JPWO2020110906A1 - 表面処理赤外線吸収微粒子分散液およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

水を含む溶媒中に表面処理赤外線吸収微粒子が分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液であって、前記表面処理赤外線吸収微粒子は、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆されているものであり、前記表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径が20nm以上400nm以下である表面処理赤外線吸収微粒子分散液を提供する。

Description

本発明は、水を含む溶媒中に表面処理赤外線吸収微粒子が分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液、および、その製造方法に関する。
近年、赤外線吸収体の需要が急増しており、赤外線吸収体に関し多くの提案が為されている。
これらの提案を機能的観点から俯瞰してみる。すると、例えば、各種建築物や車両の窓材等の分野において、可視光線を十分に取り入れながら近赤外領域の光を遮蔽し、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制することを目的としたものがある。
先行技術文献として、例えば特許文献1では、透明なガラス基板上に、基板側より第1層として周期律表のIIIa族、IVa族、Vb族、VIb族およびVIIb族から成る群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜を設け、当該第1層上に第2層として透明誘電体膜を設け、当該第2層上に第3層として周期律表のIIIa族、IVa族、Vb族、VIb族およびVIIb族から成る群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜を設け、且つ、前記第2層の透明誘電体膜の屈折率を前記第1層および前記第3層の複合酸化タングステン膜の屈折率よりも低くすることにより、高い可視光透過率および良好な赤外線遮断性能が要求される部位に好適に使用することが出来る赤外線遮断ガラスが提案されている。
特許文献2では特許文献1と同様の方法で、透明なガラス基板上へ、基板側より第1層として第1の誘電体膜を設け、当該第1層上に第2層として酸化タングステン膜を設け、当該第2層上に第3層として第2の誘電体膜を設けた赤外線遮断ガラスが提案されている。
特許文献3では特許文献1と同様な方法で、透明なガラス基板上へ、基板側より第1層として特許文献1と同様の金属元素を含有する複合酸化タングステン膜を設け、当該第1層上に第2層として透明誘電体膜を設けた熱線遮断ガラスが提案されている。
特許文献4では、水素、リチウム、ナトリウムまたはカリウム等の添加元素を含有する、三酸化タングステン(WO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化ニオブ(Nb)、五酸化タンタル(Ta)、五酸化バナジウム(V)および二酸化バナジウム(VO)の1種以上から選択される金属酸化物膜が、CVD法またはスプレー法で被覆された後、250℃程度で熱分解されることにより形成された、太陽光遮蔽特性を有する太陽光制御ガラスシートが提案されている。
特許文献5には、タングステン酸を加水分解して得られた酸化タングステンを用い、当該酸化タングステンに、ポリビニルピロリドンという特定の構造の有機ポリマーを添加した太陽光可変調光断熱材料が提案されている。当該太陽光可変調光断熱材料は太陽光が照射されると、光線中の紫外線が酸化タングステンに吸収されて励起電子とホールとが発生し、少量の紫外線量により5価タングステンの出現量が著しく増加して着色反応が速くなり、これに伴って着色濃度が高くなるものである。他方、光が遮断されることによって、前記5価タングステンが極めて速やかに6価に酸化されて消色反応が高くなるものである。当該着色/消色特性を用い、太陽光に対する着色および消色反応が速く、着色時に近赤外域の波長1250nmに吸収ピークが現れ、太陽光の近赤外線を遮断することが出来る太陽光可変調光断熱材料が得られることが提案されている。
一方、本発明者等は特許文献6において、六塩化タングステンをアルコールに溶解し、そのまま媒質を蒸発させるか、または加熱還流した後、媒質を蒸発させ、その後100℃〜500℃で加熱することにより、三酸化タングステンまたはその水和物または両者の混合物からなる酸化タングステン微粒子粉末を得ることを開示した。そして、当該酸化タングステン微粒子を用いてエレクトロクロミック素子が得られること、多層の積層体を構成し膜中にプロトンを導入したときに当該膜の光学特性を変化させることが出来ること、等を開示した。
特許文献7には、メタ型タングステン酸アンモニウムと水溶性の各種金属塩とを原料とし、その混合水溶液の乾固物を約300〜700℃の加熱温度で加熱し、この加熱の際に不活性ガス(添加量;約50vol%以上)または水蒸気(添加量;約15vol%以下)を添加した水素ガスを供給することにより、一般式MWO(但し、Mはアルカリ、アルカリ土類、希土類などの金属元素、0<x<1)で表される種々のタングステンブロンズを作製する方法が提案されている。そして、当該操作を支持体上で実施して種々のタングステンブロンズ被覆複合体を製造し、燃料電池等の電極触媒材料として用いることが提案されている。
そして、本発明者等は特許文献8において、赤外線遮蔽材料微粒子が媒質中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体、当該赤外線遮蔽材料微粒子分散体の光学特性、導電性、製造方法について開示した。当該赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、または/および、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物の微粒子であって、当該赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は1nm以上800nm以下である。
特開平8−59300号公報 特開平8−12378号公報 特開平8−283044号公報 特開2000−119045号公報 特開平9−127559号公報 特開2003−121884号公報 特開平8−73223号公報 国際公開第2005/37932号 国際公開第2010/55570号
本発明者らは、特許文献8に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散体を車載用や建材用に用い、太陽光に含まれる光のうち、可視光線を十分に取り入れながら近赤外領域の光を遮蔽し、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制することを目指した。このとき、特許文献8に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散体を得るには、例えば赤外線吸収材料微粒子を溶媒に分散した赤外線吸収材料微粒子分散液を調製し、そして当該赤外線吸収材料微粒子分散液へ樹脂などを溶解してコーティング液とし、当該コーティング液を例えば基材へ塗布した後や噴霧した後にこれを乾燥する、等の方法を採ればよい。
しかしながら本発明者らの検討によると、上述したタングステン酸化物微粒子、または/および、複合タングステン酸化物微粒子を含む光学部材(透明基材、フィルム、樹脂シート等)は、使用状況や方法により、空気中の水蒸気や水分が当該光学部材のコーティング層や固体状樹脂中へ徐々に浸透することを知見した。そして、水蒸気や水分がコーティング層や固体状樹脂中へ浸透すると、前記タングステン酸化物微粒子、または/および、複合タングステン酸化物微粒子の表面が分解し、波長200〜2600nmの光の透過率が経時的に上昇してしまい、前記光学部材の赤外線吸収特性が徐々に低下するという課題があることを知見した。特に、表面活性の高いタングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子ほど、当該分解劣化による赤外線吸収特性の損失割合は大きいということも知見した。
尚、本発明において「コーティング層」とは、例えば塗布や噴霧を利用した方法によって、基材上に所定の膜厚をもって形成された室温で固体の媒質膜のことである。
上述の状況の下、本発明者等は特許文献9において、耐水性に優れ、且つ、優れた赤外線遮蔽特性を有する赤外線遮蔽微粒子として、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物または/および一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子であって、当該微粒子の平均一次粒径が1nm以上、800nm以下であり、当該微粒子表面が4官能性シラン化合物もしくはその加水分解生成物、または/および、有機金属化合物で被覆されている赤外線遮蔽微粒子とその製造方法とを開示した。
上述した特許文献9に係るタングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子は、耐湿性に優れたものであった。しかしながら、車載用や建材用に用いられる赤外線吸収材料は、高湿度、高温環境を初めとする多様な環境下において、長期間に渡って使用されるものである。そして、市場での要求が年々高まっていくにつれて、特許文献9で開示した赤外線遮蔽微粒子に対して、耐湿熱性の改善が求められることになった。更には、近年、各種の工業材料において環境負荷を低減することが求められており、上述したコーティング液においては、環境負荷の高い有機溶媒は含まず、好ましくは水を主溶媒としたものが求められている。即ち、水を含む溶媒中に分散している赤外線吸収微粒子分散液が求められているのである。
本発明は上述の状況の下になされたものであり、その課題とするところは、耐湿熱性に優れた表面処理赤外線吸収微粒子が水を含む溶媒中に分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液、およびその製造方法を提供することである。
本発明者等は上述の課題の解決の為、優れた光学的特性を有する赤外線吸収微粒子を用い、当該赤外線吸収微粒子が高湿度、高温環境においても化学安定性を向上させることを可能にする構成について研究を行った。その結果、当該赤外線吸収微粒子表面との親和性に優れ、且つ、当該赤外線吸収微粒子の個々の粒子表面に対して均一に吸着し、強固な被覆膜を形成する化合物を用いて、当該個々の赤外線吸収微粒子の表面を被覆することが肝要なことに想到した。
本発明者等はさらに研究を続け、上述した赤外線吸収微粒子において親和性に優れ、被覆膜を形成する化合物として、金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物に想到した。そして、さらなる研究の結果、当該金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物が加水分解したときに生成する、これらの化合物の加水分解生成物、または、当該加水分解生成物の重合物が、赤外線吸収微粒子の個々の粒子表面に対して均一に吸着し、且つ、強固な被覆膜を形成する化合物であることを知見した。
即ち、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で均一、且つ、強固に被覆されている赤外線吸収微粒子(本発明において「表面処理赤外線吸収微粒子」と記載する場合がある。)に想到したものである。そして、当該表面処理赤外線吸収微粒子は、高湿度、高温環境に曝されても赤外線吸収特性が維持されていることを知見した。
本発明者等はさらに研究を続け、当該表面処理赤外線吸収微粒子が水を含む溶媒中に分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液に想到して本発明に至った。
即ち、上述の課題を解決する為の発明は、
水を含む溶媒中に表面処理赤外線吸収微粒子が分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液であって、
前記表面処理赤外線吸収微粒子は、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆されているものであり、
前記表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径が20nm以上400nm以下であることを特徴とする表面処理赤外線吸収微粒子分散液である。
さらに、上述の課題を解決する為の発明は、
水を含む溶媒中へ赤外線吸収微粒子を分散させて被覆膜形成用水分散液を得る工程と
前記被覆膜形成用水分散液へ、金属キレート化合物および/または金属環状オリゴマー化合物を添加し、前記赤外線吸収微粒子の表面を金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆して表面処理赤外線吸収微粒子とし、水を含む溶媒中に前記表面処理赤外線吸収微粒子が分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得る工程とを有することを特徴とする表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法である。
本発明により、高湿度、高温環境に曝されても優れた赤外線吸収特性を維持する表面処理赤外線吸収微粒子が、水を含有する溶媒中に分散した表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得ることが出来た。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物における結晶構造の模式的な平面図である。
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、水を含む溶媒中に、表面処理赤外線吸収微粒子が分散しているものである。
そして、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子は、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で均一、且つ、強固に被覆されている表面処理赤外線吸収微粒子であり、表面処理赤外線吸収微粒子分散液中における分散粒子径は20nm以上400nm以下である。さらに、当該赤外線吸収微粒子は、タングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子であることが好ましい。
以下、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を、[1]赤外線吸収微粒子、[2]赤外線吸収微粒子の表面処理剤、[3]赤外線吸収微粒子の表面処理方法、[4]分散溶媒、[5]本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液、の順で詳細に説明する。
尚、本発明において、「赤外線吸収微粒子へ耐湿熱性を付与する為に、当該微粒子の表面へ、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を用いて形成した被覆膜」を、単に「被覆膜」と記載する場合がある。
[1]赤外線吸収微粒子
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液に用いられる赤外線吸収微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)、または/および、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される赤外線吸収微粒子であることが好ましい。
以下、タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子を例として、赤外線吸収微粒子について説明する。
一般に、自由電子を含む材料は、プラズマ振動によって波長200nmから2600nmの太陽光線の領域周辺の電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。このような物質の粉末を、光の波長より小さい粒子にすると、可視光領域(波長380nmから780nm)の幾何学散乱が低減されて可視光領域の透明性が得られることが知られている。
尚、本発明において「透明性」とは、「可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高い。」という意味で用いている。
一般に、タングステン酸化物(WO)中には有効な自由電子が存在しない為、赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線吸収微粒子としては有効ではない。しかしながら、酸素欠損を持つWOや、WOにNa等の陽性元素を添加した複合タングステン酸化物の構成をとることで、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現することが知られている。そして、これらの自由電子を持つ材料の単結晶等の分析により、赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。
本発明者等は、当該タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線吸収微粒子として特に有効な範囲があることを見出し、可視光領域においては透明で、赤外線領域においては吸収を持つタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子に想到した。
ここで、赤外線吸収微粒子について、タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子を例として、(1)タングステン酸化物微粒子、(2)複合タングステン酸化物微粒子、(3)赤外線吸収微粒子の性状と特性、の順で説明する。
(1)タングステン酸化物微粒子
タングステン酸化物微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物の微粒子である。
一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物において、当該タングステンと酸素との組成範囲は、タングステンに対する酸素の組成比が3よりも少なく、さらには、当該赤外線吸収微粒子をWyOzと記載したとき、2.2≦z/y≦2.999であることが好ましい。
当該z/yの値が2.2以上であれば、当該タングステン酸化物中に目的以外であるWOの結晶相が現れるのを回避することが出来ると伴に、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので有効な赤外線吸収微粒子となる。一方、当該z/yの値が2.999以下であれば、必要とされる量の自由電子が生成され効率よい赤外線吸収微粒子となる。
(2)複合タングステン酸化物微粒子
上述した当該複合タングステン酸化物(WO)へ、後述する元素Mを添加したものが複合タングステン酸化物である。そして、当該WOに対し酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用することで、より効率の良い赤外線吸収微粒子を得ることが出来る。当該構成をとることで、複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、特に近赤外線領域に自由電子由来の強い吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収微粒子として有効となる。
この酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用した赤外線吸収微粒子の一般式をMxWyOz(但し、Mは、前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素)と記載したとき、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3の関係を満たす赤外線吸収微粒子が望ましい。
ここで、上記複合タングステン酸化物における元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上であることが好ましい。
さらに、元素Mを添加された当該MxWyOzにおける安定性の観点から、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましい。そして、赤外線吸収微粒子としての光学特性、耐湿熱性を向上させる観点から、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素に属するものであることがさらに好ましい。
元素Mの添加量を示すx/yの値については、x/yの値が0.001より大きければ、複合タングステン酸化物において十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線吸収特性を得ることが出来る。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線吸収効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線吸収微粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
また、酸素量の制御を示すz/yの値については、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物においても、上述したWyOzで表記されるタングステン酸化物と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0や2.0≦z/y≦2.2においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給がある。この為、2.0≦z/y≦3.0が好ましく、より好ましくは2.2≦z/y≦3.0、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、赤外領域の吸収が向上する。この六方晶の結晶構造の模式的な平面図である図1を参照しながら説明する。
図1において、符号11で示すWO単位にて形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に、符号12で示す元素Mが配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
そして、可視光領域における光の透過を向上させ、赤外領域における光の吸収を向上させる効果を得る為には、複合タングステン酸化物微粒子中に、図1を用いて説明した単位構造が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が結晶質であっても非晶質であっても構わない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、上述した元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域における光の透過が向上し、赤外領域における光の吸収が向上する。ここで一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され易い。具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの中から選択される1種類以上の元素、より好ましくはCs、K、Rb、Tl、In、Baの中から選択される1種類以上の元素を添加したとき六方晶が形成され易い。典型的な例としてはCs0.33WO、Cs0.03Rb0.30WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WO(2.0≦z≦3.0)などを、好ましく挙げることができる。勿論これら以外の元素でも、WO単位で形成される六角形の空隙に上述した元素Mが存在すれば良く、上述の元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、上述した元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外であって、正方晶、立方晶の複合タングステン酸化物も赤外線吸収微粒子として有効である。結晶構造によって、赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶、正方晶、立方晶の順である。従って、より可視光領域の光を透過し、より赤外線領域の光を吸収する用途には、六方晶の複合タングステン酸化物を用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
(3)赤外線吸収微粒子の性状と特性
赤外線吸収微粒子は、上述したタングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン酸化物微粒子を含有するものであることが好ましい。そしてこの場合、本発明に係る赤外線吸収微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収する為、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。
そして、優れた赤外線吸収特性を発揮させる観点から、赤外線吸収微粒子の結晶子径は1nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上70nm以下である。結晶子径の測定には、粉末X線回折法(θ―2θ法)によるX線回折パターンの測定と、リートベルト法による解析を用いる。X線回折パターンの測定には、例えばスペクトリス株式会社PANalytical製の粉末X線回折装置「X’Pert−PRO/MPD」などを用いて行うことができる。
一方、赤外線吸収微粒子の分散粒子径は、その使用目的によって各々選定することが出来る。そして、分散粒子径は、赤外線吸収微粒子の結晶子径とは異なり凝集体の粒径も含む概念である。
赤外線吸収微粒子を、透明性を保持したい応用に使用する場合は、800nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。これは、分散粒子径が800nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。
この粒子による散乱の低減を重視するとき、分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。この理由は、粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱による、波長400nm〜780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、赤外線吸収膜が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できる。即ち、分散粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱もしくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例している為、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。
さらに分散粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましく、分散粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
上記分散粒子径を800nm以下とすることにより、赤外線吸収微粒子を媒質中に分散させた赤外線吸収微粒子分散体のヘイズ値は、可視光透過率85%以下でヘイズ30%以下とすることができる。ヘイズが30%よりも大きい値であると、曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない。
尚、赤外線吸収微粒子の分散粒子径は、動的光散乱法を原理とした大塚電子株式会社製ELS−8000等を用いて測定することができる。
また、赤外線吸収微粒子の分散粒子径は、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径とは異なる。具体的には、赤外線吸収微粒子の分散粒子径は表面処理(表面被覆)前の状態で測定したものであり、表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径は表面処理後の状態で測定したものである。
また、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子において、2.45≦z/y≦2.999で表される組成比を有する、所謂「マグネリ相」は化学的に安定であり、赤外線領域の吸収特性も良いので、赤外線吸収微粒子として好ましい。
[2]赤外線吸収微粒子の表面処理剤
赤外線吸収微粒子の表面被覆に用いる表面処理剤は、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上である。
そして、当該金属キレート化合物、金属環状オリゴマー化合物は、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレートであることが好ましい観点から、エーテル結合、エステル結合、アルコキシ基、アセチル基から選択される1種以上を有することが好ましい。
ここで、表面処理剤について、(1)金属キレート化合物、(2)金属環状オリゴマー化合物、(3)金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、および、それらの重合物、(4)表面処理剤の添加量、の順で説明する。
(1)金属キレート化合物
本発明に用いる金属キレート化合物は、アルコキシ基を含有するAl系、Zr系、Ti系、Si系、Ti系のキレート化合物から選ばれる1種以上であることが好ましい。
アルミニウム系のキレート化合物としては、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウムアルコレートまたはこれら重合物、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、オクチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロプレート、ステアリルアセトアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等、を例示することが出来る。
これらの化合物は、アルミニウムアルコレートを非プロトン性溶媒や、石油系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤等に溶解し、この溶液に、β−ジケトン、β−ケトエステル、一価または多価アルコール、脂肪酸等を加えて、加熱還流し、リガンドの置換反応により得られた、アルコキシ基含有のアルミニウムキレート化合物である。
ジルコニウム系のキレート化合物としては、ジルコニウムエチレート、ジルコニウムブチレートなどのジルコニウムアルコレートまたはこれら重合物、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等、を例示することが出来る。
チタン系のキレート化合物としては、メチルチタネート、エチルチタネート、イソプロピルチタネート、ブチルチタネート、2−エチルヘキシルチタネートなどのチタンアルコレートやこれら重合物、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート等、を例示することが出来る。
シリコン系のキレート化合物としては、一般式:Si(OR)(但し、Rは同一または異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基)で示される4官能性シラン化合物またはその部分加水分解生成物を用いることが出来る。4官能性シラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。さらに、これらアルコキシシランモノマーのアルコキシ基の一部あるいは全量が加水分解し、シラノール(Si−OH)基となったシランモノマー(あるいはオリゴマー)、および、加水分解反応を経て自己縮合した重合体の適用も可能である。
また、4官能性シラン化合物の部分加水分解生成物(4官能性シラン化合物の中間体全体を指示する適宜な術語が存在しない。)としては、アルコキシ基の一部あるいは全量が加水分解して、シラノール(Si−OH)基となったシランモノマー、4〜5量体のオリゴマー、および、重量平均分子量(Mw)が800〜8000程度の重合体(シリコーンレジン)が挙げられる。なお、アルコキシシランモノマー中のアルコキシシリル基(Si-OR)は、加水分解反応の過程において、その全てが加水分解してシラノール(Si−OH)になるわけではない。
亜鉛系のキレート化合物としては、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛などの有機カルボン酸亜鉛塩、アセチルアセトン亜鉛キレート、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレート等、を例示することが出来る。
(2)金属環状オリゴマー化合物
金属環状オリゴマー化合物としては、Al系、Zr系、Ti系、Si系、Zn系の環状オリゴマー化合物から選ばれる1種以上であることが好ましい。中でも、環状アルミニウムオキサイドオクチレート等、の環状アルミニウムオリゴマー化合物を好ましく例示することができる。
(3)金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、および、それらの重合物
本発明では、上述した金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物における、アルコキシ基、エーテル結合、エステル結合の一部あるいは全量が加水分解し、ヒドロキシル基やカルボキシル基となった加水分解生成物、または/および、当該加水分解反応を経て自己縮合した重合物を、赤外線吸収微粒子の表面に被覆して被覆膜とし、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子を得るものである。
但し、例えば、アルコール等の有機溶媒が介在するような反応系においては、一般的に化学量論組成上、必要十分な水が系内に存在していたとしても、当該有機溶媒の種類や濃度により、出発物質となる金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物のアルコキシ基やエーテル結合やエステル結合の全てが加水分解するわけではない。従って、後述する表面処理方法の条件によっては、加水分解後であってもその加水分解性生物の分子内に炭素Cを取り込んだアモルファス状態になることがある。
その結果、被覆膜には、未分解の金属キレート化合物または/および金属環状オリゴマー化合物が含有される場合がある。
即ち、赤外線吸収微粒子の表面を被覆する被覆膜は、上述した金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物における、アルコキシ基、エーテル結合、エステル結合の一部あるいは全量が加水分解し、ヒドロキシル基やカルボキシル基となった加水分解生成物が、当該加水分解反応を経て自己縮合した重合物であることが好ましい。
(4)表面処理剤の添加量
上述した金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物の添加量は、赤外線吸収微粒子100重量部に対して、金属元素換算で0.05重量部以上、1000重量部以下であることが好適である。より好ましくは5重量部以上500重量部以下、最も好ましくは50重量部以上250重量部以下の範囲である。
これは、金属キレート化合物または金属環状オリゴマー化合物が0.05重量部以上あれば、それらの化合物の加水分解生成物や、当該加水分解生成物の重合物が、赤外線吸収微粒子の表面を被覆する効果が発揮され耐湿熱性向上の効果が得られるからである。
また、金属キレート化合物または金属環状オリゴマー化合物が1000重量部以下であれば、赤外線吸収微粒子に対する吸着量が過剰になることを回避出来る。また、表面被覆による耐湿熱性の向上効果が飽和せず、被覆効果の向上が望めるからである。
さらに、金属キレート化合物または金属環状オリゴマー化合物が1000重量部以下であることで、赤外線吸収微粒子に対する吸着量が過剰になり、媒質除去時に当該金属キレート化合物または金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物や、当該加水分解生成物の重合物を介して微粒子同士が造粒し易くなることを回避出来るからである。当該微粒子同士による望まれない造粒の回避によって、良好な透明性を担保することが出来る。
加えて、金属キレート化合物または金属環状オリゴマー化合物の過剰による、添加量および処理時間の増加による生産コスト増加も回避出来る。よって工業的な観点からも金属キレート化合物や金属環状オリゴマー化合物の添加量は、1000重量部以下とすることが好ましい。
[3]赤外線吸収微粒子の表面処理方法
赤外線吸収微粒子の表面処理方法(表面被覆方法)においては複数の処理方法があるが、(A)被覆膜形成用の水分散液へ表面処理剤を添加する処理方法、(B)水溶性の有機溶剤分散液中へ表面処理剤と水とを添加する処理方法、の2方法について説明する。
(A)被覆膜形成用の水分散液へ表面処理剤を添加する処理方法
被覆膜形成用の水分散液へ表面処理剤を添加する処理方法においては、まず赤外線吸収微粒子を、溶媒である水に分散させた被覆膜形成用の赤外線吸収微粒子水分散液(本発明において「被覆膜形成用水分散液」と記載する場合がある。)を調製する。そして、調製された被覆膜形成用水分散液中へ表面処理剤を添加して混合攪拌を行う。すると、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆されるものである。
ここで、被覆膜形成用の水分散液へ表面処理剤を添加する処理方法について、(1)被覆膜形成用水分散液の調製、(2)被覆膜形成用水分散液を用いた赤外線吸収微粒子の表面処理方法、(3)被覆膜形成用水分散液における混合攪拌後の処理、の順で説明する。
(1)被覆膜形成用水分散液の調製
赤外線吸収微粒子の表面へ被覆を施し、表面処理赤外線吸収微粒子を製造するには、まず、赤外線吸収微粒子を水中に分散させて適宜な範囲の濃度、且つ、適宜な範囲のpHを有する被覆膜形成用水分散液を調製する。
そして、当該濃度、pHの被覆膜形成用水分散液を混合攪拌しながら、ここへ表面処理剤(「[2]赤外線吸収微粒子の表面処理剤」欄を参照)を添加する。すると、微粒子同士の静電反発作用によって赤外線吸収微粒子の分散性が保たれたまま、当該微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆されるものである。
濃度、pHの被覆膜形成用水分散液の調製においては、赤外線吸収微粒子である、例えばタングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物を予め細かく粉砕して、水中に分散させ、単分散の状態にしておくことが好ましい。
このとき、タングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物の分散させる濃度の範囲としては、0.01質量%以上80質量%以下であることが好ましい。この濃度範囲であれば、分散液の液安定性は優れる。また、適切な液状媒体や、分散剤、カップリング剤、界面活性剤を選択した場合は、温度40℃の恒温槽に入れたときでも6ヶ月以上分散液のゲル化や粒子の沈降が発生せず、分散粒子径を1〜800nmの範囲に維持出来る。
さらには前記濃度の範囲は、3質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。これは、被覆膜形成用水分散液のpHを8以下とすることができ、後に表面処理剤を添加したとき、微粒子同士の静電反発作用によって赤外線吸収微粒子の分散性が保たれるようになるからである。ただし、濃度の範囲が、0.01質量%以上3質量%未満であっても、「[5]表面処理赤外線吸収微粒子分散液(ii)その他の製造方法」欄にて説明する溶媒置換処理や乾燥処理を施すことで、分散性が良好な表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得ることが可能である。
そして、この粉砕、分散処理工程中において分散状態を担保し、微粒子同士を凝集させないことが肝要である。これは、次工程である赤外線吸収微粒子の表面処理の過程において、当該赤外線吸収微粒子が凝集を起こして凝集体の状態で表面被覆され、ひいては、後述する赤外線吸収微粒子分散体中においても当該凝集体が残存し、後述する赤外線吸収微粒子分散体や赤外線吸収基材の透明性が低下する事態を回避する為である。
当該粉砕・分散処理の具体的方法としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を用いた粉砕・分散処理方法が挙げられる。その中でも、ビーズ、ボール、オタワサンドといった媒体メディアを用いた、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルで粉砕、分散処理を行うことは、所望の分散粒子径に到達することに要する時間が短いことから好ましい。
被覆膜形成用水分散液のpHの範囲は、8以下とすることが好ましい。表面処理赤外線吸収微粒子同士の静電反発作用によって赤外線吸収微粒子の分散性が保たれるからである。
ここで、被覆膜形成用水分散液へ表面処理剤を添加すると、被覆膜形成用水分散液のpHが若干アルカリ側に振れる。その結果、被覆膜形成用水分散液のpHが8を超えると表面処理赤外線吸収微粒子が凝集し、分散安定性が担保されない。一方、タングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物は、水中で若干溶解するので、表面処理剤添加前の被覆膜形成用水分散液中ではpHが酸側に振れている。また、アルカリ液中では特に溶解しやすく、溶解するほどpHは酸側に触れる。この作用から、タングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物が溶解する限り、表面処理剤を添加してもpH8以下を維持することが出来る。その結果、表面処理剤添加前のタングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物の濃度範囲が3質量%以上であれば、それらの溶解可能量が多くなるので、表面処理剤の添加後もpH8以下が維持される。そして、微粒子同士の静電反発作用によって赤外線吸収微粒子の分散性が保たれる。
一方、表面処理剤添加前のタングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物の濃度範囲が80質量%以下であれば、粒子間相互作用による凝集は起こらず、静電反発作用によって赤外線吸収微粒子の分散性が保たれる。
以上のような理由で、表面処理剤添加前のタングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物の濃度範囲は3質量%以上80質量%以下であることが好ましいのである。
(2)被覆膜形成用水分散液を用いた赤外線吸収微粒子の表面処理方法
本発明者らは、被覆膜形成用水分散液を攪拌混合しながら、ここへ、表面処理剤を添加し、さらに、添加された金属キレート化合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解反応を即座に完了させるのが好ましいことを知見した。
尚、赤外線吸収微粒子を均一に表面被覆する観点から、表面処理剤は滴下添加することが好ましい。
これは、添加した表面処理剤の反応順序が影響していると考えられる。即ち、被覆膜形成用水分散液中においては、表面処理剤の加水分解反応が必ず先立ち、その後に、生成した加水分解生成物の重合反応が起こる。この結果、水を媒質としない被覆膜形成用水分散液を使用する場合に比較して、被覆膜中に存在する表面処理剤分子内の炭素C残存量を低減することが出来るからであると考えられる。当該被覆膜中に存在する表面処理剤分子内の炭素C残存量を低減することで、個々の赤外線吸収微粒子の表面を高密度に被覆する被覆膜を形成することが出来たと考えている。
調製された被覆膜形成用水分散液を混合攪拌しながら表面処理剤を添加する際、赤外線吸収微粒子を均一に被覆する為に、被覆膜形成用水分散液を水、または水を含む適宜な有機溶媒により適宜な濃度まで希釈することも望ましい構成である。赤外線吸収微粒子であるタングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物の分散濃度が3質量%以上30質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下となるまで希釈すれば、赤外線吸収微粒子の全てが均一に表面被覆され、且つ、分散液のpHを8以下とすることができ、微粒子同士の静電反発作用によって赤外線吸収微粒子の分散性が保たれるからである。
この表面処理剤の滴下添加の際、赤外線吸収微粒子を均一に被覆する為に、表面処理剤自体を適宜な溶剤で希釈したものを滴下添加して当該表面処理剤の時間当たりの添加量を調整することも好ましい。希釈に用いる溶剤としては、当該表面処理剤と反応せず、被覆膜形成用水分散液の媒質である水とも相溶性の高いものが好ましい。具体的にはアルコール系、ケトン系、グリコール系等の溶剤が好ましく使用出来る。
表面処理剤の希釈倍率は特に限定されるものではない。尤も、生産性を担保する観点から、希釈倍率は100倍以下とするのが好ましい。
尚、上述した被覆膜形成用水分散液中において、金属キレート化合物、金属環状オリゴマー化合物、これらの加水分解生成物、当該加水分解生成物の重合物は、添加直後に金属イオンにまで分解されるが、飽和水溶液となったところで、当該金属イオン迄の分解は終了する。即ち、金属イオン迄の分解が終了した後、添加した表面処理剤は加水分解生成物やその重合物となり、赤外線吸収微粒子の表面を被覆する被覆膜となる。
一方、当該水を媒質とする被覆膜形成用水分散液中において、赤外線吸収微粒子は静電反発によって分散を保っている。
その結果、全ての赤外線吸収微粒子の表面は、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆され、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子が生成すると考えられる。
(3)被覆膜形成用水分散液における混合攪拌後の処理
上述した表面処理方法で得られた本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子は、赤外線吸収微粒子分散体や赤外線吸収基材の原料として、微粒子状態、液体媒質または固体媒質に分散された状態で用いることが出来る。
ここで、生成した表面処理赤外線吸収微粒子は、さらに加熱処理を施して被覆膜の密度や化学的安定性を高めるといった操作は必要ない。当該加熱処理をせずとも既に所望の耐湿熱性を得られる程、当該被覆膜の密度や密着性は十分に高まっているからである。
(B)水溶性の有機溶剤分散液中へ表面処理剤と水とを添加する処理方法
水溶性の有機溶剤分散液中へ表面処理剤と水とを添加する処理方法においては、まず、水溶性の有機溶媒中に赤外線吸収微粒子を分散させて分散液を調製する。そして当該調製された分散液へ、表面処理剤と水とを並行添加しながら混合攪拌を行うものである。この結果、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆されるものである。
当該処理方法においては、並行添加する表面処理剤と水のそれぞれの添加速度が肝要である。上述の通り、表面処理剤は添加直後に加水分解反応することが望ましいので、表面処理剤が添加されるときには当該加水分解反応が完了するのに十分な水を添加しなければならない。一方、先に水を過剰に添加すると赤外線吸収微粒子によっては凝集や赤外線吸収特性の低下が生じることがある。例えば、赤外線吸収微粒子が立方晶ナトリウムタングステンブロンズである場合、水と反応して赤外線吸収特性の低下を生じる。よって、赤外線吸収微粒子に悪影響を与えない程度に少量の水を添加していき、添加された水が順次表面処理剤と反応して消費されるようにすることが肝要である。尚、表面処理剤と水の添加速度調整が肝要となるので、両方とも滴下添加する、即ち並行滴下することが好ましい。
尤も、水の過剰添加が、赤外線吸収微粒子等に悪影響を与えない場合においては、水を先行して添加しておき、表面処理剤を後に添加しても構わない。
以上、(A)被覆膜形成用の水分散液へ表面処理剤を添加する処理方法、(B)水溶性の有機溶剤分散液中へ表面処理剤と水とを添加する処理方法、の2方法を挙げて説明したように、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子は、混合攪拌後の処理の後に加熱処理を必要としないので凝集を起こさず、従って当該凝集を解砕する為の分散処理が不要または短時間で済む。この結果、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子の被覆膜は、個々の赤外線吸収微粒子を傷付けることなく、均一、且つ、強固に被覆している。そして、当該表面処理赤外線吸収微粒子を用いて製造される赤外線吸収微粒子分散体や赤外線吸収基材は、従来の方法で得られるものよりも、優れた耐湿熱性を示すと考えられる。
[4]分散溶媒
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液の分散溶媒は水を含む溶媒であり、さらには、実質的に水からなる溶媒である。
即ち、分散溶媒には、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造工程に起因する微量の有機溶媒が含有されている場合、および、所望により水溶性有機物を1種類以上含んでいる場合がある。当該有機溶媒や水溶性有機物は、アルコール類、グリコール類、水溶性樹脂、等であるが、それらは人体に対する毒性の低いものであることが好ましい。
[5]表面処理赤外線吸収微粒子分散液
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子が分散溶媒である水中に分散しているものである。
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液について、(1)表面処理赤外線吸収微粒子分散液、(2)表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法、の順に説明する。
(1)表面処理赤外線吸収微粒子分散液
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液のpH値は4以上10以下であることが好ましい。また、表面処理赤外線吸収微粒子の濃度が0.01質量%以上80質量%以下であることが好ましい。濃度がこの範囲にあれば、表面処理赤外線吸収微粒子が水中で分散性を保つことができる。
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、表面処理赤外線吸収微粒子の分散性を向上させ、再凝集による分散粒子径の粗大化を回避する為、さらに分散剤を含んでも良い。また、pH調整をする際にも添加剤を使用することができる。
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液へ分散剤や添加剤を添加する場合は、水溶性の分散剤が良い。さらには酸性の官能基を有し、酸価が10mg/KOH以上であるものが好ましい。そして、アンモニウム塩またはアクリル系の高分子分散剤を好ましく使用出来る。
市販の分散剤における好ましい具体例としては、ルーブリゾール社製SOLSPERSE(登録商標)(以下同じ)20000、27000、40000、41000、41090、43000、44000、46000、47000、53095、54000、64000、65000、66000等;ビックケミー・ジャパン社製DISPERBYK(登録商標)(以下同じ)−102、180、184、185、187、190、191、192、193、194N、2010、2012、2015、2060、2096、Anti−Terra(登録商標)−250等;BASFジャパン社製JONCRYL(登録商標)(以下同じ)67、678、586、611、682、683、690等;を挙げることが出来る。
さらに、分散安定性向上のため、分散剤として2種類以上を組み合わせて用いることも出来る。例えば、2種類の分散剤を用いるとき、1つの種類として酸性の官能基を有する分散剤を用い、他の種類として酸性および塩基性の官能基を有さないノニオン性の分散剤を用いることで、優れた分散安定性を発揮する場合がある。勿論、分散剤として、全て酸性の官能基を有する分散剤を用いる場合であっても、優れた分散安定性を発揮する場合がある。
(2)表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子を分散溶媒である水に分散することにより得られる。しかし、赤外線吸収微粒子への表面処理直後に得られる表面処理赤外線吸収微粒子分散液には、表面処理剤の加水分解反応により生成されたアルコール等の有機溶媒を含んでいる場合や、使用する表面処理剤の種類によっては水以上の沸点を有する有機溶媒を含んでいる場合がある。
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液の用途によっては、有機溶媒の含有量を出来るだけ低減するのが好ましい場合がある。そこで、そのような場合には溶媒置換処理、洗浄処理、乾燥処理等の適宜な方法により有機溶剤の含有量を低減することが出来る。
以下、表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法について、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子における表面処理後に、そのまま表面処理赤外線吸収微粒子分散液を製造する(i)直接に分散液とする製造方法と、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子における表面処理後に有機溶剤を除去する工程を有する(ii)その他の製造方法、の順に説明する。
(i)直接に分散液とする製造方法
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、「[3]赤外線吸収微粒子の表面処理方法(A)被覆膜形成用の水分散液へ表面処理剤を添加する処理方法(2)被覆膜形成用水分散液を用いた赤外線吸収微粒子の表面処理方法」欄にて説明した方法を採った場合、表面処理赤外線吸収微粒子と水とを含む分散液を得られるので、これをそのまま本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液として用いることが出来る。このとき、有機溶剤の含有量を低減するため、表面処理剤由来の有機成分は出来るだけ少ない方が望ましい。よって、表面処理剤としては低分子のものを用い、表面処理剤は有機溶剤で希釈せずに用いることが好ましい。例えば、
この場合、当該表面処理赤外線吸収微粒子分散液へ必要に応じて分散剤や添加剤を添加し、表面処理赤外線吸収微粒子の分散性を向上させ、安定させることができる。
表面処理赤外線吸収微粒子を分散処理する為の具体的方法としては、上述した粉砕・分散処理方法と同様の方法が挙げられ、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を用いた方法が挙げられる。
当該分散処理の際、表面処理赤外線吸収微粒子の表面にある被覆膜が傷付いたり、被覆膜が剥離したりしないよう、再分散条件を検討することが好ましい。例えば、分散処理にかける時間は、極めて短時間とすることが好ましい。
(ii)その他の製造方法
上述の通り、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、その製造方法により本発明に係る赤外線吸収微粒子の表面処理直後の分散液中に有機溶媒が含有されることがある。
例えば、「[3]赤外線吸収微粒子の表面処理方法(B)水溶性の有機溶剤分散液中へ表面処理剤と水とを添加する処理方法」欄にて説明した方法を採った場合、表面処理剤として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを用いた場合、等が挙げられる。
特に、表面処理剤として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを用いた場合は、加水分解反応によって沸点181℃のアセト酢酸エチルが残存することとなり、表面処理直後の分散液中に含有されている。これらの溶媒は水の沸点以上の沸点を有するので、加熱処理によって水を残したまま当該溶媒のみを蒸発させて除去することは極めて困難である。
このような場合に、赤外線吸収微粒子の表面処理直後の分散液から有機溶剤を除去し、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を製造する方法について〈1〉溶媒置換処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法、〈2〉洗浄処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法、〈3〉乾燥処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法、の順に説明する。
〈1〉溶媒置換処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を溶媒置換処理によって製造するには、まず、表面処理直後の表面処理赤外線吸収微粒子分散液を固液分離する。当該固液分離を行う為には、表面処理前の被覆膜形成用水分散液中における赤外線吸収微粒子の分散濃度を3質量%未満とするか、または、表面処理直後の表面処理赤外線吸収微粒子分散液中へpH調整剤を添加してpH値を9以上にすればよい。
そして、固液分離させた分散液から、純水を用いたデカンテーションによる上澄み液の除去と、純水およびpH調整剤の添加による固液分離操作(溶媒置換処理)とを繰り返すことにより、有機溶媒の含有量を低減出来る。デカンテーションと純水添加との回数を増やすほど有機溶媒の含有量を限りなく低減出来るが、3回以上繰り返すことで実用的な含有量まで低減させることが出来る。
〈2〉溶媒置換処理や洗浄処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法
「〈1〉溶媒置換処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法」欄にて説明した固液分離させた分散液を濾過処理することによって、表面処理赤外線吸収微粒子のスラリーを抽出する。抽出された当該スラリーへ、フィルタープレス等による脱水処理と純水添加による洗浄処理とを繰り返すことでも、有機溶媒の含有量を低減出来る。脱水処理と純水添加の回数を増やすほど有機溶媒の含有量を限りなく低減出来るが、3回以上繰り返すことで実用的な残存量まで低減出来る。
〈3〉乾燥処理による表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法
表面処理直後の表面処理赤外線吸収微粒子分散液へ、当該表面処理赤外線吸収微粒子が強い凝集を起こさない条件で乾燥処理を施し、表面処理赤外線吸収微粒子粉末を得る。そして、当該表面処理赤外線吸収微粒子粉末を純水中に添加して適宜な方法で分散させれば、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得ることが出来る。
乾燥処理においては、水以上の沸点を有する有機溶媒も蒸発させる必要がある場合もある。その場合は、水の沸点(1気圧では100℃)よりも高い温度で表面処理赤外線吸収微粒子分散液を乾燥させることとなる。このようなときは、より低温で全ての溶媒を除去できる観点から、乾燥処理の雰囲気は減圧雰囲気とすることが好ましい。さらに、赤外線吸収微粒子(例えば、タングステン酸化物または/および複合タングステン酸化物)を酸化劣化させない観点から、乾燥処理の雰囲気は減圧の不活性ガス雰囲気または真空雰囲気とすることが好ましい。
一方、乾燥処理の温度は、表面処理赤外線吸収微粒子が凝集して強凝集体を形成する温度を超えないように留意することが肝要である。これは、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散体を用いて製造される赤外線吸収微粒子分散体や赤外線吸収基材において、多くの場合は透明性が求められる為である。
表面処理赤外線吸収微粒子が、一旦、強凝集体を形成すると、その再分散は極めて困難となる。そして、表面処理赤外線吸収微粒子の凝集体を用いて、赤外線吸収微粒子分散体や赤外線吸収基材を作製すると、曇り度(ヘイズ)の高いものが得られてしまう場合がある。
そこで、当該事態を回避する為には、表面処理赤外線吸収微粒子が強凝集体を形成する温度を超えないように乾燥処理し、得られた表面処理赤外線吸収微粒子粉末を乾式または/および湿式で解砕した後、純水中に再分散させることが好ましい。解砕・再分散処理の具体的方法としては、上述した粉砕・分散処理方法と同様の方法が挙げられ、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を用いた方法が挙げられる。このとき、表面処理赤外線吸収微粒子の表面にある被覆膜が傷付いたり、被覆膜が剥離したりしないよう、再分散条件を検討する必要がある。例えば、解砕・再分散処理にかける時間を極めて短時間とすることが望ましい。
(3)表面処理赤外線吸収微粒子分散液の使用方法
上述のようにして製造された本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、適宜な基材の表面に塗布し、硬化させて赤外線吸収基材として利用することが出来る。また、赤外線吸収微粒子は赤外線を吸収して熱に変換する機能を有している為、形成した硬化膜は光熱変換層として利用することも出来る。このとき、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液には有機溶媒成分が殆ど含まれないので、工程の作業者の健康を害さず塗布処理を行うことが出来る。
また、当該表面処理赤外線吸収微粒子分散液に分散剤が含有されている場合、これを乾燥し、粉砕処理して、粉末状の表面処理赤外線吸収微粒子分散体(本発明において「表面処理赤外線吸収微粒子分散粉」と記載する場合がある。)とし、赤外線吸収製品や光熱変換製品へ添加する原料として用いることも出来る。即ち、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子が、固体媒質中に分散された粉末状の分散体である表面処理赤外線吸収微粒子分散粉を得、当該表面処理赤外線吸収微粒子分散粉を、再度、液体媒質中に分散させ、赤外線吸収製品用の分散液として使用しても良いし、後述するように樹脂中に練り込んで使用しても良い。このとき、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液には有機溶媒成分が殆ど含まれないので、工程の作業者の健康を害さず乾燥処理を行うことが出来る。また、乾燥処理によって得られる表面処理赤外線吸収微粒子分散粉中にも残留溶媒として有機成分は殆ど含まれないので、工程の作業者の健康を害さず粉砕処理、分散処理、樹脂練り込み処理を行うことが出来る。
(4)表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径
上述のようにして製造された本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液中の表面処理赤外線吸収微粒子は、その利用方法から分散していることが望ましい。表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径で言えば、20nm以上400nm以下であることが望ましい。
(5)表面処理赤外線吸収微粒子分散液の耐湿熱性
本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を、例えば85℃大気雰囲気中に24時間暴露したとき、当該暴露前後における日射透過率の変化量は4.0%以下を満足する。このことから、本発明に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液は、高湿および高熱環境に曝されても優れた赤外線吸収特性を維持するものであることが判明した。
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における分散液中の微粒子の分散粒子径は、動的光散乱法に基づく粒径測定装置(大塚電子株式会社製ELS−8000)により測定した平均値をもって示した。また、結晶子径は、粉末X線回折装置(スペクトリス株式会社PANalytical製X’Pert−PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)により測定し、リートベルト法を用いて算出した。
表面処理赤外線吸収微粒子分散液の光学特性は、分光光度計の測定用ガラスセルにて可視光透過率が80%となるように純水で希釈した後、分光光度計(日立製作所株式会社製 U−4100)を用いて波長200nm〜2600nmの範囲において5nmの間隔で測定し、可視光透過率と日射透過率はJISR3106に従って算出した。
また、表面処理赤外線吸収微粒子分散液の耐湿熱性の評価方法は、表面処理赤外線吸収微粒子分散液を85℃の大気雰囲気中に24時間暴露する。
そして、例えば、赤外線吸収微粒子として六方晶セシウムタングステンブロンズ微粒子を用いた場合は、当該暴露前後における日射透過率の変化量が4.0%以下のものを耐湿熱性が良好と判断し、変化量が4.0%を超えるものは耐湿熱性が不足と判断した。立方晶ナトリウムタングステンブロンズ微粒子を用いた場合は、当該暴露前後における日射透過率の変化量が6.0%以下のものを耐湿熱性が良好と判断し、変化量が6.0%を超えるものは耐湿熱性が不足と判断した。
[実施例1]
Cs/W(モル比)=0.33の六方晶セシウムタングステンブロンズ(Cs0.33WO、2.2≦z≦3.0)粉末(住友金属鉱山株式会社製YM−01)25質量%と純水75質量%とを混合して得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し10時間粉砕・分散処理し、実施例1に係るCs0.33WO微粒子の分散液を得た。得られた分散液中のCs0.33WO微粒子の分散粒子径を測定したところ、100nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは純水を用いて測定し、溶媒屈折率は1.33とした。そして、得られた分散液から溶媒を除去した後に得られたCs0.33WO微粒子の結晶子径を測定したところ32nmであった。
得られたCs0.33WO微粒子の分散液と純水とを混合し、Cs0.33WO微粒子の濃度が2質量%である実施例1に係る被覆膜形成用水分散液Aを得た。
一方、アルミニウム系のキレート化合物としてアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート2.5質量%と、イソプロピルアルコール(IPA)97.5質量%とを混合して表面処理剤希釈液aを得た。
得られた被覆膜形成用水分散液A890gをビーカーに入れ、羽根の付いた攪拌機によって強く攪拌しながら、ここへ表面処理剤希釈液a360gを3時間かけて滴下添加した。当該表面処理剤希釈液aの滴下添加後、さらに温度20℃で24時間の攪拌を行い、実施例1に係る熟成液を作製した。次いで、真空流動乾燥を用いて、温度120℃で24時間の乾燥処理を行い、当該熟成液から媒質を蒸発させて実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子を含む粉末(表面処理赤外線吸収微粒子粉末)を得た。
実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子粉末10質量%と純水90質量%とを混合した。得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、1時間解砕処理し、実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得た。
得られた実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液の分散粒子径を測定したところ、180nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは純水を用いて測定し、溶媒屈折率は1.33とした。
また、実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液の光学特性を測定したところ、可視光透過率が79.6%、日射透過率が56.6%であった。
得られた実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を85℃の大気雰囲気中に24時間暴露後、光学特性を測定したところ、可視光透過率が80.2%、日射透過率が58.5%であった。
そして、85℃の大気雰囲気暴露前後による可視光透過率の変化量は0.6%、日射透過率の変化量は1.9%とどちらも小さいことが分かった。
[実施例2、3]
表面処理剤希釈液aの量とその滴下添加時間とを変更したこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例2および3に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得て、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果とを表1〜3に示す。
[実施例4]
実施例1に係る熟成液を、1時間静置させ、表面処理赤外線吸収微粒子と媒質とを固液分離させた。次いで、純水を用いたデカンテーションにより上澄みである媒質のみを除去して赤外線吸収微粒子スラリーを得た。得られた赤外線吸収微粒子スラリーに純水を添加し、さらにpH調整剤として炭酸セシウムを全体の0.5質量%添加し、1時間攪拌させた後、1時間静置させ、再び表面処理赤外線吸収微粒子と媒質とを固液分離させた。
このデカンテーションと純水添加とを、さらに2回繰り返し(合計3回のデカンテーションおよび純水添加を実施)、実施例4に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得た。
実施例4に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液について、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例5]
実施例1に係るCs0.33WO微粒子の分散液と純水を混合し、Cs0.33WO微粒子の濃度が6質量%である実施例5に係る被覆膜形成用水分散液A−6を得た。
得られた被覆膜形成用水分散液A−6、890gをビーカーに入れ、羽根の付いた攪拌機によって強く攪拌しながら、ここへ表面処理剤としてアルミニウム系のキレート化合物であるアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート133.5gを1時間かけて滴下添加した。当該表面処理剤の滴下添加後、さらに温度20℃で24時間の攪拌を行い、実施例5に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。
実施例5に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液について、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例6]
ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート2.4質量%とイソプロピルアルコール97.6質量%とを混合して実施例6に係る表面処理剤希釈液bを得た。表面処理剤希釈液aの代わりに表面処理剤希釈液bを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例6に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。
実施例6に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液について、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例7]
ジイソプロポキシチタンビスエチルアセトアセテート2.6質量%とイソプロピルアルコール97.4質量%とを混合して実施例7に係る表面処理剤希釈液cを得た。表面処理剤希釈液aの代わりに表面処理剤希釈液cを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例7に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。
実施例7に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液について、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例8]
Na/W(モル比)=0.33の立方晶ナトリウムタングステンブロンズ粉末(住友金属鉱山株式会社製)25質量%とイソプロピルアルコール75質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填して10時間粉砕・分散処理し、実施例8に係るNa0.33WO微粒子の分散液を得た。得られた分散液中のNa0.33WO微粒子の分散粒子径を測定したところ、100nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドはイソプロピルアルコールを用いて測定し、溶媒屈折率は1.38とした。また、得られた分散液の溶媒を除去したあと、結晶子径を測定したところ32nmであった。
実施例8に係るNa0.33WO微粒子の分散液とイソプロピルアルコールとを混合し、赤外線吸収微粒子(立方晶ナトリウムタングステンブロンズ微粒子)の濃度が2%である被覆膜形成用水分散液Bを得た。得られた被覆膜形成用水分散液B520gをビーカーに入れ、羽根の付いた攪拌機によって強く攪拌しながら、表面処理剤希釈液a360gと、希釈剤dとして純水100gとを、3時間かけて並行滴下添加した。滴下添加後、温度20℃で24時間の攪拌を行い、実施例8に係る熟成液を作製した。次いで、この熟成液から温度120℃で24時間の真空流動乾燥により媒質を蒸発させ、実施例8に係る表面処理赤外線吸収微粒子粉末を得た。
実施例1に係る表面処理赤外線吸収微粒子粉末の代わりに実施例8に係る表面処理赤外線吸収微粒子粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例8に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。
実施例8に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液について、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例9〜11]
六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末の代わりに、K/W(モル比)=0.33の六方晶カリウムタングステンブロンズ粉末(実施例9)や、Rb/W(モル比)=0.33の六方晶ルビジウムタングステンブロンズ粉末(実施例10)や、マグネリ相のW1849(実施例11)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜11に係る赤外線吸収微粒子の分散粒子径および結晶子径を測定した。そして、実施例9に係る被覆膜形成用水分散液C、実施例10に係る被覆膜形成用水分散液D、実施例11に係る被覆膜形成用水分散液Eを得た。
被覆膜形成用水分散液Aの代わりに被覆膜形成用水分散液C〜Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例9〜11に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。そして、実施例9〜11に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例12、13]
Cs/W(モル比)=0.33の六方晶セシウムタングステンブロンズ(Cs0.33WO)粉末(住友金属鉱山株式会社製YM−01)25質量%と純水75質量%とを混合して得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し4時間(実施例12)、または6時間(実施例13)の粉砕・分散処理を行い、実施例12、13に係るCs0.33WO微粒子の分散液を得た。得られた分散液中のCs0.33WO微粒子の分散粒子径を測定したところ、実施例12は140nm、実施例13は120nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは純水を用いて測定し、溶媒屈折率は1.33とした。
得られた分散液の溶媒を除去したあと結晶子径を測定したところ、実施例12は42nm、実施例13は50nmであった。
得られた実施例12、13に係るCs0.33WO微粒子の分散液と純水をと混合し、Cs0.33WO微粒子の濃度が2質量%である実施例12に係る被覆膜形成用水分散液F、実施例13に係る被覆膜形成用水分散液Gを得た。
被覆膜形成用水分散液Aの代わりに被覆膜形成用水分散液F、Gを用い、表面処理希釈剤の滴下時間を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例12、13に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。そして、実施例12、13に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例14〜18]
実施例2に係る表面処理赤外線吸収微粒子粉末10質量%と純水85質量%と分散剤α〜ε(但し、実施例14ではα、実施例15ではβ、実施例16ではγ、実施例17ではδ、実施例18ではεを、それぞれ使用)5質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、1時間解砕処理して、実施例14に係る被覆膜形成用水分散液A−α、実施例15に係る被覆膜形成用水分散液A−β、実施例16に係る被覆膜形成用水分散液A−γ、実施例17に係る被覆膜形成用水分散液A−δ、実施例18に係る被覆膜形成用水分散液A−εを得た。
ここで、分散剤αは、官能基がリン酸で、酸価60mgKOH/g、塩基価0mgKOH/gの分散剤である。
分散剤βは、官能基がカルボン酸で、酸価70mgKOH/g、塩基価0mgKOH/gの分散剤である。
分散剤γは、官能基がカルボン酸で、酸価15mgKOH/g、塩基価0mgKOH/gの分散剤である。
分散剤δは、官能基がカルボン酸で、酸価110mgKOH/g、塩基価0mgKOH/gの分散剤である。
分散剤εは、官能基としてリン酸を含み、酸価85mgKOH/g、塩基価85mgKOH/gの分散剤である。
被覆膜形成用水分散液Aの代わりに、実施例14〜18に係る被覆膜形成用水分散液A−α〜A−εを用い、表面処理希釈剤の滴下時間を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例14〜18に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。そして、実施例14〜18に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[実施例19]
実施例2に係る表面処理赤外線吸収微粒子粉末10質量%と純水80質量%と分散剤α5質量%と分散剤ζ5質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、1時間解砕処理して、実施例19に係る被覆膜形成用水分散液A−ζを得た。
ここで、分散剤ζは、酸性および塩基性の官能基を有さない、酸価1mgKOH/g未満、塩基価1mgKOH/g未満のノニオン性の分散剤である。
被覆膜形成用水分散液Aの代わりに、実施例19に係る被覆膜形成用水分散液A−ζを用い、表面処理希釈剤の滴下時間を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例19に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液を作製した。そして、実施例19に係る表面処理赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[比較例1]
六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末10質量%と純水90質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し4時間粉砕・分散処理し、比較例1に係る被覆膜形成用水分散液を得た。
得られた分散液中の赤外線吸収微粒子の分散粒子径を、実施例1と同様に測定したところ、100nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは水を用いて測定し、溶媒屈折率は1.33とした。また、得られた分散液の溶媒を除去して比較例1に係る六方晶セシウムタングステンブロンズ微粒子を得た。得られた比較例1に係る六方晶セシウムタングステンブロンズ微粒子の結晶子径を実施例1と同様に測定したところ32nmであった。
比較例1に係る被覆膜形成用水分散液へ表面処理希釈剤の滴下添加を実施することなく、このまま比較例1に係る赤外線吸収微粒子分散液とした。
比較例1に係る赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[比較例2〜5]
六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末の代わりに、Na/W(モル比)=0.33の立方晶ナトリウムタングステンブロンズ粉末(比較例2)、K/W(モル比)=0.33の六方晶カリウムタングステンブロンズ粉末(比較例3)、Rb/W(モル比)=0.33の六方晶ルビジウムタングステンブロンズ粉末(比較例4)、マグネリ相のW1849(比較例5)を用いたこと以外は、比較例1と同様の操作をすることで、比較例2〜5に係る被覆膜形成用水分散液を得た。
比較例2〜5に係る被覆膜形成用水分散液へ表面処理希釈剤の滴下添加を実施することなく、このまま比較例2〜5に係る赤外線吸収微粒子分散液とした。
得られた比較例2〜5に係る赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[比較例6]
六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末10質量%と純水90質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し2時間粉砕・分散処理し、比較例6に係る被覆膜形成用水分散液を得た。
得られた分散液中の赤外線吸収微粒子の分散粒子径を測定したところ、180nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。バックグラウンドは水を用いて測定し、溶媒屈折率は1.33とした。
また、得られた分散液の溶媒を除去して比較例6に係る六方晶セシウムタングステンブロンズ微粒子を得た。得られた比較例6に係る六方晶セシウムタングステンブロンズ微粒子の結晶子径を実施例1と同様に測定したところ60nmであった。
比較例6に係る被覆膜形成用水分散液へ表面処理希釈剤の滴下添加を実施することなく、このまま比較例6に係る赤外線吸収微粒子分散液とした。
比較例6に係る赤外線吸収微粒子分散液に対し、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1〜3に示す。
[まとめ]
本発明の実施例1〜7、12〜19に係る可視光透過率80%に設定した六方晶セシウムタングステンブロンズを用いた表面処理赤外線吸収微粒子分散液を、85℃の大気雰囲気中に24時間暴露したところ、当該暴露前後における日射透過率の変化量が2.0%以下であるような優れた耐湿熱性を有していることが判明した。
また、赤外線吸収微粒子として実施例8〜11に係る立方晶ナトリウムタングステンブロンズ、六方晶カリウムタングステンブロンズ、六方晶ルビジウムタングステンブロンズ、マグネリ相のW1849を用いた表面処理赤外線吸収微粒子分散液も、優れた耐湿熱性を有していることが判明した。
これに対し、表面処理を実施していない赤外線吸収微粒子を用いた比較例1〜6に係る可視光透過率80%に設定した六方晶セシウムタングステンブロンズを用いた赤外線吸収微粒子分散液を、85℃の大気雰囲気中に24時間暴露したところ、当該暴露前後における日射透過率の変化量が7.4%以上であり、耐湿熱性に劣ることが判明した。
Figure 2020110906
Figure 2020110906
Figure 2020110906
11.WO単位にて形成される8面体
12.元素M

Claims (15)

  1. 水を含む溶媒中に表面処理赤外線吸収微粒子が分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液であって、
    前記表面処理赤外線吸収微粒子は、赤外線吸収微粒子の表面が、金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆されているものであり、
    前記表面処理赤外線吸収微粒子の分散粒子径が20nm以上400nm以下であることを特徴とする表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  2. 前記表面処理赤外線吸収微粒子分散液のpH値が、4以上10以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  3. 前記表面処理赤外線吸収微粒子分散液中における表面処理赤外線吸収微粒子の濃度が、0.01質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  4. 前記金属キレート化合物および前記金属環状オリゴマー化合物が、Al、Zr、Ti、Si、Znから選択される1種類以上の金属元素を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  5. 前記金属キレート化合物および前記金属環状オリゴマー化合物が、エーテル結合、エステル結合、アルコキシ基、アセチル基から選択される1種以上を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  6. 前記赤外線吸収微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)、または/および、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される赤外線吸収微粒子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  7. 前記Mが、Cs、K、Rb、Tl、In、Baのうちから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする請求項6に記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  8. 前記赤外線吸収微粒子が、六方晶の結晶構造を有する、タングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  9. 前記表面処理赤外線吸収微粒子分散液が、さらに水溶性有機物を1種類以上含んでいることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  10. 前記水溶性有機物が、アルコール類、グリコール類、水溶性樹脂から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  11. 前記表面処理赤外線吸収微粒子分散液が、さらに1種類または2種類以上の分散剤を含んでいることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  12. 前記分散剤として、酸性の官能基を有する1種類または2種類以上の分散剤を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  13. 前記分散剤として、酸価が10mgKOH/g以上である1種類または2種類以上の分散剤を含んでいることを特徴とする請求項11または12に記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  14. 前記分散剤として、酸性の官能基を有する1種類または2種類以上の分散剤と、ノニオン性である1種類または2種類以上の分散剤とを含んでいることを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の表面処理赤外線吸収微粒子分散液。
  15. 水を含む溶媒中へ赤外線吸収微粒子を分散させて被覆膜形成用水分散液を得る工程と、
    前記被覆膜形成用水分散液へ、金属キレート化合物および/または金属環状オリゴマー化合物を添加し、前記赤外線吸収微粒子の表面を金属キレート化合物の加水分解生成物、金属キレート化合物の加水分解生成物の重合物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物、金属環状オリゴマー化合物の加水分解生成物の重合物、から選択される1種以上を含む被覆膜で被覆して表面処理赤外線吸収微粒子とし、水を含む溶媒中に前記表面処理赤外線吸収微粒子が分散している表面処理赤外線吸収微粒子分散液を得る工程とを有することを特徴とする表面処理赤外線吸収微粒子分散液の製造方法。
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