明 細
技術分野
本発明は、 携帯型パーソナルコンピュータ等の電池電源により動作するホス卜機 器と電池電源となるバッテリーパックとの間で情報の送受信を行うことにより電力 管理を可能とした電池電源装置に関するものである。 景技 fe
一般にノートパソコン、 モバイルコンピュー夕と称される携帯型パーソナルコン ピュー夕 (以下、 パソコン) は電池電源により動作することが可能である。 電池電 源には、 二次電池とこの二次電池を過充電や過放電等から保護する保護回路を備え たバッテリ一パックが使用される。 保護回路は直列接続された複数の二次電池のう ち 1つでもその電圧が規定の電圧以下になると、 二次電池を保護するためにトー夕 ルの電圧に関係なく出力を遮断する。 しかし、 パソコンにおいては突然の電源遮断 はデ一夕破壊につながるので、 所定の手順を経た電源遮断が必要である。 そこで、 パソコンに用いるバッテリーパックにはファームウェアを備えたマイクロコンピュ 一夕 (以下、 マイコン) が装備され、 パソコン本体との間を通信路で接続したイン テリジェントバッテリーに構成される。
ィンテリジェントバッテリーの一例としてスマートバッテリーシステムが知られ ている。 バッテリーパックは前記保護回路と共にマイコンを備えて二次電池の残遷 電圧、 電流、 温度等を検出すると共に、 前記マイコンが制御データやメーカ一、 シ リアル番号、 充電条件等のバッテリー個別のデ一夕を記憶し、 パソコン本体が備え るスマートチヤ一ジャー及びパワーマネジメントコントローラとの間で 2線同期式 シリアル通信インターフェースにより二次電池の充放電制御に関する情報を送受信 する。 パソコン本体はノ ッテリ一パックのマイコンから送信されたデ一夕に基づ 、
て二次電池の最適な充放電制御ができるため、 省電力制御や二次電池の劣化防止等 を図り、 電池電源によりパソコンを動作させたときの不用意な電源遮断等に起因す るトラブルも防止できる。
しかしながら、 前記バッテリーパックのデ一夕はマイコンに装備された R O Mに ファームゥヱァとして記憶されているため、 障害対応や機能向上の必要が生じたと き、 バッテリーパックのデ一夕を更新することができない。 ファームウェアを変更 するにはマイコンの交換が必要であり、 ュ一ザが対応できるものではないので、 ュ 一ザは障害対応や機能向上を行えず、 バッテリーパックのデータを最適、 最新の状 態に更新し得ない問題があった。
本発明の目的は、 バッテリーパックのファームウェアの書換えを可能として、 ノ ソコン本体が常に最適、 最新のバッテリーパックのデ一夕に基づいて電力管理がで きる電池電源装置を提供することにある。 発明の開示
上記目的を達成するための本願の第 1発明の電池電源装置は、 二次電池及びこの 二次電池の充放電を管理する電池管理機能を備えたバッテリーパックと、 このバッ テリ一パックが装着されるホスト機器との間が通信路で接続され、 バッテリーパッ クとホスト機器との間で情報を送受信するスマートバッテリー装置において、 前記 ノ ッテリーパックは、 このバッテリーパックのファームウェアを格納する書換え可 能な記憶手段と、 この記憶手段が格納するファームウェアを書き換えるファームゥ エア書換え手段とを備え、 前記ホスト機器は、 データ入力手段から入力された更新 ファームゥエアを通信路からバッテリーパックに転送するファームゥェァ転送手段 を備えてなることを特徴とする。 障害対応や機能向上の必要が生じたとき、 更新フ アームウェアをデ一夕入力手段から入力すると、 ファームウェア転送手段によって 更新ファームウェアは通信路を通じてバッテリーパックに転送され、 ファームゥェ ァ書換え手段がファームウェアを更新する。 従って、 バヅテリ一パックを常に最適、 最新の制御状態で使用することができる。
また、 本願の第 2発明の電池電源装置は、 二次電池及びこの二次電池の充放電を 管理する電池管理機能を備えたバッテリーパックと、 このバッテリーパックが装着 されるホス卜機器との間が通信路で接続され、 バッテリーパックとホスト機器との 間で情報を送受信するスマートバッテリー装置において、 前記バッテリーパックは、 このバッテリーパックのファームウェアを格納する書換え可能な記憶手段と、 この 記憶手段が格納するファームウェアを書き換えるファームウェア書換え手段とを備 え、 前記ホスト機器は、 イン夕一ネットにアクセスするイン夕一ネットアクセス手 段と、 前記記憶手段に記憶されている U R L情報を読み込み、 該当するサーバーか ら更新ファームゥヱァを取得する更新ファームウェア取得手段と、 更新ファームゥ エアを通信路からバッテリーパックに転送するファームウェア転送手段とを備えて なることを特徴とする。 障害対応や機能向上の必要が生じたとき、 イン夕一ネット アクセス手段により所定のサーバーにアクセスして更新ファームゥヱァを取得し、 これをファームウェア転送手段によって通信路を通じてバッテリーパックに転送す ると、 ファームウェア書換え手段がファームウェアを更新する。 従って、 バッテリ —パックを常に最適、 最新の制御状態で使用することができる。
上記構成において、 更新ファームウェア取得手段がインターネヅトを通じて取得 した更新ファームゥヱァを一時的に記憶する一時記憶手段を備えると、 ダウンロー ド中に通信回線の異常や切断が生じて更新ファームウェアが正常に取得できなかつ た場合に、 不完全な更新ファームウェアによってバッテリーパックのファームゥェ ァが書き換えられてしまうことがない。 ダウンロードが終了した後に一時記憶手段 に記憶された更新ファームウェアを用いて書き換えが実行されるので、 不完全な更 新ファームウェアによる書換えによってバッテリーパックが動作不能に陥ることが 防止される。 図面の簡単な説明
図 1は本発明の第 1の実施形態に係るバッテリーパックのファームウェア書換え 構成を示すプロック図であり、
図 2は第 2の実施形態に係るバッテリーパックのファームウェア書換え構成を示 すブロック図であり、
図 3はバッテリーパックの構成例を示すプロック図であり、
図 4は第 2の実施形態の構成に一時記憶手段を設けたファームゥェァ書換え構成 を示すブロック図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、 本発明の理解に供 する。 尚、 以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、 本発明の技術 的範囲を限定するものではない。
本発明の電池電源装置の第 1の実施形態は、 電池電源により動作するノー卜型パ ソコンに適用した例である。 図 1に示すように、 パソコン本体 (ホスト機器) 1は 装着されたバッテリーパック (電池電源装置) 2から供給される直流電流または A Cアダプタ一 1 0から供給される直流電流により動作する。 パソコン本体 1とバッ テリ一パヅク 2との間は 2線同期式シリアル通信ィン夕一フェイスである S M B u s (通信路) 5で接続され、 パソコン本体 1とバッテリーパック 2との間で電源管 理に関するデータの送受信を行うスマートバッテリ一システムとなっている。 パソ コン本体 1は、 A Cアダプタ一 1 0が接続された環境、 即ち商用電源が利用できる 環境では A Cアダプタ一 1 0から供給される直流電流により動作し、 またこの直流 電流をバッテリーパック 2の二次電池 3を充電する電力として用いる。 商用電源が 利用できない環境では、 パソコン本体 1はバッテリーパック 2から供給される直流 電流により動作する。
前記バッテリーパック 2は、 図 3に示すように、 所要の電圧及び容量を得るため に複数のリチウムイオン二次電池を組み合わせた二次電池 3と、 この二次電池 3を 過充電、 過放電、 過電流等から保護する保護回路 6と、 二次電池 3の状態を検出す ると共にパソコン本体 1との間で情報の送受信を行ってパソコン本体 1による電源 管理を可能とするマイコン 7とを備えている。 マイコン 7による電源の制御動作は
内蔵するフラッシュメモリ (記憶手段) 8に格納されたファームウェアに基づいて なされる。 マイコン 7は二次電池 3の電圧、 電流、 温度等を検出すると共に、 電池 容量の残量を算出する。 また、 フラッシュメモリ 8にはバッテリーパック 2の製造 メーカー、 製造番号、 充電条件等の固有のデータが格納されている。
パソコン本体 1は、 前記 S M B u s 5を通じてバッテリーパック 2から二次電池 3の残量と電圧のデータを受信する。 これが規定値以下である場合は、 パソコン本 体 1はフラッシュメモリ 8に格納されたバッテリーパック 2の充電条件を読み出し、 バッテリーシステム全体の状態に応じた充電条件に変更して、 その値をパソコン本 体 1内に装備されたスマートチヤ一ジャーに送信する。 スマートチヤ一ジャーは受 信した充電条件に基づき A Cアダプター 1 0から供給される直流電流を用いてバッ テリーパック 2に対する充電を開始する。 パソコン本体 1はバッテリーパック 2と
S MB u s 5を通じて通信し、 充電状態を監視し、 バッテリーパック 2の容量が充 電終了条件に達したとき充電を停止する。
また、 パソコン本体 1はバッテリーパック 2から残量、 充電サイクル等のバッテ リー情報を受信し、 ユーザ一が必要とする情報をディスプレイ上に表示すると共に、 残量が所定値以下になったときには警報を出してユーザーにデータ保存の処理を促 し、 バッテリーパック使用時のユーザーによる電力管理を可能としている。
バッテリ一パック 2の充放電制御は、 前記フラッシュメモリ 8に格納されたファ
—ムウェアに基づいてなされるので、 ノ ソテリーパック 2を搭載したパソコン本体 1が出荷された後で障害対応や機能向上の必要が生じたときは前記ファームウェア を書き換えることにより、 この要求に対応できる。 ファームウェアの更新は、 以下 のようになされる。
図 1に示すように、 ノ、 'ッテリ一パック 2にはフラッシュメモリ 8に格納されたフ アームウェアを書き換えるファームウェア書換え手段 1 1が設けられる。 パソコン 本体 1には更新ファームウェアをファームゥヱァ書換え手段 1 1に転送するファー ムウェア転送手段 1 2が設けられている。
ファームウェアを更新する必要が生じたときはパソコン本体 1から S MB u s 5
を通じて起動信号を送信してファームウェア書換え手段 1 1を起動させる。 尚、 ノ ヅテリ一パック 2にファームウェア書換え手段 1 1を起動させるスィツチを設けて もよい。
パソコン本体 1のファームウェア転送手段 1 2は、 更新ファームウェアを格納し た記憶媒体 (ここではフロッピ一ディスク) が挿入されたフロッピーディスク装置 (入力手段) 1 3から更新ファームウェアを読み込み、 これを S M B u s 5を通じ てファームウェア書換え手段 1 1に転送する。
ファームウェア書換え手段 1 1は、 フラッシュメモリ 8に格納された古いファー ムゥヱァを消去し、 受信した更新ファームウェアを書き込む。 このファームウェア 書き換え処理によって、 バッテリーパック 2は最新、 最適の動作状態で制御される, 更新ファームウェアの取得はパソコン本体 1が備えるイン夕一ネットアクセス機 能を利用して、 所定のィン夕ーネットサーバーからダウンロードしてもよい。
例えば図 2に示すように、 バッテリーパック 2のフラッシュメモリ 8には所定の ィン夕ーネットサーバーにアクセスするための U R L情報を格納しておき、 そのィ ン夕ーネットサーバー 1 6に更新ファームウェアを用意する。 所定のインターネッ トサーバー 1 6は、 パソコン本体 1またはバッテリーパック 2のメ一力一のサイ ト に設けることができる。
ファームウェアを更新する必要が生じたとき、 パソコン本体 1のファームウェア 転送手段 1 2が S MB u s 5を通じてバッテリーパック 2のフラッシュメモリ 8か らメーカー名、 製造番号等の情報と共に U R L情報を取得する。
取得した U R L情報を用いてインターネットアクセス手段 1 5は U R L情報に記 載された所定のインターネットサーバ一 1 6にアクセスし、 メーカー名、 製造番号 等から該当するバッテリーパック 2の更新ファームウェアのフアイルを選択してダ ゥンロードする。
次に、 パソコン本体 1から S MB u s 5を通じて起動信号を送信してファームゥ エア書換え手段 1 1を起動させる。 尚、 ファームウェア書換え手段 1 1の起動は、 ノ ツテリ一パック 2に設けた起動用のスィツチにより行ってもよい。
パソコン本体 1のファームウェア転送手段 1 2は、 ダウンロードした更新ファー ムウェアを S MB u s 5を通じてファームウェア書換え手段 1 1に転送する。 ファ —ムウェア書換え手段 1 1は、 フラッシュメモリ 8に格納された古いファームゥェ ァを消去し、 受信した更新ファームウェアを書き込む。 このファームゥヱァ書き換 え処理によって、 バッテリーパック 2は最新、 最適の動作状態で制御される。
上記ィンターネッ トを通じて更新ファームゥヱァをダウンロードする場合、 ダウ ンロードの途中で通信回線の切断や異常が生じると、 不完全な更新ファームウェア を用いてフラッシュメモリ 8のファームウェアが書き換えられてしまい、 バッテリ —パック 2は動作不能に陥ることになる。 そこで、 更新ファームウェアのダウン口 —ドが終了した後、 書き換えを実行するようにすると、 ファームウェアの不完全な 書き換えによる動作異常の発生は防止できる。
図 4は、 ィン夕一ネットを通じてダウン口一ドした更新ファームウェアを一時的 に記憶する一時記憶手段 1 8をパソコン本体 1に設けた構成を示すものである。 フ アームウェアを更新する必要が生じたとき、 イン夕一ネットアクセス手段 1 5は前 記 U R L情報に記載された所定のイン夕一ネットサーバー 1 6にアクセスし、 該当 するバッテリーパック 2の更新ファームウェアのファイルをダウンロードする。 ダ ゥンロードされた更新ファームウェアは一時記憶手段 1 8に書き込まれ、 ダウン口 —ドが終了したとき、 ファームウェア転送手段 1 7は、 一時記憶手段 1 8に書き込 まれた更新ファームウェアを読み出し、 S MB u s 5を通じてファームウェア書換 え手段 1 1に転送する。 ファームウェア書換え手段 1 1は、 フラッシュメモリ 8に 格納された古いファームウェアを消去し、 受信した更新ファームウェアを書き込む ( 一時記憶手段 1 8を用いることで、 不完全な更新ファームウェアによる書き換えを 防止する。 またファームウェア更新を課金対象として考える場合には、 先に述べた 方法では不完全なダウンロードであった場合にも課金せざるを得なくなり種々の問 題が生じるが、 一時記憶手段 1 8を用いた場合には正常にダウンロードが終了した 際、 もしくはフラッシュメモリ 8への更新ファームウェア書き込みが完了した際な どに、 インタ一ネットアクセス手段 1 5を通じて、 バヅテリ一パック 2側からイン
夕ーネットサーバー 1 6へ書き換えが正常終了した旨の情報を伝達すれば、 イン夕 —ネットサーバー 1 6を管理するデータ提供者側は正常終了時のみ課金を行うこと ができる。
以上説明した実施例は、 ユーザーがバッテリーパック 2のファームゥヱァを更新 することを可能としたものであるが、 バヅテリ一パック 2のメ一カーにおいて、 劣 化した二次電池 3を新し 、二次電池 3と交換した上で新しレ、二次電池 3に応じたフ アームウェアに更新することもできるのでバッテリーパック 2のリサイクルが可能 になる。 産業上の利用可能性
以上の説明の通り本発明によれば、 バッテリーパックのファームウェアを障害対 応ゃ機能向上の必要に応じて更新できるので、 バッテリーパックを常に最新、 最適 の状態で制御して使用する上で有用である。