JPWO2020235283A5 - - Google Patents
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Description
ここで,B行C列の行列Yの要素Y(b)(c)は,蛍光体D(c)の発光蛍光が,検出領域W(b)で検出される信号強度比率を表す。いずれか1種類の蛍光体D(c0)を単独に蛍光発光させることにより,行列Yの1列Y(b)(c0)(b=1,2,…,B)を決定することができる。ここで,蛍光体D(c0)の濃度を制御することは一般に困難であるため,1列Y(b)(c0)を規格化すると便利である。例えば,B個の要素の内,最大の要素を1として,他の要素を最大値に対する比率で示すのが良い。あるいは,B個の要素の合計が1になるように,各要素の比率を決めるのが良い。つまり,
とする。そして,上記工程をC種類の蛍光体D(c)すべてについて順番に行うことによって行列Yの全列を決定することができる。行列Yは,蛍光体D(c)および異なる波長帯の検出領域W(b)の特性のみで決まり,電気泳動分析の最中に変化しない。また,光学系,蛍光体D(c),検出領域W(b),等の条件を固定している限り,異なる電気泳動分析についても行列Yは一定に保たれる。したがって,各発光点について,各時刻における蛍光体D(c)の濃度Z(c)は,各時刻における検出領域W(b)の信号強度X(b)から,次式によって求められる。
ここで,(A×B)行(A×C)列の行列Yの要素Y(a',b)(a,c)は,(1)a'=a,すなわち同じ発光点についてのスペクトルクロストークによって,P(a')における蛍光体D(a',c)の発光蛍光が,任意の検出領域W(a',b)で検出される信号強度比率を表すことに加えて,(2)a'≠a,すなわち異なる発光点についての空間クロストークおよびスペクトルクロストークによって,発光点P(a)における蛍光体D(a,c)の発光蛍光が,任意の検出領域W(a',b)で検出される信号強度比率を表す。いずれか1個の発光点P(a0)において,いずれか1種類の蛍光体D(a0,c0)を単独に蛍光発光させることにより,行列Yの1列Y(a,b)(a0,c0)(a=1,2,…,A,および,b=1,2,…,B)を決定することができる。ここで,蛍光体D(a0,c0)の濃度を制御することは一般に困難であるため,1列Y(a,b)(a0,c0)を規格化することが便利である。例えば,A×B個の要素の内,最大の要素を1として,他の要素を最大値に対する比率で示すのが良い。あるいは,A×B個の要素の合計が1になるように,各要素の比率を決めるのが良い。つまり,
とする。そして,上記工程をA個の発光点P(a)におけるC種類の蛍光体D(a,c)のすべての組み合わせについて順番に行うことによって行列Yの全列を決定することができる。行列Yは,発光点P(a),蛍光体D(a,c),および検出領域W(a,b)の特性のみで決まり,電気泳動分析の最中に変化しない。また,光学系,発光点P(a),蛍光体D(a,c),検出領域W(a,b),等の条件を固定している限り,異なる電気泳動分析についても行列Yは一定に保たれる。したがって,各発光点について,各時刻における蛍光体D(a,c)の濃度Z(a,c)は,各時刻における検出領域W(a,b)の信号強度X(a,b)から,次式によって求められる。
図4(a)および図5(a)は,図3から導いた結果である。図4(a)は結像点の中心から-1,-2,-3,-4,-5,-6 mm離れた位置,図5(a)は結像点の中心から+1,+2,+3,+4,+5,+6 mm離れた位置における絶対信号強度を縦軸,いずれの場合も発光像の中心の絶対信号強度を横軸とするグラフである。上記の絶対信号強度は,図3における,各位置を中心とする±0.1 mm幅の絶対信号強度の平均値とした。その結果,各位置における3個のプロット(図3のα,β,γに対応)はいずれも,原点を通る近似直線に乗ることが判明した。各近似直線の傾きは,対応する位置における空間クロストーク比率を示す。つまり,結像点の中心から離れるに従い,近似直線の傾きが小さくなり,空間クロストーク比率が低下することが分かる。比較のため,空間クロストークが0.1%および0.01%の直線を点線で重ね表示してある。例えば,結像点の中心から-1 mm離れた位置の空間クロストーク比率は0.1%強であるのに対して,-3 mm離れた位置の空間クロストーク比率は0.01%程度であることが読み取れる。以上の結果は,結像点の中心から離れた任意の位置における空間クロストークの絶対信号強度は,結像点の中心の絶対信号強度に対して直線性があり,発光像の中心における絶対信号強度に関係なく空間クロストーク比率が一定になることを示している。すなわち,結像点の中心から離れた任意の位置における絶対信号強度から,結像点の中心の絶対信号強度に空間クロストーク比率を乗じた値を差引くことによって,任意の位置における空間クロストークを解消または減少させることが可能であることが新たに見出された。これは,図4(a)および図5(a)における各プロットの絶対信号強度から,同じ位置における対応する近似直線の値を差引くことに相当する。
図10は,図8と同様なモデル実験系を示す。ただし,図10のモデル実験系では,2本のキャピラリCap(1)およびCap(2)に対し,その配列方向と垂直に光源からランプ光LLが照射される。したがって,レーザビームLBの照射に伴う発光蛍光が検出されるのではなく,ランプ光LLの透過に伴う吸光,あるいは吸光度が検出される。2本のキャピラリCap(1)およびCap(2)上に,ランプ光LLが照射される位置に,吸光点P(1)およびP(2)がそれぞれ設けられている。キャピラリCap(1)で2種類の吸光体D(1,1)およびD(1,2)が電気泳動され,キャピラリCap(2)で2種類の吸光体D(2,1)およびD(2,2)が電気泳動されている。ここで,D(1,1)とD(2,1)は同じ種類の吸光体であり,D(1,2)とD(2,2)は同じ種類の吸光体である。同じ種類の吸光体とは,光の吸光スペクトルが等しいことを意味する。吸光体D(1,1)およびD(1,2)は,吸光点P(1)において,ランプ光LLの照射によって光を吸収し,吸収されなかった光がセンサSに設けられた検出領域W(1,1)およびW(1,2)で検出される。検出領域W(1,1)は吸光体D(1,1)の吸光を,検出領域W(1,2)は吸光体D(1,2)の吸光を主として検出するように,それぞれの検出波長帯が設計されているが,相互のスペクトルクロストークが有意に存在している。同様に,吸光体D(2,1)およびD(2,2)は,吸光点P(2)において,ランプ光LLの照射によって光を吸収し,吸収されなかった光がセンサSに設けられた検出領域W(2,1)およびW(2,2)で検出される。検出領域W(2,1)は吸光体D(2,1)の吸光を,検出領域W(2,2)は吸光体D(2,2)の吸光を主として検出するように,それぞれの検出波長帯が設計されているが,相互のスペクトルクロストークが有意に存在している。また,吸光点P(1)における吸光体D(1,1)およびD(1,2)の吸光は検出領域W(2,1)およびW(2,2)においても検出され,同様に,吸光点P(2)における吸光体D(2,1)およびD(2,2)の吸光は検出領域W(1,1)およびW(1,2)においても検出され,空間クロストークが有意に存在している。これは,吸光点P(1)を透過するランプ光LLの透過光の一部が検出領域W(2,1)およびW(2,2)においても検出され,吸光点P(2)を透過するランプ光LLの透過光の一部が検出領域W(1,1)およびW(1,2)においても検出されるためである。検出領域W(1,1),W(1,2),W(2,1),およびW(2,2)における吸光度をX(1,1),X(1,2),X(2,1),およびX(2,2)とすると,図10下側に示されているように,吸光点P(1),吸光点P(2)のそれぞれについて,電気泳動に伴い,吸光度X(1,1)およびX(1,2),X(2,1)およびX(2,2)の時系列データが得られる。以降では,図8を用いた場合についての説明を行うが,図10を用いた場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
図11は,図8のモデル実験系を用いて,既知のサンプルをキャピラリCap(1)およびCap(2)に注入して電気泳動分析で得られた生データである。いずれも,横軸を電気泳動時間(任意単位),縦軸を蛍光強度(任意単位)としている。図11(a)と図11(b)は発光点P(1)で得られた同一の生データであり,(b)は(a)の縦軸スケールを拡大したものである。同様に,図11(c)と図11(d)は発光点P(2)で得られた同一の生データであり,図11(d)は図11(c)の縦軸スケールを拡大したものである。図11(a)~(d)の横軸スケールは時刻0~500を示し,図11(a)(c)の縦軸スケールは蛍光強度0~250,図11(b)(d)の縦軸スケールは蛍光強度-0.2~0.8としている。X(1,1)およびX(2,1)は実線,X(1,2)およびX(2,2)は点線で表されている。図11に示されている通り,時刻100において発光点P(1)で蛍光体D(1,1)(図9(a)の状態),時刻200において発光点P(2)で蛍光体D(2,1)(図9(c)の状態),時刻300において発光点P(1)で蛍光体D(1,2)(図9(b)の状態),時刻400において発光点P(2)で蛍光体D(2,2)(図9(d)の状態)がそれぞれ単独で蛍光発光するようにサンプルが調製されている。そして,これら以外の蛍光は発光されないようにサンプルが調製されている。図11(a)と図11(c)を見る限り,上記の蛍光発光に対応する4個の大きなピークだけが観察されているが(図9の(i)(ii)に対応),図11(b)と図11(d)を見ると,矢印で示す4個の小さなピーク,すなわち,時刻100において発光点P(2)で蛍光体D(2,1),時刻200において発光点P(1)で蛍光体D(1,1),時刻300において発光点P(2)で蛍光体D(2,2),時刻400において発光点P(1)で蛍光体D(1,2)が観察された(図9の(iii)(iv)に対応)。したがって,これら4個の小さなピークは,空間クロストークおよびスペクトルクロストークによるものであると判断できる。例えば,時刻100の発光点P(2)における蛍光体D(2,1)およびD(2,2)の小さなピークは,時刻100の発光点P(1)における蛍光体D(1,1)の蛍光発光の一部が空間クロストークおよびスペクトルクロストークによってX(2,1)とX(2,2)として検出された結果である(図9(a)の(iii)(iv)に対応)。
図16は,図14の生データに対して,各時刻で(数20)の色変換+空間補正を実行して得られた色変換+空間補正データである。表記方法は図14と同等である。図16(a)に示すように,図15(a)と同様に,発光点P(1)において,時刻100および300で蛍光体D(1,1)の発光蛍光が単独で検出され,時刻200および400で蛍光体D(1,2)の発光蛍光が単独で検出された。それに加えて,図16(d)に示すように,発光点P(1)における蛍光体D(1,1)およびD(1,2)の蛍光発光の検出領域W(2,1)およびW(2,2)に対する空間クロストークおよびスペクトルクロストークが解消された結果,発光点P(2)において,時刻100および300で蛍光体D(2,2)の微弱な発光蛍光が単独で検出され,時刻200および400で蛍光体D(2,1)の微弱な発光蛍光が単独で検出されていることが判明した。これらの微弱な発光蛍光のピーク強度は,発光点P(1)で観察された発光蛍光のピーク強度の1%弱であった。一方,図12の結果から分かるように,図8のモデル実験系で発生する空間クロストーク比率も1%弱である。そのため,図15(d)では,真の微弱な発光蛍光と,空間クロストークによる偽の微弱な発光蛍光とが混在し,両者の区別がつかなくなったのであった。
[実施例7]
図24は,分析装置の一例であるマルチキャピラリ電気泳動装置の構成図である。マルチキャピラリ電気泳動装置は,DNAシーケンスやDNAフラグメント解析を行う分析装置として広く用いられている。図24に示すように,マルチキャピラリ電気泳動装置は,キャピラリ24-1,陰極24-4,陽極24-5,陰極側緩衝液24-6,陽極側緩衝液24-7,ポンプブロック24-9,シリンジ24-11,レーザ光源24-12を備える。本実施例では,4本のキャピラリ24-1を用い,各キャピラリ24-1で異なるサンプルのDNAシーケンスを実施した。DNAシーケンスのサンプルは,4種類の蛍光体で標識されたDNA断片から構成される。以下の(1)~(6)の工程によって,1回の分析セッションを実行した。(1)まず,4本のキャピラリ24-1の試料注入端24-2を陰極側緩衝液24-6に浸し,試料溶出端24-3をポリマブロック24-9中のポリマ溶液を介して陽極側緩衝液24-7に浸した。(2)次に,ポンプブロック24-9のバルブ24-10を閉じ,ポンプブロック24-9に接続されたシリンジ24-11のピストンを押し下げることにより内部のポリマ溶液に加圧し,ポリマ溶液を各キャピラリ24-1の内部に,サンプル溶出端24-3からサンプル注入端24-2に向かって充填した。(3)続いて,バルブ24-10を開け,各キャピラリ24-1にサンプル注入端24-2から異なるサンプルを電界注入した後,陰極24-4と陽極24-5の間に電源24-8により高電圧を印加することにより,キャピラリ電気泳動を開始した。4種類の蛍光体で標識されたDNA断片は,サンプル注入端24-2からサンプル溶出端24-3に向かって電気泳動された。(4)並行して,各キャピラリ24-1の,サンプル注入端24-2から一定距離電気泳動された位置を発光点24-14とし,レーザ光源24-12から発振された,波長505 nmのレーザビーム24-13を各発光点24-14に一括照射した。ここで,発光点24-14近傍の各キャピラリ24-1の被覆を予め除去し,発光点24-14近傍の各キャピラリ24-1を同一平面上に配列し,レーザビーム24-13を,集光してから,上記の配列平面の側方より,配列平面に沿って導入した。(5)そして,4種類の蛍光体で標識されたDNA断片が,各キャピラリ24-1の内部を電気泳動し,発光点24-14を通過する際にレーザビーム24-13の照射によって励起され,蛍光を発光した。つまり,4個の発光点から4種類の蛍光体が蛍光発光し,電気泳動に伴い,それぞれの蛍光強度が時々刻々と変化した。(6)最後に,各発光点から発光される蛍光をセンサ(不図示)により多色検出し,計算機(不図示)により得られた時系列データを解析することによって,各キャピラリに注入されたサンプルのDNAシーケンスを行った。以上の(1)~(6)の工程からなる分析セッションは複数回,繰り返すことができる。例えば,1回目の分析セッションではサンプル(1)~(4)を分析し,2回目の分析セッションではサンプル(5)~(8)を分析し,…,とすることによって,多数の異なるサンプルを分析することができる。
図24は,分析装置の一例であるマルチキャピラリ電気泳動装置の構成図である。マルチキャピラリ電気泳動装置は,DNAシーケンスやDNAフラグメント解析を行う分析装置として広く用いられている。図24に示すように,マルチキャピラリ電気泳動装置は,キャピラリ24-1,陰極24-4,陽極24-5,陰極側緩衝液24-6,陽極側緩衝液24-7,ポンプブロック24-9,シリンジ24-11,レーザ光源24-12を備える。本実施例では,4本のキャピラリ24-1を用い,各キャピラリ24-1で異なるサンプルのDNAシーケンスを実施した。DNAシーケンスのサンプルは,4種類の蛍光体で標識されたDNA断片から構成される。以下の(1)~(6)の工程によって,1回の分析セッションを実行した。(1)まず,4本のキャピラリ24-1の試料注入端24-2を陰極側緩衝液24-6に浸し,試料溶出端24-3をポリマブロック24-9中のポリマ溶液を介して陽極側緩衝液24-7に浸した。(2)次に,ポンプブロック24-9のバルブ24-10を閉じ,ポンプブロック24-9に接続されたシリンジ24-11のピストンを押し下げることにより内部のポリマ溶液に加圧し,ポリマ溶液を各キャピラリ24-1の内部に,サンプル溶出端24-3からサンプル注入端24-2に向かって充填した。(3)続いて,バルブ24-10を開け,各キャピラリ24-1にサンプル注入端24-2から異なるサンプルを電界注入した後,陰極24-4と陽極24-5の間に電源24-8により高電圧を印加することにより,キャピラリ電気泳動を開始した。4種類の蛍光体で標識されたDNA断片は,サンプル注入端24-2からサンプル溶出端24-3に向かって電気泳動された。(4)並行して,各キャピラリ24-1の,サンプル注入端24-2から一定距離電気泳動された位置を発光点24-14とし,レーザ光源24-12から発振された,波長505 nmのレーザビーム24-13を各発光点24-14に一括照射した。ここで,発光点24-14近傍の各キャピラリ24-1の被覆を予め除去し,発光点24-14近傍の各キャピラリ24-1を同一平面上に配列し,レーザビーム24-13を,集光してから,上記の配列平面の側方より,配列平面に沿って導入した。(5)そして,4種類の蛍光体で標識されたDNA断片が,各キャピラリ24-1の内部を電気泳動し,発光点24-14を通過する際にレーザビーム24-13の照射によって励起され,蛍光を発光した。つまり,4個の発光点から4種類の蛍光体が蛍光発光し,電気泳動に伴い,それぞれの蛍光強度が時々刻々と変化した。(6)最後に,各発光点から発光される蛍光をセンサ(不図示)により多色検出し,計算機(不図示)により得られた時系列データを解析することによって,各キャピラリに注入されたサンプルのDNAシーケンスを行った。以上の(1)~(6)の工程からなる分析セッションは複数回,繰り返すことができる。例えば,1回目の分析セッションではサンプル(1)~(4)を分析し,2回目の分析セッションではサンプル(5)~(8)を分析し,…,とすることによって,多数の異なるサンプルを分析することができる。
本実施例では,[実施例7]と同様に,C=4種類の蛍光体として,dR110,dR6G,dTAMRA,およびdROXを用い,それぞれをサンガー反応によって調製される末端塩基種がT,C,A,およびGのDNA断片に標識した。dR110,dR6G,dTAMRA,およびdROXの極大蛍光発光波長はそれぞれ,541 nm,568 nm,595 nm,および618 nmであるため,それぞれの発光蛍光は,520~550 nm,550~580 nm,580~610 nm,および610~640 nmの波長帯の検出領域で最も強い強度で検出される。例えば,発光点P(1)におけるdR110,dR6G,dTAMRA,およびdROXの発光蛍光はそれぞれ,検出領域W(1,1),W(1,2),W(1,3),およびW(1,4)で,主として検出される。ただし,各発光蛍光は,スペクトルクロストークによって発光点P(1)のその他の検出領域においても検出され,空間クロストークおよびスペクトルクロストークによって発光点P(2)~P(3)の検出領域においても検出される。以降,発光点P(1)におけるdR110,dR6G,dTAMRA,およびdROXをそれぞれ,蛍光体D(1,1),D(1,2),D(1,3),およびD(1,4),また,それらの濃度をZ(1,1),Z(1,2),Z(1,3),およびZ(1,4)とした。発光点P(2)~P(4)についても同様である。
[実施例9]
図28は,複数の反応槽を平面上に配列させたマルチチャンネルの,各チャンネルで異なるDNA断片を鋳型とする相補鎖伸長反応を1塩基単位で行い,伸長反応で相補鎖に取り込まれる4種類の塩基に標識されたC=4種類の蛍光体の発光蛍光を多色検出することによって,各DNA断片のDNAシーケンスを行うマルチチャンネル伸長反応装置の構成図,および複数の2次元センサで得られる2次元センサ画像の模式図を示す。マルチチャンネル伸長反応装置は,レーザ光源28-1,ダイクロイックミラー28-3,レンズ28-4,ダイクロイックミラー28-8,28-9および28-10,レンズ28-11,第1の2次元センサ28-12,レンズ28-13,第2の2次元センサ28-14,レンズ28-15,第3の2次元センサ28-16,レンズ28-17並びに第4の2次元センサ28-18を備える。塩基種T,C,A,およびGに標識された蛍光体の極大蛍光発光波長はそれぞれ,535 nm,565 nm,595 nm,および625 nmとした。まず,レーザ光源28-1から発振されたレーザビーム28-2を,ダイクロイックミラー28-3を透過させた後,レンズ28-4で集光させてマルチチャンネル中のサンプル28-5,すなわちDNA断片に照射した。次に,各チャンネルで,レーザビーム照射で励起された各蛍光体の蛍光発光28-6を,レンズ28-4で一括してコリメートした後,得られた光束28-7をダイクロイックミラー28-3で反射させた。ダイクロイックミラー28-3は,レーザビーム光を透過させ,発光蛍光を反射させる分光特性を有する。続いて,3種類のダイクロイックミラー28-8,28-9,および28-10によって,光束28-7を4個の異なる波長成分を有する4個の光束に分割した。そして,第1の分割光束をレンズ28-11によって第1の2次元センサ28-12上に結像させ,第2の分割光束をレンズ28-13によって第2の2次元センサ28-14上に結像させ,第3の分割光束をレンズ28-15によって第3の2次元センサ28-16上に結像させ,第4の分割光束をレンズ28-17によって第4の2次元センサ28-18上に結像させた。
図28は,複数の反応槽を平面上に配列させたマルチチャンネルの,各チャンネルで異なるDNA断片を鋳型とする相補鎖伸長反応を1塩基単位で行い,伸長反応で相補鎖に取り込まれる4種類の塩基に標識されたC=4種類の蛍光体の発光蛍光を多色検出することによって,各DNA断片のDNAシーケンスを行うマルチチャンネル伸長反応装置の構成図,および複数の2次元センサで得られる2次元センサ画像の模式図を示す。マルチチャンネル伸長反応装置は,レーザ光源28-1,ダイクロイックミラー28-3,レンズ28-4,ダイクロイックミラー28-8,28-9および28-10,レンズ28-11,第1の2次元センサ28-12,レンズ28-13,第2の2次元センサ28-14,レンズ28-15,第3の2次元センサ28-16,レンズ28-17並びに第4の2次元センサ28-18を備える。塩基種T,C,A,およびGに標識された蛍光体の極大蛍光発光波長はそれぞれ,535 nm,565 nm,595 nm,および625 nmとした。まず,レーザ光源28-1から発振されたレーザビーム28-2を,ダイクロイックミラー28-3を透過させた後,レンズ28-4で集光させてマルチチャンネル中のサンプル28-5,すなわちDNA断片に照射した。次に,各チャンネルで,レーザビーム照射で励起された各蛍光体の蛍光発光28-6を,レンズ28-4で一括してコリメートした後,得られた光束28-7をダイクロイックミラー28-3で反射させた。ダイクロイックミラー28-3は,レーザビーム光を透過させ,発光蛍光を反射させる分光特性を有する。続いて,3種類のダイクロイックミラー28-8,28-9,および28-10によって,光束28-7を4個の異なる波長成分を有する4個の光束に分割した。そして,第1の分割光束をレンズ28-11によって第1の2次元センサ28-12上に結像させ,第2の分割光束をレンズ28-13によって第2の2次元センサ28-14上に結像させ,第3の分割光束をレンズ28-15によって第3の2次元センサ28-16上に結像させ,第4の分割光束をレンズ28-17によって第4の2次元センサ28-18上に結像させた。
サンプル28-19は,サンプル28-5を配列平面に垂直な方向から観察した模式図である。A=5個のチャンネルがそれぞれ発光点P(1)~P(5)を形成した。実際には,より多数のチャンネルがサンプル上に存在し,各チャンネルからの発光蛍光を上記の光学系によって一括検出したが,ここでは,注目する発光点P(3)と,発光点P(3)に直接的に空間クロストークの影響を与える,発光点P(3)の周囲に存在する発光点P(1),P(2),P(4),P(5)のみを解析対象とするため,サンプル28-19には簡略的に発光点P(1)~P(5)のみを描いた。発光点P(3)以外の発光点に注目する場合は,その発光点と,その周辺の発光点を対象として同様に解析すれば良い。いずれの発光点に注目する場合も,蛍光検出の後で,同じ蛍光検出データに対して個別に解析することができる。第1の2次元センサ画像28-20は,第1の2次元センサ28-12によって取得したサンプル28-19の分割像であり,発光点P(1)~P(5)のそれぞれの結像点に検出領域W(1,1)~W(5,1)を設定し,それぞれの信号強度をX(1,1)~X(5,1)とした。第1の2次元センサ画像28-20では,波長帯520~550 nmの蛍光成分を検出した。第2の2次元センサ画像28-21は,第2の2次元センサ28-14によって取得したサンプル28-19の分割像であり,発光点P(1)~P(5)のそれぞれの結像点に検出領域W(1,2)~W(5,2)を設定し,それぞれの信号強度をX(1,2)~X(5,2)とした。第2の2次元センサ画像28-21では,波長帯550~580 nmの蛍光成分を検出した。第3の2次元センサ画像28-22は,第3の2次元センサ28-16によって取得したサンプル28-19の分割像であり,発光点P(1)~P(5)のそれぞれの結像点に検出領域W(1,3)~W(5,3)を設定し,それぞれの信号強度をX(1,3)~X(5,3)とした。第3の2次元センサ画像28-22では,波長帯580~610 nmの蛍光成分を検出した。第4の2次元センサ画像28-23は,第4の2次元センサ28-18によって取得したサンプル28-19の分割像であり,発光点P(1)~P(5)のそれぞれの結像点に検出領域W(1,4)~W(5,4)を設定し,それぞれの信号強度をX(1,4)~X(5,4)とした。第4の2次元センサ画像28-23では,波長帯610~640 nmの蛍光成分を検出した。すなわち,各発光点からの発光蛍光を4個の2次元センサを用いてB=4色検出した。例えば,発光点P(3)における4種類の蛍光体の発光蛍光は波長順にそれぞれ,検出領域W(3,1),W(3,2),W(3,3),およびW(3,4)で,主として検出される。ただし,各発光蛍光は,スペクトルクロストークによって発光点P(3)のその他の検出領域においても検出され,空間クロストークおよびスペクトルクロストークによって発光点P(1),P(2),P(4),P(5)の検出領域においても検出される。以降,発光点P(3)における4種類の蛍光体を波長順にそれぞれ,D(3,1),D(3,2),D(3,3),およびD(3,4),また,それらの濃度をZ(3,1),Z(3,2),Z(3,3),およびZ(3,4)とした。発光点P(1),P(2),P(4),P(5)についても同様である。
図30は,本法の1回の分析セッションを示すフローチャートである。図29と同様に,図30に示す本実施例の分析セッションは,サンプル30-1を分析する分析装置,計算機,表示装置及びデータベースを有する分析システムにより実行される。分析装置は、サンプル30-1からの光が入射するセンサ(不図示)を有する。まず,C種類(Cは1以上の整数)の蛍光体で標識されたA種類(Aは2以上の整数)のサンプル30-1を分析装置に入力する。次に,分析装置において,工程30-2により,各サンプルを並列に分析し,それぞれの分析について,かつ各時刻において,B種類(Bは1以上の整数)の波長帯で発光蛍光を検出し,A×B個の蛍光強度X(a,b)の時系列生データを取得し,これらの時系列生データが計算機に送られる。ここで,a=1,2,…,およびA,b=1,2,…,およびBである。ただし,図29と異なり,工程30-2に点線矢印で示すように,異なる分析の間で発光蛍光の空間クロストークが有意に存在している。続いて,計算機において,工程30-3により,すべての分析(a)について,データベースに格納されている(A×C)行(A×B)列の行列Y-を用いた色変換+空間補正によってスペクトルクロストークおよび空間クロストークを解消し,各時刻において,蛍光強度X(a,b)から,A種類のサンプルまたは分析についての,C種類の蛍光体の濃度Z(a,c)を一括で求める。ここで,a=1,2,…,およびA,c=1,2,…,およびCである。最後に,表示装置において,工程30-4により,分析(a)それぞれについて,Z(a,c)の時系列色変換+空間補正データを出力する。図30に示されている通り,本法は,工程30-3における色変換+空間補正を,すべての分析について一括で行うことが特徴である。さらに,色変換+空間補正をすべての分析に共通の行列Y-を用いる点も特徴である。
Claims (40)
- 位置が固定されており,複数種類の発光体が発光する複数の発光点と,
前記複数の発光点からの発光をそれぞれ複数の波長帯で検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
前記複数の発光点および前記複数の波長帯の信号強度を用いた演算によって,前記複数の発光点および前記複数の波長帯の間に存在する空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減し,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項1に記載の分析装置において,
前記計算機は,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項1または2に記載の分析装置において,
前記計算機は,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度または濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - それぞれC種類(Cは1以上の整数)の蛍光体D(a,c)(c=1,2,…,C)が蛍光を発光するA個(Aは2以上の整数)の発光点P(a)(a=1,2,…,A)と,
前記A個の発光点P(a)からの前記蛍光をそれぞれB種類(Bは1以上の整数)の波長帯の検出領域W(a,b)(b=1,2,…,B)で検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
任意の時刻における前記検出領域W(a,b)の信号強度をX(a,b),前記蛍光体D(a,c)の濃度をZ(a,c)とするとき,任意の時刻において,予め定められた演算式によって,すべてのaおよびbの組み合わせの信号強度X(a,b)から,すべてのaおよびcの組み合わせの濃度Z(a,c)を導出し,空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減することを特徴とする分析装置。 - 請求項5に記載の分析装置において,
前記計算機は,
行列Zのひとつの要素Z(a,c)が単独で存在し,他の要素がゼロと見なせる状態において,行列Xのすべての要素X(a,b)を取得し,X(a,b)に比例した値を行列Yのひとつの列の要素Y(a,b)(a,c)とする工程を,行列Zのすべてaおよびcの組み合わせについて行うことで,行列Yを取得することを特徴とする分析装置。 - 請求項5に記載の分析装置において,
前記計算機は,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,同一の行列YおよびY-を用いることを特徴とする分析装置。 - 請求項4~7のいずれか1項に記載の分析装置において,
前記A個の発光点がそれぞれ設けられるA本のキャピラリと,
前記A本のキャピラリにレーザビームを照射する光源と,をさらに備え,
前記A個の発光点が前記レーザビームで連続的に照射され,前記C種類の蛍光体で標識されたサンプルが前記A本のキャピラリのそれぞれの内部を電気泳動されることで前記A個の発光点P(a)のそれぞれを通過し,その際に,前記C種類の蛍光体のそれぞれが前記レーザビームで励起されて前記蛍光を発光することを特徴とする分析装置。 - 位置が固定されており,複数種類の蛍光体が蛍光を発光する複数の発光点と,
前記複数の発光点からの前記蛍光をそれぞれ複数の波長帯で検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
1個の発光点で1種類の蛍光体が単独で発光する状態を,前記複数の発光点と前記複数種類の蛍光体のすべての組み合わせについて,異なる時刻で引き起こす処理を実行することを特徴とする分析装置。 - 請求項9に記載の分析装置において,
前記計算機は,
前記複数の発光点および前記複数の波長帯の信号強度,および前記処理で得られた情報を用いた演算によって,前記複数の発光点および前記複数の波長帯の間に存在する空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減し,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の蛍光体のそれぞれの濃度を導出することを特徴とする分析装置。 - それぞれC種類(Cは1以上の整数)の蛍光体D(a,c)(c=1,2,…,C)が蛍光を発光するA個(Aは2以上の整数)の発光点P(a)(a=1,2,…,A)と,
前記A個の発光点P(a)からの前記蛍光をそれぞれB種類(Bは1以上の整数)の波長帯の検出領域W(a,b)(b=1,2,…,B)で検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
1個の発光点P(a)で1種類の蛍光体D(a,c)が単独で発光する状態を,すべてのaおよびcの組み合わせについて,異なる時刻で引き起こす処理を実行することを特徴とする分析装置。 - 請求項11に記載の分析装置において,
前記計算機は,
任意の時刻における前記検出領域W(a,b)の信号強度をX(a,b),前記蛍光体D(a,c)の濃度をZ(a,c)とするとき,すべてのaおよびbの組み合わせの信号強度X(a,b),および前記処理で得られた情報を用いた演算によって,すべての前記A個の発光点P(a)について,任意の時刻において,空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減し,前記濃度Z(a,c)を導出することを特徴とする分析装置。 - 位置が固定されており,光を吸収する複数の吸光点と,
前記複数の吸光点のそれぞれに存在する複数種類の吸光体の光吸収によって発生する吸光度を,それぞれ複数の波長帯で検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
前記複数の吸光点および前記複数の波長帯の吸光度を用いた演算によって,前記複数の吸光点および前記複数の波長帯の間に存在する空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減し,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記複数種類の吸光体のそれぞれの濃度を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項13に記載の分析装置において,
前記計算機は,
前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記複数種類の吸光体のそれぞれの濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた吸光度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記複数種類の吸光体のそれぞれの濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - 位置が固定されており,発光体が発光する複数の発光点と,
前記複数の発光点からの発光をそれぞれ検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
前記複数の発光点の信号強度を用いた演算によって,前記複数の発光点の間に存在する空間クロストークを低減し,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項15に記載の分析装置において,
前記計算機は,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項15または16に記載の分析装置において,
前記計算機は,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度または前記濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - 位置が固定されており,光を吸収する複数の吸光点と,
前記複数の吸光点のそれぞれに存在する吸光体の光吸収によって発生する吸光度をそれぞれ検出するセンサと,
前記センサの検出信号を処理する計算機と,を備え,
前記計算機は,
前記複数の吸光点の吸光度を用いた演算によって,前記複数の吸光点の間に存在する空間クロストークを低減し,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項18に記載の分析装置において,
前記計算機は,
前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた吸光度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - 請求項18または19に記載の分析装置において,
前記計算機は,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,その都度得られた吸光度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度または前記濃度の時系列を導出することを特徴とする分析装置。 - 位置が固定されており,複数種類の発光体が発光する複数の発光点を準備することと,
センサにより,前記複数の発光点からの発光をそれぞれ複数の波長帯で検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
前記複数の発光点および前記複数の波長帯の信号強度を用いた演算によって,前記複数の発光点および前記複数の波長帯の間に存在する空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減することと,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度を導出することと,を含む分析方法。 - 請求項21に記載の分析方法において,
前記処理することは,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度の時系列を導出することを含む分析方法。 - 請求項21または22に記載の分析方法において,
前記処理することは,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の発光体のそれぞれの濃度または濃度の時系列を導出することを含む分析方法。 - それぞれC種類(Cは1以上の整数)の蛍光体D(a,c)(c=1,2,…,C)が蛍光を発光するA個(Aは2以上の整数)の発光点P(a)(a=1,2,…,A)を準備することと,
センサにより,前記A個の発光点P(a)からの前記蛍光をそれぞれB種類(Bは1以上の整数)の波長帯の検出領域W(a,b)(b=1,2,…,B)で検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
任意の時刻における前記検出領域W(a,b)の信号強度をX(a,b),前記蛍光体D(a,c)の濃度をZ(a,c)とするとき,任意の時刻において,予め定められた演算式によって,すべてのaおよびbの組み合わせの信号強度X(a,b)から,すべてのaおよびcの組み合わせの濃度Z(a,c)を導出し,空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減することを含む分析方法。 - 請求項25に記載の分析方法において,
前記処理することは,
行列Zのひとつの要素Z(a,c)が単独で存在し,他の要素がゼロと見なせる状態において,行列Xのすべての要素X(a,b)を取得し,X(a,b)に比例した値を行列Yのひとつの列の要素Y(a,b)(a,c)とする工程を,行列Zのすべてaおよびcの組み合わせについて行うことで,行列Yを取得することを含む分析方法。 - 請求項25に記載の分析方法において,
前記処理することは,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,同一の行列YおよびY-を用いることを含む分析方法。 - 請求項24~27のいずれか1項に記載の分析方法において,
前記A個の発光点は,それぞれA本のキャピラリに設けられ,
前記分析方法は,
光源により,前記A本のキャピラリにレーザビームを照射することをさらに含み,
前記A個の発光点が前記レーザビームで連続的に照射され,前記C種類の蛍光体で標識されたサンプルが前記A本のキャピラリのそれぞれの内部を電気泳動されることで前記A個の発光点P(a)のそれぞれを通過し,その際に,前記C種類の蛍光体のそれぞれが前記レーザビームで励起されて前記蛍光を発光することを特徴とする分析方法。 - 位置が固定されており,複数種類の蛍光体が蛍光を発光する複数の発光点を準備することと,
センサにより,前記複数の発光点からの前記蛍光をそれぞれ複数の波長帯で検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
1個の発光点で1種類の蛍光体が単独で発光する状態を,前記複数の発光点と前記複数種類の蛍光体のすべての組み合わせについて,異なる時刻で引き起こす処理を実行することを含む分析方法。 - 請求項29に記載の分析方法において,
前記処理することは,
前記複数の発光点および前記複数の波長帯の信号強度,および前記処理を実行することで得られた情報を用いた演算によって,前記複数の発光点および前記複数の波長帯の間に存在する空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減することと,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記複数種類の蛍光体のそれぞれの濃度を導出することと,を含む分析方法。 - それぞれC種類(Cは1以上の整数)の蛍光体D(a,c)(c=1,2,…,C)が蛍光を発光するA個(Aは2以上の整数)の発光点P(a)(a=1,2,…,A)を準備することと,
センサにより,前記A個の発光点P(a)からの前記蛍光をそれぞれB種類(Bは1以上の整数)の波長帯の検出領域W(a,b)(b=1,2,…,B)で検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
1個の発光点P(a)で1種類の蛍光体D(a,c)が単独で発光する状態を,すべてのaおよびcの組み合わせについて,異なる時刻で引き起こす処理を実行することを含む分析方法。 - 請求項31に記載の分析方法において,
前記処理することは,
任意の時刻における前記検出領域W(a,b)の信号強度をX(a,b),前記蛍光体D(a,c)の濃度をZ(a,c)とするとき,すべてのaおよびbの組み合わせの信号強度X(a,b),および前記処理を実行することで得られた情報を用いた演算によって,すべての前記A個の発光点P(a)について,任意の時刻において,空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減することと,
前記濃度Z(a,c)を導出することと,を含む分析方法。 - 位置が固定されており,光を吸収する複数の吸光点を準備することと,
センサにより,前記複数の吸光点のそれぞれに存在する複数種類の吸光体の光吸収によって発生する吸光度を,それぞれ複数の波長帯で検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
前記複数の吸光点および前記複数の波長帯の吸光度を用いた演算によって,前記複数の吸光点および前記複数の波長帯の間に存在する空間クロストークおよびスペクトルクロストークを低減することと,
前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記複数種類の吸光体のそれぞれの濃度を導出することと,を含む分析方法。 - 請求項33に記載の分析方法において,
前記処理することは,
前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記複数種類の吸光体のそれぞれの濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた吸光度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記複数種類の吸光体のそれぞれの濃度の時系列を導出することを含む分析方法。 - 位置が固定されており,発光体が発光する複数の発光点を準備することと,
センサにより,前記複数の発光点からの発光をそれぞれ検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
前記複数の発光点の信号強度を用いた演算によって,前記複数の発光点の間に存在する空間クロストークを低減することと,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度を導出することと,を含む分析方法。 - 請求項35に記載の分析方法において,
前記処理することは,
前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度の時系列を導出することを含む分析方法。 - 請求項35または36に記載の分析方法において,
前記処理することは,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,その都度得られた信号強度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の発光点のそれぞれにおける前記発光体の濃度または前記濃度の時系列を導出することを含む分析方法。 - 位置が固定されており,光を吸収する複数の吸光点を準備することと,
センサにより,前記複数の吸光点のそれぞれに存在する吸光体の光吸収によって発生する吸光度をそれぞれ検出することと,
計算機により,前記センサの検出信号を処理することと,を含み,
前記処理することは,
前記複数の吸光点の吸光度を用いた演算によって,前記複数の吸光点の間に存在する空間クロストークを低減することと,
前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度を導出することと,を含む分析方法。 - 請求項38に記載の分析方法において,
前記処理することは,
前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度が時間変化するとき,各時刻において,その都度得られた吸光度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度の時系列を導出することを含む分析方法。 - 請求項38または39に記載の分析方法において,
前記処理することは,
異なるタイミングで異なる分析を行うとき,その都度得られた吸光度を用いた前記演算を行うことによって,前記複数の吸光点のそれぞれにおける前記吸光体の濃度または前記濃度の時系列を導出することを含む分析方法。
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