明 細 書 ジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体
[技術分野]
本発明はジヒ ドロフヱナジンカルボン酸誘導体に関し、 詳細には下記の一般式
(I) 又は (III) で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体及び下記の一 般式 (I)、 (III) 又は (V) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体 を有効成分として含有するグル夕ミン酸毒性の抑制剤に関する。 [背景技術]
天然のァミノ酸の一種であるグル夕ミン酸が神経細胞に対する毒性を有してい ることは知られている (赤池昭紀, 日本薬理学雑誌, 103, 193— 201頁 ( 1994年) 他) 。
この神経細胞に対するグルタミン酸毒性を抑制する物質は、 脳代謝賦活剤、 脳 代謝改善剤等として利用することができる。 ところで、 瀬戸らはストレプトマイセス属に属する放線菌から単離した下記の 式 (A) 及び (B) で表される糖鎖を有するジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導 体 (ae st ivophoenins A及び B) が優れたグル夕ミン酸毒性の 抑制作用及び抗酸化作用を有することを見い出している。 (J. Ant ib io t i c s, 48, 1378 ( 1995) 及び P CT WO 96/22996 )
HO OH
(B)
一方、 糖鎖を有しない ヒドロフエ 酸誘導体としては下記式
(C) 、
で表される化合物 (Ann. Ch im. [13] , 1, 1 15 ( 1956 ) ) フリーラジカルスカベンジャー (抗酸化剤) としての用途をもつ下記式 (D) 、
で表される化合物 (bent hopho enin) 及びそのメチルエステル体 (J. Nat. Pr od. , 56, 1255 ( 1993) ) 、
下記式 (E)
(E)
(式中、 Rは水素原子、 メチル基又はニトロ基を示す。 ) で表される化合物 (He lv. Chim. Act a, 52, 322 ( 1969) ) 及び下記式 (F)、
で表される化合物 (J. Gen. Mi c robi o l. , 104、 299 (1 978) ) などが知られている。 しかしながら、 これらの糖鎖を有しないジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体 については前記の各文献の何れにもグル夕ミン酸毒性の抑制作用の記載はなされ ていない。
更に、 上記の式 (D) で表される化合物はストレブトマイセス属菌株からしか 得られていない。
また、 グルタミン酸毒性の抑制作用を有することが報告されている上記式 (A) 及び (B) で表される化合物は何れも天然物であり、 培養法でのこれらの産生量
は低く、 ひ一 L一ラムノース残基を有することなどから有機合成法による合成に ついても困難が予想され、 これまでこれらの全合成や周辺化合物に関する報告は なされていない。 従って、 グルタミン酸毒性の抑制作用を示す、 より合成容易な ジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体の開発が望まれている。
[発明の開示]
本発明者らは、 グル夕ミン酸毒性の抑制作用を有する化合物に関して鋭意研究 を行った結果、 糖鎖を有しない下記一般式 (I) 、 (III) 又は (V) で表される ジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体が優れたグル夕ミン酸毒性の抑制作用を有 することを見い出し本 ¾明を完成した。 即ち、 本発明は次の一般式 ( I ) 、
(式中、 R1は水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又はァ リール基を表し、 R 2及び R 3は同一又は異なり水素原子、 炭素数 2〜 5のァルケ ニル基、 アルキル基、 ァラルキル基、 ァリール基、 又は次の一般式 (11) 、
R。
(CH2)m - (")
R7
(式中、 R 6及び R 7は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル 基、 ァラルキル基、 ァリール基を表すか、 又は RBと R7は R6及び R7が結合して いる窒素原子と一緒になつて 5〜7員環を形成し、 そして mは 2、 3又は 4を表 す。 )
で表される基を表し、 R4及び R5は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分 枝鎖アルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 ァラルキル基、 ァリール基、 水 酸基、 アルコキシ基、 ァリールォキシ基、 ァラルキルォキシ基、 ハロゲン原子、 ニトロ基、 シァノ基、 アルキルスルホニル基、 ァリ—ルスルホニル基、 アルキル カルボニル基、 ァリールカルボニル基、 ァラルキルカルボニル基、 ハロアルキル 基、 ハロアルコキシ基, N (R8) (R9) 又は S02N (R10) (R11) を表す。 ここで、 R8及び Rgは同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又はァリ—ル基を表し、 そして R 1(1及び R 11は同一又は異なり水素 原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又はァリール基を表す。 但 し、 R 4及び R 5が共に水素原子の場合を除く。 )
で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体に関する。 また本発明は次の一般式 (III)、
(式中、 R21は水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又は ァリール基を表し、 RZ2及び R23は同一又は異なり水素原子、 炭素数 2〜5のァ ルケニル基、 アルキル基、 ァラルキル基、 ァリール基、 又は次の一般式 (IV) 、
(CH2)n — (iv)
R 27
(式中、 R26及び R27は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキ ル基、 ァラルキル基、 ァリール基を表すか、 又は R26と R27は R26及び R27が結 合している窒素原子と一緒になつて 5〜7員環を形成し、 そして nは 2、 3又は 4を表す。 )
で表される基を表し、 R2fl、 R24及び R25は同一又は異なり水素原子、 直鎖若 しくは分枝鎖アルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 ァラルキル基、 ァリー ル基、 水酸基、 アルコキシ基、 ァリ—ルォキシ基、 ァラルキルォキシ基、 ハロゲ ン原子、 ニトロ基、 シァノ基、 アルキルスルホニル基、 ァリールスルホニル基、 ハロアルキル基、 ハロアルコキシ基, N (R28) (R29) 又は S02N (R30) (R31) を表す。 ここで、 R28及び R29は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しく は分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又はァリール基を表し、 そして R30及び R31 は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又は ァリール基を表す。 )
で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体に関する。
更に、 本発明は上記一般式 (I) 又は上記一般式 (III) で表されるジヒドロフ ェナジンカルボン酸誘導体を有効成分として含有するグルタミン酸毒性の抑制剤 に関する。
更にまた本発明は次の一般式 (V)、
6
(式中、 R41は水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又は ァリール基を表し、 R42及び R43は同一又は異なり水素原子、 アルキル基、 ァラ ルキル基、 ァリール基、 炭素数 2〜 5のアルケニル基、 又は次の一般式 (VI)、
R 46
(CH2)p -N (VI)
R 47
(式中、 ; 46及び R47は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキ ル基、 ァラルキル基、 ァリール基を表すか、 又は R46と は R46及び R47が結 合している窒素原子と一緒になつて 5〜7員環を形成し、 そして pは 2、 3又は 4を表す。 )
で表される基を表し、 及び R45は同一または異なり水素原子、 直鎖若しく は分枝鎖アルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 ァラルキル基、 ァリール基、 水酸基、 アルコキシ基、 ァリールォキシ基、 ァラルキルォキシ基、 ハロゲン原子、 ニトロ基、 シァノ基、 アルキルスルホニル基、 ァリールスルホニル基、 アルキル カルボニル基、 ァリールカルボニル基、 ァラルキルカルボニル基、 ハロアルキル 基、 ハロアルコキシ基, カルボキシル基、 アルコキシカルボニル基、 ァラルキル ォキシカルボニル基、 ホルミル基、 N (R48) (R49) 又は S〇2N (R50) (R51) を表す。 ここで、 及び R49は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しく は分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又はァリール基を表し、 そして R5D及び R51 は同一又は異なり水素原子、 直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、 ァラルキル基又は ァリール基を表す。 )
で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体を有効成分として含有するグ ル夕ミン酸毒性の抑制剤に関する。
[発明を実施するための最良の形態]
次に一般式 ( I) で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体の記号につ いて述べる。
上記一般式 ( I) で、 R1としては水素原子、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 i—プロビル基、 ブチル基、 i一ブチル基又は t e r t—ブチル基等の直鎖若し くは分枝鎖の炭素数 1〜 8のアルキル基、 ベンジル基、 フヱネチル基等の炭素数 1〜4のアルキレン部分を有するァラルキル基又はフエニル基、 ナフチル基等の ァリール基が挙げられる。
R2及び R3としては同一又は異なり水素原子、 ァリル基、 3—メチルー 2—ブ テニル基等の炭素数 2〜 5のアルケニル基、 メチル基、 ェチル基、 プロビル基、 i一プロピル基、 ブチル基、 i—プチル基又は t e r t一ブチル基等の炭素数 1 〜 8のアルキル基、 ベンジル基、 フヱネチル基等の炭素数 1〜4のアルキレン部 分を有するァラルキル基、 フエニル基、 ナフチル基等のァリール基、 又は次の一 般式 (I I) 、
R。
一 (CH2)n -N (»)
R'
(式中、 R6、 R 7及び mは前記と同じ。 ) で表される基が挙げられる。
上記一般式 ( I I ) で表される基で、 Rfi及び R7としては同一又は異なり水素 原子、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 i—プロビル基、 ブチル基又は i—ブ チル基等の直鎖若しくは分枝鎖の炭素数 1〜 8のアルキル基、 ベンジル基、 フエ
ネチル基等の炭素数 1〜 4のアルキレン部分を有するァラルキル基、 フェニル基、 ナフチル基等のァリール基が挙げられ、 又は R 6と R 7は R 6及び R 7が結合してい る窒素原子と一緒になつてピロリジン、 ピぺリジン等の 5〜 7員環を形成しても 良レヽ
そして mは 2、 3又は 4である。
R 4及び R 5としては同一又は異なり水素原子、 メチル基、 ェチル基、 プロピル 基、 i—プロピル基、 プチル基、 i一プチル基又は t e r t—ブチル基等の直鎖 若しくは分枝鎖の炭素数 1〜 8のアルキル基、 ビニル基、 ァリル基、 3—メチル — 2—プテニル基等の炭素数 2〜 8のアルケニル基、 プロピニル基等の炭素数 2 〜 8のアルキニル基、 ベンジル基、 フエネチル基等の炭素数 1〜4のアルキレン 部分を有するァラルキル基、 フエニル基、 ナフチル基等のァリール基、 水酸基、 メ トキシ基、 エトキシ基、 プロポキシ等の炭素数 1〜8のアルコキシ基、 フエ二 ルォキシ基等のァリ—ルォキシ基、 ベンジルォキシ基、 フエ チルォキシ基等の 炭素数 1〜4のアルキレン部分を有するァラルキルォキシ基、 フッ素原子、 塩素 原子、 臭素原子等のハロゲン原子、 ニトロ基、 シァノ基、 メチルスルホニル基等 の炭素数 1〜 8のアルキル部分を有するアルキルスルホニル基、 ベンゼンスルホ ニル基等のァリ—ルスルホニル基、 ァセチル基、 プロピオニル基等の炭素数 1〜 8のアルキル部分を有するアルキルカルボニル基、 ベンゾィル基等のァリ—ルカ ルボニル基、 ベンジルカルボニル基等のァラルキルカルボニル基、 クロロメチル 基、 クロ口ェチル基、 トリフルォロメチル基等の塩素原子、 フッ素原子、 臭素原 子等のハロゲン原子を 1〜 3個有する炭素数 1〜 8のハロアルキル基、 2—クロ 口エトキシ基、 トリフルォロメ トキシ基等の塩素原子、 フッ素原子、 臭素原子等 のハロゲン原子を 1〜3個有する炭素数 1 ~ 8のハロアルコキシ基, N ( R 8) ( R 9 ) 又は S 02 N ( R 1 0) ( R 1 1 ) などが挙げられる。 ここで、 R 8及び R 9としては同一又は異なり水素原子、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 i—プロピル基、 ブチル基又は i一ブチル基等の直鎖若しくは分枝 鎖の炭素数 1〜 8のアルキル基、 ベンジル基、 フヱネチル基等の炭素数 1〜4の
?
アルキレン部分を有するァラルキル基、 フエニル基又はナフチル基等のァリ—ル 基が挙げられ-る。
そして R1Q及び R11としては同一又は異なり水素原子、 メチル基、 ェチル基、 プロビル基、 i—プロピル基、 プチル基又は i―ブチル基等の直鎖若しくは分枝 鎖の炭素数 1〜 8のアルキル基、 ベンジル基、 フエネチル基等の炭素数 1〜4の アルキレン部分を有するァラルキル基、 フヱニル基又はナフチル基等のァリール 基が挙げられる。 次に一般式 (III) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体の記号につ いて述べる。
一般式 (III) の R21は一般式 (I) の Ι 、 一般式 (III) の R22及び R23は一 般式 (I) の R2又は R3、 一般式 (III) [一般式 (IV) ]の R26及び R27は一 般式 (I) [一般式 (I I) ] の R6又は R7、 一般式 (III) の R28及び R29は一 般式 (I) の R8又は R9、 そして一般式 (III) の R3fl及び R31は一般式 (I) の R1U又は R11と同様な原子又は基が挙げられる。 また、 一般式 (III) の R2fl、 R 24及び R25は一般式 (I) の R4又は R 5からアルキルカルボニル基、 ァリール カルボニル基及びァラルキルカルボ二ル基を除いたものが挙げられる。 次に一般式 (V) で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体の記号につ いて述べる。
一般式 (V) の R41としては一般式 (I) の R1と同様な原子又は基が挙げられ る。
一般式 (V) の R42及び R43としては、 一般式 (I) の R2又は R3と同様な原 子又は基が挙げられる。
一般式 (V) の R44及び R45としては一般式 (I) の R4又は R5と同様な原子 又は基の他、 カルボキシル基、 メ トキシカルボニル基、 エトキシカルボ二ル基等 の炭素数 2〜 8のアルコキシカルボニル基、 ベンジルォキシカルボニル基等のァ ラルキルォキシカルボニル基、 ホルミル基等が挙げられる。
一般式 (V) [—般式 (VI) ] の R46及び R47は、 一般式 (I) [一般式
/0
( I I) ] の R6又は R7、 一般式 (V) の R48及び R49は、 一般式 ( I) の R8又 は R9、 そして一般式 (V) の: R5e及び: 51は一般式 ( I) の Rlfl又は R "と同様 な原子又は基が挙げられる。
また、 上記一般式 (I) の R4及び R5、 上記一般式 (III) の R2e、 R24及び R25そして上記一般式 (V) の R44及び R45は、 複数個有っても良い。 ところで、 一般式 ( I) で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体のう ち、 R 4及び R 5が共に水素原子である化合物は空気中で酸化を受け易いことから、 不安定である。 例えば 5, 1 0—ジヒドロ— 1一フエナジンカルボン酸ェチルが 室温で不安定であることは本発明者らにより確認されている。
従って、 ジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体の化学的な安定性を高める為、 一般式 (I) の R4及び R5並びに一般式 (V) の R44及び R45としてはニトロ基、 ベンゾィル基などの電子吸引性基であることが望ましい。
更に、 上記一般式 (I) の Ε R\ R3、 R R7、 R8、 R9、 R1Q及び R 11におけるァラルキル基及びァリ—ル基、 R 4及び R 5におけるァラルキル基、 ァリール基、 ァリールォキシ基、 ァラルキルォキシ基、 ァリールスルホニル基、 ァリールカルボニル基、 ァラルキルカルボニル基、 上記一般式 (III) の R21、 R22、 R2 R26、 R27、 R28、 R29、 R3Q及び R31におけるァラルキル基及び ァリール基、 R2e、 R24及び R25におけるァラルキル基、 ァリール基、 ァリール ォキシ基、 ァラルキルォキシ基、 ァリールスルホニル基、 そして一般式 (V) の R41、 R42、 R43、 R46、 R47、 R48、 R49、 R 5(1及び R 51におけるァラルキル 基及びァリール基、 R44及び R45におけるァラルキル基、 ァリール基、 ァリール ォキシ基、 ァラルキルォキシ基、 ァリールスルホニル基、 ァリールカルボニル基、 ァラルキルカルボニル基、 ァラルキルォキシカルボニル基の芳香環は、 例えばメ チル基、 ェチル基、 プロピル基等の炭素数 1〜 6の低級アルキル基、 メ トキシ基、 エトキシ基、 プロポキシ基等の炭素数 1〜6の低級アルコキシ基、 塩素原子、 フ ッ素原子等のハロゲン原子、 トリフルォロメチル基等の 1〜 3個のハロゲン原子 で置換された炭素数 1〜6の低級アルキル基、 トリフルォロメ トキシ基等の 1〜 3個のハロゲン原子で置換された炭素数 1〜 6の低級アルコキシ基等で置換され
//
ていても良い。
また、 上記一般式 (I) の R1 上記一般式 (III) の R21及び上記一般式 (V) の R41の直鎖若しくは分鎖アルキル基はァミノ基 (NH2) 、 ェチルァミノ基等の 炭素数 1〜6のアルキルアミノ基、 ベンジルァミノ基等のァラルキルアミノ基 (アルキル部分の炭素数は 1〜4) 、 ジメチルァミノ基、 ジェチルァミノ基等の ジ (炭素数 1〜6のアルキル) アミノ基、 ピペリジノ基、 モルホリノ基等の環状 アミノ基、 ジベンジルァミノ基等のジァラルキルアミノ基 (アルキル部分の炭素 数は 1〜4) を有していても良い。 次に、 一般式 (I) で表されるジヒドロフエ 酸誘導体の合成ル トを示す。
(d)
(式中、 X1及び X2は塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子、 メシルォキシ基、 又 はトシルォキシ基等の脱離基を表し、 そして R1, R2, R3、 R4及び R5は前記と 同じ。 但し、 R 2及び R 3が共に水素原子の場合を除く。 ) ここで一般式 (b) の化合物は一般式 (a)又は一般式 (a, ) の化合物をェ 夕ノール一水からなる混合溶媒などの反応に関与しない溶媒中、 室温〜溶媒の沸 点の反応温度で、 ナトリウムハイ ドロサルフアイ ト等の還元剤の存在下還元反応 に付すことにより得ることができる。
一般式 (a, ) の化合物を出発原料とする場合には、 エタノール、 メタノール、 アセトン又は塩化メチレンなどの反応に関与しない溶媒中、 ラネ一ニッケル、 ノ ラジウム一炭素又はロジウム系触媒などを触媒とした接触水素添加によっても一 般式 (b) の化合物を得ることができる。 また一般式 (b) の化合物は一般式 (a, ) の化合物をメタノール、 エタノールなどの反応に関与しない溶媒中、 ヒ ドラジン及びパラジゥム一炭素で還元することによつても得ることができる。 次に、 一般式 (c) の化合物は上記で得られた一般式 (b) の化合物と一般式、 R^1 (R3及び X1は前記と同じ) で表される化合物 (例えば、 アルキルハラィ ドなど) をアセトン、 2—ブ夕ノン、 4一メチル一 2—ペン夕ノン、 テトラヒド 口フラン等の反応に関与しない溶媒中、 無水炭酸カリウム、 無水炭酸ナトリウム、 水素化ナトリウム等の塩基の存在下で反応させることにより得ることができる。 また、 一般式 (d) の化合物は上記の一般式 (b) の化合物から一般式 (c) の化合物への反応と同様な方法により得ることができる。
更に、 上記一般式 (b) 、 上記一般式 (c) 又は上記一般式 (d) の化合物を エステル交換反応に付すことにより異なるアルキルエステル等を得ることができ る。 原料である一般式 (a) の化合物は例えば J . Chem. S o c. , Perk in Trans. 1, 1354 ( 1974)あるいは米国特許第 361549 4号などに記載の合成法と同様な方法を用いて得ることができる。
また、 上記一般式 (a, ) の化合物は例えば J. Med. Chem. , 30,
J3
843 ( 1987) あるいは S y n t h. C ommun. , 17, 1 171 ( 1
987) などに記載の合成法と同様な合成方法を用いて得ることができる。
更に一般式 (III) 又は一般式 (V) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸 誘導体も上記の一般式 (I) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体の 合成ルー卜と同様な方法を用いて得ることができる。 尚、 上記一般式 (I) 、 (III) 及び (V) で表されるジヒドロフエナジンカル ボン酸誘導体は場合により薬理学的に許容しうる塩として用いることができ、 塩 基の塩としてはナトリウム塩、 カリウム塩等のアルカリ金属塩、 メチルァミン塩 等の有機アミン塩等が挙げられ、 酸付加塩としては、 塩酸塩、 臭化水素酸塩等の 鉱酸塩、 フマル酸塩、 酢酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。 次に上記一般式 (III) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体の代表 化合物例を表 1及び表 2に示す。
/
^2 —.24
R R R R R ベンゾィル基 R
の置換位
ェチル H H Η Η 7 H
H H 3—メチル—2-ブ丁一ゾレ Η Η 7 H メチル H 3-メチル—2—ブ丁一 Jレ Η Η 7 H ェチル H 3-メチル -2-ブ亍ニル Η Η 7 H
I プロヒル H 3-メチル -2—ブ丁ニゾレ Η Η 7 H t-ブチ jレ H 3-メチル -2-ブ亍ニル Η Η 7 H ベンジル H 3-メチル -2 -ブ亍ニル Η Η 7 H ェチル H 3-メチル—2—ブ亍ニル Η Η 7 3 -二卜口 ベンジル H 3-メチル -2 -ブ亍ニル Η Η 8 3-フルォロ ェチル H メチル Η Η 7 H ェチル H メチル Η Η 7 3-フルォロ ェチル H メチル Η Η 7 4 -クロ口
° t-ブチノレ H メチル Η Η 7 4ーメ卜千ン
ェチル H メチル Η Η 7 3,4-ジメトキシ ェチル H メチル Η Η 9 4-クロ口 ェチル H 卜ブチル Η Η 6 4-フルォロ ェチル H ベンジル Η Η 7 H ェチル H 3- (ジメチルァミノ)プロピル Η Η 7 H ェチル H 2 - (1 -ピロリジニル)ェチル Η Η 8 H ェチル 3-メチル -2 -ブ亍ニル 3-メチル- 2 -ブ亍ニル Η Η 7 H
2
上記一般式 (I) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体の代表化合 物例 (上記の表 1及び表 2記載の化合物例を除く) を表 3及び表 4に示す。
7
4
R1 R2 R3 R4 R5
ェチル H メチル 3-メチル H
ェチル H メチル 2,3 -ジメトキシ H
t-ブチル H メチル H 7 -トリフルォロメトキシ t -ブチル H メチル H 7,8-ジメトキシ ベンジル H メチル H 7—シァノ ェチル 3 -メチル -2 -ブ亍ニル メチル H 7-(N-メチルスルファモイル) ベンジル H i-ブチル 2,3 -ジメトキシ 7 -トリフルォロメチル ェチル メチル ベンジル H 8 -ジメチルァミノ ェチル H ベンジル H 8-(N-メチルスルファモイル) ェチル H 3- (ジェチルァミノ)プロピル H 7-クロ口
¾0
ェチル H 2-(1-ピロリジニル)ェチル H 7,8-ジメトキシ
2 - (ジェチルァミノ)ェチル H H H 7-ァセチル
3- (ジメチルァミノ)プロピル H H H 7-ニトロ
3 - (ジメチルァミノ)プロピル H 3-メチル -2 -ブ亍ニル H 7-クロ口
3-(1 -ピベリジニル)プロピル H メチル H 8-メチルスルホニル
3-(1 -モルホリニル)プロピル H ベンジル H 7 -ブロモ
上記一般式 (V) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン酸誘導体の代表化合 物例 (上記の表 1〜 4記載の化合物例を除く) を表 5に示す。
5
R4' 42 R43 44 C02R4'の
置搀位置
H H H H 1 -ベンゾィル 2
H H H H 8-(N-メチルスルファモイル) 2
H H H H 7 -トリフルォロメチル 2
H H H H 7,8 -ジクロ口 2
H H 3 -メチル -2 -ブテニル H 7 -ベンゾィル 2 ェチル H 3 -メチル- 2 -ブテニル H 7—ベンゾィル 2 ェチル H 3 -メチル -2-ブテニル H 8 - (N-メチルスルファモイル) 2 t-ブチル メチル 3 -メチル -2-ブ亍ニル H 9 -メトキシ 2 t -ブチル メチル メチル 4-メ卜キシ 7 -ベンゾィル 2 ェチル ベンジル ベンジル 4 -メトキシ 7,8 -ジクロ口 2 ェチル H 3 - (ジェチルァミノ)プロピル H 7-トリフルォロメチル 2 ェチル H 3 - (1-ピベリジニル)プロピル H 8 -メチルスルホニル 2
2- (ジェチルァミノ)ェチル H H H 7-ベンゾィル 2 - (ジメチルァミノ)プロピル H H H 7-ニトロ 2- (ジメチルァミノ)プロピル H 3 -メチル -2-ブテニル H 7-ベンゾィル 2- (1-ピベリジニル)プロピル H メチル H 2- (1-モルホリニル)プロピル H ベンジ< (レ H 7—ベンゾィル 2
次に本発明の薬理実験結果について述べる。
上記一般式 _( I)、 (III) 及び (V) で表されるジヒドロフヱナジンカルボン 酸誘導体及びその塩は、 後記実施例 10で示すように神経細胞 (N18— RE— 105細胞) 及びラット胎児由来初代海馬細胞に対するグル夕ミン酸毒性の抑制 試験並びに神経細胞 (N 18— RE— 105細胞) に対する BSO毒性の抑制試 験において優れた細胞保護作用を示した。
公知のグル夕ミン酸毒性の抑制作用を示す化合物は、 軽度の脳虚血による神経 細胞死を抑制し、 脳代謝を賦活する。 従って、 一般式 (I)、 (III)及び (V) で表されるジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体も脳梗塞や脳血管性痴呆症のよ うな脳血管障害に対する治療薬の有効成分として有用である。 また、 一般式 (I) 、 (III)及び (V)で表されるジヒドロフエナジンカルボ ン酸誘導体及びその塩は後記実施例 10で示すようにラット全脳ホモジネートを 用いた過酸化脂質生成の抑制実験において、 優れた過酸化脂質生成抑制作用を示 した。
活性酸素が関与すると考えられる疾患には、 炎症、 関節リウマチ、 自己免疫疾 患などがある。 従って、 上記一般式 (I) 、 (III)及び (V) で表されるジヒド 口フヱナジンカルボン酸誘導体もこれらの疾患の治療薬として有用である。 上記一般式 ( I)、 (III) 及び (V) で表されるジヒドロフエナジンカルボン 酸誘導体を有効成分として含有するグル夕ミン酸毒性の抑制剤は錠剤、 カプセル 剤、 顆粒剤等の経口剤として又は注射剤、 坐剤等の非経口投与剤として使用でき る ο
これらの調剤には、 医薬品製剤の通常の製造の際用いられるブドウ糖、 乳糖等 の賦形剤、 デンプン、 カルボキシメチルセルロース カルシウム (CMC— Ca) 等の崩壊剤、 ヒドロキシプロピルセルロース (HPC) 、 ポリビニルビロリ ドン
(PVP)等の結合剤、 タルク、 ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、 希釈剤、 色素等が用いられる。
ュ ο
投与量は、 通常成人において、 上記一般式 (I) 、 (III) 及び (V) で表され るジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体を、 注射剤では 1日約 0. 00 1mg~ 1 0 Omgs 経口投与では 1日約 0. 0 1 mg〜: L . 0 gであるが、 年令、 症状 等により増減することができる。 次に、 参考例及び実施例により本発明を更に詳細に説明する。
[参考例 1 ]
( 1) N- (4—ベンゾィルー 2—二トロフエニル) アントラニル酸 アントラニル酸 ( 1. 37 g, 1 0mmo l) 、 4—クロ口一 3—ニトロベン ゾフエノン (2. 88 g, 1 lmmo 1) 、 粉末の無水炭酸カリウム (2. 77 g, 2 Ommo 1) , 銅粉 ( 5 Omg) 、 およびィソァミルアルコール (25m 1) の混合物を撹拌しながら 1時間加熱還流した。 室温まで冷却後、 反応混合物 に水 (3 Oml) およびエーテル (30ml) を加えて 1 5分間撹拌し、 不溶の 赤褐色固体を濾取し、 水およびエーテルで洗浄した。 この赤褐色固体は主に目的 物のカリウム塩であり、 これを集めて水 (40ml) に懸濁し、 溶液部分の pH が約 2になるまで 2 N塩酸を加えた。 室温で激しく 1時間撹拌後、 結晶を濾取し、 水およびエーテルで数回洗浄した。 60°Cで 3時間減圧乾燥し、 黄橙色結晶とし て標題化合物 2. 34 g (6 5%) を得た。 lE NMR (CDaOD/CDC 13= 1/1)
δ :
7. 25 ( 1 Η, b r)
7. 53— 7. 80 (8 H, m)
7. 97 ( 1 H, b r d, J = 8 Hz)
8. 12 ( 1 H, b r )
8. 68 ( 1 H, d, J = 2 Hz)
(2) N—ァセチル— N— (4—ベ —2—二トロフエニル) アントラ ニル酸 上記化合物 (8. 70 g3 24. Ommo 1) をピリジン ( 10 Oml) に懸 濁し、 無水酢酸 (12. 3 g, 0. 12mo 1) を加えて室温で 1日間撹拌した c 減圧下に溶媒を留去し、 残留物に水 (50ml) を加え、 次に溶液部分の pHが 約 2になるまで 2 N塩酸を加えた。 析出物が粉末状になるように室温で撹拌した 後、 結晶を濾取し、 水で洗浄した。 60°Cで 5時間減圧乾燥し、 淡黄色粉末とし て標題化合物 9. 50 g (98%) を得た。
NMR (CDaOD/CDC 13= 2/1)
δ :
1 98 (3 H, s)
7 30 (1H, d, J = 8Hz)
7 51 ― 7. 84 (8H, m)
7 94 (1H, dd, J = 8, 2 H z)
8 23 ( 1 H, dd, J = 8, 1 H z)
8 33 ( 1 H, d, J = 2 H z)
(3) N—ァセチル— N— (4—べ —2—二トロフエニル) アントラ ニル酸ェチル 窒素雰囲気下、 上記化合物 (10. l g, 25. Ommo 1) を無水塩化メチ レン (80ml) に懸濁し、 4ージメチルアミノビリジン (3. 36 g, 27. 5mmo 1) および無水エタノール ( 1. 82ml, 31. 2mmo 1) を加え た。 次にこの混合物を氷冷し、 1—ェチル— 3— (3—ジメチルァミノプロピル) カルポジイミ ド塩酸塩 (5. 27 g, 27. 5mmo l) を加え、 5°Cで 1 時 間、 室温で 16時間撹拌した。 減圧下溶媒留去し、 残留物に水および酢酸ェチル を加えて有機層を分取した後、 1N塩酸、 飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄し
た。 無水硫酸ナトリゥムで乾燥、 減圧下溶媒留去後、 残留物をエタノール ( 18 Oml) から再結晶し、 標題化合物を黄色結晶として 8. 88 g (82%)得た また、 母液から二次晶を 0. 31 g (3%)得た。
:H 匪 R (CDC 13)
δ :
1. 32 (3Η, t , J = 7Hz)
1. 96 (3 H, s)
4. 40 (2H, q, J = 7Hz)
7. 18 (1 H, d, J = 8Hz)
7. 48 一 7. 58 (3H, m)
7. 60 - 7. 68 (3 H, m)
7. 77 - 7. 82 (2 H, m)
7. 92 (1H, dd, J = 8, 2Hz)
8. 14 (1H, br d, J = 8Hz)
8. 32 (1 H, d, J = 2Hz)
FAB-MS m/z 433 (MH+)
(4) 7—べンゾィル- エトキシカルボニルフエナジン 5—ォキシド 上記化合物 (8. 75 g, 20. 2mmo 1) をァセトニトリル (2. 0 L) に溶解し、 窒素雰囲気下パイレックスフィル夕一を通して 400W高圧水銀灯で 10時間光照射した。 減圧下に溶媒留去し、 残留物を中圧力ラムクロマトグラフ ィ一 (クロ口ホルム、 クロ口ホルム/メタノール = 100/1) で精製し、 得ら れた粗製の標題化合物をエタノール (20ml) に加熱溶解した。 室温で一晩放 置し、 析出した結晶を濾取し、 エタノールおよびエーテルで洗浄した。 減圧乾燥 後、 黄色結晶として標題化合物 4. 18 g (55%) を得た。
mp 13 6 - 1 39°C
JH NMR (CDC 13)
δ :
1. 52 (3 H, t , J = 7Hz)
4. 60 (2 H, q, J = 7Hz)
7. 53 ― 7. 58 (2H, m)
7. 68 ( 1 H, m)
7. 79 ( 1 H, dd, J = 9, 7 Hz)
7. 88 一 7. 92 (2H, m)
8. 19 ( 1 H, dd, J = 7 , 1 H z)
8. 3 1 ( 1 H, dd, J = 9, 2 Hz)
8. 38 ( 1 H, d, J = 9 Hz)
8. 80 ( 1 H, dd, J = 9, 1 Hz)
8. 99 ( 1 H, d, J= 1 Hz)
FAB-MS m/z 373 (MH + )
I R (KB r) レ cm— 1
1 720, 1650, 1430, 1350, 1 29 5, 1 280, 1 190
1 135, 25
[実施例 1]
7—べンゾィルー 5, 1 0—ジヒドロ一 1—フエナジンカルボン酸ェチル 参考例 1で得た 7—ベンゾィルー 1—ェトキシカルボニルフエナジン 5—ォ キシド (4. 00 g, 10. 7mmo 1) の沸騰エタノール溶液 (300ml) に、 窒素雰囲気下、 85%ナトリウムハイ ドロサルフアイ ト (8. 8 6 g, 43. 2mmo 1) の水溶液 (1 50ml) を 1時間かけて滴下した。 滴下終了後、 さ らに 10分間加熱還流を続け、 室温まで冷却し、 水 (1 50ml) を加えた。 析 出した結晶を濾取し、 水で洗浄し、 五酸化二リン存在下に 40 °Cで 1 6時間減圧 ^
乾燥し、 茶紫色結晶として標題化合物 3. 10 g (81%) を得た mp 175 一 177°C
δ
1. 37 (3H, t, J = 7Hz)
4. 29 (2H, q, J = 7 H z)
6. 10 ( 1 H, d, J = 8 H z)
6. 12 ( 1 H, dd, J = 8, 1 Hz)
6. 34 ( 1 H, dd, J = 8, 8 H z)
6. 54 ( 1 H, d, J = 2 H z)
6. 83 (1H, dd, J = 8 , 2 H z)
6. 95 (1H, dd, J = 8, 1 H z)
7. 43一 7 49 ( 2 H, m)
7. 56 (1H, m)
7. 64一 7 68 ( 2 H, m)
8. 97 (1H, b r s)
I R (KB r ) v cm"1
3310, 1655, 1630, 1605, 590, 1560, 1470 1440, 1315, 1290, 1250, 220, 1155, 1120 1075, 1000, 740, 705
[実施例 2]
7—ベンゾィルー 5, 10—ジヒドロー 5— (3—メチル一 2—ブテニル) ― 1—フエナジンカルボン酸ェチル 実施例 1で得た化合物 (359mg, 1. 0 Ommo 1) の 2—ブ夕ノン (6 ml)懸濁液に、 粉末の無水炭酸カリウム (0. 83g, 6. Ommo 1) およ
び 4—プロモ—2—メチル—2—ブテン (0. 44g, 3. Ommo l) を加え、 窒素雰囲気下に激しく撹拌しながら 7時間還流した。 室温まで冷却後、 反応混合 物に水および酢酸ェチルを加えて有機層を分取し、 水層を酢酸ェチルで抽出した 有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 減圧下溶 媒留去した。 残留物を中圧力ラムクロマトグラフィー (クロ口ホルム/へキサン = 2/1) で精製し、 不純物を含んだ標題化合物を 337mg得た。 このものは さらに少量の酢酸ェチルを含むへキサンから再結晶することにより精製し、 赤色 針状晶として標題化合物を 22 lmg (52%)得た。 mp: 107 - 108°C
XH NMR (CD C 13)
δ:
1 36 3 H, t, J = 7Hz)
1 70 3 H, b r s)
1 74 3 H, b r s)
3 97 2 H, b r d, J = 5Hz)
4 30 2H, q, J = 7 H z)
5 06 1 H, m)
6 17 1 H, d, J = 8Hz)
6 19 1 H, b r d, J = 8 H z)
6 46 1H, dd, J = 8, 8 H z)
6 72 1 H, b r s)
6 96 1 H, dd, J = 8, 2 H z)
7 08 1H, dd, J = 8, 1 Hz)
7 40一 7 . 46 (2H, m)
7 52 1 H, m)
7 67 7 . 71 (2H, m)
9 45 1H, b r s)
FAB-MS m/z : 426 (M+)
I R (KB r ) y cm"1
3250, 1675, 1640, 1585, 1500, 1470, 1445, 1270, 1250, 1240, 1135, 735
[実施例 3]
7—ベンゾィル一5, 10—ジヒドロ一 5, 10—ビス (3—メチル一2— ブテニル) _ 1—フエナジンカルボン酸ェチル 実施例 2で得た化合物 (43mg, 0. l Ommo l) の無水 T H F (lml) 溶液に、 窒素雰囲気下、 氷冷しながら 60%水素化ナトリウム (6mg, 0. 1 5mmo 1) 、 続いて 5分間後に 4—ブロモ— 2—メチル— 2—ブテン (18〃 1, 0. 15mmo 1) を加えた。 5°Cで 1時間、 室温で 40分間撹拌後、 10 %クェン酸水溶液 (lml) および水 (10ml) を加え、 酢酸ェチルで抽出し た。 抽出液を合わせて飽和重層水および飽和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウ ムで乾燥し、 減圧下溶媒留去した。 残留物を分取薄層クロマトグラフィー (酢酸 ェチル /へキサン = 1Z3) で精製し、 赤色油状物として標題化合物を 5 Omg (100%)得た。
NMR (CDC 13)
δ:
1. 38 (3Η, t, J = 7Hz)
1. 63 (3H, d, J = 1 Hz)
1. 64 (3H, br s)
1. 69 (3H, br s)
1. 72 (3H, d, J = lHz)
4. 05 (2H, br d, J = 6Hz)
4. 20 (2H, br d, J = 5Hz)
4. 33 (2H, q, J = 7 Hz)
5. 09— 5. 1 9 ( 2H, m)
6. 41 ( 1 H, d, J = 8 Hz)
6. 48 ( 1 H, dd, J = 8, 1 H z)
6. 74 ( l H, dd, J = 8, 8 H z)
6. 9 1 ( 1 H, d, J = 2Hz)
7. 08 ( 1 H, dd, J = 8, 1 Hz)
7. 18 ( l H, dd, J = 8, 2 Hz)
7. 4 1 - 7. 47 (2 H, m)
7. 53 ( 1 H, m)
7. 70 - 7. 75 (2H, m)
[実施例 4]
7—ベンゾィル一 5—ベンジル一 5, 1 0—ジヒドロー 1—フエナジンカルボ ン酸ェチル 実施例 1で得た化合物 ( 1 80mg, 0. 502mmo l) の 2—ブ夕ノン (4ml) 懸濁液に、 粉末の無水炭酸カリウム (4 15 mg, 3. Ommo l) およびベンジルブロミ ド (257mg, 1. 5mmo 1) を加え、 窒素雰囲気下 に激しく撹拌しながら 10時間還流した。 室温まで冷却後、 反応混合物に水およ び酢酸ェチルを加えて有機層を分取し、 水層を酢酸ェチルで抽出した。 有機層を 合わせて飽和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 減圧下溶媒留去し た。 残留物を中圧力ラムクロマトグラフィー (クロ口ホルム/へキサン =2/1) で精製し、 橙色結晶として標題化合物を 14 lmg (63%) 得た。 mp : 134 - 1 36°C
lE NMR (CDC 13)
δ :
1. 37 (3Η, t, J = 7 Hz)
4. 31 (2H, q, J = 7Hz)
4. 62 (2H, br s)
6. 08 ( 1 H, b r d, J = 8Hz)
6. 22 (1H, d, J = 8Hz)
6. 35 (1H, dd, J = 8, 8Hz)
6. 62 ( 1 H, b r s)
6. 99 (1H, dd, J = 8, 2 H z)
7. 09 ( 1 H, dd, J = 8 , 1Hz)
7. 25 - 7. 38 ( 7 H, m)
7. 45 ( 1 H, m)
7. 56-7. 61 (2H, m)
9. 53 ( 1 H, b r s)
R (KB r ) レ cm一1
3280, 1670, 1635, 1610, 1585, 1520, 1495 1470, 1440, 1315, 1270, 1250, 1140, 750, 705
[実施例 5]
7一べンゾィルー 5, 10—ジヒドロ一 5—メチル一 1一フエナジンカルボン 酸ェチル 実施例 1で得た化合物 ( 180mg, 0. 502mm 01) のアセトン (4 ml) 懸濁液に、 粉末の無水炭酸カリウム (415mg, 3. Ommo l) およ びヨウ化メチル (0. 19ml, 3. Ommo l) を加え、 窒素雰囲気下に激し く撹拌しながら加熱還流した。 4時間後、 再度ヨウ化メチル (0. 19ml, 3. Ommo l) を加えて 16時間還流を続けた。 室温まで冷却し、 反応混合物に水 および酢酸ェチルを加えて有機層を分取し、 水層を酢酸ェチルで抽出した。 有機 層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 減圧下溶媒留
去した。 残留物は中圧力ラムクロマトグラフィー (クロ口ホルム/へキサン =2 /1) で精製し、 橙色結晶として標題化合物を 5 Omg (27%)得た。 mp: 139 ― 141°C
NMR (CDC 13)
δ:
1. 37 (3Η, t, J = 7Hz)
2. 94 (3 H, s)
4. 31 (2H3 q, J = 7Hz)
6. 20 (1H, d, J = 8Hz)
6. 28 ( 1 H, b r d, J = 8Hz)
6. 53 (lH, dd, J = 8, 8Hz)
6. 85 (1H, br s)
6. 96 (1H, dd, J = 8, 2Hz)
7. 13 (1H, dd, J = 8, 1Hz)
7. 42 - 7. 47 (2 H, m)
7. 53 ( 1 H, m)
7. 68 - 7. 72 (2 H, m)
9. 49 ( 1 H, b r s)
I R (KB r) cm"1
3260, 1680, 1640, 1590 1550, 1500, 1475 1440, 1420, 1320, 1275 1250, 1240, 1170 1140, 750, 740, 710
[実施例 6]
7—ベンゾィル一5, 10—ジヒドロ一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメ チルァミノ) プロピルエステル θ
(1) 7—ベンゾィルー 1一フエナジンカルボン酸ェチル 参考例 1で得られた 7—ベンゾィルー 1—エトキシカルボニルフエナジン 5 —ォキシド (56mg, 0. 15mmo 1) のメ夕ノ一ル (6ml) 懸濁液に、 ナトリゥムハイ ドロサルフアイ ト (85%, 131 mg, 0. 64mmo l) の 水 (2ml) 溶液を滴下した。 室温で 1時間撹拌後、 水を加え、 酢酸ェチルで抽 出し、 抽出液を合わせて水および飽和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾 燥した。 減圧下溶媒留去して得られた残留物を分取簿層クロマトグラフィー (酢 酸ェチル /へキサン = 1/1) で精製し、 黄色結晶として標題化合物を得た。 mp: 115 - 116°C
!H NMR (CD C 13)
δ:
1. 53 (3H, t, J = 7Hz)
4. 62 (2H, q, J = 7Hz)
7. 53 ― 7. 59 (2H, m)
7. 67 ( 1 H, m)
7. 89 (1H, dd, J = 9, 7 Hz)
7. 91 - 7. 96 (2H, m)
8. 27 (1H, dd, J = 7, 1 Hz)
8. 34 (1H, dd, J = 9, 2 H z)
8. 37 (1H, dd, J = 9, 1 Hz)
8. 44 (1H, d, J = 9 Hz)
8. 60 (1H, d, J = 2Hz)
(2) 7—ベンゾィル一 1—フエナジンカルボン酸 上記で得られた 7—べンゾィル— 1—フエナジンカルボン酸ェチル (36mg: 0. 1 Ommo 1) のエタノール (0. 8 ml) 懸濁液に、 1 N水酸化ナトリウ
ム水溶液 (0. 20ml, 0. 2 Ommo 1) を加え、 室温で 4時間撹拌した。 反応混合物に水 (2ml) および 0· 5N塩酸 (1ml) を加えて 0. 5時間撹 拌後、 結晶を濾取し、 水で洗浄した。 40°Cで 16時間減圧乾燥し、 標題化合物 を黄色結晶として 33mg (100%) を得た。 mp : 236-237 °C
H NMR (CD C 13)
δ
7 55 - 7. 62 (2 H, m)
7 70 (1H, m)
7 92 一 7. 97 ( 2 H, m)
8 09 ( 1 H, dd, J = 9, 7Hz)
8 42 ( 1 H, d, J = 9Hz)
8 48 ( 1 H, dd, J = 9, 1 Hz)
8 55 (1H, dd, J = 9, 1 Hz)
8 70 (1H, d, J= 1 Hz)
9 06 (1 H, dd, J = 7, 1 Hz)
R (KB r) v cm-1
3050, 1740, 1650, 1590, 1405, 1315, 1285 1240, 1170, 855, 760, 735, 720, 705
(3) 7—べンゾィル- —フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァミノ) プ 口ピルエステル 上記で得られた 7—ベンゾィル一 1—フエナジンカルボン酸 (66mg, 0. 2 Ommo 1) の無水ジクロロメタン (3 ml) 懸濁液に、 4ージメチルァミノ ピリジン (27mg, 0. 22mmo 1) および 3—ジメチルァミノ一 1—プロ パノール (28〃1, 0. 24mmo 1) を加えた。 この混合物を氷冷し、 1—
ェチル—3— ( 3—ジメチルァミノプロピル) カルポジイミ ド塩酸塩 (43mg, 0. 22 mm o 1 ) を加え、 5°Cで 1時間、 室温で 2 1時間撹拌した。 反応混合 物を濃縮後、 残留物を酢酸ェチルおよび 5 %炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し た。 有機層を分取し、 水および飽和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥 し、 減圧下溶媒留去した。 得られた残留物は分取薄層クロマトグラフィー (クロ 口ホルム/メタノール = 5/1) で精製し、 標題化合物を淡黄色固体として 73 mg (88%) 得た。
'Ε NMR (CD C 13)
6:
2 10 2 H, m )
2 34 6 H, s)
2 63 2H, b r t, J = 7H z)
4 6 1 2 H5 t, J = 6Hz)
7 54一 7. 59 ( 2 H, m)
7 67 1 H, m)
7 90 1 H, dd, J =9, 7Hz)
7 90 7 . 96 ( 2 H, m)
8 28 1 H, dd, J = 7, 1 Hz)
8 35 1 H, dd, J = 9, 2 H z)
8 38 1 H, dd, J = 9, 1 Hz)
8 44 1 H, d, J = 9 Hz)
8 60 1 H, d, J = 2Hz)
(4) 7—ベンゾィル一5, 10—ジヒドロ一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァミノ) プロビルエステル 上記で得られた 7—ベンゾィル一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァ ミノ) プロピルエステル (406mg, 0. 60 1 mmo 1) を用いて, 実施例
1記載の方法と同様にして, 標題化合物を得た ( 350mg, 86%) 。
δ:
1 90 2 H, m)
2 25 6H, s)
2 41 2 H, t, J = 7Hz)
4 29 2H, t , J = 7Hz)
5 14 1 H, s)
6 09 1H, bd, J = 7Hz)
6 12 1 H, d, J = 8 H z)
6 36 1 H, dd, J = 8, 7 H z)
6 61 1 H, d, J = 1 Hz)
6 90 1 H, dd, J = 8, 2Hz)
7 01 1 H, dd, J = 8, 1 Hz)
7 42一 7 . 69 ( 5 H, m)
9 04 (s, 1 H)
[実施例 7]
7—ベンゾィル一5, 10—ジヒドロ一 1一フエナジンカルボン酸 3— ( 1— ピベリジニル) プロピルエステル
(1) 7—べンゾィルー 1—フエナジンカルボン酸 3— (1—ピベリジニル) プ 口ビルエステル 実施例 6 (2) で得た 7—ベンゾィル— 1—フエナジンカルボン酸 ( 700m g, 2. 13mmo 1) および 3— ( 1—ピペリジニル) 一 1—プロパノール (366mg, 2. 56mmo 1) を用い, 実施例 6 (3) に記載の方法と同様 にして, 標題化合物を得た (665mg, 69%) 。
NMR (CD G 13 )
δ:
1. 43 - 1. 63 ( 6 H, m)
2. 10 (2 H, m )
2. 46 (4H, b s)
2. 61 (2H, t, J = 7Hz)
4. 60 (2H, t, J = 7Hz)
7. 54 - 7. 69 (3 H, m)
7. 89 (1H, dd, J =9, 7Hz)
7. 92 - 7. 95 (2 H, m)
8. 27 (1H, dd, J = 7, 1 Hz)
8. 35 (1H, dd, J = 9, 2Hz)
8. 38 (1H, dd, J = 9, 1 Hz)
8. 44 ( 1 H, d, J = 9Hz)
8. 60 (1 H, d, J = 2Hz)
(2) 7—ベンゾィル一5, 10—ジヒドロ一 1—フエナジンカルボン酸 3 _ (1ーピペリジニル) プロピルエステル 上記で得られた 7—ベンゾィル一 1—フエナジンカルボン酸 3— ( 1—ピペリ ジニル) プロピルエステル ( 600mg, 1. 32mmo 1) を用い, 実施例 1 記載の方法と同様にして, 標題化合物を得た (370mg, 61%) 。
δ:
1. 42 - 2. 02 ( 10 H, m)
2. 10 (2H, m)
2. 55 (4H, b s)
4 27 2 H, t, J = 6Hz)
5 06 1 H, s)
6 07 1 H, bd, J = 7H z)
6 1 1 1 H, d, J = 8Hz)
6 35 1 H, t, J = 8Hz)
6 60 1 H, d, J = 2Hz)
6 90 1 H, dd, J = 2, 8 Hz)
6 99 1 H, bd, J = 8 H z)
7 4 1 7. 69 ( 5H, m)
9 00 ( 1 H, s)
[実施例 8]
7—ベンゾィル一 5, 1 0—ジヒドロー 5— ( 3—メチル一 2—ブテニル) 一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァミノ) プロピルエステル 実施例 2で得た 7—ベンゾィル一 5, 1 0—ジヒドロ— 5— (3—メチル—2 —ブテニル) 一 1—フエナジンカルボン酸ェチル ( 1. 26 g, 2. 9 5mmo 1 ) をトルエン ( 1 2ml) に溶解し、 3— (ジメチルァミノ) 一 1—プロパノ —ル (3. 50ml, 29. 5 mmo 1 ) およびテトラ— n—ブチル— 1—イソ チオシアナ一ト一3—ヒドロキシジス夕ノキサン (S CN (n-Bu) 2SnOS n (n-Bu) 2OH; 329 mg, 0. 59 lmmo 1) を加えた。 窒素気流下 に 100°Cで 24時間攪拌後, さらに、 3— (ジメチルァミノ) 一 1—プロパノ —ル ( 1. 5 Oml) および前記スズ化合物 (329mg, 0. 59 lmmo 1) を追加し、 100°Cで 24時間攪袢した。 反応混合物を室温まで冷却し、 飽和重 曹水に注ぎ、 酢酸ェチルで抽出した。 抽出液を合わせて飽和食塩水で 2回洗浄し, 無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 減圧下に溶媒留去した。 残渣を中圧力ラムクロマ トグラフィ一 (CHC 13/Me OH= 1/0 95/5) で精製して標題化合物 を得た ( 142 mg, 1 0 %)
'HNMR (CD C 13)
δ :
1. 70 (3H, b s)
1. 75 ( 3H, b s)
1. 9 1 (2H, m)
2. 25 ( 6H, s)
2. 4 1 (2H, t, J = 7Hz)
3. 97 (2H, bd, J = 5 H z)
4. 30 (2H, t , J = 6 H z)
5. 06 ( 1 H, m)
6. 1 7 ( 1 H, d, J 8 H z)
6. 19 ( 1 H, bd, J = 9 H z)
6. 46 ( 1 H, t, J 8 H z)
6. 72 ( 1 H, d, J 1 H z)
6. 97 ( 1 H, dd, J = 1 , 8 H z)
7. 06 ( 1 H, dd, J = 1 , 8 H z)
7. 42 - 7. 70 (5 H, m)
9. 44 ( 1 H, s)
[実施例 9]
7—ベンゾィルー 5, 10—ジヒドロ— 5— ( 3—メチル一2—ブテニル)一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァミノ) プロピルエステル塩酸塩 実施例 8で得られた 7—ベンゾィル— 5 , 10—ジヒドロ— 5— ( 3—メチル —2—ブテニル)一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァミノ) プロピル エステル ( 13 5mg, 0. 279 mmo 1) のエタノール (2ml) 溶液に、 塩化水素 /エーテル ( 1M溶液; 0. 42ml) を加え、 室温で 1時間攪拌した c 反応混合物を減圧下に濃縮乾固し, 赤紫色アモルファスとして標題ィ匕合物 ( 13 5 mg, 9 3 %) を得た。
JHNMR (DMSO-de)
δ :
1, 62 ( 3 Η, b s)
1. 71 ( 3Η, b s)
2. 10 ( 2 Η, m)
2. 78 ( 3 Η, s)
2. 80 ( 3 Η, s)
3. 18 ( 2 Η, m)
3. 98 ( 2 Η, bd, J = 5 H z)
4. 29 ( 2 Η, t , J = 6 H z)
5. 00 ( 1H, m)
6, 34 ( ΙΗ, bd, J = 8Hz)
6. 50- 6. 58 (3 Η, m)
6. 92 ( 1Η, bd, J = 8Hz)
7. 06 ( 1H, bd, J = 8Hz)
7. 49- 7. 62 (5 Η, m)
9. 27 ( 1Η5 s)
0. 0 ( 1H, b s)
[参考例 2 ]
7一べンゾィル一 5, 10—ジヒドロ一 5—メ トキシカルボニル一 1—フエナ ジンカルボン酸ェチル
実施例 1で得た化合物 (359mg, 1. 0 Ommo 1) の無水 T H F ( 10 ml) 溶液に、 窒素雰囲気下、 氷冷しながら 60%水素化ナトリウム (40mg3 1. 0 Ommo 1)、 続いて 5分間後にクロ口炭酸ェチル ( 120〃 1, 1. 5 7mmo 1) を加えた。 5°Cで 1時間、 室温で 20時間撹拌後、 1 N塩酸 ( 1 m 1) および水 (40ml) を加え、 酢酸ェチルで抽出した。 抽出液を合わせて飽 和食塩水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 減圧下溶媒留去した。 残留物
を中圧力ラムクロマトグラフィー (クロ口ホルム) で精製し、 標題化合物を黄色 結晶として 166mg (40%) 得た。 mp : 1 1 2 一 1 1 5°C
:H NMR (CD C 13)
δ :
1. 42 (3Η, t , J = 7 Hz)
3. 82 (3 H, s)
4. 39 (2H, q)
6. 87 ( 1 H, d)
6. 96 ( 1 H, dd, J = 8, 8 H z)
7. 46 - 7. 52 (2 H, m)
7. 52 - 7. 60 (2 H, m)
7. 66 ( 1 H, dd, J = 8, 2 Hz)
7. 77 - 7. 82 (3 H, m)
7. 86 ( l H, d, J= 2 H z )
9. 94 ( 1 H, b r s)
[実施例 10]
(試験方法)
①神経細胞に対するグル夕ミン酸毒性の抑制試験 グルタミン酸毒性の抑制試験は、 マウス神経芽細胞腫とラット網膜神経細胞と のハイプリ ド—マ (N 18-RE- 105細胞) を用いて行った。
ハイプリ ドーマに高濃度のグルタミン酸 ( l〜1 0mM) を添加するとシスチン の細胞内取り込み阻害による酸化的ストレスによる細胞死が認められる ( N e u r o n 2 , 1 547 ( 1 9 89) 及び J. Pharma c o l. Exp. Th e r , 250、 1 132 ( 1 989 ) 参照) 。 このグル夕ミン酸誘発細胞死に対
する本発明のジヒドロフエナジンカルボン酸誘導体の作用を調べた。
対照として、 本発明化合物と構造類似の 7—ベンゾィルー 5, 10—ジヒドロ — 5—メ トキシカルボ二ルー 1—フエナジンカルボン酸ェチル並びに公知の抗酸 化剤である二カラベン及びェプセレンを用いた。
10%FBS (ゥシ胎児血清) 及び HAT (hypoxant hine 0. lmM, aminopt er in 40nM、 thymidine 0. 14m M、 シグマ社製) を含むダルベッコ変法 MEM培地を入れた 96穴マイクロプレ 一卜に 6. 25 x l 03ce l l s/cm2となるようにハイプリ ド一マ細胞を接 種した。 24時間後、 1 OmMグルタミン酸と試験物質を添加した。 グルタミン 酸添加後、 さらに 24時間培養したのち、 細胞および培地中に含まれている乳酸 脱水素酵素 (LDH) 活性を測定した。 下記から LDH放出率を計算して、 グル 夕ミン酸毒性を評価した。
LDH放出率 = [培地内 LDH活性/ (細胞内 +培地内 LDH活性) ] x l OO
②神経細胞に対する B S 0毒性の抑制試験
(細胞内グル夕チオン量の低下に伴う細胞毒性に対する神経細胞保護作用) 神経細胞 N 18-RE- 105細胞のグルタミン酸による細胞死は、 シスチン Zグル夕ミン酸交換輸送系を介するシスチンの取り込みが阻害され、 細胞内グ ル夕チオンが枯渴し、 酸化的ストレスを消去できなくなることによって惹起され ることが示唆されている (N e u r o n 2, 1547 ( 1989 ) および実験 医学, 11, 2412 (1993) ) 。 そこで、 グル夕チオン合成酵素阻害剤で ある D, L—ブチォニン (S, R) —スルホキシミン (D, L-But ioni n e (S, R) -Su 1 f ox imi ne: BS〇) による細胞毒性について 検討した。
神経細胞 N 18-RE- 105細胞の培養、 試験物質の添加および乳酸脱水素
4^0
酵素 (LDH) の測定は、 上記①のグルタミン酸毒性試験と同様に行った。 BS 0は 500//Mになるように添加した。
③初代海馬細胞に対するグル夕ミン酸毒性の抑制試験
( 1 ) ラッ ト胎児由来初代海馬細胞の調製方法
妊娠 18日齢のラットをペントバルビ夕一ルナトリウムにて麻酔した後、 腹部 を 83%エタノールにて消毒し、 胎児を摘出した。 実体顕微鏡下にて胎児より全 脳を取り出し、 さらに海馬領域を切り出した。 海馬はさらにメスを用いて小片に 切断した。 以上、 胎児から海馬の摘出およびその細断操作は、 全て Ca2 +と Mg2 +を除去した Hanks緩衝液中 (4°C) にて行なった。 海馬の小片を 0. 25%トリプシン— 0. 01%DNase I溶液中にて 37°C、 30分間処理 した。 透析 FB Sを 20%になるように添加した後、 遠心分離により小片を回収 し、 G I B CO社製 GMS— Aを含む DMEM培地 (S 1培地) に懸濁した。 小 片をピペットを用いて緩やかにピペッティングし、 細胞懸濁液を得た。 この細胞 浮遊液を予めポリ— L—リジンでコ一ティングした 48穴マルチプレートに 1 , 0 105 ce l l s/cm2となるよう播種した。 3時間後、 透析 FBSを最 終濃度 10%となるよう添加した。 細胞は 4日間 37°C、 5%C02下にて培養し た。
( 2 ) 活性評価法 (乳酸脱水素酵素 ( L D H )法)
試験物質の細胞保護効果は、 死細胞より細胞外へ流出した乳酸脱水素酵素およ び生細胞内の乳酸脱水素酵素の活性をそれぞれ測定することにより求めた。
海馬細胞を 4日間培養後、 1 mMグル夕ミン酸および試験物質を含む S 1培地
(FBS 無添加) に交換し、 さらに 48時間培養を行った。 培養終了後、 上記 ①と同様に乳酸脱水素酵素の測定を行った。
④ラッ ト全脳ホモジネ一トにおける過酸化脂質生成の抑制試験
ビタミン E欠乏餌で 11週間飼育したラットより全脳を取り出し、 液体窒素に て凍結した。 凍結全脳は破砕して粉末化したのち、 ダウンス型ホモジナイザーに てホモジネ一トした。 次いで、 180 gにて、 10分間遠心を行い、 上清を回収 後、 これを全脳ホモジネートとして試験に用いた。 脂質の過酸化反応は鉄—ァス コルビン酸刺激により開始させ、 生成した過酸化脂質をチォバルビツール酸 (T BA)法により定量した。 すなわち、 0. 2M T r i s -HC 1 緩衝液 1 00 /1中に、 全脳ホモジネート (タンパク量 12. 5mg/ml) 200〃1、 2mg/ml ADP50 1、 0. 5mM FeS 04 50 /1、 12mMァ スコルビン酸 50〃1および試験物質 50〃1を添カ卩し、 37°Cで 1時間インキ ュべ一シヨンした。 反応終了後、 0. 5 %ブチルヒドロキシトルエン—ェタノ一 ル溶液 50〃 1、 8. 1% SDS (ドデシル硫酸ナトリウム) 250 1、 2 0%酢酸 1750〃 1および 0. 8%TBA溶液 1500〃1を加え、 1時間煮 沸した。 反応終了後、 冷却し、 1500 gにて 10分間遠心分離を行い、 上清の 535 nmにおける吸光度を測定した。
(実験結果)
上記の①②③及び④の薬理実験結果を下記の表 6に示す。
6
化合物 1 : 7—ベンゾィル一 5, 10—ジヒドロ一 1—フエナジンカルボン酸 ェチル
化合物 2 : 7一ベンゾィル— 5, 10—ジヒドロ— 5— (3—メチル— 2—ブ
テニル) — 1—フエナジンカルボン酸ェチル
化合物 3 : 7—ペンゾィル一 5—ベンジル一 5 , 10—ジヒドロ一 1—フエナ ジンカルボン酸ェチル
化合物 4 : 7—ベンゾィルー 5, 10—ジヒドロ一 5—メチル— 1—フエナジ ンカルボン酸ェチル
化合物 5 : 7—ベンゾィル一 5, 10—ジヒドロ一 5— (3—メチル一2—ブ テニル) 一 1—フエナジンカルボン酸 3— (ジメチルァミノ) プロ ピルエステル塩酸塩
比較化合物: 7—ベンゾィル— 5, 10—ジヒドロー 5—メ トキシカルボニル—
1—フエナジンカルボン酸ェチル 表 6から本発明化合物が、 神経細胞 (N 1 8-RE- 105細胞) 及びラット 胎児由来初代海馬細胞におけるグル夕ミン酸毒性に対して優れた細胞保護作用を 有することが明らかになった。 また、 神経細胞 (N 18 -RE- 105細胞) に おける B S 0毒性に対しても優れた細胞保護作用を有することが明らかになった。 一方、 比較化合物及び公知の抗酸化剤である二カラベン、 エルセレンは神経細 胞に対するグルタミン酸毒性及び B S 0毒性に対する保護作用を示さなかった。 更に、 同じく表 6で示すように本発明化合物が、 ラッ ト全脳ホモジネート用い た過酸化脂質生成の抑制実験において、 優れた過酸化脂質生成抑制作用を有する ことが明らかになった。
[実施例 1 1 ]
急性毒性試験
体重 23 gから 27 gの d d Y系雄マウスに実施例 1 ( Ί一ペンゾィルー 5, 1 0—ジヒドロ一 1—フヱナジンカルボン酸ェチル) で得られた本発明化合物 5 mgを静脈内投与したが、 死亡例は認められなかった。