WO2000074043A1

WO2000074043A1 - Base pour support d'enregistrement magnetique, support d'enregistrement magnetique, procede de production de cette base et enregistreur magnetique

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Publication number: WO2000074043A1
Application number: PCT/JP2000/003501
Authority: WO
Inventors: Migaku Takahashi
Original assignee: Migaku Takahashi
Priority date: 1999-05-31
Filing date: 2000-05-31
Publication date: 2000-12-07
Also published as: EP1111595A1

Description

明細書

磁気記録媒体用基板と磁気記録媒体およびその製造方法と磁気記録装置技術分野

本発明は、非磁性基板を非磁性の膜で被覆した構造の磁気記録媒体用基板とそれを備えた磁気記録媒体およびその製造方法と磁気記録装置に係り、より詳細には、基板表面に設ける被覆膜を特別なものとする技術と、基板表面に酸素を吸着させる技術を利用することで、基板に形成される磁性膜の特性向上を図ることができる磁気記録媒体用基板と磁気記録媒体およびその製造方法と磁気記録装置に関するもので、本発明に係る磁気記録媒体は、ハードディスク等に好適に用いられる。背景技術

磁性膜を有する磁気記録媒体の高記録密度化を実現するためには、低ノイズ化の観点から、磁性膜厚を低減すること、並びに、強磁性結晶粒の微細化が必要とされている。

磁性膜の膜厚を低減することで、ある程度強磁性結晶粒径の減少をなし得ることが知られているが、微細組織形成や熱擾乱を考慮する上での強磁性結晶粒の体積などの観点から、磁性膜厚の低減には限界を有する問題がある。従って、磁性膜の膜厚を変化させることなく強磁性結晶粒径を低減する必要性があると思われる。また、従来から、図 2 6と図 2 7に示すように、 A 1合金あるいはガラスからなる非磁性の基板 5 2の表面に、 N i - Pなどの被覆膜 5 3を形成し、この被覆膜 5 3上に〇、 C r合金などの金属からなる下地膜 5 4を形成し、その上に、 C o C r T a系あるいは C o C r T a P t系などの磁性膜 5 5と、アモルファス力一ボンの保護膜 5 6を形成した磁気記録媒体 5 0が広く知られている。ここで、金属の下地膜 5 4の厚さは、例えば 1 0〜5 0 n mにされるとともに、磁性膜 5 5の厚さは例えば 1 0〜3 O n mとされ、保護膜 5 6の厚さは例えば 1 0〜3 0 n mとされている。更に、下地膜 5 4は磁性膜 5 5の結晶配向性を整えて磁気特性を向上させるための目的と、磁性膜 5 5の粒径を制御するためなどの目的に設けられている。ところで、応用物理第 6 5巻第 1 2号（ 1 9 9 6年、 1 2月刊行）において、発表題目、ウルトラクリーンプロセスと薄膜磁気記録媒体として記載されている本発明者の研究報告によれば、 C o N i C r合金の磁性膜であれば、本来ならば理想的な等方的保磁力（H e ) で 3 0 0 0 0 e程度、 C o N i T a合金の磁性膜であれば、本来ならば理想的な等方的保磁力で 2 5 0 0 O e程度の値を示すはずであると思われる。

ところが、従来の一般的なスパッ夕法で製造されるこれらの磁性膜は、成膜時の基板温度の管理や基板に負のバイアスを印加するなどの種々の手法を採用してプロセスの改善を行なつたとしても、磁性膜の強磁性結晶粒の粒界の C rの偏析を良好にすることができないなどの理由から、 C o N i C r合金の磁性膜において 1 2 0 0 O e程度の保磁力、 C o N i T a合金の磁性膜において 1 8 0 0 0 e程度の保磁力しか発揮できないという問題があった。

ここで、磁性膜として理想的な 1つの構造は、磁性を担う強磁性結晶粒が十分に微細化され、強磁性結晶粒の粒界に非磁性の粒界層を存在させて強磁性結晶粒どうしが分離独立され、強磁性結晶粒どうしの間での磁気的交換相互作用の低減がなされた構造であると考えられる。従って前述の組成系の磁性膜にあっては、強磁性結晶粒の粒界に C rが効率よく析出されて偏析されることが重要と思われる。また、結晶粒界の C rの偏析を良好にすることができないという理由から、従来の製造方法で得られたこの種の磁性膜の強磁性結晶粒の粒径は、ばらつきが大きいとともに、 S /N比の低下や熱擾乱による記録の消失といった問題を有していた。更に、磁性膜中の強磁性結晶粒の粒径のばらつきが大きいということは、多数の強磁性結晶粒の中に、粒径の大きな結晶粒が相当数含まれていることを意味するが、粒径の大きな強磁性結晶粒が存在していると、磁気記録媒体として見た場合に媒体ノイズが大きいことを意味し、 S /N比の低下につながる問題がある。以上のような背景に鑑み、本発明者は、応用物理、第 68巻、第 2号（ 199 9年、 2月）において、高密度薄膜磁気記録媒体の物理と題して、結晶粒界の C r偏析を阻害するのは、スパッ夕時の不純物酸素であるとの研究報告を行なっている。

以上のこれらの研究報告と研究成果の過程の中で本発明者らは、特公平 280 6443号、特開平 9一 138934号などにおいて、磁性膜の酸素濃度を 10 0 wt p pm以下に制限することができるウルトラクリーンプロセスの提案を行なっている。

ウルトラクリーンプロセス（Ultra Clean Process) とは、成膜室の到達真空度を従来の一般的なスパッ夕装置の 1 X 10— ⁷Torr ( 133 x l CT⁷Pa) 台（レベル）から 3 X 10— ⁹Torr台（ 399 x 10— ⁹ P a台）に高めるとともに、成膜室に導入する高純度 A rガス中の水等の不純物濃度を通常の高純度 A rガスのレベルよりも 2桁少ない 1 p bレベルに低減することを主体とするプロセスであつて、従来よりも格段に優れた磁気特性を有する磁性膜を製造することができるプロセスである。このウルトラクリーンプロセスの採用により、 CoN i Cr合金の磁性膜において等方的な保磁力で 2000 Oeの値、 Co CrTa合金の磁性膜において等方的な保磁力で 2300 0 eの値を引き出すことができるようになってきている。上述のウルトラクリーンプロセスの採用によって、磁性膜の磁性結晶粒界の C rなどの偏析を良好にすることができるようになり、磁性膜の本来有する保磁力を引き出すことができるようになつてきてはいるが、磁気記録媒体に更なる高密度化のニーズが高まった場合、現状の磁性膜の強磁性結晶粒の粒径の均一化は必ずしも十分ではない問題がある。本発明は、磁性膜が形成されるべき磁気記録媒体用基板において、形成するべき磁性膜の結晶粒を微細化できると同時に、粒径分布の範囲を狭くすることができ、低ノイズ化することが可能な磁気記録媒体用基板を提供することを目的の 1 つとする。

本発明は、磁性膜の結晶粒を微細化できると同時に、粒径分布の範囲を狭くすることができ、低ノイズ化することが可能で保磁力も高レ、磁気記録媒体を提供することを目的の 1つとする。

本発明は、磁性膜の結晶粒を微細化できるとともに、粒径分布の範囲を狭くして低ノイズ化をすることが可能で保磁力も高い磁気記録媒体を製造する方法を提供することを目的の 1つとする。

本発明は、磁性膜の結晶粒を微細化できるとともに、粒径分布の範囲を狭くして低ノイズ化をすることが可能で保磁力も高い磁気記録媒体を備えた磁気記録装置を提供することを目的の 1つとする。発明の開示

本発明の磁気記録媒体用基板は前記事情に鑑みてなされたもので、非磁性の基板と、該基板を被覆するように設けられて N iと共析可能で酸素と親和力の高い金属を含む非磁性の被覆膜とを具備してなることを特徴とする。

本発明において、前記金属が、 P、 C o、 W、 Fe、 V、 C r、 Mn、 Cu、 Zn、 Mo、 Pd、 Sn、 Re、 Al、 Z r、 B、 T i、 Taの中から選択される 1種または 2種以上の元素からなるものとすることもできる。

更に本発明において、前記被覆膜が、 N i- P- C 0系非晶質膜、 N i- Ta - C o系非晶質膜、または、 N i- T i- Co系非晶質膜のいずれかであることを特徴とするものでも良い。

本発明において、前記被覆膜が、 N i C o PMなる組成式で示され、前記 Mが、 T i、 Z r、 Hf、 V、 Nb、 Mo、 T a、 W、 A l、 Bのうち、 1種または 2 種以上の元素であることを特徴とするものでも良い。

本発明において、前記被覆膜に C oが 0.003〜0.1 Owt.%含有されてなることを特徴とするものでも良い。

基板上の被覆膜に C 0などのように N iと共析可能であって酸素と親和力の高い金属を添加していると、被覆膜上に形成される下地膜の結晶粒径の制御が可能となり、下地膜上に形成される磁性膜の結晶粒径の制御も可能となる。

本発明の磁気記録媒体は前記事情に鑑みてなされたもので、前記被覆膜の表面部分に酸素が間欠的に吸着されてなることを特徴とする。

被覆膜表面に吸着された酸素はその上に形成される下地膜の結晶粒の粗大化の抑制点、ピンニングポイントとして作用し、下地膜の結晶粒を微細化する。この下地膜上に磁性膜を形成すると、下地膜の微細な結晶粒に対してェビタキシャル成長しながら磁性膜が生成するので、磁性膜の結晶粒も微細化される。その結果として結晶粒の微細化された、粒径分布の狭い、低ノイズ化された磁性膜を得ることができる。

基板上の被覆膜表面に吸着された酸素はその上に形成された下地膜の結晶粒の粗大化の抑制点、ピンニングポイントとして作用し、被覆膜上に形成された下地膜の結晶粒を微細化する。この下地膜上に形成された磁性膜は、下地膜の微細な結晶粒に対してェピ夕キシャル成長しながら生成されるので、磁性膜の結晶粒も微細化される。その結果として結晶粒の微細化された、粒径分布の狭い、低ノィズ化された磁性膜を備えた磁気記録媒体が得られる。本発明において、前記被覆膜を設けた基板が、下地膜、磁性膜及び保護膜で被覆されるものであり、前記保護膜上を磁気へッドが対向状態で浮上走行されるものであることを特徴とするものでも良い。

本発明において、非磁性の基板と該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜とが具備されてなり、前記被覆膜に N iと共析可能で酸素と親和力の高い金属が含有されてなることを特徴とするものでも良い。

本発明において、前記金属が、 P、 C o、 W、 F e、 V、 C r、 M n、 C u、 Z n、 M o、 P d、 S n、 R e、 A l、 Z r、 B、 T i、 T aの中から選択される 1種または 2種以上の元素からなることを特徴とするものでも良い。本発明において、前記被覆膜が、 N i - P - C o系非晶質膜、 N i - T a - C o系非晶質膜、または、 N i - T i - C o系非晶質膜のいずれかであっても良い。

本発明において、前記被覆膜が、 N i C o P Mなる組成式で示され、前記 Mが、 T i、 Z r、 H f、 V、 N b、 M o、 T a、 W、 A l、 Bのうち、 1種または 2 種以上の元素であることを特徴とするものでも良い。本発明において、前記被覆膜に C oが 0 . 0 0 3〜0 . 1 0 w t . %含有されてなることを特徴とするものでも良い。

本発明において、前記被覆膜の表面に吸着された酸素が、前記磁性膜を構成する強磁性結晶粒の粗大化を抑制するビン止め点とされてなることを特徴とするものでも良い。

本発明において、前記被覆膜の表面に酸素が間欠的に吸着され、前記酸素の吸着された部分が前記下地膜を構成する結晶粒の粒界に位置され、前記下地膜を基にして前記磁性膜がェピタキシャル成長されてなることを特徴とするものでも良い。本発明は、非磁性の基板と、該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜とが具備されてなり、前記磁性膜が、その磁性膜の主要部を構成する強磁性結晶粒の平均結晶粒径値の 2倍を超える粒径の粗大強磁性結晶粒を有しない構造とされたことを特徴とする。本発明は、非磁性の基板と該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜を順に積層してなる磁気記録媒体の製造方法において、前記基体が形成された成膜空間を 1 0 Torr台（ 1 ⁹ P a台）以下の真空度に減圧する排気工程と、前記成膜空間に不活性ガスを導入し、プラズマを生起させて、前記基体を構成する被覆膜表面部分をドライエッチング処理するクリーニング工程、及び、前記排気工程の真空度より高い圧力となるように、前記成膜空間に少なくとも酸素を含むガスを導入し、前記被覆膜の表面を該酸素を含むガス雰囲気に曝す暴露工程と、前記暴露工程を終えた基体上に、前記下地膜をドライプロセスにより堆積させる成膜工程とを少なくとも含むことを特徴とする製造方法でも良い。本発明は、前記被覆膜として、 N iと共析可能で酸素と親和力の高い金属を含有する薄膜を用いることを特徴とするものでも良い。

本発明は、前記下地膜として C rを主たる構成元素とする薄膜を用いることを特徴とする方法でも良い。

本発明は、前記被覆膜として、 N i- P- C 0系非晶質膜、 N i- Ta- Co系非晶質膜、または、 N i- T i- C o系非晶質膜を用いることを特徴とするものでも良い。

本発明において、前記暴露工程は、前記被覆膜表面の暴露量が 30ラングミュァ以下（ただし、 1 二'ングミュア = 1 X 10— ^eTorr · sec = 1 33 X 10— ^e P a · sec) 、となるように該被覆膜の表面を所定圧力の酸素雰囲気に所定の時間暴露することを特徴とする。本発明において、前記被覆膜に含有される C 0を 0.003〜0.10wt .%の範囲とすることを特徴とするものでも良い。本発明は、先のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する駆動部と、磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対移動させる移動手段とを具備してなることを特徴とする。成膜空間を 1 X 1 0— ^sTorr台（ 1 X 1 0— ⁹P a台）以下の真空度に減圧した後にドライエッチングを施し、成膜空間に酸素を導入し、その被覆膜上に酸素を吸着すると、ドライエッチングにより被覆膜表面を完全に清浄化できるとともに、その清浄化された被覆膜表面に酸素が物理的に吸着されて酸素が存在するサイトが生成されると考えられる。

このサイトを有する被覆膜上に下地膜を形成すると、下地膜の結晶粒を微細化することができる。下地膜の結晶粒を微細化できることから、その上に形成される磁性膜の強磁性結晶粒も微細化することができる。また、被覆膜上に吸着された酸素のサイトを利用した結晶粒粗大化抑制機能であるならば、磁性膜を構成する強磁性結晶粒の粒径分布を狭い範囲とすることができ、粗大化された結晶粒の数を少なくできるので、低ノィズ化した磁性膜を得ることができる。図面の簡単な説明

図 1 (a) は本発明の第 1実施形態の磁気記録媒体の断面図、図 1 (b) は同磁気記録媒体の下地膜と磁性膜の結晶構造のモデルを示す構成図である。

図 2は、本発明に係る磁気記録装置の一例を示す側断面図である。

図 3は、図 2に示す磁気記録装置の平断面図である。

図 4は、本発明に係る磁気記録媒体の第 1の実施例における磁性膜の結晶粒径の酸素暴露量依存性を示すもので、図 4 (a) は暴露量 0 Lの場合の金属組織写真、図 4 (b) は暴露量 1.5 Lの場合の金属組織写真、図 4 (c) は暴露量 3 .5 Lの場合の金属組織写真である。

図 5は、 UC -Processを用いるとともに、下地膜の成膜直前にドライエッチングを行った後、基板表面を酸素で暴露し、その吸着量を 0 Lから 25 Lまで変化させたときの下地膜上の磁性膜の X線回折パターンを示す図である。

図 6は、 UC -Processを用いて作製した、 C r / C o N i！ ₂.₅ C r！ ₅ T a ₃ .₅P t なる積層構造と組成の下地膜と磁性膜を有する構造の気記録媒体における 300 K、 5 Κでの保磁力の磁性膜厚依存性を示す図である。

図 7は、 UC - Processを用いて酸素暴露量 0 Lにて作製した実施例の C r/ CoNi . . sCri Taa. sP t ₅なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示す図である。

図 8は、 U C - Processを用いて酸素暴露量 3.5 Lにて作製した実施例の C r / C o N i ₂.₅ C r i ₅ T a ₃.₅ P t ₅なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示す図である。

図 9は、 UC -Processを用いて酸素暴露量 0 L、 1.5 L、 3.5 Lにて作製した実施例の C r/C oN i ₅C r i₅T a₃.₅P t ₅なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の粒度分布を示す図である。

図 10は、基板の逆スパッタを行った直後、かつ C rの下地膜を成膜する直前に、基板表面を酸素で暴露した、実施例の C r/C o N i ₁₂.₅C r ₁₅T a₃.₅P 5なる積層構造と組成の下地膜と磁性膜を備えた磁気記録媒体における、保磁力の酸素吸着量依存性を示す図である。

図 1 1は、図 10で示した保磁力の酸素吸着量依存性を暴露量 0 Lから 5 L の間で拡大表示したデータと、磁性膜厚が 15 nmの場合の磁気記録媒体の保磁力を併せて示す図。

図 12は、磁性膜厚が 15 nm、 30 nmの実施例の磁気記録媒体において、 5 K、 300 Κでの保磁力の酸素吸着量依存性を示す図である。

図 13は、実施例の C r/C 0 N i 12. ₅C r i₅T a₃.₅P t ₅なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体の信号対雑音比（ S/N_m二信号/磁気記録媒体のノィズ）を基板表面への酸素吸着量に対して示す図である。

図 14は、実施例の C rZC o N i . 2. ₅C r ₁₅T a₃.₅P t ₅なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体の規格化媒体ノイズ（Nm/V) の酸素暴露量依存性を示す図である。

図 15は、本発明に係る磁気記録媒体の第 2の実施例における磁性膜の結晶粒径の酸素暴露量 1.5 Lの場合の C o含有量依存性を示すもので、図 15 (a) は C o含有量 0の場合の金属組織写真、図 15 (b) は C o含有量 30 ppmの場合の金属組織写真である。

図 16は、本発明に係る磁気記録媒体の第 2の実施例における磁性膜の結晶粒径の酸素暴露量 1 · 5 Lの場合の C o含有量依存性を示すもので、図 16 (a) は Co含有量 Ι Ο Ο ρρ mの場合の金属組織写真、図 16 ( b ) は C o含有量 3 00 p pmの場合の金属組織写真である。

図 17は、第 2の実施例の基板表面への酸素暴露量を 1.5 Lとし、基板表面の被覆膜に含有される C o含有量を変化させたときの X線回折パターンを示す。

図 18は、 UC - Processを用いて酸素暴露量 1.5 L、被覆膜中の Co含有量 0にて作製した第 2の実施例の C r/C oN i .₅C r ₁₅T a₃.₃P 5なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示す図である。

図 19は、 UC - Processを用いて酸素暴露量 1.5 L、被覆膜中の Co含有量 100 upmにて作製した第 2の実施例の C r/C oN i 1₂.₅ C r .₅ T a ₃. s P t 5なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示す図である。図 20は、 UC -Processを用いて酸素暴露量 1.5 L、被覆膜中の Co含有量、 0、 30、 100、 300 ppmにて作製した第 2の実施例の Cr/CoN i i 2. ₅C r ₁₅Τ as.₅P 1₅なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の粒度分布を示す図である。

図 2 1は、第 2の実施例の N i-P-C o膜を有する基板表面の逆スパッタを行った直後、かつ下地 C r膜を成膜する直前に、各 Co添加重（0、 30、 10 0、 300 ppm) の基板表面を酸素で暴露した、 CrZCoN i ₁₂.₅Cr₁₅T a _:i .5 P t 5なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体における、保磁力の酸素吸着量依存性を示す。

図 22は、第 2の実施例において逆スパッ夕を行った直後、かつ下地 Cr膜を成膜する直前に、各 Co添加重（0、 30、 100、 300 ppm) の基板表面を酸素で 1.5 L， 3.5 L暴露した、 C r/C o N i ₁₂.₅C r ₁₅T a₃.₅P 1₅ なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体における、 300 K での保磁力の基板への C 0添加重依存性を示す図である。

図 23は、第 2の実施例において基板表面の逆スパッ夕を行った直後、かつ下地 C r膜を成膜する直前に、各 C o添加量（ 0、 30、 100、 300 ppm ) の基板表面を酸素で 1.5 L、 3.5 L暴露した、 C r/C oN i ₁₂.₅C r ₁₅T a.3. ₅Ρ t 5なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体における、 5 K、 300 Κでの保磁力の基板への C ο添加重依存性を示す図である。

図 24は、第 2の実施例の磁気記録媒体の磁気記録媒体における信号対雑音比（S/N™) を、基板の種類（C ο添加量： 30、 100、 300 ppm) に対して示す図である。

図 25は、第 2の実施例の C r/C o N i .₅ C r ₁₅T a₃.5 P t ₅なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体の規格化媒体ノィズ（N_m/V ) の C o含有量依存性を示す図である。

図 26は、従来の一般的な磁気記録媒体の一例を示す斜視図。

図 27は、図 26の AA線に沿う断面図である。

図 28は、 ^^丄？被覆膜上に〇の下地膜を形成し、その上に Co CrTa W 0/7 T

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磁性層を形成した磁気記録媒体の深さ方向の酸素濃度分布、 C o濃度分布、 C r 濃度分布、 N i濃度分布を示す図である。

図 2 9は、実施例と比較例の磁気記録媒体における酸素暴露量と S /N比の関係を示す図である。

図 3 0は、実施例と比較例の磁気記録媒体における酸素暴露量と保磁力 H c および熱ゆらぎ係数 V^ K u ゾ k Tの関係を示す図である。

図 3 1は、酸素暴露量 1 . 5 Lの場合の実施例の磁気記録媒体における S N比の C 0濃度依存性を示す図である。

図 3 2は、酸素暴露量 1 . 5 Lを施した場合の実施例の磁気記録媒体における保磁力 H cおよび磁気的粒間相互作用指数 G D G Dの C o濃度依存性を示すとともに、評価した試、 ^; の残留磁化 B rと膜厚 tとの積、 B rtの値が約 5 5 G〃m であることを示す図である。

図 3 3は、実施例の磁気記録媒体と比較例の磁気記録媒体における保磁力の酸素暴露量依存性を示す図である。

図 3 4は、実施例の磁気記録媒体と比較例の磁気記録媒体における分解能の酸素暴露量依存性を示す図である。

図 3 5は、実施例の磁気記録媒体と比較例の磁気記録媒体における S N比の酸素暴露量依存性を示す図である。

図 3 6は、実施例の磁気記録媒体と比較例の磁気記録媒体における S N比と分解能の関係を示す図である。

図 3 7は、実施例の磁気記録媒体と比較例の磁気記録媒体における S N比と分解能の関係を示す図である。発明を実施するための最良の形態

図 1は本発明に係る磁気記録媒体をコンピュータ（情報処理装置）の H D D ( ハードディスク）に適用した一実施形態の断面構造を示すもので、この実施形態の磁気記録媒体 6 0は、円盤状の非磁性体からなる基板 6 2上に非磁性の被覆膜 6 3を形成してなる基体 6 1を有し、この基体 6 1上に金属の下地膜 6 4を介して強磁性金属の磁性膜（磁気記録層） 6 5と保護膜 6 6とを積層してなる構造とされている。

なお、図 1に示す本実施形態の磁気記録媒体 60の積層構造は、最も一般的な HDDの積層構造であるので、基板 62と保護膜 66との間に他の中間層を必要に応じて設けた構造としても良く、保護膜 66の上にフッ素系樹脂などの潤滑層を設けた構造としても良いのは勿論である。本実施形態の磁気記録媒体 60は、基体 6 1の被覆膜 63上に金属の下地膜 6 4を介して強磁性金属の磁性膜 65が形成されてなる磁気記録媒体において、被覆膜 63に好適な範囲の微量の添加元素が添加されてなるものである。この添加元素としては N iと共祈させることが可能で酸素との親和力が高い元素が好ましく、具体的には、 P、 Co、 W、 Fe、 V、 C r、 Mn、 Cu、 Zn、 Mo、 P d、 Sn、 Re、 A l、 Z r、 B、 T i、 T aの中から選択される 1種または 2 種以上を示す。ただし、これらの元素の中でも N iとの共祈が容易で酸素との親和力が高い C oが最も好ましい。以下、本発明の実施形態の磁気記録媒体 60を更に詳細に説明する。

(基体）

本発明に係る基体 61としては、例えば、アルミニウムと £の合金あるいは酸化物、チタンとその合金あるいは酸化物、またはシリコン、ガラス、カーボン、セラミック、プラスチック、樹脂およびそれらの複合体からなる基板 62の表面に、異種材質の非磁性の被覆膜 63をスパッ夕法、蒸着法、めっき法等の成膜法により表面コーティング処理を行ったものを例示することができる。基体 6 1の表面に設けた非磁性の被覆膜 63は、高温で磁化せず、導電性を有し、機械加工などがしゃすい反面、適度な表面硬度をもっている材料からなることが好ましい。このような条件を満たす非磁性膜としては、特にメツキ法により作製された N i— Pの非晶質薄膜、 N i- Ta膜、あるいは N i- T i膜が好ましい。本発明においては、これらの組成系の膜に対して、先の添加元素を 0.10w t.%以下の割合で、より好ましくは 0.003〜0.03 w t .%の範囲、最も好 W 0/7

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ましくは 0 · 0 0 3〜0 . 0 2 w t . %の範囲で添加することが好ましい。

これらの中でも N i - Pの非晶質薄膜は、高温で磁化しにくく、導電性を有し、機械加工などがしゃすい反面、適度な表面硬度をもっている材料として広く用いられているので、 N i -Pの非晶質薄膜あるいはその非晶質薄膜に所定量の C oなどの添加元素を添加してなる非晶質薄膜を用いることが好ましい。基体 6 1の形状としては、ディスク用途の場含、ドーナツ円盤状のものが使われる。後述する磁性膜等を設けた基体、即ち磁気記録媒体は、磁気記録および再生時、円盤の中心を軸として、例えば 3 6 0 0〜 1 5 0 0 0 r p mの速度で回転させて使用する。この時、磁気記録媒体の表面または裏面の上空を磁気ヘッドが 0 . 1〃m程度の高さ、あるいは数 1 0 n mの高さをもって浮上走行する。また、更に低浮上の場合、 1 0 n m程度の高さをもって浮上走行する磁気へッドの開発もなされている。

従って、基板 6 2としては、表面または裏面の平坦性、表裏両面の平行性、基体円周方向のうねり、および表裏面の粗さが適切に制御されたものが望ましい。また、基体 6 1が回転/停止する場合には、磁気記録媒体と磁気へッドの表面どうしが接触および摺動する（Contact Start Stop, CSSと称する）ようになつている。この対策として、基体 6 1の表面には、同心円状の軽微なキズ（テクスチヤ）をダイヤモンドスラリーやテープによる研磨により形成して磁気へヅドの接触時の吸着を防止する場合もある。テクスチャーについては図 2 7に示す従来構造に示す如く N i - Pの非磁性膜 5 3の上面に研磨紙を当ててキズを付けることで V字溝型に形成することが一般的になされているので、本実施形態の構造においても N i - Pなどからなる被覆膜 6 3の表面にテクスチャ一を形成しても良い。また、ダイヤモンドスラリーゃテープによる研磨によるテクスチャーに代わるものとして、レーザ加工によるテクスチヤ一、スパッタリングによる離散的な凹凸膜テクスチャ一、保護膜のエツチングによる凹凸型のテクスチャ一などを形成した構造も知られているのでこれらの構造を適宜採用し、被覆膜 6 3の上面に所望の形状の凹凸などを形成しても良いのは勿論である。更にまた、最近ではロード、アンロード方式で磁気ヘッドを磁気記録媒体の外側に待機させる方式のものも登場しているので、このような方式を採用する場合はテクスチャ一を省略する構成とすることもできる。

(金属下地膜）

本実施形態で用いられる金属の下地膜 6 4としては、例えば C rおよびその合金が拳げられる。合金とする場合は、例えば、 M o、 W、 T i、 V、 N b、 T a 等との組み合わせが用いられ、より具体的には C r M o合金、 C r W合金、 C r T i合金、 C r V合金等が適用され、その厚さは 2 . 5〜5 0 n mの範囲とされることが好ましい。

特に、 C rは、後述する強磁性金属の磁性膜 6 5に対して偏析作用を起こすことから好ましい。また、量産的にも多用されており、成膜方法としてスパッ夕法、蒸着法等が用いられる。この金属下地膜 6 4の役割は、その上に C o基合金からなる強磁性金属の磁性膜 6 5を設けたとき、磁性膜 6 5の磁化容易軸が基板面内方向を取るように、即ち、基板面内方向の保磁力が高くなるように、磁性膜 6 5 の結晶成長を促すことである。

なお、基板としてガラス基板を用いる場合に、 N i - A 1シード層などのシード層を 1層あるいは 2層以上金属下地膜の更に下に設けた構造を採用しても良い。

C rなどからなる金属の下地膜 6 4をスパッ夕法で作製する場合、その結晶性を制御する成膜因子としては、基体の表面形状、表面状態、若しくは表面温度、成膜時のガス圧、基体に印加するバイアス、および、形成する膜厚等が拳げられる。

後述する強磁性金属の磁性膜 6 5の保磁力は C rの膜厚に比例して高くなる傾向にあるが、それに伴い媒体の表面粗さも増大する傾向になる。しかしながら、記録密度を向上するためには、磁気へッドの磁気記録媒体表面からの浮上量を出来る限り小さくすることが求められる。従って、金属の下地膜 6 4の膜厚が薄くても高い保磁力が得られる材料からなる金属の下地膜 6 4が好適である。また、本発明の磁気記録媒体 60においては、非晶質の被覆膜 63の上面において C o原子が存在する部分に多数の酸素が間欠的に吸着され、これら多数の吸着点 63 a (図 1 (b) 参照）がその上に形成される下地膜 64の結晶粒界に位置される組織であることが 1つの理想的な組織のモデル形態となる。即ち、図 1 (b) に示すように下地膜 64を構成する結晶粒 64 aの粒界 64 bの位置が好ましくは先の吸着点 63 aに一致されている組織が 1つのモデル形態となる。ここで被覆膜 63の上面に位置する C oに吸着されて間欠的に存在する多数の酸素は、下地膜 64の結晶粒 64 aの粗大化を抑制するピンニングポィントして機能する。従って 1 ( b ) に示すように理想的には下地膜 64の結晶粒 64 a の粒界 64 bと酸素の吸着点 63 aは位置が合うが、全部の結晶粒 64 aが酸素の吸着点 63 aに位置が合うわけではなく、酸素の吸着点 63 aを超えて粗大化する結晶粒 64 aも一部あるいは多数存在する可能性があるので、図 1 (b) に示すような理想的な組織が全てではないが、図 1 (b) に示す構造が理想的なモデルの一形態となる。

また、酸素の吸着点 63 aが結晶粒 64 aの粗大化を抑制することから、酸素の吸着点 63 aを超えて結晶成長してから初めて結晶成長が抑制されて結晶粒の微細化に至る過程も存在するので、酸素の吸着点 63 aの中間点において結晶粒 64の粒界が位置するモデル組織も他の 1つのモデル形態として考えられる。なお、図 1 (b) においては、理解を容易とするために、結晶粒 64 aの周囲の粒界 64 bの幅を狭く描いたが、実際の組織では結晶粒 64 aの周囲に結晶粒 64 aの数分の 1程度の幅あるいはそれよりも広い幅をもった粒界が存在し、これらの粒界部分に他の元素の析出物や化合物等の種々の物質が存在するものと考えることができる。

(強磁性金属磁性膜）

本実施形態で用いられる前記強磁性金属の磁性膜 65は、この種の磁気記録媒体用の磁性膜として広く知られている、 Co C r Ta系、 Co Cr TaP t系、 Co CrNi系、 CoN i Cr T a P t系などの強磁性金属材料からなるものが用いられ、その厚さは好ましくは 10〜30 ηπιの範囲とされる。

また、この磁性膜 65として、 3元系強磁性合金磁性膜の 1種である、一般式 C Ox C r_vGe_zで示され、組成比を示す x、 y、 zが、 78≤χ^87、 2.5 ≤y≤ 14.5, 3.5≤ z≤ 15, x + y + z = 100 (ただし、 x、 y、 zは原子％による組成比を示す）なる関係を満足する組成の磁性膜を適用することもできる。この 3元系強磁性合金磁性膜は本発明者が特願平 1 1一 135038号特許（ 1999年 5月 14日出願）において提案した材料であり、従来材料には見られない優れた磁気特性を有するものである。なお、その後の研究により、前記 3元系の磁性膜の場合、組成比を示す x、 y、 zせ、 78≤x≤87、 2.5≤ y≤ 25, 2.0≤ z≤ 15の範囲でも良いことが判明しているので、この範囲の組成としても差し支えない。

(磁気記録媒体における高記録密度化）

本発明における磁気記録媒体 60は、上述した強磁性金属磁性膜 65の膜面に対し、平行に記録磁化を形成する磁気記録媒体（面内磁気記録媒体）とすることが好ましい。このような磁気記録媒体では、記録密度を向上するために、記録磁化の更なる小型化を図る必要がある。

この記録磁化の小型化は、各記録磁化の漏れ磁束を減少させるため、磁気へッドにおける再生信号出力を小さくする。従って、隣接する記録磁化の影響と考えられている媒体ノィズを更に低減することが望まれる。以下に以上のような構成の磁気記録媒体を製造する場合について説明する。非磁性のアルミニウムなどの基板を用意したならばその基板を脱脂、エツチング、ジンケ一ト処理した後、メヅキ液（商品名メルテックス N i— 422等）に硫酸コバルトを添加したメツキ液を用いて基板上に N i C 0 Pメツキを施して基板上に C oを規定量含有する N i-Pの被覆膜を形成し、これを 250°C程度に加熱して膜中のガス抜きを行なう熱処理を施して被覆膜付きの基板を得る。

ここで用いるメツキ液中の C o濃度を 30~ 1000 p pmの範囲に調節することで N i- Pの内部に含有させる Co量を 0.003〜0.1 Owt.%の範囲に容易に調整することができる。例えば、 Coのメツキ浴に 10 ppmの Coを添加することで 0.00 lwt .%の膜が得られ、メツキ浴に 30 ppmの Coを添加することで 0.003 w t .%の膜が得られ、メツキ浴に l O Oppmの Coを添加することで 0.04wt .%の膜が得られ、メツキ浴に 2 O O ppmの Coを添加することで 0.08 wt .%の膜が得られ、メツキ浴に 300ppmの Coを添加することで 0.13wt .%の膜が得られ、メツキ浴に l O O O ppmの Co を添加することで 0.40 w t .%の膜が得られる。

なお、本発明において、 Coを含有していない被覆膜に対して後述の処理を施すことによつても優れた磁気記録媒体を得ることができるので、その製造方法についても同時に並行して説明する。なお、先の被覆膜を備えた基板を形成する場合、基板表面を脱脂、エッチング、ジンケ一ト処理して清浄化したが、その他に知られている基板表面の一般的な清浄化法で清浄化しても良いのは勿論である。更に、 N i C o Pメツキを形成する場合に先のメツキ浴を用いたが、他の組成のメツキを施す場合は、必要な組成のメツキ浴を使用するのは勿論である。また、被覆膜を形成する場合にメツキ法以外にスパッ夕法、真空蒸着法、 CVD法などの各種成膜法を用いても良いのは勿論である。次に、被覆膜付きの基板をスパッタ装置などの成膜装置の成膜室に投入し、内部を真空引きして好ましくは到達真空度 3 X 10-^flTorr ( 399 X 10_^flPa) 程度の高真空（ 10— ⁹台の高真空）に調整した後、水等の不純物濃度を 1 PPb 以下に調整した高清浄 A rガスを導入し、更に数 mmTorr、例えば 2mTorr (0 .266 P a) になるように成膜室に高清浄化 A rガスを導入し、スパッタエツチング（ドライエッチング）を施して被覆膜の表面の清浄化を行なう。このスパッ夕エッチングの時間は数秒〜数 10秒程度、出力数百 W、例えば 200Wの出力で行なうことができる。ここで行なうスパッ夕エッチングは、到達真空度 1 X 1 0— ^{6 7} ΤΟΓΓ ( 1 3 3 X 1 0 _ ⁷ P a ) 程度の成膜室を備え、清浄化されていない A rガスを導入する従来の一般的なスパッ夕装置で行なうスパッタエッチングとは意味合いが異なる。到達真空度 1 X 1 0 _ ⁷Torr程度であって通常の成膜用 A rガス（水等の不純物濃度 I p p m程度のもの）を導入する従来のスパッ夕装置では、スパッ夕エッチングして膜の表面を清浄化しても、スパッ夕エッチング雰囲気中に存在する A r ガス中の不純物等でエツチング表面が直ちに汚染されてしまう。このような汚染が生じることでエッチング膜の上に形成する磁性膜の特性が劣化することは、本発明者が先に応用物理第 6 5巻第 1 2号第 1 2 1 8頁〜第 1 2 2 8頁（ 1 9 9 6年 1 2月刊行）において報告している。これに対し、先に説明の条件で、到達真空度 3 X 1 0— ⁹Torr程度以下の高真空に調整した後、不純物濃度を 1 p p b以下に調整した高清浄 A rガスを例えば 2 mTorrになるように成膜室に導入し、スパッ夕エツチングを施して被覆膜表面の清浄化を行なうことで後で形成する磁性膜の特性を劣化させない程度の清浄なェツチング面を得ることができる。次に、成膜室を例えば 1 X 1 0— ^e l X 1 CT⁷Torrの圧力となるように酸素ガスを導入して被覆膜表面を酸素暴露する。ここで酸素暴露するのは 0 L 3 0 L (ラングミュア： Langmuirs) の範囲程度とする。

ここで例えば 1 Lとは 1 X 1 0— ⁶Torrで 1秒間暴露するか、 1 X 1 0— ⁷Torrで 1 0秒間暴露することを意味し、 3 . 5 Lとは 1 X 1 CT^eTorrで 3 . 5秒間暴露するか、 1 X 1 0— ⁷Torrで 3 5秒間暴露することを意味し、 3 0 Lとは I X 1 0—⁶ Torrで 3 0秒間暴露するか、 1 X 1 0 ⁷Τοι で 3 0 0秒間暴露することを意味する。先に説明した酸素暴露を行なうことで被覆膜の表面に多数の酸素を物理的に吸着することができる。これは、酸素の暴露量が多すぎると、被覆膜の表面全部に酸素が付着して酸化物や酸化物膜が生成されてしまうおそれがあるが、先に説明したエッチング後の高真空の減圧雰囲気で規定圧力の酸素を導入して行なう酸素暴露であるならば、酸素を被覆膜の表面に物理的な吸着状態で間欠的に付着させることができる。ここで被覆膜に C oを含有させていると、 C oと酸素は結合性が高く C 0原子が存在する部分に酸素が吸着され易いので、被覆膜には C oを含有させていることが好ましい。なお、 C oに代えて C oと同様に酸素と親和力の高い元素を添加元素として用いることもできる。更にこの添加元素として、被覆膜として用いられる N i系合金の N i - Pをメツキ法で形成する場合に、 N iと共析可能な元素であることが好ましい。これらの条件を見たし得る元素として、前記 C oの外に、 F e、 W、 V、 C r、 M n、 C u、 Z n、 M o、 P d、 S n、 R e、 A l、 Z r、 B、 T iの中から選択される 1種または 2種以上を選択することができる。

先に説明した条件でスパッ夕エッチングして被覆膜の表面を完全に清浄化しておき、この清浄化された被覆膜表面に前述の暴露量の酸素を導入することで、被覆膜表面に酸化物や酸化物層層状態ではなく、間欠的に多数の酸素を物理的に吸着させた状態の被覆膜表面を得ることができる。そして、このような物理的吸着状態の酸素を後述する結晶粒粗大化の抑制点として利用することができる。

(下地膜と磁性膜のスパッ夕法）

本発明に係る下地膜と強磁性金属の磁性膜を製造する方法の一例であるスパッ夕法として、例えば、基板がターゲットの前を移動しながら薄膜が形成される搬送型スパッタ法と、基板を夕ーゲッ卜の前に固定して薄膜が形成される静止型スパッ夕法を例示することができる。

前者の搬送型スパッタ法は、量産性が高いため低コス卜な磁気記録媒体の製造に有利であり、後者の静止型スパッ夕法は、基板に対するスパッ夕粒子の入射角度が安定なために記録再生特性に優れる磁気記録媒体の製造が可能とされる。本発明に係る磁気記録媒体 6 0を製造する際には、搬送型あるいは静止型のいづれかに限定されるものではない。

(金属下地と強磁性金属の磁性膜を形成する成膜室の到達真空度）従来、「金属下地膜および/または強磁性金属磁性膜を形成する成膜室の到達真空度」は、強磁性金属磁性膜の材料によっては、保磁力の値を左右する成膜因子の 1つとして位置づけられている。

特に、強磁性金属磁性膜の中に T aを含む、 C o基の磁性材料では、上記の到達真空度が低い場合（例えば、 1 0—⁶〜 1 0— ⁷Torr台の場合）には影響が大きいと考えられてきた。よって本発明では到達真空度 3 X 1 0— ⁹Torr程度の高真空において成膜する超清浄プロセスにより下地膜と磁性膜を形成する。

なお、上述した組成の 3元系の C o C r G e合金から強磁性金属磁性膜を形成した場合は、到達真空度が 1 0— ^s〜 l 0— ⁷Torr台の成膜室にて磁性膜を形成しても、高い規格化保磁力と熱的に安定な磁気特性を同時に有する強磁性金属磁性膜を備えた磁気記録媒体を製造することができるので、通常の到達真空度で成膜しても良い。なお、当然のことながら、本発明者らが提供している超清浄プロセスにより上述した 3元系の C o C r G e合金の磁性膜を形成しても良いのは勿論である。

(金属下地膜および/または強磁性金属膜を形成する際の基体の表面温度）本発明における「金属下地膜および/または強磁性金属磁性膜を形成する際の基体の表面温度」は、強磁性金属磁性膜の材料に依存せず、磁力の値を左右する成膜因子の 1つである。

基体が損傷しない範囲であれば、高い表面温度で成膜をした方がより高い保磁力を実現できる。基体の損傷とは、そり、膨れ、割れ等の外的変化や、磁化の発生、発ガス量の増加等の内的変化を意味する。しかし、高い基体の表面温度を実現するためには、一般的に何らかの加熱処理を、成膜室又はその前室で行う必要がある。この加熱処理では、基体近傍の空間中にガスやダストが発生し、成膜中の薄膜に取り込まれ、各種の膜特性が不安定になるという不都合な面をもっている。また、高い基体の表面温度は、以下の間題点も有している。

① N i - P /A 1基体における非磁性 N i - P膜が磁化発生する。 ②基体において歪が発生する。

③ガラスなどの熱伝導率が低い基体では、基体温度を上げたり、保持することが難しい。したがって、上記加熱処理を行わないか、若しくは、より低温加熱処理でも、目標とする各種の膜特性を得られる作製方法が望まれる。

(基体の表面粗さ、 Ra)

本発明における基板の表面粗さとしては、例えば、ディスク形状からなる基板表面を、半径方向に測定した場合の、平均中心線粗さ R aがあげられる。

表面粗さ R aの測定器としては、 MNKTAYL0RH0BS0N 社製 TALYSTEP (タリステップ）を用いることができる。

基板が停止状態から回転を開始した場合、あるいはその逆に回転状態から停止状態になった場合は、磁気記録媒体と磁気へッドの表面同士が接触および摺動する（CS S動作）。この時、磁気ヘッドの吸着や摩擦係数の上昇を抑えるため、表面粗さ R aは大きい方が好ましい。一方、基体が最大回転数に達した場合には、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間隔、即ち、磁気ヘッドの浮上量をできるだけ小さい値に確保する必要があるので、 R aは小さい方が望ましい。従って、基体の表面粗さ Raの最大値と最小値は、上述した理由と、磁気記録媒体に対する要求スペックから適宜決定される。例えば、磁気ヘッドの浮上量が、 24〃inchの場合は、 Ra=6 nm〜8nm である。しかし、更に高記録密度化を図るためには、磁気ヘッドの浮上量（記録再生動作をする際、磁気ヘッドが磁気記録媒体の表面上から離れている距離）をより小さくする必要がある。この要望に答えるためには、磁気記録媒体の表面をより平坦化することが大切となる。このような理由から基体の表面粗さ Raは、より小さなものが望ましい。従って、基体の表面粗さ R aがより小さな場合であつても、目標とする各種の膜特性を得られる作製方法を適宜採用すれば良い。一例として A 1基板上に N i-P膜を設けた構造の場合にテクスチャーを設けた上で Raを 1.5 nm以下にまで低減することがなされており、特別な研磨処理を施した N i- PZA 1基板での R aを 0.5〜0.7 nmとすることもできる。 (テクスチャ処理）

本発明における基体に施すテクスチャ処理としては、例えば、機械的な研磨による方法、化学的なエッチングによる方法、物理的な凹凸膜の付与による方法などがあげられる。特に、磁気記録媒体の基体として、最も広く使われているアルミニゥム合金基体の場合は、機械的な研磨による方法が採用されている。

例えば、アルミニウム合金基体の表面に設けた（N i— P ) 膜に対して、研削用の砥粒が表面に接着してあるテープを、回転する基体表面に押しつけることにより、同心円状に軽微なキズを付与する方法がある。この方法では、研削用の塗粒を、テープから遊離させて用いる場合もある。

しかし、上記「基体の表面粗さ」の項で述べた理由から、上記テクスチャ処理を行わないか、若しくは、より軽微なテクスチャ形状でも、目標とする各種の膜特性を得られる作製方法を適宜採用すれば良い。以上の方法で得られた磁気記録媒体は、下地膜 6 4を構成する C r膜が（2 0 0 ) 配向し、その上に磁性膜 6 5がェピタキシャル成長して（ 1 1 0 ) 配向しながら生成するので、下地膜 6 4の結晶配向性でもって磁性膜 6 5の結晶配向性を良好にすることができる。更に、下地膜 6 4の結晶粒の粗大化を被覆膜 6 3の表面に吸着した酸素で抑制するので、その上に形成される磁性膜 6 5の結晶粒の粗大化も抑制することができる。この結果として微細な結晶粒の磁性膜 6 5を得ることができる。

また、酸素暴露する場合に 1 X 1 0 以下の減圧雰囲気において酸素を導入するようにして適切な酸素を被覆膜表面に供給し、酸素を被覆膜表面に間欠的に多数、物理吸着状態とするならば、この物理吸着した酸素を結晶粒粗大化抑制の抑制点、即ちピンニングポイントとすることができ、下地膜の結晶粒粗大化を抑制でき、微細化した結晶組織を有する低ノィズ化した磁気記録媒体を提供できる。図 2と図 3は先に説明した磁気記録媒体 6 0を組み込んで構成されたコンビュ一夕の H D D (ハードディスクドライブ）装置（磁気記録装置）の一例を示すものである。この例の磁気記録装置 7 0において、容器型のケーシング 7 1の内部に複数枚 (図 2に示す例では 5枚）の磁気記録媒体 6 0がスぺ一サ 7 2と交互にスピンドル 7 3に挿通されて設けられている。また、ケーシング 7 1には前記スピンドル 7 3の軸受けが設けられるとともに、ケ一シング 7 1の外部には前記スピンドル回転用のモー夕（駆動部） 7 4が設けられ、各磁気記録媒体 6 0がスピンドル 7 3の周回りに回転自在とされている。前記ケ一シング 7 1の内部であって前記磁気記録媒体 6 0の側方側には、軸受け 7 5によって前記スピンドル 7 3と平行に支持された回転軸 7 6が設けられ、この回転軸 7 6に複数のスイングアーム 7 7が磁気記録媒体 6 0側に延出するように取り付けられ、：： -スイングアーム 7 7の先端側に細長い三角板状の口一ドア —ム 7 8を介して磁気へッド 7 9が取り付けられている。磁気ヘッド 7 9は、薄膜型磁気ヘッド、あるいは M I G型の磁気ヘッド、または M I G型の磁気へッド素子と読み取り専用の磁気抵抗効果型磁気素子とを一体化したデュアル型の磁気ヘッド素子と、スライダとから構成されており、このスライダが口一ドアーム 7 8の先端部側に設けられたジンバル部材によって弾性支持されている。磁気へッド 7 9はスィングアーム 7 7の移動とともに磁気記録媒体 6 0上の任意の位置に移動されるように構成されている。上記構成の磁気記録装置 7 0において、磁気記録媒体 6 0を回転させるとともに、スイングアーム 7 7を移動させて磁気へッド 7 9を磁気記録媒体 6 0上の任意の位置に移動させて磁気記録媒体 6 0に設けられている強磁性金属磁性膜（磁気記録層） 6 5に磁気へッド 7 9の発生させた磁界を作用させることで磁気記録媒体 6 0に所望の磁気情報を書き込むことができる。また、スイングアーム 7 7 を移動させて磁気へッド 7 9を磁気記録媒体 6 0上の任意の位置に移動させて磁気記録媒体 6 0の強磁性金属磁性膜（磁気記録層） 6 5からの漏れ磁界を磁気へッド 7 9で検出することで磁気情報の読出を行なうことができる。このように磁気情報の読出と書込を行なう場合において、強磁性金属磁性膜（磁気記録層） 6 5が先に説明した如く微細な結晶粒から構成されて優れた磁気特性を有しているならば、強磁性金属磁性膜 6 5の熱擾乱を抑制できるので、磁気記録装置 7 0の内部がモータ 7 4の熱を受けて、例えば、 1 0 0 °Cを超える高い温度に加熱されつつ使用された場合であっても、強磁性金属磁性膜 6 5の磁気特性が劣化することがない。また、長期間使用し、長時間加熱されることがあっても、強磁性金属磁性膜 6 5の磁気記録再生特性に劣化の生じない記録再生特性の優れた磁気記録装置 7 0を提供できる。

また、強磁性金属磁性膜 6 5として高保磁力のものを用いていると、磁気へッドの浮上走行時に磁気へッドの読出素子が受ける漏れ磁界を強くすることができるので、強い信号を受けることができることとなり、 S N比の良好な記録再生特性を得ることができる。なお、図 2と図 3を基に先に説明した磁気記録装置 7 0は磁気記録装置の一例を示すものであるので、磁気記録装置に設ける磁気記録媒体の枚数は 1枚以上の任意の数で良く、設ける磁気へッド 7 9の数も 1個以上であれば任意の数、設けても良い。また、スイングアーム 7 7の形状や駆動方式も図面に示すものに限らず、リニア駆動方式等、その他の方式のものでも良いのは勿¾である。実施例

以下に実施例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

「試験方法」

3 . 5インチ径のアルミニウム製の基板を脱脂、エッチング、ジンケート処理した後に、市販のメツキ液（商品名：メルテックス製 N 1 - 4 2 2 ( 9 A ) ) に硫酸コバルトを添加したメツキ液を用いて基板上に厚さ 1 2 n mの N i C o Pメツキを施して被覆膜を形成した。この際、メツキ液中の C o濃度を 3 0〜： L 0 0 0 p p mの範囲で調節することで、被覆膜中の C o濃度を 0 . 0 0 3 w t . %〜0 . 1 0 w t . %の範囲に調節した。更に、 C 0を添加していないメツキ液を用いてアルミニゥム製の基板上に N i-Pメツキを施し N i-Pの被覆膜付きの基板を得た。次に、これらの被覆膜付きの基板を 250°Cで加熱して膜中のガスを放出させた後表面を研磨して表面粗さ R a ： 5 Aに加工して磁気記録媒体用の超平滑 N i - P- C o/A 1基板と超平滑 N i- P/A 1基板を得た。更に、試験に使用した磁気記録媒体は、成膜室の内壁面に複合電解研磨処理を施したスパッ夕装置（日電ァネルバ製 I L C 30 13 ：到達真空度 3 X 10— ⁹To rr以下）を用いて製作した。成膜時のプロセスガスには超高純度 Arガス（Η₂0 濃度： 1 ppb以下のウルトラクリーン Arガス）を用いた。以下の実験において用いた基板は、 N i- P膜をメツキ後、 1 50°Cx l hrの焼き鈍しを行った通常の基板と、酸素との親和力が強い C oを先の方法で 30 p pm、 1 00 ppm、 300 p p m添加した N i -P- C oをメツキ後、 250°C x 1 の焼き鈍しを行った基板であって、酸素暴露用の特別な基板の計 4種類の複数の基板を用いた。

成膜直前に、 N i- P膜あるいは N i-P-C o膜を有する基板を収納した成膜室を到達真空度： 3 X 10— ^qTorrまで減圧し、その後、ウルトラクリーン Arガスを導入して膜表面のドライエッチング（2mTorr/200W/ 5秒の条件でスパッ夕エッチング）を行った後、 1 X 10 _⁷Torrの減圧雰囲気中において基板表面を酸素で 0〜 250秒間暴露し、更に C r下地膜（厚さ 5 nm) 、 CoN i i₂.₅ C r T a₃.₅P t ₅磁性膜（厚さ 1 5 nm、 20 nm、 30 nm) を、印加バイァス 0Vで順次形成した。

更に磁性膜の上にカーボン保護膜（厚さ 10 nm) を形成した。ここで用いた磁性膜は、下地膜厚/磁性膜厚 = 20/20 nm、印加バイアス =— 100 Vの条件下において、保磁力 = 3.3 kO eを発揮する組成の磁性膜である。製作した磁気記録媒体は、磁気特性を VSM (振動試料型磁力計）、 SQU1 D磁束計により評価し、微細構造を X線回折装置（XRD) 、透過電子頭微鏡（ TEM) により評価し、磁気記録再生特性をインダクティブ MR (磁気抵抗効果型）複合型へッドにより評価した。「酸素吸着量依存性と微細構造」

図 4に、ウルトラクリーンプロセス（UC - Process : 3 x 10— ⁹以下の到達真空度で真空引きした後にウルトラクリーン A rガスを導入してドライエッチングを施し被覆膜表面を清浄化した後に成膜するプロセス）と、 Coを被覆膜に添加していない基板を用いて作製した、基板表面に酸素を暴露していない構造を持つ磁気記録媒体と、下地膜の成膜直前にドライエッチングを行った後、酸素暴露量を 1.5 L， 3.5 L (ラングミュア）として得られた磁性膜の TEM像と、それにより算出した平均強磁性結晶粒径 (G. D. ) を示す。

なおここで、「L ：ラングミュア」は酸素暴露量の指標であり、 0 Lは酸素暴露なし、 1 Lは 1 X 10— ⁷Torrで 10秒の暴露、 3.5 Lは 1 X 10— ⁷Torrで 35 秒の暴露、 10 Lは 1 X 10— ⁷Torrで 100秒の暴露、 25 Lは 1 χ 10 ⁷Torr で 250秒の暴露に相当する。なお、 1 Lについて、 1 X 10— ⁶Torrで 1秒の暴露でも 1 X 10— ⁷Torrで 10秒の暴露と等価な条件となるが、 1秒の暴露では暴露時間が短すぎて酸素吸着が完全になされないおそれがあることを加味し、本実施例では 1x 10— ⁷Torrで 10〜 250秒間行なう暴露条件を 1 L〜 25 Lとした。図 4に示す結果から、基板表面への酸素暴露量が増大するに従い、平均の強磁性結晶粒径 G.D.が 10.8 nmから 9. 9 nm、 9.3 nmへと低減していることがわかる。この酸素吸着量増大による強磁性結晶粒径の減少は、基板表面への吸着酸素量の増大により、下地膜の C r "結晶粒の成長の抑制効果（ピン止め効果 ) の促進によるものと考えられる。図 5に、成膜直前に被覆膜のドライエッチングを行った後、基板の被覆膜表面を酸素で暴露し、その吸着量を 0 Lから 25 Lまで変化させたときの各磁性膜の X線回折パターンを示す。ここで、下地 Cr膜厚は、 5nm、 CoN i Cr Ta P tの磁性膜厚は 30n m—定とした。図 5に示す結果から、酸素暴露量（酸素吸着量）に拘わらず、いずれの磁気記録媒体の磁性膜においても、面内配向を示す（ 1 10) 面からの強い回折ピークが得られ、かつ、それ以外の回折ピークは観測されなかった。このことから、基板表面への酸素暴露は、磁性膜の結晶配向性には特に影響を及ぼさないことがわかった。以上のことから、成膜直前に先の減圧条件で被覆膜のドライエッチングを行つた後、被覆膜表面を酸素で暴露することによって、磁性膜の結晶配向性を変化させることなく、磁性膜の強磁性結晶粒径を低減できることがわかった。なお、磁性膜の結晶粒径を 10.8 nm (酸素暴露なし）から、 9.3 nm (酸素暴露量 3 .5 L ) に減少できたということは、約 14 %の結晶粒微細化に成功したことであるので、極めて大きな成果である。

「酸素吸着量依存性と磁気特性の測定」

図 6に、 UC -Processを用いて作製した、下地膜と磁性膜の積層構造（ C r/ C oN i 12. ₅C r _1ST as. ₅P t ₅なる積層構造）の磁気記録媒体における 300 K、 5 Κでの保磁力の磁性膜厚依存性を示す。ここで、 C rの下地膜厚は 5 nm とした。

図 6に示す 5 Kでの保磁力において、磁性膜厚が 15nm、 20nmにおける保磁力がほとんど同じであるのに対し、 300 Kでの保磁力においては、 15η mの磁気記録媒体の保磁力が 20 nmの媒体の保磁力より小さいことから、膜厚が 15nmの磁性膜、あるいはそれ以下の膜厚の磁性膜を備えた磁気記録媒体における保磁力の減少は、熱擾乱によるものであると考えられる。そこで、基板表面に酸素を吸着させるにあたり、熱擾乱による保磁力の低下が起こりにくいと思われる磁性膜厚 3 Onm—定にした試料、更には、微細構造の変化（強磁性結晶粒の微細化）により熱擾乱の影響を受け、保磁力が減少すると予想されるところの、磁性膜厚 2 Onm—定の試料、磁性膜厚 15 nm—定の試料をそれぞれ用いて磁気特性の評価に用いることにした。図 7に UC -Processを用いて酸素暴露量 0 Lにて作製した C r/C o N i 12. 5C r .s T a3. 5 P t ₅なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示し、図 8に酸素暴露量 3.5 Lにて同等の条件で同等の積層構造とした試料の磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示す。

図 7と図 8を比較して明らかなように、被覆膜の酸素暴露を行なった試料にあつては、平均結晶粒径が小さくなつていると同時に、 16〜 17 nmを超える粒径の結晶粒（換言すると平均結晶粒径の 2倍を超える粗大強磁性結晶粒）がほとんど無くなつている。これに対して酸素暴露を行なっていない試料にあっては、 16 nmを超える粒径の結晶粒と 18 nmを超える粒径の結晶粒が 10数個存在し、 20、 22、 24 nmを超える粒径の結晶粒（換言すると平均結晶粒径の 2 倍を超える粗大強磁性結晶粒）も数個存在する。

このように酸素暴露により、粗大化した結晶粒を少なくできるということは、磁性膜として低ノイズ化ができたことになる。

また、図 9に酸素暴露量 0 と 1.5 Lと 3.5 Lの試料における結晶粒の分布状態を示すが、酸素暴露量の増大とともに粗大化した結晶粒の数が激減することが明らかである。図 10に、基板上の被覆膜に対して逆スパッ夕（スパッ夕エッチング）を行つた直後、かつ C rの下地膜を成膜する直前に、基板表面を酸素で暴露した、 Cr /CoNi .2. C r ₁₅Ta₃.₅ P t ₅なる積層構造の磁気記録媒体における、保磁力の酸素吸着量依存性を示す。

ドライエッチング（逆スパッ夕）を施していない磁気記録媒体の保磁力も図 1 0に併記する。ここで、酸素暴露量を 0 Lから 25 Lの範囲、 Crの下地膜厚を 5 nm、磁性膜厚を 20 nm、 30nmとした。

図 10に示すいずれの膜厚の磁気記録媒体においても、基板表面への酸素吸着量が増大すると、保磁力が減少する傾向にある。ただし、ドライエッチングを施した試料にあっては、いずれの酸素暴露量であっても、ドライエッチングを施していない試料に比べて高い保磁力を示すことが判明した。従って保磁力の面のみから見ると、ドライエッチングを施すならば、 0 L〜2 5 Lのいずれの酸素暴露量であっても、ドライエッチングを施してしない試料よりも優れた保磁力の磁性膜を得られることが判明した。しかし、後述する他の組成の磁性膜を用いた試験によれば、暴露量 3 0 Lにおいても良好な特性を得られるので、酸素暴露量は 3 0 L以下であれば良い。図 1 1に、図 1 0で示した保磁力の酸素吸着量依存性を、暴露量 0 Lから 5 L の間で拡大表示し、かつ磁性膜厚が 1 5 n m、 2 0 n m、 3 0 nmの各磁気記録媒体の保磁力を示す。

図 1 1に示す磁性膜厚が 3 0 n mの磁気記録媒体試料において、酸素暴露量 3 . 5 L付近から保磁力が若干低下し始める傾向がある。また、磁性膜厚が 2 0 n m、 1 5 n mの磁気記録媒体においては、酸素暴露量 1 . 0 Lの試料は保磁力が向上したものの、酸素暴露量 1 . 5 L付近から酸素暴露量が増加するにつれて徐々に保磁力が低下し始めるという傾向を示した。これらの磁気記録媒体において、図 5で示したように、磁性膜の結晶配向性には問題がないと考えることが出来ることから、ここで示した保磁力の減少は、強磁性粒子の粒間相互作用の増大、もしくは強磁性結晶粒径の微細化による熱擾乱の影響が考えられる。図 1 2に、磁性膜厚が 1 5 n m、 3 0 n mの磁気記録媒体の、 5 K、 3 0 O K での保磁力の酸素暴露量（酸素吸着量）依存性を示す。酸素暴露量 3 . 5 Lの媒体において、熱擾乱を受けていないと考えることが出来る 5 Kでの保磁力値、そして磁性膜厚 3 0 n mの保磁力値が、暴露量 2 . 5 L以下の磁気記録媒体の保磁力値と比較して減少する傾向にあることから、酸素暴露量 3 . 5 L以上の磁気記録媒体においては、酸素の膜内進入などによる強磁性結晶粒間の相互作用の増大が考えられる。

これらの結果から、磁性膜厚が 1 5 n mの磁気記録媒体における、酸素暴露量 1 . 5 L付近から暴露量 3 . 5 L付近までの保磁力の減少は、強磁性結晶粒径の微細化による熱擾乱の影響であると考えることができる。

以上のことから、基板表面の酸素暴露において、 1 . 5 L〜3 . 5 L程度までの酸素暴露により、強磁性結晶粒間相互作用を増大させることなく、強磁性結晶粒径を微細化できることがわかった。

「酸素吸着量依存性と磁気記録再生特性の測定」

図 13に、 CrZCoNi ₁₂.₅Cr₁₅Ta₃.₅Pt ₅なる組成と積層構造の下地膜と磁性膜を有する磁気記録媒体の 160 k F C Iの線記録密度における信号対雑音比（S/N_m =信号/磁気記録媒体のノイズ）を基板表面への酸素吸着量に対して示す。

ここで、基板を通常の基板、下地 Cr膜厚を 5nm、磁性膜厚を 15 nmとした。酸素暴露無しで、磁性膜厚を 12 nmとした磁気記録媒体の記録再生特性も図 13に示す。

図 13に示す結果から、基板表面を酸素で暴露することにより、記録再生特性が向上し、酸素暴露量が 4 L付近で最大値をとる。この要因として、酸素暴露量 4 L付近では強磁性結晶粒の粒間相互作用が大きくなる傾向にあるものの、それ以上に強磁性結晶粒径が大きく低減することにより、信号対雑音比が改善されるものと思われる。

以上のことから、酸素暴露量の調整と磁性膜厚の調整により、保磁力を低下させることなく、信号対雑音比を低減できる磁性膜を備えた磁気記録媒体を得られることが分かる。図 14は薄膜磁気記録媒体の 1 60 k F C Iの線記録密度における規格化媒体ノィズ Nm/Vの酸度暴露量依存性を示す。

規格化媒体ノイズにおいては酸素暴露しない試料に対して酸素暴露量 8 Lまで悪化しないことがわかる。

「酸素吸着量依存性と微細構造」

図 15と図 16に、成膜直前にドライエッチングを行った後、基板表面への酸素暴露量を 1.5 L—定とし、基板の種類を、 N i-Pメツキ後 150°Cx 1 hr の焼き鈍しを行った基板、そして、酸素との親和力が強い Coを 0.003wt · %、 0.04 w t 0.13 wt .%添加した N i-Pをメツキ後 250°Cx 1 h rの焼き鈍しを行った、酸素暴露用の特別な基板、計 4種類を用意し、それらを変化させたときの TEM像と、 TEM像により算出した平均磁性結晶粒径（G. D. ) をそれそれ示す。ここで、 C rの下地膜厚は 5 nm、 CoN i CrTaP t磁性膜厚は 15 nm—定である。図 15と図 1 6から、 C 0添加量が増加するにつれて強磁性結晶粒径が 9.8 n mから、 9.6 nm、 8.8 nm, 8.6 nmへと低減していることがわかる。この C o添加量増大による強磁性結晶粒径の減少は、基板表面への吸着ガス量の増大による、 C rの下地膜結晶粒の成長の抑制効果（ピン止め効果）の促進によるものと考えられる。図 17に、基板表面への酸素暴露量を 1.5 Lとし、基板の種類を変化させたときの X線回折パターンを示す。ここで、。の下地膜厚は5 11111、 CoNi Cr T aP t磁性膜厚は 15 nm—定である。

基板の種類（N i- P膜中への C o添加量の大小）に関わらず、いずれの磁気記録媒体においても、面内配向である（ 1 10) 面からの回折ピークが見られ、かつ、それ以外の回折ビークは観測されていない。このことから、今回使用した基板においては、基板の種類によらず、結晶配向性は変化がないことがわかる。以上のことから、成膜直前に被覆膜のドライエッチングを行った後、各種基板の表面を酸素で暴露するにあたり、基板被覆膜への C o添加量増大に伴い、結晶配向性を変化させることなく、強磁性結晶粒径を低減することができ、信号対雑音比の優れた磁気記録媒体を得られることがわかった。図 18に UC -Processを用いて酸素暴露量 1.5 L、 C o含有量 0の条件にて作製した C r/C o N i ₁₂.₅C r i₅T a₃.₅P t ₅なる積層構造における磁性膜の強磁性結晶粒径の個数分布を示し、図 19に酸素暴露量 3.5 L、（ 0含有量0. 04wt .%の条件、他は同等の条件で同等の積層構造とした試料の磁性膜の強磁 O 4

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性結晶粒径の個数分布を示す。

図 18と図 19を比較して明らかなように、被覆膜に C oを添加した試料にあつては、平均結晶粒径が小さくなっていると同時に平均結晶粒径を超える大きな強磁性結晶粒径の結晶粒数が少なくなつている。特に、平均結晶粒径の 2倍を超える粗大強磁性結晶粒（平均結晶粒径 8.8の 2倍の 17.6 nm、換言すると、図 19において 18 nm以上の粒径の結晶粒）は存在しない。

このように C o添加により、粗大化した強磁性結晶粒を少なくできるということは、磁性膜として低ノイズ化ができたことになる。

また、図 20に酸素暴露量を 1.5 L—定として、（： 0添加量を0、 0.003 wt.%、 0.04wt.%、 0.13 wt.%とした各試料における強磁性結晶粒の分布状態を示すが、 C o添加量の増大とともに強磁性結晶粒径が微細化し、更に粗大化した強磁性結晶粒の数が減少することが明らかである。

「基板表面状態依存性と磁気特性」

図 21に、 N i-P-C oの被覆膜を有する基板表面のスパッ夕エッチングを行つた直後、かつ、 C rの下地膜を成膜する直前に、各 Co添加重（0、 0.003 wt.%, 0.04wt.%、 0.13 wt .%) の被覆膜表面を酸素で暴露した、 C r/CoN i ₁₂.₅C r ₁₅T a₃.₅P 1 なる組成と積層構造をもする磁気記録媒体における、保磁力の酸素吸着量依存性を示す。酸素暴露量を 0 Lから 3.5 Lの範囲、。 1：>の下地膜厚を511111、磁性膜厚を 15 nmとした。図 21に示すいずれの試料においても基板表面への酸素吸着量が増大すると、保磁力が減少する傾向にあるが、。 0添加重が0、 0.003 wt .%の基板間にはほとんど変化が見られなく、それ以上の C 0の添加量の基板（0.04wt.%、 0.13 wt .%) においては、 C oの添加量が増大する程、保磁力の減少量が大きく、その減少傾向が暴露量の増大に伴い、スパッ夕エッチングを行っていない磁気記録媒体の保磁力値（図 1 1においてドライエッチングなしと矢印記載した値）に漸近する傾向にあることが判明した。

ただし、いずれの C o添加量であっても、ドライエッチングなしの試料よりは高い保磁力を示した。図 22は、逆スパッ夕を行った直後、かつ下地 C r膜を成膜する直前に、各 C o添加重（0、 0.003wt.%、 0.04wt.%、 0.13 w t .%) の基板表面を酸素で 1.5 L, 3.5 L暴露した、 C r/C o N i ₁₂.₅C r ₁₅T a₃.₅P 1₅ なる組成と積層構造の磁気記録媒体における、 300 Kでの保磁力の基板への C 0添加重依存性を示す。

図 22に示す結果から、 C o添加重が 0.003 w t .%の基板においては、 C o添加重が Owt .%の基板に対して、保磁力がほとんど変化しないが、それ以上の C 0添加量を持つ基板においては、添加量の増大に伴い、保磁力が減少する傾向にある。ただし、いずれの C o添加量の試料であっても、ドライエッチングを施していない試料よりは高い保磁力を示した。

ここで、図 17の X線プロファイルで示したように、各種類の基板によって結晶配向性が変化しないことから、 C o添加量の増大に伴う保磁力の減少は、強磁性結晶粒径の微細化による熱擾乱の影響、粒間相互作用の増大によるものであると考えられる。図 23は、基板表面の逆スパッ夕を行った直後、かつ、 Crの下地膜を成膜する直前に、各 C 0添加量（ 0、 0.003wt.%、 0.04wt .%、 0.13 wt .%) の被覆膜表面を酸素で 1.5 L、 3.5 L暴露した、 Cr/CoN i ₁₂.₅Cr ₁₅T a₃.₅P t なる積層構造の磁気記録媒体における、 5K、 30 OKでの保磁力の基板への C o添加重依存性を示す。

図 23に示す結果から、熱擾乱の影響を受けていないと考えることが出来る 5 Kの試料においても、 C oの添加量の増大に伴い、保磁力値が減少している。ゆえに、この 300 Kでの保磁力の減少は、熱擾乱による影響だけではなく、強磁性結晶粒間の相互作用の増大によるものも考えられる。この要因として、 Co添加量が0.04wt.%、 0.13 wt .%の基板においては、 Co無添加の被覆膜、 Co添加量が 0.003 wt .%の被覆膜よりも、はるかに多くの酸素が被覆膜表面の C o粒子に吸着されていると考えられ、基板表面がスパッ夕エッチングを施していない場合とほぼ同様の表面状態になっているものと考えられ、その多くの吸着ガスが C rの偏析を阻害したり、膜内に多く残留していることが考えられる。以上のことから、 C oの添加重が好ましくは 0.13 wt .%以下の被覆膜を備えた基板を用い、かつ、被覆膜表面の酸素暴露量が 3.5 L程度以下において、結晶配向性に悪影響を及ぼすことなく、粒間相互作用を大きくすることなく、強磁性結晶粒径を低減できることがわかった。また、 C oの添加重が 0.04 wt .% 以上の被覆膜を備えた基板を用いると、基板表面のわずかな酸素暴露においても強磁性結晶粒径は大きく低減できるものの、粒間相互作用を増大させる傾向を有することがわかった。

「基板表面状態と磁気記録再生特性 j

図 24に、 Cr/CoN i _{12 5}Cr₁₅Ta₃.₅P t ₅なる組成と積層構造を有する磁気記録媒体における信号対雑音比（S/N_m) を、基板の被覆膜の種類（Co 添加量： 0.003 wt .%、 0.04wt 0.13 wt . ) に対して示す。ここで、成膜プロセスを基板表面に 1.5 Lの酸素暴露を行った成膜プロセスとし、（：の下地膜厚を511111、磁性膜厚を 15 nmとした。更に、図 24に、 N i-P膜に C 0を含有させていない基板を用い、酸素暴露量を 3.5 L、 7.5 とした磁気記録媒体の記録再生特性も示す。図 24に示す結果から、 C o添加量を増大させることにより、記録再生特性が向上し、 Co添加量が 0.04 wt .%付近で最大値の信号対雑音比（ l dB以上の向上）をとる。この要因として、 0.04wt .%付近では粒間相互作用が大きくなる傾向にあるものの、それ以上に強磁性結晶粒径が大きく低減することにより信号対雑音比が改善されるものと思われる。よって、基板表面の N i- P膜に C oを添加することにより、 SN比の良好な磁気記録媒体を得ることができる。

「酸素吸着依存性の総括」

C 0を含まない N i-P膜を設けた基板を用いた基板表面の酸素暴露において、 1.5 L〜 3.5 L程度までの酸素暴露において、結晶配向性の劣化や強磁性結晶粒間相互作用の増大を引き起こすことなく強磁性結晶粒径を微細化することができることが明らかになった。また、 3.5 L以上の酸素暴露においては、さらに磁性結晶粒径が微細化するものの、粒間相互作用の増大により、保磁力が減少する傾向にある。磁気記録再生特性においては、酸素暴露により、 l dB弱程度の改善が可能であることが判明した。

「基板表面状態の依存性」

N i- P膜に対する Co添加重が 0.003 wt .%以下の基板を用いることにより、基板表面の酸素暴露量が 3.5 L以下において、結晶配向生に悪影響を及ぼすことなく、粒間相？ ^/:用を大きくすることなく、強磁性結晶粒径を低減できることが明らかになった。また、 N i- P膜に対する C 0添加重が 0.04w t .%以上の基板を用いると、基板表面のわずかな酸素暴露においても、強磁性結晶粒径を大きく低減できるが、粒間相互作用が増大することが判明した。また、磁気記録再生特性においては、基板表面に C oを添加することにより、 l dB以上程度の改善が可能であることが判明した。最終結論として、まず、基板表面の被覆膜をスパッ夕エッチングした後、酸素で 1.5 L〜3.5 L程度暴露することにより、結晶配向性や粒問相互作用を増大させることなく、強磁性結晶粒径を 10. 8 nmから 9.9 nmへと低減することができ、さらに、 N i- Pアモルファス膜に C oを 0 · 003 wt .%以下添加することにより、 9.8 nmから 9 · 6 nmへと低減できることが明らかになった。また、磁気記録再生特性において、 Cr下地膜厚、磁性膜厚が一定の条件下において、 C 0を 0.04 wt .%程度 N i- P膜に添加した基板を用い、基板表面への酸素暴露量を 3.5 L程度とすることにより、信号対雑音比で 1.5〜 2.0 d B程度の改善ができることが明らかとなった。また、信号対雑音比で見ると、 0.08w t .%以下の範囲で良好な値を得ることができるので、多少の保磁力の低下を加味して信号対雑音比の優れた磁気記録媒体を得るためには、被覆膜に対する Co含有量として 0.08wt.%以下、好ましくは 0.003〜0.08wt.%の範囲、酸素暴露量として 3 · 5 L以下、好ましくは 0.1 L〜3.5 Lの範囲とすることが良いと思われる。また、被覆膜は単層構造ではなく、複層構造としても良く、 N i- P膜を下部被覆膜として、その上に酸素と結合しやすい元素を含む材料をスパッタなどの手段で成膜して上部被覆膜とし、その上部被覆膜表面を酸素暴露することにより、微細化と均一化に適した構造（吸着酸素ガスの分布状態）とすることも可能であつて、本発明はそのような態様も含むものとする。最後に、本試験に用いた磁気記録媒体用基板の表面に形成されている被覆膜について、ストリップ応力測定器を用いて測定した応力測定結果を示す。

C 0含有量 0.001 w t .% -9.28k g/mm²

Co含有量 0.003 wt .% -8.45k g/mm²

Co含有量 0.0 1 wt .% - 7.27k g/mm²

Co含有量 0.04 wt . -2.64 kg/mm²

Co含有量 0.13 w t .% + 2.27 k g/mm²

この関係から、 N i-P膜に添加する C oの添加量が増加するにつれて、 N i P膜の応力が引張応力側に変化していることが判明した。以下の各実施例では、特に説明しない限り、 3 X 10— ⁹Torrの高真空において Η₂〇を 1 p p b以下としたウルトラクリーンプロセスにて試験を行った。基板温度は 250° ドライエッチングの条件は、 2mTorr、 200 W、 5秒とした。

「基板深さ方向の分析結果」

次に、前述のアルミニウム製の円盤状の基体に N i Pの被覆膜を形成し、 3, 5 Lの条件で酸素暴露を行い、その上に、厚さ 100 Aの C rの下地膜と、厚さ 280 の〇0 (： ₁₇T a ₅なる組成の磁性膜と、厚さ 100 Aのカーボンの保護膜を形成した磁気記録媒体に対し、 N i Pの被覆膜の表面にドライエッチング処理を施した試料とドライエッチングを施していない試料を用意し、これらの各試料の S I M S ( 2次イオン質量分析法）による深さ分析を行った結果を図 2 8に示す。

図 2 8に示す結果から明らかなように、ドライエッチングを施していない試料に対し、ドライエッチングを施した試料の酸素濃度は大幅に低下していることがわかる。これは、ドライエッチングを施して表面のクリーニングを行っていない場合、 N i Pの表面に酸化物等の付着から表面に制御不能の酸素原子が大量に存在し、本発明の目的である、良好なピン止めサイトとしての機能を奏する酸素トラップを制御良く形成できないことを示唆している。

次に、各試料の C o C r T aの磁性膜の C o結晶の粒径と保磁力を測定したところ、ドライエッチングした試料にあっては、 1 0 . 8 n mであり、保磁力は 2 . 2 6 k O eであったが、ドライエッチングを施していない試料の結晶粒径は 7 . 4 n m、保磁力は 0 . 8 2 k O eになった。

このことから、ドライエッチングを施すと、 C o結晶の粒径は大きくなるものの、保磁力を大幅に向上できることが明らかである。よってドライエッチングを施した試料に対し、更に結晶粒径の微細化を図るならば、より良好な磁気記録媒体を得られることが判明した。先に記載の本発明に係る実施例はこのようなドラィエッチングの知見に基づいてなされている。

「酸素暴露量と磁気特性の測定」

先の例と同等の基板に対して N i C o Pの被覆膜表面にドライエッチング処理を施し、更に 3 . 5 Lの条件にて酸素暴露を行った試料と、酸素暴露を行わない試料（酸素暴露量 0 L ) を用意し、それそれに厚さ 5 n mの C rの下地膜、厚さ 1 5 n mの C 0 C Γ ₇ T a ₅なる組成の磁性膜、厚さ 1 0 n mのカーボンの保護膜を形成して磁気記録媒体試料を得た。

これらの試料において、酸素暴露量 0 Lの試料の C o結晶粒径が 1 0 . 8 n mであつたが、酸素暴露量 3 . 5 Lの試料の C o結晶粒径が 9 . 3 n mとなり、結晶粒径の微細化を実現できた。

また、酸素暴露量を 1 . 5 L、 3 . 5 L、 7 . 5 Lと変更して各々磁気記録媒体試料を作成し、各試料の S N比を測定した結果を図 2 9に示し、各試料の保磁力を測定した結果と、各試料の V a c t K U " n/K T (磁気記録媒体の熱擾乱を示す指数）を測定した結果を図 30に示す。

図 29に示すように酸素暴露量の増加により SN比を 18.5から最大 19.1 dB (暴露量 4L) まで上昇させることができた。これは、メディアノイズとして見た場合、メディアノイズを 4.8から 4.56 V rmsを 4.80 / V rmsまで低減できることと同等である。また、図 30に示す結果から、保磁力においては 2 .26から 2.00 kO eに低下する。

これは、 V_actKu^Sfain/kT (磁気記録媒体の熱擾乱を示す指数）が 156 から 104に低下するためである。（ここで、 V_actとは活性化磁気体積であり、磁気クラスターが一斉に振る舞う体積に相当するものである。 Ku^^ainは結晶磁気異方性エネルギー定数であり、磁性材料のポテンシャルを示す指数である。 k はボルツマン定数であり、 Tは絶対温度である。）今回提案の磁気記録媒体において、 V_actKu^s'^ain/kTが低下した主な要因は、基板をドライエッチングした後に酸素を暴露することで、結晶粒径が大幅に低減され、 V_actも大幅に低減されたためである。 V_actKu^s'^ainZkTの値が小さくなれば、例えば、 100を下回る程度に小さくなれば、熱擾乱の影響が比較的強くなり、保磁力の低下や記録の消失といった問題が懸念される。しかし、現状の磁気記録媒体に対してならば、 V_actKu^siain/kT= 104は、大きな問題とはならない数値である。更なる特性向上をするためには、より大きな Ku^siaiを有する磁性材料を選択すれば、容易に実現できると考えられる。

これらの試験結果を踏まえ、アルミニウム基板の表面に N i C o Pの被覆膜を形成してから磁気記録媒体試料を作製し、この磁気記録媒体の磁気特性を測定する試験を行った。

「酸素暴露量と磁気特性の測定」

先の例の基体の被覆膜に Coを 400 pp m添加した C o共析基体と C oを添加していない基体を用い、これらに先の例と同等の条件でドライエッチングを施し、 1.5 Lの条件で酸素暴露を行い、次いで厚さ 1 5 nmの C o C r T aN i P tの磁性膜を成膜し、カーボンの保護層を形成して磁気記録媒体を作製し、これらの磁気記録媒体試料の各磁性膜における C o結晶粒径を測定した。その結果、 C oを添加していない試料の結晶粒径が 9.8 nmであったが、 Co を添加した試料の結晶粒径は 8.8 nmになった。

また、同試料の外に Co添加量を 0、 120、 1200 p pmにそれぞれ設定した試料の SN比の測定結果を図 31に、保磁力の測定結果、および磁気的粒間相互作用指数 GD, /GDの測定結果を図 32にそれそれ示す。

これらの結果から、酸素暴露量を一定としても C o濃度を調節することで SN 比を増加させる（C 0なしの試料で 18.5 dB~>C o 400 p pmの試料で 19 .5 dB) ことができ、保磁力の低下、および磁気的粒間相互作用の増加を低く抑えることができるとともに、媒体の S N比を向上できることが判明した。

「酸素暴露量と磁気特性測定」

次に、アルミニウム製の基板表面の C o-N i P層をテクスチユアを形成していない鏡面化状態とし、その上にドライエッチングを施した試料と施さない試料を用意し、更に酸素暴露を行う試料と行わない試料を種々揃え、厚さ 5nmの Cr 膜と厚さ 5 nmの C r Mo膜を積層した 2層構造の下地膜を用い、その上に厚さ 20 nmの C o C r ₂₄P t , ₂ B ₄なる組成の磁性膜を形成し、更に厚さ 7 nmの力一ボンの保護層を形成して磁気記録媒体試料を得た。この試料において 2層構造の下地膜を用いたのは、その上に積層する C o C r₂₄P t ₁₂B₄なる組成の磁性膜との結晶整合性を考慮したものであり、この 2層構造の下地膜を用いることで C 0 C r ₂₄P t ₁₂B 4なる組成の磁性膜の結晶配向性を良好として良好な磁気特性を得ることができる。

この試料において酸素暴露量と保磁力の関係を測定した結果を図 33に示す。図 33に示す結果から、 C oを 400 p pm添加してドライエッチングを施した試料の保磁力が十分に高くなり、 C oを添加していない試料はそれよりも低い保磁力を示し、更にドライエッチングを施していない試料はさらに低い保磁力を示した。なお、保磁力に関し、酸素暴露量を 30 Lとしてもほとんど低下しないことが判明したので、酸素暴露量は 30 L以下の範囲で他の磁気特性を勘案して適宜選択することができることも明らかになった。これは、先の実施例の組成では磁性膜として C rと P t含有量の少ない組成系の磁性膜を用いていたのに対し、今回の実施例では C o C r 2 4 P t _{1 2} B 4なる組成であって、 C rを充分に添加した組成系とすることで、磁性膜として、 C o粒子び周囲に C rの偏析を促進して C r強磁性粒子の磁気的相互作用を調整し、 P tの添加量を充分として保磁力を高めた結果である。図 3 4は、同等の積層構造の試料に対し、分解能を測定した結果を示す。

C 0を被覆膜に添加した試料（C o - N i P基板）および添加していない試料（ N i P基板）について分解能の優劣はほとんど見られない。これは、 C r強磁性粒子の磁気的粒間相互作用を極めて低減し、 P tの添加量を充分として熱ゆらぎの影響を低く抑えることにより保磁力を高めた結果である。

図 3 5は、これらの結果をまとめ、酸素暴露量と S N比の関係をプロットしたものである。この図に示す結果から、酸素暴露量に関し、暴露量を多くする方が良好な S N比を得られることがわかる。

図 3 6は、これらの結果から、 S N比と分解能の関係をプロットしたもので、この図に示す結果から、酸素暴露量を増加することでドライエッチングを施していない試料の S N比と同等にまでドライエッチングを施した試料で到達することができるので、 S N比の面においてもドライエッチングを施した試料にあって良好なレベルまで向上できることが明らかとなった。

図 3 7は、分解能と S N比の関係を示すもので、この図の関係から、酸素暴露量を増加することで、分解能を低下させることなく S N比を向上できることが明らかである。

また、先に述べた試験結果から明らかなようにドライエッチングを施した磁気記録媒体試料は高い保磁力を有するので、高保磁力かつ低ノイズ、更に高分解能の磁気記録媒体を提供できることが明らかになった。産業上の利用の可能性

以上説明したように本発明の磁気記録媒体用基板によれば、 N iと共析可能で酸素と親和力の高い元素を含有する非磁性の被覆膜を表面に有する磁気記録媒体用基板であるので、被覆膜上に下地膜と磁性膜を形成して磁気記録媒体とする際に、被覆膜中に含有させた添加元素の添加効果によって下地膜の結晶粒径を微細化し、磁性膜の結晶粒径を微細化することができる。従って本発明の磁気記録媒体用基板を用いるならば、結晶粒径の小さい低ノイズ化した磁性膜を備える磁気記録媒体を得ることができる効果がある。前記被覆膜として具体的に、 Co、 W、 Fe、 V、 Cr、 Mn、 Cu、 Z n、 Mo、 Pd、 Sn、 Re、 Al、 Z r、 B、 T iの中から選択される 1種または 2種以上を添加したものを用いることができ、更に、 Ni- P-Co系、 Ni- Ta -Co系、 N i- T i- C o系のいずれかを適用することができ、更に、 Ni C oP Mなる組成式（ただし、元素 Mは、 T i、 Z r、 Hf、 V、 Nb、 Mo、 Ta、 W、 Al、 Bのうち、 1種または 2種以上の元素からなる）で示される組成のものを用いることができる。

また、被覆膜の表面に酸素が間欠的に吸着されてなるならば、間欠的に吸着された酸素の上に下地膜が成膜される場合に下地膜の結晶粒の微細化を図ることができ、更に下地膜上に形成される磁性膜の結晶粒の微細化を図ることができる。また、本発明に係る磁気記録媒体であるならば、 N iと共析可能で酸素と親和力の高い元素を含有する非磁性の被覆膜を表面に有するので、被覆膜上に下地膜と磁性膜が形成される場合に、被覆膜中に含有されている添加元素の添加効果によって下地膜の結晶粒径を微細化することができ、磁性膜の結晶粒を微細化することができる。

従って本発明の磁気記録媒体ならば、結晶粒径の小さい低ノィズ化した磁性膜を備える磁気記録媒体を得ることができる効果がある。また、被覆膜の表面に酸素が間欠的に吸着されてなるならば、間欠的に吸着された酸素が結晶粒の粗大化の抑制点として作用し、その上に形成される下地膜の結晶粒の微細化がなされ、更に下地膜上に形成される磁性膜の結晶粒の微細化がなされる。更に、 C oが規定量含有され、表面に酸素が吸着された被覆膜を備えた磁気記録媒体であるならば、あるいは、被覆膜表面を逆スパッタ後に適切な酸素暴露量で基板表面を処理したものならば、磁性膜の結晶粒を微細化することができ、微細結晶粒の平均結晶粒径の 2倍を超える粗大結晶粒を有しない優れた粒径分布の磁性膜が得られる。これにより、特にノイズの低い磁気記録媒体を得ることがでぎる。次に、本発明方法によれば、非磁性の基板と該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜を順に積層してなる磁気記録媒体の製造方法において、前記基体が形成された成膜空間を 1 0— ^flTorr台以下の真空度に減圧する排気工程と、前記成膜空間に不活性ガスを導入し、ブラズマを生起させて、前記基体を構成する被覆膜表面部分をドライエッチング処理するクリーニング工程、及び、前記排気工程の真空度より高い圧力となるように、前記成膜空間に少なくとも酸素を含むガスを導入し、前記被覆膜の表面を該酸素を含むガス雰囲気に曝す暴露工程と、前記暴露工程を終えた基体上に、前記下地膜をドライプロセスにより堆積させる成膜工程とを少なくとも含むことを特徴とするので、被覆膜の表面をドライエッチングで完全に清浄化できるとともに、その後に好適な量の酸素を吸着させることができる。そしてこのように吸着させた酸素は、下地膜の結晶粒粗大化の抑制として機能するので、微細な結晶粒を有する下地膜を得ることができると同時に微細な結晶粒を有する磁性膜を得ることができる。

下地膜として C rを含むものが好ましく、 C rを含む下地膜の上に磁性膜を形成するならば、結晶粒を微細化した優れた磁性膜を得ることができる。また、被覆膜に対して好適な C o含有量を選択し、酸素暴露量として好適な範囲を選択するならば、保磁力が高く、結晶粒径が小さく、結晶粒径の分布範囲が狭く、粗大化した結晶粒の少ない、低ノイズ化した磁性膜を有する磁気記録媒体を得ることができる。

Claims

請求の範囲

1. 非磁性の基板と、該基板を被覆するように設けられて N iと共析可能で酸素と親和力の高い金属を含む非磁性の被覆膜とを具備してなることを特徴とする磁気記録媒体用基体。

2. 前記金属が、 P、 Co、 W、 Fe、 V、 Cr、 Mn、 Cu、 Z n、 Mo、 Pd、 Sn、 Re、 Al、 Z r、 B、 T i、 T aの中から選択される 1種または 2種以上の元素からなることを特徴とする請求項 1記載の磁気記録媒体用基体。

3. 前記被覆膜が、 Ni- P- C o系非晶質膜、 Ni- Ta- Co系非晶質膜、または、 N i- T i- C 0系非晶質膜のいずれかであることを特徴とする請求項 1または請求項 2に記載の磁気記録媒体用基板。

4. 前記被覆膜が、 N i C o PMなる組成式で示され、前記 Mが、 T i、 Z r、 Hf、 V、 Nb、 Mo、 Ta、 W、 Al、 Bのうち、 1種または 2種以上の元素であることを特徴とする請求項 1に記載の磁気記録媒体用基体。

5. 前記被覆膜に Coが 0.003〜0.10 wt .%含有されてなることを特徴とする請求項 1、 3、 4のいずれかに記載の磁気記録媒体用基体。

6. 前記被覆膜の表面部分に酸素が間欠的に吸着されてなることを特徴とする請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体用基体。

7. 前記被覆膜を設けた基板が、下地膜、磁性膜及び保護膜で被覆されるものであり、前記保護膜上を磁気へッドが対向状態で浮上走行されるものであることを特徴とする請求項 1〜 6のいずれかに記載の磁気記録媒体用基体。

8. 非磁性の基板と該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜とが具備されてなり、前記被覆膜に Niと共析可能で酸素と親和力の高い金属が含有されてなることを特徴とする磁気記録媒体。

9. 前記金属が、 P、 Co、 W、 Fe、 V、 Cr、 Mn、 Cu、 Zn、 Mo、 Pd、 Sru Re、 Al、 Z r、 B、 T i、 T aの中から選択される 1種または 2種以上の元素からなることを特徴とする請求項 8記載の磁気記録媒体用基体。

10. 前記被覆膜が、 Ni- P_Co系非晶質膜、 Ni- Ta-Co系非晶質膜、または、 N i-T i-C o系非晶質膜のいずれかであることを特徴とする請求項 1 または請求項 8に記載の磁気記録媒体用基板。

1 1. 前記被覆膜が、 N i C o PMなる組成式で示され、前記 Mが、 T i、 Z r、 Hf、 V、 Nb、 Mo、 Ta、 W、 Al、 Bのうち、 1種または 2種以上の元素であることを特徴とする請求項 8に記載の磁気記録媒体用基体。

12. 前記被覆膜に Coが 0.003〜0.1 Owt .%含有されてなることを特徴とする請求項 8、 10、 1 1のいずれかに記載の磁気記録媒体用基体。

13. 前記被覆膜の表面に吸着された酸素が、前記磁性膜を構成する強磁性結晶粒の粗大化を抑制するピン止め点とされてなることを特徴とする請求項 8〜 1 2のいずれかに記載の磁気記録媒体。

14. 前記被覆膜の表面に酸素が間欠的に吸着され、前記酸素の吸着された部分が前記下地膜を構成する結晶粒の粒界に位置され、前記下地膜を基にして前記磁性膜がェピタキシャル成長されてなることを特徴とする請求項 8〜 13のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体。

15. 非磁性の基板と、該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜とが具備されてなり、前記磁性膜が、その磁性膜の主要部を構成する強磁性結晶粒の平均結晶粒径値の 2倍を超える粒径の粗大強磁性結晶粒を有しない構造とされたことを特徴とする磁気記録媒体。

16. 非磁性の基板と該基板上に形成された非磁性の被覆膜から構成された基体上に、下地膜と磁性膜と保護膜を順に積層してなる磁気記録媒体の製造方法において、

前記基体が形成された成膜空間を 10— ⁹Torr台以下の真空度に減圧する排気ェ程と、前記成膜空間に不活性ガスを導入し、プラズマを生起させて、前記基体を構成する被覆膜表面部分をドライエッチング処理するクリーニング工程、及び、前記排気工程の真空度より高い圧力となるように、前記成膜空間に少なくとも酸素を含むガスを導入し、前記被覆膜の表面を該酸素を含むガス雰囲気に曝す暴露工程と、前記暴露工程を終えた基体上に、前記下地膜をドライプロセスにより堆積させる成膜工程とを少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

17. 前記被覆膜として、 N iと共析可能で酸素と親和力の高い金属を含有する簿膜を用いることを特徴とする請求項 16に記載の磁気記録媒体の製造方法。

18. 前記下地膜として Crを主たる構成元素とする薄膜を用いることを特徴とする請求項 16または 17に記載の磁気記録媒体の製造方法。

19. 前記被覆膜として、 Ni- P- Co系非晶質膜、 N i- Ta- Co系非晶質膜、または、 N i- T i- Co系非晶質膜を用いることを特徴とする請求項 16〜 18のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。

20. 前記暴露工程は、前記被覆膜表面の暴露量が 30ラングミュア以下（ただし、 1ラングミュア = 1 X 10—⁶Torr · sec) 、となるように該被覆膜の表面を所定圧力の酸素雰囲気に所定の時間暴露することを特徴とする請求項 16〜19 のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。

21. 前記被覆膜に含有される Coを 0.003~0.10wt.%の範囲とすることを特徴とする請求項 16〜20のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。

22. 請求項 8ないし請求項 15のいずれか 1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する駆動部と、磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対移動させる移動手段とを具備してなることを特徴とする磁