の場合、 0. 0 lmg〜l 0 gであり、 好ましくは、 0. lm g~lg、 lmg〜: L 00mg、 0. lmg〜: L Omgなどであり得る。 非経口 投与の場合、 0. 0 lmg〜: L gであり、 好ましくは、 0. 01mg〜100m g、 0. lmg〜100mg、 lmg〜: L 00mg、 0. lmg~10mgな であり得る。
本明細書中、 「投与する」 とは、 本発明のポリペプチド、 ポリヌクレオチド、 因子などまたはそれを含む医薬組成物を、 単独で、 または他の治療剤と組み合わ せて、生物の細胞または組織に化合物を取り込むことを意味する。組み合わせは、 例えば、 混合物として同時に、 別々であるが同時にもしくは並行して;または逐 次的にかのいずれかで投与され得る。 これは、 組み合わされた薬剤が、 治療混合 物としてともに投与される提示を含み、 そして組み合わせた薬剤が、 別々である が同時に (例えば、 同じ個体へ別々の静脈ラインを通じての場合) 投与される手 順もまた含む。 「組み合わせ」 投与は、 第 1に与えられ、 続いて第 2に与えられ る化合物または薬剤のうちの 1つを別々に投与することをさらに含む。
異常な状態はまた、 生物へのシグナル伝達経路に異常を有する細胞の群に化合 物を投与することによって予防または処置され得る。 次いで、 化合物を投与する ことの生物機能に対する効果が、 モニタ一され得る。 この生物は、 好ましくは、 マウス、 ラッ卜、 ゥサギ、 モルモット、 またはャギ、 より好ましくは、 サル (m on keyまたは ape) 、 および最も好ましくは、 ヒトである。
本明細書において 「指示書」 は、 本発明の医薬などを投与する方法または診断 する方法などを医師、患者など投与を行う人、診断する人(患者本人であり得る) に対して記載したものである。 この指示書は、.本発明の診断薬、 医薬などを投与 する手順を指示する文言が記載されている。 この指示書は、 本発明が実施される 国の監督官庁(例えば、 日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(F DA) など) が規定した様式に従って作成され、 その監督官庁により承認を受け た旨が明記される。 指示書は、 いわゆる添付文書 (package i ns e r t) であり、 通常は紙媒体で提供されるが、 それに限定されず、 例えば、 電子媒
体 (例えば、 インタ一ネットで提供されるホーム^^ージ (ウェブサイト) 、 電子 メール) のような形態でも提供され得る。
本発明の方法による治療の終了の判断は、 商業的に利用できるアツセィもしく は機器使用による標準的な臨床検査室の結果またはインスリンなどに関連する疾 患 (例えば、 神経疾患) に特徴的な臨床症状の消滅によって支持され得る。 治療 は、 インスリンなどに関連する疾患 (例えば、 神経疾患) の再発により再開する ことができる。
本発明はまた、 本発明の医薬組成物の 1つ以上の成分を満たした 1つ以上の容 器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。 医薬品または生物学的製品の 製造、 使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、 このような容 器に任意に付属し得、 この通知は、 ヒトへの投与に対する製造、 使用または販売 に関する政府機関による承認を表す。
本発明が化粧品として使用されるときもまた、 当局の規定する規制を遵守しな がら化粧品を調製することができる。 本発明の組成物は、 農薬の成分としても用いることができる。 農薬組成物とし て処方される場合、 必要に応じて、 農学的に受容可能なキャリア、 賦型剤または 安定化剤などを含み得る。
本発明の組成物が、農薬として使用される場合は、除草剤(ピラゾレー卜など)、 殺虫 ·殺ダニ剤 (ダイアジノンなど) 、 殺菌剤 (プロべナゾ一ルなど) 、 植物成 長調整剤 (例、 パクロブトラゾ一ルなど) 、 殺線虫剤 (例、 べノミルなど) 、 共 力剤 (例、 ピぺロニルブトキサイドなど) 、 誘引剤 (例、 オイゲノールなど) 、 忌避剤 (例、 クレオソートなど) 、 色素 (例、 食用青色 1号など) 、 肥料 (例、 尿素など) などもまた必要に応じて混合され得る。
(保健 ·食品)
本発明はまた、 保健 ·食品分野においても利用することができる。 このような 場合、 上述の経口医薬として用いられる場合の留意点を必要に応じて考慮すべき である。 特に、 特定保健食品のような機能性食品 ·健康食品などとして使用され る場合には、 医薬に準じた扱いを行うことが好ましい。
本発明は上記のように、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、 農業、 畜産、 漁業、 林業などで、 生体分子の検査が必要なものに全て適応可能で ある。本発明においては特に、 食料の安全目的のための (たとえば、 B S E検査) 使用も企図される。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。 以下に提供される実施形態は、 本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、 本発明の範囲は以下の記 載に限定されるべきでないことが理解される。 従って、 当業者は、 本明細書中の 記載を参酌して、 本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかで ある。
1つの局面において、 本発明は、 グルタミンが糖鎖で修飾された糖ペプチドを 提供する。 この糖ペプチドでは、 生物学的活性を有する形態のペプチドのァミノ 酸配列において、 少なくとも 1つのアミノ酸残基にダル夕ミンを有することが特' 徴であり、 そのグルタミンが糖鎖で修飾されている。 ここで、 修飾は、 直接的ま たは間接的な結合を意味する。 糖鎖で修飾されるグルタミンは、 ペプチドに含ま れる少なくとも 1つのグルタミンであればよく、 好ましくは、 複数 (例えば、 2 つ、 3つ) 、 あるいは、 存在するグルタミンのすべてが糖鎖で修飾されていても よい。 結合は、 通常共有結合であるが、 それに限定されず、 糖鎖が、 結合したぺ プチドと同一の存在物 (e n t i t y) を構成することができる限り、 他の相互 作用 (例えば、 疎水結合、 水素結合など) を介していてもよい。 1つの実施形態 では、 このグルタミンは、 そのペプチドの C末端または N末端から 1 2アミノ酸 以内に存在することが有利であり得る。
本発明の糖ペプチドにおいて、 ペプチド部分は、 当該分野に周知の技術を用い て合成または遺伝子工学的に製造することができ、 そのような合成および遺伝子 工学的製造の方法は、 本明細書において他の場所に詳述されている。 また、 少な くとも 1つのアミノ酸残基にグルタミンを有するようなペプチド (例えば、 ぺプ チドの C末端または N末端から 1 2アミノ酸以内に存在するもの)の製造もまた、 当該分野において周知の合成および Zまたは遺伝子工学の技術を用いて製造する ことができる。 このような場合、 野生型のペプチドにおいて、 少なくとも 1つの
アミノ酸残基にグルタミンを有しない場合、 その範囲内にグルタミンを有するよ うにアミノ酸配列を改変することができる。 そのような改変方法もまた、 当該分 ' 野において周知であり、 本明細書において他の場所に記載されている。 ダルタミ ンの導入位置は、 どのような位置でもよいが、 例えば、 ペプチドの C末端または N末端から 1 2アミノ酸、 好ましくは 5アミノ酸以内であり得るがそれに限定さ れない。
本発明の糖ペプチドにおいて、 上記される生物学的活性は、 通常、 野生型のぺ プチドが有する活性を包含する。 例えば、 インスリンであれば、 血糖低下作用を
.含む。
修飾に使用される糖鎖は、 どのような糖鎖でもよい。 したがって、 修飾に使用 される糖鎖の大きさは任意のものでよく、 たとえば、 単糖、 二糖、 三糖、 四糖ま たはそれ以上の数の糖が連なった糖鎖などであってもよい。 修飾される糖鎖の形 状もまたどのようなものであってもよく、 例えば、 直鎖、 分岐、 環状のものなど が挙げられるがそれに限定されない。 また、 糖鎖を構成する単糖もまたどのよう なものでもよく、 単糖は誘導体であってもよく、 誘導体でなくてもよい。 そのよ うな構成単糖としては、 例えば、 ダルコ一ス、 ガラクトース、 フコース、 N—ァ セチル—D—ダルコサミン、 N—ァセチルー D—ガラクトサミン、 N—ァセチル ノィラミン酸 (シアル酸) 、 N—ァセチルムラミン酸、 2—デォキシ—D—リポ —スなどが挙げられるがそれらに限定されない。
1つの好ましい実施形態において、 グルタミンが挿入されるアミノ酸残基は、 グルタミン以外の残基であって、 そのグルタミン以外の残基がグルタミンに置換 されても生物学的活性を有する形態のペプチドの生物学的 ¾性に実質的に影響を 与えないことが有利である。 ここで、 「実質的に影響を与えない」 とは、 期待さ れる生物学的活性 (例えば、 インスリンなどのホルモンであれば、 血糖低下作用 などの対応するホルモン作用であり、 酵素であれば、 対応する酵素 (触媒) 活性 であり、 サイト力インであれば、 対応するサイト力イン作用である等) が改変後 に使用される状況においても有用である程度に保持されていることをいう。 従つ て、 通常 「実質的に影響を与えない」 とは、 改変前の生物学的活性を少なくとも 保持していることをいうが、 状況に応じて、 改変前の生物学的活性が低減または
上昇していてもよい。低減または上昇の程度は、所望により変更することができ、 例えば、 1 0 %の上昇または低下、 2 0 %の上昇または低下などが挙げられるが それに限定されない。 あるいは、 ある特定の生物学的活性に関しては、 消失して いてもよい。 これは、 2つ以上の生物学的活性をある分子が有する場合に、 その 1つ以上の生物学的活性が所望されないかまたは消失が所望されるときに好まし い形態である。 このような実質的に影響を与えない置換は、 当該分野において周 知の技術を用いて行うことができ、 その具体的手法は、 本明細書においで上記さ れ、 実施例において例示されるがそれに限定されない。 また、 生物学的活性に実 質的に影響を与えないか否かは、 当該分野において周知の技術を用いて判定する ことができる。 そのような方法は、 対象となるペプチドに応じて当業者が適宜選 択することができる。 そのような生物学的活性の測定は、 例えば、 酵素学ハンド ブック (丸尾文治、 田宮信雄監修) に記載される酵素活性の測定法などを用いる ことができるがそれに限定されない。 あるいは、 抗体に対しては、 特異的な抗原 との任意の抗原抗体反応に基づくアツセィ (たとえば、 ウエスタンプロット、 E L I S Aなど) を用いることができる。 ワクチンに対しても同様の活性測定が可 能である。 ホルモンの生物学的活性は、 例えば、 ホルモンの特異的なレセプ夕 への結合活性を測定することによって判定することができる。 サイトカインもま た、 特異的なレセプ夕一への結合活性を測定することによって判定することがで きる。 レセプターに対しては、 その特異的なリガンドを用いることができる。 シ グナル伝達因子の測定もまた、 特定のシグナル伝達系を測定するアツセィを用い ることができる。
1つの実施形態において、使用される生物学的活性を有する形態のペプチドは、 トランスダル夕ミナーゼの酵素活性が発揮される少なくとも 1つの条件において 水溶性であることが好ましい。 そのような条件は、 使用されるトランスダルタミ ナ一ゼおよび基質などによって変動するが、 当業者は、 そのような条件を適宜設 定することができる。 例示的な条件としては、 例えば、 p H 4〜p H 9、 塩濃度 0 mM〜l M、 0 °C〜4 2 °Cの温度などが挙げられるがそれらに限定されない。 使用きれる緩衝塩もまた、 任意のものが使用され得る。 そのような緩衝塩として は、 用いられる緩衝液としては p H 4〜p H 9のものであればいずれの種類の緩
衝液でもよく、例えば、 He p e s緩衝液、 Tr i s—塩酸緩衝液(pH8. 0)、 リン酸緩衝液(PH6. 4〜7. 4)等が挙げられる。 また、 動物由来のトランス グル夕ミナーゼはカルシウム依存性のタンパク質であることが多いことから、 酵 素活性を発現させるために、 塩化カルシウム、 炭酸カルシウム等のカルシウム塩 を反応系に添加するのが好ましく、 その添加量は通常 0. 1〜10.0ミリモル濃 度が好ましい。 なお、 微生物由来のトランスダル夕ミナ一ゼはカルシウム依存性 ではないため、 カルシウム塩の添加は必要でない。 トランスダル夕ミナーゼとし ては、 ストレブトべルティシリゥム属 (例えば、 S t r e p t ove r t i c i I l i um s p. S t r a i n, s— 8112)等の微生物の産生するもの、 モルモット、 ヒト等の動物由来のもの、 さらに魚類由来のものなどいずれも用い 得る。 また汍用食品の増貼剤として市販もされており、 本発明ではかかる市販の 卜ランスダル夕ミナーゼでも用いられる。
より好ましくは、 そのような条件は、 「穏和な条件」 であり得る。 そのような 穏和な条件とは、 分子内ジスルフィド結合が切れない条件、 立体構造に変化を与 えない条件などが挙げられるがそれらに限定されない。 このような穏和な条件を 決定する条件としては、 例えば、 ペプチドまたはタンパク質濃度、 基質濃度、 力 ルシゥムイオン濃度、 pH、温度、共存する塩の種類および濃度、 GSHの存否、 還元剤の存否などが挙げられるがそれらに限定されない。 必要に応じて、 これら の因子は複数考慮してもよい。 そのような条件の具体的な例としては、 例えば、 インスリン (0. ImM) 、 La c. Am i n oHe x (0. 9mM) 、 CaC 12 (5mM) 、 T r i s -HC 1 (20mM、 pH7. 5) 、 トランスダルタミ ナーゼ ( 3. 5 U/m 1 ) ; 37 °Cおよび 30分間反応などが挙げられるがそれ に限定されない。 GSHを加えると、 野生型のインスリンでトランスダル夕ミナ ーゼの反応が進むが、 そのような添加はべプチドの生物学的活性に悪影響がある ことから、 好ましくない。 他の穏和な条件の具体例としては、 例えば、 ペプチド またはタンパク質(例えば、リジン残基を含むタンパク質(例えば、インスリン) ) の濃度を 0. 2mM以下 (好ましくは、 0. ImM以下) にすること、 カルシゥ ム濃度を 2mM以上 (好ましくは、 5mM以上、 より好ましくは 10mM) とす ること、 GSHを加えた場合に 37 °Cでの反応を短く (例えば、 3時間以下、 好
ましくは 1時間以下)すること、市販のトランスグルタミナーゼを使用する場合、 還元剤の影響がない程度の量または緩衝液交換を行い還元剤を減少させて用いる ことなどが挙げられるがそれに限定されない。
本発明の方法において使用されるトランスダル夕ミナーゼは、 どのような由来 のものであってもよく、 動物由来のもの (種々の組織、 血漿成分由来など) また は微生物由来のもの、 あるいは人工的に作製したものであってもよい。
トランスグル夕ミナーゼを用いて糖鎖を導入した場合、 反応生成物は、 遠心分 離法、 クロマトグラフィー (例えば、 逆相系 HPLC、 レクチンカラムによるァ フイエティークロマトグラフィー、 ゲル濾過等) の当該分野において周知の方法 により反応混合物から単離精製することができる。 あるいは、 得られた糖鎖結合 型インスリンは、 複数種の混合物として単離することができる。 また、 複数の異 なる糖鎖または他の置換基で改変されたものを含んでいてもよい。
反応生成物の分析は、 高速液体クロマトグラフィ、 核磁気共鳴スペクトル、 質 量分析(MALD I TOFマススぺクトル分析など)などの各種分光分析法によ り行なうことができる。
好ましい実施形態において、 本発明において生物学的活性を有する形態のぺプ チドにおいてグルタミンに置換されるアミノ酸残基は、 そのペプチドの表面に存 在するものであることが好ましい。 表面上にあるアミノ酸残基をグルタミンに変 化させ、 糖鎖を結合させることによって、 従来達成できなかった外的な攻撃から ペプチド分子を保護することができる。 そのうな表面上にあるアミノ酸残基の同 定は、 当該分野において周知の結晶.構造分析によって行うことができる。 ぺプチ ドの空間的コンフオメーシヨンを決定する方法は、 当該分野で公知であり、 例え ば、 X線結晶学、 および 2次元核磁気共鳴分光法を含む。 表面上に存在する部分 を同定する方法には、 ェピトープを同定する方法が含まれる。 所定のタンパク質 におけるそのようなェピトープの同定は、 当該分野で周知の技術を使用して容易 に達成される。 例えば、 Gey s e nら (1984) P r o c. Na t l . Ac ad. S c i. USA 81 : 3998 (所定の抗原における免疫原性ェピトー プの位置を決定するために迅速にペプチドを合成する一般的な方法) ;米国特許 第 4, 708, 871号 (抗原のェピトープを同定し、 そして化学的に合成する
ための手順) ;および G e y s e nら (1 9 8 6 ) M o 1 e c u 1 a r I mm u n o 1 o g y 2 3 : 7 0 9 (所定の抗体に対して高い親和性を有するぺプチ ドを同定するための技術) を参照されたい。
, 別の実施形態において、 グルタミンは、 生物学的活性を有するペプチドの野生 型形態に存在していてもよいし、 野生型において存在していない場合、 ダルタミ ンを置換または付加してもよい。 あるいは、 このような付加または置換型のぺプ チドの生産は、 合成または遺伝子工学的に行うことができる。 そのような生産方 法は、 本明細書において上述し、 実施例において例示されるように当業者に周知 なぎ術を用いて実施することができる。 グルタミンが置換または付加される位置. は、 プロテア一ゼ消化を受けやすい部位にあることがifましい。 プロテア一ゼ消 化を受けやすい部分をグルタミンとし、 糖鎖で 「マスク」 することによって、 プ 口テアーゼ消化を受けにくくすることができるからである。 そのようなプロテア ーゼ消化を受けやすい部位であるかどうかは、 ぺプチドを任意のプロテア一ゼと インキュベートして消化した部分べプチドの配列を決定することによって判定す ることができる。
本発明の好ましい実施形態において、 糖鎖は、 スぺーサ一を介してグルタミン に結合される。 スぺ一サ一は、 アミノ基を付与することによって、 トランスダル 夕ミナーゼの基質となり得るものであることが好ましい。 そのようなスぺーサー としては、 例えば、 — C H2— R— (ここで、 Rは、 アルキル、 置換されたアルキ ル、 アルケニル、 置換されたァルケニル、 アルキニル、 置換されたアルキニル、 ァリール、 置換されたァリール、 炭素環基、 置換された炭素環基、 複素環基およ び置換された複素環基からなる群より選択される基から水素が 1つ脱離して生ず る基である) が挙げられるがそれに限定されない。 好ましいスぺーサ一の例とし ては、 C 1— C 1 0ポリメチレン基 (好ましくは、 C I— C 6ポリメチレン、 C 6— 1 0ポリメチレンなど) などが挙げられるがそれに限定されない。 他の好ま しい実施形態では、 スぺ一サ一は、 式:
- (CH2)m -、
一 <CH2)m—匪一 (CH2)n-C(=0)-NH
I
-(CH2)p-NH-C(=0)-CH
(CH2)S 一 (CH2)m— NH—(CH2)n— C(=0)— NH
I
一(CH2)P— NH— C(=0) - CH - NH - C(=0) - CH
一 (CH2)t—而— C(=0)— (CH2)U (CH2)S
I 、 または
-(CH2)m-NH-C(=0)-(CH2)n-CH2
-(CH2)p-NH-C(=0)-CH-NH-C(=0)-(CH2)s-C(=0)-NH
-(CH2)t-NH-C(=0)-CH-NH-C(=0)-CH
I I
-(CH2)u-NH-C(=0)-(CH2)v (CH2)W
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 vおよび wはそれぞれ独立して:!〜 10の整 数を表す)
で表される基が挙げられるがそれらに限定されない。
糖鎖が導入されるグルタミン残基の個数は少なくとも 1つであり、 2つ以上、 3つ以上のグルタミン残基に糖鎖が導入されていてもかまわない。 また、 複数の グルタミン残基に糖鎖が導入される場合、 導入される糖鎖は同一であっても異な つていてもよい。 あるいは、 1つのグルタミン残基に糖鎖が導入される場合であ つても、 導入される糖鎖は均一であっても混合物であってもよい。
糖鎖が導入されるグルタミン残基の位置は、 例えばペプチドの C末端または N 末端から 12アミノ酸以内にあることが有利であり得るがそれに限定されず、 活 性を維持または保持することができる限り、 どのような位置であってもよい。 よ り好ましくは、 グルタミン残基は、 ペプチドの C末端または N末端から 5ァミノ 酸以内に存在することが有利であり。 さらに好ましくは、 グルタミン残基は、 ぺ
プチドの C末端または N末端に存在することがさらに有利である。 好ましい実施 形態では、 糖鎖で修飾されるグルタミン残基は、 ペプチドの N末端に存在するこ とが有利であり得る。
本発明において使用される糖鎖としては、 任意のものが使用され得る。 好まし くは、 使用される糖鎖は、 ラクト一スまたはシアル酸を含むことが有利である。 より好ましくは、 使用される糖鎖は、 シアル酸を含むことがさらに有利である。 特に、 シアル酸を含む糖鎖を導入することによって、 予想外に、 糖ペプチドの代 表例であるインスリンの活性を上昇させるこ ができた。
従って、 本発明において使用される糖鎖の例示としては、 例えば、 L a c、 L a cNAc、 S i a a 2, 3— L a c、 S i a a; 2, 3— L a cNAc、 S i a 2, 6— L a c、 S i a a 2 , 6一 L a cNAc、 F u c ひ 1, 2一 L a c、 S i a a 2, 8 -S i a a 2, 3— L a c、 S i a cu 2, 8 -S i a a 2, 3一 L a cNAc、 S i a a 2, 8 - S i a 2, 6— L a c、 S i a a 2, 8—S i a a; 2, 6 -L a c NAc, S i a a 2, 8 -S i a a 2, 3一 (Fu c ひ 1, 2— ) L a c、 および S i a a 2, 8 - S i a a 2, 6 - (Fu c a l, 2—) L a c (式中、 L a cはラクト一ス、 L a c NA cは 2—ァセチルアミノラクト ース、 S i aはシアル酸、 F.u cはフコースを表す) など、 これらを含む 3糖、 4糖、 5糖、 6糖、 または n糖 (ここで、 nは 7以上の任意の整数) などが挙げ られるがそれらに限定されない。 これらの例示される糖鎖は、 直鎖状であっても 分枝状であっても樹状であってもよい。 糖鎖が分枝状である場合、 その糖鎖の形 態が、 二本鎖型、 三本鎖型または四本鎖型であることが好ましい。
導入される糖鎖の大きさもまた、どのようなものであってもよい。好ましくは、 使用される糖鎖は、 少なくとも 2糖の大きさであり、 より好ましくは少なくとも 3糖の大きさである。このような糖鎖は、直鎖であっても、分岐していてもよく、 あるいは環化されていてもよい。
本発明の糖ペプチドは、 生物学的活性を有する限りどのようなものであっても
よく、 例示としては、 例えば、 酵素、 抗体、 ワクチン、 血清タンパク質、 ホルモ ン、 サイト力イン、 増殖因子、 細胞接着分子、 レセプ夕一、 およびシグナル伝達 因子などが挙げられる。 . '
酵素としては、 例えば、 (1)酸化還元酵素 (ォキシドレダクターゼ), (2)転 移酵素(トランスフェラーゼ) (3) 加水分解酵素(ヒドロラーゼ)、 (4) 脱離酵 素(リア一ゼ) (特定の基の脱離、 二重結合への付加を触媒する) 、 (5) 異性化 酵素(イソメラ一ゼ) 、 (6) 合成酵素(リガーゼ) (ATPなどヌクレオシド三リン 酸の高エネルギー結合の水解を伴った新しい分子間の結合の生成を触媒する) な どが挙げられるがそれらに限定されない。
血清タンパク質としては、 アルブミン、 グロブリンなどが挙げられる。
抗体としては、 例えば、 モノクローナル抗体、 ポリクローナル抗体などが挙げ られる。
サイト力インには、 代表的には、 インターロイキン類、 ケモカイン類、 コロニ —刺激因子のような造血因子、 腫瘍壊死因子、 インターフェロン類が含まれる。 増殖因子としては、 代表的には、 血小板由来増殖因子 (PDGF) 、 上皮増殖因 子(EGF) 、 線維芽細胞増殖因子(FGF) 、 肝実質細胞増殖因子(HGF) 、 血管内皮増殖因子 (VEGF) のような増殖活性を有するものが挙げられる。 細 胞接着分子としては、 例えば、 免疫グロプリンス一パーファミリー分子 (LFA —3、 I CAM - 1、 CD 2, CD4、 CD 8, I CM1、 I CAM2、 VCA Mlなど) ;インテグリンファミリ一分子 (LFA— 1、 Ma c— 1、 gp I I b l l l a、 p l 50、 95、 VLA1、 VLA2、 VLA3、 VLA4, VL A5、 VLA6など) ;セレクチンファミリ一分子 (L—セレクチン, E -セレ クチン, P—セレクチンなど) などが挙げられるがそれらに限定されない。 レセプ夕一としては、 例えば、 Gタンパク質共役型レセプ夕一などが挙げられ る。
シグナル伝達因子としては、 例えば、 STAT3、 STAT5などの系が挙げ
られるがそれらに限定されない。
本発明において有用な糖ペプチドの代表例としては、 例えば、 インスリン、 ェ リスロボェチン、 ィムネース、 G— C S F、 グルカゴン、 ソマトス夕チン、 コレ シストキニン、 アドレナリン、 副腎皮質刺激ホルモン、 ]8エンドルフィンおよび ネオエンドルフィンなどが拳げられるがそれらに限定されない。
特に有用であるのは、 インスリンである。 インスリンの特に B鎖の N末端に糖 鎖を導入することで活性があがるこ.—とは知られておらず、 ィンスリンの糖鎖によ る活性上昇として初めての例であるといってもよい。
従って、 好ましい実施形態では、 本発明の糖ペプチドは、 インスリンであり、 ここで、 少なくとも 1つのグルタミン残基が、 インスリンの B鎖の C末端から 1 - 1残基以内および/または N末端から 9アミノ酸以内に存在する。 このような改 変によりインスリンの活性が上昇したことが判明した。
あるいは、 別の好ましい実施形態において、 本発明の糖ペプチドは、 インスリ ンであり、 糖鎖はシァリルラクトースを含むことが有利である。 このような改変 によりインスリンの活性が上昇したことが判明した。
本発明の好ましい実施形態では、 糖ペプチドはインスリンであり、 糖鎖はイン スリンの B鎖においてグルタミンに置換された N末端に結合することが有利であ り得る。 このような置換による生物学的活性の維持および糖鎖による活性上昇は 本発明のひとつの顕著な効果である。
本発明のさらに好ましい実施形態において、 糖ペプチドはインスリンであり、 グルタミンを含むアミノ酸残基はインスリンの B鎖の N末端を含み、 B鎖の N末 端はシァリルラクトースで置換される。 このような置換によって生物学的活性が 維持または上昇することが判明した。
別の実施形態において、 本発明の糖ペプチドは、' 1または数個のアミノ酸残基 の置換、 付加および Zもしくは欠失、 ならびに または糖鎖および脂質からなる 群より選択される少なくとも 1つの生体分子をさらに含むことが有利であり得る。
このような糖ペプチドのさらなる改変は、 所望の機能を付与または消失または調 節したい場合に、 行うことができる。 そのような改変を行うことは、 当業者によ り実施され得る。
1つの好ましい実施形態において、 本発明は、 上記項目 (1) におけるグルタ ミンのアミノ酸側鎖である一 (CH2) 2-C (=0) — NH2が、 糖鎖一 (CH2>m -題— C(=0)— (CH2)2 -、
麵—(CH2)m— NH - (CH2)n-C<=0)-NH
鎖一 (CH2)P—題一 C(=0)— CH
I
(CH2)S
I
NH
c{=o)
(CH2)2 糖鎖— (CH2)m— NH— (CH2)n— C(=0)— NH
糖鎖一(CH2)P— NH - C(=0)—CH - NH - C 0)—CH
糖鎖— (CH2)t— NH_C(=0)— (CH3)U (CH2)5
NH
C(=0)
(CH2)2
I 、 または
糖鎖一(CH2)m— NH - C(=0)_(CH2)n— CH2
糖鎖 - (CH2)P - NH- C(=0) - CH - NH - C(=0) -(CH2)3 - C(=0) - NH 麵—(CH2)t— NH - C(=0)—CH - NH— C(=0)— CH ¾ -(CH2)u-NH-C(=0)-(CH2)v {CH2)W
NH
C(=0)
I
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 vおよび wはそれぞれ独立して 1〜10の整 数を表す) である糖ペプチドを提供する。 '
糖鎖とメチレンとの結合様式は、 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「o— c」 結合である。
さらに好ましい実施形態において、 上記糖ペプチドは、 インスリン、 エリス口 ポェチン、 ィムネ一ス、 G— CSF、 グルカゴン、 ソマトス夕チン、 コレシスト キニン、 アドレナリン、 副腎皮質刺激ホルモン、 J3エンドルフィンおよびネオェ ンドルフインからなる群より選択される。 最も好ましくは、 上記糖ペプチドは、 インスリンである。
なおさらに好ましい実施形態において、 上記糖鎖は、 La c、 LacNAc、 S i a α; 2, 3— Lac、 S i a a 2, 3— LacNAc、 S i aひ 2, 6— L a c、 S i aひ 2, 6— L a c NAc、 F u c a 1 , 2_La c、 S i a a 2, 8 -S i a a 2, 3— La c、 S i aひ 2, 8 -S i a a; 2, 3 -L a c NAc, S i a a 2, 8 - S i a a 2 , 6 - L a c , S i a a 2, 8 - S i a a 2, 6 - La c NAc、 S i a a 2, 8 - S i a a 2, 3— (Fuc a l, 2_) La c、 および S i aひ 2, 8 -S i a a 2, 6— (Fu c a 1, 2 -) Lac (式中、 La cはラクト一ス、 L a cNAcは 2—ァセチルアミノラク } ^一ス、 S i aは シアル酸、 Fucはフコースを表す) からなる群より選択される。
なお最も好ましい実施形態において、 上記糖鎖は、 La c、 La cNAc、 S i a a; 2, 3_La c、 S i a a; 2 , 3 _ L a c NA cからなる群より選択され る。
別の好ましい実施形態において、 本発明は、 インスリンの N末端のフエニルァ ラニンがグルタミンに変換されたペプチドの N末端または N末端から 4番目のグ ルタミンのアミノ酸側鎖が、 以下の式:
-(CH2)m-NH-C(=0)-(CH2)2-,
,(CH2)m - NH_ (CH2)n-C(=0)-NH
纖—(CH2)P— NH-C(=0)-CH
(CH2)5
NH
C(=0)
I
(CH2)2 糖鎖- (CH2)m_NH— (CH2)n— C(=0)-NH
I
糖鎖一(CH2)。— NH— C(=0)二 CH— NH - ς(=0) - CH
糖鎖— (CH2)t— NH— C(=0) -(CH2)U (CH2)S
NH
C(=0)
I
(CH2)2
または
糖鎖—(CH2)m— NH— C(=0)—(CH2)n— CH2
• I
糖鎖一 (CH2)P - NH - C(=0) - CH - NH - C(=0) - <CH2>3— C(=0)- NH 麟ー(CH2)t - NH— C(=0)— CH— NH - C(=0)- -CH
I
讓ー(CH2)U 題一 C(=0)— (CH2)V (CH2)W
NH
I
C{=0) (CH2)2
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 v、 および wはそれぞれ独立して 1〜 10の 整数を表す)
で表される側鎖であるィンスリンを提供する。
糖鎖とメチレンとの結合様式は、. 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「0— C」 結合である。
別の局面において、 本発明は機能的糖ペプチドを調製する方法を提供する。 こ のような方法は、 A) 少なくとも 1つのアミノ酸残基にグルタミンを含む、 目的 とするペプチドを提供する工程;および B)該グルタミンに糖鎖を導入する工程、
を包含する。 ここで、 目的とするペプチドは、 野生型形態のペプチドにおいて、 少なくとも 1つのグルタミン以外のアミノ酸残基をグル夕ミンに置換することに より提供されてもよく、 あるいは、 そのような位置にグルタミンを有する野生型 形態のペプチドを直接提供してもよい。 このようなグルタミン残基は、 上記ぺプ '5' チドの C末端または N末端から 1 2アミノ酸以内に存在してもよいがそれに限定 されない。
好ましい実施形態では、 本発明の方法では、 目的とするペプチドのアミノ酸配 列において、 グルタミンに 化させても目的とするペプチドの生物学的活性を喪 失しない残基を同定する工程をさらに包含する。 このような工程を有することに
10 よって、 本発明において、 着実に機能的糖ペプチドを生産する;!とができる。 こ こで、 グルタミンが置換される少なくとも 1つのアミノ酸残基は、 このような方 法によって同定された残基であるが、 このような残基以外の残基が改変されてい
' てもよい。 このような同定工程は、 例えば、 糖ペプチドの表面上のアミノ酸残基 を同定することを包含してもよい。 目的とするペプチドは、 目的とするペプチド
15 の野生型形態においてプロテアーゼ消化を受けやすい部位を同定し、 その部位に ダル夕ミンが存在しない場合、 プロテアーゼ消化を受けやすい部位をグル夕ミン に置換することによって提供され得る。
改変されるペプチドは、 野生型ペプチドであっても、 合成された人工改変ぺプ チドであってもよい。
20 グルタミンへの糖鎖の導入は、 通常、 トランスダル夕ミナーゼを利用し、 前記 糖鎖はアミノ基を含むが、 それに限定されない。 トランスダルタミナーゼは、 グ ル夕ミンに特異性が高いことから、 グルタミン残基のみに糖鎖を導入するために 有利に用いられる。 ァミノ基と糖鎖とは直接結合されていてもよいが、 スぺ一サ —を介して結合されていてもよい。
25 好ましい実施形態において、 本発明の機能的糖ペプチド生産法では、 糖鎖をさ らに伸長する工程をさらに包含してもよい。 伸長工程を有することによって、 原 理的には、 無限に糖鎖を付加することができる。 また、 トランスダル夕ミナーゼ を用いる場合に、 限界となる導入される糖鎖の大きさの限度を事実上なくすこと にもなる。
そのような糖鎖伸長は、 β 1, 4—ガラクトース転移酵素、 1, 3—ガラク トース転移酵素, β 1, 4—ガラクト―ス転移酵素, β 1, 3—ガラクト―ス転 移酵素, ^ 1, 6—ガラク卜—ス転移酵素、 ひ 2, 6—シアル酸転移酵素、 1, 4一ガラクト一ス転移酵素、 セラミドガラクトース転移酵素、 ひ 1, 2—フコー ス転移酵素、 α ΐ, 3—フコース転移酵素、 α ΐ, 4—フコース転移酵素、 1, 6—フコ一ス転移酵素、 ひ 1, 3—Ν—ァセチルガ,ラクトサミン転移酵素、 α ΐ, 6— Ν—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 jS l, 4— N—ァセチルガラクトサ ミン転移酵素、 ポリペプチド N—ァセチルガラクトサミン転移酵素、 ^ 1, 4一 N—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1, 2 _Ν—ァセチルダルコサミン転移 酵素、 β 1, 3— Ν—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1, 6—Ν—ァセチル ダルコサミン転移酵素、 ひ 1, 4一 Ν—ァセチルダルコサミン転移酵素、 β 1,. 4一マンノース転移酵素、 ひ 1, 2 _マンノース転移酵素、 α ΐ, 3—マンノ一 ス転移酵素、 ひ 1, 4一マンノース転移酵素、 ひ 1, 6—マンノース転移酵素、 1, 2—グルコース転移酵素、 α 1, 3—グルコース転移酵素、 ひ 2, 3—シ アル酸転移酵素、 ひ 2, 8—シアル酸転移酵素、 α'1, 6—ダルコサミン転移酵 素、 ひ 1, 6—キシ口一ス転移酵素、 )3キシロース転移酵素 (プロテオダリカン コア構造合成酵素) 、 )31, 3—グルクロン酸転移酵素およびヒアルロン酸合成 酵素からなる群より選択される酵素を利用してもよいが、 それに限定されない。 糖鎖伸長に使用する酵素は、 それぞれの適切な条件下で用いることが好ましい。 さらなる実施形態において、 本発明は、 1または数個のアミノ酸残基の置換、 付加および Ζもしくは欠失、 ならびに または糖鎖および脂質からなる群より選 択される少なくとも 1つの生体分子を導入する工程をさらに包含する。 このよう な付加工程は、 当該分野において周知の技術を用いて行うことができる。
さらなる実施形態では、 本発明の機能的糖ペプチド生産法は、 糖鎖.が導入され た機能的糖ペプチドを精製する工程をさらに包含する。 そのような精製法は、 本 明細書において上述したように、 どのようなものを用いてもよい。
1つの好ましい実施形態において、 本発明は、 以下の式:
讓— (CH2)m - NH2、
糖鎖— (CH2)m— NH— (CH2)„-C(=0)-NH
I
纖- (CH2)P— NH - C(^O) - CH
(CH2)S
NH2、
糖鎖— (CH2)m-NH— (CH2)n— C(-0) - NH
糖鎖- (CH2)P - NH— C(=0) - CH-NH- C(=0)- CH
纖- (CH2) NH - C(=0) - (CH2)U (CH2)S
NH2, または
*l^-(CH2)m-NH-C(=0)-(CH2)n-CH2
顧— (CH2)P— NH— C(=0)— CH— NH-C(=0)-(CH2)s-C(=0)-NH 顧— (CH2)t— NH - C(=0) - CH— NH - C(=0)—CH 讓ー (CH2)U - NH - C(=0) -(CH2)V (CH3)W
NH2
(式中、 m、 n、 p、 s、 t、 u、 vおよび wはそれぞれ独立して:!〜 10の整 数を表す) で表される化合物と、 少なくとも 1つのアミノ酸残基にグルタミンを 含むペプチドと、 をトランスダルタミナーゼの存在下で反応させることを特徴と する、 糖ペプチドの製造方法を提供する。
糖鎖とメチレンとの結合様式は、 糖の 1位水酸基由来の酸素原子とメチレンの 炭素原子が結合した 「0— C」 結合である。
本発明において用いられる、 置換されたアミノ酸配列を有するペプチドは、 合 成により生産されてもよく、 遺伝子工学的に生産されてもよい。 従って、 本発明 の機能的糖ペプチド生産法は、 このような合成工程および Zまたは遺伝子工学的 な産生工程を包含し得る。
好ましい実施形態では、 本発明の機能的糖ペプチドの生産法は、 所望の生物学 的活性が亢進されているかどうかを判定する工程をさらに包含する。 そのような 活性判定は、 当該分野において周知のアツセィ方法を用いて行うことができる。 別の局面において、 本発明は、'本発明の機能的糖ペプチドの生産法によって生 産された糖ペプチドに関する。
別の局面において、 本発明は、 本発明の糖ペプチドを含む、 医薬組成物、 食品 組成物、 化粧品組成物、 高分子材料組成物、 農薬組成物などに関する。 このよう な組成物の処方は、 本明細書において上述したとおりであり、 当業者によって容 易に調製され得る。
本明細書において引用された、 科学文献、 特許、 特許出願などの参考文献は、 その全体が、 各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考とし て援用される。
以上のように、 本発 Kの好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、 本発明は、 この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。 本発明は、 特 許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。 当業者は、 本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、 本発明の記載および 技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。 本明 細書において引用した特許、 特許出願および文献は、 その内容自体が具体的に本 明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用 されるべきであることが理解される。
実施例
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、 本発明はこれらの実施例に限 定させるものではない。 '
(実施例 1 :直鎖状糖鎖を付加したィンスリンの製造およびその機能)
1 . 1 インスリンの改変および製造
本実施例では、 機能的糖ペプチドの代表例として、 インスリンを用いて、 本発 明の効果を実証した。 '
インスリンにおいて、 糖鎖を付加したい箇所のアミノ酸をグルタミン残基に変 異させるかまたは野生型のものを、 調製した。 その調製法を以下に簡便に示す。 まず、 配列番号 2 (A鎖野生型) および 4 (B鎖野生型) に基づいて、 以下の 配列のものを遺伝子工学的に生産した。
野生型: (配列番号 2および 4)
B-F 1Q (配列番号 6)
B-T30Q (配列番号 8)
A-G1Q (配列番号 10)
A-N21 Q (配列番号 12) 。
上記インスリンは、 N末端に H i sタグを付けたプロインスリン遺伝子に各プ ライマーを用いて変異を導入した。 各々の改変に用いたプライマーは以下のとお りである。
B - F 1 Q: 5' gga tec ggg tgg ccg cca agt gaa cca aca cct g3.' (配列番号 13) . '
5' cag gtg ttg gtt cac ttg gcg gcc acc egg arc c3' (目 id列番号
14)
B -T 30 Q: 5' cta cac acc caa gca acg ccg gga ggc ag3' (配列番号 1 5)
5' ctg cct ccc ggc gtt get tgg gig tgt ag3' (配歹 !i番号 16) A— G1Q: 5' gtc cct gca gaa gcg tea aat tgt gga aca atg ctg 3' (配列 番号 17) ―
A-N 21 Q: 5' cag cat tgt tec aca att tga cgc ttc tgc agg gac 3' (配 列番号 18) 。
それぞれの改変体を発現べクタ一 pQE 3 1 (Q I AGEN、 オランダ) に組 み込み、 大腸菌 M l 5株に形質転換した。
ヒトインスリンの 1次構造は、 A鎖が 21個のアミノ酸 (配列番号 2) からな り、 B鎖は 30個のアミノ酸 (配列番号 4) からなり、 2箇所のジスルフイド結 合によって両方の鎖が連結されている。
上記形質転換体を、べク夕一製造業者が提唱するプロトコルに従って発現させ、 精製を行い、 H i s—プロインスリンを封入体として得た。
このペプチドを以下の実験に用いた。 なお、 ペプチドが正しい配列であるかど
うかの決定は、 ペプチド配列決定機を用いて確認した。
1. 2 プロインスリンの巻き戻し
大腸菌から得られた封入体の H i sタグ付きプロインスリン (H i s— P r o I n s u 1 i n、配列番号 19および 20)を、 5 OmM T r i s -HC 1 (p H8. 0) 、 8M尿素、 10 OmM Na2S03, 1 OmM Na2S4〇6中で室温 3時間で反応させ、 インスリンのシスティン残基をスルホン化した後、 5 OmM グリシン一 Na〇H (pHl 0. 05) で緩衝液交換を行い、 タンパク質濃度 0. lmgZmlに合わせ、 そこにメルカプトエタノールを 1. 5モル システ インモルとなるように加え、 4°Cで 1終夜攪拌し、 タンパク質を巻き戻した。
1. 3 インスリンの精製
巻き戻された H i s—プロインスリンは、 10 OmM Tr i s—HC l (p H7. 5) 、 0. 1 % Twe e n 20でタンパク質濃度 2mgZm 1となるよ うに溶かし、 トリプシン、 カルボキシぺプチダ一ゼ Bをそれぞれ最終濃度 50η g/ml、 100 n gZm 1となるように加え、 37°C、 30分間反応させ、 H i sタグ、 プロインスリンの C鎖を同時除去することによりインスリン標品を得 た。 精製は、 上記反応液を C4逆相液体高速クロマトグラフィーカラム (Vyd a c) を通すことで精製した。
1. 4 直鎖状糖鎖の調製
トランスダル夕ミナ一ゼによって転移されるためには、 アミノ基を有すること が必要であることから、 導入を目的とした糖鎖にアミノ基およびスぺ一サー (C 6基など) を導入した。 導入は、 以下のとおりである。
全水酸基をベンゾィル保護したラクト一スに CH2C 13、 HB r存在下で 0°C で反応させ、 1位水酸基を B r化した。 これに Z化したァミノへキサノール (H OCH2CH2CH2CH2CH2CH2NHCOOCH2-C6H10) を、 AgOT f ZCH2C 12中でグリコシデーシヨン反応を行って結合させ、 MeONa/M eOH、 THF中でベンゾィル保護を取り除き、 次いで P d— C/MeOH中で
Z保護を取り除き、 スぺーサーを有するラクトース (6—ァミノへキシルラクト ース、 La c. Am i n o h e x. ) を得た。
ァミノへキシルラク卜ースが調製されたか否かは、 NMRなどで確認した。 1. 5 インスリンへの直鎖状糖鎖付加
反応は、 野生型インスリン (WT) の場合、 インスリン (0. ImM) 、 La c. Am i n oHe x (0. 9mM) 、 C a C 12 (5mM) 、 Tr i s -HC 1 (20mM、 pH7. 5) 、 GSH (1 OmM) 、 トランスダル夕ミナ一ゼ(3. 5 U/m 1 ) ; 37 °Cおよび 30分間行つた。
また、 改変型インスリン (B— F 1Q、 B— T30Q、 A—G1Q) の場合、 インスリン (0. ImM) 、 La c. Am i n oHe x (0. 9mM) 、 CaC 12 (5mM) 、 T r i s— HC 1 (2 OmM, pH7. 5) 、 トランスダルタミ ナ一ゼ (3. 5U/m 1 ) ; 37°Cおよび 30分間反応を行った。
トランスグルタミナ一ゼは、 オリエンタル酵母工業 (株) (東京、 日本) から 入手した。反応液は、 C4逆相液体高速クロマトグラフィーカラム(Vyd a c) に通し、 糖鎖付加型インスリン (La,c— I n s. ) を得た。
反応が進行したかどうかは、 MALD I— TO F— MAS Sで確認した。
MALD I— T〇F— MAS Sでの確認は、 条件 (波長 (λ) : 337 nm; マトリックス: 2, 5—ジヒドロキシ安息香酸 (DHB) ;サンプル濃度: 10 δ Ο ρπιο Ι/ ΐ) を条件として用いた。
MALD ί— TOF— M^ S Sの測定結果より、 野生型、 A— N21Qは、 糖 鎖がほとんど結合しないことが判明し、 それ以外のインスリンにはある程度糖鎖 が入ることが明らかになつた。
1. 6 糖鎖伸長
次に糖鎖の伸長を行った。 本実施例では、 ラクト一スにシアル酸を付加した。 反応溶液の組成は、 La c— I n s. (0. 15mM) 、 CMP-Ne uAc
(0. 8mM) 、 BSA (0. 2%) , MnC 1 2 (1. 6mM) 、 Tr i t o
n CF 54 (0. 2%) , C I AP (0. 0 1 ) 、 カコジル酸ナトリ ゥム緩衝液 (5 OmM)、 α 2, 6—シアル酸転移酵素を含んだ。反応は、 37°C および 1終夜行った。
インスリンの改変体についても同様の反応を行った。 反応液は、 C 4逆相液体 高速クロマトグラフィーカラム (Vyd a c) に通し、 シアルリルラクトース付 加型ィンスリン (S i a— La c— I n s. ) を得た。
1. 7 マウスへの投与時の変化
6〜8週齢のマウス (C 57 BLZ6 J J c l) を、 18〜20時間絶食さ せ、 S t r e.p t o z o t o c i n 20 Omg/k g (体重)を腹腔内投与し、 血糖値 40 Omg/d 1以上のものを糖尿病マウスとして、 インスリンの活性測 定に使用した。
インスリンの投与は皮下注射によって行い、 血糖値の測定は、 尾静脈より採取 した血液をダイァセンサ一 (ARKRAY) によって測定した。
本実施例では、 WT (野生型) 、 B— F 1Q、 B— T30Qおよび A— G 1Q (3改変体) を投与したときの血糖値変化を調べた。 まず、 種々の位置における 糖鎖付加のインスリン (1U) をマウスに投与したときの血糖値の変化を図 2 A および Bに示す。 横軸は、 各インスリン投与後の経過時間を示し、 縦軸は血糖値 を示す。 この結果、 2つ (インスリン (B— F 1Q) および (B— T30Q) ) は、 インスリン活性を維持していることが判明した。 残りのインスリン.(A— G 1Q) 、 ならびに (B_F 1Q、 B— T30Qおよび A— G 1 Q) の組み合わせ でも活性は保持されていた。
次に、 種々の糖鎖を付加した各インスリン (1U) をマウスに投与したときの 血糖値の変化を示す。
投与サンプルはインスリン (WT) 、 インスリン (B— F 1Q) 、 La c— I n s. (B— F 1 Q) および S i a— L a c— I n s. (B— F 1Q) の 4種類 とした。
図 3 A〜 Cにその結果を示す。結果から明らかなように、改変型ィンスリン(B -F 1Q) は、 上述の実施例とほぼ同様の結果が得られ、 コントロールとほぼ差 がないことが確認された。 また、 L a c— I n s. (B— F 1Q) は、 コント口 ールと比較して若干強い血糖値抑制効果を示すことが確認された。 また、 S i a — La c— I n s. (B— lQ) は、 血糖値がコントロールに比べ、 長時間低 い位置を維持していた。 従って、 コントロールに比べ、 活性が長時間維持されて いたことが明らかになった。
このように、 3糖またはそれ以上へのサイズ変化またはシアル酸の付加により、 活性が上昇したことがわかつた。
1. 8 CD曲線
次に、 インスリン (WT) 、 インスリン (B— F 1 Q) 、 L a c— I n s. (B 一 F 1 Q) および S i a-L a c- I n s. (B— F 1 Q) の CD (円偏光二色 性) を調べた。 その検査方法は以下のとおりである。
各インスリンは、 PBS (pH7. 4) に溶かし、 紫外線波長 280 nmの吸 収によってサンプル濃度を決定した。 CDスペクトルの測定範囲は、 200~3 0 Om (nm) で行った.。
- CDスペクトルの測定結果より、 インスリンに改変を施したことまたは糖鎖の 付加では、 インスリンの構造は実質的に変化していなかったことが確認された。 ' (実施例 2 :分枝状糖鎖を付加したインスリンの製造およびその機能)
2. 1 二本鎖型糖鎖の調製
2. 1. 1 化合物 (4) の合成
Νε— Z— L—リジン (2. 00 g, 7. 13mmo 1 ) のメタノール (80 mL) 溶液に、 無水コハク酸 (2. 14 g, 2 1. 4mmo 1 ) を加え、 12時 間、 40° Cで撹拌した。 反応後、 混合物を減圧濃縮し、 DEAE— s e ph a e e l (溶出溶媒: 0· 0 1M炭酸水素アンモニゥム) を用いたクロマトグラフ ィ一により精製し、 化合物 (4) (2. 54g, 86%) を得た (図 5のスキ一
ム 1) 。
la] D-t- 20. 4° (c O. 264, Me OH) ; — NMR (D20) δ 7. 48- 7. 39 (m, 5H, 芳香族) , 5. 10 (s, 2 H, PhCH2) , 4. 13 (d d, 1H, Ly s -CH2 (ひ) ) , 3. 12 (t, 2H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 55-2. 46 (b r, 4H, COCH2CH2CO) , 1. 77 (m, 1H, Ly s -CH2 ()3) ) , 1. 66 (m 1 H, L y s - C H2 (j3) ) , 1. 48 (m, 2H, Ly s— CH2 (δ) ) , 1. 34 (m2H, Ly s -CH2 (r) ) ; C18H22N207 - (NH4) 2についての分析計算値: C, 52. 16 ; H, 7. 30 ; N, 13. 52. 実測値: C, 52. 64 ; H, 7. 09 ; N, 13. 03。
2. 1. 2 化合物 (5) の合成
化合物 (4) (30 Omg, 0. 724mmo 1 ) の DMF (5. OmL) 溶 液に、 ピリジン (140 .L, 1. 74mmo 1 ) およびトリフルォロ酢酸ペン 夕フルオロフェニル (3 18 L, 1. 8 lmmo 1) を加え、 室温で 1時間撹 拌した。 反応液を酢酸ェチルで希釈し、 水、 0. 1NHC 1水溶液、 水、 5%N aHC〇3水溶液、 水で連続的に洗浄した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをシ リカゲルクロマトグラフィー (溶出溶媒:へキサン一酢酸ェチル (1 : 1, γ/ V) ) により精製し、 化合物 (5) (44 Omg, 77%) を得た (図 5のスキ ーム 1) 。
[a] D— 7. 8° (c O. 155, CHC 13) ; ^-NMR (CDC 13) δ 7. 3 6 - 7. 26 (m, 5H, 芳香族) , 7. 04 (d, 1 Η, ΝΗ (α) ) , 5. 20 (b r t, 1Η, ΝΗ (ε) ) , 5. 08 (s, 2 Η, PhCH2) ,, 4. 84 (d d, 1H, Ly s -CH2 ( ) ) , 4. 2 0 (b r, 2 H, Ly s -CH2 (ε) ) , 3. 0 1 (m, 2H, COCH2) , 2. 66 (m, 2H, COCH2) , 1. 95 (m, 2 H, Ly s -CH2 (j3) ) , 1. 52 (m, 4 H, Ly s -CH2 (ΰ, r) ) ; C30F10H22N2〇7についての分析計算値:
C, 50. 57. ; H, 3. 1 1 ; N, 3. 93. .実測値:(:, 50. 84 ; H, 3. 45 ; N, 4. 08。
2. 1. 3 化合物 (6) の合成
3—ァミノプロピル一 2—ァセトアミドー 3, 4, 6—トリ—〇ーァセチル— 2—デォキシ— J3—D—ダルコピラノシド (195mg, 0. 42 Ommo 1 ) の DMF (5. OmL) 溶液に、 化合物 (5) (l O Omg, 0. 14 Ommo
1 ) およびジイソプロピルェチルァミン (73. 2 f L, 0. 42 Ommo 1 ) を加え、 室温で 17時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをシリカゲル クロマトグラフィー (溶出溶媒:クロ口ホルム—メタノール (8 : 1, v/v) ) により精製し、化合物(6) (136mg, 84%)を得た(図 5のスキーム 1)。
[ひ] 。一 1 1. 0° (c O. 197, DMF) ; .^- MR (DMSO- d 6) δ 7. 92 (d d, 1 H, NH (a) ) , 7. 89 (t, 2 H, NH) , ,7. 80 (d d, 1 H, NH) , 7. 75 (d d, 1 H, NH) , 7. 38— 7. 2 8 (m, 5 H, 芳香族) , 7. 19 ( t , 1 H, NH (ε) ) , 5. 06 (t, 2H, J 2j 310. 0Hz, H— 3) , 4. 99 (s, 2H, PhCH2) , 4. 82 ( t , 2H, J 3> 410. 5Hz, H-4)", 4. 59 (d, 1 H, J 2 8. 2Hz, H- 1) , 4. 58 (d, 1 H, J 1; 28. 4Hz, H- l) , 4. 18 (d d, 2H, J 5, 6a4. 7Hzおよび J 6a, 6b12. 4Hz, H_6 a), 4. 10 (m, 1 H, Ly s - CH2 ( ) ) , 4. 00 (d t, 2H, H— 6 b) , 3. 82 (m, 2H, H- 5) , 3. 75 - 3. 68 (m, 4H, 〇CH 2, H- 2) , 3. 43 (m, 2H, 〇CH2) , 3. 07 (m, +2H, NHCH
2) , 3. 02 (m, 2H, NHCHJ , 2. 95 (m, 2 H, Ly s _CH2 (ε) ) , 2. 38 -2. 28 (m, 4H, COCH2) , 2. 01, 2。 0 1, 1. 96, 1. 90, 1. 77, 1. 76 (全て 24 H, Ac X 8) , 1. 66 — 1. 55 (m, 5 H, — CH2_X 2, Ly s— CH2 ()3) ) 1. 46 (m, 1H, Ly s -CH2 (/3) ) 1. 36 (m, 2H, Ly s -CH2 (δ) ) 1.
2 7 (m, 1H, Ly s -CH2 (r) ) 1. 2.0 (m, 1 H, Ly s—ァ) ; C52H76N6023 · 3H20についての分析計算値: C, 5 1. 73 ; H, 6. 85 ; N, 6. 9 6. 実測値: C, 5 1. 7 6 ; H, 6. 6 5 ; N, 6. 8 9。
2. 1. 4 化合物 (7) の合成
化合物(6) (4 Omg, 34. 7 mo 1 ) のメタノール一水( 3 · OmL,
2 : 1) 混合溶液に、 トリェチルァミン (2 32 t L, 1. 6 6mmo l ) を加 え、 室温で 4時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをゲルろ過クロマト グラフィ一 (S e p h a d e xG— 2 5溶出溶媒:水) で精製し、 凍結乾燥によ り化合物 (7) (2 8. Omg, 9 0 %) を得た (図 5のスキーム 1) 。
[ひ] D_ 2 8. 0° (c 0. 3 14, H20) ; ^-NMR (D20) δ 7.
45 - 7. 3 5 (m, 5 H, 芳香族) , 5. 0 3 (s, 2H, P hCH2) , 4. 48 (d, 1 H, J 28. 5Hz, H— 1) , 4. 47 (d, 1 H, 】 1> 28. 8Hz, H— 1) , 4. 1 5 (b r, 1H, Ly s -CH2 (ひ) ) , 3. 9 2 (d d, 2H, J 5> 6a4. 2Hzおよび J 6a, 6b 1 3. 4Hz, H一 6 a) , 3. 8 8 (m, 2H, OCH2) , 3. 7 5 (d d, 2 H, J 5, 6b3. 7Hz, H— 5) , 3. 70 (d d, 2H, J 2, 31 0. 1Hz, H - 2) , 3. 5 9 (m, 2H, 〇CH2) , 3. 5 6 (m, 2 H, H_ 3) , 3. 45 (m, 4H, H— 4, H- 6 b) , 3. 30— 3. 1 5 (m, 4H, NHCH2) , 2. 9 5 ( t,
2H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 5 5 (m, 2H, C〇CH2) , 2. 5 0 (m, 2 H, COCH2) , 1. 9 3 (s, 6 H, Ac X 2) , 1. 8 3— 1. 7 3 (m, 5H, _CH2— X 2, Ly s -CH2 (jS) ) 1. 6 7 (m, 1 H, Ly s -C H2 (j3) ) 1. 48 (m, 2 H, Ly s一 CH2 (δ) ) 1. 3 3 (m, 2 H, Ly s -CH2 (r) ) ; 13C-NMR (D2〇) 5 1 77. 4, 1 7 7. 1 X 2, 1 76. 8, 1 6 1. 0, 1 3 9. 2, 1 3 1. 4X 2, 1 3 1. 0, 1 3 0. 2 X 2, 1 0 3. 6 X 2, 78. 5 X 2, 7 6. 5 X 2, 72. 6 X 2, 7 0。 4, 7 0. 3, 6 9. 4, 63. 4 X 2, 5 8. 2 X 2, 56. 7, 42. 7,
38. 9, 38. 8, 33. 6, 33. 5, 33. 3, 31. 0 X3, 24. 8 X 3 ; C4。H64N6〇17 · 5H20についての分析計算値: C, 48. 48 ; H, 7. 52 ; N, 8. 47. 実測値: C, 48. 26 ; H, 7. 14; N, 6. 8 2. 1. 5 化合物 (8) の合成
化合物 (7) (30. Omg, 33. 3 mo 1 ) および UD P—ガラク 1 ^一 ス (48. 8mg, 79. 9 mo 1 ) を 5 OmMHE P E S緩衝液 (p H 6. 0, 0. 5 OmL,含 1 OmM塩化マンガン) に溶解し、その反応溶液に) 3— 1, 4—ガラクトシルトランスフェラ一ゼ 1U) を加え、 37° Cで 48時間培養 した。 限外ろ過 (4mL M i c r o s e p c on c e n t r a t o r (10 kD a Mw c u t o f f ) ) により、 除タンパクした後、 DEAE— S e ph a c e lカラム (溶出溶媒: 0. 01 M炭酸水素アンモニゥム) 、 さらにゲ ルろ過クロマトグラフィー (S e ph ad exG— 25溶出溶媒:水) を用いて 精製され、 凍結乾燥後、 化合物 (8) (34. Omg, 83%) を得た (図 6の スキーム 2) 。
[a] D- 29. 0° (c 0. 172, H20) ; -NMR (D2〇) δ 7. 50 - 7. 40 (m, 5H, 芳香族) , 5. 14 (s, 2H, PhCH2), 4. 54 (d, 2H, J x> 27. 2Hz, H— 1) , 4: 50 (d, 2 H, J 1; 27. 9Hz, H— 1, ) , 4. 18 (b r t, 1H, Ly s— CH2 (ひ) ) , 3. 9 1 (b r d, 2 H, H - 6 a) , 3. 86 (d, 2H, H— 4' ) , 3. 83 (m, 2H, OCH2) , 3. 76 (d d, 2H, J 5> 6b4. 9Hzおよび J 6a, 6b 12. 0Hz, H - 6 b) , 3. 80— 3. 65 (m, 16H, H- 2, H - 3, H-4, H- 5, H - 3' , H - 5' , H - 6' a, H— 6' b) , 3. 6 3— 3. 55 (m, 4H, OCH2, H- 2 ' ) , 3. 36— 3. 20 (m, 4 H, 題 CH2) , 3. 18 (b r, 2H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 57 (m, 2H, COCH2) , 2. 54 (m, 2H, COCH2) , 2. 06 (s, 6 H,
Ac X 2) , 1. 80 - 1. 75 (m, 5 H, — CH2— X2, Ly s -CH2 (iS) ) 1. 72 (m, 1H, Ly s -CH2 (β) ) 1. 53 (m, 2H, Ly s— C H2 (<5) ) 1. 37 (m, 2H, Ly s -CH2 (r) ) ; 13C— NMR (D2 O) 51 77. 3, 177. 0, 176. 7, 164. 4, 161. 0, 139. 2, 13 1. 4X 2, 130. 9, 130. 2 X 2, 105. 5 X 2, 103. 6 X 2, 81. 1 X 2, 77. 9 X 2, 77. 3 X 2, 75. 1 X 2, 75. 0 X 2, 73. 5 X 2, 7 1. 1 X 2, 70. 3 X 2, 7 0. 2 X 2, 69. 3, 63. 6 X 2, 62. 7 X 2, 57. 7 X 2, 56. 6, 42. 6, 38. 8, 38. 7, 33. 5, 33. 4, 33. 2, 30. 9 X 3, 24. 8X 3 ; C52 H85N6027についての FAB—HRMS計算値 [M + H] +, 1225. 546 2。 実測値: 1225. 5440。
2. 1. 6 化合物 (1) の合成
化合物 (8) (2 Omg, 16. 32 mo 1 ) のメタノール—水 (7. 0m L, 5 : 2 (v/v) ) 混合溶液に、 10%パラジウム—活性炭 (1 Omg) お よび氷酢酸 (2. 8 1 L, 48. 96 jumo 1 ) を加え、 水素雰囲気下で 6時 間撹拌した。 ろ過の後、 減圧濃縮し、 得られた残渣をイオン交換クロマトグラフ ィ一 (CM— S e p h a d e xC_ 25、 溶出溶媒: 0. 0 1— 0. 10 M酢酸 アンモニゥム) 、 およびゲルろ過クロマトグラフィー (S e ph ad exG_2 5溶出溶媒:水) により精製し、 凍結乾燥の後、 二本鎖型糖鎖として化合物 (1) (1 7. 5mg, 92%) を得た (図 6のスキーム 2) 。
[a] D - 28. 2° (c O. 294, H20) ; 一 NMR (D20) 6 4. 52 (d, 1 H, J !, 27. 6Hz, H— 1) , 4. 5 1 (d, 1 H, J 1; 27. 8Hz, H— 1) , 4. 48 (d, 2H, , 27. 7Hz, H— l ' ) , 4. 19 (d d, 1H, Ly s -CH2 (ひ) ) , 3. 96 (b r d, 2H, J 6a, 6 b 12. 2Hz, H- 6 a) , 3. 93 (d, 2 H, J 3, 43. 5Hz, H—4' ), 3. 91 (m, 2H, 〇CH2) , 3. 84 (d d, 2H, J 5, 6b5。 2Hzお
よび J 6 a, 6b 12. 0Hz, H— 6 b) , 3. 8.0 - 3. 68 (m, 14H, H -2, H— 3, H-4, H - 5, H - 5' , H - 6' a, H— 6' b) , 3. 6 7 (d d, 2H, J 2> a 9. 9Hz, H—3' ) , 3. 61 (b r, 2 H, 〇C H2) , 3. 54 (d d, 2H, J 2> 310. ΙΗζ, Η— 2' ) , 3. 30— 3. 15 (m, 4H, NHCH2) , 3. 00 (t, 2H, Ly s— CH2 ( ε) ) , 2. 60 (m, 2H, C〇CH2) , 2. 54 (m, 2H, COCH2) , 2. 0
4 (s, 6H, Ac X 2) , 1. 93 (s, 3 H, Ac OH) , 1. 76 (m, 4H, -CH2-X 2) , 1. 69 (m, 4H, Ly s -CH2 (β,. δ) ) 1.
55 - 1. 36 (m, 2H, Ly s— CH2 (r) ) ; C44H78N6025N aに ついての ES I— HRMS計算値 [M + Na] +, 11 13. 4914。 実測値:
1113. 4910。
2. 2 .三本鎖型糖鎖の調製
2. 2. 1 化合物 (9) の合成
化合物(8) (1. 30 g, 4. 64mmo 1 ) の DMF (8 OmL)溶液に、 コハク酸ァリル、 コハク酸イミドエステル (1. 29mL, 9. 28mmo 1 ) およびトリェチルァミン (1. 29mL, 9. 28mmo 1 ) を加え、 室温で 8 時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをシリカゲルクロマトグラフィー
(溶出溶媒:クロ口ホルム一メタノール (40 : 1, v v) ) により精製し、 化合物 (9) (1. 92 g, 98 %) を得た (図 7のスキーム 3) 。,
[Q!] D+8. 7° (c O. 282, MeOH) ; ^-NMR (CDC 13) δ 7. 33 (b r s, 5 H, 芳香族) , 6. 79 (b r d, 1 H, NH ( ) ) , 5. 85 (m, 1H, CH2 = CH— ) , 5. 29-5. 1 1 (m, 3H, CH2 - =CH— , NH (ε) ) , 5. 07 (s, 2H, PhCH2) , 4. 60 (m, 1H, Ly s -CH2 ( ) ) , 4. 55 (d, 2 H, — CH20) , 3. 18 (m, 2 H, Ly s -CH2 ( ε) ) , 2. 73 (m, 2H, C〇CH2), 2. 54 (m, 2H, C〇CH2), 1. 88 (m, 1 H, Ly s -CH2 (β) ) , 1, 73 (m
1H, Ly s -CH2 (/3) ) , 1. 50 (m, 2H, Ly s -CH2 (<5) ) , 1. 38 (m2H, Ly s -CH2 (r) ) ; C21H28N2〇7についての分析計 算値: C, 59. 99 ; H, 6. 71 ; N, 6. 66. 実測値: C, 59. 60 ; H, 6. 81 ; N, 6. 68。
2. 2. 2 化合物 (10) の合成
化合物(9) (1. 00 g, 2. 38mmo l) 、 N—ヒドロキシコ八ク酸 (4 1 Omg, 3. 57 mmo 1 ) およびジシクロへキシルカルポジイミド (589 mg, 2. 86mmo 1 ) を DMF (10mL) に溶解し、 0° Cで 30分間撹 拌した。 L—グルタミン酸ジァリルエステル (763mg, 2. 86 mmo 1 ) の DMF (5. OmL)溶液を加え、 さらに 1 5時間室温で、撹拌した。反応後、 ろ過により不溶物を取り除いた後、 ろ液を酢酸ェチルで希釈し、 1NHC 1水溶 液、—飽和食塩水で洗浄した後、 減圧濃縮した。 得られたシロップをシリカゲルク 口マトグラフィー (溶出溶媒:クロ口ホルム—メタノール (40 : 1, Y/Y) ) により精製し、 化合物 (10) (1. 29 g, 86%) を得た (図 7のスキーム 3)
[ ] D-7. 1 ° (c 0. 272, CHC 13) ; LH— NMR (CDC 13) δ 7. 36 - 7. 26 (b r, 6 H, 芳香族, NH (G 1 u) ) , 6. 76 (b r d, 1H, NH (Ly s— CH2 ( ) ) , 5. 88 (m, 3 H, CH2 = CH -X 3) , 5. 29- 5. 1 1 (m, 7 H, CH2 = CH-X 3, NH (Ly s — ε) ) , 5. 06 (s, 2H, PhCH2) , 4. 60-4. 48 (d, 8 H, 一 CH2〇X 3, Ly s - CH2 ( ) , G 1 u-CH2 (ひ) ) , 3. 17 (m, 2H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 67 (m, 2 H, C〇CH2) , 2. 49 (m, 2H, COCH2) , 2. 42 (m, 2 H, G 1 u— CH2 (r) ) , 2。 20 (m, 1H, G 1 u-CH2 (j3) ) , 2. 0 1 (m, 1H, G l u— CH2 (j8) ) , 1. 85 (m, 1 H, Ly s— CH2 (β) ) , 1. 66 (mlH, Ly s— C H2 (j3) ) , 1. 50 (m, 2H, Ly s— CH2 (δ) ), 1. 39 (m2Hs
Ly s -CH2 (r) ) ; C32H43N3〇10 · 0. .5 H20についての分析計算値: C, 60. 1 7 ; H, 7. 05 ; N, 6. 58. 実測値: C, 60. 52 ; H, 6 · 89 ; N, 6. 89。
2. 2. 3 化合物 (1 1) の合成
化合物 (10) (500mg, 0. 704mmo 1 ) の THF (1 OmL) 溶 液に、 テトラキス (トリフエニルホスフィン) パラジウム (138mg, 0. 1 19mmo 1 ) および N—メチルァニリン (1. 29mL, 1 1. 9mmo 1 ) を加えられ、 窒素雰囲気下、 14時間撹拌した。 反応後、 減圧濃縮され、 イオン 交換クロマトグラフィー (Dowe X 5 OW— X8, H+- f o rm) 、 カラム クロマトグラフィー (溶出溶媒:クロロホルムーメ夕ノール( 15 : 1, v/v) ) により精製し、 化合物 (1 1) (300mg, 74%) を得た (図 7のスキーム 3) 。
[a] D— 7. 4° (c 0. 262, MeOH) ; ^-NMR (CD3OD) 6 7. 34- 7. 25 (b r, 5Η, 芳香族) , 5. 05 (s, 2 H, PhCH 2) , 4. 42 (d d, 1 H, G 1 u— CH2 ( ) ) , 4, 34 (d d, 1 H, Ly s -CH2 (a) ) , 3. 1 1 (t, 2 H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 6 0 (m, 2Ii, C〇CH2) , 2. 5 1 (m, 2 H, COCH2) , 2. 40 (t, 2H, G 1 u-CH2 (r) ) , 2. 1 9 (m, 1 H, G 1 u-CH2 (j3) ) , 1. 97 (m, 1H, G 1 u— CH2 (β) )., 1. 83 (m, 1ト I, Ly s— CH2 (i8) ) , 1. 66 (mlH, Ly s -CH2 (β) ) , 1. 51 (m, 2 H, Ly s -CH2 (<5) ) , 1. 42 (m2H, Ly s— CH2 (r) ) ; C23 H31N3〇10についての分析計算値: C, 54. 22 ; H, 6. 13 ; N, 8. 25. 実測値 ·: C, 53. 98 ; H, 6. 35 ; N, 8. 13。
2. 2. 4 化合物 (12) の合成
化合物 (1 1) (270mg, 0. 530mmo l) の DMF (5. OmL) 溶液に、 ピリジン (141 zL, 1. 75mmo 1 ) およびトリフルォロ酢酸べ
ン夕フルオロフェニル (321 L, 1. 83mmo 1) を加え、 室温で 1時間 撹拌した。 反応液を酢酸ェチルで希釈し、 水、 0. 1NHC 1水溶液、 水、 5% NaHC03水溶液、 水で連続的に洗浄した。 減圧濃縮後、 得られたシロップを シリカゲルクロマトグラフィー (溶出溶媒:へキサン一酢酸ェチル (1 : 1, V /v) ) により精製し、 化合物 (12) (42 Omg, 79%) を得た (図 7の スキーム 3) 。
[a] D- 10. 6° (c O. 254, CHC 13) ; ^-NMR (CDC 13) 67. 49 (d d, 1H, NH (G 1 u) ) , 7. 33 - 7. 26 (b r, 5 H, 芳香族) , 6. 86 (d d, 1H, NH (Ly s—ひ) ) , 5. 06 (s, 2H, P CH2) , 5. 05 (m, 1 H, NH (L y s— ε ) ) , 4. 96 (m, 1 H, G 1 u-CH2 ( ) ) , 4. 52 (d d, .1 H, Ly s -CH2 ( ) ) , 3. 16 (b r, 2H, Ly s— CH2 (ε) ) , 3. 10— 2. 90 (m, 2
H, C〇CH2) , 2. 84 (m, 2H, G 1 u-CH2 (r) ) , 2. 63 (m, 2H, COCH2) , 2. 47 (m, 1 H, G 1 u— CH2 (β) ) , 2. 22 (m, 1H, G 1 u-CH2 (jS) ) , 1. 92 (m, 1 H, Ly s -CH2 (β) ) ,
I. 74 (ml H, Ly s -CH2 (j3) ) , 1. 52 (m, 2H, Ly s— C H2 (δ) ) , 1. 41 (m2H, Ly s— CH2 (r) ) ; C41F15H28N30 10についての分析計算値: C, 48. 87 ; H, 2. 80 ; N, 4. 1 7. 実測 値: C,+ 49. 1 5 ; H, 2. 96 ; N, 4. 04。
2. 2. 5 化合物 (13) の合成
3—ァミノプロピルー2—ァセトアミド— 3, 4, 6—トリー O—ァセチル— 2—デォキシ— )3— D—ダルコピラノシド (207mg, 0. 446 mm o 1 ) 'の DMF (5. OmL) 溶液に、 化合物 (12) (10 Omg, 99. 2 ^mo 1) およびジイソプロピルェチルァミン (1 56 L, 0. 893mmo 1 ) を 加えられ、 室温で 1 7時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをシリカゲ ルクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロ口ホルム一メタノール(7: 1, vXv) )
により精製し、 化合物 (13) (1 Omg, 8.5%) を得た (図 8のスキーム 4) 。
[ ] D- 14. 4° (c O. 323, DMF) ; ^-NMR (DMSO-d 6) δ 8. 14 (b r d, 1 H, NH ( ) ) , 7. 96— 7. 88 (m, 4H, NH) , 7. 77 (m, 2 H, NH) , 7. 53 (b r t, 1 H, NH) , 7. 38 - 7. 28 (m, 5 H,芳香族), 7. 21 (t, 1 H, NH (Ly s - ε) ) , 5. 07 (t, 3H, J 2> 310. 4?12ぉょび】 3' 49. 7Hz, H- 3) , 5. 00 (s, 2H, PhCH2) , 4. 82 (t, 3H, J 4, 59. 8 Hz, H - 4) , 4. 58 (d, 3H, J x> 28. 5 Hz, H— 1) , 4. 21 (d d, 3 H, J 5, 6a 7. 2Hzおよび J 6a, 6b l l. 8Hz, H- 6 a) , 4. 09 (m, 2H, Ly s - CH2 ( ) , G l u - CH2 (ひ) ) , 4. 01 (b r d, 3H, H - 6 b) , 3. 82 (m, 3 H, H_ 5) , 3. 77-3. 64 (m, 6 H, OC H2, H- 2) , 3. 43 (m, 3 H, 〇CH2) , 3. 15— 2. 92 (m, 8 H, NHCH2, Ly s - CH2 (ε) ) 2. 50 (m, 2 H, G 1 u-CH2 (λ) ) , 2. 35 (m, 4H, COCH2) , 2. 10 (m, 1 H, G 1 u-CH2 (j3) ) , 2. 01, 2. ひ 1, 1. 96, 1. 91, 1. 77, 1. 77 (全て 36 H, Ac X 12) , 1. 79 (m, 1H, G l u— CH2 (/3) ) , 1. 66— 1. 55 (m, 6H, -CH2-X 2, Ly s -CH2 (/3) ) , 1. 39 (m, 2 H, Ly s -CH2 (δ) ) , 1. 29 (m, 2 H, Ly s -CH2 (r) ) ; C74H 109N9O34 · 2H2〇についての分析計算値: C, 52. 13 ; H, 6. 68 ; N, 7. 39. 実測値: C, 51. 93 ; H, 6. 54 ; N, 7. 00。
2. 2. 6 化合物 (14) の合成
化合物 (13) (5 Omg, 30. 0 ^mo 1 ) のメタノール一水 (6. 0m L, 2 : 1) 混合溶液に、 トリェチルァミン (150 L, 1. 08mmo Γ) を加え、 室温で 4時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをゲルろ過クロ マトグラフィ一 (S e ph ad e xG— 25溶出溶媒:水) で精製し、 凍結乾燥.
により化合物 (14) (38. 7mg, q. y . ). を得た (図 8のスキーム 4) 。
[a] D-40. 8° (c 0. 159, H2〇) ; XH-NMR (DaO) δ 7. 47 - 7. 39 (m, 5 H, 芳香族) , 5. 1 1 (s, 2H, PhCH2) , 4. 50. (d, 1H, J 28. 8Hz, H- 1) , 4. 49 (d, 1 H, J 1> 28. 3Hz, H - 1) , 4. 47 (d, 1 H, J 1; 28. 6Hz, H— 1) , 4. 2 1 (b r , 2 L Ly s -CH2 (ひ) , G 1 u— CH2 (ひ) ) , 3. 92 (b r d, 3H, H- 6 a) , 3. 88 (m, 3 H, 〇CH2) , 3. 74 (d d, 3H, J 6a, 6b9. 7Hz J 5> 6b4. 2Hz, H— 5) , 3. 69 (t, 3 H, J 2> 310. 2Hz, H - 2) , 3. 60 (m, 3H, OCH2) , 3. 54 (m, 3H, H- 3) , 3. 44 (m, 6H, H— 4, H— 6 b) , 3. 30— 3. 1
0 (m, 8H, NHCH2, Ly s - CH2 ( ε) ) , 2. 54 (m, 4H, CO CH2) , 2. 29 (m, 2 H, G 1 u-CH2 (r) ) , 2. 1 0 (m, 1 H, G 1 u-CH2 (β) ) , 2. 04 (s, 9H, Ac X 3) , 1. 98 (m, 1 H, G 1 u -CHz (i3) ) , 1. 74 (b r, 8 H, — CH2—, Ly s -CH 2 (/3) ) , 1. 51 (m, 2H, Ly s— CH2 (6) ) , 1. 37 (b r, 2 - H, Ly s -CH2 (r) ) ; 13C— NMR (D2〇) (5178. 2, 1 77. 8,
177. 4, 177. 3 X 2, , 177. 2, 1 75. 8, 175. 7, 161。
2, 1 39. 4, 131. 6 X 2, 1 3 1. 1, 130. 3 X 2, 1 03. 9 X 3, 78. 7 X 3, 76. 6 X 3, 72. 7 X 3, 70. 5 X 2, 70. 3, 6 3. 6 X 3, 58. 4X 3, 56. 9, 56. 1, 42. 8, 39. 1, 39. 1, 39. 0, 34. 8, 33. 6, 33. 5, 33. 2, 31. 2X 2, 31. 1 X 3, 29. 8, 25. 0 X 3 ; C
56H
9
· 3 H
20についての分析 計算値: C, 50. 03 ; H, 7. 27 ; N, 9. 37. 実測値: C, 49。 7 3 ; H, 6. 82 ; N, 9. 38。
2. 2. 7 化合物 (15) の合成
化合物 (14) (28mg, 21. 7 tmo 1 ) および UD P—ガラクト一ス
(47. 7mg, 78. 1 ^mo 1 ) を 50 mMHE P E S緩衝液( p H 6. 0, 0. 5 OmL, 含 l OmM塩化マンガン) に溶解し、 その反応溶液に /3— 1, 4 一ガラクトシルトランスフェラーゼ (1U) を加え、 37° Cで 48時間培養し た。 限外ろ過 (4 mL M i c r o s e p c on c e n t r a t o r (10 k Da Mw c u t o f f ) ) により、 除タンパクした後、 D E AE— S e p h a c e 1カラム (溶出溶媒: 0. 0 1 M炭酸水素アンモニゥム) 、 さらにゲル ろ過クロマトグラフィー (S e ph a d e xG— 25溶出溶媒:水) を用いて精 製し、 凍結乾燥後、 化合物 (1 5) (37. Omg, 96%) を得た (図 9のス キーム 5) 。
[a] D- 27. 0° (c 0. 166, H20) ; ^-NMR (DsO) δ 7.
47 - 7. 39 (m, 5 H, 芳香族) , 5. 1 1 (s, 2H, PhCH2) , 4, 50 (b r d, 3H, J lt 27. 0Hz, H— l) , 4. 4 7 (d, 3 H, J 27. 8Hz, H- 1 ' ) , 4. 2 1 (m, 2H, Ly s -CH2 ( ) , G 1 u -CH2 ( ) ) , 3. 98 (d d, 3 H, J 6a> 6b 12. 2Hz J 5' 6a2. 2 Hz, H- 6 a) , 3. 93 (d, 3H, J 3,, 4, 3. 4Hz, H— 4' ) , 3.
89 (m, 3H, OCH2) , 3. 83 (dd, 3H, J 5> 6b4. 9Hz, H— 6 b) , 3. 80 - 3. 68 (m, 21 H, H - 2, H—3, H - 4, H- 5, H— 5, , H- 6 ' a, H- 6 ' b) , 3. 67 (dd, 3 H, H - 3, ) , 3.
58 (m, 3H, OCH2) , 3. 55 (d d, 3 H, J 2,, 3. 9. 9Hz, H - 2, ) , 3. 30-3. 10 (m, 8 H, NHCH2, Ly s -CH2 ( ε) ) ,
2. 55 (b r, 4H, C〇CH2), 2. 29 (m, 2 H, G 1 u ~CH2 (r) ) , 2. 10 (m, 1H, G 1 u-CH2 (j8) ) , 2. 03 (s, 9 H, Ac X 3) , 1. 95 (m, 1H, G l u— CH2 (β) ) , 1. 74 (b r, 8H, _CH2 -, Ly s -CH2 (β) ) , 1. 5 1 (m, 2H, Ly s -CH2 (δ) ) , 1. 37 (b r, 2 H, Ly s -CH2 (r) ) ; 13C_NMR (D20) 3 1 78。 0, 177. 7, 177. 4, 1 77. 1 X 3, , 175. 7, 161. 1, 1
39. 4, 131. 5X2, 13 1. 1, 130.· 3X 2, 105. 7 X3, 1 03. 8X 3, 81. 6 X3, 78. 1 X 3, 77. 5 X 3, 75. 4X 3, 7 5. 2 X 3, 73. 8 X 3, 71. 3 X 3, 70. 6 X 2, 70. 3, 69. 5,
63. 7 X 3, 63. 0 X 3, 57. 9 X 3, 56. 8, 56. 1, 42. 9, 39. 1, 39. 1, 39. 0, 34. 8, 33. 7, 33. 6, 33. 2, 3 1. 2 X 3, 29. 8, 25. 0 X 3 ; C 2ェ N9 O40N aについての F A B— HRMS計算値 [M + Na] +, 1 798. 7609。 実測値: 1 798.
2. 2. 8 化合物 (2) の合成
化合物 (1 5) (2 Omg, 1 1. 26 mo 1 ) のメタノール一水 ( 7. 0 mL, 5 : 2 (v/v) ) 混合溶液に、 10%パラジウム—活性炭 (1 Omg) および氷酢酸 (1. 93M L, 33. 76 βτηο 1) を加え、 水素雰囲気下で 6 時間撹拌した。 ろ過の後、 減圧濃縮し、 得られた残渣をイオン交換クロマトダラ フィ一 (CM— S e ph ad e xC—25、 溶出溶媒.: 0. 0 1— 0. 10M酢 酸アンモニゥム) 、 およびゲルろ過クロマトグラフィー (S e ph ad exG— 25溶出溶媒: 7 )により精製し、凍結乾燥の後、三本鎖型糖鎖として化合物( 2 ) (16. 2mg, 84%) を得た (図 9のスキーム 5) 。
[ ] D- 30. 0° (c O. 282, H20) ; XH-NMR (D20) δ 4. 52 (d, 2H, J 1> 27. 3Hz, H— 1) , 4. 5 1 (d, 1 H, J x> 27. 5Hz, H— 1) , 4. 48 (d, 3 H, J r, 2, 7. 8Hz, H— 1 ' ) , 4.
23 (m, 2H, Ly s -CH2 ( ) , G 1 u-CH2 (ひ) ) , 3. 99 (b r d, 3H, H - 6 a) , 3. 93 (d, 3 H, J 3, 43. 4Hz, H—4' ) , 3。 91 (m, 3H, OCH2) , 3. 84 (d d, 3 H, J 5, 6b5. 2Hzお よび J 6a, 6b 12. 4Hz, H— 6 b) , 3. 80— 3. 65 (m, 24 H, H — 2, H - 3, H - 4, H - 5, H— 3 ', H— 5', H_6' a, H - 6 ' b) , 3. 60 (b r, 3H, OCH2) , 3. 54 (d d, 3 H, J2' 310. 1 Hz,
H- 2 ' ) , 3. 30-3. 12 (m, 6H, NHCH2) , 3. 01 (t, 2 H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 57 (m, 4H, COCH2) , 2. 30 (m, 2H, G 1 u-CH2 (r) ) , 2. 12 (m, 1 H, G 1 u-CH2 (β) ) , 2. 04 (3 s, 9H, Ac X 3) 2. 0 1 (m, 1 H, G 1 u-CH2 (j3) ) , 1. 92 (s, 3H, AcOH) , 1. 76 (m, 6 H, -CH2-X 2) , 1. 71 (m, 4H, Ly s— CH2 (j3, δ) ) , 1. 43 (m, 2H, Ly s - CH2 (r) ) ; C66H115N9〇38Naについての ES I— HRMS計算値 [M + Na] +, 1664. 7241。 実測値: 1664. 7279。
2. 3 四本鎖型糖鎖の調製
2. 3. 1 化合物 (16) の合成
化合物 (4) (38 Omg, 0. 999mmo 1 ) 、 N—ヒドロキシコハク酸 (352mg, 3. 0 Ommo 1 ) およびジシクロへキシルカルポジイミド (5 2 lmg, 2. 4 Ommo 1) を DMF (5. OmL) に溶解し、 0° Cで 30 分間撹拌した。 L—グルタミン酸ジァリルエステル (545mg, 2. 4 Omm o l) .の DMF (4. OmL) 溶液を加え、 さらに 18時間室温で、 撹拌した。 反応後、 ろ過により不溶物を取り除いた後、 ろ液を酢酸ェチルで希釈し、 1NH C 1水溶液、 飽和食塩水で洗浄した後、 減圧濃縮した。 得られたシロップをシリ 力ゲルクロマトグラフィー (溶出溶媒:クロ口ホルム—メタノール (40 : 1, vZv) ) により精製し、 化合物 (16) (76 Omg, 95 %) を得た (図 1 0のスキーム &) 。
[ ] D-4. 2° (c O. 262, CHC 13) ; ^-NMR (CDC 13) δ 7. 38 (d, 1H, NH (G 1 u) ) , 7. 36 - 7. 27 (b r, 5 H, 芳香族) , 7. 08 (d, 1H, NH (Ly s - a) ) , 6. 83 (d, 1 H, NH (G 1 u) ) , 5. 88 (m, 4H, CH2 = CH—X4) , 5. 39 (t, 1H, NH (Ly s— ε) ) , 5. 34-5. 21 (m, 8H, CH2 = CH- X4, ) , 5. 07 (s, 2H, PhCH2) , 4. 62 -4. 55 (m, 10
H, G 1 u-CH2 (a) X 2, — CH2OX4)., 4. 48 (dd, 1 H, Ly s -CH2 (ひ) ) , 3. 17 (b r, 2 H, Ly s - CH2 (ε) ) , 2. 56 (m, 4H, C〇CH2X 2), 2. 43 (m, 4H, G 1 u - CH2 (ァ) X 2 ), 2. 20 (m, 2H, G 1 u- CH2 (j8) ) , 2. 00 (m, 2 H, G 1 u- CH2 (β) ) , 1. 83 (m, 1 H, Ly s— CH2 (j3) ) , 1. 64 (ml H, Ly s -CH2 (j8) ) , 1. 50 (m, 2H, Ly s -CH2 ( δ) ) , 1. 38 (m2H, Ly s— CH2 (r) ) ; C40H54N4O13 · 0. 5H2〇につい ての分析計算値: C, 59. 47 ; H, 6. 86 ; N, 6. 93. 実測値: C, 59. 50 ; H, 6. 87 ; N, 6. 99。
2. 3. 2 化合物 (1 7) の合成
化合物 (16) (40 Omg, .0. 50 lmmo 1 ) の THF (4 OmL) 溶 液に、 テトラキス (トリフエニルホスフィン) パラジウム (138mg, 0. 1 19mmo 1) および N—メチルァニリン (1. 08mL, 10. 2mmo 1 ) を加え、 窒素雰囲気下、 14時間撹拌した。 反応後、 減圧濃縮し、 イオン交換ク 口マトグラフィ一 (Dowe X 5 OW— X8, H+— f o rm) 、 カラムクロマ トグラフィ一 (溶出溶媒:クロ口ホルム—メタノール (10 : 1, vZv) ) に より精製し、 化合物 (17) (240mg, 75%) を得た (図 10のスキーム 6)
[a] D— 16. 1° (c O. 289, MeOH) ; ^-NMR (CD3OD) δ 7. 38 - 7. 25 (b r, 5Η, ·芳香族) , 5. 05 (s, 2H, Ph CH 2) , 4. 43 (m, 2H, G 1 u-CH2 (a) X 2) , 4. 33 (d d, 1H, Ly s - CH2 (ひ) ) , 3. 1 1 (t, 2H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 6 0 -2. 49 (m, 4H, C〇CH2), 2. 40 (t, 4H, G 1 u— CH2 (r) X 2) , 2. 10 (m, 2H, G 1 u-CH2 (β) ) , 1. 94 (m, 2 H, G 1 u-CH2 ()3) ) , 1. 81 (m, 1 H, Ly s -CH2 (β) ) , 1. 6 5 (mlH, Ly s -CH2 (j3) ) , 1. 52 (m, 2 H, Ly s -CH2 ( δ) ) ,
1. 40 (m2H, Ly s -CH2 (r) ) ; C28H38N4013 · 0. 5H2〇に ついての分析計算値: C, 51. 93 ; H, 6. 07 ; N, 8. 65. 実測値: C, 51. 81 ; H, 6. 02 ; N, 8. 41。
2. 3. 3 化合物 (18) の合成
化合物(17) (40mg, 62. 6 imo 1 ) の DMF (1 OmL)溶液に、 ピリジン (23. 2 L, 0. 288mmo 1) およびトリフルォロ酢酸ペン夕 フルオロフェニル (52. 7 L, 0. 30 Ommo 1 ) を加え、 室温で 2時間 撹拌した。 反応液を酢酸ェチルで希釈し、 水、 0. 1NHC 1水溶液、 水、 5% NaHC〇3水溶液、 水で連続的に洗浄した。 減圧濃縮後、 得られたシロップを DMF (3. OmL) に溶解し、 3—ァミノプロピル一 2—ァセトアミド一 3, 4, 6 _トリー O—ァセチル— 2—デォキシ一 /3— D—ダルコピラノシド (17 4mg, 0. 376mmo 1 ) 、 およびジイソプロピルェチルァミン ( 13 1 L, 0. 752mmo 1) を加え、 室温で 3時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られ たシロップをシリカゲルクロマトグラフィ一 (溶出溶媒:クロ口ホルム—メタノ —ル (5 : 1, v/v) ) により-精製し、 化合物 (18) (8 Omg, 59%) を得た (図 1 1のスキ ム 7) 。
[«] D— 1 1. 1° (c O. 230, DMF) ^H— NMR (DMSO - d 6) δ 8. 08 (b r, 1 H, NH) , 7. 98— 7. 84 (m, 3H, NH) , 7. 91 (d, 3H, NH) , 7. 77 (m, 1 H, NH) , 7. 75 (m, 2 H, NH), 7. 53 (b r t, 1 H, NH) , 7. 38— 7. 28 (m, 5 H, 芳香族) , 7. .20 (b r t, 1H, NH (Ly s - ε) ) , 5. 07 (t, 4 H, J 2> 39. 9Hz, H-3) , 5. 00 (s, 2H, PhCH2) , 4. 82 (t, 4H, J 4> 59. 8Hz, H-4) , 4. 58 (d, 4H, J lr 28. 4H z, H- 1) , 4. 19 (d d, 4H, J 5> 6a4. 4Hzおよび J 6a, 6b 12. 4Hz, H- 6 a) , 4. 12 (m, 3 H, Ly s -CH2 ( ) , G 1 u-C H2 (ひ) X 2) , 4. 00 (d d, 4H, J 5, 6b2. 4Hz H—6 b) , 3.
82 (b r, 4H, H- 5) , 3. 71 (m, 8.H, OCH2, H— 2) , 3.
42 (m, 4H, 〇CH2) , 3. 12— 2. 93 (m, 1 OH, NHCH2, L y s— CH2 (ε) ) 2. 50 (b r, 4H, G l u - CH2 (r) ) , 2. 39
(m, 4H, COCH2) , 2. 12-2. 01 (m, 4H, G 1 u-CH2 (β) ) , 2. 01, 1. 96, 1. 90, 1. 77, 1. 76 (全て 48 H, Ac X 16) , 1. 65 - 1. 55 (m, 1 OH, _CH2— X4, Ly s -CH2 (β) ) , 1. 39 (m, 2H, Ly s -CH2 ) ) , 1. 25 (m, 2H, Ly s -CH2
(r) ) ; C96H142N12045についての分析計算値: C,. 52. 79 ; H, 6.
55 ; N, 7. 69. 実測値: C, 52. 45. ; H, 6. 53 ; Ν,' 7. 44。
2. 3. 4 化合物 (19) の合成
化合物 (18) (6 Omg, 27. 5 m o 1) のメタノール—水 ( 6. Om L, 2 : 1) 混合溶液に、 トリェチルァミン (91. 6 iL, 0. 66mmo 1 ) を加え、 室温で 4時間撹拌した。 減圧濃縮後、 得られたシロップをゲルろ過クロ マトグラフィ一 (S e ph ad exG— 25溶出溶媒:水) で精製し、 凍結乾燥 により化合物 (19) (45mg, 97 %) を得た (図 1 1のスキーム 7 ) 。
[ ] D-47. 2° (c O. 1 58, H20) ^H— NMR (D20) δ 7.
47- 7. 39 (m, 5 H, 芳香族) , 5. 1 1 (s, 2H, PhCH2) , 4.
51 -4. 46 (m, 4H, H— 1) , 4. 1 9 (m, 3 H, L y s - CH2 (a), G l u— CH2 ( ) X 2) , 3. 94— 3. 86 (b r, 8 H, H—6 a, 〇 CH2X , 3. 74 (d d, 4H, J 6a, 6b 1 1. 9Hz J 5, 6b4. 4Hz, H — 5) , 3. 69 (t, 4H, J Xi 28. 9 H zおよび J 2, 31 0. 4Hz, H— 2) , 3. 63 - 3. 50 (m, 8 H, OCH2, H— 3) , 3. 8-3. 4 0 (m, 8H, H-4, H- 6 b) , 3. 32— 3. 10 (m, 1 OH, NHC H2, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 60 (b r, 4H, COCH2) , 2。 29 (m, 4H, G l u - CH2 (r) X 2) , 2. 08 (m, 2H, G l u— CH2
(β) ) , 2. 04 (s, 12H, Ac X4) , 1. 94 (m, 2 H, G l u -
CH2 (β) ) , 1. 7 5 (b r , 1 0 H, — CH2 -, Ly s -CH2 (β) ) , 1. 5 1 (m, 2H, Ly s -CH2 (d) ) , 1. 3 6 (b r, 2H, L y s — CH2 (r) ) ; 13C—匪 R (D20) 5 1 78. 0, 1 7 7. 4, 1 7 7. 4, 1 77. 3 X 3, 1 7 7. 1, 1 7 6. 1, 1 7 5. 7, 1 6 1. 2, 1 3 9. 4, 1 3 1. 6 X 2, 1 3 1. 1, 1 3 0. 4X 2, 1 0 3. 9 X4, 7 8. 7 X4, 7 6. 6 X4, 7 2. 7 X4, 7 0. 5 X 2, 70. 4, 70. 3, 7 0. 2, 6 9. 5, 63. 6 X 4, 5 8. 4X4, 5 6. 8, 5 6. 2, 42. 8, 41. 5, 39. 1 X 2, 3 9. 0, 3 9. 0, 34. 8 X 2, 33. 2 X 2, 3 1. 2 X4, 2 5. 0 X 4 ; ( 721^ 18N12033 · 5 H20についての分 析計算値: C, 48. 86 ; H, 7. 2 9 ; N, 9. 5 0. 実測値: C, 48. 42 ; H, 6. 9 9 ; N, 9. 4 7。
2. 3. 5 化合物 (2 0) の合成
化合物 (1 9) (2 5mg, 14. 9 imo 1 ) および UD P—ガラクト一ス (43. 6 g, 7 1. 5 mo 1 ) を 5 OmMHEPES緩衝液 (pH6. 0, 0, 5 OmL, 含 1 0 mM塩ィ匕マンガン) に溶解し、 その反応溶液に j3— 1, 4 一ガラクトシルトランスフェラーゼ (1 U) を加え、 3 7° Cで 48時間培養し た。 限外ろ過 (4mL M i c r o s e p c o n c e n t r a t o r (1 0 k D a Mw c u t o ί f ) ) により、 除タンパクした後、 DEAE— S e p h a c e 1カラム (溶出溶媒: 0. 0 1 M炭酸水素アンモニゥム) 、 さらにゲル ろ過クロマトグラフィー (S e p h a d e xG_ 2 5溶出溶媒:水) を用いて精 製し、 凍結乾燥後、 化合物 (2 0) (2 7. Omg, 7 8%) を得た (図 1 2の スキーム 8) 。
[a] D- 3 3. 5° (c 0. 1 54, H2〇) ; XH-NMR (D20) δ 7. 46 - 7. 39 (m, 5H, 芳香族) , 5. 1 2 (s, 2Η, PhCH2) , 4. 5 2 (b r, 4H, H- 1) , 4. 47 (d, 4H, J lr 27. 9Hz, H— 1,), 4.. 2 1 (m, 3H, Ly s— CH2 (ひ) , G l u— CH2 ( ) X 2) , 3.
99 (b r d, 4H, H - 6 a) , 3. 93 (d, 4H, J 3., 4. 2. 8Hz, H_4, ) , 3. 95 - 3. 85 (m, 8 H, OCH2, H— 6 b) , 3. 80 -3. 66 (m, 32 H, H - 2, H - 3, H— 4, H - 5, H— 3,, H— 5,, H- 6 ' a, H— 6, b) , 3. 59 (m, 4H, OCH2) , 3. 55 (t, 3H, J 2,, 3. 9. 9Hz, H - 2 ' ) , 3. 29-3. 12 (m, 1 OH, N HCH2, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 60 (b r s, 4H, COCH2) , 2. 29 (m, 4H, G 1 u-CH, (r) X 2) , 2. 10 (m, 2 H, G 1 u- CH2 (β) ) , 2. 04 (s, 12H, Ac X4) , 1. 95 (m, 2 H, G 1 u - CH2 (j3) ) , 1. 75 (b r, 10 H, — CH2— , Ly s -CH2 (j3) ) , 1. 51 (m, 2H, Ly s -CH2 (<5) ) , 1. 36 (b r, 2 H, L y s — CH2 (r) ) ; 13C-NMR (D2〇) «5178. 1, 1 77. 8, 1 7.
5 X 4, 1 77. 2 X 3, 1 76. 1, 1 75. 7, 16 1. 2, 139. 4,
131. 6 X 2, 131. 1, 130. 4X 2, 105. 7 X4, 103. 9 X 4, 81. 4X4, 78. 1 X4, 77. 6 X4, 75. 3 X4, 75. 2 4, 73. 8 X4, 71. 3 X4, 70. 6 X 2, 70. 4, 70. 4, 70. 3,
69. 5, 63. 8 X4, 62. 9 X4, 57. 9 X4, 56. 8, 56. I X 2, 42. 9, 39. 1, 39. 1, 39. 0, 39. 0, 34. 8 X 2, 33. 2X 2, 31. 2X4, 29. 8, 25. 0 X 4 ; 〇961^ 58^^丄 2053N aにつ いての FAB— HRMS計算値 [M + Na] +, 2349. 9935 ;実測値: 2349. 997 1。
2. 3. 6 化合物 (3) の合成
化合物 (20) (15mg, 6. 44 mo 1 ) のメタノール一水 (7. 0m L, 5 : 2 (v/v) ) 混合溶液に、 10%パラジウム一活性炭 (1 Omg) お よび氷酢酸 (1. 1 1 xL, 19. 32 mo 1 ) を加え、 水素雰囲気下で 6時 間撹拌した。 ろ過の後、 減圧濃縮し、 得られた残渣をイオン交換クロマトグラフ ィ一 (CM— S e ph a d e xC— 25、 溶出溶媒: 0. 01— 0. 10 M酢酸
アンモニゥム) 、 およびゲルろ過クロマトグラフィー (S e ph ad e xG— 2 5溶出溶媒:水) により精製し、 凍結乾燥の後、 四本鎖型糖鎖として化合物 (3) (12. Omg, 82%) を得た (図 12のスキーム 8) 。 [a] D— 31. 4° (c 0. 275, H2〇) ; — NMR (D20) 64. 51 (b r, 4H, H - 1) , 4. 48 (d, 4H, J 1? 27. 8Hz, H - ) , 4. 21 (m, 3H, Ly s -CH2 ( ) , G 1 u-CH2 (a) X 2) , 4. 00 (b r d, 4H, H- 6 a) , 3. 93 (d, 4H, J 3> 43. 5Hz, H—4, ) , 3. 91 (m, 4H, OCH2) , 3. 85 (d d, 4H, J 5, 6b5. 1Hzおよび J 6a, 6b 12. 4Hz, H- 6 b) , 3. 80— 3. 65 (m, 32H, H— 2, H - 3, H-4, H— 5, H - 3' , H— 5' , H— 6 ' a, H— 6' b) , 3.
60 (b r, 4H, 〇CH2) , 3. 53 (dd, 4H, J 2> 310. 2Hz H 一 2, ) , 3. 30-3. 12 (m, 8 H, NHCH2) , 3. 00 (t, 2 H, Ly s -CH2 (ε) ) , 2. 62 (b r, 4H, COCH2) , 2. 32 (b r, 4H, G l u - CH2 (r) ) , 2. 15 (m, 2H, G l u— CH2 (β) ) , 2. 05 (s, 9H, Ac X 3) 1. 98 (b r, 2H, G 1 u-CH2 (j8) ) -, 1. 92 (s, 3H, Ac OH) , 1. 7 6 (m, 8 H, — CH2 - X2) , 1. 70 (m, 4H, Ly s— CH2 (β, δ) ) , 1. 46 (m, 2 H, Ly s - CH2 (r) ) ; C88H152N12051Na2についての ES I一 HRMS計算値 [M + 2Na] 2+, 1 1 1 9. 4733。 実測値: 1 1 1 9. 4722。
2. 4 インスリンへの分枝状糖鎖付加
変異体インスリンへの Z1本鎖型糖鎖 (図 13の D I ;化合物 (1) の遊離アミ ンに相当) の付加は、 変異体インスリン (B— F 1Q) (0. ImM) 、 二本鎖 型糖鎖 '(図 13の D I) (0. 9mM) 、 C aC 12 (5mM) 、 Tr i s -HC 1 (2 OmM, pH7. 5) 、 トランスダル夕ミナ一ゼ (T g a s e : 3. 5U /ml) を用いて、 37 °Cで 30分間反応さ ることによって行った。
変異体インスリンへの三本鎖型糖鎖 (図 13の TR I ;化合物 (2) の遊離ァ
ミンに相当) または四本鎖型糖鎖 (図 13の TETRA;化合物 (3) の遊離ァ ミンに相当) の付加は、 上記と同様にして行った。
トランスダル夕ミナ一ゼは、 オリエンタル酵母工業 (株) (東京、 日本) から 入手した。反応液は、 C4逆相液体高速クロマトグラフィーカラム(Vyd a c) に通し、 糖付加型ィンスリン (D I— I n s . ) を得た。
反応が進行したかどうかは、 HPLCおよび MALD I— TOF— MAS Sで 確認した。
HP LCの測定結果から、 Tga s e反応の結果、糖鎖付加前のインスリン [ I . n s (B-F 1Q) ] のピークとは別個に、 二本鎖型糖鎖付加インスリン [D I - I n s (B-F 1 Q) ] , 三本鎖型糖鎖付加ィンスリン [TR I— I n s (B — F 1Q) ] 、 および四本鎖型糖鎖付加インスリン [TETRA— I n s .(B— F 1Q) ] のピークが出現していることが確認された。 これより変異体インスリ ン (B— F 1Q) に、 ある程度分枝状糖鎖が導入されたことがわかった。
一方、 MALD I一 TOF— MAS Sでの確認は、 波長 (λ) : 337 nm; マトリックス: 2, 5—ジヒドロキシ安息香酸 (DHB) ;サンプル濃度: 10 -50 pmo 1 / β 1を条件として行った。 測定結果から、 Tg a s e反応の結 果、 二本鎖型糖鎖付加インスリン [D I— I n s (B-F i'Q) ] 、 三本鎖型糖 鎖付加インスリン [TR I— I n s (B-F 1Q) ] 、 および四本鎖型糖鎖付加 インスリン [TETRA— I n s (B-F 1 Q) ] のそれぞれのピークが、 糖鎖 付加前のインスリン [I n s (B-F 1 Q) ] の分子量 5800付近 (M. W.
= 57.88. 6、 Ex ac t ma s s = 5784. 6) から、 高分子量側にシ フトしていることが確認された。 以上により、 変異体インスリン (B— F 1Q) に、 分枝状糖鎖が導入されたことがわかった。
2. 5 糖鎖伸長
次に糖鎖の伸長を行った。 本実施例では、 二本鎖型糖鎖付加インスリン [D I
— I n s (B-F 1 Q) ] 、 三本鎖型糖鎖付加インスリン [TR I— I n s (B
— F 1Q) ] 、 および四本鎖型糖鎖付加インスリン [TETRA— I n s (B— F 1Q) ] にシアル酸を付加した。
二本鎖型糖鎖付加インスリンの糖鎖伸長反応における反応溶液の組成は、 D I - I n s (B-F 1 Q) (0. 15mM) 、 CMP-Ne uAc (0. 8mM) 、 BSA (0. 2%) > MnC 1 2 (1. 6mM) 、 Tr i t on CF 54 (0. 2%) 、 C I AP (0. 02U/ 1) 、 力コジル酸ナトリウム緩衝液 (50m M) 、 a 2, 6—シアル酸転移酵素を含んだ。 反応は、 37°Cおよび 30分間行 つた。 三本鎖型糖鎖付加ィンスリンおよび四本鎖型糖鎖付加ィンスリンの糖鎖伸 長反応についても、 上記同様の組成を有する反応溶液を用いて行った。
MALD I一 TO F— MAS S測定結果より、 糖鎖付加インスリンへのシアル 酸付加による高分子量側へのピークシフトが確認された。
2. 6 マウスへの投与時の変化
6〜8週齢のマウス (C 57 BLZ6 J J c l) を、 18〜20時間絶食さ せ、 S t r e p t o z o to c i n 20 Omg/k g (体重)を腹腔内投与し、 血糖値 40 OmgZd 1以上のものを糖尿病マウスとして、 インスリンの活性測 定に使用した。
インスリンの投与は皮下注射によって行い、 血糖値の測定は、 尾静脈より採取 した血液をダイァセンサー (ARKRAY) によって測定した。
糖鎖伸長後の分枝状糖鎖付加インスリン 3種類 [S i a 2, 3-D I - I n s. (B_F lQ) 、 S i a 2, 6—D I— I n s. (B-F 1 Q) および S i a
2, 6 -TR I - I n s. (B-F 1 Q) ] について、 ノーマルインスリン (I n s. (WT) ) をコントロールとして、 血糖値変化実験を行った (図 1 5) 。 横軸は、 各インスリン投与後の経過時間を示し、 縦軸は血糖値の変化を示す。 こ の結果、 S i a 2, 3 -D I - I n s. (B— F 1Q) 、 S i a 2, 6— D I— I n s. (B^F 1 Q) 、 および S i a 2, 6 - TR I— I n s. (B-F 1 Q) のいずれもコントロールとほぼ同様の血糖値変化パターンを示し、 インスリン活
性を増強していることが明らかとなった。
2. 7 CD曲線
次に、 糖鎖伸長後の分枝状糖鎖付加ィンスリン 2種類 [S i a 2, 6— D I— I n s. (B— F 1 Q) および S i a 2, 6— TR I— I n s. (B-F 1 Q) ] について、 CD (円偏光二色性) を調べた。 コントロールとして、 野生型インス リン (I n s. (WT) ) を用いた。 その検査方法は以下のとおりである。
各インスリンは、 PBS (pH7. 4) に溶かし、 紫外線波長 280 nmの吸 収によってサンプル濃度を決定した。 CDスペクトルの測定範囲は、 200〜2 5 Οπΐ (nm) で行った。 その結果、 インスリンに改変を施したことまたは糖 鎖の付加および伸長では、 ィンスリンの構造には実質的に変化を及ぼさないこと が明らかとなった。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 機能が亢進された糖ペプチドが提供される。
(配列表の説明) 一
配列番号 1 : ヒ卜インスリン A鎖核酸配列
配列番号 2 :ヒトインスリン A鎖アミノ酸配列
配列番号 3 :ヒトインスリン B.鎖核酸配列
配列番号 4 :ヒトインスリン B鎖アミノ酸配列
配列番号 5 - 12 :改変体 (奇数は核酸配列、 偶数はアミノ酸配列) 配列番号 12— 18 :プライマー
配列番号 19 : H i s—プロインスリンの核酸配列
配列番号 20 : H i s—プロインスリンのァミノ酸配列
配列番号 21 : B— F 1 Q、 B— T 30 Q改変体核酸配列
配列番号 22 : B— F 1Q、 B_T30 Q改変体アミノ酸配列