JPWO2020174644A1 - 複数サンプルを独立して電気泳動可能な電気泳動装置 - Google Patents

複数サンプルを独立して電気泳動可能な電気泳動装置 Download PDF

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Abstract

電気泳動装置を、カートリッジを任意のタイミングで設置できること、カートリッジを設置した順に前処理プロセスが実行できること、前処理プロセスが終わった順に電気泳動プロセスに移行できることを課題とする。上記課題を解決するために、本発明の電気泳動装置は、分離媒体が充填される複数本のキャピラリと、キャピラリを所定の温度に保持する恒温槽と、キャピラリを用いた電気泳動時に光の照射と検出を行う照射検出部と、キャピラリに電圧を印加する高電圧電源ユニットと、容器を搬送するためのオートサンプラーとを有し、高電圧電源ユニットによる電圧印加は、キャピラリごとに制御されることを特徴とする。

Description

本発明は、これまで複数検体を同時に行っていた前処理プロセスにおけるカートリッジの保持機能、送液機能、撹拌機能、加熱冷却機能、電気泳動プロセスのポリマー充填機能と電圧印加機能を1検体ごとに独立して稼働させることで、複数のサンプル入りカートリッジを任意のタイミングで設置でき、且つ前処理プロセス及び電気泳動プロセスを短いTATで実行できる電気泳動装置である。
核酸分析を用いたアプリケーションが法医科学、入出国管理、テロ対策などの分野で実用化されている。
例えば法医科学分野では、STR解析が実用化されている。STR解析はゲノム中のある領域の繰返し塩基配列(Short Tandem Repeat: STR)を分析する。STR塩基配列の長さが個人固有であることを用い、個人識別や親子鑑定などDNA鑑定を行う。
特許文献1には、米FBIが指定する13種類の領域を一度に解析するSTR解析方法が開示されている。STR解析は、まず検体サンプルを生物(主に人体)から採取する。採取した検体サンプルから、DNAを抽出し、DNA増幅、DNAの一本鎖変性を行う。次に、DNAフラグメントの分離、DNAフラグメントの検出の順で解析が行われる。
手順をさらに詳細に説明すると、まず生体サンプルまたは生体由来物質のサンプル等の検体サンプルからテンプレートとなる核酸(多くはDNAである)を抽出する。さらに、抽出したテンプレートDNAをPCR反応(ポリメラーゼ連鎖反応 Polymerase Chain Reaction)で増幅して、さらにホルムアミド処理または加熱と急速冷却によってDNA二本鎖を一本鎖に変性させる。DNA増幅では、ひとつの測定DNAサンプルに対して、13種類のプライマーセットを用いて多重PCR増幅を行う。DNA増幅中に増幅産物であるDNAフラグメントをラベル化する。このDNA増幅とラベル化を行った溶液が解析サンプルである。
前述の検体サンプルから解析サンプルを作るに至るまでの工程を前処理プロセスとすると、ラベル化DNAフラグメントを電気泳動で分離し、得られた分離DNAフラグメントの電気泳動パターンを検出して分析するまでが、電気泳動プロセスである。
これまでDNAフラグメントの分離、DNAフラグメントの検出は、ヒトゲノム解析によって広く知られるDNAシーケンサなどによって自動化が積極的に行われてきた。一方で、前処理プロセスにおいてはこれまで熟練者による手作業によって行われる事が一般的であったが、近年この前処理プロセスを自動化することで、STR解析を含む多くの遺伝子解析について、限られた施設と熟練者だけでなく、より多くのケースにおいて使われるような試みが為されている。
例えば特許文献2では、サンプル以外のDNAやRNAの混入を防止するために、試薬類が外気と遮断した状態で封入された試薬類保存デバイスが示されている。特許文献3では、試薬類保存デバイスと類似の構成を持つ生化学用カートリッジが外気と遮断した状態でピペットや分注ロボットなどを使用せずに試薬類を送液し、撹拌するための構成が示されている。また、特許文献4では、同じく生化学用カートリッジ内部でPCR反応を行うに適した温調機構、温調ブロック及び生化学処理装置の構成が示されている。
これらの特許文献により、試薬類保存デバイスまたは生化学カートリッジに投入されたDNAサンプルは、外気と遮断された状態で送液され、撹拌され、温調される事で増幅し、ラベル化されてフラグメント解析できる状態の解析サンプルとなる。特許文献5には、解析サンプルを検出する手段を含めた前処理・電気泳動用一体型カートリッジ、前処理一体型キャピラリ電気泳動装置に関する構成が示されている。
特許文献1:米国特許第6531282
特許文献2:特許第6216451号
特許文献3:特許第6202713号
特許文献4:特許第6012518号
特許文献5:特許第6029366号
しかしながら、これらの様々なSTR解析に関する自動化技術が考案されているにも関わらず、未だこれらの自動化技術がSTR解析の主流となっていない。その原因のひとつとして、STR解析全体のturnaround time(以下、TAT)の問題がある。TATには情報や航空などの分野で様々な意味があるが、総じてひとつの仕事が終わるまでの時間を指す。前処理プロセスを自動化したSTR解析においては、ユーザーがDNAやたんぱく質等を含む検体サンプルをデバイスに投入してから、装置が解析結果を表示するまでの時間がTATと言える。すると、その中には、主に前処理プロセスと、電気泳動プロセスがある。前処理プロセスには、検体サンプルの投入、DNAの抽出、DNAの増幅、DNAの一本鎖への変性の大きく4つのステップが含まれ、電気泳動プロセスには、DNAフラグメントの分離、DNAフラグメントの検出、解析結果の表示の3つのステップが含まれる。
当然ながら、ユーザーにとってこの時間は単純な待ち時間となるため、短いTATであることが望ましい。
短いTATを実現するひとつの方法として、一般的に二つのアプローチが考えられる。一つひとつの工程を短くするアプローチと、工程と工程の間の待ち時間を低減するアプローチである。
一つひとつの工程を短くするアプローチについて、STR解析全体で大きく時間を取るのは、前処理プロセスにおけるDNA増幅と、電気泳動プロセスにおけるDNAフラグメントの分離である。これらの工程にかかる時間を短縮するために、試薬メーカーを含めて開発に尽力しており、世代を追うごとにわずかながら短縮している。
発明者が注目したのは、もう一方の、工程と工程の待ち時間を低減するアプローチである。前処理プロセスを経て生成された解析サンプルが電気泳動プロセスに移行する工程については、特許文献5に記載がある。これによると、まずカートリッジ内部でサイクルシーケンス区画のサンプルが泳動溶液槽に送液され、さらにカートリッジを載せたオートサンプラーが移動して泳動溶液槽と陽極緩衝液槽にキャピラリの両端が接する。次にキャピラリの両端に弱い電圧が短時間印加され、適量のサンプルが分離媒体を充填したキャピラリに導入される。その後は陰極緩衝液槽と陽極緩衝液槽にキャピラリの両端を浸し、高電圧を印加して温調された分離媒体によりDNAフラグメントを分離する。さらに、レーザが発する照射光により励起された蛍光を検出器が検出することで、DNAフラグメントを検出する。
しかしながら、特許文献5に記載の構成で示されるものは、1台の装置と1個のカートリッジを用いて行われる電気泳動と蛍光検出である。特許文献3の構成もまた、ひとつの検体サンプルに対して1台の装置を要する構成である。当然ながら、1台の装置が1つの検体しか解析できない構成よりも、1台の装置が複数の検体を解析できる装置の方が、一般的に高スループットである。
特許文献2に記載された構成は複数の検体に対する前処理プロセスの自動化を記載しているが、複数の前処理プロセスを終えた解析サンプルをどのように電気泳動と検出を行うかについて記載していない。よって、複数の検体サンプルが同時に用意される場合においては、特許文献2と特許文献5の構成を組み合わせることで短いTATが実現できる。すなわち、特許文献2の前処理プロセスを行うことで、同時に解析サンプルを生成することができる。特許文献2の構成が特許文献5のようにオートサンプラーに搭載されていれば、そのまま複数の解析サンプルを同時にキャピラリに接続することができる。
前述のとおり、複数の検体サンプルが同時に用意される場合においては、既存の特許文献の組み合わせによって、前処理プロセス、電気泳動プロセス共に短いTATのSTR自動分析装置を実現できる。
しかしながら、複数の検体サンプルが同時に用意することは実際の使用条件として困難なケースが想定される。例えば犯罪捜査の個人識別では、検体サンプルが複数集まるまで解析を待つことは事件の解決を遅延させることに繋がる。また、災害時の個人識別では、救助活動の方針を左右する。
一方で、検体サンプルが得られた順に解析を行えば、ランニングコストが増してしまう。また、装置のランニング中に別の検体サンプルが届いても、全ての工程が終わるまで、次の検体サンプルのランニングを開始できないことが一般的である。
つまり、測定したい検体サンプルAが設置され、前処理プロセスを行っている最中に検体サンプルBが持ち込まれたり、検体サンプルBが電気泳動中に検体サンプルCが持ち込まれたりすることが想定される状況において、柔軟に対応できることが望まれている。
当然ながら要求を満たすだけの1検体解析装置が大量に導入されていれば柔軟な対応が可能である。しかしながら、時期や規模の予測が難しい犯罪捜査や災害の為に、1検体のみを解析する装置を大量に用意しておく事も、ユーザーにとって大きな負担である。
すなわち、ユーザーに求められているのは、複数の検体サンプル入りカートリッジを任意のタイミングで設置でき、且つ前処理プロセス及び電気泳動プロセスを短いTATで実行できる電気泳動装置である。これらを達成するために、既存の装置と先行技術文献の組み合わせで達成できない課題は次の3点である。
(1)カートリッジを任意のタイミングで設置できること
(2)カートリッジを設置した順に前処理プロセスが実行できること
(3)前処理プロセスが終わった順に電気泳動プロセスに移行できること
本発明の電気泳動装置は、分離媒体が充填される複数本のキャピラリと、キャピラリを所定の温度に保持する恒温槽と、キャピラリを用いた電気泳動時に光の照射と検出を行う照射検出部と、キャピラリに電圧を印加する高電圧電源ユニットと、容器を搬送する移動ステージを備えたオートサンプラーとを有し、高電圧電源ユニットによる電圧印加はキャピラリごとに制御されることを特徴とする。
前述の構成により、以下の効果が得られる。
(1)カートリッジを任意のタイミングで設置できること
(2)カートリッジを設置した順に前処理プロセスが実行できること
(3)前処理プロセスが終わった順に電気泳動プロセスに移行できること
前処理一体型電気泳動装置の斜視図。 筒状のポリマー容器とポリマーデリバリーユニットを示す図。 袋形状のポリマー容器とポリマーデリバリーユニットを示す図。 キャピラリアレイの概要図。 キャピラリ一部拡大図 高電圧電源とキャピラリの接続を示す図。 実施例1の高電圧の制御を示す図。 前処理一体型電気泳動装置の上面図。 情報処理システムを示す図。 実施例2の前処理一体型電気泳動装置の斜視図。 実施例2のポンプユニットを示す図。 実施例2のポンプユニットの電流を示す模式図。 実施例3のポンプユニットを示す図。 実施例4の高電圧の制御を示す図。 実施例5の高電圧の制御を示す図。 実施例6の高電圧の制御を示す図。 実施例7のキャピラリアレイを示す図。 実施例8の加熱冷却ユニットを示す図。 実施例9の加熱冷却ユニットを示す図。 実施例10の加熱冷却ユニットを示す図。 実施例11の加熱冷却ユニットを示す図。 実施例12の電気泳動装置を示す図。
例えば最大4つのサンプルカートリッジを設置でき、且つ前述の課題(1)(2)(3)を満たす装置を開発する場合、それぞれ4つのサンプルカートリッジと4本のキャピラリが設置できる装置に、全ての構成部品が4つずつ独立して存在する構成は、容易に実現が可能である。しかしながら、それは装置を4台並べることと大差がない。そこで、低コストでユーザーに提供する事がユーザーメリットに繋がるため、共有できる機能や部品はできる限り共有することを目的として検討を行った。4つのサンプルカートリッジ、4本のキャピラリを例に検討を行ったが、サンプルカートリッジ及びキャピラリを複数設置できれば良く、サンプルカートリッジ及びキャピラリの数に限定されない。
前述の課題に対し、これまで複数検体を同時に行っていた前処理プロセスにおけるカートリッジの保持機能、送液機能、撹拌機能、加熱冷却機能、電気泳動プロセスのポリマー充填機能と電圧印加機能を1検体ごとに独立して稼働させることができれば、課題が解決する事と、それを実現するための構造を見出した。また同時に、これらが独立して稼働しながらも、少なくとも照射光源、検出器、恒温槽を共有できる構造を見出した。それぞれについて説明する。
<電気泳動プロセスにおける恒温機能の共有>
既存の装置はキャピラリの温度を一定に保つ恒温槽の温度が、45℃〜70℃程度まで設定できる機能が搭載されていることが一般的である。しかしながら、核酸分析のアプリケーションが固定であるとき、温度を変化させる必要がない点に着目し、キャピラリ交換などで装置を停止する以外は、恒温槽は一定温度でキャピラリの温度を維持していれば良いことを見出した。よって、恒温槽は共有することができる。また、複数のアプリケーションを行う際にも、恒温槽の設定温度が等しい場合には恒温槽の温度を変化させる必要がなく、異なるアプリケーションを、恒温槽を共有して同時に行うことが可能である。
<電気泳動プロセスにおける照射光源と検出器の共有>
既存の装置を例にすると、ひとつの照射光源が照射光を照射し、キャピラリ複数本の照射部を貫通する。既存の装置では電気泳動中にのみ照射し、検出器によって蛍光を検出しているが、貫通する条件はキャピラリの照射部が精度良く整列していることと、全てのキャピラリ内部にポリマーが充填していることである。既存の方法では全てのキャピラリに、同時に同電圧が印加される。検出器がひとつである場合、キャピラリNoに対して検出器での読み取り位置をキャリブレーションしている。
例えば、4本のキャピラリのうち3本にポリマーが充填しており、4本目だけにポリマーが充填していない場合、照射光はキャピラリ内部を貫通すると同時に散乱光を発する。散乱光は少なくとも隣り合うキャピラリの検出に悪影響を及ぼした。一方で、全てのキャピラリにポリマーが充填してさえいれば、あるキャピラリに解析サンプルが無くても、電圧がかかっていなかったとしても、そのキャピラリに励起を照射して検出されるのは、既存の装置でも発生するバックグラウンドノイズだけであった。また、ポリマー充填中に照射光を照射して検出しても、気泡なく充填することができればバックグラウンドノイズの変動は微小であった。これらの検討の結果、照射光源と検出器は共有することができることを見出した。
キャピラリへの照射光の照射方法として、複数本のキャピラリを貫通させる例を上述したが、キャピラリの本数分に光を分割してそれぞれのキャピラリに照射する方法や、整列した複数本のキャピラリの幅に照射光を広げて照射する方法等、様々な光の照射方法がある。解析に使用しないキャピラリにもポリマーを充填していれば散乱光の発生を防ぐことができ、いずれの照射方法も用いることが可能である。
<キャピラリ1本ずつの電圧印加>
既存の装置では複数本のキャピラリが束ねられたキャピラリアレイが製品化されており、複数本のキャピラリには同時に同電圧が印加されている。キャピラリアレイの構造としては、中空の一本の導電パイプに一本ずつキャピラリの一端が通されており、複数本のキャピラリのもう一端を樹脂で束ねてキャピラリヘッドとしている。導電パイプが通されたキャピラリ端をカソード側緩衝液容器に浸し、もう一端のキャピラリヘッドをアノード側緩衝液容器に浸す。導電パイプには金属板が接している。この金属板に高電圧を印加することで、カソード側緩衝液容器を通してキャピラリ内部のポリマーに高電圧を印加する。金属板には、同様の構成で複数本のキャピラリを通した導電パイプが接しており、またカソード側緩衝液容器も同一であるため、ひとつの高電圧電源によって複数本のキャピラリ全てに同時に同電圧が印加される。
本発明では、キャピラリ1本ずつに、独立して高電圧を印加するため、まず高電圧電源の出力を分割する。また、カソード側緩衝液容器も各々のキャピラリに対してひとつずつ用意する。ポリマー容器と供給機構、分割する実施例と分割しない実施例を見出した。
本実施例では、本発明の前処理一体型電気泳動装置について、アプリケーションのひとつであるSTR解析を例に説明する。STR解析を例に説明するが、本願発明を説明するための一例であって、STR解析やMLPA解析(Multiplex Ligation−dependent Probe Amplification)、SNP解析(Single Nucleotide Polymorphism)等を含む様々なフラグメント解析や、シーケンス解析に使用することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。ただし、図は解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
図1に本実施例の前処理一体型電気泳動装置01の斜視図を示す。
[オートサンプラー]
オートサンプラー02はXY軸またはXYZ軸の駆動方向を持つ自動搬送ステージユニットである。図1に示すオートサンプラー02はXY軸駆動である。オートサンプラー02には前処理ユニット03、カートリッジカバー04、ポリマーデリバリーユニット05が搭載されている。また、搬送物はカートリッジ06、カソード側緩衝液容器07、廃液容器08、アノード側緩衝液容器09、ポリマー容器10であり、これらは全てユーザーによって設置される消耗品である。詳細は後述するが、カートリッジ06、カソード側緩衝液容器07、廃液容器08、アノード側緩衝液容器09、ポリマー容器10を図1のような配置及び構成とすることで、オートサンプラー02はXY軸駆動にすることが可能にしている。
本実施例のオートサンプラー02は、搭載可能なカートリッジ06の数だけ設けられている。
カートリッジ06はオートサンプラー02に搭載された前処理ユニット03上にユーザーによって設置され、手動または自動でカートリッジカバー04が閉まることで位置精度よくオートサンプラー02に固定される。
ポリマー容器10はオートサンプラー02に搭載されたポリマーデリバリーユニット05上にユーザーによって設置され、手動または自動で位置精度よく固定される。
カソード側緩衝液容器07、廃液容器08、アノード側緩衝液容器09、ポリマー容器10はユーザーによって設置され、手動または自動でオートサンプラー02上に位置精度よく固定される。
オートサンプラー02上に固定される消耗品であるカートリッジ06、カソード側緩衝液容器07、廃液容器08、アノード側緩衝液容器09、ポリマー容器10は全て電気泳動に必要な試薬を内包しており、キャピラリ31の導電パイプ35またはキャピラリヘッド32がアクセスする。キャピラリアレイ14の詳細は後述する。
図1に示す前処理一体型電気泳動装置01は、オートサンプラー02とキャピラリ31の本数が同数であり、オートサンプラー02はXY軸駆動である。図示していないが、キャピラリ31の本数よりも多くのオートサンプラー02を設け、キャピラリ31の本数よりも多くのカートリッジ06を設置可能にしても良い。この場合、オートサンプラー02はXYZ軸駆動となり構成は複雑になるが、処理効率を向上することが可能である。

[前処理ユニット]
前処理ユニット03はオートサンプラー02に搭載された送液および撹拌動作を行うためのユニットである。
使用時にはユーザーによってカートリッジ06が設置され、カートリッジカバー04が手動または自動で閉まる。
前処理ユニット03はカートリッジ06に作用して、外力によってカートリッジ06内部の試薬やサンプル溶液を送液、撹拌する。
送液機能とは、例えばカートリッジ06に膜厚0.1mm〜1mm程度のエラストマー薄膜が貼り付けられており、空気圧でダイアフラムポンプのように脈動させることによって送液を行う方法などが好例である。他にも、送液方法には、EWOD(Electrowetting on Dielectric)や、空気圧で液滴を押し出す方法等様々な方法がある。
混合に必要な撹拌動作とは、手作業においてピペッティング、Vortex、タッピングなどと呼ばれる作業で行われており、単純には異なる由来の液体物を混ぜて動かす動作である。よって、簡単には送液する機能を使ってスポイトのように撹拌動作を行うことなどが好例であり、より高い撹拌効率を実現するには、カートリッジ06に高速振動を与える機能を付加しても良い。
このとき、Lysis BufferからのDNA抽出を促進したい場合は、カートリッジ06のDNA抽出を行う個所に接するようにヒータ機能を付加することや、撹拌を行う機能を付加する事も望ましい構成である。
[カートリッジ]
ユーザーが取得した検体サンプルを装置が解析可能な解析サンプルに変性させるプロセスを一般的に前処理という。カートリッジ06はインプットが検体サンプルであり、アウトプットを解析サンプルとする前処理のためのデバイスである。密閉式の場合は、カートリッジ06には前処理プロセスに必要な試薬が封入されており、開放式の場合は外部からカートリッジ06に試薬を投入する。但し、いずれの場合にも検体サンプルを投入する必要がある。
本発明の目的アプリケーションのひとつであるSTR解析を例とすると、現状の手作業による解析の自動化を忠実に行う場合、例えば次の4種のカートリッジが考えられる。
一つ目はサンプルカートリッジである。サンプルカートリッジは、検体サンプルが投入されると、Lysis BufferによってDNAを抽出する。抽出液はPCR反応に必要なPrimer MixおよびMaster Mixと混合され、PCR反応を経てDNAが増幅される。増幅したDNAを定量し、ホルムアミドと混合して一本鎖に変性(必要に応じて熱変性も行う)し、解析サンプルとして電気泳動を行う。DNAの一本鎖への変性は、DNAをホルムアミドと混合して、熱変性を行うのが好適であるが、ホルムアミドとの混合または、熱変性のどちらか一方でも可能である。
二つ目はNegative Controlカートリッジである。検体サンプルを入れずにPCR反応を行い、それ以外はサンプルカートリッジと同じ手順で電気泳動を行う。何も検出されないことが、PCR反応系に余計な核酸が混入していない(コンタミネーションを起こしていない)事を確認するカートリッジである。
三つ目はPositive Controlカートリッジである。検体サンプルの代わりに既知のコントロールDNAを入れてPCR反応を行い、それ以外はサンプルカートリッジと同じ手順で電気泳動を行う。コントロールDNAが測定されることで、PCR反応が正しく行われた事を確認するカートリッジである。
四つ目はLadderカートリッジである。PCR反応工程を得ず、解析の内部指標となるAllelic Ladderとホルムアミドを混合して電気泳動を行う。
ユーザーはこれらのカートリッジ06を必要に応じて組み合わせて使用する。ここでは全てがサンプルカートリッジであるとして、以後の実施例を説明する。
なお、カートリッジ06は使用後に取り外される消耗品である。
STR解析の時には、上記4つのカートリッジが使用されるが、アプリケーションごとに適した試薬がカートリッジ内に封入されている。
[カートリッジカバー]
カートリッジカバー04は、手動または自動により開閉し、閉まった際にはカートリッジ06を固定し保持する機能を持つ。
解析サンプルをキャピラリ31に電気泳動して導入する際は、カートリッジ06の接続口に導電パイプ35が通されたキャピラリ端が接続する必要があるため、カートリッジカバー04にもまた、接続口部分が開口部として設けられている必要がある。
[加熱冷却ユニット]
加熱冷却ユニット11は、放熱体13、熱交換素子、熱伝導ブロック12で構成された構造体である。熱交換素子は、図示されていないが、放熱体13と熱伝導ブロック12の間に配置するのが好適である。加熱冷却ユニット11は、検体サンプルから抽出されたDNAサンプル、Primer Mix、Master Mixの混合液に、加熱冷却を繰り返してPCR反応を行うための温調ユニットである。前述の混合液はカートリッジ06内に存在する。さらに、PCR反応における加熱と冷却は素早く正確に繰り返し行うことが重要であるため、加熱冷却ユニット11はカートリッジ06に接する必要がある。そのため、カートリッジカバー04は開口しており、開口部に加熱冷却ユニット11が嵌め込まれている。これにより、加熱冷却ユニット11とカートリッジ06は直接接するよう構成されている。また、カートリッジカバー04の熱伝導率が高い場合には、カートリッジカバー04越しに、加熱冷却ユニット11によりカートリッジ06を加熱または冷却を行ってもよい。
本実施例では、カートリッジ06ひとつに対して加熱冷却ユニット11をひとつだけ備え、加熱冷却ユニット11はカートリッジカバー04に付いている。この構成の場合、熱交換素子としてはペルチェ素子など高速な昇温降温ができる部品が望ましい。また、熱伝導ブロック12は、熱交換素子とカートリッジ06のPCR部との間で熱量を媒介するための部品であり、カートリッジ06に熱を均一に伝えるために設けられている。そのため、熱伝導ブロック12は、熱伝導率が高く、且つ熱容量が低いことが望ましい。よって、アルミニウムなど硬く熱伝導率が高い材質を使用し、また体積を小さく設計することが好ましい構成のひとつである。
[放熱体]
放熱体13は加熱冷却ユニット11の一部であって、熱交換素子の冷却時に高効率に冷却を行う為の構造体である。よって、熱交換素子および熱伝導ブロック12の片方または両方に接する。
空気冷却の場合、放熱体13は一般的には放熱フィンと呼ばれ、金属材料に伝熱面積を多くとり、伝達熱量を増加させる構造を取る。さらに冷却速度を向上させる場合は、放熱体13に風が当たるよう空冷ファンを取り付ける。
水冷却(液冷却)の場合、放熱体13として、冷却液が流れるwater blockや、熱を装置外で放熱するラジエーター、冷却液を循環させるポンプ、冷却液を一時的に溜めポンプへ供給するリザーバーなどを設置する。これらの部品が一部のみ一体化した、簡易水冷も同様である。水冷却は、空気冷却よりも冷却効率がわずかに高いことが多く、奪った熱を任意の場所で放熱することもできるため、装置内温度が上昇する事を防ぎたい場合に効果的である。
[廃液容器]
廃液容器08キャピラリ31に余分に注入したポリマーや、前回使用時の古いポリマーなどが排出され、一時的にストックする機能を持つ。ポリマーは一般的に高粘度で乾燥時に結晶化する高分子液体であるため、廃液時の液切れを良好にし、また乾燥による結晶化を防止するため、廃液容器は何らかの液体で満たされている方が望ましい。液体は、例えば純水や、緩衝液、緩衝液と類似の液体等が好適である。また、図1では、廃液容器08とカソード側緩衝液容器07は別の容器であるが、廃液容器08とカソード側緩衝液容器07が同一容器である構成も望ましい形態のひとつである。
[ポリマー容器、ポリマーデリバリーユニット]
ポリマー容器10は、ポリマーを内包した容器である。ポリマーデリバリーユニット05は、ポリマー容器内10のポリマーをキャピラリ31に送液するためのユニットである。
ポリマーは電気泳動時に解析サンプルに泳動速度差を与えるための分離媒体である。分離媒体は流動性と非流動性の双方が存在するが、本実施例では流動性のポリマーを用いる。
本実施例のポリマー容器10とポリマーデリバリーユニット05の詳細を、図2を用いて説明する。図1のポリマーデリバリーユニット05は、ポリマー容器10の側面に配置されているが、ポリマー容器10の下方に配置されても良い。
図2Aに示すポリマー容器10は、円筒形の筒21(狭義にはこれをシリンジと呼ぶ)と、ポリマーを筒内部に封止しつつ筒内部で可動するシール部品22と、ポリマーを筒内部に留めつつキャピラリが接続する接続体23とを有する。キャピラリ31が接続体23に接して、または貫通してポリマー液に接した状態で、ポリマー容器20底部から外力が加わり、シール部品を押し上げることで、ポリマーをキャピラリ31内部に注入する。ポリマー容器底部を稼働させる外力機構がポリマーデリバリーユニット05である。図2Aのポリマーデリバリーユニット05は、プランジャ24を備える。プランジャ24により、シール部品22を押し上げることで、ポリマーをキャピラリ内部に注入する。
円筒形のポリマー容器10にする利点は、ポリマーデリバリーユニット05の構成がプランジャ24を上下させる一軸機構で良くポリマーデリバリーユニット05をシンプルな構成にできること、および、ポリマー容器10内のデッドボリュームが少ないことである。
また、図2Bのようにポリマー容器10が小型の袋形状(パウチ形状)を取る場合、押子はなくパウチ25と接続体26の構成である。このとき、ポリマーデリバリーユニット05としては、外部からパウチを挟み込むように押し込む(図2B(1)参照)、またはパウチ底部から内包するポリマーをしごくように駆動して(図2B(2)参照)、ポリマーをキャピラリ31内部に注入する。
パウチ形状のポリマー容器25にする利点は、容器そのものの構成が簡単で安価な設計をし易いため、ユーザーに低コストで提供できることである。
なお、本実施例ではポリマー容器10はキャピラリヘッド32が挿入できるようにオートサンプラー02に配置されているが、キャピラリ31の導電パイプ35側にポリマーデリバリーユニット05およびポリマー容器10を配置し、導電パイプ35側からキャピラリにポリマーを注入しても構わない。その際、廃液容器08はキャピラリヘッド32側に配置される。
[カソード側緩衝液容器、アノード側緩衝液容器、アノード電極]
アノード側緩衝液容器09及びカソード側緩衝液容器07は、共に電解質を含む緩衝液を内包した容器である。カソード側緩衝液容器07とアノード側緩衝液容器09は、共にオートサンプラー02上に搭載されている。
また、図示されていないが、白金やSUSなどの腐食に強い導電性材質で構成されるアノード電極がキャピラリ本数分だけ装置に搭載されている。キャピラリ31に高電圧が印加されるときに、アノード電極がアノード側緩衝液容器09中の内用液と接するように配置されている。高電圧が印加されているとき、アノード側緩衝液はアノード電極を介してグランドに接続する。これにより、高電圧電源ユニット15から発生した高電圧は、高電圧配線、キャピラリの金属板、導電パイプ、カソード側緩衝液、キャピラリ素線、キャピラリヘッド、アノード側緩衝液、アノード電極と通してグランドに接続することで印加される。
[照射ユニット]
照射光17は照射ユニット16の光源から出て、直接またはいくつかの光学部品を経てキャピラリの照射検出領域33に到達する。n本のキャピラリC1、C2…Cnが設置されているとき、照射光17はC1、C2…Cnのキャピラリ31を順に連続して透過する。この照射光17により解析サンプルから発せられた情報光を直接、またはいくつかの光学部品を経て検出器18が検出することで、検出データとする。
例としてSTR解析のアプリケーションを具体的に説明すると、照射光17はレーザ光である。解析サンプルはPCR反応によって増幅しながら蛍光色素を付着させたDNAである。情報光はレーザ光によって励起した蛍光であり、蛍光色は塩基に依存した波長の光である。励起された蛍光の蛍光色は、光学部品であるフィルタによって検出データに余分な波長の光(例えばレーザ光の波長)がカットされ、次に別の光学部品である分光器によって波長ごとに検出器18の異なる位置に分光される。例えば、検出器18で撮像するとき、縦方向にキャピラリC1、C2…Cnが分けられ、横方向に波長ごとの光が分けられて検出される。検出されたデータは制御用コンピュータに取り込まれ、ソフトウェアによって適切に解析される。
ユーザーは制御用コンピュータにより装置の保有する機能を制御し、また装置内の検出器18で検出されるデータを授受できる。また、検出データは制御用コンピュータに含まれたソフトウェア、または制御用コンピュータから得られたデータを元に、別の解析用コンピュータに含まれたソフトウェアにより、解析結果を得ることができる。
本実施例では、キャピラリ31を順に連続して透過するようにキャピラリ31の照射検出領域33に照射光を当てる照射方法を例に説明をするが、キャピラリ31の本数分に、照射光17を分割してそれぞれのキャピラリ31に照射する方法や、整列した複数本のキャピラリ31の幅に照射光17を広げてキャピラリ31に照射する方法等、様々な光の照射方法があり、いずれの照射方法でもよい。
[恒温槽ユニット]
恒温槽ユニット19は、キャピラリアレイ14の温度を設定した温度に保つ機能を有している。ポリマー充填時には充填速度を速め、電気泳動時には電気泳動における解析サンプルの移動速度差を一定に保つ効果がある。図1では、恒温槽ユニット19の内部が分かるよう記載している。本発明においては図1に示す通りキャピラリアレイ14の配線ルートが2次元の平面ではなく3次元となり得るため、恒温槽ユニット19は、ポリイミドヒータやラバーヒータなどのヒータが断熱性の高い恒温筐体内でキャピラリ素線31の大部分を保温する、空間恒温槽が望ましい。恒温筐体内の温度を均一に保つために、恒温筐体内に風を循環させるにファンを取り付ける構成も好ましい一例である。
一方で、昇温時間を短くするために接触式恒温槽としても良い。その場合は、熱伝導率、熱伝達率および熱量が高い保温板をキャピラリアレイ14の配線ルートに沿って曲げ、平面を有するヒータを、曲げた保温板に張り付ける。さらに、キャピラリ素線を包みヒータから発生する熱を伝えるための熱伝導性エラストマー部材を、ヒータの上に貼り付ける。キャピラリを、保温板とヒータ、熱伝導性エラストマーが結合したものと挟み込むように断熱材が設けられた構成が考えられる。この構成の場合は、各部材の貼り付け順はこの限りではない。
[検出ユニット]
検出ユニットは、検出器18と光学系部品を組み合わせたユニットである。図示していないが、蛍光は複数の光学系部品を経て検出器18に検出される。光学系部品には、例えば不要な照射光をカットするLPフィルタ、蛍光波長を分光する分光器などが挙げられるが、検出器18で検出される際に、各々のキャピラリ31および発光した波長が分けて検出可能であれば、どのような方法でも構わない。検出器18は、例えばCCDエリアイメージセンサやCMOSカメラなどが考えられる。
[キャピラリアレイの構成]
本発明におけるキャピラリアレイ14の構成について、図3を用いて説明する。図3Aは、図1に示したキャピラリアレイ14の分解図であり、図3B一部の拡大図である。
キャピラリ31は、内径数十〜数百ミクロン,外形数百ミクロンのガラス管で構成され、強度を向上させるために表面をポリイミド被膜でコーティングしている。
各々のキャピラリ31は、全て同じ長さで切断され、ポリマー容器10に接続する方を非導電物質により一本ずつ個別に束ねられている。これをキャピラリヘッド32という。キャピラリヘッド32の端点からはキャピラリ素線31が露出している。
照射光が照射されるキャピラリの照射検出領域33は、キャピラリ内部に照射光が照射される位置であり、同時に解析サンプルから発せられた情報光が検出される位置である。よって、照射光が照射する光エネルギーを効率よく受け取れるように、また照射光により解析サンプルから発生した情報光を検出しやすいように、ポリイミド被膜が除去された構造になっている。全ての照射検出領域33は、高精度に整列され固定されて、検出保持部品34により束ねられている。
検出保持部品34は、照射検出領域33を高精度に整列させて固定する部品である。また、照射ユニット16が照射検出領域33に照射光17を照射し、また情報光を検出する位置を定めるため、検出保持部品34の外形または位置決め穴等が高精度に製造された部品である。同じく、恒温槽には検出保持部品34を位置精度良く固定する機構を備える。
キャピラリヘッド32とは逆のキャピラリ素線31の端点では、各々のキャピラリ素線31は各々の導電パイプ35の中に通されて、露出した状態、または0.5mm程度わずかに突き出た状態で固定されている。導電パイプ側のキャピラリ端を図3Bに示す。個々の導電パイプ35はそれぞれ別の金属板36に固定されている。図3Bには図示していないが、金属板36と導電パイプ35の一部は非導電物質であるロードヘッダ37によって保護されている。金属板36と導電パイプ35をまとめて保持するロードヘッダ37は別々であっても、同一部品または連結可能な部品であっても構わない。
電圧を印加する際には、高電圧電源ユニット15からの電力を供給する高電圧配線が、ロードヘッダ37内の金属板36に接して、導電パイプ35に電圧が印加され、陰極電圧として機能する。
この構成により、各々のキャピラリ31を個別に交換することはできないが、取り付けが容易なキャピラリアレイ14をユーザーに提供する事ができる。
なお、既存のキャピラリアレイ14は複数本全てのキャピラリ31を同時に同じ電圧で電気泳動することを目的としているため、すべての導電パイプ35は一定間隔で整列された状態でひとつの金属板36に固定され、さらにひとつのロードヘッダによって保護されている。また、逆側は全てのキャピラリ31が一点に束ねられ、単一のキャピラリヘッド32に包まれている。この構成により、既存のキャピラリアレイ31では、印加できる電圧は単一で、かつ同時にしか電圧を印加することができない。
[高電圧配線、高電圧電源]
本発明の高電圧電源と高電圧配線については、図4を用いて説明する。
まず、既存装置ではひとつの高電圧電源にひとつの高電圧配線があり、複数本のキャピラリに金属板を経由して高電圧を印加している。電気泳動プロセスのステップによって、それぞれ必要とする電圧の大きさも異なり、またユーザーが目的とするアプリケーションや解析サンプル濃度にも依存するため、ユーザーが設定できるよう出力も細かく調整可能(出力可変)である。
一方、本発明においては、複数本のキャピラリ31がそれぞれ別々のタイミングで電気泳動を行うことを実現したいため、図3を用いて説明したとおり、各々のキャピラリの導電パイプ35に各々の金属板36がついている構成である。よって、高電圧電源ユニット15の電圧をキャピラリ31に印加するための高電圧配線41も複数本が必要である。高電圧電源ユニット15は各々のキャピラリ31に個別に電圧が印加できる構成になっていて、かつそれぞれの電気泳動のステップに合わせた電圧が印加できる。キャピラリは消耗品であり交換されるため、高電圧配線41は、キャピラリと接続する側の先端がキャピラリと着脱が容易なように構成されるのが好適である。例えば具体的には、導電部材の円柱の先端を半球形状に加工したプラグを製造し、そのプラグに高電圧配線41の導線を接続し、プラグがバネにより押し込むと稼働するよう稼働プラグとして組み立てる。稼働プラグは各キャピラリ31のロードヘッダ37に設けられた接続口を通り、金属板36と接して止まる。このとき、稼働プラグの筐体とロードヘッダ37はそれぞれが絶縁材質で構成されており、導線、プラグ、金属板以外の経路から放電しないように構成する。例えば稼働プラグとロードヘッダの間に絶縁性の高いエラストマーを挟む。このような構成にすることで、高電圧配線41の稼働プラグと各キャピラリ31のロードヘッダ37は着脱可能かつ外部に放電することなく、各キャピラリ31に高電圧を印加することができる。
図5は、図4の高電圧電源ユニット15を制御する実施例のひとつである。
本発明の高電圧電源ユニット15を簡単に実現するには、個別に電圧制御が可能な高電圧電源42をキャピラリ31の本数分だけ用意すれば良い。この実施例は、制御が容易である、開発が容易であるなどの利点がある。
<STR解析を目的とした装置におけるデータ取得工程の一例>
STR解析例に、核酸分析を行う前処理プロセスと電気泳動プロセスを一体化した本実施例の前処理一体型電気泳動装置における、ユーザーが検体サンプルを得てから装置がデータを得るまでの工程を単純化した一例を以下に示す。
ステップ0:ユーザーが、被験者からスワブで口腔内細胞、またはキットにより血液サンプルなどの生体細胞を検体サンプルとして採取する。
ステップ1:ユーザーが、検体サンプルをカートリッジ06に投入する。すると、カートリッジ06内部のLysis Bufferと混合され、生体細胞からDNAが抽出される。
ステップ2:ユーザーが、カートリッジ06を前処理ユニット03に設置する。
ステップ3:前処理ユニット03が、カートリッジ06内で、Lysis Bufferにより抽出されたDNAサンプル溶液を一定量送液する。さらに、カートリッジ06に封入されていたPrimer MixおよびMaster Mixと混合する。
ステップ4:加熱冷却ユニット11によりカートリッジ06の加熱及び冷却を行い、カートリッジ内で、抽出されたDNAサンプルとPrimer MixおよびMaster Mixの混合液に、加熱冷却を繰り返す。加熱冷却の温度、時間、サイクル数は、基本的に使用するPCR試薬のプロトコルに従う。
ステップ5:PCR反応後液を一本鎖に変性させて解析サンプルとする。手作業で行っている工程をそのまま自動化すると、PCR反応後液を定量して、その一部をホルムアミドと混合し、加熱する方法が一般的である。DNA濃度を定量する場合にはDNAを吸着するビーズを一定量カートリッジ06に封入し、さらに、ビーズからDNAを剥離して定量する方法が良い。DNA濃度ではなく液量を定量する場合、PCR反応後液の液量全体から一定量の液量をカートリッジ06内部の別の場所に送液してストックし、さらにホルムアミドと混合する。装置の検出ユニットにおけるダイナミックレンジが十分に大きい場合、これらのような定量を行わずにホルムアミドと混合しても良い。なお、ホルムアミドと混合しただけでも十分に一本鎖に変性がされるとき、加熱をしない構成も本実施例の好例である。また、加熱による熱変性だけでも、DNAを一本鎖に変性することも可能であり、ホルムアミドを使用せず、加熱のみ行う構成も本実施例の好例である。
ステップ6:装置が、オートサンプラー02を稼働させ、廃液容器08をキャピラリの片側に接続させ、もう一方をポリマー容器10に接続させる。図1では、キャピラリの導電パイプ35側を廃液容器08に、キャピラリヘッド32をポリマー容器10に接続する配置となっているが、キャピラリヘッドを廃液容器08に、導電パイプ35をポリマー容器10に接続してもよい。
ステップ7:装置が、オートサンプラー02を稼働させ、導電パイプ35をカソード側緩衝液容器07に接液させ、キャピラリヘッド32をアノード側緩衝液容器09に接液させる。
ステップ8:装置がキャピラリ31に−15kV〜−20kV程度の電圧を印加する。これはキャピラリ31に注入したポリマーのイオンを排出して、測定時の分離性能を向上させることを目的としたもので、PreRunと呼ばれる。電圧は高圧電源ユニット15から高電圧配線41、ロードヘッダ37、導電パイプ35、カソード側緩衝液容器07を通してキャピラリ内部のポリマーに印加される。このとき、キャピラリヘッド32側はアノード側緩衝液容器09にアノード電極が接液しており、アノード電極を通してアースに落ちる。
ステップ9:装置が、オートサンプラー02を稼働させ、導電パイプ35をカートリッジ06のサンプルウェル中にある解析サンプルに接液させ、キャピラリヘッド32をアノード側緩衝液容器09に接液させる。
ステップ10:装置が、キャピラリ31に0.5kV〜2.0kVの電圧を印加する。カートリッジ06の接続口からキャピラリ31内に解析サンプルが電気泳動される。少なくともこのステップ10までに恒温槽ユニット19はキャピラリ31を一定温度に保持し、温度が安定している必要がある。
ステップ11:ステップ7と同じく、オートサンプラーを稼働させ、キャピラリの導電パイプ35をカソード側緩衝液容器07に接液させ、もう一方のキャピラリヘッド32をアノード側緩衝液容器09に接液させる。
ステップ12:高電圧電源ユニット15により、キャピラリ31に8.0kV〜12.0kVの電圧を印加する。解析サンプルが、ポリマーが充填されたキャピラリ31の内部を、導電パイプ35側からキャピラリヘッド32側に移動する。(電気泳動)
ステップ13:装置が、照射ユニット16から照射光17をキャピラリ31の照射検出領域33に照射する。キャピラリ31の照射検出領域33は検出保持部品34により精密に整列されているため、最初のキャピラリ31を貫通した照射光は次のキャピラリ31に入射し、貫通することを繰り返す。照射光17は全てのキャピラリ31を貫通して装置内部で吸収され止まる。
ステップ14:電気泳動によって移動してきた解析サンプルが、キャピラリの照射検出領域33に順次到達する。照射光17によって解析サンプルにラベル化された蛍光色素が発光する。解析サンプルの塩基によってラベルされた蛍光色が異なる。
ステップ15:検出ユニットが、発光した蛍光を検出する。蛍光は装置の複数の光学系部品を経て検出器18に検出される。光学系部品には、例えば不要な照射光をカットするLPフィルタ、蛍光波長を分光する分光器などが挙げられるが、検出器18で検出される際に、各々のキャピラリ31および発光した波長が分けて検出可能であれば、どのような方法でも構わない。
電気泳動を行うステップ8、ステップ10、ステップ12〜15において、アノード電極がアノード側緩衝液容器09の内用液と接液する。この時、アノード側緩衝液はアノード電極を介してグランドに接続する。高電圧電源ユニット15から発生した高電圧は、高電圧配線41、キャピラリに設けられた金属板36、導電パイプ35、カソード側緩衝液、キャピラリ素線31、キャピラリヘッド32、アノード側緩衝液、アノード電極と通してグランドに接続することで印加される。
以上のステップ15までが、装置が検出データを得るまでの一例である。このとき、ステップ0がユーザーによる検体サンプル取得プロセス、ステップ1からステップ5までが前処理プロセスであり、ステップ6からステップ15までが電気泳動プロセスである。なお、実際にはこの後にステップ15で得た検出データをソフトウェアで解析し表示する工程や、ユーザーがデータを保存するなどの工程が存在するが、本発明を説明するためには不要であるため、ここでは述べない。
前述のステップ0〜ステップ15について、ここまで工程をひとつずつ示した。実際には、本発明の構成により、一部の工程は並行して行うことができ、より短いTATを実現することが可能である。例えば、前処理プロセスであるステップ1からステップ5と、電気泳動プロセスであるステップ6〜ステップ8は、両方がステップ9までに終わっている必要がある。よって、ステップ6は必ずしもステップ5の後である必要はなく、並行して進めておくことができる。
より具体的には、比較的長い時間(マルチプレックスSTRの試薬プロトコルでは31cycleで19.7分など)を要するステップ4のPCR反応中に、ステップ6からステップ8までを進めておくことや、ステップ10に記載の恒温槽昇温と温度安定化制御を行っておくなど、前処理プロセスと電気泳動プロセスの一部を同時に進めることは、本実施例を使用した短いTAT時間を実現する好例である。
[実施例1における実際の動き]
図6は、前処理一体型電気泳動装置1の上面図である。図6を使って、本発明の効果である、カートリッジ06ごとに個別の電気泳動を行った状態を説明する。なお、高電圧電源、高圧電源配線、検出ユニット、恒温槽ユニットは見やすさのために除外して表示しているが、装置内に含まれているものとする。
はじめに、上述した電気泳動プロセスでの、オートサンプラー02によるキャピラリ31の配置について説明する。
図1では省略していたが、Lane4のみに示すように、廃液容器08、ポリマー容器10、カソード側緩衝液容器07、アノード側緩衝液容器09、カートリッジ06及びカートリッジカバー04には、キャピラリ31と接続するための、接続口が設けられている。廃液容器に設けられた接続口をh1、ポリマー容器に設けられた接続口はh2、カソード側緩衝液容器に設けられた接続口をh3、アノード緩衝液に設けられた接続口をh4とh6、カートリッジ及びカートリッジカバーに設けられた接続口をh5とする。
上述した電気泳動プロセスにおける、キャピラリ31と接続口について詳細を説明する。ステップ6では、導電パイプ35が廃液容器08の接続口h1に、キャピラリヘッド32がポリマー容器10の接続口h2に接する。
ステップ7、ステップ8、ステップ11〜15では、導電パイプ35がカソード側緩衝液容器07の接続口h3に、キャピラリヘッド32がアノード側緩衝液容器09の接続口h4に接する。
ステップ9、ステップ10では、導電パイプ35がカートリッジ09及びカートリッジカバー04の接続口h5に、キャピラリヘッド32がアノード側緩衝液容器09の接続口h6に接する。
キャピラリの導電パイプ35とキャピラリヘッド32の間隔x1が装置運転中に固定する装置を提供するとき、h1とh2の距離、h3とh4の距離、h5とh6の距離は等間隔の距離x1である。また、これらの接続口h1、h2、h3、h4、h5、h6を例えばX軸方向の一列に配置することで、既存の装置でXYZ軸の3軸を必要としたオートサンプラー02の駆動軸を、XY軸の2軸とする事ができ、ユーザーに安価な装置を提供する事ができる。
なお、X軸がカソード側緩衝液容器07およびカートリッジ06のサンプルウェル(または後述するサンプルチューブ)を結んだ直線方向、Z軸が装置の据付平面に対して水平且つX軸に対して直交方向、残るY軸がX軸およびZ軸に対して直交方向である。本実施例では図として全てのオートサンプラー02がZ軸方向に整列しており、複数のキャピラリ31が同方向に整列してX軸を持つ構成を説明している一例である。正しくはキャピラリ1本ずつに対してXZ軸がそれぞれ定められるため、複数のキャピラリ31がそれぞれ異なるX軸方向を持つ場合(例えば放射状など)では、各々のオートサンプラー02のX軸も各々のキャピラリ31のキャピラリヘッド32および導電パイプ35を結んだX軸方向に従う。
本図において、一番上側のキャピラリをC1、一番下側のキャピラリをC4とする。オートサンプラー02と、オートサンプラー02に搭載される種々の構成部品群、およびキャピラリ31を含めた装置の個別に電気泳動可能な運用単位をLaneとする。キャピラリC1を使う運用単位がLane1、キャピラリC4を使う運用単位がLane4である。
図6において、Lane1はステップ1〜ステップ13を終え、ステップ14とステップ15を実行中である。照射ユニット16からの照射光17がキャピラリC1の照射検出領域33に照射され、電気泳動によってポリマー中を移動してきた解析サンプルから情報光が発せられ、検出器18によって検出されている。電圧は電気泳動のため10kVが印加されている。
Lane2はLane1の次に実行されたLaneである。ステップ1〜ステップ9を終え、ステップ10を実行中である。キャピラリの導電パイプ35がカートリッジ06の接続口h5と接続し、解析サンプルをキャピラリC2にインジェクションしている最中である。Lane1は実行中であるため、当然ながら照射光17はキャピラリC1を貫通しキャピラリC2に至っており、また検出ユニットはC2の撮像も実行している。しかしながら、ステップ14以降に至っていないため、Lane2がステップ14に至るまでは、得られた検出データは廃棄され続ける。電圧はサンプルインジェクションのため1.5kVがかかっている。
Lane3はLane2の次に実行されたLaneである。ステップ1〜ステップ3を終え、ステップ4のPCR反応を繰り返しながら、ステップ6を実行中である。Lane2と同じく照射光17はキャピラリC1、C2を貫通してキャピラリC3に至っているが、Lane2と同じく得られた検出データはステップ14に至るまで廃棄され続けている。電圧は0kVである。
Lane4はLane3の次に実行されたLaneである。ステップ2としてユーザーがカートリッジ06を投入しようとしているところである。Lane2、Lane3と同じく照射光17はキャピラリC1、C2、C3を貫通してキャピラリC4に至っている。ここで、Lane4はステップ6を実行中でないためポリマーは新規に充填されていないが、前回使用時のポリマーがキャピラリC4内部に残っているため、測定ノイズになる程の散乱光は発生しない。なお、Lane2、Lane3と同じく得られた検出データはステップ14に至るまで廃棄され続ける。電圧は0kVである。
キャピラリC4では、前回使用時のポリマーが残っていたが、初めて装置を使用するときや、キャピラリを交換したときには、一本のキャピラリで解析サンプルの電気泳動を行うときでも、すべてのキャピラリにポリマーを充填し、散乱光の発生を抑える。
見やすさのために図示しないが、それぞれのLaneに対応した電圧は高電圧電源ユニット15から高電圧配線41を通して印加されている。また、恒温槽ユニット19は60℃に温調され安定している。
[実施例1における各構成部品の制御およびデータの関係]
図7は、実施例1における情報的な繋がりを表した図である。細い実線が制御情報や検出されたデータ、電力供給などのやり取りを示す。点線は高電圧電源からの電気的なやり取りを示す。太い矢印は光学的な情報の流れを示す。制御情報とは各ユニットに動作を指定することや、各ユニットからの測定数値や実行完了などを含む一般的な双方向の電気信号を含む。
本図のとおり、図1〜図6には記載しないが、実際の装置の制御は装置に実装される電気基板であるメインボードを中心に行われる。図7では簡単のためにメインボードから直接すべての構成部品と制御情報をやり取りしているが、装置構成上、メインボードと構成部品との間を1本の配線で繋ぐよりも有益な場合、中継基板を間に挟む事も含まれる。また、それらの動きを制御するためには当然ソフトウェアのコントロールを必要とするため、メインボードに直接繋ぎ装置内に実装されるインターナルコンピュータや、装置外から装置を制御する外部コンピュータが必要である。図7に記載のSoftware Controlはこのコンピュータを含む。
ここまで実施例1について説明したが、STR解析を例とするのは解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
<ポンプを使ったポリマー注入方式の実施例>
本発明を実現する、実施例1とは別の形態の、前処理一体型電気泳動装置01の構成図である図8を用いて説明する。
本実施例では、オートサンプラー02、カートリッジ06、カートリッジカバー04、加熱冷却ユニット11、廃液容器08、カソード側緩衝液容器07の構成は実施例1と相違ない。また、図示しないが前処理ユニット、高電圧電源、高電圧配線、アノード電極、制御用コンピュータおよびメインボードなどが構成部品として存在することも、同様である。
本実施例の特徴は、ポリマーデリバリーユニットがなく、代わりにポンプユニット51が装置に取り付けられることである。詳細は後述するが、ポンプユニット51は、ポリマー流路ブロック、送液機構、アノード側バルブ、送液機構側バルブ、逆止弁で構成される。また、ポンプユニット51には、キャピラリアレイ14が接続し、またポリマー容器10、アノード側緩衝液容器09が接続する。
本構成の利点は主に2点あり、ひとつ目は装置コストである。実施例1では各キャピラリ31に対して各々に駆動源であるポリマーデリバリーユニットが設置されたのに対し、本構成ではひとつの駆動源であるポンプユニット51でポリマーを注入できる。
ふたつ目は分析性能である。キャピラリヘッド32が各Laneのオートサンプラー02に分かれる必要がなく、ポンプユニット51に集まって接続されるため、図示されるように、キャピラリアレイ14の照射検出領域33からキャピラリヘッド32までの距離が実施例1とは異なり短くできる。キャピラリ31の長さが同一であるとき、分析性能のひとつであるサンプルの分離性能は、導入パイプ35側の先端から照射検出領域33までの長さが長いほど良好である。また、この変更に合わせて、図示するように照射光17、恒温槽ユニット19、検出器18の位置が変更されている。
図9は図8に示すポンプユニット51の具体的な構成を示した一例である。キャピラリ本数がn本の時、絶縁物質で作られたポリマー流路ブロック52はn本の独立した流路53を持つ。n本の独立した流路に対して、ひとつのアノード側緩衝液容器09が接続する。またアノード側緩衝液容器09は、ポリマー流路ブロック52に備えられたひとつのアノード電極54に接続する。アノード電極54はポリマー流路ブロック52の内部を通って装置のグランドに接続されている。アノード電極54はポリマー流路ブロックに接続されていない構成であっても、アノード電極54が装置のどこかにあり、その片方がグランドに接続されていて、もう片方がn個のアノード側緩衝液容器に個別に接続される状態であればどのような構成でも構わない。
アノード側緩衝液容器09はポリマー流路ブロック52から脱着可能であり、ユーザーが交換できる。
n本の流路53はアノード側緩衝液容器09に接続する。この接続端点にはアノード側バルブ55がそれぞれの流路に設けられており、ソフトウェアによって開閉のタイミングが制御可能である。
流路53のもう一方には、キャピラリヘッド32がそれぞれ接続する。流路53からキャピラリヘッド32を通してキャピラリアレイ14内部に個別にポリマーを注入するため、この接続は密閉され、また圧力に対して強固である必要がある。具体的には、キャピラリヘッド32がネジ構造、ポリマー流路ブロック52にタップが設けられて接続する方法や、キャピラリヘッド32をポリマー流路ブロック52に接続した後に押し付けるフタ構造などが好例である。
各流路の端点と端点の間には、もう一つの流路がそれぞれに設けられ、ポリマー流路ブロック内の流路53は三叉路となる。このもう一つの流路は独立して設けられ、送液機構56に繋がっており、送液機構56はポリマー容器10に繋がっている。キャピラリ素線31の配管径が流路の配管径に対して極端に狭いため、アノード側バルブ55を開けて、送液機構56からポリマーを送り出せば、圧力差によってアノード側緩衝液容器09にポリマーが流れる。アノード側バルブ55を閉じて送液機構56からポリマーを送り出せば、高圧のためにゆっくりとではあるがキャピラリ素線31にポリマーが流れ込み、最終的にはカソード側緩衝液容器07に流れる構造である。
送液機構56としては、具体的にはプランジャを駆動させる高圧ポンプが適している。簡単には、シリンジ形状にプランジャが組み合わさったような容器と、プランジャを駆動させるためのボールネジを使った駆動構造の組み合わせがある。類似のものは広く知られており、高粘度の分離媒体をキャピラリ31の内径に着実に注入できる圧力と、漏れなく注入できる密閉性がある送液機構56であれば、どのようなものでも構わない。
図9に示すように、送液機構56に繋がる各々の流路53には、各々に送液機構側バルブ57が設けられ、その後に一つの合流流路にまとめられる。合流流路は送液機構56に繋がり、送液機構56はポリマー容器10に繋がる構造が望ましい。その他の例としては、n本のキャピラリに対してn個の送液機構56を配置する方法が簡単である。
説明のため、図9は、図8に示した装置の状態を再現している。また、これは実施例1における図6と類似の装置状態である。すなわち、キャピラリ31の総本数は4本であり、キャピラリC1に対応するLane1は10kVの電圧が印加されており、キャピラリC2に対応するLane2は1.5kVが印加されており、キャピラリC3に対応するLane3はポリマーを注入しており、キャピラリC4に対応するLane4はカートリッジを交換中である。
図9にて、キャピラリC1およびキャピラリC2は電圧が印加されているため、アノード側バルブ55はそれぞれ開いていて、送液機構側バルブ57は閉じている。この状態で電圧がかかれば、アノード側バルブの方の流路端点からポリマー内部を通って電圧が印加され、アノード側緩衝液を通って、さらにアノード電極に電流が流れ、グランドに落ちる。
従って、実施例1で説明した電気泳動プロセスのステップ8、ステップ10、ステップ12〜15では、高電圧電源42から発生した高電圧は、高電圧配線41、キャピラリの金属板36、導電パイプ35、カソード側緩衝液07、キャピラリ素線31、キャピラリヘッド32、ポリマー流路ブロックの流路内部53、アノード側緩衝液09、アノード電極54と通してグランドに接続することで印加される。実施例1と異なるのは、キャピラリヘッド32とアノード側緩衝液09の間にポリマー流路ブロックの各流路53が入ることである。
Lane3のキャピラリC3ではポリマーを注入しているところである。ポリマーの注入は2つの工程で行われる。前工程として、アノード側バルブ55を開け、送液機構側バルブ57を開けて、送液機構56のポンプを駆動させる。すると、アノード側緩衝液容器09にポリマーが吐出され、ポリマー容器10とアノード側緩衝液容器09の間の流路がポリマーで満たされる。後工程として、アノード側バルブ55を閉じて、送液機構56を駆動させることで、キャピラリC3の内部にポリマーが注入されていく。図9は後工程を示している。
Lane4ではカートリッジ06を交換中であるため、アノード側バルブ55もポンプ側バルブ57も閉じた状態である。
逆止弁58は送液機構56が吸引、吐出を行う際に、送液機構56側からポリマー容器10へとポリマーが逆流しないために設けるものであって、送液機構56に逆止弁58の機能が付与される場合には必要ない。
図9の構成によれば、n本全てのキャピラリ31は、ポンプユニット51のポリマー流路ブロックの流路53を経て、ひとつのアノード側緩衝液容器09の内部に接続している。従って、あるキャピラリ31に高電圧が印加すると、電流は前述の経路を経て、アノード側緩衝液09からアノード電極54に接続し、グランドに落ちる。このとき、電流の大半はゼロ電位を持つグランドに流れるが、アノード側緩衝液09の内部には他のキャピラリに接続した流路があるため、理論上はその他のキャピラリ31にも電流が逆流すると考えることができる。
図10は、Lane1に流れる電流をI、Lane2に流れる電流をI、Lane3に逆流する電流をIとして、逆流する電流を計算するための模式図である。この構成に従って、逆流する電流を求めてみると、前述のとおり、Lane1にかかる電圧が10kV、Lane2にかかる電圧が1.5kV、Lane3とLane4は0kVである。アノード側緩衝液09、アノード電極54、グランドに至るまでの抵抗を配線抵抗rとし、配線抵抗rにかかる電圧をvとする。Lane3のキャピラリおよび流路が持つ抵抗をRとする。アノード側緩衝液09は極めて電流が流れやすく、r=10mΩ程度である。また、キャピラリ31の配管径が細いため、R=10MΩ程度である。I+I=100μA程度である。v=r×(I+I)、I3=v/Rであるため、I=10−15A程度である。従って、Lane3には極めて微弱な電流しか流れないことが解る。キャピラリ31の配管径はどのキャピラリも同一であるため、Lane4もLane3と同様である。Lane2にはLane1からの電流が同様に逆流するが、その量はLane2に流れる1.5kVからの電流値に比べて理論的には非常に小さい。従って、電気泳動に与える影響は極めて軽微である。それでも逆電流を防止したい場合には、キャピラリ31に高電圧を付加する高電圧電源ユニット15に、ダイオードやコンデンサなどの電子部品を組み合わせた逆流防止回路を搭載した高電圧電源ユニット15を使うことは好ましい実施例のひとつである。
またこの模式図から、ポリマー容器10および容器内部のポリマーがグランドに接続されていると、キャピラリ31の配線抵抗を経ずに逆電流が起こってしまうことが解る。従って、ポンプユニット51を使う構成においてはポリマー容器10にグランドが接しない構成にすることが望ましい。具体的には、ポリマー容器10はポンプユニットにのみ接続し、装置の筐体に触れない構成や、プラスチックなどの非導電物質で支えるなどが望ましい構成の例である。
<ポンプを使ったポリマー注入方式の別の実施例>
電流の逆流による電気泳動への影響が多くなる要因としては、キャピラリ31の電気的抵抗が小さくなる場合である。電流の逆流による電気泳動への影響が多くなる具体的な要因として、キャピラリ31の配管径が大きくなる、キャピラリ31の配管長さが短くなる、キャピラリ31の本数が多くなる、電気抵抗の小さいポリマーを使用するなどが挙げられる。これらの装置を提供するため、図10で求めた極めて微弱な電流の逆流を防止するための、図8に示すポンプユニットの具体的な構成を示した別の一例を図11に示す。
図9と同様に、キャピラリ本数がn本の時、絶縁物質で作られたポリマー流路ブロック52はn本の独立した流路53を持つが、図9と異なる点として、n本の独立した流路53に対して、n個のアノード側緩衝液容器09が個別に接続する。また、n個のアノード側緩衝液容器09は、ポリマー流路ブロック52に備えられたn本のアノード電極54に個別に接続する。
アノード側緩衝液容器09はポリマー流路ブロック52から脱着可能であり、ユーザーが交換できる。このユーザー交換作業の手間を軽減するため、図11では複数のアノード側緩衝液容器09がひとつのホルダー59にまとめて収納されている。他に、容器はひとつであって、容器内の部屋がn個に分かれており、それぞれにアノード側緩衝液が満たされている構成でも構わない。
n本の流路はそれぞれ個別にアノード側緩衝液容器09に接続する。この接続端点にはアノード側バルブ55がそれぞれの流路に設けられており、ソフトウェアによって開閉のタイミングが制御可能である。
この構成により、アノード側緩衝液容器09がLaneごと、キャピラリごとに分かれているため、電流の逆流を発生させない装置をユーザーに提供することができる。
<高圧電源の別の構成>
図12は、図5の高電圧を制御する高電圧電源ユニット15の別の実施例のひとつである。
この構成は、ひとつの高電圧電源43にキャピラリ本数分だけ、出力可変の高電圧ポート44を用意する構成である。これはキャピラリ本数分によっては高電圧電源ユニット15の開発が難しいものの、個別に高電圧電源42を用意するよりも省スペースである、導入コストが小さいなどの利点がある。
<高圧電源の別の構成>
図13は、図5の高電圧を制御する高電圧電源ユニット15の別の実施例のひとつである。
この構成は、出力を固定した固定高電圧電源45を用意する構成である。例えば本発明を使用してSTR解析のような単一アプリケーションに特化した専用機を提供する場合、アプリケーションが定まっており、またサンプル濃度もある程度の範囲に絞られる。すると、実施例1で説明した電気泳動プロセスの、電圧を印加するステップ8、ステップ10、ステップ12で必要となる電圧が定まる。今、必要な高電圧が3種類だとすると、3種類の固定高電圧電源45を用意し、また0kVのGNDも含めて4本の高電圧配線41をそれぞれのキャピラリごとに用意する。電圧を印加するステップに合わせて、メカニカルにまたは制御して高電圧を印加する方法である。
この構成は、高電圧電源の出力が可変ではなく単体毎に固定であるため、高電圧電源の開発が容易で安価である利点がある。
<高圧電源の別の構成>
図14は、図5の高電圧電源を制御する別の実施例のひとつである。
この構成は、ひとつの高電圧電源43に出力を固定した高電圧ポート46を複数用意する構成である。高電圧配線41はキャピラリ本数分だけを用意し、高電圧電源ユニット15の中で、それぞれの電圧を印加するステップに合わせて、出力固定の高電圧ポート46と高電圧配線41の接続をメカニカルにまたは制御して高電圧を印加する方法である。
この構成もまた、高電圧電源の出力が単体毎に固定であるため、高電圧電源の開発が容易で安価である利点がある。
<キャピラリアレイの別の構成>
図15は、図3Aのキャピラリアレイ14の別の実施例のひとつである。各々のキャピラリ31の照射検出領域33には、高精度に製造された整列部品38が固定される。各々の整列部品38は、全てまとめて整列され、整列部保持部品39によって固定される。装置には整列部保持部品39を位置精度良く固定する機構を有する。この構成によって、照射ユニット16がキャピラリの照射検出領域33に照射光17を照射し、また情報光を検出する位置を定めることができる。
この実施例の利点は、キャピラリアレイ14の整列部保持部品39を開いて、キャピラリ31を1本単位で交換できることである。1本ずつ個別に電気泳動可能なキャピラリアレイ14は、ソフトウェアで制限しない限り、複数本の中で使用回数に偏りを持たせることが可能である。
例えば、最大n本のキャピラリ31を設置できる構成であり、キャピラリNoがC1、C2…Cnとする。また、キャピラリ31の使用回数上限が電気泳動500回であるとする。ひとつの装置を繰り返し様々なユーザーが使い回すとして、キャピラリC2…Cnの使用回数が100回前後であるときに、キャピラリC1の使用回数のみが500回に達して、使用上限回数を至ってしまうケースが考えられる。このとき、実施例1の構成ではキャピラリC1だけでなくキャピラリC2…Cnも同時に交換せねばならない。対して、本構成ではユーザーまたは装置メンテナンス者がキャピラリC1だけを交換して、キャピラリあC2…Cnは継続して使い続けることができる。
なお、このとき整列部保持部品38の役割は、各キャピラリ31の整列および固定にあるため、整列部保持部品38を装置に直接搭載するのも、望ましい構成例のひとつである。
<加熱冷却ユニットの別の構成>
図16は、図1、図6、図8の加熱冷却ユニット11における別の実施例のひとつである。温度サイクル処理を行う際に、ひとつの加熱冷却ユニット11が温度を上げ下げするのではなく、設定温度の異なる複数の加熱冷却ユニット61・62を用意し、カートリッジ内の液体が移動することで、温度サイクル処理を行う構成である。
例えばPCRによる温度サイクル処理で必要とする温度が4℃、55℃、60℃の3種類などの場合は、各々の一定温度に制御された3種類の加熱冷却ユニットを備えることが望ましい。しかしながら、55℃と60℃は温度差が低いため、4℃の加熱冷却ユニット61と、55℃と60℃を兼用する加熱冷却ユニット62の組み合わせでも良い。
加熱冷却ユニット61・62を複数用意するために高価に見えるが、実際には温度をPCRに合わせて高速で制御する必要がないため、例えば高温設定では抵抗加熱ヒータを使用し、低温設定では冷却速度が遅いペルチェ素子を使用することができるなどのハードウェア面でのコストダウンと、高度な温度制御プログラムを必要としないソフトウェア面でのコストダウン、および安定性をユーザーに提供できる利点がある。
加熱冷却ユニット61、62は図16のようにカートリッジカバー06に固定する構成である。
<加熱冷却ユニットの別の構成>
図17は、図1、図6、図8の加熱冷却ユニット11における別の実施例のひとつである。
図16の構成と同じように、設定温度の異なる複数の加熱冷却ユニット61・62は、X軸方向に配置されるが、本実施例の加熱冷却ユニット61・62は、装置カバーや恒温槽ユニット(図示なし)に固定されており、カートリッジカバー04には固定されない。温度サイクル処理を行う際には実施例8のように液体がカートリッジ06内を移動するのではなく、オートサンプラー02がXY軸を駆動させてカートリッジ06を加熱冷却ユニット61・62の熱伝導ブロック12に押し当てる構成である。したがって、加熱冷却ユニット61・62の熱伝導ブロック12がカートリッジ06に接するように、図示していないがカートリッジカバー04には空隙を設けてあって、加熱冷却ユニット61・62は装置カバーや恒温槽ユニット等に固定されている構成が好ましい。カートリッジカバー04越しにカートリッジ06を温調できるようカートリッジカバー04の少なくとも一部が熱伝導率および熱伝達率の良い材質で作られている構成が望ましい。
この構成の利点として、実施例9に挙げるコストダウンと安定性の利点に加えて、加熱冷却ユニット61・62をカートリッジカバー04に搭載しないことで、ユーザーが操作するパーツであるカートリッジカバー04の重量を低減し、ユーザーの作業性を向上させることが挙げられる。
<加熱冷却ユニットの別の構成>
図18は、図1、図6、図8の加熱冷却ユニット11における別の実施例のひとつである。
図17の構成と同じように、本実施例の加熱冷却ユニット63は設定温度の異なる熱交換素子やヒータと熱伝導ブロック12の組み合わせはX軸方向に配置されるが、これらは装置カバーや恒温槽ユニットに固定されており、カートリッジカバー04には固定されない。また、温度サイクル処理を行う際にはオートサンプラー02がXY軸を駆動させてカートリッジ06を加熱冷却ユニット11の熱伝導ブロック12に押し当てる点も同様である。図17の構成と異なり、本実施例の加熱冷却ユニット63は、設定温度の異なる複数の熱交換素子やヒータ及び複数の熱伝導ブロック12が、ひとつの放熱体13を共有した構成である。
この構成の利点として、単純に放熱体13の数が減らせる点に加え、複数の熱伝導ブロック12の高さ調整が容易である点が挙げられる。放熱体13は一般的に金属で作られるため、一定の剛性を持つ構造体である。この構造体を共通として複数の熱伝統ブロック12と熱交換素子やヒータが組み立てられるため、全体の水平が調整されている限り、調整が容易で装置間の個体差が少ない装置をユーザーに提供することができる。
<加熱冷却ユニットの別の構成>
図19は、図1、図6、図8の加熱冷却ユニットおよび放熱体における別の実施例のひとつである。
本構成の加熱冷却ユニット64は、複数のLaneに対応する、設定温度の異なる複数の熱伝導ブロック12が、ひとつの放熱体13を共有している構成である。別の言い方をすると、ひとつの放熱体13に接続された、設定温度の異なる複数の熱伝導ブロック12を持つ、一体型の加熱冷却ユニット64に、複数のオートサンプラー上のカートリッジ06が接して温調を行う。加熱冷却ユニット64は装置カバーまたは恒温槽ユニット等に固定されており、オートサンプラー02の駆動により移動しない。
この構成の利点は実施例10とほとんど同様である。実施例10よりも大きな放熱体13を使用することになるが、装置1台あたりに使用する放熱体13の数は少なくなるため、利点の大きい方を選択すれば良い。なお、図19では加熱用の熱伝導ブロック12も冷却用の熱伝導ブロック12も単一の放熱体64を共有しているが、安定性と安定に至るまでの昇温高温速度を優先する場合は、温度によって放熱体64を分けることも好例である。
<個別に電気泳動可能な電気泳動装置>
本発明を実現する、実施例1とは別の形態として、電気泳動装置の構成図である図20を用いて説明する。
実施例1および実施例2では、前処理一体型電気泳動装置01の構成例を説明したが、本発明は汎用機としての、前処理が済んだ解析サンプルの電気泳動を行う電気泳動装置にも適用できる。
図20は汎用の電気泳動装置70としての構成例である。ユーザーは測定したい解析サンプルの種類と数量を決めて8つのウェルを持つサンプルチューブ71に注入する。サンプルチューブ71はユーザーによってサンプルセプタ72を嵌められる。サンプルチューブ71はサンプルセプタ72ごと、サンプルホルダ73に収められる。サンプルセプタ72は、サンプルチューブ71に嵌るように設計されたエラストマー材に、導電パイプ35が通るように穴またはスリットが設けられた内蓋である。装置内にサンプルチューブ71が設置された後の時間経過による蒸発を防止し、またキャピラリの導電パイプ35の側面に液滴が付着することによるキャリーオーバーを低減する。
サンプルホルダ73は、サンプルチューブ71を位置精度よく、且つ立てて保管するストッカーであり、サンプルチューブ71やサンプルセプタ72が解析中に脱落しないように蓋が設けられている。蓋にはサンプルチューブ71にキャピラリ31がアクセスするよう穴またはスリットが設けられている。サンプルホルダ73はオートサンプラー上に位置精度よく設置され、ユーザーによって取り付け取り外しが容易である。
その他、図20に示す構成は実施例2と同様である。すなわち、オートサンプラー02には廃液容器08、カソード側緩衝液容器07が設置される。装置にはキャピラリアレイ14、恒温槽ユニット19、検出器18、ポンプユニット51、アノード側緩衝液容器09、ポリマー容器10が設置される。また、図示しないが、高電圧電源、高電圧配線、照射光を照射する光源を有する照射ユニットが設置される。電気基板であるメインボードや制御用コンピュータも同様である。
装置内におけるサンプル容器として図20ではサンプルチューブ72を示しているが、その他には例えば96ウェルのウェルプレートなどがよく使われている。96ウェルのウェルプレートをサンプル容器とする場合には、オートサンプラーステージはXYの2軸ではなくXYZ軸が稼働するように構成する。
本実施例では前述のとおり実施例2と同様のポンプユニット51を使った装置構成としたが、実施例1と同様にポリマーデリバリーユニット05を使用した装置構成とすることも好例である。
これらの構成にすることで、本発明を使用してSTR解析のような単一アプリケーションの専用機に限らず、汎用機としての塩基配列解析装置においても、個別の電気泳動を行う装置をユーザーに提供することができる。
01:前処理一体型電気泳動装置,02:オートサンプラー,03:前処理ユニット,04:カートリッジカバー,05:ポリマーデリバリーユニット,06:カートリッジ,07:カソード側緩衝液容器,08:廃液容器,09:アノード側緩衝液容器,10:ポリマー容器,11:加熱冷却ユニット,12:熱伝導ブロック,13:放熱体,14:キャピラリアレイ,15:高電圧電源ユニット,16:照射ユニット,17:照射光,18:検出器,19:恒温槽ユニット,21:筒,22:シール部品,23:接続体,24:プランジャ,25:パウチ,26:接続体,31:キャピラリ,32:キャピラリヘッド,33:照射検出領域,34:検出保持部品,35:導電パイプ,36:金属板,37:ロードヘッダ,38:整列部品,39:整列部保持部品,41:高電圧配線,42:高電圧電源,43:高電圧電源,44:出力高電圧ポート,45:固定高電圧電源,46:高電圧電源,51:ポンプユニット,52:ポリマー流路ブロック,53:流路,54:アノード電極,55:アノード側バルブ,56:送液機構,57:送液機構側バルブ,58:逆止弁,59:ホルダー,61・62・63・64:加熱冷却ユニット,70:電気泳動装置,71:サンプルチューブ,72:サンプルセプタ,73:サンプルホルダ

Claims (24)

  1. 分離媒体が充填される複数本のキャピラリと、
    キャピラリを所定の温度に保持する恒温槽と、
    キャピラリを用いた電気泳動時に光の照射と検出を行う照射検出部と、
    キャピラリに電圧を印加する高電圧電源ユニットと、
    分離媒体をキャピラリに送液するための送液機構と、
    試薬やサンプルを保持する容器をキャピラリに搬送するためのオートサンプラーとを有し、
    高電圧電源ユニットによるキャピラリへの電圧印加は、キャピラリごとに制御されることを特徴とする電気泳動装置。
  2. 請求項1の電気泳動装置において、
    高電圧電源ユニットは、キャピラリと同数の高電圧電源を有することを特徴とする電気泳動装置。
  3. 請求項1の電気泳動装置において、
    高電圧電源ユニットは、ひとつの高電圧電源と、複数の高電圧ポートとを有することを特徴とする電気泳動装置。
  4. 請求項3の電気泳動装置において、
    高電圧ポートは出力が可変であり、
    キャピラリと同数の高電圧ポートを備えることを特徴とする電気泳動装置。
  5. 請求項3の電気泳動装置において、
    高電圧ポートは出力が固定されており、
    キャピラリと複数の高電圧ポートの接続は、切り換えられることを特徴とする電気泳動装置。
  6. 請求項1の電気泳動装置において、
    高電圧電源ユニットは、出力を固定した複数の高電圧電源を有し、
    キャピラリと複数の高電圧電源との接続は、切り換えられることを特徴とする電気泳動装置。
  7. 請求項1の電気泳動装置において、
    オートサンプラーを、複数有することを特徴とする電気泳動装置。
  8. 請求項7の電気泳動装置において、
    オートサンプラーはキャピラリと同数であり、
    オートサンプラーは2軸駆動であることを特徴とする電気泳動装置。
  9. 請求項7の電気泳動装置において、
    オートサンプラーには、試薬やサンプルを保持する複数の容器が設置され、
    容器は、キャピラリが接続するための接続口を有し、
    容器に設けられた接続口は、オートサンプラー上で、一列に配置されることを特徴とする電気泳動装置。
  10. 請求項8の電気泳動装置において、
    前記複数の容器は、サンプルを保持するカートリッジまたはサンプル容器と、分離媒体を保持する分離媒体容器と、キャピラリの両端に電圧を印加するための緩衝液を保持するカソード側緩衝液容器とアノード側緩衝液容器と、廃液容器とを含み、
    廃液容器に設けられた接続口と分離媒体容器に設けられた接続口の距離と、
    カソード側緩衝液容器に設けられた接続口とアノード側緩衝液容器に設けられた第1の接続口の距離と、
    カートリッジまたはサンプル容器の接続口とアノード側緩衝液容器に設けられた第2の接続口の距離とが等しいことを特徴とする電気泳動装置。
  11. 請求項7の電気泳動装置において、
    オートサンプラーごとに、分離媒体をキャピラリに送液するための送液機構を有し、
    送液機構は、オートサンプラーに設けられることを特徴とする電気泳動装置。
  12. 請求項1の電気泳動装置において、
    送液機構は、分離媒体を保持する分離媒体容器とキャピラリに電圧を印加するための緩衝液を保持する緩衝液容器と接続されており、
    送液機構は、キャピラリと接続するための接続口と、
    キャピラリと、分離媒体容器と緩衝液容器とを接続するための流路とを有し、
    前記流路は、接続口ごとに設けられることを特徴とする電気泳動装置。
  13. 請求項12の電気泳動装置において、
    接続口は、キャピラリ本数と同数であることを特徴とする電気泳動装置。
  14. 請求項12の電気泳動装置において、
    前記流路にはバルブが設けられていることを特徴とする電気泳動装置。
  15. 請求項1の電気泳動装置において、
    前記容器のうち、サンプルを保持する容器は、サンプルの前処理を行うためのカートリッジであることを特徴とする電気泳動装置。
  16. 請求項15の電気泳動装置において、
    前記カートリッジの温度制御を行う加熱冷却ユニットを有し、
    加熱冷却ユニットは、
    カートリッジの加熱または冷却をするための熱交換素子と、
    冷却効率を向上させるための放熱体と、
    カートリッジに熱を伝える熱伝導ブロックとを有することを特徴とする電気泳動装置。
  17. 請求項15の電気泳動装置において、
    前記カートリッジの温度制御を行う加熱冷却ユニットを有し、
    加熱冷却ユニットは、
    カートリッジを加熱するためのヒータと、
    カートリッジに熱を伝える熱伝導ブロックとを有することを特徴とする電気泳動装置。
  18. 請求項15の電気泳動装置において、
    オートサンプラーは、カートリッジをオートサンプラーに固定するためのカートリッジカバーを有し、
    カートリッジカバーには、カートリッジの温度制御を行う加熱冷却ユニットが設けられていることを特徴とする電気泳動装置。
  19. 請求項16の電気泳動装置において、
    設定温度の異なる複数の加熱冷却ユニットを有することを特徴とする電気泳動装置。
  20. 請求項16の電気泳動装置において、
    加熱冷却ユニットは、設置されるカートリッジごとに設けられることを特徴とする電気泳動装置。
  21. 請求項16の電気泳動装置において、
    加熱冷却ユニットは、ひとつの放熱体に、複数の熱伝導ブロックが設けられていることを特徴とする電気泳動装置。
  22. 請求項21の電気泳動装置において、
    加熱冷却ユニットの熱伝導ブロックは、設置されるカートリッジごとに設けられ、
    放熱体は、設置される複数のカートリッジで用いられることを特徴とする電気泳動装置。
  23. 請求項1の電気泳動装置において、
    キャピラリを整列させるための保持部品を有し、
    複数本のキャピラリは、照射検出部により光が照射されるキャピラリの検出領域を、保持部品によりまとめて固定され、
    複数本のキャピラリの両端は、キャピラリごとに分かれていることを特徴とする電気泳動装置。
  24. 請求項23の電気泳動装置において、
    保持部品から、キャピラリを一本ずつ着脱可能であることを特徴とする電気泳動装置。
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