明 細 書
無機質多孔体及びその製造方法 技術分野
本発明は、 無機質多孔体及びその製造方法に関する。 さらに詳しくは、 連通し た気孔からなる気孔構造を有し、 ガスを透過させた場合の圧力損失が小さい無機 質多孔体、 又は独立した気孔からなる気孔構造を有し、 熱伝導率が小さい無機質 多孔体であって、 いずれも熱膨張係数が小さいとともに機械的強度に優れた無機 質多孔体、 及び気孔構造の大きさや形状の調整が容易で、 環境への負荷が小さく 、 簡易かつ低コストで無機質多孔体の作製が可能な無機質多孔体の製造方法に関 する。 背景技術
従来、 気孔構造 (三次元網目構造及び/又はスボンジ状構造) を有する無機質 多孔体は、 主にアルミナ等の金属酸化物 (セラミックス) からなるものが知られ ている。 これらの無機質多孔体は、 例えば、 下記の方法によって製造されていた
〔1〕 スラリー状のセラミックス原料を., ポリウレタンフォームのようなフォ一 ム状有機物に含浸させ、 含浸させたものを乾燥、 脱脂及び焼結するとともにフォ ―ム状有機物を焼失させる方法 (例えば、 特許文献 1参照) 。
〔 2〕 アルミナ及び有機バインダ一から構成されたスラリーに気泡を導入して気 泡含有スラリ一を形成し、 有機バインダーをゲル化させて保形したものを乾燥、 脱脂、 及び焼結して無機質多孔体を得る方法 (例えば、 特許文献 2及び特許文献 3参照) 。
〔3〕 コロイダルシリカ、 界面活性剤、 メタノール及び発泡剤 (例えば、 フロン ガス) からなる混合系を、 発泡剤を蒸発 (v a p o r i z a i o n ) させること によって発泡させてからゲル化して無機質多孔体を得る方法 (非特許文献 1参照 ) 。
〔4〕 シリカ前駆体と界面活性剤とを混合するとともに、 触媒を混合し、 シリカ
前駆体と界面活性剤と触媒とを含む水性の原料液を調製する工程と、 原料液を発 泡し、 泡構造を形成する工程と、 泡構造を形成した原料液中でのシリカ前駆体の 重合により泡構造のまま固定化し、 泡構造が維持されたフオーム状の含水シリ力 を形成する工程と、 得られた泡構造が維持されたフォーム状の含水シリカを乾燥 する工程とを含む方法 (特許文献 4参照) 。 '
(特許文献 1 )
特公平 6— 33191号公報
(特許文献 2 )
特許第 2506502号公報
(特許文献 3 )
特開 2000— 264755号公報
(特許文献 4)
特開 2002— 274835号公報
(非特許文献 1 )
Journal of American Ceramic Society Vol.73, No.1, Processinng and Prop erties of Cellular Silica Synthesized by Foaming Sol-Gels"
しかしながら、 これらの従来の無機質多孔体 (セラミックス発泡体) はそれぞ れ下記のような問題を有していた。 すなわち、 〔1〕 及び 〔2〕 の方法は、 脱脂 が困難であるという問題があるとともに、 有機物の焼失に伴い炭酸ガスを放出す ることになり、 環境保護の面で問題があった。 また、 〔3〕 の方法は、 発泡剤と してフロンガス等が用いられるため、 オゾン層破壊などの環境保護の面で問題が あった。 さらに、 〔4〕 の方法は、 用いる原材料が高価であるという問題があつ た。 発明の開示
本発明の無機質多孔体及びその製造方法は、 上述の問題に鑑みてなされたもの であり、 連通した気孔からなる気孔構造を有し、 ガスを透過させた場合の圧力損 失が小さい無機質多孔体、 又は独立した気孔からなる気孔構造を有し、 熱伝導率 が小さい無機質多孔体であって、 いずれも熱膨張係数が小さいとともに機械的強
度に優れた無機質多孔体、 及び気孔構造の大きさや形状の調整が容易で、 環境へ の負荷が小さく、 簡易かつ低コストで無機質多孔体の作製が可能な無機質多孔体 の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであり、 本発明によって、 以下の無機質多孔体及びその製造方法が提供される。
[1] 少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造 ( 三次元網目構造及び z又はスポンジ状構造) を有する無機質多孔体であって、 前 記気孔構造を形成する前記気孔の大きさが、 5 m〜2mmであり、 気孔率が 6 0 %以上であり、 かつガス透過係数が 1 X 10— nm2以上であることを特徴と する無機質多孔体 (以下、 「第 1の無機質多孔体」 ということがある) 。
[2] シリカ (S i〇2) 、 チタニア (T i〇2) 、 コージェライト (Mg2A 1 4 S i 5018) 、 ムライト ( 3 A 1203 · 2 S i〇2) 、 フオルステライト (M g2S i 04) 及びアルミニウムチタネート (A 12T i 05) からなる群から選 ばれる少なくとも一種を主成分とする前記 [1] に記載の無機質多孔体。
[3] 少なくともその一部が球状である多数の独立した気孔からなる気孔構造 ( スポンジ状構造) を有する無機質多孔体であって、 前記気孔構造を形成する前記 気孔の大きさが., 5 m〜2mmであり. 気孔率が 60 %以上であり、 前記気孔 構造を形成する前記気孔のうち、 球状の前記気孔の占める割合 ( (球状の気孔の 容積 Z全ての気孔の容積) X I 00) が、 60%以上であり、 熱伝導率が 0. 0 7W/mK以下であることを特徴とする無機質多孔体 (以下、 「第 2の無機質多 孔体」 ということがある) 。
[4] シリカ (S i 02) 、 チタニア (T i 02) 、 コージェライト (Mg2A 1 4 S i 5018) 、 ムライト ( 3 A 1203 · 2 S i〇2) 、 フオルステライ 1、 (M g2S i〇4) 及びアルミニウムチタネー卜 (A 12T i〇5) からなる群から選 ばれる少なくとも一種を主成分とする前記 [3] に記載の無機質多孔体。
[5] シリカ (S i〇2) を主成分とし、 熱膨張係数が 2 X 10— 6K一1以下で、 曲げ強度が IMP a以上である前記 [1] 〜 [4] のいずれかに記載の無機質多 孔体。
[6] コ一ジエライト (Mg9A 14S i 5〇18) を主成分とし、 熱膨張係数が 2
. 2 X 10— 6K 1以下で、 曲げ強度が 0. 5MP a以上である前記 [1] 〜 [ 4] のいずれかに記載の無機質多孔体。
[7] 金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、 第 1の界面活性剤と、 第 1の pH調整剤とを、 その粘度が 100〜20000mP a ' sとなるような p Hと温度との条件で混合して、 所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、 得 られた前記原料ゾルを機械的に攪拌して、 気泡が導入されたゾル多孔体を形成し 、 得られた前記ゾル多孔体を、 必要に応じ所定温度で加熱して、 ゲル化させ、 ゲ ル多孔体を形成し、 得られた前記ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥ゲル多孔体を形成 し、 得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする無機質多孔体の 製造方法 (以下、 「第 1の製造方法」 ということがある) 。
[8] 前記ゲル多孔体を乾燥して、 前記乾燥ゲル多孔体を形成し、 得られた前記 乾燥ゲル多孔体を熱処理する際に、 前記ゲル多孔体を、 温度と湿度を保持したま ま静置して熟成して、 熟成ゲル多孔体を形成し、 得られた前記熟成ゲル多孔体を 、 温度を保持したまま、 湿度を下げて予備乾燥して、 予備乾燥ゲル多孔体を形成 し、 前記予備乾燥ゲル多孔体を乾燥して、 前記乾燥ゲル多孔体を形成し、 得られ た前記乾燥ゲル多孔体を熱処理する前記 [7] に記載の無機質多孔体の製造方法
[9] 前記ゲル多孔体を熱処理した後に、 さらに焼成する前記 [7] 又は [8] に記載の無機質多孔体の製造方法。
[10] 前記金属酸化物ゾル及びノ又は金属水酸化物ゾルが、 シリカ (S i〇2 ) ゾル及び Z又はチタニア (T i 02) ゾルである前記 [7] 〜 [9] のいずれ かに記載の無機質多孔体の製造方法。
[1 1] 一方で、 金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、 第 2の界面活 性剤と、 第 2の p H調整剤とを、 その粘度が 100〜20000mP a ' sとな るような pHと温度との条件で混合して、 所定のゲル化時間を有する原料ゾルを 調製し、 他方で、 金属酸化物、 金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ば れる少なくとも一種の原料粉末を含む原料粉末調製物を調製し、 得られた前記原 料ゾルと前記原料粉末調製物とを混合し、 次いで、 機械的に攪拌して、 気泡が導 入された粉末含有ゾル多孔体を形成し、 得られた前記粉末含有ゾル多孔体を、 必
要に応じ所定温度で加熱して、 ゲル化させ、 粉末含有ゲル多孔体を形成し、 得ら れた前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、 得 られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする無機質多孔体 の製造方法 (以下、 「第 2の製造方法」 ということがある) 。
[12] 前記原料粉末調製物が、 金属酸化物、 金属水酸化物及び金属炭酸塩から なる群から選ばれる少なくとも一種の前記原料粉末を含む粉末スラリーと、 第 3 の界面活性剤と、 第 3の pH調整剤とを、 前記原料粉末の濃度が 1重量%以上で 、 かつ前記原料ゾルと同じ pHとなるような条件で混合して調製された、 原料ス ラリーである前記 [1 1] に記載の無機質多孔体の製造方法。
[13] 前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を形 成し、 得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する際に、 前記粉末含有ゲ ル多孔体を、 温度及び湿度を保持したまま静置して熟成して、 熟成粉末含有ゲル 多孔体を形成し、 得られた前記熟成粉末含有ゲル多孔体を、 温度を保持したまま 、 湿度を下げて予備乾燥して、 予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、 前記予備 乾燥粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、 得 られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する前記 [1 1] 又は [12] に記 載の無機質多孔体の製造方法。
[14] 前記粉末含有ゲル多孔体を熱処理した後に、 さらに焼成する前記 [1 1 ] 〜 [13] のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
[1 5] 前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルが、 シリカ (S i〇2 ) ゾル及び/又はチタニア (T i 02) ゾルであり、 かつ前記金属酸化物、 金属 水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末が、 ケィ素 (S i) 、 チタン (T i ) 、 アルミニウム (A 1 ) 及びアル力リ土類金属
(Mg、 C a、 S r、 B a、 R a) からなる群から選ばれる少なくとも一の元素 の酸化物、 水酸化物、 炭酸塩及び Z又はこれらの複合酸化物の粉末である前記 [ 1 1] 〜 [14] のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
本発明によって、 連通した気孔からなる気孔構造を有し、 ガスを透過させた場 合の圧力損失が小さい無機質多孔体、 又は独立した気孔からなる気孔構造を有し 、 熱伝導率が小さい無機質多孔体であって、 いずれも熱膨張係数が小さいととも
に機械的強度に優れた無機質多孔体、 及び気孔構造の大きさや形状の調整が容易 で、 環境への負荷が小さく、 簡易かつ低コストで無機質多孔体の作製が可能な無 機質多孔体の製造方法が提供される。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施例 1で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 2は、 本発明の実施例 2で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 3は、 本発明の実施例 3で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 4は、 本発明の実施例 4で得られたシリ力質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 5は、 本発明の実施例 5で得られたシリ力質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 6は、 本発明の実施例 6で得られたチタニア質多孔体の気孔構造を走查型電 子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 7は、 本発明の実施例 7で得られたシリ力質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 8は、 本発明の実施例 9で得られたコージェライト質多孔体の気孔構造を走 査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図 9は、 本発明の比較例 1で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子 顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の無機質多孔体は、 少なくともその一部が球状である多数の気孔からな る気孔構造 (三次元網目構造及び Z又はスポンジ状構造) を有する無機質多孔体 であって、 気孔構造を形成する気孔の大きさが、 5 ^ m〜2 mmであり、 気孔率 が 6 0 %以上のものである。
本発明の第 1の無機質多孔体を構成する主成分としては特に制限はないが、 シ リカ (S i 02) 、 チタニア (T i〇2) 、 コージェライト (Mg2A 14S i 50 18) 、 ムライト (3 A 12〇3 · 2 S i〇2) 、 フオルステライト (Mg2S i O 4) 及びアルミニウムチタネート (A l 2T i〇5) からなる群から選ばれる少な くとも一種が好ましく、 第 2の無機質多孔体を構成する主成分としては、 シリカ (S i 02) 、 チタニア (T i 02) 、 コ一ジェライト (Mg2A 14S i 5018 ) 、 ムライト (3A l 2〇3 ' 2 S i〇2) 、 フオルステライト (Mg2S i 04) 及びアルミニウムチタネート (A 1 T i 05) からなる群から選ばれる少なく とも一種が好ましい。 シリカ (S i 02) 、 チタニア (T i 02) 、 コージエラ イト (Mg2A l 4S i 5〇l s) 、 ムライト (3 A 1203 · 2 S i 02) 、 フオル ステライト (Mg2S i〇4) 、 アルミニウムチタネート (A 12T i 05) とし ても特に制限はないが、 結晶相として多形のあるものについては、 熱膨張特性や 、 触媒特性の観点から, シリカ (S i 02) の場合には、 アモルファス (非晶質 ) のもの、 チタニア (T i〇2) の場合には、 アナターゼ型、 アルミニウムチタ ネート (A l 2T i〇5) の場合には、 低温型 (iS相) 、 を好適例として挙げる ことができる。 なお、 本発明においては、 コージエライト (Mg2A l 4S i 5〇 1 δ) として、 その多形 (化学組成は同じだが結晶構造が異なるもの) であるィ ンディアライトも含む。 これらは一種単独であってもよく、 二種以上を混合した ものであってもよい。
本発明の第 1の無機質多孔体は、 少なくともその一部が球状である多数の連通 した気孔からなる気孔構造 (三次元網目構造及び/'又はスボンジ状構造) を有す る。 この気孔の大きさは、 5は. m〜 2 mmであることが必要である。 5 n m未満 であるとガス透過係数が小さくなり (ガスを透過させた場合、 圧力損失が高くな り) 、 2mmを超えると、 強度が小さくなる。 また、 本発明の第 1の無機質多孔 体は、 気孔率が 60 %以上であることが必要である。 気孔率が 60 % '未満である と、 ガス透過係数が小さくなる (ガスを透過させた場合、 圧力損失が高くなる) 。 ガス透過係数は 1 X 1 O m2以上であることが必要である。
本発明の第 2の無機質多孔体は、 少なくともその一部が球状である多数の独立 した気孔からなる気孔構造 (スポンジ状構造) を有する。 この気孔の大きさは、
5 m〜 2 mmであることが必要である。 5 im未満であっても特性に問題はな いが、 泡を安定化させるための界面活性剤の使用量が多くなり、 環境への負荷が 高くなり、 2mmを超えると、 機械的強度が小さくなる。 また、 気孔率が 60% 以上であることが必要なのは、 第 1の無機質多孔体の場合と同様である。 また、 気孔構造を形成する気孔のうち、 球状の気孔の占める割合 ( (球状の気孔の容積 ノ全ての気孔の容積) X I 00) が、 60%以上であることが必要である。 60 %未満であると、 熱伝導率が高くなる。 また、 熱伝導率は 0. 07W/mK以下 であることが必要である。
また、 本発明の第 1の無機質多孔体及び第 2の無機質多孔体は、 シリ力を主成 分とし、 その熱膨張係数が 2 X 1 (Γ6Κ— 1以下、 曲げ強度が IMP a以上である ことが好ましい。 熱膨張係数が、 2 X 10—6K— 1を超えると、 耐熱衝撃性に問題 を生じることがある。 また、 曲げ強度が 1 M P a未満であると、 構造材料として 使用することができなかったり、 耐熱衝撃性に問題を生じることがある。
また、 本発明の第 1の無機質多孔体及び第 2の無機質多孔体は、 コージェライ ト (Mg2A 14S i 5〇18) を主成分とし、 熱膨張係数が 2. 2 X 1 O^K"1 以下で、 曲げ強度が 0. 5ΜΡ a以上であることが好ましい。 熱膨張係数が、 2 . 2 X 10— 6K— 1を超えると 耐熱衝撃性に問題を生じることがある。 また、 曲げ強度が 0. 5MP a未満であると、 構造材料として使用することができなか つたり、 耐熱衝撃性に問題を生じることがある。
本発明の第 1の無機質多孔体は、 熱膨張係数が小さく、 曲げ強度に優れる上に 、 ガス透過係数が 1 X 1 O^m2以上と大きく、 ガスを透過させた場合、 圧力損 失を低下させることが可能なため、 フィル夕一等の用途に好適に用いられる。 本発明の第 2の無機質多孔体は、 熱膨張係数が小さく、 曲げ強度に優れる上に 、 熱伝導率が 0. 07W/mK以下と小さく、 断熱性に優れるため、 断熱材等の 用途に好適に用いられる。
本発明の無機質多孔体の製造方法 (第 1の製造方法) は、 金属酸化物ゾル及び /又は金属水酸化物ゾルと、 第 1の界面活性剤と、 第 1の PH調整剤とを、 その 粘度が 100〜20000mP a · sとなるような p Hと温度との条件で混合し て、 所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、 得られた前記原料ゾルを機械
的に攪拌して、 気泡が導入されたゾル多孔体を形成し、 得られた前記ゾル多孔体 を所定温度で加熱してゲル化させ、 ゲル多孔体を形成し、 得られた前記ゲル多孔 体を乾燥して、 乾燥ゲル多孔体を形成し、 得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理 することを特徴とする。
第 1の製造方法においては、 まず、 金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾ ル (好適例として、 シリカ (S i 02) ゾル、 チタ^ア (T i〇2) ゾルを挙げ ることができる) と、 第 1の界面活性剤と、 第 1の p H調整剤とを、 その粘度が 1 0 0〜2 0 0 0 0 m P a ' sとなるような p Hと温度との条件で混合して、 所 定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製する。
以下、 金属酸化物ゾル及び Z又は金属水酸化物ゾルとして、 シリカ (S i 02 ) ゾル及び/又はチタニア (T i 02) ゾルを用いた場合について説明する。 通常、 シリカ ( S i 02) ゾル及び/又はチタニア ( T i 02) ゾルは、 溶媒 ( 水) にゾル粒子 (シリカ又はチタニアの数 n m〜数十 n mの粒子) が単分散して おり、 その状態で各種用途に用いられることが多く、 そのため、 単分散の状態が 安定して長時間保てるような工夫がされている。 この状態が不安定になると、 粒 子どうしが凝集し、 その凝集がゾル全体に行き渡って、 その結果ゲル化すること になる (全体がゼリー状に固化して, 粘度が極端に高い状態になる) 。 このゲル 化までの粘度の変化は、 数ケ月〜数年のオーダーで徐々に高まっていくが、 それ を数分〜数時間のオーダーとなるように強制的に早めてやる (所定時間で原料ゾ ルがゲル化するように制御する) のが第 1の製造方法の一つの特徴である。 一般に、 ゾルをゲル化させる駆動力は、 ゾルの凝集が生じ易い状態を作り出す ことによって得ることができる。 すなわち、 〔1〕 p H調整による表面電位の低 下、 〔2〕 温度上昇によるゾル粒子同士の衝突頻度の上昇、 〔3〕 濃度上昇によ るゾル粒子同士の衝突頻度の上昇、 〔4〕 電解質添加による表面電位状態の不安 定化等によって、 ゾルは凝集し易くなり、 ゲル化が促進される。 第 1の製造方法 においては、 第 1の p H調整剤の添加が、 〔1〕 (場合によっては 〔4〕 も) の 作用によるゲル化の促進に、 また、 加熱が、 〔2〕 の作用によるゲル化の促進に それぞれ対応している。
このように、 原料ゾルの粘度の時間変化を強制的に早める (所定時間で原料ゾ
ルがゲル化するように制御する) 方法として、 pHと温度とを制御することによ る方法を第 1の製造方法では利用している。 通常のシリカゾルでは pH= 10程 度 (チタニアゾルは pH= 1程度) であるが、 原料ゾルの pHを 5〜7 (チタ二 ァゾルは pH=2〜4) に制御することで、 ゲル化 (粘度が数万 mP a · sとな る) 時間は数分〜数時間となる。 また、 温度を高くするとゲル化時間は早まるこ とになる (ゲル化時間は温度に対して反比例的に減少する) 。 例えば、 シリカゾ ルを p H= 6とした場合、 温度が 20でではゲル化時間が 40〜 60分程度であ るが、 40°Cの場合にはその 4分の 1程度の 10〜30分程度となる。 また、 2 0°Cでゲル化を進行させておいて、 40°Cに加熱することによって急激にゲル化 させることもできる。
上述の方法によって制御されるゲル化時間は、 通常、 1分から 1時間が好まし く、 作業のしゃすさの観点からすると、 数分から数十分がさらに好ましい。 また 、 原料ゾルに気泡を導入して気孔を形成した後に温度を変化させてもよい。 この ようにすることによって、 気孔構造を、 形成時の状態に保持したまま瞬時にゲル 化させることができ、 気孔構造を構成する気孔の形状、 大きさを容易に制御する ことが可能となる。
上記のようにゲル化時間の制御 (粘度の時間変化の制御) をすることで、 後述 する気泡を導入する際の粘度を 100〜20000mP a ' sの範囲で任意に選 ぶことができる。 すなわち、 所定の組成でゾルを調製した後、 一定温度 (例えば 、 20°C) でそのゾルの粘度の変化を測定することが好ましい。
このように、 第 1の製造方法においては、 後述する気泡を導入する際の原料ゾ ルの粘度を 100〜20000mP a ' sの範囲に調整することが重要であり、 p Hと温度とは、 原料ゾルの粘度をこのような範囲にすることができるものであ れば、 適宜、 組み合わせることができる。
ここで、 第 1の製造方法に用いられるシリカ (S i〇2) ゾル及び/又はチタ ニァ (T i〇2) ゾルとしては、 所定の条件でゲル化するものであれば特に制限 はないが、 例えば、 平均粒径が 10 nm、 濃度が 30 %のものを好適例として挙 げることができる。 シリカ (S i 02) ゾル及びチタニア (T i〇2) ゾルのうち いずれか一種単独で用いてもよく、 二種を混合したものを用いてもよい。 シリカ
( S i 02) ゾル及びチタニア (T i 02) ゾルの濃度は、 市販されているどのよ うな濃度であってもよいが、 薄すぎるとゲル化後の機械的強度が弱く、 形状を保 つことが困難であるので 2 0 %以上が好ましい。
第 1の製造方法に用いられる第 1の界面活性剤としては、 起泡性に富むもので あり、 得られる原料ゾルに気泡を導入することによって安定した気孔を形成する ことができるものであれば、 陰イオン性、 陽イオン性、 非イオン性、 両イオン性 のいずれであってもよいが、 直鎖型の界面活性剤が好ましい。 また、 p Hに影響 を与えない非イオン性のものが好ましい。 さらに、 仮焼後に不純物が残らないよ うにアルカリ金属等が含まれないものが好ましい。 具体的には、 陰イオン性界面 活性剤として、 脂肪酸塩、 アルキル硫酸エステル塩、 ポリオキシエチレンアルキ ルエーテル硫酸エステル塩、 アルキルベンゼンスルフォン酸塩、 アルキルナフタ レンスルフォン酸塩、 アルキルスルホコハク酸塩、 アルキルジフエ二ルエーテル ジスルフォン酸塩、 アルキルリン酸塩、 ポリカルボン酸塩を挙げることができる 。 また、 陽イオン性界面活性剤として、 塩化へキサデシルセチル卜リメチルァン モニゥム等の高級アルキル基と低級アルキル基とを有する脂肪族四級アンモニゥ ム塩、 高級アルキル基と低級アルキル基とを有する脂肪族アミン塩等を挙げるこ とができる。 また、 非ィォン性界面活性剤として、 高級アルキル基とォキシェチ レン基とを有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、 高級アルコールにェチ レンォキシドを付加重合させたポリ才キシェチレンアルコールエーテル、 モノ脂 肪酸グリセリンにエチレンォキシドを付加重合させたポリォキシェチレングリセ リン脂肪酸エステル、 ソルビタン脂肪酸 (又はソルビトール脂肪酸) にエチレン ォキシドを付加重合させたボリォキシェチレンソルビタン (又はソルビトール) 脂肪酸エステル、 ポリエヂレングリコ一ルの一端の水酸基が脂肪酸でエステル化 されたポリエチレングリコール脂肪酸エステル等を挙げることができる。 さらに 、 両イオン性として、 アルキルべタイン、 アミンォキサイ ド等を挙げることがで さる。
第 1の製造方法に用いられる第 1の p H調整剤としては特に制限はないが、 例 えば、 塩酸、 硝酸、 硫酸、 酢酸等の酸 (無機酸であってもよく、 有機酸であって もよい) 又はアンモニア水、 水酸化ナトリウム、 水酸化カルシウム等の塩基を挙
げることができる。 中でも、 作業のしゃすいゲル化時間とする観点から、 塩酸や 、 アンモニア水等を用いることが好ましい。
次いで、 第 1の製造方法においては、 原料ゾルの粘度が 100〜 20000m P a · sの範囲で所望の値になったところで、 原料ゾルを機械的に攪拌して、 気 泡が導入されたゾル多孔体を形成する。
気泡を導入するタイミング (導入時の原料ゾルの粘度) によって、 得られる無 機質多孔体の気孔構造を構成する気孔の形状、 大きさを制御することができる。 原料ゾルの粘度が低いほど、 細い骨格が三次元構造を形成した連通した気孔が発 達しやすく、 原料ゾルの粘度が高いほど、 独立した気孔を形成し易い。 原料ゾル の粘度としては前述のように 100〜 20000 mP a * sの範囲の中で適宜選 択することが可能で、 10 OmP a · s未満であると、 ゲル化の速度よりも早く 気孔構造が消失しやすく、 全体として均質な気孔構造を得ることが困難であり、 2000 OmP a · sを超えると、 気泡の導入のための攪拌が困難になる。 なお、 少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造 を有する第 1の無機質多孔体を製造する場合は、 原料ゾルの粘度として、 100 〜100 OmP a * sの範囲を選択することが好ましく、 少なくともその一部が 球状である多数の独立した気孔からなる気孔構造を有する第 2の無機質多孔体を 製造する場合は、 原料ゾルの粘度として、 1000〜2000 OmP a · sの範 囲を選択することが好ましい。
機械的な攪拌により原料ゾル中に取り込まれた空気が原料ゾルの膜に覆われて 泡となり気孔を形成 (ゾル多孔体を形成) するが、 界面活性剤は、 その際に気体 と液体の界面とを安定して存在させる役割を果たす。
機械的に攪拌する方法としては特に制限はないが、 例えば、 攪拌機 (ミキサー ) 、 ホイツパー、 発泡機等による機械的攪拌を挙げることができる。 また、 ガス 噴入等によって気泡を導入してもよい。 攪拌時間としては特に制限はないが、 例 えば、 0. 1〜60分間が好ましく、 0. 5〜30分間がさらに好ましい。 攪拌 時間が 0. 1分間未満であると、 気泡が十分に発達せず、 60分間を超えると、 ゾルの粘度の時間変化により、 攪拌中にゲル化が起こり、 できあがった気孔構造 を破壊してしまうことがある。 なお、 市販の発泡機 (例えば、 食品用に用いられ
る連続発泡機) を用いることによって、 気孔構造の比重を制御することができる ので、 無機多孔体の比重を容易に制御することができる。
次いで、 第 1の製造方法においては、 得られたゾル多孔体を、 必要に応じ所定 温度で加熱して、 ゲル化させ、 ゲル多孔体を形成する。 上述のように気泡を導入 する際の原料ゾルの粘度で、 最終的に気孔構造を構成することになる気孔の形状 や大きさを制御することができるが、 ゲル化前に気泡の導入によって形成された 気孔は放置しておくとその形状を維持できず、 いずれは消滅することになるので 、 その気泡の消滅を抑制するために、 さらにゲル化を促進させる処理 (加熱処理 ) をすることが好ましい。 なお、 ゲル多孔体を得るために加熱をすることは必ず しも必須の処理ではないが、 気孔構造をより制御し易くするためには加熱をする 方が好ましい。 この場合、 加熱温度は、 調製及び攪拌時のゾルの温度よりも 5〜 3 0 °C高い温度が好ましく、 調製及び攪拌時のゾルの温度よも 1 0〜2 5 °C高い 温度がさらに好ましい。
ゲル化後 (ゲル多孔体形成後) 、 ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥ゲル多孔体を形 成し、 得られた乾燥ゲル多孔体を熱処理するが、 その際には、 乾燥中の急激な収 縮によるクラックの発生を防ぐため、 ゲル多孔体を、 温度と湿度を保持したまま 静置して熟成して、 熟成ゲル多孔体を形成し 得られた熟成ゲル多孔体を-, 温度 を保持したまま、 湿度を下げて予備乾燥して、 予備乾燥ゲル多孔体を形成し、 予 備乾燥ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥ゲル多孔体を形成し、 得られた乾燥ゲル多孔 体を熱処理することが好ましい。
例えば、 一晩以上、 ゲル化時 (ゲル多孔体形成時) の温度より 1 o °c高い温度 〜ゲル化時 (ゲル多孔体形成時) の温度より 1 o °c低い温度の範囲内の温度で湿 度を保持した状態で熟成し、 温度を保持した状態で湿度を徐々に低下させながら 予備乾燥後 (一晩以上) 、 後述する所定温度、 時間で、 本乾燥し、 さらに、 後述 する所定温度で、 加熱処理することが好ましい。 熟成時間は長いほどゲル骨格構 造が発達して強固なものとなるため、 その後の乾燥、 熱処理、 焼成時のクラック 等の発生を有効に抑制することができる。 このような熟成方法の具体例としては 、 例えば、 ゾル多孔体を入れたビーカーを、 パラフィン製のフィルムで密閉して 所定の温度、 例えば、 4 0 °Cの恒温槽に静置させることを挙げることができる。
予備乾燥時の湿度の低下速度は遅ければ遅いほど、 無機質多孔体におけるクラッ クの発生を抑制することができるため好ましい。 予備乾燥を施したゲル多孔体は 、 本乾燥を行うが、 このようなゲル多孔体を乾燥する方法としては特に制限はな く、 例えば、 室温で放置することにより自然に乾燥してもよく、 また、 オーブン ゃ炉等の乾燥機中に静置した状態で乾燥してもよく、 さらに、 加温気流中で乾燥 してもよい。 本乾燥時の温度は、 予備乾燥時の温度〜予備乾燥時の温度より 15 0°C高い温度の範囲内の温度が好ましい。 加熱処理時の昇温速度等は遅ければ遅 いほど、 無機質多孔体におけるクラックの発生を減少させることができるため好 ましい。 このような加熱処理は有機物 (第 1の界面活性剤) の分解を行うことが 目的であるため、 加熱処理温度は 300〜700°Cが好ましく、 400〜600 °Cがさらに好ましい。 300°C未満であると、 有機物の分解が不十分になること があり、 700°Cを超えると、 焼結が進みすぎることがある。
第 1の製造方法においては、 上述のようにゲル多孔体を加熱処理した後に、 さ らに焼成してもよい。 このようなゲル多孔体を焼成する方法としては特に制限は なく、 静置状態で行ってもよく、 また、 空気や酸素のような気流中で行ってもよ い。 また、 焼成温度は、 700〜 1400 °Cが好ましく、 800〜 1200 °Cが さらに好ましい。 焼成温度が 700 °C未満であると, 焼結が進まないことがあり 、 1400°Cを超えると、 溶融することがある。 焼成時間は、 0. 5〜10時間 が好ましく、 1〜3時間がさらに好ましい。 焼成時間が 0. 5時間未満であると 、 焼結が進まないことがあり、 10時間を超えると、 緻密化が進み気孔構造が崩 壊することがある。 なお、 シリカを主成分とする場合には、 焼成温度は 950°C を上限とすることが好ましい。 950 を超えると、 結晶化が起こり、 結晶化す ることで特性が変化する (例えば、 熱膨張挙動などが著しく変化する) ことがあ る。
本発明の無機質多孔体の製造方法 (第 2の製造方法) は、 一方で、 金属酸化物 ゾル及び Z又は金属水酸化物ゾルと、 第 2の界面活性剤と、 第 2の pH調整剤と を、 その粘度が 100〜20000mP a ' sとなるような p Hと温度との条件 で混合して、 所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、 他方で、 金属酸化物 、 金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉
末を含む原料粉末調製物を調製し、 得られた原料ゾルと原料粉末調製物とを混合 し、 次いで、 機械的に攪拌して、 気泡が導入された粉末含有ゾル多孔体を形成し 、 得られた前記粉末含有ゾル多孔体を、 必要に応じ所定温度で加熱して、 ゲル化 させ、 粉末含有ゲル多孔体を形成し、 得られた粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、 得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処 理することを特徴とする。
第 2の製造方法においては、 まず、 一方で、 金属酸化物ゾル及び/又は金属水 酸化物ゾル (好適例として、 シリカ (S i 02) ゾル及び/又はチタニア (T i 〇2) ゾルを挙げることができる) と、 第 2の界面活性剤と、 第 2の p H調整剤 とを、 その粘度が 1 0 0〜2 0 0 0 0 m P a ' sとなるような p Hと温度との条 件で混合して、 所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、 他方で、 金属酸化 物、 金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料 粉末を含む原料粉末調製物を調製する。 この場合、 原料粉末調製物として、 金属 酸化物、 金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の 原料粉末を含む粉末スラリーと、 第 3の界面活性剤と、 第 3の p H調整剤とを、 原料粉末の濃度が 1重量%以上で、 かつ原料ゾルと同じ p Hとなるような条件で 混合して、 原料スラリーを調製することが好ましい。 なお、 原料粉末の濃度は 3 0重量? ό以上であることがさらに好ましい。
次いで、 得られた原料ゾルと原料粉末調製物 (好ましくは、 原料スラリー) と を混合し、 次いで、 機械的に攪拌して、 気泡が導入された粉末含有ゾル多孔体を 形成する。
次いで、 得られた粉末含有ゾル多孔体を、 必要に応じ所定温度で加熱して、 ゲ ル化させ、 粉末含有ゲル多孔体を形成し、
次いで、 得られた前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥粉末含有ゲル多孔 体を形成する。
次いで、 得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する。
また、 第 2の製造方法においては、 粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥粉末 含有ゲル多孔体を形成し、 得られた乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する際に、 粉末含有ゲル多孔体を、 温度及び湿度を保持したまま静置して熟成して、 熟成粉
末含有ゲル多孔体を形成し、 得られた熟成粉末含有ゲル多孔体を、 温度を保持し 'たまま、 湿度を下げて予備乾燥して、 予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、 予 備乾燥粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、 乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、 得ら れた乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理することが好まレぃ。
さらに、 第 2の製造方法においては、 粉末含有ゲル多孔体を熱処理した後に、 さらに焼成することが好ましい。
第 2の製造方法で用いられる、 原料ゾルを調製するための金属酸化物ゾル及び /又は金属水酸化物ゾルとしては、 好適例として、 シリカ (S i〇2) ゾル及び 又はチタニア (T i〇2) ゾルを挙げることができる。
また、 第 2の製造方法で用いられる原料粉末調製物 (好ましくは、 原料スラリ 一) は、 金属酸化物、 金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少な くとも一種の原料粉末を含むものであることが焼成時の反応性の観点から好まし い。 この場合、 金属酸化物、 金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれ る少なくとも一種の原料粉末は、 ケィ素 (S i ) 、 チタン (T i ) 、 アルミニゥ ム (A 1 ) 及びアル力リ土類金属 (M g、 C a、 S r、 B a、 R a ) からなる群 から選ばれる少なくとも一の元素の酸化物、 水酸化物、 金属炭酸塩及び/又はこ れらの複合酸化物の粉末であることが焼成後に得られる生成物の制御がしゃすい ことから好ましい。
なお、 第 2の製造方法において、 以下の事項は第 1の製造方法と共通するので その記載は省略する。
〔1〕 原料ゾルの種類及びその調製方法
〔2〕 第 2の界面活性剤 (第 1の界面活性剤と同様)
〔3〕 第 2の p H調整剤及び第 3の pH調整剤 (第 1の p H調整剤と同様) 〔4〕 ゲルの熟成 ·乾燥条件
第 2の製造方法で、 特記すべき事項は、 以下の通りである。
〔1〕 焼成温度:ゾルの種類と、 原料粉末 (好ましくは、 粉末スラリーの形態) の種類との組み合わせによって (最終的に得られる化合物によって) 、 最適な焼 成温度が変わることになる。 具体的には、 コ一ジェライトの場合 1 3 0 0〜 1 5 0 0 °C;ムライ卜の場合 1 1 0 0〜: 1 4 0 0 °C; フオルステライ卜の場合 1 3 0
0 ~ 1600 °C;アルミニウムチタネートの場合 1400〜 1600°C;シリカ の場合 700〜 1400 °Cがそれぞれ好ましい。
〔 2〕 第 3の界面活性剤:第 1の界面活性剤及び第 2の界面活性剤と共通のもの を用いてもよいが、 粉末の分散性を向上させる目的で、 ポリアクリル酸アンモニ ゥム塩、 ポリカルボン酸ナトリウム塩、 ポリカルボン酸アンモニゥム塩等を添加 したものを用いることが好ましい。 中でも、 ポリアクリル酸アンモニゥム塩を添 加したものがさらに好ましい。 実施例
以下、 本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
(実施例 1 )
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリゥム塩を用いた。 シリ 力ゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し ( 1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 この原料ゾルを 20°Cに保ったウォーターバス内で静かに攪拌し、 粘度が 10 OmP a · sにな つたところで、 室温下、 1リットルのビーカ一中で機械的攪拌 (ミキサー、 1分 間) を行い、 ビーカ一を、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に 静置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカ一のフィルムに直径 lmm程度の ピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後、 フィルムを外し、 1日静 置した。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850°Cで 2時間、 大気 中で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ 、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱 膨張係数を表 1に示す。
(実施例 2)
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH== 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 この原料ゾルを
20°Cに保ったウォーターバス内で静かに攪拌し、 粘度が 30 OmP a · sにな つたところで、 室温下、 1リットルのビーカー中で機械的攪拌 (ミキサー、 1分 間) を行い、 ビーカ一を、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に 静置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカーのフィルムに直径 lmm程度の ピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルムを外し、 1日静置 した。 得られた乾燥体を、 600 で 4時間、 さらに 850 °Cで 2時間、 大気中 で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱膨 張係数を表 1に示す。
(実施例 3 )
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリゥム塩を用いた。 シリ 力ゾル 1 00 g (pH= 1 0) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 この原料ゾルを 20°Cに保ったウォー夕一バス内で静かに攪拌し、 粘度が 50 OmP a · sにな つたところで、 室温下、 1リットルのビーカ一中で機械的攪拌 (ミキサー、 1分 間) を行い、 ビーカーを、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に 静置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカ一のフィルムに直径 lmm程度の ピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルムを外し、 1日静置 した。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850 で 2時間、 大気中 で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱膨 張係数を表 1に示す。
(実施例 4)
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 1 00 g (pH= 1 0) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 この原料ゾルを 20°Cに保ったゥォ一夕一バス内で静かに攪拌し、 粘度が 200 OmP a · sに
なったところで、 室温下、 1リットルのビーカー中で機械的攪拌 (ミキサー、 1 分間) を行い、 ビーカーを、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽 に静置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカーのフィルムに直径 lmm程度 のピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルムを外し、 1日静 置した。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850°Cで 2時間、 大気 中で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ 、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱 膨張係数を表 1に示す。
(実施例 5)
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ 力ゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5 m 1添加した。 この原料ゾルを 20°Cに保ったウォー夕一バス内で静かに攪拌し、 粘度が 1000 OmP a · s になったところで、 室温下、 1リットルのビーカー中で機械的攪拌 (ミキサー、 1分間) を行い、 ピ一力一を、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温 槽に静置させた。 そのまま 3日静置した後 ビーカ一のフィルムに直径 1mm程 度のピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルムを外し、 1日 静置した。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850°Cで 2時間、 大 気中で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大き さ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び 熱膨張係数を表 1に示す。
(実施例 6)
チタニアゾル (石原産業 (株) 製、 商品名: STS— 02) 、 pH調整剤とし てアンモニア水、 界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルェ一テルを用い た。 チタニアゾル 10 O g (pH= 1) に対してアンモニア水を pH= 3となる ように添加し (0. 75m l程度) 、 さらに界面活性剤を 0. 25m l添加した 。 この原料ゾルを 20°Cに保ったウォー夕一バス内で静かに攪拌し、 粘度が 80 OmP a · sになったところで、 室温下、 1リットルのビーカー中で機械的攪拌
(ミキサー、 1分間) を行い、 ビーカ一を、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に静置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカーのフィルムに 直径 lmm程度のピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルム を外し、 1日静置した。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850°C で 2時間、 大気中で加熱処理し、 チタニア質多孔体を得た。 得られた多孔体の種 類、 気孔の大きさ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱膨張係数を表 1に示す。
(実施例 7)
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 一方で、 蒸留水 20 gにシリカ粉末 30 gと界面活性剤のラゥリル硫酸エステルナトリゥム塩と ポリアクリル酸アンモニゥム塩を添加し、 pH調整剤として塩酸を pH=6にな るように添加した。 この原料ゾルと原料スラリ一をそれぞれ、 20°Cに保ったゥ オーターバス内で静かに攪拌し、 原料ゾルの粘度が 1000 OmP a · sになつ たところで、 室温下.. 1リットルの円筒形状の型に移し、 その中で機械的攪拌 ( ミキサー、 1分間) を行い、 型をパラフィン製のフィルムで密閉して 4 crcの恒 温槽に静置させた。 そのまま 2日静置した後、 型から外し、 調湿乾燥機にて、 温 度 40°Cのまま、 相対湿度を 90%から 40%まで 24時間で低下させて予備乾 燥した。 この予備乾燥体を 1 10°Cで 1日乾燥した。 得られた乾燥体を、 850 °Cで 2時間大気中で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類 、 気孔の大きさ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲 げ強度、 及び熱膨張係数を表 2に示す。
(実施例 8)
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 一方で、 蒸留水
51 gにアルミナ粉末 76 gと界面活性剤のラウリル硫酸エステルナトリウム塩 とポリアクリル酸ァンモニゥム塩を添加し、 p H調整剤として塩酸を p H= 6に なるように添加した。 この原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、 20°Cに保った ウォー夕一バス内で静かに攪拌し、 原料ゾルの粘度が 1000 OmP a · sにな つたところで、 室温下、 1リットルの円筒形状の型に移し、 その中で機械的攪拌
(ミキサ一、 1分間) を行い、 型をパラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの 恒温槽に静置させた。 そのまま 2日静置した後、 型から外し、 調湿乾燥機にて、 温度 40°Cのまま、 相対湿度を 90%から 40%まで 24時間で低下させて予備 乾燥した。 この予備乾燥体を 1 10°Cで 1日乾燥した。 得られた乾燥体を、 13 00°Cで 2時間大気中で加熱処理し、 ムライト質多孔体を得た。 得られた多孔体 の種類、 気孔の大きさ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導 率、 曲げ強度、 及び熱膨張係数を表 2に示す。
(実施例 9 )
シリカゾル (曰産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25ml程度) さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 一方で、 蒸留水 48 gにアルミナ粉末 26 gと水酸化アルミニウム粉末 28 gとタルク粉末 57 gと、 界面活性剤のラウリル硫酸エステルナ卜リウム塩とボリァクリル酸アンモ 二ゥム塩を添加し、 pH調整剤として塩酸を pH= 6になるように添加した。 こ の原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、 20°Cに保ったウォーターバス内で静か に攪拌し、 原料ゾルの粘度が 100 OmP a · sになったところで、 室温下、 1 リットルの円筒形状の型に移し、 その中で機械的攪拌 (ミキサー、 1分間) を行 い、 型をパラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に静置させた。 その まま 2日静置した後、 型から外し、 調湿乾燥機にて、 温度 40°Cのまま、 相対湿 度を 90%から 40%まで 24時間で低下させて予備乾燥した。 この予備乾燥体 を 1 10°Cで 1日乾燥した。 得られた乾燥体を、 1400°Cで 2時間大気中で加 熱処理し、 コージエライト質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大き さ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び
熱膨張係数を表 2に示す。
(実施例 10 )
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 100 g (pH= 10) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25ml程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 一方で、 蒸留水 40 gに酸化マグネシウム粉末 40 gと界面活性剤のラウリル硫酸エステルナト リウム塩とポリアクリル酸ァンモニゥム塩を添加し、 p H調整剤として塩酸を p H= 6になるように添加した。 この原料ゾルと原料スラリ一をそれぞれ、 20°C に保ったゥォ一夕一バス内で静かに攪拌し、 原料ゾルの粘度が 10000 m P a
• sになったところで、 室温下、 1リットルの円筒形状の型に移し、 その中で機 械的攪拌 (ミキサー、 1分間) を行い、 型をパラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に静置させた。 そのまま 2日静置した後、 型から外し、 調湿乾燥 機にて、 温度 40°Cのまま、 相対湿度を 90%から 40%まで 24時間で低下さ せて予備乾燥した。 この予備乾燥体を 110°Cで 1日乾燥した。 得られた乾燥体 を、 1500°Cで 2時間大気中で加熱処理し、 フオルステライ卜質多孔体を得た 。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ、 気孔率 球状気孔の占める割合、 ガス 透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱膨張係数を表 2に示す。
(実施例 11 )
チタニアゾル (石原産業 (株) 製、 商品名: STS-02) 、 pH調整剤とし てアンモニア水、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナ卜リゥム塩を用いた シリ力ゾル 100 g (pH= 1) に対してアンモニア水を pH= 3となるよう に添加し (0. 75ml程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 25ml添加した。 一方で、 蒸留水 26 gにアルミナ粉末 38 gと界面活性剤のラウリル硫酸エステ ルナトリゥム塩とポリアクリル酸ァンモニゥム塩を添加し、 p H調整剤として塩 酸を pH=6になるように添加した。 この原料ゾルと原料スラリ一をそれぞれ、 20°Cに保ったウォー夕一バス内で静かに攪拌し、 原料ゾルの粘度が 1000m P a · sになったところで、 室温下、 1リットルの円筒形状の型に移し、 その中 で機械的攪拌 (ミキサー、 1分間) を行い、 型をパラフィン製のフィルムで密閉
して 40°Cの恒温槽に静置させた。 そのまま 2日静置した後、 型から外し、 調湿 乾燥機にて、 温度 40°Cのまま、 相対湿度を 90 %から 40 %まで 24時間で低 下させて予備乾燥した。 この予備乾燥体を 1 1 0°Cで 1日乾燥した。 得られた乾 燥体を、 1 550°Cで 2時間大気中で加熱処理し、 アルミニウムチタネート質多 孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ、 気孔率、 球状気孔の占める 割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱膨張係数を表 2に示す。
(比較例 1 )
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ 力ゾル 1 00 g (pH= 1 0) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5m l添加した。 この調製ゾルを 20°Cに保ったウォー夕一バス内で静かに攪拌し、 粘度が 50mP a · sになつ たところで、 室温下、 1リットルのビーカー中で機械的攪拌 (ミキサー、 1分間 ) を行い、 ビーカーを、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温槽に静 置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカ一のフィルムに直径 lmm程度のピ ンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルムを外し、 1日静置し た。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850°Cで 2時間 大気中で 加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大きさ、 気 孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び熱膨張 係数を表 1に示す。
(比較例 2)
シリカゾル (日産化学 (株) 製、 商品名:スノーテックス S) 、 pH調整剤と して塩酸、 界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。 シリ カゾル 1 00 g (pH= 1 0) に対して塩酸を pH= 6となるように添加し (1 . 25m l程度) 、 さらに、 界面活性剤を 0. 5 m 1添加した。 この原料ゾルを 20°Cに保ったゥォ一夕一バス内で静かに攪拌し、 粘度が 3000 OmP a · s になったところで、 室温下、 1リットルのビーカー中で機械的攪拌 (ミキサ一、 1分間) を行い、 ビーカーを、 パラフィン製のフィルムで密閉して 40°Cの恒温 槽に静置させた。 そのまま 3日静置した後、 ビーカ一のフィルムに直径 lmm程
度のピンホールを 1つ開け、 さらに 3日静置した。 その後フィルムを外し、 1日 静置した。 得られた乾燥体を、 600°Cで 4時間、 さらに 850°Cで 2時間、 大 気中で加熱処理し、 シリカ質多孔体を得た。 得られた多孔体の種類、 気孔の大き さ、 気孔率、 球状気孔の占める割合、 ガス透過係数、 熱伝導率、 曲げ強度、 及び 熱膨張係数を表 1に示す。
実施例及び比較例で得られた無機質多孔体に対して、 気孔構造を走査型電子顕 微鏡で観察したところ、 図 1に示すように、 実施例 1で得られた多孔体は、 細い 骨格からなる三次元の網目構造を有するシリカ質多孔体であった。 図 2、 3に示 すように、 実施例 2、 3で得られた多孔体は、 スポンジ構造で、 隣り合う気孔が 連結したシリ力質多孔体であつた。 図 4に示すように、 実施例 4で得られた多孔 体は、 スポンジ構造で、 隣り合う気孔が比較的連結していないシリカ質多孔体で あった。 図 5に示すように、 実施例 5で得られた多孔体は、 スポンジ構造で、 そ れぞれの気孔が独立したシリ力質多孔体であった。 実施例 6で得られた多孔体は スポンジ構造で隣り合う気孔が連結したチタニア質多孔体であった。 図 7に示す ように、 実施例 7で得られた多孔体は、 スポンジ構造で、 それぞれの気孔が独立 したシリカ質多孔体であった。 実施例 8で得られた多孔体は、 スポンジ構造で、 それぞれの気孔が独立したムライト質多孔体であった。 図 8に示すように、 実施 例 9で得られた多孔体は、 比較的細い骨格からなる三次元の網目構造を有するコ ージェライト質多孔体であった。 実施例 10で得られた多孔体は、 スポンジ構造 で、 それぞれの気孔が独立したフォルステライト質多孔体であった。 実施例 11 で得られた多孔体は、 比較的細い骨格からなる三次元の網目構造を有するアルミ ニゥムチタネート質多孔体であった。 図 9に示すように、 比較例 1で得られた多 孔体は、 細い骨格からなる三次元の網目構造を有するシリカ質多孔体であつたが 、 一部は泡が消失した緻密な構造となった。 比較例 2で得られた多孔体は、 うま く気孔が形成されずに、 緻密な部分が多く、 評価に値しなかった。
実施例及び比較例で得られた無機質多孔体の寸法と重量を測定してそれぞれの 嵩密度を算出した。 真密度をシリカ 2. 0 gZcm3、 チタニア 3. 9 g/cm 3、 コージエライト 2. 5 g c rrr、 ムライト 3. 1 g/cm", フォルステラ イト 3. 2 g/cm3, アルミニウムチタネート 3. 5 g/cm3として、 下記
式 (1) から気孔率を算出した。 ガス透過係数は、 ダルシーの法則 (DARCY ' S LAW) に従い、 下記式 (2) から算出した。 熱伝導率は定常法により測 定し、 曲げ強度及び熱膨張係数はそれぞれ、 J I S R1'601、 R 1618に 準拠した方法で測定した。 その結果を表 1に示す。 表 1から、 本発明の第 1の無 機質多孔体は、 ガスを透過させた場合、 圧力損失が低い上に、 構造材料としても 適用し得る、 熱膨張率及び機械的強度を備えており、 また、 本発明の第 2の無機 質多孔体は、 熱伝導率が低い上に、 構造材料としても適用し得る、 熱膨張率及び 機械的強度を備えていることがわかる。
(数式 1 )
気孔率 (%) = (1一嵩密度/真密度) X 100…… (1)
(数式 2)
ガス透過係数 K= (/2 · L · Q) Ζ (ΔΡ · Α) …… (2)
上記式 (2) 中、 aは粘性係数、 Lはサンプル厚さ、 Qはガス流量、 ΔΡは圧 力損失、 Αはサンプル面積をそれぞれ示す。
実施例 1 実施例 2 実施例 3 実施例 4 実施例 5 実施例 6 比較例 1 比較例 2 第 1の無機 第 1の無機 第 1の無機 第 2の無機 第 2の無機 第 1の無機
多孔体 質多孔体 質多孔体 質多孔体 質多孔体 質多孔体 質多孔体 シリカ質 シリカ質
(シリカ質 (シリカ質 (シリカ質 (シリカ質 (シリカ質 (チタニア 多孔体 多孔体
多孔体) 多孔体) 多孔体) 多孔体) 多孔体) 質多孔体) .
気孔の 50 m~ 20 m〜 20 /m〜 1 5 μη!〜 10 /im〜 10 jtim〜 50 m~ 10 Ι1Ώ!〜
大きさ 1. 5 mm 1 mm 800 fi 400 Mm 300 m 1 mm 3 mm 1 mm
気孔率 95 % 9 1 % 90 % 79 % 75 % 86 % 測定不可 32 %
球状気孔
の占める ― ― ― 69 % 86 % ― ― 65 %
割合
ガス透過 1. 2 X 9. 6 X 6. 2 X ― ― 1. 3 X
測定不可 ―
係数 10- 10m2 10- um2 10- um2 10- lm2
― ― ― 0. 061 0. 059
熱伝導率 ― ― 0. 089
W/mK W/mK W/mK
3. 8. MP
曲げ強度 1. IMPa 1. 7MPa 1. 8MPa 2. 3MPa ― 測定不可 ―
a
熱膨張 1. 8 X 2. 9 X 1. 8 X 2. 8 X 1. 7 X ― 測定不可 一
係数 10一6 K一1 10一6 K一1 10— 6K一1 10— —1 10— 6K一1
6 2
実施例 7 実施例 8 実施例 9 実施例 10 実施例 1 1
第 1の無機質
第 1の無機質 第 2の無機質
第 2の無機質 多孔体 多孔体 多孔体 多孔体
多孔体 多? [体 (アルミニウム
(コージェライト質 (フオルステライト質
(シリカ質多孔体) (ムライト質多孔体) チタネート質
多孔体) 多孔体)
多孔体)
気孔の 10 iim〜 1011 Ώ!〜 5 μ. m~ 5 m〜 5 m〜
大きさ 400 400 lir 1.5 mm 800 m 1 mm
気孔率 74% 72 % 86 % 74% 8 1 %
球状気孔の
78 % 75 % ― 67 % 一 占める割合
ガス透過 ― ― 6. 2 X 10- 10m2 ― 1. 2 X 10 -11 m2
係数
熱伝導率 0. 059 W/mK 0. 063 W/mK 一 0. 06 1 W/mK
曲げ強度 3. IMPa 一 0. 8MPa 一 ―
熱膨張係数 1. 8 X 10 -6 K -1 ― 1. 9X 10 -6 K -1 ― ―
¾)2
産業上の利用可能性
本発明の無機質多孔体及びその製造方法は、 フィルタ一等の各種分離装置を用 いる分野、 断熱材等の各種工業用材料を用いる分野で好適に用いられる。