JPWO2020225896A1 - 整流回路、直流電源合成回路、及び全波整流回路 - Google Patents

整流回路、直流電源合成回路、及び全波整流回路 Download PDF

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Abstract

PチャンネルMOSFET(QMp)のドレイン端子に入力端子(Vi)が接続され、ソース端子に出力端子(Vout)が接続され、PチャンネルMOSFET(QMp)がオフすることで出力端子(Vout)から入力端子(Vi)への逆電流を阻止する。PNPトランジスタ(Q1)及びPNPトランジスタ(Q2)は、逆電流を検出してPチャンネルMOSFET(QMp)をオフさせる。PNPトランジスタ(Q3)及びNPNトランジスタ(Q4)は、PチャンネルMOSFET(QMp)のゲートを充放電するための電流ブースト回路であり、PチャンネルMOSFET(QMp)の過渡応答性を向上させる。

Description

この発明は、整流回路、直流電源合成回路、及び全波整流回路に関するものである。
バックアップ電源等を使用する目的で、複数の直流電源の出力を合成して負荷に接続する場合、当該複数の直流電源のうちのある直流電源から他の直流電源に電流が逆流しないように、各直流電源と負荷との間に、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いた逆電流阻止回路が接続される(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−12332号公報
特許文献1に記載された逆電流阻止回路は、逆電流発生時にMOSFETをオフさせるためのバイポーラトランジスタを有する。この逆電流阻止回路には、入出力間の電位差が定常的にバイポーラトランジスタのベースエミッタ間電圧(通常、0.7V程度)以上ないと逆電流を阻止できないという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、入出力間の電位差が従来(例えば、0.7V)に比べて極めて低い場合(例えば、200mV)でも逆電流を阻止することを目的とする。
この発明に係る整流回路は、PチャンネルMOSFET素子と、第1PNPバイポーラトランジスタ素子と、第2PNPバイポーラトランジスタ素子と、互いに逆極性を持つ第3トランジスタ素子及び第4トランジスタ素子と、第1抵抗器と、第2抵抗器と、第3抵抗器と、第4抵抗器と、入力端子と、出力端子とを備え、PチャンネルMOSFET素子のドレイン端子と第1抵抗器の一方端子との接続点が入力端子に接続され、第1PNPバイポーラトランジスタ素子は等価ダイオード素子を構成し、等価ダイオード素子のアノード端子と第1抵抗器の他方端子とが接続され、等価ダイオード素子のカソード端子と第2PNPバイポーラトランジスタ素子のベース端子と第2抵抗器の一方端子とが接続され、第2抵抗器の他方端子と第3抵抗器の一方端子と第3トランジスタ素子の第1端子との接続点がグラウンドに接続され、第3抵抗器の他方端子と第2PNPバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子と第3トランジスタ素子の第3端子と第4トランジスタ素子の第3端子と第4抵抗器の一方端子とが接続され、第3トランジスタ素子の第2端子と第4トランジスタ素子の第2端子と第4抵抗器の他方端子とPチャンネルMOSFET素子のゲート端子とが接続され、第2PNPバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子とPチャンネルMOSFET素子のソース端子と第4トランジスタ素子の第1端子との接続点が出力端子に接続されているものである。
この発明によれば、入出力間の電位差が従来に比べて極めて低い場合でも逆電流を阻止することができる。
実施の形態1に係る整流回路IDPの構成例を示す回路図である。 図2A及び図2Bは、等価ダイオード素子として構成されたPNPトランジスタQ1の例を示す図である。 実施の形態1において、外部要因による出力電位上昇時の整流回路IDPの動作を説明する図である。 PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量を説明する図である。 実施の形態1における電流ブースト回路の変形例を示す図である。 実施の形態2に係る整流回路IDNの構成例を示す回路図である。 図7A及び図7Bは、等価ダイオード素子として構成されたNPNトランジスタQ11の例を示す図である。 実施の形態2において、外部要因による出力電位上昇時の整流回路IDNの動作を説明する図である。 NチャンネルMOSFETQMnのゲート容量を説明する図である。 実施の形態2における電流ブースト回路の変形例を示す図である。 実施の形態2における電源Vccの回路例を示す図である。 実施の形態3に係る整流回路IDPの構成例を示す回路図である。 実施の形態3において、ツェナーダイオードDZが存在する場合の整流回路IDPの動作を説明する図である。 実施の形態4に係る整流回路IDNの構成例を示す回路図である。 実施の形態4において、ツェナーダイオードDZが存在する場合の整流回路IDNの動作を説明する図である。 実施の形態5に係る直流電源合成回路1の構成例を示す回路図である。 実施の形態6に係る全波整流回路2の構成例を示す回路図である。 実施の形態7に係る全波整流回路3の構成例を示す回路図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る整流回路IDPの構成例を示す回路図である。整流回路IDPは、PチャンネルMOSFETQMp、PNPトランジスタQ1、PNPトランジスタQ2、PNPトランジスタQ3、NPNトランジスタQ4、抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3、及び抵抗器R4を備える。
整流回路IDPは、PチャンネルMOSFETQMpを用いて、出力端子Voutから入力端子Viへの電流の逆流を阻止するものである。このPチャンネルMOSFETQMpは、エンハンスメント型のPチャンネルMOSFET素子である。グラウンドGNDは、入力端子Viの電位よりも、少なくともPチャンネルMOSFETQMpがオンできるゲートソース間電位Vth分低い電位である。つまり、電位の大小関係は、GND<Vi+Vthである。
PNPトランジスタQ1は、第1PNPバイポーラトランジスタ素子に相当し、PNPトランジスタQ2は、第2PNPバイポーラトランジスタ素子に相当する。PNPトランジスタQ1とPNPトランジスタQ2は、整流回路IDPの入力端子Viと出力端子Voutとの電位差を検出するものである。
PNPトランジスタQ3は、第3トランジスタ素子に相当する、PNPバイポーラトランジスタ素子である。NPNトランジスタQ4は、第3トランジスタとは逆極性を持つ第4トランジスタ素子に相当する、NPNバイポーラトランジスタ素子である。また、PNPトランジスタQ3及びNPNトランジスタQ4において、コレクタ端子は第1端子に、エミッタ端子は第2端子に、ベース端子は第3端子に相当する。PNPトランジスタQ3とNPNトランジスタQ4は、PチャンネルMOSFETQMpのゲートを充放電するための電流ブースト回路である。定常状態では、PNPトランジスタQ3のコレクタエミッタ間、及びNPNトランジスタQ4のコレクタエミッタ間に電流は流れない。入力端子Vi又は出力端子Voutに電圧変動があり、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位が変化する過渡状態では、PNPトランジスタQ3のコレクタエミッタ間、又はNPNトランジスタQ4のコレクタエミッタ間に電流が流れ、PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量が急速に充放電される。
図1に示されるように、PチャンネルMOSFETQMpのドレイン端子と抵抗器R1の一方端子との接続点が、入力端子Viに接続されている。
なお、図1において、PNPトランジスタQ1のベース端子とコレクタ端子とは短絡されており、このPNPトランジスタQ1は、等価ダイオード素子として構成されている。図2A及び図2Bは、等価ダイオード素子として構成されたPNPトランジスタQ1の例を示す図である。図1及び図2Aに示されるように、PNPトランジスタQ1において、エミッタ端子は、等価ダイオード素子のアノード端子(A)に相当し、ベース端子とコレクタ端子との接続点は、等価ダイオード素子のカソード端子(K)に相当する。この例において、PNPトランジスタQ1のエミッタ端子は、抵抗器R1の他方端子と接続されている。PNPトランジスタQ1のベース端子とコレクタ端子の接続点は、PNPトランジスタQ2のベース端子と抵抗器R2の一方端子とに接続されている。
図2Bの例では、PNPトランジスタQ1のコレクタ端子は、等価ダイオード素子のアノード端子(A)に相当し、このコレクタ端子に抵抗器R1の他方端子が接続される。PNPトランジスタQ2のベース端子は、等価ダイオード素子のカソード端子(K)に相当し、このベース端子にPNPトランジスタQ2のベース端子と抵抗器R2の一方端子が接続される。PNPトランジスタQ1のエミッタ端子は、開放される。
図1において、抵抗器R2の他方端子と、抵抗器R3の一方端子と、PNPトランジスタQ3のコレクタ端子との接続点は、グラウンドGNDに接続されている。抵抗器R3の他方端子と、PNPトランジスタQ2のコレクタ端子と、PNPトランジスタQ3のベース端子と、NPNトランジスタQ4のベース端子と、抵抗器R4の一方端子とが接続されている。PNPトランジスタQ3のエミッタ端子と、NPNトランジスタQ4のエミッタ端子と、抵抗器R4の他方端子と、PチャンネルMOSFETQMpのゲート端子とが接続されている。PNPトランジスタQ2のエミッタ端子とPチャンネルMOSFETQMpのソース端子とNPNトランジスタQ4のコレクタ端子との接続点は、出力端子Voutに接続されている。
次に、整流回路IDPの定常状態を説明する。
整流回路IDPの定常状態において、PNPトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧VBE、PNPトランジスタQ1のベースエミッタ間電圧とPNPトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧との差異δ>0とし、PNPトランジスタQ1のベースエミッタ間電圧をVBE+δとする。また、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの直流リーク電流と、PNPトランジスタQ1のベース電流と、PNPトランジスタQ2のベース電流とを無視する。さらに、抵抗器R2の抵抗値を正の値とする。この場合、PNPトランジスタQ1のエミッタ側の電流とコレクタ側の電流とが等しいことから、出力端子Voutの電位、及び入力端子Viと出力端子Voutとの間の電位差(つまり、順方向電圧)Vfには、以下の式(1)及び式(2)の関係が成り立つ。
Figure 2020225896
整流回路IDPの電力消費を下げるためにPチャンネルMOSFETQMpでの飽和電圧(PチャンネルMOSFETQMpのオン抵抗とドレインソース間を流れる電流の積)をできるだけ小さく制御したい場合、すなわち式(2)で順方向電圧Vfを表現したい場合は、式(2)における順方向電圧Vfを前記PチャンネルMOSFETQMpの最小飽和電圧よりも大きくする必要がある。以下、本条件で説明する。例えば、式(2)において抵抗器R1の抵抗値が抵抗器R2の抵抗値に比べて非常に小さい場合、かつ、上記差異δが十分小さい場合、一般的なダイオード素子の順方向電圧(約0.7V)よりも小さい順方向電圧Vfを実現することができる。
なお、式(2)において、抵抗器R1の抵抗値を「0」、かつ、差異δを「0」とすると、入力端子Viの電位と出力端子Voutの電位が等しくなる。そのため、順方向電圧Vf、及びPチャンネルMOSFETQMpの飽和電圧は、理論上0Vとなる。
一方、式(2)の分子である式(3)が負となる差異δ(<0)の場合、仮想的に順方向電圧Vfが負となる。その場合、出力端子Voutが入力端子Viより|Vf|だけ電圧が高くなるまで、定常的に、出力端子Voutから入力端子Viへ電流が逆流してしまい、整流回路IDPとしての機能を損なってしまう。PNPトランジスタQ1とPNPトランジスタQ2とに同一品種のPNPバイポーラトランジスタ素子が使用されたとしても、個体ばらつき、及びPNPトランジスタQ1とPNPトランジスタQ2それぞれの周囲温度差等により、差異δ<0になり得る。そのため、抵抗器R1の抵抗値を「0」より大きくして式(3)を正の値にするか、PNPトランジスタQ1の接続方法として図2Aの代わりに図2Bの方法を用いて、差異δ>0を確保して逆流を防止する。
PNPトランジスタQ1が図2Aのように接続された場合、アノード端子(A)とカソード端子(K)との間の電圧は、ベース電流がコレクタ電流の1/HFEになるので、PNPトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧VBEと同じである。HFEは、電流増幅率である。
これに対し、PNPトランジスタQ1が図2Bのように接続された場合、コレクタベース間に全電流が流れ、電圧ドロップが大きくなる。そのため、アノード端子(A)とカソード端子(K)との間の電圧は、図2Aの場合に比べて大きくなる。すなわち、δ>0となる。また、一般に、コレクタベース間の耐圧は、エミッタベース間の耐圧より高いので、図2Bの接続方法は、入力端子Viに重畳され得る電源サージ等に対して耐性が高い。
次に、図3及び図4を用いて、入力端子Viに直流電源、出力端子Voutに負荷が接続されている場合の整流回路IDPの動作を説明する。図3は、実施の形態1において、外部要因による出力電位上昇時の整流回路IDPの動作を説明する図である。ここでは、出力端子Voutの出力電圧がE0であって、負荷電流I0が流れており、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位がV0である定常状態において、外部から出力端子Voutに対して強制的に(Vi−Vf)より高い電圧E1が印加された場合の負荷電流、及びPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位の時間変化について説明する。以下では、外部要因を、出力端子Voutに接続された外部電源とする。
図4は、PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量を説明する図である。PチャンネルMOSFETQMpのドレイン、ゲート、ソースの各端子間には、静電容量Cgd,Cgs,Cdsが存在する。PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量Cissは、(Cgd+Cgs)である。
図3において、時刻t0以前は、外部電源から出力端子Voutに対して電圧E1が印加されておらず、整流回路IDPは上述のような定常状態にある。
時刻t0において、入力端子Viの電圧及びグラウンドGNDの電位が一定のとき、PNPトランジスタQ1のベース端子とコレクタ端子とが短絡された接続点の電位は、PNPトランジスタQ2のベース電流を無視すれば、一定である。出力端子Voutに電圧E1が印加された場合、PNPトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧が高くなることから、PNPトランジスタQ2がより強く導通状態になり、PNPトランジスタQ2のコレクタ端子と抵抗器R3の他方端子との接続点であるP点(図1参照)の電位を引き上げようとする。ところが、PチャンネルMOSFETQMpには、図4に示されるようにゲート容量Ciss(=Cgd+Cgs)が、P点とドレインとの間の電位差又はP点とソースとの間の電位差により充電されているため、すぐにPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位を引き上げることができない。
PNPトランジスタQ2がオンし、P点側電位が、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位よりNPNトランジスタQ4のベースエミッタ間電圧VBE分以上に高くなると、つまり、抵抗器R4の両端電位差がNPNトランジスタQ4のベースエミッタ間電圧VBE分以上に高くなると、NPNトランジスタQ4がオンする。電流ブースト回路を構成しているNPNトランジスタQ4は、時刻t0でオンすることで、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷を急速に放電させることができる。PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷が放電されるにつれて、ゲートの電位は上昇していく。図3の時刻t0から時刻t1までの期間は、電流ブースト回路による放電のブースト期間である。
時刻t1において、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷が放電されたことにより、抵抗器R4の両端電位差がNPNトランジスタQ4のベースエミッタ間電圧VBE未満になると、NPNトランジスタQ4はオフする。時刻t1以降、抵抗器R4経由でPチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷をゆっくり放電させ、時刻t2においてPチャンネルMOSFETQMpがオフする。図3において、PチャンネルMOSFETQMpがオフになったときのゲート電位をV1とする。なお、図3の時刻t1から時刻t2までの期間は、非ブースト期間である。
上述の時刻t0から時刻t2までの期間、つまりPチャンネルMOSFETQMpがオンからオフに至るまでの過渡応答時、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位に応じて、出力端子Voutから入力端子Viに電流が逆流する。
時刻t4において、出力端子Voutに印加されていた外部電源の電圧E1が除去されると、PNPトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧が低下するので、PNPトランジスタQ2の導通状態が弱くなる。時刻t4以降、P点の電位は、抵抗器R3により下降する。ところが、時刻t4においてPチャンネルMOSFETQMpのゲート容量は放電されているため、すぐにPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位を下げること、つまりゲート容量の充電を完了することはできない。
PNPトランジスタQ2がオフし、P点側電位が、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位よりPNPトランジスタQ3のベースエミッタ間電圧VBE分低くなると、つまり、抵抗器R4の両端電位差がPNPトランジスタQ3のベースエミッタ間電圧VBE分以上に高くなると、PNPトランジスタQ3がオンする。電流ブースト回路を構成しているPNPトランジスタQ3は、時刻t4でオンすることで、PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量を急速に充電することができる。PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷が充電されるにつれて、ゲートの電位は低下していく。図3の時刻t4から時刻t5までの期間は、電流ブースト回路による充電のブースト期間である。
時刻t5において、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷が充電されたことにより、抵抗器R4の両端電位差がPNPトランジスタQ3のベースエミッタ間電圧VBE未満になると、PNPトランジスタQ3はオフする。時刻t5以降、抵抗器R3と抵抗器R4とが、PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量をゆっくり充電させ、時刻t6においてPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位がV0に達すると、PチャンネルMOSFETQMpが完全にオンする。なお、図3の時刻t5から時刻t6までの期間は、非ブースト期間である。
次に、整流回路IDPにおいて、PNPトランジスタQ3とNPNトランジスタQ4の電流ブースト回路が存在しない場合を説明する。図3において、電流ブースト回路が存在しない場合のPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位と、負荷電流は、一点鎖線で示される。
出力端子Voutに外部電源の電圧E1が印加された場合、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電位上昇は、電流ブースト回路が存在する場合に比べて、電流ブースト回路が存在しない場合のほうが緩やかになる。そのため、電流ブースト回路が存在する場合、時刻t0から時刻t2までの期間Taにおいて逆流電流が流れるのに対し、電流ブースト回路が存在しない場合、時刻t0から時刻t3までのより長い期間Tb、逆流電流が流れることになる。このように、整流回路IDPに電流ブースト回路が存在しない場合、逆流電流が流れる期間が長くなるため、入力端子Viに接続された電源が損傷する可能性がある。
出力端子Voutに印加された電圧E1が除去された場合、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電位下降は、電流ブースト回路が存在する場合に比べて、電流ブースト回路が存在しない場合のほうが緩やかになる。そのため、負荷電流の回復にかかる時間は、電流ブースト回路が存在する場合、時刻t4から時刻t6までの期間Tcであるのに対し、電流ブースト回路が存在しない場合、時刻t4から時刻t7までのより長い期間Tdになり、PチャンネルMOSFETQMpが完全にオンするまでより長い時間がかかるため、整流回路IDPでの損失が増加する。
なお、整流回路IDPを消費電流の極めて小さい負荷に使用し、本整流回路IDP自体の消費電流も小さくする必要がある場合には、抵抗器R2にあまり低い抵抗値のものを用いることができないため、電流ブースト回路は有効である。消費電流の極めて小さい負荷とは、例えば、スリープ中又はサスペンド中のマイクロコントローラである。抵抗器R2の抵抗値が高い場合、PNPトランジスタQ2のベース電流が制限され、PNPトランジスタQ2の電流増幅率倍されたコレクタ電流も制限される。そのため、出力端子Voutに電圧E1が印加された場合、PNPトランジスタQ2によりPチャンネルMOSFETQMpのゲート端子をソース端子に短絡させ、このPNPトランジスタQ2のみでゲートの電荷を放電させると時間がかかる。これに対し、電流ブースト回路が存在する場合、PNPトランジスタQ2のコレクタ電流をNPNトランジスタQ4のベース電流として供給することにより、NPNトランジスタQ4の電流増幅率倍の電流をNPNトランジスタQ4のコレクタエミッタ間に流すことができる。そのため、PチャンネルMOSFETQMpのゲートの電荷を素早く放電させてPチャンネルMOSFETQMpをオフさせることができ、電流逆流期間を短くすることができる。
また、上述のように、整流回路IDPを消費電流の極めて小さい負荷に使用し、本整流回路IDP自体の消費電流も小さくする必要がある場合、抵抗器R3にも、あまり低い抵抗値のものを用いることができない。そのため、出力端子Voutから電圧E1が除去された後、抵抗器R3のみでPチャンネルMOSFETQMpのゲートに電荷を充電するには時間がかかる。これに対し、電流ブースト回路が存在する場合、抵抗器R3に流れる電流をPNPトランジスタQ3のベース電流として供給することにより、PNPトランジスタQ3の電流増幅率倍の電流をPNPトランジスタQ3のコレクタエミッタ間に流すことができる。そのため、PチャンネルMOSFETQMpのゲート容量を素早く充電させてPチャンネルMOSFETQMpをオンさせることができ、出力端子Voutから出力される負荷電流を回復させるための時間を短くすることができる。
以上のように、実施の形態1に係る整流回路IDPは、PチャンネルMOSFETQMpと、PNPトランジスタQ1と、PNPトランジスタQ2と、互いに逆極性を持つPNPトランジスタQ3及びNPNトランジスタQ4と、抵抗器R1と、抵抗器R2と、抵抗器R3と、抵抗器R4と、入力端子Viと、出力端子Voutとを備える。この構成により、整流回路IDPは、入力端子Viと出力端子Voutとの電位差を、ダイオード素子の順方向電圧(0.4Vから0.7V程度)に比べて極めて低い値(例えば、200mV)に設定できる。また、整流回路IPDは、何らかの起電力が出力端子Vout側に接続され、出力端子Voutの電位が入力端子Viの電位よりも高くなった場合に、PNPトランジスタQ3とNPNトランジスタQ4によるブースト回路がない場合と比較して、素早く逆電流を阻止することができる。また、整流回路IPDは、前記起電力除去後に負荷への電源供給を素早く開始できる。
なお、実施の形態1の図1に示される電流ブースト回路は、バイポーラトランジスタ素子で構成されているが、MOSFET素子で構成されてもよい。
図5は、実施の形態1における電流ブースト回路の変形例を示す図である。図5に示される電流ブースト回路では、第3トランジスタ素子として、PNPトランジスタQ3の代わりに、PチャンネルMOSFETQ3pが使用される。また、第4トランジスタ素子として、NPNトランジスタQ4の代わりに、NチャンネルMOSFETQ4nが使用される。PチャンネルMOSFETQ3p及びNチャンネルMOSFETQ4nにおいて、ドレイン端子は第1端子に、ソース端子は第2端子に、ゲート端子は第3端子に相当する。
図5において、P点電位が、NチャンネルMOSFETQ4nのソース電位よりもゲートソース間閾値電位分高ければ、NチャンネルMOSFETQ4nがオンする。NチャンネルMOSFETQ4nがオンすると、PチャンネルMOSFETQMpのゲート端子とソース端子とが短絡する。P点電位が、PチャンネルMOSFETQ3pのソース電位よりもゲートソース間閾値電位分低ければ、PチャンネルMOSFETQ3pがオンする。PチャンネルMOSFETQ3pがオンすると、PチャンネルMOSFETQMpのゲート端子とグラウンドGNDとが短絡する。
このように、電流ブースト回路が、PチャンネルMOSFETQ3pとNチャンネルMOSFETQ4nとで構成されている場合でも、PNPトランジスタQ3とNPNトランジスタQ4とで構成されている場合と同様の働きをする。また、電流ブースト回路が、低いオン抵抗を持つPチャンネルMOSFETQ3pとNチャンネルMOSFETQ4nとで構成されている場合、PチャンネルMOSFETQMpの過渡応答時間をさらに短縮できる可能性がある。
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る整流回路IDNの構成例を示す回路図である。整流回路IDNは、NチャンネルMOSFETQMn、NPNトランジスタQ11、NPNトランジスタQ12、NPNトランジスタQ13、PNPトランジスタQ14、抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3、及び抵抗器R4を備える。
整流回路IDNは、NチャンネルMOSFETQMnを用いて、出力端子Voutから入力端子Viへの電流の逆流を阻止するものである。このNチャンネルMOSFETQMnは、エンハンスメント型のNチャンネルMOSFET素子である。電源Vccは、入力端子Viの電位よりも、少なくともNチャンネルMOSFETQMnがオンできるゲートソース間電位Vth分高い電位である。つまり、電位の大小関係は、Vcc>Vi+Vthである。
NPNトランジスタQ11は、第1NPNバイポーラトランジスタ素子に相当し、NPNトランジスタQ12は、第2NPNバイポーラトランジスタ素子に相当する。NPNトランジスタQ11とNPNトランジスタQ12は、整流回路IDNの入力端子Viと出力端子Voutとの電位差を検出するものである。
NPNトランジスタQ13は、第3トランジスタ素子に相当する、NPNバイポーラトランジスタ素子である。PNPトランジスタQ14は、第3トランジスタ素子とは逆極性を持つ第4トランジスタ素子に相当する、PNPバイポーラトランジスタ素子である。また、NPNトランジスタQ13及びPNPトランジスタQ14において、コレクタ端子は第1端子に、エミッタ端子は第2端子に、ベース端子は第3端子に相当する。NPNトランジスタQ13とPNPトランジスタQ14は、NチャンネルMOSFETQMnのゲートを充放電するための電流ブースト回路である。定常状態では、NPNトランジスタQ13のコレクタエミッタ間、及びPNPトランジスタQ14のコレクタエミッタ間に電流は流れない。入力端子Vi又は出力端子Voutに電圧変動があり、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位が変化する過渡状態では、NPNトランジスタQ13のコレクタエミッタ間、又はPNPトランジスタQ14のコレクタエミッタ間に電流が流れ、NチャンネルMOSFETQMnのゲート容量が急速に充放電される。
図6に示されるように、NチャンネルMOSFETQMnのソース端子とNPNトランジスタQ12のエミッタ端子との接続点が、入力端子Viに接続されている。
なお、図6において、NPNトランジスタQ11のベース端子とコレクタ端子とは短絡されており、このNPNトランジスタQ11は、等価ダイオード素子として構成されている。図7A及び図7Bは、等価ダイオード素子として構成されたNPNトランジスタQ11の例を示す図である。図6及び図7Aに示されるように、NPNトランジスタQ11において、エミッタ端子は、等価ダイオード素子のカソード端子(K)に相当し、ベース端子とコレクタ端子との接続点は、等価ダイオード素子のアノード端子(A)に相当する。この例において、NPNトランジスタQ11のエミッタ端子は、抵抗器R1の一方端子と接続されている。NPNトランジスタQ11のベース端子とコレクタ端子の接続点は、NPNトランジスタQ12のベース端子と抵抗器R2の一方端子とに接続されている。
図7Bの例では、NPNトランジスタQ11のコレクタ端子は、等価ダイオード素子のカソード端子(K)に相当し、このコレクタ端子に抵抗器R1の一方端子が接続される。NPNトランジスタQ11のベース端子は、等価ダイオード素子のアノード端子(A)に相当し、このベース端子にNPNトランジスタQ12のベース端子と抵抗器R2の一方端子が接続される。NPNトランジスタQ11のエミッタ端子は、開放される。
図6において、抵抗器R2の他方端子と、抵抗器R3の一方端子と、NPNトランジスタQ13のコレクタ端子との接続点は、入力端子Viの入力電圧よりも高電位な電源Vccに接続されている。抵抗器R3の他方端子と、NPNトランジスタQ12のコレクタ端子と、NPNトランジスタQ13のベース端子と、PNPトランジスタQ14のベース端子と、抵抗器R4の一方端子とが接続されている。NPNトランジスタQ13のエミッタ端子と、PNPトランジスタQ14のエミッタ端子と、抵抗器R4の他方端子と、NチャンネルMOSFETQMnのゲート端子とが接続されている。NチャンネルMOSFETQMnのドレイン端子と抵抗器R1の他方端子との接続点は、出力端子Voutに接続されている。
次に、整流回路IDNの定常状態を説明する。
整流回路IDNの定常状態において、NPNトランジスタQ12のベースエミッタ間電圧VBE、NPNトランジスタQ11のベースエミッタ間電圧とNPNトランジスタQ12のベースエミッタ間電圧との差異δ>0とし、NPNトランジスタQ11のベースエミッタ間電圧をVBE+δとする。また、NチャンネルMOSFETQMnのゲートの直流リーク電流と、NPNトランジスタQ11のベース電流と、NPNトランジスタQ12のベース電流とを無視する。電源Vccの電位は入力端子Viの電位より高いものとする。さらに、抵抗器R2の抵抗値を正の値とする。この場合、NPNトランジスタQ11のエミッタ側の電流とコレクタ側の電流とが等しいことから、出力端子Voutの電位、及び入力端子Viと出力端子Voutとの間の電位差(つまり、順方向電圧)Vfには、以下の式(4)及び式(5)の関係が成り立つ。
Figure 2020225896
整流回路IDNの電力消費を下げるためにNチャンネルMOSFETQMnでの飽和電圧(NチャンネルMOSFETQMnのオン抵抗とドレインソース間を流れる電流の積)をできるだけ小さく制御したい場合、すなわち式(5)で順方向電圧Vfを表現したい場合は、式(5)における順方向電圧Vfを前記NチャンネルMOSFETQMnの最小飽和電圧よりも大きくする必要がある。以下、本条件で説明する。例えば、式(5)において抵抗器R1の抵抗値が抵抗器R2の抵抗値に比べて非常に小さい場合、かつ、上記差異δが十分小さい場合、一般的なダイオード素子の順方向電圧(約0.7V)よりも小さい順方向電圧Vfを実現することができる。
なお、式(5)において、抵抗器R1の抵抗値を「0」、かつ、差異δを「0」とすると、入力端子Viの電位と出力端子Voutの電位が等しくなる。そのため、順方向電圧Vf、及びNチャンネルMOSFETQMnの飽和電圧は、理論上0Vとなる。
一方、式(5)の右辺である式(6)が負となる差異δ(<0)の場合、仮想的に順方向電圧Vfが負となる。その場合、出力端子Voutが入力端子Viより|Vf|だけ電圧が高くなるまで、定常的に、出力端子Voutから入力端子Viへ電流が逆流してしまい、整流回路IDNとしての機能を損なってしまう。NPNトランジスタQ11とNPNトランジスタQ12とに同一品種のNPNバイポーラトランジスタ素子が使用されたとしても、個体ばらつき、及びNPNトランジスタQ11とNPNトランジスタQ12それぞれの周囲温度差等により、差異δ<0になり得る。そのため、抵抗器R1の抵抗値を「0」より大きくして式(6)を正の値にするか、NPNトランジスタQ11の接続方法として図7Aの代わりに図7Bの方法を用いて、差異δ>0を確保して逆流を防止する。
NPNトランジスタQ11が図7Aのように接続された場合、アノード端子(A)とカソード端子(K)との間の電圧は、ベース電流がコレクタ電流の1/HFEになるので、NPNトランジスタQ12のベースエミッタ間電圧VBEと同じである。
これに対し、NPNトランジスタQ11が図7Bのように接続された場合、コレクタベース間に全電流が流れ、電圧ドロップが大きくなる。そのため、アノード端子(A)とカソード端子(K)との間の電圧は、図7Aの場合に比べて大きくなる。すなわち、δ>0となる。
次に、図8及び図9を用いて、入力端子Viに直流電源、出力端子Voutに負荷が接続されている場合の整流回路IDNの動作を説明する。図8は、実施の形態2において、外部要因による出力電位上昇時の整流回路IDNの動作を説明する図である。ここでは、出力端子Voutの出力電圧がE0であって、負荷電流I0が流れており、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位がV0である定常状態において、外部から出力端子Voutに対して強制的に(Vi−Vf)より高い電圧E1が印加された場合の負荷電流、及びNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位の時間変化について説明する。以下では、外部要因を、出力端子Voutに接続された外部電源とする。
図9は、NチャンネルMOSFETQMnのゲート容量を説明する図である。NチャンネルMOSFETQMnのドレイン、ゲート、ソースの各端子間には、静電容量Cgd,Cgs,Cdsが存在する。NチャンネルMOSFETQMnのゲート容量Cissは、(Cgd+Cgs)である。
図8において、時刻t0以前は、外部電源から出力端子Voutに対して電圧E1が印加されておらず、整流回路IDNは上述のような定常状態にある。
時刻t0において、NPNトランジスタQ11のコレクタ端子とベース端子とが短絡されているので、コレクタ端子及びベース端子の接続点と、エミッタ端子との間の電圧が一定である。出力端子Voutに電圧E1が印加された場合、NPNトランジスタQ12のベース電位が上昇するので、NPNトランジスタQ12がより強く導通状態になり、NPNトランジスタQ12のコレクタ端子と抵抗器R3の他方端子との接続点であるP点(図6参照)の電位を引き下げようとする。ところが、NチャンネルMOSFETQMnには、図9に示されるようにゲート容量Ciss(=Cgd+Cgs)が、P点とドレインとの間の電位差又はP点とソースとの間の電位差により充電されているため、すぐにNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位を引き下げることができない。
NチャンネルMOSFETQMnがオンし、P点側電位が、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位よりPNPトランジスタQ14のベースエミッタ間電圧VBE分以上に低くなると、つまり、抵抗器R4の両端電位差がPNPトランジスタQ14のベースエミッタ間電圧VBE以上に高くなると、PNPトランジスタQ14がオンする。電流ブースト回路を構成しているPNPトランジスタQ14は、時刻t0でオンすることで、NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷を急速に放電させることができる。NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷が放電されるにつれて、ゲートの電位は下降していく。図8の時刻t0から時刻t1までの期間は、電流ブースト回路による放電のブースト期間である。
時刻t1において、NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷が放電されたことにより、抵抗器R4の両端電位差がPNPトランジスタQ14のベースエミッタ間電圧VBE未満になると、PNPトランジスタQ14はオフする。時刻t1以降、抵抗器R4経由でNチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷をゆっくり放電させ、時刻t2においてNチャンネルMOSFETQMnがオフする。図8において、NチャンネルMOSFETQMnがオフになったときのゲート電位をV1とする。なお、図8の時刻t1から時刻t2までの期間は、非ブースト期間である。
上述の時刻t0から時刻t2までの期間、つまりNチャンネルMOSFETQMnがオンからオフに至るまでの過渡応答時、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位に応じて、出力端子Voutから入力端子Viに電流が逆流する。
時刻t4において、出力端子Voutに印加されていた外部電源の電圧E1が除去されると、NPNトランジスタQ11のベース電位低下により、NPNトランジスタQ12のベースエミッタ間電圧が低下するので、NPNトランジスタQ12の導通状態が弱くなる。時刻t4以降、P点の電位は、抵抗器R3により上昇する。ところが、時刻t4においてNチャンネルMOSFETQMnのゲート容量は放電されているため、すぐにNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位を上げること、つまりゲート容量の充電を完了することはできない。
NPNトランジスタQ12がオフし、P点側電位が、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位よりNPNトランジスタQ13のベースエミッタ間電圧VBE分高くなると、つまり、抵抗器R4の両端電位差がNPNトランジスタQ13のベースエミッタ間電圧VBE分以上に高くなると、NPNトランジスタQ13がオンする。電流ブースト回路を構成しているNPNトランジスタQ13は、時刻t4でオンすることで、NチャンネルMOSFETQMnのゲート容量を急速に充電することができる。NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷が充電されるにつれて、ゲートの電位は上昇していく。図8の時刻t4から時刻t5までの期間は、電流ブースト回路による充電のブースト期間である。
時刻t5において、NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷が充電されたことにより、抵抗器R4の両端電位差がNPNトランジスタQ13のベースエミッタ間電圧VBE未満になると、NPNトランジスタQ13はオフする。時刻t5以降、抵抗器R3と抵抗器R4とが、NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電荷をゆっくりと充電させ、時刻t6においてNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位がV0に達すると、NチャンネルMOSFETQMnが完全にオンする。なお、図8の時刻t5から時刻t6までの期間は、非ブースト期間である。
次に、整流回路IDNにおいて、NPNトランジスタQ13とPNPトランジスタQ14の電流ブースト回路が存在しない場合を説明する。図8において、電流ブースト回路が存在しない場合のNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位と、負荷電流は、一点鎖線で示される。
出力端子Voutに外部電源の電圧E1が印加された場合、NチャンネルMOSFETQMnのゲートの電位下降は、電流ブースト回路が存在する場合に比べて、電流ブースト回路が存在しない場合のほうが緩やかになる。そのため、電流ブースト回路が存在する場合、時刻t0から時刻t2までの期間Taにおいて逆流電流が流れるのに対し、電流ブースト回路が存在しない場合、時刻t0から時刻t3までのより長い期間Tb、逆流電流が流れることになる。このように、整流回路IDNに電流ブースト回路が存在しない場合、逆流電流が流れる期間が長くなるため、入力端子Viに接続された電源が損傷する可能性がある。
出力端子Voutに印加された電圧E1が除去された場合、PNチャンネルMOSFETQMnのゲートの電位上昇は、電流ブースト回路が存在する場合に比べて、電流ブースト回路が存在しない場合のほうが緩やかになる。そのため、負荷電流の回復にかかる時間は、電流ブースト回路が存在する場合、時刻t4から時刻t6までの期間Tcであるのに対し、電流ブースト回路が存在しない場合、時刻t4から時刻t7までのより長い期間Tdになり、NチャンネルMOSFETQMnが完全にオンするまでより長い時間がかかるため、整流回路IDNでの損失が増加する。
なお、整流回路IDNを消費電流の極めて小さい負荷に使用し、本整流回路IDN自体の消費電流も小さくする必要がある場合には、実施の形態1で述べたように、電流ブースト回路が有効である。
以上のように、実施の形態2に係る整流回路IDNは、NチャンネルMOSFETQMnと、NPNトランジスタQ11と、NPNトランジスタQ12と、互いに逆極性を持つNPNトランジスタQ13及びPNPトランジスタQ14と、抵抗器R1と、抵抗器R2と、抵抗器R3と、抵抗器R4と、入力端子Viと、出力端子Voutとを備える。この構成により、整流回路IDNは、入力端子Viと出力端子Voutとの電位差を、ダイオード素子の順方向電圧(0.4Vから0.7V)に比べて極めて低い値(例えば、200mV)に設定できる。また、整流回路IDNは、何らかの起電力が出力端子Vout側に接続され、出力端子Voutの電位が入力端子Viの電位よりも高くなった場合に、NPNトランジスタQ13とPNPトランジスタQ14によるブースト回路がない場合と比較して、素早く逆電流を阻止することができる。また、整流回路IDNは、前記起電力除去後に負荷への電源供給を素早く開始できる。
なお、実施の形態2の図6に示される電流ブースト回路は、バイポーラトランジスタ素子で構成されているが、MOSFET素子で構成されてもよい。
図10は、実施の形態2における電流ブースト回路の変形例を示す図である。図10に示される電流ブースト回路では、第3トランジスタ素子として、NPNトランジスタQ13の代わりに、NチャンネルMOSFETQ13nが使用される。また、第4トランジスタ素子として、PNPトランジスタQ14の代わりに、PチャンネルMOSFETQ14pが使用される。NチャンネルMOSFETQ13n及び、PチャンネルMOSFETQ14pにおいて、ドレイン端子は第1端子に、ソース端子は第2端子に、ゲート端子は第3端子に相当する。
図10において、P点電位が、NチャンネルMOSFETQ13nのソース電位よりもゲートソース間閾値電位分高ければ、NチャンネルMOSFETQ13nがオンする。NチャンネルMOSFETQ13nがオンすると、NチャンネルMOSFETQMnのゲート端子と電源Vccとが短絡する。P点電位が、PチャンネルMOSFETQ14pのソース電位よりもゲートソース間閾値電位分低ければ、PチャンネルMOSFETQ14pがオンする。PチャンネルMOSFETQ14pがオンすると、NチャンネルMOSFETQMnのゲート端子とソース端子とが短絡する。
このように、電流ブースト回路が、NチャンネルMOSFETQ13nとPチャンネルMOSFETQ14pとで構成されている場合でも、NPNトランジスタQ13とPNPトランジスタQ14とで構成されている場合と同様の働きをする。また、電流ブースト回路が、低いオン抵抗を持つNチャンネルMOSFETQ13nとPチャンネルMOSFETQ14pとで構成されている場合、NチャンネルMOSFETQMnの過渡応答時間をさらに短縮できる可能性がある。
次に、実施の形態2において電源Vccの電圧を生成する昇圧回路例を説明する。
図11は、実施の形態2における電源Vccの回路例を示す図である。昇圧回路は、スイッチング動作を行うスイッチ部SWと、キャパシタC11と、キャパシタC12と、ダイオードD11と、ダイオードD12とで構成されている。キャパシタC11は第1キャパシタに相当し、キャパシタC12は第2キャパシタに相当する。ダイオードD11は第1ダイオード素子に相当し、ダイオードD12は第2ダイオード素子に相当する。ダイオードD11とダイオードD12の順方向電圧は共にVfである。
整流回路IDNの出力端子Voutには、スイッチ部SWの入力側と、ダイオードD11のアノード端子と、キャパシタC12の一方端子とが接続されている。スイッチ部SWの出力側とキャパシタC11の一方端子とが接続されている。キャパシタC11の他方端子と、ダイオードD11のカソード端子と、ダイオードD12のアノード端子とが接続されている。これら、キャパシタC11の他方端子とダイオードD11のカソード端子とダイオードD12のアノード端子との接続点を、Q点とする。ダイオードD12のカソード端子とキャパシタC12の他方端子との接続点は、抵抗器R2の他方端子と抵抗器R3の一方端子とNPNトランジスタQ13のコレクタ端子との接続点に接続されている。
スイッチ部SWは、DC−DCコンバータ等の、デューティが0%及び100%以外の値で変動する矩形波を生成する回路である。スイッチ部SWは、出力端子Voutに接続されており、出力端子Voutの電位とグラウンドGNDの電位との間でスイッチング動作をしている。スイッチ部SWがグラウンドGNDの電位であるとき、ダイオードD11を経由して、キャパシタC11に(Vout−Vf)の電位が充電されて(Vout−Vf)の直流電位に平滑される。スイッチ部SWが出力端子Voutの電位であるとき、キャパシタC11に充電された(Vout−Vf)の直流電位が、出力端子Voutの電位に加わることにより、Q点の電位は(2×Vout−Vf)となる。この電位がダイオードD12を経由して、キャパシタC12に充電され平滑されることで、電源Vccとして(2×(Vout−Vf))の直流電位が得られる。
なお、図11に示される昇圧回路は、電源Vccの一例であり、電源Vccはこの昇圧回路に限定されない。
実施の形態3.
図12は、実施の形態3に係る整流回路IDPの構成例を示す回路図である。実施の形態3に係る整流回路IDPは、図1に示された実施の形態1の整流回路IDPに対して、ツェナーダイオードDZが追加された構成である。実施の形態3において図1〜図5と同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
ツェナーダイオードDZのアノード端子がNPNトランジスタQ4のベース端子に接続され、ツェナーダイオードDZのカソード端子が出力端子Voutに接続されている。このツェナーダイオードDZは、PチャンネルMOSFETQMpのゲートソース間電圧VGSを制限する。ただし、ツェナーダイオードDZのツェナー電圧は、出力端子Vout側の負荷が必要とする出力電流をPチャンネルMOSFETQMpが十分流せるだけのオン抵抗を確保できるゲートソース間電圧VGS以上であるものとする。これにより、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位が、出力端子Voutの電位(つまり、ソース側の電位)からツェナー電圧を引いた電位までしか低下しないので、PチャンネルMOSFETQMpが必要以上に飽和状態に近づくことを防止できる。また、PチャンネルMOSFETQMpの過渡状態においてゲート容量のうちの変化させるべき電荷量、すなわちゲート電位の変動幅を抑制することができるので、入力端子Viの電位を超える出力端子Voutの電位上昇に対するPチャンネルMOSFETQMpの過渡応答性が向上する。この様子を、図13に示す。
図13は、実施の形態3において、ツェナーダイオードDZが存在する場合の整流回路IDPの動作を説明する図である。なお、図13では、図3と同様に、出力端子Voutの出力電圧がE0であって、負荷電流I0が流れており、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位がV0である定常状態において、外部から出力端子Voutに対して強制的に(Vi−Vf)より高い電圧E1が印加された場合の負荷電流、及びPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位の時間変化について説明する。ツェナーダイオードDZが存在する場合のPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位と、負荷電流は、実線で示される。ツェナーダイオードDZが存在しない場合のPチャンネルMOSFETQMpのゲート電位と、負荷電流は、一点鎖線で示される。
ツェナーダイオードDZが存在しない場合、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位はV0である。ツェナーダイオードDZがゲート電位をV0からV0DZ(>V0)に上昇させることによってPチャンネルMOSFETQMpの飽和度合いを緩和しても十分な負荷電流が確保できる場合、ゲート電位をV0からV0DZに上昇させることにより、出力端子Voutから入力端子Viへの電流逆流期間を短縮することができる。つまり、ツェナーダイオードDZが存在しない場合の電流逆流期間は、時刻t0から時刻t2までであるが、ツェナーダイオードDZが存在する場合の電流逆流期間は、時刻t0から時刻t8(<t2)までとなる。なお、この例では、負荷電流を回復させるための時間、つまり時刻t4から時刻t6までの時間は、ツェナーダイオードDZの有無によって変化しない。
以上のように、実施の形態3に係る整流回路IDPは、カソード端子が出力端子Voutに接続され、アノード端子がNPNトランジスタQ4のベース端子に接続されているツェナーダイオードDZを備える。この構成により、PチャンネルMOSFETQMpのゲート電位の変動幅を抑制することができるので、出力端子Voutから入力端子Viへ電流が逆流する時間をさらに短縮することができる。
実施の形態4.
図14は、実施の形態4に係る整流回路IDNの構成例を示す回路図である。実施の形態4に係る整流回路IDNは、図6に示された実施の形態2の整流回路IDNに対して、ツェナーダイオードDZが追加された構成である。実施の形態4において図6〜図11と同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
ツェナーダイオードDZのアノード端子が入力端子Viに接続され、ツェナーダイオードDZのカソード端子がPNPトランジスタQ14のベース端子に接続されている。このツェナーダイオードDZは、NチャンネルMOSFETQMnのゲートソース間電圧VGSを制限する。ただし、ツェナーダイオードDZのツェナー電圧は、出力端子Vout側の負荷が必要とする出力電流をNチャンネルMOSFETQMnが十分流せるだけのオン抵抗を確保できるゲートソース間電圧VGS以上であるものとする。これにより、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位が、入力端子Viの電位(つまり、ソース側の電位)からツェナー電圧を加えた電位までしか上昇しないので、NチャンネルMOSFETQMnが必要以上に飽和状態になることを防止できる。また、NチャンネルMOSFETQMnの過渡状態においてゲート容量のうちの変化させるべき電荷量、すなわちゲート電位の変動幅を抑制することができるので、入力端子Viの電位を超える出力端子Voutの電位上昇に対するNチャンネルMOSFETQMnの過渡応答性が向上する。この様子を、図15に示す。
図15は、実施の形態4において、ツェナーダイオードDZが存在する場合の整流回路IDNの動作を説明する図である。なお、図15では、図8と同様に、出力端子Voutの出力電圧がE0であって、負荷電流I0が流れており、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位がV0である定常状態において、外部から出力端子Voutに対して強制的に(Vi−Vf)より高い電圧E1が印加された場合の負荷電流、及びNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位の時間変化について説明する。ツェナーダイオードDZが存在する場合のNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位と、負荷電流は、実線で示される。ツェナーダイオードDZが存在しない場合のNチャンネルMOSFETQMnのゲート電位と、負荷電流は、一点鎖線で示される。
ツェナーダイオードDZが存在しない場合、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位はV0である。ツェナーダイオードDZがゲート電位をV0からV0DZ(<V0)まで下降させることによってNチャンネルMOSFETQMnの飽和度合いを緩和しても十分な負荷電流が確保できる場合、ゲート電位をV0からV0DZに下降させることにより、出力端子Voutから入力端子Viへの電流逆流期間を短縮することができる。つまり、ツェナーダイオードDZが存在しない場合の電流逆流期間は、時刻t0から時刻t2までであるが、ツェナーダイオードDZが存在する場合の電流逆流期間は、時刻t0から時刻t8(<t2)までとなる。なお、この例では、負荷電流を回復させるための時間、つまり時刻t4から時刻t6までの時間は、ツェナーダイオードDZの有無によって変化しない。
以上のように、実施の形態4に係る整流回路IDNは、アノード端子が入力端子Viに接続され、カソード端子がPNPトランジスタQ14のベース端子に接続されているツェナーダイオードDZを備える。この構成により、NチャンネルMOSFETQMnのゲート電位の変動幅を抑制することができるので、出力端子Voutから入力端子Viへ電流が逆流する時間をさらに短縮することができる。
実施の形態5.
図16は、実施の形態5に係る直流電源合成回路1の構成例を示す回路図である。実施の形態5において図1〜図15と同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
直流電源合成回路1は、n個の整流回路ID1〜IDn(nは任意の整数)と、m個の通常のダイオードD1〜Dm(mは任意の整数)とを組み合わせた構成である。整流回路ID1〜IDnは、それぞれ、実施の形態1に係る整流回路IDP、実施の形態2に係る整流回路IDN、実施の形態3に係る整流回路IDP、又は実施の形態4に係る整流回路IDNのいずれかである。整流回路ID1〜IDnは、通常のダイオードD1〜Dmに比べて順方向電圧が小さい理想ダイオード回路である。以下では、整流回路ID1〜IDnを「低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDn」と称する。なお、低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnには、整流回路IDPと整流回路IDNとが混在していてもよい。その場合、整流回路IDPは第1整流回路に相当し、整流回路IDNは第2整流回路に相当する。
低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnの各入力端子Viには、直流電源Vi1〜Vinが接続されている。基準電位Vrefは、低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnの駆動電流を供給するためのものである。整流回路IDPの基準電位Vrefは、入力端子Viの電位よりも、少なくともPチャンネルMOSFETQMpがオンできるゲートソース間電位分低い電位のグラウンドGNDである。整流回路IDNの基準電位Vrefは、入力端子Viの電位よりも、少なくともNチャンネルMOSFETQMnがオンできるゲートソース間電位分高い電位の電源Vccである。ダイオードD1〜Dmの各アノード端子には、直流電源Ei1〜Eimが接続されている。ダイオードD1〜Dmの全カソード端子と、低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnの全出力端子Voutとは、接続されている。V0は、直流電源合成回路1の出力電圧である。
ここで、直流電源合成回路1の具体例を説明する。n=1、及びm=1であり、直流電源Ei1は12Vであるものとする。また、低電圧ドロップ整流回路ID1は整流回路IDPであり、直流電源Vi1は5Vであるものとする。基準電位Vrefは、グラウンドGNDの電位である。この構成において、出力電力が一定である場合、消費電流が少ない12V側は、電源電圧が高いために、ダイオードD1の電圧ドロップが電源電圧に対して無視でき、ダイオードD1での電力ロスも無視できる。そのため、直流電源Ei1に対しては、電圧ドロップは大きいが低コストの通常のダイオードD1が使用される。これに対し、消費電流が大きい5V側は、電源電圧が低いために、ダイオードの電圧ドロップが電源電圧に対して無視できない割合を占め、ダイオードでの電力ロスを無視できない。そのため、直流電源Vi1に対しては、通常のダイオードと比較してコストは大きいが電圧ドロップは小さい理想ダイオード回路である整流回路IDPが使用される。これにより、直流電源合成回路1は、電力損失抑制とコスト抑制の両立が可能となる。
以上のように、実施の形態5に係る直流電源合成回路1は、直流電源Ei1〜Eim,Vi1〜Vinと、低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnと、ダイオードD1〜Dmとを備える。Ei1〜Eimは、それぞれ、ダイオードD1〜Dmのアノード端子に接続されている。直流電源Vi1〜Vinは、それぞれ、低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnの入力端子Viに接続されている。また、ダイオードD1〜Dmの各カソード端子と、低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnの各出力端子Voutとが接続されている。このように、電源電圧が高く消費電流が小さい直流電源Ei1〜Eimに対して通常のダイオードD1〜Dmが接続され、電源電圧が低く消費電流が大きい直流電源Vi1〜Vinに対して理想ダイオード回路である低電圧ドロップ整流回路ID1〜IDnが接続されることにより、電力損失抑制とコスト抑制の両立が可能となる。
なお、実施の形態5では、直流電源合成回路1が、整流回路IDP又は整流回路IDNの少なくとも一方に加えて、少なくとも1つのダイオードD1を用いる構成であったが、整流回路IDP又は整流回路IDNの少なくとも一方のみを用いる構成であってもよい。
実施の形態6.
図17は、実施の形態6に係る全波整流回路2の構成例を示す回路図である。実施の形態6において図1〜図15と同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
全波整流回路2は、変圧器Trが出力する交流電圧を全波整流するブリッジ型の全波整流回路である。変圧器Trは、1次巻線と、2次巻線と、2次巻線に設けられたセンタタップとを備える。全波整流回路2は、センタタップを基準電位とし、正電位側の整流回路IDP1,IDP2と、負電位側の整流回路IDN1,IDN2とを用いて全波整流を行う。整流回路IDP1,IDP2は、それぞれ、実施の形態1に係る整流回路IDP又は実施の形態3に係る整流回路IDPである。整流回路IDN1,IDN2は、それぞれ、実施の形態2に係る整流回路IDN又は実施の形態4に係る整流回路IDNである。整流回路IDP1,IDP2,IDN1,IDN2は、順方向電圧が小さい理想ダイオード回路である。全波整流回路2の出力側には、交流リップル平滑用のキャパシタC1,C2を介して、負荷Za,Zb,Zcが接続されている。
図17に示されるように、2次巻線の一方の出力側に、整流回路IDP1の入力端子Viと、整流回路IDN2の出力端子Voutとが接続されている。2次巻線の他方の出力側に、整流回路IDP2の入力端子Viと、整流回路IDN1の出力端子Voutとが接続されている。整流回路IDP1の出力端子Voutと、整流回路IDP2の出力端子Voutと、キャパシタC1の一方端子との接続点は、正電源の出力端子となる。+V1は、センタタップの基準電位に対する上記正電源の出力電位である。整流回路IDN1の入力端子Viと、整流回路IDN2の入力端子Viと、キャパシタC2の一方端子との接続点は、負電源の出力端子となる。−V1は、センタタップの基準電位に対する上記負電源の出力電位である。整流回路IDP1のグラウンドGNDと、整流回路IDP2のグラウンドGNDと、整流回路IDN1の電源Vccと、整流回路IDN2の電源Vccと、キャパシタC1の他方端子と、キャパシタC2の他方端子とは、センタタップに接続されている。
以上のように、実施の形態6に係る全波整流回路2は、4個の整流回路IDP1,IDP2,IDN1,IDN2とから構成されるブリッジ型の全波整流回路であり、センタタップを有する変圧器Trが出力する交流電圧を全波整流する。この全波整流回路2は、順方向電圧が小さい理想ダイオード回路である整流回路IDP1,IDP2,IDN1,IDN2で構成されているので、通常のダイオード素子を用いたブリッジ型の全波整流回路と比較して電力損失を抑制することができる。
実施の形態7.
図18は、実施の形態7に係る全波整流回路3の構成例を示す回路図である。実施の形態7において図1〜図15と同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
全波整流回路3は、3相交流発電回路4が出力する3相交流電圧を全波整流するブリッジ型の全波整流回路である。3相交流発電回路4は、3相の正弦波交流電源Eu,Ev,Ewと、正弦波交流電源Eu,Ev,Ewが接続された中性点Vnとを備える。正弦波交流電源Evは、正弦波交流電源Euより2π/3遅れた位相角を持つ。正弦波交流電源Ewは、正弦波交流電源Evより2π/3遅れた位相角を持つ。全波整流回路3は、中性点Vnを基準電位とし、各相に対して、正電位側の整流回路IDP3,IDP4,IDP5と、負電位側の整流回路IDN3,IDN4,IDN5とを用いて全波整流を行う。整流回路IDP3,IDP4,IDP5は、それぞれ、実施の形態1に係る整流回路IDP又は実施の形態3に係る整流回路IDPである。整流回路IDN3,IDN4,IDN5は、それぞれ、実施の形態2に係る整流回路IDN又は実施の形態4に係る整流回路IDNである。整流回路IDP3,IDP4,IDP5,IDN3,IDN4,IDN5は、順方向電圧が小さい理想ダイオード回路である。全波整流回路3の出力側には、交流リップル平滑用のキャパシタC3を介して、負荷Zdが接続されている。
図18に示されるように、3相交流発電回路4の正弦波交流電源Euの出力側に、整流回路IDP3の入力端子Viと、整流回路IDN3の出力端子Voutとが接続されている。正弦波交流電源Ewの出力側に、整流回路IDP4の入力端子Viと、整流回路IDN4の出力端子Voutとが接続されている。正弦波交流電源Evの出力側に、整流回路IDP5の入力端子Viと、整流回路IDN5の出力端子Voutとが接続されている。整流回路IDP3,IDP4,IDP5の各グラウンドGNDと、整流回路IDN3,IDN4,IDN5の各電源Vccとは、中性点Vnに接続されている。正電位側の整流回路IDP3,IDP4,IDP5の各出力端子Voutと、キャパシタC3の一方端子との接続点は、正電源の出力端子となる。負電位側の整流回路IDN3,IDN4,IDN5の各入力端子Viと、キャパシタC3の他方端子との接続点は、負電源の出力端子となる。V2は、負荷Zdにかかる出力電位である。
以上のように、実施の形態7に係る全波整流回路3は、6個の整流回路IDP3,IDP4,IDP5,IDN3,IDN4,IDN5とから構成されるブリッジ型の全波整流回路であり、中性点Vnを有する3相交流発電回路4が出力する3相交流電圧を全波整流する。この全波整流回路3は、順方向電圧が小さい理想ダイオード回路である整流回路IDP3,IDP4,IDP5,IDN3,IDN4,IDN5で構成されているので、通常のダイオード素子を用いたブリッジ型の全波整流回路と比較して電力損失を抑制することができる。
なお、実施の形態7では、全波整流回路3が、3相の交流電圧を全波整流するように構成されていたが、n相(n≧4)の交流電圧を全波整流するように構成されてもよい。
本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
この発明に係る整流回路は、入出力間の電位差が極めて小さく、高い応答性を有しているので、低損失で高速応答を要する電源合成回路及び整流回路に適している。
1 直流電源合成回路、2,3 全波整流回路、4 3相交流発電回路、C1,C2,C3,C11,C12 キャパシタ、D1〜Dm,D11,D12 ダイオード、DZ ツェナーダイオード、Ei1〜Eim,Vi1〜Vin 直流電源、Eu,Ev,Ew 正弦波交流電源、GND グラウンド、ID1〜IDn,IDP,IDN,IDP1,IDP2,IDP3,IDP4,IDP5,IDN1,IDN2,IDN3,IDN4,IDN5 整流回路、Q1,Q2,Q3,Q14 PNPトランジスタ、Q4,Q11,Q12,Q13 NPNトランジスタ、Q3p,Q14p,QMp PチャンネルMOSFET、Q4n,Q13n,QMn NチャンネルMOSFET、R1,R2,R3,R4 抵抗器、SW スイッチ部、Tr 変圧器、Vi 入力端子、Vcc 電源、Vn 中性点、Vout 出力端子、Vref 基準電位、Za,Zb,Zc,Zd 負荷。

Claims (18)

  1. PチャンネルMOSFET素子と、第1PNPバイポーラトランジスタ素子と、第2PNPバイポーラトランジスタ素子と、互いに逆極性を持つ第3トランジスタ素子及び第4トランジスタ素子と、第1抵抗器と、第2抵抗器と、第3抵抗器と、第4抵抗器と、入力端子と、出力端子とを備え、
    前記PチャンネルMOSFET素子のドレイン端子と前記第1抵抗器の一方端子との接続点が前記入力端子に接続され、
    前記第1PNPバイポーラトランジスタ素子は等価ダイオード素子を構成し、前記等価ダイオード素子のアノード端子と前記第1抵抗器の他方端子とが接続され、前記等価ダイオード素子のカソード端子と前記第2PNPバイポーラトランジスタ素子のベース端子と前記第2抵抗器の一方端子とが接続され、
    前記第2抵抗器の他方端子と前記第3抵抗器の一方端子と前記第3トランジスタ素子の第1端子との接続点がグラウンドに接続され、
    前記第3抵抗器の他方端子と前記第2PNPバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子と前記第3トランジスタ素子の第3端子と前記第4トランジスタ素子の第3端子と前記第4抵抗器の一方端子とが接続され、
    前記第3トランジスタ素子の第2端子と前記第4トランジスタ素子の第2端子と前記第4抵抗器の他方端子と前記PチャンネルMOSFET素子のゲート端子とが接続され、
    前記第2PNPバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子と前記PチャンネルMOSFET素子のソース端子と前記第4トランジスタ素子の第1端子との接続点が前記出力端子に接続されていることを特徴とする整流回路。
  2. 前記第1PNPバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子は前記等価ダイオード素子の前記アノード端子であり、前記第1PNPバイポーラトランジスタ素子のベース端子とコレクタ端子との接続点は前記等価ダイオード素子の前記カソード端子であることを特徴とする請求項1記載の整流回路。
  3. 前記第1PNPバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子は前記等価ダイオード素子の前記アノード端子であり、前記第1PNPバイポーラトランジスタ素子のベース端子は前記等価ダイオード素子の前記カソード端子であり、前記第1PNPバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子は開放されていることを特徴とする請求項1記載の整流回路。
  4. カソード端子が前記出力端子に接続され、アノード端子が前記第4トランジスタ素子の前記第3端子に接続されているツェナーダイオード素子を備えることを特徴とする請求項1記載の整流回路。
  5. 前記第3トランジスタ素子はPNPバイポーラトランジスタ素子であり、前記第3トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記PNPバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子、エミッタ端子、及びベース端子であり、
    前記第4トランジスタ素子はNPNバイポーラトランジスタ素子であり、前記第4トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記NPNバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子、エミッタ端子、及びベース端子であることを特徴とする請求項1記載の整流回路。
  6. 前記第3トランジスタ素子はPチャンネルMOSFET素子であり、前記第3トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記PチャンネルMOSFET素子のドレイン端子、ソース端子、及びゲート端子であり、
    前記第4トランジスタ素子はNチャンネルMOSFET素子であり、前記第4トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記NチャンネルMOSFET素子のドレイン端子、ソース端子、及びゲート端子であることを特徴とする請求項1記載の整流回路。
  7. NチャンネルMOSFET素子と、第1NPNバイポーラトランジスタ素子と、第2NPNバイポーラトランジスタ素子と、互いに逆極性を持つ第3トランジスタ素子及び第4トランジスタ素子と、第1抵抗器と、第2抵抗器と、第3抵抗器と、第4抵抗器と、入力端子と、出力端子とを備え、
    前記NチャンネルMOSFET素子のソース端子と前記第2NPNバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子との接続点が前記入力端子に接続され、
    前記第1NPNバイポーラトランジスタ素子は等価ダイオード素子を構成し、前記等価ダイオード素子のアノード端子と前記第2NPNバイポーラトランジスタ素子のベース端子と前記第2抵抗器の一方端子とが接続され、
    前記第2抵抗器の他方端子と前記第3抵抗器の一方端子と前記第3トランジスタ素子の第1端子との接続点が、前記入力端子の入力電圧よりも高電位な電源に接続され、
    前記第3抵抗器の他方端子と前記第2NPNバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子と前記第3トランジスタ素子の第3端子と前記第4トランジスタ素子の第3端子と前記第4抵抗器の一方端子とが接続され、
    前記第3トランジスタ素子の第2端子と前記第4トランジスタ素子の第2端子と前記第4抵抗器の他方端子と前記NチャンネルMOSFET素子のゲート端子とが接続され、
    前記等価ダイオード素子のカソード端子と前記第1抵抗器の一方端子とが接続され、
    前記NチャンネルMOSFET素子のドレイン端子と前記第1抵抗器の他方端子との接続点が前記出力端子に接続されていることを特徴とする整流回路。
  8. 前記第1NPNバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子は前記等価ダイオード素子のカソード端子であり、前記第1NPNバイポーラトランジスタ素子のベース端子とコレクタ端子との接続点は前記等価ダイオード素子の前記アノード端子であることを特徴とする請求項7記載の整流回路。
  9. 前記第1NPNバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子は前記等価ダイオード素子の前記カソード端子であり、前記第1NPNバイポーラトランジスタ素子のベース端子は前記等価ダイオード素子の前記アノード端子であり、前記第1NPNバイポーラトランジスタ素子のエミッタ端子は開放されていることを特徴とする請求項7記載の整流回路。
  10. アノード端子が前記入力端子に接続され、カソード端子が第4トランジスタ素子の前記第3端子に接続されているツェナーダイオード素子を備えることを特徴とする請求項7記載の整流回路。
  11. 前記入力端子の入力電圧よりも高電位な前記電源は、スイッチング動作を行うスイッチ部と、第1キャパシタと、第2キャパシタと、第1ダイオード素子と、第2ダイオード素子とで構成された昇圧回路であり、
    前記スイッチ部の入力側と前記第1ダイオード素子のアノード端子と前記第2キャパシタの一方端子とが前記出力端子に接続され、
    前記スイッチ部の出力側と前記第1キャパシタの一方端子とが接続され、
    前記第1キャパシタの他方端子と前記第1ダイオード素子のカソード端子と前記第2ダイオード素子の前記アノード端子とが接続され、
    前記第2ダイオード素子のカソード端子と前記第2キャパシタの他方端子との接続点が、前記第2抵抗器の前記他方端子と前記第3抵抗器の前記一方端子と前記第3トランジスタ素子の前記第1端子との前記接続点に接続されていることを特徴とする請求項7記載の整流回路。
  12. 前記第3トランジスタ素子はNPNバイポーラトランジスタ素子であり、前記第3トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記NPNバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子、エミッタ端子、及びベース端子であり、
    前記第4トランジスタ素子はPNPバイポーラトランジスタ素子であり、前記第4トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記PNPバイポーラトランジスタ素子のコレクタ端子、エミッタ端子、及びベース端子であることを特徴とする請求項7記載の整流回路。
  13. 前記第3トランジスタ素子はNチャンネルMOSFET素子であり、第3トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記NチャンネルMOSFET素子のドレイン端子、ソース端子、及びゲート端子であり、
    前記第4トランジスタ素子はPチャンネルMOSFET素子であり、前記第4トランジスタ素子の前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子はそれぞれ前記PチャンネルMOSFET素子のドレイン端子、ソース端子、及びゲート端子であることを特徴とする請求項7記載の整流回路。
  14. 複数の直流電源と、
    請求項1記載の整流回路と、
    ダイオード素子とを備え、
    前記複数の直流電源のそれぞれが、前記整流回路の入力端子又は前記ダイオード素子のアノード端子のいずれか一方に接続され、
    すべての前記整流回路の出力端子とすべての前記ダイオード素子のカソード端子とが接続されていることを特徴とする直流電源合成回路。
  15. 複数の直流電源と、
    請求項7記載の整流回路と、
    ダイオード素子とを備え、
    前記複数の直流電源のそれぞれが、前記整流回路の入力端子又は前記ダイオード素子のアノード端子のいずれか一方に接続され、
    前記複数の直流電源に接続された前記整流回路の各出力端子と前記ダイオード素子の各カソード端子とが接続されていることを特徴とする直流電源合成回路。
  16. 複数の直流電源と、
    請求項1記載の整流回路である第1整流回路と、
    請求項7記載の整流回路である第2整流回路と、
    ダイオード素子とを備え、
    前記複数の直流電源のそれぞれが、前記第1整流回路の入力端子、前記第2整流回路の入力端子、又は前記ダイオード素子のアノード端子のうちのいずれか1つに接続され、
    すべての前記第1整流回路の出力端子とすべての前記第2整流回路の出力端子とすべての前記ダイオード素子のカソード端子とが接続されていることを特徴とする直流電源合成回路。
  17. 1次巻線、2次巻線、及び前記2次巻線に設けられたセンタタップを有する変圧器が出力する交流電圧を全波整流するブリッジ型の全波整流回路であって、
    2個の請求項1記載の整流回路と、2個の請求項7記載の整流回路とを備えることを特徴とする全波整流回路。
  18. n相(nは3以上の整数)の正弦波交流電源が接続された中性点を持つn相交流発電回路が出力するn相交流電圧を全波整流するブリッジ型の全波整流回路であって、
    n個の請求項1記載の整流回路と、n個の請求項7記載の整流回路とを備えることを特徴とする全波整流回路。
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