明 細 書 ノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物、 その製造方法、 及びその用途 技術分野
本発明は、 耐熱性、 透明性、 低複屈折性、 耐候性、 耐 光性、 低吸水性、 耐湿性、 低誘電率、 低誘電損失、 耐薬 性等に優れ、 高屈折率である熱可塑性ノ ルボルネ ン系 開環重合体水素添加物、 それからなる光学材料、 医療用 器材、 電気絶縁材料、 および電子部品処理用器材に関す る
背景技術
低複屈折性、 耐湿性、 耐熱性を改良した高分子材料で ある熱可塑性ノ ルボルネ ン系ポ リ マー、 例えば、 ノ ルボ ルネ ン系モノ マーの開環重合体水素添加物や、 ノ ルボル ネ ン系モノ マー とエチ レ ン との付加型共重合体等が、 光 学レ ンズ、 光ディ ス ク基板等の光学材料と して優れた特 徵を有す る こ と が知 ら れて い る (特開昭 6 0 —
2 6 0 2 4 号公報、 特開昭 6 4 - 2 4 8 2 6 号公報、 特 開昭 6 0 - 1 6 8 7 0 8 号公報、 特開昭 6 1 -
1 1 5 9 1 2号公報、 特開昭 6 1 - 1 2 0 8 1 6 号公報 等) 。
眼鏡をは じめとする レ ンズ等の用途において も、 熱可 塑性ノ ルボルネ ン系樹脂は、 種々 の好ま しい性能を有し
た樹脂と して用いられ始めてお り、 高性能の レ ンズ等の 材料と して期待されている。 しかし、 例えば、 従来知ら れていたノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物の屈折率 が最も大きいものでも 1 . 5 3 程度であ り、 ますます高 度化する技術要求に対し、 よ り高屈折率の光学材料が求 められているが、 高屈折率の熱可塑性ノ ルボルネ ン系樹 fl旨を得る方法は知られていなかった。
ポ リ メ タ ク リ ル酸メ チルやポ リ カーボネー ト等の光学 材料と して用いられる樹脂においては、 芳香族環構造や ノ、ロゲン原子を含有させる こ とによ り高屈折率となる こ とが知られてお り (特開昭 6 1 — 4 2 6 0 2号公報、 特 開昭 6 0 — 1 6 6 3 0 7号公報等) 、 熱可塑性ノ ルボル ネ ン系樹脂の内、 付加型重合体については、 芳香族環構 造を有するノ ルボルネ ン系単量体を用いた樹脂が知られ ていた (特開平 2 — 2 8 9 6 3 7号公報) が、 こ の樹脂 の屈折率な どについては、 具体的には知られていなかつ た。
ノ ルボルネ ン系単量体の開環重合体を光学材料と して 使用するためには、 一般に、 水素添加反応させる こ とに よ り、 主鎖構造中に不飽和結合を実質的に含まない樹脂 に変性して使用 していた。 しかし、 芳香族環構造を有す る ノ ルボルネ ン系開環重合体を、 担持型の水素添加触媒 等のよ う な触媒を用いて通常の条件下で水素添加する と、 主鎖構造中の不飽和結合だけでな く 、 樹脂の構造中の芳 香族環構造も水素添加されて飽和する。 そのため、 芳香
族環構造が消失して しまい、 芳香族環構造を有する ノ ル ボルネ ン系開環重合体水素添加物を得る こ とはできない。
例えば、 特開平 3 - 2 7 3 0 4 3 号には芳香族環構造 を有する ノ ルポルネ ン系単量体の開環重合体を含むノ ル ボルネ ン系開環重合体を水素添加する こ とが開示されて いる。 しかし、 具体的に芳香族環構造を有する ノ ルボル ネ ン系開環重合体の水素添加物は開示された例はな く 、 水素添加触媒や水素添加反応条件を選択 して芳香族環構 造を残存させる という思想や芳香族環構造を残存させた ノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物については、 開示 も示唆も認められなかった。
発明の開示
本発明者らは、 光学材料、 医療用器材、 電気絶縁材料 等に使用でき る新規な樹脂の開発を目指して鋭意努力の 結果、 芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系開環重合体 の芳香族環構造を残したま ま、 主鎖構造中の不飽和結'合 を水素添加 した樹脂が、 耐熱性、 透明性、 低複屈折性、 耐候性、 耐光性、 低吸水性、 耐湿性、 低誘電率、 低誘電 損失、 耐薬品性等に優れ、 さ らに高屈折率を有している こ とを見いだし、 本発明を完成するに至った。
発明を実施するための最良の形態
か く して、 本発明によれば、 芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系開環重合体の水素添加物であって、 重合体 主鎖構造中の不飽和結合が 9 5 %以上水素添加され、 芳 香族環構造が 8 0 %以上残存している こ とを特徴とする
ノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物、 同重合体水素添 加物からなる光学材料、 医療用器材、 電気絶縁材料、 及 び電子部品処理用器材が提供される。
ノ ルボルネ ン系開環重合体
本発明において用いる ノ ルボルネ ン系開環重合体は、 芳香族環構造を有する ものであ り、 芳香族環構造を有す る ノ ルボルネ ン系単量体のメ タセシス重合体、 または前 記単量体と コモ ノ マー とのメ 夕セシス共重合体である。 コモ ノ マーは、 メ 夕セシス重合可能な も のであれば特に 限定されないが、 共重合体やその水素添加物が低複屈折 性等の光学材料と しての好ま しい特性を有する点で、 芳 香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系単量体以外のノ ルボ ルネ ン系単量体が好ま しい。
重合体構造中の全繰り返し構造単位中、 芳香族環構造 を有する ノ ルボルネ ン系単量体が開環した繰り返し構造 単位の量は通常 3 0 重量%以上、 好ま し く は 5 0 重量% 以上、 よ り好ま し く は 7 0 重量%以上であ り、 その量が 多いほ ど高屈折率の水素添加物が得られる。 従って、 芳 香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系単量体の量を増減す る こ とによ り、 水素添加物の屈折率を制御でき る。 特に 水素添加物を高屈折率にするためには、 ハロゲン置換基 で置換された芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系単量 体が開環した繰り返し構造単位を好ま し く は 3 0 重量% 以上、 よ り好ま し く は 5 0 重量%以上、 特に好ま し く は 7 0 重量%以上含有させる。 また、 水素添加物の複屈折
を低 く するためには、 重合体構造中の全繰 り返 し構造単 位中のノ ルボルネ ン系単量体が開環 した繰 り返 し構造単 位が多いこ とが好ま し く 、 芳香族環の有無を問わず、 全 繰 り返 し構造単位中の 5 0 重量%以上、 好ま し く は 7 0 重量%以上、 よ り好ま し く は 9 0 重量%以上のノ ルボル ネ ン系単量体が開環 した繰 り返 し構造単位にすればよい。
本発明で用いる芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系 単量体と しては、 ノ ルボルネ ン系単量体の内、 芳香族環 構造を有 している ものである。 芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系単量体と しては、 芳香族置換基を有する ノ ルボルネ ン系単量体や多環体構造中に ノ ルボルネ ン環構 造と芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系単量体が挙げ られる。 例えば、 5 — フ エ二ルー 2 — ノ ルボルネ ン、 5 ― ( 4 一 メ チルフ エニル) 一 2 — ノ ノレボルネ ン、 5 — ( 1 —ナフ チル) 一 2 — ノ ルボルネ ン、 9 一 ( 2 — ノ ル ボルネ ン ー 5 — ィ ル) — 力 ルバゾール等の芳香族置換基 を有する ノ ルボルネ ン類 ; 等の芳香族置換基を有する ノ ル ボ ル ネ ン 系単量体や、 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9 a —テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ン、 1 , 4 — メ タ ノ 一 8 — メ チノレ一 1 , 4 , 4 a , 9 a —テ ト ラ ヒ ドロ フ ル 才 レ ン、 1 , 4 — メ タ ノ 一 8 — ク ロ 口 一 1 , 4 , 4 a , 9 a —テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ン、 1 , 4 — メ タ ノ ー 8 — ブロモ一 1 , 4 , 4 a , 9 a —テ ト ラ ヒ ドロ フ ノレオ レ ン 等の 1 , 4 — メ タ ノ 一 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ド ロ フ ノレ オ レ ン 類 ; 1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a ,
9 a — テ ト ラ ヒ ドロ ジべ ン ゾフ ラ ン類 ; 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ド ロ カ ルノく ゾ一 ル、 1 , 4 ー メ タ ノ 一 9 一 フ エ 二ル ー 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ カルノく ゾール等の 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4, 4 a , 9 a - テ ト ラ ヒ ド ロ カ ルノく ゾール類 ; 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9, 9 a, 1 0 —へキサ ヒ ドロ ア ン ト ラセ ン、 1 , 4 — メ タ ノ ー 9 , 1 0 [ 1 ' 2' 3 —べ ンゼノ ー 1 , 4, 4 a , 9, 9 a , 1 0 —へキサ ヒ ドロ ア ン ト ラ セ ン 、 1 , 4 ー メ タ ノ 一 1 , 4 , 4 a , 9 , 1 0, 1 0 a —へキサ ヒ ドロ フ エ ナ ンス レ ン等の 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4, 4 a , 9, 9 a , 1 0 —へキサ ヒ ド 口 ア ン ト ラ セ ン 類 ; 7 , 1 0 — メ タ ノ ー 6 b , 7, 1 0, 1 0 a —テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオラ ンセ ン類 ; 等の 多環体構造中にノ ルボルネ ン環構造と芳香族環構造を有 する ノ ルボルネ ン系単量体が挙げられる。 ま た、 こ れ ら のアルキル、 アルキ リ デン、 アルケニル、 およ びこれ ら 置換または非置換のォ レ フ ィ ン のハロ ゲ ン、 水酸基、 ェ ステル基、 アルコキシ基、 シァ ノ 基、 ア ミ ド基、 イ ミ ド 基、 シ リ ル基等の極性基置換体であ って も よい。
よ り高屈折率の樹脂を得るために用い られる こ とが好 ま しいハロゲ ン置換基で置換された芳香族環構造を有す る ノ ルボルネ ン系単量体は、 芳香族環構造を有する ノ ル ボルネ ン系単量体の芳香族環構造の一部が塩素や臭素等 のハロ ゲ ン置換基で置換された ものであ り、 例えば、 1 , 4 一 メ タ ノ ー 8 — プロ モ ー 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ
ヒ ドロ フ ノレオ レ ン、 1 , 4 — メ タ ノ ー 6 — ブロ モ一 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ン、 1 , 4 — メ タ ノ 一 6 , 8 — ジブ口モー 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ン等が挙げ られる。
必要に応 じて コ モノ マー と して用レ、 られる ノ ルボルネ ン系単量体は、 前述のよ う に、 芳香族環構造を有 してい る ノ ルボルネ ン単量体以外のノ ルボルネ ン系単量体であ つて、 特開平 2 — 2 2 7 4 2 4 号公報、 特開平 2 - 2 7 6 8 4 2 号公報、 特開平 4 — 1 4 8 8 2号公報、 特開平 3 — 1 2 2 1 3 7 号公報、 特開平 4 一 6 3 8 0 7号公報 等で公知であ り 、 例えば、 ノ ルボルネ ン、 そのアルキル、 アルキ リ デン、 アルケニル、 およ びこ れ ら置換ま たは非 置換のォ レ フ ィ ンのハロ ゲ ン、 水酸基、 エステル基、 ァ ルコキシ基、 シァ ノ 基、 ア ミ ド基、 イ ミ ド基、 シ リ ル基 等の極性基置換体、 具体的には、 2 — ノ ルボルネ ン、 5 ー メ チノレ一 2 — ノ ルボルネ ン、 5, 5 — ジ メ チノレー 2 — ノ ルボルネ ン、 5 —ェチノレ一 2 — ノ ノレボノレネ ン、 5 — ブ チルノ ルボルネ ン、 5 —ェチ リ デン ー 2 — ノ ノレボルネ ン、 5 — イ ソ プロぺニル一 2 — ノ ノレボルネ ン、 5 — メ ト キシ カ ルボ二ルー 2 — ノ ノレボルネ ン、 5 — シァ ノ ー 2 — ノ ル ボルネ ン、 5 — メ チル一 5 — メ トキシカ ルボニル一 2 — ノ ル'ボルネ ン等 ; シ ク ロペン 夕 ジェ ンの多量体、 その上 記と同様の誘導体や置換体、 具体的には、 ジ シ ク ロペン タ ジェ ン、 2, 3 — ジ ヒ ドロ ジ シ ク ロペン 夕 ジェ ン、 1 , 4 : 5 , 8 — ジ メ タ ノ 一 1 , 2 , 3 , 4 , 4 a , 5 ,
8, 8 a - 2 , 3 — シ ク ロ ペ ン 夕 ジエ ノ ナ フ タ レ ン、 1 , 4 : 5, 8 — ジメ 夕 ノ ー 1 , 4 , 4 a , 5, 6 , 7, 8 , 8 a — ォ ク タ ヒ ド ロ ナ フ タ レ ン、 6 — ェチノレ 一 1 , 4 : 5 , 8 — ジ メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 5 , 6 , 7 , 8 , 8 a — ォ ク タ ヒ ド ロ ナ フ タ レ ン、 1 , 4 : 5 , 1 0 : 6, 9 ー ト リ メ タ ノ 一 1 , 2, 3 , 4, 4 a , 5, 5 a , 6, 9, 9 a , 1 0 , 1 0 a — ドデカ ヒ ドロ 一 2 , 3 — シク 口ペ ンタ ジエノ ア ン ト ラセ ン等 ; 等が挙げられる。
ノ ルボルネ ン系単量体の重合は公知の方法でよい。 ノ ルボルネ ン系単量体同士の共重合の場合、 重合に供した 各種単量体の量比と重合体構造中の各種単量体に由来す る繰り返し構造単位の量比は、 通常、 ほぼ同 じである。 しかし、 ノ ルボルネ ン系単量体以外のメ タセシス重合可 能な単量体をコモ ノ マ ー と して使用する場合等、 メ タセ シス重合反応において反応性の違いによ り、 重合に供し た各種単量体の量比と重合体構造中の各種単量体に由来 する繰り返し構造単位の量比が全く 異なる場合もある。 そのよ う な場合は、 繰り返し構造単位の割合が、 前述の 範囲になるよ う に、 コモノ マー等の反応性に応じて、 重 合に供する単量体の量比を調節すればよい。
また、 本発明の目的を損なわない限り において、 開環 重合体を特開平 3 - 9 5 2 3 5 号公報等で公知の方法に よ り、 《 , /3 —不飽和カルボン酸および またはその誘 導体、 スチ レ ン系炭化水素、 ォ レ フ ィ ン系不飽和結合お よび加水分解可能な基を持つ有機ゲイ素化合物、 不飽和
エポキシ単量体を用いて変性させて も よい。 なお、 耐湿 性、 耐薬品性に優れた ものを得るためには、 極性基を含 有しない開環重合体が好ま しい。
本発明に用いる開環 (共) 重合体は、 2 5 ° ( 、 トルェ ン中で測定した極限粘度 〔 ?7 〕 は 0 . 1 〜 2 0 d 1 g、 好 ま し く は 0 . 2 〜 1 0 d l Z g 、 よ り 好 ま し く は 0 . 3 〜 5 d 1 gである。 極限粘度が小さすぎる と、 本発明の水素添加物の機械的強度が低く な り、 分子量が 大きすぎる と、 溶融粘度が高 く な りすぎ、 成形が困難と なる。
水素添加触媒
本発明においてノ ルボルネ ン系開環重合体を水素添加 するのに用いる水素添加触媒は、 遷移金属化合物とアル キル金属化合物と組み合わせからなる触媒である。 例え ば、 酢酸コ ノくル ト ト リ ェチノレアル ミ ニウ ム、 ニ ッ ケル ァセチルァセ ト ナー ト / ト リ イ ソ ブチルアル ミ ニウ ム、 チタ ノ セ ン ジ ク ロ リ ド Z n — ブチゾレ リ チウム、 ジノレコ ノ セ ン ジ ク ロ リ ド s e c — ブチル リ チウム、 テ ト ラブ ト キシチ夕ネー ト ジメ チルマグネ シウム等の組み合わせ が例示される。 こ れ らの水素添加触媒を用い、 水素添加 反応条件を厳密に制御する こ と によ り、 芳香族環構造中 の不飽和結合を残したま ま、 主鎖構造中の不飽和結合を 選択的に水素化する こ とができ る。 なお、 芳香族環構造 は、 酸化に対して安定性が高 く 、 不飽和結合が維持され ていて も、 熱、 光、 薬品等によ って劣化される こ とは実
質上ない。
また、 本発明においてノ ルボルネ ン系開環重合体の水 素添加反応は、 通常、 不活性有機溶媒中で実施する。 有 機溶媒と しては、 生成する水素添加物の溶解性に優れて いる点で、 炭化水素系溶媒が好ま し く 、 環状炭化水素系 溶媒がよ り好ま しい。 このよ う な炭化水素系溶媒と して は、 ベンゼル、 トルエン等の芳香族炭化水素 ; n —ペン タ ン、 へキサン等の脂肪族炭化水素、 シク ロへキサン、 デカ リ ン等の脂環族炭化水素 ; テ ト ラ ヒ ドロ フ ラ ン、 ェ チ レ ングリ コールジメ チルエーテル等のエーテル類 ; 等 が挙げられ、 これらの 2種以上を混合 して使用する こ と もでき る。 溶媒を使用する場合は、 ノ ルボルネ ン系開環 重合体 1 重量部に対する溶媒の使用量が、 0 . 8 〜 2 0 重量部、 特に 1 〜 1 0 重量部になる濃度に調整する こ と が好ま しい。 通常は、 重合反応溶媒と同 じでよ く 、 重量 反応溶液にそのま ま水素添加触媒を添加 して反応させれ ばよい。
水素添加反応
本発明では、 水素添加触媒と して遷移金属化合物とァ ルキル金属化合物の組み合せから成る触媒を使用する。 ノ ルボルネ ン系重合体の水素添加反応の温度、 水素圧力、 反応時間は、 開環重合に用いたモノ マーの種類、 水素添 加触媒の種類、 溶媒の種類等に応じて制御する こ とによ り、 水素添加率を制御する必要がある。 芳香族環を水素 添加せず、 主鎖の不飽和結合を選択的に水素添加するに
は、 通常、 温度は一 1 0 〜 1 2 0 °C、 好ま し く は 0 〜 1 0 0 °C、 さ らに好ま し く は 2 0 〜 8 0 °C;、 水素圧力は 0 . l 〜 5 0 k g f Z c m 2 、 好ま し く は 0 . 5 〜 3 0 f k g /cm2 、 さ らに好ま し く は 1 〜 2 0 f k g /cm2 で行えばよい。 温度が高すぎた り、 水素圧力が高すぎた りする と、 反応の制御が困難とな り、 短時間の反応でも 芳香族環も水素添加され易 く 、 芳香族環の水素添加率を 再現性良 く 制御する こ とが困難とな り、 得られる水素添 加物の屈折率を制御する こ とが難しい。 温度が低すぎた り、 水素圧力が低すぎる と、 主鎖構造の水素添加反応が 進行しに く い。
水素添加反応終了後の触媒の除去は、 遠心、 濾過等の 常法に従って行えばよい。 必要に応じて、 水やアルコ ー ル等の触媒不活性化剤を利用 した り、 活性白土やアル ミ ナ等の吸着剤を添加 した り しても よい。 遠心法や濾過方 法は、 用いた触媒が除去でき る条件であれば、 特に限定 されない。 濾過による除去は簡便かつ効率的であるので 好ま しい。 濾過する場合、 加圧濾過して も吸引濾過して も よ く 、 また、 効率の点から、 ケイ ソゥ土、 ノ、。—ライ ト 等の濾過助剤を用いる こ とが好ま しい。
水素添加物
本発明の芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系開環重 合体水素添加物は、 耐光劣化性ゃ耐候劣化性が高いこ と が好ま しい。 そのためには、 主鎖構造中の不飽和結合の 9 5 %以上が飽和 している こ とが好ま し く 、 9 8 %以上
が飽和 している こ とがよ り好ま し く 、 9 9 %以上が飽和 している こ とが特に好ま しい。 なお、 1 H — N M Rによ る分析によ り、 主鎖構造中の不飽和結合は、 芳香族環構 造中の不飽和結合 と区別 して認識する こ とができ る。 本 発明においては、 芳香族環構造が残っているほ ど、 高屈 折率の樹脂が得られる。 本発明の水素添加物では、 水素 添加前の重合体の有する芳香族環構造の 8 0 %以上、 好 ま し く は 8 5 %以上、 よ り好ま し く は 9 0 %以上が残存 している。 水素添加触媒の種類や反応温度等によ って、 水素添加率は変わり、 芳香族環の残存率も変化する。 上 記の水素添加触媒を用いた場合、 芳香族環の不飽和結合 をある程度以上残存させるためには、 用いたモノ マーの 種類、 水素添加触媒の種類、 溶媒の種類等に応じて、 反 応温度を低く した り、 水素圧力を下げた り、 反応時間を 短 く する等の制御が必要である。
本発明の芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系開環重 合体水素添加物は特開平 3 - 9 5 2 3 5 号公報等で公知 の方法によ り、 ひ, S —不飽和カルボン酸および Zまた はその誘導体、 スチ レ ン系炭化水素、 ォ レ フ ィ ン系不飽 和結合および加水分解可能な基を持つ有機ゲイ素化合物、 不飽和エポキシ単量体を用いて変性させてもよい。
本発明の水素添加物の分子の大き さ は、 水素添加反応 前の開環重合体と実質的に同 じであ り、 2 5 °C、 トルェ ン中で測定した極限粘度 〔 7? 〕 は 0 . 1 〜 2 0 d 1 Z g、 好ま し く は 0 . 2 〜 1 0 d l / g、 よ り好ま し く は
0 . 3 〜 5 d 1 Z gである。 極限粘度が小さすぎる と、 本発明の水素添加物の機械的強度が低 く な り、 分子量が 大きすぎる と、 溶融粘度が高 く な りすぎ、 成形が困難に なる。
本発明の芳香族環構造を有する ノ ルボルネ ン系開環重 合体水素添加物は、 非晶質であ り、 透明で、 低複屈折性、 耐熱性、 低吸湿性に優れる。 耐熱性を示す指標のひとつ であるガラス転移温度 (以下 T g という ) は、 通常 7 0 °C以上、 好ま し く は 9 0 °C以上である。 厚さ 1 . 2 m m の板を成形した場合に、 4 0 0 〜 8 3 0 n mの波長の光 線透過率が 7 0 %以上、 好ま し く は 8 0 %以上の ものを 得る こ とができ、 また、 成形方法によ っては厚さ 1 . 2 m mの板を成形した場合に、 波長 8 3 0 n mのダブルパ ス法によ り測定した レ ターデー シ ヨ ン値力 1 0 0 n m以 下、 好ま し く は 5 O n m以下の ものを得る こ と も可能 でめる。 ' さ らに本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物 は、 高屈折率を有し、 2 5 °Cにおける波長 5 8 9 n mの 屈折率 〔 n D 25〕 は 1 . 5 6 0 以上を示すものを得る こ とができ る。
樹脂組成物
適当な屈折率の水素添加物を得るために、 前述のよ う に芳香族環構造を有する単量体の使用量を調整する方法 のほかに、 異なる屈折率を有する水素添加物を混合 した 樹脂組成物と して も よい。 ノ ルボルネ ン系開環重合体水
素添加物同士は比較的容易に混合でき るので、 高屈折率 の水素添加物と低屈折率の水素添加物を混合すれば、 両 者の中間の屈折率を有する樹脂組成物が得られる。 両者 の混合量比を変える こ とによ り、 目的とする屈折率の樹 脂組成物を得る こ とができ る。
混合する方法は、 特に限定されず、 均質であるために は、 両者の溶液を混合撹拌して、 溶媒を除去する方法が 好ま し く 、 工程を簡便にするためには、 両者を混練すれ ばよい。
なお、 樹脂組成物の均質性、 相溶性をよ く するために は、 本発明の水素添加物と、 それを得るのに用いた開環 重合体を芳香族環の不飽和結合も水素添加 して しま う水 素添加触媒、 例えば、 ニ ッ ケル一アル ミ ナ担持触媒等を 用いて水素添加 して、 芳香族環構造の不飽和結合部の水 素添加率を水素添加前の芳香族環構造の不飽和結合の 9 5 %以上、 好ま し く は 9 8 %以上、 よ り好ま し く は ' 9 9 %以上と した水素添加物を用いる こ とが好ま しい。 また、 本発明の水素添加物を、 芳香族環の不飽和結合 もあわせて水素添加する水素添加触媒を用いて水素添加 し、 反応温度や反応時間を制御する こ とによ り、 芳香族 環構造の残存率を変化させ、 屈折率を制御する こ と も可 fe i>る o
成形加工
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物は、 周知の方法、 例えば、 射出成形法、 プロ
一成形法、 イ ン ジェ ク シ ョ ンブロー成形法、 回転成形法、 真空成形法、 押出 し成形法、 カ レ ン ダー成形法、 溶液流 涎法、 等によ って成形加工する こ とができ る。
添加物
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物 (以下、 本発明の水素添加物な どという こ と もある。 ) には、 所望によ り、 各種添加剤を添加 して も よい。 用いられる添加剤と しては、 例えば、 フ ヱ ノ ール 系や リ ン系等の酸化防止剤、 帯電防止剤、 紫外線吸収剤、 ゴム質重合体、 石油樹脂等がある。 ま た、 屈折率や機械 的特性を調整する 目的で、 ポ リ 力一ボネー ト、 ポ リ スチ レ ン、 ポ リ フ エ二 レ ンスルフ ァ イ ド、 ポ リ エーテルイ ミ ド、 ポ リ エステル、 ポ リ ア ミ ド、 ポ リ ア リ レー ト、 ポ リ サルホン、 ポ リ エーテルサルホン等の異種熱可塑性樹脂 等を配合する こ と もでき る。 また、 成形性、 物性等を改 良する 目的で、 例えばガラスフ ァ イ ノく一、 カーポン フ ァ ィバ一等の繊維状充塡剤 ; シ リ カ、 アル ミ ナ、 タルク、 水酸化アル ミ ニウ ム、 炭酸カ ルシウム等の球状や非球状 の微粒子状充填剤 ; 等のほか、 光安定剤、 滑剤、 難燃剤、 顔料、 染料、 ア ンチブロ ッキン グ剤等を添加 して も よい。 一般に、 樹脂からの溶出を避けるため、 これらの添加剤 は、 分子量の大きいものほ ど好ま し く 、 また、 添加量が 少ないほ ど好ま しい。
溶液流涎芳香法でシー トを形成する場合には、 表面粗 さを小さ く するため、 レべ リ ング剤を添加 して も よい。
レべ リ ング剤は、 例えば、 ふつ素系ノ ニオ ン界面活性剤、 特殊ア ク リ ル樹脂系 レべ リ ング剤、 シ リ コー ン系 レペ リ ング剤等、 塗料用 レべ リ ン グ剤を用いる こ とができ、 そ れらの中でも溶媒との相溶性の良いものが好ま しい。
また、 本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物 または樹脂組成物に添加剤を添加する場合、 目的に応じ た範囲で添加する。 例えば、 添加剤を添加する と、 一般 に水素添加物な どの透明性が低下するが、 水素添加物な どを薬品容器に成形する場合等には内容物の量や状態が 確認でき る程度の透明性が必要であ り、 そのため必要と される水素添加物な どの光線透過率は、 水素添加物など を成形した厚さ 2 m mの成形板を用い、 波長領域 4 0 0 〜 7 0 O n mの範囲で測定して、 通常 4 0 %以上、 好ま し く は 5 0 %以上、 よ り好ま し く は 6 0 %以上である。 また、 添加剤は水素添加物な どの電気特性に も影響する。 本発明の水素添加物または樹脂組成物を電気絶縁材料と して使用する場合には、 体積固有抵抗値は 1 0 1 6 Ω era 以上、 好ま し く は 5 Χ 1 0 1 6 Ω cm以上、 誘電率は 1 0 2 H z、 1 0 6 H z、 1 0 9 H z の周波数のいずれにおい て も 3 以下、 好ま し く は 2 . 5 以下、 誘電正接は 1 0 2 H z、 1 0 6 H z、 1 0 9 H z の周波数のいずれにおい て も 1 0 —3以下、 好ま し く は 7 X 1 り —4以下である。
用途
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物は、 光学材料を始めと して各種成形品と して
広範な分野において有用である。 例えば、 光学材料 ; 医療器材 ; 電気絶縁材料 ; 電子部品処理用器材 ; 受光素子用窓等の電子部品用途 ; 窓、 機器部品、 ハウ ジ ン グ等の構造材料や建材 ; バ ンパー、 ルーム ミ ラ ー、 ヘ ッ ドラ ンプカノく一、 テールラ ンプカバ一、 イ ンス ト ル メ ン トパネル等の自動車用器材 ; ス ピーカ— コー ン材、 ス ピーカー用振動素子、 電子レ ン ジ用容器等の電器用器 材、 フ イ ノレム、 シー ト、 ヘルメ ッ ト等の種々 の用途に利 用でき る。
光学材料
前述のよ う に、 本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水 素添加物または樹脂組成物は、 透明性、 低複屈折性に優 れてお り、 光学材料と して用いる こ とができ る。 特に水 素添加物な どを光の屈折を利用する レ ンズゃプ リ ズム等 に用いる場合、 屈折率が 1 . 5 6 0 以上、 好ま し く は 1 . 5 7 0 以上、 特に好ま し く は 1 . 5 8 0 以上のもの が提供でき る。 本発明の水素添加物な どを用いる こ とに よ り、 分光能の大きなプ リ ズムや、 表面の曲率が小さ く ても焦点距離が短い レ ンズが得られる。 また、 本発明の 水素添加物な どは、 耐熱性、 低吸湿性、 耐吸水性に優れ、 機械的強靭性も有しているので、 例えば、 光ディ ス ク、 光フ ァ イバ一、 光学 ミ ラー、 液晶表示素子基板、 導光板、 光拡散板、 偏光フ ィ ルム、 位相差フ ィ ルム等の光学材料 と して有用である。
医療用器材
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物は、 薬品、 特に、 アルコール類、 ア ミ ン類、 エステル類、 ア ミ ド類、 エーテル類、 カルボン酸類、 ァ ミ ノ 酸類等の極性基を有する薬品の吸着が少な く 、 また、 水素添加物中または樹脂組成物中に不純物と して含有し ている有機物等が浸出する こ とが少ないので、 水素添加 物な どが薬品と接触して も薬品を変質させる こ とがない。 また、 水素添加物な どと接触した薬品中に不純物が溶出 する こ とが少ないので、 本発明の水素添加物な どは、 医 療用器材と して用いる こ とができ る。
本発明の医療用器材と しては、 例えば、 注射用の液体 薬品容器、 ア ンプル、 プレ フ ィ ル ドシ リ ン ジ、 輸液用バ ッ グ、 固体薬品容器、 点眼薬容器等の液体または粉体、 固体の薬品容器 ; 血液検査用のサンプリ ング用試験管、 採血管、 検体容器等のサンプル容器 ; 注射器等の医療 器具 ; メ スや鉗子、 ガーゼ、 コ ンタ ク ト レ ンズ等の医 療器具等の滅菌容器 ; ビーカ ー、 シャ ー レ、 フ ラ ス コ、 試験管、 遠心管等の実験 · 分析器具 ; 医療検査用ブラ スチ ッ ク レ ンズ等の医療用光学部品 ; 医療用輸液チュ ーブ、 配管、 継手、 バルブ等の配管材料 ; 義歯床、 人 ェ心臓、 人造歯根等の人工臓器やその部品 ; 等が例示 される。 特に、 長期に渡り、 薬品、 特に液体薬品を保存 する薬びん、 プレ フ イ ノレ ドシ リ ンジ、 密封された薬袋、 点眼用容器、 ア ンプル、 バイアル、 点眼薬容器等におい ては、 従来の樹脂製のものに比較して、 本発明の水素添
加物製や樹脂組成物製の ものは、 透明性、 物理的性質等 のほかに、 樹脂から溶出する不純物等がな く 、 耐薬品性 に優れ、 また、 薬品を吸着しないので、 薬品の変質が少 ないという好ま しい性質を有する。
電気絶縁材料
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物は、 電気絶縁材料と して広範な分野において 有用である。 例えば、 電線 · ケーブル用被覆材料や、 民 生用 · 産業用電子機器、 複写機、 コ ン ピューター、 プ リ ンタ 一等の O A機器、 計器類の絶縁材料等、 一般絶縁材 料 ; 硬質プリ ン ト基板、 フ レキシブルプ リ ン ト基板、 多層プリ ン ト配線板等の回路基板、 特に高周波特性が要 求される、 衛星通信機器用等の高周波回路基板 ; 液晶 基板、 光メ モ リ ー、 自動車や航空機のデフ ロスタ等の面 発熱体等の透明導電性フ ィ ルムの基材 ; ト ラ ン ジスタ、 I C 、 L S I , L E D等の半導体封止材ゃ部品 ; モ 一夕一、 コネ ク タ一、 スィ ッ チ、 セ ンサ一等の電気、 電 子部品の封止材料 ; テ レ ビや ビデオカ メ ラ等のボディ 材料 ; ノ、。ラボラア ンテナ、 フ ラ ッ トア ンテナ、 レーダ — ドームの構造部材 ; 等に好適に用いる こ とができ る。 電子部品処理用器材
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物は、 物理的性質等のほかに、 樹脂から溶出す る不純物等が実質的にな く 、 また、 電子部品処理用に用 いられる薬品の多 く 、 特に、 硫酸を除 く ほ とんどの強酸
に対して耐性を有する こ とから、 電子部品処理用器材と して、 好ま しい性質を有する。
電子部品処理用器材とは、 (A) I C、 L S I 等の半 導体やハイプ リ ッ ド I C、 液晶表示素子、 発行ダイォー ド等の電子部品と接触する器材、 ( B ) ウ ェハ、 液晶基 板、 これらに透明電極層や保護層等を積層 した もの等の 製造中間体と接触する器材、 および ( C ) 電子部品の製 造工程において製造中間体の処理に用いる薬液や超純水 等の処理液と接触する器材をいう。 (A) 電子部品と接 触する器材、 ( B ) 電子部品の製造中間体と接触する器 材と しては、 例えば、 タ ン ク、 ト レイ、 キャ リ ア、 ケ一 ス等の処理用、 および移送用容器 ; キヤ リ アテープ、 セパレーシ ヨ ン . フ ィ ルム等の保護材 ; 等が挙げられ る。 ( C ) 処理液と接触する器材と しては、 例えば、 ノヾ ' イブ、 チューブ、 バルブ、 シ ッ ノ、。 一 、 流量計、 フ ィ ノレ夕 一 、 ポンプ等の配管類 ; サンプ リ ン グ容器、 ボ トル、 ア ンプル、 バッ グ等の液用容器類 ; 等が挙げられる。
実施例
以下、 参考例、 実施例、 比較例をあげて本発明をさ ら に具体的に説明する。 なお、 屈折率 〔 n D 25〕 はア ッベ 屈折計を、 水添率は 1 H - N M Rによ って、 極限粘度 〔 7? 〕 は 2 5 °Cの トルエン中で、 T gは D S C法によ り、 レ ターデーシ ョ ン値は波長 8 3 0 n mのダブルパス法に よ り測定した。
参考例 1
窒素置換したガラス製反応器に、 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ド ロ フ ソレオ レ ン 6 0 重量部と ト ルエン 2 0 0 重量部を仕込み、 分子量調節剤と してへ キセ ン 一 1 を 1 重量部添加 した。 溶液を 4 0 °Cに加温し た後、 さ らに重合触媒と して ト リ ェチルア ル ミ ニ ウ ムの 1 5 % ト ルエ ン溶液 1 0 重量部、 ト リ ヱチルァ ミ ン 5 重 量部、 および四塩化チタ ンの 2 0 % ト ルエ ン溶液 1 0 重 量部を添加 して開環重合を開始した。 溶液の温度を 4 0 °Cに保ったま ま 1 時間反応させた時点でメ タ ノ ー ル 5 重 量部添加 して反応を停止した。 ア セ ト ン 5 0 0 重量部と イ ソプロ ピルアルコール 5 0 0 重量部の混合液 1 0 0 0 重量部を強 く 撹拌し、 そ の混合液中に反応溶液を注いで 重合体を沈殿させ、 濾別 して沈殿させた重合体を回収し た。 得られた重合体をさ らにア セ ト ン 2 0 0 重量部で洗 浄した後、 I m m H g以下に減圧した真空乾燥機中、
1 0 0 °Cで 2 4 時間乾燥させた と こ ろ、 5 2 重量部の重 合体が得られた。
こ の重合体の 2 5 で、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 2 d l Z gであった。 また、 】 H— N M R (ク ロ ロ ホルム 一 d ! 中、 3 0 °C ) スぺ ク ト ソレにおレ、て、
7 . 4〜 6 . 8 p p mにベンゼン環に結合 したプロ ト ン、 5 . 9〜 4 . 6 p p mに一 H C = C H—基の不飽和炭素 に結合 したプロ ト ン、 4 . 0〜 0 . 8 p p mに飽和炭素 に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸収が 4 : 2 : 8 の強度比 で観察され、 得られたポ リ マー力 1 , 4 ー メ タ ノ — 1 ,
4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ンの開環重合体 である こ とが確認さ れた。
参考例 2
1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ン 6 0 重量部の代わ り に、 1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ン 3 6 重量部と、 4 , 7 — メ タ ノ ー 3 a, 4 , 7, 7 a — テ ト ラ ヒ ドロ イ ンデン 2 4 重量部の混合物を用いた以外は参考例 1 と同 様に して 5 4 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 0 d l Z gであ っ た。 また、 1 H — N M R ( ク ロ ロ ホルム一 d 1 中、 3 0 °C ) スペク ト ルにおいて、 7 . 4〜 6 . 8 p p mにベンゼン環に結合 したプロ ト ン、 5 . 9〜 4 . 4 p p mに一 H C = C H —基の不飽和炭素 に結合 したプロ ト ン、 4 . 0〜 0 . 8 p p mに飽和炭素 に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸収が約 1 7 : 2 2 : 6 1 の強度比で観察され、 得られたポ リ マーが 1 , 4 一 メ タ ノ 一 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フルオ レ ン と 4 , 7 — メ タ ノ 一 3 a, 4, 7, 7 a — テ ト ラ ヒ ドロイ ンデ ンの、 重量比で約 3 7 : 2 3 の開環共重合体である こ と が確認された。
参考例 3
1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 4, 4 a , 9 a —テ 卜 ラ ヒ ドロ フルオ レ ンの代わ り に 7, 1 0 — メ タ ノ ー 6 b, 7, 1 0 , 1 0 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオラ ンセ ンを用いた以 .
外は参考例 1 と同様に して 5 1 重量部の重合体を得た。 こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定 した極限粘度 は 0 . 4 6 d l Z g であ っ た。 ま た、 ' H — N M R ( ク ロ ロ ホノレム 一 d ! 中、 3 0 °C ) スぺク ト ノレにおいて、 7 . 7 〜 7 . 3 p p mにナフ タ レ ン環に結合 したプロ ト ン、 6 . 2 〜 4 . 6 p p mに — H C = C H —基の不飽和 炭素に結合 したプロ ト ン、 4 . 2 〜 0 . 8 p p mに飽和 炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸収が 6 : 2 : 6 の強 度比で観察され、 得 られたポ リ マーが、 7 , 1 0 — メ タ ノ ー 6 b , 7 , 1 0 , 1 0 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオラ ン セ ンの開環重合体である こ とが確認された。
参考例 4
1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ンの代わ り に、 1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ ジべ ン ゾフ ラ ンを用いた以外は参考 例 1 と同様に して 4 7 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定 した極限粘度 は O . l d l Z g であ っ た。 ま た、 ! H — N M R ( ク ロ ロ ホルム— d , 中、 3 0 。C ) スペク ト ルにおいて、 7 . 2 〜 6 . 9 p p mにベ ンゼン環に結合 したプロ ト ン、 6 . 4 〜 4 . 6 p p mに一 H C 二 C H —基の不飽和炭素 に結合 したプロ ト ン、 4 . 1 〜 0 . 6 p p mに飽和炭素 に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸収が 4 : 2 : 6 の強度比 で観察され、 得 られたポ リ マーが、 1 , 4 — メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ ジべン ゾフ ラ ンの開環重
合体である こ とが確認された。
参考例 5
1 , 4 — メ 夕 ノ 一 1 , 4 , 4 a , 9 a —テ ト ラ ヒ ドロ フルオ レ ンの代わ り に、 1 , 4 — メ タ ノ ー 8 —ブロモ一 1 , 4, 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フ ルオ レ ンを用いた 以外は参考例 1 と同様に して 3 8 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 3 7 d l Z gであ っ た。 ま た、 ' Η— N M R ( ク ロ ロ ホノレム 一 d , 中、 3 0 °C ) スペク ト ルにおいて、 7 . 3〜 7 . l p p mにベンゼン環に結合したプロ ト ン、 6 . 4〜 4 . 6 p p mに— H C = C H—基の不飽和炭素 に結合したプロ ト ン、 4 . 1 〜 0 . 6 p p mに飽和炭素 に結合したプロ ト ンに基づ く 吸収が約 3 : 2 : 8 の強度 比で観察され、 得られたポ リ マーが、 1 , 4 — メ タ ノ ー 8 —ブロモ一 1 , 4 , 4 a , 9 a — テ ト ラ ヒ ドロ フソレオ レ ンの開環重合体である こ とが確認された。
実施例 1
参考例 1 で得られた重合体 2 0 重量部を ト ルエ ン 8 0 重量部に溶解した溶液、 及びニッ ケル ( I I ) ァセチル ァセ トナー ト 0 . 4 重量部を撹拌器付きオー ト ク レープ に仕込んだ。 オー ト ク レープ中の気体部分を水素で置換 した後、 ト リ イ ソブチルアル ミ ニウムの 1 5 重量% トル ェン溶液 3 重量部をオー ト ク レープに仕込み、 水素圧力 1 0 k g f /cm2 、 温度 8 0 °Cで 1 時間反応させた。 反 応終了後、 イ ソプロ ピルアルコール 0 . 5 重量部及び活
性白土 1 重量部を加えて、 3 0 °Cで 2 時間撹拌した。 こ の溶液をケイ ソ ゥ土を濾過助剤と してポアサイ ズ 1 m の濾紙で濾過した。 得られた反応溶液を強 く 撹拌したァ セ ト ン 2 5 0 重量部とイ ソプロ ピルアルコール 2 5 0 重 量部の混合液 5 0 0 重量部中に注いで重合体を沈殿させ、 濾別 して回収した。 さ らにアセ ト ン 2 0 0 重量部で洗浄 した後、 1 m m H g 以下に減圧 し た真空乾燥機中、 1 0 0 °Cで 2 4 時間乾燥させ、 1 8 重量部の重合体 Aを 得た。
重合体 Aの 2 5 °C、 トルエン中で測定した極限粘度は 0 . 4 2 d l Z gであ り、 T g は 1 4 5 °Cであった。 ま た、 'H— N M R ( ク ロ 口ホルム一 中、 3 0 °C ) ス ベク トルでは、 7 . 4 〜 6 . 8 p p mのベンゼン環に結 合 したプロ ト ン、 5 . 9 〜 4 . 6 p p mの一 H C = C H —基の不飽和炭素に結合 したプロ ト ン、 4 . 0 〜 0 . 8 P p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ン に基づ く 吸収が 2 4 : 0 : 7 6 の強度比で観察され、 得られた重合体は、 参考例 1 で得られた開環重合体の水素添加物であ り、 ベ ンゼン環の水素添加率は約 3 %で、 主鎖構造中の不飽和 結合が完全に水素添加されたこ とが判つた。
重合体 Aを 2 0 0 ででプレス成形 し、 厚さ 0 . 3 m m のシー トを作製 した。 こ のシー ト は無色透明であ り、 屈 折率は 1 . 5 8 6 であった。
また、 重合体 Aを 2 0 0 °Cでプレス成形し、 厚さ 1 . 2 m m、 直径 1 2 . 5 c mの円板を作成した。 こ の円板
の光線透過率は 4 0 0〜 8 3 0 n mで 9 2 %以上、 レタ 一デ一シ ヨ ン値は 2 0 n m以下であった。 また、 この円 板を用いて測定した と こ ろ、 こ の重合体の体積固有抵抗 値は 5 x l 0 1 6Q c m以上、 また、 1 0 2 H z、 1 0 6 H z、 1 0 9 H z の周波数のいずれにおいて も、 誘電率 と誘電正接はそれぞれ 2 . 4 3 と 5 X 1 0 — 4であった。 なお、 同一条件で参考例 1 の開環重合体を再度水素添 加 して、 1 9 重量部の重合体 Bを得た。 こ の樹脂は、 屈 折率が 1 . 5 8 5 である こ と と収量が異なっている こ と 以外、 重合体 A と同一であ り、 再現性よ く 、 水素添加反 応が制御でき る こ とがわかった。
さ らに、 この重合体の 1 0 重量 シク ロへキサン溶液 を原子吸光分析によ り分析した結果、 樹脂中のチタ ン原 子量は 0 . O l p p m (検出限界) 以下、 ニッ ケル原子 量は 0 . O l p p m (検出限界) 以下であった。 また、 こ の重合体 1 0 O m gを ドーマ ン燃焼装置で燃焼させ、 5 m l の純水に吸収させ、 イオ ン ク ロマ ト グラ フ ィ 一で 分析した結果、 塩素原子量は 0 . 0 2 p p m (検出限 界) 以下であった。
こ の重合体 1 7重量部に 0 . 0 0 8 重量部の老化防止 剤 (チバガイギ一社製、 ィルガノ ッ クス 1 0 1 0 ) を添 加 し、 2 軸押出機 (東芝機械社製 T E M— 3 5 B、 スク リ ュ ー径 3 7 m m、 L / D = 3 2 , ス ク リ ュー回転数 2 5 0 r p m 樹脂温度 2 7 0 °C、 フ ィ ー ドレ ー ト 1 0 k g Z時間) で押し出 し、 ペレ ッ ト と した。
こ のペレ ツ トを用いて、 射出成型 (型締め圧 3 5 0 ト ン、 樹脂温度 2 8 0 °C、 金型温度 7 0 °C ) し、 直径
2 0 0 m m、 高さ 1 3 O m m、 平均厚み 3 m mの円筒状 の透明な容器と、 1 0 0 m m x 5 0 m m x 2 . 0 m mの 試験片を作成した。
試験片の全光線透過率を測定した と こ ろ 9 0 . 2 %で、 透明性は良好であった。 また、 濁度を測定した と こ ろ 0 . 1 %であった。
L B培地 (パク ト ト リ プ ト ン 1 重量%、 イ ース トェク ス ト ラ ク ト 0 . 5 重量%、 N a C 1 1 重量%、 グルコ一 ス 0 . 1 重量%の水溶液を p H 7 . 5 に調整) に 2 重量 %の寒天を加えて、 1 2 1 °C、 3 0 分のスチーム滅菌を してゲル化させ、 固化する前にその 3 0 0 m l を成型し た容器にいれ、 室温で 6 時間放置した後、 アル ミ 箔でキ ヤ ッ プし、 7線を 2 5 k G y照射して滅菌した。 処理後、
3 7 °Cで 3 日間保温したが、 菌類の増殖は認められなか つた。 また、 処理後の透明容器の外観は良好であ り、 目 視で白濁、 割れ、 変形は確認されなかった。
また、 試験片を p H 9 の炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 p H 4 の塩酸、 エタ ノ ールに 4 8 時間浸潰した後、 外観を観 察したが変化はな く 、 濁度、 全光線透過率に も変化はな カヽつた。
こ の試験片を 1 0 m m幅に切 り、 2 0 gを蒸留水中で 2 0 分間超音波洗浄した後、 4 0 °Cで 1 0 時間乾燥した こ の 2 0 gの試験片を硬質ガラ ス フ ラ ス コ に入れ、 蒸留
水 2 0 0 gを加えた。 硬質ガラス製の蓋を して、 5 0 °C で 2 4 時間静置して、 蒸留水を回収した。
対照と して、 硬質ガラスフ ラスコに蒸留水 2 0 0 gを 入れ、 硬質ガラス製の蓋を して、 同 じ く 5 0 °Cで 2 4 時 間静置した。
こ の 2種類の蒸留水の原子吸光法やイオ ン ク ロマ ト グ ラ フ ィ ー、 燃焼—非分散型赤外線ガス分析法等による分 析結果の差から、 試験片からの溶出量を求めた結果、 チ タ ン原子溶出量は 0 . O l p p m (検出限界) 以下、 二 ッ ケル原子溶出量は 0 . O l p p m (検出限界) 以下、 塩素原子溶出量は 0 . 0 2 p p m (検出限界) 以下、 全 有機炭素量は 2 p p m (検出限界) 以下であった。
上記試験片を日本薬局方第 1 2 改正 「輸液用プラスチ ッ ク試験法」 に従い溶出物試験を行った。 泡立ちは 3 分 以内に消失し、 P H差は— 0 . 0 5 、 紫外線吸収は 0 . 0 0 7、 過マ ンガン酸カ リ ウム還元製物質 0 . 1 0 m l であ り、 医療用途と して適 した特性を有している こ とが 分かった。
実施例 2
参考例 1 で得た開環重合体の代わり に参考例 2 で得た 開環共重合体を用いる以外は実施例 1 と同様に して水素 添加反応させて、 1 9 重量部の重合体を得た。
この重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 0 d 1 gであ り、 T g は 1 1 8 °Cであった。 また、 'H— N M R (ク ロ 口ホルム一 d i 中、 3 0 °C)
スぺク ト ノレでは、 7 . 4〜 6 . 8 p p mのベ ンゼン環に 結合 したプロ ト ン、 5 . 9〜 4 . 4 p p mの— H C = C H—基の不飽和炭素に結合 したプロ ト ン、 4 . 0〜 0 . 8 p p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸 収が約 1 3 : 0 : 8 7 の強度比で観察され、 得られた重 合体は、 参考例 2 で得られた開環共重合体の水素添加物 であ り、 ベンゼン環の水素添加率は約 3 %であ り、 主鎖 構造中の不飽和結合は完全に水素添加されたこ とが判つ た。
この重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形し、 厚さ 0 . 3 m mのシー トを作製した。 このシー ト は無色透明であ り、 屈折率は 1 . 5 6 2 であ っ た。
また、 こ の重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形 し、 厚さ 1 . 2 m m、 直径 1 2 . 5 c mの円板を作成した。 こ の 円板の光線透過率は 4 0 0〜 8 3 0 n mで 9 2 %以上、 レ ターデ一シ ヨ ン値は 2 0 n m以下であった。 また、 こ の円板を用いて測定したと こ ろ、 この重合体の体積固有 抵抗値は 5 X 1 0 16 Ω c m以上、 また、 1 0 2 H z、 1 0 6 H z、 1 0 9 H z の周波数のいずれにおいても、 誘電率と誘電正接はそれぞれ 2 . 3 9 と 5 x 1 0 — 4であ つた。
さ らに、 こ の重合体の 1 0 重量% ト ルエ ン溶液を原子 吸光分析によ り分析した結果、 樹脂中のチタ ン原子量は 0 . 0 1 p p m (検出限界) 以下、 ニッ ケル原子量は 0 . 0 1 p m (検出限界) 以下であ った。 また、 こ の
重合体 1 0 0 m gを ドーマ ン燃焼装置で燃焼させ、 5 m l の純水に吸収させ、 イ オ ン ク ロマ ト グラ フ ィ ーで分 析した結果、 塩素原子量は 0 . 0 2 p p m (検出限界) 以下であった。
こ の重合体 1 0 0 重量部に 0 . 0 2重量部の老化防止 剤 (チバガイギ一社製、 イノレガノ ッ クス 1 0 1 0 ) を添 加 し、 2軸押出機 (東芝機械社製 T E M— 3 5 B、 ス ク リ ュ ー径 3 7 m m、 L / D = 3 2 . ス ク リ ュ ー回転数 2 5 0 r p m、 樹脂温度 2 5 0 °C、 フ ィ ー ドレ ー ト 1 0 k g Z時間) で押し出 し、 ペレ ッ ト と した。
こ のペレ ツ トを用いて、 射出成型 (型締め圧 3 5 0 ト ン、 樹脂温度 2 6 5 °C、 金型温度 7 0 °C ) し、 直径
2 0 0 m m、 高さ 1 3 0 m m、 平均厚み 3 m mの円筒状 の透明な容器と、 1 0 0 m m x 5 0 m m x 2 . 0 m mの 試験片を作成した。
試験片の全光線透過率を測定 したと こ ろ 9 0 . 2 %で、 透明性は良好であった。 また、 濁度を測定したと こ ろ 0 . 1 %であった。
L B培地に 2重量%の寒天を加えて、 1 2 1 °C、 3 0 分のスチーム滅菌をしてゲル化させ、 固化する前にその
3 0 0 m l を成型した容器にいれ、 室温で 6 時間放置し た後、 アル ミ 箔でキャ ッ プし、 7線を 2 5 k G y照射し て滅菌した。 処理後、 3 7 °Cで 3 日間保温したが、 菌類 の増殖は認められなかった。 また、 処理後の透明容器の 外観は良好であ り、 目視で白濁、 割れ、 変形は確認され
なかった。
また、 試験片を p H 9 の炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 p H 4 の塩酸、 エタ ノ ールに 4 8 時間浸潰 した後、 外観を観 察したが変化はな く 、 濁度、 全光線透過率に も変化はな カヽつた。
こ の試験片を 1 0 m m幅に切り、 2 0 gを蒸留水中で 2 0 分間超音波洗浄した後、 4 0 °Cで 1 0 時間乾燥した。 この 2 0 g.の試験片を硬質ガラスフ ラスコに入れ、 蒸留 水 2 0 0 gを加えた。 硬質ガラス製の蓋をして、 5 0 °C で 2 4 時間静置して、 蒸留水を回収した。
対照と して、 硬質ガラスフ ラスコ に蒸留水 2 0 0 gを 入れ、 硬質ガラス製の蓋をして、 同 じ く 5 0 °Cで 2 4 時 間静置した。
こ の 2種類の蒸留水の原子吸光法やイオ ン ク ロマ ト グ ラ フ ィ ー、 燃焼 -非分散型赤外線ガス分析法等による分 析結果の差から、 試験片からの溶出量を求めた結果、 チ タ ン原子溶出量は 0 . O l p p m (検出限界) 以下、 二 ッ ケル原子溶出量は 0 . O l p p m (検出限界) 以下、 塩素原子溶出量は 0 . 0 2 p p m (検出限界) 以下、 全 有機炭素量は 2 p p m (検出限界) 以下であった。
上記試験片を日本薬局方第 1 2 改正 「輸液用プラスチ ッ ク試験法」 に従い溶出物試験を行った。 泡立ちは 3 分 以内 に消失 し、 P H差は — 0 . 0 3 、 紫外線吸収は 0 . 0 0 5 、 過マ ンガン酸カ リ ウ ム還元性物質 0 . 1 1 m l であ り、 医療用途と して適 した特性を有している こ
とが分かった。
実施例 3
参考例 1 で得た開環重合体の代わ り に参考例 3 で得た 開環重合体を用いる以外は実施例 1 と同様に して水素添 加反応させて、 1 8 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 6 d 1 Z gであ り、 T gは 1 5 3 °Cであった。 また、 ' H— N M R (ク ロ 口ホルム一 中、 3 0 °C) スペク ト ルでは 7 . 7 〜 7 . 3 p p mのナ フ タ レ ン環に 結合したプロ ト ン、 6 . 2 〜 4 . 6 p p mの— H C = C H — 基の不飽和炭素に結合 した プ ロ ト ン、 4 . 2 〜 0 . 8 p p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸 収が約 3 4 : 0 : 6 6 の強度比で観察され、 得られた重 合体は、 参考例 3 で得られた開環共重合体の水素添加物 であ り、 ナフタ レ ン環の水素添加率は約 6 %であ り、 主 鎖構造中の不飽和結合は完全に水素添加された こ とが判 つた。
こ の重合体を 2 0 0 °Cでプ レス成形 し、 厚さ 0 . 3 m mのシー トを作製した。 こ のシー ト は無色透明であ り、 屈折率は 1 . 6 5 9 であった。
また、 こ の重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形 し、 厚さ 1 . 2 m m、 直径 1 2 . 5 c mの円板を作成した。 こ の 円板の光線透過率は 4 0 0 〜 8 3 0 n mで 8 8 %以上、 レターデーシ ヨ ン値は 5 0 n m以下であった。 また、 こ の円板を用いて測定したと こ ろ、 こ の重合体の体積固有
抵抗値は 5 x 1 0 16 Ω c m以上、 また、 1 0 2 H z、 1 0 6 H z、 1 0 9 H z の周波数のいずれにおいて も、 誘電率と誘電正接はそれぞれ 2 . 6 2 と 1 5 X 1 0 -4で あつ 7こ。
実施例 4
参考例 1 で得た開環重合体の代わ り に参考例 4 で得た 開環共重合体を用いる以外は実施例 1 と同様に して水素 添加反応させて、 1 8 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 0 d l Z gであ り、 T g は 1 3 7 °Cであった。 また、 — N M R ( ク ロ 口 ホルム 一 中、 3 0 °C) スペク ト ルでは、 7 . 2 〜 6 . 9 p p mのベンゼ ン環に 結合 したプロ ト ン、 6 . 4 〜 4 . 6 p p mの一 H C = C H — 基の不飽和炭素に適合 した プ ロ ト ン 、 4 . 1 〜 0 . 6 p p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸 収が約 4 : 0 : 1 0 の強度比で観察され、 得られた重合 体は、 参考例 4 で得られた開環共重合体の水素添加物で あ り、 ベンゼン環の水素添加率は約 1 . 4 %で、 主鎖構 造中の不飽和結合は完全に水素添加された こ とが判った。
この重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形し、 厚さ 0 . 3 m mのシー トを作製した。 このシー ト は無色透明であ り、 屈折率は 1 . 5 8 2 であっ た。
また、 こ の重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形し、 厚さ 1 . 2 m m、 直径 1 2 . 5 c mの円板を作成した。 こ の 円板の光線透過率は 4 0 0 〜 8 3 0 n mで 9 0 %以上、
レ タ ーデ一 シ ヨ ン値 2 0 n m以下であ っ た。 ま た、 こ の 円板を用いて測定したと こ ろ、 こ の重合体の体積固有抵 抗値は 5 X 1 0 1 6 Q c m以上、 ま た、 1 0 2 H z 、 1 0 6 H z、 1 0 9 H z の周波数のいずれにおいて も、 誘電率と誘電正接はそれぞれ 2 . 4 1 と 5 1 0 -4でぁ つた。
さ らに、 こ の重合体の 1 0 重量%シク ロへキサン溶液 を原子吸光分析によ り分析した結果、 樹脂中のチタ ン原 子量は 0 . 0 1 p p m (検出限界) 以下、 ニッ ケル原子 量は 0 . 0 1 p p m (検出限界) 以下であった。 また、 こ の重合体 1 0 O m gを ドーマ ン燃焼装置で燃焼させ、
5 m l の純水に吸収させ、 イ オ ン ク ロマ ト グラ フ ィ ーで 分析した結果、 塩素原子量は 0 . 0 2 p p m (検出限 界) 以下であった。
実施例 2 で得た重合体の代わ り にこ の重合体を用い、 また樹脂温度を 2 2 0 °C とする以外は実施例 2 と同様に してペレ ツ ト 匕した。
こ のペレ ツ トを用いて、 射出成型 (型締め圧 3 5 0 ト ン、 樹脂温度 2 8 5 °C、 金型温度 8 5 °C ) し、 実施例 2 と同 じ く 円筒状の透明な容器と厚さ 3 m m、 直径 8 6 m mの試験片を成形した。
試験片の全光線透過率を測定した と こ ろ 9 0 . 0 %で 透明性は良好であった。 また、 濁度を測定したと こ ろ
0 . 0 7 %であった。
実施例 2 と同様に 2 重量%の寒天を加えた L B培地
3 0 0 m l を成型した容器にいれ、 さ らに試験片の 1 枚 を入れた後、 アル ミ 箔でキャ ッ プして、 1 2 0 °C、 3 0 分のスチーム滅菌を行った。
処理後、 3 7 °Cに 3 日 間保温したが、 菌類の増殖は認 められなかった。 処理後の透明容器の外観は良好であ り、 目視、 白濁、 割れ、 熱による変形は確認されなかった。 容器から取り 出 した試験片から寒天によ り固化した
L B培地を除去した後に測定した濁度は 0 . 1 8 %、 ま た、 全光線透過率は 8 8 . 9 %であった。
また、 試験片を P H 9 の炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 p H
4 の塩酸、 エタ ノ ールに 4 8 時間浸潰 した後も外観に変 化はな く 、 濁度、 全光線透過率に も変化はなかった。 試 験片を 1 0 m m幅に切り、 2 0 gを蒸留水中で 2 0 分間 超音波洗浄した後、 4 0 度で 1 0 時間乾燥した。 こ の 2 0 g 試験片を硬質ガ ラ ス フ ラ ス コ に入れ、 蒸留水
2 0 0 gを加えた。 硬質ガラス製の蓋をして、 1 2 0 度 で 1 時間スチーム滅菌し、 室温になる まで冷却した後、
2 4 時間静置して、 蒸留水を回収した。
対照と して、 硬質ガラスフ ラ ス コ に蒸留水 2 0 0 gを 入れ、 硬質ガラス製の蓋をして、 同 じ く 1 2 0 度で 1 時 間スチーム滅菌し、 室温になる まで冷却した後、 2 4 時 間静置して、 蒸留水を回収した。
こ の 2 種類の蒸留水の分析結果の差から試験片からの 溶出量を求めた結果、 チ タ ン原子溶出量は 0 . 0 1 p p m (検出 限界) 以下、 ニ ッ ケ ル原子溶出量は
0 . O l p p m (検出限界) 以下、 塩素原子溶出量は 0 . 0 2 p p m (検出限界) 以下、 全有機炭素量は 2 P P m (検出限界) 以下であ った。
実施例 1 と同様に、 日本薬局方に従い溶出物試験を行 つた。 泡立ちは 3 分以内に消失し、 p H差は— 0 . 0 3、 紫外線吸収は 0 . 0 0 8 、 過マ ンガン酸カ リ ウ ム還元性 物質 0 . 1 2 m l であった。
実施例 5
参考例 1 で得た開環重合体の代わり に参考例 5 で得た 開環共重合体を用いる以外は実施例 1 と同様に して水素 添加反応させて、 1 7 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 9 d 1 Z gであ り、 T g は 1 4 1 °Cであった。 また、 — N M R (ク ロ 口ホルム一 中、 3 0 °C) スペク ト ルでは、 7 . 3〜 7 . l p p mのベ ンゼン環に 結合したプロ ト ン、 6 . 4〜 4 . 6 p p mの一 H C = C H—基の不飽和炭素に適合したプロ ト ン、 4 . 1 〜
0 . 6 p p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸 収が約 1 9 : 0 : 8 1 の強度比観察され、 得られた重合 体は、 参考例 5 で得られた開環重合体の水素添加物であ り、 ベンゼン環の水素添加率は約 4 %であ り、 主鎖構造 中の不飽和結合が完全に水素添加されたこ とが判った。
こ の重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形 し、 厚さ 0 . 3 m mのシー トを作製した。 こ のシー ト は無色透明であ り、 屈折率は 1 . 6 1 0 であった。
比較例 1
参考例 1 で得た開環重合体 2 0 重量部を ト ルエ ン 3 0 重量部と シク ロへキサン 7 0 重量部の混合溶媒に溶解し た溶液、 およびアル ミ ナ担持ニ ッ ケル触媒 (ニッ ケル担 持率 4 0 重量 を攪拌器付きオー ト ク レープに仕込ん だ。 ォ一 ト ク レーブ中の気体部分を水素で置換した後、 水素圧力 5 0 k g f / c m 2 、 温度 2 2 0 °Cで 1 0 時間 反応させた。 反応溶液から濾過によ り アル ミ ナ担持ニッ ゲル触媒を除去し、 シク ロへキサン 1 5 0 重量部を加え て希釈した後、 強 く 攪拌したアセ ト ン 4 0 0 重量部とィ ソプロ ピルアルコール 4 0 0 重量部の混合液 8 0 0 重量 部に注いで重合体を沈殿させ、 濾別 して回収した。 さ ら にアセ ト ン 2 0 0 重量部で洗浄した後、 I m m H g以下 に減圧した真空乾燥機中、 1 0 0 °Cで 2 4 時間乾燥させ、 1 8 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 3 d 1 / gであ り、 T g は 1 4 1 °Cであった。 また、 】 H _ N M R (ク ロ 口ホルム一 中、 3 0 °C ) スペク トルでは、 7 . 1 p p mのベンゼン環に結合した プロ ト ン と、 5 . 9 〜 4 . 6 p p mの— H C = C H—基 の不飽和炭素に結合したプロ ト ンの吸収は全 く 消失し、 3 . 0 〜 0 . 8 p p mに飽和炭素に結合 したプロ ト ンに 基づ く 吸収が認められた。 得られた重合体は、 参考例 1 で得た開環重合体の水素添加物であ り、 ベンゼン環、 主 鎖構造中の不飽和結合が完全に水素添加されている こ と
が判つた。
この重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形し、 厚さ 0 . 3 m mの シー トを作製した。 こ のシ一 ト は無色透明であ り、 屈折率は 1 . 5 2 7 であった。
比較例 2
1 , 4 一 メ タ ノ ー 1 , 4 , 4 a , 9 a —テ 卜 ラ ヒ ドロ フルオ レ ンの代わり に 4 , 7 — メ タ ノ 一 3 a, 4, 7 , 7 a —テ ト ラ ヒ ドロイ ンデンを用いる以外は実施例 1 と 同様に して 5 7 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 4 d 1 / gであった。
また、 !H— N M R (ク ロ 口ホルム一 d , 中、 3 0 °C ) スペク トルにおいて、 5 . 7〜 4 . 6 p p mに— H C = C H—基の不飽和炭素に結合したプロ ト ン、 2 . 9 〜 0 . 7 p p mに飽和炭素に結合したプロ ト ンに基づ く 吸収が 4 : 8 の強度比で観察され、 得られた重合体が 4, 7 — メ タ ノ ー 3 a , 4, 7 , 7 a —テ ト ラ ヒ ドロイ ンデ ンの開環重合体である こ とが確認された。
参考例 1 で得た開環重合体の代わり にこ の 4, 7 — メ 夕 ノ ー 3 a, 4 , 7 , 7 a —テ ト ラ ヒ ドロイ ンデンの開 環重合体を用いる以外は実施例 1 と同様に して水素添加 反応させて、 1 9 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 3 d 1 / gであ り、 T g は 9 5 °Cであった。 ま た、 iH— N M R (ク ロ 口ホルム一 中、 3 0 °C) ス
ベク トルでは、 5 . 7 〜 4 . 6 p p mの— H C 二 C H— 基の不飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸収が全 く 消失し、 2 . 5 〜 0 . 8 p p mに飽和炭素に結合 したプ 口 ト ンに基づ く 吸収が認められた。 得られた重合体は、 4 , 7 — メ タ ノ 一 3 a , 4 , 7 , 7 a —テ ト ラ ヒ ドロイ ンデンの開環重合体の水素添加物であ り、 全ての不飽和 結合が完全に水素添加されている こ とが判った。
こ の重合体を 2 0 0 °Cでプレス成形 し、 厚さ 0 . 3 m mのシー トを作製した。 こ のシー ト は無色透明であ り、 屈折率は 1 . 5 3 0 であった。
比較例 3
水素圧力 5 0 k g i _ c m 2 、 温度 2 2 0 °Cで 1 0 時 間反応させるかわり に、 水素圧力 2 0 k g f / c m 2 、 温度 1 8 0 °Cで 3 時間反応させる以外は比較例 1 と同様 に して水素添加 し、 1 9 重量部の重合体を得た。
この重合体の — N M R (ク ロ 口ホルム一 d , 中、 3 0 °C ) スペク トルでは、 7 . 1 p p mのベンゼン環に 結合したプロ ト ン、 5 . 9 〜 4 . 6 p p mの— H C = C H—基の不飽和炭素に結合したプロ ト ン、 4 . 0 〜 0 . 8 p p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸 収が約 1 3 : 4 : 8 3 の強度比で認められ、 得られた重 合体は、 参考例 1 で得た開環重合体の水素添加物であ り、 ベンゼン環の不飽和結合と、 主鎖構造中の不飽和結合の 水素添加率が、 それぞれ 4 2 % と 6 5 %である こ とが判 つた。
こ の重合体を 2 0 0 °Cでプ レス成形し、 厚さ 0 . 3 m mのシー トを作製した。 屈折率は 1 . 5 9 8 と高かつ たが、 着色してお り、 光学材料と して使用でき る もので はな力、つた。
また、 この重合体を 2 0 0 ででプレス成形 し、 厚さ 1 . 2 m m、 直径 1 2 . 5 c mの円板を作成した。 円板 は強靭であつたが、 黄色く 着色が見られ、 特に外延部で は着色が強かった。 内周部の比較的淡色な部分の光線透 過率は 8 2 . 0 %であった。 こ の成形板を室温、 空気中 で 3 週間放置した と こ ろ、 強靭性は低下し脆 く なつてい た。
比較例 4
水素圧力 3 0 k g f / c m 2 、 温度 1 5 0 °Cで反応時 間 2 時間 とする以外は実施例 1 と同様に して水素添加反 応させて、 1 8 重量部の重合体を得た。
こ の重合体の 2 5 °C、 ト ルエ ン中で測定した極限粘度 は 0 . 4 1 d 1 Z gであ り、 T gは 1 4 2 °Cであった。 ま た、 !H— N M R ( ク ロ 口 ホルム 一 中、 3 0 °C) スペク ト ルでは、 7 . 4 〜 6 . 8 p p mのベ ンゼン環に 結合 したプロ ト ン、 5 . 9 〜 4 . 6 p p mの一 H C = C H—基の不飽和炭素に結合したプロ ト ン、 4 . 0 〜 0 . 8 p p mの飽和炭素に結合 したプロ ト ンに基づ く 吸 収が約 9 : 0 : 9 1 の強度比で観察され、 得られた重合 体は、 参考例 1 で得られた開環重合体の水素添加物であ り、 ベンゼン環の水素添加率は約 5 6 %で、 主鎖構造中
の不飽和結合が完全に水素添加されたこ とが判った。
重合体を 2 0 0 ででプレス成形 し、 厚さ 0 . 3 m mの シー トを作製した。 このシー ト は無色透明であ り、 屈折 率は 1 . 5 5 0 であった。
実施例 6
実施例 1 で得た水素添加物 (屈折率 1 . 5 8 6 ) と比 較例 1 で得た水素添加物 (屈折率 1 . 5 2 7 ) を 6 : 4 、 7 : 3 、 8 : 2 の割合で、 それぞれ、 二軸押し出 し機 ( T E M - 3 5 、 東芝機械社製) を用いて 2 5 0 °Cで十 分に混練した。 得られた樹脂組成物の屈折率は、 それぞ れ、 1 . 5 6 2 、 1 . 5 6 9 、 1 . 5 7 4 であった。
産業上の利用可能性
本発明のノ ルボルネ ン系開環重合体水素添加物または 樹脂組成物は、 耐熱性、 透明性、 低複屈折性、 耐候性、 耐光性、 低吸水性、 耐湿性、 低誘電率、 低誘電損失、 耐 薬品性等に優れ、 さ らに高屈折率であ り、 光学材料、 医 療用器材、 電気絶縁材料、 電子部品処理用器材と しての 使用に適している。