WO1998025168A1 - Filtre optique, dispositif equipe de ce filtre, verre de lunette, filtre pour absorption d'ondes thermiques et fibre optique - Google Patents

Description

明 細 書 発 明 の 名 称

光学フィ ル夕一およびこれを備えた装置、 眼鏡レンズ、 熱線吸収フィ ルター 並びに光フアイパ'一 技 術 分 野

本発明は、 光学フィ ルターおよびその応用例に関し、 更に詳しく は、 近赤外線 を効率的にカ ツ 卜することができ、 透明で無彩色に近い合成樹脂製の光学フィ ル 夕一、 当該光学フィ ルターを備えてなる装置 （プラズマディ スプレイ装置 ' カメ ラ · C C D撮像装置 ·赤外線通信環境整備装置） 、 白内障防止用の眼鏡レンズ、 熱線吸収フィ ルターおよび光ファイバ一に関する。 背 景 技 術

近年、 近赤外線を力ッ トする光学フィ ルターと して、 合成樹脂よりなるものが 開発されている _ 合成樹脂よりなる光学フィ ル夕一は、 軽量で、 加工性に優れ、 適用範囲も広いことから注目されており、 例えばプラズマディ スプレイの前面板 、 白内障防止用の眼鏡レンズなどとして好適に用いられている。

しかして、 近赤外線カツ 卜機能を発現させるための物質と して銅イオン （I I ) が知られており、 銅イオン （II ) が台成樹脂中に含有されてなる光学フィ ルター によれば、 可視領域の光を透過させ、 近赤外線領域および紫外線領域の光を効率 的に力 ッ 卜することができる。

しかしながら、 銅イオン （Π ) が含有されてなる光学フィ ル夕一にあっては、 青色領域の光および赤色領域の光の一部を吸収してしまい、 緑色領域の光の透過 率が相対的に大き くなるため、 当該光学フィ ルタ一は、 緑色乃至青緑色を呈する そして、 このように呈色された光学フィ ルターをプラズマディ スプレイの前面 板として用いる場合には、 当該プラズマディ スプレイのカラーバランスが損なわ れる、 という問題が生じる。 また、 当該光学フィ ルターを眼鏡レンズと して使用 すると、 不自然な色相に対して違和感を感じてしまう 発 明 の 開 示

本発明は、 以上のような事情に基いてなされたものである。

本発明の第 1の目的は、 自然光と同程度の色相を知覚することができる無彩色 に近い光学フィ ルターを提供することにある。

本発明の第 2の目的は、 さらに、 近赤外線を効率的にカツ 卜することができ、 近赤外線力 ッ 卜フィ ルターとして好適な光学フィ ルターを提供することにある。 本発明の第 3の目的は、 カラーパ、ラ ンスに優れ、 プラズマディ スプレイ装置の 前面板および眼鏡レンズ材料として好適に用いることのできる光学フィ ルターを 提供することにある。

本発明の第 4の目的は、 近赤外線を効率的にカ ツ 卜することができる無彩色に 近い光学フィ ルターが、 パネルの前面板と して配置されてなるプラズマディ スプ レイ装置を提供することにある。

本発明の第 5の目的は、 近赤外線を効率的にカツ 卜することによる白内障発症 の抑制効果を有し、 自然光と同程度の色相を知覚することができる無彩色に近い 眼鏡レンズを提供することにある：

本発明の第 6の目的は、 近赤外線を効率的にカツ 卜することができる無彩色に 近い光学フィ ルターを、 受光素子のための視感度補正フィ ルターとして備えてな るカメラを提供することにある。

本発明の第 7の目的は、 近赤外線を効率的にカ ツ 卜することができる無彩色に 近い光学フィ ルターを、 c C Dのための視感度補正フィ ルターと して備えてなる 撮像装置を提供することにある。

本発明の第 8の目的は、 近赤外線を効率的にカ ツ 卜することができる無彩色に 近い光学フィ ルターをノイズカツ 卜フィ ルターと して備えてなる赤外線通信環境 整備装置を提供することにある。

本発明の第 1 0の目的は、 近赤外線を効率的にカツ 卜することができる無彩色 に近い熱線吸収フィ ルターを提供することにある,

本発明の第 1 1 の目的は、 近赤外線を効率的にカツ 卜することができる無彩色 に近い光学ファィバーを提供することにある。

本発明の光学フィ ル夕一は、 合成樹脂中に銅イオン （Π ) が含有されてなり、 彩度が 0〜 1 2であることを特徴とする。

本発明の光学フィ ルターは、 銅イオン （I I ) と、 波長 4 5 0〜 6 0 0 n mの光 を吸収することのできる金属イオンおよび または着色物質とが合成樹脂中に含 有されてなり、 彩度が 0〜 1 2であることを特徴とする。

本発明の光学フィ ルターを構成する金属イオンおよび着色物質は、 波長 5 0 0 〜 5 5 0 n mに吸収ピークを有することが好ま しい:.

また、 本発明の光学フィ ルターを構成する金属イオンとしてコバルトイオン （ II ) が含有されていることが好ま しい

本発明の光学フィ ルターにおいては、 下記式 （ 1 ) で表されるリ ン酸基含有単 量体 （以下 「特定のリ ン酸基含有単量体」 という） およびこれと共重合可能な単 量体 （以下 「共重合性単量体」 という） を共重合して得られるリ ン酸基含有共重 合体から合成樹指が構成されていることが好ま しい。 式 （ 1 ) P O ( O H)„ R

〔但し、 R¹は、

(Xは水素原子またはメチル基を示し、 mは 1〜 5の整数である。） を示し、 nは 1または 2である。 〕 また、 本発明の光学フィ ルターにおいては、 下記式 （ 2 ) で表されるリ ン酸基 含有化合物 （以下 「特定のリ ン酸基含有化合物」 という） が含有されていること が好ましい。 式 （2 ) P O ( O H) _k R ² ₃ -_k

(但し、 R ²は、 炭素数が 1〜2 0のアルキル基、 フヱニル基、

アルコキシ基またはフヱノキシ基を示し、 kは 1または 2である。 ） 本発明のプラズマディ スプレイ装置は、 上記の光学フィ ルター （本発明の光学 フィ ルター） がパネルの前面板と して配置されてなることを特徴とする。

本発明の白内障防止用の眼鏡レ ンズは、 上記の光学フィ ルター （本発明の光学 フィ ルター） からなることを特徴とする。

本発明の力メラは、 受光素子のための視感度補正フィ ルターと して、 上記の光 学フィ ルター （本発明の光学フ ィ ルター） が搭載されていることを特徴とする。 本発明の撮像装置は、 C C Dのための視感度補正フィ ルタ一と して、 上記の光 学フィ ルター （本発明の光学フィ ルター） が搭載されていることを特徴とする。 本発明の赤外線通信環境整備装置は、 ノイズカ ツ 卜フィ ルタ一と して、 上記の 光学フィ ルター （本発明の光学フィ ルター） が搭載されていることを特徴とする

本発明の熱線吸収フィ ル夕一は、 上記の光学フ ィ ルター （本発明の光学フィ ル 夕一） からなることを特徴とする .

本発明の光フアイパ'一は、 上記の光学フィ ルター （本発明の光学フィ ル夕一） からなることを特徴とする。

本発明の光ファィバ一は、 上記の光学フィ ルター （本発明の光学フィ ルター） が採光部に設けられていることを特徴とする。

以下、 本発明について詳細に説明する。

本発明の光学フ ィ ルターは、 緑色乃至青緑色領域を含む光 （ 4 5 0〜 6 0 0 n m ) を吸収することのできる物質 （金属イオンおよび または着色物質） が含有 されていることにより、 銅イオン （Π ) が含有されているにも関わらず、 無彩色 に近い状態 （彩度が 0〜 1 2 となる範囲） を呈するものである。

本発明の光学フィ ルタ一は、 近赤外線領域の光を効率的に吸収する銅イオン （ II) が合成樹脂中に含有されて構成される。

合成樹脂中に銅イオン （Π) を均一に分散含有させる方法としては、 〔 1〕 銅イオン （II) を保持する単量体を重合させる方法、

〔 2〕 銅イオン （Π) を保持する単量体と、 これと共重合可能な単量体とを共重 合させる方法、

〔 3〕 銅イオン （Π) を保持する化合物の存在下で、 単量体を重合させる方法、 〔4〕 銅イオン （II) を保持する化合物を、 重合体中に混練分散させる方法など を挙げることができる。

光学フィ ル夕一中における銅イオン （II) の含有割台と しては、 樹脂成分 1 ◦ 0質量部に対して、 0. 0 1〜 2 0質量部であることが好ま し く 、 更に好ま し く は 0. 1〜 1 5質量部とされる。

銅イオン （II) の割合が過少である場合には、 近赤外線を効率的にカツ 卜する 光学フィ ル夕一を得ることができないこ 一方、 銅イオン （II) の割合が過大とな る場合には、 当該銅イオン （II) の分散性が低下して透明性の良好な光学フィ ル 夕一を得ることができない。

本発明の光学フィ ルターを構成する合成樹脂と しては、 例えばァク リル系榭脂 、 塩化ビニル系樹脂、 ボリカーボネー 卜樹脂、 ボリエステル榭脂、 フッ素系樹脂 等を用いることができる。

また、 銅イオン （II) の分散性を向上させる観点から、 合成樹脂中にリ ン酸基 が含有されていることが好ま しく 、 このような構成によれば、 銅イオン （II) 力く リ ン酸基に結合 （例えば配位結合） された状態で合成樹脂中に含有される。

ここに、 「リ ン酸基」 とは、 「 P〇 （ 0 H ) _π ―」 （ ηは 1または 2である） で表される基をいうものとする。

合成樹脂中にリ ン酸基を含有させる手段と しては、

〔 1〕 上記式 （ 1 ) で表される 「特定のリ ン酸基含有単量体」 と 「共重合性単量 体」 とを共重合してリ ン酸基含有共重合体を得る手段、

〔 2〕 上記式 （ 2 ) で表される 「特定のリ ン酸基含有化台物」 を、 混合単量体中 に添加し、 得られる単量体組成物を重合処理する手段、 を挙げることができる。

< リ ン酸基含有共重合体 >

本発明の好適な態様においては、 リ ン酸基含有共重合体中に、 銅イオン （Π ) が含有されて光学フィ ルターが構成される。 以下、 リ ン酸基含有共重合体につい て説明する。

本発明の光学フィ ルターを構成するリ ン酸基含有共重合体は、 特定のリ ン酸基 含有単量体と、 共重合性単量体とを共重合させて得られる。

特定のリ ン酸基含有単量体は、 その分子構造中に、 銅イオン （II ) と結合可能 なリ ン酸基を有しているとともに、 エチレンオキサイ ド基を介して、 ラジカル重 合性の官能基であるァク リ ロイルォキシ基またはメ 夕ク リ ロイルォキシ基を有し ているため、 極めて共重合性にとみ、 種々の単量体と共重合することができる。 特定のリ ン酸基含有単量体の分子構造を示す式 （ 1 ) において、 基 R ' は、 ェ チレンォキサイ ド基が結合したァク リ ロイルォキン基 （ Xが水素原子の場合） ま たはメ 夕ク リ ロイルォキシ基 （Xがメチル基の場合） である。

ここで、 エチレンォキサイ ド基の繰り返し数 mは 1 〜 5の整数である。 この m の値が 5を超えると、 得られる共重合体が十分な硬度を有するものとならず、 光 学フィ ルターとしての実用性を低下させることがある:

また、 式 （ 1 ) において、 水酸基の数 nは 1 または 2であり、 得られる光学フ ィ ルターの成形法および使用目的などに応じて、 nの値が 1である特定のリ ン酸 基含有単量体および nの値が 2である特定のリ ン酸基含有単量体のいずれか一方 または両方を用いることができ、 また、 両方を用いる場合には、 その混合割合を 選択することができる。

具体的に説明すると、 nの値が 2であるとき、 すなわち、 リ ン原子に結合した ラジカル重合性の官能基の数が 1 である特定のリ ン酸基含有単量体は、 銅イオン との結合性が大きいものとなる。 一方、 nの値が 1であるとき、 すなわち、 リ ン 原子に結合したラジカル重合性の官能基の数が 2である特定のリ ン酸基含有単量 体は、 架橋重合性を有するものとなるつ 従って、 熱可塑性樹脂に適用される成形 加工法により光学フィ ルターを得る場合には、 nの値が 2である特定のリ ン酸基 含有単量体の混合割合が大きいものを用いることが好ま しい。

このように、 光学フィ ル夕一の性能、 成形法および使用目的に応じて nの値を 選択することができるが、 銅イオン （I I ) の単量体への溶解性の観点からは、 n の値が 1である特定のリ ン酸基含有単量体と、 nの値が 2である特定のリ ン酸基 含有単量体とを併用することが好ま し く、 特に、 これら 2種類の特定のリ ン酸基 含有単量体を、 それぞれがほぼ等モル量となる割合、 例えばモル比で 4 0〜 6 0 ： 6 0〜 4 0 となる割合、 好ま しく は 4 5〜 5 5 ： 5 5〜 4 5 となる割合で用い ることが好ましい。

特定のリ ン酸基含有単量体との共重合反応に供される共重合性単量体は、 得ら れるリ ン酸基含有共重合体の吸湿性を抑制し、 光学フ ィ ルターに要求される硬度 条件を満足させ、 優れた耐熱性および形状保持性などを付与するものである。 従 つて、 共重合性単量体を用いて得られたリ ン酸基含有共重合体によれば、 諸性能 に優れた光学フィ ルターを構成することができる。

このような共重台性単量体としては、 〔 1〕 特定のリ ン酸基含有単量体と均一- に溶解混合すること、 〔 2〕 特定のリ ン酸基含有単量体とのラジカル共重合性が 良好であること、 〔 3〕 光学的に透明な共重合体が得られること等を満足するも のであれば特に限定されるものではない。

共重合性単量体の具体例と しては、 メチルァク リ レー 卜、 メチルメ タク リ レー 卜、 ェチルァク リ レー ト、 ェチルメ タク リ レー ト、 n プロピルァク リ レー ト、 n プロピルメ タ ク リ レー 卜など、 アルキル基の炭素数が 1〜 8である低級アル キルァク リ レー ト類および低級アルキルメ タク リ レー ト類 ； グリ シジルァク リ レ ー ト、 グリ シジルメ タク リ レー ト、 2 — ヒ ドロシキブチルァク リ レー ト、 2 — ヒ ドロシキブチルメ 夕ク リ レー トなど、 グリ シジル基ゃヒ ドロキシ基によってアル キル基が置換された変性アルキルァク リ レー ト類および変性アルキルメ 夕ク リ レ 一 ト類 ； エチレングリ コールジメ 夕 ク リ レー ト、 ジエチレングリ コールジメ タク リ レー ト、 ポリエチレングリ コールジメ 夕ク リ レー ト、 1， 4 —ブタ ンジオール ジァク リ レー ト、 1， 4 ブタ ンジオールジメ タァク リ レー ト、 2， 2 ビス 〔 4 —メ 夕 ク リ ロキシエ トキシフエニル〕 プロパン、 ト リ メチロールプ ン ト リ ァク リ レー 卜、 ペン夕エリ 卜 リ ツ ト 卜 リ アク リ レー 卜、 ペン夕エリ ト リ ッ 卜 ト リ メ タ ク リ レー ト、 ペン夕エリ ト リ ッ トテ トラァク リ レー ト、 ペン夕エリ 卜 リ ツ 卜 テ トラメ 夕ク リ レー 卜などの多官能ァク リ レー 卜類および多官能メタク リ レー 卜 類 ； アク リ ル酸、 メ 夕ク リル酸などの不飽和カルボン酸類、 スチレン、 —メチ ルスチレン、 ノ、ロゲン化スチレン、 メ トキシスチレン、 ジビニルベンゼンなどの 芳香族ビニル化合物などを挙げることができ、 これらは、 単独でまたは 2種類以 上を組み合わせて用いることができる。

リ ン酸基含有共重合体を得るための混合単量体中において、 特定のリ ン酸基含 有単量体と共重合性単量体との使用割合は、 「特定のリ ン酸基含有単量体 ： 共重 合性単量体 （質量比） 」 が 3 ： 9 7〜 9 0 ： 〗 0 の範囲であることが好ま し く、 更に好まし く は 1 0 ： 9 0〜 8 0 ： 2 0の範囲とされる。 特定のリ ン酸基含有単 量体の割台が 3質量％未満である場合には、 光学フィ ルターとして好適な光吸収 特性を有するリ ン酸基含有共重合体を得ることが困難となる。 一方、 この割合が

9 0質量 ^Q ₀を超える場合には、 得られるリ ン酸基含有共重合体が、 光学フィ ル夕 一に要求される硬度条件を満足するものとならないことがある。

本発明の光学フィ ルターを構成するリ ン酸基含有共重合体は、 通常、 特定のリ ン酸基含有単量体と、 共重合性単量体とからなる混合単量体をラジ力ル重合させ て得られる。 ラジカル重合法としては、 特に限定されず、 公知のラジカル重合開 始剤を用いる注型 （キャ ス ト） 重合法、 懸濁重台法、 乳化重合法、 溶液重合法な ど公知の方法を採用することができる

このようにして得られるリ ン酸基含有共重合体 （合成樹脂） に、 銅イオン （I I

) が含有されて本発明の光学フィ ルターが構成される。 この銅イオン （II ) は、 リ ン酸基をリガン ドとして配位的に結合されることにより、 リ ン酸基含有共重合 体に保持含有され、 当該リ ン酸基との錯体形成によって近赤外線領域の光を効率 的に吸収する。

本発明の光学フィ ルターの構成材料である、 銅イオン （Π ) が含有されたリ ン 酸基含有共重合体を得る方法としては、

〔 1〕 特定のリ ン酸基含有単量体と共重合性単量体とからなる混合単量体中に、 銅イオン （Π ) を、 例えば銅化合物の形態で添加し、 得られる単量体組成物を重 合処理する方法、

〔 2〕 リ ン酸基含有共重合体を加熱溶融させ、 このリ ン酸基含有共重合体中に、 銅化合物を添加して混合する方法、

〔 3〕 リ ン酸基含有共重合体を有機溶剤に溶解させ、 得られた溶液中に、 銅化合 物を添加して混合する方法などを挙げることができる。

ここに、 銅イオン （I I ) の供給源である銅化合物としては、 酢酸銅、 塩化銅、 ギ酸銅、 ステアリ ン酸銅、 安息香酸銅、 ェチルァセ 卜酢酸銅、 ピロリ ン酸銅、 ナ フテン酸銅、 クェン酸銅などの無水物および水和物などを例示することができる なお、 光学フィ ルターの構成材料においては、 銅化合物と、 リ ン酸基との反応 により生成された酸成分 （有機酸 · 無機酸） が除去されていることが好ましく、 斯かる観点から、 当該酸成分を溶剤によって抽出除去することが好ましい。 この 酸成分の抽出除去工程は、 ラ ジカル重合処理の前後を問わず、 光学フィ ル夕一の 製造方法の任意の段階、 例えば、 混合単量体中に銅化合物を添加した後、 単量体 組成物を重合処理した後、 フィ ルター材料を成形加工した後のいずれにおいても 実施することができる。 酸成分の抽出除去工程に使用される溶剤と しては、 酸成 分を溶解できること、 リ ン酸基含有共重合体に対して適度の親和性 （リ ン酸基含 有共重合体を溶解するものではないが、 当該リ ン酸基含有共重合体中に浸透でき る程度の親和性） を有するものであることが必要とされる:， 斯かる溶剤の具体例 と しては、 水、 メ チルアルコール、 エチルアルコール、 η —プロピルアルコール 、 イソプロピルアルコールなどの脂肪族系低級アルコール、 アセ ト ン、 メチルェ チルケ ト ン、 メ チルイ ソプチルケ ト ンなどのケ ト ン類、 ェチルエーテル、 石油ェ 一テルなどのエーテル類、 η—ペンタン、 η —へキサン、 η—ヘプタ ン、 クロ口 ホルム、 メチレンクロライ ド、 四塩化炭素などの脂肪族系炭素化水素およびその ハロゲン化物、 ベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの芳香族化合物を挙げること ができ、 これらの溶剤は、 単独で、 または 2種類以上混台して使用することがで きる。 これらのうち、 7k、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 イソプロピル アルコール、 アセ ト ン、 メチレンクロライ ドは、 リ ン酸基含有共重合体に残留し にく い観点から特に好ましい。 酸成分の抽出除去工程によって除去される酸成分 の量と しては、 生成された酸成分の 3 0質量 ¾以上であることが好ま しく、 更に 好ま しく は 4 0質量％以上とされる。 なお、 酸成分の抽出除去工程終了後、 被抽 出物の水洗 ·乾燥を行い、 抽出に用いた残留溶剤を除去することが好ましい。 上 記の酸成分の抽出除去を実施して製造された光学フィ ルターは、 高湿度雰囲気下 において、 フ ィ ルター表面におけるブリー ド、 並びにこれに起因する曇化現象お よび失透現象を殆ど発生させない：

< リ ン酸基含有化合物〉

合成樹脂中にリ ン酸基を含有させる手段として、 上記式 （ 2 .) で表される特定 のリ ン酸基含有化合物を混合単量体中に添加して単量体組成物を得、 当該単量体 組成物を重合処理する手段を採用してもよい。

特定のリ ン酸基含有化合物は、 その分子構造中に、 銅イオン （Π ) と結合可能 なリ ン酸基を有する非重合性の化合物 （リ ン酸エステル · ホスホン酸エステル） である。

特定のリ ン酸基含有化合物の具体例としては、 モノ メチルフォスフェー ト、 ジ メチルフ ォスフニー ト、 モノェチルフォ スフエ一 卜、 ジェチルフ ォスフェー ト、 モノプロピルフすスフヱ一 卜、 ジプロピルフ ォスフェー ト、 モノ イソプロピルフ ォスフヱ一 卜、 ジイ ソプロピルフ ォスフェー ト、 モノ n ブチルフォスフェー ト 、 ジ n ブチルフ ォスフエ一 卜、 モノ （ 2 —ェチルへキシル） フ ォスフェー ト、 ジ （ 2 —ェチルへキシル） フォスフェー ト、 モノ n —デシルフォスフェー ト、 ジ n—デシルフ ォスフエ一 卜、 モノ イ ソデシルフ ォ スフェー ト、 ジイソデシルフ ォ スフエー 卜、 モノォレイルフォスフェー ト、 ジォレイルフ ォ スフェー ト、 モノ ィ ソステアリ ルフ ォスフェー ト、 ジイ ソステアリ ルフ ォスフェー ト、 モノフエニル フ ォ スフェー ト、 ジフエニルフ ォ スフェー トなどのリ ン酸エステル ； モノ （ 2 — ェチルへキシル 2 —ェチルへキシルホスホネー ト、 モノ メチルメチルホスホネ 一 卜、 モノェチルェチルホスホネー ト、 モノブチルブチルホスホネー 卜、 モノデ シルデシルホスホネー 卜などのホスホン酸エステルを挙げることができる。 特定のリ ン酸基含有化合物の使用割合と しては、 銅イオン （Π ) 1 モルに対し て、 1 〜 1 0モルであることが好ま しく、 更に好ま しく は 1 〜 5モルとされる。 特定のリ ン酸基含有化合物の使用割合が過少である場合には、 銅イオン （II ) の 分散性が低下する傾向がある。 一方、 この割合が過大である場合には、 硬度など の力学的特性に悪影響を及ぼすことがある。

なお、 銅イオン （Π) 以外の金属イオンを合成樹脂中に含有させる場合には、 当該金属イオンの使用量に応じて、 特定のリ ン酸基含有化合物の使用割合を増加 させることが好ま しい。

くァク リル系樹脂 >

特定のリ ン酸基含有化合物を使用して合成樹脂中にリ ン酸基を含有させる場合 において、 当該台成樹脂はァク リル系榭脂であることが好ま しい。 斯かるァク リ ル系榭脂を得るために使用される単量体の具体例としては、 メチルァク リ レー ト

、 メ チルメ タ ク リ レー ト、 ェチルァク リ レー ト、 ェチルメ タク リ レー ト、 n —ブ チルァク リ レー ト、 n —ブチルメ タ ク リ レー ト、 t ーブチルァク リ レー ト、 t — ブチルメ タ ク リ レー ト、 イソブチルァク リ レー ト、 イ ソブチルメ 夕ク リ レー 卜、 2 —ェチルへキシルァク リ レー ト、 2 —ェチルへキシルメ 夕ク リ レー ト、 イソデ シルァク リ レー ト、 イソデシルメ 夕ク リ レー ト、 11 ラウ リ ルァク リ レー ト、 n —ラウ リ ルメ 夕 ク リ レー ト、 ト リ デシルァク リ レー 卜、 ト リデシルメ タク リ レー ト、 n —ステアリ ルァク リ レー ト、 n ステアリ ルメ タ ク リ レー ト、 イソボニル ァク リ レー ト、 イ ソボニルメ タク リ レー ト、 メ トキシェチルァク リ レー 卜、 メ 卜 キシェチルメ タク リ レー 卜、 エトキシェチルァク リ レー ト、 エ トキシェチルメ 夕 ク リ レー ト、 フエ ノキシェチルァク リ レー ト、 フエノキシェチルメ タク リ レー ト などを挙げることができ、 これらは、 単独でまたは 2種類以上を組み合わせて用 いることができる。 これらのうち、 特定のリ ン酸基含有化合物と銅イオン （II ) との錯体の溶解性の高い重合体を得ることができることから、 t プチルァク リ レー ト、 t —ブチルメ タク リ レー ト、 2 —ェチルへキシルァク リ レー ト、 2 —ェ チルへキシルメ 夕 ク リ レー 卜、 イ ソボニルァク リ レー ト、 イソボニルメ タク リ レ 一 卜が好ま しい： また、 アク リル系樹脂を得るための単量体として、 上記の単官 能ァク リ レー ト類または単官能メ 夕ク リ レー 卜類とともに、 エチレングリ コール ジメ 夕ク リ レー ト、 ジエチレングリ コールジメ 夕 ク リ レー ト、 ポリエチレングリ コールジメ 夕ク リ レー ト、 1 4 —ブタンジオールジァク リ レー ト、 1 , 4 ーブ 夕 ンジオールジメ 夕ク リ レー ト、 2 2 — ビス 〔 4 —メ 夕ク リ ロキシエ トキシフ ヱニル〕 プロパン、 ト リ メチロールプロパン 卜 リアク リ レー ト、 ペン夕エリ ト リ ッ ト ト リ メ タク リ レー 卜、 ペンタエリ トリ ツ トテ トラァク リ レー トなどの多官能 ァク リ レー 卜類および多官能メ タク リ レー 卜類を使用してもよく、 多官能ァク リ レー ト類および または多官能メ タク リ レー ト類を使用することにより、 最終的 に得られる光学フィ ルターの機械的特性を向上させることができる。

<緑色領域吸収物質:

本発明の光学フィ ルターには、 銅イオン （I I ) と共に、 緑色乃至青緑色領域の 光 （ 4 5 0 6 0 ϋ n m ) を選択的に吸収することのできる金属イオンおよびノ または着色物質 （以下、 これらを 「緑色領域吸収物質」 ともいう。 ） が含有され ている。

緑色領域吸収物質が含有されていることにより、 本発明の光学フィ ルターは、 銅イオン （Π ) が含有されているにも関わらず、 無彩色に近い状態 （彩度 = 0 1 2 ) を呈するものとなる。 ここで、 「彩度」 とは、 L ' a ' b * 表色系 〔C I E (国際照明委員会） 1 9 7 G ( L * a * b * ) 色空間〕 に基いて測定される a * および の値から、 下記数式に従って求められる値をいう。 また、 a * お よび b * は、 それぞれ色相およびその度合いを示す。

数式 ： C ' = 〔 （ a * ) b * ) ² 〕 'し

斯かる緑色領域吸収物質と しては、 青色領域および赤色領域の光の吸収せず、 緑色乃至青緑色領域の光 （ 4 5 0 6 0 0 n m；) を選択的に吸収し、 好まし く は 、 波長 5 0 0 5 5 0 n mに吸収ピークを有する金属ィォンおよび着色物質の中 から選択される：

緑色領域吸収物質と して好適に使用することのできる金属イオンとしては、 コ バルトイオン （Π ) を挙げることができる。 コバル トイオン （Π ) を合成樹脂中 に均一に分散含有させる方法としては、 銅イオン （11〉 を分散含有させる方法と 同様の方法、 すなわち、

〔 1〕 コパ'ル トイオン （Π ) を保持する単量体 （例えば、 上記のリ ン酸基含有単 量体） を重合させる方法、

〔 2〕 コバル トイオン （I I ) を保持する単量体と、 これと共重合可能な単量体と を共重台させる方法、

〔 3〕 コバル トイオン （I I ) を保持する化合物 （例えば、 上記のリ ン酸基含有化 合物） の存在下で、 単量体を重合させる方法、

〔 4〕 コバル トイオン （Π ) を保持する化合物を、 重合体 （例えば、 上記のリ ン 酸基含有共重合体） 中に混練分散させる方法などを挙げることができる。

緑色領域吸収物質として、 コバル トイオン （I U などの金属イオンを使用する 場合には、 得られる光学フィ ルターが良好な耐候性を有するものとなるので好ま しい。

また、 上記のリ ン酸基含有共重合体よりなる台成樹脂中にコバル トイオン （Π ) を含有させる方法としては、

〔 1〕 特定のリ ン酸基含有単量体と共重合性単量体とからなる混合単量体中に、 コバル トイオン （I I ) を、 例えばコバルト化合物の形態で添加し、 得られる単量 体組成物を重合処理する方法、

〔 2〕 リ ン酸基含有共重合体を加熱溶融させ、 このリ ン酸基含有共重合体中に、 コバルト化合物を添加して混合する方法、

〔 3〕 リ ン酸基含有共重合体を有機溶剤に溶解させ、 得られる溶液中に、 コバル 卜化合物を添加して混合する方法などを挙げることができる。

コバル トイオン （I I ) の供給源であるコバル ト化合物としては、 酢酸コバル ト 、 ギ酸コバル 卜、 安息香酸コバル 卜、 ナフテン酸コバル 卜、 臭化コバル 卜、 塩化 コバル ト、 硝酸コバルト、 硫酸コバルトなどの無水物、 水和物を例示することが できる

緑色領域吸収物質として好適に使用することのできる着色物質としては、 キノ ン系、 キノ リ ン系、 イ ミ ダゾ一ル系、 ォキサゾリ ン系、 フルギド系、 ポリェン系 、 ァゾ系、 ィ ンジコ系、 ジフヱニルメ 夕ン系、 ト リフェニルメ 夕ン系、 ポリ メチ ン系、 ナフ トキノ ン系などの、 4 5 0〜 6 0 0 n mの光を吸収することのできる 染料および有機色素などを挙げることができる。

緑色領域吸収物質である着色物質は、 銅イオン （Π ) が含有されている合成樹 脂、 またはこれを得るための混合単量体中に添加することにより当該合成樹脂中 に含有させることができる。

光学フィ ルタ一中における緑色領域吸収物質の含有割合と しては、 銅イオン （ I I ) の含有割合などによっても異なり、 緑色領域吸収物質が有機色素である場合 には、 樹脂成分 1 0 0質量部に対して、 0 . 0 0 0 1〜 Q . 1質量部であること が好ま し く 、 更に好ま しく は 0 . 0 0 0 5〜 0 . 0 1質量部とされ、 緑色領域吸 収物質が金属イオンである場合には、 樹脂成分 1 0 0質量部に対して、 0 . 0 0 1〜 1 . 0 0質量部であることが好ま しく、 更に好まし く は 0 . 0 1〜 0 . 5 0 質量部とされる

また、 光学フィ ル夕一の製造方法の各段階において彩度を測定し、 その測定値 に基いて、 緑色領域吸収物質の含有割合 （添加量） を調整することもできる。 <他の構成成分

本発明の光学フィ ルターを構成する合成樹脂中には、 銅イオン （II ) および緑 色領域吸収物質のほかに、 近赤外線のカツ 卜性能が損なわれず、 得られる光学フ ィ ルターの彩度が 1 2を超えない範囲内で、 緑色領域吸収物質として作用しない ものを含む他の金属イオンが含有されていてもよい。 斯かる金属ィォンとしては 、 ナ ト リ ウムイオン、 カ リ ウムイオン、 カルシウムイオン、 鉄イオン、 マンガン イオン、 マグネシウムイオン、 ニッケルイオンなどを挙げることができる。

本発明の光学フィ ルタ一は、 銅イオン （II ) 、 緑色領域吸収物質および任意成 分が合成樹脂中に含有されてなるフィ ルター材料を、 目的、 用途に応じて、 板状 、 円柱状、 レンズ状などの形状に成形し、 研磨することにより製造することがで きる。

<本発明の光学フィ ル夕一の応用例 >

本発明の光学フィ ルタ一は、 その優れた光学特性 （無彩色に近い透明性を有し 、 近赤外線領域の光を効率的にカツ 卜することができる特性） により、 以下に示 すような種々の用途に適用することができる。

本発明の光学フィ ルターを、 ブラズマディ スプレイ装置におけるパネルの前面 板として用いることにより、 当該パネルから照射される近赤外線を効率よく 力ッ 卜することができる。 この結果、 当該プラズマディ スプレイ装置の周囲において 、 近赤外線に起因する リモコンの誤動作などを生じさせることはない。

しかも、 本発明の光学フィ ル夕一は無彩色に近いことから、 当該プラズマディ スプレイ装置のカラ一バランスが損なわれることはない

本発明の光学フィ ルターは、 白内障防止用の眼鏡レンズとして好適に用いるこ とができる。 かかる眼鏡レンズ （本発明の眼鏡レンズ） によれば、 白内障発症の 原因である熱線や近赤外線から眼を確実に保護することができる。

しかも、 本発明の光学フィ ル夕一は無彩色に近いことから、 自然光と同程度の 色相を知覚することができる。

本発明の光学フィ ルタ一は、 カメ ラの測光部における受光素子 （例えばシリ コ ンフォ 卜ダイォー ドからなる光電変換素子） のための視感度補正フィ ルターとし て好適に用いることができる。

ここに、 本発明の光学フィ ル夕一からなる 『視感度補正フィ ルター』 には、 受 光素子に至る光路中に単独で配置される視感度補正フィ ルターのほか、 集光レン ズなどが含まれるものとする。

本発明の光学フィ ルターを搭載してなるカメラ （本発明のカメラ） によれば、 受光素子 （シ リ コ ンフォ 卜ダイオー ド） への入射光を、 実質的に可視領域の光に 限定することができ、 この結果、 正確な測光 （露出操作） を行なうことができる 本発明の光学フィ ル夕一は、 撮像装置における C C D (例えばシリ コンフォ ト ダイォー ドからなる光電変換素子） のための視感度補正フィ ルターとして好適に 用いることができる。

ここに、 本発明の光学フィ ルターからなる 『視感度補正フィ ルター』 には、 C C Dに至る光路中に単独で配置される視感度補正フィ ル夕一のほか、 リ ツ ド、 レ ンズぉよび保護板などが含まれるものとする。 また、 C C Dを搭載する撮像装置としては、 例えばビデオカメラ、 デジタル力 メ ラ、 ボー ドカメ ラ、 カラ一スキャナ、 カラーフ ァ ッ クス、 カラー複写機、 カラ ーテレビ電話装置などを挙げることができる。

本発明の光学フィ ルターを搭載してなる撮像装置 （本発明の撮像装置） によれ ば、 C C D (シ リ コンフォ トダイオー ド） への入射光を、 実質的に可視領域の光 に限定することができ、 この結果、 正確な測光 （露出操作） を行なうことができ 、 しかも、 赤色成分の再現およびカラーバランスにも支障を来すことはない。 本発明の光学フィ ルターは、 赤外線通信装置 （ 8 5 0〜 9 5 0 n mの光を媒体 とする通信装置） が使用される環境におけるノイズカツ 卜フィ ルタ一として好適 に用いることができる。 ここに、 本発明の光学フィ ル夕一からなる 『ノイズカ ツ 卜フィ ルター』 によって近赤外線の発生源 （例えば自動ドア、 リモコン） からの 赤外線を遮断することにより、 通信中におけるノ ィズの発生を確実に防止するこ とができる。

本発明の光学フィ ル夕一は、 熱線吸収フィ ル夕一として、 具体的には、 家屋、 ビル等の建築物における窓材、 自動車、 電車の車輛等の窓材、 農業用などの温室 の透光部材、 照明用カバーなどと して好適に用いることができる。

本発明の光学フィ ル夕一は、 光フアイバーの構成材料として好適に用いること ができる。 また、 本発明の光学フィ ルターを光ファイバ一の採光部に設けてもよ い 図 面 の 簡 単 な 説 明

図 1 は、 本発明のフィ ルター 〔下記実施例 1 で得られたフィ ルター （A ) 〕 に ついての分光透過曲線図である。 発明を実施するための最良の形態

以下、 本発明の実施例について説明するが、 本発明はこれらの実施例に限定さ れるものではない。 なお、 以下において、 「部」 は 「質量部」 を意味する。 <実施例 1 >

下記式 ( 3 ) で表される特定のリ ン酸基含有単量体 1 3. 4部と、 下記式 （ 4 ) で表される特定のリ ン酸基含有単量体 8. 0部と、 メチルメ タク リ レー ト 2 8 . 1部と、 n プチルメ 夕ク リ レー ト 2 0. 0部と、 フエノキシェチルメ 夕ク リ レー ト 1 0. 0部と、 ジエチレングリ コールジメ 夕ク リ レー ト 2 0. 0部と、 α ーメチルスチレン 0. 5部とを十分に攪拌して混合して混合単量体を調製した。 この混合単量体に、 無水安息香酸銅 6. 0部 （混合単量体 1 0 0部に対する銅ィ オンの含有量が 1. 2 6部） と、 酢酸コバルト 4水和物 0. 3部 （混合単量体 1 0 0部に対するコバルトイオンの含有量が 0. 0 7 1部） とを添加し、 攪拌混合 することによって十分に溶解させ、 銅イオン （II) およびコバルトイオン （Π) が混合単量体中に溶解されてなる単量体組成物を得た。

式 （ 3 )

CH₃ 0 CH₃

I II I

H₂ C = C一 C一 0— C₂ H₄ -O-P-O-C2 H₄ — 0— C一 C = CH₂

II I II

0 OH 0 式 （ 4 )

CH₃ 0

I II

H₂ C = C一 C— 0— C₂ H₄ O-P-OH

〇 OH 上記のようにして得られた単量体組成物に、 t ーブチルバ一才キシピバレ一 卜

2. 0部を添加し、 当該単量体組成物をモール ドに注入し、 4 5 °Cで 2時間、 5 0 °Cで 2時間、 5 0 °C力、ら 6 0 °Cまで 6時間、 6 0 °C力、ら 8 0 Cまで 5時間、 8 0 °C力、ら 1 0 0てまで 3時間、 1 0 0 °Cで 2時間と、 順次異なる温度および昇温 速度で加熱して注型重合を行うことにより、 銅イオン （Π) およびコバルトィォ ン （II) が含有されたリ ン酸基含有共重合体よりなる厚さが 2. 0 mmである本 発明の光学フィ ル夕一 〔これを 「フィ ルター （A ) 」 とする。 〕 を得た。

<実施例 2 >

酢酸コバルト 4水和物の添加量を 0. 5部 （混合単量体 1 0 0部に対するコパ' ル トイオンの含有量が 0. 1 1 8部） に変更したこと以外は実施例 1 と同様にし て、 本発明の光学フィ ルター 〔これを 「フィ ルター （ B ) 」 とする。 〕 を得た。 く:実施例 3 >

酢酸コバルトに代えて 5 0 0 11 mに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染 料 「ス ミ プラス ト， R E D H 3 G」 〔住友化学工業 （株） 製〕 0. 0 0 1部を 添加したこと以外は実施例 1 と同様にして、 本発明の光学フィ ルター 〔これを 「 フィ ルター （ C : 」 とする。 〕 を得た。

く'実施例 4 ：>

酢酸コバル トに代えて 5 0 0 n mに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染 料 「ス ミ プラス ト， R E D A S」 〔住友化学工業 （株） 製〕 0. 0 0 1部を添 加したこと以外は実施例 1 と同様にして、 本発明の光学フィ ルター 〔これを 「フ ィ ルター （D ) ― とする。 〕 を得た。

ぐ.実施例 5 >

メチルメ タ ク リ レー ト 5 0. 0部と、 イ ソボニルメ タ ク リ レー ト 5 0. 0部と を混合して調製された混合単量体に、 ジ （ 2 —ェチルへキシル） フォスフェー ト 9. 0 6部を添加して混合した。 次いで、 この混合単量体に無水酢酸銅 2. 0 4 部 （混合単量体 1 0 0部に対する銅イオンの含有量が 0. 7 1部） と、 5 0 0 η mに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染料 「ス ミ プラス ト， R E D H 3 G」 〔住友化学工業 （株） 製〕 0. 0 0 0 5部とを添加し、 攪拌混合することに よって十分に溶解させ、 銅イオン （Π) および 5 0 0 n mに吸収ピークを有する 合成樹脂着色用赤色染料が混合単量体中に溶解されてなる単量体組成物を得た。 このようにして得られた単量体組成物を用い、 実施例 1 と同様にして注型重合 を行うことにより、 本発明の光学フィ ルター 〔これを 「フィ ル夕一 （E ) 」 とす る。 〕 を得た。 く実施例 6 ：>

メ チルメ 夕ク リ レー ト 5 0. 0部と、 t -プチルメ 夕ク リ レー ト 5 0. 0部と を混合して調製された混合単量体に、 ジ （ 2 —ェチルへキシル） フ ォスフヱー ト 4. 5 3部を添加して混合した。 次いで、 この混合単量体に無水酢酸銅 1. 0 2 部 （混合単量体 1 0 0部に対する銅ィォンの含有量が Q . 3 5部） と、 5 0 0 η mに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染料 「ス ミ プラス ト， R E D H 3 G」 〔住友化学工業 （株:） 製〕 0. 0 0 0 3部とを添加し、 攪拌混合することに よって十分に溶解させ、 銅イオン （Π) および 5 0 0 n mに吸収ピークを有する 合成樹脂着色用赤色染料が混合単量体中に溶解されてなる単量体組成物を得た。 このようにして得られた単量体組成物を用い、 実施例 1 と同様にして注型重合 を行う ことにより、 本発明の光学フィ ルター 〔これを 「フィ ルター （ F ) 」 とす る。 〕 を得た

く比較例 1 ノ

酢酸コパ'ル 卜を添加しなかったこと以外は実施例 1 と同様にして、 比較用の光 学フィ ルター 〔これを 「フィ ル夕一 （. g ) 」 とする。 〕 を得た。

単位 ： 「部」

く光学フィ ルターの評価：〉

( 1 ) 分光透過率 ：

本発明のフィ ルター （A ) 〜 （F ) および比較用のフィ ルター （ g ) の各々に ついて、 2 5 0〜 1 2 0 0 n mの波長域における分光透過率を分光光度計 「U 4 0 0 0」 〔 （株） 日立製作所製〕 を用いて測定したところ、 何れのフィ ルター においても近赤外領域および紫外線領域の光が効率よく吸収されていることが認 められた： また、 本発明のフィ ルター （ A ) 〜 ( F ) について測定された分光透 過曲線には、 波長 5 2 0 n mの付近に小さなバレーが認められた。

なお、 波長 2 5 0 11 m、 4 0 0 n m、 5 0 0 n m、 5 2 0 n m、 5 5 0 n m , 6 0 0 n m、 7 0 0 n m , 1 2 0 0 n mにおける光線透過率を表 2に示し、 本発 明のフィ ルター （ A ) における分光透過曲線を図 1 に示す：

( 2 ) 彩度 ：

色彩色差計 C R 3 0 0」 〔ミ ノル夕カメラ （株） 製:； を用いて、 a * b * 表色系に基いて a * および を測定した ₍_ ここで、 a * および b * は、 そ れぞれ色相およびその度合いを示し、 a * および b * の値がそれぞれ 0に近いほ ど無色に近いことを示す。 また、 上記数式に従って、 彩度し" を求めた。 この彩 度 の値が 0〜 1 2の場合には、 無色乃至淡色に感じられ、 1 2〜 3 0の場台 には、 中程度の濃色に感じられ、 3 0を超える場合には非常に濃い色に感じられ る。 結果を表 2 に示す。

フィルクー 色味 分 光 透 過 率 C%) 色彩色差 （彩度） 波 ( a m )

250 400 500 520 550 600 700 1200 a * b ' C * 実施例 1 CA] 薄い灰色 0 78 85 83 84 81 40 40 -4.49 - 3.52 5.70 実施例 2 〔B〕 薄い灰色 0 76 80 77 j 78 77 40 40 -2.36 一 5.04 5.56 実施例 3 〔C〕 薄い茶色 0 70 64 67 74 77 30 38 - 0.03 + 6.87 6.87 実施例 4 CD ] 薄い茶色 0 78 73 75 78 79 36 40 -0.04 + 8.25 8.25 実施例 5 〔E〕 薄い茶色 0 79 80 81 84 82 63 -0.07 + 7.25 7.25 実施例 6 CF ] 薄い茶色 0 79 81 82 ' 84 83 53 72 - 0.10 + 7.44 7.44 比較例 1 〔g〕 緑色 0 80 87 89 90 85 40 40 - 13.29 - 1.44 13.37

発 明 の 効 果

本発明によれば、 銅イオン （Π ) が含有されているにも関わらず、 自然光と同 程度の色相を知覚することができる無彩色に近い光学フィ ルターを提供すること ができる,:.

本発明の光学フィ ル夕一は、 近赤外線を効率的にカツ 卜することができ、 近赤 外線力ッ 卜フィ ル夕一として好適である。

本発明の光学フ ィ ル夕一は、 カラーバラ ンスに優れ、 プラズマディ スプレイの 前面板および眼鏡レンズ材料などと して好適に用いることができる。

本発明のプラズマディ スプレイ装置によれば、 その周囲において、 近赤外線に 起因するリモコンの誤動作などを生じさせることはない。

しかも、 本発明のプラズマディ スプレイ装置は、 良好なカラーバランスを有し ている。

本発明の眼鏡レンズによれば、 白内障発症の原因である熱線、 近赤外線から眼 を保護することができる。

しかも、 本発明の眼鏡レンズは無彩色に近いことから、 自然光と同程度の色相 を知覚することができる。

本発明のカメラによれば、 受光素子への入射光を実質的に可視領域の光に限定 することができ、 正確な測光 （露出操作） を行なうことができる。

本発明の撮像装置によれば、 C C Dへの入射光を実質的に可視領域の光に限定 することができ、 この結果、 正確な測光 （露出操作） を行なうことができ、 しか も、 赤色成分の再現性にも優れている:

本発明の赤外線通信環境整備装置によれば、 通信中におけるノィズを確実に防 止することができる。

本発明の熱線吸収フィ ルターによれば、 室内等における温度上昇を確実に抑制 することができる。

本発明の光ファィバーによれば、 当該光ファィバーにより導かれて放射される 光の中に熱線 （近赤外線） が殆ど含まれないので、 光の放射部位付近 （装置内 - 室内） における温度上昇を抑制することができる。

Claims

5 求 の 範 囲

〔 1〕 合成樹脂中に銅イオン （II) が含有されてなり、 彩度が 0 1 2であるこ とを特徴とする光学フィ ルター。

〔 2〕 銅イオン （II) と、

波長 4 5 0 6 0 0 11 mの光を吸収することのできる金属イオンおよび,,また は着色物質とが台成樹脂中に含有されてなり、

彩度が 0 1 2であることを特徴とする光学フィ ルター。

〔 3〕 銅イオン （II) と、

波長 5 0 0 5 5 0 n mに吸収ピークを有し、 波長 4 5 0 6 0 0 n mの光を 吸収することのできる金属イオンおよび. または着色物質とが合成樹脂中に含有 されてなり、

彩度が 0 1 2であることを特徴とする光学フィ ルター。

〔 4〕 下記式 （ 1 ) で表されるリ ン酸基含有単量体およびこれと共重合可能な単 量体を共重合して得られるリ ン酸基含有共重合体から合成樹脂が構成されている ことを特徴とする請求項 1に記載の光学フィ ルター。

式 （ 1 ) PO (OH)_n R

〔但し、 R¹は、

X

CH₂ =C— C—〇 C₂ H₄ O^- II

〇

(Xは水素原子またはメチル基を示し、 mは 1 5の整数である。） を示し、 nは 1または 2である。 〕

〔 5〕 下記式 （ 2 ) で表されるリ ン酸基含有化合物が含有されていることを特徴 とする請求項 1に記載の光学フィ ルター。 式 （2) PO (OH)_KR²3-_k

(但し、 R²は、 炭素数が！〜 20のアルキル基、 フヱニル基、

アルコキシ基またはフエノキシ基を示し、 kは 1または 2である。 ）

〔 6〕 銅イオン （π) とコバルトイオン αι) とが合成樹脂中に含有されてなり

, 彩度が 0〜 1 2であることを特徴とする光学フィ ルタ一。

〔7〕 下記式 （ 1 ) で表されるリ ン酸基含有単量体およびこれと共重合可能な単 匱体を共重合して得られるリ ン酸基含有共重合体から合成樹脂が構成されている 二とを特徴とする請求項 6に記載の光学フィ ルター。

式 （1) PO (〇H)_n RV„

〔但し、 R¹は、

X

CH₂ =c-c-o-ec₂ H₄ O^r-

II

〇

(Xは水素原子またはメチル基を示し、 mは 1〜5の整数である。） を示し、 nは 1または 2である。 〕

〔 8〕 下記式 （ 2 ) で表されるリ ン酸基含有化合物が含有されていることを特徴 とする請求項 6に記載の光学フィ ルター。

式 （2) PO (OH)_kR² ₃._k

(但し、 R²は、 炭素数が 1〜20のアルキル基、 フヱニル基、

アルコキシ基またはフエノキシ基を示し、 kは 1または 2である。 ）

〔 9〕 合成樹脂がァク リル系榭脂であることを特徴とする請求項 6に記載の光学 フィ ノレ夕一 2 G

〔10〕 合成樹脂 1 0 0質量部に対して、 銅イオン （Π) が 0. 0 1〜 2 0質量部 含有されていることを特徴とする請求項 6に記載の光学フィ ルター。

〔11〕 台成樹脂 1 0 0質量部に対して、 銅イオン （Π) が 0. 1〜 1 5質量部含 有されていることを特徴とする請求項 6 に記載の光学フィ ルター。

〔12〕 請求項 Ίに記載の式 （ 1 ) で表されるリ ン酸基含有単量体 3〜 9 0質量。 /₀ およびこれと共重合可能な単量体 9 7〜 1 0質量 °。を共重合して得られるリ ン酸 基含有共重合体から合成樹脂が構成されているこ とを特徴とする請求項 6 に記載 の光学フィ ルター。

〔13〕 請求項 7 に記載の式 ( 1 ) で表されるリ ン酸基含有単量体 1 0〜 8 0質量 °。およびこれと共重合可能な単量体 9 0〜 2 0質量％を共重合して得られるリ ン 酸基含有共重合体から合成樹脂が構成されていることを特徴とする請求項 6 に記 載の光学フィ ルター。

〔14〕 請求項 8 に記載の式 （ 2 ) で表されるリ ン酸基含有化合物が、 銅イオン （ II) 1 モルに対して 1〜 1 0モルの割合で含有されていることを特徴とする請求 項 6 に記載の光学フィ ルター。

〔15〕 請求項 8 に記載の式 （ 2.) で表されるリ ン酸基含有化合物が、 銅イオン ( II) 1 モルに対して 1〜 5 モルの割合で含有されているこ とを特徴とする請求項

6 に記載の光学フィ ル夕一 ...

〔16〕 合成樹脂 1 0 0質量部に対して、 コバル トイオン （II) が 0. 0 0 1〜 1 . 0 0質量部含有されていることを特徴とする請求項 6 に記載の光学フィ ルター

〔17〕 合成樹脂 1 0 0質量部に対して、 コバル トイオン （II) が 0. 0 1〜 0. 5 0質量部含有されていることを特徴とする請求項 6 に記載の光学フィ ルター。

〔18〕 銅イオン （Π) を保持する単量体と、 コバル トイオン （II) を保持する単 量体とを共重合させることにより得られることを特徴とする請求項 6 に記載の光 学フィ ルター _c

〔19〕 銅イオン （II) を保持する化合物およびコバル トイオン （II) を保持する 化合物の存在下で単量体を重合させることにより得られることを特徴とする請求 項 6 に記載の光学フィ ルター。

〔20〕 キノ ン系、 キノ リ ン系、 ィ ミ ダゾール系、 ォキサゾリ ン系、 フルギド系、 ポリェン系、 ァゾ系、 イ ンジコ系、 ジフヱニルメ タ ン系、 ト リ フエニルメ タ ン系 、 ポリ メチン系、 ナフ トキノ ン系から選ばれた少なく とも 1種の着色物質と、 銅 イオン （I I ) とが合成樹脂中に含有されてなり、 彩度が 0〜 1 2であることを特 徴とする光学フィ ルター。

〔21〕 合成樹脂 1 0 0質量部に対して、 着色物質が 0 . 0 0 0 1〜 0 . 1質量部 含有されていることを特徴とする請求項 2 0に記載の光学フィ ルター。

〔22〕 合成樹脂 1 0 0質量部に対して、 着色物質が 0 . 0 0 0 5〜 0 . 0 1質量 部含有されていることを特徴とする請求項 2 0に記載の光学フィ ルター。

〔23〕 銅イオン （Π ) を保持する化合物および着色物質の存在下で単量体を重合 させることにより得られることを特徴とする請求項 2 0に記載の光学フィ ルター

〔24〕 請求項 1 に記載の光学フィ ルターがバネルの前面板として配置されてなる ことを特徴とするプラズマディ スプレイ装置

〔25〕 請求項 1 に記載の光学フィ ルターからなることを特徴とする白内障防止用 の眼鏡レンズ：

〔26〕 受光素子のための視感度補正フィ ルタ一と して、 請求項 1 に記載の光学フ ィ ルターが搭載されて 、ることを特徴とするカメ ラ。

〔27〕 C C Dのための視感度補正フィ ルタ一として、 請求項 1 に記載の光学フィ ルターが搭載されていることを特徴とする撮像装置

〔28〕 ノイズカツ 卜フィ ルターと して、 請求項 1 に記載の光学フィルターが搭載 されていることを特徴とする赤外線通 ί言環境整備装置。

〔29〕 請求項 1 に記載の光学フィ ルターからなることを特徴とする熱線吸収フィ ル夕一。

〔30〕 請求項 1 に記載の光学フィ ルターからなることを特徴とする光ファィバー 〔31〕 請求項 1 に記載の光学フィ ルターが採光部に設けられていることを特徴と する光ファイバ一。