JPWO2004080916A1 - 無機質多孔体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明によって、少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造(三次元網目構造及び/又はスポンジ状構造)を有する無機質多孔体であって、気孔構造を形成する気孔の大きさが5μm〜2mmで気孔率が60%以上であり、ガス透過係数が1×10−11m2以上でガスを透過させた場合の圧力損失が小さいか又は熱伝導率が0.07W/mK以下と小さく、さらに熱膨張係数が小さくかつ機械的強度に優れた無機質多孔体及びその効率的な製造方法が提供される。

Description

本発明は、無機質多孔体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、連通した気孔からなる気孔構造を有し、ガスを透過させた場合の圧力損失が小さい無機質多孔体、又は独立した気孔からなる気孔構造を有し、熱伝導率が小さい無機質多孔体であって、いずれも熱膨張係数が小さいとともに機械的強度に優れた無機質多孔体、及び気孔構造の大きさや形状の調整が容易で、環境への負荷が小さく、簡易かつ低コストで無機質多孔体の作製が可能な無機質多孔体の製造方法に関する。
従来、気孔構造(三次元網目構造及び/又はスポンジ状構造)を有する無機質多孔体は、主にアルミナ等の金属酸化物(セラミックス)からなるものが知られている。これらの無機質多孔体は、例えば、下記の方法によって製造されていた。
〔1〕スラリー状のセラミックス原料を、ポリウレタンフォームのようなフォーム状有機物に含浸させ、含浸させたものを乾燥、脱脂及び焼結するとともにフォーム状有機物を焼失させる方法(例えば、特許文献1参照)。
〔2〕アルミナ及び有機バインダーから構成されたスラリーに気泡を導入して気泡含有スラリーを形成し、有機バインダーをゲル化させて保形したものを乾燥、脱脂、及び焼結して無機質多孔体を得る方法(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
〔3〕コロイダルシリカ、界面活性剤、メタノール及び発泡剤(例えば、フロンガス)からなる混合系を、発泡剤を蒸発(vaporizaion)させることによって発泡させてからゲル化して無機質多孔体を得る方法(非特許文献1参照)。
〔4〕シリカ前駆体と界面活性剤とを混合するとともに、触媒を混合し、シリカ前駆体と界面活性剤と触媒とを含む水性の原料液を調製する工程と、原料液を発泡し、泡構造を形成する工程と、泡構造を形成した原料液中でのシリカ前駆体の重合により泡構造のまま固定化し、泡構造が維持されたフォーム状の含水シリカを形成する工程と、得られた泡構造が維持されたフォーム状の含水シリカを乾燥する工程とを含む方法(特許文献4参照)。
特公平6−33191号公報 特許第2506502号公報 特開2000−264755号公報 特開2002−274835号公報 Journal of American Ceramic Society Vol.73,No.1、"Processinng and Properties of Cellular Silica Synthesized by Foaming Sol−Gels"
しかしながら、これらの従来の無機質多孔体(セラミックス発泡体)はそれぞれ下記のような問題を有していた。すなわち、〔1〕及び〔2〕の方法は、脱脂が困難であるという問題があるとともに、有機物の焼失に伴い炭酸ガスを放出することになり、環境保護の面で問題があった。また、〔3〕の方法は、発泡剤としてフロンガス等が用いられるため、オゾン層破壊などの環境保護の面で問題があった。さらに、〔4〕の方法は、用いる原材料が高価であるという問題があった。
本発明の無機質多孔体及びその製造方法は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、連通した気孔からなる気孔構造を有し、ガスを透過させた場合の圧力損失が小さい無機質多孔体、又は独立した気孔からなる気孔構造を有し、熱伝導率が小さい無機質多孔体であって、いずれも熱膨張係数が小さいとともに機械的強度に優れた無機質多孔体、及び気孔構造の大きさや形状の調整が容易で、環境への負荷が小さく、簡易かつ低コストで無機質多孔体の作製が可能な無機質多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであり、本発明によって、以下の無機質多孔体及びその製造方法が提供される。
[1]少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造(三次元網目構造及び/又はスポンジ状構造)を有する無機質多孔体であって、前記気孔構造を形成する前記気孔の大きさが、5μm〜2mmであり、気孔率が60%以上であり、かつガス透過係数が1×10−11以上であることを特徴とする無機質多孔体(以下、「第1の無機質多孔体」ということがある)。
[2]シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)及びアルミニウムチタネート(AlTiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種を主成分とする前記[1]に記載の無機質多孔体。
[3]少なくともその一部が球状である多数の独立した気孔からなる気孔構造(スポンジ状構造)を有する無機質多孔体であって、前記気孔構造を形成する前記気孔の大きさが、5μm〜2mmであり、気孔率が60%以上であり、前記気孔構造を形成する前記気孔のうち、球状の前記気孔の占める割合((球状の気孔の容積/全ての気孔の容積)×100)が、60%以上であり、熱伝導率が0.07W/mK以下であることを特徴とする無機質多孔体(以下、「第2の無機質多孔体」ということがある)。
[4]シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)及びアルミニウムチタネート(AlTiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種を主成分とする前記[3]に記載の無機質多孔体。
[5]シリカ(SiO)を主成分とし、熱膨張係数が2×10−6−1以下で、曲げ強度が1MPa以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の無機質多孔体。
[6]コージェライト(MgAlSi18)を主成分とし、熱膨張係数が2.2×10−6−1以下で、曲げ強度が0.5MPa以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の無機質多孔体。
[7]金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、第1の界面活性剤と、第1のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、得られた前記原料ゾルを機械的に攪拌して、気泡が導入されたゾル多孔体を形成し、得られた前記ゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、ゲル多孔体を形成し、得られた前記ゲル多孔体を乾燥して、乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする無機質多孔体の製造方法(以下、「第1の製造方法」ということがある)。
[8]前記ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理する際に、前記ゲル多孔体を、温度と湿度を保持したまま静置して熟成して、熟成ゲル多孔体を形成し、得られた前記熟成ゲル多孔体を、温度を保持したまま、湿度を下げて予備乾燥して、予備乾燥ゲル多孔体を形成し、前記予備乾燥ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理する前記[7]に記載の無機質多孔体の製造方法。
[9]前記ゲル多孔体を熱処理した後に、さらに焼成する前記[7]又は[8]に記載の無機質多孔体の製造方法。
[10]前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルが、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルである前記[7]〜[9]のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
[11]一方で、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、第2の界面活性剤と、第2のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、他方で、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末を含む原料粉末調製物を調製し、得られた前記原料ゾルと前記原料粉末調製物とを混合し、次いで、機械的に攪拌して、気泡が導入された粉末含有ゾル多孔体を形成し、得られた前記粉末含有ゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする無機質多孔体の製造方法(以下、「第2の製造方法」ということがある)。
[12]前記原料粉末調製物が、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の前記原料粉末を含む粉末スラリーと、第3の界面活性剤と、第3のpH調整剤とを、前記原料粉末の濃度が1重量%以上で、かつ前記原料ゾルと同じpHとなるような条件で混合して調製された、原料スラリーである前記[11]に記載の無機質多孔体の製造方法。
[13]前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する際に、前記粉末含有ゲル多孔体を、温度及び湿度を保持したまま静置して熟成して、熟成粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記熟成粉末含有ゲル多孔体を、温度を保持したまま、湿度を下げて予備乾燥して、予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、前記予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する前記[11]又は[12]に記載の無機質多孔体の製造方法。
[14]前記粉末含有ゲル多孔体を熱処理した後に、さらに焼成する前記[11]〜[13]のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
[15]前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルが、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルであり、かつ前記金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末が、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群から選ばれる少なくとも一の元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び/又はこれらの複合酸化物の粉末である前記[11]〜[14]のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
本発明によって、連通した気孔からなる気孔構造を有し、ガスを透過させた場合の圧力損失が小さい無機質多孔体、又は独立した気孔からなる気孔構造を有し、熱伝導率が小さい無機質多孔体であって、いずれも熱膨張係数が小さいとともに機械的強度に優れた無機質多孔体、及び気孔構造の大きさや形状の調整が容易で、環境への負荷が小さく、簡易かつ低コストで無機質多孔体の作製が可能な無機質多孔体の製造方法が提供される。
図1は、本発明の実施例1で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図2は、本発明の実施例2で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図3は、本発明の実施例3で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図4は、本発明の実施例4で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図5は、本発明の実施例5で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図6は、本発明の実施例6で得られたチタニア質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図7は、本発明の実施例7で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図8は、本発明の実施例9で得られたコージェライト質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図9は、本発明の比較例1で得られたシリカ質多孔体の気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
本発明の無機質多孔体は、少なくともその一部が球状である多数の気孔からなる気孔構造(三次元網目構造及び/又はスポンジ状構造)を有する無機質多孔体であって、気孔構造を形成する気孔の大きさが、5μm〜2mmであり、気孔率が60%以上のものである。
本発明の第1の無機質多孔体を構成する主成分としては特に制限はないが、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)及びアルミニウムチタネート(AlTiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、第2の無機質多孔体を構成する主成分としては、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)及びアルミニウムチタネート(AlTiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)、アルミニウムチタネート(AlTiO)としても特に制限はないが、結晶相として多形のあるものについては、熱膨張特性や、触媒特性の観点から、シリカ(SiO)の場合には、アモルファス(非晶質)のもの、チタニア(TiO)の場合には、アナターゼ型、アルミニウムチタネート(AlTiO)の場合には、低温型(β相)、を好適例として挙げることができる。なお、本発明においては、コージェライト(MgAlSi18)として、その多形(化学組成は同じだが結晶構造が異なるもの)であるインディアライトも含む。これらは一種単独であってもよく、二種以上を混合したものであってもよい。
本発明の第1の無機質多孔体は、少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造(三次元網目構造及び/又はスポンジ状構造)を有する。この気孔の大きさは、5μm〜2mmであることが必要である。5μm未満であるとガス透過係数が小さくなり(ガスを透過させた場合、圧力損失が高くなり)、2mmを超えると、強度が小さくなる。また、本発明の第1の無機質多孔体は、気孔率が60%以上であることが必要である。気孔率が60%未満であると、ガス透過係数が小さくなる(ガスを透過させた場合、圧力損失が高くなる)。ガス透過係数は1×10−11以上であることが必要である。
本発明の第2の無機質多孔体は、少なくともその一部が球状である多数の独立した気孔からなる気孔構造(スポンジ状構造)を有する。この気孔の大きさは、5μm〜2mmであることが必要である。5μm未満であっても特性に問題はないが、泡を安定化させるための界面活性剤の使用量が多くなり、環境への負荷が高くなり、2mmを超えると、機械的強度が小さくなる。また、気孔率が60%以上であることが必要なのは、第1の無機質多孔体の場合と同様である。また、気孔構造を形成する気孔のうち、球状の気孔の占める割合((球状の気孔の容積/全ての気孔の容積)×100)が、60%以上であることが必要である。60%未満であると、熱伝導率が高くなる。また、熱伝導率は0.07W/mK以下であることが必要である。
また、本発明の第1の無機質多孔体及び第2の無機質多孔体は、シリカを主成分とし、その熱膨張係数が2×10−6−1以下、曲げ強度が1MPa以上であることが好ましい。熱膨張係数が、2×10−6−1を超えると、耐熱衝撃性に問題を生じることがある。また、曲げ強度が1MPa未満であると、構造材料として使用することができなかったり、耐熱衝撃性に問題を生じることがある。
また、本発明の第1の無機質多孔体及び第2の無機質多孔体は、コージェライト(MgAlSi18)を主成分とし、熱膨張係数が2.2×10−6−1以下で、曲げ強度が0.5MPa以上であることが好ましい。熱膨張係数が、2.2×10−6−1を超えると、耐熱衝撃性に問題を生じることがある。また、曲げ強度が0.5MPa未満であると、構造材料として使用することができなかったり、耐熱衝撃性に問題を生じることがある。
本発明の第1の無機質多孔体は、熱膨張係数が小さく、曲げ強度に優れる上に、ガス透過係数が1×10−11以上と大きく、ガスを透過させた場合、圧力損失を低下させることが可能なため、フィルター等の用途に好適に用いられる。
本発明の第2の無機質多孔体は、熱膨張係数が小さく、曲げ強度に優れる上に、熱伝導率が0.07W/mK以下と小さく、断熱性に優れるため、断熱材等の用途に好適に用いられる。
本発明の無機質多孔体の製造方法(第1の製造方法)は、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、第1の界面活性剤と、第1のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、得られた前記原料ゾルを機械的に攪拌して、気泡が導入されたゾル多孔体を形成し、得られた前記ゾル多孔体を所定温度で加熱してゲル化させ、ゲル多孔体を形成し、得られた前記ゲル多孔体を乾燥して、乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする。
第1の製造方法においては、まず、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル(好適例として、シリカ(SiO)ゾル、チタニア(TiO)ゾルを挙げることができる)と、第1の界面活性剤と、第1のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製する。
以下、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルとして、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルを用いた場合について説明する。
通常、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルは、溶媒(水)にゾル粒子(シリカ又はチタニアの数nm〜数十nmの粒子)が単分散しており、その状態で各種用途に用いられることが多く、そのため、単分散の状態が安定して長時間保てるような工夫がされている。この状態が不安定になると、粒子どうしが凝集し、その凝集がゾル全体に行き渡って、その結果ゲル化することになる(全体がゼリー状に固化して、粘度が極端に高い状態になる)。このゲル化までの粘度の変化は、数ヶ月〜数年のオーダーで徐々に高まっていくが、それを数分〜数時間のオーダーとなるように強制的に早めてやる(所定時間で原料ゾルがゲル化するように制御する)のが第1の製造方法の一つの特徴である。
一般に、ゾルをゲル化させる駆動力は、ゾルの凝集が生じ易い状態を作り出すことによって得ることができる。すなわち、〔1〕pH調整による表面電位の低下、〔2〕温度上昇によるゾル粒子同士の衝突頻度の上昇、〔3〕濃度上昇によるゾル粒子同士の衝突頻度の上昇、〔4〕電解質添加による表面電位状態の不安定化等によって、ゾルは凝集し易くなり、ゲル化が促進される。第1の製造方法においては、第1のpH調整剤の添加が、〔1〕(場合によっては〔4〕も)の作用によるゲル化の促進に、また、加熱が、〔2〕の作用によるゲル化の促進にそれぞれ対応している。
このように、原料ゾルの粘度の時間変化を強制的に早める(所定時間で原料ゾルがゲル化するように制御する)方法として、pHと温度とを制御することによる方法を第1の製造方法では利用している。通常のシリカゾルではpH=10程度(チタニアゾルはpH=1程度)であるが、原料ゾルのpHを5〜7(チタニアゾルはpH=2〜4)に制御することで、ゲル化(粘度が数万mPa・sとなる)時間は数分〜数時間となる。また、温度を高くするとゲル化時間は早まることになる(ゲル化時間は温度に対して反比例的に減少する)。例えば、シリカゾルをpH=6とした場合、温度が20℃ではゲル化時間が40〜60分程度であるが、40℃の場合にはその4分の1程度の10〜30分程度となる。また、20℃でゲル化を進行させておいて、40℃に加熱することによって急激にゲル化させることもできる。
上述の方法によって制御されるゲル化時間は、通常、1分から1時間が好ましく、作業のしやすさの観点からすると、数分から数十分がさらに好ましい。また、原料ゾルに気泡を導入して気孔を形成した後に温度を変化させてもよい。このようにすることによって、気孔構造を、形成時の状態に保持したまま瞬時にゲル化させることができ、気孔構造を構成する気孔の形状、大きさを容易に制御することが可能となる。
上記のようにゲル化時間の制御(粘度の時間変化の制御)をすることで、後述する気泡を導入する際の粘度を100〜20000mPa・sの範囲で任意に選ぶことができる。すなわち、所定の組成でゾルを調製した後、一定温度(例えば、20℃)でそのゾルの粘度の変化を測定することが好ましい。
このように、第1の製造方法においては、後述する気泡を導入する際の原料ゾルの粘度を100〜20000mPa・sの範囲に調整することが重要であり、pHと温度とは、原料ゾルの粘度をこのような範囲にすることができるものであれば、適宜、組み合わせることができる。
ここで、第1の製造方法に用いられるシリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルとしては、所定の条件でゲル化するものであれば特に制限はないが、例えば、平均粒径が10nm、濃度が30%のものを好適例として挙げることができる。シリカ(SiO)ゾル及びチタニア(TiO)ゾルのうちいずれか一種単独で用いてもよく、二種を混合したものを用いてもよい。シリカ(SiO)ゾル及びチタニア(TiO)ゾルの濃度は、市販されているどのような濃度であってもよいが、薄すぎるとゲル化後の機械的強度が弱く、形状を保つことが困難であるので20%以上が好ましい。
第1の製造方法に用いられる第1の界面活性剤としては、起泡性に富むものであり、得られる原料ゾルに気泡を導入することによって安定した気孔を形成することができるものであれば、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両イオン性のいずれであってもよいが、直鎖型の界面活性剤が好ましい。また、pHに影響を与えない非イオン性のものが好ましい。さらに、仮焼後に不純物が残らないようにアルカリ金属等が含まれないものが好ましい。具体的には、陰イオン性界面活性剤として、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリカルボン酸塩を挙げることができる。また、陽イオン性界面活性剤として、塩化ヘキサデシルセチルトリメチルアンモニウム等の高級アルキル基と低級アルキル基とを有する脂肪族四級アンモニウム塩、高級アルキル基と低級アルキル基とを有する脂肪族アミン塩等を挙げることができる。また、非イオン性界面活性剤として、高級アルキル基とオキシエチレン基とを有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級アルコールにエチレンオキシドを付加重合させたポリオキシエチレンアルコールエーテル、モノ脂肪酸グリセリンにエチレンオキシドを付加重合させたポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸(又はソルビトール脂肪酸)にエチレンオキシドを付加重合させたポリオキシエチレンソルビタン(又はソルビトール)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの一端の水酸基が脂肪酸でエステル化されたポリエチレングリコール脂肪酸エステル等を挙げることができる。さらに、両イオン性として、アルキルベタイン、アミンオキサイド等を挙げることができる。
第1の製造方法に用いられる第1のpH調整剤としては特に制限はないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等の酸(無機酸であってもよく、有機酸であってもよい)又はアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の塩基を挙げることができる。中でも、作業のしやすいゲル化時間とする観点から、塩酸や、アンモニア水等を用いることが好ましい。
次いで、第1の製造方法においては、原料ゾルの粘度が100〜20000mPa・sの範囲で所望の値になったところで、原料ゾルを機械的に攪拌して、気泡が導入されたゾル多孔体を形成する。
気泡を導入するタイミング(導入時の原料ゾルの粘度)によって、得られる無機質多孔体の気孔構造を構成する気孔の形状、大きさを制御することができる。原料ゾルの粘度が低いほど、細い骨格が三次元構造を形成した連通した気孔が発達しやすく、原料ゾルの粘度が高いほど、独立した気孔を形成し易い。原料ゾルの粘度としては前述のように100〜20000mPa・sの範囲の中で適宜選択することが可能で、100mPa・s未満であると、ゲル化の速度よりも早く気孔構造が消失しやすく、全体として均質な気孔構造を得ることが困難であり、20000mPa・sを超えると、気泡の導入のための攪拌が困難になる。
なお、少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造を有する第1の無機質多孔体を製造する場合は、原料ゾルの粘度として、100〜1000mPa・sの範囲を選択することが好ましく、少なくともその一部が球状である多数の独立した気孔からなる気孔構造を有する第2の無機質多孔体を製造する場合は、原料ゾルの粘度として、1000〜20000mPa・sの範囲を選択することが好ましい。
機械的な攪拌により原料ゾル中に取り込まれた空気が原料ゾルの膜に覆われて泡となり気孔を形成(ゾル多孔体を形成)するが、界面活性剤は、その際に気体と液体の界面とを安定して存在させる役割を果たす。
機械的に攪拌する方法としては特に制限はないが、例えば、攪拌機(ミキサー)、ホイッパー、発泡機等による機械的攪拌を挙げることができる。また、ガス噴入等によって気泡を導入してもよい。攪拌時間としては特に制限はないが、例えば、0.1〜60分間が好ましく、0.5〜30分間がさらに好ましい。攪拌時間が0.1分間未満であると、気泡が十分に発達せず、60分間を超えると、ゾルの粘度の時間変化により、攪拌中にゲル化が起こり、できあがった気孔構造を破壊してしまうことがある。なお、市販の発泡機(例えば、食品用に用いられる連続発泡機)を用いることによって、気孔構造の比重を制御することができるので、無機多孔体の比重を容易に制御することができる。
次いで、第1の製造方法においては、得られたゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、ゲル多孔体を形成する。上述のように気泡を導入する際の原料ゾルの粘度で、最終的に気孔構造を構成することになる気孔の形状や大きさを制御することができるが、ゲル化前に気泡の導入によって形成された気孔は放置しておくとその形状を維持できず、いずれは消滅することになるので、その気泡の消滅を抑制するために、さらにゲル化を促進させる処理(加熱処理)をすることが好ましい。なお、ゲル多孔体を得るために加熱をすることは必ずしも必須の処理ではないが、気孔構造をより制御し易くするためには加熱をする方が好ましい。この場合、加熱温度は、調製及び攪拌時のゾルの温度よりも5〜30℃高い温度が好ましく、調製及び攪拌時のゾルの温度よも10〜25℃高い温度がさらに好ましい。
ゲル化後(ゲル多孔体形成後)、ゲル多孔体を乾燥して、乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた乾燥ゲル多孔体を熱処理するが、その際には、乾燥中の急激な収縮によるクラックの発生を防ぐため、ゲル多孔体を、温度と湿度を保持したまま静置して熟成して、熟成ゲル多孔体を形成し、得られた熟成ゲル多孔体を、温度を保持したまま、湿度を下げて予備乾燥して、予備乾燥ゲル多孔体を形成し、予備乾燥ゲル多孔体を乾燥して、乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた乾燥ゲル多孔体を熱処理することが好ましい。
例えば、一晩以上、ゲル化時(ゲル多孔体形成時)の温度より10℃高い温度〜ゲル化時(ゲル多孔体形成時)の温度より10℃低い温度の範囲内の温度で湿度を保持した状態で熟成し、温度を保持した状態で湿度を徐々に低下させながら予備乾燥後(一晩以上)、後述する所定温度、時間で、本乾燥し、さらに、後述する所定温度で、加熱処理することが好ましい。熟成時間は長いほどゲル骨格構造が発達して強固なものとなるため、その後の乾燥、熱処理、焼成時のクラック等の発生を有効に抑制することができる。このような熟成方法の具体例としては、例えば、ゾル多孔体を入れたビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して所定の温度、例えば、40℃の恒温槽に静置させることを挙げることができる。予備乾燥時の湿度の低下速度は遅ければ遅いほど、無機質多孔体におけるクラックの発生を抑制することができるため好ましい。予備乾燥を施したゲル多孔体は、本乾燥を行うが、このようなゲル多孔体を乾燥する方法としては特に制限はなく、例えば、室温で放置することにより自然に乾燥してもよく、また、オーブンや炉等の乾燥機中に静置した状態で乾燥してもよく、さらに、加温気流中で乾燥してもよい。本乾燥時の温度は、予備乾燥時の温度〜予備乾燥時の温度より150℃高い温度の範囲内の温度が好ましい。加熱処理時の昇温速度等は遅ければ遅いほど、無機質多孔体におけるクラックの発生を減少させることができるため好ましい。このような加熱処理は有機物(第1の界面活性剤)の分解を行うことが目的であるため、加熱処理温度は300〜700℃が好ましく、400〜600℃がさらに好ましい。300℃未満であると、有機物の分解が不十分になることがあり、700℃を超えると、焼結が進みすぎることがある。
第1の製造方法においては、上述のようにゲル多孔体を加熱処理した後に、さらに焼成してもよい。このようなゲル多孔体を焼成する方法としては特に制限はなく、静置状態で行ってもよく、また、空気や酸素のような気流中で行ってもよい。また、焼成温度は、700〜1400℃が好ましく、800〜1200℃がさらに好ましい。焼成温度が700℃未満であると、焼結が進まないことがあり、1400℃を超えると、溶融することがある。焼成時間は、0.5〜10時間が好ましく、1〜3時間がさらに好ましい。焼成時間が0.5時間未満であると、焼結が進まないことがあり、10時間を超えると、緻密化が進み気孔構造が崩壊することがある。なお、シリカを主成分とする場合には、焼成温度は950℃を上限とすることが好ましい。950℃を超えると、結晶化が起こり、結晶化することで特性が変化する(例えば、熱膨張挙動などが著しく変化する)ことがある。
本発明の無機質多孔体の製造方法(第2の製造方法)は、一方で、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、第2の界面活性剤と、第2のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、他方で、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末を含む原料粉末調製物を調製し、得られた原料ゾルと原料粉末調製物とを混合し、次いで、機械的に攪拌して、気泡が導入された粉末含有ゾル多孔体を形成し、得られた前記粉末含有ゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする。
第2の製造方法においては、まず、一方で、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル(好適例として、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルを挙げることができる)と、第2の界面活性剤と、第2のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、他方で、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末を含む原料粉末調製物を調製する。この場合、原料粉末調製物として、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末を含む粉末スラリーと、第3の界面活性剤と、第3のpH調整剤とを、原料粉末の濃度が1重量%以上で、かつ原料ゾルと同じpHとなるような条件で混合して、原料スラリーを調製することが好ましい。なお、原料粉末の濃度は30重量%以上であることがさらに好ましい。
次いで、得られた原料ゾルと原料粉末調製物(好ましくは、原料スラリー)とを混合し、次いで、機械的に攪拌して、気泡が導入された粉末含有ゾル多孔体を形成する。
次いで、得られた粉末含有ゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、粉末含有ゲル多孔体を形成し、
次いで、得られた前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成する。
次いで、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する。
また、第2の製造方法においては、粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する際に、粉末含有ゲル多孔体を、温度及び湿度を保持したまま静置して熟成して、熟成粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた熟成粉末含有ゲル多孔体を、温度を保持したまま、湿度を下げて予備乾燥して、予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理することが好ましい。
さらに、第2の製造方法においては、粉末含有ゲル多孔体を熱処理した後に、さらに焼成することが好ましい。
第2の製造方法で用いられる、原料ゾルを調製するための金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルとしては、好適例として、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルを挙げることができる。
また、第2の製造方法で用いられる原料粉末調製物(好ましくは、原料スラリー)は、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末を含むものであることが焼成時の反応性の観点から好ましい。この場合、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末は、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群から選ばれる少なくとも一の元素の酸化物、水酸化物、金属炭酸塩及び/又はこれらの複合酸化物の粉末であることが焼成後に得られる生成物の制御がしやすいことから好ましい。
なお、第2の製造方法において、以下の事項は第1の製造方法と共通するのでその記載は省略する。
〔1〕原料ゾルの種類及びその調製方法
〔2〕第2の界面活性剤(第1の界面活性剤と同様)
〔3〕第2のpH調整剤及び第3のpH調整剤(第1のpH調整剤と同様)
〔4〕ゲルの熟成・乾燥条件
第2の製造方法で、特記すべき事項は、以下の通りである。
〔1〕焼成温度:ゾルの種類と、原料粉末(好ましくは、粉末スラリーの形態)の種類との組み合わせによって(最終的に得られる化合物によって)、最適な焼成温度が変わることになる。具体的には、コージェライトの場合1300〜1500℃;ムライトの場合1100〜1400℃;フォルステライトの場合1300〜1600℃;アルミニウムチタネートの場合1400〜1600℃;シリカの場合700〜1400℃がそれぞれ好ましい。
〔2〕第3の界面活性剤:第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤と共通のものを用いてもよいが、粉末の分散性を向上させる目的で、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等を添加したものを用いることが好ましい。中でも、ポリアクリル酸アンモニウム塩を添加したものがさらに好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が100mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後、フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が300mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が500mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が2000mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が10000mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
チタニアゾル(石原産業(株)製、商品名:STS−02)、pH調整剤としてアンモニア水、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。チタニアゾル100g(pH=1)に対してアンモニア水をpH=3となるように添加し(0.75ml程度)、さらに界面活性剤を0.25ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が800mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、チタニア質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。一方で、蒸留水20gにシリカ粉末30gと界面活性剤のラウリル硫酸エステルナトリウム塩とポリアクリル酸アンモニウム塩を添加し、pH調整剤として塩酸をpH=6になるように添加した。この原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、原料ゾルの粘度が10000mPa・sになったところで、室温下、1リットルの円筒形状の型に移し、その中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、型をパラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま2日静置した後、型から外し、調湿乾燥機にて、温度40℃のまま、相対湿度を90%から40%まで24時間で低下させて予備乾燥した。この予備乾燥体を110℃で1日乾燥した。得られた乾燥体を、850℃で2時間大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表2に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。一方で、蒸留水51gにアルミナ粉末76gと界面活性剤のラウリル硫酸エステルナトリウム塩とポリアクリル酸アンモニウム塩を添加し、pH調整剤として塩酸をpH=6になるように添加した。この原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、原料ゾルの粘度が10000mPa・sになったところで、室温下、1リットルの円筒形状の型に移し、その中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、型をパラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま2日静置した後、型から外し、調湿乾燥機にて、温度40℃のまま、相対湿度を90%から40%まで24時間で低下させて予備乾燥した。この予備乾燥体を110℃で1日乾燥した。得られた乾燥体を、1300℃で2時間大気中で加熱処理し、ムライト質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表2に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。一方で、蒸留水48gにアルミナ粉末26gと水酸化アルミニウム粉末28gとタルク粉末57gと、界面活性剤のラウリル硫酸エステルナトリウム塩とポリアクリル酸アンモニウム塩を添加し、pH調整剤として塩酸をpH=6になるように添加した。この原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、原料ゾルの粘度が1000mPa・sになったところで、室温下、1リットルの円筒形状の型に移し、その中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、型をパラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま2日静置した後、型から外し、調湿乾燥機にて、温度40℃のまま、相対湿度を90%から40%まで24時間で低下させて予備乾燥した。この予備乾燥体を110℃で1日乾燥した。得られた乾燥体を、1400℃で2時間大気中で加熱処理し、コージェライト質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表2に示す。
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。一方で、蒸留水40gに酸化マグネシウム粉末40gと界面活性剤のラウリル硫酸エステルナトリウム塩とポリアクリル酸アンモニウム塩を添加し、pH調整剤として塩酸をpH=6になるように添加した。この原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、原料ゾルの粘度が10000mPa・sになったところで、室温下、1リットルの円筒形状の型に移し、その中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、型をパラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま2日静置した後、型から外し、調湿乾燥機にて、温度40℃のまま、相対湿度を90%から40%まで24時間で低下させて予備乾燥した。この予備乾燥体を110℃で1日乾燥した。得られた乾燥体を、1500℃で2時間大気中で加熱処理し、フォルステライト質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表2に示す。
チタニアゾル(石原産業(株)製、商品名:STS−02)、pH調整剤としてアンモニア水、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=1)に対してアンモニア水をpH=3となるように添加し(0.75ml程度)、さらに、界面活性剤を0.25ml添加した。一方で、蒸留水26gにアルミナ粉末38gと界面活性剤のラウリル硫酸エステルナトリウム塩とポリアクリル酸アンモニウム塩を添加し、pH調整剤として塩酸をpH=6になるように添加した。この原料ゾルと原料スラリーをそれぞれ、20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、原料ゾルの粘度が1000mPa・sになったところで、室温下、1リットルの円筒形状の型に移し、その中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、型をパラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま2日静置した後、型から外し、調湿乾燥機にて、温度40℃のまま、相対湿度を90%から40%まで24時間で低下させて予備乾燥した。この予備乾燥体を110℃で1日乾燥した。得られた乾燥体を、1550℃で2時間大気中で加熱処理し、アルミニウムチタネート質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表2に示す。
(比較例1)
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この調製ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が50mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
(比較例2)
シリカゾル(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスS)、pH調整剤として塩酸、界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。シリカゾル100g(pH=10)に対して塩酸をpH=6となるように添加し(1.25ml程度)、さらに、界面活性剤を0.5ml添加した。この原料ゾルを20℃に保ったウオーターバス内で静かに攪拌し、粘度が30000mPa・sになったところで、室温下、1リットルのビーカー中で機械的攪拌(ミキサー、1分間)を行い、ビーカーを、パラフィン製のフィルムで密閉して40℃の恒温槽に静置させた。そのまま3日静置した後、ビーカーのフィルムに直径1mm程度のピンホールを1つ開け、さらに3日静置した。その後フィルムを外し、1日静置した。得られた乾燥体を、600℃で4時間、さらに850℃で2時間、大気中で加熱処理し、シリカ質多孔体を得た。得られた多孔体の種類、気孔の大きさ、気孔率、球状気孔の占める割合、ガス透過係数、熱伝導率、曲げ強度、及び熱膨張係数を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた無機質多孔体に対して、気孔構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図1に示すように、実施例1で得られた多孔体は、細い骨格からなる三次元の網目構造を有するシリカ質多孔体であった。図2、3に示すように、実施例2、3で得られた多孔体は、スポンジ構造で、隣り合う気孔が連結したシリカ質多孔体であった。図4に示すように、実施例4で得られた多孔体は、スポンジ構造で、隣り合う気孔が比較的連結していないシリカ質多孔体であった。図5に示すように、実施例5で得られた多孔体は、スポンジ構造で、それぞれの気孔が独立したシリカ質多孔体であった。実施例6で得られた多孔体はスポンジ構造で隣り合う気孔が連結したチタニア質多孔体であった。図7に示すように、実施例7で得られた多孔体は、スポンジ構造で、それぞれの気孔が独立したシリカ質多孔体であった。実施例8で得られた多孔体は、スポンジ構造で、それぞれの気孔が独立したムライト質多孔体であった。図8に示すように、実施例9で得られた多孔体は、比較的細い骨格からなる三次元の網目構造を有するコージェライト質多孔体であった。実施例10で得られた多孔体は、スポンジ構造で、それぞれの気孔が独立したフォルステライト質多孔体であった。実施例11で得られた多孔体は、比較的細い骨格からなる三次元の網目構造を有するアルミニウムチタネート質多孔体であった。図9に示すように、比較例1で得られた多孔体は、細い骨格からなる三次元の網目構造を有するシリカ質多孔体であったが、一部は泡が消失した緻密な構造となった。比較例2で得られた多孔体は、うまく気孔が形成されずに、緻密な部分が多く、評価に値しなかった。
実施例及び比較例で得られた無機質多孔体の寸法と重量を測定してそれぞれの嵩密度を算出した。真密度をシリカ2.0g/cm、チタニア3.9g/cm、コージェライト2.5g/cm、ムライト3.1g/cm、フォルステライト3.2g/cm、アルミニウムチタネート3.5g/cmとして、下記式(1)から気孔率を算出した。ガス透過係数は、ダルシーの法則(DARCY’S LAW)に従い、下記式(2)から算出した。熱伝導率は定常法により測定し、曲げ強度及び熱膨張係数はそれぞれ、JIS R1601、R1618に準拠した方法で測定した。その結果を表1に示す。表1から、本発明の第1の無機質多孔体は、ガスを透過させた場合、圧力損失が低い上に、構造材料としても適用し得る、熱膨張率及び機械的強度を備えており、また、本発明の第2の無機質多孔体は、熱伝導率が低い上に、構造材料としても適用し得る、熱膨張率及び機械的強度を備えていることがわかる。
Figure 2004080916
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上記式(2)中、μは粘性係数、Lはサンプル厚さ、Qはガス流量、ΔPは圧力損失、Aはサンプル面積をそれぞれ示す。
Figure 2004080916
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本発明の無機質多孔体及びその製造方法は、フィルター等の各種分離装置を用いる分野、断熱材等の各種工業用材料を用いる分野で好適に用いられる。

Claims (15)

  1. 少なくともその一部が球状である多数の連通した気孔からなる気孔構造(三次元網目構造及び/又はスポンジ状構造)を有する無機質多孔体であって、
    前記気孔構造を形成する前記気孔の大きさが、5μm〜2mmであり、気孔率が60%以上であり、かつガス透過係数が1×10−11以上であることを特徴とする無機質多孔体。
  2. シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)及びアルミニウムチタネート(AlTiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種を主成分とする請求項1に記載の無機質多孔体。
  3. 少なくともその一部が球状である多数の独立した気孔からなる気孔構造(スポンジ状構造)を有する無機質多孔体であって、前記気孔構造を形成する前記気孔の大きさが、5μm〜2mmであり、気孔率が60%以上であり、前記気孔構造を形成する前記気孔のうち、球状の前記気孔の占める割合((球状の気孔の容積/全ての気孔の容積)×100)が、60%以上であり、熱伝導率が0.07W/mK以下であることを特徴とする無機質多孔体。
  4. シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、コージェライト(MgAlSi18)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(MgSiO)及びアルミニウムチタネート(AlTiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種を主成分とする請求項3に記載の無機質多孔体。
  5. シリカ(SiO)を主成分とし、熱膨張係数が2×10−6−1以下で、曲げ強度が1MPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の無機質多孔体。
  6. コージェライト(MgAlSi18)を主成分とし、熱膨張係数が2.2×10−6−1以下で、曲げ強度が0.5MPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の無機質多孔体。
  7. 金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、第1の界面活性剤と、第1のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、
    得られた前記原料ゾルを機械的に攪拌して、気泡が導入されたゾル多孔体を形成し、
    得られた前記ゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、ゲル多孔体を形成し、
    得られた前記ゲル多孔体を乾燥して、乾燥ゲル多孔体を形成し、
    得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする無機質多孔体の製造方法。
  8. 前記ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理する際に、
    前記ゲル多孔体を、温度と湿度を保持したまま静置して熟成して、熟成ゲル多孔体を形成し、得られた前記熟成ゲル多孔体を、温度を保持したまま、湿度を下げて予備乾燥して、予備乾燥ゲル多孔体を形成し、前記予備乾燥ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥ゲル多孔体を熱処理する請求項7に記載の無機質多孔体の製造方法。
  9. 前記ゲル多孔体を熱処理した後に、さらに焼成する請求項7又は8に記載の無機質多孔体の製造方法。
  10. 前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルが、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルである請求項7〜9のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
  11. 一方で、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルと、第2の界面活性剤と、第2のpH調整剤とを、その粘度が100〜20000mPa・sとなるようなpHと温度との条件で混合して、所定のゲル化時間を有する原料ゾルを調製し、
    他方で、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末を含む原料粉末調製物を調製し、
    得られた前記原料ゾルと前記原料粉末調製物とを混合し、次いで、機械的に攪拌して、気泡が導入された粉末含有ゾル多孔体を形成し、
    得られた前記粉末含有ゾル多孔体を、必要に応じ所定温度で加熱して、ゲル化させ、粉末含有ゲル多孔体を形成し、
    得られた前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、
    得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理することを特徴とする無機質多孔体の製造方法。
  12. 前記原料粉末調製物が、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の前記原料粉末を含む粉末スラリーと、第3の界面活性剤と、第3のpH調整剤とを、前記原料粉末の濃度が1重量%以上で、かつ前記原料ゾルと同じpHとなるような条件で混合して調製された、原料スラリーである請求項11に記載の無機質多孔体の製造方法。
  13. 前記粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する際に、
    前記粉末含有ゲル多孔体を、温度及び湿度を保持したまま静置して熟成して、熟成粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記熟成粉末含有ゲル多孔体を、温度を保持したまま、湿度を下げて予備乾燥して、予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、前記予備乾燥粉末含有ゲル多孔体を乾燥して、前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を形成し、得られた前記乾燥粉末含有ゲル多孔体を熱処理する請求項11又は12に記載の無機質多孔体の製造方法。
  14. 前記粉末含有ゲル多孔体を熱処理した後に、さらに焼成する請求項11〜13のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
  15. 前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルが、シリカ(SiO)ゾル及び/又はチタニア(TiO)ゾルであり、かつ前記金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の原料粉末が、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群から選ばれる少なくとも一の元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び/又はこれらの複合酸化物の粉末である請求項11〜14のいずれかに記載の無機質多孔体の製造方法。
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