JP5745105B2 - 交流回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、誘導機や同期機といった交流回転機の回転子位置を、位置センサを用いることなく得ることができる交流回転機の制御装置に関するものである。
交流回転機の制御において、回転機を所望の出力や回転数で回転させるため、通常は速度センサや位置センサを用いて行う。しかし、これらのセンサを取り付ける方法は、コスト高、配線に伴う性能低下を伴い、耐故障性やメンテナンスの面で不利となる問題があった。そこで、センサを用いることなく、交流回転機の磁極位置や回転速度を検出する方法が提案されている。
これらの方法として、誘起電圧を利用した方法が公知であり、主に誘起電圧が大きい高速域での運転で有利である。一方、ゼロ速や低速域など誘起電圧を用いるのが困難な速度領域においては、交流回転機に基本周波数と異なる周波数の電圧や電流を重畳してインダクタンスの突極性を利用して磁極位置を推定する技術が知られている。
例えば特許文献1に記載の発明は、高周波交番電圧を印加し、その直交方向に流れる高周波電流の振幅が0となるように磁極位置を推定方法が開示されている。
また、特許文献2に記載の発明は、回転機に高周波交番電圧を印加し、得られる高周波電流値を、推定角から45度ずらした位相でd-q軸座標に変換し、そこから得られる高周波インピーダンスZdmとZqmが一致するように磁極位置を推定し、高負荷時の補正には、電流指令値のトルク成分に比例定数を乗算することにより演算した補償角θ^rだけ推定した磁極位置から減算し、推定位置θ^cを演算する方法が開示されている。
特許第3312472号公報 特開2002−291283号公報 特許第4672236号公報
特許文献1に記載の発明は、高周波交番電圧を印加する方向の直交成分の振幅が0となるように、高周波交番電圧を印加する軸を調整しているため、負荷電流が流れている時にインダクタンスが磁気飽和すると推定位置が実際の磁極位置からずれてしまう。
また、特許文献2に記載の発明は、高周波インピーダンスが一致するような軸に高周波交番電圧を印加するため、無負荷時は、高周波交番電圧を印加する軸と、トルクが発生しない軸とが一致するが、負荷時には高周波交番電圧を印加する軸が、トルクが発生しない軸からずれてしまい、振動や騒音の原因となる問題があった。
この発明に係る交流回転機の制御装置は、交流回転機の電流ベクトルを検出する電流ベクトル検出手段と、電流ベクトル指令と前記検出電流ベクトルを入力し、前記交流回転機を駆動するための基本波電圧ベクトル指令と任意の軸に交番する交番電圧ベクトル指令とを加算した電圧ベクトル指令を出力する制御手段と、前記電圧ベクトル指令に基づいて前記交流回転機に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電流ベクトル検出手段で検出された電流ベクトルを入力し、前記交番電圧ベクトル指令に対する平行成分と直交成分の少なくとも一方の交番電流振幅を演算する交番電流振幅演算手段と、前記電流ベクトル指令から交番電流振幅指令を生成する交番電流振幅指令生成手段と、前記交流回転機の推定磁極位置を演算する磁極位置演算手段とを備え、前記磁極位置演算手段は、前記交番電流振幅が前記交番電流振幅指令に一致するようにして前記推定磁極位置を演算することを特徴としている。
この発明によれば、交番電流振幅を交番電流振幅指令に一致するように推定位置を演算することにより、磁極位置を推定するために印加する高周波交番電圧を常にトルクの発生しない軸に印加したまま磁極位置の推定を行うことができ、かつ磁気飽和による推定位置誤差の影響を受けないため、回転機の振動や騒音を抑制することができる。
実施の形態1における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。 実施の形態1の制御手段3の内部構成を説明する概略構成図である。 実施の形態1の交番電流振幅演算手段5の内部構成を示す概略構成図である。 図3のフィルタ51の内部構成を説明する説明図である。 図3の直交成分抽出器52の内部構成を説明する説明図である。 実施の形態1の交流回転機の動作をベクトルで説明する図である。 実施の形態1の交流回転機の負荷時に現れるインダクタンス分布を無負荷時と比較して表した動作説明図である。 図7の状態をベクトルで説明する図である。 特許文献2の動作を説明するための説明図である。 実施の形態1の磁極位置演算手段6の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態2における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。 実施の形態2の磁極位置演算手段6の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態2の偏差増幅部64の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態2の偏差増幅部64の他の構成例を示す概略構成図である。 実施の形態2の適応観測部65の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態2の状態観測器652の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態2の動作をベクトルで説明するための説明図である。 実施の形態2の交番電流振幅演算手段5の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態2の交番振幅抽出器53の内部構成を示す概略構成図である。 実施の形態3における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。 実施の形態3における交流回転機の制御装置の他の構成例を示す図である。 実施の形態4における交流回転機の定トルク曲線を示す図である。 実施の形態4の動作を説明するための説明図である。 実施の形態4の動作を説明するための説明図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置の全体構成を示すものである。図において、交流回転機1は同期電動機であって、ここでは、永久磁石を用いた同期機である。本実施の形態では、同期電動機を例に挙げて説明するが、他種類の回転機であっても同様の原理で構成することが可能である。
交流回転機1には、交流回転機1の電流ベクトルを検出する電流ベクトル検出手段2と、電圧を印加するインバータ等の電力変換器が相当する電圧印加手段4が接続されている。
電流ベクトル検出手段2は、交流回転機1の三相電流iu,iv,iwの電流を検出し、座標変換器21において、後述する推定磁極位置θ0を用いて、交流回転機1の回転子に同期して回転する直交座標として公知であるd−q軸上の電流に座標変換し、これを検出電流ベクトル(ids,iqs)として出力する。
三相電流を検出するには、電流を三相とも検出するほか、2相分を検出して三相電流の和がゼロであることを利用して三相電流を求めてもよいし、インバータ母線電流やスイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子の状態から三相電流を演算してもよい。
制御手段3は、詳細には図2の構成図のように、加減算器31により、外部から与えられる電流ベクトル指令(id_ref,iq_ref)から上記検出電流ベクトル(ids,iqs)をそれぞれ減算する。電流制御器32では、加減算器31の出力である電流ベクトル指令と検出電流ベクトルの偏差が無くなるように、比例積分制御して基本波電圧ベクトル指令(vdf,vqf)を出力する。高周波交番電圧ベクトル発生器33は、d、q軸上の高周波交番電圧ベクトル指令(vdh,vqh)を出力する。
本実施の形態では、vqh=0としてd軸方向のみに印加する交番電圧とする。加減算器34では、上記基本波電圧ベクトル指令と高周波交番電圧ベクトル指令を加算した電圧ベクトル指令(vd,vq)を出力し、座標変換器35では推定位置θ0を使って加減算器34の出力である電圧ベクトル指令(vd,vq)をd-q軸から静止座標の3相電圧ベクトル指令(vu,vv,vw)に変換し出力する。
なお、本実施の形態では、制御手段3は比例積分制御を用いて電圧指令ベクトルを生成する方法を取っているが、例えばV/f制御などの制御方式であっても高周波交番電圧ベクトル指令を加算すれば同様の原理で構成することが可能である。
電圧印加手段4は、インバータ等の電力変換器であって、制御手段3から出力される電圧ベクトル指令に基づいて、交流回転機1に電圧を印加する。
交番電流振幅演算手段5は、詳しくは図3の構成図のように、検出電流ベクトルから、フィルタ51を用いて得られる高周波電流ベクトルを抽出し、直交成分抽出器52を用いて、高周波電流の直交成分の振幅を演算し、交番電流振幅として出力する。
上記フィルタ51は、検出電流ベクトルから高周波電流ベクトルを抽出するフィルタであり、検出電流ベクトルから前記高周波交番電圧ベクトル指令(vdh,vqh)と同一周波数成分を抽出出来るものならどのようなものを用いてもよい。例えば、図4に示すように、狭帯域のバンドストップフィルタとして公知であるノッチフィルタ511を利用して、高周波電流ベクトルを抽出する。図4のノッチフィルタ511では、(1)式の高周波交番電圧ベクトルの角周波数ωhを除去するノッチフィルタを検出電流ベクトルに施して、検出電流ベクトルから角周波数ωh成分を除去する。加減算器512では検出電流ベクトルからノッチフィルタ511の出力を減算することで、検出電流ベクトルから角周波数ωh成分の高周波電流ベクトルを演算する。なお、式(1)のsはラプラス演算子、qxはノッチの深さである。
Figure 0005745105
図5は図3の直交成分抽出器52の構成図である。直交成分抽出器52では、直交成分選択器521で、高周波電流ベクトル(idh,iqh)に行列(0,1)を乗算することでd軸と直交方向の高周波電流ベクトルであるiqhのみを選択する。振幅演算器522では式(2)の演算をすることで、iqhの大きさ(振幅)である|iqh|を演算し出力する。なお、式(2)中のTはiqhの周期である。
Figure 0005745105

以上が、交番電流振幅演算手段5の構成である。
図1に戻って、磁極位置演算手段6は、交番電流振幅と後述する交番電流振幅指令生成手段7が出力する交番電流振幅指令に基づいて推定磁極位置を演算する。
まず、高周波交番電圧を印加して磁極位置を演算する方法について説明する。 はじめに、前述した高周波交番電圧ベクトル発生器33が高周波交番電圧ベクトルvdh,vqhを出力するときに、交流回転機1に流れる高周波電流ベクトルの数式について説明する。
図6のように、回転子磁束ベクトル方向をdm軸、その直交方向をqm軸とし、高周波交番電圧ベクトルを印加することで得られる推定磁極位置θ0が示す方向をd軸、その直交方向をq軸とする。また、d軸とdm軸との偏差がΔθであるとする。なお、図6では、交流回転機1が無負荷であるときの状態を示すもので、d軸は定常的にはdm軸と一致するよう動作する。図6は瞬時的にΔθの偏差が生じた場合の図である。このとき、高周波交番電圧ベクトルvdh,vqhをそれぞれ、d軸、q軸に印加するときの交流回転機1の数式は(3)式のように表現することが出来る。なお、式中のPは微分演算子を表す。
Figure 0005745105
高周波交番電圧を用いて磁極位置を検出する場合、高回転域では高周波の電圧や電流が発生する分、運転効率や電圧利用率、最大電流といった点で不利であるため、ゼロ速や低速で使用する方がよく、高回転域では公知の適応観測器などを利用した磁極位置検出手段を用いるのがよい。そこで、ここではゼロ速〜低速において高周波電圧を用いることとし、回転速度ωr≒0とおくと式(3)より、式(4)を得ることができる。
Figure 0005745105

更に右辺第2項は、高周波電流の微分であり、高周波電流の微分は高周波電圧の角周波数ωh倍されるため、右辺第2項≫右辺第1項となり、右辺第1項は無視することができ、その結果式(5)を得ることができる。
Figure 0005745105
ここで、高周波電圧ベクトルを式(6)のように与えるとすると、高周波電流ベクトルidh、iqhは式(5)に式(6)を代入し、両辺を積分することで、式(7)のようになる。
Figure 0005745105

Figure 0005745105
磁極位置推定には、偏差△θを0とするようなθ0を演算する。ここで、式(7)の高周波電流の振幅成分を利用すれば、△θを電流振幅の関数で表すことができる。ここでは、高周波電流の直交成分iqhの振幅|iqh|を用いると、式(7)から式(8)を得ることができる。
Figure 0005745105
また、式(8)を△θの式に直すと、式(9)となる。
Figure 0005745105

式(9)より、△θをゼロに近づけることは、|iqh|をゼロに近づけることに等しい。よって推定位置θ0は比例積分器を用いて式(10)で表すことができる。
Figure 0005745105

なお、高周波電圧の角周波数ωhと高周波電圧振幅Vhは高周波交番電圧ベクトル発生器33で任意に設定出来るものであるため、既知、L、lは式(3)の但し書きからLd、Lqより求めることが出来るものであり、Ld、Lqは事前に測定することで把握できるためL、lも既知である。
以上のように、高周波電圧ベクトルを印加した軸から偏差△θは|iqh|に基づいて演算することができる。
次に、負荷時のインダクタンス磁気飽和による推定位置の誤差について説明する。
前述のとおり、負荷時には交流回転機のインダクタンスが磁気飽和するため、ある負荷時に位置誤差θeが発生するとすれば、図7に示すように、ある負荷時のインダクタンス分布は、無負荷時の分布に比べてθeだけ変化する。この変化を式(3)で表すため、Ldc,Lqc,Ldqcを式(11)で定義しなおす。
Figure 0005745105

式(11)を用いて式(3)を展開すると式(12)が得られる。また、高周波電流ベクトルiqhの大きさ|iqh|は式(13)となる。
Figure 0005745105

Figure 0005745105

ここで、|iqh|がゼロに近づくように式(10)の比例積分器を構成すると、式(13)より、(△θ−θe)がゼロに近づく。すなわち、△θはθeに収束するため、図8に示すように、推定磁極位置θ0の示すd軸は、実際の磁極位置dm軸からθeずれた位置で検出される。
特許文献2に記載の発明は、補償角を用いて推定磁極位置を補償しているものの、図9に示すように、推定磁極位置θ0から±45°離れた軸の高周波インピーダンスが一致するような軸に高周波電圧を印加するため、高周波電圧を印加する軸(d軸)がトルクが発生しない軸(dm軸)からずれており、高周波電圧によるトルクによる回転機の振動や騒音の要因となっていた。
そこで、前記磁極位置演算手段6の推定磁極位置の演算では、高周波交番電圧ベクトルを印加する軸を常にdm軸として、高周波電圧のトルクによる回転機の振動や騒音の発生を抑制する。これは、すなわち実際の磁極位置であるdm軸と推定磁極位置であるd軸との偏差△θをゼロにすることを意味する。ここで式(13)より、△θをゼロに近づけると、|iqh|は式(14)で表される。
Figure 0005745105
つまり、|iqh|の値が式(14)の右辺の値に近づけば、△θはゼロに近づく。このとき、θeは未知であるから式(14)の右辺はリアルタイムに演算することはできないが、θeが負荷電流の大きさに応じて変化する特徴があるため、あらかじめ測定しておくことは可能である。そこで、後述する交番電流振幅指令生成手段7の出力である交番電流振幅指令|iqh_ref|を式(15)に設定し、|iqh_ref|に|iqh|が一致するように、比例積分器を用いて、推定磁極位置θ0を式(16)で構成することで、|iqh|を指令値|iqh_ref|に近づけることができ、その結果、推定磁極位置であるd軸をdm軸に一致させるとともに、高周波電圧ベクトルの印加される方向をdm軸とし、トルクによる回転機の振動や騒音の発生を抑制できる。なお、|iqh_ref|の設定方法は後述する。
Figure 0005745105

Figure 0005745105

以上が、磁極位置演算手段6による磁極位置推定の演算方法についての説明である。
次に、磁極位置演算手段6の構成について説明する。
磁極位置演算手段6は、図10のように、交番電流振幅指令と交番電流振幅の偏差を出力する加減算器61と、上記偏差から推定磁極位置を出力する磁極位置推定器62から構成する。磁極位置推定器62は、加減算器61から入力される偏差値に基づき、式(16)を用いて推定磁極位置を出力する。
以上が、磁極位置演算手段6の構成である。
更に、交番電流振幅指令生成手段7は、電流ベクトル指令(id_ref,iq_ref)に、増幅値(Kd,Kq)の転置行列である(Kd,Kq)T(Tは転置行列の意味)を乗算し、交番電流振幅指令|iqh_ref|を生成する。増幅値(Kd,Kq)は、単純な一定値を取ることもできるし、テーブルを用いて、電流ベクトル指令に基づいて変更することで交流電流振幅指令値の精度を高めることもできる。また、Kd=0とおくことで、電流ベクトル指令のトルク成分のみから交番電流振幅指令を生成してもよい。
なお、増幅値は、交流回転機1に高周波交番電圧ベクトルと、負荷電流とを印加したときに式(2)で得られる|iqh|の値をあらかじめ測定しておき、前記電流ベクトル指令と|iqh|とから増幅値を決定する。これにより、未知のθeに係わらず、電流振幅指令値|iqh_ref|を求めることができる。測定には、例えば電磁界解析などから解析的に電流指令ベクトルに対する指令値を求めてもよいし、実機を用いて測定してもよい。これらは事前の測定を行っておけば、直ちにセンサレスでの運転に適用することができる。
以上のように、本実施の形態の構成により、推定磁極位置θ0は、交番電流振幅が交番電流振幅指令に一致するように高周波交番電圧ベクトルを印加することにより、常にトルクが発生しない軸に向けて交番電圧を印加することが可能となるため、回転機の振動や騒音を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、高周波電圧を用いて、負荷時であっても磁極位置誤差を発生させない磁極位置推定方法を示した。しかし、この方法は前述したように、高回転域で高周波電圧を与えることは運転効率や電圧利用率、最大電流といった点で不利である。
実施の形態2では、低〜高速の全速度領域で磁極位置推定を行うため磁極位置演算手段6に適応観測器65を有し、全速度領域で適応観測器6を用いて磁極位置を演算する。その中で、誘起電圧が小さく磁束ベクトルを演算しにくい低速域では高周波交番電圧を用いて磁束ベクトルを演算し、適応観測器6が不利である低速域での磁極位置推定を補い、全速度領域で磁極位置推定を可能とする。
図11は、本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置の全体構成を示すものである。本実施の形態では、磁極位置演算手段6に交番電流振幅と交番電流振幅指令と電圧指令ベクトルと検出電流ベクトルとを入力する。それ以外の構成は実施の形態1と同様であるため説明は省略する。図12に本実施の形態における磁極位置演算手段6の構成を示す。
本実施の形態において、磁極位置演算手段6は、交番電流振幅指令と交番電流振幅とから回転子磁束ベクトルを検出し、検出磁束ベクトルとして出力する磁束ベクトル検出部66と、推定電流ベクトルと検出電流ベクトルの偏差である電流偏差ベクトルと、推定磁束ベクトルと上記検出磁束ベクトルの偏差である磁束偏差ベクトルとを出力する偏差ベクトル演算部63と、上記電流偏差ベクトルと磁束偏差ベクトルを増幅して増幅偏差ベクトルとして出力する偏差増幅部64と、交流回転機1の推定電流ベクトルと推定磁束ベクトルと推定磁極位置を出力する適応観測部65とを有している。
偏差ベクトル演算部63は、加減算器631により後述する適応観測部65の出力である推定電流ベクトル(ids0,iqs0)から電流ベクトル検出手段2の出力である検出電流ベクトル(ids,iqs)を減算した電流偏差ベクトル(eids,eiqs)を出力し、加減算器632により後述する適応観測部65の出力である推定磁束ベクトル(φdr0,φqr0)から後述する磁束ベクトル検出部の出力である検出磁束ベクトル(φdrD,φqrD)を減算した磁束偏差ベクトル(eφdr,eφqr)を出力する。
図13は偏差増幅部64の構成図である。図13のゲイン行列641は電流偏差ベクトル(eids,eiqs)の転置行列である(eids,eiqs)Tに行列Hcを乗算した結果を出力し、ゲイン行列642は磁束偏差ベクトル(eφdr, eφqr)に行列Hfを乗算した結果を出力する。ここで、行列Hc、Hfは式(17)で定義するゲイン行列であり、式(17)のh11〜h44は増幅ゲインである。h11〜h44は任意に設定可能な値であるが、例えば、行列Hcのh11〜h42は、特許文献3(特許4672236号)の第9図に記載されているように推定速度ωr0によって各増幅ゲインの値を変更するようにする。同様にゲイン行列Hfのh13〜h44の値も推定速度ωr0によって各増幅ゲインの値を変更するようにしてもよい。なおこの場合、図14のように後述する適応観測部65から推定速度ωr0も出力するようにし、偏差増幅部64はゲイン行列644、645に推定速度ωr0を入力するようにする。
Figure 0005745105

加減算器643は図13のゲイン行列641とゲイン行列642または図14のゲイン行列644とゲイン行列645の出力ベクトルとを加算し、増幅偏差ベクトル(e1,e2,e3,e4)Tを出力する。
なお、後述する適応観測部65が出力する推定速度や推定磁極位置は、高回転になると、検出磁束ベクトルと推定磁束ベクトルの偏差である磁束偏差ベクトルを用いなくても良好に速度や位置を推定出来るため、ゲイン行列642またはゲイン行列645において、推定速度の絶対値が大きい場合は、h13〜h44の値が零になるようにして、高回転域でゲイン行列642またはゲイン行列645の出力は零とする。その結果、磁束ベクトル検出部66の演算を停止することで演算量低減出来るとともに、制御手段3内部の高周波電圧ベクトル発生器33の出力vdh、vqhもゼロにすることで、vdh、vqhにより発生する高周波電流もなくなり、高周波電流による損失も無くすことが出来る。
適応観測部65は図15のように、座標変換器651と状態観測器652と積分器853から構成される。
まず、適応観測部65の動作について説明する。交流回転機1の電機子抵抗をR、d軸方向の電機子インダクタンスをLd、q軸方向の電機子インダクタンスをLq、推定速度をωr0、電源角周波数をωとし、行列A、B、C、D、C1、C2を(18)式で定義する。
Figure 0005745105
また、d−q軸上の推定電機子反作用ベクトルのd軸成分をφds0、q軸成分をφqs0、d−q軸上の電圧指令ベクトルのd軸成分をvds、q軸成分をvqsと定義すると、式(19)のように推定電機子反作用ベクトルφds0,φqs0と推定磁束ベクトルφdr0,φqr0を得ることができる。
Figure 0005745105
また、ラプラス演算子(微分演算子)をs、kpを比例ゲイン、kiを積分ゲインと定義し、(18)式の行列Aの内部パラメータである推定速度ωr0は、電流偏差ベクトルΔids、Δiqsと推定磁束ベクトルφdr0、φqr0を用いて(20)式によって与える。
Figure 0005745105
推定位置θ0は、(21)式のように推定速度を積分することで得ることが出来る。
Figure 0005745105

また、推定電流ベクトルids0, iqs0は(22)式より求めることが出来る。
Figure 0005745105
同様に、推定磁束ベクトルφdr0、φqr0は(23)式より求めることが出来る。
Figure 0005745105

以上のように、式(18)〜(23)を用いれば、電圧指令ベクトルと増幅偏差ベクトルと電流偏差ベクトルに基づいて、推定位置と推定電流ベクトルと推定磁束ベクトルを算出することが可能である。
これを踏まえ、適応観測部65の構成図である図15について説明する。図15において、座標変換器651は制御手段の出力である3相交流の電圧指令ベクトルを直交回転座標であるd−q軸の電圧指令ベクトルvds、vqsに変換し、状態観測器652へ出力する。
図16に詳細を示す状態観測器652では、座標変換器651の出力である電圧指令ベクトル(vds、vqs)にゲイン行列演算器6521で行列Bを乗算した結果を出力する。加減算器6522はゲイン行列演算器6521の出力とゲイン行列演算器6523と偏差増幅ベクトル(e1,e2,e3,e4)とを加減算したベクトルを出力する。積分器6524は加減算器6522が出力するベクトルを各要素毎に積分し、ベクトル(φds0,φqs0,φdr0,φqr0)として出力する。以上が式(19)の右辺に相当する部分である。なお、式(19)の左辺は積分器6524の入力部分に相当する。
ゲイン行列演算器6525は行列C1をベクトル(φds0,φqs0,φdr0,φqr0)を乗算することで、推定電流ベクトル(φds0,φqs0)を出力する。この部分は式(22)に相当する。ゲイン行列演算器6526は行列C2をベクトル(φds0,φqs0,φdr0,φqr0)を乗算することで、推定磁束ベクトル(φdr0,φqr0)を出力する。この部分は式(23)に相当する。
図15の積分器653は式(21)のように、状態観測器652の出力である推定速度ωr0を積分することで推定位置θ0を求める。
以上が適応観測部65の動作である。
磁束ベクトル検出部66は、前述したように、交番電流振幅と交番電流振幅指令から検出磁束ベクトルを演算するが、先ず検出磁束ベクトルについて説明する。
図17のように、回転子磁束ベクトルΦrはdm軸と同一方向である。ここで、回転子磁束ベクトルΦrを、高周波電圧ベクトルと平行方向、すなわちd軸方向のΦdrDと、高周波電圧ベクトルと直交方向、すなわちq軸方向のΦqrDに射影する。このd軸とq軸に射影したΦdrDとΦqrDを検出磁束ベクトルとし、数式で表すと式(24)のように表現することが出来る。
Figure 0005745105

式(24)のφfは回転子磁束ベクトルΦrの大きさであり、これはあらかじめ測定しておくことができる。よって、式(24)から検出磁束ベクトルを演算するためには、Δθが分かればよい。
実施の形態1において、回転子磁束方向dm軸と推定磁極位置d軸との偏差△θは、式(9)で表される。適応観測部65は、定常的には△θがゼロに近づくように動作するため、2△θ≒0であるからsin2△θ≒2△θとしてよい。よって、式(9)から式(25)が得られる。
Figure 0005745105

よって、式(24)、(25)から、|iqh|を用いて検出磁束ベクトルを演算することができる。
ここで負荷時の動作について考える。負荷時には負荷電流に応じてインダクタンス分布が変化し、推定磁極位置の示すd軸と回転子磁束方向のdm軸との間に誤差が生じるため、式(8)は、式(13)に変化することを前述した。ここで、式(13)を展開すると式(26)となる。
Figure 0005745105

△θは定常的にゼロとなるように動作するとすれば、2△θ≒0であるからsin2△θ≒2△θ、cos2△θ≒1として、式(26)から式(27)を得る。
Figure 0005745105

ここで、式(27)の右辺第二項は、式(15)と等しい。そこで、式(15)から式(27)を減算すると、式(28)となる。
Figure 0005745105
式(28)から△θの式(29)を得ることができる。
Figure 0005745105

式(29)には、未知の値cos2θeが残っているため、このまま式(24)に適用することはできない。
そこで、高周波電流の平行成分idhを用いてcos2θeを演算する。式(12)より、高周波電流の平行成分idhは、式(30)で表すことができ、その大きさ(振幅)|idh|は式(31)となる。
Figure 0005745105

Figure 0005745105

△θは定常的にゼロとなるように動作するとすれば、△θ≒0より式(32)が得られる。
Figure 0005745105

ここで、式(32)における右辺は、cos2θeを除いて既知であり、|idh|は|iqh|と同様に検出電流ベクトルの高周波成分から演算することができる。すなわち、cos2θeは、式(33)を用いてオンラインで演算することができる。
Figure 0005745105

よって、式(29)、(33)から△θを演算することで、式(24)の検出磁束ベクトルを演算することができる。
なお、この場合、交番電流振幅演算手段5は図18に示すように、交番振幅抽出器53により高周波電流ベクトルから交番電流振幅行列(|idh|,|iqh|)を出力し、交番振幅抽出器53は、図19に示すように、直交成分選択器531、振幅演算器532に加え、平行成分選択器533を持ち、平行成分選択器は高周波電流ベクトルに(1,0)を乗算してidhを選択し、振幅演算器は式(34)から振幅|idh|を算出するようにする。
Figure 0005745105
以上より、高周波電流振幅と高周波電流振幅指令から回転子磁束方向dm軸と推定磁極位置d軸との偏差△θを演算できるため、あらかじめ磁極位置を求めておくことなく検出磁束ベクトルを計算することができ、演算量を低減することができる。
また、推定磁極位置に誤差が現れる負荷時にあっても交番電流振幅が交番電流振幅指令から検出磁束ベクトルを求め、検出磁束ベクトルと推定磁束ベクトルの偏差である磁束偏差ベクトルと検出電流ベクトルと推定磁束ベクトルの偏差である電流偏差ベクトルを求め、磁束偏差ベクトルを増幅した増幅偏差ベクトルから適応観測部65が磁極位置を推定することで、負荷による磁極位置推定誤差の影響を受けることなく全速度領域での磁極位置の推定ができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、交番電流振幅指令生成手段7は、電流ベクトル指令から交番電流振幅指令を生成している。交流回転機1の検出電流ベクトルは、制御手段3により、定常的には電流ベクトル指令に一致するように制御されるので、交番電流振幅指令を検出電流ベクトルから作成してもよい。
本実施の形態の交流回転機の制御装置の構成を図20に示す。図20において、交番電流振幅指令生成手段7は検出電流ベクトルから交番電流振幅指令を生成する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
交番電流振幅指令生成手段7は、検出電流ベクトル(ids,iqs)に増幅値(Kd,Kq)を乗算して、交番電流振幅指令を生成する。増幅値(Kd,Kq)は、単純な一定値を取ることもできるし、電流ベクトル指令にもとづくテーブル値を持つことで交流電流振幅指令値の精度を高めることもできる。また、Kd=0とおくことで、検出電流ベクトルのトルク成分のみから交番電流指令を生成してもよい。
以上のように、交番電流振幅指令生成手段7は、検出電流ベクトルを用いて交番電流振幅指令を生成することで、交流回転機の内部状態と一致する交番電流振幅指令を用いて、磁極位置を演算できる。
なお、実施の形態3に記載の交番電流振幅指令生成手段7は、実施の形態2にも同様に適用できる。その場合、図21に示す構成をとり、交番電流振幅指令生成手段7は、実施の形態3と同様に構成される。
実施の形態4.
実施の形態1乃至3に係る交流回転機の制御装置では、交流回転機の回転子磁束であるdm軸方向に高周波電圧を印加していた。しかし、LdとLqの比(以下、突極比と称す)の大きい交流回転機において、高周波電圧によるトルクの発生を抑制する軸はdm軸には限らない。
本実施の形態では、突極比の大きい交流回転機についても、高周波交番電圧によるトルクの発生を抑制する方向に高周波電圧を印加する交流回転機の制御装置について述べる。
まず、高周波交番電圧によってトルクが発生する原因およびトルクの発生を抑制する方法について述べる。
交流回転機1が、永久磁石を用いた同期機である場合、発生するトルクτは、式(35)として公知である。
Figure 0005745105
また、式(35)を式(36)に変形し、トルクτを一定値とおくと、iqはidの双曲線として表すことができる。このときの(id,iq)軸上での電流ベクトルの軌跡(定トルク曲線)は図22のようになる。
Figure 0005745105

ここで、定トルク曲線とは、この曲線上のどの電流値においてもトルクが一定であり、曲線上を電流ベクトルが移動してもトルクは変化しない。すなわち、高周波交番電圧によって変動する電流ベクトルが、この曲線上にあれば、高周波交番電圧によるトルクは発生しないということである。
交流回転機1を駆動するために基本波電流ベクトルが印加され、トルクが発生しているとすると、そのトルクの定トルク曲線が存在する。このとき高周波交番電圧をdm軸方向に印加すると、高周波電流ベクトルの軌跡は図23に示す高周波電流ベクトルとなる。このベクトル軌跡は、定トルク曲線上にないためトルクが変動する。そのため回転機に振動や騒音が発生することがある。
そこで、図24のように高周波電流のベクトル軌跡を定トルク曲線の接線に近づければ、高周波電流ベクトルによるトルクの変動を抑制することができる。式(36)をidで微分すると接線の傾きが式(37)で得られ、さらに式(35)を用いて変形すると式(38)で表せる。
Figure 0005745105

Figure 0005745105
また、dm軸と定トルク曲線の接線の偏差をηとすると、ある基本波電流ベクトル(id1,iq1)における偏差ηは式(39)で表される。
Figure 0005745105

すなわち、高周波電圧をdm軸からηだけずらして印加することにより、高周波電流ベクトルによるトルクの発生を抑制することができる。
以上、高周波電圧によってトルクが発生する原因およびトルクの発生を抑制する方法について説明した。
実施の形態1乃至3の形態において、dm軸からηだけ離れた軸に高周波電圧を印加るには、高周波電圧ベクトル指令(vdh,vqh)を変更すればよい。具体的には、式(40)で与えることで実現できる。
Figure 0005745105
このとき、|iqh_ref|の設定方法について説明する。
高周波電圧ベクトル指令をdm軸からηだけ離れたdc軸に印加するとき、式(13)中の△θは、dc軸からの瞬時的な偏差△θ1を用いて、(η+△θ1)で置き換えることができ、qm軸の高周波電流振幅は式(41)で表される。
Figure 0005745105
瞬時的な誤差△θ1はゼロに収束するから、結局、式(42)が得られる。
Figure 0005745105

したがって式(42)は、式(14)の右辺の正弦項に(2η)が加わるだけで、その他の構成は、実施の形態1乃至3と同様であり、|iqh_ref|を電磁界解析や事前の実機測定などで把握することで、高周波電圧ベクトル指令を印加する方向をdm軸から変更した場合でも、実施の形態1乃至3に適用することができる。これにより、高周波電圧をトルクの発生を抑制する方向に印加することができる。
以上のように、突極比の大きい交流回転機においても高周波電圧を印加する軸を定トルク曲線の接線方向にとることで、高周波電圧に起因するトルク変動による回転機の振動や騒音を抑制することができる。
1 交流回転機、 2 電流ベクトル検出手段、 3 制御手段、
4 電圧印加手段、 5 交番電流振幅演算手段、
6 交番電流振幅指令生成手段、
7 磁極位置演算手段、
21、35、651 座標変換器、
31、34、512、61、643、6522 加減算器、
32 電流制御器、 33 高周波電圧ベクトル発生器、
51 フィルタ、 52、直交成分抽出器、 511 ノッチフィルタ、
521、531 直交成分選択器、
522、532、534 振幅演算器、
533 平行成分選択器、 62 磁極位置推定器、
63 偏差ベクトル演算部、
64 偏差増幅部、 65 適応観測部、 66 磁束ベクトル検出部、
641、642、644、645 ゲイン行列、 652 状態観測器、
653 積分器、 6521、6523〜6526 ゲイン行列演算器、
6527 速度推定器。

Claims (8)

  1. 交流回転機の電流ベクトルを検出する電流ベクトル検出手段と、電流ベクトル指令と前記検出電流ベクトルを入力し、前記交流回転機を駆動するための基本波電圧ベクトル指令と任意の軸に交番する交番電圧ベクトル指令を加算した電圧ベクトル指令を出力する制御手段と、前記電圧ベクトル指令に基づいて前記交流回転機に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電流ベクトル検出手段で検出された電流ベクトルを入力し、前記交番電圧ベクトル指令に対する平行成分と直交成分の少なくとも一方の交番電流振幅を演算する交番電流振幅演算手段と、前記電流ベクトル指令あるいは前記検出電流ベクトルから交番電流振幅指令を生成する交番電流振幅指令生成手段と、前記交流回転機の推定磁極位置を演算する磁極位置演算手段とを備え、前記磁極位置演算手段は、前記交番電流振幅が前記交番電流振幅指令に一致するようにして前記推定磁極位置を演算することを特徴とする交流回転機の制御装置。
  2. 前記制御手段は、電流ベクトル指令から前記検出電流ベクトルを減算する加減算器と、前記加減算器の出力から前記電流ベクトル指令と前記検出電流ベクトルとの偏差がなくなるように制御して基本波電圧ベクトル指令を生成する電流制御器と、d―q軸上の交番電圧ベクトル指令を発生する交番電圧ベクトル発生器と、前記基本波電圧ベクトル指令と前記交番電圧ベクトル指令とを加算し電圧ベクトル指令を発生する加減算器とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. 前記磁極位置演算手段は、交番電流振幅指令と交番電流振幅の偏差を出力する加減算器と、上記偏差から推定磁極位置を出力する磁極位置推定器から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  4. 前記磁極位置演算手段には、前記交番電流振幅と前記交番電流振幅指令と前記電圧ベクトル指令と前記検出電流ベクトルとが入力されることを特徴とする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  5. 前記磁極位置演算手段は、前記交番電流振幅と前記交番電流振幅指令から検出磁束ベクトルを演算する磁束ベクトル検出部と、前記交流回転機の推定電流ベクトルと推定磁束ベクトルと推定磁極位置を出力する適応観測部と、前記推定電流ベクトルと前記検出電流ベクトルの偏差である電流偏差ベクトルと前記推定磁束ベクトルと前記検出磁束ベクトルの偏差である磁束偏差ベクトルとを出力する偏差ベクトル演算部と、前記電流偏差ベクトルと前記磁束偏差ベクトルを増幅して増幅偏差ベクトルとして前記適応観測部に出力する偏差増幅部とを有し、前記適応観測部が出力する推定磁極位置は、前記推定電流ベクトルと前記推定磁束ベクトルと前記増幅偏差ベクトルと前記電圧ベクトル指令とに基づいて演算することを特徴とする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  6. 前記交番電流振幅指令生成手段は、前記検出電流ベクトルあるいは前記電流ベクトル指令のトルク成分から交番振幅電流指令を演算することを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の交流回転機の制御装置。
  7. 前記交番電圧ベクトル指令は、印加時にトルクが発生しない軸に交番することを特徴とする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  8. 前記制御手段は、任意の一定トルクを発生する際に、前記交番電圧ベクトル指令が、前記電流ベクトルのd-q軸上での軌跡の接線方向にとるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の交流回転機の制御装置。
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