明 力ルバぺネム類の製造方法およびその製造に用いられる中間体
[発 明 の 背 景]
発明の分野
本発明は、 プロドラッグ型の経口用抗菌剤として有用な力ルバぺネム系化合物 の製造方法に関する。 本発明はまた、 その製造方法において用いられる合成中間 体に関する。
糸田
関連技術
プロドラッグ型経口用医薬として有用な力ルバぺネム系化合物として、 下記の ような式(A )の化合物 (以下、 化合物 Aという) 、 および式(B )の化合物 (以下、 化合物 Bという) が知られている。
エティ部位
エティ部位
これら化合物 Aおよび化合物 Bを含む化合物の群は、 その構造中に、 生体内で 分解されて容易に除去しされ得る基部位を備えている。 この基は、 プロドラッグ のプロモエティとも呼ばれ、 生体内に入ると容易に分解されて、 脱離する。 この 基が脱離した化合物は、 幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性を示し、 抗菌剤と して用いることができる。 一方、 化合物 A等のような化合物は、 腎デヒドロぺプ チダーゼに対して優れた安定性を有し、 経口投与された場合、 消化管から吸収に
おいて優れた吸収性を示す。 このため、 これらの化合物は、 プロドラッグ型経口 用医薬として実用化が大いに期待されている。
化合物 Aの従来の製造法は、 例えば、 日本国特許第 2, 666, 118号公報等 に記載されている。 ここには、 化合物 Aは、 スキーム 1の手順にしたがって、 式 (C)の化合物 (以下、 化合物 Cという) を出発物質として製造できることが記載 されている。
スキーム 1 :
(A)
[式中、 P hはフエ二ル基を表し、 P N Bはパラ一ニトロベンジル基を表す]。 また日本国特許第 2 , 6 6 6 , 1 1 8号公報には、 実際の合成例 (実施例 1およ び 5 ) においては、 保護基としてパラーニトロベンジル基を必要とする 1一( 1, 3一チアゾリン一 2—ィル)ァゼチジン— 3—ィル基の導入プロセスを経て、 ピ バロィルォキシメチル基を有する化合物 Aを合成することが開示されている。 こ のため、 ビバロイルォキシメチル基を有する化合物 Aを合成する場合には、 化合 物 Cにおいてビバロイルォキシメチル基を有する化合物を出発物質として使用す るのではなく、 パラ一ニトロベンジル基を有する化合物を使用すべきことが、 こ の特許公報は示唆しているといえる。
特開平 6— 3 2 1 9 4 6号、 および Heterocycles, 21 , p.29〜40, (1984 )には、 スキーム 1中の化合物 Cは、 式(D )の化合物 (以下、 化合物 Dという) を出発物 質として製造できることが記載されている。
したがって、 既知の方法によれば、 化合物 Aは、 化合物 Dを出発物質とする、 合計 9つの工程を経て製造できる (スキーム 2参照) 。
スキーム 2 :
(vi)
[式中、 P hはフエ二ル基を表し、 T B Sは t一プチルジメチルシリル基を表し、 かつ、 P N Bはパラ一ニトロベンジル基を表す] 。 一般的に、 経口用プロドラッグを製造する場合には、 活性物質本体を先ず製造 し、 最後に生体内で分解されて容易に除去しうる置換基部分 (すなわち、 プロド ラッグのプロモエティ) を導入する。 前記スキーム 2に示した化合物 Aの製造方 法も、 このような従来のプロドラッグ製法に従ったものである。
しかしながら、 このような従来法において、 化合物 Cのカルボン酸保護基の着 脱工程 (すなわち、 工程(vii )〜(ix)) は、 製造コストを上昇させる要因となる。 一方で、 化合物 Aのような経口用力ルバぺネム系化合物は、 できるだけ低コスト で製造されることが望まれている。
したがって、 プロドラヅグ型の経口用抗菌剤として有用な力ルバぺネム系化合 物を、 より低コストで製造できる製造方法、 およびその製造のための製造中間体 の提供が依然として望まれている。
[発 明 の 概要]
本発明者らは今般、 化合物 Aの製造工程の初期において、 目的化合物における プロドラヅグのプロモエティを導入することに成功し、 さらに、 得られた合成中 間体から化合物 Aを製造することにも成功した。 これにより、 プロドラッグ型の 経口用抗菌剤として有用な力ルバぺネム系化合物を、 より低コストで製造するこ とができた。 またこの製造方法の過程において、 前記力ルバぺネム系化合物を合 成するために有用な種々の合成中間体を得ることもできた。 さらに、 この製造方 法は、 安全性などの観点から工業的規模での実施が可能なものであった。 本発明 はこのような知見に基づくものである。
よって、 本発明は、 プロドラヅグ型の経口用抗菌剤として有用な力ルバぺネム 系化合物をより低コストで製造できる製造方法、 およびその製造のための合成中 間体の提供をその目的とする。 .
本発明による下記式( IV)の化合物の製造方法は、
[式中、 R1は水酸基の保護基を表し、 R2は生体内で分解されて容易に除去し うる基を表す] 、
下記式(Π)の化合物と、 下記式(ΙΠ)の化合物とを反応させる工程を含んでな る :
[式中、 R1は水酸基の保護基を表す] 、
Mg (02C CH2C02R2) 2 (III)
[式中、 R2は生体内で分解されて容易に除去しうる基を表す] 。
本発明の好ましい態様によれば,、 前記方法は、 下記式( I )の化合物またはその 塩を、 イミダゾリド化反応させることによって、 式(II)の化合物を得る工程をさ らに含んでなる :
[式中、 R1は水酸基の保護基を表す] 。
本発明の別の態様によれば、 前記した方法によって式(IV)の化合物を得ること を含んでなる、 下記式 (XI)の化合物の製造方法が提供される :
R2は、 生体内で分解されて容易に除去しうる基を表し、 かつ
R4は、 1_ (1, 3—チアゾリン一 2—ィル) ァゼチジン一 3—ィル、 ま たはピロリジン一 2—オン一 4一ィルを表す] 。
本発明の好ましい態様によれば、 前記方法は、 式(IV)の化合物と、 アジド化合 物とを反応させることによって、 下記式(V)の化合物を得る工程をさらに含んで なる:
[式中、 R および R2は前記と同義である] 。
本発明の好ましい態様によれば、 前記方法は、 式(V)の化合物と酸とを反応さ せることによって、 下記式(VI)の化合物を得る工程をさらに含んでなる :
[式中、 R2は前記と同義である] 。
本発明の好ましい態様によれば、 前記方法は、 式 (VI)の化合物を閉環反応に付 すことによって、 下記式(VII)の化合物を得る工程をさらに含んでなる :
[式中、 R2は前記と同義: ある] 。
本発明の好ましい態様によれば、 前記方法は、 式 (VII)の化合物と、 下記式 (VI
II)の有機酸またはリン酸の反応性誘導体とを反応させることによって、 下記式 (IX)の化合物を得る工程を含んでなる :
R3OH (VIII)
[式中、 R3は、
C 1 _ 4ァシル;
ハロゲン原子により ] 3置換されていてもよい C 1—4アルキルスルホ二 ル
ニトロ、 ハロゲン原子、 もしくは C 1—4アルキルにより 1〜3置換されて いてもよい C 6— 10ァリールスルホニル;
C 1—4アルキル、 C 1—4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニト 口、 フエニル、 ジ C 1— 4アルキルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 も しくはジ C 1一 4アルキルースルファモイルにより置換されていてもよい、 C 1 - 8アルキルォキシカルボニル;
C 1—4アルキル、 C 1 - 4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニト 口、 フエニル、 ジ C 1— 4アルキルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 も しくはジ C 1一 4アルキルースルファモイルにより置換されていてもよい、 C 6 - 10ァリールォキシカルボニル;または
C 1—4アルキルもしくはフエニルにより置換されていてもよいホスホリル を表す] 、
[式中、 R2、 および R3は前記と同義である] 。
本発明の好ましい態様によれば、 前記方法は、 式(IX)の化合物と、 下記式(X) の化合物とを反応させて、 式 (XI)の化合物を得る工程をさらに含んでなる :
HS-R4 (X)
[式中、 R4は、 1ー( 1, 3—チアゾリン一 2 _ィル)ァゼチジン一 3—ィル、 またはピロリジン一 2—オン一 4—ィルを表す] 。
本発明の別の態様によれば、 式 (XI)の化合物の製造方法であって、 式(IX)の化
合物と、 式(X )の化合物とを反応させて、 式 (XI )の化合物を得る工程を含んでな る方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 前記した、 式(IV)、 式(V;)、 式 (VI )および 式(IX)の化合物が提供される。
本発明による製造方法は、 製造工程の比較的初期段階において、 目的化合物に おけるプロドラッグのプロモエティを導入し、 その後の工程中においてはプロモ エティに相当する基は保護基として働かせることを特徴の一つとするものである。 例えば、 特開平 8— 5 9 6 6 3号公報には、 合成の初期段階からプロドラッグの プロモエティを導入し、 力ルバぺネム系化合物を合成する'ことが記載されている。 しかしながら、 このような従来の製造方法において、 合成の初期段階においてプ 口ドラッグのプロモエティを導入する際には、 メチルジェチルホスホネートなど のような発火の危険性の高い試薬を使用する必要があった。 このため、 このよう な工程は、 工業的生産には必ずしも適したものではなかった。 本発明は、 かかる 点を解決したものである。
本発明によれば、 前記した従来法よりも短い 7段階の製造工程によって、 プロ ドラヅグ型の力ルバぺネム系化合物を製造することができる (後述のスキーム 3 参照) 。 本発明の製造方法は、 工業的規模で生産されている安価な式( I )の化合 物を出発物質として用いることができる。 そして本発明の製造方法によれば、 よ り低いコストで最終生成物であるプロドラッグを製造することができ、 また工業 的規模での実施が可能なものである。 さらに本発明の製造方法によれば、 最終生 成物の収率を高めることができるので、 より高効率でプロドラッグを製造するこ とができる。
[発明の具体的説明]
本明細書において、 基または基の一部としての 「アルキル」 という語は、 特に 定義されていない限り、 基が直鎖状、 分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を意味 する。 また例えば「C 1—8アルキル」 という場合の 「C 1— 8」 とは、 該アル キル基の炭素数 1〜 8個であることを意味する。
「C 1—8アルキル」 は、 好ましくは C 1—7アルキル、 より好ましくは C 1
—6アルキル、 さらに好ましくは C 1—4アルキル、 さらにより好ましくは C 1 一 3アルキル、 特に好ましくは C 1一 2アルキルである。
「C 1—6アルキル」 は、 好ましくは C 1—4アルキル、 より好ましくは C 1 —3アルキル、 さらに好ましくは C 1—2アルキルである。
「C 1—4アルキル」 は、 好ましくは C 1一 3アルキル、 より好ましくは C 1 一 2アルキルである。
アルキルの例としては、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル、 ペンチル、 へキ シル、 およびへプチルなどの直鎖アルキル;ィソプロピル、 ィソブチル、 s—プ チル、 t—ブチル、 ネオペンチル、 イソペンチル、 およびイソへキシルなどの分 岐アルキル;およぴ、 シクロプロピル、 1ーメチルシクロプロピル、 シクロプロ ビルメチル、 シクロブチル、 シクロペンチル、 およびシクロへキシルなどのシク 口アルキルが挙げられる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「アルコキシ」 という語は、 基 が直鎖状、 分枝鎖状もしくは環状のアルコキシ基を意味する。
「C 1—4アルコキシ」 は、 好ましくは C 1—3アルコキシ、 より好ましくは C 1 - 2アルコキシである。
アルコキシの例としては、 メ トキシ、 エトキシ、 n—プロポキシ、 i一プロボ キシ、 n—ブトキシ、 i—ブトキシ、 s—ブトキシ、 t—ブトキシなどが挙げら れる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「ァシル」 という語は、 基が直 鎖状、 分枝鎖状もしくは環状の基を意味する。
「C 1—8ァシル」 は、 好ましくは C 1—7ァシル、 より好ましくは C 1—6 ァシル、 さらに好ましくは C 1—4ァシル、 さらにより好ましくは C 1 - 3ァシ ル、 特に好ましくは C 1—2ァシルである。
「C 1—4ァシル」 は、 好ましくは C 1—3ァシル、 より好ましくは C 1—2 ァシルである。
ァシルの例としては、 ホルミル、 アルキルカルボニル、 ァラルキルカルボニル、 ァリールカルボニル等が挙げられ、 具体的には、 例えば、 ホルミル、 ァセチル、 プロピオニル、 プチリル、 トルオイル、 ァニソィル、 ベンゾィルなどが挙げられ
る。
本明細書において、 基または基の一部としての 「ァルケニル」 とは、 基が直鎖 状、 分枝鎖状もしくは環状のアルケニル基を意味する。
「C 2— 6アルケニル」 は、 好ましくは C 2— 5アルケニルであり、 より好ま しくは C 2— 4アルケニルである。
アルケニルの例としては、 ビニル、 ァリル、 プロぺニル、 イソプロぺニル、 ブ テニル、 2—プテニル、 3—ブテニル、 2—メチル一 1—プロぺニル、 2—メチ ルァリル、 ペンテニル、 2—ペンテニル、 シクロペンテニル、 へキセニル、 2 - へキセニル、 およびシクロへキセニルが挙げられる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「ァラルキル」 という語は、 不 飽和の 5〜7員環炭素環式基により置換された C 1一 6アルキル基を意味する。 ここで、 このアルキル基は、 その基上の 1またはそれ以上の水素原子が 1または それ以上の置換基 (同一または異なっていてもよい) により置換されていてもよ い。 この C 1— 6アルキル基部分は、 好ましくは C 1—4アルキル、 より好まし くは C 1— 3アルキル、 さらに好ましくは C 1一 2アルキルである。
「C 6— 2 0ァラルキル」 は、 好ましくは C 7 - 1 9ァラルキルである。
ァラルキルの例としては、 ベンジル、 ジフエニルメチル、 トリチル、 およびフ エネチルなどが挙げられる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「ァリール」 という語は、 不 飽和の 5〜7員環炭素環式基を意味し、 この炭素環式基は、 必要により C 1—4 アルキル基もしくは C 1一 4アルコキシ基により置換されていてもよい。 C 6— 1 0ァリ一ルとしては、 例えば、 フエニル、 トリル、 ナフチルが挙げられる。 本明細書において、 「ハロゲン原子」 とは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 またはヨウ素原子を意味する。 好ましくは、 ハロゲン原子は、 フッ素原子、 塩素 原子、 または臭素原子である。
本明細書において、 アルキル基が 「置換されていてもよい」 とは、 アルキル基 上の 1またはそれ以上の水素原子が 1またはそれ以上の置換基 (同一または異な つていてもよい) により置換されていてもよいことを意味する。 置換基の最大数 はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明
らかであろう。 また、 アルキル基が 「 1〜3置換されていてもよい」 とは、 アル キル基上の 1、 2、 または 3個の水素原子が 1、 2、 または 3つの置換基 (同一 または異なっていてもよい) により置換されていてもよいことを意味する。 これ らは、 ァシル基、 ァラルキル基等についても同様である。
式( 1 )、 式(11 )、 式(IV)および式(V )において、 R 1は水酸基の保護基を表す。 このような保護基としては、 例えば、 ペプチド化学、 または/?ーラクタム化合物 の分野において公知の保護基であればいずれのものも使用可能である。 このよう な保護基は、 例えば、 プロテクティブ 'グループス 'イン 'オーガニック ·シン セシス (Protective Groups in Organic Synthesis ) 第 2版 (ジョン -ウィリー -アンド ·サンズ (John Wiley & Sons,Inc . )出版) に記載の保護基から適宜選択 することができる。
好ましくは、 R 1は、
ハ口ゲン原子もしくはニト口基により 1〜 3置換されていてもよい C 1— 8 ァシル;
C 1—4アルコキシもしくはニトロ基により 1〜 3置換されていてもよい C 6 - 2 0ァラルキル;
C 1ー4アルコキシ、 ハロゲン原子もしくはトリ C 1—4アルキルシリルに より 1〜3置換されていてもよい C 1— 6アルキルォキシカルボニル;
C 1一 4アルコキシもしくはニトロ基により置換されていてもよい C 6 - 2 0ァラルキルォキシカルボニル;
C 2 - 6アルケニルォキシカルボニル;
ハロゲン原子により置換されていてもよい C 1— 4アルコキシによって 1〜 3置換されたメチル;
C 1—4アルコキシもしくはハロゲン原子により 1〜 3置換されたェチル; トリ C 1— 4アルキルシリル;および
ジフエ二ルー C 1 - 4アルキルシリル
からなる群より選択される。
ここで、 「ハロゲン原子もしくはニトロ基により 1〜3置換されていてもよい C 1一 8ァシル」 は、 好ましくは、 ハロゲン原子もしくはニトロ基により 1〜3
置換されていてもよい C 1一 7ァシルである。 その具体例としては、 例えば、 ホ ルミル、 ァセチル、 クロロアセチル、 ジクロロアセチル、 トリクロロアセチル、 トリフロロァセチル、 プロピオニル、 プチリル、 4一トルオイル、 4ーァニソィ ル、 4一二トロべンゾィル、 2 _ニトロベンゾィルが挙げられる。
「C 1一 4アルコキシもしくはニトロ基により 1〜 3置換されていてもよい C 6— 2 0ァラルキル」 は、 好ましくは、 C 1—4アルコキシもしくはニトロ基に より 1〜3置換されていてもよい C 7— 1 9ァラルキルである。 その具体例とし ては、 ベンジル、 4ーメ トキシベンジル、 2—二トロベンジル、 4一二トロベン ジル、 ジフエニルメチル、 トリフエニルメチルが挙げられる。
「C 1—4アルコキシ、 ハロゲン原子もしくはトリ C 1一 4アルキルシリルに より 1〜 3置換されていてもよい C 1一 6アルキルォキシカルボニル」 の例とし ては、 メトキシカルボニル、 エトキシカルボニル、 t—ブトキシカルボニル、 2, 2 , 2—トリクロ口エトキシカルボニル、 2—トリメチルシリルエトキシカルボ ニルが挙げられる。
「C 1—4アルコキシもしくはニトロ基により置換されていてもよい C 6 - 2 0ァラルキルォキシカルボニル」 は、 好ましくは、 C 1— 4アルコキシもしくは ニトロ基により置換されていてもよい C 7 - 1 9ァラルキルォキシカルボニルで ある。 その具体例としては、 ベンジルォキシカルボニル、 4ーメトキシベンジル ォキシカルボニル、 3, 4—ジメトキシベンジルォキシカルボニル、 2—ニトロ ベンジルォキシカルボニル、 4—ニト口べンジルォキシカルボニルが挙げられる c
「C 2— 6アルケニルォキシカルボニル」 は、 好ましくは、 C 2— 5アルケニ ルォキシカルボニルである。 その具体例としては、 ビニルォキシカルボニル、 ァ リルォキシカルボニルが挙げられる。
「ハロゲン原子により置換されていてもよい C 1—4アルコキシによって 1〜 3置換されたメチル」 の例としては、 メトキシメチル、 t一ブトキシメチル、 2 ーメトキシエトキシメチル、 2, 2 , 2—トリクロ口エトキシメチルが挙げられ る。
「C 1—4アルコキシもしくはハロゲン原子により 1〜 3置換されたェチル」 の例としては、 1—エトキシェチル、 1—メチルー 1ーメトキシェチル、 2 , 2 :
2—トリクロロェチルが挙げられる。
「トリ C 1ー 4アルキルシリル」 の例としては、 トリメチルシリル、 トリェチ ルシリル、 ジメチルイソプロビルシリル、 tーブチルジメチルシリル、 トリイソ プロビルシリルが挙げられる。
「ジフエ二ルー C 1—4アルキルシリル」 の例としては、 ジフエニルメチルシ リル、 ジフエニルェチルシリルが挙げられる。
より好ましくは、 R 1は、 トリ C 1一 4アルキルシリルであり、 さらに好まし くは、 R 1は、 t—プチルジメチルシリルである。
式(IV)ヽ 式(V )ヽ 式(VI )、 式 (VII )ヽ 式 ( IX), および式 (XI )において、 R 2は 生体内で分解されて容易に除去されうる基を表す。 ここで、 「生体内で分解され て容易に除去されうる基」 とは、 プロドラッグ化合物またはその前駆化合物にお いてプロモエティ部位に相当する基を意味する。 この基を有する化合物が生体内 に取り込まれると、 生体内の酵素もしくは生体内化学反応により、 この基が容易 に分解され除去されて、 前記化合物は優れた抗菌活性を有する化合物に変化する ことができる。 本発明においては、 「生体内で分解されて容易に除去されうる 基」 はさらに、 後述する式(IV)の化合物から式(XI )の化合物までの過程において、 保護基として作用できるものである。
本発明において、 「生体内で分解されて容易に除去されうる基」 は、 当該技術 分野において公知のプロモエティ部位または保護基の群から本発明において好適 なものを適宜選択することができる。
好ましくは、 R 2は、
C 1 - 8アルキルカルボニルォキシ C 1 - 4アルキル;
C 1 - 6アルキルォキシカルボニルォキシ C 1 - 4アルキル;および
5—メチル一 1 , 3—ジォキソレン一 2—オン一 4ーィルメチル
からなる群より選択される。
ここで、 「C 1一 8アルキルカルボニルォキシ C 1—4アルキル」 は、 好まし くは、 C 1— 7アルキルカルボニルォキシ C 1一 3アルキルである。 その具体例 としては、 バレリルォキシメチル、 ビバロイルォキシメチル、 1一 (ビバロイル ォキシ) ェチル、 イソブチリルォキシメチル、 プチリルォキシメチル、 プロピオ
ニルォキシメチル、 ァセチルォキシメチル、 シクロへキシルカルボニルォキシメ チル、 1— (ァセチルォキシ) ェチル、 へキサノィルォキシメチル、 1— ( 1一 メチルシクロへキシルカルボニルォキシ) ェチル、 1ーメチルシクロへキシルカ ルポニルォキシメチルが挙げられる。
「C 1— 6アルキルォキシカルボニルォキシ C 1一 4アルキル」 は、 好ましく は、 C 1— 6アルキルォキシカルボニルォキシ C 1一 3アルキルである。 その具 体例としては、 1— (イソプロピルォキシカルボニルォキシ) ェチル、 1 - ( 3 —ペンチルォキシカルボニルォキシ) ェチル、 1— (シクロへキシルォキシカル ボニルォキシ) ェチル、 1一 (シクロへキシルメチルォキシカルボニルォキシ) ェチル、 シクロへキシルォキシカルボニルォキシメチルが挙げられる。
より好ましくは、, R 2は、 ビバロイルォキシメチル、 1— (イソプロピルォキ シカルボニルォキシ) ェチル、 シクロへキシルォキシカルボニルォキシェチル、 および 1— (ァセチルォキシ) ェチルからなる群より選択される。 さらに好まし くは、 R 2は、 ビバロイルォキシメチルである。
本発明の好ましい態様によれば、 R 2はビバロイルォキシメチル基であり、 か つ、 R 1は t—ブチルジメチルシリルである。
式 (VIII )、 および式(IX)において、 R 3は、
C 1一 4ァシル;
ハロゲン原子により 1〜3置換されていてもよい C 1 _ 4アルキルスルホ二 ル;
ニトロ、 ハロゲン原子、 もしくは C 1—4アルキルにより 1〜3置換されて いてもよい C 6— 1 0ァリ一ルスルホニル;
C 1一 4アルキル、 C 1—4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニト 口、 フエニル、 ジ C 1一 4アルキルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 も しくはジ C 1—4アルキル—スルファモイルにより置換されていてもよい、 C 1 ― 8アルキルォキシカルボニル;
C 1— 4アルキル、 C 1— 4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニト 口、 フエニル、 ジ C 1— 4アルキルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 も しくはジ C 1— 4アルキル一スルファモイルにより置換されていてもよい、 C 6
― 1 0ァリールォキシカルボニル; または
C 1—4アルキルもしくはフエニルにより置換されていてもよいホスホリル を表す。 これらの基は、 有機カルボン酸、 有機スルホン酸、 有機炭酸、 または有 機リン酸から一 O H基を除くことによって得ることができる。
この R 3において 「C 1—4ァシル」 の例としては、 ァセチル、 プロピオニル、 プチリル基が挙げられる。
「ハロゲン原子により 1〜3置換されていてもよい C 1—4アルキルスルホ二 ル」 の例としては、 メタンスルホニル、 トリフルォロメ夕ンスルホニルが挙げら れる。
「ニトロ、 ハロゲン原子、 もしくは C 1—4アルキルにより 1〜3置換されて いてもよい C 6— 1 0ァリ一ルスルホニル」 の例としては、 ベンセンスルホニル、 —二ト口ベンゼンスルホニル、 トルエンスルホニル、 p—ブロモベンゼンスル ホニルが挙げられる。
「C 1—4アルキル、 C 1—4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニト 口、 フエニル、 ジ C 1— 4アルキルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 も しくはジ C 1一 4アルキル一スルファモイルにより置換されていてもよい、 C 1 _ 8アルキルォキシカルボニル」 は、 好ましくは、 直鎖状もしくは分岐鎖状の C 1一 4アルキル、 直鎖状もしくは分岐鎖状の C 1—4アルコキシ、 フヱノキシ、 ハロゲン原子、 ニトロ、 フエニル、 ジメチルァミノ、 ジェチルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 またはジメチルスルファモイルにより置換されていても よい C 1一 8アルキルォキシカルボニルである。
「C 1—4アルキル、 C 1—4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニト 口、 フエニル、 ジ C 1一 4アルキルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 も しくはジ C 1一 4アルキル一スルファモイルにより置換されていてもよい、 C 6 一 1 0ァリールォキシカルボニル」 は、 好ましくは、 直鎖状もしくは分岐鎖状の C 1—4アルキル、 直鎖状もしくは分岐鎖状の C 1一 4アルコキシ、 フエノキシ、 ハロゲン原子、 ニトロ、 フエニル、 ジメチルァミノ、 ジェチルァミノ、 シァノ、 ァセチル、 ベンゾィル、 またはジメチルスルファモイルにより置換されていても よいフエニルォキシカルボニルである。
「C 1—4アルキルもしくはフエニルにより置換されていてもよいホスホリル 基」 の例としては、 ジメチルホスホリル、 ジェチルホスホリル、 ジフエニルホス ホリルが挙げられる。
好ましくは、 R 3は、
C 1一 4ァシル;
ハロゲン原子により 1〜 3置換されていてもよい C 1—4アルキルスルホ二 ル;
ニトロ、 ハロゲン原子、 もしくは C 1一 4アルキルにより 1〜3置換されて いてもよい C 6一 1 0ァリールスルホニル;または
フェニルにより置換されていてもよいホスホリル
を表す。 より好ましくは、 R 3は、 ジフエニルホスホリルである。
本発明の好ましい態様によれば、 R 2はビバロイルォキシメチル基であり、 か つ、 R 3はジフヱニルホスホリルである。
R 4は、 1 _ ( 1, 3—チアゾリン一 2—ィル) ァゼチジン一 3—ィル (下記 式(a)) 、 またはピロリジン一 2—オン— 4—ィル (下記式 (b)) を表す。
好ましくは、 R 4は、 1— ( 1, 3 _チアゾリン一 2—ィル) ァゼチジン一 3 —ィルである。
本発明の特に好ましい態様によれば、 R 1は t—プチルジメチルシリルであり. R 2はビバロイルォキシメチル基であり、 R 3はジフエニルホスホリルであり、 か つ R 4は、 1— ( 1, 3一チアゾリン— 2—ィル) ァゼチジン一 3—ィルである 本発明による式 (XI )の化合物の製造方法は、 下記スキーム 3のように示すこと ができる。
スキーム 3
[式中、 R R2 R3、 および R4は、 前記定義のとおりである] 。
工程(1 )および工程 (2): 式(IV)の化合物の製造
本発明によれば、 式(IV)の化合物は、 式(I I )の化合物と、 式(I I I )の化合物と を反応させることにより製造することができる。 またこのとき使用される式( II ) の化合物は、 式( I )の化合物またはその塩を、 イミダゾリ ド化反応させることに よって製造することができる。
式( I )の化合物は通常、 前記した化合物 Dの形で工業的または商業的に入手可 能である。 使用する場合、 式( I )の化合物は、 その塩の形態であってもよい。 こ こで、 「その塩」 とは、 その化合物の薬学上許容される塩を意味する。 このよう な塩の好ましい例としては、 塩酸塩、 臭化水素酸塩、 ヨウ化水素酸塩のようなハ ロゲン化水素酸塩、 硝酸塩、 過塩素酸塩、 硫酸塩、 リン酸塩などの無機酸塩、 メ 夕ンスルホン酸塩、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸塩、 エタンスルホン酸塩のよ うな低級アルキルスルホン酸塩、 ベンゼンスルホン酸塩、 p—トルエンスルホン 酸塩のようなァリ一ルスルホン酸塩、 フマール酸塩、 コハク酸塩、 クェン酸塩、 酒石酸塩、 シユウ酸塩、 マレイン酸塩などの有機酸塩およびグルタミン酸塩、 ァ スパラギン酸塩のようなァミノ酸塩などが挙げられる。 さらに本発明においては、 化合物の塩が許容される場合、 化合物は溶媒和物とすることができる。 このよう な溶媒和物としては、 水和物、 アルコール和物 (例えば、 メタノール和物、 エタ ノール和物) 、 およびエーテル和物 (例えば、 ジェチルエーテル和物) が挙げら れる。
式( I )の化合物またはその塩をィミダゾリ ド化反応させることによって、 式(I I )の化合物を製造することができる。 ここで、 イミダゾリ ド化反応は、 下記工程 (卜 i)または工程(1-ii )に従って実施することができる :
( 1 - i ) 式( I )の化合物またはその塩と、 N , N—カルポジイミダゾ一ルと を反応させる。 この反応は、 好ましくは、 有機溶媒中において行われる。 ここで 前記有機溶媒としては、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロへキサンのような 炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 1, 2—ジメトキシェタン のようなェ一テル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1 , 2—ジクロ口エタ ンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸ブチルのようなエステル系溶媒;および、 N, N—ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、 ァセトニトリルのような高極性非プロトン性溶媒が挙げ られる。 好ましくは、 該有機溶媒は、 テトラヒドロフラン、 ァセトニトリル、 塩 化メチレン、 または、 酢酸ェチルである。
(1-ii) 式( I )の化合物またはその塩と、 ハロゲン化炭酸エステル (好まし くはクロ口炭酸ェチル) およびイミダゾ一ルとを塩基 (好ましくはトリエチルァ ミン) の存在下において反応させる。 この反応は、 好ましくは、 塩化メチレン溶 媒中、 クロ口炭酸ェチルおよびトリエチルァミン存在下において行われる。
なお、 式(Π)の化合物は、 特開平 6— 321946号、 または Heterocycles 2 9〜40, 21, (1984)に記載されている方法にしたがって製造して得てもよい。
次に、 式(II)の化合物と、 式(III)の化合物とを反応させ、 縮合させることに よって、 式(IV)の化合物を得ることができる。 なお、 この工程で使用される式(I II)の化合物の R2は、 力ルバぺネム薬である化合物 Aにおけるプロドラヅグのプ ロモエティ部位に相当するものであり、 本工程にて導入される。
式(III)で表されるマグネシウムマロネート化合物は、 下記式(ΙΙΓ )で表され るマロン酸モノエステルを、 有機溶媒中においてマグネシゥム塩と反応させるこ とにより誘導することができる。
R2OCOCH2COOH (111,)
[式中、 R2は前記定義のとおりである] 。
前記式(ΙΙΓ )の化合物を用いて得られた反応液から、 式(III)の化合物を単離 することなく、 ここに、 式(II)の化合物を添加することによって、 式(Π)の化合 物と式(III)の化合物との反応を実施する。
ここで、 使用可能なマグネシウム塩としては、 例えば、 塩化マグネシウム、 臭 化マグネシウム、 ヨウ化マグネシウム、 フッ化マグネシウムのようなハロゲン化 マグネシウム;臭化マグネシム ·ジェチルエーテル錯体のようなハロゲン化マグ ネシゥムのエーテル系有機化合物による錯体;および、 マグネシウムエトキシド、 マグネシウムメトキシドのようなマグネシウムの低級アルコキシ化合物 (例えば、
C 1—4アルコキシ化合物) が挙げられる。 好ましくは、 マグネシウム塩は、 塩 化マグネシウム、 または、 臭化マグネシウム ·ジェチルエーテル錯体であり、 さ らに好ましくは、 マグネシウム塩は、 塩化マグネシウムである。
式(III)の化合物の製造過程において、 使用可能な有機溶媒としては、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロへキサンのような炭化水素系溶媒;テトラヒドロフ ラン、 ジォキサン、 1, 2—ジメトキシェタンのようなェ一テル系溶媒;塩化メ チレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェ夕ンのようなハロゲン化炭化水素系 溶媒;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチルのようなエステル系 溶媒;および、 N, N—ジメチルホルムアミド、 ジメチルスルホキシド、 ァセト 二トリルのような高極性非プロトン性溶媒が挙げられる。 好ましくは、 該有機溶 媒は、 テトラヒドロフラン、 ァセトニトリル、 塩化メチレン、 または、 酢酸ェチ ルである。
この有機溶媒は、 式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応においてもその まま使用することができる。
式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応は、 塩基の存在下に実施すること が好ましい。
このとき使用可能な塩基としては、 例えば、 トリメチルァミン、 トリェチルァ ミン、 N, N—ジイソプロピルェチルァミン、 トリプチルァミン、 トリオクチル ァミン、 トリアリルアミン、 ジメチルベンジルァミン、 テトラメチル一 1, 3— ジァミノプロパン、 N—メチルモルホリン、 N—メチルピロリジン、 N—メチル ピペリジン、 1, 8—ジァザビシクロ [5 , 4, 0] ゥンデ力一 7—ェン (DB U)、 1, 5—ジァザビシクロ [4, 3, 0] ノナー 5—ェン (DBN) のよう な第三級脂肪族ァミン;および、 ピリジン、 4—ジメチルァミノピリジン、 N, N—ジメチルァニリン、 ピコリン、 コリジン、 ルチジン、 キノリン、 イソキノリ ン等の含窒素複素環化合物が挙げられる。 好ましくは、 該塩基は、 トリ C 1— 4 アルキルァミンであり、 より好ましくは、 トリェチルァミンである。
式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応は、 水分によって悪影響を受ける ことがあるため、 空気中の水分が混入しないように、 例えば、 窒素ガス、 ァルゴ ンガスのような不活性ガス雰囲気下において実施することが好ましい。
式(Π)の化合物と式(III)の化合物との反応において、 式(ΙΠの化合物および 式(ΠΙ)の化合物の使用量は、 式(II)の化合物に対して式(III)の化合物が 1〜5 倍モルであり、 好ましくは 1〜3倍モルである。
塩基の使用量は、 式(Π )の化合物に対して塩基が 1〜5倍モルであり、 好まし くは 1〜3倍モルである。
有機溶媒の使用量は、 式(II )の化合物の重量に対して溶媒が 5 0〜1 0 0 0倍 量であり、 好ましくは 1 0 0〜5 0 0倍量である。 マグネシウム塩の使用量は、 式(ΙΠ';)の化合物に対して 1〜 5倍モル、 好ましくは 1〜 3倍モルである。
この工程の反応温度は、 通常 0〜 1◦ 0 °Cであり、 好ましくは 1 5〜 6 0 °Cで ある。 反応時間は、 通常 1〜1 0 0時間であり、 好ましくは 2〜 5 0時間である。 この反応により得られる式(IV)の化合物は、 この反応により得られる反応混合 物の状態のまま、 次工程に使用してもよいが、 抽出、 濃縮、 およびクロマトグラ フィ一などような通常の操作によって、 反応混合物から単離して精製したものを 得、 これを次工程に使用してもよい。 工程(3): 式(V )の化合物の製造
本発明によれば、 式(V )の化合物は、 式(IV)の化合物と、 アジド化合物とを反 応させることにより製造することができる。
ここで使用可能なアジド化合物としては、 例えば、 トルエンスルホニルアジド、 ドデシルベンゼンスルホニゥムアジド、 p—カルボキシベンゼンスルホニルアジ ド、 メタンスルホニルアジドのようなスルホニルアジド類が挙げられる。 爆発性 の少ないことから、 アジド化合物は、 好ましくは、 ドデシルベンゼンスルホニル アジドである'。
この工程は、 通常、 有機反応溶媒中において実施される。
使用可能な有機反応溶媒としては、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロへキ サンのような炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 1, 2—ジメ トキシェタンのようなエーテル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1 , 2— ジクロロェタンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸ブチルのようなエステル系溶媒;および、 N , N—ジメチル ホルムアミド、 ジメチルスルホキシド、 ァセトニトリルのような高極性非プロト ン性溶媒が挙げられる。 好ましくは、 該有機反応溶媒は、 テトラヒドロフラン、 ァセトニトリル、 塩化メチレン、 または、 酢酸ェチルである。
この反応は塩基存在下において実施することが好ましい。
使用可能な塩基としては、 例えば、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 N, N—ジイソプロピルェチルァミン、 トリプチルァミン、 トリオクチルァミン、 ト リアリルァミン、 ジメチルベンジルァミン、 テトラメチルー 1, 3—ジアミノブ 口パン、 N—メチルモルホリン、 N—メチルピロリジン、 N—メチルビペリジン、 1, 8—ジァザビシクロ [5, 4, 0] ゥンデ力一 7—ェン (DBU)、 1, 5 —ジァザビシクロ [4, 3, 0] ノナ一 5—ェン (DBN) のような第三級脂肪 族ァミン;および、 ピリジン、 4—ジメチルァミノピリジン、 N, N—ジメチル ァニリン、 ピコリン、 ルチジン、 キノリン、 イソキノリンのような含窒素複素璟 化合物が挙げられる。 好ましくは、 該塩基は、 トリ C 1—4アルキルァミンであ り、 より好ましくは、 トリェチルァミン、 または、 N, N—ジイソプロピルェチ ルァミンである。
また塩基は、 式(IV)の化合物とアジド化合物とを混合した後に加えることが好 ましい。
この工程において、 アジド化合物の使用量は、 式(IV)の化合物に対して 1~5 倍モルであり、 好ましくは 1〜2倍モルである。 塩基の使用量は、 式(IV)の化合 物に対して 0. 1〜2倍モルであり、 好ましくは 0. 2〜1倍モルである。 有機 反応溶媒の使用量は、 式(IV)の化合物の重量に対して 1〜 100倍量であり、 好 ましくは 2〜50倍量である。
この工程の反応温度は、 通常 0〜 100 °Cであり、 好ましくは 15 ~ 60 °Cで ある。 反応時間は、 通常 0. 5〜24時間であり、 好ましくは 1〜10時間であ る。
この反応により得られる式( V )の化合物は、 この反応により得られる反応混合 物の状態のまま、 次工程に使用してもよいが、 抽出、 濃縮、 およびクロマトグラ フィ一などような通常の操作によって、 反応混合物から単離して精製したものを 得、 これを次工程に使用してもよい。
工程 (4): 式 (VI )の化合物の製造
本発明によれば、 式 (VI )の化合物は、 式(V )の化合物と、 酸とを反応させるこ とにより製造することができる。 この反応により、 式(V )中の水酸基の保護基で ある R 1を脱離させて、 式(V )の化合物を脱保護する。
ここで使用可能な酸としては、 例えば、 塩酸、 臭化水素酸、 フッ化水素酸、 硫 酸、 リン酸のような無機酸;および、 酢酸、 ベンゼンスルホン酸、 p—トルエン スルホン酸のような有機酸が挙げられる。 好ましくは、 該酸としては、 塩酸、 臭 化水素酸、 またはフッ化水素酸が使用される。
この工程は、 通常、 水と有機溶媒とからなる混合溶媒中において実施される。 このような混合溶媒としては、 例えば、 水とメタノール、 エタノールのような 低級アルコールとからなる含水低級アルコール系溶媒;水とテトラヒドロフラン、 ジォキサンのようなエーテル系溶媒とからなる混合溶媒;および、 水とァセトン、 メチルェチルケトンのようなケトン類とからなる混合溶媒が挙げられる。 好まし くは、 該混合溶媒は、 メタノール一水からなる混合溶媒である。
本発明の好ましい態様によれば、 式(V )の化合物を溶解するための追加の溶媒 を添加してもよい。 このような追加の溶媒を使用することにより、 この工程の反 応をより円滑に行わせることができる。
このような追加の溶媒としては、 例えば、 塩化メチレン、 クロ口ホルムのよう なハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、 メチルェチルケトンのような低級ケト ン系溶媒;および、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 ジ;^チルスルホキシド、 ァ セトニトリルのような高極性非プロトン性溶媒等が挙げあれる。 好ましくは、 追 加の溶媒は、 ハロゲン化炭化水素系溶媒であり、 より好ましくは、 塩化メチレン である。
したがって、 本発明の 1つのより好ましい態様によれば、 この工程は、 塩化メ チレン—メタノール一水の 3成分混合溶媒中において実施される。
この工程において、 酸の使用量は、 式(V )の化合物に対して 0 . 5〜1 0倍モ ルであり、 好ましくは 1〜5倍モルである。
溶媒の使用量は、 式(V )の化合物の重量に対して 1〜1 0 0倍量であり、 好ま しくは 5〜5 0倍量である。 例えば、 前述した塩化メチレン一メタノール一水に
塩酸を添加する 4成分系においては、 塩酸とメタノ一ルー水の混合溶媒との割合 は、 塩酸の容量に対して該混合溶媒が 1~100倍であり、 好ましくは 5〜50 倍である。 また、 溶媒 (例えばメタノール) と水との混合比率 (容量比) は、 1
: 0. 01〜1 : 100であり、 好ましくは 1 : 0. 05~1 : 1である。 さら に、 塩化メチレンとメタノール一水一塩酸の混合溶媒との混合割合 (容量比) は、
1 : 0. 01〜 1 : 10であり、 好ましくは式(V)の化合物が溶解した後に 2層 に分液しない範囲である 1 : 0. 05〜1 : 0. 5である。
この工程の反応温度は、 通常 0〜 100°Cであり、 好ましくは 0〜40°Cであ る。 反応時間は、 通常 0. 5〜20時間であり、 好ましくは 1〜10時間である c この反応により得られる式(VI)の化合物は、 この反応により得られる反応混合 物の状態のまま、 次工程に使用してもよいが、 抽出、 濃縮、 クロマトグラフィー、 結晶化などような通常の操作によって、 反応混合物から単離して精製したものを 得、 これを次工程に使用してもよい。 工程 (5): 式 (VII)の化合物の製造
本発明によれば、 式(VII)の化合物は、 式(VI)の化合物を閉環反応させること により製造することができる。
この工程は、 通常、 反応を促進させるために、 金属触媒の存在下に実施される このような金属触媒としては、 例えば、 酢酸ロジウム、 ロジウムォクタエ一ト、 酢酸パラジウム、 硫酸銅、 ビス (ァセチルァセトナート) 銅が挙げられる。 好ま しくは、 該金属触媒は、 ロジウムォクタエ一トである。
この工程における金属触媒の使用量は、 式 (VI)の化合物に対して触媒が 0. 0 5〜5%モルであり、 好ましくは 0. 1〜 3%モルである。
この工程は、 通常、 有機溶媒中において実施される。
このような有機溶媒としては、 例えば、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロ へキサンのような炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 1, 2— ジメトキシェタンのようなエーテル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェタンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;および、 N, N—ジメ チルホルムアミド、 ジメチルスルホキシド、 ァセトニトリルのような高極性非プ
口トン性溶媒が挙げられる。 好ましくは、 該有機溶媒は、 ハロゲン化炭化水素系 溶媒であり、 より好ましくは、 塩化メチレンである。
有機溶媒の使用量は、 式 (VI )の化合物の重量に対して溶媒が 1〜 1 0 0倍量で あり、 好ましくは 5〜5 0倍量である。
この工程の反応温度は、 通常 1 0〜 1 0 0 °Cであり、 好ましくは 3 0〜8 0 °C である。 反応時間は、 通常 0 . 5〜2 0時間であり、 好ましくは 1〜5時間であ る。
この反応は、 水分によって悪影響を受けることがあるため、 空気中の水分が混 入しないように、 例えば、 窒素ガス、 アルゴンガスのような不活性ガス雰囲気下 において実施することが好ましい。
この反応により得られる式(VI I )の化合物は、 この反応により得られる反応混 合物の状態のまま、 次工程に使用してもよいが、 抽出、 濃縮、 およびクロマトグ ラフィ一などような通常の操作によって、 反応混合物から単離して精製したもの を得、 これを次工程に使用してもよい。 工程 (6): 式(IX)の化合物の製造
本発明によれば、 式(IX)の化合物は、 式(VI I )の化合物と、 下記式(VIII )で表 される有機酸またはリン酸の反応性誘導体とを反応させることにより製造するこ とができる。
R 3 O H (VI II )
[式中、 R 3は前記定義のとおりである] 。
式(VI II )の有機酸またはリン酸の反応性誘導体の具体例としては、 ァセチルク 口リド、 プロピオニルクロリド、 p—トルエンスルホニルクロリ ド、 p—ブロモ ベンゼンスルホニルクロリ ド、 ジフエニルクロロホスフェート、 クロ口炭酸ェチ ル、 クロ口炭酸イソプロピル、 ブロモ炭酸ェチル、 無水酢酸、 メタンスルホン酸 無水物、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸無水物、 p—トルエンスルホン酸無水物、 p—ニトロベンゼンスルホン酸無水物が挙げられる。 好ましくは、 式 (VIII )の化 合物は、 ジフエニルクロロホスフェートである。
この工程は、 通常、 反応溶媒中において実施される。
このような反応溶媒としては、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロへキサン のような炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 1, 2—ジメトキ シェタンのようなエーテル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジク ロロェタンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;および、 N, N—ジメチルホル ムアミ ド、 ジメチルスルホキシド、 ァセトニトリルのような高極性非プロトン性 溶媒が挙げられる。 好ましくは、 該反応溶媒は、 ハロゲン化炭化水素系溶媒であ り、 より好ましくは、 塩化メチレンである。
この反応は、 塩基存在下において実施することが好ましい。
このような塩基としては、 例えば、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 N, N—ジイソプロピルェチルァミン、 トリプチルアミン、 トリオクチルァミン、 ト リアリルァミン、 ジメチルベンジルァミン、 テトラメチル一 1, 3—ジアミノブ 口パン、 N—メチルモルホリン、 N—メチルピロリジン、 N—メチルビペリジン、 1, 8—ジァザビシクロ [5, 4, 0] ゥンデカー 7—ェン (DBU)ヽ 1, 5 —ジァザビシクロ [4, 3, 0] ノナ一 5—ェン (DBN) のような第三級脂肪 族ァミン;および、 ピリジン、 4—ジメチルァミノピリジン、 N, N—ジメチル ァニリン、 ピコリン、 ルチジン、 キノリン、 イソキノリンのような含窒素複素環 化合物が挙げられる。 好ましくは、 該塩基は、 トリ C 1—4アルキルァミンであ り、 より好ましくは、 トリェチルァミン、 または、 N, N—ジイソプロピルェチ ルアミンである。
この工程において、 式(VIII)の反応性誘導体の使用量は、 式(VII)の化合物に 対して 1〜5倍モルであり、 好ましくは 1〜3倍モルである。 塩基の使用量は、 式(VII )の化合物に対して 1〜 5倍モルであり、 好ましくは 1〜3倍モルである c 反応溶媒の使用量は、 式 (VII)の化合物に対して 5 ~200倍量であり、 好まし くは 10〜: L 00倍量である。
この工程の反応温度は、 通常— 70〜40°C、 好ましくは一 40〜10°Cであ る。 反応時間は、 通常 10分〜 10時間であり、 好ましくは 0. 5〜3時間であ る o
この反応は、 水分によって悪影響を受けることがあるため、 空気中の水分が混 入しないように、 例えば、 窒素ガス、 アルゴンガスのような不活性ガス雰囲気下
において実施することが好ましい。
この反応により得られる式(IX)の化合物は、 この反応により得られる反応混合 物の状態のまま、 次工程に使用してもよいが、 抽出、 濃縮、 およびクロマトグラ フィ一などような通常の操作によって、 反応混合物から単離して精製したものを 得、 これを次工程に使用してもよい。 工程(7): 式 (XI)の化合物の製造
本発明によれば、 目的とする式(XI)の化合物は、 式(IX)の化合物と、 下記式 (X)の化合物とを反応させることにより製造することができる。
HS-R4 (X)
[式中、 R4は、 前記定義のとおりである] 。
式(X)の化合物は、 具体的には、 1— (1, 3—チアゾリンー 2—ィル) ァゼ チジン一 3—チオール、 または、 ピロリジン一 2—オン一 4—チオールである。 好ましくは、 式(X)の化合物は、 1— (1, 3—チアゾリン— 2—ィル) ァゼチ ジン一 3—チオールである。
この工程は、 通常、 溶媒中において実施される。
このような溶媒としては、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロへキサンのよ うな炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 1, 2—ジメトキシェ タンのようなエーテル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロ口 ェ夕ンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;および、 N, N—ジメチルホルムァ ミド、 ジメチルスルホキシド、 ァセトニトリルのような高極性非プロトン性溶媒 が挙げられる。 好ましくは、 該溶媒は、 ァセトニトリルである。
この反応は、 塩基存在下において実施することが好ましい。
このような塩基としては、 例えば、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 N, N—ジイソプロピルェチルァミン、 トリプチルァミン、 トリオクチルァミン、 ト リアリルァミン、 ジメチルベンジルァミン、 テトラメチル一 1, 3—ジアミノプ 口パン、 N—メチルモルホリン、 N—メチルピロリジン、 N—メチルビペリジン、 1, 8—ジァザビシクロ [5, 4, 0] ゥンデ力一 7—ェン (DBU)、 1, 5 —ジァザビシクロ [4, 3, 0] ノナ— 5—ェン (DBN) のような第三級脂肪
族ァミン;および、 ピリジン、 4—ジメチルァミノピリジン、 N , N—ジメチル ァニリン、 ピコリン、 ルチジン、 キノリン、 イソキノリンのような含窒素複素環 化合物が挙げられる。 好ましくは、 該塩基は、 トリ C 1 - 4アルキルァミンであ り、 より好ましくは、 トリェチルァミン、 または、 N, N—ジイソプロピルェチ ルァミンである。 '
この工程において、 式(X )の化合物の使用量は、 式(IX)の化合物に対して 1〜 5倍モルであり、 好ましくは 1〜3倍モルである。 塩基の使用量は、 式(IX)の化 合物に対して 1〜6倍モルであり、 好ましくは 2〜4倍モルである。 溶媒の使用 量は、 式(IX)の化合物に対して 5〜2 0 0倍量であり、 好ましくは 1 0〜1 0 0 倍量である。
この工程の反応温度は、 通常— 4 0〜6 0 °C、 好ましくは一 2 0 ~ 2 0 °Cであ る。 反応時間は、 通常 1 0分〜 1 0時間であり、 好ましくは 2〜 5時間である。 この反応は、 水分によって悪影響を受けることがあるため、 空気中の水分が混 入しないように、 例えば、 窒素ガス、 アルゴンガスのような不活性ガス雰囲気下 において実施することが好ましい。
この反応により得られる式(XI )の化合物は、 抽出、 濃縮、 およびクロマトグラ フィ一などような通常の操作によって、 反応混合物から単離して精製することが できる。 本発明による製造方法の具体例の 1つとして、 下記スキーム 4を示すことがで きる :
スキーム 4 :
[式中、 TB Sは t—プチルジメチルシリル基を表し、 Phはフエ二ル基を表
す] 。 本発明の別の態様によれば、 式 (X の化合物の製造における合成中間体として の、 式(IV)の化合物の使用が提供される。 本発明のさらに別の態様によれば、 プ 口ドラッグ型の経口用抗菌剤の製造における合成中間体としての、 式(IV)の化合 物の使用が提供される。 式 (XI)の化合物の用途
本発明による式(IV)の化合物を用いて得られる力ルバぺネム誘導体 (式 (XI)の 化合物) が、 力ルバぺネム系化合物のプロドラッグとしての機能を有し、 プロド ラッグのプロモエティ部位が除去された化合物が、 生体内おいて優れた抗菌活性 を有することは、 日本国特許第 2, 666, 118号公報に開示されている。 また、 化合物 Bについては、 THE JOURNAL OF ANTIBIOTICS, 1997, Vol.50, pp429-439 に開示されている。 また、 この化合物をプロドラッグ型の経口用抗菌剤として使 用すること、 および、 この化合物を用いた医薬組成物の製造については、 これら の公報を参照することにより、 当業者に明かであろう。
[実 施 例]
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、 本発明はこれらに限定 されるものではない。 参考例 1 : マロン酸モノビバロイルォキシメチルエステル
アルゴン雰囲気下において、 マロン酸モノべンジルエステル 66. 2 g ( 0. 34mo 1) のァセトニトリル (600mL) 溶液に、 0°Cでジイソプロピルェ チルァミン 69 mL (0. 41 mo 1) を滴下し、 次いで、 ビバリン酸ョードメ チルエステル 86. 7 g (0. 36 mo 1) を滴下して、 1. 5時間撹拌した。 得られた反応混合物を、 酢酸ェチル (2000mL) によって希釈し、 これを、 水、 10%チォ硫酸ナトリウム水溶液、 飽和重曹水、 および 5%食塩水を順次用 いて洗浄した。 その後、 得られた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、 溶媒を
減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (へキサン一酢酸ェ チル = 2 0 : : 1 ) で精製し、 得られた油状物を酢酸ェチル ( 6 00 m L) に溶解し、 ここに触媒として、 5% パラジウム一活性炭 (5 0%含水) 6. 6 gを加えた。 これを、 水素雰囲気下、 室温において 18時間激しく撹拌した。 触媒をろ過により除去した後、 母液を減圧下留去して、 標題化合物 67. マ gを 淡黄色油状物として得た (収率 84%) 。
XH NMR (ppm, 400MH z , CD C 13) : 6. 9 9 (b r . s , 1 H) , 5. 78 (s, 2 H) , 3. 46 (s, 2 H) , 1. 1 9 (s, 9H) . 例 1— 1 : (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1— (t—プチルジメチルシリルォキ シ)ェチル]一 4一「(R)— 1—メチルー 3—ビバロイルォキシメチルォキシカル ボニルー 2—ォキソプロピル]ァゼチジン— 2—オン
アルゴン雰囲気下において、 (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1— ( t—ブチルジ メチルシリルォキシ)ェチル]一 4— [(R)— 1—カルボキシェチル]ァゼチジン一 2—オン 3. 0 1 ( 1 0. 0 mmo 1) のテトラヒドロフラン (30mL) 溶液に、 室温において、 1, 1, 一カルボニルジイミダゾ一ル 1. 6 3 g ( 1 0. lmmo l ) を加えて、 1時間攪拌し、 (3 S, 4 S) - 3 -[(R)- 1 - ( t―プチルジメチルシリルォキシ)ェチル]— 4一 [(R)— 2—イミ夕"ゾールー 1 一ィル一 1ーメチルー 2—ォキソェチル]ァゼチジン一 2一オンを含む溶液を調 製した。
別途、 アルゴン雰囲気下において、 マロン酸モノビバロイルォキシメチルエス テル 4. 03 g ( 18. 5 mmo 1) のテトラヒドロフラン (30 mL) 溶液に、 室温において、 臭化マグネシウムジェチルェ一テル錯体 4. 3 9 g ( 1 7. Om mo 1) を加えて、 同温度で 30分間攪拌した。 その後、 得られた溶液を、 氷冷 し、 トリェチルァミン 2. 8mL (20. lmmo l) を滴下して、 室温に昇温 した後、 1時間攪拌して、 マロン酸モノビバロイルォキシメチルエステルのマグ ネシゥム塩を含む懸濁液を調製した。
この懸濁液を先に調製した (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1— (t—プチルジメ チルシリルォキシ)ェチル 1一 4 _[(R)— 2—ィミダゾ一ル— 1ーィルー 1—メ
チル一 2—ォキソェチル]ァゼチジン一 2—オンを含む溶液に、 室温下において 加えて、 3時間攪拌した。 得られた反応混合物を、 酢酸ェチル (240mL) と 0. 5M塩酸 (40mL) の混合液に注ぎ、 攪拌後分液した。 有機層を水、 飽和 重曹水、 および飽和食塩水を順次用いて洗浄した後、 無水硫酸- 燥し、 溶媒を減圧留去した。 得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
― (へキサン—酢酸ェチル =3 : 2 v/v) により精製して、 標題化合物 3. 6
4 gを淡黄色油状物として得た (収率 80%) 。
XH NMR (ppm, 400MH z, CD C 13) : 1 1. 7 9 (s , 0. 3 H) , 6. 2 6 (b r, 0. 3 H) , 6. 2 0 (b r, 0. 7 H) , 5. 7 7 (s, 0. 6 H) , 5. 72 (AB q, J = 7. 8 Hz, 1. 4 H) , 5. 0
5 (s, 0. 3 H) , 4. 13 (m, 1 H) , 3. 88 (d d, J = 4. 9, 2 4 H z, 0. 7 H) , 3. 7 6 (d, J = 6. 6 H z , 0. 3 H) , 3. 5 3
(s, 1. 4 H) , 2. 9 1 (m, 0. 7 H) , 2. 87 (m, 1 H) , 2. 3 8 (m, J = 6. 8Hz, 0. 3 H) , 1. 0 6- 1. 2 1 (m, 15 H) , 0 82 (s, 9 H) , 0. 02 (s , 6 H) .
MS (FAB) m/z 458 (M + H) + 例 1— 2 :
マロン酸モノビバロイルォキシメチルエステル 4. 3 6 g (2 0. 0 mmo 1) の無水ァセトニトリル溶液に、 氷冷下、 無水塩化マグネシウム粉末 2. 86 g (3 0. Ommo l) を加え、 1 0分間撹拌した。 この懸濁液に、 氷冷下、 ト リエチルァミン 4. 2mL (30. 1 mmo 1 ) を 10分間かけて滴下し、 次い で、 氷浴を除去して、 この懸濁液を 1 5分間撹拌した。 この懸濁液に、 別容器で、 (3 S, 4 S) 一 3— [(R)— 1—(t—プチルジメチルシリルォキシ)ェチル]一 4—[(R)— 1—カルボキシェチル]ァゼチジン _ 2—オン 3. 02 g ( 10. 0 mmo 1 )、 N, N—カルボニルジイミダゾ一ル 1. 6 7 g ( 1 0. 3 mmo 1) 、 およびァセトニトリル ( 1 5mL) を用いて調製したィミダゾリ ド溶液を 加え、 3 0°Cに加温して 4. 5時間撹拌した。 得られた反応混合物を減圧濃縮し た後、 残渣に酢酸ェチル (8 OmL) を加え、 2 mo 1/L塩酸 (3 OmL x
2) 、 飽和重曹水 (30mLx2) 、 および飽和食塩水 (30mL) を順次用い て洗浄し、 (3 S, 4 S) —3— [(R)— 1—(t—プチルジメチルシリルォキ シ)ェチル ]— 4— [(R)— 1ーメチルー 3—ビバロイルォキシメチルォキシカル ボニル一 2—ォキソプロピル〗ァゼチジン一 2—オン 4. 07 g: (反応収率 89 %, ( (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1一(t一プチルジメチルシリルォキシ)ェ チル]— 4一 [(R)— 1—カルボキシェチル]ァゼチジン一 2—オンからの収 率) ) を含む酢酸ェチル溶液を得た。 例 2 : (3 S , 4 S) — 3— [(R)— 1— ( t—プチルジメチルシリルォキシ) ェチル ]— 4—「(R)— 1—メチル一 3—ジァゾー 3—ビバロイルォキシメチルォ キシカルボ二ルー 2—ォキソプロピル]—ァゼチジン一 2—オン
アルゴン雰囲気下において、 (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1— (t _プチルジ メチルシリルォキシ)ェチル]一 4— [(R)— 1—メチル— 3—ビバロイルォキシ メチルォキシカルボ二ルー 2一ォキソプロピル]—ァゼチジン一 2—オン 3. 34 g ( 7. 3 Ommo 1) を無水塩化メチレン 24 mLに溶解し、 室温にてド デシルベンゼンスルホニルアジド 3. 10 g (8. 82mmo 1) の塩化メチレ ン (8mL) 溶液をさらに添加した。 次いで、 ここに、 室温下においてトリェチ ルァミン◦ . 28mL (2. O lmmo l) を添加し、 得られた溶液を 4時間撹 拌した。 該溶液から、 塩化メチレンを減圧下留去し、 残渣をシリカゲルカラムク 口マトグラフィ一 (へキサン一酢酸ェチル二 3 : 1 v/v) により精製して、 標 題化合物 3. 52 gを淡黄色油状物として得た (収率 100%) 。
NMR (ppm, 400MHz, CD C 13) : 5. 83 (b r s , 1 H) , 5. 81 (s, 2H) , 4. 13 (d q, J= 6. 3, 6. 3Hz, 1 H) , 3. 86 - 3. 80 (m, 2H) , 2. 91 (dd, J = 4. 2, 1. 7Hz, 1 H) , 1. 18 (s, 9H) , 1. 14 (d, J = 6. 3 Hz , 3H) , 1. 1 2 (d , J = 6. 6Hz, 3 H) , 0. 81 (s, 9 H) , 0. 01 (s, 3 H) , 0. 00 (s, 3 H) .
MS (FAB) m/z 484 (M+H) +
例 3 : (3 S, 4 S) — 3—「(R)— 1—ヒドロキシェチル]— 4— [(R)_ 1 —メチル一 3—ジァゾ一 3—ビバロイルォキシメチルォキシカルボ二ルー 2—ォ キソプロビレ]一ァゼチジン一 2—オン
(3 S, 4 S) 一 3—[(R)— 1—(t—プチルジメチルシリルォキシ)ェチル] - 4 -[(R)- 1ーメチルー 3—ジァゾ一 3—ビバロイルォキシメチルォキシカ ルボニル一 2 _ォキソプロピル]—ァゼチジン _ 2—オン 2. 25 g ( 4. 66 mmo 1) の塩化メチレン (6. 75 mL) 溶液に、 メタノール (13. 5 m L) と脱イオン水 (2. 3mL) を加えて、 0°Cに冷却した。 ここに、 濃塩酸 1. 3mLを加えて、 室温に昇温した後、 4. 5時間撹拌した。 この溶液を、 酢酸ェ チルで希釈した後、 水、 飽和重曹水、 および飽和食塩水を順次用いて洗浄し、 次 いで無水硫酸マグネシゥムで乾燥した。 この溶液から溶媒を減圧下留去して得ら れた残渣を、 シリカゲルカラムクロマトグラフィー (へキサン一酢酸ェチル = 1 : 1-> 1 : 2 v/v) により精製して、 標題化合物 1. 58gを白色結晶とし て得た (収率 92%) 。
NMR (ppm, 400 MH z , CD C 13) : 5. 95 (b r s, 1 H) , 5. 87 (d, J = 5. 6Hz, 1 H) , 5. 84 (d, J = 5. 6Hz, 1H) , 4. 1 1 (m, 1H) , 3. 82 (dd, J = 6. 1, 2. 2 H z , 1 H) , 3. 73 (dq, J = 6. 1, 6. lHz, 1H) , 2. 89 (dd, J =7. 1, 2. 2 H z , 1H) , 2. 45 (b r s, 1H) , 1. 29 (d, J = 6. 1 H z , 3H) , 1. 21 (s, 9 H) , 1. 20 (d, J=7. 1 H z, 3 H) .
MS (FAB) m/z 370 (M + H) + 例 4 : ビバロイルォキシメチル (1R, 5 S , 6 S) —ォキシカルボ二ルー 2—ジフエニルホスホリルォキシ一 6— [(R)— 1—ヒドロキシェチル 1一 1ーメ チルカルバペン一 2—ェム一 3一力ルポキシレート
アルゴン雰囲気下において、 (3 S, 4 S) _3— [(R)— 1—ヒドロキシェ チル]—4一 [(R)— 1ーメチルー 3—ジァゾ一 3一ビバロイルォキシメチルォキ シカルボ二ルー 2—ォキソプロピル] 一ァゼチジン一 2—オン 1. 58 g (4.
1 5mmo 1 ) の塩化メチレン ( 1 5 mL) 溶液に、 オクタン酸ロジウム 9 7m gを加えて、 4時間加熱還流した。 得られた反応液を一 1 5°Cに冷却し、 ここに ジフエニルリン酸クロリ ド 1. l lmL (4. 1 5 mmo 1) を加えた。 次いで、 同温にて得られた溶液に、 ジイソプロピルェチルァミン 0. 9 1mL (5. 40 mmo 1) と 4—ジメチルァミノピリジン 10mg (8 1. 9 , πιο 1) の塩化 メチレン ( 1 mL) 溶液をゆっくり滴下し、 更に 1時間撹拌した。 得られた反応 液を 0. 5M塩酸、 飽和重曹水、 および飽和食塩水を順次用いて洗浄した後、 無 水硫酸マグネシゥムを用いて乾燥した。 得られた溶液から溶媒を減圧下留去し、 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (へキサン—酢酸ェチル = 2 : 3 V /v) により分離して精製し、 標題化合物 1. 9 7 gを無色油状物として得た (収率 83 %) 。
lR NMR (ppm, 400MH z , CD C 13) : 7. 3 9 - 7. 1 9 (m, 10H) , 5. 80 (dd, J = 5. 6, 2. 4H z, 1 H) , 5. 76 (dd,
J = 5. 6, 2. 4Hz, 1 H) , 4. 2 2-4. 1 6 (m, 2H) , 3. 38 (m, 1 H) , 2. 03 (m, 1 H) , 1. 30 (d, J= l . 7Hz, 3 H) , 1. 2 9 (d, J= l . 9Hz, 3 H) , 1. 1 7 (s, 9 H) .
MS (FAB) /z 574 (M + H) + 例 5 ·· ビバロイルォキシメチル ( 1 R, 5 S, 6 S) — 2— [ 1— ( 1, 3 —チアゾリン一 2—ィル) ァゼチジン一 3—ィル 1— 6— [ (R)— 1—ヒドロキ シェチル]— 1—メチルカルバペン一 2—ェム一 3—カルボキシレ一ト
アルゴン雰囲気下において、 ビバロイルォキシメチル ( 1 R, 5 R, 6 S) 一 2ージフエニルホスホリルォキシ一 6— [(R)— 1—ヒドロキシェチル]— 1—メ チルカルバペン一 2—ェム一 3—カルボキシレート 100 mg ( 0. 1 7 mm o 1) のァセトニ卜リル ( 1 mL) 溶液に、 氷冷下、 3—メルカプト一 1— (チ ァゾリン一 2—ィル) ァゼチジン塩酸塩 40mg (0. 19 mmo 1) を加え た。 次いで、 この溶液に、 ジイソプロピルェチルァミン 72〃L (0. 40 mm o 1) を滴下して、 1. 5時間攪拌した。 得られた反応混合物を酢酸ェチル (4 OmL) で希釈して、 水 ( 1 OmLx 3) 、 飽和重曹水 (7. 5mLx 2) 、 お
よび飽和食塩水を順次用いて洗浄した後、 無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し た。 その後、 得られた溶液から溶媒を減圧留去して、 淡黄色油状残渣 94mgを 得た。 得られた残渣を酢酸ェチル (0. 3mL) —へキサン (2mL) を用いて 結晶化し、 標題化合物 70mg (収率 8 1%) を白色粉末として得た。
XH NMR (ppm, 40 OMH z , CD C 13) : 5. 9 5 (d, J = 5. 6 Hz , 1 H) , 5. 82 (d, J = 5. 6 H z , 1 H) , 4. 1 6 - . 22
(m, 2 H) , 4. 37 (m, 2 H) , 4. 1 1 (m, 1 H) , 3. 9 2 -4. 0 1 (m, 4 H) , 3. 35 (t , J = 7. 3 H z, 2 H) , 3. 20 (dd, J = 2. 4, 6. 8 Hz , 1 H) , 3. 14 (m, 1 H) , 1. 3 1 (d, J =
6. 0 Hz, 3 H) , 1. 1 9 - 1. 20 (m, 1 2 H) .