明 細書 プロテアーゼ活性測定用薄膜 技術分野
本発明は、 プロテアーゼ活性を測定するための薄膜、 及びプロテアーゼ活性の 測定方法に関するものである。 より具体的には、 癌細胞の浸潤活性や転移活性な どの癌の悪性度、 歯周炎などの歯周病の進行度、 リウマチ性関節炎、 動脈硬化巣 などにおける破壌性病変などの正確な診断を可能にするプロテアーゼ活性測定用 の薄膜、 及ぴプロテアーゼ活性の測定方法に関するものである。 背景技術
癌細胞の浸潤や転移、 歯周炎などの歯周病の進行、 リウマチ性関節炎などにお ける組織破壌の進行、 創傷治癒過程、 個体発生過程などにおいて、 マトリックス メタ口プロテアーゼ、 プラスミノーゲンァクティベータ一など種々のプロテア一 ゼが関与することが知られており、 それらのプロテアーゼの検出及ぴ定量方法と して、 抗体を用いたイミュノアツセィ法、 イミュノブロッテイング法、 電気泳動 ザィモグラフィ一法などが知られている。 また、 組織中におけるプロテアーゼの 活性を測定する方法として、 Science, Vol. 170, pp. 749-751, 1970、 The FASEB Journal, Vol. 9, July, pp. 974- 980, 1995、 W097/32035, 又は特願平 11 - 365074 号明細書に示されるいわゆる in situ zymography法が知られている。
国際公開 W097/32035 号公報にはプロテアーゼ基質と硬膜剤とを含み支持体上 に形成された薄膜を用いてプロテアーゼを検出する方法が開示されている。 この 方法では、 代表的なプロテアーゼ基質としてゼラチンを用い、 プロテアーゼによ りゼラチン薄膜上に形成される消化痕を測定することによって、 プロテアーゼを 測定できる。 また、 Science, Vol. 170, pp. 749-751, 1970にはゼラチンとグルタ ルアルデヒドとを含み支持体上に形成された薄膜を用いてプロテアーゼを検出す
る方法が開示されている。 この方法では、 プロテアーゼ基質としてゼラチンを用 い、 トリプシン様プロテアーゼによりゼラチン薄膜上に形成される消化痕を測定 することによって、 プロテアーゼを測定できる。
しかしながら、 ゼラチン薄膜を用いた場合には、 マトリックスメタ口プロテア ーゼ (以下、 「MM P」 と略す場合がある) 2、 3、 7、 及ぴ 9や、 セリンプロ テアーゼ (トリプシン、 プラスミン) などの複数のプロテアーゼが薄膜に対して 消化活性を有していることから、 癌細胞や炎症性細胞などのほか、 例えば消化管 組織における消化酵素によっても薄膜が消化される。 このため、 プロテアーゼ基 質としてゼラチンを用いると、 疾患に関連したプロテアーゼの活性を選択的に検 出することができないという問題があった。
Analytical Biochemistry, 176, pp. 261-264, 1989には、 ゥシ血胄ァノレブミン のジスルフィド結合を還元し、 生成したチオール基に色素を結合させたタンパク 質を膜に吸着させ、その膜を用いてカテブシン D、 トリプシン、キモトリプシン、 パパインの活性を検出できることが示されているが、 MM Pの測定に関しては記 述されていない。
一方、 近年、 主として癌細胞から分泌される MM Pとして MM P 7が注目され ており、 MM P 7の選択的な検出が望まれている。 発明の開示
本発明の課題は、 癌細胞の浸潤活性や転移活性などの癌の悪性度、 歯周炎など の歯周病の進行度、 リウマチ性関節炎、 動脈硬化巣などにおける破壌性病変など の正確な診断を可能にするプロテアーゼ活性測定用の薄膜、 及びプロテアーゼ活 性測定方法を提供することにある。 より具体的には、 特定のプロテアーゼにより 選択的に消化痕が形成されるプロテアーゼ活性測定用の薄膜、 及び該薄膜を用レ、 たプロテアーゼ活性の測定方法を提供することが本発明の課題である。 また、 M M P 7により選択的に消化痕が形成されるプロテアーゼ活性測定用の薄膜、 及び 該薄膜を用いたプロテアーゼ活性の測定方法を提供することも本発明の課題であ
る。
本発明者らは上記の課題を解決すぺく鋭意努力した結果、 プロテア一ゼ基質と してトランスフユリン誘導体及ぴアルブミン誘導体からなる群から選ばれる物質 を含む薄膜が、 ゼラチンに比べて MM P 7以外のプロテアーゼ (例えば、 MMP 2、 MM P 3、 MM P 9など) による消化を受けにいことを見出した。 また、 こ の結果、 上記の物質を含む薄膜に対して、 MM P 7が選択的に消化痕を形成する ことを見いだした。 本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。 すなわち、 本発明は、 プロテアーゼ活性を測定するための薄膜であって、 支持 体表面に形成され、 トランスフェリン誘導体及ぴアルブミン誘導体からなる群か ら選ばれる 1又は 2以上の物質を含有する架橋された及び Z又は実質的に水に溶 けない薄膜を提供するものである。
この発明の好ましい態様によれば、 さらにプロテアーゼ ·インヒビターを含む 薄膜、 及びさらに硬膜剤を含む薄膜が提供される。 プロテアーゼ 'インヒビター としては、 マトリックスメタ口プロテアーゼ .ィンヒビター、 セリンプロテア一 ゼ ·インヒビター、 又はシスティンプロテア一ゼ ·インヒビターが好ましい。 上 記薄膜は、 単層又は重層のいずれでもよい。
これらの発明の好ましい態様によれば、 さらに色素を含む上記の薄膜、 及び固 体分散又は乳化分散された色素を含む上記の薄膜が提供される。 色素としては、 可視吸収を有する色素、 又は蛍光色素が好ましい。 色素は単独で用いてもよく、 あるいは複数の色素を組み合わせて用いてもよい。 薄膜が複数の層から構成され る場合には、 各層に同じ色素が含まれていてもよく、 あるいは各層に異なる色素 が含まれていてもよい。
本発明のさらに好ましい態様によれば、 架橋されたトランスフェリン誘導体、 好ましくは硬膜剤により架橋されたトランスフェリン誘導体を含む上記の薄膜が 提供される。 また、 トランスフェリン誘導体がジスルフイ ド結合由来の硫黄原子 に置換基を導入した誘導体である上記の薄膜; トランスフヱリン誘導体がカルボ エリンである上記の薄膜が提供される。
また、 アルブミン誘導体がジスルフィド結合由来の硫黄原子に置換基を導入し た誘導体である上記の薄膜;アルプミン誘導体がカルボキシメチル化血清アルブ ミン、 N—アルキルサクシンィミ ド化血清アルブミン、及び S—カルボキシメチ ル化コンアルブミンからなる群から選ばれる 1又は 2以上の誘導体である上記の 薄膜が本発明により提供される。
上記薄膜は膜厚が 0 5 ^ η!〜 l O w mであることが好ましく、 プラスチック又 はガラス製の支持体の上に形成され,乾燥されたものが好ましい。プロテアーゼと しては、 マトリックスメタ口プロテアーゼ (MMP) 7が好ましい。
また、 本発明の別の観点によれば、 プロテアーゼ活性の測定方法であって、
(1)上記薄膜に対してプロテアーゼを含む試料を接触させる工程;及び
(2)プロテアーゼ活性により該薄膜に形成された消化痕を検出する工程
を含む方法が提供される。
この方法の好ましい態様によれば、 薄膜を洗浄した後に消化痕を検出する上記 の方法;薄膜を染料で染色した後に消化痕を検出する上記の方法;試料が組織切 片又は細胞を含む生体試料である上記の方法;及ぴ薄膜上の組織切片又は細胞の 細胞核を薄膜と識別できる色の染料で染色する工程を含む上記の方法が提供され る。 生体組織としては、 組織切片、 細胞、 又は体液などを用いることができる。 例えば、 試料を薄膜に接触させた後、 室温から 5 0 °Cの間の温度で例えば 1 0分 から 3 0時間の間インキュベートしてプロテアーゼにより薄膜の一部を消化させ、 必要に応じて薄膜を染料で染色した後、 薄膜上の消化痕を検出することによりプ 口テアーゼ活性を測定することができる。
この発明の好ましい態様によれば、 生体試料が、 ヒトを含む哺乳類動物、 好ま しくは患者、 疾患が疑われる哺乳動物、 実験動物などから分離 *採取した生体試 料である上記方法が提供される。生体試料として、組織片などの固形試料のほか、 組織から吸引により採取した細胞又は組織片を含む試料、 血液、 リンパ液、 唾液 などの非固形試料などを用いることができる。 例えば、 生体試料が癌組織、 リ'ン パ節、 歯周病,袓織、 歯肉溝滲出液、 破壌性病変組織、 または液 (例えばリウマチ
性病変の関節液または歯槽膿漏組織抽出液) 、 胸水、 腹水、 脳脊髄液、 乳腺異常 分泌液、 卵巣嚢胞液、 腎臓嚢胞液、 勝液、 喀痰、 血液あるいは血球である上記方 法は本発明の好ましい態様である。 連続した切片を用いる方法では生体試料とし て組織切片を用いることができる。
消化痕の検出を顕微鏡下又は目視により行う上記方法;又は画像処理装置を用 いて消化痕の定量あるいは数値化を行う上記方法は好ましい態様である。 また、 薄膜の洗浄を水、メタノール、ェタノール、界面活性剤溶液、グリセリン水溶液、 ポリエチレンダリコール水溶液、 あるいはそれらの混合物により行うことが好ま しい。 · 発明を実施するための最良の形態
本明細書において 「〜」 で示される数値範囲は、 下限及び上限の数値を含む範 囲である。 本明細書において用いられる測定という用語は、 定性及び定量を含め て最も広義に解釈されるべきである。本発明のプロテアーゼ活性の測定方法では、 試料中に含まれるプロテアーゼによって薄膜中のプロテア一ゼ基質 (トランスフ ェリン誘導体及びアルブミン誘導体からなる群から選ばれる 1又は 2以上の物 質) が消化され、 薄膜に消化痕が形成される。 本明細書において 「消化」 とはプ 口テアーゼによるトランスフェリン誘導体及ぴアルブミン誘導体からなる群から 選ばれる物質の酵素的分解を意味する。
その後、 例えば、 薄膜を染色することにより消化痕は光学濃度の低い部分とし て顕微鏡下で検出することができ、 試料中のプロテアーゼ活性の存在を検出する ことができる。 また、 薄膜を洗浄することによって消化された部分の基質や色素 が洗い流され、 消化痕の検出が容易になる。 洗浄には、 水、 メタノール、 ェタノ ール、 界面活性剤溶液、 グリセリン水溶液、 ポリエチレングリコール水溶液、 あ るいはそれらの混合物を用いることができる。 色素を含む薄膜を用いる場合には 消化痕の検出のために洗浄を行うことが好ましい。
本発明の対象となるプロテアーゼとしては、 例えば、 マトリックス .メタロプ
口テアーゼ、セリンプロテアーゼ 及びシスティンプロテアーゼを挙げることがで き、 これらの酵素については、 鶴尾隆編 「癌転移の分子機構」 、 pp. 92-107、 メジ カルビユー社、 1993年発行に詳細に説明されている。 これらのうち、 MM P— 7 は本発明の方法に最も好適な測定対象である。 トランスフェリン誘導体あるいはアルブミン誘導体を含む薄膜では MM P— 2、 MM P— 3、 又は MM P— 9による消化を受けにくいことから、 MM P— 7につ いてより高い選択性を要求される測定に好適である。 また、 プロテアーゼとして MM P - 7のほか、 カテブシン D、 トリプシンなどのシスティンプロテアーゼぁ るいはセリンプロテアーゼを対象に測定を行うことができる。
本発明で用いるトランスフェリンとしてはヒ ト、 牛、 豚、 あるいはその他の動 物由来のトランスフヱリン、 あるいはそれらと相同のアミノ酸配列を持ち、 遺伝 子工学的に製造されたものを好ましく用いることができる。 ホロあるいはアポ型 のトランスフェリンは、 いずれも好ましく用いることができる。 トランスフェリ ン誘導体としては、 ジスルフイ ド結合の過ギ酸酸化物、 ジスルフイ ドの亜硫酸分 解による S—スルホシスティン誘導体、 還元剤によりジスルフィ ドを切断しアル キル化剤により S—アルキル化したものなどを好ましく用いることができる。 ァ ルキル化剤としてはョード酢酸、 ョード酢酸アミ ドのほか、 以下に示す化合物を 好ましく用いることができる。
酢酸 2 -プロモェチルエステル、 (S) - (+) - 2 -アミノ- 4-ブロモ酪酸ヒドロブロミ ド、 プロモアセトアルデヒ ドジェチルァセタール、 2-ブロモアセトアミ ド、 ブロ モ酢酸 t-ブチノレエステル、 ブロモ酢酸メチルエステル、 プロモアセトニトリル、 ァリルブロミ ド、 2, 2-ビス(ブロモメチル)- 1, 3-プロパンジオール、プロモアセト アルデヒ ドジメチノレアセタール、 ブロモ酢酸、 ブロモ酢酸ェチノレエステル、 ブロ モアセトン、 4 - (プロモアセチルァミノ)安息香酸、 4- (ブロモアセチル)モルホリ ン、 4 -プロモ- 2-ブタンスルホン酸ナトリウム塩、 4-ブロモ -1-ブタノール、 4 -ブ ロモ- 1-ブテン、 2-ブロモ -N - ter -ブチル -3, 3-ジメチルブチルアミ ド、 4-プロモ - n-酪酸、 3_ブロモプチロニトリル、 3_ブロモ -2- (ブロモメチル)プロピオン酸、
1 ブロモ- 2 ブタノ一ノレ、 1-ブロモ- 2-ブタノン、 4-ブロモブチノレアセテート、 2 - ブロモ- n -酪酸、 a -ブロモ - τ / -プチ口ラタ トン、 4-ブロモプチ口-トリノレ、 ( (lR) - (endo, anti) ) - (+)-3-ブロモカンファ1 "- 8-スノレホン酸アンモユウム塩、 (1S) - (+) -3 -ブ口モカンファ一- 10-スルホン酸水和物、 2-ブ口モ- 2-シァノ - N, N- ジメチルァセトアミ ド、 2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム塩、 2-ブロモェチ ルアミンヒ ドロブロミ ド、 4 -(2-ブロモェチル)安息香酸、 2 -ブロモェチルメチル エステル、 (+) -3 -プロモカンファ■ ~- 8-スルホン酸アンモ-ゥム塩、ブロモコリン ブロミ ド、 1-ブロモ -2, 2 -ジメ トキシプロパン、 2-ブロモエタノール、 4- (2 -プロ モェチル)ベンゼンスルホン酸、 2- (2 -プロモェチノレ)- 1, 3-ジ才キサン、 2-ブロモ ェチルホスホン酸ジェチノレエステノレ、 2-ブロモイソ酪酸、 2_ブロモマロンァミ ド、
2- (ブロモメチル)アタリル酸、 2-ブロモメチル- 1, 3 -ジォキソラン、 2 -(ブロモメ チル) - 2 -(ヒ ドロキシメチル) - 1, 3 -プロパンジオール、 ブロモニトロメタン、 a - ブロモフエ二ノレ酢酸、 2-ブロモイソ吉草酸、 プロモマロン酸ジェチノレエステノレ、 4- (ブロモメチノレ)安息香酸、 5 -ブロモ -1 -メチルヒダントイン、 4-ブロモメチルフ ェニル酢酸、 2-ブロモ -2-二トロ- 1, 3-プロパンジォーノレ、 3-プロモ- 1, 2-プロパン ジオール、 3_ブロモプロパンスノレホン酸、 1_ブロモ -2-プロパノール、 3-ブロモプ ロピオンアルデヒ ドジェチノレアセターノレ、 2-ブロモプロピオンアミ ド、 2 -ブロモ プロピオン酸、 2-ブロモプロピオ二トリル、 3-ブロモプロピノレアミンヒ ドロブ口 ミ ド、 3_ブロモプロパンスルホン酸ナトリ ゥム塩、 3-プロモ- 1-プロパノール、 3- ブロモプロピオンァノレデヒ ドジメチルァセタール、 3-ブロモプロピオンァミ ド、
3 -ブロモプロピオン酸、 3-ブロモプロピオ二トリル、 (3-ブロモプロピル)ホスホ ン酸、 (3-ブロモプロピル) トリメチルァンモニゥムブロミ ド、 3 -ブ口モピルビン 酸水和物、 2-ブロモ -1, 1, 1-トリエトキシプロパン、 2 -プロモ- n-吉草酸、 ジブ口 モアセトニトリノレ、ェピブロモヒ ドリン、 N-メチルスノレホニル- 3 -ブロモプロピオ ンアミ ド、 3-ブロモピルビン酸、 ブロモ琥珀酸、 1卜ブロモウンデカン酸、 ブロモ バレリルゥレア、 2, 3-ジブロモ -1-プロパノーノレ、 ブロモピルビン酸ェチル、 テト ラヒ ドロフルフリルブロミ ド、 N- (3-カルボキシェチル)マレアミ ド酸、 cis-アコ
ニット酸、ァクリル酸 2 -力ルポキシェチルエステル、 フマル酸モノェチルエステ ル、 マレイン酸、 マレイン酸モノアミ ド、 マレイン酸モノメチルエステル、 N- (3- カルポキシプロピル)マレアミ ド酸、 アクリル酸、 アクリロニトリル、 2 -(アタリ ロイルァミノ)ィソ酪酸、 ィタコン酸、 マレイン酸 2ナトリゥム塩、 マレイン酸モ ノエチルエステノレ、 N-メチルマレイン酸モノアミ ド、 2 -ァクリルァミ ド- 2-メチル プロパンスルホン酸、硫酸水素 2-アミノエチル、 (2-ブロモェチル)メチルサルフ エート、 1, 4-ブタンスルトン、 1, 2 : 5, 6 -ジ- 0-イソプロピリデン- 3-0- (メチルスル ホニル)- Qi -D-グルコフラノース、 2, 2 -ジメチル- 1, 3-ジォキソラン - 4_ィルメチル p-トルエンスルホネート、 メタクリル酸 3-スルホプロピルエステルカリウム塩、 (2 -(アクリルォキシ)ェチル) トリメチルアンモニゥムメチルスルフェート、 ベン ゼンスルホン酸 2-メ トキシェチルエステル、 1, 3 -ブタンジオールサイタリックス ルフェート、 シァノメチルベンゼンスルホネート、 ジメチル(4S, 5S) - 1, 3, 2 -ジォ キサチオラン - 4, 5-ジカルボキシレート 2, 2 -ジォキシド、 1, 3, 2 -ジォキサチオラ ン 2, 2-ジォキシド、(2- (メタクリロイルォキシ)ェチル) トリメチルアンモニゥム メチルスルフェート、 N -(2-ョードエチル) -トリフルォロアセトアミ ド、 ョードメ タン、 2—ョードアセトアミ ド、 ョードアセトニトリル、 2—ョードエタノール、 3— ョードプロピオン酸、 ョード酢酸ナトリウム、 ョード酢酸、 4_ョード酪酸、 3 -ョ ードプロパンスルホン酸ナトリウム塩、 リチウムョード酢酸、 メタンスルホン酸 エトキシカルポニルメチルエステル、 2_メチルプロパンスルトン、 1, 3-プロパン ジォーノレサイクリックスノレフェート、 プロパノレギノレベンゼンスノレホネート、 テト ラエチレングリコールモノォクチルエーテノレメタンスルホネート、 p-トルエンス ルホン酸ペンタフルォ口べンジルエステル、 p-トルエンスルホン酸 2- (2- n-プロ ポキシエトキシ)ェチルエステル、メタンスルホン酸 2-メ トキシェチルエステル、 メチノレプロパンスノレトン、 プロパンスノレトン、 3-スノレホプロピノレアタリレート力 リゥム塩、 p-トノレエンスルホン酸 2-ェトキシェチルエステル、 p-トルエンスルホ ン酸プロパルギルエステル、 2- (p-トルエンスルホ -ル)エタノール、 5, -トシノレ アデノシン、 アジリジン- 2-カルボン酸メチルエステル、 エチレンィミン、 プロピ
レンィミン、 1- (2-ヒ ドロキシェチノレ)エチレンィミン、 4-ビニノレピリジン、 ビニ ルスルホン酸ナトリウム塩、 モノェチルフマル酸カリウム塩、 プロピオル酸, trans, trans—ムコン酸、マレイミ ド、 N—メチノレマレイミ ド、 N—ェチノレマレイミ ド、 N -ヒ ドロキシマレイミ ド、 N -力ルバモイルマレイミ ド、 及び 3-マレイミ ドプロピ オン酸。
トランスフエリン誘導体の作製方法としては、 例えば 「新生化学実験講座 1、 タンパク質 II、 一次構造、 p . 7 5— 8 0」 および 「新生化学実験講座 3、 糖質 II、プロテオグリカンとダルコサミノグリカン、 p . 2 4 9— 2 5 0」、 Methods in enzymologyの Vol. 11 (1967) P . 1 9 9— 2 5 5、 3 1 5— 3 1 7、 5 4 1— 5 4 8に記載されている方法を用いることができる。 例として還元カルボキシメチル 化によるカルボキシメチルトランスフェリン作製の代表的な方法を示す。 まずト ランスフェリンを 7 Mグァニジン塩酸塩おょぴ 10 mM EDTAを含む 0. 5 Mトリス -塩酸緩衝液 (pH8. 5) に溶解し、 pHを 8. 3以上に調整する。 窒素置換した後ジチ ォスレイ トールを加え、 トランスフェリンのジスルフイ ド結合を還元する。 さら にョード酢酸を加え遮光下で反応させて S—アルキル化をおこなった後、 透析あ るいはゲル濾過により脱塩し、 目的物を得る。 ョード酢酸の換わりに他の S—ァ ルキル化剤を用いればそれぞれの誘導体を得ることができる。 また、 過ギ酸酸化 法および亜硫酸分解法については、前記の「新生化学実験講座 1、タンパク質 II、 一次構造」 P . 76に記載されている方法を用いることができる。
アルブミン誘導体を製造するためのアルブミン原料としては、 ヒ ト、 牛、 豚、 鶏、 ゥサギ、 ラッ ト、 モルモッ ト、 マウス、 ゥマあるいはその他の動物由来のァ ルブミン、 及びコンアルブミンあるいはそれらと相同のアミノ酸配列を持ち、 遺 伝子工学的に製造されたものを好ましく用いることができる。 アルブミン誘導体 としては、 ジスルフイ ド結合の過ギ酸酸化物、 ジスルフイ ドの亜硫酸分解による S—スルホシスティン誘導体、 還元剤によりジスルフィ ドを切断しアルキル化剤 により S—ァルキル化したものなどを好ましく用いることができる。 誘導体化し ていないアルブミンはマトリックス ·メタ口プロテアーゼによる分解を受けにく
く、 プロテアーゼ基質として好ましくない。 アルブミン誘導体を製造するための アルキル化剤としては、 ョ一ド酢酸、 ョード酢酸アミドのほか、 トランスフェリ ンのアルキル化剤として上記に具体的に例示した化合物を好ましく用いることが できる。
アルブミン誘導体の作製方法としては、 例えば 「新生化学実験講座 1、 タンパ ク質 II、 一 7夂構造、 p . 7 5— 8 0」 および 「新生化学実験講座 3、 糖質 II、 プ 口テオグリカンとダルコサミノグリカン、 p . 2 4 9— 2 5 0」 、 Methods in enzymologyの Vol. 11 (1967) p . 1 9 9— 2 5 5、 3 1 5— 3 1 7、 5 4 1— 5 4 8に記載されている方法を用いることができる。 一例として、 還元カルボキシメ チル化によるカルボキシメチル化牛血清アルブミン作製の代表的な方法を示す。 まず、 牛血清アルブミンを 7 Mグァニジン塩酸塩および 10 mM EDTAを含む 0. 5 Mトリス-塩酸緩衝液 (pH8. 5) に溶解し、 pHを 8. 3以上に調整する。 窒素置換し た後にジチオスレィトールを加え、 アルブミンのジスルフィド結合を還元する。 さらにョード酢酸を加え、 遮光下で反応させて S—アルキル化をおこなった後、 透析あるいはゲル濾過により脱塩し、 目的物を得ることができる。 ョード酢酸の 替わりに他の S—アルキル化剤を用いることによって、 それぞれの誘導体を得る ことができる。 また、 過ギ酸酸化法おょぴ亜硫酸分解法については、 前記の 「新 生化学実験講座 1、 タンパク質 II、 一次構造」 p . 76に記載されている方法を用 いることができる。
本発明の薄膜は支持体上に形成されるが、 平面支持体上に形成されるか、 ある いは 9 6穴プレートの様な容器の底面を支持体として形成されることが好ましい。 支持体の材質や形状は特に限定されないが、 薄膜上の表面変化を顕微鏡下で観察 するような場合や、 吸光度測定や蛍光測定などの分光学的手段により表面変化を 検出する場合には、 例えば、 薄膜は透明又は半透明の支持体上に形成されること が好ましい。 このような透明又は半透明の高分子支持体としては、 例えば、 ポリ エチレンテレフタレート、 ポリエチレンナフタレート、 ァタクティックポリスチ レン、 シンジォタクティックポリスチレン、 ポリカーボネート、 トリァセチノレセ
ルロース、 ポリメチルメタタリレート、 ポリスルフォン、 ポリアリレート、 ポリ エチレン等からなる透明又は半透明プラスチックフィルムなどを用いることがで きる。また、このようなプラスチックをラミネートした紙を用いることもできる。 特に好ましいのはポリエチレンテレフタレート、 シンジオタクティックポリスチ レン、 ポリアリレートであり、 ポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。 ま た、 用いる支持体に着色が施されていてもよい。
支持体の厚さも特に限定されないが、 フィルム状の平面支持体を用いる場合、
5 0 μ m〜 3 0 0 μ mが好ましく、 より好ましくは 1 0 0 μ m〜 2 0 0 μ mであ る。 特に好ましくは 1 7 5 μ πι程度のものを用いることができる。 該支持体上の 薄膜は単層又は重層で形成することができるが、 薄膜はできる限り均一な表面を 与えるように調製すべきである。 例えば、 乾燥後の膜厚が 0 . 5〜1 0 /z m 、 好 ましくは 0 . 5〜7 m程度になるように調製することが好ましい。
薄膜の調製には、 例えば、 トランスフェリン誘導体及ぴアルブミン誘導体から なる群から選ばれるプロテァーゼ基質を含む水溶液に、 必要に応じてプロテア一 ゼ ·インヒビターと必要に応じて硬膜剤の所定量を加え、 さらに必要に応じて色 素溶液又は色素分散物を加えて均一に混合し、 得られた溶液あるいは分散液を支 持体表面に塗布して乾燥すればよい。 また、 必要に応じて、 上記の溶液又は分散 液に他のプロテアーゼ基質、 例えば、 例えばコラーゲン、 ゼラチン、 プロテオグ リカン、 フイブロネクチン、 ラミニン、エラスチン、カゼインを添加してもよい。 塗布方法としては、例えば、ディップ塗布法、ローラ一塗布法、カーテン塗布法、 押し出し塗布法などを採用することができる。 もっとも、 薄膜の調製方法はこれ らに限定されること'はなく、 例えば、 写真用フィルムの技術分野などにおいて汎 用されている薄膜形成方法などを適宜採用することが可能である。
薄膜を支持体上に形成するにあたり、薄膜と支持体との接着を改善するために、 薄膜と支持体表面との間に下塗り層を設けてもよレ、。 例えば、 塩化ビュル、 塩化 ビユリデン、 ブタジエン、 スチレン、 メタクリル酸、 アクリル酸、 ィタコン酸、 無水マレイン酸等から選ばれるモノマーの 1種又は 2種以上を重合させて得られ
る重合体又は共重合体、 ポリエチレンィミン、 エポキシ樹脂、 グラフト化ゼラチ ン、又はニトロセルロースなどの重合体を下塗り層として形成することができる。 また、 ポリエステル系支持体を用いる場合には、 下塗り層に替えて、 支持体表面 をコロナ処理、 紫外線処理、 又はグロ一処理することによつても、 支持体と薄膜 との接着力を改善できる場合がある。 コロナ処理、 紫外線処理、 又はグロ一処理 を行つた後下塗り層を塗布する方法も支持体と薄膜との接着力を改善できる。 本明細書において用いられる 「支持体上に形成した薄膜」 という用語またはそ の同義語については、 1又は 2以上の下塗り層及び Z又は支持体表面の処理を排 除するものと解釈してはならない。 もっとも、 薄膜と支持体との接着を改善する ための手段は上記のものに限定されることはなく、 例えば、 写真用フィルムの技 術分野などにおいて汎用されている手段を適宜採用することができる。 また、 薄 膜が複数の層を重層してなる場合には、 重層される 2つの層の間にさらに中間層 を設けてもよく、 本明細書において用いられる「重層」という用語は、 2つの層が 直接接触している場合に限定して解釈してはならない。 このような中間層を適宜 配置する手段は、 例えば、 写真用フィルムの技術分野などにおいて汎用されてい る。また、支持体表面上に形成された膜の表面に保護層を設けることも好ましく、 その技術は写真用フィルムの技術分野などにおいて汎用されている。
薄膜中にはトランスフェリン誘導体及びアルブミン誘導体からなる群から選ば れるプロテアーゼ基質、 及び必要に応じて硬膜剤のほか、 さらに必要に応じて色 素及ぴ Z又はプロテアーゼ ·インヒビターを配合できるが、 その他の各種の添加 物を加えてもよい。 添加物としては、 例えば薄膜の塗布を容易にするための界面 活性剤、 膜質を改善するための可塑剤 (例えばグリセリン等) 、 色素を分散する ためのオイル又は乳化剤、 防腐剤、 防かぴ剤、 p Hを調節するための酸または塩 基、 酵素活性を調節するための Ca++等の無機イオンがあげられるが、 これらに限 定されることはない。 また、 本発明の薄膜には帯電防止の手段が施されていても よい。 例えば、 プロテア一ゼ基質配合層の側又はその反対側の表面電気抵抗が 1 0 1 2 Ω以下であるものを好ましく用いることができる。膜の表面電気抵抗を低下
させるための手段としては、例えば特願 2000-24011号明細書に記載されている方 法を用いることができ、 あるいは写真用フィルムに利用されている技術を採用す ることができる。
例えば、 本発明の薄膜の製造には、 以下に示すような添加剤を必要に応じて使 用することができる。 硬膜剤 (リサーチ ·ディスクロージャー (RD) 17643: 26 頁; RD18716: 651頁左欄; RD307105: 874〜875頁) 、 バインダー (RD17643: 26 頁; RD18716: 651頁左欄; RD307105: 873〜874頁)、可塑剤又は潤滑剤 (RD17643 27頁; RD18716 : 650頁右檷; RD307105: 876頁)、塗布助剤又は界面活性剤(RD17643 26〜27頁; RD18716: 650頁右欄; RD307105: 875〜876頁)、帯電防止剤 (RD17643 27頁; RD18716: 650頁右欄; RD307105: 876〜877頁) 、 マツト剤 (RD307105: 878〜879頁)。 これらの添加剤はいずれも写真用フィルムの技術分野において汎 用されており、 本発明の薄膜の製造に同様に利用できる。
本発明の薄膜の製造には、 必要に応じて有機又は無機の硬膜剤を用いることが できる。 このような硬膜剤は、 例えばゼラチンなどの硬化促進のために利用可能 な硬膜剤から適宜選択すればよいが、 測定の対象となるプロテアーゼの活性に影 響を与えないものを選択する必要がある。 例えば、 活性ハロゲン化合物 (2, 4 —ジクロ口一 6—ヒドロキシ一 1, 3, 5—トリアジン及ぴそのナトリウム塩な ど)及ぴ活性ビニルイ 合物( 1 , 3—ビスビニルスルホニルー 2—プロパノール、 1, 2—ビス (ビニルスルホ-ルァセトアミ ド) ェタン、 ビス (ビニルスルホニ ルメチル) エーテル、 及びビニルスルホニル基を側鎖に有するビニル系ポリマー など) を用いることができ、 1 , 2—ビス (ビニルスルホニルァセトアミ ド) ェ タンを用いることが好ましい。
本発明に用いられるプロテアーゼ ·インヒビタ一は、 マトリックスメタ口プロ テアーゼを阻害することが知られている各種のキレート剤、特に EDTAあるいは。 一フエナントロリンを用いることができる。 またマトリックスプロテアーゼ特異 的な阻害剤としてティッシューインヒビターォブメタ口プロテアーゼ (TIMP) 類 や、 Batimastat, Marimastat, CGS27023A等の阻害剤を用いることができ、 これ
らについては、 例えば細胞工学 1998年、 第 17卷、 p. 561に記載されている。 ま た、 セリンプロテアーゼ阻害剤としてはフエニルメタンスルホニルフルオリ ド、 プラスミノーゲンァクティベータ一インヒビター 1、 メシル酸ガべキサート、 ァ プロチニン、 ロイぺプチン等の阻害剤を用いることができ、 これらの一部につい ては例えばプロテアーゼと生体機能 (現代化学増刊 2 2 ) P. 224, 1993 に記載さ れているがこれらの化合物に限定されることはない。
本発明の薄膜に色素を配合した場合には、 薄膜を水洗することによりプロテア ーゼの作用により薄膜に形成された消化痕を検出することが可能になる。 色素と しては可視域に吸収を有するものであれば特に制限はなく、 公知の物質を含む 種々の色素を使用することができる。 色素として、 蛍光色素又は蛍光色素以外の 色素のいずれを用いてもよいが、 高分子支持体を用いる場合には、 蛍光色素以外 'の色素を用いることが好ましい。 1種類の色素を用いてもよいが、 2種以上の色 素を組み合わせて用いてもよい。 色素としては染料又は顔料のいずれを用いても よく、 両者を組み合わせて用いてもよい。 例えば、 重層した薄膜を用いる場合に は、 各層に異なる色の色素を配合することができる。
薄膜中への色素の添加量は特に限定されないが、 薄膜の面積に対する色素合計 量として 0. 001〜10 mmol/m\ 好ましくは 0. 01〜1 腿 ol/m2である。 薄膜の製造に 好適に利用可能な色素の種類および膜への添加方法については、 特願平 11 - 365074号明細書に記載されている。 また蛍光色素を用いる場合は、 フルォレ セインやローダミンなどの蛍光色素のほか、 可視域あるいは近赤外域に蛍光を発 する蛍光色素などを用いることができるが、 その種類に特に制限はない。 また、 トランスフェリン誘導体又はアルブミン誘導体と反応して結合する性質を持つ色 素あるいは蛍光色素を用いることもできる。 例えば active orange GT、 フルォレ セィンィソチオシァネートなどが代表的であるがこれらに限定されることはない。 染料としては、 例えば、 ァゾ染料、 ァゾメチン染料、 インドア二リン染料、 ベ ンゾキノン染料、 ナフトキノン染料、 アントラキノン染料、 ジフエニルメタン染 料、 トリフエニルメタン染料、 キサンテン染料、 ァクリジン染料、 ァジン染料、
ォキサジン染料、 チアジン染料、 ォキソノール染料、 メロシアニン染料、 シァ- ン染料、ァリーリデン染料、スチリル染料、フタロシア二ン染科、ぺリノン染料、 インジゴ染料、'チォインジゴ染料、 キノリン染料、 ニトロ染料、 ニトロソ染料な どを挙げることができる。 具体的な化合物については 「新版染料便覧」 (有機合 成化学協会編;丸善, 1 9 7 0 )、 「カラーインデックス」 (The Society of Dyers and colourists) 、 「色材工学ハンドブック」 (色材協会編;朝倉書店、 1 9 8 9 ) などに記載されている。 薄膜の製造には水溶性の染料を用いることもできる が、 油溶性の染料は酵素反応に対して悪影響を及ぼさない点で好適である。 薄膜 に配合可能な好ましい染料の具体例は特願平 1 1一 3 6 5 0 7 4号明細書に記載 されているが、 それらの色素に限定される.ことはない。
本発明に用いられる顔料の種類は特に限定されず、 有機又は無機のいずれの顔 料を用いてもよい。 また、 顔料としては、 市販のものの他、 各種文献に記載され ている公知のものや新規化合物を利用できる。 具体的には、 有機顔料としては、 例えば、ァゾ顔料(ァゾレーキ顔料、不溶性モノァゾ顔料、不溶性ジスァゾ顔料、 縮合ァゾ顔料、 金属錯塩ァゾ顔料、 キレートァゾ顔料) 、 多環式顔料 (フタロシ ァニン系顔料、 アントラキノン系顔料、 ペリレン及びペリノン系顔料、 インジゴ 系顔料、 チォインジゴ系顔科、 キナタリ ドン系顔料、 ジォキサジン系顔料、 イソ インドリノン系顔料、 キノフタロン系顔料、 ジケトピロロピロール系顔料等) 、 染付けレーキ顔料 (酸性または塩基性染料のレーキ顔料) 、 ァジン顔料等、 その 他の顔料 (ニトロソ顔料、 ァリザリンレーキ顔料、 アル力リブルー) などを挙げ ることができ、 無機顔料としては群青、 コバルトブルーなどを挙げることができ る。
これらのうち、 油溶性の顔料は酵素反応に対して悪影響を及ぼさない点で好適 である。 また、 好ましい青味の色調を得るためには、 フタロシアニン顏料、 アン トラキノン系のインダントロン顔料、 染め付けレーキ顔料系のトリアリールカル ポニゥム顔料、 インジゴ、 無機顔料の群青、 コバルトブルーなどが好ましい。 さ らに色調を調整するために、赤ないし紫色の顔料、例えば、ジォキサジン系顔料、
キナタリ ドン系顔料、 ジケトピロロピロール系顔料を上記青色顔料と併用しても よレ、。顔料に関しては、カラーィンデックス(The Society of Dyers and Colourists 編) 、 「改訂新版顔料便覧」 日本顔料技術镲会編 (1 9 8 9年刊) 、 「最新顔料 応用技術 j C MC出版 ( 1 9 8 6年刊) 、 「印刷インキ技術」 C MC出版 ( 1 9 8 4年干 IJ) 、 W. Herbst, K. Hunger共著による Industrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft, 1 9 9 3年刊) 等がある。
青色顔料の例としては、好ましくは、フタロシアニン系の C. I. Pigment Blue 15、 同 15 : 1、 同 15 : 2、 同 15 : 3、 同 15 : 4、 同 15 : 6 (銅フタロシアニン) 、 モノクロ口 ないし低塩素化銅フタロシアニン、 C. I. Pigment Blue 16 (無金属フタロシアニン)、 中心金属が Z n、 A l 、 T iであるフタロシアニン、 バット染料としても知られ るインダントロン系の C. I. Pigment blue 60やそれらのハロゲン置換体、 例えば C. I. PigmentBlue 64、 同 21、 ァゾ系の C. I. Pigment Blue 25、 インジゴ系の C. I. Pigment Blue66及びレーキ顔料である C. I. Pigment Blue 63、 トリァリ—ル カルボ二ゥム型酸性染料あるいは塩基性染料のレーキ顔料である C. I. Pigment Blue 1, 同 2、 同 3、 同 9、 同 10、 同 14、 同 18、 同 19、 同 24: 1、 同 24: x、 同 56、 同 61、 同 62などが挙げられる。
赤ないし紫顔料としては、好ましくは、ジォキサジン系の C. I. Pigment Violet23、 同 37、ァゾ系の C. I. Pigment Violet同 13、同 25、同 32、同 44、同 50、 C. I. Pigment Red 23、 同 52 : 1、 同 57 : 1、 同 63 : 2、 同 146、 同 150、 同 151、 同 175、 同 176、 同 185、同 187、同 245、キナタリ ドン系の C. I. Pigment Violet 19、同 42、 I. Pigment Red 122、 同 192、 同 202、 同 207、 同 209、 トリアリール力ルポニゥム系のレーキ 顔料である C I. Pigment Viole 1、同 2、同 3、同 27、同 39、 C. I. Pigment Red 81: 1、 ペリレン系の C. I. Pigment Violet 29、 アントラキノン系の C. I. Pigment Violet 5 : 1、 同 31、 同 33、 チォインジゴ系の C. L Pigment Red 38、 同 88などが挙げら れる。
薄膜の製造には、 上述の顔料それ自体を用いてもよいが、 表面処理を施された 顔料を用いてもよい。 表面処理の方法には、 例えば、 樹脂やワックスを表面コー
トする方法、 界面活性剤を付着させる方法、 反応性物質 (例えば、 シランカップ リング剤やエポキシ化合物、 ポリィソシァネートなど) を顔料表面に結合させる 方法などを挙げることができ、 その具体的手段は 「金属石鹼の性質と応用」 (幸 書房) 、 「印刷インキ技術」 (C MC出版、 1 9 8 4 ) 、 「最新顔料応用技術」 (CMC出版、 1 9 8 6 ) などに記載されている。
薄膜の製造にあたり、 一般的には、 顔料をプロテア一ゼ基質中に分散させるこ とが望ましく、 その目的のために分散剤を用いることができる。 分散剤の種類は 特に限定されず、 用いるプロテア一ゼ基質と顔料との組み合わせに応じて種々の もの、 例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤などを用いることが できる。 疎水性のプロテア一ゼ基質中で用いる場合には、 分散安定性の観点から 高分子型分散剤を用いることが好ましい。 分散剤の例としては、 特開平 3— 6 9 9 4 9号公報、 欧州特許公開 5 4 9 4 8 6号公報等に記載のものを挙げることが できる。
薄膜の製造に使用される顔料の粒径は、 例えば、 分散後に 0 . 0 1〜1 0 /i m の範囲であることが好ましく、 0 . 0 5〜 1 πιであることがさらに好ましレ、。 顔料をプロテア一ゼ基質中に分散する方法としては、 インク製造やトナー製造時 に用いられる公知の分散技術を利用できる。 分散機としては、 例えば、 サンドミ ル、 アトライター、 パーノレミル、 スーパーミル、 ポールミル、 インペラ一、 デス パーサー、 KDミノレ、 コロイ ドミノレ、 ダイナトロン、 3本ローノレミノレ、 カロ圧ニー ダ一等を挙げることができ、 その手法の詳細は 「最新顔料応用技術」 (CM C出 版、 1 9 8 6 ) に記載されている。
薄膜には、 染料を固体微粒子分散物として添加することができる。 染料の固体 微粒子分散物は、 所望により適当な溶媒 (水、 アルコールなど) を用い、 ボール ミル、 振動ボールミル、 遊星ポールミル、 サンドミル、 コロイドミル、 ジエツト ミル、 ローラーミル等の分散機を用いて調製することができるが、 縦型あるいは 横型の媒体分散機を用いることが好ましい。 また、 染料を適当な溶媒中に溶解さ せたのち貧溶媒に添加して微結晶を析出させる方法や、 p Hをコントロールする
ことによってまず染料を溶解させ、 その後 p Hを変化させて微結晶を析出させる 方法などを利用しても分散物を得ることができる。 レ、ずれの場合も分散剤を用い ることが好ましレ、。
染料の固体微粒子分散物を含有する薄膜は、 上記のようにして得た染料の固体 微粒子を適当なプロテア一ゼ基質中に分散させることによってほぼ均一な固体微 粒子分散物を調製した後、 これを所望の支持体上に塗設することによって形成す ることができる。 また、 解離状態の染料を塩の形で水溶液として塗布した後、 酸 性のゼラチンを上塗りすることにより、 析出分散を塗布時に得る方法を採用して もよい。分散剤としては、例えば、公知のァニオン性、カチオン性、 ノ-オン性、 又は両性の低分子又は高分子分散剤を用いることができる。 例えば、 特開昭 52 - 92716号公報、 国際公開 WO 88/04794号、. 特開平 10— 2049 6号公報に記載の分散剤を挙げることができる。 特にァニオン性及ぴ Z又はノ二 オン性の高分子分散剤の使用が好ましい。
薄膜に含まれる色素は、 特開昭 62- 21 5272号公報 (125頁右上欄 2 行目〜 1 27頁左下欄末行) 、 特開平 2— 33144号公報 ( 37頁右下欄 14 行目〜 38頁左上欄 1 1行目) 、欧州特許公開 E P 0. 355. 600A2号(8 5頁 22行目〜 31行目) に記載の紫外線吸収剤、 特開平 07— 104448号 公報 (第 70欄 10行目〜第 71欄 2行目) 記載の退色防止剤と併用することも できる。
また、 薄膜への色素の導入は、 例えば、 特開平 07— 104448号公報 (第 71欄 3行目〜第 72欄 11行目) などに記載の種々の公知分散方法により行う ことができるが、 高沸点有機溶媒 (必要に応じて低沸点有機溶媒を併用してもよ い) に溶解し、 ゼラチンなどのプロテア一ゼ基質水溶液に乳化分散する水中油滴 分散法を採用してもよレ、。 水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は米国特 許第 2, 322, 027号明細書などに記載されている。 また、 ポリマー分散法 の 1つとしてのラテックス分散法及ぴラテックスの具体例は、 米国特許第 4, 1 99, 363号明細書、西独特許出願第(OLS) 2, 541, 274号明細書、
同 2, 5 4 1 , 2 3 0号明細書、 特公昭 5 3— 4 1 0 9 1号公報、 及ぴ欧州特許 公開第 0 2 9 1 0 4号公報等に記載されており、 これらを薄膜製造に利用しても よい。 また、 有機溶媒可溶性ポリマーによる分散法について国際公開 WO 8 8 Z 0 0 7 2 3号公報に記載されている。
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、 例えば、 フタ ール酸エステル類 (例えば、 ジブチルフタレート、 ジォクチルフタレート、 ジシ クロへキシルフタレート、 ジー 2—ェチノレへキシルフタレート、 デシ/レフタレ一 ト、 ビス (2, 4—ジー t e r tーァミルフエニル) イソフタレート、 ビス (1, 1ージェチルプロピル) フタレート) 、 リン酸又はホスホンのエステル類 (例え ば、 ジフエニルホスフェート、 トリフエニルホスフェート、 トリクレジルホスフ エート、 2—ェチ/レへキシ /レジフエニルホスフェート、 ジォクチ/レブチ /レホスフ エート、 トリシク口へキシノレホスフエ一ト、 トリ一 2—ェチノレへキシノレホスフエ ート、 トリ ドデシルホスフェート、 ジー 2—ェチ/レへキシノレフエ二ノレホスフエ一 ト) 、 安息香酸エステル酸 (例えば、 2—ェチルへキシルベンゾエート、 2 , 4 —ジクロ口べンゾエート、 ドデシノレべンゾエート、 2—ェチノレへキシノレ一: —ヒ ドロキシベンゾエート) 、アミ ド類 (例えば、 N, N—ジェチルドデカンアミ ド、 N, N—ジェチルラウリルアミ ド) 、 アルコール類またはフエノール類 (イソス テアリルアルコール、 2 , 4ージー t e r t—アミルフェノールなど) 、 脂肪族 エステル類 (例えば、 コハク酸ジブトキシェチル、 コハク酸ジ一 2—ェチルへキ シル、 テトラデカン酸 2一へキシルデシル、 クェン酸トリブチル、 ジェチルァゼ レート、 イソステアリルラクテート、 トリォクチルシトレート) 、 ァニリン誘導 体(N, N—ジブチルー 2一ブトキシー 5— t e r t—ォクチルァユリンなど)、 塩素化パラフィン類 (塩素含有量 1 0 %〜 8 0 %のパラフィン類) 、 トリメシン 酸エステル類 (例えば、 トリメシン酸トリブチル) 、 ドデシルベンゼン、 ジイソ プロピルナフタレン、 フエノール類 (例えば、 2 , 4—ジ一 t e r t—アミルフ ェノール、 4一ドデシルォキシフエノール、 4一ドデシルォキシカルボユルフェ ノール、 4 - ( 4ードデシルォキシフエュルスルホニル) フエノール) 、 カルボ
ン酸類 (例えば、 2— (2, 4ージー t e r t—ァミルフエノキシ酪酸、 2—ェ トキシオクタンデカン酸) 、 アルキルリン酸類 (例えば、 ジー 2 (ェチルへキシ ル) リン酸、 ジフエニルリン酸) などが挙げられる。 また、 補助溶媒として沸点 が 3 0 °C以上約 1 6 0 °C以下の有機溶剤 (例えば、 酢酸ェチル、 齚酸ブチル、 プ 口ピオン酸ェチノレ、 メチルェチルケトン、 シク口へキサノン、 2—ェトキシェチ ルアセテート、 ジメチルホルムアミ ド) を併用してもよい。
高沸点有機溶媒の量は用いられる色素 1 gに対して 1 0 g以下、 好ましくは 5 g以下、 より好ましくは l g〜0 . l gである。 また、 プロテア一ゼ基質 l gに 対して l m 1以下、 好ましくは 0 . 5 m l以下、 さらに好ましくは 0 . 3 m 1以 下が適当である。 疎水性の色素を親水性コロイドに分散する際には、 種々の界面 活性剤を用いることができる。 例えば、 特開昭 5 9— 1 5 7 6 3 6号公報の第 37 〜38頁、 リサーチ 'ディスク'ロージャ一(以下、 RDと略す) 1 7 6 4 3に界面活 性剤として挙げられたものを使うことができる。
プロテアーゼ活性測定に用いる試料として好ましくは生体試料を用いることが できる。 生体試料としては、 ヒトを含む哺乳類動物から分離 ·採取された生体試 料を用いることができ、 例えば、 罹患した哺乳類動物、 疾患の存在が疑われる哺 乳動物、 又は実験動物などから分離 ·採取した生体試料を用いることができる。 生体試料の形態は特に限定されないが、 組織切片などの固形試料や体液などの非 固形試料を用いることができる。 非固形試料としては、 例えば、 組織から吸引に より採取した細胞又は組織片を含む試料、 血液、 リンパ液、 唾液などの体液を用 いることができる。 例えば、 肺癌、 胃癌、 食道癌、 大腸癌、 乳癌、 子宮癌、 卵巣 癌、 甲状腺癌、 肝臓癌、 口腔癌、 前立腺癌、 腎臓癌、 膀胱癌などの癌組織から手 術や組織検査などにより分離 '採取した癌組織、 リンパ節、 歯周病組織、 リウマ チ性関節炎の滑膜や骨組織などの組織から手術や組織検査などにより分離 ·採取 した組織、 歯肉溝滲出液、 破壊性病変組織に含まれる液 (例えばリウマチ性病変 の関節液又は歯槽膿漏組織抽出液) 、 胸水、 腹水、 脳脊髄液、 乳腺異常分泌液、 卵巣嚢胞液、 腎臓嚢胞液、 喀痰、 血液あるいは血球などを用いることができる。
試料が組織の場合には、 例えば、 液体窒素で急速凍結した試料から凍結切片作 成装置を用いて厚さ 1〜1 0 μ ιη 、好ましくは 4〜 6 μ πιの切片を調製し、 この 切片を薄膜に貼付することによつて試料と薄膜とを接触させることができる。 穿 刺吸引により採取した細胞又は組織片を含む非固形試料についても、 コンパゥン ドなどの成形材料と混合して液体窒素で急速凍結し、 同様に切片を作製して用い ることができる。 また、 組織から穿刺吸引により採取した細胞又は組織片を含む 非固形試料をそのまま用いる場合には、 吸引した試料を薄膜上に吐出させ、 細胞 を分散状態で薄膜に接着させればよい。 組織から穿刺吸引により採取した細胞を サイトスピン装置を用いて薄膜に接着させることもできる。 さらに、 生体試料が 組織片の場合は、 採取した組織の水分を軽く拭った後、 プロテア一ゼ基質を含む 薄膜の上に 1分間から 30分間程度静置することで試料と薄膜とを接触させること ができる。
また、 リゥマチ性関節炎の患者から採取した滑膜液の様な非固形試料を用いる 場合には、 試料を適当な濃度に希釈し、 及ぴ Ζ又は必要な前処理を行った後に、 約 1〜50 μレ 好ましくは 1〜20 /i L程度を薄膜上に滴下すればよい。 歯周病の 歯肉溝滲出液を試料として用いる場合には、 歯肉溝内に濾紙を挿入して約 5〜10 β ΐ程度の歯肉溝滲出液を採取し、 該濾紙を薄膜に貼付する方法を採用すること ができる。歯肉溝滲出液の採取後、必要に応じて蒸留水や適宜の緩衝液(例えば、 50 mM Tris-HCl, pH 7. 5, 10 mM CaCl2, 0. 2 M NaCl など) を用いて濾紙から歯 肉溝滲出液を抽出し、 抽出液を薄膜上に滴下してもよい。 より多量に採取できる 体液試料 (嚢胞液など) の場合には、 試料を入れた容器の中に薄膜の一部を浸漬 する方法により再現性のよい結果が得られる。
プロテアーゼを含む組織切片を薄膜に貼付するか、 あるいは液体試料を滴下す るなどの手段によって薄膜とプロテアーゼを含む試料を接触させた後、 プロテア ーゼ活性の発現に適した温度、 例えば室温から 5 0 °Cの間の温度、 さらに好まし くは 3 7〜 4 7 °Cの飽和湿度条件下でトランスフ リン誘導体及ぴアルブミン誘 導体からなる群から選ばれるプロテアーゼ基質の消化に必要な時間、 例えば 10
分から 30時間程度薄膜をィンキュベートする。必要な時間は試料や薄膜の種類 ίこ よつて異なるが、 好ましくは、 組織切片又は吸引により得た細胞若しくは組織片 を含む非固形試料については 37°Cで 10分間〜 48時間、さらに好ましくは 10分間 〜24時間、滲出液などの液状の試料については 10分間〜 24時間、好ましくは 10 分間〜 6 時間インキュベートし、 試料中のプロテアーゼによって薄膜中に消化痕 を形成させる。
その後、 薄膜を染色及び Z又は洗浄し、 消化されたプロテアーゼ基質、 及び薄 膜が色素を含む場合には消化物に含まれる色素を除去する。 さらに、 へマトキシ リンゃメチルダリーンにより薄膜上の生体試料に含まれる細胞核を染色する方法 を追加すると、 消化痕の部位を詳細に特定することができる。 また、 色素を含ま ない薄膜を用いる場合には、 薄膜と試料とを接触させた後、 薄膜を染色すること により消化痕の検出が容易になる。 染色ために用いる色素としては、 アミ ドプラ ック 1 0 B、 ポンソ一 3 R、 Biebric Scarletの他、 特願平 11-192130号明細書 に記載された各種の色素を用いることができる。
生体試料中の実質的に連続した 2以上の切片のうちの一つをプロテアーゼ ·ィ ンヒビターを含まない薄膜に貼付し、 他の切片の 1つをプロテアーゼ ·インヒビ ターを含む薄膜に貼付して、 両者の薄膜の消化痕を比較することにより、 プロテ ァーゼの種類を特定することが可能になる。 プロテアーゼ ·インヒビターの種類 は特に限定されないが、 例えば、 キレート剤、 マトリ ックスメタ口プロテアーゼ 阻害剤、 又はセリンプロテアーゼ阻害剤などを好適に用いることができる。
また、 プロテア一ゼ基質及び色素を含む単層の薄膜を用いる場合には、 試料中 のプロテアーゼにより薄膜が消化されるに従って薄膜の光学濃度が減少するが、 プロテア一ゼ基質を含む薄膜が重層塗布されており、 各層に異なる色の色素が添 加されている場合には、試料中のプロテアーゼにより薄膜が消化されるに従って、 光学濃度とともに薄膜の色相が変化する。 このような薄膜を用いると、 消化の強 さを視覚的に判定することが容易である。
本発明の薄膜を用いて生体試料に含まれるプロテアーゼ活性を測定し、 試料が
由来した生体の状況、 例えば癌の転移ゃリゥマチの進行度などとの対応を調べる ことができる。 消化痕における消化の強さの判定には、 光学顕微鏡下で目視で判 定する方法、 共焦点光学顕微鏡により膜の三次元的な形態を観察する方法、 分光 器により消化痕の光学濃度を測定する方法、 光学顕微鏡で得られる画像をデジタ ルカメラあるいはスキャナ一によりコンピューターに取り込み、 画像解析の方法 により消化痕における各種の数値化を行う方法などのいずれを採用してもよレ、。 画像解析を行う場合には種々のデータ処理法を用いることができ、 その種類は特 に限定されないが、 消化痕の面積、 あるいは消化痕部分の濃度と面積の積分を用 いて消化の程度を数値ィ匕することが好ましい。
なお、 プロテア一ゼ基質を含む薄膜を用いたプロテアーゼ活性の測定方法に関 する技術は、例えば、 特開平 9- 832035号公報、特願平 11- 174826号明細書、 特願 平 11-192130号明細書、特願平 11-365074号明細書、及ぴ特願 2000-24011号明細 書などに記載されているので、 必要に応じてこれらの明細書を参照することによ り、 本発明を容易に実施できる場合がある。 これらの明細書の開示を本明細書に 参考として含める。また、特願 2000-83176号明細書及ぴ特願 2000-187061号明細 書の開示の全てを参照として本明細書の開示に含める。 実施例,
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 本発明の範囲はこれ らの実施例に限定されることはない。 例 1 :カルボキシメチルトランスフェリンの作製
牛血清トランスフェリン 10 gを 7M塩酸グァニジンと 10 mM EDTA 2ナトリウ ムを含む 0. 5Mトリス-塩酸バッファー (pH8. 5) 3リツトルに溶解した。 容器内を 窒素ガスで置換した後、 ジチオスレィトール(Dithiothreitol) 10 g を加えた。 室温で 2時間撹拌した後、 直射光の当たらないところで秤量したョード酢酸' 25 g を加え、 遮光下で室温 30分間反応させた。 反応終了後、 カットオフ分子量 7, 000
の透析膜を用いて透析し、 脱塩した。 得られた反応物を SDSポリアクリルアミ ド 電気泳動により調べたところ、 反応原料のトランスフェリンが分子量約 82, 000 のバンドを示したのに対し、反応物は分子量が約 88, 000と増加した位置にバンド を示した。 例 2 : シァノェチルトランスフェリンの作製
牛血清トランスフェリン 10 gを 8M尿素水溶液 2 リツ トルに溶解した。 水酸化 ナトリゥムで pHを 8. 0に調整し、容器内を窒素ガスで置換した後、ジチォスレイ トール 10 gを加えた。 室温で 2時間撹拌した後、 アクリロニトリル 6. 9 gを加 え、 室温で 4時間反応させた。 反応終了後、 カットオフ分子量 7, 000の透析膜を 用いて透析し、 脱塩した。 得られた反応物を SDSポリアクリルアミド電気泳動に より調べたところ、 反応原料のトランスフェリンより高分子量側にバンドを示し た。 例 3 :ェチルスクシンイミ ドトランスフ.ェリンの作製
牛血清トランスフェリン 10 gを 8M尿素水溶液 2リツトルに溶解した。 水酸化 ナトリゥムで pHを 8. 0に調整し、容器内を窒素ガスで置換した後ジチオスレィト ール 10 gを加えた。 室温で 2時間撹拌した後 N-ェチルマレイミ ド 19 gを加え た。 室温で 2時間反応させた後、 カットオフ分子量 7, 000の透析膜を用いて透析 し、 脱塩した。 得られた反応物を SDSポリアクリルアミ ド電気泳動により調べた ところ、 反応原料のトランスフェリンより高分子量側にバンドを示した。 例 4 : トランスフェリン誘導体の薄膜の作製
(支持体の作成)
175 μ ηι の P E Tクリア一フィルムの表面をコロナ放電処理したのち、 以下の 組成の下塗りを施した支持体を作成した。 なお、 裏面の電気抵抗を測定したとこ ろ、 1 X 1 0 8 Ωであった。
1. おあて面
ゼラチン 0 3 g/m2
硬翻 (1) 0 001 g/m2
2. 裏面
ゼラチン 0. 05 g/m:
酸 ^[匕アンチモンをドープした
二酸化スズの水分散物 04 g, m'
メチルセノレロース 01 g.
マツト剤
(平均粒径 3 μの P MM Αポリマ一粒子) 0 005 m'
硬膜剤 (2) 0 002 g/m' 硬膜剤(1) 硬膜剤(2)
(塗布液の調製およぴ塗布)
例 1カゝら 3の操作により得られたトランスフェリン誘導体各 3 g をそれぞれ 100 mLの純水に溶解し、 塩酸または NaOHにより pHを 7· 0から 7.5の間に調整し た。 硬膜剤として 1, 2—ビス (ビニルスルホニルァセトアミ ド) エタンを 45 mg ずつ添加した。 前記支持体に各トランスフェリン誘導体を、 膜厚約 3 μ mになる よう塗布した。 例 5 :色素を含 ェリン誘導体薄膜の作製
特願平 11- 365074号明細書の例 1と同じ処方で、 ただしゼラチンの代わりに上 記トランスフェリン誘導体を用い、 赤色色素を含むトランスフェリン誘導体の薄 膜を作製した。 例 6 : キレート剤を含むカルボキシメチルトランスフェリンの薄膜の作製
上記例 1の操作により得られたカルボキシメチルトランスフェリン 3 gを 100 mLの純水に溶解し、 塩酸または NaOHにより pHを 7. 0から 7. 5の間に調整した。 硬膜剤として 1, 2—ビス (ビュルスルホニルァセトアミ ド) エタンを 45 mg、 およびキレート剤として o—フエナント口リンを 0. 38 g添加した。例 4に示した 支持体に各トランスフェリン誘導体を、 膜厚約 3 μ ιηになるよう塗布した。 例 7 :色素とトリプシンインヒビターを含むカルボキシメチルトランスフェリン 薄膜の作製
特願平 11 365074号明細書の例 2と同様の処方で、 ただしゼラチンの代わりに カノレボキシメチノレトランスフェリンを用い、 また、 ο—フエナントロリンの代わ りにメシル酸ガべキサートをカルボキシメチルトランスフェリン 1 gあすこり 0. 05 g 添加し、 赤色色素と トリプシンインヒビターを含むカルボキシメチルトランス フェリンの薄膜を作製した。 例 8 :ゼラチン薄膜の作製 (比較例)
豚皮酸処理ゼラチン 10 gを純水 127 gに溶解し、 硬膜剤として 1, 2—ビス (ビュルスルホニルァセトアミ ド) エタンを 150 mg添カ卩した。 例 4に示した支持 体に膜厚約 3 /i mになるよう塗布した。 例 9 : トランスフェリン薄膜とゼラチン薄膜のプロテアーゼ溶液による消化
(プロテアーゼ溶液)
MP- 2 (ャガイ製、 2 u/mL) 、 MMP-3 (ャガイ製、 0· 5 u/mL) 、 MMP-7 (ャガイ製、
1 u/mL) を PBSにより 3倍希釈し、匿 - 9 (ャガイ製、 5 u/mL) 、牛トリプシン (シ ダマ製) を PBSにより lu/mLに調製した。
(染色液の作製)
Biebric Scarlet (Aldrich製) 0. 45 gを蒸留水 75 mlに添力 Πし、 さらにトリ クロ口酢酸 5 gおよび 100%エタノール 75 mlを添加した。 スターラーで撹拌し て溶解させ、 濾紙で濾過し不溶解分を除いた上で染色液とした。
(膜の酵素消化実験)
例 4に従って得られたトランスフェリン誘導体の薄膜と、 例 8に従って得られ たゼラチン薄膜に上記酵素溶液を 1 z 1ずつ並べて滴下し、 湿箱中で 37°C、 16時 間ィンキュベートした。 その後 Biebrich Scarlet染色液に膜を 4分間浸漬し、 10 分間水洗した。 結果を目視で評価したところ、 ゼラチン膜はすべての酵素によつて消化されて おり、 溶液を滴下した部分に穴が開いていた。 これに対して、 カルボキシメチル トランスフェリン、 シァノェチルトランスフェリン、 ェチルスクシンイミ ドトラ ンスフェリンは MMP - 2, MMP-3, MMP- 9による消化をほとんど受けておらず、 MMP- 7 によってはゼラチンと同様に消化された。 これらの膜はトリプシンによってはや はり消化されたが、 ゼラチン膜よりかなり消化は弱かった。 この結果から、 トラ ンスフェリン誘導体の薄膜は MP-7に対する選択性が高まつたと結論できた。 また、 同様の酵素消化実験を、 例 6に示すキレート剤を含むカルボキシメチル トランスフェリンの薄膜に対して行ったところ、 MMP類による消化は起らず、 ト リプシンによってのみ消化された。 さらに、 例 7に示す赤色色素とトリプシンィ ンヒビターを含むカルボキシメチルトランスフェリンの薄膜に酵素溶液を滴下し て湿箱中で 37°C、 16時間インキュベート'し、 水洗して観察すると、 MMP-7によつ てはっきりと消化された以外、 MMP-2、 MMP - 3、 MMP - 9 およびトリプシンによって はほとんど消化されなかった。
例 1 0 :食道癌凍結切片のプロテアーゼ活性の測定
外科手術により摘出し凍結した食道癌癌検体を急速凍結した後、 凍結切片作製 装置を用いて一 25°Cで厚さ 4 mに薄切し、例 5に従って作製した赤色の色素乳化 物を含む 3種のトランスフェリン誘導体およびゼラチン薄膜に接着させた。 これ らの膜を 37°C、 相対湿度 100%で 8時間ィンキュペートし、 自然乾燥させたのち、 10分間水洗した。 マイヤーのへマトキシリン液に 2分間浸漬して核染色を行い、 10分間水洗後、 20秒間エタノールに浸漬して脱水し自然乾燥させた。 また、 同様 に核染色を行ない、 10分間水洗した後、 20%グリセリン水溶液に 5分間浸漬して 自然乾燥させた。 乾燥後、 組織切片を覆うようにカバーエイドフィルム (サクラ 精機製).をキシレンを用いて貼り付け食道癌切片を封入した。 このフィルムをプ ラスチック製のホルダーに保持し、 光学顕微鏡を用いて観察するといずれの薄膜 においても食道癌組織切片中、 核の形態より癌細胞が存在すると考えられる部位 に薄膜の消化が認められ、 プロテアーゼ活性があることが明らかとなった。 20% グリセリン水溶液に浸漬して自然乾燥させる工程のみを変更した場合にも同様の 結果を与えた。
カルボキシメチルトランスフェリン薄膜とゼラチ^薄膜の結果を比較すると、 ゼラチン薄膜の方が広範囲に消化されていた。 次に、 摘出した検体の周辺の正常 組織と思われる部分について同様に凍結切片を作製して試験したところ、 ゼラチ ン薄膜では一部に消化が見られたのに対して、 トランスフェリン誘導体の薄膜で はほとんど消化が見られなかつた。 トランスフェリン誘導体の薄膜は、 癌に対す る選択性が高まったと考えられ、 その原因は、 例 9の結果からトランスフェリン 薄膜は MM P— 7に対して選択性が高まっているためと考えられた。 また、 3 種 のトランスフェリン誘導体の薄膜の比較では、 カルポキシメチルトランスフェリ ン薄膜が、 消化部分と消化されない部分のコントラストが最も良く、 最適であつ た。 例 1 1 :カルボキシメチル化牛血清アルブミンの作製
牛血清アルブミン 10 gを 7M塩酸グァ-ジンと 10 mM EDTA 2ナトリゥムを含 む 0. 5Mトリス-塩酸バッファー (pH8. 5) 3リツトルに溶解した。 容器内を窒素ガ スで置換した後、 ジチオスレィトール(Dithiothreitol) 10 g を加えた。 室温で 2時間撹拌した後、直射光の当たらないところで秤量したョード酢酸 25 gを加え、 遮光下で室温 30分間反応させた。反応終了後、カットオフ分子量 7, 000の透析膜 を用いて透析し、 脱塩した。 得られた反応物を SDSポリアクリルアミ ド電気泳動 により調べたところ、反応原料の牛血清アルプミンが分子量約 75, 000のバンドを 示したのに対し、 反応物は分子量が約 80, 000と増加した位置にバンドを示した。 例 1 2 : カルボキシメチル化コンアルブミンの作製
コンアルブミン 10 gを 7M尿素と 10 raM EDTA 2ナトリウムを含む 0. 5M トリス -塩酸バッファー (PH8. 5) 3 リ ットルに溶解した。 容器内を窒素ガスで置換した 後、 ジチオスレィトール(Dithiothreitol) 10 g を加えた。 室温で 2時間撹拌し た後、直射光の当たらないところで秤量したョード酢酸 25 gを加え、遮光下で室 温 30分間反応させた。反応終了後、カツトオフ分子量 7, 000の透析膜を用いて透 析し、 脱塩した。 得られた反応物を SDSポリアクリルアミ ド電気泳動により調ぺ たところ、反応原料のコンアルブミンが分子量約 82, 000のバンドを示したのに対 し、 反応物は分子量が約 87, 000と増加した位置にパンドを示した。 例 1 3 :シァノェチル牛血清アルブミンの作製
牛血清アルブミン 10 gを 8M尿素水溶液 2リットルに溶解した。 水酸化ナトリ ゥムで PHを 8. 0に調整し、容器内を窒素ガスで置換した後、ジチオスレィトール 10 gを加えた。 室温で 2時間撹拌した後、 アクリロニトリル 6. 9 gを加え、 室温 で 4時間反応させた。 反応終了後、 カッ トオフ分子量 7, 000の透析膜を用いて透 析し、 脱塩した。 得られた反応物を SDSポリアタリルァミ ド電気泳動により調ぺ たところ、 反応原料の牛血清アルブミンより高分子量側にバンドを示した。
例 14 : N—ェチルスクシンィミ ド化牛血清アルブミンの作製
牛血清アルブミン 10 gを 8M尿素水溶液 2リツトルに溶解した。 pHを 6.5に調 整し、 容器内を窒素ガスで置換した後ジチオスレィトール 10 g を加えた。 室温 で 2時間撹拌した後 N-ェチルマレイミ ド 19 gを加えた。 室温で 4時間反応させ た後、 カットオフ分子量 7, 000の透析膜を用いて透析し、 脱塩した。 得られた反 応物を SDSポリアタリルァミド電気泳動により調べたところ、 反応原料の牛血清 アルブミンより高分子量側にバンドを示した。 例 1 5 : アルブミン誘導体の薄膜の作製
(支持体の作成)
175 μώ の Ρ ΕΤクリア一フィルムの表面をコロナ放電処理したのち、 以下の 組成の下塗りを施した支持体を作成した。 なお、 裏面の表面電気抵抗を測定した ところ、 1 X 1 08 Ωであった。
1. お■ t> ώ
ゼラチン 0 3 g/m2
硬膜剤 (1) 0 00 1 g/m2
2. 裏面
ゼラチン 0. 0 5 g/m'
酸化アンチモンをドープした
二酸化スズの水分散物 0 04 g/m2
メチノレセノレロース 0 0 1 g / m2
マツト剤
(平均粒径 3 μの P MM Αポリマー粒子) 0 00 5 g/m2
硬膜剤 (2) 0 00 2 g/m2
硬膜剤 (2)
(塗布液の調製および塗布)
例 1 1から 1 3の操作により得られたアルブミン誘導体各 3 gをそれぞれ 100 fflLの純水に溶解し、 塩酸または NaOHにより pHを 7. 0から 7. 5の間に調整した。 硬膜剤として 1 , 2—ビス (ビニルスルホ-ルァセトアミ ド) エタンを 45 mgず つ添加した。 前記支持体に各アルブミン誘導体を、 膜厚約 3 μ ιηになるよう塗布 した。 例 1 6 :色素を含むアルブミン誘導体薄膜の作製
特願平 11-365074号明細書の例 1と同じ処方で、 ただしゼラチンの代わりに上 記アルブミン誘導体を用レ、、赤色色素を含むアルブミン誘導体の薄膜を作製した。 薄膜を乾燥後 2週間室温で保管したのち、 100 mM塩化カルシウム水溶液に 10分 間浸漬し、 自然乾燥した。 例 1 7 :キレート剤を含むカルボキシメチルイヒ牛血清アルブミンの薄膜の作製 上記例 1 1の操作により得られたカルボキシメチル化牛血清アルブミン 3 gを 100 mLの純水に溶解し、 塩酸または NaOHにより pHを 7. 0から 7. 5の間に調整し た。硬膜剤として 1 , 2—ビス(ビニルスルホニルァセトアミ ド)エタンを 45 mg、 およびキレート剤として o—フエナント口リンを 0. 38 g添加した。例 1 5に示し た支持体に各アルブミン誘導体を、 膜厚約 3 μ mになるよう塗布した。
例 1 8 :色素と トリプシンインヒビターを含むカルボキシメチル化牛血清アルブ ミン薄膜の作製
特願平 11 - 365074号明細書の例 2と同様の処方で、 ただしゼラチンの代わりに 力ルポキシメチル化牛血清アルブミンを用い、 また、 0-フエナント口リンの代わ りにメシル酸ガべキサートをカルボキシメチル化牛血清アルブミン 1 g あたり 0. 05 g添加し、 赤色色素とトリプシンインヒビターを含むカルボキシメチル化牛 血清アルブミンの薄膜を作製した。
例 1 9 :ゼラチン薄膜の作製 (比較例)
豚皮酸処理ゼラチン 10 gを純水 127 gに溶解し、 硬膜剤として 1, 2—ビス (ビニルスルホニルァセトアミ ド) エタンを 150 mg添加した。 例 1 5に示した支 持体に膜厚約 3 mになるよう塗布した。
例 2 0 :牛血清アルブミン誘導体薄膜とゼラチン薄膜のプロテアーゼ溶液による 消化
(プロテアーゼ溶液)
.MMP - 2 (ャガイ製、 2 u/mL) 、 MMP - 3 (ャガイ製、' 0. 5 u/mL) 、 MMP-7 (ャガイ製、 1 u/mL) を PBSにより 3倍希釈し、 MMP- 9 (ャガイ製、 5 u/mL) 、 牛トリプシン (シ ダマ製) を PBSにより lu/mLに調製した。
(染色液の作製)
Biebrich Scarlet (Aldrich製) 0· 45 gを蒸留水 75 mlに添加し、 さらにトリ クロ口酢酸 5 gおよび 100%エタノール 75 mlを添カ卩した。 スターラーで撹拌し て溶解さ^:、 濾紙で濾過し不溶解分を除いた上で染色液とした。
(膜の酵素消化実験)
例 1 5に従って得られたアルブミン誘導体の薄膜と、 例 1 9に従って得られた ゼラチン薄膜に上記酵素溶液を 1 1ずつ並べて滴下し、 湿箱中で 37°C、 16時間
ィンキュベートした。 その後 Biebrich Scarlet染色液に膜を 4分間浸漬し、 10 分間水洗した。
結果を目視で評価したところ、 ゼラチン膜はすべての酵素によって消化されて おり、溶液を滴下した部分に穴が開いていた。 これに対して、 カルポキシメチル 化牛血清アルブミン、 シァノェチル化牛血淸アルブミン、 N—ェチルスクシン イミ ド化牛血清アルブミンは MMP - 2, MMP - 3, MMP - 9による消化をほとんど受けて おらず、 MMP - 7 によってはゼラチンと同様に消化された。 これらの膜はトリプシ ンによってはやはり消化されたが、 ゼラチン膜よりかなり消化は弱かった。 · この 結果から、 アルブミン誘導体の薄膜は MMP- 7に対する選択性が高まったと結論で きた。
また、 同様の酵素消化実験を、 例 1 7に示すキレート剤を含むカルポキシメチ ル化牛血清アルブミンの薄膜に対して行ったところ、 MMP類による消化は起らず、 トリプシンによってのみ消化された。 .さらに、 例 1 8に示す赤色色素とトリプシ ンインヒビターを含むカルボキシメチル化牛血清アルブミンの薄膜に酵素溶液を 滴下して湿箱中で 37° (、 16時間ィンキュベートし、 水洗して観察すると、 MMP - 7 によってはっきりと消化された以外、 MMP - 2、 MMP - 3、 MMP-9 およぴトリプシンに よってはほとんど消化されなかつた。 例 2 1 :食道癌凍結切片のプロテアーゼ活性の測定
外科手術により摘出し凍結した食道癌癌検体を急速凍結した後、 凍結切片作製 装置を用いて一 25°Cで厚さ 4 μ mに薄切し、例 1 6に従つて作製した赤色の色素乳 化物を含む 3種のァルブミン誘導体おょぴゼラチン薄膜に接着させた。 これらの 膜を 37°C、 相対湿度 100%で 8時間インキュベートし、 自然乾燥させたのち、 10 分間水^した。 マイヤーのへマトキシリン液に 2分間浸漬して核染色を行い、 10 分間水洗後、 20秒間エタノールに浸漬して脱水し自然乾燥させた。 乾燥後、 組織 切片を覆うようにカバーエイドフィルム (サクラ精機製) をキシレンを用いて貼 り付け食道癌切片を封入した。 このフィルムをプラスチック製のホルダーに保持
し、 光学顕微鏡を用いて観察するといずれの薄膜においても食道癌組織切片中、 核の形態より癌細胞が存在すると考えられる部位に薄膜の消化が認められ、 プロ テアーゼ活性が検出された。
カルボキシメチル化牛血清アルブミン薄膜とゼラチン薄膜の結果を比較すると、 ゼラチン薄膜の方が広範囲に消化されていた。 次に、 摘出した検体の周辺の正常 組織と思われる部分について同様に凍結切片を作製して試験したところ、 ゼラチ ン薄膜では一部に消化が見られたのに対して、 アルブミン誘導体の薄膜ではほと んど消化が見られなかった。 アルブミン誘導体の薄膜は、 癌に対する選択性が高 まったと考えられ、 その原因は、 例 2 0の結果からアルブミン薄膜は MM P— 7 に対して選択性が高まっているためと考えられた。 産業上の利用可能性
本発明の薄膜は、特定のプロテアーゼにより選択的に消化痕が形成されるので、 特定のプロテァ一ゼ活性の測定に有用である。