JPWO2020122159A1 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

空気入りタイヤ(10)の外径は、350mm以上、600mm以下であり、空気入りタイヤ(10)に組み付けられるリムホイール(100)のリム幅をRW、空気入りタイヤのタイヤ幅をSWとした場合、0.78≦RW/SW≦0.99の関係を満たす。ベルト層は、タイヤ周方向に沿って螺旋状に巻き回されシースベルトを含む。

Description

本発明は、耐荷重能力を高めた小径の空気入りタイヤに関する。
従来、交錯ベルト層など、タイヤを構成するベルト状の部材に代えて、複数本の補強コードをゴム被覆したゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に巻き回すことによって形成した補強部材を備えた空気入りタイヤが知られている(特許文献1参照)。
上述した空気入りタイヤによれば、補強部材のタイヤ幅方向端部が折り返された形状となっているため、補強部材のタイヤ幅方向端部の耐久性が向上する。
特開2016-215943号公報
近年、都市内での人や物などの輸送に主眼を置いた新たな小型シャトルバスが提案されている。このような小型シャトルバスは、全長5メートル、全幅2メートル程度であり、車両総重量も3トンを超える場合も想定されている。
このような小型シャトルバスに装着される空気入りタイヤには、高い耐荷重能力と、小径化のよる省スペース化とが求められている。また、このような空気入りタイヤでは、大きな荷重を支持する必要があり、さらに高いベルトの耐久性も求められる。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、高い耐荷重能力と省スペース化とを達成しつつ、ベルトの耐久性も向上し得る空気入りタイヤの提供を目的とする。
本発明の一態様は、路面に接するトレッド(トレッド20)と、前記トレッドのタイヤ径方向内側に設けられるベルト層(ベルト層50)とを備え、車両(車両1)に装着される空気入りタイヤ(空気入りタイヤ10)であって、前記空気入りタイヤの外径は、350mm以上、600mm以下であり、前記空気入りタイヤに組み付けられるリムホイール(リムホイール100)のリム幅をRW、前記空気入りタイヤのタイヤ幅をSWとした場合、0.78≦RW/SW≦0.99の関係を満たし、前記ベルト層は、タイヤ周方向に沿って螺旋状に巻き回されたシースベルト(シースベルト52)を含む。
図1は、空気入りタイヤ10が装着される車両1の全体概略側面図である。 図2は、空気入りタイヤ10及びリムホイール100の断面図である。 図3は、空気入りタイヤ10の単体断面図である。 図4Aは、製造途中におけるベルト層50の単体斜視図である。 図4Bは、製造後におけるベルト層50の単体斜視図である。 図5は、タイヤ形状(タイヤ外径OD及びタイヤ幅SW)と、リムホイール形状(リム径RD及びリム幅RW)との組合せに基づく典型的なタイヤサイズのポジショニングを示す図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)空気入りタイヤが装着される車両の概略構成
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ10が装着される車両1の全体概略側面図である。図1に示すように、本実施形態では、車両1は、4輪自動車である。なお、車両1は、4輪に限定されず、6輪構成或いは8輪構成などであってもよい。
車両1は、車輪構成に応じて、所定数の空気入りタイヤ10が装着される。具体的には、車両1には、リムホイール100に組み付けられた空気入りタイヤ10が所定位置に装着される。
車両1は、都市内での人や物などの輸送に主眼を置いた新たな小型シャトルバスに属する。本実施形態では、新たな小型シャトルバスとは、全長が4m〜7m、全幅2m程度であり、車両総重量が3t前後である車両を想定する。但し、サイズ及び車両総重量は、必ずしも当該範囲に限定されず、多少であれば、当該範囲から外れても構わない。
また、小型シャトルバスは、必ずしも人の輸送に限らず、物の輸送、移動店舗、移動オフィスなどとして用いられてもよい。
さらに、小型シャトルバスは、都市内での人や物などの輸送に主眼が置かれているため、比較的低い走行速度レンジ(最高速度70km/h以下、平均速度50km/h程度)を想定する。このため、ハイドロプレーニング対策は重視されなくても構わない。
本実施形態では、車両1は、自動運転機能(レベル4以上を想定)を備えた電気自動車であることを前提とするが、自動運転機能は必須ではなく、また、電気自動車でなくても構わない。
車両1が電気自動車である場合、インホイールモーター(不図示)をパワーユニットとして用いられることが好ましい。インホイールモーターは、ユニット全体がリムホイール100の内側空間に設けられてもよいし、ユニットの一部がリムホイール100の内側空間に設けられてもよい。
また、インホイールモーターを用いる場合、車両1は、各車輪が独立して操舵が可能な独立操舵機能を備えることが好ましい。これにより、その場での転回、及び横方向への移動が可能となるとともに、動力伝達機構が不要となるため、車両1のスペース効率を向上し得る。
このように、車両1では、高いスペース効率が要求される。このため、空気入りタイヤ10は、極力小径であることが好ましい。
一方、車両サイズ及び用途に応じた相応の車両総重量となる車両1に装着されるため、高い耐荷重能力(最大負荷能力)が要求される。
空気入りタイヤ10は、このような要件を満たすべく、タイヤ外径OD(図1において不図示、図2参照)を小さくしつつ、車両1の車両総重量に対応した耐荷重能力を有する。
また、車両1がインホイールモーター及び独立操舵機能を備える場合、応答性向上の観点からは空気入りタイヤ10の偏平率は低いことが好ましく、インホイールモーターなどの収容スペースを考慮すると、空気入りタイヤ10のリム径RD(図1において不図示、図2参照)は、大きいことが好ましい。
(2)空気入りタイヤの構成
図2は、空気入りタイヤ10及びリムホイール100の断面図である。具体的には、図2は、リムホイール100に組み付けられた空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。なお、図2では、断面のハッチング表示は、省略されている(図3以降も同様)。
空気入りタイヤ10は、比較的小径である一方、幅広である。具体的には、リムホイール100の径であるリム径RDは、12インチ以上、17.5インチ以下であることが好ましい。但し、リム径RDは、他の数値範囲を満たすのであれば、10インチ以上、22インチ以下であってもよい。
図2に示すように、リム径RDは、リムホイール100のリム本体部分の外径であり、リムフランジ110の部分は含まない。
また、空気入りタイヤ10のタイヤ幅SWは、125mm以上、255mm以下であることが好ましい。図2に示すように、タイヤ幅SWは、空気入りタイヤ10の断面幅を意味し、空気入りタイヤ10がリムガード(不図示)を備える場合、リムガード部分は含まれない。
さらに、空気入りタイヤ10の偏平率は、35%以上、75%以下であることが好ましい。なお、偏平率は、式1を用いて算出される。
偏平率(%)=タイヤ断面高さH/タイヤ幅SW(断面幅)×100 …(式1)
空気入りタイヤ10の外径であるタイヤ外径ODは、350mm以上、600mm以下である。なお、タイヤ外径ODは、500mm以下であることが好ましい。
タイヤ外径ODがこのようなサイズであって、空気入りタイヤ10に組み付けられるリムホイール100のリム幅をリム幅RWとした場合、空気入りタイヤ10は、(式2)及び(式3)の関係を満たす。
0.78≦RW/SW≦0.99 …(式2)
0.56≦RD/OD≦0.75 …(式3)
なお、空気入りタイヤ10は、0.78≦RW/SW≦0.98を満たすことが好ましく、0.78≦RW/SW≦0.95を満たすことがより好ましい。また、空気入りタイヤ10は、0.56≦RD/OD≦0.72を満たすことが好ましく、0.56≦RD/OD≦0.71を満たすことがより好ましい。
このような関係を満たす空気入りタイヤ10は、小径でありながら、車両1の車両総重量を支持するために必要なエアボリュームを確保し得る。具体的には、エアボリュームは、荷重支持性能を考慮すると20,000cm3以上必要である。また、省スペース化を考慮すると80,000cm3以下であることが必要である。
なお、上述の関係を満たすのであれば、リム幅RWは、特に限定されないが、エアボリュームを確保する観点からは、なるべく広いことが好ましい。例えば、リム幅は、3.8〜7.8Jとすることができる。
また、同じくエアボリュームを確保する観点からは、タイヤ外径ODに対するリム径RDの比率が小さい、つまり、偏平率が高いことが好ましい。但し、上述したように、応答性の観点からは偏平率が低いことが好ましく、また、インホイールモーターなどの収容スペースを考慮すると、リム径RDは大きいことが好ましいため、偏平率及びリム径RDは、エアボリュームと、応答性及びインホイールモーターなどの収容スペースとにおいてトレードオフの関係となる。
空気入りタイヤ10としての好適なサイズの一例としては、205/40R15が挙げられる。また適合リム幅は、7.5J程度である。なお、好適なサイズの他の例としては、215/45R12が挙げられる。この場合、適合リム幅は、7.0J程度である。
さらに、特に限定されないが、空気入りタイヤ10の設定内圧(正規内圧)は、400〜1,100kPa、現実的には、500〜900kPaを想定する。なお、正規内圧とは、例えば、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYearBookにおける最大負荷能力に対応する空気圧であり、欧州ではETRTO、米国ではTRA、その他各国のタイヤ規格が対応する。
また、空気入りタイヤ10が負担する荷重は、500〜1,500kgf、現実的には、900kgf程度を想定する。
図3は、空気入りタイヤ10の単体断面図である。具体的には、図3は、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。
図3に示すように、空気入りタイヤ10は、トレッド20、タイヤサイド部30、カーカス40、ベルト層50及びビード部60を備える。
トレッド20は、路面と接する部分である。トレッド20には、空気入りタイヤ10の使用環境や装着される車両の種別に応じたパターン(不図示)が形成される。
本実施形態では、トレッド20には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝21及び周方向主溝22を含む複数の周方向溝が形成される。
タイヤサイド部30は、トレッド20に連なり、トレッド20のタイヤ径方向内側に位置する。タイヤサイド部30は、トレッド20のタイヤ幅方向外側端からビード部60の上端までの領域である。タイヤサイド部30は、サイドウォールなどと呼ばれることもある。
カーカス40は、空気入りタイヤ10の骨格を形成する。カーカス40は、タイヤ径方向に沿って放射状に配置されたカーカスコード(不図示)がゴム材料によって被覆されたラジアル構造である。但し、ラジアル構造に限定されず、カーカスコードがタイヤ径方向に交錯するように配置されたバイアス構造でも構わない。
ベルト層50は、トレッド20のタイヤ径方向内側に設けられる。ベルト層50は、コアベルト51及びシースベルト52によって構成される。
コアベルト51は、トレッド20の一方のショルダー部26からトレッド20の他方のショルダー部27に亘って設けられる。ショルダー部26は、周方向主溝21よりもタイヤ幅方向外側の領域であり、ショルダー部27は、周方向主溝22よりもタイヤ幅方向外側の領域である。つまり、ショルダー部26及びショルダー部27は、最もタイヤ幅方向外側に形成されている周方向主溝よりもタイヤ幅方向外側の領域である。
コアベルト51は、タイヤ幅方向に対して低角度で傾斜したベルトコード51a(図3において不図示、図4A参照)をゴム被覆したベルトである。シースベルト52は、コード(不図示)を含むテープ状のベルトであり、コアベルト51の全周に亘って巻き付けられる。ベルト層50は、交錯ベルト層と同様の機能を提供する。なお、ベルト層50の構成については、さらに後述する。
ビード部60は、タイヤサイド部30に連なり、タイヤサイド部30のタイヤ径方向内側に位置する。ビード部60は、リムホイール100に係止され、円環状のビードコア61を有する。
カーカス40は、ビードコア61を介してタイヤ幅方向外側に折り返されている。
ビード部60において折り返されたカーカス40の折り返し端部41は、ビードコア61に沿って巻き付けられるように設けられている。折り返し端部41は、ビードコア61のタイヤ径方向外側端に接している。具体的には、カーカス40の折り返し端部41では、カーカスコードがビードコア61のタイヤ径方向外側端に巻き付けられている。
なお、ビード部60には、ビードコアのタイヤ径方向外側にビードフィラーが設けられてもよいし、ビード部60で折り返されているカーカス40などがリムホイール100と擦れて摩耗することを防止するチェーファーが設けられてもよい。
(3)ベルト層50の構成
図4A及び図4Bは、ベルト層50の構成を示す。具体的には、図4Aは、製造途中におけるベルト層50の単体斜視図であり、図4Bは、製造後におけるベルト層50の単体斜視図である。
上述したように、ベルト層50は、コアベルト51及びシースベルト52によって構成される。図4Aに示すように、コアベルト51は、タイヤ幅方向に沿って配置されたベルトコード51aを有する。コアベルト51は、複数のベルトコード51aをゴム被覆することによって形成された円環状のベルトである。
なお、ベルトコード51aは、図4Aに示すように、タイヤ幅方向に対して多少傾斜していることが好ましい。具体的には、ベルトコード51aは、シースベルト52の傾斜方向と同一方向(図4Aでは左上がり)に傾斜していることが好ましい。
シースベルト52は、幅が1cm程度のテープ状のベルトであり、タイヤ周方向に沿って螺旋状にコアベルト51に巻き回される。具体的には、シースベルト52は、シースベルト52の幅以上の所定距離を隔ててタイヤ周方向に沿って螺旋状にコアベルト51に巻き回される。
シースベルト52が、隣接するシースベルト52と重複しないようにタイヤ周方向において複数周回に亘って巻き回されることによって、コアベルト51のタイヤ径方向外側面、及びコアベルト51のタイヤ径方向内側面を覆う。
また、テープ状であるシースベルト52の長手方向の端部(不図示)は、ショルダー部26, 27、及びセンター領域(タイヤ赤道線直下)には位置しないようにコアベルト51に巻き回される。
シースベルト52は、図4Bに示すように、円環状のコアベルト51の全周に亘って巻き付けられる。
また、本実施形態では、ベルト層50は、コアベルト51及びシースベルト52のみによって構成される。上述したように、ベルト層50は、交錯ベルト層と同様の機能を提供するが、本実施形態では、コアベルト51及びシースベルト52以外に、補強ベルトなどの追加のベルトは設けられていない。
コアベルト51におけるベルトコード51aの打ち込み本数は、15本/50mm以上、30本/50mm以下であることが好ましい。また、シースベルト52におけるコードの打ち込み本数は、10本/50mm以上、25本/50mm以下であることが好ましい。また、ベルトコード51aの打ち込み本数は、シースベルト52におけるコードの打ち込み本数よりも多い(つまり、密)なことが好ましい。
ベルトコード51aがタイヤ幅方向と成す角度は、20度以上、60度以下であることが好ましい。シースベルト52のコードがタイヤ幅方向と成す角度は、50度以上、80度以下であることが好ましい。また、シースベルト52のコードがタイヤ幅方向と成す角度は、ベルトコード51aがタイヤ幅方向と成す角度よりも大きいことが好ましい。
シースベルト52のタイヤ周方向における折り返し回数は、性能確保及び生産性を考慮すると、3回以上、6回以下であることが好ましい。
(4)作用・効果
次に、上述した空気入りタイヤ10の作用・効果について説明する。図5は、タイヤ形状(タイヤ外径OD及びタイヤ幅SW)と、リムホイール形状(リム径RD及びリム幅RW)との組合せに基づく典型的なタイヤサイズのポジショニングを示す図である。
具体的には、図5に示すグラフの横軸は、リム幅RWとタイヤ幅SWとの比率(RW/SW)を示し、縦軸は、リム径RDとタイヤ外径ODとの比率(RD/OD)を示す。図5では、RW/SW及びRD/ODの値に従って、典型的なタイヤサイズのポジションがプロットされている。
図5に示すように、トラック・バス用タイヤの領域は、RW/SW及びRD/OD共に低い。乗用車または小型トラック用タイヤの領域は、RW/SW及びRD/OD共に、トラック・バス用タイヤよりも高い。
上述した空気入りタイヤ10としての好適なサイズの一例である215/45R12は、領域A1に含まれる。領域A1は、上述したように、0.78≦RW/SW≦0.99であり、0.56≦RD/OD≦0.75の範囲である。このような領域A1は、上述した車両1のように、都市内での人や物などの輸送に主眼を置いた新小型シャトルバス用タイヤの領域と位置付けられる。
新小型シャトルバス用タイヤの領域のRD/ODは、乗用車または小型トラック用タイヤの領域のRD/ODと大きく変わらず、一部は重複している。一方、新小型シャトルバス用タイヤの領域のRW/SWは、乗用車または小型トラック用タイヤの領域のRW/SWよりも高い。
上述したように、空気入りタイヤ10のタイヤ外径ODは、350mm以上、600mm以下である。このため、車両1のサイズと比較して十分に小径であり、車両1の省スペース化に貢献し得る。
また、領域A1に含まれるサイズの空気入りタイヤ10によれば、0.78≦RW/SW≦0.99の関係を満たすため、タイヤ幅SWに対するリム幅RWが広く、つまり、幅広のタイヤを構成でき、高い耐荷重能力を発揮するために必要なエアボリュームを確保し易い。なお、リム幅RWが広くなり過ぎると、タイヤ幅SWも広がりスペース効率が低下するとともに、ビード部60がリムホイール100から外れやすくなる。
さらに、領域A1に含まれるサイズの空気入りタイヤ10によれば、0.56≦RD/OD≦0.75の関係を満たすため、タイヤ外径ODに対するリム径RDが大きく、インホイールモーターなどの収容スペースを確保し易い。なお、リム径RDが小さくなり過ぎると、ディスクブレーキまたはドラムブレーキの径サイズが小さくなる。このため、有効なブレーキの接触面積が小さくなり、必要な制動性能の確保が難しくなる。
すなわち、空気入りタイヤ10によれば、新たな小型シャトルバスなどに装着される場合において、さらに高い耐荷重能力を有しつつ、高いスペース効率を達成し得る。
空気入りタイヤ10のリム径RDは、12インチ以上、17.5インチ以下であることが好ましい。これにより、小径を維持しつつ、必要十分なエアボリューム及びインホイールモーターなどの収容スペースを確保し得る。また、制動性能及び駆動性能も確保できる。
また、空気入りタイヤ10のタイヤ幅SWは、125mm以上、255mm以下であることが好ましい。さらに、空気入りタイヤ10の偏平率は、35%以上、75%以下であることが好ましい。これにより、必要十分なエアボリューム及びインホイールモーターなどの収容スペースを確保し得る。
さらに、本実施形態では、上述したように、ベルト層50は、トレッド20の一方のショルダー部26からトレッド20の他方のショルダー部27に亘って設けられるコアベルト51と、タイヤ周方向に沿って螺旋状にコアベルト51に巻き回されたシースベルト52とを含む。
このようなベルト層50は、一般的な交錯ベルト層と比較して、特にトレッド20のショルダー部26及びショルダー部27の剛性が高く、空気入りタイヤ10のような小径タイヤで懸念される当該ショルダー部の径成長を効果的に抑制し得る。
具体的には、空気入りタイヤ10のタイヤ外径ODが小さいため、カーカス40の張力が一定であると仮定すると、相対的にベルト層50の張力が、タイヤ外径ODが大きいタイヤよりも低くなる。このため、特に、ベルト層の剛性が低いショルダー部では、タイヤの径成長が顕著である。
また、空気入りタイヤ10の偏平率が低いため、カーカス40がタイヤ幅方向により強く引っ張られ、相対的にタイヤ径方向への引っ張りが低くなる。このため、やはり、ショルダー部ではタイヤの径成長が顕著である。
さらに、空気入りタイヤ10は、上述したように、大きな荷重を支持しなくてはならず、また、車両総重量に対応した高い内圧に設定されるため、ベルト層の耐久性の悪化が懸念される。
空気入りタイヤ10では、コアベルト51及びシースベルト52によって構成されるベルト層50によって、このようなトレッド20のショルダー部26及びショルダー部27における径成長が抑制される。
すなわち、空気入りタイヤ10によれば、高い耐荷重能力と省スペース化とを達成しつつ、ベルト(ベルト層50)の耐久性も向上し得る。
また、本実施形態では、螺旋状に巻き回されるシースベルト52の長手方向の端部は、ショルダー部26, 27(つまり、最もタイヤ径方向外側に形成されている周方向主溝よりもタイヤ幅方向外側の領域)、及びセンター領域(つまり、タイヤ赤道線直下)には位置しないため、シースベルト52の長手方向の端部に起因する歪の発生を抑制し得る。
さらに、本実施形態では、ベルトコード51aは、シースベルト52の傾斜方向と同一方向に傾斜している。これにより、コアベルト51及びシースベルト52は、同様な変形時の特性を有するため、ベルト層50の耐久性が向上する。
本実施形態では、シースベルト52は、テープ状のベルトであり、シースベルト52の幅以上の所定距離を隔ててタイヤ周方向に沿って螺旋状にコアベルト51に巻き回される。また、シースベルト52は、タイヤ周方向において複数周回に亘って巻き回されることによって、コアベルト51のタイヤ径方向外側面、及びコアベルト51のタイヤ径方向内側面を覆う。
このため、タイヤ全周に亘って、特にタイヤ幅方向端部の剛性が高いベルト層50を提供し得る。これにより、ベルト層50の耐久性をさらに向上し得る。
本実施形態では、ベルト層50は、コアベルト51及びシースベルト52のみによって構成される。上述したように、コアベルト51及びシースベルト52によって構成されるベルト層50は、トレッド20のショルダー部26及びショルダー部27における径成長を十分に抑制することができるため、さらに補強ベルトなどを追加する必要がない。これにより、空気入りタイヤ10の重量増を抑制しつつ、ベルト層50の耐久性を向上し得る。
(5)その他の実施形態
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、上述した実施形態では、空気入りタイヤ10が、0.56≦RD/OD≦0.75の関係を満たすとしたが、当該関係は、必ずしも満たしていなくても構わない。
また、上述した実施形態では、カーカス40の折り返し端部41は、ビードコア61に沿って巻き付けられるように設けられていたが、折り返し端部41は、ビードコア61に沿って巻き付けられていなくても構わない。
さらに、上述した実施形態では、シースベルト52は、シースベルト52の幅以上の所定距離を隔ててタイヤ周方向に沿って螺旋状にコアベルト51に巻き回されるとともに、コアベルト51のタイヤ径方向外側面、及びコアベルト51のタイヤ径方向内側面を覆っていたが、シースベルト52は、必ずしもこのように構成されなくても構わない。
例えば、シースベルト52は、所定距離を隔てることなく、タイヤ周方向に沿って単純に螺旋状に巻き回されてもよいし、コアベルト51のタイヤ径方向外側面、及びコアベルト51のタイヤ径方向内側面は、完全に覆われていなくても構わない。
また、コアベルト51は必ずしも設けられていなくても構わない。つまり、シースベルト52は、コアベルト51を覆わずに、単純にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻き回されてもよい。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
1 車両
10 空気入りタイヤ
20 トレッド
21, 22 周方向主溝
26, 27 ショルダー部
30 タイヤサイド部
40 カーカス
41 折り返し端部
50 ベルト層
51 コアベルト
51a ベルトコード
52 シースベスト
60 ビード部
61 ビードコア
100 リムホイール
110 リムフランジ

Claims (5)

  1. 路面に接するトレッドと、前記トレッドのタイヤ径方向内側に設けられるベルト層とを備え、車両に装着される空気入りタイヤであって、
    前記空気入りタイヤの外径は、350mm以上、600mm以下であり、
    前記空気入りタイヤに組み付けられるリムホイールのリム幅をRW、
    前記空気入りタイヤのタイヤ幅をSWとした場合、
    0.78≦RW/SW≦0.99の関係を満たし、
    前記ベルト層は、タイヤ周方向に沿って螺旋状に巻き回されたシースベルトを含む空気入りタイヤ。
  2. 前記空気入りタイヤの外径をOD、
    前記空気入りタイヤのリム径をRDとした場合、
    0.56≦RD/OD≦0.75
    の関係を満たす請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルト層は、前記トレッドの一方のショルダー部から前記トレッドの他方のショルダー部に亘って設けられるコアベルトを備え、
    前記シースベルトは、タイヤ周方向に沿って螺旋状に前記コアベルトに巻き回される請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記シースベルトは、
    テープ状のベルトであり、
    前記シースベルトの幅以上の所定距離を隔ててタイヤ周方向に沿って螺旋状に前記コアベルトに巻き回され、
    タイヤ周方向において複数周回に亘って巻き回されることによって、前記コアベルトのタイヤ径方向外側面、及び前記コアベルトのタイヤ径方向内側面を覆う請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記コアベルトは、タイヤ幅方向に沿って配置されたベルトコードを有し、
    前記ベルト層は、前記コアベルト及び前記シースベルトのみによって構成される請求項3または4に記載の空気入りタイヤ。
JP2020559302A 2018-12-13 2019-12-12 空気入りタイヤ Pending JPWO2020122159A1 (ja)

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