WO2004082547A1

WO2004082547A1 - 分割された吸収性コアを有する吸収性物品

Info

Publication number: WO2004082547A1
Application number: PCT/JP2004/003526
Authority: WO
Inventors: Sadayoshi Terada; Rie Yamazaki
Original assignee: Koyo Corporation
Priority date: 2003-03-17
Filing date: 2004-03-17
Publication date: 2004-09-30
Also published as: EP1604627A4; EP1604627A1; JP2004275501A; CA2501357A1; US20060122573A1

Abstract

使い捨ておむつ及び生理ナプキンなどの吸収性物品に、放出液体を迅速に浸透拡散させることができる吸収性物品である。表面シートと裏面シートとの間に挟持される長方形の板状吸収性コアに、その平面中心から半径25mmの円内の1点を通り、板状吸収コアの周縁まで異なる方向に延びる少なくとも1本の溝を設け、板状吸収性コアを2つ以上の部分に分割する。

Description

明細書分割された吸収性コアを有する吸収性物品技術分野

この発明は、使い捨ておむつや生理ナプキンで例示される吸収性物品の改良に関するものであって、さらに詳しくは、吸収性物品に内包される板状吸収性コアを、少なくとも 1本の中空間隙（溝）にて複数部分に分割し、その状態を保って板状吸収性コアを表面シートと裏面シ一トとの間に挟持させることにより、吸収性コア本来の液吸収性を発揮できるようにした吸収性物品に係る。背景技術

使い捨ておむつや生理ナプキンなどの吸収性物品は、基本的には、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートとの間に、吸水性に優れた板状の吸収性コァを挟持させた構造にある。そして、従来の吸収性物品の多くは、上記両シート間に挟まれた板状吸収性コアが、シートの間で偏ったり、ずれたりしないように、ホットメルト接着剤にて吸収性コアを、両シートに接着させている。

し力、し、ホットメルト接着剤を使用しての吸収性コアと上記両シートとの接合は、吸収性コアの吸水性を多少なりとも損なう点で好ましくない。とりわけ、表面シートと吸収性コアとの接合に、ホットメルト接着剤を使用すると、表面シ一トと吸収性コアとの界面に、硬化した接着剤が介在するため、表面シートの液透過性低下や吸収性コアの吸水性低下をある程度覚悟しなければならない。

表面シート及び裏面シートと板状吸収性コアとの界面に、ホットメルト接着剤を使用しなくても、表面シートと裏面シートとの間で板状吸収性コアが偏つたり、ずれたりしない吸収性物品としては、吸収性コアを複数の部分片に分割し、それぞれの部分片の全周囲で表面シートと裏面シートとを密接固定した吸収性物品が知られている（特許文献 1参照）。この吸収性物品では、板状吸収性コアの部分片の周囲全てが、表面シートと裏面シ一トとの接合部で囲まれる関係で、板状吸収性コアと上記両シートとをホットメノレト接着剤で接合しなくても、吸収性コアの偏りやずれを防ぐことができる。上記した以外で、表面シ一ト側に条孔又は設けた従来の吸収性物品としては、液透過性表面シ一トと液不透過性裏面シ一トとの間に吸収性コアがシ一ト長手方向へ延在する吸収性物品において、前記コアにその厚み方向を貫通し前記長手方向へ延びる複数の条孔を配置し、当該条孔に沿って前記表裏面シー卜が剥離不能に接合され、表面シ一卜が前記条孔に沿って延びる条溝を形成している吸収性物品が知られている（特許文献 2参照）。 ·

さらに別の吸収性物品としては、液透過性表面シ一トと液不透過性裏面シートとこれら両シ一ト間に介在する吸収性コアとを有し、前記吸収性コアが吸収拡散性シ一卜で被覆され、その吸収性コアの表面シ一ト側には表面シートから裏面シ ―卜へ向かう方向へ窪む少なくとも 1条の溝が形成され、当該溝の底部と側壁部とが前記表面シ一卜で覆われている使い捨ておむつにおいて、前記吸収性コアが吸水性繊維と高吸水性ポリマ一粒子とを含み、これら吸水性繊維と高吸水性ポリマ一粒子とが前記溝の底部において前記表面シ一トと裏面シ一トとの間に介在していることを特徵とする使い捨ておむつ力知られている（特許文献 3参照）。特許文献 1

実開平 1— 1 4 7 0 7号公報

特許文献 2

特開平 9— 5 1 9 1 3号公報

特許文献 3

特開 2 0 0 2— 1 6 5 8 3 4号公報発明が解決しょうとする課題

上記した従来の吸収性物品にあっては、条孔又は溝が表面シート上に放出された液体の案内路として機能する利点があるものの、条孔又は溝の近くに存在する吸収性コアカヾ表面シ一卜で圧迫されるため、条孔又は溝近傍では吸収性コア本来の液吸収性が損なわれる不都合がある。すなわち、従来の吸収性物品における条孔又は溝は、一般に、板状吸収性コアを挟んだ状態で表面シートと裏面シ一トを対向させ、条孔又は溝を設ける個所毎に、表面シ一トを裏面シ一ト側に沈み込ませて裏面シ一トと接合する方法で形成させている。このため、表面シートを隔てて条孔又は溝に隣接する板状吸収性コァは、表面シ一卜で圧迫された状態にあり、これに原因して吸収性コア本来の吸液能力が損なわれる不都合があつた。

しかして、この発明の目的は、豹変シート上に放出された液体の案内路として機能する条孔又は溝を備えていながら、条孔又は溝を設けた従前の吸収性物品に認められる上記の欠点を伴わない新しい吸収性物品を提供することにある。課題を解決するための手段

この発明の吸収性物品は、液透過性表面シ一トと液不透過性裏面シ一トとの間に、長方形又はほぼ長方形の板状吸収性コァを挟持させた構造にある吸収性物 α において、前記両シート間に挟持された板状吸収性コアが、その中心から半径 2 5 mmの円内の 1点を通り、板状吸収体コアの周縁まで延びる少なくとも 1本の溝にて 2つ以上の部分に分割されており、その溝の深さが板状吸収性コアの厚さに等しく、幅が 2〜 6 mmの範囲にあり、し力、も、その溝は表面シート側からも裏面シ一ト側からも直接目視できないことを特徴とする。

従前の吸収性物品に設けられている条孔又は溝は、通常、表面シート側からこれを目視できるのに対し、本発明の吸収性物品の吸収性コアに設けられる条孔又は溝は、表面シート側からも裏面シート側からも直接目視できないので、この明細書では当該溝を隠れ溝と呼ぶことがある。当然のことながら、この隠れ溝の両側壁は、板状吸収性コアの縦断面からなり、溝の天地は表面シートと裏面シートで閉じられている。図面の簡単な説明

図 1は、板状吸収性コアを長手方向に延びる 1本の隠れ溝にて 2分割して 2枚のシート間に挟持した吸収性物品の一例を示す平面図である。

図 2は、図 1の A— A線での断面図である。図 3は、板状吸収性コアを長手方向に延びる 2本の隠れ溝にて 3分割して 2枚のシート間に挟持した吸収性物品の他の一例を示す平面図である。

図 4は、図 3の A— A線での断面図である。

図 5は、板状吸収性コアを長手方向に延びる 3本の隠れ溝にて 4分割して 2枚のシ一卜間に挟持した吸収性物品の別の一例を示す平面図である。

図 6は、図 5の A— A線での断面図である。

図 7は、板状吸収性コアを放射線状に延びる複数本の隠れ溝にて分割して 2枚のシ一ト間に挟持した吸収性物品のさらに別の一例を示す平面図である。

図 8は、図 7に示す吸収性物品の変形例を示す平面図である。

図 9は、食塩水の円形拡散実験に使用した液注入器の縦断面図である。発明の実施の形態

この明細書では、使、捨ておむつや生理ナプキンを総称して吸収性物品と呼ぶが、吸収性物品には、装着時のフィット性の改善や漏洩防止などを目的として、エンボス加工を施したり、弾性材を備えたカフス及び Z又はギヤザ一を付設したりしたものが各種存在する。また、使い捨ておむつに取り付けるファスナーなどについても、その形態や取り付け位置などに関して、いろいろな提案がなされている。しかし、如何なる種類の吸収性物品であっても、その基本構造は、長方形又はほぼ長方形を呈する板状吸収性コアを、液透過性表面シートと液不透過性の裏面シ一トとの間に挟持した構造にある。

ここで、ほぼ長方形を呈する板状吸収性コアとは、長方形の板状吸収性コアの四隅及び Z又はクロッチ部分（股部）をトリミングした板状吸収性コアを指す。従って、本発明で言うほぼ長方形を呈する板状吸収性コアには、楕円形の吸収性コアや平面形状カヾ砂 B寺計型又はひょうたん型の吸収性コアが含まれる。

本発明に係る吸収性物品の表面シ一ト、裏面シ一ト及び吸収†生コアには、従来の吸収性物品を製造する際に使用されている液透過性シ一ト、液不透過性シ一ト及び吸収性コアが、何れも使用可能である。ちなみに、吸収性コアは、粉砕木材ノ、。ルプ、高吸水性ポリマ一、合成繊維などを構成成分とする積層体又は板状成形体であるの力一般的である。 2枚のシ一ト間に挟持される板状吸収性コアの多くは、厚さ力一様であるのが通例であるカ、中央部の厚さを周辺部のそれより厚くすることもできる。

本発明に係る吸収性物品の最大の特徴は、表面シ一トと裏面シートとの間に挟持されている長方形又はほぼ長方形の板状吸収性コアが、その平面の中心から半径 2 5 mmの円（中心円と呼ぶ）内の 1点を通り、少なくとも 2方向に吸収性コァの周縁まで延びる幅 2〜 6 mmの少なくとも 1本の溝にて、 2つ以上の部分に分割され、しかもその溝が、表面シート側からも、また裏面シート側からも直接目視できな、隠れ溝であることである。

板状吸収性コアを 2つ以上の部分に分割する溝が、上記した中心円内の 1点から 2方向に延びる場合、その 2方向は互いに逆向きであるのが通例である。しかし、正確に逆向きである必要はない。換言すれば、板状吸収性コアを厚さ方向に分断する個々の溝は、例えば、前記中心円内で屈折していて差し支えない。従つて、本発明の板状吸収性コアは、上記した中心円内の 1点から放射状に当該コア周縁部まで延びる複数本の隠れ溝にて、複数の部分に分割することができる。図 1〜図 8は、隠れ溝にて複数個の部分に分割ないしは分断された板状吸収性コアが、液透過性表面シートと液不透過性裏面シ一との間に挟持された本発明の吸収性物品を示す。図示の吸収性物品では、隠れ溝で分割又は分断される以前の板状吸収性コアに、長方形の吸収性コアを採用されているが、これに代えて四隅及び Z又はク口ッチ部分にトリミングを施したほぼ長方形の板状吸収性コアを使用できることは、先に説明したとおりである。吸収性物品に使用される吸収性コァのクロツチ部分にトリミングし、平面形状を砂時計型又はひょうたん型の変形させた吸収性コアを使用した場合は、これを挟持する表面シ一ト及び裏面シ一トにも、それぞれのクロッチ部分にトリミングを施すことがある。

また、図 1〜図 8では、表面シ一ト及び裏面シートとも、板状吸収性コアと同様、平面形状が長方形である例を示しているが、これは説明の便宜上のもので、実際の吸収性物品における表面シ一ト及び裏面シ一卜が、長方形あることを意味しない。ちなみに、使い捨ておむつにあっては、長方形又はほぼ長方形を呈する板状吸収性コアを使用する場合であっても、装着時にヒ卜の腰部及び腹部を取り囲むことになる表面シ一ト及び裏面シー卜の該当部分は、翼状に延長されている ' のが通例である。従って、本発明の吸収性物品を使い捨ておむつに適用する場合には、吸収性コアを挟持する表面シート及び裏面シートにも、上記のような翼状に延長部が設けられる。

さらに言えば、図示していないものの、本発明の吸収性物品には、これを装着した時のフィット性改善、漏洩防止その他の目的で、エンボス加工を施すことができ、また、弾性材を内包したカフス及び/又はギヤザ一を付設することができる。さらに、使い捨ておむつにあっては、これを腰の周りで固定するための各種ファスナーを取り付けることができる。

図中、 1は液透過性の表面シートを、 2は液不透過性の裏面シートを、 3は隠れ溝 4にて厚さ方向に分割又は分断された板状の吸収性コアを示す。

図 1に示す吸収性物品は、長方形の板状吸収性コアが、中央を長手方向に延びる 1本の溝によって分割されで 2枚のシ一ト間に挟持されている。図 3のそれは、長方形の板状吸収性コアが、長手方向に延びる中央線を挟んで平行な 2本の溝によって分割されている吸収性物品を示す。また、図 5は、長方形の板状吸収性コァが、その中央を長手方向に延びる 3本の溝によって 4つの部分に分割された吸収性物品を示す。

いずれの吸収性物品においても、長手方向に延びる溝は、何れも板状吸収性コァの中心を中心とする半径 2 5 mmの円（これを中心円と呼ぶ）内を通ることが好ましいが、各溝は真っ直ぐである必要はない。例えば、図 5に示す吸収性物品にあっては、長手方向に延びる 3本の溝は、何れも上記した中心円内を通過しなければならない関係で、中央に位置する溝は真っ直ぐとするのカ通例であるが、その両側に位置する 2本の溝は、中心円から遠ざかるに従って相互の距離が拡大して差し支えない。換言すれば、中央に位置する溝の両側に位置する 2本の溝は、それぞれ前記中心円内で屈折した溝であってよい。

図 7及び図 8は、長方形板状吸収性コアが、前記中心円内の 1点から板状吸収性コアの周縁まで放射状に延びる複数の隠れ溝にて、複数の部分に分割された吸収性物品を示す。図 7の吸収性物品では、放射状に延びる溝の始点が、長方形板状吸収性コアの中心にあり、図 8の吸収性物品では、放射状に延びる溝の始点が、長方形板状吸収性コアの中心になく、上記した中心円内にある。図 8の点線で示す円は、上記した半径 2 5 mmの中心円である。

図示した各吸収性物品において、隠れ溝 4は、その側壁が板状吸収性コアの断面で構成され、隠れ溝の天地には液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シ一卜が配される。従って、隠れ溝 4の内部は中空であると共に、表面シート側からも裏面シ一ト側からも直接目視することができない。実施例

以下に幾つかの実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。

実施例 1

エアレイド設備を用いて NBKP繊維/熱融着繊維ノ高吸水性ポリマ一の重量比率が、 47. 1/4. 3/48. 6である 5層構造の吸収性コアを作成した。

第 1層 NBKP繊維 55g/m² + 熱融着繊維 5g/m² 計 60g/m² 第 2層高分子吸収ポリマー 85g/m² 計 85g/m² 第 3層 NBKP繊維 55g/m² I 熱融着繊維 5g/m² 計 60g/m² 第 4層高分子吸収ポリマー 85g/m² 計 85g/m² 第 5層 NBKP繊維 55g/m² + 熱融着繊維 5g/m² 計 60g/m² 合計 350g/m²

得られた吸収性コアシートカ、ら、縦 36cmx横 15cmの板状吸収性コアを切り取り、これを縦方向の中央線に沿って幅 6腿の溝にて 2分割し、表面シートに坪量 20 g/m²の旭化成エルタスアクアを、裏 ®シートに厚さ 25 の PEフィルムを用いて図 1に示す吸収性物品を得た。

実施例 2

溝幅を 4腿に変更した以外は実施例 1と同一の素材を用いて、図 1に示す吸収性物品を得た。

実施例 3

溝幅を 2腿に変更した以外は実施例 1と同様の素材を用いて、図 1に示す吸収性物品を得た。実施例 4

実施例 1で使用したものと同一寸法の板状吸収性コアを使用すると共に、実施例 1と同一の表面シ一ト及び裏面シ一トを使用して、図 3に示すような構造の吸収性物品を得た。当該物品では 2本の溝の幅をそれぞれ 6匪とし、この溝に挟まれる帯状の吸収性コアの幅を 25画とした。

実施例 5

溝幅を 4匪に変更した以外は実施例 4と同一の素材を用いて、図 3に示す吸収性物品を得た。

実施例 6

溝幅を 2腿に変更した以外は実施例 4と同一の素材を用いて、図 3に示す吸収性物品を得た。

実施例 7

実施例 1で使用したものと同一寸法の板状吸収性コアを使用すると共に、実施' 例 1と同一の表面シ一ト及び裏面シ一トを使用して、図 5に示すような構造の吸収性物品を得た。当該物品における 3本の溝は、その幅が何れも 6龍であって、中央に位置する溝は、板状吸収性コアの縦方向中央線に沿って配され、この中央溝を挟む 2本の帯状吸収性コアの幅は、それぞれ 17匪とした。

実施例 8

溝幅を 4匪に変更した以外は実施例 7と同一の素材を用いて、図 5に示す吸収性物品を得た。

実施例 9

溝幅を 2匪に変更した以外は実施例 7と同一の素材を用いて、図 5に示す吸収性物品を得た。

実施例 1 0

実施例 1で使用したものと同一寸法の板状吸収性コアを使用すると共に、実施例 1と同一の表面シート及び裏面シ一トを使用して、図 7に示すような構造の吸収性物品を得た。すなわち、板状吸収性コアの中心から放射状に延びる幅 6IMの溝にて、 8等分に分割した板状吸収性コアを、表面シートと裏面シートとの間で挟持させて吸収性物品を得た。実施例 1 1

中心から放射状に延びる溝の幅を 4丽に変更した以外は実施例 1 0と同一の素材を用いて、図 7に示す吸収性物品を得た。

実施例 1 2

中心から放射状に延びる溝の幅を 2mmに変更した以外は実施例 1 0と同一の素材を用いて、図 7に示す吸収性物品を得た。

実施例 1〜1 2で得た各吸収性物品それぞれについて、次の方法で液吸収速度、ゥヱットバック量及び拡散面積比を測定した。

結果を表 1に示す。表 1中の比較例は、板状吸収性コアを溝で分割しなかった以外は実施例 1と全く同一寸法の同一素材を使用して得た吸収性物品についての結果を示す。

液吸収速度： 10cmx 10cm X 10龍厚のァクリル板の中央部に内径 45匪の注入筒を垂直に接続し、その接続部分のァクリル板に前記注入筒の内径と同一寸法の開口を設けた測定具を用意する。この測定具を平面に展開した吸収性物品の表面シ一ト上にほぼ中央に静置する。この場合、ァクリル板が表面シ一卜に接し、注入筒が鉛直に立ち上がる状態を保持する。次に、 0. 9重量％の生理食塩水 200mlを、上記注入筒の上部から約 50匪の液レベルを保持して注入筒内に注ぎ、生理食塩水の全量が吸収されるまでに要した時間（秒）を測定した。

いずれの吸収性物品についても、計測試料を 3枚準備し、各試料毎の吸収所要時間とその平均値を求めた。

ゥエツトバック量：上記の液吸収速度測定に使用して各試料、すなわち、 200mlの生理食塩水を吸収した試料を 10分間放置した後、試料中央部に

100匪 x lOOmm

の濾紙（東洋濾紙 (株)製、アドバンテック No. 1140) を 30枚重ね、この上に 10kgの荷重をかけて 5分間放置した後、濾紙の重量増加を測定してゥットバック量 (g)とした。

拡散面積比：上記の液吸収速度測定に使用する ²00mlの生理食塩水に、ブル一の染料を少量加え、この着色食塩水を各試料に吸収させることで、各試料の板状吸収性コアに対する着色食塩水の拡散面積を計測し、当該拡散面積の板状吸収性コアの全面積（縦 36cm X横 15cm) に対する割合を拡散面積比とした。表 1

表 1から分かるように、実施例 1〜1 2の各吸収性物品は、吸収性コアを隠れ 5 溝で分割していない比較例のそれに比較して、液吸収速度のみならず、ゥヱットバック量も大幅に改善されている。

本発明の隠れ溝を板状吸収性コアのどの位置に設けるの効果的であるかを究明するために、次のような実験を行った。実施例 1の吸収性物品を調製する際に使用したものと、全く同一の板状吸収性コア、表面シート及び裏面シートを使用し、板状コアを溝で分割しなかった以外は実施例 1に倣って吸収性物品（表 1の比較例 1に同じ）を調製した。 ZK平面の上に広げたこの吸収性物品の中央上方に、図 9に示す液注入器を垂直に設置し、濃度 0. 9重量％の生理食塩水 200mlを、液注入器の流出口から吸収性物品までの垂直距離を変えて、 14mlZ秒の流量で吸収性物品に注ぎ、食塩水の落下位置から所定半径の同心円まで食塩水カヾ拡散する時間（秒数）を計測した。

使用した液注入器の上半分を構成する円筒管の内径 Dは 48mmとし、下半分の構成する円錐管は、その長さを 100匪、上部内径を 10匪、液流出口の内径を 3匪とした。また、実験中の液流出量を平均 14mlZ秒に保持するため、液注入器内の食塩水の水頭 Hを 215mmにセットして液流出を開始した。

表 2は、食塩水の落下位置から所定半径の同心円まで食塩水が拡散する時間を、食塩水の落下距離が 5匪である場合及び 25匪である場合について計測した実験結果を示している。表 2に示す実験結果は、液の落下位置が吸収性コアの平面中心から水平距離で 25匪離れていても、拡散時間の遅れは 1. 5秒程度であり、吸収性物品として許容範囲にあることを示している。また液流出時の吸収性コア表面には液の落下位置を中心にして直径 50匪程度の液流動フリ一表面が観察された。従って、液体放出口が吸収性コアの平面中心にあれば、吸収性コアを分割する本発明の隠れ溝は、これを吸収性コアの平面中心から半径 25mmの円内に位置させることにより、液吸収性を大幅に改善できることカ分かる。表 2

液流出口カヽら吸収性物品表面までの垂直距離液体の円状拡散円の半径

距離 5匪での拡散時間距離 25匪での拡散時間

10匪 0. 7秒 0. 8秒

20腿 1. 2秒 1. 0秒

30腿 1. 8秒 1. 4秒

40mm 2. 7秒 2. 1秒

50匪 3. 0秒 3. 3秒発明の効果

本発明の吸収性物品においては、板状吸収性コアを複数の部分に分割している溝（隠れ溝）が、吸収性物品に放出された液体の案内路として機能するので、吸収性物品のほぼ中央に放出された液体を、周辺部に迅速に導くことができ、しかも、吸収性コアは、隠れ溝に隣接する部分においてさえも、従来の如く表面シ一卜などで圧迫されることがないので、コア本来の液吸収能力を遺憾なく発揮する。つまり、本発明によれば、表面に放出された液体を、吸収性コア全体に迅速に拡散浸透させることができ、しかも、ウエットバックの少ない吸収性物品を得ることができる。このことは吸収性コアを構成する基材の吸収効率が改善されることとなり、結果として同量の体液を吸収するための基材を少なくすることが可能となり、省資源 ·省ゴミ型の使い捨ておむつならびに生理ナプキンなどの吸収性物品を提供することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 液透過性表面シ一トと液不透過性裏面シ一トとの間に、長方形又はほぼ長方形を呈する板状吸収性コアを挟持させた構造を有する吸収性物品において、前記両シート間に挟持された板状吸収性コアが、その中心から半径 2 5 mmの円内の 1点を通り、板状吸収体コアの周縁まで延びる少なくとも 1本の溝にて、 2つ以上の部分に分割されており、前記の溝が中空であり、溝の深さが板状吸収性コァの厚さに等しく、溝の幅が 2〜 6 mmであることを特徴とする前記の吸収性物

2. 長手方向に延びた 1本の前記溝にて、板状吸収性コアが 2分割されていることを特徴とする請求項 1記載の吸収性物品。

3 . 長手方向に延びた 2本の前記溝にて、板状吸収性コアが 3分割されていることを特徴とする請求項 1記載の吸収性物品。

4. 板状吸収性コアの中心から半径 2 5 mmの円内の 1点から、板状吸収体コァの周縁まで放射状に延びた前記溝にて、板状吸収性コアが複数部部分に分割されていることを特徴とする請求項 1記載の吸収性物品。