明細書 酢酸または酢酸メ チルの製造方法および触媒
[発明の分野]
本発明は、 メ タ ノ ールから酢酸及び/又は酢酸メチルを製造する上で有用な触 媒、 およびメ タ ノ ールを出発物質と して用い、 一段の気相反応を行う こ とによ つ て酢酸及び/又は酢酸メチルを製造する方法に関する。
[関連技術]
酢酸は、 メ タノール ' カルボニル化法、 いわゆるモ ンサ ン ト法により、 工業的 に多量に製造されている。 こ の方法では、 メ タ ノ ールと一酸化炭素とを、 ロ ジゥ ム触媒と ョ ゥ化物とを含む触媒系の存在下で液相反応させている。
しかし、 これらの方法は、 非常に高価なロ ジウ ムを必要とする。 また、 高純度 の一酸化炭素を入手する必要があるため、 工場の立地条件が制約される。 さ らに は、 ヨウ化物と して使用されるヨ ウ化メ チルは、 装置を腐蝕させるという問題も ある。 さ らにまた、 前記反応は、 通常、 水を含む液相系で行われるので、 生成し た酢酸の回収に多く のエネルギーを必要とする。
一方、 一段の液相反応により メ タ ノ ールから酢酸および酢酸メ チルを製造する 際に用いる触媒と して、 [R u ( S n C 1 3) 6L ] ( L はリ ガン ドを示す) か らなる陰イ オ ンを含む R u— S nの異核ク ラ ス タ一 (多核化合物) が提案されて いる [ Sum i 0 ininoda and Tetsu Yaraakawa, One-step Formation of Meth l Acetate with Methanol used as the Sole Source and Catalysis by Ru 1 1 -Sn 1 1 Cluster Complexes", J. Chem. Soc. , Chem. Commun. , p. p.1511-1512 ( 1990)] 0 しかし、 メ タ ノ ールに対する前記異核ク ラ ス ターの溶解度は、 0. 0 5 mM程 度と小さい。 しかも、 前記異核ク ラ ス ターが陰イ オ ン錯体であるため、 前記異核 ク ラ ス ターの溶解度は、 生成する酢酸のみならず、 通常の有機溶媒に対してもさ
らに低い。 そのため、 触媒濃度を高めることができず、 従って、 反応速度も高め られない。 また、 メ タ ノ ールの脱水素反応によ り、 ホルムアルデヒ ドが生成し、 そのホルムアルデヒ ドによって触媒中の金属が還元されて析出し、 そのために触 媒が短時間内に失活すること もある。 特に高温で反応を行う と、 触媒の失活が生 じ易い。
従って、 本発明の目的は、 高い触媒活性を有し、 メ タ ノ ールから酢酸及び Z又 は酢酸メ チルを得るために有用な新規な触媒を提供するこ と にある。
本発明の他の目的は、 反応中触媒活性が維持される、 メ タ ノールから一段の気 相反応で酢酸及び Z又は酢酸メチルを製造する方法を提供するこ とにある。 本発明のさ らに他の目的は、 活性の高い触媒の存在下、 高い反応速度で酢酸及 び/又は酢酸メチルを製造する方法を提供することにある。
[発明の開示]
本発明者は、 前記目的を達成するために鋭意検討した。 その結果、 固体触媒を 用い、 メ タ ノ ールを気相で反応させるこ とによ り、 前記目的を達成できること、 および、 陰イ オ ン交換体を用いた特定の触媒が、 メ タ ノ ールを出発物質と して用 いる気相反応に対して高い触媒活性を発現することを見いだした。 さ らに、 本発 明者は、 メ タ ノ ールを出発物質と し、 固体触媒を用いる気相反応により、 メ チ ラ —ル又はギ酸メチルを製造する事ができること も見いだした。 そ して、 これらの 知見に基づき、 本発明を完成した。
すなわち、 本発明は、 陰ィ ォン交換体の陰ィ オ ンを、 下記一般式 ( 1 ) で表さ れる R u— S nの異核多核化合物の陰イ オ ンで交換してなる触媒を提供する。
[ R u ( S n X 3 ) m ( Y ) „] · Ζ ( 1 )
[式中、 X はハロ ゲン原子、 アルキル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リール基、 ァ ラ ルキル基叉はアルコキシ基を、 Υは配位子を示す。 mは 1 ~ 6の整数、 nは 0〜 5 の整数、 m + n は 1 ~ 6の整数である。 Zは対陽イ オ ンを示す。 ]
前記 R u— S nの異核多核化合物は、 一般式 ( 1 ) において、 Xがハ口ゲン原 子であり、 Yが P R '3又は R C N (R'はアルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リ —ル基、 ァ ラ ルキル基、 アルコキ シ基、 ァ リ ールォキ シ基又はァ リ ールアルコ キ シ基を示し、 Rbはアルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リール基、 ァラルキル基を 示す) で示され、 m+ n = 6であり、 nは 0又は 1である化台物であることが好 ま しい。
また、 本発明は、 固体触媒の存在下、 気相でメ タ ノ ールの脱水素反応を行う こ とを特徴とする酢酸又は酢酸メチルの製造方法を提供する。
さ らに、 本発明は、 固体触媒の存在下、 メ タ ノ ールを出発物質と して気相反応 を行う ことを特徴とするメ チラール又はギ酸メ チルの製造方法を提供する。
本発明の範囲及び適用は、 以下の詳細な説明から明らかとなろ う。 しかし、 こ の詳細な説明から、 当業者であれば、 本発明の意図および範囲内の様々な変更お よび修飾が明らかであろうから、 詳細な説明と例は、 本発明の好適な態様を示し ているが、 実例と して示されるにすぎないことを理解すべきである。
以下に、 本発明を詳細に説明するが、 以下の説明は、 本発明の範囲を限定する ものではない。
本発明の方法の特徴は、 メ タノールを出発物質とする気相反応により、 酢酸及 び/又は酢酸メチル、 あるいは、 メチラールおよび Z又はギ酸メ チルを製造する 点にあ O o
気相反応は、 固体触媒の存在下で行われる。 固体触媒と しては、 R u ( I I ) 一 S n ( I I ) の異核ク ラ ス タ一 (多核化合物) が好ま しい。 特に、 触媒活性を 高めるためには、 R u— S nの異核多核化合物と して、 下記一般式 ( 1 ) で表さ れる錯体を使用するのが好ま しい。
[ R u ( S n X 3) n (Y) „] · Ζ ( 1 )
[式中、 Xはハロ ゲン原子、 アルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リール基、 ァ ラ ルキル基叉はアルコ キ シ基を、 Υは配位子を示す。 mは 1 〜 6の整数、 nは 0〜
5 の整数、 m + n は 1 〜 6 の整数である。 Zは対陽イ オ ンを示す。 ]
中でも、 R u— S n の異核多核化合物と して、 一般式 ( 1 ) において、 Xがハ ロゲン原子であ り、 Yが P R ' 3又は R b C N ( R *はアルキル基、 シク ロ アルキル 基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基、 アルコ キ シ基、 ァ リ ールォキ シ基又はァ リ ール アルコ キ シ基を示し、 R bはアルキル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ノレ キル基を示す) で示され、 m + n = 6であり、 nは 0又は 1 である錯体を使用す るのが好ま しい。
前記一般式 ( 1 ) において、 Xで示されるハロゲン原子には、 フ ッ素原子、 塩 素原子、 臭素原子、 ヨ ウ素原子が含まれる。 好ま しいハロ ゲン原子は塩素原子で ある。
また、 X は、 アルキル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基叉は アルコキ シ基であってもよい。
前記一般式 ( 1 ) において、 Yで示される配位子と しては、 ハ ロゲン原子、 水 素原子、 配位性炭素含有配位子、 配位性窒素含有配位子、 配位性酸素含有配位子、 配位性燐含有配位子、 配位性硫黄含有配位子および配位性砒素含有配位子があげ られる。
配位子について、 より具体的に述べる。
配位子と してのハロゲン原子は、 Xで示されるハロゲン原子と同様であるが、 好ま しいハロゲン原子は塩素原子である。
本発明にいう配位性炭素含有配位子と しては、 例えば、 アルキル基、 シク ロア ルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基、 置換されていてもよい、 シク ロ ペ ンタ ジ ェニル基、 シク ロォク タ ジェニル基等の一価の環状ジェニル基、 置換されていて もよぃォ レフ イ ン、 C O、 R N C ( R = アルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リ ー ル基、 ァ ラ ルキル基、 アルコ キ シル基) で表される基などが挙げられる。
本発明にいう配位性窒素含有配位子と しては、 例えば N H 3、 ァ ミ ン類 (例えば、 メ チルァ ミ ン、 ェチルァ ミ ン、 ジメ チルァ ミ ン、 ジェチルァ ミ ンなどのア ミ ン類、
エチ レ ン ジァ ミ ンなどのジァ ミ ン類、 イ ミ ダゾール、 ピ リ ジン、 ピ リ ミ ジン、 ピ ペリ ジン、 ピぺラ ジン、 モルホ リ ン、 フ ユナ ン ト 口 リ ンな どの含窒素複素環化合 物、 ァニ リ ンな どの窒素含有芳香族化合物) 、 R b C N ( R bはアルキル基、 シク 口 アルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基、 アルコキ シ基である) で表される化 合物などが挙げられる。 これらの中では、 N H 3が好ま しい。
本発明にいう配位性酸素含有配位子と しては、 例えば H 2 0、 脂肪族アルコール や芳香族アルコールなどのアルコ一ル類、 脂肪族エーテルゃ芳香族エーテルなど のエーテル類、 ヒ ドロキ シイ オ ン、 アルコ牛 シ ドイ オ ンが挙げられる。
本発明にいう配位性リ ン含有配位子と しては、 例えば P R または 0 = P R ' 3 ( R 'はアルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基、 アルコキ シ 基、 ァ リールォ牛シ基、 ァ リ 一ルアルコキシ基である) 、 1 , 2 — ビス (ジフエ ニノレホ スフ イ ノ ) ェタ ン (dppe) 、 1 , 3 — ビス ( ジフ ヱ ニルホ ス フ イ ノ) プロ ノ、。ン ( dppp) 、 1 , 4 - ビス (ジフ エニルホス フ イ ノ ) ブタ ン ( dppb) 等の ビス (ジフ ユ ニルホ ス フ イ ノ ) アルカ ン類、 すなわち二座配位性ホス フ ィ ンなどが挙 げられる。 なお、 ビス (ジフ ユ ニルホス フ イ ノ ) アルカ ン類は、 二座配位性のた め、 Lは、 1 " 2 { ビス (ジフ ユ ニルホスフ イ ノ) アルカ ン } を示す。
本発明にいう配位性ィ ォゥ含有配位子と しては、 例えば、 I?SRや!? SH ( Rはアル キル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基、 アルコ キ シ基である) で表される化合物などが挙げられる。
本発明にいう配位性ヒ素含有配位子と しては、 例えば、 A s R 3または 0 = A s R 3 ( Rはアルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基、 アルコキ シ基である) で表される化合物、 1 , 2 — ビス (ジフ -二ルアルシノ) ェタ ンな どの二座配位性アルシ ンなどが挙げられる。 この 1, 2 — ビス ( ジフ ヱ ニルアル シノ ) ヱ タ ンは、 二座配位性のため、 L は、 1 / 2 { 1 , 2 — ビス (ジフ ユ ニル アル シノ ) エタ ン } を示すこととなる。
前記一般式 ( 1 ) における X、 Yの説明において、 アルキル基と しては、 例え
ば、 メ チル基、 ェチル基、 n — プロ ピル基、 イ ソ プロ ピル基、 n —ブチル基、 ィ ソ ブチル基、 ペンチル基、 へキ シル基等が例示でき る。
シク ロアルキル基には、 例えば、 シク ロペンチル基、 シク ロへキ シル基、 シク ロォクチル基等が含まれる。 ァ リール基には、 フユニル基、 ナフチル基等が含ま れる。 ァラ ルキル基と しては、 ベ ン ジル基、 フ エ ネチル基、 ベンズヒ ド リ ル基な どが挙げられる。
アルコキ シ基と しては、 前記アルキル基に対応するアルコキ シ基、 例えば、 メ ト キ シ基、 エ ト キ シ基、 n— プロ ポキ シ基、 ィ ソ プロ ポキ シ基、 n— ブ ト キ シ基、 イ ソ ブ ト キ シ基、 ペンチルォキ シ基、 へキ シルォキ シ基などが例示でき る。
また、 前記一般式 ( 1 ) における Yの説明において、 ァ リールォキシ基と して は、 フユノ キシ基、 ナフ トキシ基などが挙げられ、 ァ リールアルコキシ基と して は、 フ ヱ ニルメ ト キ シ基、 フ エ ニルエ ト キ シ基、 フ エ ニルプロポキ シ基などが挙 げられる。
前記一般式 ( 1 ) において、 Zで示される対陽イオ ンと しては、 例えば、 プロ ト ン ; リ チ ウ ムイ オ ン、 カ リ ウ ムイ オ ン、 ナ ト リ ウ ムイ オ ンなどのアルカ リ金属 イ オ ン ; カ ルシウ ムイ オ ン、 'リ ウムィ オ ンな どのアル力 リ土類金属イ オ ン ; 一 般式 : X a H4 + X a H aR+ X a H2R 2 + X a H R 3 または X a R 4+ (式中、 X a は N Pまたは A sを示し、 Rはアルキル基、 ヒ ドロキ シアルキル基、 ァ リ —ル基を示す) で表される陽ィォンなどが例示される。
なお、 対陽イ オ ンを示す前記一般式中のアルキル基 Rと しては、 例えば、 メ チ ル基、 ェチル基、 プロ ピル基などの炭素数 1 4程度の直鎖又は分岐鎖アルキル 基が挙げられ、 ヒ ドロ キ シアルキル基には、 ヒ ドロキ シメ チル基、 2 — ヒ ドロ牛 シェチル基、 2 — ヒ ドロキ シプロ ピル基、 3 — ヒ ドロキ シプロ ピル基などの炭素 数 1 4程度のヒ ドロキ シ低級アルキル基が含まれ、 ァ リール基には、 例えば、 フヱニル基などが含まれる。
また、 前記一般式で表される陽イ オ ンの具体例と しては、 例えば、 ア ンモニ ゥ
厶イ オ ン、 テ ト ラ メ チルア ンモニ ゥ ムイ オ ン、 テ ト ラ ェチルア ンモニゥ ムイ オ ン、 テ ト ラ プロ ピルア ンモニゥ ム イ オ ンなどの第 4級ア ンモニ ゥ ムイ オ ン ; および、 ホ ス ホニ ゥ 厶イ オ ン、 テ ト ラ メ チ ホ ス ホニゥ 厶イ オ ン、 テ ト ラ ェチ ホ ス ホ ニ ゥ ム イ オ ン、 テ ト ラ ヒ ドロキ シメ チルホ スホニ ゥ ムイ オ ン、 テ ト ラ フ ェ ニルホ ス ホニ ゥ ムイ オ ンな どの第 4級ホス ホニゥ ムイ オ ンなどが例示される。
前記一般式 ( 1 ) で表される錯体のうち、 一般式 ( 1 ) 中の Xがハロ ゲン原子 であ り、 Yが P R '3又はRbC N (R'はアルキル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リ 一 ル基、 ァ ラ ルキル基、 アルコ キ シ基、 ァ リ ールォキ シ基又はァ リ ールアルコキ シ 基を示し、 Rbはアルキル基、 シク ロアルヰル基、 ァ リール基、 ァラ ルキル基を示 す) で示され、 m+ n = 6であり、 nは 0又は 1である化合物が好ま しい。
よ り具体的には、 前記一般式 ( 1 ) で表される錯体には、 下記一般式 ( l a ) ( l b) ( 1 c ) で表される錯体が含まれる。
[ R u ( S n X 3) 6] · Z ( l a )
[ R u ( S n X3) β (P R's) ] - Z ( l b)
[ R u ( S n Xs) 6 (R bC N) ] · Ζ ( 1 c )
[式中、 Xはハロ ゲン原子、 アルキル基、 シク ロアルキル基、 ァ リール基、 ァ ラ ルキル基叉はアルコキ シ基を、 R 'はアルキル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リ ール基、 ァラ ルキル基、 アルコ キ シ基、 ァ リールォキ シ基又はァ リ ールアルコ キ シ基を、 Rbはアルキル基、 シク ロ アルキル基、 ァ リ ール基、 ァ ラ ルキル基を、 Zは対陽ィ ォ ンを示す]
一般式 ( 1 b ) で表される化合物において、 好ま しい置換基 R 'には、 フ ユ ニル 基などのァ リール基が含まれる。
一般式 ( 1 c ) で表される化合物において、 好ま しい置換基 R bには、 炭素数 1 〜 3のアルキル基、 特にメ チル基などが含まれる。
前記固体触媒は、 沈殿法、 含浸法、 イ オ ン交換法などの慣用の方法により作製 でき る。
前記一般式 ( l a ) で表される錯体は、 例えば J. Cheni. Soc. , Dalton Trans. , 2329 (1984) に記載された方法に準じて調製できる。 より具体的には、 例えば、 ハ ロゲン化ルテニウ ム と、 ハロ ゲン化錫と、 塩酸、 硫酸、 硝酸などの酸とを混合し、 対陽イ オ ン Ζに対応する化合物の溶液を添加し、 生成した沈殺物を分取し、 洗浄 し、 乾燥することによ り調製できる。 なお、 ハロゲン化ルテニウ ム とハロゲン化 錫との反応の終了は、 溶液の色が変化することにより判別できる。
また、 一般式 ( 1 c ) で表される錯体は、 [ R u X ( S n X 3) Β] · Z (式中、 X及び Zは前記に同じ) で表される錯体と、 R bC N (式中、 Rbは前記に同じ) に対応する化合物の溶液とを混合し、 得られた反応混合物に A g B F4などを添加 し、 生成した沈殺物を分取し、 洗浄し、 乾燥することによ り調製できる [Can. J. Chera. , 60, 1304 (1982)参照] 。
さ らに、 一般式 ( 1 b) で表される錯体は、 一般式 ( 1 c ) で表される錯体と、 P R'3 (式中、 R'3は前記に同じ) に対応する有機リ ン化合物の溶液とを、 例え ば 5 0〜 8 0 °C程度の温度で混合し、 生成した沈殿物を分取し、 洗浄し、 乾燥す るこ とによ り調製できる。 この反応により、 一般式 ( 1 c ) で表される錯体の R b C Nが有機リ ン化合物により置換され、 一般式 ( l b) で表される錯体が生成す る。
R u - S nの異核多核化合物は、 そのまま固体触媒と して反応に供してもよい 力;、 触媒活性をさ らに高めるため、 担体に担持させて使用するのが好ま しい。 担体と しては、 例えば、 活性炭、 シ リ カ、 アル ミ ナ、 シ リ カ一アル ミ ナ、 ゼォ ラ イ ト などの粘土鉱物、 酸化銅、 ベン ト ナイ ト、 マグネ シア、 シ リ カ一マ グネ シ ァ、 チタ ニア、 ジルコ ユアな どの無機質担体 ; ィ ォ ン交換樹脂、 キ レ一 ト樹脂な どの有機質担体が挙げられる。 これらの担体のなかで、 活性炭、 シ リ カ、 アル ミ ナ、 ゼォ ラ イ ト、 酸化銅、 チ タ ニア、 ジルコユアなどの無機質担体 ; ィ ォ ン交換 樹脂、 キレー ト樹脂などの有機質担体からなる群から選択された少なく とも 1 つ を含む担体が好ま しい。 また、 好ま しい担体には、 反応温度より も高い温度まで
耐熱性を示す担体が含まれる。
本発明においては、 触媒能を有する担体を利用できる利点がある。 触媒能を有 する担体には、 例えば、 酸化銅を含む担体が含まれる。 酸化銅と しては、 C u O、 C u 2 0が挙げられる。 好ま しい酸化銅は二価の酸化銅 C u 0である。
触媒能を有する担体は、 前記酸化銅に加えて、 他の金属酸化物を含む複合酸化 物系担体であってもよい。 他の酸化物と しては、 種々の酸化物、 例えば、 周期表 V I a族元素の酸化物 (例えば、 C r 2 0 3, C r 0 3, M o 2 0 3など) 、 周期表 I I b族元素の酸化物 (例えば、 Z n O、 C d 0など) が例示できる。 好ま しい複 合酸化物には、 酸化銅と酸化ク 口ムとの複合酸化物、 例えば C u 0— C r 2 0 3、 C u 0— C r 0 3、 酸化銅と酸化亜鉛との複合酸化物、 例えば、 C u 0— Z n 0 含まれる。
さ らに好ま しい担体は、 前記シ リ カなどの無機質担体に、 少な く と も酸化銅、 好ま し く は前記複合酸化物を担持した担体である。 このよ う な担体を用いると、 担体自体がほとんど触媒活性を有していないにもかかわらず、 前記一般式 ( 1 ) で表される錯体の触媒活性が、 例えば、 1 0〜 1 0 0倍程度にまで、 著し く高め られる。
酸化銅を含む担体は、 例えば、 特開昭 5 3— 6 8 7 1 6号公報および特開昭 5 3— 1 0 8 9 1 6号公報に記載された方法に準じて調製できる。 すなわち、 硫酸 銅、 硝酸銅、 炭酸銅、 酢酸銅などの溶液を、 担体に含浸させ、 乾燥又は焼成する こ と によ り調製できる。 複合酸化物を含む担体は、 上記銅塩の溶液と、 ク ロ ムや 亜鉛などの他の金属の硫酸塩、 硝酸塩、 酢酸塩、 炭酸塩などの溶液とを混合して 担体に含浸させ、 焼成するこ とにより調製できる。
担体への錯体の担持は、 一般式 ( 1 ) で表される錯体の溶液を、 担体に沈着さ せるか含浸させ、 あるいは一般式 ( 1 ) で表される錯体の溶液と担体を混練し、 得られた混合物を乾燥するこ とによ り、 行う こ とができ る。
触媒の担持量は、 酢酸および酢酸メ チルの生成効率を低下させない範囲で広く
選択でき、 例えば、 担体 1 0 0重量部に対して、 0. 1〜 2 0 0重量部、 好ま し くは、 1〜 1 0 0重量部、 さ らに好ま し く は 5〜 8 0重量部である。
固体触媒の形状は、 粉末状、 顆粒状、 ペレ ツ ト状、 棒状、 楕円状、 球状などの いずれであ つて もよい。
さ らに、 前記 R u— S nの異核多核化台物は陰イ オ ン錯体であ る。 そのため、 固体触媒は、 陰ィ ォ ン交換体の陰ィ オ ンと、 R u— S nの異核多核化合物 (特に 前記一般式 ( 1 ) で表される錯体) の陰イ オ ン とがイ オ ン交換してなる ものであ つてもよい。 陰ィ ォ ン交換体の陰ィォ ンが前記一般式 ( 1 ) で表される錯体の陰 イ オ ンにィ ォ ン交換してなる ものは、 下記一般式 ( 3 ) で表すこ とができる。
[ R u ( S n X3) n (Y) J - I ( 3 )
[式中、 I は陰イ オ ン交換体を示す。 X、 Y、 m及び ηは前記に同じ]
このよ う な化合物、 特に一般式 (3 ) で表される化合物は、 前記担体に担持し た固体触媒より も触媒活性が高いという特色がある。
陰イ オ ン交換体と しては、 例えば、 水酸化ジルコニ ウ ム、 含水チタニア [例え ば、 組成式 T i 02■ z H 20 ( zは 0以上の数を表す) で表される化合物] 、 含 水ジルコユア [例えば、 組成式 Z r 02 · z H 20 ( zは 0以上の数を表す) で表 される化合物] 、 ィ ォ ン交換性層状化合物などの無機陰ィ ォ ン交換体 ; 陰イ オ ン 交換樹脂などが挙げられる。 好ま しい陰イ オ ン交換体には、 無機イ オ ン交換体、 特に層間にィ ォン交換可能な陰ィ ォンを有する 2次元層状化合物であるハイ ド口 タ ルサイ ト、 ハイ ドロ カ ルマイ ト が含まれる。
無機陰イ オ ン交換体とのイ オ ン交換により得られた化合物は、 R u _ S nの異 核多核化合物の陰ィ ォ ンが無機対カチォ ンと対をなすためか、 触媒寿命が長いと いう特色がある。 特に、 無機層状化合物を陰イ オ ン交換体と して用いる と、 その 効果が大きい。
前記ハイ ドロタ ルサイ トは、 正に帯電した水酸化物層であるブルーサイ ト (brucite) 層 [ (M a 2十) 2X (M b ' + ) 2 (O H") ,x + J 2+と、 層間陰イ オ ン
[ A y'] 2/y及び層間水とで構成された組成式 ( 2 ) で表される一連の化合物であ る Q
C (M a 2 + ) 2χ (M b 3 + ) 2 (O H-) " ] 2 + · [ A ' -] 2ハ · z H 20 ( 2 ) [式中、 M a 2十は 2価の金属イ オ ン、 M b 3 +は 3価の金属イ オ ン、 Α '-は y価の 陰イ オン、 Xおよび y は自然数、 z は 0以上の数を示す]
前記 2価の金属イ オ ン M a 2+と しては、 例えば、 マ グネ シウ ム イ オ ン、 ニ ッ ケ ルイ オ ン、 亜飴イ オ ンが挙げられる。 3価の金属イ オ ン M b と しては、 例えば、 アル ミ ニ ウ ムイ オ ン、 ク ロム イ オ ン、 鉄イ オ ンが挙げられる。
前記組成式 ( 2 ) において、 通常、 X は 2 ~ 5の整数であり、 yは 1 または 2 である。 前記陰イ オ ン A y—には、 例えば、 炭酸イ オ ン、 硫酸イ オ ン、 塩素イ オ ン などのハロ ゲンイ オ ンなどの無機イ オ ン ; テ レフ タ ル酸陰イ オ ンな どの有機陰ィ ォ ンが含まれる。
前記 R u - S nの異核多核化合物による陰ィ ォン交換体のィ オ ン交換は、 慣用 のイ オ ン交換法により行う こ とができ る。
陰イ オ ン交換体と してハイ ドロタ ルサイ トを用い、 前記異核多核化合物と して 一般式 ( 1 ) で表される錯体を用いてィ ォン交換すると、 ハイ ドロタ ルサイ ト の 層間陰イ オ ン A ' が、 式 [ R u ( S n X 3) „ ( Y) „] [式中、 X、 Y、 m及び η は前記と同じ] で示される陰イ オ ンにより ィ ォ ン交換された固体触媒が得られる。 このよ う な固体触媒に、 メ タ ノ ールを気相で接触させると、 一段の反応で酢酸 及び Ζ又は酢酸メ チルが生成する。 この反応は次のよ うに進行すると推測される。
2 C H 8O H→ 2 H C H O + 2 H 2
2 H C H O→H C O O C H 3
H C O O C H 3→ C H 3 C O O H
C H 3 C O O H + C H 3O H-→ C H 3 C O O C H 3+ H zO
上記反応式より明らかなよ うに、 生成した酢酸は、 原料であるメ タノールと さ らに反応し、 酢酸メ チルとなる。 そのため、 反応系でのメ タ ノ ールの割合を小さ
くすることにより、 酢酸メチルの生成を抑制し、 酢酸を効率よ く生成させるこ と ができる。
なお、 反応条件によ っては、 酢酸や酢酸メ チルの前駆体と して有用な化合物で あるギ酸メ チルゃメ チ ラールが比較的多く副生する場合がある。 従って、 本発明 の方法は、 反応条件を適当に選択することにより、 ギ酸メ チル及び Z又はメチラ
—ルの製造方法と しても利用できる。
気相におけるメ タ ノ 一ルの脱水素反応は、 例えば、 5 0 ~ 4 0 0 ° (:、 好ま し く は 1 0 0 - 3 0 0。C程度で行う。 この反応は、 窒素ガス、 ヘ リ ウ ムガス、 アルゴ ンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、 常圧又は加圧下で行う とよい。 また、 反応 は、 バッチ式で行ってもよく、 連続的に行ってもよい。
バッチ式で反応させる場合、 錯体に対するメ タノールの割台は、 酢酸および酢 酸メ チルの生成効率が低下しない範囲で適当に選択すればよい。 錯体 1 モルに対 するメ タ ノ ールの割合は、 例えば、 0 . 1 〜 1 0 0 0 0 モル、 好ま しく は 1 0〜 1 0 0 0 モル程度である。
気相におけるメ タ ノ ールの脱水素反応を行うにあたつての好ま しい方法は、 固 体触媒にガス状メ タノ ールを連続的に供給する方法である。 このよ うな連続法に おいて、 錯体 1 モルに対するメ タ ノ ールの供袷量は、 酢酸および酢酸メ チルの生 成効率が低下しない広い範囲、 例えば、 0 . 0 0 1 ~ 1 0 0 0 モル Z分、 好ま し く は 0 . 0 1 〜 1 0 0 モル /分程度の広い範囲の中から選択できる。
連続法においては、 慣用の方法、 例えば、 固体触媒を充填した充填層にガス状 メ タ ノ一ルを供給する流通反応方式、 固体触媒をガス状メ タノ一ル中に浮遊させ て流動層を形成させて反応させる方式、 反応蒸留方式など、 いずれも採用できる。 連続法の中では、 流通反応方式が好ま しい。
本発明の触媒は、 活性が高く、 従って、 当該触媒は、 メ タ ノ ールを出発物質と する一段の反応で酢酸及び/又は酢酸メ チルを製造する上で有用である。 特に、 ハイ ドロタ ルサイ トを用いてなる固体触媒は、 触媒活性が高く、 触媒寿命が長い。
本発明の方法では、 固体触媒の存在下、 気相でメ タ ノ ールの脱水素反応を行う ので、 触媒濃度を高めるこ とができ る。 従って、 本発明の方法には、 反応速度を 大き く できるという利点がある。 また、 本発明の方法では、 均一液相触媒系での メ タノ一ルから酢酸叉は酢酸メチルを合成する反応において問題となっている、 触媒からの金属の析出が少ない。 従って、 高温で反応を行っても、 触媒が失活し にく い。 そのため、 本発明の方法では、 触媒活性を長期に亘つて維持できる。 また、 本発明の方法において、 活性炭などの担体に R u — S nの異核多核化合 物が担持された固体触媒を用いる と、 その高い触媒活性に基づいて、 酢酸及び/ 又酢酸メ チ ルを効率よ く製造できる。
R u - S nの異核多核化合物が前記一般式 ( 1 ) で表される錯体である場合に は、 当該錯体のさ らに高い触媒活性に基づいて、 酢酸及び Z又は酢酸メ チルの生 産性がさ らに高ま る。
さ らに、 ハイ ドロタ ルサイ ト等の陰イ オ ン交換体の陰イ オ ンと R u— S nの異 核多核化台物の陰ィ オ ンとがィォ ン交換してなる固体触媒を用いると、 当該固体 触媒のより一層に高い触媒活性及び長い触媒寿命によ り、 酢酸及び/又は酢酸メ チルを効率よ く生成させる こ とができ る。
[実施例]
以下に、 実施例に基づいて、 本発明をより詳細に説明するが、 これら実施例は、 本発明の範囲を限定する ものと考えるべきではない。
なお、 以下の実施例および比較例においては、 酢酸及び/叉は酢酸メ チルの台 成にはパルス反応器を用い、 反応生成物は、 ガス ク ロ マ ト グラ フ ィ ーによ り定量 した。 ただし、 実施例 7 は、 常圧固定床流通法により、 酢酸及び/叉は酢酸メ チ ルの合成反応を行つた。 錯体担持触媒の調製 1
( 1 ) { ( P h 3 P ) 2 Ν } [ R u ( S η C 1 3 ) 6 ] の調製
{ ( P h P ) N } 4 [ R u ( S n C 1 3) 6] (式中、 P hはフ ユ二ル基を示す) は、 J. Chem. Soc. , Dal ton Trans. , 2329 (1984 )に記載の方法に準じて調製した。
( 2 ) 担体の調製
7 2 2. 9重量部の硝酸銅 ( 3水和物) を 1 5 0 0重量部の水に溶解し、 液 を調製した。 1 2 5 3. 2重量部の硝酸ク ロ ム ( 9水和物) を 7 5 0 0重量部の 水に溶解し、 B液を調製した。
A液と B液とを混合し、 この混合液を 5 0 0 0重量部のシリ 力 [関東化学 (株) 製、 無水ケィ酸] に含浸させ、 1 2 0〜 1 3 0 °Cで 1 〜 3時間加熱して、 水を除 去しかつ乾燥した。 得られた担体を 6 5 0。じで 3時間焼成し、 C u 0— C r 203 / S i 02を得た。
( 3 ) 錯体担持触媒の調製
( 1 ) で調製した 0. 9 0 1 gの { ( P h a P ) 2N } [ R u ( S n C 1 3) 6] をァセ トニ ト リ ルに溶解し、 5 0 m 1 の溶液を調製した。 得られた溶液を、 ( 2 ) で調製した C u 0— C r 20 SZ S i 02 1. 0 gに含浸させ、 2 5 °Cで 1 5時間 真空乾燥し、 錯体担持触媒を調製した。
実施例 1
担持触媒の調製 1で調製された錯体担持触媒 { ( P SP) 2N} 4 [ R u ( S n C l 3) e] / C u O - C r 203/S i 02 0. 1 g (錯体の担持量 : 1. 3 1 0— 6モル) を反応器に充填し、 そこに、 ヘ リ ウ ムガスを、 2 0 0。Cにて、 流量 2 5 m l Z分で 3時間流通させて、 錯体担持角虫媒を処理した。
次いで、 ヘ リ ウ ムガスをキ ャ リ ア一 (流量 2 5 m 1 Z分) と し、 温度 2 0 0。C で、 1 1 のメ タ ノ ール ( 2. 4 7 X 1 0— 6モル) を反応器に導入したとこ ろ、 0. 0 0 4 X 1 0— 6 モ ノレの酢酸、 0. 0 0 6 X 1 0— 6モ ルの酢酸メ チ ノレ、 0. 0 0 1 X 1 0 6モルのギ酸メ チルおよび 0. 0 0 1 X 1 0 6モルのメ チ ラ ー ルが生成した。
錯体担持触媒の調製 2
( 1 ) ( N E t 4) [ R u C 1 ( S n C l 3) s] の調製
( E t 4) [ R u C 1 ( S n C 1 3) 6] (式中、 E t はェチル基を示す) は、 J. Farrugia, et. al. , Can. J. Chem. , 66_, 1304 (1982)に記載の方法に準じて調 製した。
( 2 ) ( N E t 4) [ R u ( S n C 1 3) 6 ( C H 3 C N ] の調製
( 1 ) で調製した (N E t 4) 3 [R u C l ( S n C 1 3) 6] 1. l gをァセ ト ニ ト リ ルに溶解し、 4 0 m 1 の溶液を調製した。 この溶液に、 0. 1 4 gの A g B F *を添加し、 生成した沈殿物を濾取した。 濾取物をァセ ト ンで洗浄し、 乾 燥するこ とによ り、 黄色粉末結晶である ( N E t 4) [ R u ( S n C 1 ( C H C N) ] 0. 8 g (収率 : R u換算で 7 7 %) を得た。
( 3 ) 錯体担持触媒の調製
( 2 ) で調製した 0. 3 3 3 gの (N E t 4) [ R u ( S n C 1 3) 6 ( C H3 C N ) ] をアセ ト ンに溶解し、 6 5 m l の溶液を調製した。 得られた溶液を、 1 . 5 8 gの活性炭 [関西熱化学 (株) 製、 マッ ク ス ソープ、 B E T比表面積 3 1 0 0 m2/ g ] に含浸し、 2 5てで 1 5時間真空乾燥し、 錯体担持触媒を調製 した。
実施例 2
錯体担持触媒の調製 1 で調製した (N E t 4) a [R u ( S n C 1 3) B ( C H 3 C N) ] /活性炭 0. l g (錯体の担持量 : 1. 0 5 X 1 0— 6モル) を反応器 に充填し、 そこに、 ヘ リ ウ ムガスを、 3 0 0 °C、 流量 2 5 m lノ分で 3時間流通 させ、 錯体担持触媒を処理した。
次いで、 ヘリ ウムガスをキャ リ ア一 (流量 2 5 m 1 Z分) と し、 温度 3 0 0て で、 のメ タノール ( 2. 4 7 X 1 0一5モル) を反応器に導入したところ、 0. 0 0 1 X 1 0— 6 モルの酢酸、 0. 0 0 2 x 1 0— 5 モ ルの酢酸メ チ
0. 0 4 3 X 1 0— 5モルのギ酸メ チルおよび 0. 0 0 5 X 1 0— 5モルのメ チ ラ 一 ルが生成した。
担持触媒の調製 3
( 1 ) ( E t 4) t [ R u ( S n C 1 3) 6] の調製
( N E t 4) * [ R u ( S n C 1 3) 6] (式中、 E t はェチル基を示す) は、 J.
Chem. So , Da 1 ton Trans. , 2329 (1984)に記載の方法に準じて調製した。 すなわち、 ア ル ゴ ン ガ ス雰囲気下で、 R u C l 3 . 3 H 2 0 0 . 5 g
( 1. 9 1 mm o l ) と S n C l 2 . 2 H20 4. 3 g ( 1 9 mm o l ) の混台 物に 2 M塩酸を 1 0 m l 添加し、 得られた混合物を 9 0 °Cで 1 2時間攪拌した。 この間に、 暗褐色であった溶液は、 最終的に黄色に変化した。 反応混合物を室温 まで冷却 した後、 N E t < C 1 (式中、 E t はェ チ ル基を示す) 1 . 2 6 g
( 7. 6 mm o l ) を 1 0 m l の 2 M塩酸に溶解してなる溶液を滴下し、 黄色沈 殿物を生成させた。 黄色沈殺物を濾取し、 2 M塩酸、 ヱタ ノ ールおよびジヱチル エー テ ルで順次洗浄した後、 真空乾燥し、 黄色粉末状結晶を得た (収量 : 2. 3 4 g、 R u換算での収率 : 6 2 %) 。
( 2 ) 担体の調製
酢酸第 2銅 2 0 0 g、 炭酸亜鉛 1 5 gおよびシ リ カ [関東化学 (株) 製、 無水 ケィ酸] 1 0 gを水 8 0 m l と 3時間混練した。 得られた混合物を、 窒素ガス雰 囲気下、 8 0 °Cで 8時間乾燥した後、 窒素雰囲気下、 6 5 0 °Cで 3時間焼成し、 担体を得た。 得られた担体は、 8 0重量%の C u 0、 1 0重量%の Z n 0、 1 0 重量%の i 02で構成されていた。
( 3 ) 錯体担持触媒の調製
( 1 ) で調製した 0. 0 9 8 6 gの ( N E t <) [ R u ( S n C 1 3) 6] をァ セ トニ ト リ ルに溶解し、 1 0 m 1 の溶液を調製した。 得られた溶液を、 ( 2 ) で 調製した 1. 0 £の担体(: 11 0— 2 00 5 1 02に含浸させ、 2 5 °Cで 1 5時間 真空乾燥し、 錯体担持触媒を調製した。
実施例 3
錯体担持触媒の調製 3 で調製した ( N E t < ) , [ R u ( S n C 1
C u O - Z n O/ S i 02 0. l g (錯体の担持量 : 4. 6 1 x 1 0— 6モル) を反応器に充填し、 そこに、 ヘ リ ウ ムガスを、 2 0 0て、 流量 2 5 m l /分で 3 時間流通させ、 錯体担持触媒を処理した。
次いで、 ヘリ ウムガスをキャ リ ア一 (流量 2 5 m 1 /分) と し、 温度 2 0 0 °C で、 1 〃 1 のメ タ ノール ( 2. 4 7 X 1 0— 5モル) を反応器に導入したところ、 0. 0 0 0 1 X 1 0— 6モルの酢酸、 0. 0 0 3 X 1 0— 6モルの酢酸メ チル及び 0. 0 2 X 1 0 _6モルのギ酸メチルが生成した。
錯体担持触媒の調製 4
錯体担持触媒の調製 2 — ( 2 ) で調製した 0. 0 8 2 9 gの ( N E t 4) 3 [ R u ( S n C l 3) ( C H C N) ] をアセ ト ンに溶解し、 2 0 m l の溶液を調 製した。 得られた溶液を、 錯体担持触媒の調製 3— ( 2 ) で調製した 1. 0 gの 担体 C u O— Z n OZ S i O 2に含浸させ、 2 5。Cで 1 5時間真空乾燥し、 錯体担 体触媒を調製した。
実施例 4
錯体担持触媒の調製 4で調製した錯体担持触媒 ( N E t 4 ) , [ R u ( S n C l 3) ( C H3C N) ] / C u O - Z n O/S i 02 0. l g (錯体の担持量 : 4. 6 4 X 1 0一 βモル〉 を反応器に充填し、 実施例 3 と同様に、 錯体担持触 媒を処理した。 次いで、 ヘ リ ウ ムガスをキャ リ ア一 (流量 2 5 m 1 /分) と し、 温度 2 0 0てで、 1 〃 1 のメ タ ノ ール ( 2. 4 7 X 1 0— 6モル) を反応器に導入 したところ、 0. 0 0 0 1 X 1 0—6モルの酢酸、 0. 0 0 0 3 x 1 0— 5モルの酢 酸メ チル、 0. 0 1 0 X 1 0— 6モルのギ酸メ チルおよび 0. 0 0 0 1 X 1 0— 6モ ルのメ チ ラ 一ルが生成した。
錯体担持触媒の調製 5
錯体担持触媒の調製 3— ( 1 ) で調製した 0. 8 0 0 gの (N E t 4) 4 [R u ( S n C 1 3) β] をァセ ト ニ ト リ ルに溶解し、 2 0 m l の溶液を得た。 その溶液 を、 1. 0 0 gの活性炭 [関西熱化学 (株) 製、 マ ッ ク ス ソープ、 B E T比表面
積 3 1 0 0 m2Zg] に含浸させ、 2 5てで 1 5時間真空乾燥し、 錯体担持触媒を 調製した。
実施例 5
上記錯体担持触媒の調製 5で得られた錯体担持触媒 (N E t 4) 4 [R u ( S n C 1 ,) β] Ζ活性炭 0. 1 g (錯体の担持量 : 2. 2 5 X 1 0— 6モル) を反応器 に充填し、 そ こに、 ヘ リ ウ ムガスを、 2 0 0 °C、 流量 2 5 m l /分で 3時間流通 させ、 錯体担持触媒を処理した。
次いで、 ヘ リ ウ ムガスをキ ャ リ ア一 (流量 2 5 m 1 Z分) と し、 温度 2 0 0 °C で、 1 1 のメ タ ノ ール ( 2. 4 7 X 1 0一6モル) を反応器に導入したと こ ろ、 5. 4 6 X 1 0 _9モルの酢酸、 1. 3 9 X 1 0一8モルの酢酸メ チル、 1. 1 9 X 1 0一8モルのギ酸メ チルおよび 6. 3 0 X 1 0— 8モルのメ チ ラールが生成した。 錯体担持触媒の調製 6
( 1 ) テ レフ タ ル酸陰ィ ォ ンを層間に有するハイ ドロ タ ルサイ ト [M g 4 A 1 2 (0 H) 12] 2+ ( C βΗ4 ( C 00") 2) · ζ Η 20の調製
テ レフ タ ル酸陰イ オ ンを層間に有するハイ ド口 タ ルサイ ト は、 Inorg. Chem. , 27, 4628 (1988)に記載の方法に準じて調製した。 なお、 操作はすべて、 アルゴン 雰囲気下で行った。
すなわち、 テ レ フ タ ル酸 1 3. 3 g及び 5 0重量%水酸化ナ ト リ ゥ ム水溶液 5 7. 5 gを 1 6 0 m l の水に加え、 得られた混合物を 6 0 °Cまで加熱した後、 室温まで放冷した。
次いで、 得られた溶液を室温で攪拌しながら、 そこ に、 4 1 . 0 gの M g ( N 03) 2 · 6 H 20及び 3 0. 0 gの A l ( N 03 ) 3 · 9 H 20を溶解した水溶 液 1 2 8 m l を、 9 0分間かけて滴下した。 この溶液を 7 3 °Cに 1 8時間放置し た後、 生成した沈澱物を濾取し、 十分に水洗した。
濾取物を 1 2 0 °Cで 1 5時間真空乾燥した後、 メ ノ ゥ乳鉢ですりつぶし、 粉末 状の標記化合物を得た。
( 2 ) R u - S nの異核多核化合物をハイ ド 口 タ ルサイ ト に担持してなる触媒 の調製
以下の操作はすべてアルゴン雰囲気下で行った。
1. 0 0 gの R u C l 3 ' 3 H 20及び 8. 6 0 gの S n C l 2 . 2 H20を 2規 定塩酸 1 2 0 m l に溶解し、 得られた混合物を 9 0 °Cで 1 2時間加熱した。 得ら れた溶液を陰イ オ ン交換樹脂 ( D o w e X I X— 8, 1 0 0— 2 0 0 メ ッ シュ) に通し、 当該溶液から [R u ( S n C 1 ,) J 4—以外の陰ィォンを除去した。
得られた溶液に、 ( 1 ) で調製した 4. 0 0 gの [M g 4 A 1 2 (O H) 12 ( C βΗ 4 ( C 00— ) 2) · ζ Η20を加え、 4 0てで 1 2時間攪拌することにより、 イ オ ン交換した。 固形分を濾取し、 希塩酸で洗浄した後、 1 5 0 °Cで 4時間真空 乾燥し、 黄色粉末を得た。
得られた粉末を、 I C P (誘導結合プラ ズマ) 発光分析により組成分析したと こ ろ、 R u : S n : A l : M g = l : 6. 5 : 4. 7 : 7. 9であった。 この結 果よ り、 得られた粉末は、 略、 [M g 8 A l < ( O H ) [ R u ( S n C 1 3) 6] · z H 20の組成を有すると考えられる。 また、 X R D分析 ( X線回 析) の結果、 層間距離は 1 7 オ ングス ト ロームであった。
実施例 6
上記錯体担持触媒の調製 6で得られた触媒 0. 3 gを反応器に充填した。 当該 反応器に、 2 0 0 で、 メ タ ノ ール 1 0モル%とヘ リ ウ ム 9 0モル%の混合ガス を流量 6. 2 m 1 /分で連続的に供袷した。 ガスの供給開始から 1 0分後に、 反 応生成ガスを分析した結果、 酢酸の収率は 4. 2 %、 ギ酸メチルの収率は 3. 0 %、 メチラールの収率は 4. 6 %であった。
比較例 1
実施例 1 で用いた錯体担持触媒に代えて、 錯体担持触媒の調製 1 に用いた担体 C u 0 - C r 203/ S i 02を 0. 1 g用いた以外は、 実施例 1 と同様の実験を行 つた。 その結果、 反応生成物と して、 0. 0 1 9 X 1 0一6モルのギ酸メ チルのみ
が検出され、 酢酸及び酢酸メ チルは検出されなかつた。
比較例 2
C u O— C r 203/ S i 02を 0. 0 5 3 g用いた以外は、 比較例 1 と同様の実 験を行った。 その結果、 反応生成物と して、 0. 0 1 1 X 1 0— 6モルのギ酸メ チ ルのみが検出され、 酢酸及び酢酸メ チルは検出されなかった。
比較例 3
実施例 1 で用いた錯体担持触媒に代えて、 錯体担持触媒の調製 3に用いた担体 C u O— Z n OZ S i 02を 0. 1 g用いた以外は、 実施例 1 と同様の実験を行つ た。 その結果、 反応生成物と して、 0. 0 3 7 X 1 0 6モルのギ酸メ千 ルのみが 検出され、 酢酸及び酢酸メ チルは検出されなかった。
比較例 4
実施例 1 で用いた錯体担持触媒に代えて、 錯体担持触媒の調製 2に用いた担体 である活性炭 [関西熱化学 (株) 製、 マ ッ ク ス ソープ、 B E T比表面積 3 1 0 0 m2Zg ] を 0. 1 g用いた以外は、 実施例 1 と同様の実験を行った。 その結果、 出発原料であるメ タ ノ ールが 1 0 0 %回収された。
比較例 5
実施例 1 で用いた錯体担持触媒に代えて、 錯体担持触媒の調製 6 ( 1 ) で得 られたテレフ タ ル酸陰イ オ ンを層間に有するハイ ドロタルサイ トを 0. 1 g用い た以外は、 実施例 1 と同様の実験を行った。 その結果、 反応生成物と して、 メ タ ノ 一ルの脱水素生成物は検出されなかった。