JPWO2020217584A1 - 樹脂成形体、樹脂成形体を用いた建築部材、および樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂成形体、樹脂成形体を用いた建築部材、および樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の一実施形態では樹脂成形体が供される。当該樹脂成形体は、樹脂構造体と、樹脂構造体の表面の少なくとも一部に又はその上方に設けられたセラミック膜とを含み、セラミック膜は、X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより得られる結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて下記式で算出される結晶化度が80%以上であることを特徴とする。(数1)

Description

本発明は、樹脂成形体、樹脂成形体を用いた建築部材、および樹脂成形体の製造方法に関する。
壁、床、水廻りおよび内装部材等に用いられる建築部材として、基材の表面に、装飾性、耐候性、耐熱性、耐燃性、耐食性、耐摩耗性、防汚性、絶縁性および耐衝撃性等の機能を有する皮膜を設けてなる材料が用いられている。建築部材の基材を構成する材料としては、木材、コンクリート、石膏、石材、金属材料および樹脂材料等が知られている。皮膜の形成方法としては、一般に、塗布、吹き付け、貼り付け、めっき、スパッタリング、蒸着、含浸および溶射等の手法が知られている。
特許文献1には、基材の表面に金属またはセラミック或いはこれらの混合物によって形成された溶射層が設けられており、溶射層の表面に光沢増大の仕上げ加工が施されているとともに透明合成樹脂の封孔層が設けられている、ことを特徴とする建築用材が記載されている。
特開2000−192635号公報
本発明者らは、樹脂材料で構成される基材(樹脂構造体)の表面にセラミック膜を設けてなる樹脂成形体を建築部材用途に適用することを検討した。本発明者らは、樹脂構造体の表面にセラミック膜を設けた場合、アルカリ性洗剤等のアルカリ性材料によってセラミック膜が変色してしまうことがあるという問題を見出した。
そこで、本発明は、アルカリ性材料による変色をより抑制することができ、耐アルカリ性がより優れた樹脂成形体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の樹脂成形体は、樹脂構造体と、樹脂構造体の表面の少なくとも一部に又はその上方に設けられたセラミック膜とを含み、
セラミック膜は、X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより得られる結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて下記式で算出される結晶化度が80%以上である。
Figure 2020217584
また、上記課題を解決するために、本発明の樹脂成形体を用いた建築部材は、上述の樹脂成形体を用いた建築部材であって、建築部材の表面の少なくとも一部が樹脂成形体で構成される。
また、上記課題を解決するために、本発明の樹脂成形体の製造方法は、樹脂構造体と、樹脂構造体の表面の少なくとも一部又はその上方に設けられたセラミック膜とを含む樹脂成形体の製造方法であって、
樹脂構造体を準備することと、
樹脂構造体又は該樹脂構造体に形成する中間層にセラミック粒子を溶射して、セラミック膜を形成することと
を含み、
セラミック膜は、X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより得られる結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて下記式で算出される結晶化度が80%以上である。
Figure 2020217584
以上のように構成された本発明の樹脂成形体および樹脂成形体を用いた建築部材は、アルカリ性材料による変色をより抑制することができ、より優れた耐アルカリ性を有する。また、以上のように構成された本発明の樹脂成形体の製造方法は、アルカリ性材料による変色をより抑制することができ、耐アルカリ性がより優れた樹脂成形体を製造することができる。
本発明の実施形態に係る樹脂成形体の構造を模式的に示す図である。 X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析する手法を説明する模式図である。 セラミックの二元系状態図の一例である。 本発明の実施形態に係る樹脂成形体の製造方法を模式的に示す図である。 実施形態に係る樹脂成形体の第1使用例(シンク一体型キッチンカウンター)の斜視図である。 図5AのA−A線についての断面図である。 図5AのB−B線についての断面図である。 実施形態に係る樹脂成形体第2使用例(ユニットバスの床パン)の斜視図である。 図6AのC−C線についての断面図である。 図6Bの一部を拡大して示す断面図である。 実施形態に係る樹脂成形体の第3使用例(便器)の斜視図である。 図7AのD−D線についての断面図である。 実施形態に係る樹脂成形体の第4使用例(ボウル一体型洗面カウンター)の斜視図である。 図8AのE−E線についての断面図である。 図8AのF−F線についての断面図である。 例1の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例2の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例3の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例4の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例5の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例6の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例7の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例8の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例9の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例10の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例11の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。 例12の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す図である。
[樹脂成形体]
以下、本発明の実施形態に係る樹脂成形体について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明に係る樹脂成形体およびその各構成要素の形状および配置等は、以下に説明する実施形態および図示される構成に限定されるものではない。
本明細書で言及する各種の数値範囲は、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。つまり、例えば1〜10といった数値範囲を例にとれば、下限値の「1」を含むと共に、上限値の「10」をも含むものとして解釈され得る。
本発明の一実施形態に係る樹脂成形体1は、樹脂構造体10と、樹脂構造体10の表面の少なくとも一部に又はその上方に設けられたセラミック膜20とを含む。本明細書でいう「樹脂構造体10の表面の少なくとも一部に設けられたセラミック膜」とは、樹脂構造体10上に直接接したセラミック膜を指す。又、本明細書でいう「樹脂構造体10の表面の少なくとも一部の上方に設けられたセラミック膜」とは、樹脂構造体10上に直接接したセラミック膜ではなく、後述する中間層等を介して樹脂構造体10と離隔配置されたセラミック膜を指す。
以下、本発明の実施形態に係る樹脂成形体1の構造の一例を図1(a)に示す。図1(a)に示すように、樹脂成形体1は、樹脂構造体10と、樹脂構造体10の表面の少なくとも一部に設けられたセラミック膜20とを有する。樹脂成形体1の基材として樹脂構造体10を採用し、皮膜としてセラミック膜20を採用することにより、耐熱性、美観、施工性および軽量性に優れた樹脂成形体1を得ることができる。実施形態に係る樹脂成形体1は、乾式施工が可能であるという利点も有する。
(樹脂構造体10)
実施形態の樹脂成形体1において、樹脂構造体10の形状は特に限定されるものではなく、例えば、平坦な表面を有する平板形状であってよく、あるいは表面の少なくとも一部に凹凸を有してもよい。樹脂構造体10を構成する樹脂材料は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等の変性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂材料であってよい。樹脂構造体10は、樹脂材料で構成されているので軽量で且つ割れにくいという利点を有する。そのため、樹脂成形体1を大型化することが可能である。
樹脂構造体10は、セラミック粒子等の無機フィラーを含んでいてもよい。無機フィラーを添加することにより、樹脂構造体10の熱膨張率をセラミック膜20の熱膨張率に近づけることができる。その結果、熱膨張率の差に起因する応力の発生を緩和することができ、樹脂成形体1の耐久性を向上させることができる。また、無機フィラーを添加することにより、樹脂構造体10の耐熱性を高めることができる。
(セラミック膜20)
実施形態の樹脂成形体1において、セラミック膜20は、樹脂構造体10の表面の少なくとも一部に設けられる。なお、本明細書において、「セラミック膜」とは、セラミックの濃度がセラミック膜全体の重量を基準として90重量%〜100重量%の範囲であるものを意味する。後述するようにセラミック膜20中に存在し得る気孔に封孔材を充填する場合、「セラミック膜全体の重量」には封孔材の重量も含まれるものとする。セラミック膜20は、樹脂構造体10の表面の一部のみに設けられてよく、あるいは樹脂構造体10の全面に設けられていてもよい。セラミック膜20の厚みは特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜調整することができる。セラミック膜20の厚みは、例えば、0.01mm〜3.0mmの範囲、好ましくは0.05mm〜1.0mmの範囲、より好ましくは0.2mm〜0.5mmの範囲であってよい。
本発明者らは、樹脂構造体10の表面にセラミック膜20を設けた樹脂成形体1において、アルカリ性洗剤等のアルカリ性材料によってセラミック膜20が変色してしまうことがあるという問題を見出した。本発明者らは検討を重ねた結果、セラミック膜20の結晶化度が、セラミック膜20の耐アルカリ性に影響を及ぼすことを見出した。例えば、樹脂構造体10にセラミック粒子を溶射することによりセラミック膜20を形成する場合、溶射後にセラミック膜20が急冷されることに起因して、セラミック膜20中の結晶相がアモルファス相(非晶質相)および/または準安定相に相変態することがある。このような相変態が起こると、得られるセラミック膜20の結晶化度が低下する。本発明者らは、セラミック膜20の結晶化度が高いほど、セラミック膜20の耐アルカリ性が向上し、アルカリ性材料による変色をより抑制することができることを見出した。
以下、セラミック膜20の結晶化度について、図2を参照してより詳細に説明する。セラミック膜20の結晶化度は、X線回折(XRD、X−ray Diffraction)分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより求めることができる。図2に、セラミック膜20のXRD分析により得られるスペクトルのメインピーク(符号aで示す)を模式的に示す。図2において、横軸は回折角度(2θ)、縦軸は回折強度(CPS)を示す。ここで、「メインピーク」とは、スペクトルに含まれるピークのうち、ピークトップまでの高さが最も高いピークを指す。XRDスペクトルにおいて、結晶質は半値幅の小さい鋭いピークを示すのに対し、非晶質は半値幅の大きいブロードなピークを示す。セラミック膜20が結晶質および非晶質の両方を含む場合、セラミック膜20のメインピークaは、図2に示すように、結晶質の鋭いピーク(符号bで示す)と、非晶質のブロードなピーク(それぞれ符号cおよびdで示す)で構成されるものであると仮定することができる。図2において、メインピークaの低角側にピークトップを有する非晶質ピークc、およびメインピークaの高角側にピークトップを有する非晶質ピークdの2つの非晶質ピークが存在している。このような仮定に基づいてメインピークaのフィッティングを行うことにより、結晶質ピークbのピーク面積、低角側の非晶質ピークcのピーク面積および高角側の非晶質ピークdのピーク面積をそれぞれ求める。得られた結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて、下記式により結晶化度を算出する。XRD分析の測定条件およびメインピークaの解析条件の詳細は後述する。なお、XRDスペクトルの全てのピークを解析することによっても同様に結晶化度を求めることはできるが、メインピークのみを用いた方が、より高精度に結晶化度を求めることができる。
Figure 2020217584
実施形態の樹脂成形体1において、セラミック膜20は、上記式で算出される結晶化度が80%以上である。セラミック膜20の結晶化度が80%以上であると、アルカリ性材料による変色をより抑制することができ、より優れた耐アルカリ性を有することができる。セラミック膜20の結晶化度は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。なお、結晶化度の上限は100%である。セラミック膜20の結晶化度が高いほど、アルカリ性材料による変色をより一層効果的に抑制することができる。
本明細書において、「アルカリ性材料」とは、広義には、pHが7より大きい溶液を意味し、狭義にはpHが10〜14程度の溶液を意味する。より具体的には、システムキッチン、ユニットバス、洗面化粧台およびトイレ等の水回りの住宅設備機器の掃除に用いる家庭用洗剤、例えば花王株式会社製のマジックリン(登録商標)およびハイター(登録商標)等が挙げられる。実施形態の樹脂成形体1を水回りの住宅設備機器に用いる場合には、上述のような家庭用洗剤による変色がより抑制されることが求められる。アルカリ性材料によるセラミック膜20の変色が抑制されているか否かは、以下に説明する耐アルカリ試験によって確認することができる。
耐アルカリ試験において、アルカリ性材料として5重量%NaOH水溶液を用いる。所定量のNaOH水溶液を染みこませたコットンを、試験対象のセラミック膜20の表面におく。NaOH水溶液の蒸発を防ぐためにシャーレでコットンを覆う。この状態でセラミック膜20を室温で24時間静置する。静置している間、コットンが乾燥しないように適宜NaOH水溶液をコットンに追加する。24時間後、シャーレおよびコットンを取り除いてセラミック膜20の外観を目視で観察することにより、セラミック膜20の変色の有無を確認することができる。セラミック膜20の変色が目視で確認できない場合、セラミック膜20は、アルカリ性材料による変色がより抑制され、より優れた耐アルカリ性を有するものであると判定することができる。
セラミック膜20の結晶化度は、セラミック膜20の原料として用いるセラミック粒子の組成およびセラミック膜20の形成条件等を調整することにより制御することができる。セラミック材料の組成およびセラミック膜20の形成条件については後述する。
セラミック膜20は溶射セラミック膜であることが好ましい。本明細書において、「溶射セラミック膜」とは、セラミックで構成される溶射膜を意味する。より具体的には、溶射セラミック膜は、セラミック粒子が堆積してなる皮膜である。溶射セラミック膜において、隣接するセラミック粒子同士は互いに融着している。溶射セラミック膜は、セラミック粒子を溶射することにより形成される。溶射セラミック膜は、耐熱性、美観、施工性および軽量性に優れているという利点を有する。また、溶射セラミック膜は、大型および/または深型の樹脂構造体10に適用することが可能であるという利点も有する。いずれの方法でセラミック膜20を形成した場合であっても、セラミック膜20の結晶化度が80%以上であれば、アルカリ性材料による変色をより抑制することができ、より優れた耐アルカリ性を実現することができる。
セラミック膜20は、大気圧下で液相となる高温から25℃に冷却したときに一の固相状態から別の固相状態へと相変態しない材料で構成されることが好ましい。以下、図3を参照して、セラミック膜20の相変態についてより具体的に説明する。図3に、セラミックの二元系状態図の一例を示す。図3において、液相を「L」、固相を「α」、「β」および「γ」で示す。例えば、セラミックが図3において「C」で示す組成を有する場合、平衡状態において大気圧下で液相となる高温Tから温度Tに冷却すると、セラミックは液相からβ相(固相)に相変態する。温度Tから室温(25℃)へと更に冷却した場合、セラミックはβ相のままである。従って、組成Cを有するセラミックは、平衡状態において大気圧下で液相となる高温から25℃に冷却したときに一の固相状態から別の固相状態へと相変態しない材料であるといえる。セラミック膜20をこのような材料で構成した場合、セラミック膜20の結晶化度をより一層高くすることができる。例えば溶射によりセラミック膜20を形成する場合、高温に加熱したセラミック粒子を樹脂構造体10に衝突させて溶射セラミック膜を形成する際にセラミック粒子が急冷される。セラミック粒子が、大気圧下で液相となる高温から25℃に冷却したときに一の固相状態から別の固相状態へと相変態しない材料で構成されていると、急冷時に一の固相状態から別の固相状態への相変態が起こりにくい。このような相変態を起こりにくくすることにより、形成されるセラミック膜20の結晶化度をより一層高くすることができる。その結果、アルカリ性材料によるセラミック膜20の変色をより一層抑制することができる。これに対し、例えばセラミックが図3において「C」で示す組成を有する場合、平衡状態において大気圧下で液相となる高温Tからセラミックを冷却していくと、温度Tにおいては液相と固相αとが共存する。温度がTからTに低下すると、セラミックはα相(固相)となる。セラミックを更に冷却すると、α相の一部が相変態してβ相となる(温度T)。
セラミック膜20を構成するセラミック材料は、セラミック膜20の結晶化度が80%以上となるものであれば特に限定されるものではない。好ましくは、セラミック膜20を形成するのに用いる原料の結晶形態と、形成されたセラミック膜20の結晶形態とが実質的に同じであるような材料を、セラミック膜20を構成する材料として用いることが好ましい。例えば、セラミック膜20が溶射セラミック膜である場合、溶射の前後で結晶形態が変化しないセラミック材料を、セラミック膜20を構成する材料として用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、セラミック膜20の結晶化度をより一層高くすることができる。その結果、アルカリ性材料によるセラミック膜20の変色をより一層抑制することができる。より具体的には、セラミック膜20は、スピネル、ジルコニアまたはチタニアで構成されることが好ましい。
一の構成例として、セラミック膜20はスピネルで構成されるものであることが好ましい。セラミック膜20は、スピネルに加えて微量の不可避不純物を含んでよい。より好ましくは、セラミック膜20はスピネルのみからなる。スピネルは、化学式MgAlで表される結晶材料である。スピネルは、耐薬品性に優れており、比較的安価であるという利点を有する。また、スピネルは白色であるため、インクジェット等による加飾が可能である。
別の構成例として、セラミック膜20はジルコニアで構成されるものであることが好ましい。セラミック膜20は、より好ましくはイットリアが添加されたジルコニア(イットリア安定化ジルコニア)で構成され、更に好ましくはイットリアが8mol%添加されたイットリア安定化ジルコニアで構成される。セラミック膜20をイットリア安定化ジルコニアで構成することにより、セラミック膜20の結晶化度をより一層高くすることができる。イットリアが8mol%添加されたイットリア安定化ジルコニアでセラミック膜20を構成することにより、セラミック膜20の結晶化度を更に高くすることができる。その結果、アルカリ性材料によるセラミック膜20の変色を更に抑制することができる。セラミック膜20は、イットリア安定化ジルコニアに加えて微量の不可避不純物を含んでよい。より好ましくは、セラミック膜20はイットリア安定化ジルコニアのみからなる。ジルコニアは、耐熱性に優れているという利点を有する。また、イットリア安定化ジルコニアは、硬度が高く、耐熱性に優れている。更に、イットリア安定化ジルコニア等のジルコニアは白色であるため、インクジェット等による加飾が可能である。
別の構成例として、セラミック膜20はチタニアで構成されるものであることが好ましい。セラミック膜20は、チタニアに加えて微量の不可避不純物を含んでよい。より好ましくは、セラミック膜20はチタニアのみからなる。チタニアは、濃色系の着色に使用できるという利点を有する。
(中間層30)
樹脂成形体1は、図1(b)に示すように、樹脂構造体10とセラミック膜20との間に中間層30を有してもよい。中間層30を設けることにより、樹脂構造体10とセラミック膜20との密着性をより一層向上させることができる。中間層30は、樹脂と、樹脂中に分散したフィラーとを含むものであることが好ましい。このような中間層30を用いることにより、樹脂構造体10とセラミック膜20との密着性を更に向上させることができる。中間層30に含まれる樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂を用いることができる。中間層30に含まれるフィラーとして、例えば、アルミナ、グレイアルミナ、アルミナチタニア、チタニア、アルミナジルコニア、スピネルおよびムライトからなる群から選択される1以上の無機材料からなるフィラーを用いることができる。尤も、実施形態の樹脂成形体1において中間層30は必須ではなく、樹脂構造体10の表面に直接セラミック膜20を設けてよい。
[樹脂成形体の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係る樹脂成形体の製造方法について、図4を参照して以下に説明する。実施形態に係る樹脂成形体1の製造方法は、樹脂構造体10と、樹脂構造体10の表面の少なくとも一部に又はその上方に設けられたセラミック膜とを含む樹脂成形体1を製造する方法であり、樹脂構造体10を準備することと、樹脂構造体10又は樹脂構造体10に形成する中間層にセラミック粒子を溶射して、セラミック膜20を形成することとを含む。
(樹脂構造体10の準備)
まず、樹脂構造体10を準備する(図4(a))。樹脂構造体10は、例えば、注型成形、プレス成形または射出成形により成形されたものであってよい。尤も、樹脂構造体10の成形方法は上述の方法に限定されない。樹脂構造体10が注型成形により成形されたものである場合、樹脂構造体10は、型締めした金型のキャビティー内にモノマー樹脂を注入し、硬化させることにより作製することができる。樹脂構造体10は、脱脂およびマスキング等の前処理を施してもよい。マスキングは、樹脂成形体1に意匠性を付与すること、および/またはセラミック膜20を形成しない箇所を保護することを目的として行う。
また、図4(b)に示すように、樹脂構造体10にブラスト処理またはサンドペーパー処理等を施すことにより、樹脂構造体10の表面を粗面化してもよい。樹脂構造体10の表面を粗面化することにより、樹脂構造体10とセラミック膜20との密着性または樹脂構造体10と中間層30との密着性を向上させることができる。
(中間層30の形成)
次に、図4(c)に示すように、セラミック膜20を形成する前に、樹脂構造体10の表面の少なくとも一部に中間層30を形成してもよい。尤も、中間層30は必須の構成ではなく、樹脂構造体10の上に直接セラミック膜20を形成してよい。中間層30は、樹脂31と、樹脂31中に分散したフィラー32とを含むものであることが好ましい。中間層30は、例えば、中間層30を構成する成分を含むペーストを樹脂構造体10に塗布し、次いで乾燥させることにより形成してよい。
(セラミック膜20の形成)
次に、樹脂構造体10又は樹脂構造体10に形成する中間層30にセラミック粒子20aを溶射して、セラミック膜20を形成する。図4(d)に示す例においては、中間層30の上にセラミック膜20を形成しているが、樹脂成形体1が中間層30を有しない場合には、樹脂構造体10の表面に直接セラミック膜20を形成してよい。具体的には、セラミック膜20は、セラミック粒子20aを加熱して溶融または軟化させ、この溶融または軟化させたセラミック粒子20aを溶射ガン7により樹脂構造体10または中間層30の表面に衝突させて、セラミック粒子20aを樹脂構造体10または中間層30の表面に堆積させることにより形成される。溶射方法としては、レーザー溶射またはプラズマ溶射(大気プラズマ溶射等)等の、セラミック粒子20aの溶射が可能な溶射方法を選択することができる。
セラミック膜20の結晶化度は、使用するセラミック粒子20aの組成および溶射条件を調整することにより制御することができる。セラミック粒子20aは、セラミック粒子20aの結晶形態と、形成されるセラミック膜20の結晶形態とが実質的に同じであるような材料で構成されることが好ましい。換言すると、セラミック粒子20aは、溶射の前後で結晶形態が変化しないセラミック材料で構成されることが好ましい。このような材料を用いることにより、セラミック膜20の結晶化度をより一層高くすることができる。その結果、アルカリ性材料によるセラミック膜20の変色をより一層抑制することができる。より具体的には、セラミック粒子20aは、スピネル、ジルコニアまたはチタニアで構成されることが好ましい。
溶射条件は、形成されるセラミック膜20の結晶化度が80%以上となるように設定する。セラミック粒子20aの加熱温度、およびセラミック粒子20aが樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度が高いほど、形成されるセラミック膜20の結晶化度が高くなる傾向にある。そのため、セラミック粒子20aの加熱温度、およびセラミック粒子が樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度を高くすることにより、形成されるセラミック膜20の結晶化度を80%以上にすることがより容易になる。セラミック粒子20aの加熱温度は、セラミック粒子20aの融点以上であることが好ましい。一方、セラミック粒子20aが樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度が高すぎると、樹脂構造体10が溶融または熱変形してしまうおそれがある。そのため、セラミック粒子20aが樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度は、形成されるセラミック膜20の結晶化度が80%以上となる程度に高く、かつ樹脂構造体10が溶融または熱変形しない程度に低く設定することが好ましい。具体的には、セラミック粒子20aおよび樹脂構造体10の種類にもよるが、セラミック粒子20aが樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度は、100〜150℃であることが好ましい。セラミック粒子20aが樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度は、溶射条件を制御することにより調整することができる。例えば、プラズマ溶射によりセラミック膜20を形成する場合、作動ガスの流量、電流値および溶射距離等の溶射条件を制御することにより、セラミック粒子20aが樹脂構造体10または中間層30に衝突するときの温度を調整することができる。
形成されたセラミック膜20は、X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより得られる結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて下記式で算出される結晶化度が80%以上である。
Figure 2020217584
上述した製造方法により得られた樹脂成形体1は、セラミック膜20の結晶化度が80%以上であることにより、アルカリ性材料によるセラミック膜20の変色をより抑制することができる。
形成されたセラミック膜(溶射セラミック膜)20は、図4(e)に示すように気孔(間隙)を有し得る。セラミック膜20中に気孔が存在する場合、気孔に封孔材を充填してよい。封孔材として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコーン樹脂等の有機系封孔材、またはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤およびアルミネート系カップリング剤等の無機系封孔材を用いてよい。また、セラミック膜20の表面を研磨してもよい。さらに、インクジェット等によりセラミック膜20の表面に加飾を施してもよい。
実施形態に係る樹脂成形体は、アルカリ性の家庭用洗剤による変色をより抑制することができるので、システムキッチン、ユニットバス、洗面化粧台およびトイレ等の水回りの住宅設備機器に用いることができる。以下、実施形態に係る樹脂成形体の使用例について説明する。なお、実施形態に係る樹脂成形体は、以下の使用例に限定されるものではなく、耐アルカリ性が求められる種々の用途に幅広く用いることができる。
(第1使用例)
図5A〜図5Cに、実施形態に係る樹脂成形体の第1使用例を示す。第1使用例において、樹脂成形体100は、シンク一体型キッチンカウンターであり、カウンター部101とシンク部102とが一体で構成されている。第1使用例の樹脂成形体100は、図5Bおよび図5Cに示すように、例えば、注型成形により、カウンター部101とシンク部102が一体で成形された構造体である樹脂構造体11と、樹脂構造体11の上面に設けられたセラミック膜21とを備える。
以上のように構成された第1使用例の樹脂成形体100によれば、アルカリ性の台所用洗剤等による変色をより抑制することができ、耐アルカリ性がより優れたシンク一体型キッチンカウンターを提供することができる。
(第2使用例)
図6A〜図6Cに、実施形態に係る樹脂成形体の第2使用例を示す。第2使用例において、樹脂成形体200は、浴室用床パン(ユニットバスの床パン)であり、洗い場側の洗場床部201と排水部202とが一体で構成されている。第2使用例の樹脂成形体200は、図6Bおよび図6Cに示すように、例えば、プレス成形により、洗場床部201と排水部202が一体で成形された構造体である樹脂構造体12と、樹脂構造体12の上面に設けられたセラミック膜22とを備える。なお、図6Bおよび図6Cにおいて、205の符号を付して示している部材は、浴室用床パンを支える支持部である。
以上のように構成された第2使用例の樹脂成形体200によれば、アルカリ性の浴室用洗剤等による変色をより抑制することができ、耐アルカリ性がより優れた浴室用床パンを提供することができる。
(第3使用例)
図7A〜図7Bに、実施形態に係る樹脂成形体の第3使用例を示す。第3使用例において、樹脂成形体300は、便器であり、ボウル部301と排水口部302と外側支持部303とが一体で構成されている。第3使用例の樹脂成形体300は、図7Bに示すように、例えば、射出成形により、ボウル部301と排水口部302と外側支持部303とが一体で成形された構造体である樹脂構造体13と、樹脂構造体13の上面に設けられたセラミック膜23とを備える。
以上のように構成された第3使用例の樹脂成形体300によれば、アルカリ性のトイレ用洗剤等による変色をより抑制することができ、耐アルカリ性がより優れた便器を提供することができる。
(第4使用例)
図8A〜図8Cに、実施形態に係る樹脂成形体の第4使用例を示す。第4使用例において、樹脂成形体400は、洗面カウンター(ボウル一体型洗面カウンター)であり、カウンター部401と洗面ボウル部402とが一体で構成されている。第4使用例の樹脂成形体400は、図8Bおよび図8Cに示すように、例えば、注型成形により、カウンター部401と洗面ボウル部402が一体で成形された構造体である樹脂構造体14と、樹脂構造体14の上面に設けられたセラミック膜24とを備える。
以上のように構成された第4使用例の樹脂成形体400によれば、アルカリ性の洗剤等による変色をより抑制することができ、耐アルカリ性がより優れた洗面カウンターを提供することができる。
[樹脂成形体を用いた建築部材]
次に、本発明の実施形態に係る樹脂成形体を用いた建築部材について以下に説明する。実施形態に係る樹脂成形体を用いた建築部材は、建築部材の表面の少なくとも一部が上述の樹脂成形体で構成される。そのため、実施形態に係る建築部材は、表面の少なくとも一部がセラミック膜で構成される。セラミック膜の結晶化度が80%以上であるので、実施形態に係る建築部材は、アルカリ性洗剤等のアルカリ性材料によるセラミック膜の変色をより抑制することができる。また、実施形態に係る建築部材は、優れた耐熱性、美観、施工性および軽量性を有する。実施形態に係る建築部材は、乾式施工が可能であるという利点も有する。実施形態に係る建築部材は、例えば、床および壁等に用いることができる。建築部材の構成は特に限定されるものではなく、例えば、木材、コンクリート、石膏、石材、金属材料または樹脂材料等で構成される芯材と、芯材の表面の少なくとも一部に設けられた樹脂成形体とを備えるものであってよい。あるいは、樹脂成形体自体を建築部材として用いてもよい。
(樹脂成形体の作製)
以下に説明する手順で例1〜例12の樹脂成形体を作製した。例1〜12のそれぞれについて、樹脂構造体として繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)を用いた。樹脂構造体は、プレス成形により成形した。樹脂構造体にセラミック粒子を溶射して、樹脂構造体の表面にセラミック膜を形成した。用いたセラミック粒子の組成を以下の表1に示す。溶射は、大気プラズマ溶射により行った。溶射条件は、異なる2つの条件(表1においてそれぞれAおよびBで示す)で行った。溶射条件AおよびBはそれぞれ、溶射条件A下でセラミック粒子が樹脂構造体に衝突するときの温度(衝突温度)が、溶射条件B下での衝突温度よりも低くなるように設定した。このようにして、例1〜例12の樹脂成形体を得た。
(XRD分析)
例1〜例12の樹脂成形体が備えるセラミック膜の結晶化度を、XRD分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより求めた。XRD分析装置として、株式会社リガク製の全自動多目的X線回折装置SmartLab(登録商標)を用いた。測定条件は以下のとおりに設定した。
・照射X線:Cu−Kα集中ビーム(管球型ターゲット、多層膜ミラー使用)
・出力:40kV−40mA
・検出器:1次元X線検出器D/tex Ultra
・走査条件:2θ走査速度4°/分
・走査範囲:2θ角度5〜90°
・単色化:Kβフィルター
得られたスペクトルのメインピークを解析することにより結晶質ピークのピーク面積、低角側の非晶質ピークのピーク面積および高角側の非晶質ピークのピーク面積をそれぞれ求めた。ピーク面積の解析は、使用したXRD分析装置「全自動多目的X線回折装置SmartLab(登録商標)」に付属のソフトウェアを用いて行った。フィッティング関数として、Pearson−VII関数およびpseudo−Voigt関数のうち、フィッティング後の実測値と計算値の差(残差)がより小さくなるフィッティング関数を選択した。ピーク面積の解析結果を表1に示す。解析結果に基づいて、下記式により結晶化度を算出した。結果を表1に示す。なお、例1、例7および例12については、XRDスペクトルの全てのピークについて上述の方法と同様の手順で解析を行い、結晶化度を求めた。そのため、表1において、例1、例7および例12の結晶化度の値はかっこ書きで示している。
Figure 2020217584
(耐アルカリ試験)
例1〜例12の樹脂成形体について、以下に説明する手順で耐アルカリ試験を行った。アルカリ性材料として5重量%NaOH水溶液を用いた。所定量のNaOH水溶液を染みこませたコットンを、樹脂成形体の表面を構成するセラミック膜の表面においた。NaOH水溶液の蒸発を防ぐためにシャーレでコットンを覆った。この状態でセラミック膜を室温で24時間静置した。静置している間、コットンが乾燥しないように適宜NaOH水溶液をコットンに追加した。24時間後、シャーレおよびコットンを取り除いてセラミック膜の外観を目視で観察することにより、セラミック膜の変色の有無を確認した。セラミック膜の変色が観察されなかったものを「良」と評価し、表1において「○」で示した。シャーレで覆われていた領域の変色が観察されたものを「可」と評価し、表1において「△」で示した。シャーレで覆われていた領域の変色が観察されたもののうち、コットンで覆われていた領域がより大きく変色していたものを「不良」と評価し、表1において「×」で示した。結果を表1および図9〜図20に示す。
Figure 2020217584
図9〜図20はそれぞれ、例1〜例12の樹脂成形体の耐アルカリ試験結果を示す。表1および図9〜図20に示すように、セラミック膜の結晶化度が80%未満であった例1〜例7の樹脂成形体においては、アルカリ性材料によるセラミック膜の変色が観察された。これに対し、セラミック膜の結晶化度が80%以上であった例8〜例12の樹脂成形体においては、例1〜例7の樹脂成形体よりもアルカリ性材料による変色が抑制された。さらに、セラミック膜の結晶化度が90%以上であった例10〜例12の樹脂成形体においては、アルカリ性材料によるセラミック膜の変色は観察されなかった。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
本発明の一実施形態に係る樹脂成形体は、システムキッチン、ユニットバス、洗面化粧台およびトイレ等の水回りの住宅設備機器に用いることができる。
関連出願の相互参照
本出願は、日本国特許出願第2019−84402号(出願日:2019年4月25日、発明の名称:「樹脂成形体、樹脂成形体を用いた建築部材、および樹脂成形体の製造方法」)に基づくパリ条約上の優先権を主張する。当該出願に開示された内容は全て、この引用により、本明細書に含まれるものとする。
1、100、200、300、400 樹脂成形体
10、11、12、13、14 樹脂構造体
20、21、22、23、24 セラミック膜

Claims (9)

  1. 樹脂構造体と、該樹脂構造体の表面の少なくとも一部に又はその上方に設けられたセラミック膜とを含み、
    前記セラミック膜は、X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより得られる結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて下記式で算出される結晶化度が80%以上である、樹脂成形体。
    Figure 2020217584
  2. 前記セラミック膜は溶射セラミック膜である、請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記セラミック膜は、大気圧下で液相となる高温から25℃に冷却したときに一の固相状態から別の固相状態へと相変態しない材料で構成される、請求項1または2に記載の樹脂成形体。
  4. 前記セラミック膜はスピネルで構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  5. 前記セラミック膜はジルコニアで構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  6. 前記セラミック膜はチタニアで構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂成形体を用いた建築部材であって、該建築部材の表面の少なくとも一部が前記樹脂成形体で構成される、樹脂成形体を用いた建築部材。
  8. 樹脂構造体と、該樹脂構造体の表面の少なくとも一部に又はその上方に設けられたセラミック膜とを含む樹脂成形体の製造方法であって、
    樹脂構造体を準備することと、
    前記樹脂構造体又は該樹脂構造体に形成する中間層にセラミック粒子を溶射して、セラミック膜を形成することと
    を含み、
    前記セラミック膜は、X線回折分析で測定したスペクトルのメインピークを解析することにより得られる結晶質ピークのピーク面積および非晶質ピークのピーク面積に基づいて下記式で算出される結晶化度が80%以上である、樹脂成形体の製造方法。
    Figure 2020217584
  9. 前記セラミック粒子が、前記溶射の前後で結晶形態が変化しないセラミック材料で構成される、請求項8に記載の樹脂成形体の製造方法。
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