JPWO2021117320A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、コイル及びそれを備えたモータに関する。
近年、産業、車載用途でモータの需要は高まっている。その中で、モータの効率向上、低コスト化が要望されている。
モータの効率向上手法の一つとして、ステータのスロット内に配置されるコイルの占積率を向上させることが知られている。コイルの占積率を向上させることで、モータの駆動時に、コイルに流れる電流に起因する損失を抑制できる。
コイルの占積率を向上させる手法として、銅材を用いた鋳造コイルをスロット内に配置する構成が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
ところで、高効率、低コストのモータとして、IPM(Internal Permanent Magnet)モータ及びSPM(Surface Permanent Magnet)モータが広く使用されている。これらのモータでは、中心に出力軸を有するロータが配置され、その外側に、コイルがそれぞれ装着された複数のティースを有するステータが配置される。コイルに電流が流れると磁界が発生し、この磁界と磁石で発生する磁束との間で相互作用を生じさせることで、モータが回転する。
しかし、ロータとティースとの配置関係によっては、磁石で発生した磁束がコイルに鎖交することがある。この場合、コイルに渦電流を生じ、これに起因してエネルギー損失(以下、この損失を渦電流損という)が発生する。このように渦電流損が発生するとモータの効率が低下してしまう。
このような渦電流損を抑制するために、例えば、特許文献2には、ロータの主回転方向の遅れ側と進み側とで、コイルとティースの先端面との距離を異ならせる構成が開示されている。
しかし、特許文献2に開示された従来の構成では、ロータの主回転方向の遅れ側と進み側でコイルが同じ形状となっており、遅れ側での渦電流損を効果的に抑制できなかった。
これ以外にも、モータの構造によっては、磁石で発生した磁束またはコイルにより発生した磁束がコイルに鎖交し、渦電流損が発生することがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、ロータに設けられた磁石またはコイルに起因した渦電流損を低減可能なコイル及びそれを備えたモータを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係るコイルは、モータのステータに装着されるコイルであって、モータは、ステータと、軸心に出力軸を、外周側に複数の磁石をそれぞれ有するとともに、ステータの径方向内側に配置されたロータと、を少なくとも有し、コイルは、螺旋状に巻回された第1~第n(nは2以上の整数)ターンからなる巻線部と、第1ターンから延びる第1のリード部と、第nターンから延びる第2のリード部と、を少なくとも有し、第1~第nターンの一部または全部の形状が、磁石またはコイルで発生した磁束がコイルに鎖交する部分において、他の部分と異なる。
本発明に係るモータは、軸心に出力軸を、外周側に複数の磁石をそれぞれ有するロータと、ロータの径方向外側にロータと所定の間隔をあけて設けられたステータと、を少なくとも備え、ステータは、環状のヨークと、ヨークの内周に接続された複数のティースと、複数のティースのそれぞれに装着された複数のコイルと、を少なくとも有し、複数のコイルのそれぞれは、コイルである。
本発明のコイルによれば、コイルで発生する渦電流損を低減することができる。本発明のモータによれば、渦電流損が低減されることにより、効率の低下を抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[モータの構成]
図1は、本発明の実施形態1に係るモータの断面模式図である。なお、以降の説明において、モータ1000の半径方向を「径方向」と、外周方向を「周方向」と、モータ1000の出力軸210の軸線方向(図1における紙面と垂直な方向)を「軸方向」とそれぞれ呼ぶことがある。また、径方向において、モータ1000の軸心側を径方向内側と、外周側を径方向外側と呼ぶことがある。図1において、後で述べるコイル40の第1のリード部41と、第2のリード部42については、図示を省略している。なお、軸方向で見て、モータ1000の軸心は、出力軸210の軸線に一致する。
[モータの構成]
図1は、本発明の実施形態1に係るモータの断面模式図である。なお、以降の説明において、モータ1000の半径方向を「径方向」と、外周方向を「周方向」と、モータ1000の出力軸210の軸線方向(図1における紙面と垂直な方向)を「軸方向」とそれぞれ呼ぶことがある。また、径方向において、モータ1000の軸心側を径方向内側と、外周側を径方向外側と呼ぶことがある。図1において、後で述べるコイル40の第1のリード部41と、第2のリード部42については、図示を省略している。なお、軸方向で見て、モータ1000の軸心は、出力軸210の軸線に一致する。
図2は、コイル40の斜視図である。図3Aは、ステータの要部の断面模式図である。図3Bは、比較のためのステータの要部の断面模式図である。モータ1000は、ステータ100とロータ200とを有している。なお、モータ1000は、これら以外の構成部品、例えば、モータケース及び出力軸を軸支する軸受等の部品を有している。しかし、説明の便宜上、その図示及び説明を省略する。
ステータ100は、円環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に接続され、当該内周に沿って等間隔に設けられた複数のティース10と、周方向に隣り合うティース10の間にそれぞれ設けられたスロット30と、スロット30内に収容されたコイル40とを有している。ステータ100は、ロータ200の径方向外側に、ロータ200と一定の間隔をあけて配置されている。
ティース10とヨーク20は、それぞれ、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層後に打ち抜き加工して形成される。コイル40は、銅等からなる導線が螺旋状に巻回されてなる部品である。コイル40は、断面が四角形の銅等からなる導線が成形されてなる成形コイルである。コイル40は、インシュレータ50(図3Aを参照)を挟んで複数のティース10のそれぞれに装着されて、スロット30内に収容されている。なお、図示しないが、コイル40を構成する導線の表面には絶縁被膜が形成されている。また、コイル40の形状の詳細については、後で述べる。
なお、本願明細書における「成形コイル」は、幅及び厚さが一定の導線が螺旋状に巻回されただけのコイルを含まない。
成形コイルは、例えば、長さ、幅あるいは厚みが異なる複数の長方形の板材を準備し、これらの板材を冷間圧接、溶接、またはそのほかの方法で接合することで形成される。板材の材質は、銅及びアルミ等の低抵抗材料である。
あるいは、成形コイルは、銅等を溶融して鋳型に流し込む、いわゆる鋳造により形成されてもよい。幅または厚さを予め途中で異なるように形成した板状の導線を所定の位置で曲げ加工することで、成形コイルが形成されてもよい。あるいは、幅及び厚さが一定の板状の導線を所定の部位で圧延加工して、途中で幅または厚さを変更した後に螺旋状に巻回して、成形コイルが形成されてもよい。要するに、導線を巻回する以外にさらに別の加工を加えるか、あるいは、単に巻き回すのとは異なる工法で成形コイルは形成される。
また、コイル40に流れる電流の位相に応じて、コイルをコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4とそれぞれ呼ぶことがある。
ロータ200は、出力軸210と、出力軸210を軸心に有するロータコア220と、複数の磁石230とを有している。複数の磁石230は、ロータコア220の内部に埋設され、ステータ100に対向してN極、S極が出力軸の外周方向に沿って交互に配置されている。なお、磁石230の材料、形状、及び材質については、モータ1000の出力等に応じて適宜変更しうる。また、ロータコア220は、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層後に打ち抜き加工して形成される。
コイルU1~U4,V1~V4,W1~W4はそれぞれ直列に接続されている。互いに電気角で120°の位相差を有するU,V,W相の3相の電流がそれぞれコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4に供給されて励磁され、ステータ100に回転磁界が発生する。この回転磁界と、ロータ200に設けられた磁石230が発生する磁界との間で相互作用を生じてトルクが発生し、出力軸210が図示しない軸受に支持されて回転する。U,V,W相の3相の電流の位相差に応じて、出力軸210は、時計回り方向と反時計回り方向のいずれにも回転可能である。なお、本願明細書において、出力軸210の回転方向は、軸方向下側から見て決定される。
[コイル及びステータの要部の構成]
図2に示すように、コイル40は、第1のリード部41と第2のリード部42と巻線部43とを有している。
図2に示すように、コイル40は、第1のリード部41と第2のリード部42と巻線部43とを有している。
巻線部43は、導線が螺旋状に複数ターン巻回されている。巻線部43は、第1~第nターン431~43nを有している。ここで、nは2以上の整数である。本実施形態では、n=7としている。しかし、特にこれに限定されず、モータ1000の仕様等に応じて、この値は適宜変更されうる。
第1~第nターン431~43nは、モータ1000の中心側から外周側に向けてこの順で積層されて、スロット30内に収容される。
第1~第nターン431~43nのそれぞれの外形は、径方向で見て4つの辺部を有する四角環状である。巻線部43は、この形状に対応して、第1の辺部44と第2の辺部45と第3の辺部46と第4の辺部47とを有している。それぞれの辺部44~47に第1~第nターン431~43nの対応する辺部が含まれている。
第1の辺部44は、4つの辺部のうちの軸方向の上端辺部に相当する。第2の辺部45は、4つの辺部のうちの軸方向の下端辺部に相当する。第3の辺部46は、4つの辺部のうちの周方向の一方の端辺部に相当する。第4の辺部47は、4つの辺部のうちの周方向の他方の端辺部に相当する。以降の説明において、第1の辺部44を第1のコイルエンド44と、第2の辺部45を第2のコイルエンド45と、それぞれ呼ぶことがある。
第1のリード部41は、第1ターン431の端部に連続しており、第1のコイルエンド44からその上方に延びている。第2のリード部42は、第nターン43nに連続しており、第1のコイルエンド44からその上方に延びている。第1のリード部41と第2のリード部42とは、図示しない配線やバスバーとの結線部にあたり、それぞれの先端では絶縁被膜が除去されている。また、配線やバスバーとの接続位置等に応じて、第1のリード部41と第2のリード部42とは、それぞれ途中で折り曲げられることがある。
図2に示すように、コイル40において、第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さが、第4の辺部47に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さよりも薄くなっている。
インシュレータ50は、径方向の両端が開口した筒状の部品であり、絶縁材料からなる。インシュレータ50を設けることにより、コイル40とティース10との短絡を防止し、コイル40からティース10への漏れ電流を抑制できる。なお、インシュレータ50の形状は、ティース10やヨーク20の形状に応じて適宜変更されうる。
インシュレータ50とコイル40とが装着されたティース10をヨーク20に接続した場合、図3Aに示すように、第nターン43nの径方向外側の表面が、ヨーク20の内周に当接または近接するように、コイル40が配置される。第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nは、それぞれ隣り合うターンと径方向で接するように配置される。このため、第3の辺部46の径方向内側の端面は、第4の辺部47の径方向内側の端面よりも径方向外側に後退している。
一方、図3Bに示すコイル40は、第3の辺部46と第4の辺部47とで、第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さが等しい。このため、第3の辺部46の径方向内側の端面と第4の辺部47の径方向内側の端面とは、モータ1000の中心から径方向に沿ってほぼ等距離の位置にある。
図3A,図3Bに示すように、第3の辺部46は、ロータ200の主回転方向の遅れ側(以下、単に遅れ側という)に位置している。第4の辺部47は、ロータ200の主回転方向の進み側(以下、単に進み側という)に位置している。特許文献2でも示されているように、ティース10の進み側では、コイル40に電流が流れることにより発生する磁束の向きは、ロータ200に設けられた複数の磁石230で発生した磁束(以下、単に、磁石230で発生した磁束という)の向きと異なる。このため、進み側では、磁石230で発生した磁束やコイル40で発生した磁束は、コイル40をほぼ鎖交しない。
一方、遅れ側では、コイル40に電流が流れることにより発生する磁束の向きが、磁石230で発生した磁束の向きと同じになる。
このため、図3Bに示す例では、遅れ側で、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40を鎖交し、この部分で渦電流損が発生する。一方、図3Aに示す例では、前述した通り、第3の辺部46の径方向内側の端面が、径方向外側に後退しているため、遅れ側でコイル40を鎖交する磁束量を減らすことができる。その結果、渦電流損を図3Bに示す例に比べて低減させることができる。
なお、磁石230の仕様やティース10の形状によって、磁石230で発生した磁束と、コイル40で発生する磁束は、その到達距離が定まっており、一般に、図3A,3Bに示した通り、ロータ200に近い側でコイル40に鎖交する。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るコイル40は、モータ1000のステータ100に装着される。モータ1000は、ステータ100と、軸心に出力軸210と、外周側に複数の磁石230を有する。モータ1000は、ステータ100の径方向内側に配置されたロータ200と、を少なくとも有している。
以上説明したように、本実施形態に係るコイル40は、モータ1000のステータ100に装着される。モータ1000は、ステータ100と、軸心に出力軸210と、外周側に複数の磁石230を有する。モータ1000は、ステータ100の径方向内側に配置されたロータ200と、を少なくとも有している。
コイル40は、螺旋状に巻回された第1~第nターン431~43nからなる巻線部43と、第1ターン431から延びる第1のリード部41と、第nターン43nから延びる第2のリード部42と、を少なくとも有している。
ロータ200の主回転方向の遅れ側と進み側とで、第1~第nターン431~43nの形状が異なる。具体的には、遅れ側に位置する第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さが、進み側に位置する第4の辺部47に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さよりも薄くなっている。
コイル40をこのように構成することで、モータ1000が主回転方向に回転するときに、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40を鎖交する磁束量を減らすことができる。このことにより、渦電流損を低減することができる。したがって、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
また、各ターンの厚さを一様に減少させた場合、コイル40の抵抗が増加して、ジュール熱による損失(以下、銅損という)が増加する。また、スロット30内でのコイル40の占積率が低下する。これらのことにより、モータ1000の効率を低下させる懸念があった。
一方、本実施形態によれば、コイル40の形状を前述のようにすることで、コイル40の銅損増加、及びスロット30内でのコイル40の占積率の低下を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率低下を抑制できる。
なお、コイル40及びステータ100、特にインシュレータ50の形状は、図2,図3Aに示す例に限られず、別の形をとってもよい。
図4は、実施形態1に係る別のステータの要部の断面模式図である。図4に示すコイル40は、図2,図3Aに示すコイル40と同様に、第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さが、第4の辺部47に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さよりも薄くなっている。
一方、図4に示すインシュレータ50における遅れ側の端面には、径方向に互いに離間した複数の溝部50aが設けられている。第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれが、溝部50aに収容されている。
コイル40及びステータ100をこのように構成してもよい。この場合も、図3Bに示す構成に比べて、第3の辺部46の径方向内側の端面が、径方向外側に後退しているため、遅れ側でコイル40を鎖交する磁束量を減らすことができる。このことにより、渦電流損を低減してモータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
図4に示す構成では、各溝部50aに第1~第nターン431~43nの一部が収容されている。このため、図3Aに示す構成に比べて、第3の辺部46の径方向内側の端面が、径方向外側に後退する量は小さくなる。一方で、遅れ側で、第1~第nターン431~43nが互いに間隔をあけて配置されているため、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40を鎖交する磁束量は、図3Aに示す構成に比べてそれほど増加しない。
図4に示す構成において、インシュレータ50に溝部50aを設ける代わりに、第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの間に、絶縁スペーサまたは絶縁紙を挟み込むようにしてもよい。
本実施形態に係るモータ1000は、出力軸210を軸心に有するロータ200と、ロータ200の径方向外側にロータ200と所定の間隔をあけて設けられたステータ100と、を少なくとも備えている。
ステータ100は、環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に接続された複数のティース10と、複数のティース10のそれぞれに装着された複数のコイル40と、を少なくとも有している。
本実施形態によれば、遅れ側でコイル40を鎖交する磁束量が減少する。このため、渦電流損を低減して、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
モータ1000が主として一方向のみに回転するのか、あるいは、時計回り方向及び反時計回り方向の両方向に回転するのかは、モータ1000の仕様によって異なる。しかし、電動自動車の主機モータ等に代表されるように、モータが主として一方向のみに回転して使用される例は多い。このようなモータとして、モータ1000を適用することで、渦電流損の低減度合いが高まり、モータ1000の効率低下をより確実に抑制できる。
コイル40は、単層巻きされた状態でティース10に装着されていることが好ましい。このようにすることで、コイル40の構造を単純化でき、コイル40の製造コストが増加するのを抑制できる。また、ティース10に巻回されるコイル40のトータルのターン数の設計が容易となる。ただし、コイル40は、多層巻きされた状態でティース10に装着されていてもよい。
遅れ側でコイル40を鎖交する磁束量を減少させるという観点から言えば、遅れ側と進み側とで、コイル40の第1~第nターン431~43nの形状が異なるようにすればよい。言い換えると、遅れ側に位置する第1~第nターン431~43nの体積が、進み側に位置する第1~第nターン431~43nの体積よりも小さくなるようにすればよい。特にロータ200に近い側で、この関係が成立すればよい。
以上のように、本実施形態のコイル40は、モータ1000のステータに装着されるコイル40であって、モータ1000は、ステータ100と、軸心に出力軸210を、外周側に複数の磁石230をそれぞれ有するとともに、ステータ100の径方向内側に配置されたロータ200と、を少なくとも有し、コイル40は、螺旋状に巻回された第1~第n(nは2以上の整数)ターン431~43nからなる巻線部43と、第1ターン431から延びる第1のリード部41と、第nターン43nから延びる第2のリード部42と、を少なくとも有し、第1~第nターン431~43nの一部または全部の形状が、磁石230またはコイル40で発生した磁束がコイル40に鎖交する部分において、他の部分と異なる。
これにより、コイルで発生する渦電流損を低減することができる。
また、ロータ200の主回転方向の遅れ側と進み側とで、第1~第nターン431~43nの一部または全部の形状が異なってもよい。
また、ロータ200の主回転方向の遅れ側に位置する第1~第nターン431~43nのうち、一部のターンまたは全部のターンのそれぞれの厚さが、ロータ200の主回転方向の進み側に位置する第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さよりも薄くてもよい。
また、本実施形態のモータ1000は、軸心に出力軸210を、外周側に複数の磁石230をそれぞれ有するロータ200と、ロータ200の径方向外側にロータ200と所定の間隔をあけて設けられたステータ100と、を少なくとも備え、ステータ100は、環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に接続された複数のティース10と、複数のティース10のそれぞれに装着された複数のコイル40と、を少なくとも有し、複数のコイル40のそれぞれは、実施形態1,2及び変形例1~6のいずれかに記載のコイル40である。
また、コイル40は、単層巻きされた状態でティース10に装着されていてもよい。
このことに応じて、コイル40の形状は、本実施形態に示した形状に限定されず、種々の形状をとりうる。以降、コイル40の形状のバリエーションについて変形例により説明する。
<変形例1>
図5は、変形例1に係るステータの要部の断面模式図である。図6は、変形例1に係る別のステータの要部の断面模式図である。なお、図5,図6及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5は、変形例1に係るステータの要部の断面模式図である。図6は、変形例1に係る別のステータの要部の断面模式図である。なお、図5,図6及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5に示す本変形例の構成は、遅れ側に位置する第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのうち、ロータ200に近い側のターンの厚さのみが、他のターンよりも薄くなっている点で、実施形態1に示す構成と異なっている。本変形例では、遅れ側で、第nターン43nを含んで2つのターンのみの厚さが、他のターンよりも薄くなっている。しかし、特にこれに限定されない。モータ1000の仕様、及び、鎖交磁束量の減少度合いの要請等に応じて、適宜変更されうる。
本変形例によれば、実施形態1に示す構成と同様に、モータ1000が主回転方向に回転するときに、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40を鎖交する磁束量を減らすことができる。このことにより、渦電流損を低減してモータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
また、実施形態1に示す構成に比べて、第3の辺部46において、厚さを薄くするターン数を減らすことができる。このことにより、コイル40の銅損が増加するのをさらに抑制できる。また、スロット30内でのコイル40の占積率の低下を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率低下をさらに抑制できる。
図6に示すように、厚さを薄くしたターンの位置や数に応じて溝部50aを配置するようにしてもよい。このようにすることで、図5に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。
また、図6に示す構成において、インシュレータ50に溝部50aを設ける代わりに、第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nののうち厚さを薄くしたターンの間に、絶縁スペーサ又は絶縁紙を挟み込むようにしてもよい。
以上のように、本変形例のコイル40は、ロータ200の主回転方向の遅れ側に位置する第1~第nターン431~43nのうちロータ200に近い1つまたは複数のターンの厚さが、他のターンの厚さよりも薄い。
<変形例2>
図7は、変形例2に係るステータの要部の断面模式図である。図8は、変形例2に係る別のステータの要部の断面模式図である。
図7は、変形例2に係るステータの要部の断面模式図である。図8は、変形例2に係る別のステータの要部の断面模式図である。
図7に示す本変形例の構成は、遅れ側に位置する第3の辺部46に含まれる第kターン(kは整数で、1≦k≦n)の幅、この場合は周方向の幅が、進み側に位置する第4の辺部47に含まれる第kターンの幅よりも狭くなっている点で、実施形態1に示す構成と異なっている。
また、インシュレータ51の厚さが、進み側よりも遅れ側で厚くなっている点で、実施形態1に示すインシュレータ50と異なっている。
本変形例に示すようにコイル40の形状を規定してもよい。この場合も、遅れ側に位置する第1~第nターン431~43nの体積が、進み側に位置する第1~第nターン431~43nの体積よりも小さくなるため、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。
インシュレータ51を図7に示す形状とすることで、スロット30内の隙間を埋めて、ステータ100を安定させることができる。
また、図8に示すように、遅れ側において、幅が狭くなっている第kターンを、第1~第nターン431~43nのうちで、ロータ200に近い側のみに配置するようにしてもよい。なお、本変形例では、第kターンに対応するのは、第nターン43nと第(n-1)ターンの2つのターンのみである。しかし、特にこれに限定されない。モータ1000の仕様や、鎖交磁束量の減少度合いの要請等に応じて、適宜変更されうる。
この場合も、図7に示す構成と同様に、モータ1000が主回転方向に回転するときに、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40を鎖交する磁束量を減らすことができる。このことにより、渦電流損を低減してモータ1000の効率が低下するのを抑制できる。また、図7に示す構成に比べて、第3の辺部46において、所定の値から幅を狭くするターン数を減らすことができる。このことにより、コイル40の銅損が増加するのをさらに抑制できる。また、スロット30内でのコイル40の占積率の低下を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率低下をさらに抑制できる。
なお、図8に示すように、所定の値から幅を狭くしたターンの位置や数に応じて、インシュレータ51の厚さを径方向に沿って変更するようにしてもよい。
以上のように、本変形例のコイル40は、ロータ200の主回転方向の遅れ側に位置する第kターン(kは整数で、1≦k≦n)の幅が、ロータ200の主回転方向の進み側に位置する第kターンに対応するターンの幅よりも狭い。
また、第kターンは、第1~第nターン431~43nの中でロータ200に近い側に位置していてもよい。
<変形例3>
図9は、変形例3に係るコイルの側面図である。図10は、第3の辺部と第4の辺部の部分模式図である。なお、図9は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図9は、変形例3に係るコイルの側面図である。図10は、第3の辺部と第4の辺部の部分模式図である。なお、図9は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図9,図10に示す本変形例の構成は、第3の辺部46に、コイル40を径方向に見た時に凹形形状を示す第1凹部46aが形成されている点で、実施形態1に示す構成と異なっている。なお、図9,図10に示す本変形例のコイル40は、図3Bに示すコイル40と同様に、第3の辺部46と第4の辺部47とで、第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さが等しい。第3の辺部46に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの幅が、第4の辺部47に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの幅と等しい。
このようにすることで、遅れ側で、磁石230及びコイル40で発生した磁束が鎖交する部分のコイル40の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。このことにより、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
また、本変形例によれば、第3の辺部46において、磁石230及びコイル40で発生した磁束が鎖交する部分を予めシミュレートして、その部分に第1凹部46aを形成することができる。このようにすることで、実施形態1や変形例1,2に示す構成よりも、コイル40の体積を増やすことができる。つまり、銅損がさらに低減されるため、モータ1000の効率を高く維持することができる。
図9に示すように、第4の辺部47に第2凹部47aが形成されていてもよい。ただし、第1凹部46aと第2凹部47aとの間に以下のいずれかの関係が成立するようにする必要がある。
(条件1)第1凹部46aの個数X1が第2凹部47aの個数X2よりも多い(X1>X2)。
(条件2)第1凹部46aのサイズが第2凹部47aのサイズよりも大きい。例えば、図10に示すように、第1凹部46aの軸方向の幅A1が第2凹部47aの軸方向の幅A2よりも広くなっている(A1>A2)。あるいは、第1凹部46aの周方向の深さB1が第2凹部47aの周方向の深さB2よりも深くなっている(B1>B2)。
(条件3)条件1及び条件2の両方を満足する。
要するに、第3の辺部46に形成された第1凹部46aの全体の体積が、第4の辺部47に形成された第2凹部47aの全体の体積よりも大きくなるようにすればよい。
モータ1000の構造によっては、磁石230及びコイル40で発生した磁束が第4の辺部47に鎖交する場合がある。このような場合に、本変形例に示すように、第4の辺部47に第2凹部47aを設けることで、進み側でも、磁石230及びコイル40で発生した磁束が鎖交する部分のコイル40の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。第1凹部46aの全体の体積が、第2凹部47aの全体の体積よりも大きくなるようにすることで、鎖交磁束量が大きい遅れ側での渦電流損を低減しつつ、銅損の増加を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率を高く維持できる。
なお、第1凹部46aは、第3の辺部46の第1~第nターン431~43n全体に形成されなくてもよい。例えば、ロータ200に近い側の第1~第kターンに設けられていてもよい。第2凹部47aについても同様である。
図9では、第4の辺部47に第2凹部47aが形成された例を示したが、第4の辺部47での鎖交磁束量が小さければ、第2凹部47aの形成を省略してもよい。
第1凹部46a、第2凹部47aの位置、個数、及びサイズは、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40に鎖交する領域に応じて、適宜変更されうる。
以上のように、本変形例のコイル40は、ロータ200の主回転方向の遅れ側に位置する第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第1凹部46aが形成されている。
また、ロータの主回転方向の進み側に位置する第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第2凹部47aが形成されており、第1凹部46aの全体の体積が、第2凹部47aの全体の体積よりも大きいことが好ましい。
<変形例4>
図11は、変形例4に係るコイルの側面図である。図12は、第3の辺部と第4の辺部の部分模式図である。なお、図11は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図11は、変形例4に係るコイルの側面図である。図12は、第3の辺部と第4の辺部の部分模式図である。なお、図11は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図11,図12に示す本変形例の構成は、第3の辺部46に、コイル40を貫通する第1スリット46bが形成されている点で、変形例3に示す構成と異なっている。
このように、コイル40の第3の辺部46に第1スリット46bを設けるようにしても、変形例3に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、遅れ側で、磁石230及びコイル40で発生した磁束が鎖交する部分のコイル40の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。このことにより、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。また、コイル40の体積減少を抑制できる。このため、銅損がさらに低減され、モータ1000の効率を高く維持することができる。
また、第4の辺部47に第2スリット47bが形成されていてもよい。ただし、第1スリット46bと第2スリット47bとの間に以下のいずれかの関係が成立するようにする必要がある。
(条件4)第1スリット46bの個数X3が第2スリット47bの個数X4よりも多い(X3>X4)。
(条件5)第1スリット46bのサイズが第2スリット47bのサイズよりも大きい。例えば、図12に示すように、第1スリット46bの軸方向の幅A3が第2スリット47bの軸方向の幅A4よりも広くなっている(A3>A4)。あるいは、第1スリット46bの周方向の幅B3が第2スリット47bの周方向の幅B4よりも広くなっている(B3>B4)。
(条件6)条件4及び条件5の両方を満足する。
要するに、第3の辺部46に形成された第1スリット46bの全体の体積が、第4の辺部47に形成された第2スリット47bの全体の体積よりも大きくなるようにすればよい。
このようにすることで、進み側でも、磁石230及びコイル40で発生した磁束が鎖交する部分のコイル40の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。また、鎖交磁束量が大きい遅れ側での渦電流損を低減しつつ、銅損の増加を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率を高く維持できる。
なお、第1スリット46bは、第3の辺部46の第1~第nターン431~43n全体に形成されなくてもよい。例えば、ロータ200に近い側の第1~第kターンに設けられていてもよい。第2スリット47bについても同様である。
また、図12では、第4の辺部47に第2スリット47bが形成された例を示したが、第4の辺部47での鎖交磁束量が小さければ、図11に示すように、第2スリット47bの形成を省略してもよい。
また、第1スリット46b、第2スリット47bの位置、個数、及びサイズは、磁石230及びコイル40で発生した磁束がコイル40に鎖交する領域に応じて、適宜変更されうる。
以上のように、本変形例のコイル40は、ロータ200の主回転方向の遅れ側に位置する第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第1スリット46bが形成されている。
また、ロータ200の主回転方向の進み側に位置する第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第2スリット47bが形成されており、第1スリット46bの全体の体積が、第2スリット47bの全体の体積よりも大きいことが好ましい。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係るモータの要部を径方向から見た模式図である。図14は、コイルの斜視図である。
図13は、本発明の実施形態2に係るモータの要部を径方向から見た模式図である。図14は、コイルの斜視図である。
通常、軸方向に関して、ロータコア220の上面と、ティース10及びヨーク20の上面とはほぼ同じ高さにある。同様に、ロータコア220の下面と、ティース10及びヨーク20の下面とはほぼ同じ高さにある。
しかし、モータ1000に要求される性能によっては、図13に示すように、軸方向に関して、ロータコア220が、ステータ100よりも高くなるように設計されることがある。このようにすることで、ティース10やヨーク20に対して、磁石230で発生した磁束を、より多く流すことができ、出力軸210の回転トルクを高めることができる。また、このような構造では、磁石230で発生した磁束が、ステータ100の外部にも流れるため、図示しない磁気センサをロータ200の近傍に配置することで、モータ1000の内部の磁界を容易に検出することができる。
一方、図13に示す構造では、磁石230で発生した磁束が軸方向上側から侵入して第1のコイルエンド44に鎖交する。このため、この部分での渦電流損が増加し、モータ1000の効率が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態及び以降に示す変形例5,6に示すコイル40において、実施形態1及び変形例1~4に示した構成を変形して適用する。このことにより、第1のコイルエンド44で発生する渦電流損を低減してモータ1000の効率低下を抑制することができる。
例えば、図14に示すように、第1のコイルエンド44に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さは、第2のコイルエンド45に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さよりも薄くなっている。
このようにすることで、第1のコイルエンド44の体積を減少させることができ、渦電流損を低減してモータ1000の効率低下を抑制できる。
また、実施形態1及び変形例1~4に示した構成を考慮すると、本願明細書に開示されるコイル40は、以下の構成を備えていると言える。
つまり、コイル40は、モータ1000のステータ100に装着される。モータ1000は、ステータ100と、軸心に出力軸210を、外周側に複数の磁石230をそれぞれ有するとともに、ステータ100の径方向内側に配置されたロータ200と、を少なくとも有している。
コイル40は、螺旋状に巻回された第1~第nターン431~43nからなる巻線部43と、第1ターン431から延びる第1のリード部41と、第nターン43nから延びる第2のリード部42と、を少なくとも有している。
第1~第nターン431~43nの一部または全部の形状が、磁石230で発生した磁束がコイル40に鎖交する部分において、他の部分と異なる。あるいは、磁石230で発生した磁束がコイル40に鎖交する部分において、第1~第nターン431~43nの体積が、他の部分の体積よりも小さい。
以上のように、本実施形態のコイル40は、巻線部43は、モータ1000の軸線方向である軸方向の一方に位置する第1のコイルエンド44と、軸方向の他方側に位置する第2のコイルエンド45と、を有しており、第1のコイルエンド44に含まれる第1~第nターン431~43nと第2のコイルエンド45に含まれる第1~第nターン431~43nとで、一部または全部の形状が異なる。
また、第1のコイルエンド44に含まれる第1~第nターン431~43nのうち、一部のターンまたは全部のターンのそれぞれの厚さが、第2のコイルエンド45に含まれる第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さよりも薄いことが好ましい。
<変形例5>
図15は、変形例5に係るコイルの側面図である。図16は、第1のコイルエンドと第2のコイルエンドの部分模式図である。なお、図15は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図15は、変形例5に係るコイルの側面図である。図16は、第1のコイルエンドと第2のコイルエンドの部分模式図である。なお、図15は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図15,図16に示す本変形例の構成は、第1のコイルエンド44に、コイル40を径方向に見た時に凹形形状を示す第3凹部44aが形成されている点で、実施形態1,2及び変形例3に示す構成と異なっている。なお、図15,図16に示す本変形例のコイル40は、第1のコイルエンド44と第2のコイルエンド45とで、第1~第nターン431~43nのそれぞれの厚さが等しい。
このようにすることで、鎖交磁束量が多い第1のコイルエンド44において、磁石230で発生した磁束が鎖交する部分の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。このことにより、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
本変形例によれば、第1のコイルエンド44において、磁石230で発生した磁束が鎖交する部分を予めシミュレートして、その部分に第3凹部44aを形成することができる。このようにすることで、実施形態2に示す構成よりも、コイル40の体積を増やすことができる。つまり、銅損がさらに低減される。このため、モータ1000の効率を高く維持することができる。
また、第2のコイルエンド45に第4凹部45aが形成されていてもよい。ただし、第3凹部44aと第4凹部45aとの間に以下のいずれかの関係が成立するようにする必要がある。
(条件7)第3凹部44aの個数X5が第4凹部45aの個数X6よりも多い(X5>X6)。
(条件8)第3凹部44aのサイズが第4凹部45aのサイズよりも大きい。例えば、図16に示すように、第3凹部44aの周方向の幅A5が第4凹部45aの周方向の幅A6よりも広くなっている(A5>A6)。あるいは、第3凹部44aの軸方向の深さB5が第4凹部45aの軸方向の深さB6よりも深くなっている(B5>B6)。
(条件9)条件7及び条件8の両方を満足する。
要するに、第1のコイルエンド44に形成された第3凹部44aの全体の体積が、第2のコイルエンド45に形成された第4凹部45aの全体の体積よりも大きくなるようにすればよい。
モータ1000の構造によっては、磁石230で発生した磁束が第2のコイルエンド45に鎖交する場合がある。このような場合に、第2のコイルエンド45に第4凹部45aを設けてもよい。これにより、磁石230で発生した磁束が鎖交する部分のコイル40の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。また、銅損の増加を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率を高く維持できる。
なお、第3凹部44aは、第1のコイルエンド44の第1~第nターン431~43n全体に形成されなくてもよい。例えば、ロータ200に近い側の第1~第k(kはnより小さい自然数)ターンに設けられていてもよい。第4凹部45aについても同様である。
また、図15では、第2のコイルエンド45に第4凹部45aが形成された例を示した。しかし、第2のコイルエンド45での鎖交磁束量が小さければ、第4凹部45aの形成を省略してもよい。
また、第3凹部44a及び第4凹部45aの位置、個数、及びサイズは、磁石230で発生した磁束がコイル40に鎖交する領域に応じて、適宜変更されうる。
以上のように、本変形例のコイル40は、第1のコイルエンド44に含まれる第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第3凹部44aが形成されている。
また、第2のコイルエンド45に含まれる第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第4凹部45aが形成されており、第3凹部44aの全体の体積が、第4凹部45aの全体の体積よりも大きいことが好ましい。
<変形例6>
図17は、変形例6に係るコイルの側面図である。図18は、第1のコイルエンドと第2のコイルエンドの部分模式図であるなお、図11は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図17は、変形例6に係るコイルの側面図である。図18は、第1のコイルエンドと第2のコイルエンドの部分模式図であるなお、図11は、コイル40を径方向内側から見た側面図である。
図17,図18に示す本変形例の構成は、第1のコイルエンド44に第3スリット44bが形成されている点で、変形例5に示す構成と異なっている。
このように、コイル40の第1のコイルエンド44に第3スリット44bを設けるようにしても、変形例4に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。鎖交磁束量が多い第1のコイルエンド44において、磁石230で発生した磁束が鎖交する部分の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。また、銅損を低減できる。これらのことにより、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。
第2のコイルエンド45に第4スリット45bが形成されていてもよい。ただし、第3スリット44bと第4スリット45bとの間に以下のいずれかの関係が成立するようにする必要がある。
(条件10)第3スリット44bの個数X7が第4スリット45bの個数Y8よりも多い(X7>X8)。
(条件11)第3スリット44bのサイズが第4スリット45bのサイズよりも大きい。例えば、図18に示すように、第3スリット44bの軸方向の幅A7が第4スリット45bの軸方向の幅A8よりも広くなっている(A7>A8)。あるいは、第3スリット44bの周方向の幅B7が第4スリット45bの周方向の幅B8よりも広くなっている(B7>B8)。
(条件12)条件10及び条件11の両方を満足する。
要するに、第1のコイルエンド44に形成された第3スリット44bの全体の体積が、第2のコイルエンド45に形成された第4スリット45bの全体の体積よりも大きくなるようにすればよい。
このようにすることで、鎖交磁束量が多い第1のコイルエンド44において、磁石230で発生した磁束が鎖交する部分の体積を減らして、渦電流損を低減することができる。このことにより、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。また、銅損の増加を抑制できる。このことにより、モータ1000の効率を高く維持できる。
なお、第3スリット44bは、第1のコイルエンド44の第1~第nターン431~43n全体に形成されなくてもよい。例えば、ロータ200に近い側の第1~第kターンに設けられていてもよい。第4スリット45bについても同様である。
また、図18では、第2のコイルエンド45に第4スリット45bが形成された例を示したが、第2のコイルエンド45での鎖交磁束量が小さければ、図17に示すように、第4スリット45bの形成を省略してもよい。
また、第3スリット44b及び第4スリット45bの位置、個数、及びサイズは、磁石230で発生した磁束がコイル40に鎖交する領域に応じて、適宜変更されうる。
以上のように、本変形例のコイル40は、第1のコイルエンド44に含まれる第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第3スリット44bが形成されている。
また、第2のコイルエンド45に含まれる第1~第nターン431~43nの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第4スリット45bが形成されており、第3スリット44bの全体の体積が、第4スリット45bの全体の体積よりも大きいことが好ましい。
(その他の実施形態)
なお、各変形例を含む実施形態に示した各構成要素を適宜組み合わせて新たな実施形態とすることもできる。例えば、変形例5に示す巻線部43を実施形態及び変形例1~4,6に示す構成に適用するようにしてもよい。
なお、各変形例を含む実施形態に示した各構成要素を適宜組み合わせて新たな実施形態とすることもできる。例えば、変形例5に示す巻線部43を実施形態及び変形例1~4,6に示す構成に適用するようにしてもよい。
例えば、変形例3に示すコイル40において、第1のコイルエンド44に第3凹部44aを設けるようにしてもよい。第2のコイルエンド45に第4凹部45aを設けるようにしてもよい。このようにすることで、図13に示す構造のモータ1000において、磁石230で発生した磁束がコイル40に鎖交する部分での渦電流損を確実に低減できる。また、銅損が増加するのを抑制できる。これらのことにより、モータ1000の効率を高く維持できる。
実施形態2や変形例5,6では、磁石230で発生した磁束が第1のコイルエンド44に鎖交する例を示したが、モータ1000の構造によっては、磁石230で発生した磁束が第2のコイルエンド45に鎖交することもある。このような場合は、第1のコイルエンド44に施された変形を第2のコイルエンド45に施すようにするとよい。例えば、第2のコイルエンド45に含まれる第1~第nターン43nのそれぞれの厚さを、第1のコイルエンド44に含まれる第1~第nターン43nのそれぞれの厚さよりも薄くするようにする。または、第2のコイルエンド45に形成された第4凹部45aの全体の体積を、第1のコイルエンド44に形成された第3凹部44aの全体の体積よりも大きくなるようにする。あるいは、第2のコイルエンド45に形成された第4スリット45bの全体の体積を、第1のコイルエンド44に形成された第3スリット44bの全体の体積よりも大きくなるようにする。
このようにすることで、磁石230で発生した磁束がコイル40に鎖交する部分での渦電流損を確実に低減できる。また、銅損が増加するのを抑制できる。これらのことにより、モータ1000の効率を高く維持できる。
なお、コイル40を構成する導線の断面形状は四角形に特に限定されず、他の形状であってもよい。例えば、m角形(mは3以上の整数)であってもよい。また、楕円形であってもよい。
本発明のコイルは、ロータに設けられた磁石やコイルに起因した渦電流損を低減できる。このため、高い効率が要求されるモータに適用する上で有用である。
10 ティース
20 ヨーク
30 スロット
40 コイル
41 第1のリード部
42 第2のリード部
43 巻線部
431~43n 第1~第nターン
44 第1のコイルエンド(第1の辺部)
44a 第3凹部
44b 第3スリット
45 第2のコイルエンド(第2の辺部)
45a 第4凹部
45b 第4スリット
46 第3の辺部(遅れ側)
46a 第1凹部
46b 第1スリット
47 第4の辺部(進み側)
47a 第2凹部
47b 第2スリット
50,51 インシュレータ
50a 溝部
100 ステータ
200 ロータ
210 出力軸
220 ロータコア
230 磁石
1000 モータ
20 ヨーク
30 スロット
40 コイル
41 第1のリード部
42 第2のリード部
43 巻線部
431~43n 第1~第nターン
44 第1のコイルエンド(第1の辺部)
44a 第3凹部
44b 第3スリット
45 第2のコイルエンド(第2の辺部)
45a 第4凹部
45b 第4スリット
46 第3の辺部(遅れ側)
46a 第1凹部
46b 第1スリット
47 第4の辺部(進み側)
47a 第2凹部
47b 第2スリット
50,51 インシュレータ
50a 溝部
100 ステータ
200 ロータ
210 出力軸
220 ロータコア
230 磁石
1000 モータ
Claims (18)
- モータのステータに装着されるコイルであって、
前記モータは、
前記ステータと、
軸心に出力軸を、外周側に複数の磁石をそれぞれ有するとともに、前記ステータの径方向内側に配置されたロータと、を少なくとも有し、
前記コイルは、
螺旋状に巻回された第1~第n(nは2以上の整数)ターンからなる巻線部と、
前記第1ターンから延びる第1のリード部と、
前記第nターンから延びる第2のリード部と、を少なくとも有し、
前記第1~第nターンの一部または全部の形状が、前記磁石または前記コイルで発生した磁束が前記コイルに鎖交する部分において、他の部分と異なるコイル。 - 前記ロータの主回転方向の遅れ側と進み側とで、前記第1~第nターンの一部または全部の形状が異なる請求項1に記載のコイル。
- 前記ロータの主回転方向の遅れ側に位置する前記第1~第nターンのうち、一部のターンまたは全部のターンのそれぞれの厚さが、前記ロータの主回転方向の進み側に位置する前記第1~第nターンのそれぞれの厚さよりも薄い請求項2に記載のコイル。
- 前記ロータの主回転方向の遅れ側に位置する前記第1~第nターンのうち前記ロータに近い1つまたは複数のターンの厚さが、他のターンの厚さよりも薄い請求項3に記載のコイル。
- 前記ロータの主回転方向の遅れ側に位置する第kターン(kは整数で、1≦k≦n)の幅が、前記ロータの主回転方向の進み側に位置する第kターンに対応するターンの幅よりも狭い請求項2に記載のコイル。
- 前記第kターンは、前記第1~第nターンの中で前記ロータに近い側に位置している請求項5に記載のコイル。
- 前記ロータの主回転方向の遅れ側に位置する前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第1凹部が形成されている請求項2に記載のコイル。
- 前記ロータの主回転方向の進み側に位置する前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第2凹部が形成されており、
前記第1凹部の全体の体積が、前記第2凹部の全体の体積よりも大きい請求項7に記載のコイル。 - 前記ロータの主回転方向の遅れ側に位置する前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第1スリットが形成されている請求項2に記載のコイル。
- 前記ロータの主回転方向の進み側に位置する前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第2スリットが形成されており、
前記第1スリットの全体の体積が、前記第2スリットの全体の体積よりも大きい請求項9に記載のコイル。 - 前記巻線部は、
前記モータの軸線方向である軸方向の一方に位置する第1のコイルエンドと、
前記軸方向の他方側に位置する第2のコイルエンドと、を有しており、
前記第1のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンと前記第2のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンとで、一部または全部の形状が異なる請求項1から10のいずれか1項に記載のコイル。 - 前記第1のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンのうち、一部のターンまたは全部のターンのそれぞれの厚さが、前記第2のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンのそれぞれの厚さよりも薄い請求項11に記載のコイル。
- 前記第1のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第3凹部が形成されている請求項11に記載のコイル。
- 前記第2のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第4凹部が形成されており、
前記第3凹部の全体の体積が、前記第4凹部の全体の体積よりも大きい請求項13に記載のコイル。 - コイルにおいて、
前記第1のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第3スリットが形成されている請求項11に記載のコイル。 - 前記第2のコイルエンドに含まれる前記第1~第nターンの一部または全部に、少なくとも1つ以上の第4スリットが形成されており、
前記第3スリットの全体の体積が、前記第4スリットの全体の体積よりも大きい請求項15に記載のコイル。 - 軸心に出力軸を、外周側に複数の磁石をそれぞれ有するロータと、前記ロータの径方向外側に前記ロータと所定の間隔をあけて設けられたステータと、を少なくとも備え、
前記ステータは、
環状のヨークと、
前記ヨークの内周に接続された複数のティースと、
前記複数のティースのそれぞれに装着された複数のコイルと、を少なくとも有し、
前記複数のコイルのそれぞれは、請求項1から16のいずれか1項に記載のコイルであるモータ。 - 前記コイルは、単層巻きされた状態で前記ティースに装着されている請求項17に記載のモータ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019224773 | 2019-12-12 | ||
PCT/JP2020/037389 WO2021117320A1 (ja) | 2019-12-12 | 2020-10-01 | コイル及びそれを備えたモータ |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2021117320A1 JPWO2021117320A1 (ja) | 2021-06-17 |
JPWO2021117320A5 true JPWO2021117320A5 (ja) | 2022-08-05 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2021563759A Pending JPWO2021117320A1 (ja) | 2019-12-12 | 2020-10-01 |
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JP (1) | JPWO2021117320A1 (ja) |
WO (1) | WO2021117320A1 (ja) |
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JP2008167593A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Toyota Motor Corp | モータの固定子及びモータのコイル製造方法 |
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-
2020
- 2020-10-01 JP JP2021563759A patent/JPWO2021117320A1/ja active Pending
- 2020-10-01 WO PCT/JP2020/037389 patent/WO2021117320A1/ja active Application Filing
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