JPWO2020162339A1 - 樹脂組成物およびこれを用いた立体造形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

高弾性かつ破断伸びの高い立体造形物を得るための樹脂組成物の提供、およびこれを用いた立体造形物の製造方法の提供を課題とする。本願の樹脂組成物は、粒子状の樹脂組成物を含む薄層の形成および前記薄層への選択的なエネルギー照射の繰り返し、または溶融させたフィラメント状の樹脂組成物の積層、を行う立体造形法用の樹脂組成物である。熱可塑性樹脂と、水に可溶な、金属塩および/または金属錯体と、を含み、前記金属塩および/または前記金属錯体は非真球状であり、平均短径が0.1〜10μmであり、かつ平均長径と前記平均短径との比が10〜100である。

Description

本発明は、樹脂組成物およびこれを用いた立体造形物の製造方法に関する。
近年、複雑な形状の立体造形物を比較的容易に製造できる様々な方法が開発されており、このような手法を利用したラピッドプロトタイピングやラピッドマニュファクチュアリングが注目されている。
従来、これらの立体造形物の製造方法は、モデリングの分野で広く使用されてきたが、近年、これらの手法を直接製造に展開する動きが活発になっている。直接製造する立体造形物には、造形精度が高いだけでなく、強度が高いことも求められる。
ここで、立体造形物の製造方法として、レーザ焼結法が知られている。レーザ焼結法では、樹脂粒子を平らに敷き詰めて薄層を形成する。そして、当該薄層に、立体造形物を厚さ方向に微分割したパターン状にレーザ光を照射する。これにより、レーザ光が照射された領域の樹脂粒子が選択的に焼結または溶融結合(以下、単に「溶融結合」とも称する)する。そして、得られた造形物層上に樹脂粒子をさらに敷き詰め、同様にレーザ光照射を行う。これらの手順を繰り返すことで、造形物層を積み上げ、所望の形状の立体造形物を得る(以下、当該方法を「SLS法」とも称する)。
さらに別の立体造形物の製造方法として、熱溶解積層方式も知られている。熱溶解積層方式では、例えば、樹脂組成物をフィラメント状に溶融押出しし、ステージ上に、立体造形物を厚さ方向に微分割した造形物層を形成する。そして、当該造形物層上にさらに溶融押出しを行う。そして、溶融押出しを繰り返すことで、所望の形状の立体造形物を得る(以下、当該方法を「FDM法」とも称する)。
また、別の立体造形物の製造方法として、樹脂粒子を平らに敷き詰めて薄層を形成し、当該薄層のうち、硬化させたい領域(所望の立体造形物を厚さ方向に微分割したパターン状)にのみ、赤外光吸収剤等を含む結合用流体を塗布する。そして、赤外光の照射を行い、結合用流体を塗布した領域の粉末材料のみを加熱溶融させて、所望の立体造形物を得る方法(以下、当該方法を「MJF法」とも称する)も知られている。
ここで、上述のSLS法に用いるための樹脂組成物として、樹脂と強化繊維とを含む組成物が提案されている(特許文献1)。
特表2007−535585号公報
立体造形物には、高弾性であること、さらには破断伸びが高いことが求められる。しかしながら、高弾性化のために、フィラーを添加すると、立体造形物が脆くなりやすく、破断伸びが低くなりやすい。そして特に特許文献1のように、繊維状のフィラーを添加すると、立体造形物が脆くなりやすかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。本発明は、高弾性かつ破断伸びの高い立体造形物を作製可能な樹脂組成物の提供、およびこれを用いた立体造形物の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、以下の樹脂組成物を提供する。
[1]粒子状の樹脂組成物を含む薄層の形成および前記薄層への選択的なエネルギー照射の繰り返し、または溶融させたフィラメント状の樹脂組成物の積層、を行う立体造形法用の樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂と、水に可溶な、金属塩および/または金属錯体と、を含み、前記金属塩および/または前記金属錯体は非真球状であり、平均短径が0.1〜10μmであり、かつ平均長径と前記平均短径との比が10〜100である、樹脂組成物。
[2]前記金属塩および/または前記金属錯体は、分子中に水和水を有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]粒子状である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]フィラメント状である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
本発明は、以下の立体造形物の製造方法も提供する。
[5]上記[3]に記載の粒子状の樹脂組成物を含む薄層を形成する薄層形成工程と、前記薄層にレーザ光を選択的に照射して、複数の前記樹脂組成物が溶融結合した造形物層を形成するレーザ光照射工程と、を含み、前記薄層形成工程、および前記レーザ光照射工程を複数回繰り返し、前記造形物層を積層することで立体造形物を形成する、立体造形物の製造方法。
[6]上記[4]に記載の樹脂組成物を溶融させる溶融工程と、溶融した前記樹脂組成物をフィラメント状に押出し、前記樹脂組成物からなる薄層を形成する薄層形成工程と、を含み、前記溶融工程および前記薄層形成工程を複数回繰返し、前記薄層を積層することで立体造形物を形成する、立体造形物の製造方法。
本発明の樹脂組成物によれば、高弾性かつ破断伸びの高い立体造形物を作製可能である。
1.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、粒子状の樹脂組成物を含む薄層の形成および前記薄層への選択的なエネルギー照射の繰り返しを行って立体造形物を作製する方法(例えばSLS法やMJF法)、または溶融させたフィラメント状の樹脂組成物を積層し、立体造形物を作製する方法(FDM法)等に使用される。当該樹脂組成物の形状は特に制限されないが、通常粒子状またはフィラメント状とすることができる。
前述のように、立体造形物には、高い弾性率と高い破断伸びとが求められる。しかしながら、熱可塑性樹脂のみから立体造形物を作製すると、高い弾性率の実現が難しかった。一方で、熱可塑性樹脂に一般的なフィラーを添加すると、得られる立体造形物の弾性率は高まるものの、脆くなりやすく、破断伸びが低くなりやすかった。つまり、弾性率および破断伸びは、トレードオフの関係にあり、これらを両立させることが難しかった。
これに対し、本発明の樹脂組成物には、熱可塑性樹脂と、特定の形状を有し、かつ水に可溶な金属塩および/または金属錯体と、が含まれる。樹脂組成物にこのような金属塩および/または金属錯体が含まれると、破断伸びが低下し難くなる。
その理由は定かではないが、以下のように考えられる。一般的に、フィラーを含む立体造形物に例えば引っ張り応力が加わった場合等、フィラーの周囲の熱可塑性樹脂に応力が集中しやすく、当該箇所で熱可塑性樹脂が発熱する。そして、熱可塑性樹脂が局所的に溶融したり軟化したりして、フィラーの周囲に亀裂が生じたり、破断が生じたりする。これに対し、本発明の樹脂組成物が含む金属塩および/または金属錯体は、大気中の水分等をその周囲に引き寄せたり、内部に水和水を有したりする。そのため、立体造形物に引っ張り応力等が加わったとしても、金属塩および/または金属錯体の内部または近傍にある水分が、熱可塑性樹脂の発熱を抑制する。その結果、熱可塑性樹脂の溶融や軟化が進行せず、破断が生じ難くなると考えられる。
なお、樹脂組成物に金属塩および/または金属錯体が含まれると、得られる立体造形物の弾性率も高まる。したがって、本発明の樹脂組成物によれば、弾性率が高く、さらには高い破断伸びも有する立体造形物が得られる。
以下、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分やその物性等について詳しく説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、作製する立体造形物の用途に応じて適宜選択される。熱可塑性樹脂としては、一般的なSLS法用やMJF法用の樹脂組成物に含まれる樹脂、さらにはFDM法用の樹脂組成物に含まれる樹脂とすることができる。樹脂組成物には、熱可塑性樹脂が一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
ただし、熱可塑性樹脂の溶融温度が高すぎると、立体造形物の作製時、樹脂組成物(熱可塑性樹脂)を溶融させるためのエネルギー量が多くなる。その結果、樹脂組成物の溶融に時間がかかり、立体造形物の作製効率が低下する。そこで、熱可塑性樹脂の溶融温度は、300℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。一方、得られる立体造形物の耐熱性等の観点から、熱可塑性樹脂の溶融温度は100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。溶融温度は、熱可塑性樹脂の種類等によって調整することができる。
熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン6およびナイロン12など)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、結晶性ポリエステル等の結晶性の樹脂;ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマ(ABS)、アクリルポリマー、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)、スチレン・アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテルおよびポリカプロラクトン等の非結晶性の樹脂;が含まれる。熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリアミドが好ましく、特にポリプロピレンおよびナイロン12が好ましい。
熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中に40〜95質量%含まれることが好ましく、60〜92質量%含まれることがより好ましい。樹脂組成物に熱可塑性樹脂が40質量%以上含まれると、得られる立体造形物の強度が高まりやすく、破断伸びが低下し難い。一方で、樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の量を95質量%以下とすることで、相対的に金属塩および/または金属錯体の量を十分にすることができ、得られる立体造形物の弾性率等、立体造形物の強度を高めることができる。
(金属塩および/または金属錯体)
金属塩および/または金属錯体は、上述のように、水に可溶である固体状の成分からなる。樹脂組成物には、金属塩および金属錯体のうち、いずれか一方のみが含まれていてもよく、両方が含まれていてもよい。また、金属塩や金属錯体が複数種含まれていてもよい。
本明細書において、金属塩および/または金属錯体が水に可溶であるか否かは、以下の方法により判断する。熱可塑性樹脂90gと、金属塩および/または金属錯体10gと、を含む樹脂組成物を用いて、立方体状の立体造形物を作製する。当該立体造形物を1000mlの純水に浸す。そしてこの状態で、超音波ホモジナイザー(例えば商品名:US−1200、日本製機社製)にて振動を与えながら一日放置する。その後、水中の金属イオン量を検出する。このとき、金属イオンの検出量が0.001mg/l以上である場合に、金属塩および/または金属錯体が水に可溶であると判断する。ただし、金属イオンの検出量は、0.001mg/l〜10mg/lであることが好ましく、0.01mg/l〜8mg/lであることがより好ましい。
金属塩および/または金属錯体の形状は、平均短径が0.1〜10μmであり、かつ平均長径と平均短径との比(以下、当該比を「アスペクト比」とも称する)が10〜100であれば、特に制限されない。例えば楕円体状であってもよく、針状であってもよく、繊維状であってもよく、扁平状等であってもよい。本明細書において、金属塩および/または金属錯体の長径とは、金属塩および/または金属錯体の形状を解析したときに、最も離れた位置どうしを結んだ線の長さをいう。一方、金属塩および/または金属錯体の短径とは、長径と直交するように、金属塩および/または金属錯体の表面を結んだ線のうち、最も短い長さとする。平均短径およびアスペクト比が当該範囲であると、金属塩および/または金属錯体の表面積が大きくなり、金属塩および/または金属錯体の添加効果が得られやすい。
平均短径および平均長径は、金属塩および/または金属錯体について、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、500個以上の短径および長径を測定し、これらの平均値を算出した値である。
ここで、平均短径は0.3〜5μmであることがより好ましい。また、アスペクト比は、2〜100が好ましく、5〜60であることが好ましい。
また、金属塩および/または金属錯体は、分子中に水和水を含んでいることが好ましい。金属塩および金属錯体の具体例には、塩基性硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム等が含まれる。これらの中でも取扱性や入手が容易であるとの観点で、塩基性硫酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムであることが好ましい。
金属塩および/または金属錯体は、樹脂組成物中に5〜60質量%含まれることが好ましく、8〜40質量%含まれることがより好ましい。樹脂組成物に金属塩および/または金属錯体が5質量%以上含まれると、得られる立体造形物の弾性率が高まりやすく、立体造形物の強度が高まりやすい。一方で、得られる立体造形物中の金属塩および/または金属錯体の量が過度であると、樹脂量が少なくなり、樹脂と金属塩との界面が増える。そのため、破断伸びが低下しやすくなる。さらには大気中の水分等によって立体造形物が影響を受け、その強度が低下すること等がある。これに対し、金属塩および/または金属錯体の量が60質量部以下であれば、このような破断伸び低下や強度低下等が生じ難い。
(その他の材料)
樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記熱可塑性樹脂ならびに金属塩および/または金属錯体以外の成分が含まれていてもよい。その他の材料の例には、各種添加剤、レーザ吸収剤等が含まれる。
各種添加剤の例には、酸化防止剤、酸性化合物及びその誘導体、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、難燃剤、衝撃改良剤、発泡剤、着色剤、有機過酸化物、展着剤、粘着剤等が含まれる。樹脂組成物には、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれていてもよい。また、これらは、本発明の目的を損なわない範囲で、樹脂組成物の表面に塗布されていてもよい。
また、レーザ吸収剤の例には、カーボン粉末、ナイロン樹脂粉末、顔料、および染料等が含まれる。これらのレーザ吸収剤は、樹脂組成物中に一種類のみ含まれていてもよく、二種類以上含まれていてもよい。
(物性)
上記樹脂組成物は、100〜300℃に溶融温度を有することが好ましく、150〜230℃に溶融温度を有することがより好ましい。溶融温度が当該範囲にあると、後述する立体造形物の形成方法において、過度な加熱を行うことなく、立体造形物を製造することが可能となる。樹脂組成物の溶融温度は、上記熱可塑性樹脂の種類や立体造形物の製造方法等によって、調整することが可能である。
一方、上記樹脂組成物の形状は、樹脂組成物の用途、すなわち適用する立体造形法に応じて適宜選択される。例えば、樹脂組成物が、SLS法やMJF法等に用いられる場合、樹脂組成物は、粒子状とされる。このとき、粒子の形状は、球形、多角柱、円柱、楕円柱、およびそれらが崩れた形状が混合する不定形等とすることができるが、立体造形物の寸法精度を高めるとの観点から、球状であることが好ましい。当該粒子状の樹脂組成物の平均粒子径は、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましく、30μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。樹脂組成物の平均粒子径が10μm以上であると、樹脂組成物が十分な流動性を有しやすく、樹脂組成物の取り扱いが容易になる。また、平均粒子径が10μm以上であると、粒子状の樹脂組成物の作製が容易であり、樹脂組成物の製造コストが高くならない。上記平均粒子径は、動的光散乱法により測定した体積平均粒子径とする。体積平均粒径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックベル社製、MT3300EXII)により測定することができる。
また、樹脂組成物がFDM法に用いられる場合、樹脂組成物は、フィラメント状とすることができる。フィラメント状の樹脂組成物の平均径は、立体造形装置の種類に合わせて適宜選択されるが、通常1.0〜5.0mmであることが好ましく、1.3〜3.5mmであることが好ましい。フィラメント状の樹脂組成物には、立体造形装置内で、十分に把持されるよう、必要に応じて表面に微細な凹凸が形成されていてもよい。また、フィラメント状の樹脂組成物は、ボビン等に巻き取られていてもよい。
(製造方法)
上記樹脂組成物の製造方法は特に制限されず、樹脂組成物の形状に合わせて適宜選択することができる。
例えば、粒子状の樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂と金属塩および/または金属錯体と、必要に応じて他の成分とを公知の装置により溶融混練した後、機械的に粉砕する方法等とすることができる。
溶融混練物を機械的に粉砕する場合、常温のまま粉砕してもよく、凍結させてから粉砕してもよい。機械的粉砕は、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミル、インペラーミル、カッターミル、ピンミルおよび2軸クラッシャー等の公知の装置で行うことができる。なお、機械的粉砕を行う場合、粉砕時に熱可塑性樹脂から発せられる摩擦熱によって、熱可塑性樹脂どうしが融着してしまうことがある。そこで、液体窒素等を用いて熱可塑性樹脂を冷却し、脆化させたうえで、破砕してもよい。機械的粉砕によれば、得られる粒子状の樹脂組成物の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすいが、必要に応じて、さらに分級等を行ってもよい。
一方、樹脂組成物をフィラメント状とする場合、上記熱可塑性樹脂と金属塩および/または金属錯体と、必要に応じて他の成分とを溶融混練し、これを一般的な押出し成形機から押し出すことにより製造することができる。押出し成形時の温度等は、樹脂組成物の溶融温度等に応じて適宜選択される。
2.立体造形物の製造方法
上述の樹脂組成物は、例えば、SLS法や、MJF法、またはFDM法による立体造形物の製造方法に用いることができる。以下、SLS法およびFDM法で立体造形物を製造する場合を例に立体造形物の製造方法を説明するが、樹脂組成物の用途はこれらに限定されず、SLS法およびFDM法以外の立体造形物の製造方法に適用してもよい。
2−1.SLS法による立体造形物の製造方法
SLS法による立体造形物の製造方法では、(1)上述の粒子状の樹脂組成物を含む薄層を形成する薄層形成工程と、(2)樹脂組成物を含む薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記粒子状の樹脂組成物どうしが溶融結合した造形物層を形成するレーザ光照射工程と、を含む方法とすることができる。そして工程(1)および工程(2)を複数回繰り返し、造形物層を積層することで、立体造形物を製造することができる。なお、当該立体造形物の製造方法は、必要に応じて、他の工程を含んでいてもよく、例えば樹脂組成物を予備加熱する工程等を含んでいてもよい。
・薄層形成工程(工程(1))
本工程では、粒子状の樹脂組成物を含む薄層を形成する。たとえば、立体造形装置の粉末供給部から供給された樹脂組成物を、リコータによって造形ステージ上に平らに敷き詰める。薄層は、造形ステージ上に直接形成してもよいし、すでに敷き詰められている粉末材料またはすでに形成されている造形物層上に形成してもよい。なお、上記樹脂組成物は、必要に応じて後述のフローエージェントやレーザ吸収剤と混合して用いてもよい。
薄層の厚さは、所望の造形物層の厚さと同じとする。薄層の厚さは、製造しようとする立体造形物の精度に応じて任意に設定することができるが、通常、0.01mm以上0.30mm以下である。薄層の厚さを0.01mm以上とすることで、次の造形物層を形成するためのレーザ光照射によって下の層の樹脂組成物が溶融結合されることを防ぐことができ、さらには均一な粉体の敷き詰めが可能となる。また、薄層の厚さを0.30mm以下とすることで、レーザ光のエネルギーを薄層の下部まで伝導させて、薄層を構成する樹脂組成物を、厚み方向の全体にわたって十分に溶融結合させることができる。前記観点からは、薄層の厚さは0.01mm以上0.10mm以下であることがより好ましい。また、薄層の厚み方向の全体にわたってより十分に樹脂組成物を溶融結合させ、造形物層の割れをより生じにくくする観点からは、薄層の厚さは、後述するレーザ光のビームスポット径との差が0.10mm以内になるよう設定することが好ましい。
ここで、樹脂組成物と混合可能なレーザ吸収剤の例には、カーボン粉末、ナイロン樹脂粉末、顔料、および染料等が含まれる。レーザ吸収剤の量は、上記樹脂組成物の溶融結合が容易になる範囲で適宜設定することができる。例えば、樹脂組成物の全質量に対して、0質量%より多く3質量%未満とすることができる。レーザ吸収剤は、一種のみ用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、樹脂組成物と混合可能なフローエージェントは、摩擦係数が小さく、自己潤滑性を有する材料であればよい。このようなフローエージェントの例には、二酸化ケイ素および窒化ホウ素が含まれる。これらのフローエージェントは、一種のみ用いてもよく、二種を組み合わせて用いてもよい。フローエージェントの量は、樹脂組成物の流動性が向上し、かつ樹脂組成物の溶融結合が十分に生じる範囲で適宜設定することができ、たとえば、樹脂組成物の全質量に対して、0質量%より多く2質量%未満とすることができる。
・レーザ光照射工程(工程(2))
本工程では、樹脂組成物を含む薄層のうち、造形物層を形成すべき位置にレーザ光を選択的に照射し、照射された位置の樹脂組成物を溶融結合させる。溶融した樹脂組成物は、隣接する樹脂組成物と溶融し合って溶融結合体を形成し、造形物層となる。このとき、レーザ光のエネルギーを受け取った樹脂組成物は、すでに形成された造形物層とも溶融結合するため、隣り合う層間の接着も生じる。
レーザ光の波長は、樹脂組成物が吸収する波長の範囲内で設定すればよい。このとき、レーザ光の波長と、樹脂組成物の吸収率が最も高くなる波長との差が小さくなるようにすることが好ましいが、一般的に樹脂は様々な波長域の光を吸収するため、COレーザ等の波長帯域の広いレーザ光を用いることが好ましい。たとえば、レーザ光の波長は、例えば0.8μm以上12μm以下とすることができる。
レーザ光の出力時のパワーは、後述するレーザ光の走査速度において、前記樹脂組成物が十分に溶融結合する範囲内で設定すればよい。具体的には、5.0W以上60W以下とすることができる。レーザ光のエネルギーを低くして、製造コストを低くし、かつ、製造装置の構成を簡易なものにする観点からは、レーザ光の出力時のパワーは30W以下であることが好ましく、20W以下であることがより好ましい。
レーザ光の走査速度は、製造コストを高めず、かつ、装置構成を過剰に複雑にしない範囲内で設定すればよい。具体的には、1m/秒以上10m/秒以下とすることが好ましく、2m/秒以上8m/秒以下とすることがより好ましく、3m/秒以上7m/秒以下とすることがさらに好ましい。
レーザ光のビーム径は、製造しようとする立体造形物の精度に応じて適宜設定することができる。
・工程(1)および工程(2)の繰返しについて
立体造形物の製造の際には、上述の工程(1)および工程(2)を、任意の回数繰り返す。これにより、造形物層が積層されて、所望の立体造形物が得られることとなる。
・予備加熱工程
前述のように、SLS法による立体造形物の製造方法では、樹脂組成物を予備加熱する工程を行ってもよい。樹脂組成物の予備加熱は、上記薄層形成(工程(1))後に行ってもよく、薄層の形成前に行ってもよい。また、これらの両方で行ってもよい。
予備加熱温度は、樹脂組成物どうしが溶融結合しないように、樹脂組成物の溶融温度より低い温度とする。予備加熱温度は、樹脂組成物の溶融温度に応じて適宜選択され、例えば、50℃以上300℃以下とすることができ、100℃以上230℃以下であることがより好ましく、150℃以上190℃以下であることがさらに好ましい。
またこのとき、加熱時間は1〜30秒とすることが好ましく、5〜20秒とすることがより好ましい。上記温度で上記時間、予備加熱を行うことで、レーザエネルギー照射時に樹脂組成物が溶融するまでの時間を短くすることができ、少ないレーザエネルギー量で立体造形物を製造することが可能となる。
・その他
なお、溶融結合中の樹脂組成物の酸化等によって、立体造形物の強度が低下することを防ぐ観点からは、少なくとも工程(2)は減圧下または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。減圧するときの圧力は10−2Pa以下であることが好ましく、10−3Pa以下であることがより好ましい。このとき、使用することができる不活性ガスの例には、窒素ガスおよび希ガスが含まれる。これらの不活性ガスのうち、入手の容易さの観点からは、窒素(N)ガス、ヘリウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスが好ましい。製造工程を簡略化する観点からは、工程(1)および工程(2)の両方を減圧下または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
2−2.FDM法による立体造形物の製造方法
FDM法による立体造形物の製造方法は、(1)前述の樹脂組成物を溶融させる溶融工程と、(2)溶融した樹脂組成物をフィラメント状に押出し、当該樹脂組成物からなる薄層を形成する薄層形成工程と、を含む方法とすることができる。そして工程(1)および工程(2)を複数回繰り返し、薄層を積層することで、立体造形物を製造することができる。なお、当該立体造形物の製造方法は、必要に応じて、他の工程を含んでいてもよい。
・溶融工程(工程(1))
本工程では、樹脂組成物の少なくとも一部を溶融させる。例えば、押出しヘッドおよび加熱溶融器を備える立体造形装置の加熱溶融器によって樹脂組成物を溶融させる。後述の薄層形成工程で押出しヘッドから、樹脂組成物をフィラメント状に押し出すことが可能であれば、使用する樹脂組成物の形状は特に制限されず、例えば粒子状やペレット状であってもよい。ただし、加熱溶融器への樹脂組成物の送り込みが安定しやすい等の観点から、フィラメント状の樹脂組成物を用いることが好ましい。
フィラメント状の樹脂組成物を加熱溶融器に樹脂組成物を供給する場合、例えばニップロールやギアロール等の駆動ロールにフィラメントを係合させて、樹脂組成物を引き取りながら供給することが一般的である。
加熱溶融器等による加熱は、樹脂組成物の温度が溶融温度以上となるように行うことが好ましく、溶融温度より10℃以上高い温度となるように行うことがより好ましい。具体的には、100〜300℃に加熱することが好ましく、150〜230℃に加熱することがより好ましい。樹脂組成物の温度を300℃以下とすると、熱可塑性樹脂の熱分解等を防ぐことが可能となる。また、効率よく樹脂組成物を溶融させることも可能となる。一方、樹脂組成物の温度を100℃以上とすることで、十分に樹脂組成物を溶融させることができ、得られる立体造形物の寸法精度が高まる。
・薄層形成工程(工程(2))
本工程では、溶融した樹脂組成物をフィラメント状に押出し、当該樹脂組成物からなる薄層を形成する。例えば、上述の溶融工程で溶融した樹脂組成物を、立体造形装置の押出しヘッドのノズルから造形ステージ上にフィラメント状に押出し、所望の形状に薄層を形成する。
押出しヘッドから吐出する、フィラメント状の樹脂組成物の直径は、0.01〜1mmであることが好ましく、0.02〜0.8mmであることがより好ましい。樹脂組成物の直径は、薄層の厚みに相当する。そのため、樹脂組成物の厚みを当該範囲とすることで、得られる立体造形物の再現性が良好になりやすい。
また、樹脂組成物の押出し速度は、20mm/秒以上であることが好ましく、より好ましくは30mm/秒以上であり、さらには50mm/秒以上である。一方、押出し速度は、通常200mm/秒以下である。
以下において、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[実施例1]
ポリプロピレン100質量部に対し、塩基性硫酸マグネシウム(平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物の半量を押出成形により径が1.8mmのフィラメントに加工した。残りの半量を、機械的に粉砕して、平均粒子径が60μmの球状粒子に加工した。
[実施例2]
ポリプロピレン100質量部に対し、水酸化マグネシウム(平均長径:20μm、平均短径:1μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し、樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物を、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[実施例3]
ナイロン12 100質量部に対し、塩基性硫酸マグネシウム(平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し、樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物を、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例1]
ポリプロピレンのみを用い、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例2]
ナイロン12のみを用い、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例3]
塩基性硫酸マグネシウム(平均長径:0.5μm、平均短径:0.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例4]
水酸化マグネシウム(平均長径:1μm、平均短径:1μm)を用いた以外は、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例5]
ポリプロピレン100質量部に対し、炭素繊維(平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し、樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物を、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例6]
ポリプロピレン100質量部に対し、タルク(平均粒子径:10μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し、樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物を、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例7]
ポリプロピレン100質量部に対し、ミョウバン(平均粒子径:5μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し、樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物を、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[比較例8]
ナイロン12 100質量部に対し、炭素繊維(平均繊維長径:15μm、平均繊維短径:0.5μm)10質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.3質量部を混錬し、樹脂組成物を得た。当該樹脂組成物を、実施例1と同様に、フィラメント状および球状粒子に加工した。
[評価]
以下に示すFDM法およびSLS法でそれぞれ立体造形物を作製した。得られた立体造形物が含む金属塩または金属錯体について、水に可溶であるかを確認した。さらに、得られた立体造形物について、破断伸びおよび弾性率について、以下のように評価した。結果を表1に示す。
・FDM法による立体造形物の製造
立体造形装置(Zortrax社製、M200)に、実施例および比較例で作製したフィラメント状の樹脂組成物をセットした。そして、ポリプロピレンを含む樹脂組成物180℃にて溶融させて、ナイロン12を含む樹脂組成物は200℃にて溶融させて、ノズルからフィラメント状に押し出した。これを繰返し積層し、立体造形物を得た。
・SLS法による立体造形物の製造
立体造形装置 sPro140(3DSystems社製)により、造形ステージ上に所定のリコート速度(100mm/s)で上述の実施例および比較例で作製した粒子状の樹脂組成物を敷き詰め、厚さ0.1mmの薄層を形成した。この薄層に、以下の条件で、YAG波長用ガルバノメータスキャナを搭載したCOレーザから縦15mm×横20mmの範囲にレーザ光を照射して、造形物層を作製した。その後、当該造形物層上に粉末材料をさらに敷き詰め、レーザ光を照射し、造形物層を積層した。これらの工程を繰返し、立体造形物(造形物層の積層体)を作製した。
[レーザ光の出射条件]
レーザ出力 :12W
レーザ光の波長 :10.6μm
ビーム径 :薄層表面で170μm
[レーザ光の走査条件]
走査速度 :2000mm/sec
ライン数 :1ライン
・金属塩または金属錯体の水への可溶性の確認
上述の方法で得られた立方体状の立体造形物100g(樹脂90g、金属錯体10g)を1000mlの純水に浸し、超音波式ホモジナイザー(商品名:US−1200、日本製機社製)にて振動を与えながら1日放置した。その後、金属塩または金属錯体の水への可溶性を確認した。具体的には、誘導結合プラズマ発光分析分光装置(商品名:SPS3520UV、SIIナノテクノロジー社製)を使い、水中の金属イオンの量を検出し、以下のように評価した。なお、金属イオン量が10mg/lを超えるものはなかった。
○:金属イオン量が0.001mg/l〜10mg/l(水に可溶)
×:金属イオン量が0.001mg/l未満(水に不要)
・破断伸びの評価
破断伸びの測定は、テンシロン万能材料試験機RTC−1250(株式会社A&D)で測定した。測定条件は、以下のように設定した。なお、破断距離を破断伸びとした。
引張試験用試験片:JIS K7161に準拠した形状
引張速度:50mm/s
チャック間距離:115mm
標点間距離:100mm
・弾性率の評価
弾性率の測定は、テンシロン万能材料試験機RTC−1250(株式会社A&D)で測定した。測定条件は、以下のように設定した。なお、弾性率は、ひずみ0.05〜0.25%間の線形回帰によって求めた。
引張試験用試験片:JIS K7161に準拠した形状
引張速度:1mm/s
チャック間距離:115mm
標点間距離:100mm
Figure 2020162339
上記表1に示されるように、熱可塑性樹脂と、水に可溶であり、かつ平均短径およびアスペクト比が所定の範囲にある金属塩および/または金属錯体を含む実施例1〜3の樹脂組成物では、弾性率が高く、さらには破断伸びも高かった。金属塩および/または金属錯体の添加によって、熱可塑性樹脂の局所的な溶融や軟化が抑制されたと推測される。なお、FDM法およびSLS法のどちらの方法においても、同様の結果であった。
これに対し、フィラー等を含まない場合には、破断伸びは優れるものの、弾性率が低かった(比較例1および比較例2)。一方、フィラーを含んだとしても、フィラーが水に対する可溶性を有さない炭素繊維やタルクである場合、得られる立体造形物の破断伸びが低かった(比較例5、6、および8)。また、水に対する可溶性は有するものの、アスペクト比が小さい化合物を用いた場合にも、破断伸びが小さかった(比較例3、4、および7)。
本出願は、2019年2月8日出願の特願2019−021606号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明に係る樹脂組成物によれば、FDM法およびSLS法のいずれの方法によっても、精度よく立体造形物を形成することが可能である。そのため、本発明は、立体造形法のさらなる普及に寄与するものと思われる。

Claims (6)

  1. 粒子状の樹脂組成物を含む薄層の形成および前記薄層への選択的なエネルギー照射の繰り返し、または溶融させたフィラメント状の樹脂組成物の積層、を行う立体造形法用の樹脂組成物であって、
    熱可塑性樹脂と、水に可溶な、金属塩および/または金属錯体と、を含み、
    前記金属塩および/または前記金属錯体は非真球状であり、平均短径が0.1〜10μmであり、かつ平均長径と前記平均短径との比が10〜100である、
    樹脂組成物。
  2. 前記金属塩および/または前記金属錯体は、分子中に水和水を有する、
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 粒子状である、
    請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. フィラメント状である、
    請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項3に記載の樹脂組成物を含む薄層を形成する薄層形成工程と、
    前記薄層にレーザ光を選択的に照射して、複数の前記樹脂組成物が溶融結合した造形物層を形成するレーザ光照射工程と、
    を含み、
    前記薄層形成工程、および前記レーザ光照射工程を複数回繰り返し、前記造形物層を積層することで立体造形物を形成する、
    立体造形物の製造方法。
  6. 請求項4に記載の樹脂組成物を溶融させる溶融工程と、
    溶融した前記樹脂組成物をフィラメント状に押出し、前記樹脂組成物からなる薄層を形成する薄層形成工程と、
    を含み、
    前記溶融工程および前記薄層形成工程を複数回繰返し、前記薄層を積層することで立体造形物を形成する、
    立体造形物の製造方法。
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