JPWO2020174656A1 - 受信信号処理装置、受信信号処理方法及び光受信器 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に開示されている受信信号処理装置は、カルマンフィルタを用いて、受信信号の位相オフセットを推定している。
特許文献1に開示されている受信信号処理装置では、シンボル判定の誤り伝搬によって受信信号の位相オフセットである位相雑音が変化しても、カルマンフィルタのカルマンゲインが適切に更新されないため、受信信号に含まれている位相雑音が除去されないことがあるという課題があった。
図1は、実施の形態1に係る受信信号処理装置43を含む光伝送装置を示す構成図である。
図2は、実施の形態1に係る受信信号処理装置43のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1において、光伝送装置は、光送信器1、伝送路2、局発光源3及び光受信器4を備えている。
光送信器1は、送信信号処理部10、送信光源14及び電光変換部15を備えている。
送信信号処理部10は、変調部11、送信歪み補償部12及びデジタルアナログ変換器(以下、「D/A変換器」と称する)13を備えている。
多値変調としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四値位相変調)、16−QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)、64−QAM及び256−QAM等が考えられる。
図1に示す光伝送装置では、説明の便宜上、外部からビット時系列として、水平偏波(以下、「X偏波」と称する)と垂直偏波(以下、「Y偏波」と称する)とが、変調部11に入力されるものとする。
変調部11は、外部からX偏波が入力されると、X偏波を多値変調して、X偏波の多値変調信号を送信歪み補償部12に出力する。
変調部11は、外部からY偏波が入力されると、Y偏波を多値変調して、Y偏波の多値変調信号を送信歪み補償部12に出力する。
また、送信歪み補償部12は、変調部11から出力されたシンボル時系列であるY偏波の多値変調信号の歪みを補償し、歪みを補償した後のY偏波の多値変調信号をD/A変換器13に出力する。
送信歪み補償部12におけるシンボル時系列の歪み補償処理としては、複数のシンボルの間の干渉を低減するローパスフィルタリング処理等が考えられる。
D/A変換器13は、アナログ信号の同相成分であるIX信号を電光変換部15に出力し、アナログ信号の直交成分であるQX信号を電光変換部15に出力する。
また、D/A変換器13は、送信歪み補償部12から出力されたY偏波の多値変調信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。
D/A変換器13は、アナログ信号の同相成分であるIY信号を電光変換部15に出力し、アナログ信号の直交成分であるQY信号を電光変換部15に出力する。
電光変換部15は、D/A変換器13から出力されたIX信号、QX信号、IY信号及びQY信号のそれぞれを送信光源14から出力された連続光に重畳することで、変調した光信号である光変調信号を生成し、光変調信号を伝送路2に出力する。
伝送路2は、光ファイバーケーブルによって実現される。
光変調信号は、伝送路2によって、光受信器4まで伝送される。
局発光源3は、送信光源14により生成される連続光の周波数と同じ周波数の局部発振光を生成し、局部発振光を光受信器4に出力する。
光電変換部41は、伝送路2によって伝送された光変調信号を受信する。
光電変換部41は、局発光源3から出力された局部発振光を用いて、受信信号である光変調信号から、IX信号、QX信号、IY信号及びQY信号のそれぞれを抽出する。
光電変換部41により抽出されたIX信号、QX信号、IY信号及びQY信号のそれぞれには雑音が含まれている。
光電変換部41により抽出されたIX信号は、D/A変換器13から出力されたIX信号と区別するために、IX’信号のように表記する。光電変換部41により抽出されたQX信号は、D/A変換器13から出力されたQX信号と区別するために、QX’信号のように表記する。
光電変換部41により抽出されたIY信号は、D/A変換器13から出力されたIY信号と区別するために、IY’信号のように表記する。光電変換部41により抽出されたQY信号は、D/A変換器13から出力されたQY信号と区別するために、QY’信号のように表記する。
光電変換部41は、IX’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気IX’信号をA/D変換器42に出力する。
光電変換部41は、QX’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気QX’信号をA/D変換器42に出力する。
光電変換部41は、IY’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気IY’信号をA/D変換器42に出力する。
光電変換部41は、QY’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気QY’信号をA/D変換器42に出力する。
A/D変換器42は、光電変換部41から出力された電気QX’信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号であるデジタルQX’信号を偏波分離部44に出力する。
A/D変換器42は、光電変換部41から出力された電気IY’信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号であるデジタルIY’信号を偏波分離部44に出力する。
A/D変換器42は、光電変換部41から出力された電気QY’信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号であるデジタルQY’信号を偏波分離部44に出力する。
偏波分離部44は、例えば、図2に示す偏波分離回路51によって実現される。
偏波分離部44は、A/D変換器42から出力されたデジタルIX’信号及びデジタルQX’信号の双方を含む信号をX’偏波信号として周波数誤差補償部45に出力する。
偏波分離部44は、A/D変換器42から出力されたデジタルIY’信号及びデジタルQY’信号の双方を含む信号をY’偏波信号として周波数誤差補償部45に出力する。
X’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれは、受信信号の偏波状態を示しており、X’偏波信号が示す偏波状態とY’偏波信号が示す偏波状態とは、互いに直交している。
X’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれには、送信光源14から出力された連続光の周波数と、局発光源3から出力された局部発振光の周波数との間の誤差である周波数誤差が含まれている。
また、X’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれには、送信光源14及び局発光源3のそれぞれで生じた位相雑音が含まれている。
周波数誤差補償部45は、偏波分離部44から出力されたX’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれに含まれている周波数誤差を除去する。
周波数誤差補償部45は、周波数誤差を除去したX’偏波信号及び周波数誤差を除去したY’偏波信号のそれぞれを位相雑音補償部46に出力する。
位相雑音補償部46は、周波数誤差補償部45から出力されたX’偏波信号に含まれている位相雑音を除去し、周波数誤差補償部45から出力されたY’偏波信号に含まれている位相雑音を除去する。
ベイズ推定部47は、カルマンフィルタを用いて、周波数誤差補償部45から出力されたX’偏波信号に含まれている位相雑音をベイズ推定し、位相雑音の推定値を用いて、周波数誤差補償部45から出力されたX’偏波信号に含まれている位相雑音を除去する。
また、ベイズ推定部47は、カルマンフィルタを用いて、周波数誤差補償部45から出力されたY’偏波信号に含まれている位相雑音をベイズ推定し、位相雑音の推定値を用いて、周波数誤差補償部45から出力されたY’偏波信号に含まれている位相雑音を除去する。
ベイズ推定部47は、位相雑音を除去したX’偏波信号及び位相雑音を除去したY’偏波信号のそれぞれを復調部49に出力する。
重み更新部48は、ベイズ推定部47によって、X’偏波信号に含まれている位相雑音がベイズ推定されると、位相雑音の推定値を累積する。重み更新部48は、累積した推定値である累積位相雑音に基づいて、X’偏波信号に含まれている位相雑音のベイズ推定に用いられるカルマンフィルタのカルマンゲインをベイズ推定部47に更新させる。
また、重み更新部48は、ベイズ推定部47によって、Y’偏波信号に含まれている位相雑音がベイズ推定されると、位相雑音の推定値を累積する。重み更新部48は、累積した推定値である累積位相雑音に基づいて、Y’偏波信号に含まれている位相雑音のベイズ推定に用いられるカルマンフィルタのカルマンゲインをベイズ推定部47に更新させる。
復調部49は、ベイズ推定部47により位相雑音が除去されたX’偏波信号及びベイズ推定部47により位相雑音が除去されたY’偏波信号のそれぞれをビット時系列に変換する。
復調部49は、それぞれのビット時系列を外部に出力する。
ここで、偏波分離回路51、周波数誤差補償回路52、ベイズ推定回路53、重み更新回路54及び復調回路55のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
受信信号処理装置43が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、偏波分離部44、周波数誤差補償部45、ベイズ推定部47、重み更新部48及び復調部49の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ61に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ62がメモリ61に格納されているプログラムを実行する。
図4は、受信信号処理装置43の処理手順である受信信号処理方法を示すフローチャートである。
また、図2では、受信信号処理装置43の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、図3では、受信信号処理装置43がソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、受信信号処理装置43における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
位相雑音補償部46において、X’偏波信号に含まれている位相雑音θ(k)を除去するための構成と、Y’偏波信号に含まれている位相雑音θ(k)を除去するための構成とが同じであり、位相雑音補償部46は、双方の構成を備えている。
図5に示す構成図は、X’偏波信号に含まれている位相雑音θ(k)を除去するための構成、又は、Y’偏波信号に含まれている位相雑音θ(k)を除去するための構成を示している。
以下、説明の便宜上、周波数誤差補償部45から出力されたX’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれが、偏波信号r(k)であるとして説明する。
図5において、乗算器71は、周波数誤差補償部45から出力された偏波信号r(k)と複素共役演算器80から出力された複素共役値exp[−j・θハット(k|k−1)]とを乗算する。kは、光受信器4により受信された光変調信号である受信信号のサンプル番号である。
乗算器71は、偏波信号r(k)と複素共役値exp[−j・θハット(k|k−1)]との乗算結果m1(k)を判定部72に出力する。
明細書の文章中では、電子出願の関係上、θの文字の上に“^”の記号を付することができないので、「θハット」のように表記している。
判定部72は、シンボル判定処理の判定結果を示す判定シンボルd(k)を乗算器73及びカルマンゲイン更新部75のそれぞれに出力する。
乗算器73は、判定部72から出力された判定シンボルd(k)と冪演算器79から出力された冪演算値exp[j・θハット(k|k−1)]とを乗算する。
乗算器73は、判定シンボルd(k)と冪演算値exp[j・θハット(k|k−1)]との乗算結果m2(k)を減算器74に出力する。
減算器74は、算出したイノベーション変数e(k)をカルマンゲイン更新部75に出力する。
カルマンゲイン更新部75は、確率密度関数算出部93から出力された確率密度関数p[φ(k)]をカルマンフィルタのカルマンゲインG(k)に乗算することで、カルマンゲインG(k)を更新する。
カルマンゲイン更新部75は、更新後のカルマンゲインG’(k)と減算器74から出力されたイノベーション変数e(k)とを乗算し、更新後のカルマンゲインG’(k)とイノベーション変数e(k)との乗算結果m3(k)を加算器76に出力する。
位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)は、サンプル番号が(k−1)の時点で予測される、サンプル番号がkの時点の位相雑音の事前確率に相当する。
位相雑音の事後推定値θハット(k|k)は、サンプル番号がkの時点の位相雑音の推定値である。
加算器76は、算出した位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を冪演算器77及び総和演算器91のそれぞれに出力する。
冪演算器77は、冪演算の演算結果である冪演算値exp[j・θハット(k|k)]を複素共役演算器81に出力する。
また、冪演算器77は、加算器76から出力された位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を遅延部78に出力する。
遅延部78は、1サンプル時間だけ保持した位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)として加算器76及び冪演算器79のそれぞれに出力する。
冪演算器79は、遅延部78から出力された位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)に対して、ネイピア数がeで、冪指数がjの冪演算を実施する。
冪演算器79は、冪演算の演算結果である冪演算値exp[j・θハット(k|k−1)]を乗算器73及び複素共役演算器80のそれぞれに出力する。
複素共役演算器81は、冪演算器77から出力された冪演算値exp[j・θハット(k|k)]に対する複素共役演算を実施し、複素共役の演算結果である複素共役値exp[−j・θハット(k|k)]を乗算器82に出力する。
乗算器82は、偏波信号r(k)と複素共役値exp[−j・θハット(k|k)]との乗算結果r(k)・exp[−j・θハット(k|k)]を、位相雑音を除去した偏波信号sハット(k)として復調部49に出力する。
累積位相雑音算出部90は、ベイズ推定部47により位相雑音θハット(k)がベイズ推定されると、位相雑音θハット(k)の推定値を累積することで、累積した推定値である累積位相雑音φ(k)を算出する。
累積位相雑音算出部90は、算出した累積位相雑音φ(k)を確率密度関数算出部93に出力する。
総和演算器91は、位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)に対して、ネイピア数がeで、冪指数がjの冪演算を実施する。
総和演算器91は、サンプル番号が、(k−N)〜(k−1)の冪演算の演算結果である冪演算値exp[j・θハット(k|k−i)]の総和を算出する。i=1,・・・,Nである。Nは、2以上の整数である。
総和演算器91は、算出した総和を平均演算器92に出力する。
平均演算器92は、算出した平均値を、累積位相雑音φ(k)として確率密度関数算出部93に出力する。
確率密度関数算出部93は、平均演算器92から出力された累積位相雑音φ(k)の確率密度関数p[φ(k)]を算出する。
確率密度関数算出部93は、算出した確率密度関数p[φ(k)]をカルマンゲイン更新部75に出力する。
変調部11は、外部からX偏波が入力されると、X偏波を多値変調して、X偏波の多値変調信号を送信歪み補償部12に出力する。
また、変調部11は、外部からY偏波が入力されると、Y偏波を多値変調して、Y偏波の多値変調信号を送信歪み補償部12に出力する。
図1に示す光伝送装置では、外部からX偏波とY偏波とが変調部11に入力されている。しかし、これは一例に過ぎず、外部から1つの偏波が変調部11に入力されるものであってもよい。
また、送信歪み補償部12は、変調部11からY偏波の多値変調信号を受けると、Y偏波の多値変調信号の歪みを補償し、歪みを補償した後のY偏波の多値変調信号をD/A変換器13に出力する。
D/A変換器13は、当該アナログ信号の同相成分であるIX信号を電光変換部15に出力し、当該アナログ信号の直交成分であるQX信号を電光変換部15に出力する。
また、D/A変換器13は、送信歪み補償部12から、歪みを補償した後のY偏波の多値変調信号を受けると、歪みを補償した後のY偏波の多値変調信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。
D/A変換器13は、当該アナログ信号の同相成分であるIY信号を電光変換部15に出力し、当該アナログ信号の直交成分であるQY信号を電光変換部15に出力する。
電光変換部15は、D/A変換器13から出力されたIX信号、QX信号、IY信号及びQY信号のそれぞれを送信光源14から出力された連続光に重畳することで光変調信号を生成する。
電光変換部15は、生成した光変調信号を伝送路2に出力する。
光変調信号は、伝送路2によって、光受信器4の光電変換部41まで伝送される。
伝送路2では、例えば、加法性白色ガウス雑音(AWGN:Additive White Gaussian Noise)が光変調信号に付加されることがある。
局発光源3は、局部発振光を生成し、局部発振光を光電変換部41に出力する。
光電変換部41は、抽出したIX’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気IX’信号をA/D変換器42に出力する。
光電変換部41は、抽出したQX’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気QX’信号をA/D変換器42に出力する。
光電変換部41は、抽出したIY’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気IY’信号をA/D変換器42に出力する。
光電変換部41は、抽出したQY’信号を電気信号に変換し、電気信号である電気QY’信号をA/D変換器42に出力する。
A/D変換器42は、光電変換部41から電気QX’信号を受けると、電気QX’信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号であるデジタルQX’信号を偏波分離部44に出力する。
A/D変換器42は、光電変換部41から電気IY’信号を受けると、電気IY’信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号であるデジタルIY’信号を偏波分離部44に出力する。
A/D変換器42は、光電変換部41から電気QY’信号を受けると、電気QY’信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号であるデジタルQY’信号を偏波分離部44に出力する。
偏波分離部44は、A/D変換器42からデジタルIY’信号及びデジタルQY’信号を受けると、デジタルIY’信号及びデジタルQY’信号の双方を含む信号をY’偏波信号として周波数誤差補償部45に出力する(図4のステップST1)。
X’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれには、送信光源14から出力された連続光の周波数と、局発光源3から出力された局部発振光の周波数との間の誤差である周波数誤差Δfが含まれている。
また、X’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれには、送信光源14及び局発光源3のそれぞれで生じた位相雑音の総和である位相雑音θ(k)が含まれている。
偏波信号に含まれている周波数誤差Δfを除去する処理自体は、公知の技術であるため、詳細な説明を省略する。例えば、以下の非特許文献1には、偏波信号に含まれている周波数誤差Δfを除去する処理が開示されている。
[非特許文献1]
A. Leven et al.,“Frequency Estimation in Intradyne Reception” IEEE Photon. Technol. Lett., Vol. 19, No. 6, pp. 366-368, (2007).
周波数誤差補償部45は、周波数誤差Δfを除去したX’偏波信号及び周波数誤差Δfを除去したY’偏波信号のそれぞれを位相雑音補償部46に出力する。
また、ベイズ推定部47は、周波数誤差補償部45からY’偏波信号を受けると、カルマンフィルタを用いて、Y’偏波信号に含まれている位相雑音θ(k)をベイズ推定する。ベイズ推定部47は、位相雑音θ(k)の推定値を用いて、Y’偏波信号に含まれている位相雑音θ(k)を除去する(図4のステップST3)。
以下、X’偏波信号及びY’偏波信号のそれぞれが、偏波信号r(k)で表されるものとして、ベイズ推定部47による位相雑音θ(k)の除去処理を具体的に説明する。
式(1)において、n(k)は、状態雑音であり、状態雑音n(k)は、位相雑音θ(k)と異なる雑音である。
式(2)において、w(k)は、観測雑音である。観測雑音w(k)は、位相雑音θ(k)に含まれている。
乗算器71は、偏波信号r(k)と複素共役値exp[−j・θハット(k|k−1)]との乗算結果m1(k)を判定部72に出力する。
判定部72は、シンボル判定処理の判定結果を示す判定シンボルd(k)を乗算器73及びカルマンゲイン更新部75のそれぞれに出力する。
例えば、X偏波の多値変調信号及びY偏波の多値変調信号のそれぞれがQPSK信号である場合、判定部72は、QPSK信号における4つのシンボル“11”、“01”、“00”、“10”のそれぞれと、乗算結果m1(k)とのユークリッド距離を算出する。
判定部72は、QPSK信号における4つのシンボル“11”、“01”、“00”、“10”のうち、乗算結果m1(k)とのユークリッド距離が最小のシンボルを判定シンボルd(k)とする。
乗算器73は、判定シンボルd(k)と冪演算値exp[j・θハット(k|k−1)]との乗算結果m2(k)を減算器74に出力する。
減算器74は、算出したイノベーション変数e(k)をカルマンゲイン更新部75に出力する。
カルマンゲイン更新部75は、誤差共分散P(k−1|k−1)を以下の式(6)に代入することで、位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)に係る誤差共分散P(k|k−1)を算出する。
式(6)において、Qは、観測雑音w(k)の共分散であり、固定値である。観測雑音w(k)の共分散Qは、例えば、カルマンゲイン更新部75の内部メモリに格納されている。観測雑音w(k)の共分散Qは、図1に示す光受信器4の外部からカルマンゲイン更新部75に与えられるものであってもよい。
式(7)において、*は、共役を示す数学記号である。
カルマンゲイン更新部75は、1サンプル後において、カルマンゲインG(k)を算出できるようにするため、算出した誤差共分散P(k|k−1)を以下の式(8)に代入することで、誤差共分散P(k|k)を算出する。
カルマンゲイン更新部75の内部メモリは、誤差共分散P(k|k)を、1サンプル前の誤差共分散P(k−1|k−1)として保持する。
カルマンゲイン更新部75は、以下の式(10)に示すように、更新後のカルマンゲインG’(k)と減算器74から出力されたイノベーション変数e(k)とを乗算する。
カルマンゲイン更新部75は、更新後のカルマンゲインG’(k)とイノベーション変数e(k)との乗算結果m3(k)を加算器76に出力する。
加算器76は、算出した位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を冪演算器77及び総和演算器91のそれぞれに出力する。
冪演算器77は、冪演算の演算結果である冪演算値exp[j・θハット(k|k)]を複素共役演算器81に出力する。
また、冪演算器77は、加算器76から出力された位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を遅延部78に出力する。
遅延部78は、1サンプル時間だけ保持した位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)として加算器76及び冪演算器79のそれぞれに出力する。
冪演算器79は、冪演算の演算結果である冪演算値exp[j・θハット(k|k−1)]を乗算器73及び複素共役演算器80のそれぞれに出力する。
複素共役演算器80は、複素共役の演算結果である複素共役値exp[−j・θハット(k|k−1)]を乗算器71に出力する。
複素共役演算器81は、複素共役演算の演算結果である複素共役値exp[−j・θハット(k|k)]を乗算器82に出力する。
乗算器82は、偏波信号r(k)と複素共役値exp[−j・θハット(k|k)]との乗算結果r(k)・exp[−j・θハット(k|k)]を、位相雑音を除去した偏波信号sハット(k)として復調部49に出力する。
復調部49は、それぞれのビット時系列を外部に出力する。
例えば、X偏波の多値変調信号及びY偏波の多値変調信号のそれぞれがQPSK信号である場合、復調部49は、QPSK信号における4つのシンボル“11”、“01”、“00”、“10”のそれぞれと、偏波信号sハット(k)とのユークリッド距離を算出する。
復調部49は、QPSK信号における4つのシンボル“11”、“01”、“00”、“10”のうち、偏波信号sハット(k)とのユークリッド距離が最小のシンボルをビット時系列として外部に出力する。
重み更新部48は、確率密度関数p[φ(k)]に基づいて、X’偏波信号に含まれている位相雑音のベイズ推定に用いられるカルマンフィルタのカルマンゲインG(k)をカルマンゲイン更新部75に更新させる(図4のステップST4)。
また、重み更新部48は、ベイズ推定部47によって、偏波信号r(k)で表されるY’偏波信号に含まれている位相雑音θハット(k)がベイズ推定されると、位相雑音θハット(k)の推定値を累積する。重み更新部48は、累積した推定値である累積位相雑音φ(k)の確率密度関数p[φ(k)]を算出する。
重み更新部48は、確率密度関数p[φ(k)]に基づいて、Y’偏波信号に含まれている位相雑音のベイズ推定に用いられるカルマンフィルタのカルマンゲインG(k)をカルマンゲイン更新部75に更新させる(図4のステップST4)。
カルマンゲイン更新部75がカルマンゲインG(k)を更新することで、ベイズ推定部47における位相雑音θハット(k)の除去精度が向上する。
以下、重み更新部48による確率密度関数p[φ(k)]の算出処理を具体的に説明する。
総和演算器91は、1サンプル時間だけ保持した位相雑音の事後推定値θハット(k|k)を位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)とする。
総和演算器91は、位相雑音の事前推定値θハット(k|k−1)に対して、ネイピア数がeで、冪指数がjの冪演算を実施する。
総和演算器91は、サンプル番号が、(k−N)〜(k−1)の冪演算の演算結果である冪演算値exp[j・θハット(k|k−i)]の総和を算出する。i=1,・・・,Nである。Nは、2以上の整数である。
総和演算器91は、算出した総和を平均演算器92に出力する。
平均演算器92は、算出した平均値を、累積位相雑音φ(k)として確率密度関数算出部93に出力する。
式(14)において、min{x,y}は、xとyのうち、小さい方を選択する旨を示す数学記号である。
確率密度関数算出部93は、算出した確率密度関数p[φ(k)]をカルマンゲイン更新部75に出力する。
図6では、N=20である場合の確率密度関数p[φ(k)]を示している。図6の横軸は、正規化した累積位相雑音φ(k)を示し、図6の縦軸は、確率密度を示している。
式(15)によって算出された確率密度関数p[φ(k)]と、式(14)に示す近似式によって算出された確率密度関数p[φ(k)]との誤差は、図6に示すように、ほとんどなく、当該誤差は、カルマンゲインG(k)を更新する上でほとんど影響を与えないものである。
位相雑音θハット(k)の影響によって、判定部72から乗算器73に出力された判定シンボルd(k)に誤りが生じている場合、イノベーション変数e(k)の絶対値が大きくなる。
イノベーション変数e(k)の絶対値が大きくなることで、累積位相雑音算出部90により算出される累積位相雑音φ(k)が小さくなり、確率密度関数算出部93により算出される確率密度関数p[φ(k)]が小さくなる。
確率密度関数p[φ(k)]が小さくなることで、カルマンゲイン更新部75による更新後のカルマンゲインG’(k)が小さくなる。
更新後のカルマンゲインG’(k)が小さくなることで、式(11)に示す位相雑音の事後推定値θハット(k|k)では、イノベーション変数e(k)の項の重みが小さくなる。したがって、位相雑音θハット(k)の影響によるシンボル判定の誤り伝搬が抑えられる。
偏波信号sハット(k)の位相のシミュレーションでは、変調部11が、多値変調信号として、線幅シンボルレート積が1×10−5の256−QAM信号を出力するものとしている。また、偏波信号sハット(k)の位相のシミュレーションでは、光受信器4により受信された256−QAM信号の信号対雑音比(SNR:Signal−to−Noise Ratio)が27dBであるものとしている。
図7において、実線は、図1に示す位相雑音補償部46から復調部49に出力された偏波信号sハット(k)の位相を示している。
一点鎖線は、重み更新部48を備えずに、ベイズ推定部47のみを備えている位相雑音補償部から復調部49に出力された偏波信号sハット(k)の位相を示している。
点線は、偏波信号sハット(k)の位相の真値である。
したがって、重み更新部48を備えずに、ベイズ推定部47のみを備えている位相雑音補償部を有する光受信器では、位相雑音θハット(k)の影響によるシンボル判定の誤り伝搬が生じている。
図1に示す位相雑音補償部46から復調部49に出力された偏波信号sハット(k)の位相は、図7に示すように、位相の真値とほぼ一致している。
したがって、図1に示す光受信器4では、位相雑音の影響によるシンボル判定の誤り伝搬がほとんど生じていない。
図9は、変調部11から出力される多値変調信号が16−QAM信号である場合の線幅シンボルレート積に対するSNRペナルティを示す説明図である。
図10は、変調部11から出力される多値変調信号が64−QAM信号である場合の線幅シンボルレート積に対するSNRペナルティを示す説明図である。
図11は、変調部11から出力される多値変調信号が128−QAM信号である場合の線幅シンボルレート積に対するSNRペナルティを示す説明図である。
図8から図10において、実線は、図1に示す光受信器4のSNRペナルティを示し、一点鎖線は、重み更新部48を備えずに、ベイズ推定部47のみを備えている位相雑音補償部を有する光受信器のSNRペナルティを示している。
点線は、カルマンフィルタを用いる代わりに、ブラインド位相探索(BPS:Blind Phase Search)アルゴリズムを実施することで、位相雑音を推定している光受信器(非特許文献2を参照)のSNRペナルティを示している。
SNRペナルティは、小さいほど、SNRが良好である旨を示す指標である。
[非特許文献2]
T. Pfau et al.,“Hardware-efficient coherent digital receiver concept with feedforward carrier recovery for M-QAM constellations,” J. Lightw. Technol., vol. 27, no. 8, pp. 989-999, (2009).
また、図1に示す光受信器4のSNRペナルティは、図8から図11に示すように、BPSアルゴリズムを実施することで、位相雑音を推定している光受信器のSNRペナルティよりも、小さくなっている。
実施の形態2では、累積位相雑音算出部90により累積された累積位相雑音φ(k)と閾値φthとの比較結果に対応する値を返す単位ステップ関数U[φ(k)−φth]を、確率密度関数p[φ(k)]として算出する確率密度関数算出部94を備える受信信号処理装置43について説明する。
図12は、実施の形態2に係る受信信号処理装置43の位相雑音補償部46を示す構成図である。図12において、図5と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
確率密度関数算出部94は、平均演算器92から出力された累積位相雑音φ(k)と閾値φthとの比較結果に対応する値を返す単位ステップ関数U[φ(k)−φth]を、累積位相雑音φ(k)の確率密度関数p[φ(k)]として算出する。
確率密度関数算出部94は、算出した確率密度関数p[φ(k)]をカルマンゲイン更新部75に出力する。
確率密度関数算出部94の内部メモリは、閾値φthを記憶している。しかし、これは一例に過ぎず、閾値φthは、図1に示す光受信器4の外部から確率密度関数算出部94に与えられるものであってもよい。
確率密度関数算出部94以外は、図1に示す光伝送装置と同様であるため、ここでは、確率密度関数算出部94の動作のみを説明する。
確率密度関数算出部94は、平均演算器92から累積位相雑音φ(k)を受けると、累積位相雑音φ(k)と、閾値φthとを以下の式(16)に代入することで、単位ステップ関数U[φ(k)−φth]を算出する。
位相雑音θハット(k)の影響によって、判定部72から乗算器73に出力された判定シンボルd(k)に誤りが生じている場合、イノベーション変数e(k)の絶対値が大きくなる。
イノベーション変数e(k)の絶対値が大きくなることで、累積位相雑音算出部90により算出される累積位相雑音φ(k)が小さくなり、確率密度関数算出部94により算出される確率密度関数p[φ(k)]が零になる確率が高くなる。
確率密度関数p[φ(k)]が零になることで、式(11)に示す位相雑音の事後推定値θハット(k|k)では、イノベーション変数e(k)の項がなくなる。したがって、位相雑音θハット(k)の影響によるシンボル判定の誤り伝搬が抑えられる。
Claims (8)
- カルマンフィルタを用いて、シンボル時系列が重畳されている受信信号の偏波状態を示す偏波信号に含まれている位相雑音をベイズ推定し、前記位相雑音の推定値を用いて、前記偏波信号に含まれている位相雑音を除去するベイズ推定部と、
前記ベイズ推定部により位相雑音がベイズ推定されると、前記位相雑音の推定値を累積し、累積した推定値である累積位相雑音に基づいて、前記カルマンフィルタのカルマンゲインを前記ベイズ推定部に更新させる重み更新部と
を備えた受信信号処理装置。 - 前記ベイズ推定部により位相雑音が除去された偏波信号をビット時系列に変換する復調部を備えたことを特徴とする請求項1記載の受信信号処理装置。
- 前記重み更新部は、
前記ベイズ推定部により位相雑音がベイズ推定されると、前記位相雑音の推定値を累積することで、前記累積位相雑音を算出する累積位相雑音算出部と、
前記累積位相雑音算出部により算出された累積位相雑音の確率密度関数を算出する確率密度関数算出部とを備え、
前記ベイズ推定部は、
前記確率密度関数算出部により算出された確率密度関数を前記カルマンフィルタのカルマンゲインに乗算することで、前記カルマンゲインを更新するカルマンゲイン更新部を備えていることを特徴とする請求項1記載の受信信号処理装置。 - 前記重み更新部は、
前記ベイズ推定部により位相雑音がベイズ推定されると、前記位相雑音の推定値を累積することで、前記累積位相雑音を算出する累積位相雑音算出部と、
前記累積位相雑音算出部により算出された累積位相雑音と閾値との比較結果に対応する値を返す単位ステップ関数を、前記累積位相雑音の確率密度関数として算出する確率密度関数算出部とを備え、
前記ベイズ推定部は、
前記確率密度関数算出部により算出された確率密度関数を前記カルマンフィルタのカルマンゲインに乗算することで、前記カルマンゲインを更新するカルマンゲイン更新部を備えていることを特徴とする請求項1記載の受信信号処理装置。 - ベイズ推定部が、カルマンフィルタを用いて、シンボル時系列が重畳されている受信信号の偏波状態を示す偏波信号に含まれている位相雑音をベイズ推定し、前記位相雑音の推定値を用いて、前記偏波信号に含まれている位相雑音を除去し、
重み更新部が、前記ベイズ推定部により位相雑音がベイズ推定されると、前記位相雑音の推定値を累積し、累積した推定値である累積位相雑音に基づいて、前記カルマンフィルタのカルマンゲインを前記ベイズ推定部に更新させる
受信信号処理方法。 - シンボル時系列が重畳されている受信信号を光信号から電気信号に変換する光電変換部と、
前記電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、
前記デジタル信号の偏波状態を示す偏波信号に含まれている位相雑音をベイズ推定し、前記位相雑音の推定値を用いて、前記偏波信号に含まれている位相雑音を除去するベイズ推定部と、
前記ベイズ推定部により位相雑音がベイズ推定されると、前記位相雑音の推定値を累積し、累積した推定値である累積位相雑音に基づいて、前記カルマンフィルタのカルマンゲインを前記ベイズ推定部に更新させる重み更新部と、
前記ベイズ推定部により位相雑音が除去された偏波信号をビット時系列に変換する復調部と
を備えた光受信器。
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