JPWO2020262342A1 - セルロース産生菌の培養方法および培養装置、ならびにバクテリアセルロースの製造方法および製造装置 - Google Patents

セルロース産生菌の培養方法および培養装置、ならびにバクテリアセルロースの製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

従来と比較して培養速度が向上すると共に安定的に培養可能なセルロース産生菌の培養方法および培養装置、ならびにこれらを用いたバクテリアセルロースの製造方法および製造装置を提供することを課題とする。解決手段として、本発明に係るセルロース産生菌の培養装置(10)は、開閉可能な本体部(12)と、各々第1回転軸(16a)を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器(14)を各々保持する複数の容器ホルダ(16)と、該各容器ホルダ(16)を回転駆動する第1駆動手段(18)と、該各容器ホルダ(16)の第1回転軸(16a)を回転可能に支持すると共に、第2回転軸(22a)を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダ(16)を該第2回転軸(22a)の周りに公転させる公転部材(22)と、該公転部材(22)を回転駆動する第2駆動手段(24)と、を備える。

Description

本発明は、セルロース産生菌の培養方法および培養装置、ならびにこれらを用いたバクテリアセルロースの製造方法および製造装置に関する。
セルロースは分子式(C10)nで表される多糖類であり、食品分野、医療分野、工業分野等の様々な分野で広く利用されている。
セルロースは植物細胞の細胞壁の主成分であることから、一般的には木材等の植物原料を化学処理することで製造されている。一方、一部の動物や細菌(バクテリア)の中にはセルロース産生能を持つものがあり、特にバクテリアによって産生されたセルロースはバクテリアセルロースと呼ばれている。バクテリアセルロースは、例えば植物由来のセルロースに対して繊維径が微細といった特性を有し(特開2014−187901号公報参照)、利用性が注目されている。
特開2014−187901号公報
バクテリアセルロースの製造は、セルロース産生能を持つバクテリア(以下、「セルロース産生菌」と表記する)を培養することによって行われる。セルロース産生菌を添加した培地を静置して培養すると膜状セルロース(ペリクル)が生成される。一方、セルロース産生菌を添加した液体培地(培養液)を撹拌等して動的に培養すると液状セルロース(スラリー)が生成される。ここで、動的な培養方法として、従来、培養液を撹拌子や撹拌翼等で撹拌する方法、または培養液を収容した容器を水平方向に揺動させる等して振盪する方法によって行われていた。しかしながら、培養速度は十分でなく、高コストであった。したがって、セルロース産生菌の安定した培養技術、ひいてはそれに基づくバクテリアセルロースの安定した製造技術の早期確立が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、従来と比較して培養速度が向上すると共に安定的に培養可能なセルロース産生菌の培養方法および培養装置、ならびにこれらを用いたバクテリアセルロースの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
本発明に係るセルロース産生菌の培養方法は、セルロース産生菌を添加した培地を収容した容器を公転させつつ自転させる工程を含む方法である。
また、本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法は、本発明に係るセルロース産生菌の培養方法を用いる方法である。
また、本発明に係るセルロース産生菌の培養装置は、開閉可能な本体部と、各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器を各々保持する複数の容器ホルダと、該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備える装置である。
また、本発明に係るバクテリアセルロースの製造装置は、開閉可能な本体部と、各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器を各々保持する複数の容器ホルダと、該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備える装置である。
また、本発明に係る培養方法は、生物検体を収容した容器を公転させつつ自転させる工程を含む方法である。
また、本発明に係る培養装置は、開閉可能な本体部と、各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器を各々保持する複数の容器ホルダと、該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備える装置である。
また、本実施形態に係る化学反応器は、開閉可能な本体部と、各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の容器を各々保持する複数の容器ホルダと、該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備える装置である。
本発明によれば、従来と比較して培養速度が向上すると共に安定的にセルロース産生菌を培養することができる。したがって、低コストで大量のバクテリアセルロースを安定的に製造することができる。
本発明の実施形態に係る培養装置の例を示す概略正面図(一部断面図)である。 実施例1および比較例1で得られた生成物(BNC)のFT−IRスペクトルを示すグラフである。 実施例1および比較例1で得られた生成物(BNC)の生成率[g/L/day]を示すグラフである。 実施例2および比較例2ならびに参考例で得られた生成物(BNC)の写真ある。図4Aに実施例2、図4Bに比較例2、図4Cに参考例を示す。 実施例2および比較例2ならびに参考例で得られた生成物(BNC)のSEM像である。図5Aに実施例2、図5Bに比較例2、図5Cに参考例を示す。 実施例2および比較例2ならびに参考例で得られた生成物(BNC)のFT−IRスペクトルを示すグラフである。 実施例2および比較例2で得られた生成物(BNC)の培養日数[日]による生成率[g/L]の変化を示すグラフである。図7AにZhou培地、図7BにHS培地を示す。 実施例2および比較例2ならびに参考例で得られた生成物(BNC)のXRDパターンを示すグラフである。 実施例3〜実施例6で得られた生成物(BNC)の写真である。図9Aに実施例3、図9Bに実施例4、図9Cに実施例5、図9Dに実施例6を示す。 実施例3〜実施例6で得られた生成物(BNC)の粒子径分布を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
先ず、本実施形態に係るセルロース産生菌の培養装置10の基本構成について説明する。図1は、本実施形態に係る培養装置10の例を示す正面概略図であって、一部を断面で示す。この自公転機構は、開閉部12aにより開閉可能な本体部12の内部に収容されている。ただし、後述する第2駆動手段24は本体部12の外部に配設されてもよい。
本実施形態に係る培養装置10は、図1に示すように、培養液を収容する複数の容器14と、各々第1回転軸16aを中心に回転可能に設けられて、複数の容器14を各々保持する複数の容器ホルダ16と、容器ホルダ16を回転駆動する第1駆動手段18(本実施形態では、モータ)とを備えている。これによって、容器ホルダ16および容器14を、第1回転軸16aを中心に自転させることができる。本実施形態では、第1駆動手段18の主軸と第1回転軸16aとはギアを用いた減速器20等の機構を介して連結されている。
また、本実施形態に係る培養装置10は、各容器ホルダ16の第1回転軸16aを回転可能に支持すると共に、第2回転軸22aを中心に回転可能に設けられて、各容器ホルダ16を第2回転軸22aの周りに公転させる公転部材22と、公転部材22を回転駆動する第2駆動手段24(本実施形態では、モータ)とを備えている。これによって、容器ホルダ16および容器14を、第2回転軸22aを中心に公転させることができる。本実施形態では、第2回転軸22aが公転部材22の中心部を貫通すると共にベアリング26を介して回転可能に支持され、第1回転軸16aが公転部材22の周縁部を貫通すると共にベアリング19を介して回転可能に支持されている。また、第2駆動手段24と第2回転軸22aとはプーリーおよびベルトを用いた減速器27等の機構を介して連結されている。
このように、自転に係る駆動機構と公転に係る駆動機構とを独立して設ける構成によって、自転と公転とを別々に駆動制御することができる。したがって、培養液を収容する容器14を公転させつつ自転させる(自公転させる)ことができる。さらに、自転および公転の各回転数(例えば、回転毎分[rpm])を別々に調整することができ、自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)を自在に調整することができる。なお、これらを制御する制御部(不図示)が設けられている。
また、各容器ホルダ16は、公転部材22の傾斜部23によって、第1回転軸16aが公転部材22の配設面に対して所定の角度Aをなすように配設されている。一例として角度Aを40[°]≦A≦60[°]に設定する。このように、容器14を所定角度傾斜させた状態で保持して自転および公転させることによって容器14に収容される培養液に対するせん断力を向上させ、分散性を高めることができる。なお、本実施形態では角度Aを固定する構成としているが、一例として傾斜部23に公知の角度調整部材を用いることにより角度Aを自在に制御可能な構成としてもよい。
また、任意の構成として、本体部12内(すなわち、容器14内)の温度を調節する温度調節器(不図示)を設けてもよい。この温度調節器は、具体的には本体部12内を加熱する加熱器もしくは冷却する冷却器、または加熱および冷却の両方の機構を備えた加熱冷却器を意味する。また、温度調節器に加えて本体部12内(すなわち、容器14内)の温度を感知する温度センサ28(例えば、赤外線温度センサ)を設けてもよい。この場合、制御部により温度センサ28からの信号(測定情報)に応じて温度調節器を動作させて、本体部12内の温度を制御可能に構成することができる。したがって、運転時(培養時)における培養温度(培養液の温度)を一定に保持したり、自在に変化させることができる。温度センサ28の数、位置は限定されないが、一例として図1に示す本体部12内における容器ホルダ16の公転軌道の近傍、公転部材22における各容器ホルダ16の近傍部位等に設けると、容器14内の温度をより正確に測定できるため、好ましい。
また、任意の構成として、本体部12内(すなわち、容器14内)の湿度を調節する湿度調節器(不図示)を設けてもよい。この湿度調節器は、具体的には本体部12内を加湿する加湿器もしくは除湿(乾燥)する除湿器(乾燥器)、または加湿および除湿(乾燥)の両方の機構を備えた加湿除湿器(加湿乾燥機)を意味する。また、湿度調節器に加えて本体部12内(すなわち、容器14内)の湿度を感知する湿度センサ(不図示)を設けてもよい。これによって、運転時(培養時)における湿度(容器14内の湿度)を一定に保持したり、自在に変化させることができる。
また、任意の構成として、容器14内(培養液内)にプローブ32を挿入し、プローブ32により培養液の各種状態を測定可能に構成してもよい。本実施形態では、図1に示すように、公転部材22の傾斜部23の端部23aに支持部材30が連結されている。支持部材30は、容器ホルダ16と同一角度(ここでは、角度Aと一致)で傾斜して容器ホルダ16に並行する第1支持部30aと、容器ホルダ16の上部で第1支持部30aが屈曲して容器ホルダ16の上面(容器14を出し入れする面)に対向する第2支持部30bとからなり、側面視L字状に形成されている。第2支持部30bには、一または複数の(図1では、3つ)プローブ32が容器ホルダ16(すなわち、容器ホルダ16に収容された容器14)に向かって配設され、その先端が容器14内に挿入されている。これによって、公転部材22の回転に伴って第2支持部30bに固定されたプローブ32を、公転部材22と共に回転させることができる。したがって、プローブ32の先端を容器14内に挿入した状態で容器14を自公転させることができる。
また、第1支持部30aには、プローブ32と連結してプローブ32から受信した測定信号を制御部に送信する通信部34が設けられている。これによって、例えばプローブ32を水素イオン指数(pH)や溶存酸素量(DO)等を測定する電極とした場合、容器14を自公転させながら培養液のpHやDOを測定できる。また、プローブ32を温度もしくは湿度を測定する電極とした場合、前述の温度センサ28もしくは湿度センサに対して培養液の温度もしくは容器内の湿度を直接測定できる。
なお、プローブ32と通信部34との通信を無線で行う構成としてもよい。また、通信部34を必ずしも支持部材30(第1支持部30a)に取付ける必要はなく、公転部材22等に取付けてもよい。特に、プローブ32との通信を無線で行う場合、本体部12の内壁等に取付けてもよい。その他、支持部材30(第1支持部30a)と公転部材22(傾斜部23の端部23a)とが簡易に着脱可能に構成される等によって、適宜容器14が支持部材30(第2支持部30b)等に干渉されないで容器ホルダ16に出し入れ可能に構成される。
また、他の実施例として、プローブ32をヒータに置換してもよい(不図示)。この場合、通信部34を制御部から受信した制御信号をヒータに送信する送受信機に構成することにより、制御部の制御によりヒータの電源をON(またはOFF)にして培養液を加温することができる。温度を測定するプローブ32とヒータとを備える構成とした場合、制御部によりプローブ32からの信号(測定情報)に応じて培養液を加温することが可能になるため、運転時(培養時)における培養温度(培養液の温度)を一定に保持したり、自在に変化させることができる。
また、任意の構成として、容器14内(培養液内)に通流管路36の一端36aを挿入し、通流管路36を通じて容器14内外に所定の物質を給排可能に構成してもよい。本実施形態では、図1に示すように、第2回転軸22aと同じ中心軸で回転可能に設けられて、複数のポート38aを有するロータリージョイント38を備えている。各ポート38aに連結された通流管路36は第2支持部30bを介して、その一端36aが容器14内へ一または複数(図1では、4つ)挿入され、他端36bが前記各ポート38aを介して本体部12外へ連通している。これによって、公転部材22の回転に伴って第2支持部30bに固定された通流管路36を、ロータリージョイント38により公転部材22と共に回転させることができる。したがって、通流管路36の一端36aを容器14内に挿入した状態で容器14を自公転させることができる。
このようにして、容器14を自公転させながら通流管路36を通じて各容器14内外に所定の物質を給排させることができる。具体的には、培養中の培養液内にpH調整剤(酸またはアルカリ)、消泡剤、培地成分、酸素、暖気、冷気等を供給して培養条件(pH条件、培地条件(成分条件)、DO条件、温度条件等)を調整することができる。また、培養装置10を運転しながら(すなわち、容器14を自公転させながら)所望の容器14内から培養液(生成物)を回収し、新たな培養液(微生物または培地成分)を導入することが可能になる。
また、制御部により前述のプローブ32(例えば、pHプローブやDOプローブ等)からの信号(測定情報)に応じて通流管路36を通じて培養液内にpH調整剤や酸素等を供給することが可能になる。したがって、運転時(培養時)における培養条件(pH条件、DO条件等)を一定に保持したり、自在に変化させることができる。
続いて、本実施形態に係るセルロース産生菌の培養方法について説明する。本実施形態に係る培養方法は、一例として培養装置10を用いて、セルロース産生菌を添加した培地を収容した容器14を公転させつつ自転させる工程を含む方法である。この方法は、従来の撹拌や振盪に対して、自公転よってセルロース産生菌と培地とを混合することに特徴がある。以下、具体的に説明する。
先ず、培地を用意する。培地は、セルロース産生菌の培養に一般に用いられるHS培地やZhou培地等を適宜選択すればよい。ただし、当該培地を自公転させることから、流動体および半流動体を含む液体培地を選択する。
一例として表1にHS培地およびZhou培地の配合を示す。HS培地には、セルロース産生菌の培養に必要な炭素源(グルコース)、窒素源(ペプトン)、ミネラル源(リン酸水素二ナトリウム)の他、有機栄養素(酵母エキス)が配合されている。また、Zhou培地にも、セルロース産生菌の培養に必要な炭素源(グルコース)、窒素源(コーンスティープ)、ミネラル源(硫酸アンモニウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム・7水和物)が配合されている。これらの培地をそのまま使用してもよいが、適宜酸(例えば、酢酸)またはアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム溶液)を加えてpHを調整してもよい。
Figure 2020262342
次いで、用意した培地を滅菌する。一例として高圧蒸気滅菌装置で121[℃]、15[分]の滅菌条件により滅菌し、その後自然冷却する。これによって、無菌培地を作製することができる。なお、前述の培地のpH調整は、滅菌前および滅菌後のいずれに行ってもよい。
次いで、培地にセルロース産生菌を添加して培養液を作製する。セルロース産生菌としては、AcetobacterまたはKomagataeibacter等に属する細菌が知られている。細菌の添加は、無菌培地(液体)に対して細菌含有液を無菌条件下で混合することによって行う。細菌含有液とは、所定数の細菌を含む液体で、細菌として市販されているもの、およびこれを予備的に培養したもの等である。混合比は適宜調整されるが、一例として培地の体積に対して10[%]程度の細菌含有液を混合する。
次いで、上記の通り作製した培養液(セルロース産生菌を添加した培地)を、所定の容器に収容して恒温、無菌条件下で公転させつつ自転させる。これによって、容器内でセルロース産生菌を培養することができ、当該容器内にバクテリアセルロースを生成させることができる。好ましくは、本実施形態に係る培養装置10を用いて、容器14内に培養液を収容し、必要に応じて栓(好気性のセルロース産生菌の場合、通気栓)(不図示)で閉じる。容器ホルダ16に容器14をセットし、所定温度、所定時間、容器14を公転させつつ自転させる。このようにすれば、密閉可能な本体部12により培養液中に雑菌等が侵入することを防止でき、温度調節器、通流管路36等により恒温状態を維持できる。その結果、セルロース産生菌が培養され、容器14内にはセルロースが生成される。
培養温度は限定されないが、一例としてKomagataeibacter xylinusをHS培地で培養する場合、例えば30[℃]程度が好適である。培養温度は、厳密には培養液の温度を意味するが、培養装置10の設定温度としてよい。なお、培養状態に応じて培養温度を変化させることが有効な場合もある。培養時間は限定されないが、一例として5日〜7日(120時間〜168時間)程度で十分なセルロースを製造することができる。
このように、本実施形態に係る培養方法では、容器14(培養液)を自公転させることにより、従来の撹拌や振盪と比較して培養液に対するせん断力を向上させ、分散性を高めることができる。したがって、細菌と培地成分とをより均一に混合することができ、細菌の培地成分に対する接触機会および接触面積を増加させることができる。また、培養液の流れが三次元的になって容器14内の空気を巻き込みながら攪拌されるため、細菌への酸素供給を促進することができる。その結果、従来と比較して培養速度が著しく向上すると共に安定的な培養が可能になる。また、これに伴って低コストで大量のバクテリアセルロースを安定的に製造することができる。
容器14の自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)は、1:2〜3:1(公転の回転数[rpm]に対して自転の回転数[rpm]が0.5倍〜3倍)の範囲で設定するとよい。換言すると、自公転比率=a:bは、1≦a≦3、1≦b≦2の範囲で設定するとよい。
このうち、自公転比率を、概ね2:1(すなわち、自公転比率=a:bが、a=2±0.1、b=1±0.1)に設定し、自転の回転数x[rpm]を、x=140〜160、公転の回転数y[rpm]をy=70〜80に設定すると、特にせん断力および分散性が向上して、培養速度が向上し、安定的な培養が可能になる。なお、この条件で、x=150、y=75に設定するとさらに好適である。
一方、自公転比率を、概ね1:1(すなわち、自公転比率=a:bが、a=1±0.1、b=1±0.1)に設定し、自転の回転数x[rpm]を、x=28〜32、公転の回転数y[rpm]をy=28〜32に設定すると、生成物であるセルロース中に散在する小球の粒子径が相対的に小さく少なくなって、微小繊維を相対的に多く含むセルロースを得られる。なお、この条件で、x=30、y=30に設定するとさらに好適である。
本実施形態に係る培養装置10によれば、自転および公転の各回転数(例えば、回転毎分[rpm])を別々に調整することができ、自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)を自在に調整することができる。また、前述の温度調節器(および温度センサ28)、湿度調節器(および湿度センサ)、通流管路36(およびプローブ32)等により培養温度、湿度、培養液のpHおよびDO等の培養条件を自在に調整することができる。したがって、本実施形態に係る培養装置10を用いて自転の回転数、公転の回転数、自公転比率、その他各種の培養条件を調整することにより、本実施形態に係る培養方法を最適化することができる。また、これらの条件はいずれも容器14を自公転させながら調整可能であることから、培養中において培養状態に応じて各条件を適宜調整することにより、常時最適な状態での培養が可能になる。その結果、培養速度をさらに向上させることができ、より安定的な培養が可能になる。また、これに伴ってバクテリアセルロースをさらに安定的に製造可能になる。
これまで述べた通り、本実施形態に係る培養方法により、バクテリアセルロースを製造できる。したがって、本実施形態に係る培養方法をバクテリアセルロースの製造方法として使用でき、培養装置10をバクテリアセルロースの製造装置として使用できる。すなわち、本実施形態に係るバクテリアセルロースの製造方法は、本実施形態に係る培養方法と同一方法であり、本実施形態に係るバクテリアセルロースの製造装置は培養装置10と同一構成である。
本実施形態に係るバクテリアセルロースの製造方法および製造装置では、本実施形態に係る培養方法(培養装置10)による培養後の培養液から、従来の撹拌培養あるいは振盪培養と同様の方法により、生成物(バクテリアセルロース)を回収すればよい。一例として培養後の培養液を遠心分離して底部に溜まった物質を回収する(篩に通して篩に残った物質を回収してもよい)。次いで、回収物をアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム溶液)で処理した後蒸留水等で洗浄することによってバクテリアセルロースを回収できる。
本実施形態に係る培養装置10を用いてセルロース産生菌を培養した。培養対象のセルロース産生菌は、Komagataeibacter xylinus(Brown 1886)Yamada et al.2013(NBRC番号16644)とした(以下、全試験で同じ)。
(試験1)
[方法]
表1に示すHS培地に水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを6.8に調整後、高圧蒸気滅菌装置で121[℃]、15[分]の滅菌条件により滅菌し、その後自然冷却して無菌HS培地を得た。無菌HS培地に対して体積比10[%]のKomagataeibacter xylinus液を添加して培養液を得た。
実施例1として、本実施形態に係る培養装置10を用いて、自転の回転数150[rpm]、公転の回転数75[rpm]、培養温度30[℃]設定で、培養液を7日間培養した。一方、比較例1として、水平旋回式の振盪装置を用いて、回転数150[rpm]、培養温度30[℃]設定で、培養液を7日間培養した。なお、水平旋回式の振盪装置は、培養液を収容した容器を温度制御可能な本体部内で水平方向且つ単一方向に旋回する装置である。
培養後、培養液から回収した生成物について生成率およびフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)による解析を行った。なお、解析に際して生成物を適宜凍結乾燥した(以下、全試験で同じ)。また、生成率は、培養後の培養液中から回収された生成物(バクテリアセルロース)の乾物重量の割合[g/L]を表す(以下、全試験で同じ)。特に、本試験(試験1)では、培養日数で除した1日当たりの生成率[g/L/day]を算出して解析を行った。生成率に関し、セルロース産生菌の培養速度が向上する程バクテリアセルロース(BC)の生成率も高くなる。したがって、生成率を培養速度の指標とすることができる。
[結果]
結果を図2および図3に示す。図2は、生成物のFT−IRスペクトルであって、実施例1(実線)および比較例1(破線)を比較し易くするために各例のスペクトルを上下に並列して示す。図3は、生成率[g/L/day]を示すグラフである。
図2に示すFT−IRスペクトルは、実施例1と比較例1とで同様のピーク推移を示した。したがって、振盪培養(比較例1)で得られる生成物がバクテリアナノセルロース(BNC)であることが既に公知であるため、自公転培養(実施例1)で得られた生成物がBNCであることが確認された。
また、図3に示すBC(BNC)の生成率[g/L/day]は、実施例1(0.37)は比較例1(0.03)に対して12倍以上の高い値を示した。したがって、自公転培養によれば振盪培養に対して培養速度が著しく向上可能で、多量のセルロースが製造可能であることが示された。
(試験2)
[方法]
表1に示すHS培地およびZhou培地それぞれ50[ml]を、高圧蒸気滅菌装置で121[℃]、15[分]の滅菌条件により滅菌し、その後自然冷却して無菌培地を得た。次いで無菌環境下において、HS培地に対しては酢酸を、Zhou培地に対しては2[mol/L]水酸化ナトリウム溶液をそれぞれ加えて、両培地のpHを5.0に調整した。さらに冷凍保存していたKomagataeibacter xylinus液を解凍し、各培地に1.8[ml]ずつ加え、30[℃]に設定した恒温槽内で3日間培養した。こうして、HS培地およびZhou培地の種菌を用意した。
一方、新たなHS培地およびZhou培地それぞれ270[ml]を、上記種菌と同様に滅菌処理およびpH調整を行って、各培地を実施例2用の「培養装置10の容器14」、および、比較例2用および参考例用の「200[ml]容量のガラスフラスコ」に90[ml]ずつ移した。次いで前述の種菌(種菌の入った容器)をよく振ったうえで上記の容器14およびフラスコに10[ml]ずつ加えた。このとき、HS培地の種菌をHS培地に、Zhou培地の種菌をZhou培地に添加した。こうして、培養装置10用および振盪装置用のHS培地培養液およびZhou培地培養液を得た。なお、細菌含有液として上記のように種菌を用意したのは、比較試験に際して予め所定の個体数を確保するためおよび各例の細菌条件を同一にするためである。
実施例2として、本実施形態に係る培養装置10を用いて、自転の回転数150[rpm]、公転の回転数75[rpm]、培養温度30[℃]設定で、培養液を培養した。一方、比較例2として、水平旋回式の振盪装置(MO−AOR−02、Major Science社製)を用いて、回転数150[rpm]、培養温度30[℃]設定で、培養液を培養した。さらに、参考例として、恒温槽を用いて培養温度30[℃]設定で培養液を培養した。以上の方法による培養を、培養日数1日、3日、5日、7日としてそれぞれ実施した。
培養後、培養液から回収した生成物を観察すると共に走査型電子顕微鏡(SEM)、フーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)、生成率、X線回折(XRD)、および結晶化度[%]による解析を行った。
[結果]
結果を表2および図4〜図8に示す。なお、培養日数に関わらない解析結果(図4〜図6および図8)は、適宜視認しやすい培養日数の検体を選択して示している。
図4は生成物の写真であって、図4Aに実施例2、図4Bに比較例2、図4Cに参考例を示す。このうち、「I」は外観写真、「II」は拡大写真(30倍)を示す(ただし、図4Cは拡大写真「II」を示さない)。また、図5は生成物のSEM像(10000倍)であって、図5Aに実施例2、図5Bに比較例2、図5Cに参考例を示す。
実施例2および比較例2では、微小繊維および直径が約1[mm]の小球からなるセルロースが生成された(直径は「断面の直径」)。一方、参考例では、膜状セルロース(ペリクル)が生成され、実施例2および比較例2とは相違した。これに対して、図5に示すSEM像では、実施例2、比較例2および参考例いずれもナノサイズの微小繊維から構成されて構造が共通し、微小繊維のサイズにも差異が認められなかった。このことから、セルロース中の小球は微小繊維同士が絡み合ったものと推測され、実施例2および比較例2では、自公転または振盪によりせん断力が作用するため、参考例(静置培養)のような膜状セルロース(ペリクル)にはならなかったと推測された。以上の結果から、自公転培養によれば静置培養および振盪培養と同程度の微小なナノセルロース繊維が得られることが示された。
また、図6は、生成物のFT−IRスペクトルであって、実施例2(実線)および比較例2(破線)ならびに参考例(長鎖線)を上下方向に並列して示す。これによれば、実施例2および比較例2ならびに参考例で同様のピーク推移を示し、セルロースの赤外吸収ピークが確認された。したがって、自公転培養(実施例2)で得られた生成物がBC(BNC)であることが確認された。
また、図7は、培養日数[日]によるBC(BNC)の生成率[g/L]の変化を示すグラフであって、図7AにZhou培地、図7BにHS培地を示し、それぞれ実施例2を実線、比較例2を破線で示す。これによれば、いずれの培地でも全ての培養日数で振盪培養(比較例2)よりも自公転培養(実施例2)の方が、BC生成率が高くなった。また、振盪培養(比較例2)では、いずれの培地でもBC生成率が培養5日に対して培養7日で低くなる等、不安定な培養が認められた。これに対して、自公転培養(実施例2)では、いずれの培地でもBC生成率が培養日数と共に直線的に高くなる安定的な培養が認められた。以上の結果から、自公転培養によれば振盪培養に対して培養速度が向上すると共に安定的な培養が可能であることが示された。また、これに伴って低コストで大量のバクテリアセルロースを安定的に製造可能であることが示された。
また、図8は、生成物のXRDパターンであって、実施例2および比較例2ならびに参考例を上下方向に並列して示す(上側が実施例2、中央が比較例2、下側が参考例)。これによれば、実施例2および比較例2ならびに参考例でいずれもBCの回折ピーク(2θ=14.3°、2θ=16.8°および2θ=22.5°の位置)が確認された。したがって、自公転培養(実施例2)で得られた生成物がBCであることが確認され、自公転培養によれば振盪培養と同様に結晶化したBCを得られることが示された。
また、表2に、回折ピークから算出した生成物の結晶化度[%]を示す。これによれば、自公転培養(実施例2)では、全ての培養条件で結晶化度は振盪培養(比較例2)に対して同等または高い値を示した。特に、培養3日(HS培地:+14.6[%]、Zhou培地:+12.8[%])および培養5日(HS培地:+16.9[%]、Zhou培地:+6.1[%])では顕著に高かった。
Figure 2020262342
従来、動的培養では、培養液に対してせん断力が作用するため、得られるBCの結晶化度は比較的低くなると言われていた。これに対して、自公転培養により得られるBCは結晶化度が相対的に高く、条件によっては静置培養と同等の約90[%]に近いものも得られることが示された(Zhou培地の培養5日:88.1[%])。
以上のことから、自公転培養によれば、静置培養に匹敵する高い結晶化度を持つ微小なナノセルロース繊維を製造することができる。得られた微小繊維は他の材料と混ぜて使用することができる。例えば、セルロースは人体に有害でないため、分散安定剤として水に不溶の食品と混ぜて使用するができる。他にも、抄紙の工程で紙力増強剤として使用したり、表面改質をすることで樹脂と混ぜて樹脂の強度を向上させることができる。さらに、当該微小繊維は高い結晶化度を有して強度や融点が相対的に高く、従来の振盪培養等により得られた繊維よりも高い補強効果を発揮することができる。
(試験3)
[方法]
表1に示すZhou培地200[ml]に対して試験2と同様に滅菌処理およびpH調整を行った培地に、試験2と同様に解凍したKomagataeibacter xylinus液1.8[ml]を加え、30[℃]に設定した恒温槽内で3日間培養して種菌を用意した。
一方、新たなZhou培地270[ml]に対して上記種菌と同様に滅菌処理およびpH調整を行った培地を4検体分用意し、次いで前述の種菌(種菌の入った容器)をよく振ったうえで各培地に30[ml]ずつ加え、培養液を得た。
実施例3〜実施例6として、本実施形態に係る培養装置10を用いて、それぞれ表3に示す自転回転数[rpm]および公転回転数[rpm]ならびに自公転比率で、培養液を培養した。各例共に、培養温度は30[℃]、培養日数は3日とした。
Figure 2020262342
培養後、培養液から回収した生成物を観察すると共に粒子径分布による解析を行った。なお、粒子径分布は、SALD−7000(島津製作所製)を使用したレーザ回折錯乱法により測定した。
[結果]
結果を図9および図10に示す。図9は生成物の写真であって、図9Aに実施例3、図9Bに実施例4、図9Cに実施例5、図9Dに実施例6を示す。このうち、「I」は外観写真、「II」は拡大写真(30倍)を示す。また、図10は生成物の粒子径分布を示すグラフである。
図9に示すように、全ての実施例で微小繊維および小球からなるセルロースが生成され、自公転比率1:2〜3:1の範囲で問題なくBNCが得られることが確認された。一方、実施例4(自公転比率=1:1)では、実施例3、5、6と比較して小球が相対的に少なく、微小繊維が相対的に多い状態が認められた。
また、図10に示す粒子径分布は、実施例3、5、6では粒子径のピークが300[μm]〜400[μm]であるのに対して、実施例4では粒子径のピークが170[μm]付近であった。以上のことから、自公転比率を1:1に設定することにより生成物中の小球が相対的に小さく少なくなって、微小繊維を相対的に多く含むセルロースを得られることが示された。
なお、追加試験として培養装置10を用いて前述のKomagataeibacter xylinusを培養したところ、自転の回転数75[rpm]且つ公転の回転数75[rpm]に設定した場合のBC生成率[g/L]は0.63であったのに対して、自転の回転数30[rpm]且つ公転の回転数30[rpm]に設定した場合のBC生成率[g/L]は0.80であった。したがって、自公転比率を1:1に設定する場合、概ね自転の回転数を30[rpm]、公転の回転数を30[rpm]に設定すると、比較的培養速度が速くなって好適である。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、本発明に係る自公転による培養方法を、セルロース産生菌に限らず、各種の生物検体すなわちセルロース産生菌以外のバクテリアおよび微生物、ならびに各種の細胞、組織およびこれらの成分に対して適用してもよい。また、本発明に係る培養装置を、上記の生物検体に使用する生化学反応装置として、さらには各種の反応物に使用する化学反応器として適用してもよい。

Claims (23)

  1. セルロース産生菌を添加した培地を収容した容器を公転させつつ自転させる工程を含むこと
    を特徴とするセルロース産生菌の培養方法。
  2. 前記工程において、培養状態に応じて自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)を変更すること
    を特徴とする請求項1記載のセルロース産生菌の培養方法。
  3. 前記工程において、培養状態に応じて自転および公転の少なくとも一方の回転数[rpm]を変更すること
    を特徴とする請求項1記載のセルロース産生菌の培養方法。
  4. 前記工程において、
    自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)=a:bが、
    1≦a≦3、1≦b≦2であること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載のセルロース産生菌の培養方法。
  5. 前記工程において、
    自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)=a:bが、
    a=1±0.1、b=1±0.1であること
    を特徴とする請求項4記載のセルロース産生菌の培養方法。
  6. 前記工程において、
    自転の回転数x[rpm]が、x=28〜32であり、
    公転の回転数y[rpm]が、y=28〜32であること
    を特徴とする請求項5記載のセルロース産生菌の培養方法。
  7. 前記工程において、
    自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)=a:bが、
    a=2±0.1、b=1±0.1であること
    を特徴とする請求項4記載のセルロース産生菌の培養方法。
  8. 前記工程において、
    自転の回転数x[rpm]が、x=140〜160であり、
    公転の回転数y[rpm]が、y=70〜80であること
    を特徴とする請求項7記載のセルロース産生菌の培養方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロース産生菌の培養方法を用いたバクテリアセルロースの製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の培養方法に用いるセルロース産生菌の培養装置であって、
    開閉可能な本体部と、
    各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器を各々保持する複数の容器ホルダと、
    該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、
    該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、
    該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備えていること
    を特徴とする培養装置。
  11. 前記第2回転軸と同じ中心軸で回転可能に設けられて、複数のポートを有するロータリージョイントを備え、
    前記各ポートに連結された通流管の一端が前記各容器内へ一または複数挿入され、他端が前記各ポートを介して前記本体部外へ連通していることによって、該通流管を介して、前記各容器内へpH調整剤、消泡剤、培地成分、培養液および酸素の少なくともいずれかが供給可能に、または培養による生成物が回収可能に構成されていること
    を特徴とする請求項10記載の培養装置。
  12. 前記本体部内の温度を調節する温度調節器、および前記本体部内の湿度を調節する湿度調節器の少なくともいずれかの機器を備えていること
    を特徴とする請求項10または請求項11記載の培養装置。
  13. 請求項9記載の製造方法に用いるバクテリアセルロースの製造装置であって、
    開閉可能な本体部と、
    各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器を各々保持する複数の容器ホルダと、
    該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、
    該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、
    該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備えていること
    を特徴とする製造装置。
  14. 前記第2回転軸と同じ中心軸で回転可能に設けられて、複数のポートを有するロータリージョイントを備え、
    前記各ポートに連結された通流管の一端が前記各容器内へ一または複数挿入され、他端が前記各ポートを介して前記本体部外へ連通していることによって、該通流管を介して、前記各容器内へpH調整剤、消泡剤、培地成分、培養液および酸素の少なくともいずれかが供給可能に、または製造されたバクテリアセルロースが回収可能に構成されていること
    を特徴とする請求項13記載の製造装置。
  15. 前記本体部内の温度を調節する温度調節器、および前記本体部内の湿度を調節する湿度調節器の少なくともいずれかの機器を備えていること
    を特徴とする請求項13または請求項14記載の製造装置。
  16. 生物検体を収容した容器を公転させつつ自転させる工程を含むこと
    を特徴とする培養方法。
  17. 前記生物検体は微生物であって、該微生物を添加した培地を収容した容器を公転させつつ自転させる工程を含むこと
    を特徴とする請求項16記載の培養方法。
  18. 前記工程において、培養状態に応じて自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)を変更すること
    を特徴とする請求項16または請求項17記載の培養方法。
  19. 前記工程において、培養状態に応じて自転および公転の少なくとも一方の回転数[rpm]を変更すること
    を特徴とする請求項16または請求項17記載の培養方法。
  20. 前記工程において、
    自公転比率(自転の回転数:公転の回転数)=a:bが、
    1≦a≦3、1≦b≦2であること
    を特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の培養方法。
  21. 前記工程において、
    自転の回転数x[rpm]が、x=140〜160であり、
    公転の回転数y[rpm]が、y=70〜80であること
    を特徴とする請求項19記載の培養方法。
  22. 請求項16〜21のいずれか一項に記載の培養方法に用いる培養装置であって、
    開閉可能な本体部と、
    各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の前記容器を各々保持する複数の容器ホルダと、
    該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、
    該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、
    該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備えていること
    を特徴とする培養装置。
  23. 開閉可能な本体部と、
    各々第1回転軸を中心に回転可能に設けられて、複数の容器を各々保持する複数の容器ホルダと、
    該各容器ホルダを回転駆動する第1駆動手段と、
    該各容器ホルダの第1回転軸を回転可能に支持すると共に、第2回転軸を中心に回転可能に設けられて、該各容器ホルダを該第2回転軸の周りに公転させる公転部材と、
    該公転部材を回転駆動する第2駆動手段と、を備えていること
    を特徴とする化学反応器。
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