明 細 書 距離検出方法及び距離検出装置 技術分野
本発明は、 移動局間又は移動局と基地局との間の相対距離を検 出するのに好適な距離検出装置及びその方法に関し、 特にスぺク トラム拡散通信方式の移動体通信システムに好適可能な距離検出 装置及びその方法に関する。 背景技術
従来、 二つの移動体の相対距離をスペク ト ラム拡散通信方式に したがった通信によって検出する距離検出装置が開発されている , 例えば、 特開平 5 — 1 2 2 1 2 0号公報で開示されている車両通 信装置では、 ある通信局 M S— 1が他の通信局 M S— 2 に向けて 拡散変調した送信波を無線送信し、 その送信波を他の通信局 M S 一 2が受信すると、 受信波の拡散符号に同期した拡散符号にて拡 散変調した送信波を通信局 M S— 1 に送り返す。
通信局 M S— 1は、 通信局 M S— 2からの応答波を受信したと きに、 送信波を送信してから通信局 M S— 2からの応答波を受信 するまでの時間を検出して、 次式 ( 1 ) を元に通信局 M S— 2 と の間の相対距離を検出する。
相対距離 =光速 X時間差 / 2 … ( 1 )
しかしながら、 上述した車両通信装置においては、 送受信回路 での信号遅延が原因で精度の高い距離検出ができないという問題 点があった。 発明の開示
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、 送受信回路内
での信号遅延に起因した距離検出誤差を除去することができる距 離検出方法及び距離検出装置を提供することを目的とする。
本発明の距離検出方法は、 電磁波の伝搬時間を測定することで 距離を検出する距離検出方法において、 送信系回路を出力した送 信信号を直接受信系回路に入力し、 前記受信系回路を通過した送 信信号の受信タイ ミ ングと送信信号の送信タイ ミ ングとの差を測 定して送受信回路の信号遅延時間を求め、 求めた信号遅延時間を 用いて測定距離の補正を行う。
この方法によ り、 送信系回路の信号遅延時間と受信系回路の信 号遅延時間の合計を測定して、 この測定した信号遅延時間を測定 距離を求める際の補正値とすることで、 送信系回路と受信系回路 の夫々の信号遅延時間が相殺されるので、 精度の高い距離検出が 可能になる。
また、 本発明の距離検出方法は、 送信した信号の測距対象物か らの反射信号を受信して、 この受信信号と送信信号との位相差を 測定し、この測定結果から前記測距対象物との相対距離を検出し、 検出した相対距離を受信系回路での前記送信信号の受信タイ ミ ン グと前記送信信号の送信タイ ミ ングとの差の測定結果である送受 信系回路での信号遅延時間を用いて補正する。
この方法によ り、 送信系回路での信号遅延時間と受信系回路で の信号遅延時間の合計を測定して、 この測定した信号遅延時間を 測距対象物までの測定距離を求める際の補正値とすることで、 送 信系回路と受信系回路の夫々の信号遅延時間が相殺されるので、 精度の高い距離検出が可能になる。
また、 本発明の距離検出装置は、 自局の夕イマで周期性の信号 を生成して相手局へ送信する送信系回路と、 前記相手局が相手局 タイマで周期性の信号を生成して自局に送信して く る信号を受信 する受信系回路と、 前記送信系回路からの送信信号を直接前記受 信系回路に入力する信号パスと、 前記送信系回路から信号を送信
したときの送信タイ ミ ングと送信信号が前記信号パスによって前 記受信系回路に入力されときの受信タイ ミ ングとの差を測定して 自局信号遅延時間を求め、 さらに相手局からの送信信号を受信し た受信タイ ミ ングを自局の夕イマの基準タイ ミ ングとのずれ量を 測定して自局検出位相差を求め、 これら 自局信号遅延時間及び自 局検出位相差と相手局で求められた相手局信号遅延時間及び相手 局検出位相差とを用いて自局と相手局との相対距離を検出する距 離検出部とを備えた構成を採る。
この構成によ り、 二つの通信局の夫々の送信系回路の信号遅延 時間と受信系回路の信号遅延時間を合計した信号遅延時間を測定 して、 双方の信号遅延時間を二つの通信局間の相対距離を求める 際の補正値とすることで、 二つの通信局の夫々の送信系回路と受 信系回路の信号遅延時間が相殺されるので、 精度の高い距離検出 が可能になる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施の形態 1 に係る距離検出装置の基本構成 を示すブロ ック図
図 2は、 本発明の実施の形態 7 に係る距離検出装置の構成を示 すブロ ック図、 及び
図 3は、 実施の形態 8に係る距離検出装置の遅延プロファイル を説明するためのタイ ミ ング図、 である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(実施の形態 1 )
図 1 は本発明の実施の形態 1 に係る距離検出装置の基本構成を 示すブロ ック図である。 この図において、 この実施の形態 1 に係 る距離検出装置は、 電波を利用して信号の送受信を行う通信局 1
0、 2 0にそれぞれ搭載したものであ り、 通信局 1 0、 2 0は、 基準夕イマ 1 1、 2 1、 信号発生部 1 2、 2 4、 送信系回路 1 3、 2 5、 信号受信部 1 4、 2 3、 受信系回路 1 5、 2 2、 送受信兼 用アンテナ 1 6、 2 6 を有している。
この実施の形態 1 に係る距離検出装置では、 一方の通信局 1 0 における信号発生部 1 2及び信号受信部 1 4、 並びに他方の通信 局 2 0 における信号受信部 2 3 と及び号発生部 2 4は、 それそれ マイ コ ン 1 7、 2 7で実現されている。
これらマイ コン 1 7、 2 7の図示せぬメモ リ には以下で説明す る距離検出方法をプログラム化したデータ(距離検出プログラム) が書き込まれている。 なお、 距離検出プログラムが格納される記 憶媒体と しては、 上記メモ リ の他に、 ハー ドディ スク装置、 フロ ヅ ピーディスク、 C D— R O M、 C D - RW, M O等の磁気記録 媒体、 光記録媒体または光磁気記録媒体が望ま しい。
上記送受信兼用アンテナ 1 6 ( 2 6 ) と送信系回路 1 3 ( 2 5 ) 又は受信系回路 1 5 ( 2 2 ) との間を接続する信号線路 1 8 ( 2 8 ) は、 信号入力手段に対応する。 ( ) 内は通信局 2 0側の構成 要素を示す。
なお、 基準タイマ 1 1 とも う一方の基準夕イマ 2 1 との周期は 同一とする。 図 1 に示す時間差 Δ Τは、 他方の通信局 2 0の基準 夕イマ 2 1がー方の通信局 1 0の基準タイマ 1 1 よ り時間が進ん でいる とき > ◦ (正)、 遅れている ときく 0 (負) とする。 また、 他方の基準夕イマ 2 1がー方の基準夕イ マ 1 1 よ り進んでいるも のと して説明を行う。
さて、 一方の通信局 1 0は、 基準夕イマ 1 1 に基づいた基準夕 イ ミ ングに同期した周期を持つ信号 (周期性信号) を他方の通信 局 2 0へ送信する。 説明を簡単にするため、 送信タイ ミ ングは基 準夕イマ 1 1 の初期位相とする。 他方の通信局 2 0は、 一方の通 信局 1 0から送信された周期性信号を受信したら、 他方の通信局
2 0内の基準夕イマ 2 1 に基づいた基準タイ ミ ングに同期した周 期性信号を一方の通信局 1 0へ送信する。説明を簡単にするため、 他方の通信局 2 0 における送信タイ ミ ングは基準夕イマ 2 1の初 期位相とする。 そして、 一方の通信局 1 0は、 他方の通信局 2 0 から送信された周期性信号を受信し、 その受信した周期性信号と 先に送信した周期性信号との位相差を検出し、 検出された位相差 によって後述する自局の信号遅延時間を補正する。 この補正値を 使って距離を計算する。
他方の通信局 2 0でも、 同様にして一方の通信局 1 0 に対する 送信タイ ミ ングと受信タイ ミ ングとから、 その位相差を検出し、 さらに通信局 2 0での信号遅延時間を測定する。 そして、 一方の 通信局 1 0 に対して通信局 2 0で検出された位相差及び信号遅延 時間、 又は位相差で信号遅延時間を補正した補正値を送信する。 後述するように、 通信局での夕イマ補正が行われた後は、 相手局 の補正値をも らわなくても距離計算可能になる。
説明を簡単にするために、 通信局 1 0 , 2 0の送信信号の送信 タイ ミ ングをおのおのの基準夕イマ 1 1 , 2 1の初期位相とした が、 通信局 1 0, 2 0が同一の位相で送信すれば、 必ずしも初期 位相でなくても良い。
以上の場合は、 一方の通信局 1 0が距離測定を実行する局とな る場合である。 他方の通信局 2 0が距離測定を実行する局となる 場合は、 送信局と受信局が逆になる。
なお、 ここでは説明を容易にするために、 一方の通信局 1 0が 距離測定のために送信信号を他方の通信局 2 0へ送信し、 受信し. た他方の通信局 2 0がその受信を ト リガにして、 一方の通信局 1 0へ距離測定のための送信信号を送り返す場合を例に説明するが、 本発明はこの様な場合に限定されない。 すなわち、 双方の通信局 1 0 , 2 0が距離測定とは関係無い通信を行っている場合に、 そ の通信における送信信号及び受信信号を利用して双方の通信局 1
0 , 2 0がそれそれ距離測定を行う こ とができる。 相手局が、 当 該相手局の送受信回路での信号遅延時間及びこの信号遅延時間を 用いて計算される補正情報を送信して く れば、 その情報を受信信 号から抽出して使用する場合も考えられる。
また、 一方の通信局 1 0が他方の通信局 2 0 との間の距離を検 出する際には、 誤差原因となる一方の通信局 1 0の送受信系回路 (送信系回路 1 3 と受信系回路 1 5 ) における信号遅延時間を測 定する。 すなわち、 送信信号を信号線路 1 8で折り返して受信し、 送信タイ ミ ングと受信タイ ミ ングとの差を測定する。 この測定値 で距離測定値を補正して、 送受信回路での信号遅延時間を相殺す るこ とによ り、 精度の高い距離検出が可能になる。 なお、 他方の 通信局 2 0が距離測定を実行する局となる場合は、 他方の通信局 2 0の送受信系回路 (受信系回路 2 2 と送信系回路 2 5 ) におけ る信号遅延時間を測定して補正値と して用いる。
以下、 距離検出方法について説明する。
ここで、 通信局 1 0の送信系回路 1 3の信号遅延時間を t l、 受 信系回路 1 5の信号遅延時間を t 2、通信局 2 0の受信系回路 2 2 の信号遅延時間を t 2、 送信系回路 2 5 の信号遅延時間を t 3 とす る。
通信局 1 0、 2 0は、 自局の基準夕イ マ 1 1、 2 1 を基準と し て、 相手局に測距用の信号を送信し、 また相手からの測距用の信 号を受信して、 自局が送信した信号と相手が送信した信号との位 相差 T a、 T bを測定する。
また、 通信局 1 0、 2 0の夫々は、 自局からの送信信号を信号 線路 1 8、 2 8で折り返して 自局の受信系回路 1 5、 2 2 に入力 して受信し、 そのときの送信タイ ミ ングと受信タイ ミ ングとの差 を測定する。 この測定によって、 t 1、 t 2、 t 3、 t 4の値を個別 に測定できないが、 通信局 1 0は ( t 1 + t 4 ) を、 通信局 2 0は ( t 2 + t 3 ) を測定するこ とができる。 この場合、 ( t 1 + t 4 ) は
通信局 1 0における送受信系回路 1 3、 1 5の夫々の信号遅延時 間の和であ り、 ( t 2 + t 3)は通信局 2 0における送受信系回路 2 5、 2 2の夫々の信号遅延時間の和である。
図 1 よ り明らかなよう に、 位相差 T b、 T aと信号伝搬時間 T、 時間差△ Τ、 信号遅延時間 t 1、 t 2、 t 3、 t 4の関係は、 次式( 2 )、 ( 3 ) のよう になる。
T a二 T + t 3+ t 4—△ T … ( 2 )
T b = T + t l+ t 2 + AT ·'· ( 3 )
通信局 1 0、 2 0は、 位相差 T a、 T bに対して、 信号遅延時 間 ( t l+ t4)、 ( t 2+ t 3) を用いて、 式 ( 4 )、 ( 5 ) の補正を 行い、 補正位相差 T a h、 T b hを相手局に通知する。
T ah= T a— ( t 1+ t 4) … ( 4 )
T b h二 T b— ( t 2+ t 3) … ( 5 )
信号遅延時間 t l、 t 4、 t 2、 t 3= 0 と した場合の通信局間の 相対距離 Rは、 式 ( 6 ) によ り検出できる。
R = c xT = c x ( T a + T b ) / 2 … ( 6 )
但し : cは光速
実際は、 信号遅延時間 t 1、 t 4、 t 2、 t 3= 0 とならないので、 式 ( 6 ) の右辺の T a、 T bを T ah、 T bhに置き換えて式 ( 4 )、 ( 5 ) を代入する と式 ( 7 ) にな り、 さ らに式 ( 2 )、 ( 3 ) を代 入する と式 ( 8 ) になる。
c X ( T ah+ T bh) / 2 = c x {T a + T b - ( t 1+ t 2 + t 3+ t 4)} / 2 … ( 7 )
c x ( T ah+ T bh) / 2 = c x T … ( 8 )
式 ( 8 ) は式 ( 6 ) の T a、 T bを T ah、 T bhに置き換えた 式 ( 9 ) に他ならない。 したがって、 相対距離 Rが求められる。
R = c xT = c x ( T ah+ T bh) / 2 … ( 9 )
一方、 通信局 1 0の基準夕イマ 1 1を基準と したときの、 他方 の通信局 2 0の基準夕イ マ 2 1の一方の通信局 1 0の基準夕イマ
1 1 からのずれ量 AT b (二 — Δ Τ ) は、 信号遅延時間 t l、 t 4、 t 2、 t 3= 0 と した場合、 式 ( 1 0 ) によ り求める事ができる。
Δ T b二 — 厶 T二 ( T a— Tb) / 2 ...( 1 0 )
この夕イマずれ量 A T bに基づいて、 通信局 2 0の基準夕イ マ を通信局 1 0の基準夕イ マに合わせる処理を行い、 その後の測定 位相差をて a (通信局 1 0 )、 て b (通信局 2 0 ) とする と、 式 ( 1 1 ) 〜式 ( 1 3 ) のよう になる。
て a= Ta+ A T b = T · · · ( 1 1 )
て b = Tb— A T b = T ...( 1 2 )
R = c x T = c xて a = c xて b ··· ( 1 3 )
他方の基準夕イマ 2 1の進みを補正して、 基準夕イマ 2 1 を△ Tだけ戻すので、 通信局 2 0はそれまで受信タイ ミ ングと して検 出していた値 T bに Δ Tだけプラスされた値を新たに検出する。 この値が式 ( 1 2 ) のて bである。
それまでは、 通信局 1 0の基準夕イマが一 Δ Τのとき通信局 2 0は信号を初期位相で送信していたが、 他方の基準夕イマ 2 1 が 補正されたのでその分遅く送信される。 したがって、 それまでの 通信局 1 0の受信タイ ミ ングと して検出していた値 T aよ り Δ Τ 分マイ ナスされた値が新たに検出される。 この値が式 ( 1 1 ) の て aである。
式 ( 1 1 ) 〜式 ( 1 3 ) から分かるように、 一度通信局 1 0 と 通信局 2 0 との間で基準夕イマ 1 1、 2 1の夕イマ合わせを行う と、 以後は相手局からの位相差の通知を必要とせず、 相手局から の送信信号の受信タイ ミ ングを測定するだけで相対距離: を検出 するこ とができる。
実際は、 信号遅延時間 t 1、 t 4、 t 2、 t 3= 0 とならないので、 式( 1 0 )の右辺の T a、 T bを T ah、 T bhに置き換えて式( 4 )、 ( 5 ) を代入する と式 ( 1 4 ) にな り、 さ らに式 ( 2 )、 ( 3 ) を 代入する と式 ( 1 5 ) になる。
( T bh— T ah) / 2二 { T b - T a - ( t 2+ t 3- t 1- t 4)} / 2 - ( 1 4 )
△ T h = ( T bh— T ah) / 2 = AT + t l- t 3 … ( 1 5 ) 通信局 1 0の基準夕イマ 1 1を基準と して通信局 2 0の基準夕 イマ 2 1の夕イマ合わせを行う場合、 通信局 2 0の基準夕イマ 2 1の補正量 AT bh を— Δ Τ Ιιとする と、 夕イ マ合わせ後の通信 局 1 0の検出位相差 r aと通信局 2 0の検出位相差て bは、式( 1 6 )、 ( 1 7 ) となる。
r a = T a + A T b h - ( 1 6 )
て b = T b— A T b h ··· ( 1 7 )
式 ( 1 1 ) 〜式 ( 1 3 ) の説明と同様に、 基準夕イマ 2 1の進 みを補正して夕イマ 2 1 を ATh分戻すので、 通信局 2 0はそれま で受信タイ ミ ングと して検出していた値 T bに△ Th だけプラス された値が新たに検出する。 この値が式 ( 1 7 ) のて bである。 それまでは、 通信局 1 0の夕イマが一 Δ ΤΙι のとき通信局 2 0は 信号を送信していたが夕イマ 2 1が補正されたのでその分遅く送 信される。 したがって、 それまでの通信局 1 0の受信タイ ミ ング と して検出していた値 T aよ り △ Th 分マイ ナスされた値が新た に検出される。 この値が式 ( 1 6 ) のて aである。
式 ( 1 6 ) に式 ( 2 ) と式 ( 1 5 ) を代入する と式 ( 1 8 ) に な り、 また式 ( 1 7 ) に式 ( 3 ) と式 ( 1 5 ) を代入する と、 式 ( 1 9 ) になる。
て a = T + t l+ t 4 - ( 1 8 )
て b = T + t 2+ t 3 - ( 1 9 )
て a、 て bに対して前記の補正式 ( 4 )、 ( 5 ) の補正を行って 得られる補正位相差を て a h、 て bhとする と、 式 ( 2 0 ) になり て a h、 て b hは信号の伝搬時間 Tになる。
T = r a h = r b h - ( 2 0 )
式 ( 2 0 ) の両辺に光速 cを掛けた式 ( 2 1 ) は、 式 ( 1 3 )
の r a、 て bをて ah、 て bhで置き換えたものに他ならない。 R = c x T = c x r ah= c x r bh ··· ( 2 1 )
上記から明らかなよう に、 通信局 1 0、 2 0の送信系回路 1 3、 2 5 と受信系回路 1 5、 2 2の信号遅延時間 t l、 t 4、 t 2、 t 3 の合計値を測定して、 検出位相差 T a、 T bに式 ( 4 )、 式 ( 5 ) の補正して得られた値を補正位相差 T a h+ T b h と決めるこ と で、 通信局 1 0 と通信局 2 0 との間の相対距離 Rを検出するこ と ができる。
特に、 式 ( 1 4 ) 〜 ( 2 1 ) に至る説明に示した通り、 基準夕 イマ 1 1、 2 1の時間差 Δ Τ、 送受信系回路 1 3、 1 5、 2 2、 2 5の信号遅延時間 t l、 t 2、 t 3、 t 4の各値を求めるこ とはで きないが、 通信局 1 0 と通信局 2 0の基準夕イマ 1 1、 2 1の夕 イマ合わせを行った後は、 自局で測定した位相差の情報だけで相 対距離 Rを検出するこ とができる。
なお、 通信局 2 0の基準夕イマ 2 1 を基準と して通信局 1 0の 基準夕イマ 1 1の夕イマ合わせを行う場合は、 タイ マ 2 1の補正 量の符号を反転すればよい。
また、 通信局 2 0の基準夕イマ 2 1の補正量 A T bh を決定し た後、 通信局 1 0 と通信局 2 0 との相対距離 Rを式 ( 2 2 ) によ つても求めるこ とができる。
R = c X ( T a h- Δ T b h) … ( 2 2 )
このように、 この実施の形態 1 に係る距離検出装置では、 通信 局 1 0、 2 0の送信系回路 1 3、 2 5 と受信系回路 1 5、 2 2の 信号遅延時間 t 1 と t 4の合計値、 t 2 と t 3の合計値を測定して、 この合計した信号遅延時間を、 相対距離 Rを求める際の補正値と するこ とで、 送信系回路 1 3、 2 5 と受信系回路 1 5、 2 2の信 号遅延時間が相殺されるので、精度の高い距離検出が可能になる。 (実施の形態 2 )
上記実施の形態 1 に係る距離検出装置は、 距離情報を必要とす
る位置認識装置、 速度検出装置、 車載装置、 移動体、 固定局、 交 通情報生成装置等に適用できる。
例えば、 自動車の無線装置の送信した送信信号が相手の車の車 体に反射して、 その反射波を受信する方式においては、 図 1の通 信局 1 0を自車の無線装置と し、 通信局 2 0 を相手の車の無線装 置とする と、 相手の車の受信系回路 2 2 と送信系回路 2 5の信号 遅延時間 t 2、 t 3が" 0 " であ り、 基準夕イ マ 1 1、 2 1の時間 差 Δ Τ = 0の場合と等価である。 但し、 相手の車の無線装置から は補正位相差 T bh の通知はない。 この場合、 式 ( 2 1 ) によ り 距離 Rを検出できる。
= c X { T a - ( t 1+ t 4)} / 2 … ( 2 3 )
但し : T aは自車の無線装置からの送信信号が相手の車 体に反射してその反射波を受信したときの受信信号と送信信号の 位相差
(実施の形態 3 )
自車の無線装置の送信した信号を相手の車の無線装置が受信し て、 理想的に応答時間 = 0で応答信号を送信して、 その信号を受 信する方式においては、 相手の車の無線装置が受信系回路 1 1 と 送信系回路 2 5の信号遅延時間 t 2+ t 3 を 自車の無線装置に通 知して、 式 ( 2 4 ) によ り距離 Rが算出できる。 この場合も相手 の車の無線装置から補正位相差 T bhの通知はない。
R = c X { T a— ( t 1+ t 4) + ( t 2+ t 3)} / 2 - ( 2
4 )
実際には、 応答時間を" 0 " にはできないので、 その対策と し て相手の車の無線装置が自車の無線装置からの送信信号の受信時 刻 T 1 と相手の車の無線装置からの送信信号の送信時刻 T 2を自 車の無線装置に通知する方法が用いられる。 この場合も、 相手の 車の無線装置が信号遅延時間 t 2+ t 3 を 自車に通知する こ とで 距離 Rの算出ができる。
(実施の形態 4 )
本発明は、 無線通信方式一般に適用可能であるが、 特にスぺク トラム拡散通信方式においては、 距離分解能に優れ、 受信信号の 拡散符号の同期合わせがそのまま信号の位相差の測定と等価にな るので、 実用が容易である。
以下、 距離検出の精度と無線のスペックに関して、 下記に実施 の形態を交えて述べる。
測定機器と測定対象物との間で電磁波のや り取り を行って、 電 磁波の片道の伝搬時間 Tを測定して、 この伝搬時間 Tに光速 ( c = 3 . 0 X 1 0 8 [ m / s ] ) を掛けるこ とで距離 Rが算出できる , このとき、 伝搬時間 Tの測定の時間分解能 d Tに光速 c を掛けて 算出される距離 d Xが距離分解能となる。 逆に、 距離の許容誤差 d xから光速を割って算出される d Tが時間の許容誤差となる。 車の衝突防止装置への適用を考えた場合、 図 1 の通信局 1 0、 2 0は車に搭載される距離検出用無線局となる。
ところで、 衝突防止のための車間距離の測定において許容され る距離の誤差を 1 mオーダとする と、 測定時間の許容誤差 d Tは 約 3 n s e cのオーダとなる。 測距信号にスぺク ト ラム拡散信号 を使用 したとき、 1 mのオーダ距離分解能に相当する時間分解能 を得るチップレー トのオーダは約 1 0 0 M H zである。 チップレ ー トが 1 0 O M H zのオーダのスぺク ト ラム拡散装置は容易に実 現できる。 このとき、 通信機の送受信系回路のゲー ト遅延時間は 一般に数十〜数百 n s e cのオーダであるので、 ゲー トの遅延誤 差は無視し得ない。 ゲー トの遅延時間を補正して設計値と して算 出したと しても、 製造上のばらつきが存在するので設計値通り に ならない。
そこで、 本発明の距離検出方法を適用する と、 自局の送信信号 を信号線路 1 8、 2 8で折り返して受信系回路 1 3、 2 2 に入力 して送信信号とその送信信号を受信した受信信号との位相差を測
定するこ とから、 製造上のばらつきを含むゲー ト遅延誤差を約 3 n s e cの分解能で測定が可能になる。
したがって、 本発明の距離検出方法を用いるこ とで、 距離分解 能が 1 mオーダで車間距離の測定ができるよう にな り、 実用化レ ベルの衝突防止装置の実現が可能になる。
(実施の形態 5 )
別の実施の形態と して、 セルラ携帯電話システムにおけるロケ —夕、 ナビゲ一夕などの位置検出装置が実現できる。 例えば、 1 1 0番、 1 1 9番緊急サービスや迷子捜査などに応用できる。 なお、 米国では、 携帯電話事業者に、 加入者の位置を一定の精 度、 確率で検出できるこ とが義務づけられている。
このセルラ携帯電話システムでは、 図 1 の通信局 1 0、 通信局 2 0の片方が基地局、 も う片方が移動局となる。
セルラ携帯電話の位置検出に要求される精度が約 6 0 mのォー ダだとする と、 距離分解能 6 0 mを時間分解能に換算する と約 2 ◦ O n s e cであ り、 周波数に換算する と約 5 M H zである。 現 行のセルラ C D M Aシステム と して I S 9 5 が実用化されてお り、 そのチップレー トが約 1 . 2 M H zであるので、 4倍のォ一バー サンプリ ングをとれば、 オーダ一的に約 2 0 0 n s e cの時間分 解能を実現できる。 すなわち、 I S 9 5 の拡散スペク ト ラム通信 の無線スペック と同程度のオーダーの無線スペックで、 通話と距 離検出を同時に実現できる。
(実施の形態 6 )
本発明の実施の形態 6 は、 携帯電話間の距離検出、 表示サ一ビ スを行う よう にしたものである。
この実施の形態 6では、 図 1 の通信局 1 0、 2 0がそれそれ携 帯電話にな り、 この 2台の携帯電話間で通話するこ とになる。 距離分解能やスペク ト ラム拡散のチップレー トのオーダは、 上 述した実施の形態 5のセルラ携帯電話システムにおけるロケ一夕、
ナビゲ一夕などの位置検出装置と同程度である。
(実施の形態 7 )
図 2 は本発明の実施の形態 7 に係るスぺク トラム拡散通信方式 に対応した一般的な通信装置の基本構成を示すブロ ック図である。
この図に示すよう に、 この通信装置は、 制御用 C P U 1 2 1 と メモ リ 1 2 2 を有する制御部 1 2 0 と、 無線回路 1 3 1 と拡散/ 逆拡散部 1 3 2 と送受信兼用アンテナ 1 3 3 とを有する送受信部 1 3 0 と、 D S P (デジタルシグナルプロセ ッサ) 1 4 1 とメモ リ 1 4 2 を有する拡散符号同期獲得/維持部 1 4 0 と、 基準タイ マ 1 5 0 とを備えて構成される。
送受信兼用アンテナ 1 3 3 は、 送信系回路と受信系回路の両方 に接続しているので、 送信信号はそのまま、 アンテナ部で折り返 して受信系回路に入力される。
スペク トラム拡散通信においては、 送信波と受信波のキャ リ ア 周波数に異なる周波数を利用する F D D方式、 または送信夕イ ミ ングと受信タイ ミ ングを分けて送信タイ ミ ング中は受信信号を無 視する T D D方式によって自局の送信信号を相手局からの受信信 号と認識することを防止している。
自局の送信信号を自局で受信する場合、 T D D方式では、 送信 タイ ミ ング中の受信信号を無視しなければ実現できる。 F D D方 式では、 送信波のキャ リ アを受信の復調回路の復調波と して供給 すれば実現できる。
また、 スペク トラム拡散通信においては、 拡散符号同調獲得/ 維持部 1 4 0 による同期獲得維持がそのまま受信タイ ミ ング測定 になっているので、 自局の送信信号を折り返した信号および相手 局からの信号受信タイ ミ ングの測定を行うために、 現行の一般的 なハ一 ドウエア構成に新たに受信タイ ミ ング測定用のハー ドゥエ ァを追加する必要がない。
拡散符号同期獲得/維持部 1 4 0の例と して遅延プロファイル
の説明を図 3 に示す。 この図において、 全位相範囲に亘つて相関 出力を検出してノイズよ り十分大きい相関出力を出力する位相ゆ i を求めて、 通常の復調のときは、 位相 で逆拡散を行う。 車間距離検出の場合、 チップレー ト 1 0 0 Μ Η ζ で 4倍オーバ 一サンプリ ングしたときの時間分解能は約 2 . 5 n s で、 距離分 解能に換算すると約 0 . 7 5 mである。
セルラ規格携帯電話システムとして実際に適用されている C D M Aシステム I S 9 5では、 チップレー トが 1 . 2 M H z なので、 4倍のオーバ一サンプリ ングしたときの時間分解能は約 2 0 0 n s で、 距離分解能に換算すると約 6 0 mである。
上記に明らかな通り、 現行の一般的なスぺク トラム拡散通信装 置のハー ド構成は、 本発明の距離測定装置のハー ドウェア構成の 要件を満たしている。 したがって、 現行の一般的なスペク トラム 拡散通信装置をそのまま用いて、 制御手段 1 2 0 のメモリ 1 2 2 に本発明の距離検出方法を実現するプログラムを記憶させること で、本発明の距離検出装置を極めて簡単に実現することができる。
(実施の形態 8 )
なお、 上記実施の形態 7ではスペク トラム拡散通信装置を例に あげたが、 本発明は無線通信方式一般に適用できる ことは明らか である。 すなわち、 通信装置のハー ド構成に、 要求される距離分 解能から換算される時間分解能で測定可能な受信信号の受信タイ ミ ング測定手段を追加すればよい。
本明細書は、 1 9 9 9年 7 月 2 6 日出願の特願平 1 1 一 2 1 0 2 3 7 に基づく 。 この内容はすべてこ こに含めておく。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 各種の通信、 特にスペク トラム拡散通信方式 による通信を行っている通信局間の距離測定において、 精度の高 い距離検出ができる。