JPWO2020162125A1 - 細胞培養装置、細胞培養方法、及び生産物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記培養容器内から上記細胞懸濁液を抜き出すためのダイアフラムポンプとを備え、
上記ダイアフラムポンプのダイアフラムと、上記ダイアフラムの外縁部の上記ダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
上記ダイアフラムにおける各点について、上記ダイアフラムの頂点から上記平面Fに下ろした垂線の足と上記各点とを結ぶ直線が上記垂線となす角度を上記各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
上記ダイアフラムの頂点における上記ダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養装置。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
<2> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとし、角度Aが90°の点における上記ダイアフラムの厚さをHZとしたとき、HZ<HYであり、かつ、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHがH≦HZである、<1>に記載の細胞培養装置。
<3> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式2を満たす、<1>又は<2>に記載の細胞培養装置。
1<HY/H≦3 (式2)
<4> 上記ダイアフラムの材質がシリコーンゴムである、<1>から<3>のいずれか1つに記載の培養装置。
<5> 上記ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σが下記の式3を満たす、<1>から<4>のいずれか1つに記載の細胞培養装置。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3)
<6> 培養容器内に収容された細胞懸濁液中で細胞を培養することと、
上記培養容器内からダイアフラムポンプにより上記細胞懸濁液を抜き出すこととを含み、
上記ダイアフラムポンプのダイアフラムと、上記ダイアフラムの外縁部の上記ダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
上記ダイアフラムにおける各点について、上記ダイアフラムの頂点から上記平面Fに下ろした垂線の足と上記各点とを結ぶ直線が上記垂線となす角度を上記各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
上記ダイアフラムの頂点における上記ダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養方法。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
<7> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとし、角度Aが90°の点における上記ダイアフラムの厚さをHZとしたとき、HZ<HYであり、かつ、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHがH≦HZである、<6>に記載の細胞培養方法。
<8> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式2を満たす、<6>又は<7>に記載の細胞培養方法。
1<HY/H≦3 (式2)
<9> 上記ダイアフラムの材質がシリコーンゴムである、<6>から<8>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
<10> 上記ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σが下記の式3を満たす、<6>から<9>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3)
<11> 上記ダイアフラムポンプの運転時において、上記ダイアフラムを駆動させる上記ダイアフラムポンプの内部の圧力Pが下記の式4を満たす、<6>から<10>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
大気圧−0.1MPa≦P≦大気圧+0.1MPa (式4)
<12> 上記細胞がCHO細胞である、<6>から<11>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
<13> 上記培養容器内から抜き出された上記細胞懸濁液を、上記細胞懸濁液中の細胞濃度よりも高い細胞濃度を有する第一の溶液と、上記細胞懸濁液中の細胞濃度よりも低い細胞濃度を有する第二の溶液と、に分離膜を用いてタンジェンシャルフローフィルトレーション方式により分離する分離処理を行うことと、
上記第一の溶液を上記培養容器内に戻すことと、
上記培養容器内に新たに培地を添加することと、
をさらに含む、<6>から<12>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
<14> 生産物を生産する細胞を<6>〜<13>のうちいずれか1つに記載の細胞培養方法を用いて培養することと、
上記細胞懸濁液から生産物を回収することと、
を含む、生産物の製造方法。
<15> 上記生産物が抗体である、<14>に記載の生産物の製造方法。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、工程の所期の目的が達成される限りは、他の工程と明確に区別できない工程をも含む。
細胞懸濁液を収容する培養容器と、
培養容器内から細胞懸濁液を抜き出すためのダイアフラムポンプとを備え、
ダイアフラムポンプのダイアフラムと、ダイアフラムの外縁部のダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
ダイアフラムにおける各点について、ダイアフラムの頂点から平面Fに下ろした垂線の足と各点とを結ぶ直線が垂線となす角度を各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においてもダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
ダイアフラムの頂点におけるダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においてもダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養装置である。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
そして、本発明者らは、ダイアフラムにおける厚さ分布について特定の設計を行うことにより、細胞の増殖性を確保しつつ、ダイアフラムの破損抑制も達成することができることを見出し、本開示に係る細胞培養装置、細胞培養方法、及び生産物の製造方法を発明した。
ダイアフラムにおける各点について、ダイアフラムの頂点から平面Fに下ろした垂線の足と各点とを結ぶ直線が垂線となす角度を各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においてもダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
ダイアフラムの頂点におけるダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においてもダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
本開示中においては、ダイアフラムの種々の領域、空間の体積又は点の厚さについて説明されるが、特段の断りが無い限り、本開示中におけるダイアフラムの領域、空間の体積又は点の厚さについての記載はいずれも、ダイアフラム(ダイアフラムを構成する弾性体)に外からの圧力がかかっていない状態で測定されたダイアフラムの領域、空間の体積又は点の厚さを意味する。ダイアフラムポンプの運転中には、ダイアフラムの両面にかかる圧力には圧力差が生じ、それによってダイアフラムは反転等の挙動を繰り返す。しかし、本開示中に記載されるダイアフラムの領域、空間の体積又は点の厚さは、このような圧力差がある状態、つまりダイアフラムのいずれかの面から圧力を受けている状態、で測定されるものではなく、例えばダイアフラムをダイアフラムポンプから取り出す等することでダイアフラムに外からの圧力がかからない状態とすることで測定されるダイアフラムの領域、空間の体積又は点の厚さである。なお、ダイアフラムを支持台上に載置して厚さを測定するような場合、載置する向きによって異なる方向に自重を受けることになるが、ダイヤフラムの自重による変形は無視できる程度であるため、領域、空間体積、厚さの測定において特に影響しない。
頂点Tからダイアフラムが反転すると、図3Aにおいて仮想線により示された形状をダイアフラムは有するようになるが、この場合でも弧を描く方向が逆になるだけで形状自体は同一となるため、図3Aにおける実線で示された形状の場合について説明をする。
なお、ダイアフラムの可動部が有するドーム状の隆起形状は、垂線Prを軸として円対称な形状であることが好ましい。隆起形状の断面(図3Aに示されるような垂線Prを含む断面)の形状(外縁部との接続箇所を除く)、は、半球や楕円であってもよいが、半球や楕円のような規則的な形状である必要は必ずしも無い。例えば、図3Aにおいて、ダイアフラムの可動部の下面の縦方向(垂線Prの方向)の座標(図3Aにおける上方を正とする)を横方向(垂線Prに直交する方向)の座標(図3Aにおける右側を正とする)で2階微分した値が、外縁部との接続箇所を除いて、0以下である任意の形状であってもよい。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
式1を満たすことで、ダイアフラムの破損抑制における効果以外にも、ダイアフラムの反転挙動がよりしなやかになるという効果も得られる。なお、ダイアフラムの反転挙動は、頂点における厚さとその周辺の厚さとが均一に近くなるほどよりしなやかになる傾向がある。ダイアフラムの反転挙動がしなやかであると、チャンバー301内の細胞懸濁液における急激な流速上昇によるせん断増加を回避でき、細胞へのダメージが小さくなる。
また、ダイアフラムにおける角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点の厚さHについても、HZ/Hの値が1以上3以下であることが好ましく、1.1以上2.5以下であることがより好ましく、1.2以上2.0以下であることがさらに好ましく、1.3以上1.8以下であることが最も好ましい。ダイアフラムにおける角度Aが0°から75°までの領域における各点での厚さHに対するHZの比の上限値を上記のとおり制限した方が、角度Aが75°から88°までの領域におけるダイアフラムの厚さが過度に大きくなることを回避しやすいため、ダイアフラムの反転挙動をよりしなやかにできる傾向があり、ダイアフラムの反転挙動による細胞へのダメージをより減少し、細胞の増殖性をより高めて、細胞生存率をより向上できる傾向にある。
1<HY/H≦3 (式2)
また、HYの値は特に限定されないが、1mm以上3mm以下であることが好ましく、1.2mm以上2.8mm以下であることがより好ましく、1.4mm以上2.6mm以下であることがさらに好ましく、1.6mm以上2.4mm以下であることが最も好ましい。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3)
ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σは、以下のやり方で求めることができる。
ダイアフラムから幅10mm、長さ40mmの大きさの試験片を切り出し、試験片に対し、株式会社東洋精機製作所製の引張試験機ストログラフR2(商品名)を用いて引張試験を行う。引張試験の前に、試験片の厚さを、株式会社ミツトヨ製の高精度デジマチックマイクロメータMDH−25M(商品名)を用いて測定する。引張試験は、チャック間距離を10mmとし、引張速度を10mm/分として、試験片の長さ方向に引張試験を行う。伸び率50%すなわちチャック間が15mmになったときの荷重を、試験片の厚さで割ることで、伸び率50%のときの引張応力を算出する。試験片は1つのダイアフラムから3枚切り出し、3枚の試験片を用いて引張試験を3回繰り返し、得られた3つの引張応力の平均値をダイアフラムの伸び率50%における引張応力として使用する。
培養容器内に収容された細胞懸濁液中で細胞を培養することと、
培養容器内からダイアフラムポンプにより細胞懸濁液を抜き出すこととを含み、
ダイアフラムポンプのダイアフラムと、ダイアフラムの外縁部のダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
ダイアフラムにおける各点について、ダイアフラムの頂点から平面Fに下ろした垂線の足と各点とを結ぶ直線が垂線となす角度を各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においてもダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
ダイアフラムの頂点におけるダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においてもダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養方法である。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
培養容器及びダイアフラムポンプについては、本開示に係る細胞培養装置の説明において記載した事項がそのまま当てはまる。
本開示に係る細胞培養方法において培養する細胞は、生産物を生産する細胞であってもよい。生産物を生産する細胞を培養すると、細胞により生産物が生産され、これを回収すれば細胞を用いた物質生産を行うことができる。生産物を生産する細胞として用いられる細胞は、特に限定されず、動物細胞、植物細胞、酵母などの真核細胞、及び枯草菌、大腸菌などの原核細胞のいずれであってもよい。CHO細胞、BHK−21細胞、C127細胞、ハイブリドーマ細胞、NS0細胞及びSP2/0−Ag14細胞などの動物細胞が好ましく、解析が多数行われ、遺伝子工学的な手法が確立している点でCHO細胞がより好ましい。所望の生産物を細胞が元々生産しない又は生産量が少ない場合であっても、例えば、生産物を生産するのに必要な蛋白質をコードするプラスミドなどの発現ベクターを細胞に導入することで、所望の生産物を効率よく生産させることができる。本開示における細胞によって生産される生産物は、上記の細胞が培養液中に生産する物質であれば、特に限定されず、例えば、アルコール、酵素、抗生物質、核酸、組換えタンパク質、抗体などの物質が挙げられる。中でも生産物として、好ましくは、組み換えタンパク質又は抗体であり、より好ましくは抗体である。
培地には、アミノ酸、塩、糖類、ビタミン、ホルモン、増殖因子、緩衝液、抗生物質、脂質、微量元素、植物タンパク質の加水分解物などの追加成分を補充してもよい。
培養温度は、一般的には30℃〜40℃であり、好ましくは32℃〜37℃であり、より好ましくは36℃〜37℃であり、培養中に培養温度を変更してもよい。
培養においては、必要に応じて培地の交換、通気、攪拌を加えることができる。
1<HY/H≦3 (式2)
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3)
大気圧−0.1MPa≦P≦大気圧+0.1MPa (式4)
培養容器内から抜き出された細胞懸濁液を、細胞懸濁液中の細胞濃度よりも高い細胞濃度を有する第一の溶液と、細胞懸濁液中の細胞濃度よりも低い細胞濃度を有する第二の溶液と、に分離膜を用いてタンジェンシャルフローフィルトレーション方式により分離する分離処理を行うことと、
第一の溶液を培養容器内に戻すことと、
培養容器内に新たに培地を添加することと、
をさらに含んでいてもよい。
本開示においては、タンジェンシャルフローフィルトレーション方式による膜分離処理は、培養容器内から抜き出された細胞懸濁液が分離膜の膜面に沿って平行な一方向の流れを形成してもよいし、培養容器内から抜き出された細胞懸濁液の流れの方向を所定の時間毎に逆転させて、往復する流れを形成してもよい。
なお、新鮮培地の培養容器内への供給は、間欠的に行っても連続的に行ってもよい。また、培養容器内の細胞懸濁液量は常時完全に一定である必要はなく、略一定、例えば±10%、又は±5%、又は±1%程度の変動が生じるものであってもよい。培養容器内の細胞懸濁液量の測定も、常時行う必要は必ずしもなく、間欠的に行うものであってもよい。細胞懸濁液量に若干の変動があっても、灌流培養による利益を得ることができる。
生産物を生産する細胞を本開示に係る細胞培養方法を用いて培養することと、
上記細胞懸濁液から生産物を回収することと、
を含む、生産物の製造方法である。
本開示に係る生産物の製造方法においては、本開示に係る細胞培養方法を用いて培養を行うため、生産物を生産する細胞の細胞増殖性が良好であるため生産物の生産性を高くでき、また、ダイアフラムの破損も抑制できる。
培養容器内から抜き出された細胞懸濁液を、細胞懸濁液中の細胞濃度よりも高い細胞濃度を有する第一の溶液と、細胞懸濁液中の細胞濃度よりも低い細胞濃度を有する第二の溶液と、に分離膜を用いてタンジェンシャルフローフィルトレーション方式により分離する分離処理を行うことと、
第一の溶液を培養容器内に戻すことと、
培養容器内に新たに培地を添加することと、
をさらに含み、生産物の製造方法において上記第二の溶液から生産物を回収する実施形態が好ましい。
生産物は、一般に、細胞に比してサイズが大幅に小さい。培養容器から細胞懸濁液を抜き出す際には、細胞懸濁液に含まれる生産物も共に抜き出されるが、タンジェンシャルフィルトレーション方式による分離処理においては、生産物は細胞に比して小さいサイズを有しているため、大きく濃度減少することなくそのまま第二の溶液に含まれ、一方、細胞は主に第一の溶液の側に留まる。このため、第二の液体中から生産物を回収することができる。
まず、全容250mLのエイブル株式会社製培養容器に培地(商品名CD OptiCHO、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)90mLを入れ37℃で保持し、培養容器上面から空気を3.8mL/分、CO2を0.2mL/で通気し1日間放置した。次に、CHO細胞を培養容器内の細胞濃度が2.0×105cells/mL、培養容器内の液量が100mLになるように播種した。播種から3日後に試験対象のダイアフラムポンプによる細胞懸濁液の往復流を、ダイアフラム気体側チャンバーの最大圧力(大気圧からの差異の絶対値の最大値)が表2に示された所定圧力となるようにして生じさせ、この往復流によりタンジェンシャルフローフィルトレーション方式による濾過を行った。濾過には、Repligen社製の中空糸膜フィルター(T04−P20U−10−N)を用いた。濾過により培養系から失われる液量を補充するため、新鮮培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製の商品名CD OptiCHOで表される培地と、GEヘルスケア製の商品名Cell Boost 7a及び7bで表される培地との混合物)の供給(培養容器内に新鮮培地を供給すること)も並行して行った。上記の濾過及び新鮮培地の供給は、1.2L/日の割合で行った。タンジェンシャルフローフィルトレーション方式による濾過においては、細胞懸濁液を、細胞懸濁液よりも高い細胞濃度を有する戻り液と、細胞懸濁液よりも低い細胞濃度を有する透過液とに分離し、戻り液は培養容器内に戻した(戻り液を培養容器内に戻すこと)。また同日(播種から3日後)から、培養容器内に一端が挿入された内径2mmの単管を用いて、培養容器下面側から酸素を1mL/分の流量で培養容器内に供給した。
<ダイアフラムの状態>
A 使用後に破れ、亀裂、及び変色が無かった。
B 使用後にダイアフラムの一部が白く変色していた。
C 使用後にダイアフラムの一部に亀裂が生じていた。
D 培養の途中でダイアフラムが破れた。
<細胞増殖性>
A 播種後10日以内に細胞濃度が80×106cells/mL以上に増加した。
B 播種後10日以内には、細胞濃度は80×106cells/mLに達しなかった。
<平均バイアビリティ>
A 28日間の培養期間中におけるバイアビリティの平均値が95%以上であった。
B 28日間の培養期間中におけるバイアビリティの平均値が90%以上95%未満であった。
C 28日間の培養期間中におけるバイアビリティの平均値が85%以上90%未満であった。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
を満たす、本願実施例1〜実施例17においては、ダイアフラムの破損が抑制され、良好な細胞増殖性が得られ、かつ、良好な細胞生存率が得られた。例えば、実施例1においては培養後のダイアフラムに異常が見られなかったことに加え、図6に示す良好な細胞増殖性及びバイアビリティを示した。図6において白抜き菱形はバイアビリティの変化を表し、黒塗り菱形は細胞濃度(生細胞濃度)の変化を表す。図6において10日目以降、細胞濃度に振動的変動が見られるのは、セルブリーディング操作のために細胞濃度が下がり、その後の増殖によって細胞濃度が再び上昇したためである。
角度Aが0°から75°までの領域におけるダイアフラムの厚さHの最大値が1.5mmを超える比較例3においては、細胞濃度の上昇が低い細胞濃度で止まってしまい、十分な細胞増殖性が得られなかった。細胞濃度が減少を始めてしまったため、培養を停止させた。このため、28日培養後のダイアフラム状態及び28日間の平均バイアビリティは測定できなかった。
角度Aが0°から75°までの領域におけるダイアフラムの厚さHの最大値が1.5mmを超え、HT/Hの最大値が1.75を超える比較例4においては、ダイアフラムが培養途中に破れてしまった。このため、28日間の平均バイアビリティは測定できなかった。
HT/Hの最大値が1.75を超える比較例5においては、ダイアフラムが培養途中に破れてしまった。このため、28日間の平均バイアビリティは測定できなかった。なお、比較例5は、Repligen製XCell ATF2に対する比較例1のダイアフラムを相似形で小さくしたものに対応する。このように、従来の培養用ダイアフラムポンプをそのまま小さくしても、ダイアフラム破損の抑制と高い細胞増殖性との両立はできないことが示された。
HT/Hの最小値が1未満の比較例6においては、ダイアフラムが培養途中に破れてしまった。このため、28日間の平均バイアビリティは測定できなかった。
11 撹拌翼
20 培地供給容器
31 CO2供給容器
32 空気供給容器
33 O2供給容器
34 フローメーター
35 サンプリング口
36 中空糸膜フィルタ
37 ダイアフラムポンプ
38 空気供給容器
51〜60 流路
100 細胞培養装置
301 チャンバー
302 ダイアフラム
303 チャンバー
304a ハウジングの部分
304b ハウジングの部分
A 角度
F 平面
Ft 垂線の足
F1〜F3 フィルタ
L1 細胞懸濁液
L2 新鮮培地
M1〜M4 圧力計
P1 ポンプ
P2 ポンプ
P3 真空ポンプ
Pr 垂線
Pt 任意の点
R1〜R5 レギュレータ
T 頂点
V1、V2 電磁弁
X 領域
Y 領域
Z 角度Aが90°の点
上記培養容器内から上記細胞懸濁液を抜き出すためのダイアフラムポンプとを備え、
上記ダイアフラムポンプのダイアフラムと、上記ダイアフラムの外縁部の上記ダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
上記ダイアフラムにおける各点について、上記ダイアフラムの頂点から上記平面Fに下ろした垂線の足と上記各点とを結ぶ直線が上記垂線となす角度を上記各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
上記ダイアフラムの頂点における上記ダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養装置。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
<2> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとし、角度Aが90°の点における上記ダイアフラムの厚さをHZとしたとき、HZ<HYであり、かつ、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHがH≦HZである、<1>に記載の細胞培養装置。
<3> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式2を満たす、<1>又は<2>に記載の細胞培養装置。
1<HY/H≦3 (式2)
<4> 上記ダイアフラムの材質がシリコーンゴムである、<1>から<3>のいずれか1つに記載の細胞培養装置。
<5> 上記ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σが下記の式3を満たす、<1>から<4>のいずれか1つに記載の細胞培養装置。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3)
<6> 培養容器内に収容された細胞懸濁液中で細胞を培養することと、
上記培養容器内からダイアフラムポンプにより上記細胞懸濁液を抜き出すこととを含み、
上記ダイアフラムポンプのダイアフラムと、上記ダイアフラムの外縁部の上記ダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
上記ダイアフラムにおける各点について、上記ダイアフラムの頂点から上記平面Fに下ろした垂線の足と上記各点とを結ぶ直線が上記垂線となす角度を上記各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
上記ダイアフラムの頂点における上記ダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養方法。
1≦HT/H≦1.75 (式1)
<7> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとし、角度Aが90°の点における上記ダイアフラムの厚さをHZとしたとき、HZ<HYであり、かつ、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHがH≦HZである、<6>に記載の細胞培養方法。
<8> 上記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における上記ダイアフラムの厚さをHYとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても上記ダイアフラムの厚さHが下記の式2を満たす、<6>又は<7>に記載の細胞培養方法。
1<HY/H≦3 (式2)
<9> 上記ダイアフラムの材質がシリコーンゴムである、<6>から<8>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
<10> 上記ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σが下記の式3を満たす、<6>から<9>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3)
<11> 上記ダイアフラムポンプの運転時において、上記ダイアフラムを駆動させる上記ダイアフラムポンプの内部の圧力Pが下記の式4を満たす、<6>から<10>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
大気圧−0.1MPa≦P≦大気圧+0.1MPa (式4)
<12> 上記細胞がCHO細胞である、<6>から<11>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
<13> 上記培養容器内から抜き出された上記細胞懸濁液を、上記細胞懸濁液中の細胞濃度よりも高い細胞濃度を有する第一の溶液と、上記細胞懸濁液中の細胞濃度よりも低い細胞濃度を有する第二の溶液と、に分離膜を用いてタンジェンシャルフローフィルトレーション方式により分離する分離処理を行うことと、
上記第一の溶液を上記培養容器内に戻すことと、
上記培養容器内に新たに培地を添加することと、
をさらに含む、<6>から<12>のいずれか1つに記載の細胞培養方法。
<14> 生産物を生産する細胞を<6>〜<13>のうちいずれか1つに記載の細胞培養方法を用いて培養することと、
上記細胞懸濁液から生産物を回収することと、
を含む、生産物の製造方法。
<15> 上記生産物が抗体である、<14>に記載の生産物の製造方法。
培養容器内から抜き出された細胞懸濁液を、細胞懸濁液中の細胞濃度よりも高い細胞濃度を有する第一の溶液と、細胞懸濁液中の細胞濃度よりも低い細胞濃度を有する第二の溶液と、に分離膜を用いてタンジェンシャルフローフィルトレーション方式により分離する分離処理を行うことと、
第一の溶液を培養容器内に戻すことと、
培養容器内に新たに培地を添加することと、
をさらに含み、生産物の製造方法において上記第二の溶液から生産物を回収する実施形態が好ましい。
生産物は、一般に、細胞に比してサイズが大幅に小さい。培養容器から細胞懸濁液を抜き出す際には、細胞懸濁液に含まれる生産物も共に抜き出されるが、タンジェンシャルフローフィルトレーション方式による分離処理においては、生産物は細胞に比して小さいサイズを有しているため、大きく濃度減少することなくそのまま第二の溶液に含まれ、一方、細胞は主に第一の溶液の側に留まる。このため、第二の液体中から生産物を回収することができる。
まず、全容250mLのエイブル株式会社製培養容器に培地(商品名CD OptiCHO、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)90mLを入れ37℃で保持し、培養容器上面から空気を3.8mL/分、CO2を0.2mL/分で通気し1日間放置した。次に、CHO細胞を培養容器内の細胞濃度が2.0×105cells/mL、培養容器内の液量が100mLになるように播種した。播種から3日後に試験対象のダイアフラムポンプによる細胞懸濁液の往復流を、ダイアフラム気体側チャンバーの最大圧力(大気圧からの差異の絶対値の最大値)が表2に示された所定圧力となるようにして生じさせ、この往復流によりタンジェンシャルフローフィルトレーション方式による濾過を行った。濾過には、Repligen社製の中空糸膜フィルター(T04−P20U−10−N)を用いた。濾過により培養系から失われる液量を補充するため、新鮮培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製の商品名CD OptiCHOで表される培地と、GEヘルスケア製の商品名Cell Boost 7a及び7bで表される培地との混合物)の供給(培養容器内に新鮮培地を供給すること)も並行して行った。上記の濾過及び新鮮培地の供給は、1.2L/日の割合で行った。タンジェンシャルフローフィルトレーション方式による濾過においては、細胞懸濁液を、細胞懸濁液よりも高い細胞濃度を有する戻り液と、細胞懸濁液よりも低い細胞濃度を有する透過液とに分離し、戻り液は培養容器内に戻した(戻り液を培養容器内に戻すこと)。また同日(播種から3日後)から、培養容器内に一端が挿入された内径2mmの単管を用いて、培養容器下面側から酸素を1mL/分の流量で培養容器内に供給した。
<ダイアフラムの状態>
A 使用後に破れ、亀裂、及び変色が無かった。
B 使用後にダイアフラムの一部が白く変色していた。
C 使用後にダイアフラムの一部に亀裂が生じていた。
D 培養の途中でダイアフラムが破れた。
<細胞増殖性>
A 播種後10日以内に細胞濃度が80×106cells/mL以上に増加した。
B 播種後10日以内には、細胞濃度は80×106cells/mLに達しなかった。
<平均バイアビリティ>
A 28日間の培養期間中におけるバイアビリティの平均値が95%以上であった。
B 28日間の培養期間中におけるバイアビリティの平均値が90%以上95%未満であった。
C 28日間の培養期間中におけるバイアビリティの平均値が85%以上90%未満であった。
Claims (15)
- 細胞懸濁液を収容する培養容器と、
前記培養容器内から前記細胞懸濁液を抜き出すためのダイアフラムポンプとを備え、
前記ダイアフラムポンプのダイアフラムと、前記ダイアフラムの外縁部の前記ダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
前記ダイアフラムにおける各点について、前記ダイアフラムの頂点から前記平面Fに下ろした垂線の足と前記各点とを結ぶ直線が前記垂線となす角度を前記各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
前記ダイアフラムの頂点における前記ダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養装置。
1≦HT/H≦1.75 (式1) - 前記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における前記ダイアフラムの厚さをHYとし、角度Aが90°の点における前記ダイアフラムの厚さをHZとしたとき、HZ<HYであり、かつ、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHがH≦HZである、請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における前記ダイアフラムの厚さをHYとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHが下記の式2を満たす、請求項1又は請求項2に記載の細胞培養装置。
1<HY/H≦3 (式2) - 前記ダイアフラムの材質がシリコーンゴムである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の細胞培養装置。
- 前記ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σが下記の式3を満たす、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の細胞培養装置。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3) - 培養容器内に収容された細胞懸濁液中で細胞を培養することと、
前記培養容器内からダイアフラムポンプにより前記細胞懸濁液を抜き出すこととを含み、
前記ダイアフラムポンプのダイアフラムと、前記ダイアフラムの外縁部の前記ダイアフラムの頂点から遠い側の面を含む平面Fとにより規定される空間の体積が1cm3以上20cm3以下であり、
前記ダイアフラムにおける各点について、前記ダイアフラムの頂点から前記平面Fに下ろした垂線の足と前記各点とを結ぶ直線が前記垂線となす角度を前記各点の角度Aとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHが0.5mm以上1.5mm以下の範囲内であり、
前記ダイアフラムの頂点における前記ダイアフラムの厚さをHTとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHが下記の式1を満たす、細胞培養方法。
1≦HT/H≦1.75 (式1) - 前記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における前記ダイアフラムの厚さをHYとし、角度Aが90°の点における前記ダイアフラムの厚さをHZとしたとき、HZ<HYであり、かつ、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHがH≦HZである、請求項6に記載の細胞培養方法。
- 前記ダイアフラムにおける角度Aが75°から88°までの領域における点のうち、最も厚さが厚い点における前記ダイアフラムの厚さをHYとしたとき、角度Aが0°から75°までの領域におけるいずれの点においても前記ダイアフラムの厚さHが下記の式2を満たす、請求項6又は請求項7に記載の細胞培養方法。
1<HY/H≦3 (式2) - 前記ダイアフラムの材質がシリコーンゴムである、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
- 前記ダイアフラムの伸び率50%における引張応力σが下記の式3を満たす、請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
0.4MPa≦σ≦1.5MPa (式3) - 前記ダイアフラムポンプの運転時において、前記ダイアフラムを駆動させる前記ダイアフラムポンプの内部の圧力Pが下記の式4を満たす、請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
大気圧−0.1MPa≦P≦大気圧+0.1MPa (式4) - 前記細胞がCHO細胞である、請求項6から請求項11のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
- 前記培養容器内から抜き出された前記細胞懸濁液を、前記細胞懸濁液中の細胞濃度よりも高い細胞濃度を有する第一の溶液と、前記細胞懸濁液中の細胞濃度よりも低い細胞濃度を有する第二の溶液と、に分離膜を用いてタンジェンシャルフローフィルトレーション方式により分離する分離処理を行うことと、
前記第一の溶液を前記培養容器内に戻すことと、
前記培養容器内に新たに培地を添加することと、
をさらに含む、請求項6から請求項12のいずれか一項に記載の細胞培養方法。 - 生産物を生産する細胞を請求項6〜請求項13のうちいずれか一項に記載の細胞培養方法を用いて培養することと、
前記細胞懸濁液から生産物を回収することと、
を含む、生産物の製造方法。 - 前記生産物が抗体である、請求項14に記載の生産物の製造方法。
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