JPWO2021039935A5 - - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JPWO2021039935A5
JPWO2021039935A5 JP2021543021A JP2021543021A JPWO2021039935A5 JP WO2021039935 A5 JPWO2021039935 A5 JP WO2021039935A5 JP 2021543021 A JP2021543021 A JP 2021543021A JP 2021543021 A JP2021543021 A JP 2021543021A JP WO2021039935 A5 JPWO2021039935 A5 JP WO2021039935A5
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
nucleic acid
independently
acid compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021543021A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021039935A1 (ja
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority claimed from PCT/JP2020/032476 external-priority patent/WO2021039935A1/ja
Publication of JPWO2021039935A1 publication Critical patent/JPWO2021039935A1/ja
Publication of JPWO2021039935A5 publication Critical patent/JPWO2021039935A5/ja
Priority to JP2023191159A priority Critical patent/JP2024009042A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Description

本開示は、核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物に関する。
オリゴヌクレオチドの合成方法には、リン酸トリエステル法、H-ホスホネート法、ホスホロアミダイト法などがあり、現在ではホスホロアミダイト法を用いた固相合成(固相法)が最も汎用されている。
固相法はプロセス最適化がなされ自動化も進んでおり、スピード面で有利であるが、設備制約上スケールアップに制限があり、試薬及び原料を過剰に使用し、途中段階での反応の進行状況の確認、中間体構造解析等も困難という問題があった。
液相法は、反応性も良好で、縮合反応の後に抽出洗浄、単離等により中間体の精製を行えるという利点を有している。しかし、残留試薬及び副生成物を除去するための抽出洗浄工程、又は、結晶化などの単離精製工程が必要であるなど操作が煩雑であり、更に収率も低いため、多重合度のオリゴヌクレオチドを大量かつ迅速に合成することは困難であった。
また、従来の合成方法としては、特許文献1又は特許文献2に記載されたオリゴヌクレオチドの合成方法が知られている。
特許文献1:特開2016-179993号公報
特許文献2:国際公開第2014/077292号公報
本発明の一実施形態によれば、収率に優れる核酸化合物の製造方法を提供することである。
また、本発明の更に他の一実施形態によれば、新規な核酸化合物を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> リボース構造の3位又は5位のいずれか一方を下記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物を用いた、核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000012
式(1)中、環Aは縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
波線部分及び*は、他の構造との結合位置を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
<2> 上記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物が、下記式(2)で表される化合物である、<1>に記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000013
式(2)中、mは、0以上の任意の整数を表し、
nは1~6を表し、
Baseはそれぞれ独立に、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、
は、水素原子、又は、ヒドロキシ保護基を表し、
は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基を表し、
は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表し、
Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表し、
Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
はそれぞれ独立に、単結合、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
*は、Lとの結合位置を表し、
**は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
<3> 上記式(2)におけるRが、酸素原子又は硫黄原子であり、かつ、Rがヒドロキシ基である、<2>に記載の核酸化合物の製造方法。
<4> 上記Pが、弱酸で脱保護可能なヒドロキシ保護基を表し、かつ、
工程A;リボース構造の3位の末端に上記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物におけるリボース構造の5位末端の保護基を脱保護する工程と、
工程B;上記工程Aで得られた核酸化合物と、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化されかつ5位のヒドロキシ基が弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程と、
工程C;上記工程Bで得られた核酸化合物に、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程と、
工程D;上記工程Cで得られた核酸化合物を沈殿する工程と、
をこの順に含む液相合成法を用いた、<1>~<3>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<5> 上記Pが、水素原子を表し、かつ、
工程B;リボース構造の3位末端に上記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物と、3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程と、
工程C;上記工程Bで得られた核酸化合物に、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程と、
工程A;上記工程Cで得られた核酸化合物の5位末端の保護基を脱保護する工程と、
工程D;上記工程Aで得られた核酸化合物を沈殿する工程と、
をこの順に含む液相合成法を用いた、<1>~<3>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<6> 上記式(2)におけるLが下記式(1L)で表される基である、<2>又は<3>に記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000014
式(1L)中、*は、Yとの結合位置を表し、**はリボース構造の3位における酸素原子との結合位置を表し、
は、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
は、単結合、又は、#-C(=O)N(R2L)-R1L-N(R3L)-##を表し、
#は、Lとの結合位置を表し、
##は、C=Oとの結合位置を表し、
1Lは、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
2L及びR3Lはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~22であるアルキル基を表し、
2L及びR3Lは、互いに結合して炭素数が1~22であるアルキレン基を形成していてもよい。
<7> 上記式(1)で表される構造における環Aが、ナフタレン環である<1>~<6>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<8> 全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<9> 上記式(1)で表される構造が、下記式(10)~式(30)のいずれかで表される構造を有する、<1>~<8>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000015
式(10)、式(20)、又は、式(30)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、縮合多環芳香族炭化水素環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個又は2個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。
<10> 上記式(10)、式(20)、又は、式(30)におけるRがそれぞれ独立に、下記式(1f)又は式(a1)で表される基である、<9>に記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000016
式(f1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Rはそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Arは(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000017
式(a1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、R20の少なくとも1つは、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基である。
<11> 上記式(f1)で表される基が、下記式(f2)で表される基である<10>に記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000018
式(f2)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m10は、1~3の整数を表し、m11は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
<12> 上記式(1)で表される構造における環Aが、インドール環、又は、カルバゾール環、を有する、<1>~<6>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<13> 上記式(1)で表される構造における環Aが、下記式(40)で表される構造である、<1>~<6>及び<12>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000019
式(40)中、Rr10は、置換基、又は、Rを表し、Rr11~Rr14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基、Y、又は、Rを表し、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、ただし、Rr11~Rr14の少なくとも1つはYであり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個以上のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rr11とRr12、又は、Rr13とRr14はそれぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
<14> 上記式(1)で表される構造が、下記式(400)又は式(50)のいずれかで表される構造である、<1>~<6>、<12>及び<13>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000020
式(400)及び式(50)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、芳香族複素環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n40は、0~5の整数を表し、n50は、0~7の整数を表す。
<15> 上記1個以上のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、14以上である、<1>~<6>及び<12>~<14>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<16> 全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、40以上である、<1>~<6>及び<12>~<15>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<17> 上記式(400)又は式(50)におけるRがそれぞれ独立に、下記式(f1)又は式(a1)で表される基である、<14>に記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000021
式(f1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Rはそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Arは(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000022
式(a1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、R20の少なくとも1つは、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基である。
<18> 上記式(f1)で表される基が、下記式(f2)で表される基である<17>に記載の核酸化合物の製造方法。
Figure 2021039935000023
式(f2)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m10は、1~3の整数を表し、m11は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
<19> リボース構造の3位又は5位のいずれか一方のヒドロキシ基が下記式(1a)で表される構造により保護された核酸化合物。
Figure 2021039935000024
式(1a)中、環Aは縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
波線部分及び*は、リボース構造の3位又は5位のヒドロキシ基との結合位置又は他の構造との結合位置を表し、
**は、環Aとの結合位置を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
<20> 上記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物が、下記式(2)で表される化合物である、<19>に記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000025
式(2)中、mは、0以上の任意の整数を表し、
nは1~6を表し、
Baseはそれぞれ独立に、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、
は、水素原子、又は、ヒドロキシ保護基を表し、
は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基を表し、
は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表し、
Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表し、
Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
はそれぞれ独立に、単結合、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
*は、Lとの結合位置を表し、
**は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
<21> 上記式(2)におけるRが、酸素原子又は硫黄原子であり、かつ、Rがヒドロキシ基である、<20>に記載の核酸化合物。
<22> 上記式(2)におけるLが下記式(1L)で表される基である、<20>又は<21>に記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000026
式(1L)中、*は、Yとの結合位置を表し、
**はリボース構造の3位における酸素原子との結合位置を表し、
は、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
は、単結合、又は、#-C(=O)N(R2L)-R1L-N(R3L)-##を表し、
#は、Lとの結合位置を表し、
##は、C=Oとの結合位置を表し、
1Lは、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
2L及びR3Lはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~22であるアルキル基を表し、
2L及びR3Lは、互いに結合して炭素数が1~22であるアルキレン基を形成していてもよい。
<23> 上記式(1a)で表される構造における環Aが、ナフタレン環である<19>~<22>のいずれか1つに記載の核酸化合物。
<24> 全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80である、<19>~<23>のいずれか1つに記載の核酸化合物。
<25> 上記式(1a)で表される構造が、下記式(10)~式(30)のいずれかで表される構造を有する、<19>~<24>のいずれか1つに記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000027
式(10)、式(20)、又は、式(30)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、縮合多環芳香族炭化水素環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個又は2個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。
<26> 上記式(10)、式(20)、又は、式(30)におけるRがそれぞれ独立に、下記式(f1)又は式(a1)で表される基である、<25>に記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000028
式(f1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Rはそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Arは(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000029
式(a1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、R20の少なくとも1つは、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基である。
<27> 上記式(f1)で表される基が、下記式(f2)で表される基である<26>に記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000030
式(f2)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m10は、1~3の整数を表し、m11は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
<28> 上記式(1a)で表される化合物における環Aが、インドール環、又は、カルバゾール環を有する、<19>~<22>のいずれか1つに記載の核酸化合物。
<29> 上記式(1a)で表される化合物における環Aの構造が、下記式(40)で表される構造である、<19>~<22>及び<28>のいずれか1つに記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000031
式(40)中、Rr10は、置換基、又は、Rを表し、Rr11~Rr14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基、Y、又は、Rを表し、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、ただし、Rr11~Rr14の少なくとも1つはYであり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個以上のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rr11とRr12、又は、Rr13とRr14はそれぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
<30> 上記式(1a)で表される構造が、下記式(400)又は式(50)のいずれかで表される構造を有する、<19>~<22>、<28>又は<29>のいずれか1つに記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000032
式(400)及び式(50)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、芳香族複素環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n40は、0~5の整数を表し、n50は、0~7の整数を表す。
<31> 上記1個以上のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、14以上である、<19>~<22>及び<28>~<30>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<32> 全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、40以上である、<19>~<22>及び<28>~<31>のいずれか1つに記載の核酸化合物の製造方法。
<33> 上記式(400)又は式(50)におけるRがそれぞれ独立に、下記式(f1)又は式(a1)で表される基である、<30>に記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000033
式(f1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Rはそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Arは(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000034


式(a1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、R20の少なくとも1つは、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基である。
<34> 上記式(f1)で表される基が、下記式(f2)で表される基である<33>に記載の核酸化合物。
Figure 2021039935000035
式(f2)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m10は、1~3の整数を表し、m11は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
本発明の一実施形態によれば、収率に優れる核酸化合物の製造方法を提供することができる。
また、本発明の更に他の一実施形態によれば、新規な核酸化合物を提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、特に断りのない限り、各用語は次の意味を示す。
「ヌクレオシド」とは、プリン塩基、ピリミジン塩基又は人工核酸塩基がリボース糖又はデオキシリボース糖に結合された化合物を示し、「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドのリボース構造の5位にリン酸がエステル結合された化合物を示す。
「ヌクレオチド」の語は、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」と同じ意味で使用され、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、リボース構造の5位炭素原子とリボース構造の3位炭素原子との間のホスホジエステル結合によって結合された、任意の長さの、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの重合体を指す。
「核酸化合物」の語には、「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」を包含する。
「アルキル基」としては、所定の炭素数を有するアルキル基、例えば、炭素数1~30のアルキル基が挙げられ、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。以下、炭素数は、C1-30のようにCで略記することがある。
「アリール基」としては、例えば、炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。好適な具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニリル基、2-アンスリル基等が挙げられる。
Rにおける「芳香族基」は、炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、フェニル基又はナフチル基であることが特に好ましい。
「芳香族基置換アルキル基」としては、例えば、炭素数7~30の芳香族基置換アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数7~20の芳香族基置換アルキル基であることが好ましく挙げられ、炭素数7~16の芳香族基置換アルキル基(例えば、炭素数6~10の芳香族基に炭素数1~6のアルキレン基が結合した基)がより好ましく挙げられる。好適な具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、1-ナフチルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基がより好ましく挙げられる。
「ハロゲン原子」としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
「アルコキシ基」としては、所定の炭素数を有するアルコキシ基、例えば、炭素数1~6のアルコキシ基が挙げられる。炭素数1~6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の直鎖状、環状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキルオキシ基が挙げられる。
「ヒドロキシ保護基」としては、通常のヒドロキシ基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、T.W.グリーン(T.W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第16~299頁、2007年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(JohnWiley & Sons,INC.)に記載されているものを利用できる。具体的には、炭素数2~6のアルケニル基、アリール基を有する炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基を有する炭素数1~6のアルキル基、アリール基を有する炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、アシル基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、アリール基を有する炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、シリル基、テトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
より具体的には、メチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2-テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、シアノエチル基、シアノエトキシメチル基、ニトロエチル基、フェニルカルバモイル基、1,1-ジオキソチオモルホリン-4-チオカルバモイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル(Tom)基、1-(4-クロロフェニル)-4-エトキシピペリジン-4-イル(Cpep)基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基等が挙げられる。
「核酸塩基」としては、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシル基、ウラシル基、チミニル基等のピリミジン塩基、アデニル基、グアニル基等のプリン塩基を挙げられる。
また、「核酸塩基」とは、例えば、アミノ基を有する核酸塩基であるアデニル基、グアニル基、又は、シトシル基において、アミノ基が保護基により保護された核酸塩基も包含される。アミノ基が保護基により保護された核酸塩基としては、核酸塩基のアミノ基がリボース構造の5位の脱保護条件に耐え得る保護基により保護されている核酸塩基が好ましい。
また、上記「核酸塩基」には、上記した基の他に、核酸塩基が任意の置換基(例えば、ハロゲン原子、アルキル基、芳香族基置換アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基等)により任意の位置に1個~3個置換されている修飾核酸塩基(例えば、8-ブロモアデニル基、8-ブロモグアニル基、5-ブロモシトシル基、5-ヨードシトシル基、5-ブロモウラシル基、5-ヨードウラシル基、5-フルオロウラシル基、5-メチルシトシル基、8-オキソグアニル基、ヒポキサンチニル基等)も包含される。
「アミノ基の保護基」としては、例えば、T.W.グリーン(T.W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第696~926頁、2007年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)等に記載されている保護基を挙げられる。
「アミノ基の保護基」の具体例としては、ピバロイル基、ピバロイロキシメチル基、トリフルオロアセチル基、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基、4-tert-ブチルフェノキシアセチル基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、ジメチルホルムアミジニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc基)等を挙げることができる。
これらの中でも、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、又はジメチルホルムアミジニル基が好ましい。
また、上記核酸塩基は、核酸塩基のカルボニル基が保護されていてもよい。核酸塩基のカルボニル基を保護する方法としては、例えば、フェノール、2,5-ジクロロフェノール、3-クロロフェノール、3,5-ジクロロフェノール、2-ホルミルフェノール、2-ナフトール、4-メトキシフェノール、4-クロロフェノール、2-ニトロフェノール、4-ニトロフェノール、4-アセチルアミノフェノール、ペンタフルオロフェノール、4-ピバロイロキシベンジルアルコール、4-ニトロフェネチルアルコール、2-(メチルスルフォニル)エタノール、2-(フェニルスルフォニル)エタノール、2-シアノエタノール、2-(トリメチルシリル)エタノール、ジメチルカルバミン酸クロライド、ジエチルカルバミン酸クロライド、エチルフェニルカルバミン酸クロライド、1-ピロリジンカルボン酸クロライド、4-モルホリンカルボン酸クロライド、ジフェニルカルバミン酸クロライド等を反応させる方法が挙げられる。なお、カルボニル基の保護基については、特に導入しなくてもよい場合がある。
(核酸化合物の製造方法)
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、リボース構造の3位(以下、単に「3位」ともいう場合がある。)又は5位(以下、単に「5位」ともいう場合がある。)のいずれか一方のヒドロキシ基を下記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物を用いる。
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、3位及び5位のヒドロキシ基に式(1)で表される構造で保護された核酸化合物を用いることができるが、反応性の観点から、3位のヒドロキシ基に式(1)で表される構造により保護された核酸化合物を用いることが好ましい。
Figure 2021039935000036
式(1)中、環Aは縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、上記Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、波線部分及び*は、他の構造との結合位置を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
本開示に係る核酸化合物の製造方法が上記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物を用いることにより、収率に優れる核酸化合物が得られる詳細なメカニズムは明らかではないが、以下のように推測される。
式(1)で表される構造は、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であることから、式(1)で表される構造により保護された化合物において、疎水性溶剤に対する溶解性に優れる。更に、親水性溶剤に対しては、各R中の脂肪族炭化水素基同士が凝集すること、及び、式(1)で表される構造が多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を有することにより、芳香族複素環同士によるπ-π相互作用(π-πスタッキング)が生じることにより、晶析性に優れ、精製及び分離性にも優れる。言い換えれば、式(1)で表される構造により保護された化合物は、反応溶剤である疎水性溶剤に対する溶剤溶解性に優れるため、反応が速やかに進行し、かつ、精製時には貧溶媒である極性溶媒を添加することで目的物が効率よく晶析精製されるため、得られる核酸化合物の収率に優れると推定している。
上記の効果は、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、好ましくは14以上でより優れた効果を発揮する。その理由は明らかではないが式(1)におけるRの炭素数が増加することで、式(1)で表される分子全体に占める疎水性の寄与率が大きくなり、疎水性溶剤に溶解しやすくなり、また、親水性溶媒に対しては、炭素数が増加することで凝集力がより増加し、晶析しやすくなるためと考えられる。
更に、本開示に係る式(1)で表される構造は、上記構造であることにより、核酸化合物の合成反応中は安定で、かつ脱保護(除去)が容易である。
更にまた、本開示に係る式(1)で表される構造により保護された核酸化合物を用いることにより、副反応が生じ易い非天然構造を含む人工核酸のような難合成核酸化合物であっても、副反応を抑制し高純度で合成できる。
以下、本開示に係る核酸化合物の製造方法に用いられる上記式(1)で表される構造について、詳細に説明する。
<式(1)で表される構造>
本開示に係る核酸化合物の製造方法に用いられる式(1)で表される構造を、以下に示す。
Figure 2021039935000037
式(1)中、環Aは縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、上記Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、kは、1~5の整数を表し、波線部分及び*は、他の構造との結合位置を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
安定性の観点から、式(1)において、環Aとしては、縮合多環芳香族炭化水素環であることが好ましい。
-縮合多環芳香族炭化水素環-
式(1)における環Aが縮合多環芳香族炭化水素環である場合、2環以上の芳香族炭化水素環が縮合した縮合多環芳香族炭化水素環を表し、また、環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
環Aが縮合多環芳香族炭化水素環である場合、環Aは、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、2環~4環の縮合多環芳香族炭化水素環であることが好ましく、2環又は3環の縮合多環芳香族炭化水素環であることがより好ましく、2環の縮合多環芳香族炭化水素環であることが特に好ましい。
中でも、環Aは、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、トリフェニレン環、ピレン環、又は、クリセン環であることが好ましく、ナフタレン環、アントラセン環、又は、フェナントレン環であることがより好ましく、ナフタレン環であることが特に好ましい。
また、環Aは、収率の観点から、ナフタレン環構造を少なくとも有する環であることが好ましい。
更に、環Aは、置換基を有していてもよく、後述するように、2以上の置換基が結合して環構造を形成していてもよく、環Aに脂肪族炭化水素環、脂肪族複素環、複素芳香環等が更に縮環した構造であってもよい。
-芳香族複素環-
式(1)における環Aが芳香族複素環である場合、芳香族複素環は、単環であってもよく、2環以上の芳香族炭化水素環が縮合した縮合多環芳香族炭化水素環であってもよく、また、環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
芳香族複素環は、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、Y以外に、SH基、アミノ基、OH基、又は、COOH基を有さない芳香族複素環であることが好ましい。
環Aが、芳香族複素環であり、かつ、多環である場合、芳香族複素環が縮合した2以上の環を有する縮合多環芳香族複素環であることが好ましく、2環~4環の縮合多環芳香族複素環であることがより好ましく、2環又は3環の縮合多環芳香族複素環であることが更に好ましい。
また、芳香族複素環は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素原子を、少なくとも1つ有する複素環が好ましく、窒素原子及び硫黄原子からなるより選ばれる少なくとも1種の複素原子を有することがより好ましく、窒素原子又は硫黄原子を含むことが更に好ましく、窒素原子を含むことが特に好ましい。
芳香族複素環は、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、複素原子が置換基を更に有することが好ましい。置換基としては、上述の式(1)におけるRが好適に挙げられ、好ましい態様も同様である。
芳香族複素環は、特に制限はないが、5員環~8員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
芳香族複素環は、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、5員環~8員環の芳香族複素環であることが好ましく、5員環又は6員環の芳香族複素環であることがより好ましく、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する5員環又は6員環を含む、2環又は3環の縮合多環芳香族複素環であることが更に好ましく、窒素原子又は硫黄原子を有する5員環又は6員環を含む、2環又は3環の縮合多環芳香族複素環であることが特に好ましい。
中でも、環Aが芳香族複素環である場合、環Aとしては、例えば、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、ピラゾール環、インダゾール環、チオフェン環等が挙げられるが、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、インドール環、カルバゾール環、又は、インダゾール環であることが好ましく、インドール環、又は、カルバゾール環であることが特に好ましい。
環Aが芳香族複素環である場合、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、ピラゾール環、又は、インダゾール環上の1位の窒素原子は、上記窒素原子上に置換基を有することが好ましい。置換基としては、上述の式(1)におけるRが好適に挙げられ、好ましい態様も同様である。
また、環Aが芳香族複素環である場合、環Aは、収率の観点から、窒素原子を有する5員環を含む、2環又は3環の縮合多環芳香族複素環であることが好ましく、インドール環、又は、カルバゾール環であることがより好ましい。
更に、環Aが芳香族複素環である場合、環Aは、置換基を有していてもよく、後述するように、2以上の置換基が結合して環構造を形成していてもよく、環Aに脂肪族炭化水素環、多環芳香族炭化水素環、脂肪族複素環等が更に縮環した構造であってもよい。
式(1)における環A上のYの置換数であるnは、安定性、晶析性、及び、収率の観点から、1であることが好ましい。
式(1)におけるYはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**であり、安定性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、*-OCR-**、又は、*-NRCR-**であることが好ましく、*-OCH-**、又は、*-NRCH-**であることがより好ましく、*-NRCH-**であることが特に好ましい。
また、式(1)で表される構造を形成する化合物としては、式(1)おけるY及び*側の末端までの構造が、以下の構造の化合物であることが好ましい。具体的には、安定性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、**-CROH、**-CRNHR、又は、**-CRSHであることが好ましく、**-CHOH、**-CHNHR、又は、**-CHSHであることがより好ましく、**-CHOH、又は、**-CHNHRであることが更に好ましく、**-CHNHRであることが特に好ましい。
また、式(1)において、Yを2つ有する場合、2つのYは同じ基であることが好ましい。
*-NRCR-**におけるRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。
中でも、*-NRCR-**におけるRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、炭素数7~16の芳香族基置換アルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、又は、ベンジル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
また、式(1)で表される化合物は、環A上に有する置換基を有していてもよい。すなわち、式(1)で表される化合物は、2量体等の多量体であってもよい。多量体としては、合成のし易さの観点から2量体~6量体であることが好ましく、2量体~4量体であることがより好ましく、2量体であることが特に好ましい。
式(1)における環A上のRの置換数であるkは、晶析性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、1~4の整数であることが好ましく、1~3の整数であることがより好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基を表す。
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」とは、その分子構造中に脂肪族炭化水素基を有する一価(結合手が1つ)の有機基である。
「脂肪族炭化水素基」とは、直鎖、分岐状、若しくは環状の飽和又は不飽和の炭素数5以上の脂肪族炭化水素基であり、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、炭素数5~60の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数5~30の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数10~30の脂肪族炭化水素基が特に好ましい。
また、「脂肪族炭化水素基」は、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、炭素数12以上であることが好ましく、炭素数14以上であることがより好ましく、炭素数16以上であることが更に好ましく、炭素数18以上であることが特に好ましい。
脂肪族炭化水素基を有する有機基における脂肪族炭化水素基の部位は、特に限定されず、末端に存在しても(一価基)、それ以外の部位に存在してもよい(例えば二価基)。

「脂肪族炭化水素基」としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられ、具体的には、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、オレイル基、イソステアリル基等の一価の基、及び、それらから誘導される二価の基(上記一価の基から水素原子を1つ除いた二価の基)、各種ステロイド基からヒドロキシ基などを除外した基などが挙げられる。
また、「アルキル基」としては、例えば、炭素数5~30のアルキル基等が好ましく、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、イソステアリル基等が挙げられ、オクタデシル基、イコシル基、ドコシル基、又は、テトラコシル基が好ましく、イコシル基、ドコシル基、又は、テトラコシル基がより好ましい。
「シクロアルキル基」としては、例えば、炭素数5~30のシクロアルキル基等が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基等が挙げられる。また、これらが繰り返し連結してもよく、2環以上の縮環構造であってもよい。
「アルケニル基」としては、例えば、炭素数5~30のアルケニル基等が好ましく、例えば、ペンテニル基、ヘキセニル基、オレイル基等が挙げられる。
「アルキニル基」としては、例えば、炭素数5~30のアルキニル基等が好ましく、例えば、4-ペンチニル基、5-ヘキセニル基等が挙げられる。
「ステロイド基」としては、例えば、コレストロール構造を有する基、エストラジオール構造を有する基等が好ましい。
上記有機基は更に、シリル基、シリルオキシ構造を有する炭化水素基又はパーフルオロアルキル構造を有する有機基で置換されてもよい。
上記シリル基としては、トリアルキルシリル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基を3つ有するシリル基であることがより好ましい。
上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基におけるシリルオキシ構造としては、トリアルキルシリルオキシ構造であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基を3つ有するシリルオキシ構造であることがより好ましい。
また、上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基は、シリルオキシ構造を1~3個有することが好ましい。
更に、上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基の炭素数は、10以上であることが好ましく、10~100であることがより好ましく、16~50であることが特に好ましい。
上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基としては、下記式(Si)で表される基が好ましく挙げられる。
Figure 2021039935000038
式(Si)中、Rsi1は、単結合、又は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、Rsi2は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、Rsi3及びRsi4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、-OSiRsi5si6si7を表し、Rsi5~Rsi7はそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、又は、アリール基を表す。
式(Si)におけるRsi5~Rsi7はそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基であることが特に好ましい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基におけるパーフルオロアルキル構造は、炭素数1~20のパーフルオロアルキル構造であることが好ましく、炭素数5~20のパーフルオロアルキル構造であることがより好ましく、炭素数7~16のパーフルオロアルキル構造であることが特に好ましい。また、上記パーフルオロアルキル構造は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル構造を有するアルキル基、又は、パーフルオロアルキル構造及びアルキル鎖中にアミド結合を有するアルキル基であることが好ましい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基の炭素数は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、10~100であることが更に好ましく、16~50であることが特に好ましい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基としては、例えば、下記に示す基が好ましく挙げられる。
Figure 2021039935000039
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」中の「脂肪族炭化水素基」以外の部位は任意に設定することができる。例えば-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-CONH-、「脂肪族炭化水素基」以外の炭化水素基(一価の基又は二価の基)等の部位を有していてもよい。
「脂肪族炭化水素基」以外の「炭化水素基」としては、例えば、芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、例えば、アリール基等の一価の基、及び、それらから誘導される二価の基が用いられる。
「アリール基」の中でも、炭素数6~10のアリール基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
また、上記脂肪族炭化水素基、上記脂肪族炭化水素基以外の炭化水素基は、ハロゲン原子、オキソ基等から選択される置換基で置換されていてもよい。
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」の環Aへの結合(置換)は、上記R中に存在する「脂肪族炭化水素基」又は上記「炭化水素基」を介するもの、すなわち、直接炭素-炭素結合で結合しているものであっても、直接環A由来の窒素-炭素結合で結合しているものであっても、上記R中に存在する-O-、-S-、-COO-、―OCONH-、-CONH-等の部位を介するものであってもよい。化合物の合成のし易さの点から、直接炭素-炭素結合で結合しているもの、直接環A由来の窒素-炭素結合で結合しているもの、又は、-O-、-S-、-COO-又は-CONH-を介するものであることが好ましく、直接環A由来の窒素-炭素結合で結合しているもの、又は、直接炭素-炭素結合で結合しているものであることが特に好ましい。
における脂肪族炭化水素基を有する有機基は、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基であることが好ましく、脂肪族炭化水素基を有するフェニル基であることがより好ましく、アルコキシ基を有するフェニル基であることが更に好ましい。
式(1)で表される構造において、全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、24以上であることが好ましく、24~200であることがより好ましく、32~100であることが更に好ましく、34~80であることがより更に好ましく、36~80であることが特に好ましく、40~80であることが最も好ましい。
本開示に係る式(1)で表される化合物は、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは18以上、特に好ましくは20以上である。上記範囲であると、より優れた効果を発揮する。その理由は炭素数が増加することで分子全体に占める疎水性の寄与率が大きくなり、疎水性溶剤に溶解しやすくなり、また、親水性溶媒に対しては、炭素数が増加することで凝集力がより増加し、晶析しやすくなるためと考えられる。
更に、上記脂肪族炭化水素基は、晶析性、及び、収率の観点から、アルキル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。
また、式(1)で表される構造は、k個のR中の少なくとも1つのRにおいて炭素数12以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有する構造であり、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、k個のRにおいて、炭素数12~100の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有することが好ましく、炭素数18~40の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有することがより好ましく、炭素数20~36の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有することが更に好ましい。
また、1つのRの炭素数はそれぞれ独立に、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、12~200であることが好ましく、14~150であることがより好ましく、16~100であることが更に好ましく、20~80であることが特に好ましい。
更にまた、式(1)で表される構造が有する炭素数12以上の脂肪族炭化水素基は、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、Rの少なくとも1つに含まれていることが好ましい。
式(1)において、少なくとも1つのRが、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、下記式(f1)、式(a1)、式(b1)又は式(e1)で表される基であることが好ましく、下記式(f1)又は式(a1)で表される基であることがより好ましく、下記式(f1)で表される基であることが特に好ましい。
Figure 2021039935000040
式(f1)中、波線部分は環Aとの結合位置を表し、m9は0~3の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Rはそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Arは、(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000041
式(a1)中、波線部分は環Aとの結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000042
式(b1)中、波線部分は環Aとの結合位置を表し、mbは、1又は2を表し、b1~b4はそれぞれ独立に、0~2の整数を表し、Xb1~Xb4はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-を表し、Rb2及びRb4はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、又は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 2021039935000043
式(e1)中、波線部分は環Aとの結合位置を表し、Xe1は、単結合、-O-、-S-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、meは0~15の整数を表し、e1は0~11の整数を表し、e2は0~5の整数を表し、Xe2はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Re2はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を表す。
式(f1)におけるm9は、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(f1)におけるX及びX10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
式(f1)におけるRはそれぞれ独立に、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
式(f1)におけるR10はそれぞれ独立に、炭素数5~60の一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数12~50の一価の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数18~40の一価の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数20~32の一価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、R10はそれぞれ独立に、直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。
式(f1)におけるm10は、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(f1)におけるArは、(m10+1)価の芳香族基であることが好ましく、ベンゼンから(m10+1)個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
また、上記式(f1)で表される基は、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、下記式(f2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2021039935000044
式(f2)中、波線部分は環Aとの結合位置を表し、m10は、1~3の整数を表し、m11は、0~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(f2)におけるm10、X10及びR10はそれぞれ、式(f1)におけるm10、X10及びR10と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(f2)におけるm11は、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(a1)におけるm20は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(a1)におけるX20はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-であることが好ましく、-O-であることがより好ましい。
式(a1)におけるR20は、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数5~60の二価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数8~40の二価の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数12~32の二価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、R20は、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
式(b1)におけるmbは、1であることが好ましい。
式(b1)におけるb1~b4はそれぞれ独立に、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(b1)におけるXb1~Xb4はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-であることが好ましく、-O-であることがより好ましい。
式(b1)におけるRb2及びRb4はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、又は、炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又は、炭素数8~40のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又は、炭素数12~32のアルキル基であることが特に好ましい。
式(b1)におけるRb3は、炭素数5~60の、一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数5~60の一価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数8~40の一価の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数12~32の一価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、Rb3は、直鎖アルキル基であることが好ましい。
また、式(1)で表される構造は、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、Rにおける脂肪族炭化水素基として、分岐を有する脂肪族炭化水素基が好ましく挙げられ、以下に示す基がより好ましく挙げられる。なお、波線部分は他の構造との結合位置を表し、nt2は3以上の整数を表し、nt3は、下記基の総炭素数が14~300となるように設定される整数を表す。
Figure 2021039935000045
式(1)で表される構造が環A上に有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、Rst-CO-NRst-、-CON(Rst、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、及び、これらを2以上組み合わせた基等が挙げられる。なお、Rstは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
式(1)における環Aが芳香族複素環である場合、式(1)で表される構造は、安定性、晶析性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、芳香族複素環上に置換基を有さないことが好ましい。
また、式(1)における環Aが縮合多環芳香族炭化水素環であり、かつ、多量体構造を有する式(1)で表される構造である場合、環A上に有していてもよい置換基としては、下記式(M)で表される基が好ましく挙げられる。
Figure 2021039935000046
式(M)中、波線部分は式(1)における環Aとの結合位置を表し、環Bは縮合多環芳香族炭化水素環を表し、Yはそれぞれ独立に、-CR OH、-CR NHR、-CHSH、又は、-CR を表し、Rは水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、XはCl、Br、又は、Iを表し、kbは1~5の整数を表し、nbは1又は2を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、少なくとも1つのR中の少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、環Bは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
式(M)における環B、Y、R、kb、nb、及び、Rはそれぞれ、式(1)における環A、Y、R、k、n、及び、Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
また、式(1)における環Aが縮合多環芳香族炭化水素環であり、かつ、置換基として式(M)で表される基を有する場合、式(1)で表される構造は、後述する式(20)で表される構造であることが好ましい。
上記式(1)で表される構造は、安定性、晶析性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、下記式(10)、式(20)又は、式(30)で表される構造であることが好ましく、下記式(10)で表される構造であることがより好ましい。
Figure 2021039935000047
式(10)、式(20)、又は、式(30)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、少なくとも1つのRが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。
式(10)、式(20)又は式(30)におけるY、R及びRはそれぞれ、式(1)におけるY、R及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(10)におけるn10は、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式(20)におけるn20及びn21はそれぞれ独立に、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式(20)における2つのYは、同じ基であることが好ましい。
また、式(20)における2つのRは、同じ基であることが好ましい。
式(30)におけるn30は、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式(30)における2つのRは、同じ基であることが好ましい。
式(10)、式(20)又は式(30)におけるRはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、Rst-CO-NRst-、-CON(Rst、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又は、アリール基であることがより好ましく、アルコキシ基、又は、アルキル基であることが更に好ましい。
式(10)におけるRは、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、上記式(f1)、式(a1)、式(b1)又は式(e1)で表される基であることが好ましく、上記式(f1)又は式(a1)で表される基であることがより好ましく、上記式(f1)で表される基であることが更に好ましく、上記式(f2)で表される基であることが特に好ましい。
式(20)におけるRはそれぞれ独立に、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、上記式(f1)、式(a1)、式(b1)又は式(e1)で表される基であることが好ましく、上記式(f1)又は式(a1)で表される基であることがより好ましい。
式(30)におけるRはそれぞれ独立に、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、上記式(f1)、式(a1)、式(b1)又は式(e1)で表される基であることが好ましく、上記式(f1)又は式(a1)で表される基であることがより好ましい。
安定性、晶析性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、上記式(1)で表される化合物が芳香族複素環である場合、式(1)で表される構造における環Aが、下記式(40)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2021039935000048
式(40)中、Rr10は、置換基、又は、Rを表し、Rr11~Rr14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基、Y、又は、Rを表し、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、ただし、R 11~R 14の少なくとも1つはYであり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個以上のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rr11とRr12、又は、Rr13とRr14はそれぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
晶析性、及び、収率の観点から、式(40)中、Rr11とRr12、又は、Rr13とRr14は、それぞれに独立に、互いに連結して環を形成することが好ましい。なお、Rr11とRr12、又は、Rr13とRr14が互いに連結して環を形成している場合、式(40)で表される構造は、インドール環を有する化合物であり、Rr11とRr12、及び、Rr13とRr14が互いに連結して環を形成している場合、式(40)で表される構造は、カルバゾール環を有する化合物である。
安定性、晶析性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、上記式(1)で表される構造が芳香族複素環である場合、上記式(1)で表される構造が、下記式(400)又は式(50)のいずれかで表される構造であることが好ましい。
Figure 2021039935000049
式(400)及び式(50)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、芳香族複素環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n40は、0~5の整数を表し、n50は、0~7の整数を表す。
式(40)、式(400)、又は、式(50)におけるY、R及びRはそれぞれ、式(1)におけるY、R及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(40)、式(400)、又は、式(50)における置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、Rst-CO-NRst-、-CON(Rst、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又は、アリール基であることがより好ましく、アルコキシ基、又は、アルキル基であることが更に好ましい。
n40は、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、0又は1の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
n50は、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
式(40)、式(400)、又は、式(50)においてRは、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、上記式(f1)、式(a1)、式(b1)又は式(e1)で表される基であることが好ましく、上記式(f1)又は式(a1)で表される基であることがより好ましく、上記式(f1)で表される基であることが更に好ましく、上記式(f2)で表される基であることが特に好ましい。
式(1)で表される構造を有する化合物の分子量は、特に制限はないが、晶析性、溶剤溶解性、及び、収率の観点から、340~3,000であることが好ましく、400~2,000であることがより好ましく、500~1,500であることが更に好ましく、800~1,300であることが特に好ましい。また、分子量が3,000以下であると、目的物に占める式(1)の割合が適度であり、式(1)を脱保護して得られる化合物の割合が少なくならないため、生産性に優れる。
式(1)で表される構造の具体例としては、下記に示す構造が好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
なお、Rは、炭素数12以上の脂肪族炭化水素基を表し、炭素数12~100の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数18~40の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数20~32の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、上記脂肪族炭化水素基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、又は環状アルキル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。
また、下記に示す化合物中、*は他の構造との連結位置、好ましくは式(2)におけるLとの連結位置を表す。
Figure 2021039935000050
Figure 2021039935000051
Figure 2021039935000052
Figure 2021039935000053
Figure 2021039935000054
Figure 2021039935000055
また、PCT/JP2020/007477、PCT/JP2020/007478、PCT/JP2020/024231、又は、PCT/JP2020/024232に記載の保護基形成用試薬も、式(1)で表される構造を形成する化合物(式(1)で表される構造により保護された化合物を形成する保護基形成用試薬)として好適に挙げられる。
<<式(1)で表される構造を形成する化合物の製造方法>>
本開示に係る式(1)で表される構造を形成する化合物の製造方法としては、特に限定されないが、公知の方法を参照して製造することができる。
製造に用いる原料化合物は、特に述べない限り、市販されているものを用いてもよいし、自体公知の方法、又は、これらに準ずる方法に従って製造することもできる。
また、必要に応じ、製造した式(1)で表される構造を形成する化合物を公知の精製方法により、精製してもよい。例えば、再結晶、カラムクロマトグラフィー等によって単離及び精製する方法、及び、溶液温度を変化させる手段や溶液組成を変化させる手段等によって再沈殿により精製する方法等を行うことができる。
式(1)で表される構造を形成する化合物は、例えば、以下のスキームに従って合成できる。また、国際公開第2010/113939号に記載の合成方法を参考に合成できる。
Figure 2021039935000056
100は水素原子又はOR101を表し、R101はアルキル基を表し、X100はCl、Br、Iを表し、R102は水素原子又はアルキル基を表し、環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。
<<式(1)で表される構造により保護された化合物>>
本開示に係る核酸化合物の製造方法において、式(1)で表される構造により保護された化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021039935000057
式(2)中、mは、0以上の任意の整数を表し、
nは1~6を表し、
Baseはそれぞれ独立に、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、
は、水素原子、又は、ヒドロキシ保護基を表し、
は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基を表し、
は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表し、
Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表し、
Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基表し、
環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
はそれぞれ独立に、単結合、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、*は、Lとの結合位置を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
式(2)中、環A、R、Y及びkは、それぞれ、式(1)中の環A、R 、Y及びkと同義であり、好ましい態様も同様である。
mは、0以上の任意の整数を表す。mの上限は、特に限定されるものではないが、49以下が好ましく、29以下がより好ましく、19以下が更に好ましい。
反応性及び収率の観点から、mは、好ましくは0である。
mが0のとき、本開示に係る核酸化合物の製造方法に用いられる式(2)で表される化合物は、「ヌクレオシド」を表し、核酸化合物の合成における3位末端の出発化合物を表す。
nは1又は2を表す。反応性及び収率の観点から、nは、好ましくは1である。
は、水素原子、又は、ヒドロキシ保護基(以下、「保護されてもよい」ともいう場合がある。)を表す。
におけるヒドロキシ保護基としては、酸性条件下で脱保護可能であるヒドロキシ保護基であることが好ましい。具体的には、トリチル基、9-(9-フェニル)キサンテニル基、9-フェニルチオキサンテニル基、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニルメチル基(ジメトキシトリチル基)等のジ(炭素数1~6のアルコキシ)トリチル基、1-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジフェニルメチル基(モノメトキシトリチル基)等のモノ(炭素数1~18のアルコキシ)トリチル基等を挙げることができる。
これらの中でも、脱保護のしやすさ、入手の容易さの観点から、モノメトキシトリチル基、又は、ジメトキシトリチル基であることが好ましく、ジメトキシトリチル基であることがより好ましい。
Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表す。
Xにおけるヒドロキシ基は、保護されていてもよい。
保護基としては、好ましくは、アルキル基、芳香族基置換アルキル基、電子吸引基置換アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、カルバモイル基、シリル基等が挙げられる。
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、又は、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基としては、リボース構造の2’位と4’位とを架橋する限り特に限定はないが、例えば、炭素数2~7のアルキレン基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素-炭素結合中に、例えば、-O-、-NRLN-、-S-、-CO-、-COO-、-OCONRLN-、-CONRLN-(RLNは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す)等から選ばれる連結基を1つ以上(好ましくは、1又は2)有していてもよい。
より具体的には、-ORi、-O-NRLN-Rj、-O-Rk-O-Rl等が挙げられる。Ri、Rj、Rk及びRlは4’位に架橋する炭素数1~6のアルキレン基を表し、Ri、Rj、Rk及びRlは、それぞれ独立して、メチレン基又はエチレン基であることが好ましい。
リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基としては、*-O-CH-**、*-O-CH-CH-**、*-O-NRLN-CH-**、又は、*-O-CH-O-CH-**、*-S-S-CH-**、*-NRLN-CO-**、*-NRLN-CO-NRLN-CH-**が好ましく、*-O-CH-**、*-O-CH-CH-**、*-O-NH-CH-**、*-O-N(CH)-CH-**、又は、*-O-CH-O-CH-**、*-S-S-CH-**、*-N(Me)-CO-**、*-NH-CO-NH-CH-**がより好ましい。
LNは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、*は、リボース構造の2’位との結合部分を表し、**は、リボース構造の4’位との結合部位を表す。
2’位と4’位とが架橋したヌクレオシドとしては、例えば、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Meは、メチル基を表し、Baseは、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、波線は、他の部分との結合部位を表す。
Figure 2021039935000058
は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基(-BH)を表す。反応性及び収率の観点から、酸素原子であることが好ましい。
は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表す。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、芳香族基置換アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
としては、置換若しくは無置換のヒドロキシ基であることが好ましく、置換基を有するヒドロキシ基であることが好ましい。ヒドロキシ基の置換基としては、Pの保護基と同様の基が好ましく挙げられ、これらの中でも、1-ニトロエチル基、又は、1-シアノエチル基が好ましく、1-シアノエチル基であることがより好ましい。
反応性及び収率の観点から、Rは、下記式(2a)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2021039935000059
式(2a)中、n2Dは1~5の整数を表し、WGは、電子求引性基を表し、波線は、上記式(2)中のリン原子との結合部分を表す。
電子求引性基としては、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。n2Dは、1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
収率に優れる観点から、式(2)におけるRが、酸素原子又は硫黄原子であり、かつ、Rが置換若しくは無置換のヒドロキシ基であることが好ましく、式(2)におけるRが、酸素原子であり、かつ、Rが上記式(2a)で表される基であることがより好ましい。
式(2)におけるLは、下記式(1L)で表される基であることが好ましい。
Figure 2021039935000060
式(1L)中、*は、Yとの結合位置を表し、**はリボース構造の3位における酸素原子との結合位置を表し、
は、炭素数1~22のアルキレン基を表し、
は、単結合、又は、#-C(=O)N(R2L)-R1L-N(R3L)-##を表し、#は、Lとの結合位置を表し、##は、C=Oとの結合位置を表し、R1Lは、炭素数1~22のアルキレン基を表し、R2L及びR3Lはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~22のアルキル基を表し、R2L及びR3Lは、互いに結合して炭素数1~22のアルキレン基を形成していてもよい。
上記式(1L)で表されるLの好ましい態様としては、式(1L)中、Lが、エチレン基、又は、CH-O-1,4-フェニレン-O-CHを表し、かつLが、単結合を表すか、又は、#-C(=O)N(R2L)-R-N(R3L)-##を表し
上記#は、Lとの結合位置を表し、##は、C=Oとの結合位置を表し、R1Lは、炭素数1~炭素数6のアルキレン基を表し、R2L及びR3Lは、それぞれ独立して水素原子、若しくは炭素数1~炭素数6のアルキル基を表し、R2L及びR3Lは、互いに結合して、炭素数1~炭素数6のアルキレン基を形成してもよい。
上記式(1L)で表されるLの別の好ましい態様としては、式(1L)中、Lが、エチレン基を表し、かつ、L2Lが、単結合を表す基である。
上記式(1L)で表されるLの別の好ましい態様としては、式(1L)中、Lが、エチレン基を表し、かつ、L中のN(R2L)-R-N(R)部分が、ピペラジニレン基を表す基である。
上記式(1L)で表されるLの更に別の好ましい態様としては、式(1L)中、Lが、エチレン基を表し、かつ、Lが、#-C(=O)N(R2L)-R1L-N(R3L)-##で表される基である。上記#は、Lとの結合位置を表し、##は、C=Oとの結合位置を表し、R1Lは、ペンチレン基、又は、ヘキシレン基を表し、R2L及びR3Lは、それぞれ独立して、水素原子若しくはメチル基を表す。
上記Lは、入手が容易で安価な観点から、スクシニル基(**-CO-CH-CH-CO-*)であることが特に好ましい。
式(2)で表される化合物の好ましい態様としては、式(2)中、mが0であり、nが1又は2であり、環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
Baseが、それぞれ保護されていてもよい、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、又はグアニル基であり、Pが、ジ(炭素数1~6のアルコキシ)トリチル基、又は、モノ(炭素数1~6アルコキシ)トリチル基であり、Xが、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基であり、Lが、式(1L)で表される構造式を有し、Y、及び、Rは式(1)において好ましい態様として示された各基の組合せと同様である化合物である。
上記式(2)で表される化合物の別の好ましい態様としては、式(2)中、mが0であり、nが1又は2であり、環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、Baseが、それぞれ保護されていてもよい、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、又はグアニル基であり、Pが、ジメトキシトリチル基、又はモノメトキシトリチル基であり、Xが、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基であり、Lが、式(1L)で表される構造式を有し、Y、及び、Rは式(1)において好ましい態様として示された各基の組合せと同様である化合物である。
上記式(2)で表される合物の更に別の好ましい態様としては、式(2)中、mが0であり、nが1又は2であり、環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
Baseが、それぞれ保護されていてもよい、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、又はグアニル基であり、Pが、ジメトキシトリチル基であり、Xが、水素原子、又は、フッ素原子でありLが、式(1L)で表される構造式を有し、Y、及び、Rは式(1)において好ましい態様として示された各基の組合せと同様である化合物である。
以下、式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されないことは言うまでもない。なお、DMTrはジメトキシトリチル基を表す。
Figure 2021039935000061
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、上記Pが、弱酸で脱保護可能なヒドロキシ保護基を表し、かつ、
工程A;リボース構造の3位の末端に上記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物におけるリボース構造の5位末端を脱保護する工程(以下「脱保護工程」ともいう。)と、
工程B;上記工程Aで得られた核酸化合物と、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程(以下、「核酸延長工程」ともいう。)と、
工程C;上記工程Bで得られた核酸化合物に、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程(以下、「酸化又は硫化工程」ともいう。)と、
工程D;上記工程Cで得られた核酸化合物を沈殿する工程(以下、「沈殿工程」ともいう。)と、をこの順に含む液相合成法(以下、「液相合成方法A」ともいう。)を用いることが好ましい。
また、本開示に係る核酸化合物の製造方法の別の態様としては、上記Pが、水素原子を表し、かつ、
工程B;リボース構造の3位末端に上記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物と、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能なヒドロキシ保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程と、
工程C;上記工程Bで得られた核酸化合物に、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程と、
工程A;上記工程Cで得られた核酸化合物の5位末端の保護基を脱保護する工程と、
工程D;上記工程Aで得られた核酸化合物を沈殿する工程と、
をこの順に含む液相合成法(以下、「液相合成方法B」ともいう。)を用いることが好ましい。
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、脱保護工程、核酸延長工程、及び、沈殿工程を特定の順に含む液相合成法を用いることにより、収率に優れる。
以下、液相合成方法A及びBの各工程について詳細に説明する。
なお、各工程についての説明は、液相合成方法A及びBで共通するものとする
<<工程A;脱保護工程>>
本開示に係る核酸化合物の製造方法における脱保護工程は、核酸化合物の5位末端の保護基を脱保護する工程である。
5位末端の保護基を脱保護する核酸化合物は、リボース構造の3位の末端に上記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物であってもよいし、核酸延長工程及び酸化又は硫化工程より得られた核酸化合物であってもよい。
本開示に係る核酸化合物の製造方法における脱保護工程は、酸の添加により5位末端の保護基を脱保護する工程であることが好ましい。
脱保護工程の後に、核酸延長する工程を有する場合、本開示に係る核酸化合物の製造方法における脱保護工程は、5位末端のヒドロキシ保護基を酸の添加により除去した後に、有機塩基の添加により中和する工程を含むことがより好ましい。
リボース構造の5位末端のヒドロキシ保護基の除去に使用する酸としては、ヒドロキシ保護基の除去が達成できさえすれば特に限定されないが、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
脱保護反応性の観点から、酸としては、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、又は、トリクロロ酢酸であることが好ましく、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、又は、トリフルオロメタンスルホン酸であることがより好ましく、トリフルオロ酢酸、又は、トリフルオロメタンスルホン酸であることが更に好ましく、トリフルオロ酢酸であることが特に好ましい。
これら酸は、後述の非極性溶媒で希釈して用いてもよい。また、上記酸と特定の塩基とを組み合わせて、酸性度を適宜調整して使用してもよい。
酸の使用量としては、脱保護を目的とする核酸化合物1モルに対し、1モル~100モルであることが好ましく、1モル~40モルであることがより好ましい。
脱保護工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われることが好ましい。
脱保護工程に用いられる溶媒としては、脱保護反応性の観点から、核酸化合物に対する溶解度が高い非極性溶媒であることが好ましい。
上記非極性溶媒としては、具体的には、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の脂肪族系溶媒;ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の非極性エーテル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
また、上記非極性溶媒に、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピペリドン等のアミド系溶媒等の極性溶媒を、核酸化合物が溶解し得る限り、適宜の割合で混合して用いてもよい。
非極性溶媒としては、中でも、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、ノナン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、又は、これらの組合せ等が好ましく、クロロホルム、ジクロロメタン、又は、トルエンが特に好ましい。
脱保護工程において、溶媒中の核酸化合物の含有量としては、溶解していれば特に限定されないが、溶媒の全質量に対して、1質量%~30質量%であることが好ましい。
脱保護工程において、脱保護工程以外の工程を液相中で連続して行う観点から、リボース構造の5位末端のヒドロキシ保護基の除去反応中、又は、除去反応後に、カチオン捕捉剤を使用することが好ましい。
カチオン捕捉剤としては、除去された保護基による再保護(原料戻り)が進行しなければ、特に限定されない。
脱保護工程において、カチオン捕捉剤の使用量としては、核酸化合物1モルに対し、1モル~50モル使用することが好ましく、より好ましくは5モル~20モルである。
カチオン捕捉剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脱保護工程における反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、-10℃~50℃が好ましく、0℃~40℃がより好ましい。
反応時間は、核酸化合物の種類、酸の種類、溶媒の種類、反応温度等により異なるが、5分~5時間であることが好ましい。
本開示に係る核酸化合物の製造方法において、脱保護工程後に縮合工程を有する場合、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物の脱保護を抑制する観点から、ヒドロキシ保護基の除去に用いた酸を除去、又は、中和することが好ましく、ヒドロキシ保護基の除去に用いた酸を有機塩基により中和することがより好ましい。
中和に使用する有機塩基化合物としては、上記酸を中和することができ、得られた塩が縮合剤として機能しうるものが好適に挙げられる。
反応が良好に進行するという観点から、有機塩基としては、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、N-フェニルイミダゾール、2-アミノ-4,6-ジメチルピリミジン、1,10-フェナントロリン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-クロロベンズイミダゾール、2-ブロモベンズイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、N-フェニルベンズイミダゾール、又は、5-ニトロベンズイミダゾールが好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、N-フェニルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-アミノ-4,6-ジメチルピリミジン、又は、1,10-フェナントロリンがより好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、又は、N-フェニルイミダゾールが更に好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、又は、1,2,4-トリアゾールが特に好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、又は、ベンズイミダゾールが最も好ましい。
脱保護工程において、有機塩基の使用量は、酸1モルに対し、1モル~10モル使用することが好ましく、1モル~3モルであることがより好ましい。
脱保護工程において、酸と有機塩基との組合せとしては、トリフルオロ酢酸とピリジン、トリフルオロ酢酸と2,4,6-トリメチルピリジン、又は、トリフルオロメタンスルホン酸とベンズイミダゾールが好ましい。
<<工程B;核酸延長工程>>
本開示に係る核酸化合物の製造方法における核酸延長工程は、3位末端に上記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物と、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程である。
核酸延長工程に使用される、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物としては、下記式M-1で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021039935000062
式M-1中、Pは、ヒドロキシ保護基を表し、WGは、電子求引性基を表し、Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4位の炭素原子と架橋する有機基を表し、Rは、酸素原子若しくは硫黄原子を表し、R及びR10は、それぞれ独立して、アルキル基、又は、隣接する窒素原子と一緒になって形成する5員又は6員の飽和環状アミノ基を表し、m1は、0以上の整数を表す。
、X及びm1は、式(2)中のP、X及びm1と同義であり、好ましい態様も同様である。電子求引性基としては、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
及びR10における飽和環状アミノ基は、窒素原子の他に環構成原子として酸素原子又は硫黄原子を1個有していてもよい。
式M-1で表される化合物において、m1が1である場合、すなわち、5位がPにより保護され、かつ、3位がホスホロアミダイト化されたヌクレオシドである。
核酸延長工程に使用される、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物は、リボース構造の5位がPにより保護され、かつ、リボース構造の3位のヒドロキシ基が保護されていないm1個のヌクレオシドが重合したポリヌクレオシドに下記一般式(c)又は(d)で表されるホスホロアミダイト化試薬を反応させる公知の方法(M.H.Caruthersetal.,MethodinEnzymology1987,154,287-313;S.L.BeaucageandM.H.Caruthers,TetrahedronLetters1981,22,1859-1862.)に従い、製造することができる。
Figure 2021039935000063
式(c)及び(d)中、R11は、ハロゲン原子を表し、WG、R及びR10は、式M-1中のWG、及びR10と同義である。
核酸延長工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われることが好ましい。具体的には、上記脱保護工程(1)と同様の非極性溶媒が挙げられる。
また、上記非極性溶媒に、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、2-ブタノン等のケトン系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性エーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を、リボース構造5位のヒドロキシ保護基Pが除去された核酸化合物が溶解し得る限り、適宜の割合で混合して用いてもよい。
この場合、極性溶媒としては、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、及びこれらの組合せが好ましく、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピペリドン、及びこれらの組合せがより好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
極性溶媒は、リボース構造3位がホスホロアミダイト化され、かつ、リボース構造5位が保護された核酸か化合物、縮合剤等の溶液として添加してもよい。
リボース構造3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位がPにより保護された核酸化合物の使用量としては、上記脱保護工程で得られたリボース構造5位のPが除去された核酸化合物1モルに対し、1モル~10モルであることが好ましく、より好ましくは1モル~5モルである。
核酸延長工程における反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、0℃~100℃が好ましく、20℃~50℃がより好ましい。
核酸延長工程における反応時間は、縮合させる核酸化合物の種類、反応温度等によって適宜設定することができ、5分~24時間であることが好ましい。
<<工程C;酸化又は硫化工程>>
本開示に係る核酸化合物の製造方法における酸化又は硫化工程は、酸化又は硫化工程の前の工程で得られた核酸化合物に、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程である。
酸化又は硫化工程に使用する「酸化剤」としては、他の部位を酸化することなく、ホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合に酸化できれば、特に限定されないが、ヨウ素、(1S)-(+)-(10-カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、2-ブタノンペルオキシド、1,1-ジヒドロペルオキシシクロドデカン、ビス(トリメチルシリル)ペルオキシド、m-クロロ過安息香酸を使用することが好ましい。
良好な酸化反応が達成できるという観点で、ヨウ素、(1S)-(+)-(10-カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2-ブタノンペルオキシド、1,1-ジヒドロペルオキシシクロドデカンがより好ましく、ヨウ素、(1S)-(+)-(10-カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2-ブタノンペルオキシドが更に好ましく、ヨウ素、tert-ブチルヒドロペルオキシドが更に一層好ましく、ヨウ素が特に好ましい。
上記酸化剤は、0.05(モル/L)(以下、「M」ともいう場合がある。)~2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することができる。
上記希釈溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、ピリジン、THF、ジクロロメタン、水、又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。
中でも、例えば、ヨウ素/水/ピリジン-THF又は、ヨウ素/ピリジン-酢酸、過酸化剤(TBHP)/ジクロロメタン又はtert-ブチルヒドロペルオキシド/ノナンを用いることが好ましい。
酸化又は硫化工程に使用する「硫化剤」としては、ホスファイトトリエステル結合を、チオホスフェートトリエステル結合に変換できれば、特に限定されないが、3-((N,N-ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン(DDTT)、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン-1,1-ジオキシド(Beaucage試薬)、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン、フェニルアセチルジスルフィド(PADS)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン(ADTT)、硫黄を使用することが好ましい。
良好な反応が進行しうるという観点で、3-((N,N-ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン(DDTT)、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン-1,1-ジオキシド(Beaucage試薬)、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン、フェニルアセチルジスルフィド(PADS)がより好ましく、3-((N,N-ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン-1,1-ジオキシドが更に好ましく、3-((N,N-ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンが特に好ましい。
硫化剤は、0.05M~2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することができる。
希釈溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、ピリジン又はこれら任意の混合溶媒が挙げられる。
酸化剤又は硫化剤の使用量は、核酸延長工程で得られた核酸化合物1モルに対し、1モル~50モル使用することが好ましく、より好ましくは1モル~5モルである。
酸化又は硫化工程における反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、0℃~100℃が好ましく、20℃~50℃がより好ましい。
反応時間は、核酸延長工程で得られた核酸化合物の種類、使用する酸化剤又は硫化剤の種類、反応温度等によって適宜設定することができ、1分~3時間であることが好ましい。
<<工程D;沈殿工程>>
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、沈殿工程の前の工程で得られた核酸化合物を沈殿する工程を含む
沈殿工程における工程Cで得られた核酸化合物を沈殿させる方法としては、極性溶媒を用いて沈殿させる方法が好ましい。
上記極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、2-ブタノン等のケトン系溶媒;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性エーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピペリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;水等、並びに、これら2種以上の混合溶媒が挙げられる。
上記極性溶媒の中でも、アルコール系溶媒、又は、ニトリル系溶媒が好ましく、メタノール又はアセトニトリルがより好ましい。
沈殿工程における極性溶媒としては、特に実用的観点からメタノールが好ましい。極性溶媒は、目的物の極性溶媒中へのロスを最小限とするために水を含んでいてもよい。特に、極性溶媒としてアセトニトリルを用いた場合には、目的物が極性溶媒へ溶解してロスが増加する傾向にあり、僅かに水を含むアセトニトリルを用いることでそのロスを最小限にすることができる。
この場合、極性溶媒中の水の含有量は、1体積%(v/v)~10体積%(v/v)が好ましく、3体積%(v/v)~8体積%(v/v)がより好ましい。極性溶媒中の水の含有量が1体積%以上であると、目的物の極性溶媒中へのロスを抑制することができ、極性溶媒中の水の含有量が10体積%以下であると極性溶媒中の不要物の除去が容易となる傾向がある。
酸化剤としてヨウ素を使用した場合、沈殿化溶媒であるメタノールにチオ硫酸ナトリウム(ハイポ)を飽和させた溶液を使用してもよい。これにより、ヨウ素による着色を除去することができ、リボース構造の5位が保護された核酸化合物を純度良く単離することが可能である。
硫化剤を使用した場合、沈殿化溶媒であるメタノールに3価のリン試薬(例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン等)、ハイポ等の還元剤を飽和させた溶液を使用してもよい。これにより、リボース構造の5位が保護された核酸化合物を純度良く単離することが可能である。
上記工程A~Dを含む核酸化合物の製造方法としては、例えば、下記スキームが挙げられるが、特に限定されるものではない。
なお、下記スキーム中、R、R、X、m1、L、Y、n、環A及びRは式(2)中のR、R、X、m1、L、Y、n、環A及びRと同義である。
Figure 2021039935000064
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、上記工程A~Dを所望の回数繰返すことで、高純度かつ高収率で目的の核酸化合物を得ることができる。
<<工程E;核酸化合物単離工程>>
本開示に係る核酸化合物の製造方法は、上記工程A~工程Dの後に、工程Dで得られた核酸化合物における各保護基の脱保護を行い、核酸化合物を単離する工程を含むことが好ましい。
核酸塩基の保護基の脱保護の方法としては、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(PROTECTIVEGROUPSINORGANICSYNTHESIS)、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHNWILLY&SONS)出版(1999年)等に記載されている脱保護方法に従い、保護基を除去する工程であってもよい。
具体的には、核酸塩基の保護基であるフェノキシアセチル基、アセチル基等、リン酸骨格を保護しているシアノエチル基等は、アンモニア水、アンモニア水/エタノール溶液、又はアンモニア水とメチルアミン水溶液の混合液で処理することにより、除去することができる。
また、ヌクレオチドの5位のヒドロキシ保護基は、A工程で使用される酸又はそれらを適宜希釈した溶液で処理することにより除去することができる。
保護基を有しない、即ち、リボース構造5位のPが水素原子であるヌクレオチド等は酵素により容易に分解されやすいため、空気清浄度管理下で核酸化合物を単離することが好ましい。
また、式(1)で表される構造の脱保護の条件は、式(2)中のLに応じて適宜設定することができる。
式(1)で表される化合物の構造の条件としては、例えば、式(1)中、Lが式(1L)である場合、塩基性化合物を用いた脱保護方法が好ましく、アンモニア水、アンモニア水/エタノール溶液、又は、アンモニア水とメチルアミン水溶液の混合液で処理することにより、除去することができる。
本開示に係る核酸化合物の製造方法により得られた最終目的物である核酸化合物は、核酸化合物の合成方法で常用される方法に従って、単離精製することができる。例えば、反応混合物を抽出洗浄、晶析、クロマトグラフィーなどによって、最終目的物である核酸化合物を単離精製することができる。
上記各工程における反応の進行の確認は、いずれも一般的な液相有機合成反応と同様の方法を適用できる。すなわち、薄層シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を用いて反応を追跡することができる。
工程(D)又は、工程(E)より得られた核酸化合物は、更に合成反応を施すことにより、所望の核酸化合物誘導体へと導くこともできる。
本開示に係る核酸化合物の製造方法によって製造された核酸化合物は、各種人体用又は動物用の医薬品(RNA、DNA、オリゴ核酸医薬、等)、機能性食品、特定保健食品、食品、化成品、生体用や工業用の高分子材料、等の各種用途に使用することができる。
(核酸化合物)
本開示に係る核酸化合物は、リボース構造の3位又は5位のいずれか一方のヒドロキシ基が下記式(1a)で表される構造により保護された核酸化合物である。
Figure 2021039935000065
式(1)中、環Aは縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、上記Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
波線部分及び*は、リボース構造の3位又は5位のヒドロキシ基との結合位置又は他の構造との結合位置を表し、
**は、環Aとの結合位置を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
本開示に係るリボース構造の3位又は5位のいずれか一方が上記式(1a)で表される構造により保護された核酸化合物は、新規な化合物であり、核酸化合物の製造に好適に用いることができる。
本開示に係る化合物における式(1a)で表される構造は、上述した本開示に係る核酸化合物の製造方法において上述した式(1)で表される構造と同様であり、後述する好ましい態様以外の好ましい態様も同様である。
また、上記式(1a)で表される構造は、上記式(1)で表される構造と同様にして、合成することができる。
上記式(1a)で表される構造により保護された核酸化合物が、下記式(2a)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021039935000066
式(2a)中、mは、0以上の任意の整数を表し、
nは1~6を表し、
Baseはそれぞれ独立に、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、
は、水素原子、又は、保護基を表し、
は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基を表し、
は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表し、
Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表し、
Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
環Aは、縮合多環芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、
はそれぞれ独立に、単結合、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
*は、Lとの結合位置を表し、
**は、環Aとの結合位置を表し、
Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
kは、1~5の整数を表し、
はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
式(2a)中、m、n、Base、P、R、X、R、L、環A、Y、及び、Rは、上述の式(2)中のm、n、Base、P、R、X、R、L、環A、Y、及び、Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
また、上記式(2a)で表される化合物は、上記式(2)で表される化合物と同様にして、合成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
特に記載のない場合、カラムクロマトグラフィーによる精製は、自動精製装置ISOLERA(Biotage社製)又は中圧液体クロマトグラフYFLC-Wprep2XY.N(山善株式会社製)を使用した。
特に記載のない場合、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける担体は、SNAPKP-Sil Cartridge(Biotage社製)、ハイフラッシュカラムW001、W002、W003、W004、又は、W005(山善(株)製)を使用した。
カラムクロマトグラフィーに用いる溶離液における混合比は、体積比である。例えば、「ヘキサン:酢酸エチルの勾配溶離=50:50~0:100」は、50%ヘキサン/50%酢酸エチルの溶離液を最終的に0%ヘキサン/100%酢酸エチルの溶離液へ変化させたことを意味する。
また、例えば、「ヘキサン:酢酸エチルの勾配溶離=50:50~0:100、メタノール:酢酸エチルの勾配溶離=0:100~20:80」は、50%ヘキサン/50%酢酸エチルの溶離液を0%ヘキサン/100%酢酸エチルの溶離液へ変化させた後、溶離液を0%メタノール/100%酢酸エチルの溶離液へ切り替え、最終的に20%メタノール/80%酢酸エチルの溶離液へ変化させたことを意味する。
MSスペクトルは、ACQUITY SQD LC/MS System(Waters社製、イオン化法:ESI(ElectroSpray Ionization、エレクトロスプレーイオン化)法)を用いて測定した。
NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用い、Bruker AV300(Bruker社製、300MHz)、又は、Bruker AV400(Bruker社製、400MHz)を用いて測定し、全δ値をppmで示した。
また、実施例で用いられる略語は以下のとおりである。
・TFA:トリフルオロ酢酸
・NMP:N-メチル-2-ピロリドン
・THF:テトラヒドロフラン
・HBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
・DMAP:N,N-ジメチル-4-アミノピリジン
・DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
・EDC:1,2-ジクロロエタン
・DCM:ジクロロメタン
(化合物(1);ヌクレオシドの合成)
下記のスキームに従い、化合物(1)を合成した。
Figure 2021039935000067
中間体(1-1)は、欧州特許出願公開第2518041号公報の段落0216に記載の方法で合成した。
中間体(1-1)(12.00g、15.5mmol)と、6-ヒドロキシ-2-ナフト酸メチル(6.26g、30.9mmol)と、炭酸カリウム(8.55g、61.9mmol)と、溶媒としてN-メチルピロリドン(155mL)とを混合して反応溶液を得た。得られた反応溶液を100℃で窒素下4時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を室温(25℃)まで冷まし、シクロペンチルメチルエーテルで希釈し、分液漏斗を用いて水洗した。得られた有機層にメタノールを添加することで析出した固体を濾過及び乾燥させて中間体(1-2)(13.8g、収率95%)を得た。
中間体(1-2)(4.00g、4.25mmol)と、溶媒としてテトラヒドロフラン(66mL)とを混合し、30℃で撹拌させたところへ、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムトルエン溶液(3.6M)(3.5mL、12.8mmol)を、滴下漏斗を用いて滴下した。滴下後、反応溶液を30℃で窒素下2時間撹拌した。反応終了後、30℃で撹拌しながら酒石酸カリウムナトリウム飽和水溶液(50mL)をゆっくり滴下した。滴下後、水相を除去し、得られた有機層にメタノールを添加することで析出した固体を濾過及び乾燥させて中間体(1-3)(3.87g、収率99%)を得た。
中間体(1-3)(190mg、0.21mmol)と、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-O-スクシネートのトリエチルアミン塩(186mg、0.25mmol)と、溶媒としてジクロロメタン(25mL)とを混合し、室温(25℃)で撹拌させたところへ、N,N-ジメチルアミノピリジン(40mg、0.33mmol)と、ジイソプロピルエチルアミン(57μL、0.33mmol)と、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(123mg、0.33mmol)と、を添加した。添加後、反応溶液を窒素下終夜撹拌した。反応終了後、メタノールを添加することで析出した固体を濾過及び乾燥させて化合物(1)(379mg、収率98%)を得た。ESI-MS:[M-H]=1538
(化合物(2);ヌクレオシドの合成)
下記のスキームに従い、化合物(2)を合成した。
Figure 2021039935000068
中間体(1-1)(8.00g、10.3mmol)と、インドール-5-カルボキシアルデヒド(5.98g、41.2mmol)と、カリウムtert-ブトキシド(t-BuOK)(4.62g、41.2mmol)と、溶媒としてテトラヒドロフラン(100mL)とを混合して反応溶液を得た。得られた反応溶液を40℃で窒素下3時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を室温(25℃)まで冷まし、シクロペンチルメチルエーテルで希釈し、分液漏斗を用いて水洗し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をジクロロメタンに溶解させ、メタノールを添加することで析出した固体を濾過及び乾燥させて中間体(2-1)(9.11g、収率95%)を得た。
中間体(2-1)(5.0g、5.65mmol)と、溶媒として塩化メチレン(75mL)とを混合し、30℃で溶解した後、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.36g、34mmol)と、トリエチルアミン(7.88mL、56.5mmol)とを添加し、2時間30℃で撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、メタノールを加え、生じた沈殿物を濾過及び乾燥させて中間体(2-2)(4.9g、収率:97%)を得た。
中間体(2-2)(2.00g、2.22mmol)と、溶媒としてテトラヒドロフラン(37mL)と、酢酸(10mL)とを室温で混合した後、亜鉛ダスト(1.75g、26.7mmol)を添加した。1時間還流した後、セライトで亜鉛ダストを除去し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物にメタノール(750mL)を加え、生じた沈殿物を濾過及び乾燥させた。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=4:1~1:9)により精製し、中間体(2-3)(1.01g、収率51.3%)を得た。
中間体(2-3)(88.5mg、0.10mmol)と、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-O-スクシネートのトリエチルアミン塩(111mg、0.15mmol)と、溶媒としてジクロロメタン(1mL)とを混合し、室温(25℃)で撹拌させたところへ、4-ジメチルアミノピリジン(18.3mg、0.15mmol)と、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(28.8mg、0.15mmol)とを添加した。添加後、反応溶液を室温で窒素下1時間撹拌した。反応終了後、メタノールを添加することで析出した固体を濾過及び乾燥させて化合物(2)(138mg、91%)を得た。ESI-MS:[M-H]=1512
(化合物(3);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(3)を合成した。
Figure 2021039935000069
化合物(1)(100mg、0.065mmol)と、ピロール(45μL、0.65mmol)と、溶媒としてジクロロメタン(1.4mL)とを混合し、室温(25℃)で撹拌させたところへ、トリフルオロ酢酸(49μL、0.65mmol)を添加し、反応溶液を室温窒素下15分間撹拌して5’位脱保護を行った。脱保護後、ピリジン(52μL、0.65mmol)を添加し、反応溶液を室温窒素下15分間撹拌して中和し、続いて4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)のアセトニトリル溶液(0.25M)(44μL、0.18mmol)と、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(193.4mg、0.26mmol)とを添加し、反応溶液を室温窒素下15分間撹拌して縮合によりホスファイトトリエステルを形成させた。縮合後、ヨウ素/ピリジン/テトラヒドロフラン/水溶液(1.8mL)を添加し、反応溶液を室温窒素下1時間撹拌して酸化によりホスフェートトリエステルを形成させた。得られた反応溶液に、チオ硫酸ナトリウム飽和メタノール溶液(14mL)を添加することで析出した固体を濾過及び乾燥させて化合物(3)(122mg、収率99%)を得た。ESI-MS:[M-H]=1895
(化合物(4);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(4)を合成した。
化合物(4)は、化合物(3)と同様の方法で合成した。
収率96%、ESI-MS:[M-H]=1867であった。
Figure 2021039935000070
(比較化合物の合成)
比較化合物(1)は、特許6281599号公報の段落0205に記載の方法により比較化合物(1-1)合成し、化合物(3)と同様の方法で合成した。
収率83%、ESI-MS:[M-H]=1739であった。
Figure 2021039935000071
〔評価〕
Figure 2021039935000072
実施例1及び2の本開示に係る核酸化合物の製造方法は、比較例1の製造方法に比べて、得られる核酸化合物の収率に優れることが分かる。
〔実施例3〕
(化合物(5);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(5)を合成した。
化合物(5)は、化合物(3)の合成で用いた、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを2’-O-メチル-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトに変更した以外は、化合物(3)と同様の方法で合成した。
収率98%、ESI-MS:[M-H]=1911であった。
Figure 2021039935000073
〔実施例4〕
(化合物(6);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(6)を合成した。
化合物(6)は、化合物(3)の合成で用いた、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトをLNA-T-CE-ホスホロアミダイトに変更した以外は、化合物(3)と同様の方法で合成した。
収率94%、ESI-MS:[M-H]=1923であった。
Figure 2021039935000074
〔実施例5〕
(化合物(7);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(7)を合成した。
化合物(7)は、化合物(4)の合成で用いた、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを2’-O-メチル-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトに変更した以外は、化合物(4)と同様の方法で合成した。
収率94%、ESI-MS:[M-H]=1883であった。
Figure 2021039935000075
〔実施例6〕
(化合物(8);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(8)を合成した。
化合物(8)は、化合物(4)の合成で用いた、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトをLNA-T-CE-ホスホロアミダイトに変更した以外は、化合物(4)と同様の方法で合成した。
収率94%、ESI-MS:[M-H]=1895であった。
Figure 2021039935000076
〔実施例7及び8〕
(化合物(9)、及び、化合物(10);ヌクレオチドの合成)
下記のスキームに従い化合物(9)及び化合物(10)を合成した。
化合物(9)は、化合物(3)の合成で用いた原料を化合物(3)(100mg、0.053mmol)に変更し、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)チミジン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトをN6-ベンゾイル-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)アデノシン-3’-[O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトに変更した以外は、化合物(3)と同様の方法で合成した。化合物(9)の収率は96%であった。
続いて化合物(9)と28%アンモニア水溶液/エタノール(v/v=3/1)溶液とを混合し、60℃で5時間撹拌した。反応終了後、遠心エバポレーターで溶媒を留去した。得られた粗生成物に0.1M酢酸アンモニウム水溶液を加え、不溶物を除去したのち、C18カートリッジカラム(ジーエサイエンス(株)製)に吸着させた。0.1M酢酸アンモニウム水溶液と水で洗浄したのち、2%トリフルオロ酢酸水溶液で5位のDMTr基を除去し、再び水で洗浄した。20%アセトニトリル水溶液でC18カートリッジカラムから溶出させ、化合物(10)を得た。ESI-MS:[M-H] =858.2、収率84%であった。
Figure 2021039935000077
実施例3~8の化合物を用いた本開示に係る核酸化合物の製造方法は、比較例1の比較化合物を用いた製造方法に比べて、得られる核酸化合物の収率に優れることが分かる。
<保護基形成用試薬(化合物(A-2)~化合物(A-6))の合成>
上記中間体(1-1)と同様に合成することで下記化合物(A-2)~化合物(A-6)を得た。
Figure 2021039935000078
化合物(A-2)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.88(6H,t),1.20-1.74(80H,m),3.81(4H,t),4.74(2H,d),5.39(2H,s),6.14(2H,d),6.30(1H,t),6.53(1H,s),7.10(1H,t),7.16(1H,t),7.25-7.30(1H,d),7.61(1H,d)
化合物(A-3)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.88(6H,t),1.20-1.74(80H,m),3.84(4H,t),4.88(2H,d),5.18(2H,s),6.28(2H,d),6.35(1H,t),6.53(1H,s),7.13-7.28(3H,m),7.31(1H,d),7.75(1H,d)
化合物(A-4)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.88(6H,t),1.19-1.47(76H,m),1.66-1.76(4H,m),3.84(4H,t),4.83(2H,d),5.15(2H,s),6.23(2H,d),6.35(1H,t),7.12-7.16(2H,m),7.17-7.21(1H,m),7.69-7.72(1H,m)
化合物(A-5)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl,400MHz) δ:0.88(6H,t),1.18-1.47(76H,m),1.66-1.77(4H,m),3.86(4H,t),4.84(2H,d),5.13(2H,s),6.24(2H,d),6.36(1H,t),7.08-7.13(2H,m),7.28(1H,d),7.64(1H,d)
化合物(A-6)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl,400MHz) δ:0.88(6H,t),1.18-1.45(76H,m),1.48(1H, t),1.67-1.77(4H,m),3.86(4H,t),4.82(2H,d),5.12(2H,s),6.21(2H,d),6.36(1H,t),7.12(1H,s),7.37(1H,s),7.81(1H,s)
<保護基形成用試薬(化合物(A-N-1)の合成>
下記スキームに従い、化合物(A-N-1)を合成した。
Figure 2021039935000079
上記で合成した化合物(A-2)(2.00g、2.26mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.96g、4.52mmol)、エチルアミンテトラヒドロフラン溶液(2M)(3.39mL、6.78mmol)、酢酸(0.34mL、6.78mmol)、テトラヒドロフラン(25mL)を混合し、窒素雰囲気下、90℃7時間撹拌した。反応溶液を0℃まで降温し、水(10mL)をゆっくり滴下し、クエンチした。ジクロロメタンで抽出し、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をジクロロメタンに溶解させ、メタノールを添加することで析出した固体をろ過、乾燥させることで化合物(A-N-1)(1.90g、収率:94%)を得た。
なお、NaBH(OAc)はナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、EtNHはエチルアミンを表す。
H NMR(CDCl,400MHz) δ:0.88(6H,t),1.15(3H,t),1.20-1.76(80H,m),2.72(2H,q),3.83(4H,t),3.89(2H,s),5.19(2H,s),6.24(2H,d),6.32(1H,t),6.49(1H,dd),7.11(1H,d),7.15(1H,dd),7.25(2H,d),7.57(1H,d)
<保護基形成用試薬(化合物(A-N-2)~化合物(A-N-4))の合成>
上記化合物(A-N-1)と同様に合成することで下記化合物(A-N-2)~化合物(1-N-4)を得た。
Figure 2021039935000080
化合物(A-N-2)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.88(6H,t),1.14(3H,t),1.18-1.44(76H,m),1.66-1.74(4H,m),2.75(2H,q),3.83(4H,t),3.99(2H,s),5.17(2H,s),6.26(2H,d),6.33(1H,t),7.07(1H,s),7.11(1H,t),7.17(1H,t),7.25-7.29(1H,m),7.65(1H,d)
化合物(A-N-3)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.88(6H,t),1.22-1.43(76H,m),1.64-1.72(4H,m),3.74(6H,s),3.82(4H,d),3.82(3H,s),3.95(4H,d),5.16(2H,s),6.13(2H,s),6.26(2H,d),6.31(1H,t),7.07(1H,td),7.15(1H,td),7.15(1H,s),7.24-7.28(1H,m),7.50(1H,d)
化合物(A-N-4)のH NMR結果を以下に示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.88(6H,t),1.21-1.44(76H,m),1.65-1.74(4H,m),2.28(3H,s),3.78(2H,s),3.83(4H,t),3.99(2H,s),5.17(2H,s),5.87-5.90(1H,m),6.05(1H,d),6.26(2H,d),6.33(1H,t),7.07(1H,s),7.10(1H,td),7.18(1H,td),7.24-7.29(1H,m),7.63(1H,d)
<保護基形成用試薬(化合物(A-N-5)の合成>
下記スキームに従い、化合物(A-N-5)を合成した。
Figure 2021039935000081
中間体(A-1-1)(10.0g、12.9mmol)、インドール-3-カルボアルデヒド(7.48g、51.6mmol)、テトラヒドロフラン(129mL)の混合物にターシャーリーブトキシカリウム(5.79g、51.6mmol)を加え、60℃で2.5時間攪拌した。反応溶液にシクロペンチルメチルエーテル(250mL)、水(250mL)を加え、分液後、有機層にメタノール(1L)を加え、生じた沈殿物をろ取、乾燥し、中間体(A-1-3)(11.1g、収率:96.9%)を得た。
中間体(A-1-3)(20.0g、22.6mmol)、塩化メチレン(302mL)の混合物を30℃で溶解した後、ヒドロキシルアミン塩酸塩(9.43g、136mmol)、トリエチルアミン(31.5mL、226mmol)を加え、2時間30℃で撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、メタノール(2L)を加え、生じた沈殿物をろ取、乾燥し、中間体(A-1-4)(19.6g、収率:96.6%)を得た。
中間体(A-1-4)(2.00g、2.22mmol)、テトラヒドロフラン(37mL)、酢酸(10mL)を室温で混合した後、亜鉛ダスト(1.75g、26.7mmol)を加えた。1時間還流した後、セライトで亜鉛ダストを除去し、得られたろ液を濃縮した。得られた粗生成物にメタノール(750mL)を加え、生じた沈殿物をろ取、乾燥させた。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=4:1~1:9)により精製し、化合物(A-N-5)(1.01g、収率51.3%)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz) δ:0.88(6H,t),1.20-1.44(76H,m),1.66-1.75(4H,m),3.84(4H,t),4.06(2H,d),5.17(2H,s),6.27(2H,d),6.33(1H,t),7.04(1H,s),7.12(1H,dt),7.19(1H,dt),7.29(1H,d),7.65(1H,d)
<保護基形成用試薬(化合物(B-1))の合成>
下記スキームに従い、化合物(B-1)を合成した。
Figure 2021039935000082
中間体(B-1)はTetrahedron Lett.,2018,59,2145-2149記載の方法で合成した。
中間体(1-1)(473mg、0.61mmol)、中間体(B-1)(149mg、0.76mmol)、カリウムtert-ブトキシド(86.5mg、0.77mmol)、及び、テトラヒドロフラン/N,N-ジメチルホルムアミド(2/3(vol%/vol%)、25mL)を混合し、4時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで降温し、シクロペンチルメチルエーテル及び水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。得られた粗生成物をジクロロメタンに溶解させ、メタノールを添加することで析出した固体をろ過、乾燥させることで中間体(B-2)(503mg)を得た(収率:88%)。
窒素雰囲気下、中間体(B-2)(149mg、0.16mmol)、水素化ホウ素ナトリウム(12.1mg、0.32mmol)、及び、テトラヒドロフラン/メタノール(20/1(vol%/vol%)、2mL)を混合し、室温で2時間撹拌した。反応溶液を0℃まで降温し、水(10mL)をゆっくり滴下し、クエンチした。ジクロロメタンで抽出し、得られた有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をジクロロメタンに溶解させ、メタノールを添加することで析出した固体をろ過・乾燥させることで化合物(B-1)(115mg)を得た(収率:77%)。
なお、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを示す。
H NMR(CDCl:400MHz) δ:0.84-1.72(86H,m),3.80(4H,t),4.86(2H,d),5.42(2H,s),6.27(2H,d),6.31(1H,t),7.22-7.29(2H,m),7.33-7.39(2H,m),7.41-7.47(2H,m),8.10-8.14(2H,m)
<保護基形成用試薬(化合物(B-2))の合成>
Figure 2021039935000083
化合物(B-1)と同様に合成することで化合物(B-2)を得た。
H-NMR(CDCl,300MHz)δ=0.88(9H,t),1.19-1.85(96H,m),3.93-4.01(6H,m),4.83(2H,d),5.06(2H,s),6.42(1H,t),6.67(2H,d),7.22-7.26(2H,m),7.46(1H,dd),7.72-7.77(3H,m).
<保護基形成用試薬(化合物(B-3))の合成>
Figure 2021039935000084
化合物(B-1)と同様に合成することで化合物(B-3)を得た。
H-NMR(CDCl,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.24-1.58(64H,m),2.04(4H,m),3.41(4H,t),3.58(4H,t),4.05(4H,t),4.83(2H,d),5.10(2H,s),6.44(1H,t),6.63(2H,d),7.20-7.26(2H,m),7.45(1H,dd),7.72-7.76(3H,m).
<保護基形成用試薬(化合物(B-4))の合成>
Figure 2021039935000085
中間体(1-1)(3.00g、3.87mmol)、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(1.00g、3.87mmol)、炭酸カリウム(1.07g、7.73mmol)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、30mL)を混合し、窒素雰囲気下、100℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、メタノールを添加することで析出した固体をろ過、減圧乾燥させることにより、中間体(B-3)(4.46g)を得た。
窒素雰囲気下、中間体(B-3)(3.52g、3.86mmol)、テトラヒドロフラン(154mL)、メタノール(7.7mL)を混合し、室温下で撹拌させたところへ、水素化ホウ素ナトリウム(0.292g、7.72mmol)を加えた。反応溶液を40℃で30分間撹拌し、原料の消失を確認後、反応液にシリカゲル(50g)を少量ずつ加え反応を停止した。シリカゲルのろ過、ろ液の減圧下濃縮後、得られた残渣をTHF(15mL)に溶解し、メタノール(100mL)を添加することで析出した固体をろ過・乾燥させることにより化合物(B-4)(3.44g、収率98%)を得た。
H-NMR(CDCl,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.19-1.80(80H,m),3.92(4H,t),5.17(2H,s),5.22(2H,d),6.40(1H,s),6.58(2H,d),7.29(1H,t),7.37(1H,t),7.53(1H,t),7.80(2H,dd),8.14(1H,d).
<保護基形成用試薬(化合物(B-5))の合成>
Figure 2021039935000086
化合物(1-4)と同様に合成することで化合物(1-5)を得た。
H-NMR(CDCl,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.19-1.85(80H,m),3.95(4H,t),5.06(2H,d),5.18(2H,s),6.42(1H,t),6.63(2H,d),6.82(1H,d),7.38(1H,d),7.48-7.65(2H,m),8.12(1H,d),8.41(1H,d).
<保護基形成用試薬(化合物(C-1))の合成>
Figure 2021039935000087
中間体(C-1)は文献J.Am.Chem.Soc.,2010,132,14625-14637に記載の方法で合成した。
中間体(C-1)(346mg、1.00mmol)、1-ブロモドコサン(1166mg、3.00mmol)、炭酸カリウム(897mg、6.5mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、ジクロロメタン、水で抽出し、有機相を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=1/9~3/7(体積比))に供することで精製し、更に、アセトニトリルで再結晶し、ろ過、乾燥させることで化合物(C-1)(200mg、収率21%)を得た。
H-NMR(CDCl,400MHz)δ=0.83-1.63(86H,m),3.86-3.92(4H,m),4.79(4H,d),7.12(2H,d),7.20(2H,dd),7.40(2H,d),7.82(2H,d),7.91(2H,d).
<保護基形成用試薬(化合物(C-2))の合成>
Figure 2021039935000088
使用する臭化物におけるアルキル基の長さを変更した以外は、化合物(C-1)と同様に合成することで、化合物(C-2)を得た。
<保護基形成用試薬(化合物(D-1))の合成>
Figure 2021039935000089
中間体(D-1)はJournal of Organic Chemistry,2009,74,2,520-529に記載の方法で合成した。
中間体(D-1)(132mg、0.7mmol)、1-ブロモドコサン(601mg、1.54mmol)、炭酸カリウム(388mg、2.8mmol)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、3.5mL)、テトラヒドロフラン(3.5mL)を混合し、窒素雰囲気下、90℃で5時間撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、メタノールを添加することで析出した固体をろ取し、水、メタノールでそれぞれ洗った後、減圧乾燥させることにより、中間体(D-2)(480mg、85%)を得た。
窒素雰囲気下、中間体(D-2)(480mg、0.6mmol)、テトラヒドロフラン(90mL)、メタノール(4.5mL)を混合したところへ、水素化ホウ素ナトリウム(68mg、1.8mmol)を添加した。反応溶液を40℃に昇温し、2時間撹拌した後、シリカゲルを加えることで反応をクエンチした。反応溶液をろ過し、有機相を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/ジクロロメタン=7/3~1/1(体積比))に供することで精製することで化合物(D-1)(427mg、収率89%)を得た。
H-NMR(CDCl,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.25-1.53(76H,m),1.80-1.87(4H,m),4.05(2H,t),4.11(2H,t),5.16(2H,d),7.10(1H,d),7.19-7.25(2H,m),7.68(1H,d),8.01(1H,d).
〔実施例101〕
実施例1における中間体(2-3)の代わりに、化合物(A-2)~(A-6)、(A-N-1)~(A-N-5)、(B-1)~(B-5)、(C-1)、(C-2)又は(D-1)のいずれかを用いて、実施例1と同様にして、上記化合物(1)に対応する化合物、及び、上記化合物(3)に対応する化合物を作製し、収率の評価を行う。
いずれの化合物を用いた場合でも、得られる核酸化合物の収率に優れる。
2019年8月29日に出願された日本国特許出願第2019-157402号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (17)

  1. リボース構造の3位又は5位のいずれか一方を下記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物を用いた、核酸化合物の製造方法。
    Figure 2021039935000001


    式(1)中、環Aはナフタレン環を表し、
    は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
    kは、1~5の整数を表し、
    波線部分及び*は、他の構造との結合位置を表し、**は、環Aとの結合位置を表し、
    はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基で あり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
    環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
  2. 前記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の核酸化合物の製造方法。
    Figure 2021039935000002


    式(2)中、mは、0以上の任意の整数を表し、
    nは1~6を表し、
    Baseはそれぞれ独立に、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、
    は、水素原子、又は、ヒドロキシ保護基を表し、
    は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基を表し、
    は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表し、
    Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表し、
    Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
    環Aは、ナフタレン環を表し、
    はそれぞれ独立に、単結合、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
    *は、Lとの結合位置を表し、
    **は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
    kは、1~5の整数を表し、
    はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
    環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
  3. 前記式(2)におけるRが、酸素原子又は硫黄原子であり、かつ、Rがヒドロキシ基である、請求項2に記載の核酸化合物の製造方法。
  4. 前記Pが、弱酸で脱保護可能なヒドロキシ保護基を表し、かつ、
    工程A;リボース構造の3位の末端に前記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物におけるリボース構造の5位末端の保護基を脱保護する工程と、
    工程B;前記工程Aで得られた核酸化合物と、リボース構造の3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程と、
    工程C;前記工程Bで得られた核酸化合物に、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程と、
    工程D;前記工程Cで得られた核酸化合物を沈殿する工程と、
    をこの順に含む液相合成法を用いた、請求項2又は請求項3に記載の核酸化合物の製造方法。
  5. 前記Pが、水素原子を表し、かつ、
    工程B;リボース構造の3位末端に前記式(1)で表される構造が結合した核酸化合物と、3位がホスホロアミダイト化され、かつ、5位のヒドロキシ基が、弱酸で脱保護可能な保護基で保護された核酸化合物と、を反応させ、ホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程と、
    工程C;前記工程Bで得られた核酸化合物、酸化剤又は硫化剤を反応させ、核酸化合物のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合又はチオホスフェートトリエステル結合に変換する工程と、
    工程A;前記工程Cで得られた核酸化合物の5位末端の保護基を脱保護する工程と、
    工程D;前記工程Aで得られた核酸化合物を沈殿する工程と、
    をこの順に含む液相合成法を用いた、請求項2又は請求項3に記載の核酸化合物の製造方法。
  6. 前記式(2)におけるLが下記式(1L)で表される基である、請求項2又は請求項3に記載の核酸化合物の製造方法。
    Figure 2021039935000003


    式(1L)中、*は、Yとの結合位置を表し、**はリボース構造の3位における酸素原子との結合位置を表し、
    は、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
    は、単結合、又は、#-C(=O)N(R2L)-R1L-N(R3L)-##を表し、
    #は、Lとの結合位置を表し、
    ##は、C=Oとの結合位置を表し、
    1Lは、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
    2L及びR3Lはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~22であるアルキル基を表し、
    2L及びR3Lは、互いに結合して炭素数が1~22であるアルキレン基を形成していてもよい。
  7. 全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の核酸化合物の製造方法。
  8. 前記式(1)で表される構造が、下記式(10)~式(30)のいずれかで表される構造を有する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の核酸化合物の製造方法。
    Figure 2021039935000004


    式(10)、式(20)、又は、式(30)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、ナフタレン環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個又は2個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。
  9. 前記式(10)、式(20)、又は、式(30)におけるRがそれぞれ独立に、下記式(1f)又は式(a1)で表される基である、請求項8に記載の核酸化合物の製造方法。
    Figure 2021039935000005


    式(f1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、Rはそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Arは(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
    Figure 2021039935000006


    式(a1)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、R20の少なくとも1つは、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基である。
  10. 前記式(f1)で表される基が、下記式(f2)で表される基である請求項9に記載の核酸化合物の製造方法。
    Figure 2021039935000007


    式(f2)中、波線部分は他の構造との結合位置を表し、m10は、1~3の整数を表し、m11は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
  11. 前記1個以上のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、14以上である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の核酸化合物の製造方法。
  12. 全てのRが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、40以上である、請求項1~請求項6及び請求項11のいずれか1項に記載の核酸化合物の製造方法。
  13. リボース構造の3位又は5位のいずれか一方のヒドロキシ基が下記式(1a)で表される構造により保護された核酸化合物。
    Figure 2021039935000008


    式(1a)中、環Aはナフタレン環を表し、
    は、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
    Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
    kは、1~5の整数を表し、
    波線部分及び*は、リボース構造の3位又は5位のヒドロキシ基との結合位置又は他の構造との結合位置を表し、
    **は、環Aとの結合位置を表し、
    はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
    環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
  14. 前記式(1)で表される構造により保護された核酸化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項13に記載の核酸化合物。
    Figure 2021039935000009


    式(2)中、mは、0以上の任意の整数を表し、
    nは1~6を表し、
    Baseはそれぞれ独立に、核酸塩基又は修飾核酸塩基を表し、
    は、水素原子、又は、ヒドロキシ保護基を表し、
    は、酸素原子、硫黄原子、又は、ボラノ基を表し、
    は、水素原子、置換若しくは無置換のヒドロキシ基、置換若しくは無置換のメルカプト基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基を表し、
    Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又は、リボース構造の4’位の炭素原子と架橋する有機基を表し、
    Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
    環Aは、ナフタレン環を表し、
    はそれぞれ独立に、単結合、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、
    *は、Lとの結合位置を表し、
    **は、環Aとの結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、
    kは、1~5の整数を表し、
    はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、k個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
    環Aは、Y及びRに加えて更に置換基を有していてもよい。
  15. 前記式(2)におけるRが、酸素原子又は硫黄原子であり、かつ、Rがヒドロキシ基である、請求項14に記載の核酸化合物。
  16. 前記式(2)におけるLが下記式(1L)で表される基である、請求項14又は請求項15に記載の核酸化合物。
    Figure 2021039935000010


    式(1L)中、*は、Yとの結合位置を表し、
    **はリボース構造の3位における酸素原子との結合位置を表し、
    は、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
    は、単結合、又は、#-C(=O)N(R2L)-R1L-N(R3L)-##を表し、
    #は、Lとの結合位置を表し、
    ##は、C=Oとの結合位置を表し、
    1Lは、炭素数が1~22であるアルキレン基を表し、
    2L及びR3Lはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~22であるアルキル基を表し、
    2L及びR3Lは、互いに結合して炭素数が1~22であるアルキレン基を形成していてもよい。
  17. 前記式(1a)で表される構造が、下記式(10)~式(30)のいずれかで表される構造を有する、請求項13~請求項16のいずれか1項に記載の核酸化合物。
    Figure 2021039935000011


    式(10)、式(20)、又は、式(30)中、Yはそれぞれ独立に、*-OCR-**、*-NRCR-**、又は、*-SCR-**を表し、**は、ナフタレン環との結合位置を表し、*は、他の構造との結合位置を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基又は芳香族基置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、1個又は2個のRにおける少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、Rはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。
JP2021543021A 2019-08-29 2020-08-27 Pending JPWO2021039935A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023191159A JP2024009042A (ja) 2019-08-29 2023-11-08 核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019157402 2019-08-29
PCT/JP2020/032476 WO2021039935A1 (ja) 2019-08-29 2020-08-27 核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023191159A Division JP2024009042A (ja) 2019-08-29 2023-11-08 核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021039935A1 JPWO2021039935A1 (ja) 2021-03-04
JPWO2021039935A5 true JPWO2021039935A5 (ja) 2022-05-10

Family

ID=74684238

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021543021A Pending JPWO2021039935A1 (ja) 2019-08-29 2020-08-27
JP2023191159A Pending JP2024009042A (ja) 2019-08-29 2023-11-08 核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023191159A Pending JP2024009042A (ja) 2019-08-29 2023-11-08 核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20220259255A1 (ja)
EP (1) EP4006045A4 (ja)
JP (2) JPWO2021039935A1 (ja)
TW (1) TW202115097A (ja)
WO (1) WO2021039935A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4293035A1 (en) 2021-02-12 2023-12-20 Ajinomoto Co., Inc. Oligonucleotide production method
WO2024083746A1 (en) 2022-10-17 2024-04-25 Bachem Holding Ag Method and composition for oligonucleotide synthesis

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5768712B2 (ja) 2009-03-30 2015-08-26 味の素株式会社 ジフェニルメタン化合物
US8859732B2 (en) 2009-12-25 2014-10-14 Ajinomoto Co., Inc. Benzylic compound
WO2012157723A1 (ja) 2011-05-17 2012-11-22 味の素株式会社 オリゴヌクレオチドの製造方法
US9284344B2 (en) * 2012-05-30 2016-03-15 Hokkaido System Science Co., Ltd. Oligonucleotide synthesis method using highly dispersible liquid-phase support
US10214555B2 (en) 2012-11-14 2019-02-26 Takeda Pharmaceutical Company Limitjed Method for liquid-phase synthesis of nucleic acid
EP3943500A1 (en) * 2014-04-30 2022-01-26 Agilent Technologies, Inc. Phosphorous protecting groups and methods of preparation and use thereof
EP4049991A1 (en) * 2015-01-21 2022-08-31 Ajinomoto Co., Inc. Precipitation promoter and precipitation method in which same is used
JP7027889B2 (ja) * 2015-12-16 2022-03-02 味の素株式会社 オリゴヌクレオチドの製造方法、およびヌクレオシド、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド
TW201906855A (zh) * 2017-05-02 2019-02-16 日商日產化學工業股份有限公司 寡核苷酸之製造方法
JP7140111B2 (ja) * 2017-05-16 2022-09-21 日産化学株式会社 オリゴヌクレオチドの製造方法
JP2019157402A (ja) 2018-03-08 2019-09-19 中井産業株式会社 木造軸組建築物の施工方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6673373B2 (ja) 擬似固相保護基およびヌクレオチド
US4725677A (en) Process for the preparation of oligonucleotides
JP7027889B2 (ja) オリゴヌクレオチドの製造方法、およびヌクレオシド、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド
USRE34069E (en) Process for the preparation of oligonucleotides
JP2024009042A (ja) 核酸化合物の製造方法、及び、核酸化合物
JP7075680B2 (ja) オリゴヌクレオチド合成用セグメントおよびその製造方法、ならびにそれを用いたオリゴヌクレオチドの合成方法
JP2022068360A (ja) オリゴヌクレオチドの製造方法
JP2010275254A (ja) 疎水性基結合ヌクレオシド、疎水性基結合ヌクレオシド溶液、及び疎水性基結合オリゴヌクレオチド合成方法
WO2016117663A1 (ja) 沈殿促進剤およびそれを用いる沈殿化方法
JPWO2021039935A5 (ja)
WO2020235658A1 (ja) オリゴヌクレオチド合成に用いるマルチフルオラスブロックマーおよびこれを用いたオリゴヌクレオチド合成方法
JP2004508379A (ja) オリゴヌクレオチド合成用のシントン
CN113423715A (zh) 寡核苷酸的制造方法
JP7423533B2 (ja) 配糖体化合物の製造方法
PL221806B1 (pl) Sposób wprowadzania acetalowych i acetaloestrowych grup ochronnych oraz związki do realizacji tego sposobu
JP2023179354A (ja) H-ホスホネート法を用いたモルフォリノ核酸の製造方法
EP4308580A1 (en) Chiral synthons for the synthesis of chiral phosphorothioates
US20240166674A1 (en) Phosphoramidite activator
CN112409421A (zh) 一种3’-磷酸酯核苷的制备方法
WO2008045535A2 (en) Convertible nucleoside derivatives