明 細 書 発毛促進剤組成物 技術分野
本発明は、 発毛促進剤に関し、 更に詳細には、 安全でかつ優れた発毛 効果を有する発毛促進剤に関する。 背景技術
我が国で、 脱毛、 薄毛に悩む人は約 1 0 0 0万人いる と言われており 、 治療薬、 治療法の開発が期待されている。 ヒ トの毛髪は約 1 0万本あ り 、 1 日 に約 0 . 3 5 m m , 1 ヶ月 に約 l c m成長する といわれている 。 また、 毛髮には寿命があ り 、 成長した後に自然に抜け、 再び新しい毛 が生えてく る。 これをへアサイ クル (毛周期) といい、 このへアサイク ルは、 成長期、 退行期及び休止期の 3つのサイクルに分けられる。
脱毛症は、 遺伝的背景及び男性ホルモンによる壮年性脱毛症と 自己免 疫疾患である円形脱毛症と の 2つのタイプに大き く 分け られる。 これら の脱毛症は、 上述したヘアサイ クルの異常による疾患であ り 、 ヘアサイ クルを正常にするこ とができれば、 いずれも発毛するこ とが期待できる 従来よ り 、 種々の発毛 · 育毛剤が脱毛症の症状に対して、 その予防や 治療のために用いられている。 一般に、 発毛 · 育毛剤の有効成分と して は、 頭皮の血液循環を良好にして皮膚の機能を向上させるこ とによ り 毛 包、 毛球部の新陳代謝機能を活発にするこ とのできる成分、 または、 ふ け、 かゆみの防止、 栄養補給、 保湿等を行って頭皮の生理機能を正常に 維持する成分が用いられている。
従来よ り 、 上記効果を有する成分の開発が行われており、 例えばペン タデカン酸グリ セ リ ド、 セファランチン、 ビタ ミ ン E、 ァロキサジン、 ピリ ジン N—ォキシ ド、 アデノ シン一 3 ' , 5 ' 一サイ ク リ ックモノホ スフェー ト、 ョ クイニン、 イチヨ ウ、 カシュゥ等の抽出エキス、 センプ リ抽出液、 ニンジン抽出液、 1 —メ ン トール、 イ ソプロ ピルメ チルフエ ノール、 グリ チルリ チン酸、 ヒ ノキチオール、 ト ウガラシチンキ、 甘草 エキス、 ニコチン酸アミ ド、 サリ チル酸、 ステロイ ド配糖体、 ト リ テル ぺノ ィ ド配糖体、 ミ ノ キシジル等を含有する発毛剤が用いられている。 症状が軽いか、 又は病巣が比較的小さいよ う な場合には、 上述の治療 剤が効果を奏する場合もあるが、 症状が重い場合や病巣が大きい場合に は、 上述の治療剤では効果を期待するこ とができないのが現状であ り 、 更に効果的な発毛剤に関する研究開発が行われている。
例えば、 特開 2 0 0 3 — 1 2 5 4 2号公報には、 イ ンターフェ ロ ンを 有効成分とするこ と を特徴とする発毛促進剤が開示されている。 該公報 に開示された発毛促進剤によれば、 発毛を促進する効果は認められる。 しかし、 発毛促進効果を発揮するには高濃度のイ ンターフェ ロ ンを用い る必要があ り 、 副作用の点で問題があった。
また、 特開 2 0 0 1 - 5 2 0 2 0 2号公報には、 へシジホッグ様 '?Ρ療 薬によつて動物を処置する、 動物の毛髪成長を誘導する方法が開示され ている。 該公報に開示された方法によれば、 動物の毛髪成長を誘導する こ とが可能であるが、 ヘッジホッグ様タ ンパク質には発ガン性があ り 、 発毛剤と して安全なものとは言えなかつ 7こ
従って 、 本発明の目的は、 安全でかつ優れた発毛促進効果を有する発 毛剤を提供するこ と にめ 。 発明の開示
本発明者らは、 上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、 造血系細胞 に選択的に作用 し、好中球の分化や增殖を促進するサイ ト力イ ンである、 顆粒球コロニー刺激因子が発毛促進効果を有する とい う知見を得、 本発 明を完成させた。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであ り 、 顆粒球コ ロニー刺 激因子を含有する こ と を特徴とする発毛促進剤組成物を提供するもので ある。
本発明の発毛促進剤組成物に含有される顆粒球コロニー刺激因子は、 遺伝子組み換え型顆粒球コ ロニー刺激因子であってもよい。
本発明の発毛促進剤組成物は、 徐放性製剤であるこ とが好ま しい。 また、 徐放性製剤は、 少なく と も 7 日間にわたって顆粒球コ ロニー刺 激因子を放出するよ う に製剤化されてなるこ とが好ま しく 、 医療ポンプ であってもよい。
また、 本発明は、 上記発毛促進剤組成物を配合する化粧料を提供する ものである。
また、 本発明は、 顆粒球コ ロニー刺激因子遺伝子を含有するこ と を特 徴とする発毛促進剤組成物を提供するものである。
また、 本発明は、 上記発毛促進剤組成物又は上記化粧料を用いるこ と を特徴とする発毛促進方法を提供するものである。 図面の簡単な説明
図 1 は、 h G— C S Fの発毛促進効果を試験した結果である。
図 2は、 h G _ C S Fの発毛促進効果を試験した結果である。
図 3 は、 h G _ C S Fの発毛促進効果を試験した結果である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 まず本発明の発毛促進剤組成物について説明する。
本発明の発毛促進剤組成物は、 顆粒球コ ロニー刺激因子 (以下、 本明 細書において 「G— C S F」 と もいう) を含有する。 本発明の発毛促進 剤組成物に含有される G— C S Fは、 造血系細胞に選択的に作用 し、 好 中球の分化や増殖を促進するサイ トカイ ンである と定義され、 この定義 に包含される G— C S F活性を有するポリべプチ ドであればいずれでも よ く 、 例えば天然物 (人の生体試料等) から抽出、 分離、 精製したもの、 G— C S F産生細胞を培養し、 その培養上清から単離したもの、 細胞融 合法を用いて G— C S F産生ハイプリ ドーマを形成し、 これから取得し たもの、 遺伝子組み換えによって、 大腸菌、 動物細胞等の宿主を形質転 換して得た形質転換対から産生せしめ単離精製したもの、 又はそれを化 学修飾したもの等のいずれも使用可能である。
本発明においては、 上述した G— C S Fのいずれかと一定以上の相同 性を有する ものであれば使用可能である。 この相同性に関しては、 好ま しく は 3 0 %以上であ り 、 更に好ま しく は 5 0 %以上である。
本発明においては、 遺伝子組み換え型 G— C S Fを用いてもよい。 遺 伝子組み換え技術を利用 して G— C S Fを調製する場合には、 G - C S Fをコー ドする遺伝子、 例えば配列番号 : 1 で表わされる塩基配列の情 報に基づき、 適当な D NA部分を P C Rプライマーと して用い、 例えば R T— P C Rプライマ一反応を行う こ と によってク ローユングするこ と カ できる。 該ク ローニングは、 例えは *、 Molecular Cloning!A Laboratory Manual 2nd Ed. , Cold Spring Harbor Labroratory Press (1989)等の基本 書に従い、 当業者であれば容易に実施するこ とができる。 また、 本発明 において用いられる G— C S F遺伝子は、 配列番号 : 1 で表わされる も のに限定されず、 活性を損なわない程度の改変等を有する ものであって もよい。
例えば、 (i)配列番号: 1 で表わされる D N Aとス ト リ ンジェン トな条 件下でハイブリ ダィズする D N A、 又は(i i)配列番号 : 1 で表わされる D NAが発現するこ とによ り得られるタンパク質のアミ ノ酸配列におい て、 一部のアミ ノ酸が欠失、 置換又は付加されたアミ ノ酸配列からなる タンパク質をコー ドする D NAであって、 かつ発現する こ と によ り 、 G 一 C S F活性を示し得る D N Aであれば、 本発明において用いるこ とが できる。 上記(i)の D N Aは、 通常のハイプリ ダイゼーショ ン法によ り得 るこ とができ、 上記(ii)の D NAは、 上記(i)の D NAに変異を導入する こ とによって得るこ とができる。 D NAに変異を導入する方法と しては、 例えば Kunkel 法、 Gapped duple 法等の公知の手法又はこれに準ずる方 法を採用する こ とができる。 例えば、 部位特異的突然変異誘発法を利用 した変異導入用キッ ト (Mutant - K (TAKARA 社製) や Mutant - G (TAKARA 社製)) 等を用いて、 変異の導入を行う こ とができる。
また、 「ス ト リ ンジェン トな条件」 と しては、 上述した olecular Cloning に記載のハイプリ ダイゼーショ ンの条件等が挙げられ、 具体的 には、 DIG DNA Labeling (ロ シュ · ダイ ァグノ スティ ッ ク ス社製 )で プロ一プをラベルした場合に、 3 2 °Cの DIG Easy Hyb 溶液(ロ シュ · ダイ ァ グ ノ ス テ ィ ッ ク ス社製) 中でハイ プ リ ダイ ズさせ、 4 0 °Cの O . lxSSC 溶液(0.1% [w/v] SDS を含む)中でメ ンプレンを洗浄する条件 ( IxSSC は 0.15M NaCl, 0.015M クェン酸ナ ト リ ウムである) での サザンプロ ッ トハイプリ ダイゼーショ ンで上記 D N Aプローブにハイブ リ ダイズする程度の条件をいう。
本発明において用いられる G— C S Fの調製は、 上記 D NAを含有す る組換ベクターを、 当該技術分野で公知の方法によって作成し、 得られ た組換ベクターを宿主細胞に形質転換し、 該形質転換体を培養し、 G— C S F を生成、 蓄積し、 該タンパク質を採取するこ と によ り製造するこ
とができる。 培養し、 前記タンパク質が蓄積されるのは、 培養上清のほ か、 培養細胞も しく は培養菌体又は細胞若しく は菌体の破碎物のいずれ をも意味する ものである。本発明において形質転換体を培養する方法は、 特に制限はなく 、 宿主の培養において用いられる通常の方法でよい。 用いられるベク ターと しては、 宿主中で複製可能なものであれば特に 限定されず、例えばプラス ミ ド D NA、ファージ D N A等が挙げられる。 配列番号 : 1 で表わされる D N Aを含有する D N A断片を切 り 出し、 該 D N A断片を適当な発現ベクター中のプロモーター下流に連結するこ と によ り実施される。 ベクターと しては、 大腸菌由来のブラス ミ ド (例、 p B R 3 2 2 , p B R 3 2 5 , p U C 1 8、 p U C 1 9、 p U C 1 1 8 又は p B 1 u e s c r i p t等)、 枯草菌由来のプラス ミ ド (例、 p U B 1 1 0 , p T P 5又は p C 1 9 4 )、 酵母由来プラス ミ ド (例、 p S H l 9、 p S H l 5、 Y E p 1 3又は Y C p 5 0等)、 λ ファージ等のバクテ リ オファージ、 レ ト ロ ゥイ ノレス, Vクシ二ァゥィノレス又はバキュ 口 ウイ ルス等の動物ウイ /レス等を利用するこ とがでさ る 。 本発明で用いられる プロモーターと しては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプ 口モーターであればいかなるもので レ、 例えば、 宿主が大腸菌であ る場合は、 t r p プロモーター、 1 a c プ口モ一ター、 r e c Aプロモ 一ター、 プロモーター、 1 P Pプ モ一タ一、 T7 プロモーター、
T3 プロモーター、 araBAD プロモ一タ 等が 、 宿主がバチルス属菌であ る場合は、 SP01 プロモーター、 penPプ モ一タ一 、 XYLプロモーター、
HWP プロモーター、 CWP プロモ一タ一等が 宿主が枯草菌である場合 は、 S P O l プロモーター、 S P o 2プ口モ一タ一、 p e n Pプロモー ター等、 宿主が酵母である場合は 、 P H O 5 プ口モーター、 P G Kプロ モーター、 G A Pプロモーター、 A D Hプ モ一ター等が好ま しい。 動 物細胞を宿主と して用いる場合は 、 S R プ モ一ター、 S V 4 0プロ
モーター、 L T Rプロモーター、 CMVプロモーター、 H S V-T Kプ 口モーター等が挙げられる。 また、 昆虫細胞を宿主と して用いる場合は ポリヘ ドリ ンプロモーター、 OplE2プロモーター等が好ま しい。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望によ り 当該技術分野で公知の、 ェンハンサー、 スプライシングシグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マ 一力一、 S V 4 0複製オリ ジン (以下、 S V 4 0 o r i と略称する場合 がある) 等を付加するこ とができる。 また、 必要に応じて、 本発明の D NAにコー ドされた蛋白質を他の蛋白質 (例えば、 ダルタチオン S トラ ンスフェラーゼ及びプロテイ ン A) との融合蛋白質と して発現させるこ と も可能である。 このよ う な融合蛋白質は、 部位特異的プロテアーゼを 使用 して切断し、 それぞれの蛋白質に分離するこ とができる。
宿主細胞と しては、 例えば、 ェシヱ リ ヒア厲菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞等が用いられる。 ェシエ リ ヒア属菌の具体例 と しては、 ェシエ リ ヒア · コ リ (Escherichia coli) K 1 2 ' D H 1 (Proc . Natl . Acad . Sci . U S A, 6 0卷, 1 6 0 ( 1 9 6 8 ) ), J M 1 0 3 (Nucleic Acids Research, 9卷, 3 0 9 ( 1 9 8 1 ) ) , J A 2 2 1 (Journal of Molecular Biology, 1 2 0卷, 5 1 7 ( 1 9 7 8 ) ), H B 1 0 1 (Journal of Molecular Biology, 4 1 卷, 4 5 9 ( 1 9 6 9 ) )、 D H 5 a及び J M 1 0 9等が用いられる。 パチル ス属菌と しては、 例えば、 / チノレス ' サチノレス (Bacillus subtilis) M I 1 1 4 (Gene, 2 4卷, 2 5 5 ( 1 9 8 3 ) ), 2 0 7 - 2 1 [journal of Biochemistry, 9 5卷, 8 7 ( 1 9 8 4 )〕 及びバチルス · プレビ ス等が用いられる。 酵母と しては、 例えば、 サッカ ロマイセス セ レビシ ェ ( Saccaromyces cerevisiae) A H 2 2 , AH 2 2 R -, N A 8 7 - 1 1 A, D KD— 5 D , 2 0 B— 1 2、 シゾサッカ ロマイセス ボンべ ( Schizosaccaromyces pombe) N C Y C 1 9 1 3 , N C Y C 2 0 3
6、 ピキア パス ト リ ス (Pichia pastoris) 及びハンセヌ ラ ' ポ リ モ ーフ ァ(Hansenula polymorpha)等が用いられる。 動物細胞と しては、 例え ば、 サル細胞 C O S — 7 , V ero, チャイニーズハムスター細胞 C H O (以下、 C H O細胞と略記), d h f r遺伝子欠損チャイニーズハムスタ 一細胞 C H O (以下、 C H O ( d h f r -) 細胞と略記), マウス L細胞, マウス A t T— 2 0 , マウス ミエローマ細胞, ラ ッ ト G H 3 , ヒ ト F L 細胞及ぴ H E K 2 9 3細胞等が用いられる。
上述した宿主細胞の形質転換は、 当該技術分野で公知の方法に従って 行う こ とができる。 例えば、 以下に記載の文献に宿主細胞を形質転換す る方法が記載されている。 Proc . Natl . Acad. Sci . U S A , 6 9卷, 2 1 1 0 ( 1 9 7 2 ) ; Gene, 1 7卷, 1 0 7 ( 1 9 8 2 ) ; Molecular & General Genetics, 1 6 8卷, 1 1 1 ( 1 9 7 9 ) ; Methods in Enzymology, 1 9 4卷, 1 8 2 — 1 8 7 ( 1 9 9 1 ) ; Proc . Natl . Acad Sci . U S A), 7 5卷, 1 9 2 9 ( 1 9 7 8 ) ; 細胞工学別冊 8 新 細胞 工学実験プロ ト コール. 2 6 3 - 2 6 7 ( 1 9 9 5 ) (秀潤社発行) ; 及 ぴ Virology, 5 2卷, 4 5 6 ( 1 9 7 3 )。
大腸菌等の細菌への組換ベク ターの導入方法は、 細菌に D NAを導入 するこ とのできる方法であれば特に限定されるものではなく 、 例えば力 ル シ ゥ ム イ オ ン を 用 レヽ る 方 法 (Cohen , S .N . et al . : Proc . atl . Acad. Sci . , USA, 69 : 2110 (1972) , エ レク ト ロ ポ レ ーショ ン法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、 酵母への組換ベクターの導入方法は、 酵母 に D N Aを導入する こ と のできる方法であれば特に限定されず、 例えば エレク ト 口ポレーシヨ ン法、 スフエロプラス ト法、 酢酸リ チウム法等が 挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、 動物細胞への組換べクターの導入方法
は、 動物細胞に D N Aを導入するこ とのできる方法であれば特に限定さ れず、 例えばエレク ト ロポレーシヨ ン法 、 リ ン酸カルシウム法、 リ ボフ ェクショ ン法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、 昆虫細胞への組換ぺクタ一の導入方法 は、 昆虫細胞に D N Aを導入するこ とのできる方法であれば特に限定さ れず、 例えばリ ン酸カルシウム法 、 リ ポフェク シヨ ン法、 エレク ト ロポ レーショ ン法等が挙げられる。
遺伝子が宿主に組み込まれたか否かを確認するための方法と しては、 例えば P C R法、 サザンハイブリ ダィゼーシヨ ン法、 ノーザンハイプリ ダイゼーシヨ ン法等によ り行う こ とができる。 例えば、 形質転換体から D N Aを調製し、 D N A特異的プライマーを設計して P C Rを行う。 P C Rは、 前記プラス ミ ドを調製するために用いた条件と同様の条件にて 行われる。 次いで、 増幅産物についてァガロースゲル電気泳動、 ポリ ア ク リルアミ ドゲル電気泳動又はキヤ ピラ リ ー電気泳動等を行い、 臭化工 チジゥム、 S YB R G r e e n液等によ り染色し、 次いで增幅産物を 1本のバ ン ドと して検出し、 形質転換されたこ と を確認するこ とができる。 予め 蛍光色素等によ り標識したプライマーを用いて P C Rを行い、 増幅産物 を検出しても よい。 更に、 マイ ク ロプレー ト等の固相に增幅産物を結合 させた後、 蛍光又は酵素反応を用いて增幅産物を確認する方法を用いる こ と もできる。
本発明の発毛促進剤組成物に用いられる G— C S Fは、 前記形質転換 体を培養し、 G— C S Fを生成、 蓄積し、 該タンパク質を採取する こ と によ り製造するこ とができる。 G— C S Fが蓄積されるのは、 培養上清 のほか、 培養細胞も しく は培養菌体又は細胞若しく は菌体の破砕物のい ずれをも意味する ものである。 本発明において形質転換体を培養する方 法は、 特に制限はなく 、 宿主の培養において用いられる通常の方法でよ
レヽ
例えば、 宿主が大腸菌や酵母等の微生物の場合、 形質転換体を培養す る培地は、 微生物が資化し得る炭素源、 窒素源、 無機塩類等を含有し、 形質転換体の培養を効率的に行う こ とができる培地であれば、天然培地、 合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源と しては、例えばグルコース、 フラ ク ト一ス、 スク ロース、 デンプン等の炭水化物、 酢酸、 プロ ピオン 酸等の有機酸、 エタノール、 プロ%ノ ー留等のアルコール類が挙げられ る。 窒素源と しては、 例えばアンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アン モニゥム、 酢酸アンモニゥム、 リ ン酸アンモニゥム等の無機酸又は有機 酸のアンモニゥム塩、 又はその他の含窒素化合物の他、 ペプ トン、 肉ェ キス、 コーンスティ ープリ カー等が挙げられる。 無機物と しては、 リ ン 酸第一力 リ ウム、 リ ン酸第二カ リ ウム、 リ ン酸マグネシウム、 硫酸マグ ネシゥム、 塩化ナ ト リ ウム、 硫酸第一鐡、 硫酸マンガン、 硫酸銅、 炭酸 カルシウム等が挙げられる。 培養は、 通常、 浸透培養又は通気搅拌培養 等の好気的条件の下で行う。 培養温度、 培養時間は、 宿主が大腸菌の場 合、 約 1 5 〜 4 3 °Cの温度で約 1 2 〜 4 8 時間行う。 宿主がバチルス属 菌の場合、 約 3 0 〜 4 0 °Cの温度で約 1 2 〜 1 0 0時間行う。 宿主が酵 母の場合は、 約 2 0 〜 3 5 aCの温度で約 2 4 〜 1 0 0時間行う。 また、 必要に応じて通気や攪拌を加えるこ とができる。 p Hの調製を行う必要 がある場合、 無機又は有機酸、 アルカ リ溶液等を用いて行う。
プロモーターと して誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形 質転換した形質転換体を培養する場合は、 必要に応じてイ ンデューサー を培地に添加して培養を行う。
動物細胞を宿主と して得られた形質転換体を培養する場合、 用いられ る培地と しては、 一般に用いられている R P M I 1 6 4 0 培地、 D M E M 培地又 はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地が挙げられる。 培養は、
好ま しく は、 5 %程度の二酸化炭素の存在下で約 3 7 Cの温度で 1 ~ 3 0 日間行う。
培養後、 G— C S Fが菌体内又は細胞内に生産される場合には、 公知 の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超音 波、 リ ゾチームおよびノまたは凍結融解等によって菌体又は細胞を破壊 したのち、 遠心分離やろ過によ り蛋白質の粗抽出液を得る方法が挙げら れる。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジン等の蛋白質変性剤や、 ト リ ト ン X— 1 0 0 (登録商標) 等の界面活性剤が含まれていてもよい。 培養 液中に G— C S Fが分泌される場合には、 培養終了後、 公知の方法で菌 体あるいは細胞と上清と を分離し、 上清を集める。 このよ う にして得ら れた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、 公知の分 離 · 精製法を適切に組み合わせて行な う こ とができる。 すなわち、 例え ば硫酸ァンモユウム沈殿、 ゲルク ロマ トグラフィー、 ィオン交換ク 口マ トグラフィー、 ァフィ二ティーク ロマ ト グラフィ一等を単独で又は適宜 組み合わせて用いるこ とによ り 、 目的のタンパク質を生成するこ とがで さ る。
こ う して得られた G— C S Fは、 公知の方法あるいはそれに準じる方 法によって塩に変換するこ とができ、 逆に塩で得られた場合には公知の 方法あるいはそれに準じる方法によ り 、 遊離体または他の塩に変換する こ とができる。 更に、 組換え体が産生する蛋白質を、 精製前または精製 後に、 ト リ プシン及びキモ ト リ ブシンのよ う な適当な蛋白修飾酵素を作 用させる こ と によ り 、 任意に断片化するこ と もできる。 また、 キナーゼ 等のタンパク質修飾酵素を作用させるこ とによ り 、 任意に修飾を加える こ と もできる。 G— C S Fの存在は、 様々な結合アツセィ及び特異抗体 を用いたェンザィムィムノアッセィ等によ り測定するこ とができる。 本発明の'発毛促進剤組成物に用いられる G— C S Fは、 そのままで用
いてもよ く 、 又は必要に応じて、 それら 自体公知の薬理学的に許容され る担体、 賦形剤等と混合して医薬組成物と して、 経口又は非経口的に投 与するこ とができる。
経口投与のための剤型と しては、 例えば錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 顆 粒剤、 シロ ップ剤、 乳剤、 懸濁剤等が挙げられる。 このよ う な剤型は、 自体公知の方法によって製造するこ と でき、 製剤分野において通常に 用いられる担体又は賦形剤を含有するものである。 担体と しては、 錠剤 用の担体が挙げられ、 賦形剤と しては、 ラク トース、 マル トース、 サッ 力ロース、 でんぷん、 ステアリ ン酸マグネシウム等が挙げられる。
非経口投与のための剤型と しては、 例えば、 軟膏剤、 注射剤、 湿布剤、 塗布剤、 座薬、 経鼻吸収剤、 経肺吸収剤、 経皮吸収剤、 局所徐放剤等が 挙げられる。 溶液製剤は、 自体公知の方法、 例えば、 G _ C S Fを通常、 注射剤に用いられる無菌の水溶液に溶解、 又は抽出液に懸濁、 更に乳化 して リ ポソームに包埋させた状態で用い得る。
固体製剤と しては、 それら 自体公知の方法、 例えば G— C S Fにマン 二 トーノレ、 ト レノヽ ロ ース 、 ソノレビ トーノレ、 ラク トース 、 グノレ コ ース等を 賦形剤と して加え、 凍結乾燥物と して調製するこ とができ る。 さ らに、 この凍結乾燥物を粉体化して用いてもよい。 また、 粉体化した凍結乾燥 物をポリ乳酸ゃグリ コール酸等と混ぜて固体化して用いてもよい。また、 ゲル化して用いてもよい。
本発明の発毛促進剤組成物は徐放性製剤と して用いる こ とが好ま しい。 徐放性製剤と は、 有効成分の放出の全てが、 投与の直後に行われるので はなく 、 いく らかの期間だけ遅延される ものを意味する。 この放出は一 時に行う よ う にするこ と もでき、 又は徐々に連続して行う こ と も可能で ある。 なお、 徐放性製剤は、 少なく と も 7 日間にわたって G— C S Fを 放出するよ う に製剤化されているものを用いる こ とが好ま しい。 さ らに
は、 1 4 日間にわたって G— C S Fを放出するよ う に製剤化されている ものを用いるこ とが好ま しい。 このよ う な徐放性製剤と しては、 例えば 医療ポンプ (ォスモチックポンプ) 等が挙げられる。 ォスモチックボン プを用いるこ とによ り 、 連続的に G— C S Fが放出される。
本発明の発毛促進剤組成物の投与量は、 G— C S Fの量が好ま しく は 0 . :!〜 l g / k g Z日 になるよ う に投与する。 本発明の発毛促進剤 組成物中の G— C S F含有量に特に制限はなく 、 上記投与量になるよ う に含有させればよい。
本発明の化粧料は、 上記発毛促進剤組成物を配合してなる。 本発明の 化粧料は、 本発明の発毛促進剤組成物の発毛促進効果を利用 した頭髪用 の化粧料、 頭皮用の化粧料、 育毛用の化粧料と して用いられる。 本発明 の化粧料の剤型と しては、 毛髪への作用を期待し得る ものであれば特に 制限はなく 、 例えばヘア トニック、 シャンプー、 リ ンス、 ポマー ド、 へ ァローショ ン、 ヘアク リ ーム、 ヘア ト リ一トメ ン ト等の通常化粧料と し て用いられている ものを例示できる。 これらの化粧料は、 従来公知の製 造方法に従って製造する こ とができる。
本発明の化粧料には、 頭髪用化粧料、 頭皮用化粧料、 育毛用化粧料等 に通常に用いられる各種添加剤を添加してもよい。 このよ う な添加剤と しては、 例えば炭化水素類、 ロ ウ類、 油脂類、 エステル類、 高級脂肪酸 類、 高級アルコール類、 界面活性剤類、 香料、 色素、 防腐剤、 抗酸化剤、 紫外線吸収剤、 アルコール類、 p H 調製剤、 その他の薬効成分が举げら れる。 また、 本発明の化粧料には、 G— C S F以外の、 従来公知の発毛 促進効果を示す成分を配合してもよい。
次に、 本発明の顆粒球コ ロニー刺激因子遺伝子を含有する、 発毛促進 剤組成物 (以下、 本明細書において 「遺伝子含有発毛促進剤組成物」 と もいう) について説明する。 本発明の G— C S F遺伝子を含有する発毛
促進剤組成物において用いられる遺伝子は、 配列番号 : 1 で表わされる 塩基配列の情報に基づき、 適当な D N A部分を P C Rプライマーと して 用い、 例えば R T— P C Rプライマー反応を行う こ と によってク ロー二 ングするこ とができる。 上記遺伝子は、 上述した発毛促進剤組成物にお いても散られるものを用いるこ とができる。
本発明の G— C S F遺伝子を含有する発毛促進剤組成物の投与方法と しては、 非ウィルスベク ターを用いる場合、 及びウィルスベクターを用 いる場合が挙げられる。 このよ う な投与方法については、 例えば、 別冊 実験医学、 遺伝子治療の基礎技術、 羊土社、 1996、 別冊実験医学、 遺伝 子導入 &発現解析実験法、 羊土社、 1997、 日本遺伝子治療学会編遺伝子 治療開発研究ハン ドブック、 ェヌ ' ティー ' エス 、 1999等の実験手引き 書に詳しく解説されている。 それらの方法について以下、 簡単に説明す る。
非ウィルスベク ターを用いて投与する方法と しては、 慣用の遺伝子発 現ベクターに G— C S F遺伝子が組み込まれた組換え発現ベクターを用 いて、 以下のよ う な手法によ り G— C S F遗伝子を細胞や組織に導入す るこ とができる。
細胞への遺伝子導入法と しては、 例えばリ ン酸ーカルシウム共沈法 ; 微小ガラス管を用いた D N Aの直接注入法等が挙げられる。
また、 組織への遺伝子導入法と しては、 例えば、 内包型リ ボソーム (internal type liposome) による遺伝子導入法、 静電気型リ ボソーム (electrostatic type liposome ) による遺伝子導入法、 H V J — リ ホ ソーム法、 改良型 HV J — リ ボソーム法 (HVJ-AVE リ ボソーム法)、 受容 体介在性遺伝子導入法、 パーティ クル銃で担体 (金属粒子) と と もに D N A 分子を細胞に移入する方法、 n a k e d — DNAの直接導入法、 正電 荷ポリ マーによる導入法等が挙げられる。 このよ う な方法によって、 組
換え発現ベクターを細胞内に取り込ませるこ とが可能である。
上述した方法において用いられる発現ベクターと しては、 例えば、 p C A G G S (Gene 108, 193-200 (1991)) や、 p B K— CMV、 p c D N A 3. 1 、 p Z e o S V (イ ンビ ト ロゲン社、 ス ト ラ タジーン社) 等が 挙げられる。
また、 ウィルスベク ターを用いる場合、 ウィルスベク ターと しては、 例えば、 組換えアデノ ウイルス、 レ ト ロ ウイルス等が挙げられる。 更に 具体的には、 無毒化したレ ト ロ ウイルス、 アデノ ウイルス、 アデノ随伴 ウイノレス 、 へノレぺスゥイ ノレス 、 ワクシニアウイノレス、 ボックスゥイ ノレス 、 ポ リ オウイルス、 シンビス ウイ.ルス、 センダイ ウィルス、 S V 4 0、 免 疫不全症ウィルス ( H I V ) 等の D N Aウィルス又は RNA ウィルスに本 発明の PGIS遗伝子を導入し、細胞に組換えウィルスを感染させるこ とに よって、 細胞内に G— C S F R遺伝子を導入するこ とが可能である。 上述したウィルスベクターの う ち、 アデノ ウィルスの感染効率は、 他 のウィルスベク ターを用いた場合よ り もはるかに高いこ とが知られてい る。 従って、 アデノ ウイルスベク ター系を用いるこ とが好ま しい。
本発明の遺伝子含有発毛促進剤組成物の患者への導入法と しては、 遣 伝子含有発毛促進剤組成物を直接体内に導入する i n v i v o法、及び、 ヒ トからある種の細胞を取り 出して体外で遺伝子含有発毛促進剤組成物 を該細胞に導入し、 その細胞を体内に戻す e X V i v o法がある (例え ば、 日 経サイ エ ンス, 1994 年 4 月 号, 20- 45 頁、 月 刊薬事, 36(1) , 23 - 48, 1994、 実験医学増刊, 12 ( 15) , 1994、 日本遺伝子治療学会編遺伝子 治療開発研究ハン ドブック, ェヌ · ティー · エス, 1999等参照)。 本発明 においては、 遺伝子含有発毛促進剤組成物を導入した細胞において発毛 促進効果が誘導されるため、 i n V i V o法によるこ とが好ま しい。
i n v i v o法によ り遺伝子含有発毛促進剤組成物を投与する場合
は、 対象となる細胞、 組織、 標的臓器等に応じた適当な投与経路によ り 投与され得る。 例えば、 静脈、 動脈、 皮下、 皮内、 筋肉内などに投与す るか、 又は発毛を促進しょ う とする組織そのものに直接局所投与するこ とができる。
製剤形態と しては、 上記の各投与形態に合った、 液剤等の製剤形態で よい。 例えば、 有効成分の D NA を含有した注射剤の場合には、 該注射 剤は常法によ り調製するこ とができる。 例えば、 適切な溶剤 ( P B S等 の緩衝液、 生理食塩水、 滅菌水等) に溶解した後、 必要に応じてフィル ター等で濾過滅菌した後、 無菌的な容器に充填するこ とによ り調製する こ とができる。 該注射剤には、 必要に応じて通常に用いられる担体等を 加えてもよい。
疾患部位の周囲に遺伝子を存在し易く するために、 徐放性の製剤 (ミ 二ペレッ ト製剤等) を調製し患部近く に埋め込むこ と も可能であ り 、 あ るいはォスモチックポンプなどを用いて患部に連統的に徐々 に投与する こ と も可能である。
前記製剤中の G— C S F遺伝子の含有量は、 治療目的の疾患、 患者の 年齢、 体重等によ り適宜調節するこ とができる。 例えば、 有効成分の D NA量と して好ま しく は 0 . 0 0 0 1 〜 1 0 0 m gであ り 、 更に好ま し く は 0. 0 0 1 〜 :! O m g である。
実施例
以下に、 実施例を示し、 本発明をさ らに具体的に説明するが、 本発明 はこれに限定されるものではない。
実施例 1
ヒ ト顆粒球コ ロニー刺激因子 (以下、 h G— C S F とい う) を発現する トランスジヱニックマウスを作製した。 h G— C S Fを発現する ト ラン スジエニックマウスを作製するために、 h G _ C S Fを誘導する S R a
プロモーターを用いた。 S R aプロモーターは、 ヒ ト T細胞白血病ウイ ルスの R U 5 シークェンス及ぴ S V 4 0初期プロモーターから構築され ている。 p S R 2 9 6 プラス ミ ドの E c o R I サイ トに h G— C S Fの 全長 c D N Aを挿入し、 導入遺伝子の発現ユニッ トは' S a 1 I で切断し p S R a h G— C S Fを得た。 p S R cc h G— C S Fの 2 . 3 キロ ベース S a i l 断片をガラスパゥダー (旭硝子社製、 D N A P R E P ) で精製し、 1 0 mM T r i s - H C l , 0 . I mM E D T A ( p H 7 . 5 ) に、 マイ ク ロイ ンジェクショ ンをするために 1 0 g /m l になる よ う に溶解した。 マウスの受精卵は、 B D F 1 ォスマウス と交尾 した過排卵の ( C 5 7 B L / 6 X D B A 2 ) B D F 1 メスマウスの卵管 の卵丘から採取した。 上記 D N A断片を受精卵の最も利用 しやすい前核 に注入した ( 1 〜 5 f 1 ) 。 D N Aが注入された胚を 0 . 5 日後に偽妊 娠 M C H— I C Rマウスの卵管に移植し、 分娩させ、 h G— C S Fを発 現する ト ランスジエニックマウスを得た。
上述のよ う にして得られたマウスにおける h G _ C S Fの発現は、 h
G— C S Fタンパク質の定量、 及ぴ h G— C S Fの生物学的活性測定に よ り確認した。 h G— C S Fタンパク質の定量は E L I S A法によ り行 い、 h G— C S Fの生物学的活性測定は、 G— C S F依存マウス前骨髄 性白血病細胞系 ( N S F 6 0 ) を用いた検定によ り行った。
また、 発毛促進効果については以下のよ う にして検定を行った。
上述のよ う にして得られた トランスジヱニックマウスの皮膚を、 頭部 、 背部及ぴ脚部よ り採取し、 伸展固定を行い、 ホルマ リ ン中で一昼夜放 置する。 次いで、 皮膚を垂直断し、 毛の発生を全体で観察可能とする標 本を作製し、 へマ トキシリ ン ' ェォジン染色して、 毛の数、 毛周期及び 毛根部の位置を顕微鏡にて観察した。
結果を図 1 に示す。 h G— C S Fを発現していないマウスをコン ト ロ
ールと して用い、 その結果を図 1 ( b ) に示す。 図 1 ( a ) は、 h G— C S Fを発現する ト ランスジエニックマウスの結果である。
図 1 ( a ) 及び ( b ) に示す写真は、 上から表皮、 真皮、 皮下脂肪を 示す。 図 1 中の黒い円形ないし楕円形の部分が毛である。 図 1 ( a ) に 示すよ う に、 h G— C S Fを発現する ト ラ ンスジエニックマウスにおい ては、 真皮及び皮下脂肪に毛の数が増えていた。 これに対し、 図 1 ( b ) に示すコン トロールマウスにおいては、 真皮及び皮下脂肪において毛 の数の增加は認められなかった。 なお、 図 1 ( a ) に示すよ う に、 h G - C S Fを発現する トランスジエニックマウスにおいて発毛促進が認め られたが、 毛の数が増えているばかり でなく 、 その太さが太く な り また 色も黒く なっているこ とがわかる。
実施例 2
h G - C S Fを発現する ト ラ ンスジエニックマ ウスの骨髄細胞を、 h G - C S Fを発現していないマウスに投与した場合の発毛促進効果につ いて調べた。
実施例 1 で得られた、 h G— C S Fを発現する ト ラ ンスジエニックマ ウスの大腿骨から、 2 3 Gの注射針でフラ ッシングして骨髄細胞を採取 し、 2 7 Gの注射針でピペッティ ングするこ と によ り 、 1個ずつの細胞 の懸濁液と した。 ナイ ロンメ ッシュに通すこ と によ り 、 細胞のごみや組 織の残骸を除去した。 次いで、 D u 1 b e c c o のリ ン酸緩衝生理食塩 水で 2 回洗浄し、 骨髄移植用の骨髄細胞と した。
C 5 7 B L Z 6 マウス、 B A L B Z c マウス及び B 1 0 . 1 2マウス に酸性水及びネオマイシンを放射線照射の 7 日前に投与した。 致死量の 放射線 ( 9 0 0 c G yの X線、 2 5 0 c G y /分) を照射して 3時間以 內に、 5 0 0 μ 1 の骨髄細胞 ( 5 , 0 0 0 , 0 0 0個 Zm l ) を尻尾の 側脈から注入した。 なお、 通常のマウスの骨髄細胞を上述のよ う にして
移植し、 これをコン ト ロールと した。
骨髄細胞を注入してから 6 0 日経過した後、 実施例 1 と同様に発毛促 進効果を調べた。 骨髄移植マウスについての結果を図 2 に示す。
図 2 ( a ) に示す写真は、 トランスジエニックマウスから採取した骨 髄細胞を移植したマウスについての結果であり 、 図 2 ( b ) は、 通常の マウスの骨髄細胞を移植したマウスについての結果である。 図 2 ( a ) 及び ( b ) に示す写真は、 上から表皮、 真皮、 皮下脂肪を示す。 図 2 中 の黒い円形ないし楕円形の部分が毛である。 図 2 ( a ) に示すよ う に、 h G - C S Fを発現する トランスジエニックマウスから採取した骨髄細 胞を注入されたマウスにおいては、 真皮及び皮下脂肪に毛の数が増加す るこ とがわかった。 これに対し、 通常のマウスの骨髄細胞を移植したマ ウスにおいては、 真皮及び皮下脂肪において毛の数の増加は認められな かった。
実施例 3
l O O g /m l 濃度の G— C S Fを Alzet ミニォスモチックポンプ
(型 : 2 0 0 2、 DURECT社製) に 2 0 0 /i 1 注入した。 次いで、 G— C S Fを注入したミ ニォスモチックポンプをマウス皮下 (背部) に全身麻 酔下で挿入した。 用いたポンプは、 G— C S Fを 1 4 日にわたって放出 するよ う になされたものである。 ポンプを挿入後、 7 曰、 1 4 日、 2 1 日及ぴ 2 8 日経過した後、 実施例 1 と同様に発毛促進効果を調べた。 結 果を図 3 に示す。 図 3 ( a ), ( b )、 ( c ) 及び ( d ) は、 それぞれボン プ揷入後 7、 1 4、 2 1及び 2 8 日経過した後の発毛促進効果を示す写 真である。
図 3 ( a ;) 、 ( b ) 、 ( c ) 及び ( d ) に示す写真は、 上から表 皮、 真皮、 皮下脂肪を示す。 図 3 中の黒い円形ないし楕円形の部分が毛 である。 図 3 に示すよ う に、 h G _ C S Fをォスモチックを用い連続的
に徐々に投与した場合、 1 4 日経過後から、 真皮及び皮下脂肪に毛の数 が増加するこ とがわかった。
以上詳述した通り 、 顆粒球コ ロニー刺激因子が発毛促進効果を有する こ とが見出された。 本発明の発毛促進剤組成物は、 発毛を促進する効果 を有し、脱毛症の治療及び薄毛の治療等に有効な効果を発揮する。また、 本発明の発毛促進剤は安全でかつ優れた発毛促進効果を有するものであ る。