JPWO2020217291A1 - 交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御方法 - Google Patents

交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御方法 Download PDF

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Abstract

回転機1のセンサレス制御において、製造誤差に起因するUVW各相のインダクタンスのばらつきが大きくなると、各相の検出電流の間でアンバランスが生じる。これにより回転子の磁極位置の推定誤差が大きくなり、位置決め精度が低下する。制御手段(5)あるいは磁極位置演算手段(6)に各相の回転機定数に応じたゲインを付与する補正フィルタ(561,562,563,621,622,623)を設け、各相の検出電流の間で生ずるアンバランスを補正する。

Description

本願は、交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御方法に関するものである。
交流回転機の回転子位置を位置センサを用いることなく検出する方法として、交流回転機の回転を制御する電圧とは別に、回転子位相を検出するための高周波電圧を印加して、回転機の位置を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1)。この方法においては、回転機のインダクタンスが回転子の一周期に対して2倍周期の正弦波状に変化するインダクタンスの突極性を用いて回転機の磁極位置の検出が行われる。
特許文献1では、電流センサにより検出された各相の電流からハイパスフィルタ等を用いて各相の高周波電流を抽出し、三相高周波電流を高周波目標電流と一致させるための三相高周波電力指令を出力する。そして、この三相高周波電力指令の空間ベクトルから磁極位置を算出することが開示されている。
特許第3882728号公報
特許文献1では、磁極位置を算出するために、電流センサにより各相の電流を検出するが、回転機の製造ばらつきが発生すると製造誤差が原因で各相のインダクタンスのばらつきが大きくなり、インダクタンスが理想的な正弦波状の特性にならない。そのため、最終的な磁極位置の検出精度が低下し、ひいては回転機の位置制御時の位置決め精度が低下することになる。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、位置制御時の磁極位置の検出精度を向上させる交流電動機の制御装置を得ることを目的とする。
本願に開示される交流回転機の制御装置は、回転機を駆動する基本波電圧指令を生成するとともに、前記回転機の回転子の磁極位置を推定するための高周波電圧指令を生成し、前記基本波電圧指令及び前記高周波電圧指令を用いて電圧指令を演算する制御手段と、前記電圧指令に基づいて前記回転機に電圧を印加する電圧印加手段と、前記回転機の各相の電流を検出する電流検出手段と、前記検出された回転機の電流から各相の高周波電流を抽出し、前記磁極位置の推定位置を演算する磁極位置演算手段と、前記各相の回転機定数に基づくゲインを付与し各相間の高周波電流のアンバランスを調整するアンバランス調整器と、を備え、前記磁極位置演算手段は、前記アンバランスの調整された高周波電流を用いて前記回転機の回転子の磁極の推定位置を演算するものである。
本願に開示される交流回転機の制御装置によれば、前記三相電流検出値に前記アンバランスを補正するゲインを付与することにより、電流アンバランスが補正される。これにより位置推定精度が向上し、位置決め精度も向上することができる。
実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る制御手段の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る磁極位置演算手段の構成を示すブロック図である。 実施の形態1による高周波成分抽出部の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る回転子磁束ベクトルを説明する図である。 実施の形態1に係る磁極位置演算器を説明するブロック図である。 実施の形態1に係る実磁極位置と位置指令との差分(位置誤差)を説明する比較例を示す図である。 実施の形態1に係る高周波電流のアンバランス補正を用いセンサレス位置制御を行った場合の位置誤差を説明する図である。 実施の形態1に係る回転機の制御装置を含む回転機システムのハードウェア構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る制御手段の構成を示すブロック図である。 実施の形態3に係るフィルタ係数取得シーケンスを説明するブロック図で、実施の形態1の構成とした場合のものである。 実施の形態3に係るフィルタ係数取得シーケンスを説明するブロック図で、実施の形態2の構成とした場合のものである。
以下、実施の形態について図を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
実施の形態1.
実施の形態1に係る回転機の制御装置について図を用いて説明する。図1は実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。以降はこの構成図に基づいて各構成部の動作を詳細に説明する。
回転機1は、交流回転機である同期機を指し、本実施の形態では永久磁石を用いた同期機である。なお、本実施の形態では回転機として永久磁石を用いた同期機を例にした構成で説明するが、リラクタンスモータなどの同期機であってもよい。本実施の形態と同様の構成で後述するアンバランス調整器62等を用いて高周波電流のアンバランスを補正することが可能である。
制御装置10は、回転機1に接続され回転機1に流れる回転機電流(三相の電流ベクトル)を検出する電流検出手段2、インバータ回路等の電力変換器にて構成され、制御手段5から出力される電圧指令に基づいて回転機1に電圧を印加する電圧印加手段3、電流検出手段2で検出された検出電流ベクトルを用いて磁極位置を演算する磁極位置演算手段6及び電流検出手段2で検出された検出電流ベクトルを磁極位置演算手段6で算出された磁極位置の推定位置を用いて座標変換し制御手段5に出力する座標変換器4を備える。
以下、制御装置10の各構成部について詳細に説明する。
電流検出手段2は回転機1の三相検出電流ベクトル(Iu、Iv、Iw)を検出する。
座標変換器4は、電流検出手段2で検出された三相検出電流ベクトル(Iu、Iv、Iw)を後述する磁極位置演算手段6から出力される推定位置を用いて、dq軸上の電流に座標変換し、これを検出電流ベクトル(Ids、Iqs)として出力する。なお、dq軸は三相(UVW)軸の静止座標を回転機の回転子に同期して回転する直交座標に変換したもので、公知のものである。
なお、三相検出電流ベクトルは、電流を三相とも検出するほか、二相分を検出して三相電流の和がゼロであることを利用して求めてもよい。さらに、電圧印加手段3であるインバータの母線電流、インバータを構成するスイッチング素子に流れる電流及びスイッチング素子の状態等から三相検出電流ベクトルを演算して取得してもよい。
図2は、制御手段5の構成を示す図である。図2において、制御手段5は、電流制御器51、高周波電圧指令生成器52、座標変換器53、加算器54、及び加減算器55を備える。
加減算器55は、電流指令ベクトル(Id*、Iq*)から検出電流ベクトル(Ids、Iqs)を減算して電流偏差を演算し、出力する。
電流制御器51は、加減算器55から入力された電流偏差が0になるように、PI制御によって基本波電圧指令ベクトル(Vdf、Vqf)を出力する。この基本波電圧指令ベクトルは同期機の回転動作の駆動指令である。
高周波電圧指令生成器52はd軸およびq軸の高周波電圧指令ベクトル(Vdh,Vqh)を生成する。この高周波電圧指令ベクトルは基本波電圧指令ベクトルの周波数よりも高周波である。
加算器54は、基本波電圧指令ベクトル(Vdf、Vqf)と高周波電圧指令ベクトル(Vdh,Vqh)とを加算した電圧指令(Vd*、Vq*)を出力する。
座標変換器53は、磁極位置演算手段6から出力された推定位置を使って、加算器54の出力である(Vd*、Vq*)をdq軸から静止座標の電圧指令ベクトル(Vu,Vv,Vw)に変換し出力する。
次に、磁極位置演算手段6の動作について述べる。
図3は、磁極位置演算手段6の構成を示す図である。図3において、磁極位置演算手段6は、高周波成分抽出部61、アンバランス調整器62及び磁極位置演算器63を備える。
電流検出手段2で検出された三相検出電流ベクトル(Iu、Iv、Iw)は高周波成分抽出部61に入力され、各相の高周波成分が抽出されて、各相の高周波電流ベクトル(Iuh、Ivh、Iwh)を出力する。
アンバランス調整器62は各相に対応するフィルタ621、622、623を備え、各相の高周波電流ベクトル(Iuh、Ivh、Iwh)の電流アンバランスを補正する。
磁極位置演算器63は、補正された高周波電流ベクトルを用いて磁極位置の推定位置を演算する。
なお、この各相高周波電流のアンバランスは回転機の製造誤差によってUVW各相のインダクタンス値に差異があることによって発生する。この差異がない場合にはdq軸上に換算されたd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqは回転子位置によらず一定の値を持つ。しかし、この差異が大きい場合、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqはそれぞれ回転子の一周期に対して2倍周期の正弦波状に歪む。これにより、位置推定精度が低下することになる。したがって、本実施の形態のように各相の高周波電流に対してそれぞれアンバランスを補正するフィルタを付与することにより、位置推定精度の低下を防ぐことができる。
図4に高周波成分抽出部61の制御ブロック図を示す。高周波成分抽出部61は、フィルタ611を用いて、検出電流ベクトル(Iu,Iv,Iw)から高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)を抽出する。フィルタ611は、検出電流ベクトルから高周波電圧ベクトルと同一周波数成分を抽出できるものならどのようなものを用いてもよい。例えば、狭帯域のバンドストップフィルタとして公知であるノッチフィルタを利用して、高周波電流ベクトルを抽出すればよい。
図4のフィルタ611としてノッチフィルタを利用した例で、高周波成分抽出部61の動作を説明する。なお、ノッチフィルタ(フィルタ611)は次の式(1)で示され、このフィルタにより高周波電圧ベクトルの角周波数ωhを除去する。高周波成分抽出部61に入力された検出電流ベクトル(Iu,Iv,Iw)に対し、ノッチフィルタ(フィルタ611)を施して、角周波数ωh成分を除去する。加減算器612では検出電流ベクトル(Iu,Iv,Iw)からフィルタ611の出力を減算することで、検出電流ベクトル(Iu,Iv,Iw)から角周波数ωh成分の高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)を演算する。なお、式(1)において、sはラプラス演算子、qxはノッチの深さである。
Figure 2020217291
なお、図2で説明した高周波電圧指令生成器52が生成する高周波電圧指令ベクトルは式(2)のように高周波回転電圧ベクトルとして表すことができる。
Figure 2020217291
なお、上式(2)では高周波回転電圧ベクトルとしたが、式(2)中、式(2−1)においてVqh=0とし、d軸方向のみに交番する電圧ベクトルとしても良い。なお、本実施の形態1では高周波電圧指令生成器52においてd軸方向のみに交番する電圧ベクトルを用いる。
前述したが、製造ばらつき等に起因したUVW各相のインダクタンス値のばらつきにより、UVW各相の高周波電流がアンバランスとなる。そのため、高周波成分抽出部61で抽出された高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)のUVW各相の高周波電流はアンバランスとなっている。図3で示されたアンバランス調整器62が備えるフィルタ621,622,623は高周波成分抽出部61で抽出された高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)に対して、UVW各相間の高周波電流の差異を補正する。
次に、フィルタ621の値Gu,622の値Gv,623の値Gwについて説明する。
まず、回転機1の回転子N極をUVW相それぞれの相の位相に合わせた状態で、d軸方向のみに交番する電圧ベクトルを印加した時の各相の高周波電流振幅は、式(3)のように表すことができる。なお、以降の式の記載において、上付きの添え字は回転子N極が各相の方向に位相を合わせた状態において測定した値を示す。
Figure 2020217291
s:ラプラス演算子
である。
なお、ここではdq座標系でのインダクタンスで考えているが、三相の静止座標系のインダクタンスを用いてフィルタを構成してもよい。
式(3)で表される各相の高周波電流振幅を用い、ある基準となる電流振幅との比を取り、その逆数が各相に対する補正ゲインであり、これを各相に付与するフィルタの値とする。なお、基準となる相はいずれの相であってもかまわないがここでは検出する回転機の高周波電流振幅のうちU相高周波電流振幅を基準にした場合のフィルタ621の値Guを式(4)に、フィルタ622の値Gvを式(5)に、フィルタ623の値Gwを式(6)に示す。
Figure 2020217291
Figure 2020217291
Figure 2020217291
なお、高周波電圧指令生成器52が生成する高周波電圧指令ベクトルの角速度が十分に大きくR≪sLが成立する場合においては、回転機の固定子抵抗の影響を無視することができる。この場合のフィルタ621の値Guを式(7)に、フィルタ622の値Gvを式(8)に、フィルタ623の値Gwを式(9)に示す。ここで、フィルタ621、622,623の値は比例定数となり、ある相を基準とすることで基準相となる高周波電流にかかるフィルタは1倍で表されることになり、計算機の計算量を抑える構成を実現することができる。なお、基準相となる高周波電流にかかるフィルタは省略してもよい。
Figure 2020217291
Figure 2020217291
Figure 2020217291
フィルタ621、622、623に設定する値は式(4)、式(5)、式(6)または式(7)、式(8)、式(9)のいずれかで良い。高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)にフィルタ621、622、623をそれぞれ掛けたもの、すなわち補正ゲインを掛けたものは高周波補正電流ベクトル(Iuh_flt,Ivh_flt,Iwh_flt)となる。
次に、磁極位置演算器63について説明する。磁極位置演算器63は補正された各高周波電流ベクトルと予め記憶されている回転機定数(固定子抵抗R、固定子インダクタンスL等)とに基づいて回転機1の推定磁極位置θ0を算出する。
まず、回転機1の推定磁極位置θ0の算出方法について説明する。図5は、実施の形態1による回転子磁束および電圧指令ベクトルの印加方向を示す図である。図5において、回転子の磁束ベクトル方向をdm軸、その直交方向をqm軸とし、高周波交番電圧ベクトルを印加することで得られる推定磁極位置θ0が示す方向をd軸、その直交方向をq軸とし、d軸とdm軸との間にΔθの偏差があるとする。
高周波電圧を印加することで得られる高周波電流から回転子磁束ベクトルの方向(dm軸)と推定磁極位置θ0が示す方向(d軸)との偏差であるΔθを演算するには、例えば特許第6104021号公報に記載の方法に基づき、下記の式(10)を用いて行えばよい。但し、本実施の形態においては公知文献の「q軸高周波電流振幅」の代わりに、アンバランス調整器62により補正した高周波補正電流振幅を用いて「高周波q軸補正電流振幅」を算出し、これを用いて行う。
Figure 2020217291
なお、式(10)において、高周波電圧の角周波数ωhと高周波電圧振幅Vhは高周波電圧指令生成器52で任意に設定できるものであるため既知であり、Lおよびlは事前に測定することで入手できるLd,Lqより求めることができるものであるので既知である。また、後述する積分器634が、定常的にはΔθがゼロに近づくように動作するため、2Δθ≒0であるから、sin2Δθ≒2Δθと近似できる。従って、式(10)から次の式(11)が導かれる。
Figure 2020217291
図6は、磁極位置演算器63の構成を示す図である。図において、磁極位置演算器63は、座標変換器631、交番電流振幅抽出部632、磁極偏差演算器633及び積分器634を備える。
まず、座標変換器631において、アンバランス調整器62の出力である高周波補正電流ベクトル(Iuh_flt,Ivh_flt,Iwh_flt)を磁極位置演算手段6から出力される推定位置を用いて、dq軸上の電流に座標変換し、これを高周波補正電流ベクトル(Idh_flt,Iqh_flt)として出力する。
次に、交番電流振幅抽出部632において、座標変換器631から入力された高周波補正電流ベクトル(Idh_flt,Iqh_flt)のq軸成分Iqh_fltから次の式(12)を用いて振幅|Iqh_flt|を演算する。式(12)中のTはIqh_fltの周期である。
Figure 2020217291
磁極偏差演算器633は、交番電流振幅抽出部632で演算し抽出された振幅|Iqh_flt|を用いて、式(10)または式(11)のいずれかを用いて、偏差Δθを演算する。
算出された偏差Δθを積分器634で積分演算し、推定磁極位置θ0を算出する。
なお、実施の形態1に示す構成は電流制御系のみの構成としているが、速度制御系を構築する場合は推定磁極位置θ0を微分することで、推定速度ωを算出することができ、PI制御器の追加により速度制御系を構成することができる。
図7、8は、交流回転機をセンサレスで位置制御運転した場合、回転機を1回転させたときの実磁極位置と位置指令との差分(位置誤差)を示した図である。図7は本実施の形態の構成を用いない例、図8は本実施の形態1による各相間の高周波電流のアンバランス補正を行い、センサレス位置制御により回転機を運転した場合の位置誤差である。
図8は実施の形態1において、各相の高周波電流のアンバランス補正により各相の電流のアンバランスを約5%低減した場合の結果であるが、図7と比して位置決めの誤差が2から0.2[deg]と約90%も低減したことがわかる。
以上のように、本実施の形態1によれば、各相の高周波電流振幅を用い磁極位置演算手段6において各相間の高周波電流のアンバランスを補正するゲインを付与することで、各相間の電流アンバランスが低減し、回転機の磁極位置の検出精度が向上する。また、このようにして求められた磁極の推定位置に基づいて交流回転機を制御することで、位置センサを用いない回転機の位置制御運転であっても位置決め精度を向上することが可能となる。
なお、上記実施の形態1による交流回転機1の制御装置10を備える回転機システムのハードウェア構成を図9に示す。
図9に示すように、回転機システムは、回転機1、回転機1の制御装置10、及び制御装置10に指令を与える上位のコントローラ13を備えており、回転機1を駆動する。制御装置10は、ハードウェア構成として、プロセッサ11、記憶装置12、電流検出手段2、及び電圧印加手段3を備える。
図1で示した制御手段5、座標変換器4、磁極位置演算手段6は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ11により実現される。
記憶装置12は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備える。不揮発性の補助記憶装置の代わりにハードディスク等の補助記憶装置を備えても良い。
プロセッサ11に、記憶装置12の補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプログラムが入力され、プロセッサ11は、記憶装置12から入力されたプログラムを実行する。また、プロセッサ11は、演算結果等のデータを記憶装置12の揮発性記憶装置に出力するか、あるいは揮発性記憶装置を介して補助記憶装置に出力してデータを保存する。
なお、制御手段5、座標変換器4、磁極位置演算手段6は、システムLSI等の処理回路により実現しても良い。
また、座標変換器4および電圧印加手段3への電圧指令Vd*、Vq*を三相電圧指令に変換する機能は、プロセッサ11、またはシステムLSI等の処理回路により実現しても良い。さらに、複数のプロセッサ11および複数の記憶装置12が連携して上記機能を実行してもよいし、複数の処理回路が連携して上記機能を実行してもよい。また、それらを組み合わせて上記機能を実行してもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、磁極位置演算手段6で高周波電流に対してゲインを付与する(フィルタを設ける)ことで直接的に電流アンバランスの補正を行う方法について示した。本実施の形態2では検出電流に対して補正を行うのではなく制御手段5において重畳する高周波電圧指令ベクトルに対して補正フィルタを付与することにより高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)のアンバランスの補正を行う方法について説明する。実施の形態1の図1に示した回転機の制御装置の構成図において、制御手段5を図10で示す構成とする。それ以外の構成は実施の形態と同様であり、説明を省略する。
図10は、実施の形態2に係る回転機の制御装置における制御手段5の構成を示すブロック図である。図において、制御手段5は、電流制御器51、高周波電圧指令生成器52、座標変換器53、アンバランス調整器56、加減算器55、及び加算器57、58、59を備える。また、高周波電圧指令生成器52は座標変換器522を備え、アンバランス調整器56はフィルタ561、562、563を備える。
座標変換器522は、高周波電圧指令ベクトル(Vdh*、Vqh*)をdq軸から静止座標の高周波電圧指令ベクトル(Vuh*,Vvh*,Vwh*)に変換し出力する。
アンバランス調整器56に入力された高周波電圧指令ベクトル(Vuh*,Vvh*,Vwh*)はアンバランス補正が行われ、高周波補正電圧指令ベクトル(Vuh_flt*,Vvh_flt*,Vwh_flt*)に変換される。
一方、加減算器55は、電流指令ベクトル(Id*、Iq*)から検出電流ベクトル(Ids、Iqs)を減算して電流偏差を演算し、出力する。
電流制御器51は、加減算器55から入力された電流偏差が0になるようにPI制御によって基本波電圧指令ベクトル(Vdf、Vqf)を出力する。
座標変換器53は、磁極位置演算手段6から出力された推定位置を使って電流制御器51の出力である基本波電圧指令ベクトル(Vdf、Vqf)をdq軸から静止座標の基本波電圧指令ベクトル(Vuf,Vvf,Vwf)に変換し出力する。
加算器57、58、59は、それぞれ基本波電圧指令ベクトル(Vuf,Vvf,Vwf)を加算し、アンバランス調整器56の出力である高周波補正電圧指令ベクトル(Vuh_flt*,Vvh_flt*,Vwh_flt*)を加算することで、高周波成分の補正された静止座標の各相電圧指令ベクトルを出力する。
図1を参照すると、上述のとおり制御手段5から出力された高周波成分の補正された静止座標の各相電圧指令ベクトルに基づき電圧印加手段3から回転機1に電圧が印加され、電流検出手段2ではUVW各相の電流が検出される。この時、各相電圧指令ベクトルは予め高周波成分が補正されているため、各相の電流のアンバランスが抑制されている。その結果、磁極位置演算手段で高精度の磁極位置を演算することができる。
次に、アンバランス調整器56における補正処理について説明する。
UVW各相のインダクタンス値の間に生じるアンバランスによって高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)の各相間には差異(アンバランス)が生じる。アンバランス調整器56のフィルタ561、562、563は、この高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)にアンバランスが生じないように、電圧印加手段3に出力される電圧指令ベクトルに対し、高周波電圧指令ベクトル(Vuh*,Vvh*,Vwh*)の補正を行う役割を備える。
なお、ここでは高周波電圧指令生成器52が生成する高周波電圧指令ベクトルの角速度が十分に大きくR≪sLが成立する場合について考える。この場合、固定子巻線抵抗分については無視することができるが、影響を考慮して、実施の形態1と同様に固定子巻き線相抵抗分を含めたフィルタを構成しても良い。
フィルタ561の値Gu,562の値Gv,563の値Gwについて説明する。
まず、回転機1の回転子N極をUVW相それぞれの相に位相を合わせた状態で高周波交番電圧を印加した時の各相の高周波電圧振幅は次の式(13)のように表すことができる。
Figure 2020217291
式(13)で表される各相の高周波電圧振幅を用い、ある基準となる相の高周波電圧振幅との比を取り、その逆数を各相に付与するゲインとし、フィルタの値とする。なお、基準となる相はいずれの相であってもかまわないがここではU相高周波電圧振幅を基準に取った場合のフィルタ561の値Guを式(14)に、フィルタ562の値Gvを式(15)に、フィルタ563の値Gwを式(16)に示す。
Figure 2020217291
Figure 2020217291
Figure 2020217291
このように設定されたフィルタ561、562、563をかけることで、高周波電圧指令ベクトル(Vuh*,Vvh*,Vwh*)はアンバランス補正され、高周波補正電圧指令ベクトル(Vuh_flt*,Vvh_flt*,Vwh_flt*)が出力される。この高周波補正電圧指令ベクトル(Vuh_flt*,Vvh_flt*,Vwh_flt*)が考慮された電圧指令ベクトルを制御手段5が出力することで、高周波電流ベクトル(Iuh,Ivh,Iwh)の各相間はアンバランスが抑制され、磁極位置検出の精度が向上する。
なお、本実施の形態において、実施の形態1の図3で示された磁極位置演算手段6が備えるアンバランス調整器62のフィルタ621、622、623はそれぞれを1倍とし、アンバランス調整器62において補正を行わなくてもよい。しかし、より電流のアンバランス調整の精度を高めるためには、アンバランス調整器56及びアンバランス調整器62の両方について設定を行ってもよい。
以上のように、本実施の形態2によれば、各相の高周波電圧振幅を用い制御手段5において高周波電圧指令の補正を行うことで、高周波電流ベクトルに発生する各相間のアンバランスを補正するので、各相間の電流アンバランスが低減し、回転機の磁極位置の検出精度が向上する。また、このようにして求められた磁極の推定位置に基づいて交流回転機を制御することで、位置センサを用いない回転機の位置制御運転であっても位置決め精度を向上することが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3では実施の形態1と実施の形態2におけるアンバランス調整器内のフィルタ係数の取得シーケンスについて説明する。
図11は、実施の形態1の構成、すなわち磁極位置演算手段6のアンバランス調整器62のフィルタ621、622、623に係数を設定する場合の取得シーケンスを示すフローチャートである。
まずステップ801において、制御手段5により回転機1の第一磁極位置である位相に直流電流を印加し、回転子のN極を第一磁極位置に回動させる。回動動作が終了した後、制御手段5により回転機1に高周波交番電圧あるいは高周波回転電圧を印加し、電流検出手段2により高周波電流の振幅が測定される。
ステップ802において、制御手段5により回転機1の第二磁極位置である位相に直流電流を印加し、回転子のN極を第二磁極位置に回動させる。回動動作が終了した後、制御手段5により回転機1に高周波交番電圧あるいは高周波回転電圧を印加し、電流検出手段2により高周波電流の振幅が測定される。
ステップ803において、制御手段5により回転機1の第三磁極位置である位相に直流電流を印加し、回転子のN極を第三磁極位置に回動させる。回動動作が終了した後、制御手段5により回転機1に高周波交番電圧あるいは高周波回転電圧を印加し、電流検出手段2により高周波電流の振幅が測定される。
ステップ801からステップ803の動作は磁極位置が異なるだけで、同様の動作である。また、第一磁極位置、第二磁極位置、第三磁極位置はそれぞれUVW相のいずれかの相における位相の位置であり、測定は順不同であって構わない。
また、事前に決定している第一磁極位置から順番に高周波電流振幅の測定を行っているが、図11の取得シーケンスが動作する時点の回転機回転子位置を測定し、一番近い測定点の相から開始してもよい。たとえばシーケンスを開始したときの初期回転子位置がV相に近い場合はV相から測定を開始するなど、現在の回転子位置から一番近い測定点から取得シーケンスを開始しても良い。
次のステップ804においては、ステップ801からステップ803で取得した高周波電流振幅を用い、式(7)、式(8)、式(9)の計算を行う。演算が完了した後、アンバランス調整器62が備える各フィルタ621、622、623に値を設定する。
次に、実施の形態2の構成、すなわち制御手段5のアンバランス調整器56のフィルタ561、562、563に係数を設定する場合の取得シーケンスについて図12を用いて説明する。
但し、アンバランス調整器56のフィルタ561、562、563の係数を取得するシーケンスにおいて、制御手段5は図2に示す制御構成を用いる。この時、高周波電圧指令生成器52は加減算器と制御器を備え、加減算器は高周波電流振幅指令ベクトル(|Idh*|,0)から検出した高周波電流ベクトル(Idh,0)に基づき算出された高周波電流振幅ベクトル(|Idh|,0)を減算して振幅偏差を演算し、出力する。制御器は、加減算器から入力された振幅偏差が0になるように制御して高周波電圧振幅Vhを演算し、高周波電圧ベクトル(Vdh,0)を出力する。なお、高周波電流振幅指令は任意の値で設定すればよく、たとえば回転機定格電流の5%などに予め定めておけばよい。
図12は、制御手段5のアンバランス調整器56の各フィルタの係数の取得シーケンスを示すフローチャートである。
まずステップ901において、制御手段5により回転機1の第一磁極位置である位相に直流電流を印加し、回転子のN極を第一磁極位置に回動させる。回動動作が終了した後、制御手段5は高周波電流振幅が高周波電流振幅指令と一致するような高周波電圧振幅を生成し、第一磁極位置の高周波電圧振幅を取得する。また、高周波電圧振幅については、式(12)を用いてq軸成分Iqh_fltから振幅|Iqh_flt|を抽出する場合と同様に計算すればよい。
ステップ902において、制御手段5により回転機1の第二磁極位置である位相に直流電流を印加し、回転子のN極を第二磁極位置に回動させる。回動動作が終了した後、制御手段5は高周波電流の振幅が高周波電流指令と一致するような高周波電圧の振幅を生成し、第二磁極位置の高周波電圧振幅を取得する。
ステップ903において、制御手段5により回転機1の第三磁極位置である位相に直流電流を印加し、回転子のN極を第三磁極位置に回動させる。回動動作が終了した後、制御手段5は高周波電流の振幅が高周波電流指令と一致するような高周波電圧の振幅を生成し、第三磁極位置の高周波電圧振幅を取得する。
なお、ステップ901からステップ903の動作は磁極位置が異なるだけで、同様の動作である。また、第一磁極位置、第二磁極位置、第三磁極位置はそれぞれUVW相のいずれかの相における位相の位置であり、高周波電圧振幅の取得は順不同であって構わない。
また、事前に決定している第一磁極位置から順番に高周波電流振幅の取得を行っているが、図12の取得シーケンスが動作する時点の回転機回転子位置を測定し、一番近い測定点の相から開始してもよい。たとえばシーケンスを開始したときの初期回転子位置がW相に近い場合はW相から取得を開始するなど、現在の回転子位置から一番近い測定点から取得シーケンスを開始しても良い。
次のステップ904においては、ステップ901から903で取得した高周波電圧振幅を用い式(14)、式(15)、式(16)の計算を行う。演算が完了した後、アンバランス調整器56が備える各フィルタ561、562、563に値を設定する。
なお、図11及び図12では各相の高周波電流振幅と高周波電圧振幅をそれぞれ計測することでフィルタ値を設定するようにフィルタを構成しているが、3つの磁極位置における固定子抵抗値R、固定子インダクタンスLをそれぞれ計測することによってフィルタを構成しても良い。
まず、固定子抵抗値Rの測定について、ここではU相の固定子抵抗値Ruについて測定する場合について説明を行う。
回転機1の回転子のN極はU相に位相を合わせて、直流電圧指令を与え、この時、回転機に流れる電流を測定することで次の式(17)を用いて算出する。
Figure 2020217291
他の相においても回転機1の回転子のN極の位相を回動し、同様にして測定することができる。
次に、固定子インダクタンスLの測定について、ここでは回転子N極をU相に合わせた時のインダクタンスを測定する場合について説明を行う。
回転機1の回転子のN極はU相に位相を合わせて、R≪sLが成り立つ高周波電圧を印加する。この時における高周波電流振幅を取得し、上述した式(3)より導出される次の式(18)を用いて回転子N極をU相に合わせた時のインダクタンスを算出する。
Figure 2020217291
他の相においても回転機1の回転子のN極の位相を回動し、同様にして測定することができる。
以上のように、本実施の形態3によれば、回転機の3箇所の磁極位置に対しての高周波電流振幅あるいは高周波電圧振幅を取得し、各相に対する補正のゲインを算出する。取得したゲインをフィルタの値として用い、高周波電流のアンバランスを補正することで、電流アンバランスが抑制され、回転機の磁極位置の検出精度が向上する。また、このようにして求められた磁極の推定位置に基づいて交流回転機を制御することで、位置センサを用いない回転機の位置制御運転であっても位置決め精度を向上することが可能となる。
実施の形態4.
上記の実施の形態1から3においては、各フィルタに設定される値である補正ゲインはある基準となる相の高周波電流振幅あるいは高周波電圧振幅をもとに算出し、フィルタを構成することにより、高周波電流の相間アンバランスの補正を行う。しかし、基準となる相の高周波電流または高周波電圧振幅の検出精度に依存することになり、相間アンバランスを十分に取り除けない可能性がある。
そこで、この実施の形態4においては、基準となる相の計算方法において各相の高周波電流振幅または高周波電圧振幅の平均値を使うことにより、補正による一層の精度向上を目指す。
まず、実施の形態1における磁極位置演算手段6に備えるアンバランス調整器62のフィルタの値を設定する場合について説明する。取得した回転機の高周波電流振幅の平均値|Iave|を次の式(19)を用いて計算する。
Figure 2020217291
なお、各相の高周波電流振幅は式(12)を用いて、q軸成分Iqh_fltから振幅|Iqh_flt|を抽出する場合と同様に計算すればよい。
基準となる電流の振幅を高周波電流振幅の平均値|Iave|とした場合、式(4)、式(5)、式(6)は次のように書き換えることができ、アンバランス調整器62のフィルタ621の値Guを式(20)に、フィルタ622の値Gvを式(21)に、フィルタ623の値Gwを式(22)に示す。
Figure 2020217291
Figure 2020217291
Figure 2020217291
次に、実施の形態2における制御手段5に備えるアンバランス調整器56のフィルタの値を設定する場合について説明する。測定した回転機の高周波電圧振幅の平均値|Vave|を次の式(23)を用いて計算する。
Figure 2020217291
基準となる電圧の振幅を高周波電圧振幅の平均値|Vave|とした場合、式(14)、式(15)、式(16)は次のように書き換えることができ、フィルタ561の値Guを式(24)に、フィルタ562の値Gvを式(25)に、フィルタ563の値Gwを式(26)に示す。
Figure 2020217291
Figure 2020217291
Figure 2020217291
以上のように、本実施の形態4によれば、3箇所の磁極位置に対する高周波電流振幅あるいは高周波電圧振幅を取得し、3箇所の高周波電流振幅あるいは高周波電圧振幅平均の値を基準として補正ゲインを算出してフィルタ値を設定するようにした。これにより固定子抵抗R及び固定子インダクタンスL等の回転機定数を個別に測定することなく、フィルタ値を設定することができるため、位置決め精度の向上を実現することができる。また、ある1箇所の高周波電流振幅あるいは高周波電圧振幅を基準としてフィルタ値を設定する場合に比べ、精度良く回転機の高周波電流のアンバランスを補正することを実現でき、これにより位置決め精度が向上する。
実施の形態5.
上記の実施の形態において、各フィルタのフィルタ係数を取得するには3箇所の磁極位置に対する高周波電流振幅あるいは高周波電圧振幅を計測する必要があり、測定時間を要する。本実施の形態5においては、磁極位置に対する測定箇所を1箇所にし、測定を容易にしたものである。
ここでは、回転機の回転子N極をU相の位相に合わせた場合に、回転機検出電流のU相電流を基準としてフィルタを構成する例について説明する。なお、基準となる相はUVWのいずれの相であってもよい。
回転機1の回転子N極をU相に合わせた場合、V相およびW相電流はU相電流に対して、Iv=−Iu/2、Iw=−Iu/2の関係が成り立つ。この関係を用いて式(4)、式(5)、式(6)は次のように書き換えることができ、アンバランス調整器62のフィルタ621の値Guを式(27)に、フィルタ622の値Gvを式(28)に、フィルタ623の値Gwを式(29)に示す。
Figure 2020217291
Figure 2020217291
Figure 2020217291
である。
なお、各相の高周波電流振幅は式(12)を用いて、q軸成分Iqh_fltから振幅|Iqh_flt|を抽出する場合と同様に計算すればよい。
以上のように、本実施の形態5によれば、3箇所の磁極位置のうち1箇所に対する高周波電流振幅を取得し、これを基に、3相分のフィルタ値を設定するようにした。これにより固定子抵抗R及び固定子インダクタンスL等の回転機定数を個別に測定することなく、フィルタ値を設定することができるため、高周波電流のアンバランス補正が容易になる。これにより電流アンバランスを補正することができ、回転機の磁極位置の検出精度が向上する。また、このようにして求められた磁極の推定位置に基づいて交流回転機を制御することで、位置センサを用いない回転機の位置制御運転であっても位置決め精度を向上することが可能となる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1:回転機、 2:電流検出手段、 3:電圧印加手段、 4,53,522,631:座標変換器、 5:制御手段、 6:磁極位置演算手段、 10:制御装置、 11:プロセッサ、 12:記憶装置、 13:コントローラ、 51:電流制御器、 52:高周波電圧指令生成器、 55,612:加減算器、 54,57,58,59:加算器、 56、62:アンバランス調整器、 61:高周波成分抽出部、 63:磁極位置演算器、 561,562,563,621,622,623:フィルタ、 632:交番電流振幅抽出部、 633:磁極偏差演算器、 611:フィルタ、 634:積分器
本願に開示される交流回転機の制御装置は、回転機を駆動する基本波電圧指令を生成するとともに、前記回転機の回転子の磁極位置を推定するための高周波電圧指令を生成し、前記基本波電圧指令及び前記高周波電圧指令を用いて電圧指令を演算する制御手段と、前記電圧指令に基づいて前記回転機に電圧を印加する電圧印加手段と、前記回転機の各相の電流を検出する電流検出手段と、前記検出された回転機の電流から各相の高周波電流を抽出し、前記磁極位置の推定位置を演算する磁極位置演算手段と、前記各相間の高周波電流のアンバランスを調整するアンバランス調整器と、を備え、前記磁極位置演算手段は、前記アンバランスの調整された高周波電流を用いて前記回転機の回転子の磁極の推定位置を演算するものである。
加算器57、58、59は、それぞれ基本波電圧指令ベクトル(Vuf,Vvf,Vwf)と、アンバランス調整器56の出力である高周波補正電圧指令ベクトル(Vuh_flt*,Vvh_flt*,Vwh_flt*)を加算することで、高周波成分の補正された静止座標の各相電圧指令ベクトルを出力する。


Claims (9)

  1. 回転機を駆動する基本波電圧指令を生成するとともに、前記回転機の回転子の磁極位置を推定するための高周波電圧指令を生成し、前記基本波電圧指令及び前記高周波電圧指令を用いて電圧指令を演算する制御手段と、
    前記電圧指令に基づいて前記回転機に電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記回転機の各相の電流を検出する電流検出手段と、
    前記検出された回転機の電流から各相の高周波電流を抽出し、前記磁極位置の推定位置を演算する磁極位置演算手段と、
    前記各相間の高周波電流のアンバランスを調整するアンバランス調整器と、を備え、
    前記磁極位置演算手段は、前記アンバランスの調整された高周波電流を用いて前記回転機の回転子の磁極の推定位置を演算する交流回転機の制御装置。
  2. 前記アンバランス調整器は、前記各相の高周波電流に前記回転機の各相の回転機定数に基づくゲインを付与することにより、各相間の高周波電流のアンバランスを調整する請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. 前記アンバランス調整器は、前記高周波電圧指令のうち少なくとも2相の高周波電圧指令に対し、前記各相の回転機定数に基づくゲインを付与し、各相間の高周波電流のアンバランスを調整する請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  4. 前記ゲインは比例定数であることを特徴とする請求項2または3に記載の交流回転機の制御装置。
  5. 請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置を用いた交流回転機の制御方法であって、
    前記回転機の回転子を第一磁極位置に回動し、前記高周波電圧指令に基づく高周波電圧を印加することで前記電流検出手段により前記第一磁極位置における高周波電流振幅を取得する第一ステップ、
    前記第一ステップにおいて取得した第一磁極位置での高周波電流に基づいて、第二及び第三磁極位置の高周波電流を算出し、前記各相の回転機定数に基づくゲインを算出するステップ、
    前記算出された各相の回転機定数に基づくゲインを付与し前記回転機の各相間の高周波電流のアンバランスを調整するステップ、
    及び前記調整された高周波電流を用いて前記回転機の回転子の磁極の推定位置を演算し、
    前記磁極の推定位置に基づいて回転機を駆動させるステップを備える交流回転機の制御方法。
  6. 請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置を用いた交流回転機の制御方法であって、
    前記回転機の回転子を第一磁極位置に回動し、前記高周波電圧指令に基づく高周波電圧を印加することで前記電流検出手段により前記第一磁極位置における高周波電流振幅を取得する第一ステップ、
    前記回転機の回転子を第二磁極位置に回動し、前記高周波電圧指令に基づく高周波電圧を印加することで前記電流検出手段により前記第二磁極位置における高周波電流振幅を取得する第二ステップ、
    前記回転機の回転子を第三磁極位置に回動し、前記高周波電圧指令に基づく高周波電圧を印加することで前記電流検出手段により前記第三磁極位置における高周波電流振幅を取得する第三ステップ、
    前記第一ステップ、前記第二ステップ及び前記第三ステップにおいて取得した各磁極位置での高周波電流振幅に基づいて、前記各相の回転機定数に基づくゲインを算出するステップ、
    前記算出された各相の回転機定数に基づくゲインを付与し前記回転機の各相間の高周波電流のアンバランスを調整するステップ、
    及び前記調整された高周波電流を用いて前記回転機の回転子の磁極の推定位置を演算し、
    前記磁極の推定位置に基づいて回転機を駆動させるステップを備える交流回転機の制御方法。
  7. 請求項1または3に記載の交流回転機の制御装置を用いた交流回転機の制御方法であって、
    前記回転機の回転子を第一磁極位置に回動し、予め定められた高周波電流振幅指令と前記高周波電流の振幅とが一致するように、前記高周波電圧指令の振幅を調整し、前記第一磁極位置における高周波電圧振幅を取得する第一ステップ、
    前記回転機の回転子を第二磁極位置に回動し、前記高周波電流振幅指令と前記高周波電流の振幅とが一致するように、前記高周波電圧指令の振幅を調整し、前記第二磁極位置における高周波電圧振幅を取得する第二ステップ、
    前記回転機の回転子を第三磁極位置に回動し、前記高周波電流振幅指令と前記高周波電流の振幅とが一致するように、前記高周波電圧指令の振幅を調整し、前記第三磁極位置における高周波電圧振幅を取得する第三ステップ、
    前記第一ステップ、前記第二ステップ及び前記第三ステップにおいて取得した各磁極位置での高周波電圧振幅に基づいて、前記各相の回転機定数に基づくゲインを算出するステップ、
    前記算出された各相の回転機定数に基づくゲインを付与し前記回転機の各相間の高周波電流のアンバランスを調整するステップ、
    及び前記調整された高周波電流を用いて前記回転機の回転子の磁極の推定位置を演算し、前記磁極の推定位置に基づいて回転機を駆動させるステップを備える交流回転機の制御方法。
  8. 前記回転機の各相間の高周波電流のアンバランスを調整するステップにおいて、前記第一ステップ、前記第二ステップ及び前記第三ステップにおいて取得した各相の高周波電流振幅の平均値に基づいて算出されるゲインを付与することにより、各相間の高周波電流のアンバランスを調整する請求項6に記載の交流回転機の制御方法。
  9. 前記回転機の各相間の高周波電流のアンバランスを調整するステップにおいて、前記第一ステップ、前記第二ステップ及び前記第三ステップにおいて取得した各相の高周波電圧振幅の平均値に基づいて算出されるゲインを付与することにより、各相間の高周波電流のアンバランスを調整する請求項7に記載の交流回転機の制御方法。
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