実施の形態1.
以下、本願の実施の形態1の昇降移動システムの概要について説明する。図1は本願の実施の形態1の昇降移動システムの全体概略図である。本願の実施の形態1の昇降移動システムは、例えば、駅などの改札階とプラットフォーム階の2フロアのみの昇降が行われる施設に設置されるものである。ただし、本願に係る発明はこの構成に限定されるものではない。
図1に示す昇降移動システム1は、利用者を1階と2階の間で昇降させる。昇降移動システム1は2台の乗客コンベア装置200の間に設置されたエレベータ装置300を備える。図1中の下側の乗客コンベア装置200aは、乗客コンベア乗場201aから乗る乗客コンベア利用者2aを1階から2階へ移動させる。図1中の上側の乗客コンベア装置200bは、乗客コンベア乗場201bから乗る乗客コンベア利用者2bを2階から1階へ移動させる。エレベータ装置300は、エレベータ乗場301aからかご302に乗るエレベータ利用者3aを1階から2階へ、エレベータ乗場301bからかご302に乗るエレベータ利用者3bを2階から1階へ移動させる。
続いて昇降移動システム1の詳細な構成を説明する。図2は図1の昇降移動システム1の1階の乗客コンベア乗場201a側から見た乗客コンベア装置200a、200bとエレベータ装置300の概略図である。乗客コンベア装置200aと乗客コンベア装置200bは同じ構成を備えるので、以下乗客コンベア装置200として説明する。
昇降移動システム1は、乗客コンベア乗場201の手前で利用者を検知する利用者検知装置202を備える。
乗客コンベア装置200は自動運転型であり、利用者検知装置202が乗客コンベア利用者2を検知すると運転を開始する。その後、所定時間利用者検知装置202が乗客コンベア利用者2を検知しないと乗客コンベア装置200は運転を停止する。再度利用者検知装置202が乗客コンベア利用者2を検知すると乗客コンベア装置200は運転を再開する。
乗客コンベア装置200は、乗客コンベア利用者2を乗せて移動する踏段部203と、踏段部203の下部に機械室204を備える。機械室204には、駆動機205と乗客コンベア制御装置206が備えられている。駆動機205には踏段部203を連結する図示しないチェーンが巻き掛けられており、駆動機205の駆動力がチェーンに伝わることにより、踏段部203が移動する。
乗客コンベア制御装置206は利用者検知装置202から送信される利用者検知情報に基づき、駆動機205を制御して運転の開始と停止を行う。利用者検知情報とは、利用者を検知したことを示す情報である。利用者検知情報には、必要であれば利用者を検知したという情報とともに、利用者を検知した階床、または利用者を検知した利用者検知装置202を区別するための情報(例えば、利用者検知装置の識別情報)も含めてもよい。
続いて、エレベータ装置300の構成を説明する。エレベータ乗場301には乗場操作盤304が備えられている。乗場操作盤304は操作ボタン305を備える。エレベータ利用者3が乗場操作盤304を操作して、昇降又は下降又は目的階を指定すると、エレベータ利用者3のいる階床へかご302の呼び登録がされる。そして、エレベータ利用者3のいる階床へかご302が移動する。
エレベータ利用者3が乗るかご302は、昇降路303内を上下移動する。昇降路303は上部に機械室306を備える。機械室306は、巻上機307と、エレベータ制御装置308を備える。エレベータ制御装置308は、エレベータ装置300の全体の運行を制御すると共に、制御に必要なエレベータ装置300に関連する情報を保持する。巻上機307には巻き掛けられたロープ309aの両端に、乗客が乗るためのかご302と釣合おもり309bが取り付けられている。エレベータ制御装置308が巻上機307の回転動作を制御してロープ309aを巻き上げることにより、かご302を昇降させる運転が行われる。
続いて図3を用いて、利用者検知装置202の詳細な構成を説明する。図3は図1の昇降移動システム1の1階の乗客コンベア乗場201a側から見た利用者検知装置202の外観図である。1台の乗客コンベア装置200は乗客コンベア乗場201の左右に1台ずつ利用者検知装置202を備える。エレベータ装置と隣接している利用者検知装置202はそれぞれの乗客コンベア装置に対して1台とする。
つまり、図3において、右側の乗客コンベア装置200aの利用者検知装置202bがエレベータ装置300と隣接している側の利用者検知装置であり、利用者検知装置202aがエレベータ装置300と隣接していない側の利用者検知装置である。また、左側の乗客コンベア装置200bの利用者検知装置202cがエレベータ装置300と隣接している側の利用者検知装置であり、利用者検知装置202dがエレベータ装置300と隣接していない側の利用者検知装置である。
エレベータ装置300のエレベータ乗場301aの右側(一端側)に乗客コンベア装置200aの利用者検知装置202bが設置され、左側(他端側)に乗客コンベア装置200bの利用者検知装置202cが設置されている。
利用者検知装置202a〜202dは、それぞれ筐体207に、乗客コンベア利用者検知部208a〜208dと、乗客コンベア情報表示装置210と、エレベータ情報表示装置211とを備える。利用者検知装置202b、202cは更にエレベータ利用者検知部209a、209bを備える。
図3では筐体207を乗場ポストとして示すが、利用者検知装置202の構成を備えれば他の形態としてもよい。例えば乗客コンベア装置200の手すりまたは設置施設の壁面としてもよい。
乗客コンベア利用者検知部208は、乗客コンベア乗場201への経路である第1の範囲4で利用者の有無を検知するセンサを備える。エレベータ利用者検知部209は、エレベータ乗場301への経路であり、第1の範囲4と異なる第2の範囲5で利用者の有無を検知するセンサを備える。
なお、第2の範囲5は第1の範囲4と全く重ならない範囲であってもよいし、第2の範囲5は、少なくとも第1の範囲4と重ならない範囲を有していれば、一部の範囲が第1の範囲4と重なっていてもよい。
また、図3のように利用者検知装置202を配置する場合、エレベータ利用者検知部209は、エレベータ利用者検知部209とは利用者検知装置202に対して左右方向で反対を検知するように筐体207に備えられるとする。
図3では利用者を検知する第1の範囲4と第2の範囲5は光軸の長さとして示されている。しかし、乗客コンベア利用者検知部208およびエレベータ利用者検知部209が利用者を検知できる範囲に応じて、第1の範囲4と第2の範囲5は、長さに限らず長さと高さを持つ面や、奥行きももつ空間としてもよい。
乗客コンベア利用者検知部208とエレベータ利用者検知部209は、図1に示すように、エレベータ装置300の両側に乗客コンベア装置200を設ける昇降移動システム1に適用する場合、投受光型のセンサを用いることができる。投受光型センサを用いる場合は光軸を形成するための投光器を備える側と受光器を備える側の2つの利用者検知装置202が必要である。投受光型のセンサは投光部と受光部の各機器が対になった構成となっている。
図3のように利用者検知装置202を配置する場合、利用者検知装置202aの乗客コンベア利用者検知部208aが投光器、利用者検知装置202bの乗客コンベア利用者検知部208bが受光器となる。また、利用者検知装置202bのエレベータ利用者検知部209aが投光器、利用者検知装置202cのエレベータ利用者検知部209bが受光器となる。また、利用者検知装置202cの乗客コンベア利用者検知部208cが投光器、利用者検知装置202dの乗客コンベア利用者検知部208dが受光器になる。対になっている受光器と投光器の位置を入れ替えてもよい。乗客コンベア利用者検知部208とエレベータ利用者検知部209は、投光器からの光を、受光器で検知しないとき、利用者がいると検知する。
なお、乗客コンベア装置200bを下り専用として運行させる場合は、1階から2階へ利用者を移動させることはできないので、利用者検知装置202cの乗客コンベア利用者検知部208cと利用者検知装置202dの乗客コンベア利用者検知部208dは無い構成としてもよい。
乗客コンベア利用者検知部208は、1台の乗客コンベア装置200の利用者検知装置202が備えるエレベータ利用者検知部209ではない投受光型センサ(図3の利用者検知装置202aの乗客コンベア利用者検知部208aと、利用者検知装置203cの乗客コンベア利用者検知部208b。利用者検知装置202cの乗客コンベア利用者検知部208cと、利用者検知装置202dの乗客コンベア利用者検知部208d。)で光軸を形成している。この光軸は利用者が乗客コンベア乗場201に向かう際に通る第1の範囲4のエリアにいる利用者を検知する。乗客コンベア利用者2がこの光軸を遮ると、乗客コンベア利用者検知部208は受光部で光が検知できなくなる。このことにより、乗客コンベア利用者検知部208は、乗客コンベア利用者2を検知することができる。
乗客コンベア利用者検知部208は、乗客コンベア利用者2の有無の検知結果を出力する。この検知結果は、例えば利用者を検知すると1、検知しないと0として2進数で示してもよいし、利用者を検知したときのみ利用者がいるという旨の信号を送信して示してもよい。
エレベータ利用者検知部209は、2台の乗客コンベア装置200のエレベータ装置300側の2つの利用者検知装置202の、エレベータ装置300側の2つのセンサ(図3の利用者検知装置202bのエレベータ利用者検知部209aと、利用者検知装置203cのエレベータ利用者検知部209b)で、光軸を形成している。この光軸はエレベータ乗場301の手前に形成され、第2の範囲5に利用者が立ち入ると遮られる。エレベータ利用者3がエレベータ乗場301への経路である第2の範囲5を通過し光軸を遮ると、エレベータ利用者検知部209は受光部側で光を検知できなくなる。このことによりエレベータ利用者検知部209はエレベータ利用者3を検知することができる。
エレベータ利用者検知部209は、エレベータ利用者3の有無の検知結果を出力する。この検知結果は、例えば利用者を検知すると1、検知しないと0として2進数で示してもよいし、利用者を検知したときのみ利用者がいるという旨の信号を送信して示してもよい。
乗客コンベア情報表示装置210は、乗客コンベア装置200の進行方向または稼働状況などの運行情報を表示する。表示はモニターに図や文字を表示しても、音声を再生してもよい。乗客コンベア情報表示装置210は、運行情報の表示だけでなく、運転方向に対して逆方向から進入しようとする利用者に、正規の乗込口ではないことを音声で警告してもよい。
エレベータ情報表示装置211は、エレベータ装置300の運行情報を表示する。表示はモニターに図や文字を表示しても、音声を再生してもよい。エレベータ情報表示装置211により乗客コンベア乗場201近くの利用者に対し、エレベータ装置300のかご呼びの状況、およびかご302が同階床にあることを知らせ、エレベータの利用を促すことができる。
続いて図4を用いて、実施の形態1の昇降移動システム1の制御に関連する構成について説明する。図4は本願の実施の形態1の昇降移動システムの制御に関連する構成の機能ブロック図である。図4はすでに説明した一部の構成、例えば筐体207、かご302等は図示を省略している。
まず、利用者検知装置202が備える通信部212(信号送信部)について説明する。
通信部212は、利用者検知装置202が、エレベータ制御装置308と乗客コンベア制御装置206と、通信を行うための通信インターフェースである。通信部212は、エレベータ制御装置308と乗客コンベア制御装置206へ利用者検知情報を送信するために、乗客コンベア利用者検知部208とエレベータ利用者検知部209から利用者の検知結果を取得する。通信部212は、エレベータ利用者検知部209が利用者を検知すると、利用者検知情報をエレベータ制御装置308に送信する。エレベータ制御装置308は、利用者検知階にて、乗場操作盤304にてかご呼びが行われたときと同様に制御を行い、利用者検知階にてかご呼びがなされていない場合、その階床をかご呼び登録する。従って、通信部212は、エレベータ利用者検知部209が利用者を検知すると、利用者を検知したエレベータ乗場301の階床にかご呼びを行うための信号として利用者検知情報をエレベータ制御装置に送信する。
また、乗客コンベア利用者検知部208が利用者を検知すると、通信部212は利用者検知情報を乗客コンベア制御装置206に送信する。また、エレベータ制御装置308から取得するエレベータ装置300の運行情報を受信してエレベータ情報表示装置211へ送信し、乗客コンベア制御装置206の運行情報を受信して、乗客コンベア情報表示装置210へ送信する。
次に、乗客コンベア制御装置206について説明する。乗客コンベア制御装置206は乗客コンベア利用者検知情報取得部213と、乗客コンベア運行決定部214と、乗客コンベア運行制御部215と、乗客コンベア情報表示制御部216を備える。
乗客コンベア利用者検知情報取得部213は、通信部212から送信された乗客コンベア利用者検知部208の利用者検知情報の信号を取得する。
乗客コンベア運行決定部214は、乗客コンベア利用者検知情報取得部213が取得した信号に応じて、乗客コンベア装置200の運行方法を決定する。運行方法とは、踏段部203を移動させるか否か、または踏段部を上方向に移動させるか下方向に移動させるか、または移動の速度等である。乗客コンベア利用者検知情報取得部213が利用者を検知した場合には、踏段部203を移動させるよう乗客コンベア運行制御部215に指示する。乗客コンベア利用者検知情報取得部213が利用者を所定時間検知しない場合、踏段部203を停止させるよう乗客コンベア運行制御部215に指示する。
乗客コンベア運行制御部215は、乗客コンベア運行決定部214が決定した運行方法に従い、駆動機205に指示をして踏段部203を移動または停止させる。
乗客コンベア情報表示制御部216は、乗客コンベア運行制御部215からの踏段部203の制御状態を取得し、乗客コンベア情報表示装置210に表示させる運行情報の表示を制御する。
続いて、エレベータ制御装置308について説明する。エレベータ制御装置308は、エレベータ利用者検知情報取得部310と、かご呼び登録部311と、かご運行決定部312と、かご運行制御部313と、エレベータ情報表示制御部314を備える。
エレベータ利用者検知情報取得部310は、通信部212からのエレベータ利用者検知部209の利用者検知情報を伝える信号を取得する。このとき、エレベータ利用者検知情報取得部310は、どの階床でエレベータ利用者3が検知されたかも取得する。以下では、エレベータ利用者検知部209でエレベータ利用者3を検知した階床を利用者検知階と呼ぶ。エレベータ利用者検知情報取得部310は、利用者検知階を、通信部212から利用者検知情報とともに設置階床を送信させることによって取得してもよい。また、エレベータ利用者検知情報取得部310が特定してもよい。
かご呼び登録部311は、エレベータ装置300に対してかご呼びが行われた階床を登録する。かご呼び登録部311は、かご呼びがなされた階床の番号のリストを保存しており、乗場操作盤304によるかご呼び、または利用者検知装置202によるエレベータ利用者3の検知によりかご呼びがなされた階床の番号のリストの更新を行う。かご呼び登録部311はエレベータ利用者検知情報取得部310から利用者を検知する信号を取得すると、利用者検知階がすでにリストに呼び登録されているか否かを確認し、登録されていなければ、新たにリストに追加しリストを更新して保存する。エレベータ制御装置308はかご呼び登録部311に登録された階床に、かご302を停止させるよう、かご302の運行を制御する。
かご運行決定部312は、エレベータ装置300のかご302の運行方法を決定する。かご302の運行方法とは、かご302を移動させるか否か、またはかご302を上方向に移動させるか下方向に移動させるか、または移動の速度等である。かご運行決定部312はかご呼び登録部311に登録されているかご呼びがされたリストが更新されると、かご302の運行方法を再度決定する。決定した運行方法に従ってかごを移動させるようかご運行制御部313に指示する。
かご運行制御部313は、かご運行決定部312が決定した運行方法に従い、巻上機307を制御してかご302を移動または停止させる。
エレベータ情報表示制御部314は、かご運行制御部313からのかご302の制御状態を取得し、エレベータ情報表示装置211に表示させる運行情報の表示を制御する。
次に、本願の実施の形態1の昇降移動システム1の動作について説明する。図5は本願の実施の形態1の昇降移動システムのエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
エレベータ装置300が運転を開始すると、ステップS1でエレベータ利用者3を検知したか否かを判定する。すなわち、エレベータ利用者検知部209により第2の範囲5でエレベータ利用者3が検知され、エレベータ利用者検知情報取得部310にて通信部212からの利用者を検知した利用者検知情報を取得したか否かを判定する。
ステップS1でエレベータ利用者3がいると判定されなかった場合、ステップS1に戻り、エレベータ利用者3を検知したと判定されるまでエレベータ利用者3の有無の判定を続ける。
エレベータ利用者3がエレベータ乗場301への経路である第2の範囲5を通過すると、ステップS1でエレベータ利用者3がいると判定され、ステップS2に進む。ステップS2では利用者検知階がすでに呼び登録されているかを、かご呼び登録部311が判定する。呼び登録がまだなされていない場合、ステップS3に進み利用者検知階の階床を呼び登録する。
なお、エレベータのかご302が階床に到着した直後は、第2の範囲5にかご302から降車した人も検知されることがあるが、降車した人が再度エレベータ装置300を利用する可能性は低く、かご呼びを行う必要はない。従って、図5には示さないが、かご302が利用者検知装置202を設置する階床にて停止し戸開した時から、降車する人が第2の範囲5を通過し終わると想定されるまでの時間、例えば5〜10秒の間、ステップS1のエレベータ利用者検知部209による利用者の検知動作を停止してもよい。
ステップS2にて利用者検知階が呼び登録されていると判定された場合、またはステップS3で利用者検知階を呼び登録した後、ステップS4に進む。ステップS4では、かごが利用者検知階に到着しているか否かをかご運行制御部313にて判定する。まだかごが利用者検知階に到着していない場合は、ステップS5に進み、かご運行決定部312が利用者検知階にかごを移動させるよう運行方法を決定する。このとき、かご運行決定部312は、利用者検知階にすぐかごを移動させるわけではなく、他のかご呼び登録がなされた階およびかご内の利用者によって行先階登録された階も含めてかごの停止順を決定する。ステップS5の後、ステップS4に戻り、かごが利用者検知階に到着するまでステップS4にとどまる。
ステップS4にてかごが利用者検知階に到着したと判定された後、ステップS6に進み戸開する。ステップS6の後、ステップS7に進み、エレベータ制御装置が、所定時間の経過後、かごを戸閉するよう制御する。なお、所定時間が経過しなくてもかご内の利用者の戸閉操作により戸閉を行ってもよい。
以上のようなステップS1〜ステップS7の動作により、エレベータ利用者検知部209が利用者を検知すると、エレベータ乗場301の階床にかご呼びを行うための信号をエレベータ制御装置308に送信し、エレベータ利用者3のためにかご呼びを行う。
本発明の実施の形態1によれば、乗客コンベア装置200を利用しないエレベータ利用者3のために、エレベータ利用者3が乗場操作盤に到着する前に、エレベータのかご呼びを行うことができ、効率的にエレベータを運転することができる。
更に、乗客コンベア利用者検知部208とエレベータ利用者検知部209が同一の筐体207に収納されているので、エレベータ利用者を検知するために新たな装置を設置する必要がない。つまり、従来から用いていた乗客コンベア装置用の乗場ポスト等を流用することができるので、製造コストを抑制することができる。
更に、実施の形態1では利用者検知装置202bと利用者検知装置202cに投光器及び受光器となるエレベータ利用者検知部209aとエレベータ利用者検知部209bを配置する。従って利用者検知装置202b、202cのどちらか一方に、片側のみの設置で利用者を検知できる反射型センサ等を用いる場合よりも、検出精度を向上させることができる。
なお、乗客コンベア装置200は自動運転型としたが、常時運転している乗客コンベア装置200を備える昇降移動システム1に適用してもよい。
実施の形態2.
以下、本願の実施の形態2の昇降移動システムについて説明する。実施の形態2は利用者検知装置202が更に滞留検知部217を備える点が実施の形態1と異なる。本願の実施の形態2の昇降移動システムにおいて、乗客コンベア装置200とエレベータ装置300との設置は図1で示した昇降移動システム1の全体概略図と同様とする。
本願の実施の形態2の昇降移動システム1の制御に関連する構成の機能ブロック図を図6に示す。滞留検知部217は利用者検知装置202の筐体207に備えられ、乗客コンベア乗場201における、人の滞留を検知し、滞留検知情報を送信する。滞留検知情報とは、人の滞留の有無の情報であり、例えば滞留を検知すると1、検知しないと0として2進数で示してもよいし、滞留を検知したときのみ滞留しているという旨の信号を送信することによって示してもよい。乗客コンベア乗場201が滞留する場合とは、例えば、駅舎のように電車の到着時に一度に利用者が乗込口に押し寄せた場合、または乗客コンベアから降車した後に大勢の人が滞留している場合などである。滞留検知部217は乗客コンベア利用者検知部208から利用者の検知結果を取得し、利用者がいるという検知結果が一定時間以上連続する場合、乗客コンベア乗場201が滞留していると判断する。利用者の検知が一定時間以上連続する場合は、乗客コンベア装置200利用が継続していると想定されるので、乗客コンベア乗場201にて待つ利用者が多いと考えられるからである。
なお、滞留検知部217は、乗客コンベア利用者検知部208からの利用者の検知結果を利用しなくてもよい。例えば、他の滞留検知部として、乗客コンベア乗場201の天井に利用者検知装置202に新たに乗客コンベア乗場201の滞留を検知するためのカメラまたは赤外線センサを設け、そのカメラまたは赤外線センサにより乗客コンベア乗場201の測定面積範囲内に対して、閾値以上の乗客コンベア利用者2の数を検知すると、滞留していると判断してもよい。また、例えば、乗客コンベア乗場201に利用者が滞留していると、踏段部203に多数の利用者が乗っているので、駆動機205に掛かる負荷が大きくなる。よって、駆動機205に供給する電力が所定値を所定時間継続して超えている場合に、滞留検知部217は、滞留していると判断してもよい。
滞留検知部217が滞留を検知すると、通信部212がエレベータ制御装置308に、かご呼びを行う信号を送信する。具体的には、通信部212がかご呼び登録部311に滞留検知情報と階床の情報を送信する。かご呼び登録部311は、かご呼び登録がされた階床の番号のリストを確認し、滞留が検知された階床が登録されていなければ追加する。従って、実施の形態2の昇降移動システム1は、エレベータ利用者検知部209がエレベータ利用者3を検知する場合と、滞留検知部217が乗客コンベア乗場201の滞留を検知する場合に、かご呼びを行うことができる。
エレベータ情報表示装置211は、滞留検知部217において滞留を検知した場合、乗客コンベア利用者2に対して、エレベータの利用を促す表示を行う。これにより乗客コンベア乗場201の滞留を軽減し、効率的に利用者を昇降移動させることができる。
続いて、本願の実施の形態2の昇降移動システムのエレベータ制御装置の動作を説明する。図7は本願の実施の形態2の昇降移動システムのエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。なお、上記にてエレベータ利用者検知部209でエレベータ利用者3を検知した階床を利用者検知階と呼ぶこととしたが、実施の形態2で滞留検知部217において滞留が検知された階床も利用者検知階と呼ぶ。
エレベータ装置300が運転を開始すると、ステップS8でエレベータ利用者3を検知したか否かを判定する。すなわち、エレベータ利用者検知部209により第2の範囲5でエレベータ利用者3が検知され、エレベータ利用者検知情報取得部310にて通信部212からの利用者を検知した利用者検知情報を取得したか否かを判定する。ステップS8は実施の形態1のステップS1と同じである。
ステップS8でエレベータ利用者3がいると判定されなかった場合、ステップS9に進む。ステップS9にて、乗客コンベア乗場201の滞留が検知されたか否かを判定する。すなわち、滞留検知部217により第1の範囲4で乗客コンベア利用者2が一定時間以上連続して検知され、かご呼び登録部311に通信部212から滞留しているという滞留検知情報を取得したか否かを判定する。
ステップS9にて乗客コンベア乗場201の滞留が検知されなかった場合、ステップS8に戻り、ステップS8でエレベータ利用者3を検知したと判定されたか、ステップS9にて滞留が検知されるまで判定を続ける。
エレベータ利用者3がエレベータ乗場301への経路である第2の範囲5を通過すると、ステップS8でエレベータ利用者3がいると判定され、ステップS10に進む。また、滞留検知部217により第1の範囲4で乗客コンベア利用者2が一定時間以上連続して検知され、かご呼び登録部311が通信部212から滞留を検知した滞留検知情報を取得すると、滞留が検知されたと判定されステップS10に進む。
ステップS10からステップS15は実施の形態1のステップS2からステップS7と同様の動作をする。
以上のようなステップS8〜ステップS15の動作により、エレベータ利用者3が第2の範囲5で検出された場合も、乗客コンベア乗場201の滞留が検知された場合もエレベータのかご呼びを行うことができる。
実施の形態3.
以下、本願の実施の形態3を説明する。実施の形態3は、図1で示した実施の形態1の昇降移動システムの装置の配置構成とは異なる。
図8に実施の形態3の昇降移動システムを上から見た概略図を示す。実施の形態3では乗客コンベア装置200がエレベータ装置300に隣接して1台のみ設置されている。実施の形態1、2では、エレベータ利用者検知部209a、209bに投受光型センサを用いて第2の範囲5を通過する利用者を検知していた。実施の形態3では乗客コンベア利用者検知部208とエレベータ利用者検知部209が、1台の利用者検知装置202の設置のみで利用者を検知することができるセンサ、例えば反射型センサを用いる場合、図8のような2台の利用者検知装置202がない配置構成である施設にも本願の昇降移動システムを適用することができる。
実施の形態3によれば、乗客コンベア装置200を1台のみ設置している施設においても、乗客コンベア装置200を利用しないエレベータ利用者3のために、乗場操作盤304に到着する前に、エレベータのかご呼びを行うことができ、効率的にエレベータを運転することができる。
実施の形態4.
次に、本願の実施の形態4を説明する。実施の形態4も実施の形態3と同様に、乗客コンベア利用者検知部208とエレベータ利用者検知部209が、1台の利用者検知装置202の設置のみで利用者を検知することができるセンサを用いることとする。図9は実施の形態4の昇降移動システムを上からみた概略図である。実施の形態4は、実施の形態1、3とは異なる装置の配置構成であり、実施の形態1、3のように乗客コンベア乗場201とエレベータ乗場301が左右に隣接していない。実施の形態4はエレベータ乗場301と離れた位置に第2の範囲5がある。エレベータ乗場301への経路であり乗客コンベア利用者を検知する第1の範囲4とは異なる第2の範囲5で検知された利用者が、エレベータを利用することが想定される場合、図9に示すような配置構成の施設にも本願の昇降移動システムを適用することができる。
実施の形態4によれば、乗客コンベア装置200を1台のみ設置している施設において、乗客コンベア装置200を利用しないエレベータ利用者3のために、乗場操作盤304に到着する前に、エレベータのかご呼びを行うことができ、効率的にエレベータを運転することができる。また、実施の形態4は実施の形態3より、エレベータ利用者3が利用者検知装置202に検知されてからエレベータ乗場301に移動するまでの距離が長い。従って、かご呼びを行ってからエレベータ利用者3がエレベータ乗場301に到着するまでの、より長い時間かごの移動をすることができるので、エレベータ乗場301における利用者の待ち時間を実施の形態3より短くすることができる場合がある。
実施の形態5.
次に、本願の実施の形態5を説明する。図10に実施の形態5の昇降移動システムを上からみた概略図を示す。図10において、乗客コンベア装置200c(第1の乗客コンベア装置)は1階から2階への上り用、乗客コンベア装置200d(第2の乗客コンベア装置)は2階から3階への上り用とする。従って、乗客コンベア装置200cの乗客コンベア乗場201aは1階、乗客コンベア乗場201bは2階にある。乗客コンベア装置200dの乗客コンベア乗場201cは2階、乗客コンベア乗場201dは3階にある。2階は乗り継ぎ階となっている。2階にはエレベータ装置300aのエレベータ乗場301aと、エレベータ装置300bのエレベータ乗場301bがある。エレベータ装置300aとエレベータ装置300bは、乗客コンベア装置200cと乗客コンベア装置200dの間に設置されている。
2階の乗り継ぎ階からは乗客コンベア装置200dおよび2台のエレベータ装置300a、300bのいずれを用いても移動することができる。このような乗り継ぎ階をもつ施設に適用される実施の形態5では利用者検知装置202のエレベータ利用者検知部209と乗客コンベア利用者検知部208は実施の形態1〜4では利用者検知装置202に対して180度反対の方向を検知するように設けられたが、実施の形態5では90度の角度をなすように設けられる。ここで、乗客コンベア装置200cの乗客コンベア乗場201bに設けられる利用者検知装置202を利用者検知装置202eと202fとし、エレベータ装置300aに隣接する方を利用者検知装置202e(第1の利用者検知装置)とし、エレベータ装置300bに隣接する方を利用者検知装置202fとする。また乗客コンベア装置200dの乗客コンベア乗場201cに設けられる利用者検知装置202を利用者検知装置202gと202hとし、エレベータ装置300aに隣接する方を利用者検知装置202g(第2の利用者検知装置)とし、エレベータ装置300bに隣接する方を利用者検知装置202hとする。つまり、エレベータ装置300aのエレベータ乗場301aの一端側に乗客コンベア装置200cの利用者検知装置202eが設置され、他端側に乗客コンベア装置200dの利用者検知装置202gが設置されている。同様に、エレベータ装置300bのエレベータ乗場301bの一端側に乗客コンベア装置200cの利用者検知装置202fが設置され、他端側に乗客コンベア装置200dの利用者検知装置202hが設置されている。
従って、エレベータ装置300aの利用者を検知する第2の範囲5aと乗客コンベア装置200dの利用者を検知する第1の範囲4bは利用者検知装置202gに対して90度をなす。また、エレベータ装置300bの利用者を検知する第2の範囲5bと乗客コンベア装置200dの利用者を検知する第1の範囲4bは利用者検知装置202hに対して90度をなす。
実施の形態5においても、実施の形態1と同様に第1の範囲4a、4b及び第2の範囲5a、5bは、利用者検知装置202e〜202fに設置された投光器と受光器で形成される範囲である。
実施の形態5では、乗り継ぎ階にて利用者が乗客コンベア乗場201cの方へ進めば第1の範囲4bで利用者検知装置202g、202hに検知される。エレベータ乗場301aに進めば第2の範囲5aで利用者検知装置202e、202gに検知される。エレベータ乗場301bに進めば第2の範囲5bで利用者検知装置202h、202fに検知される。実施の形態5では乗客コンベア装置200cは1階から2階への上り用運転をするので、利用者が乗客コンベア乗場201bに進むことはない。しかし、乗客コンベア装置200cが下り用運転をする場合は、利用者検知装置202eと利用者検知装置202fによって、第1の範囲4aで利用者を検知する。
利用者が第2の範囲5aで利用者検知装置202e、202gに検知されると、利用者検知情報からエレベータ装置300aに対してかご呼び登録がなされ、第2の範囲5bで利用者検知装置202h、202fに検知されると、エレベータ装置300bに対してかご呼び登録がなされる。
なお、複数台のエレベータ装置300を1つのエレベータ制御装置308が制御している場合、利用者が進んだ方向のエレベータ装置300のみかご呼びさせるために、どちらの第2の範囲5で利用者が検知されたかエレベータ制御装置308が特定できるよう、利用者検知装置202から利用者検知情報を送る。
実施の形態5によれば、2台のエレベータ装置300のうち、第2の範囲にて利用者を検知したエレベータのみかご呼びをすることができ、エレベータ乗場301における利用者の待ち時間を短くして効率的にエレベータを運行することができる。
以下、図11を用いて実施の形態1〜5に係る乗客コンベア制御装置206とエレベータ制御装置308と利用者検知装置202が備える構成要素のハードウェア構成について説明する。図11は、実施の形態1〜5に係る乗客コンベア制御装置206またはエレベータ制御装置308または利用者検知装置202が備える構成要素のハードウェア構成図である。図11において、乗客コンベア制御装置206またはエレベータ制御装置308または利用者検知装置202は入力装置101、出力装置102、記憶装置103、及び処理装置104を備える。
入力装置101は、乗客コンベア制御装置206の乗客コンベア利用者検知情報取得部213、またはエレベータ制御装置308のエレベータ利用者検知情報取得部310または利用者検知装置202の通信部212等が備える情報が入力されるネットワークインタフェースである。このネットワークはLANケーブルまたは同軸ケーブル等の有線通信ネットワークでも、無線通信技術を用いた無線通信ネットワークでもよい。
出力装置102は、乗客コンベア制御装置206の乗客コンベア情報表示制御部216またはエレベータ制御装置308のエレベータ情報表示制御部314または利用者検知装置202の通信部212等が備える。各構成への制御の信号または利用者検知情報を送信するネットワークインタフェースである。このネットワークはLANケーブルまたは同軸ケーブル等の有線通信ネットワークでも、無線通信技術を用いた無線通信ネットワークでもよい。
記憶装置103は、エレベータ制御装置308のかご呼び登録部311が備える。ワーキングメモリなどに該当し、かご呼びがなされた階床を記憶する装置である。例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー等の不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク等が該当する。
処理装置104は、乗客コンベア制御装置206の乗客コンベア運行決定部214と乗客コンベア運行制御部215、またはエレベータ制御装置308のかご運行決定部312とかご運行制御部313、または利用者検知装置202の滞留検知部217等に該当する。処理装置104は専用のハードウェアであっても、記憶装置103に記録されるプログラムを実行するCPU(CentralProcessingUnit)であってもよい。
処理装置104が専用のハードウェアである場合、処理装置104は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサー、並列プログラム化したプロセッサー、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
処理装置104がCPUの場合、乗客コンベア運行決定部214と、乗客コンベア運行制御部215と、かご運行決定部312と、かご運行制御部313と、滞留検知部217の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、記憶装置103に記録される。処理装置104は記憶装置103に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
なお、乗客コンベア運行決定部214と、乗客コンベア運行制御部215と、かご運行決定部312と、かご運行制御部313と、滞留検知部217の各機能は、一部をハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
例えば、滞留検知部217については専用のハードウェアとし、乗客コンベア運行決定部214と、乗客コンベア運行制御部215と、かご運行決定部312と、かご運行制御部313については記憶装置103に記録されたプログラムとして記述してその機能を実現してもよい。
このように、処理装置104はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
以上のようにして、本発明の利用者検知装置及び昇降移動システムによれば、乗客コンベアを利用しないエレベータ利用者のために、エレベータの乗場操作盤に到着する前に、エレベータのかご呼びを行うことができ、待ち時間を削減し、効率よくエレベータを運行することができる。