JPWO2021085240A1 - 樹脂組成物及びコネクター - Google Patents
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Abstract
Description
加えて、小型化及び薄型化された電子部品の製造には、優れた流動性を有するとともに、得られる成形品のそりや変形が少ない樹脂組成物が求められる。
[1](A)全芳香族ポリエステルと、(B)繊維状充填剤と、(C)板状充填剤と、を含み、 (A)全芳香族ポリエステルは、必須の構成成分として下記構成単位(I)〜(IV)を含有し、全構成単位に対して、構成単位(I)の含有量が40〜75モル%であり、構成単位(II)の含有量が0.5〜7.5モル%であり、構成単位(III)の含有量が8.5〜30モル%であり、及び構成単位(IV)の含有量が8.5〜30モル%であり、かつ、構成単位(III)の含有量と構成単位(IV)の含有量との差が0.150モル%以下であり、(A)全芳香族ポリエステルの含有量が57.5〜80質量%であり、(B)繊維状充填剤の含有量が樹脂組成物全体に対して1.5〜15質量%であり、(C)板状充填剤の含有量が樹脂組成物全体に対して12.5〜35質量%であり、(B)繊維状充填剤及び(C)板状充填剤の総量が樹脂組成物全体に対して20.0〜42.5質量%であり、(B)繊維状充填剤の重量平均繊維長が、200μm未満である、樹脂組成物。
[2]構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計の含有量が、(A)全芳香族ポリエステルの全構成単位に対して100モル%である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記(B)繊維状充填剤がミルドガラスファイバーを含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記(C)板状充填剤が、タルク及びマイカからなる群より選ばれる1以上を含む、[1]から[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]コネクター製造用である、[1]から[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]コネクターを製造するための、[1]から[4]のいずれかに記載の樹脂組成物の使用。
[7][1]から[4]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、成形品。
[8][1]から[4]のいずれかに記載の樹脂組成物を含み、製品全長が30mm未満であり、製品高さが5mm未満である、コネクター。
[9]低背狭ピッチコネクターである、[8]に記載のコネクター。
[10]ピッチ間距離が0.5mm以下であり、製品全長が3.5mm以上であり、製品高さが4.0mm以下であり、基板対基板コネクター又はフレキシブルプリント基板用コネクターである低背狭ピッチコネクターである、[8]又は[9]に記載のコネクター。
樹脂組成物は、(A)全芳香族ポリエステルと、(B)繊維状充填剤と、(C)板状充填剤と、を含む。
全芳香族ポリエステルは、必須の構成成分として下記構成単位(I)〜(IV)を含有する。必須の構成成分として下記構成単位(I)〜(IV)を含有するので、電子部品に求められる優れた耐熱性及び機械的強度(特に高温環境下での機械強度)を有する成形品を与えることができるとともに、汎用の溶融加工機器で加工できる程度の融点に融点を下げることができるので小型化及び/又は薄型化された電子部品を成形する場合も優れた成形性を実現できる。
一実施形態において、140℃から200℃、200℃から270℃、270℃から360℃に分けて昇温速度を変更して(例えば、昇温速度を段階的に大きくして)昇温させることができる。
一実施形態において、140℃から200℃への昇温速度を、0.4℃/分以上0.8℃/分未満にすることができる。200℃から270℃への昇温速度を、0.8℃/分以上1.2℃/分以下にすることができる。270℃から360℃への昇温速度を、0.4℃/分以上1.2℃/分以下にすることができる。
一実施形態において、重合反応時の温度を140℃から360℃まで段階的に分けて(2段階以上、又は3段階以上に分けて)昇温させることができる。重合反応時の温度を140℃から360℃まで段階的に分けて昇温させることで、得られる全芳香族ポリエステル中の構成単位(III)の含有量と構成単位(IV)の含有量との差を容易に0.150モル%以下にすることができる。
一実施形態において、140℃から200℃、200℃から270℃、270℃から360℃に分けて昇温速度を変更して昇温させることができる。
一実施形態において、140℃から200℃への昇温速度を、0.4℃/分以上0.8℃/分未満にすることができる。200℃から270℃への昇温速度を、0.8℃/分以上1.2℃/分以下にすることができる。270℃から360℃への昇温速度を、0.4℃/分以上1.2℃/分以下にすることができる。
樹脂組成物は、繊維状充填剤を含む。繊維状充填剤を含むので、高温剛性に優れるとともにそり変形が抑制されている成形品を与えることができる。繊維状充填剤としては、特に限定されず、ガラス繊維、ミルドガラスファイバー、カーボン繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ケイ酸カルシウムウィスカー(ウォラストナイト)等が挙げられる。繊維状充填剤は、樹脂組成物から得られる成形品の高温剛性が向上しやすい点で、ミルドガラスファイバー及びケイ酸カルシウムウィスカー(ウォラストナイト)から選択される1種以上を含むことが好ましく、ミルドガラスファイバーを含むことがより好ましい。
繊維状充填剤の重量平均繊維長は、好ましくは170μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。重量平均繊維長の下限としては、特に限定されず、50μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましい。上記重量平均繊維長が50μm以上であると、樹脂組成物から成形される成形品の高温剛性が十分となりやすいため好ましい。
繊維状充填剤の含有量は、好ましくは樹脂組成物全体に対して2〜15質量%であり、より好ましくは2.5〜15質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。
樹脂組成物は、板状充填剤を含む。板状充填剤を含むので、そり変形が抑制された成形品を得ることができる。板状充填剤としては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。樹脂組成物の流動性を悪化させることなく、樹脂組成物から得られる成形品のそり変形を抑制させるという点でタルク及びマイカから選択される1種以上を含むことが好ましく、タルクを含むことがより好ましい。
板状充填剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
タルクとしては、当該タルクの全固形分量に対して、Fe2O3、Al2O3及びCaOの合計含有量が2.5質量%以下であり、Fe2O3及びAl2O3の合計含有量が1.0質量%超2.0質量%以下であり、かつCaOの含有量が0.5質量%未満であるものが好ましい。即ち、タルクは、その主成分たるSiO2及びMgOの他、Fe2O3、Al2O3及びCaOのうちの少なくとも1種を含有し、各成分を上記の含有量範囲で含有するものであってもよい。
マイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカとしては、白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等が挙げられるが、これらのうち色相が良好であり、低価格であるという点で白雲母が好ましい。
マイカは、湿式粉砕する際に凝集沈降剤及び/又は沈降助剤を使用していないものが好ましい。凝集沈降剤及び/又は沈降助剤で処理されていないマイカを使用すると、樹脂組成物中のポリマーの分解が生じにくく、多量のガス発生やポリマーの分子量低下等が起きにくいため、得られるコネクター等の成形品の性能をより良好に維持するのが容易である。
板状充填剤の含有量は、好ましくは樹脂組成物全体に対して15〜35質量%であり、より好ましくは16〜33質量%であり、更に好ましくは17.5〜32質量%である。
樹脂組成物において、繊維状充填剤及び板状充填剤の総量は、樹脂組成物全体に対して20〜42.5質量%である。上記総量が、樹脂組成物全体に対して20質量%未満であると、樹脂組成物から得られるコネクター等の成形品は、荷重たわみ温度が低く、高温剛性が十分ではなく、また、そり変形が大きくなる恐れがあるため好ましくない。上記総量が、樹脂組成物全体に対して42.5質量%超であると、樹脂組成物の流動性が悪化し、低背狭ピッチコネクターなどの小型及び薄型の成形品を製造する際の成形性が劣るため好ましくない。上記総量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは20〜40質量%であり、より好ましくは20〜35.5質量%であり、更に好ましくは22.5〜35質量%である。
樹脂組成物には、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、一般的に入手可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪酸エステル類、脂肪酸金属塩類、脂肪酸アミド類、低分子量ポリオレフィン等が挙げられ、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート)が好ましい。
樹脂組成物には、上記の成分の他に、核剤、カーボンブラック、無機焼成顔料等の顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、難燃剤、及び上記成分(B)及び(C)以外の公知の無機充填剤のうちの1種以上を、5質量%以下配合してもよい。
また、樹脂組成物には、上記全芳香族ポリエステル以外の液晶性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の他の熱可塑性樹脂を、樹脂組成物全体に対して、7質量%以下、又は5質量%以下配合してもよい。
上記した本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリマー重合時の昇華物に由来する異物の混入が少ない。樹脂組成物中への異物混入の有無は、樹脂組成物をホットプレスで作製したフィルム(0.5g/枚、膜厚100μm)に白色のバックライトを当て、ルーペを用いて異物の個数を確認することで評価することができる。異物の混入が抑制された樹脂組成物は、射出成形時のゲート詰まりを抑制することができ成形安定性に優れるとともに、得られる成形品への異物の混入の抑制することができる。その結果、樹脂組成物から形成された電子部品の導通不良を抑制することができる。
樹脂組成物は、樹脂組成物から成形される0.8mm厚の成形品のASTM D790に準拠した曲げ試験において、曲げ破断歪が2.4%以上であることが好ましい。
樹脂組成物は、樹脂組成物から成形される0.8mm厚の成形品のASTM D790に準拠した曲げ試験において、曲げ弾性率が12000MPa以上であることが好ましい。
樹脂組成物の製造方法は、樹脂組成物中の成分を均一に混合できれば特に限定されず、従来知られる樹脂組成物の製造方法から適宜選択することができる。例えば、1軸又は2軸押出機等の溶融混練装置を用いて、各成分を溶融混練して押出した後、得られた樹脂組成物を粉末、フレーク、ペレット等の所望の形態に加工する方法が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、流動性に優れるとともに異物の混入が少なく、かつそり及び/又は変形が少ない成形品を製造することができるので、コネクター、CPUソケット、リレースイッチ部品、ボビン、アクチュエータ、ノイズ低減フィルターケース、電子回路基板又はOA機器の加熱定着ロール等の製造に好ましく用いることができる。流動性に優れ、かつ異物の混入による導通不良の発生を抑制することもできるので、特に、低背狭ピッチコネクター等のコネクターの製造に好ましく用いることができる。例えば、製品全長が30mm未満であり、製品高さが5mm未満である低背狭ピッチコネクターの製造用に好ましく用いることができる。
本実施形態に係る成形品は、上記本実施形態に係る樹脂組成物から成形され、上記樹脂組成物を含む。樹脂組成物から形成されるので、異物の混入が少なく、かつそり及び/又は変形が少ない成形品にすることができる。
本実施形態に係るコネクターは、上記本実施形態に係る樹脂組成物から成形され、上記樹脂組成物を含む。樹脂組成物から形成されるので、異物の混入が少なく、かつそり及び/又は変形が少ないコネクターにすることができる。異物の混入が少ないので、導通不良を防ぐことができる。
例えば、製品全長が30mm未満であり、好ましくは20mm以下であり、製品幅が3mm未満であり、好ましくは2mm未満であり、製品高さが5mm未満であり、好ましくは4.5mm未満であるコネクターが挙げられる。製品全長が30mm未満であり、製品高さが5mm未満であるコネクターとしては、特に限定されず、例えば、低背狭ピッチコネクター、同軸コネクター、マイクロSIMコネクター、マイクロSDコネクター等が挙げられる。
中でも、低背狭ピッチコネクターが好適である。「低背狭ピッチコネクター」とは、低背化及び狭ピッチ化されたコネクターである。低背狭ピッチコネクターとしては、特に限定されず、例えば、基板対基板コネクター(「BtoBコネクター」としても知られる)、フレキシブルプリント基板用コネクター(フレキシブルプリント基板(FPC)とフレキシブルフラットケーブル(FFC)とを接続するために使用され、「FPCコネクター」としても知られる)等が挙げられる。中でも、ピッチ間距離が0.5mm以下であり、製品全長が3.5mm以上30mm未満であり、製品高さが4.0mm以下であり、基板対基板コネクター又はフレキシブルプリント基板用コネクターである低背狭ピッチコネクターが好適である。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸 0.883モル(48モル%)(HNA)
(II)4−ヒドロキシ安息香酸 0.037モル(2モル%)(HBA)
(III)1,4−フェニレンジカルボン酸 0.46モル(25モル%)(TA)
(IV)4,4’−ジヒドロキシビフェニル 0.46モル(25モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒 150ppm
トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)触媒 150ppm
無水酢酸 1.91モル(HBAとBPとの合計の水酸基当量の1.04倍)
原料モノマーの種類、使用量(モル%)、昇温速度を表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーを得た。
[合成例9〜14]
原料モノマーの種類、使用量(モル%)、昇温速度を表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーを得た。
合成例1〜14における溶融重合において、還流カラム及びリアクター上部の質量変化から、昇華物量を測定した。評価結果を表1,2に示す。
合成例1〜14の全芳香族ポリエステルについて、融点、溶融粘度、末端基量を以下の方法で測定した。結果を表1,2に示す。
示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製)にて、全芳香族ポリエステルを室温から20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の測定後、(Tm1+40)℃の温度で2分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度、20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピークの温度を測定した。
キャピログラフ((株)東洋精機製作所製)を使用し、温度380℃で、内径0.5mm、長さ30mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、全芳香族ポリエステルの溶融粘度を測定した(合成例4、8の溶融粘度は温度350℃で測定した)。
Polymer Degradation and Stability 76(2002)85−94に記載される、熱分解ガスクロマトグラフィー法によってモノマー組成を算出した。具体的には、熱分解装置(フロンティア・ラボ(株)製「PY2020iD」)を用いて、全芳香族ポリエステルを水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)共存下で加熱し、熱分解/メチル化によりガスを発生させた。このガスをガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー(株)製「GC−6890N」)を用いて分析し、1,4−フェニレンジカルボン酸に由来するピーク面積と4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来するピーク面積との比から、1,4−フェニレンジカルボン酸から誘導される構成単位の含有量と4,4’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される構成単位の含有量との差を算出した。
合成例1で得られた全芳香族ポリエステルと、下記の成分とを二軸押出機を使用して混合し、樹脂組成物を得た。押出条件は以下のとおりである。各成分の配合量は表1に示したとおりである。
(B)繊維状充填剤
ミルドガラスファイバー(ミルドファイバー):日本電気硝子(株)製「EPH−80M」、繊維径10.5μm、平均繊維長80μm(メーカー公称値)
ケイ酸カルシウムウィスカー(ウォラストナイト):IMERYS社製「 NYGLOS 8」、平均繊維径8μm、平均繊維長130μm、アスペクト比16)
なお、上記のメーカー公称値は、組成物中での実測値(重量平均繊維長)とは異なっている。重量平均繊維長については、後述する。
(C)板状充填剤
タルク:松村産業(株)製「クラウンタルクPP」、平均粒径10μm
マイカ:(株)山口雲母工業製「AB−25S」、平均粒径25μm
離型剤:ペンタエリスリトールテトラステアレート(エメリーオレオケミカルズジャパン(株)製)
メインフィード口に設けられたシリンダーの温度を250℃とし、他のシリンダーの温度はすべて360℃とした。全芳香族ポリエステルはすべてをメインフィード口から供給した。また、充填剤はサイドフィード口から供給した。
各成分の配合量を表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[実施例10,11、比較例7〜16]
各成分の配合量を表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
樹脂組成物中の繊維状充填剤の重量平均繊維長、及び樹脂組成物の各種物性等を下記の方法で測定した。結果を表1,2に示す。
樹脂組成物ペレット5gを600℃で2時間加熱し灰化した。灰化残渣を5質量%ポリエチレングリコール水溶液に十分分散させた後、スポイトでシャーレに移し、顕微鏡で繊維状充填剤を観察した。同時に画像測定器((株)ニレコ製LUZEXFS)を用いて繊維状充填剤の重量平均繊維長を測定した。すなわち、灰化残渣の繊維状充填剤約100本が撮影された実体顕微鏡画像をCCDカメラからPCに取り込み、画像測定機によって画像処理手法により測定した。これを10回繰り返し、繊維状充填剤の本数が約1000本となったときの測定値の平均値を重量平均繊維長とした。
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、全芳香族ポリエステルの融点よりも10〜30℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、樹脂組成物の溶融粘度を測定した。
以下の基準に従って評価した。
2(良好):溶融粘度が50Pa・s以下であった。
1(不良):溶融粘度が50Pa・s超であった。
なお、測定温度は、以下のとおりである。
合成例1〜3、5〜7、9〜14の全芳香族ポリエステルを使用した樹脂組成物:380℃
合成例4、8の全芳香族ポリエステルを使用した樹脂組成物:350℃
高温対応ホットプレス機((株)東洋精機製作所製「NP−SNH」)を用いて樹脂組成物をフィルム化(0.5g/枚、膜厚100μm)した。フィルムに白色のバックライトを当て、ルーペを用いて、0.3mm以上の異物の個数を確認した。この異物の個数の確認をフィルム5枚(2.5g)に対して行い、単位重量あたりの異物の個数を求めた。
以下の基準に従って評価した。
2(良好):異物の個数が0個/gであった。
1(不良):異物の個数が1個/g以上であった。
下記成形条件で、樹脂組成物を射出成形して130mm×13mm×0.8mmの成形品を得、ASTM D790に準拠し、曲げ強度、曲げ破断歪、及び曲げ弾性率を測定した。
<成形条件>
成形機:住友重機械工業、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1〜7、実施例9〜11、比較例1〜5、比較例7〜16)
340℃(実施例8、比較例6)
金型温度:80℃
射出速度:33mm/sec
保圧:50MPa
曲げ強度
2(良好):上記曲げ強度が160MPa以上であった。
1(不良):上記曲げ強度が160MPa未満であった。
曲げ破断歪
2(良好):上記曲げ破断歪が2.4%以上であった。
1(不良):上記曲げ破断歪が2.4%未満であった。
曲げ弾性率
2(良好):上記曲げ弾性率が12000MPa以上であった。
1(不良):上記曲げ弾性率が12000MPa未満であった。
下記成形条件で、樹脂組成物を射出成形して4mm×10mm×80mmの成形品を得、ISO75−1,2に準拠して荷重たわみ温度を測定した。
<成形条件>
成形機:住友重機械工業、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1〜7、実施例9〜11、比較例1〜5、比較例7〜16)
340℃(実施例8、比較例6)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
保圧:50MPa
2(良好):上記荷重たわみ温度が260℃以上であった。
1(不良):上記荷重たわみ温度が260℃未満であった。
下記成形条件で、樹脂組成物を射出成形して12.5mm×120mm×0.8mmの成形品を得、この成形品30個を所定温度のシリコーンオイルに浸漬して、洗剤で洗浄後、自然乾燥し、目視にて表面にブリスターが発生しているかどうかを調べた。ブリスター温度は、成形品30個中、ブリスターの発生個数がゼロとなる最低温度とした。
<成形条件>
成形機:住友重機械工業、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1〜7、実施例9〜11、比較例1〜5、比較例7〜16)
340℃(実施例8、比較例6)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
2(良好):上記ブリスター温度が260℃以上であった。
1(不良):上記ブリスター温度が260℃未満であった。
下記成形条件で、樹脂組成物を射出成形し(ゲート:トンネルゲート、ゲートサイズ:φ0.4mm)、図1に示すような、全体の大きさ17.6mm×4.00mm×1.16mm、ピッチ間距離0.5mm、ピン孔数30×2ピン、最小肉厚:0.12mmのFPCコネクターを得た。
<成形条件>
成形機:住友重機械工業、SE30DUZ
シリンダー温度:
370℃(実施例1〜7、実施例9〜11、比較例1〜5、比較例7〜16)
340℃(実施例8、比較例6)
金型温度:80℃
射出速度:200mm/sec
保圧:50MPa
<IRリフロー条件>
測定機:日本パルス技術研究所製大型卓上リフローハンダ付け装置RF−300(遠赤外線ヒーター使用)
試料送り速度:140mm/sec
リフロー炉通過時間:5分
プレヒートゾーンの温度条件:150℃
リフローゾーンの温度条件:190℃
ピーク温度:251℃
IRリフロー前
2(良好):上記そりが0.03mm以下であった。
1(不良):上記そりが0.03mm超であった。
IRリフロー後
2(良好):上記そりが0.07mm以下であった。
1(不良):上記そりが0.07mm超であった。
上述の方法で測定したリフロー前後のそりの差をFPCコネクター変形量として求めた。以下の基準に従って評価した。
2(良好):上記変形量が0.04mm以下であった。
1(不良):上記変形量が0.04mm超であった。
図1のFPCコネクターを射出成形する際に良好な成形品を得られる最小の射出充填圧力を最小充填圧力として測定した。以下の基準に従って評価した。
2(良好):上記最小充填圧力が110MPa以下であった。
1(不良):上記最小充填圧力が110MPa超であった。
図3に記載の金型を用いて、以下の条件で成形評価を行った。
<成形条件>
金型:トンネルゲート型、ゲート直径0.1mm、2個取り(同じ形状の金型2個に同時に射出する)
シリンダー温度:
370℃(実施例1〜7、実施例9〜11、比較例1〜5、比較例7〜16)
340℃(実施例8、比較例6)
金型温度:80℃
射出速度:33mm/sec
保圧:50MPa
ショット数:360ショット
成形安定性及び成形品への異物混入の有無を、以下の基準で評価した。
2(成形安定性に優れ、異物が少ない):ゲート詰まりが発生しなかった。
1(成形安定性が劣り、異物が多い):ゲート詰まりが1回以上発生した。
Claims (10)
- (A)全芳香族ポリエステルと、(B)繊維状充填剤と、(C)板状充填剤と、を含み、
(A)全芳香族ポリエステルは、必須の構成成分として下記構成単位(I)〜(IV)を含有し、全構成単位に対して、構成単位(I)の含有量が40〜75モル%であり、構成単位(II)の含有量が0.5〜7.5モル%であり、構成単位(III)の含有量が8.5〜30モル%であり、及び構成単位(IV)の含有量が8.5〜30モル%であり、かつ、構成単位(III)の含有量と構成単位(IV)の含有量との差が0.150モル%以下であり、
(A)全芳香族ポリエステルの含有量が57.5〜80質量%であり、
(B)繊維状充填剤の含有量が樹脂組成物全体に対して1.5〜15質量%であり、
(C)板状充填剤の含有量が樹脂組成物全体に対して12.5〜35質量%であり、
(B)繊維状充填剤及び(C)板状充填剤の総量が樹脂組成物全体に対して20.0〜42.5質量%であり、
(B)繊維状充填剤の重量平均繊維長が、200μm未満である、樹脂組成物。
- 構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計の含有量が、(A)全芳香族ポリエステルの全構成単位に対して100モル%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)繊維状充填剤がミルドガラスファイバーを含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記(C)板状充填剤が、タルク及びマイカからなる群より選ばれる1以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- コネクター製造用である、請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- コネクターを製造するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物の使用。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、成形品。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含み、製品全長が30mm未満であり、製品高さが5mm未満である、コネクター。
- 低背狭ピッチコネクターである、請求項8に記載のコネクター。
- ピッチ間距離が0.5mm以下であり、
製品全長が3.5mm以上であり、
製品高さが4.0mm以下であり、
基板対基板コネクター又はフレキシブルプリント基板用コネクターである低背狭ピッチコネクターである、請求項8又は9に記載のコネクター。
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