明 細 書 ポリ Vプ—リの製造方法 技術分野
この発明は、 回転動力を伝達するための Vベル卜に使用さ れるポリ Vプ一リの製造方法に関する。 背景技術
この種のポリ Vプーリとして、 小径のポリ V溝と大径のポ リ V溝とを 2段に形成したポリ Vプーリがある。 このような ポリ Vプーリは、 一般に铸鉄製のものが用いられる。 しかし 、 铸鉄製のポリ Vプーリは、 重量が大であり、 しかもポリ V 溝は切削加工により行われるため、 作業現場に切削粉が飛散 し、 作業環境が悪化し、 そればかりか切削加工は手間取るた め作業能率低下の原因にもなる。
本発明の目的は、 上記のような、 大小異径のポリ V溝を 2 段に形成したポリ Vプ一リにおいて、 このポリ Vブーリを厚 肉の平板素材から製造できるようにすることにより铸鉄製の ポリ Vプーリに比べて強靭で耐久性に優れ、 しかも軽量、 低 コス トで簡単に能率よく製造することのできる板金製のポリ
Vプ一リの製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明によるポリ Vブーリの製造方法は、 外周面に径小ポ リ V溝を有する径小円筒部と、 この径小円筒部の軸方向一端 から径方向内方に張出し形成され、 中央に軸挿通孔を有する 支持基板部と、 上記径小円筒部の軸方向他端に段付き部を介 して上記径小円筒部と同心状に連設され、 外周面に径大ポリ
V溝を有する径大円筒部とを備えたポリ Vブーリの製造方法 において、 中央に上記軸挿通孔を有する円形の平板素材を曲 げ加工することにより上記支持基板部と、 この支持基板部の 外周端から外方へ拡開傾斜状に連設する円錐周壁部とを有す る断面皿形の第 1成形体を成形する曲げ工程と、 上記円錐周 壁部を拡開端方向に展延することにより肉厚減少して断面形 状が深い皿形の第 2成形体を成形する展延工程と、 第 2成形 体の肉厚減少した円錐周壁部を絞り成形することにより径小 円筒部および径大円筒部を成形する絞り工程と、 上記支持基 板部の外周及び径小円筒部の外周面に径小ポリ V溝を、 上記 径大円筒部の外周面に径大ポリ V溝をそれぞれ転造成形する 転造工程とを含むものである。
このような本発明によるポリ Vプ一リの製造方法によれば 、 展延工程では円錐周壁部のみを肉厚減少して支持基板部は 平板素材の厚い肉厚をそのまま保有するように展延加工する ので、 クランクシャフ 卜などに確実強固にはめ込まれるよう 必要かつ十分な強度の支持基板部を得ることができる。 また
、 円錐周壁部は予め展延加工により肉厚減少したうえで径小 円筒部と径大円筒部とを絞り成形するので、 この絞り加工は 容易に行える。 しかも、 この肉厚減少した円錐周壁部は予め 曲げ工程で拡開傾斜状に形成されているので、 平板から径小 円筒部と径大円筒部を絞るよりも絞り易い。
このような板金製のポリ Vプーリは、 铸鉄製のポリ Vプ一 リに比べて強靭で耐久性に優れ、 しかも軽量、 低コス トで簡 単に能率よく製造することができる。
また、 上記展延工程において、 下端面に支持基板部押さえ 面を加工した回転上型と、 平坦な支持基板部受け面と円錐斜 面状の周壁部受け面とを有する截頭円錐形状に加工した回転 下型、 及びサイ ドロ—ラを使用する。 そして、 第 1成形体の 支持基板部を上記支持基板部押さえ面と支持基板部受け面と の間に挟持すると共に、 第 1成形体の円錐周壁部を上記周壁 部受け面上に載置して、 第 1成形体を回転上下型ごと上下型 軸心回りに回転させると共に上記円錐周壁部の外周に上記サ ィ ドローラの外周を半径方向に強く押し付け、 該サイ ドロ一 ラをこれの軸心回りに回転させながら上記周壁部受け面の傾 斜方向下方へ移動させることによって、 上記円錐周壁部のみ を拡開端方向に肉厚減少状態に容易に展延することができる o
また、 上記転造工程において径小円筒部の外周面と径大円 筒部の外周面にポリ V溝をそれぞれ別工程で個別に転造成形
することにより、 それぞれのポリ V溝を精度よく成形するこ とができる。
また、 上記平板素材として、 その中央にボス部を一体に突 設したものを使用することにより、 このボス部の肉厚は支持 基板部と同様に平板素材の厚い肉厚をそのまま保有するので 、 シャフトとの結合強度を必要かつ十分に確保できる。
図面の簡単な説明
図 1は本発明の一実施例により製造されたポリ Vプーリの 断面図である。
図 2 A〜図 2 Gは本発明の一実施例によるポリ Vプーリの 製造方法を示す説明図である。
図 3 A, 図 3 Bは本発明の他の実施例を示す展延工程図で ある。
図 4は本発明の更に他の実施例を示す第 2転造工程図であ る o
図 5は本発明の更に他の実施例を示す展延工程図である。 図 6 A , 図 6 Bは本発明の更に又、 他の実施例を示す展延 工程図である。
図 7は本発明の他の実施例を示すポリ Vブーリの断面図で め 。
発明を実施するための最良の形態 本発明に係るポリ Vブーリの製造方法の一実施例を図面に
基いて説明する。
図 1は本発明の一実施例により製造されたポリ Vブーリの 断面図である。 ポリ Vプーリは、 外周面に第 1耳部 1及び径 小ポリ V溝 2を有する径小円筒部 3と、 この径小円筒部 3の 軸方向一端から径方向内方に張出し形成され、 中央に軸挿通 孔 4を有する筒状のボス部 5を外方に突設した支持基板部 6 と、 径小円筒部 3の軸方向他端に段付き部 7を介して径小円 筒部 3と同心状に連設され、 外周面に第 2, 3耳部 8 , 9及 び径大ポリ V溝 1 0を有する径大円筒部 1 1とを備える。 こ のポリ Vプーリは、 例えば、 クランクシャフ 卜にボス部 5を はめ込んで使用される。 第 1耳部 1 , 第 2耳部 8, 第 3耳部 9は、 ポリ Vベル卜が径小ポリ V溝 2、 径大ポリ V溝 1 0に 掛けられた状態下で不慮にそれら径小ポリ V溝 2、 径大ポリ V溝 1 0から外れ出るのを防止するための規制壁である。 次に、 上記ポリ Vプーリの製造方法を図 2 A〜図 2 Gに基 いて説明する。
図 2 A、 図 2 Bはプレス機の上下型 1 2, 1 3による曲げ 工程を示している。 この工程で使用する上型 1 2は、 下端面 1 4を中央にボス部逃げ凹部 1 5を有する平坦面に加工した ィンナー 1 6と、 下端内周に雌型の円錐斜面 1 7を有する円 筒状のアウター 1 8とからなる。 下型 1 3は、 上端面を中央 に突起 1 9を備えた平坦面 2 0と雄型の円錐斜面 2 1とを有 する截頭円錐形状に形成してなる。
この曲げ工程では、 予め中央に軸挿通孔 4を有する筒状の ボス部 5を一体に突設した圧延鋼板等よりなる円形の平板素 材 2 3を用意する。 平板素材 2 3に対しボス部 5はバーリン グ加工などによって加工される。
そして、 図 2 Aに示すように、 この平板素材 2 3のボス部 5を下型 1 3の突起 1 9に挿入して平板素材 2 3を下型 1 3 の平坦面 2 0上に置く。 次いで、 図 2 Bに示すように、 上型 1 2のインナ一 1 6を下降させて、 この平坦な下端面 1 4で 平板素材 2 3のボス部 5周辺の内周領域部を下型 1 3の平坦 面 2 0に対して強く押し付ける。 次いでアウター 1 8を下降 させることによりその円錐斜面 1 7で平板素材 2 3の外周領 域部を、 下型 1 3の円錐斜面部 2 1上に押し付けて外方へ拡 開傾斜状に曲げ加工する。 この曲げ加工により中央にボス部 5を有する平らな支持基板部 6と、 この支持基板部 6の外周 端から外方へ拡開傾斜状に連設する円錐周壁部 2 4とを有す る断面皿形の第 1成形体 2 5が得られる。
図 2 Cは展延工程を示しており、 この展延工程では回転上 下型 2 8 , 3 2と、 展延加工用の可動式のサイ ドローラ 3 3 とを使用する。 回転上型 2 8はこれの下端面を中央にボス部 逃げ凹部 2 6を有する支持基板部押さえ面 2 7に加工してい る。 回転下型 3 2 F、 中央に突起 2 9を備えた平坦な支持基 板部受け面 3 0と、 円維斜面状の周壁部受け面 3 1とを有す る截頭円錐形状に加工している。
そして、 この展延工程では、 回転下型 3 2に対し第 1成形 体 2 5がボス部 5を突起 2 9に挿入するとともに、 支持基板 部 6を支持基板部受け面 3 0上に、 円錐周壁部 2 4を周壁部 受け面 3 1上にそれぞれ位置するよう載置される。 次いで、 回転上型 2 8を下降させて、 この支持基板部押さえ面 2 7で 第 1成形体 2 5のボス部 5周辺の支持基板部 6を回転下型 3 2の支持基板部受け面 3 0に対して押し付ける。 かく して、 回転上型 2 8と回転下型 3 2とを第 1成形体 2 5ごと上下型 軸心 0 間回りに回転させるとともに、 第 1成形体 2 5の円 錐周壁部 2 4の外周にサイ ドロ一ラ 3 3の外周を半径方向に 強く押し付け、 該サイ ドロ一ラ 3 3をこれの軸心 0 2回りに 回転させながら周壁部受け面 3 1の傾斜方向下方 (矢印 a方 向) に移動させる。 このサイ ドローラ 3 3の作動により円錐 周壁部 2 4がこれの拡開端方向へ支持基板部 6の肉厚よりも 薄く拡げ延ばされて減肉円錐周壁部 2 4 1に成形される。 こ の場合、 支持基板部 6の肉厚が、 例えば 6 mmである場合、 減 肉円錐周壁部 2 4 1は 3 mm程度にまで肉厚減少させる。 この 展延加工により全体の断面形状が深い皿形の第 2成形体 3 4 を得ることができる。
減肉円錐周壁部 2 4 1をこのように展延成形する前の段階 では、 支持基板部 6の外周部 6 aには後工程で図 1に示すご とき第 1耳部 1及び径小ポリ V溝 2の一部を成形することが できるように、 この支持基板部 6の外周部 6 aは平板素材 2
3の厚い肉厚をそのまま保有すべく、 又はそれよりも厚肉に 増肉すべく加工する。 この加工に際しては、 図 3 Aのように 回転下型 3 2の支持基板部受け面 3 0の外周に凸部 3 4を環 状に設けておく。 そして、 図 3 Bに示すように、 回転上型 2 8の支持基板部押さえ面 2 7でもって、 ボス部 5の周辺の支 持基板部 6を、 回転下型 3 2の支持基板部受け面 3 0の突起
2 9と凸部 3 4との間に押し付けると同時に、 サイ ドロ一ラ
3 3を円錐周壁部 2 4の外周の上端寄り部に強く押し付ける と、 支持基板部 6の外周部 6 aを厚肉のままボス部突出方向 に隆起させることができる。 この場合、 支持基板部 6の外周 部 6 aにはサイ ドローラ 3 3を強く押し付けて周壁部受け面 3 1の傾斜方向上方 (図 3 B中、 矢印 b方向) に移動させる ことにより材料を迫り上げることができる。 これにより支持 基板部 6の外周部 6 aは図 3 B中、 仮想線で示すごとく第 1 耳部 1及び径小ポリ V溝 2の成形基礎となる肉盛り部 Mを外 方へできる限り多く張り出すことになる。
図 2 Dは第 1絞り工程を示しており、 この第 1絞り工程で は上型 4 0と下型 4 5を使用する。 上型 4 0は、 これの下端 面中央にボス部逃げ凹部 3 5を設け、 かっこのボス部逃げ凹 部 3 5の外周に支持基板部押さえ面 3 6を形成するとともに 、 この支持基板部押さえ面 3 6の外周に支持基板部 6の隆起 状の外周部 6 aが嵌合する凹溝 3 7を形成している。 さらに 、 その凹溝 3 7の外側部には径小円筒部絞り用の垂直壁 3 8
を形成し、 この垂直壁 3 8の下端から外方へ水平に連続して 段付き部成形部 3 9を形成している。 下型 4 5は、 中央に突 起 4 1を有する支持基板部受け面 4 2を形成し、 かっこの支 持基板部受け面 4 2の外周端から下方へ垂直に連続して径小 円筒部受け用の垂直壁 4 3を形成するとともに、 この垂直壁 4 3の下端から外方へ水平に連続して段付き部受け面 4 4を 形成している。
そして、 この第 1絞り工程では、 第 2成形体 3 4を下型 4 5にセッ 卜したうえで、 上型 4 0を下降させる。 すると、 第 2成形体 3 4の減肉円錐周壁部 2 4 1のほぼ上半分が上型 4 0の垂直壁 3 8と下型 4 5の垂直壁 4 3との間で絞られて径 小円筒部 3を成形する。 これと同時に、 その径小円筒部 3の 下端から径方向外方へ張出す段付き部 7が段付き部成形部 3 9と段付き部受け面 4 4との間で成形される。 この第 1絞り 加工により第 3成形体 4 6を得る。
その際、 減肉円錐周壁部 2 4 1の最下端縁 2 4 1 aが跳上 がることのないようにその下端縁 2 4 1 aは下型 4 5の外周 に配備した規制壁 4 7に当接させる。 下型 4 5には、 成形後 、 上型 4 0が上昇した後において第 3成形体 4 6を下型 4 5 から上方へ押し出すための押出しピン 4 8を備えている。
図 2 Eは第 2絞り工程を示しており、 この第 2絞り工程で は第 1転造成形工程で使用する上型 4 0と略同じ形状をもつ 上型本体 4 9と、 この外周に配備した円筒状の径大円筒部絞
り型 5 0とを有する上型 5 1と、 第 1転造成形工程で使用す る下型 4 5と略同じ形状をもつ下型 5 2とを使用する。 そし て、 第 1絞り工程で得られた第 3成形体 4 6を下型 5 2にセ ッ トし、 上型本体 4 9及び径大円筒部絞り型 5 0を下降させ て減肉円錐周壁部 2 1の段付き部 7より下方部分 2 4 1 b を絞り加工して径大円筒部 1 1を成形する。 この第 2絞り加 ェにより第 4成形体 5 3を得る。
図 2 Fは第 1転造成形工程を示しており、 この工程では第 4成形体 5 3を回転上型 5 4と回転下型 5 5との間に挟持し て上下型軸心 0 3回りに回転させるとともに、 第 4成形体 5 3の支持基板部 6の外周部 6 aと径小円筒部 3の外周面に第 1転造ローラ 5 6の外周の溝 5 6 aを半径方向に強く押し付 けながら第 1転造ローラ 5 6をこれの軸心 0 回りに回転さ せる。 すると、 支持基板部 6の外周部 6 aと径小円筒部 3の 外周面に、 第 1耳部 1と複数の V溝群よりなる径小ポリ V溝 2が成形される。 これら第 1耳部 1及び径小ポリ V溝 2の成 形加工は単に一回の転造で成形する場合よりも数回の転造を 繰り返して最終寸法の溝深さ及びピッチにすることの方が好 ましい。 この第 1転造成形により第 5成形体 5 7を得る。 図 2 Gは第 2転造成形工程を示しており、 この工程では第 1転造成形工程で得られた第 5成形体 5 7を回転上型 5 8と 回転下型 5 9との間に挟持して上下型軸心 0 5回りに回転さ せるとともに、 第 5成形体 5 7の段付き部 7の外周と径大円
筒部 1 1の外周面に第 2転造ローラ 6 0の外周の溝 6 0 aを 半径方向に強く押し付けながら第 2転造ローラ 6 0をこれの 軸心 0 6回りに回転させる。 すると、 段付き部 7の外周と径 大円筒部 1 0の外周面に第 2, 3耳部 8, 9と両耳部 8, 9 間に複数の V溝群よりなる径大ポリ V溝 1 0が成形される。 その第 2 , 3耳部 8, 9及び径大ポリ V溝 2の成形加工も、 径小円筒部 3の第 1耳部 1及び径小ポリ V溝 2の成形加工の 場合と同様に単に一回の転造で成形する場合よりも数回の転 造を繰り返して最終寸法の溝深さ及びピッチにすることの方 が好ましい。 この第 2転造成形を終えることで図 1に示すご とき所定形状のポリ Vプーリが得られる。
上記実施例において、 図 2 Eの第 2絞り工程は省略して次 ぎのような加工法を採用することができる。 図 2 Dのように 第 3成形体 4 6の減肉円錐周壁部 2 4 1の段付き部 7より下 方部分 2 4 1 bは傾斜状のままで図 2 Fの第 1転造成形工程 に移して径小円筒部 3に第 1耳部 1及び径小ポリ V溝 2を成 形する。 そして次工程の第 2転造成形工程では、 図 4のよう にその減肉円錐周壁部 2 4 1の段付き部 7より下方の傾斜部 分 2 4 1 bを第 2転造ローラ 6 0の押し付け力で軸方向に真 つ直ぐに曲げて径大円筒部 1 1を成形しながらこれの外周面 に図 2 Gのように第 2 , 3耳部 8 , 9及び径大ポリ V溝 1 0 を転造成形する。
上記展延工程で使用する回転下型 3 2として、 図 5に示す
ように、 回転下型 3 2の円錐斜面の周壁部受け面 3 1を径小 円錐斜面部 3 1 aと径大円錐斜面部 3 1 bとを平坦段部 3 1 cを介して上下 2段に配するよう形成しておけば、 上記展延 工程での加工要領と同様なサイ ドローラ 3 3の作動によって 第 1成形体 2 5の減肉円錐周壁部 2 4 1を展延成形しながら 平坦段部 3 1上で段付き部 7を予備成形することができる。 上記実施例のように、 第 1転造工程において径小円筒部 3 の外周面に第 1耳部 1及び径小ポリ V溝 2を、 径大円筒部 1 1の外周面に第 2 , 3耳部 8 , 9及び径大ポリ V溝 1 0をそ れぞれ別工程で個別に転造成形することにより、 第 1耳部 1 及び径小ポリ V溝 2、 第 2, 3耳部 8, 9及び径大ポリ V溝 1 0のそれぞれを精度よく、 また繰り返し転造回数を少なく して成形することができる。 し力、し、 これに限られない。 第 1転造ローラ 5 6と第 2転造ローラ 6 0とを一体化した形の 一つの転造ローラを用意する。 この転造ローラを使用するこ とにより径小円筒部 3の外周面に第 1耳部 1及び径小ポリ V 溝 2を、 また径大円筒部 1 1の外周面に第 2, 3耳部 8 , 9 及び径大ポリ V溝 1 0を同時に転造成形することもできる。 上記展延工程において、 支持基板部 6の外周部 6 aを平板 素材 2 3の厚い肉厚をそのまま保有すべく、 又はそれよりも 厚肉に增肉すべく加工するに際して、 図 3 A , 図 3 Bに示す
加工法に代えて、 図 6 Aのように、 回転下型 3 2の円錐斜面 の周壁部受け面 3 1の上端寄りに凹溝 6 1をその円周方向に 設けておく。 そして、 回転上型 2 8の支持基板部押さえ部 6 2で支持基板部 6を回転下型 3 2の支持基板部受け面 3 0上 に押し付けると同時に、 サイ ドロ一ラ 3 3を円錐周壁部 2 4 の前記凹溝 6 1に対応する箇所の外周を強く押し付けること によっても、 支持基板部 6の外周部 6 aを厚肉に保有するこ とができる。 この場合、 円錐周壁部 2 4の外周の前記凹溝 6 1に対応する箇所はサイ ドロ一ラ 3 3で強く押し付けて b方 向に移動させて材料を迫り上げることで、 支持基板部 6の外 周部 6 aに第 1耳部 1の成形基礎となる肉盛り部 Mを少しで も予備的に外方へ張り出しておく ことができる。 また、 回転 上型 2 8の支持基板部押さえ部 6 2とサイ ドローラ 3 3との 間から第 1耳部 1の成形基礎となる肉盛り部 Mを少しでも予 備的に張り出しておけば、 第 1転造成形工程での第 1耳部 1 の張出し成形がそれだけ容易に行えることになる。 支持基板 部 6の外周部 6 aを平板素材 2 3の厚い肉厚をそのまま保有 すべく、 又はそれよりも厚肉に増肉すべく加工した後は、 図 6 Bのようにサイ ドロ一ラ 3 3を a方向に移動させて減肉円 錐周壁部 2 4 1を展延成形することは上記実施例の場合と同 様 I?める o
上記実施例では支持基板部 6においてこれの中央にボス部 5を一体に突設してあり、 このボス部 5の肉厚は支持基板部
6と同様に平板素材 2 3の厚い肉厚をそのまま保有するので 、 シャフ トとの結合強度を必要かつ十分に確保できる。 ただ し、 図 7のように支持基板部 6はボス部 5の無いフラッ トな 形に形成して軸挿通孔 4のみを設けるものであってもよい。 産業上の利用可能性
本発明のポリ Vプーリの製造方法は、 厚肉の平板素材から 支持基板部と円錐周壁部とを有する断面皿形の成形体を曲げ 加工したうえで、 支持基板部は厚肉のままで円錐周壁部のみ を肉厚減少状態に展延加工し、 この円錐周壁部を絞り成形し て大小異径の円筒部を成形するとともに、 径小円筒部と径大 円筒部の各外周面にポリ V溝を転造する。 したがって、 シャ フ卜にはめ込まれる支持基板部は平板素材の厚い肉厚をその まま保有して強度を確保できて丈夫なポリ Vブーリを得ると ともに、 大小異径の円筒部も段付き状に容易に絞り成形する ことができて加工性にも優れる。
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