明 細 書 環境汚染物質の免疫学的測定分析法 技術分野
本発明は、 環境汚染物質またはその分解物の免疫学的測定方法、 分析方法およ びそれらに用いるためのキットに関する。 背景技術
近年、 環境汚染物質である合成洗剤用界面活性剤化合物や内分泌攪乱物質によ る環境汚染が問題となっている。 そこで、 環境中の環境汚染物質やその分解物を 測定、 分析して、 その結果を環境保全に役立たせることが必要となる。
このような環境汚染物質や、 その分解物を測定、 分析する方法としては、 従来 から種々の方法が知られている。 例えば、 上水、 河川水、 湖沼水または下水中の 環境汚染物質および分解物を定量測定するための高速液体ク口マトグラフィー
(HPLC) 、 ガスクロマトグラフィー (GC) 、 ガスクロマトグラフィ一一高 分解能マススぺクトロメ トリー (GC— HRMS) 、 高速液体クロマトダラ フィ一一高分解能マススぺタトロメ トリー (HPLC— HRMS) などがある。 しかしながら、 これらは極微量しか存在しなレ、環境汚染物質を定量するのには 必要な感度が得られないこと、 また定量する為には溶媒による抽出等による高倍 率の濃縮が必要であること、 さらに非常に高価な機器であり操作に習熟を要する ことなどが問題となっている。 これらの問題力 ら、 環境汚染物質について、 従来 より高感度で、 迅速かつ簡単で、 特異的で、 低コス トの高感度測定法が望まれて いる。
上記の問題を解決する手段として酵素免疫測定法 (以下、 EL I S A法と略記 することがある) が挙げられる。
EL I SA法による、 様々な他の環境汚染物質に対する定量系ゃキットが構築 されており、 例えば、 W094 12536号には、 環境における石油燃料の検 出用の EL I SA法や、 そのキットが開示されている。 酵素と抗体で構成される
これらの分析キットは非常に迅速に、 通常、 数時間で測定が完了する。 また、 操 作は、 従来の HPLC、 GC、 GC— HRMSや HP LC— HRMSなどよりも 非常に簡便である。 さらに、 抗体、 特に、 モノクローナル抗体を使用することに より、 非常に特異的な定量が可能になる。 また、 HPLC、 GC、 GC-HRM Sや HP LC— HRMSなどは非常に高価な機器であり、 そのメンテナンスにか かる費用もかなりなものであるが、 EL I S A法にはそのような問題がない。 それにもかかわらず、 環境汚染物質や、 その分解物の検出、 測定に使用できる 免疫学的分析法、 特に、 EL I S A法は未だ確立されていない。 発明の目的
本発明の 1つの目的は、 環境汚染物質や、 その分解物を高感度に検出 ·測定で きる免疫学的分析法を提供することにある。
本発明の他の目的は、 本発明の方法に使用するキットを提供することにある。 本発明のこれらの目的および他の目的ならびに効果を、 添付の図面を参照して、 以下に説明する。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1で得られた、 抗マウス I g G抗体 +抗エストロゲン抗体を固 相化した担体を用いた場合のエストラジオールの標準曲線である。
図 2は、 実施例 1で得られた、 抗エスト口ゲン抗体を固相化した担体を用いた 場合のエストラジオールの標準曲線である。
図 3は、 実施例 2で得られた、 抗マウス I g A抗体 +抗 PRC抗体を固相化し た担体を用いた場合の B P Aの標準曲線である。
図 4は、 実施例 2で得られた、 抗 PRC抗体を固相化した担体を用いた場合の BP Aの標準曲線である。 発明の概要
本発明者らは、 環境汚染物質や、 それらの分解物の免疫学的分析法、 特に EL I S A法による検出、 測定法を確立すべく、 鋭意研究を重ねた。 その結果、 担体
に担持された抗ィムノグロブリン抗体 (抗 I g抗体) に環境汚染物質またはその 分解物に対する抗体が結合した複合体を構成成分の一つとしてなるキットを用い ることにより、 高感度に環境汚染物質もしくはその分解物を測定できることを見 出した。 力かる知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、 本発明を完成させるに 至った。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 担体に担持された抗ィムノグロプリン抗体にさらに環境汚染物質または その分解物に対する抗体が結合した複合体を構成成分の一つとしてなることを特 徴とする環境汚染物質、 その分解物またはそれらの混合物の免疫学的測定または 分析用キット、
(2) 環境汚染物質が、 合成洗剤用界面活性剤化合物または内分泌攪乱物質で ある上記 (1) 記載のキット、
(3) 合成洗剤用界面活性剤化合物が、 陰イオン界面活性剤化合物および非ィ オン界面活性剤化合物からなる群から選択される化合物である上記 (2) 記載の キット、
(4) 合成洗剤用界面活性剤化合物が、 C2_18アルキル硫酸、 C2 18アルキ ノレベンゼンスノレホン酸、 C。_187ノレキノレナフタレンスノレホン酸、 ナフタレンス ルホン酸塩ホルムアルデヒ ド縮合物、 ポリオキシエチレン C9_,。アルキルフ工 ニルエーテル、 ポリオキシエチレン c2_18アルキルエーテル、 ポリオキシエー テルポリスチリルフエ二ルエーテル、 ポリオキシエチレンスチレン化フエニル エーテルおよびそれらの塩からなる群から選択される化合物である上記 (2) 記 載のキット、
(5) 内分泌攪乱物質が、 女性ホルモン類、 男性ホルモン類、 甲状腺ホルモン 類、 アルキルフエノールエトキシレート類、 アルキルフエノール類、 樹脂成分類、 樹脂可塑剤類またはクロロフエノール類である上記 ( 2 ) 記載のキット、
(6) 内分泌攪乱物質が、 エストロゲン、 エストラジオール、 エストロン、 ェ ストリオール、 アンドローゲン、 テストステロン、 デヒ ドロェピアンドロステロ ン、 アンドロステンジオン、 チロキシン、 トリョードチロニン、 d_2。アルキ ルフエノールエトキシレート類、 C アルキルフエノール類、 ビスフエノー
ル 、 4, 4, ーェチリデンビスフエノール、 ビス (p—ヒ ドロキシフエ-ノレ) メタン、 2, 2 ' —ビス (4—ヒ ドロキシフエ二ノレ) 一1一プロパノーノレ、 2, 2 ' —ビス (m—メチルー p—ヒ ドロキシフエ二ノレ) プロパン、 4, 4, 一ビス (p—ヒ ドロキシフエニル) ペンタン酸、 4, 4, ージアミノジフエニルメタン、 4, 4, ージヒ ドロキシジフエニルエーテル、 4, 4, 一ジヒ ドロキシジフエ二 ルスルフォン、 4, 4 ' —ジクロロジフエニルスルフォン、 ビス [4— (2—ヒ ドロキシエトキシ) 一 3, 5—ジブロモフエニル] スルフォン、 ビス [4— (2 ーヒ ドロキシエトキシ) フエ二 Λ^] スノレフォン、 4, 4 ' —ジヒ ドロキシデフエ ニノレエーテノレ、 ρ , ρ ' ージヒ ドロキシベンゾフエノン、 4ーヒ ドロキシビフエ ニール、 フタノレ酸ブチルベンジル、 フタノレ酸ジブチル、 フタル酸ジシクロへキシ ノレ、 フタル酸ジェチル、 フタル酸ジ (2—ェチルへキシル) 、 アジピン酸ジェチ ルへキシル、 フタル酸ジへキシル、 フタノレ酸ジ一 η—ペンチル、 フタル酸ジプロ ピルならびにモノ一、 ジー、 トリ一、 テトラ一およびペンタクロロフ工ノールか らなる群から選択される物質である上記 (2) 記載のキット、
(7) 抗ィムノグロブリン抗体が抗 I gG抗体またはそれを含有する抗体混合 物である上記 (1) 記載のキット、
(8) (a) 検体と、 (b) 担体に担持された抗ィムノグロブリン抗体にさら に環境汚染物質またはその分解物に対する抗体が結合した複合体と、 (c) 標識 剤で標識した環境汚染物質、 その分解物またはそれらの混合物とを反応させた後、 担体上に保持された標識剤または担体上に保持されなかつた標識剤の活性を測定 することを特徴とする検体内の該環境汚染物質、 その分解物またはそれらの混合 物の免疫学的測定または分析方法、
(9) 環境汚染物質が、 合成洗剤用界面活性剤化合物または内分泌攪乱物質で ある上記 (8) 記載の方法、
(10) 合成洗剤用界面活性剤化合物が、 陰イオン界面活性剤化合物および非 イオン界面活性剤化合物からなる群から選択される化合物である上記 (9) 記載 の方法、
(1 1) 合成洗剤用界面活性剤化合物が、 C2_18アルキル硫酸、 C2_18アル キルベンゼンスルホン酸、 C2— 18アルキルナフタレンスルホン酸、 ナフタレン
スルホン酸塩ホルムアルデヒ ド縮合物、 ポリオキシエチレン C2_18アルキル フエニルエーテル、 ポリオキシエチレン 8アルキルエーテル、 ポリオキシ エーテルポリスチリルフエニルエーテル、 ポリォキシエチレンスチレンィ匕フエ二 ルエーテルおよびそれらの塩からなる群から選択される化合物である上記 (9) 記載の方法、
(12) 内分泌攪乱物質が、 女性ホルモン類、 男性ホルモン類、 甲状腺ホルモ ン類、 アルキルフエノールエトキシレート類、 アルキルフエノール類、 樹脂成分 類、 樹脂可塑剤類またはクロ口フエノール類である上記 (9) 記載の方法、
(1 3) 内分泌攪乱物質が、 エストロゲン、 ェストラジオ一ル、 エストロン、 エストリオ一ル、 アンドローゲン、 テストステロン、 デヒ ドロェピアンドロステ ロン、 アンドロステンジオン、 チロキシン、 トリョードチロニン、 じ ^ァノレ キルフエノールエトキシレート類、 C 20アルキルフエノール類、 ビスフエ ノール A、 4, 4 ' —ェチリデンビスフエノール、 ビス (p—ヒ ドロキシフエ二 ノレ) メタン、 2, 2, 一ビス (4ーヒ ドロキシフエニル) 一1—プロパノール、 2, 2, 一ビス (m—メチル一p—ヒ ドロキシフエニル) プロパン、 4, 4 ' - ビス (p—ヒ ドロキシフエニル) ペンタン酸、 4, 4 ' —ジアミノジフエニルメ タン、 4, 4 ' ージヒ ドロキシジフエニルエーテル、 4, 4 ' ージヒ ドロキシジ フエニノレスノレフォン、 4, 4 ' —ジクロロジフエニノレスノレフォン、 ビス [4— (2—ヒ ドロキシエトキシ) 一3, 5—ジブロモフエニル] スルフォン、 ビス [4- (2—ヒ ドロキシエトキシ) フエニル] スルフォン、 4, 4, 一ジヒ ドロ キシデフエニノレエーテノレ、 p , p ' —ジヒ ドロキシベンゾフエノン、 4ーヒ ドロ キシビフエニール、 フタル酸ブチルベンジル、 フタル酸ジブチル、 フタル酸ジシ クロへキシル、 フタル酸ジェチル、 フタル酸ジ (2—ェチルへキシル) 、 アジピ ン酸ジェチルへキシル、 フタル酸ジへキシル、 フタル酸ジ一n—ペンチル、 フタ ル酸ジプロピルならびにモノー、 ジー、 トリ一、 テトラ一およびペンタクロロ フエノールからなる群から選択される物質である上記 (9) 記載の方法、
(14) 抗ィムノグロブリン抗体が抗 I gG抗体またはそれを含有する抗体混 合物である上記 (8) 記載の方法、
(15) 担体に担持された抗ィムノグロブリン抗体にさらに環境汚染物質また
はその分解物に対する抗体が結合した複合体の、 環境汚染物質、 その分解物また はそれらの混合物の免疫学的測定または分析における使用。
( 1 6 ) 抗ィムノグロブリン抗体が抗 I g G抗体またはそれを含有する抗体混 合物である上記 (1 5 ) 記載の使用、
を提供する。 発明の詳細な説明
本発明の対象とする環境汚染物質には、 環境を汚染するいかなる物質も含まれ る。
環境汚染物質としては、 例えば、 合成洗剤用界面活性剤化合物、 内分泌攪乱物 質などが挙げられる。
合成洗剤用界面活性剤化合物としては、 例えば、 陰イオン界面活性剤化合物、 非ィオン界面活性化合物などが挙げられる。
陰イオン界面活性ィヒ合物としては、 例えば、 アルキル硫酸、 アルキルベンゼン スルホン酸 (以下、 L A Sと略称することがある。 ) 、 アルキルナフタレンスル ホン酸、 ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒ ド縮合物およびそれらの塩 (例、 ナトリウム、 カリウムなどのアルカリ金属塩) 力 らなる群から選択される化合物 が挙げられる。
また、 非イオン界面活性剤としては、 例えば、 ポリオキシエチレンアルキル フエニノレエーテノレ、 ポリオキシエチレンァ /レキノレエーテ^^、 ポリオキシエーテノレ ポリスチリノレフエ二/レエーテノレ、 ポリ才キシエチレンスチレンィ匕フエニノレエーテ ルおよびそれらの塩 (例、 リン酸塩、 硫酸塩) からなる群から選択される化合物 などが挙げられる。 ここにアルキルとしては、 炭素数 2〜1 8程度のものが包含 される。
上記内分泌攪乱物質としては、 例えば、 女性ホルモン類、 男性ホルモン類、 甲 状腺ホルモン類、 アルキルフエノールエトキシレート類、 アルキルフエノール類、 樹脂成分類、 樹脂可塑剤類、 クロ口フエノール類、 その他の物質が挙げられる。 女性ホルモン類としては、 例えば、 エストロゲン、 エストラジオール (E 2 ) 、 エストロン (E 1 ) 、 エストリオール (E 3 ) などが、 該男性ホルモン類として
は、 例えば、 アンドローゲン、 テストステロン、 デヒ ドロェピアンドロステロン、 アンドロステンジオンなどが、 該甲状腺ホルモン類としては、 例えば、 チロキシ ン (T3) 、 トリョードチロニン (T4) などがそれぞれ挙げられ、 また、 これ らの生体内代謝物である抱合体 (例えば、 ダルクロニド、 硫酸抱合体など) もこ れらに包含される。
該アルキルフエノールエトキシレート類 (APE) としては、 例えば、 式 (1) :
[式中、 R R2および R3は同一または異なって、 各々、 Hまたは炭素数 1〜2 0、 好ましくは:!〜 12の直鎖または分枝鎖 (含 sec—、 tert—、 iso— ) アルキ ル、 R4は、 (OC2H4) mOHまたは (OC2H4) nCOOH、 mは、 酸化工チレ ン鎖の平均数:!〜 70、 好ましくは 1〜15を意味する] で表されるアルキル フエノールエトキシレート類 (APE) [例、 NPE (ノユルフェノールェトキ シレート、 例えば、 NP 2EO (平均酸化エチレン鎖数 =2) 、 NP 5EO (平 均酸化エチレン鎖数 =5) 、 NP 10EO (平均酸化エチレン鎖数 = 10) 、 N
P 10 EC (平均酸化エチレン鎖数 = 10、 末端 OH—カルボン酸) 、 OPE (ォクチルフエノールエトキシレート) など] などが挙げられる。
アルキルフエノール類 (AP) としては、 例えば、 式 (2) :
[式中、 R
5、 R
6および R
7は、 同一または異なって、 各々、 Hまたは炭素数 1〜
20、 好ましくは:!〜 12の直鎖または分枝鎖 (含 sec―、 tert—、 iso-) アル
キルを意味する] で表されるアルキルフエノール類 (AP) 、 [例、 DP (4— ドデシルフェノール) 、 EP (4—ェチルフエノール) 、 HP (ヘプチルフエ ノール) 、 I PP (4—イソペンチルフエノール) 、 2— OP (2—ォクチル フエノール) 、 4一 NP (4—ノニルフエノール) 、 4— OP (4—ォクチル フエノーノレ) 、 - s B P (4—sec—ブチノレフエノーノレ) 、 4 - t B P (4_ t —ブチルフエノール) 、 4— t PP (4— t—ペンチルフエノール) 、 4_ tO P (4— t—ォクチルフエノール) など] などが挙げられる。
樹脂成分類 (PRC) としては、 例えば、 式 (3) :
[式中、 R9は、 C、 じ0または≤02、 R8および R1Qは、 同一または異なって、 各々、 H、 OH、 NH2または O (CH2) 2OH、 R11および R12は、 同一または 異なって、 各々、 存在せず、 H、 CH3、 CH2OHまたは C2H4COOH、 R13、 R14、 R15および R16は、 同一または異なって、 各々、 H、 OH、 CH3、 C Iま たは B rを意味する] で表される樹脂成分類 (PRC) [例、 BPA (ビスフエ ノール A) 、 4, 4 ' — EBP (4, 4, 一ェチリデンビスフエノール) 、 BH
PM (ビス (p—ヒ ドロキシフエニル) メタン) 、 2, 2 ' — BHPP (2, 2 ' 一ビス (4ーヒ ドロキシフエニル) 一1—プロパノール) 、 2, 2, -BM HPP (2, 2 ' —ビス (m—メチル一 p—ヒ ドロキシフエニル) プロパン) 、 4, 4' — BHPP (4, 4 ' —ビス ( p—ヒ ドロキシフエニル) ペンタン酸) 、 4, 4 ' -DDM (4, 4 ' —ジアミノジフエニルメタン) 、 4, 4, 一DDE
(4, 4, 一ジヒ ドロキシジフエニルエーテル) 、 4, 4, -DOHD S (4, 4 ' ージヒ ドロキシジフエニルスルフォン) 、 4, 4' —DC I DS (4, 4, —ジクロロジフエニルスルフォン) 、 BHEDB r PS (ビス [4一 (2—ヒ ド ロキシエトキシ) 一 3, 5—ジブロモフエ二ノレ] スノレフォン) 、 BHEPS (ビ ス [4— (2—ヒ ドロキシエトキシ) フエ二ノレ, スルフォン) 、 4, 4, -DD
E (4, 4' —ジヒドロキシジフエニルエーテル) 、 p、 p ' -DB P (p, p ' —ジヒ ドロキシベンゾフエノン) 、 HBP (4—ヒドロキシビフェニーノレ) など] などが挙げられる。
樹脂可塑剤類 (PP) としては、 例えば、 式 (4) :
[式中、 R17は、 o—フエ二レンまたはテトラメチレン、 R18および R19は、 同一 または異なって、 各々、 H、 炭素数 1〜20、 好ましくは 1〜12の直鎖または 分枝鎖 (含 sec—、 tert—、 iso— ) アルキル、 ベンジルまたはシクロへキシルを 意味する] で表される樹脂可塑剤類 [例、 BBP (フタル酸ブチルベンジル) 、 DBP (フタル酸ジブチル) 、 DCHP (フタル酸ジシクロへキシル) 、 DEP
(フタル酸ジェチル) 、 DEHP (フタル酸ジ (2—ェチルへキシル) ) 、 DE HA (アジピン酸ジェチルへキシル) 、 DHP (フタル酸ジへキシル) 、 DPP
(フタル酸ジ一 n—ペンチル) 、 DP r P (フタル酸ジプロピル) など] などが 挙げられる。
クロロフエノ一ル類 (CP) としては、 例えば、 式 (5) :
[式中、 R2Q、 R21、 R22、 R23および R24は、 同一または異なって、 各々、 Hまた は C 1を意味する] で表されるクロロフヱノール類 (CP) [例、 2— CP (2 一クロロフエノ一ノレ) 、 3— CP (3—クロロフエノ一ル) 、 4— C P ( 4—ク ロロフエノール) 、 2, 3— CP (2, 3—ジクロロフエノール) 、 2, 4 -C P (2, 4—ジクロロフエノ一ル) 、 2, 5— CP (2, 5—ジクロロフエノー
ル) 、 2, 6—CP (2, 6—ジクロロフエノール) 、 2, 3, 4—CP (2, 3, 4一トリクロロフエノール) 、 2, 4, 5— CP (2, 4, 5_トリクロ口 フエノール) 、 2, 4, 6— CP (2, 4, 6—トリクロロフエノール) 、 2, 3, 4, 5—CP (2, 3, 4, 5—テトラクロ口フエノール) 、 2, 3, 4, 6-CP (2, 3, 4, 6—テトラクロロフエノ一ル) 、 PCP (ペンタクロロ フエノール) など] などが挙げられる。
その他の物質としては、 2, 3, 7, 8—テトラクロロジベンゾ _ p—ジォキ シン (TCDD) を代表とするポリクロロジベンゾー p—ジォキシン (PCD D) 、 2, 3, 7, 8—テトラクロロジベンゾフラン (TCDF) を代表とする ポリクロロジベンゾフラン (PCDF) 、 ポリクロロビフエニル (PCB) 、 ベ ンゾフエノン、 ベンゾピラン、 クロ口ベンゼン、 ブロモナフトーノレ、 ニトロトノレ ェン、 トリブチル錫、 各種農薬、 重金属 (例えば、 Cd、 Hg、 Pbなど) 、 合 成エス トロゲン (例、 セントクロマン、 ェチニノレエス トラジオ一ノレ、 ジェチノレス チルベス トロール、 へキセス トール、 2—ヒ ドロキシェス トラジオ一ノレ、 タモキ シフェン、 ラロキシフェンなど) 、 食品、 食品添加物 (例えば、 BHA (ブチル ヒ ドロキシァニソ一ノレ) 、 エコーノレ、 ェンテロラクトン、 フイ トエストロゲン、 クメストロール、 ホルモノネチン、 ダイゼイン、 ビォチニン A、 ゲステニンな ど) などが挙げられる。
これらは、 分析する環境汚染物質や、 分解物に応じて適宜選択できる。
上記において、 炭素数 1〜 20の直鎖または分枝鎖アルキルの具体例としては、 例えば、 メチル、 ェチル、 プロピノレ、 i s o—プロピル、 プチノレ、 i s 0 —ブチ ノレ、 s e cーフチノレ、 t e r tーフチノレ、 n—ペンチノレ、 i s o—ペンチノレ、 n e o—ペンチノレ、 t e r t—ペンチノレ、 n—へキシノレ、 i s o_へキシノレ、 n― ヘプチル、 n—ォクチル、 n—ノエル、 n—デシル、 ゥンデシル、 ドデシル、 ト リデシル、 テトラデシル、 ペンタデシル、 へキサデシル、 ヘプタデシル、 ォクタ デシル、 ノナデシル、 ィコシルなどが挙げられる。 上記の炭素数 2〜 18のアル キルの具体例としては、 上記の具体例におレ、てメチル、 ノナデシルぉよびィコシ ル以外のものが挙げられる。
本発明で用いる抗 I g抗体としては、 環境汚染物質またはその分解物に対する
抗体である I g (ィムノグロブリン) に対する抗体が用いられる。
該 I gとしては、 例えばマウス、 ラット、 ゥサギ、 ャギ、 ヒッジ、 ヒト、 ネコ、 ィヌ、 モルモット、 ゥマ、 ゥシ、 ブタ、 ニヮトリ、 シカ、 カンガル一などの哺乳 動物、 ニヮトリ、 七面鳥などの家禽類ものが好ましい。
1 §としては1 §0、 I gA、 I gM、 I gD、 I g Eなどが挙げられる力 その部分でもよく、 該部分としては例えば I gG (H+L) 、 I gG (γ鎖) 、 I g G (F a b) 、 I gG (F c) 、 I gG (F a bモノマー) 、 I g G (F d) 、 I gGl、 I gG2、 I gG3、 I gG4、 I gG2 a、 I gG2 b、 I gG2 c、 I gA 鎖) 、 I g Al、 I g A2、 I gM 鎖) 、 I gD (δ 鎖) 、 I gE (ε鎖) 、 κ軽鎖、 、 K (フリー) 鎖、 え軽鎖、 え (フリー) 鎖な どが挙げられる。
本発明で用いられる抗 I g抗体としては、 例えば、 抗 I gG抗体、 抗 I gA抗 体、 抗 I gM抗体、 抗 I gD抗体、 抗 I g E抗体などが挙げられる。 なかでも、 抗 I g G抗体が好ましく、 抗 I g G抗体、 抗 I g A抗体および抗 I g M抗体の混 合物であってもよい。
環境汚染物質またはその分解物に対する抗体である I gの製造や、 該 I gに対 する抗体 (すなわち抗 I g抗体) の製造は、 自体公知の方法、 例えば、 ェンザィ ムィムノアツセィ、 第 46頁〜 71頁および第 85頁〜 1 10頁 (P. TIJSSEN著、 石川栄治監訳、 東京化学同人 (1989) ) に記載される方法あるいはこれに準じる 方法により行うことができる。
これらの方法において、 動物に、 抗原である環境汚染物質またはその分解物の 誘導体とキヤリヤー蛋白質との複合体を接種する際のキヤリヤー蛋白質としては、 例えば、 牛血清アルブミン (以下、 BSAと略す) 、 卵白アルブミン (以下、 O VAと略す) 、 スカシ貝へモシァニン (以下、 KLHと略す) 、 牛チログロブリ ン (以下、 BTGと略す) などが挙げられる。
環境汚染物質またはその分解物の誘導体とキヤリヤー蛋白質との複合体の形成 は、 例えば、 式 (6) :
A-R (6)
(式中、 Rは、 COOH、 NH2または SHを、 Aは、 R基の離脱により、 環境
汚染物質またはその類縁化合物となる基を示す。 )
で表される化合物を、 自体公知の方法によりキヤリヤー蛋白質に結合させること により行うことができる。
式 (6) で表される化合物も、 自体公知の方法で、 適宜の原料に、 カルボキシ ル基、 アミノ基、 スルフヒ ドリル基を形成または導入することにより、 化学的に 合成できる。
例えば、 Rが COOHで、 Aがポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル となる式 (6) で表される化合物は、 ポリオキシアルキルフエ二ルェ一テルと無 水コハク酸を脱水縮合 (ハーフエステル) することにより製造できる [キャン サ一' ノくィオケミストリー 'バイオフィジックス (Cancer Biochem. Biophys. ) ,
7, 1 7 5 (1 9 84) ] 。
Rが ΝΗ2で、 Αがポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルとなる式 (6) で表される化合物は、 ポリオキシアルキルフエニルエーテルの水酸基を塩 化チォニルにより塩素化した後 [ジャーナル 'ォブ 'アメリカン 'ケミカル ' ソ サエティ一 (J. Am. Chem. Soc. ) , 60, 2540 (1 9 38) ] 、 アンモニ ァで処理することにより製造できる [オーガニック ·ファンクショナル'グルー プ *フ°レノヽレーシヨンス (Organic Functional Group Preparations; , 第 1卷, 3 82頁] 。
Rが SHで、 Aがポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルとなる式 (6) で表される化合物は、 ポリオキシアルキルフエ-ルエーテルの水酸基を塩 化チォニルにより塩素化した後 [ジャーナル ·ォブ'アメリカン .ケミカル · ソ サェティ一 (J. Am. Chem. Soc. ) , 60, 2540 (1 938) ] 、 水硫化ナ トリゥムと反応させることにより製造できる [ジャーナル ·ォブ .アメリカン - ケミカル · ソサエティ一 (J. Am. Chem. Soc. ) , 72, 1 843 (1 95 0) ] 。
本発明で用いる担体としては、 免疫学的測定法において適常用いられるものを 用いることができる。 その例としては、 例えば、 マイクロプレート (例、 96 ウエノレマイク口プレート、 24ウエノレマイクロプレート、 1 92ウエノレマイクロ プレート、 384ウェルマイク口プレートなど) 、 試験管 (例、 ガラス試験管、
プラスチック試験管) 、 ガラス粒子、 ポリスチレン粒子、 修飾ポリスチレン粒子、 ポリビュル粒子、 ラテックス (例、 ポリスチレン ' ラテックス) 、 ニトロセル ロース膜、 臭化シアン活性化濾紙、 D B M活性化濾紙、 粒状固相 (例、
Sepharose, Sephadex, ァガロース、 セルロース、 Sephacrylなど) 、 鉄含有ポリ カーボネート膜、 マグネット含有ビーズなどが挙げられる。
担体に抗 I g抗体を担持させるには、 自体公知の方法 [例、 上記 「ェンザィム ィムノアツセィ」 第2 6 8〜2 9 6頁、 「ァフィニティークロマトグラフィーハ ンドブック」 (アマシャム フアルマシア バイオテク (株) (1 9 9 8年 1 2月 2 0日発行) ] などで担持できる。
本発明における複合体を構成するもう一方の抗体は、 自体公知の方法、 すなわ ち、 上記のような環境汚染物質またはその分解物の誘導体とキヤリァー蛋白質と の複合体で免疫した動物から得られるポリクローナル抗体または該免疫した動物 の脾細胞またはリンパ節細胞と、 骨髄腫細胞とを融合させて得られるモノクロ一 ナル抗体を産生するハイブリ ドーマに産生させることにより製造することができ る。
動物を免疫するには、 環境汚染物質または上記で得られた複合体を動物に接種 する。 接種する動物としては、 例えば、 ャギ、 ヒッジ、 ゥサギ、 ラット、 マウス、 モルモット、 ニヮトリなどが用いられるが、 環境汚染物質に対するモノクローナ ル抗体が所望の場合には、 マウスが特に好ましく用いられる。
接種方法としては、 通常実施される方法でよく、 例えば、 マウスに 1回に約 1
〜: 1 0 0 μ g、 好ましくは約 5 0〜: 1 0 0 μ gを等容量 (0 . 1 ml) の生理食塩水 およびフロイントの完全アジュバンドまたは R I B Iアジュバンドシステム™で 乳ィ匕して、 背部、 腹部の皮下あるいは腹腔内に 2〜3週毎に 3〜6回接種する方 法がとられる。 ポリクローナル抗体を得る場合には接種された動物の血清から、 採取することにより行われる。 モノクローナル抗体を得るには、 さらに次の操作 が行われる。
これらの免疫動物、 例えば、 マウスから抗体価の高い個体を選び、 最終免疫 3 〜5日後に脾臓あるいはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を骨 髄腫細胞と融合させる。
融合操作は既知の方法に従って実施でき、 融合促進剤としては、 ポリエチレン グリコール (以下、 PEGと略す) や、 センダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは、 PEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては NS— 1、 P 3U1、 Sp2Z〇などが用いられ、 特に P 3 U 1が好ましレ、。 例えば、 脾細胞と骨髄腫細胞との好ましい比率は約 1: 1〜
10: 1で、 これに分子量約 1, 000〜6, 000の? E Gが約 10〜 80 %の 濃度で添加され、 約 20〜 37 °C、 好ましくは約 30〜 37 °Cで約 3〜 10分ィ ンキュベートするのがよい。
所望の抗体産生ハイブリ ドーマのスクリーニングには、 種々の方法が使用でき るが、 例えば、 環境汚染物質類似化合物 (ハプテン) を結合させた OVAを吸着 させたマイクロプレートにハイブリ ドーマ培養上清を添加し、 ついで、 西洋わさ びペルォキシダーゼ (以下、 HRPと略す) 標識した抗マウス免疫グロブリン抗 体を加え、 プレート固相に結合した抗体を検出する EL I SA法などが挙げられ る。 抗体活性陽性のハイプリ ドーマを直ちにクローニングに供するが、 通常これ は限界希釈法などで容易に実施される。
クローン化されたハイプリ ドーマ上清の抗体価を上記の方法で測定し、 安定的 に力価の高い抗体を産生するハイプリ ドーマを選択し、 目的とするモノクローナ ルなハイブリ ドーマを取得することができる。
このような方法により得られるハイプリ ドーマとしては、 例えば、 界面活性剤 化合物に対するモノクローナル抗体を産生する、 ハイプリ ドーマ GOT 930- 9 (FERM BP— 6065) 、 GOT 935-54 (FERM BP— 60 66) および MOF 3— 139 (FERM BP— 6059) (特開平 10— 1 55484号公報、 EP_A 834557号公報) 、 内分泌撹乱物質に対する モノクローナル抗体を産生する、 ハイプリ ドーマ M〇F 3— 139 (FERM BP— 6059) 、 AP— 14 (F ERM BP— 6633) 、 B P 2 - 177
(FERM BP— 6634) 、 DF— 34 (FERM BP— 6635) およ び CP— 8 (FERM B P- 6636) ( P C TZ J P 99 Z 00684号、 以下の参考例 3において示す) が挙げられる。
ハイプリ ドーマによるモノクローナル抗体の産生、 精製も自体公知の方法で行
うことができる。 得られたモノクローナル抗体は、 環境汚染物質、 その分解物の みならず、 式 (6 ) で表される化合物に対する抗体となる。
抗体の産生、 精製方法の具体例としては、 例えば、 前記 「ェンザィム 'ィムノ アツセィ」 第 4 6〜 7 1頁、 第 8 5〜: 1 1 0頁に記載され、 塩折 (N a 2 S〇4、 (N H4) 2 S 04) 、 イオン交換体 (D E A E、 Q A E、 CM/cellulose、
Sephadex, Sepharose, Servacelなど) 、 疎水クロマ卜グラフィ一 (L—フエ二 ルァラ二ルー Sepharoseなど) 、 ゲル濾過 (Sephadex G- 200、 Bio-Gel P-300な ど) 、 電気泳動 (ァガロースゲルによるゾーン電気泳動、 等電点電気泳動、 等速 電気泳動など) 、 超遠心 (ショ糖密度勾配遠心法) 、 ァフィ二ティ一クロマトグ ラフィ一 (固定ィ匕プロテイン A (Protein A Sepharose, Protein- A superoseな ど) ) などの方法が挙げられる。
上記で得られた担体に担持させた抗 I g抗体に上記の抗体を結合させるには、 自体公知の抗原抗体反応を利用することにより行うことができる。
これらを、 例えば、 E L I S A用の酵素剤や、 緩衝剤等と組み合わせて、 環境 汚染物質、 その分解物またはそれらの混合物の免疫学的分析用キットまたは免疫 学的濃縮用キットとすることができる。
本発明の免疫化学的分析方法においては、 検体 (例、 環境汚染物質、 その分解 物またはそれらの混合物を含有する水や土壌試料) と、 既知の量の標識された環 境汚染物質、 その分解物またはそれらの混合物との、 本発明のモノクローナル抗 体に対する結合の量的な競合反応によって定量するいわゆる競合法が用レ、られる。 競合法においては、 担体上の抗 I g抗体に結合させた一定量の抗体に、 未知の抗 原を含む検体液および標識剤で標識した一定量の抗原を加える。 担体上に保持さ れた標識剤または担体上に保持されなかつた標識剤の活性を測定する。 抗体と標 識された抗原の添加は、 ほぼ同時に行うことが望ましい。
この競合法は、 サンドウイツチ法などに比べて、 操作が簡便で比較的短時間で の測定が可能である。
抗原を標識する標識剤としては、 放射性同位元素 (以下、 R I と略す、 例、 3 H、 14C、 15N、 32 P、 131 I、 など) 、 酵素 (例、 ペルォキシダーゼ、 β—ガラク ロシダーゼ、 ァノレカリフォスファターゼ、 ゥレアーゼ、 グノレコースォキシダーゼ、
グノレコアミラーゼ、 カルボニックアンヒ ドラーゼ、 アセチルコリンエステラーゼ、 リゾチーム、 リンゴ酸デヒ ドロゲナーゼ、 グルコース _ 6—リン酸デヒ ドロゲ ナーゼ、 リボヌクレアーゼ、 シトクロム C) 、 酵素基質 (例、 3, 3' , 5, 5 ' —テトラメチルベンジジン (TMBZ) 、 オルソフエ二レンジァミン (OP D) 、 o—トルイジン、 過酸化水素、 メチルヒ ドロペルォキシド、 ェチルヒ ドロ ペルォキシド、 プロピノレヒ ドロペルォキシド、 ウレァヒ ドロゲンペルォキシド、 p—ニトロペルォキシ安息香酸、 カテコール、 レゾルシノール、 ヒ ドロキノン、 ピロガロール、 o—ジァミノベンゼン、 グアイァコール、 ベンジジン、 ラク トー ス、 o—二トロフエニル- j3 _D_ガラク トシド、 p—二トロフエニルリン酸、 /3—D—グ^^コース、 ゥレア、 アンフェタミン、 バ ビツーノレ酸、 ベンゾジァゼ ピン、 ベンゾイノレエクゴニン) 、 メサドン、 モノレフイネ、 プロポキシフェン、 L —リンゴ酸、 チロキシン、 モルフイネ、 コディン、 トリョードチロニン、 テトラ ヒ ドロカンナビノール、 リ ドカイン、 フェンシクリジン、 テオフィリン、 ジゴキ シン、 コノレチゾール、 フエュトイン、 フエノバノレビター^/、 プリ ミ ドン、 ベンゾ ジァゼパム、 カルバマゼピン、 エトスクシミ ド、 ゲンタマイシン、 キニジン、 プ ロカインアミ ド、 メ ト トレキセート) 、 蛍光物質 (例、 ガラク トシルゥンベリ フェリル) 、 発光物質 (例、 ルシフェラーゼ) 、 ピオチンなどが挙げられる。 こ れら抗原と標識剤の結合には、 マレイミ ド法 [ジャーナル ·ォブ .バイオケミス トリー (J. Biochem. ) , 79, 233 (1976) ] 、 活性化ピオチン法
[ジャーナル 'ォブ 'アメリカン 'ケミカル ' ソサエティ一 (J. Am. Chem.
Soc. )ヽ 100、 3585 (1 978) ] などが用いられる。
例えば、 競合法による特異的免疫化学的測定方法を実施するには、 抗体を結合 させた固相に未知量の環境汚染物質を含有する被検試料を加えて反応させ、 同時 に標識剤で標識した抗原の一定量を加えて反応させる。 つぎに、 通常、 固相をよ く洗浄し、 固相上に保持されている標識剤の活性を測定する。 標識剤が R Iであ る場合、 ゥエル ·カウンターまたは液体シンチレーシヨン .カウンターで測定す る。 標識剤が酵素である場合、 基質を加えて放置し、 比色法もしくは蛍光法で酵 素活性を測定する。 標識剤が蛍光物質、 発光物質であっても、 それぞれ公知の方 法に従って測定する。
本発明の免疫学的測定もしくは分析の方法においては、 担体に抗 I g抗体を担 持させ、 さらに該抗 I g抗体に環境汚染物質またはその分解物に対するモノク ローナル抗体を結合させた複合体を固相として用いているので、 高感度に環境汚 染物質またはその分解物を測定もしくは分析することができる。
以下に参考例および実施例を挙げ、 本発明をさらに具体的に説明するが、 これ らは、 本発明の範囲を限定するものではない。
上記したハイプリ ドーマおよび以下の参考例 3におけるハイブリ ドーマは、 ブ ダぺスト条約の下、 日本国茨城県つくば巿東 1一 1— 3の通商産業省工業技術院 生命工学工業技術研究所 (N I BH) に寄託されており、 以下の表にその寄託日 および受託番号を示す。
表 1
抗マウス I g G抗体固相化担体の製造:
抗マウス I g G抗体 [マウス I g Gを免疫原とする。 I CNファーマシュー ティカル社 (カッペルプロダクト) コスモバイオ (株) から購入。 カタログ番号 (55479) ] をダルべッコリン酸緩衝液 (PBS) に 50 / g /m 1で溶解 し、 マイクロプレートに 100 1 Zゥエルで添力!]した。 4°Cでー晚反応させた 後、 0. 05% Twe e n 20を含むリン酸バッファー (TPB S) にて洗浄 後、 PBSにて 4倍稀釈したブロックエース (雪印乳業株式会社製 (東京) ) を 150^ 1Zゥエルを添加した。 37 °C1時間以上反応させ、 抗マウス I gG 抗体固相化担体を製造し、 使用時まで 4 °Cで保存した。
参考例 2
抗マウス I g A抗体固相化担体の製造法:
抗マウス I gA抗体 [I gAを免疫原とする。 参考例 1に記載の抗体の購入先 と同じカタログ番号 (55478) ] をダルベッコリン酸緩衝液 (PB S) に 5 0 μ g/m lで溶解し、 マイクロプレートに 100μ 1 Ζゥエルで添力□した。 4 °Cでー晚反応させた後、 0. 05% Twe e n 20を含む T PB Sにて洗浄 後、 PB Sにて 4倍稀釈したブロックエースを 150 1 /ゥエルを添加した。 37°Cで 1時間以上反応させ、 抗マウス I g A抗体固相化担体を製造し、 使用時 まで 4 °Cで保存した。
参考例 3
モノクローナル抗体の取得:
(1) 樹脂成分類抗体用ハプテンの作成
ビスフヱノ一ル A 25 gとグルタル酸無水物 12. 5 gを窒素雰囲気下、 10 0 °Cにて 18時間反応させた。 反応物を酢酸ェチルに溶解し、 シリカゲル力ラム、 ォクタデシルシリカゲル (ODS) カラムで精製後、 へキサンにて結晶化させて、 ビスフエノール A -グルタル酸縮合物 2. 1 gを得た。
(2) 免疫原の調製
(1) で得られたハプテン 0. 1モル、 水溶性カルボジイミ ド 0. 14モル、 N—ヒ ドロキシコハク酸ィミ ド 0. 14モルをジメチルスルフォキシド 2 m 1中 で室温で一晩反応させて、 活性化エステルを作成した。 次に、 牛血清アルブミン
(BSA) 10mgを 0. 13モル重炭酸ナトリウム (NaHC〇3) 溶液に溶 解し、 本活性化エステル 200 1を添加後、 一晩 4 °Cで反応させた。 限外濾過 により未反応の試薬を除去し、 免疫原として凍結保存した。
(3) 免疫
(2) で得られた免疫原と B S Aの複合体を 500 g/m 1 となるように生 理食塩水に溶解し、 等量のフロインドアジュパンドまたは R I B Iアジュバンド に添加した。 充分乳濁後、 BALB/Cマウス (メス) 〖こ 100 g/マウスで 皮下投与し、 2週間 (フロインド) もしくは 3週間 (R I B I) 間隔で追加免疫 を実施した。 5〜6回の追加免疫後、 最大の血清抗体価を示した個体について同 じ複合体溶液 (5〜: 10 z gZO. lml生理食塩水ノマウス) を静脈投与し最 終免疫とした。
(4) 細胞融合
最終免疫から 3日後、 マウスの腹腔中から脾臓を摘出し、 脾細胞懸濁液を常法 により調製した (約 108個) 。 っレ、で、 血清無添加培地で 3回洗浄したマゥス 骨髄腫細胞 (P 3U1) 2 X 107個を添カ卩し、 PEG6000を用いてケー ラーとミルスタインの方法 [Na t u r e, 256, 495 (1975) ] に準じて細胞融合に供した。
融合終了後、 細胞混液をヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジンを含むい わゆる HAT培地に懸濁し、 10日間培養した。 10日間の培養期間中に脾臓由 来の細胞は自然に死滅し、 HAT培地により脾細胞と融合しなかったマウス骨髄 腫細胞 (P 3U1) も死滅した。 培地中に生存した細胞をバイプリ ドーマとし、 以後は HAT培地からアミノプテリンを除いた HT培地にて培養を続けた。
(5) ハイブリ ドーマの一次選択およびクローニング
免疫原と同様の方法で作成したハプテンと O V Aの複合体 (ハプテン一〇 V A) を吸着させたマイクロプレートを用いる EL I S A法によりハイブリ ドーマ 培養上清の抗体価を測定した。 融合から 10日から 20日後にハイブリ ドーマの 出現を認め、 かつハプテン一OVAに結合する抗体の出現が認められた。 特に産 生抗体の結合活性が強いハイプリ ドーマについて、 限界稀釈法によるクローニン グに供した。
(6) ハイブリ ドーマの二次選択
(5) の方法で取得したハイプリ ドーマについて、 対象化合物 (樹脂成分類、 ビスフエノール A) を培養上清に加えて、 ハプテン一OVAプレートを吸着させ たマイクロプレートへの結合能の阻害を調べる阻害試験を行い、 対象化合物のみ により結合が阻害されるものを選択した。
以上の方法により、 対象化合物に特異的に結合するモノクローナル抗体産生ハ イブリ ドーマ (BP 2— 1 77) を取得した。
(7) モノクローナル抗体の作成
クローン化されたハイブリ ドーマを、 10%ゥシ胎児血清を含むダイゴ T培地 (日本製薬 東京) 中、 37°C、 5%二酸化炭素濃度のインキュベーターを用い て培養し、 その上清より抗体を得た。
一方、 多量の抗体を得るためには、 予め 0. 5m 1の鉱油を腹腔内投与した B 8 〇マゥスに5 106個のハイプリ ドーマを腹腔内接種した。 細胞を接 種したマゥスは約 10日後に腹水の貯留が見られた。 腹水の貯留したマゥスを開 腹し、 腹腔内より腹水を採取した。
抗体の精製は常法により、 細胞培養上清または腹水上清より 45〜 50 %飽和 硫酸アンモニゥムで分画後、 プロテイン Aクロマトグラフィーにて精製した。 こ のようにして、 樹脂成分類に対するモノクローナル抗体である抗 PRC抗体を得 た。
(8) その他のハイブリ ドーマの作成
1) アルキルフエノールエトキシレート類 (APE) 抗体用ハプテンおよびァ ルキルフエノール類 (AP) 抗体用ハプテンの作成
ポリエチレングリコールモノノニルフエニルエーテル (NP 5EO) 5. 0 g をトルエン 6 Om 1に溶解し、 無水コハク酸 918mg、 p—トルエンスルホン 酸 16mgと、 窒素雰囲気下、 80°Cにて 2時間反応させた。 反応液をアルカリ 条件下 ( p H 12 ) でエーテル洗浄後、 酸性条件下 ( p H 2 ) でクロ口ホルム抽 出した。 抽出液を脱水、 蒸発乾固して所望のハプテン 2. l gを得た。
2) 樹脂可塑剤 (PP) 抗体用ハプテンの作成
8 _ブロモオクタン酸 10 gをテトラヒ ドロフラン 30 Om Iに溶解後、 ジ フエニルァミノメタン 2 Om 1を添加し、 室温でー晚反応させた。 翌日、 さらに ジフエニルァミノメタン 2 Om 1を添加し、 さらに室温でー晚反応させた。 減圧 濃縮後、 反応物をへキサン—酢酸ェチル (9 : 1) に溶解し、 シリカゲルカラム で粗精製した。
この粗精製物 20 gと、 フタル酸 2. 42 g、 1, 8—ジァザビシクロウンデ ンセン (DBU) 2. 22 gとをベンゼン 6 Om 1中でー晚加熱還流した。 翌日、 DBU2. 22 gを添加後、 さらに 6時間加熱還流し、 室温に冷却後、 水、 ク口 口ホルムを加え、 水洗した。 クロ口ホルム層を脱水、 濃縮後、 へキサン一酢酸ェ チル (9 : 1) に溶解し、 シリカゲルカラムにて粗精製した。
この粗精製物 4· 1 gをテトラヒ ドロフラン (THF) 100m lに溶解し、 10%P d/C (50%含水品) 0. 4 gを添カ卩した。 H2吹き込み (0. 3 m
1 /分、 5時間) 後、 l Oo/oPdZC l. 2 gを追加した。 さらに H2吹き込み (0. 5mlZ分、 2時間) 後、 触媒を除去し、 減圧濃縮した。 75%メタノー ルに溶解後、 ODSカラムにて精製し、 所望のハプテン 1. 9 gを得た。
3) クロ口フエノール類 (CP) 抗体用ハプテンの作成
5—ブロモ吉草酸 50 gと トリフエニルホスフィン 72. 5 gをトルエン 40
0m 1中で一晩加熱還流後、 濾過し、 固体をトルエンで洗浄し、 減圧乾燥してホ スホニゥム塩 1 20 gを得た。 別途、 p—ヒドロキシベンズアルデヒド 25 gを 酢酸 1 25m 1に溶解し (3 5°C) 、 50°Cに温度を上げ、 塩素ガスを 2時間吹 き込んだ。 室温まで放冷し (35°C) 、 白色結晶 19 gを得た。 この結晶 19 g と酢酸 36 gを混合後、 80°Cに加熱し、 濃厚なスラリー状になるまで塩素ガス を吹き込んだ。 室温まで放冷後、 析出した白色結晶をクロ口ホルムから再結晶さ せ、 3, 5—ジクロロー 4ーヒ ドロキシベンズアルデヒド 9. 3 gを得た。 次に、 この結晶 9 gと上記のホスホニゥム塩 3 1. 3 gおよび t—ブタノール 1 5. 5 m 1をトルエン 2 10mlに溶解し、 50 °Cまで加熱した時点で t- B u OK 23. 7 gを添加した。 55でで 5時間反応させた後、 室温でさらに一晩反応させた。 反応液を氷中に投入し、 トルエン層を捨て、 残った液の pHを 2に調整した。 酢 酸ェチルで抽出後、 減圧乾燥し、 へキサン一酢酸ェチル (9 : 1) に溶解し、 シ リカゲルカラムで精製し、 精製物 5. 3 gを得た。 この精製物 2. 5 5 g、 1 0%P ά/C (50%含水品) 0. 3 6 g、 水 30m 1およびメタノール 60m 1を混合後、 水素を吹き込んだ (0. 2リッ トル 分、 20分) 。 触媒を除去し、 減圧濃縮し、 イソプロピルエーテル (I PE) で抽出した。 減圧濃縮後、 シリカ ゲルカラム、 ODSカラムで精製した。 精製物をエーテル へキサンで再結晶さ せ、 所望のハプテン 1. 7 gを得た。
これらのハプテンを用いて、 上記 (2) 〜 (6) と同様な方法により、 ハイブ リ ドーマ MOF 3— 1 39 (抗 APE抗体産生、 F E RM BP— 605 9) ノヽ イブリ ドーマ AP— 1 4 (抗 A P抗体産生、 FERM BP— 6633) 、 DF —34 (抗 PP抗体産生、 FERM B P— 66 35 ) および C P— 8 (抗 CP 抗体産生、 FERM BP— 66 36) を調製した。
実施例 1
(1) 抗エストロゲンモノクローナル抗体の固定ィ匕
参考例 1で作成した抗マウス I g G固相化担体を T PB Sにて洗浄後、 P B S にて最適濃度 (0. 125 z g/m l ) に稀釈した抗エストロゲンモノクローナ ル抗体 (抗ェトストリオール 16ダルクロニドモノクローナル抗体) 帝国臓器製 薬 (株) (東京) から購入) を 100 μ 1Zゥエル (0. 0125 /z g抗体ノウ エル) で添加し、 4°Cでー晚反応させた。 TP BSにて洗浄後、 PBSにて 4倍 稀釈したブロックエースを 150 μ 1 ウヱルを添加した。 37°Cで 1時間以上 反応させ、 担体一抗マウス I g G抗体—抗エストロゲンモノクローナル抗体複合 体を得、 使用時まで 4°Cで保存した。
(2) 抗エストロゲン抗体を用いたエストラジオールの測定
抗原酵素複合体 (エストリオール 16グリクロニドと西洋ヮサビペルォキシ ダーゼを力ルポジィミ ド法にて結合させたもの) を 2倍濃縮 P B S ( 0. 1 % T we e n 20含有) に稀釈し、 エストロゲンを含むサンプルと等量混合後、 アツ セィ用プレートに添加した。 60分、 室温で反応度、 TPBSにて洗浄し、 発色 基質を添加した。 30分室温で反応後、 1Nリン酸にて発色反応を停止させ、 吸 光度を測定し、 図 1に示す標準曲線を作成した。 対照として同抗体を直接マイク 口プレートに固相化 (0. 5 ;u g抗体 ウエル) したときの標準曲線を図 2に示 す。
これらの結果から、 抗マウス I gG抗体を予め固相化することにより、 抗エス トロゲン抗体使用量を約 1 40に低減でき、 かつ、 感度が約 10倍程度向上す ることが分かる。
実施例 2
(1) 抗樹脂成分類 (PRC) モノクローナル抗体の固定化
参考例 2で作成した抗マウス I g A固相化担体を TP B Sにて洗浄後、 PBS にて最適濃度 (0. 3 ^ gZm l ) に稀釈した抗 PRCモノクローナル抗体 (参 考例 3で製造されたもの) を 100 1 /ゥ ル (0. 03 z g抗体 ウエル) で添加し、 4 °Cで一晩反応させた。 TPBSにて洗浄後、 PBSにて 4倍稀釈し たブロックエースを 1 50 μ 1 /ゥエル添加した。 37でで 1時間以上反応させ、 担体一抗マウス I g Α抗体ー抗 BP Αモノクローナル抗体複合体を得、 使用時ま
で 4 °Cで保存した。
(2) 抗 PRC抗体を用いたビスフエノール A (BPA) の測定
抗原酵素複合体 (B P Aと無水ダルタル酸のハーフエステルと西洋ヮサビペル ォキシダーゼをカルボジィミ 'ド法にて結合させたもの) を 2倍濃縮 P B Sに稀釈 し、 BP Aを含むサンプルと等量混合後、 アツセィ用プレートに添加した。 60 分、 室温で反応度、 TPBSにて洗浄し、 発色基質を添加した。 30分室温で反 応後、 1Nリン酸にて発色反応を停止させ、 .吸光度を測定し、 図 3に示す標準曲 線を作成した。 対照として図 4に同抗体を直接マイクロプレートに固相化 (0. 5 §抗体 ゥェル) したときの標準曲線を示す。
これらの結果から、 抗マウス I g A抗体を予め固相化することにより、 抗 PR C抗体使用量を約 lZl 7に低減でき、 かつ、 感度が 5倍程度向上することが分 力 る。
以上記載したごとく、 担体に担持された抗 I g抗体にさらに環境汚染物質もし くはその分解物に対する抗体が結合した複合体を構成成分の 1つとして用いるこ とによる本発明のキットを用いて免疫学的測定法を行なうと、 高感度に、 環境汚 染物質もしくはその分解物を検出 ·測定することができる。