WO2002084762A1 - Manganese dry battery - Google Patents

Description

マンガン乾電池

技術分野

本発明は、 改善された形状を有する封口体を用いたマンガン乾電池に 関する。

明 田

背景技術

図 1は、 従来のマンガン乾電池の一部を断面にした正面図である。 図

1に示すように、 従来のマンガン乾電池においては、 負極亜鉛缶 6の内 側にセパレー夕 3が位置し、 さらにその内側に正極合剤 2が揷入され、 中央部に正極炭素棒 1が揷入されるための孔を設けた鍔紙 5で前記正極 合剤 2の上面が覆われている。 そして、 その中央部には炭素棒 1が挿入 されている。 このマンガン乾電池は、 底紙 4、 負極端子板 8、 シールリ ング 9、 熱収縮性チューブ 1 0、 正極端子板 1 1、 絶縁リング 1 2およ び外装缶 1 3を具備する。

そして、 このような乾電池の内部を外部から遮断 （封口） するために. ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる封口体 7の孔に炭素棒 1を挿 入させて、 両者を強固かつ気密に保持し、 負極亜鉛缶 6の開口部ないし 開口端を封口体 7に食い込ませて両者を嵌合させている。

さらに、 封口体 7が炭素棒 1を保持する部分、 および封口体 7が負極 亜鉛缶 6と嵌合する部分に、 アスファルトまたはポリブテンなどの封止 剤 1 4を塗布することにより、 封口を確実なものにしている。

しかし、 放電特性を向上させるために正極合剤 2の充填量を多くする と、 電池内部における正極合剤 2の高さが増す。 そうすると、 正極合剤 2の上面に位置する鍔紙 5が封口体 7に接近し、 電池の保存中または放 電中に正極合剤 2が膨張すると、 図 2に示すように、 鍔紙 5と封口体 7 が接触してしまう。 ここで、 図 2は、 従来の別のマンガン乾電池の一部 を断面にした正面図である。

そして、 封口体 7の最内周部に位置し、 かつ封口体 7と正極炭素棒 1 との間にある溝に塗布された封止剤 1 4 ' が、 上述のような鍔紙 5と封 口体 7 との接触に起因して、 鍔紙 5に吸収されてしまう。 前記溝の縦断 面形状は略三角形であり、 封止剤 1 4 ' はこの溝を埋めている。

正極炭素棒 1の表面には多数の微細な凹凸が存在するために、 封止剤 1 4が鍔紙 5に吸収されてしまうと、 封口の程度が低減し、 電解液が電 池外部に漏洩し得るという問題がある。

加えて、 負極亜鉛缶 6の開口部は、 図 2に示すように封口体 7の外周 部 （外側部） に嵌合しており、 また、 鍔紙 5が封口体 7と接触しても鍔 紙 5と外周部との間にはある程度の空間が保持されている。 しかし、 上 述のように正極合剤 2が膨張し、 負極亜鉛缶 6の開口部と嵌合している 封口体 7の外周部に鳄紙 5が接触した場合、 この嵌合部分に塗布されて いる封止剤 1 4 " も鍔紙 5に吸収されてしまう。 そして、 正極炭素棒 1 と封口体 7 との間の部分と同様に、 負極亜鉛缶 6の開口部と封口体 7と の間隙から電解液が漏洩するという問題がある。

以上のような問題点に鑑み、 本発明の目的は、 封口体の形状を改良し. 放電特性の向上に対する要請に応えるべく正極合剤の寸法が増大しても. 電解液の漏洩などを引き起こすことのない耐漏液性に優れたマンガン乾 電池を提供することにある。 発明の開示

本発明は、 上記の課題を解決するために、 負極亜鉛缶の内側にセパレ 一夕が位置し、 その内側に正極合剤が挿入され、 中央部に正極炭素棒が 挿入されるための孔を設けた鍔紙で前記正極合剤の上面を覆い、 前記中 央部に正極炭素棒が挿入された状態で封口体によって前記亜鉛缶の開口 部を封口したマンガン乾電池に関し、 前記封口体が、 その下側において 前記鍔紙を押圧する環状突起部を有することを特徵とする。

前記マンガン乾電池は、 具体的には、 前記封口体が、 その下側におい て中心部から外側に向けて順に設けられた第 1の環状突起部、 および第 2の環状または略環状突起部と、 最内周部において前記第 1の環状突起 部の内側に設けられた正極炭素棒支持部と、 前記第 1の環状突起部およ び前記正極炭素棒の間に形成される溝とを有することを特徴とする。 そして、 前記マンガン乾電池は、 前記第 2の環状または略環状突起部 のさらに外側に設けられた第 3の環状突起部を有し、 前記第 2の環状突 起部と前記第 3の環状突起部との間に前記負極亜鉛缶の開口部が嵌合し ているのが好ましい。

すなわち、 特に好ましくは、 前記封口体は、 その下側において中心部 から外側に向けて順に設けられた第 1の環状突起部、 第 2の環状または 略環状突起部および第 3の環状突起部と、 最内周部において第 1の環状 突起部の内側に設けられた正極炭素棒支持部と、 第 1の環状突起部およ び前記正極炭素棒の間に形'成される縦断面形状が略四角形の溝とを有す る。 前記溝が封止剤を効果的に保持できるように、 前記溝の縦断面形状 は四角形などの充分な空間を形成し得る形状であるのが好ましい。

また、 前記第 1の環状突起部および第 2の環状または略環状突起部の 下面が前記鍔紙を押圧し、 さらに、 前記第 2の環状または略環状突起部 および第 3の環状突起部との間に前記亜鉛缶の開口部が嵌合しているの が好ましい。 図面の簡単な説明

図 1は、 従来のマンガン乾電池の一部を断面にした正面図である。 図 2は、 従来の別のマンガン乾電池の一部を断面にした正面図である c 図 3は、 本発明のマンガン乾電池に用いられる封口体の概略縦断面図 である。

図 4は、 図 3に示す本発明の封口体を用いたマンガン乾電池の一部を 断面にした正面図である。 発明を実施するための最良の形態

本発明は、 負極亜鉛缶、 前記負極亜鉛缶の内側に位置するセパレー夕. 前記セパレ一夕の内側に位置する正極合剤、 正極炭素棒、 中央部に前記 正極炭素棒を挿入する孔を有しかつ前記正極合剤の上面を覆う鍔紙、 中 央部に前記正極炭素棒を挿入する孔を有しかつ前記負極亜鉛缶の開口部 を封口する封口体を具備するマンガン乾電池であって、 前記封口体がそ の下面において前記鍔紙を押圧する環状突起部を有することを特徴とす るマンガン乾電池に関する。

まず、 第一に、 前記封口体が、 その下側において中心部から外側に向 けて順に設けられた第 1の環状突起部、 および第 2の環状または略環状 突起部と、 最内周部において前記第 1の環状突起部の内側に設けられた 正極炭素棒支持部と、 前記第 1の環状突起部および前記正極炭素棒の間 に形成される溝とを有するのが好ましい。

また、 前記マンガン乾電池は、 前記第 2の環状または略環状突起部の さらに外側に設けられた第 3の環状突起部を有し、 前記第 2の環状また は略環状突起部と前記第 3の環状突起部との間に前記負極亜鉛缶の開口 部が嵌合しているのが好ましい。

最も好ましくは、 前記封口体が、 その下側において中心部から外側に 向けて順に設けられた第 1の環状突起部、 第 2の環状または略環状突起 部および第 3の環状突起部と、 最内周部において前記第 1の環状突起部 の内側に設けられた正極炭素棒支持部と、 前記第 1の環状突起部および 前記正極炭素棒の間に形成される溝とを有し、 前記第 1の環状突起部お よび前記第 2の環状または略環状突起部の下面が前記鍔紙を押圧し、 さ らに前記第 2の環状または略環状突起部と前記第 3の環状突起部との間 に前記負極亜鉛缶の開口部が嵌合しているのが好ましい。

まず、 図 3に、 本発明のマンガン乾電池に用いられる封口体 7の概略 縦断面図を示す。

図 3に示すように、 封口体 7は、 その下面において中心部から外側に 向けて順に設けられた第 1の環状突起部 7 a、 第 2の環状突起部 7 bお よび第 3の環状突起部 7 cを有する。 そして、 最内周部において第 1の 環状突起部 7 aの内側にこれと離間して設けられた正極炭素棒支持部 7 dを有する。 なお、 中央部には正極炭素棒が挿入される孔 7 eが設けら れている。

つぎに、 図 3に示す本発明の封口体 7を用いたマンガン乾電池の一部 を断面にした正面図を図 4に示す。

図 4に示す本発明に係るマンガン乾電池においては、 図 1および 2に 示す従来のマンガン乾電池と同様に、 負極亜鉛缶 6の内側にセパレー夕 3が位置し、 セパレー夕 3の内側に正極合剤 2が挿入され、 中央部に正 極炭素棒 1が挿入されるための孔 （図示せず。 ） を設けた鍔紙 5で前記 正極合剤 2の上面が覆われている。 そして、 前記中央部に正極炭素棒 1 が挿入された状態で、 封口体 7によって負極亜鉛缶 6の開口部が封口さ れている。

特に、 図 3に示す封口体 7を用いることによって、 第 1の環状突起部 7 aおよび第 2の環状突起部 7 bの下端面がそれぞれ鍔紙 5を押圧し、 さらに第 2の環状突起部 7 bと第 3の環状突起部 7 cとの間に負極亜鉛 缶 6の開口部が嵌合される。 この嵌合部には封止剤が塗布される （図示 せず） 。 そして、 第 1の環状突起部 7 aおよび正極炭素棒 1の間には縦 断面形状が略四角形の溝 7 f が形成され、 ここにも封止剤が塗布される なお、 図 4において、 封止剤は省略した。

以上のように、 まず、 正極炭素棒 1 と封口体 7の第 1の環状突起部 7 aとの間に溝 7 f を設けることにより、 従来よりも多い量の封止剤を塗 布することができ、 密封性を向上させることができ、 また、 電解液の漏 洩を確実に防止することができる。 さらに、 第 2の環状突起部 7 bで鍔 紙 5の上昇を防止することによつても、 密封性を向上させることができ， また、 電解液の漏洩を防止することができる。

加えて、 この第 2の環状突起部 7 bの存在は、 負極亜鉛缶 6の開口部 の強度が低い場合などにも有効である。 なぜなら、 第 2の環状突起部 7 bと第 3の環状突起部 7 c との間に負極亜鉛缶 6の開口部を嵌合させる ことにより、 封口体 7を負極亜鉛缶 6にはめ込む際に負極亜鉛缶 6の開 口部が変形することを防止できるからである。 さらに、 第 2の環状突起 部 7 bと第 3の環状突起部 7 c との間に確実に負極亜鉛缶 6の開口部を 嵌合すれば、 負極亜鉛缶 6の開口端の封口体 7への食い込みが弱くなつ たり、 密封性が低下したりすることを抑制できるからである。

もっとも、 第 1の環状突起部 7 aおよび第 2の環状突起部 7 bは、 放 電中に ¾極合剤 2が膨張することをも抑制することができることから、 正極合剤 2中に隙間などが発生することを防止し、 かつその反応効率の 低下を抑制することができる。

本発明に係るマンガン乾電池は、 特に封口体 7の形状に特徴を有し、 従来の方法によって製造することができる。 特に、 封口体 7を構成する 材料としては、 例えばポリエチレン、 ポリプロピレン、 ナイロンなどの ポリアミ ド、 またはこれらの混合物が挙げられる。 その他の電池構成要 素としては、 従来の材料を用いればよい。

以下に、 実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、 本発明は これらのみに限定されるものではない。 実施例

本実施例においては、 図 4に示す構造を有する本発明に係るマンガン 乾電池を作製した。 まず、 図 3に示す構造を有する封口体 7を、 ポリエ チレンを用いて射出成形により作製した。

つぎに、 負極亜鉛缶 6の底にクラフト紙からなる底紙 4を配置し、 つ いでその内側に、 クラフト紙に保液性のよいデンプンを主成分とする糊 料を塗布して得られるセパレ一夕 3を配置した。 さらに、 セパレ一タ 3 の内側に二酸化マンガン、 導電剤および電解液を混合して作製した正極 合剤 2を揷入した。 そして、 中央部に正極炭素棒 1が挿入されるための 孔を設けたクラフト紙からなる鍔紙 5で正極合剤 2の上面を覆った。 一方、 封口体 7に正極炭素棒 1を挿入し、 第 1の環状突起部 7 aと炭 素棒 1 との間に形成された縦断面形状が略四角形の溝 7 f に封止剤であ るァスフアルトを塗布した。

そして、 中央部に正極炭素棒 1が揷入された封口体 7を負極亜鉛缶 6 に揷入し、 封口体 7の第 1の環状突起部 7 aおよび第 2の環状突起部 7 bの下端面が鍔紙 5を押圧するように、 第 2の環状突起部 7 bと第 3の 環状突起部 7 cとの間に負極亜鉛缶 6の開口部を嵌合させた。 このとき, 正極炭素棒 1の封口体 7から突出している部分は、 封口体 7の上面を覆 う正極端子板 1 1 と接続した。 一方、 負極亜鉛缶 6の下部には負極端子 板 8を接続した。

負極亜鉛缶 6の外部側面は、 ポリ塩化ビニル製の絶縁性熱収縮性チュ ーブ 1 0で覆った。 熱収縮性チュ一ブ 1 0は、 封口体 7の外周縁部、 お よびシールリング 9をも被覆しており、 同時に、 封口体 7、 負極端子板 8およびシ一ルリング 9を固定する役割を果たしている。

また、 熱収縮性チューブ 1 0の露出面は、 外装缶 1 3で覆った。 外装 缶 1 3の上端部は、 絶縁リング 1 2を介して正極端子板 1 1の周縁部に かしめ、 外装缶 1 3の下端部は、 熱収縮性チューブ 1 0の下端部および シールリング 9を介して負極端子板 8の周縁部にかしめた。

こうして、 本発明に係るマンガン乾電池 Aを作製した。 比較例

封口体 7の形状を図 1に示す形状とした他は、 上記実施例と同様にし て比較用のマンガン乾電池 Bを作製した。

[評価]

上述のようにして作製したマンガン乾電池 Aおよび Bについて、 以下 の評価を行った。 結果を表 1に示す。

① 45 で 3ヶ月間保存した後、 回路電圧を測定し、 初度 （組立直後） の回路電圧との差を平均電圧降下 （Δπιν) として調べた （n= 50)

② 60°Cで 3ヶ月間保存した後、 電解液の漏液による正極端子板 1 1の 腐食率を目視により調べた （n= 50) 。

③また、 電池作製直後に、 2. 2 Ωの負荷で連続放電させ、 終止電圧が 0. 9 Vになるまでの時間を測定し連続放電性能を調べた （η= 1 0) , 表 1

平均電圧降下 正極端子板腐食率 連続放電性能

(△mV) (%) (分）

実施例 20 0 (0/50 ) 6 00

比較例 37 1 6 (8/50 ) 5 88 表 1に示す結果から、 実施例においては、 封口体 7の第 1の環状突起 部 7 aおよび第 2の環状突起部 7 bにより、 鍔紙 5の押圧および封止剤 1 4の保持が確実に行われていることがわかる。

また、 比較例においては、 正極合剤 2の膨張によって鍔紙 5が封口体 7に接触し、 耐漏液性に劣ることがわかる。 産業上の利用の可能性

本発明によれば、 放電特性の向上に対する要請に応えるべく正極合剤 の寸法が増大しても、 電解液の漏洩などを引き起こすことのない耐漏液 性に優れたマンガン乾電池を提供することができる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 負極亜鉛缶、 前記負極亜鉛缶の内側に位置するセパレー夕、 前記 セパレ一夕の内側に位置する正極合剤、 正極炭素棒、 中央部に前記正極 炭素棒を挿入する孔を有しかつ前記正極合剤の上面を覆う鍔紙、 中央部 に前記正極炭素棒を挿入する孔を有しかつ前記負極亜鉛缶の開口部を封 口する封口体を具備するマンガン乾電池であって、

前記封口体が、 その下側において中心部から外側に向けて順に設けら れた第 1の環状突起部、 および第 2の環状または略環状突起部と、 最内 周部において前記第 1の環状突起部の内側に設けられた正極炭素棒支持 部と、 前記第 1の環状突起部および前記正極炭素棒の間に形成される溝 とを有することを特徴とするマンガン乾電池。

2 . 前記第 2の環状または略環状突起部のさらに外側に設けられた第 3の環状突起部を有し、

前記第 2の環状または略環状突起部と前記第 3の環状突起部との間に 前記負極亜鉛缶の開口部が嵌合していることを特徴とする請求の範囲第 1項記載のマンガン乾電池。