JPWO2020067539A1 - 内燃機関用オイルリング - Google Patents

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Abstract

オイル消費量の低減効果を確保しつつ、オイルリングの製造時に生じるうねりを低減し、オイルシール性能を向上させることのできる内燃機関用オイルリングを提供する。内燃機関用オイルリング(1)は、オイルリングの断面形状が略I字型のオイルリング本体(2)と、オイルリング本体(2)内周側に配置されるコイルエキスパンダ(3)とを備え、オイルリング本体(2)は、シリンダ内壁面と当接する第1レール(5)及び第2レール(6)と、第1レール(5)及び第2レール(6)がシリンダの内壁面より掻き落としたオイルをピストン裏面へ流下させるための複数のオイル戻し孔(7)を備えるウェブ(4)とで構成され、オイルリング本体(2)の内周側における内周溝(2e)及びオイル戻し溝(2d)を除いた部分(2f)、及びオイルリング本体(2)の外周側における摺動面(8A)を除いた部分の少なくとも一方におけるうねりが6.0μm以下である。

Description

本発明は、オイルリング本体とコイルエキスパンダを備える2ピース構成の内燃機関用オイルリングに関する。
近年の内燃機関用エンジン(ピストン型往復機関等)の性能の向上に伴い、自動車用エンジンに用いられるオイルリングにも、摩擦力の低下とエンジンオイル消費量の低減とを共に満足するものが求められている。そのため、オイルリングの形状等に種々の工夫が施されている。例えば、摩擦力を低下させるためにシリンダボア内に配置するオイルリングを低張力化し、オイル消費改善のためにオイルリングの薄幅化を図ったもの等が用いられている。
また、一般的にオイルリングには、2ピース形オイルリングと3ピース形オイルリングと呼ばれる構成の異なるオイルリングが存在している。2ピース形オイルリングは剛性が高く、熱負荷にも強いため、主にディーゼル機関エンジン用として用いられている。
この2ピースオイルリングにおけるオイルリング本体は断面略I字型であり、オイルリング本体の上側部分を構成する上側レール(第1レール)と、オイルリング本体の下側部分を構成する下側レール(第2レール)と、これらのレールを連結するウェブとを備える。また、ウェブは、これらのレールがシリンダの内壁面より掻き落としたオイルをピストン裏面へ流下させるための複数のオイル戻し孔を備える。
そして、上側レール及び下側レールは、ピストンが往復運動する際に、各々の外周摺動面がシリンダの内壁面に対して油膜を介した状態で摺動する。オイルリングは、シリンダ内壁面についている余分なエンジンオイルを掻き落とす機能と、シリンダ内壁面に適度な油膜を形成してピストンの焼付きを防止する機能とを有し、内燃機関用エンジンには必要不可欠なものである。
ところで、近年、線材メーカーによって断面が略I字型であるオイルリング用線材が製造され、その後、ピストンリングメーカーによってコイリング成形(巻き取り加工)がなされることにより、2ピースオイルリングのオイルリング本体を製造する方法が主流となっている。この場合に、オイル戻し孔は、オイルリング用線材の状態で既に形成されていることが一般的である。
このような、オイルリング用線材の状態でオイル戻し孔を形成した後、コイリング成形を行うことで2ピースオイルリングを製造する方法が、例えば特許文献1に開示されている。また、特許文献2には、2ピースオイルリングのオイルリング本体に備えられたオイル戻し孔のピッチ及び長さについての開示がある。オイルリングが掻き落としたオイルをピストン裏側に素早く逃がすために設定しているが、2ピースオイルリングに必要なオイルシール性能については考慮されていなかった。
日本国特開昭61−45172号公報 国際公開第2011/132679号
しかし、オイル戻し孔が形成されたオイルリング用線材にあっては、オイル戻し孔が形成された部分と形成されていない部分とで剛性の差が生じるため、コイリング成形後に、オイルリング本体におけるレール先端部の外周摺動面において、過度のうねりが生じてしまい、オイルシール性能が損なわれる可能性があった。より具体的に説明すると、レール先端部の外周摺動面が、オイルリング本体の径方向にうねることにより、オイルリング本体の軸方向から見て、該外周摺動面がいわゆる花びら状となり、外周摺動面の真円度が低下することで、オイルシール性能が損なわれる可能性があった。
ここで、コイリング成形(巻き取り加工)後において、オイルリング本体におけるレール先端部の外周摺動面をバレル研磨等により研磨することで、オイルリング本体におけるレール先端部の外周摺動面の真円度を高めてオイルシール性能を向上させることが考えられる。
しかし、オイルリングにおいては、ピストン上昇時には過剰なオイルの掻き上げを抑制しつつ、ピストン下降時にはシリンダ内壁面の余分なオイルの掻き落としを行うことで、エンジンオイルの消費量を低減させることも要求される。よって、以下の理由により、オイルリング本体におけるレール先端部の外周摺動面をバレル研磨等により研磨してオイルシール性を向上させる方法を採用することはできない。
すなわち、オイル消費量を低減させるため、オイルリング本体における第1レール及び第2レールの先端部は、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した断面視において、例えば、図3A〜図3Cに示すような形状のものが用いられる。
具体的には、図3Aや図3Bにおいて、上記先端部8は、シリンダ20の内壁面21に当接する略平坦な第1の平坦部(外周摺動面)8Aと、第1の平坦部8Aからオイルリング本体の軸方向(図3A,図3Bにおける上下方向)の一方(図中、上方)に沿って縮径する第1の縮径部8Bと、第1の平坦部8Aからオイルリング本体の軸方向の他方(図中、下方)に沿って縮径する第2の縮径部8Cと、第1の縮径部8Bに連続し、シリンダ内壁面21に略垂直な第2の平坦部8Dと、第2の縮径部8Cに連続し、シリンダ内壁面21に略垂直な第3の平坦部8Eと、を備える。そして、第1の縮径部8Bの一端をa、他端をbとし、第2の縮径部8Cの一端をc、他端をdとしたときに、aとbとの距離abは、cとdとの距離cdよりも長く、かつ、aとbとをつなぐ直線と、シリンダ内壁面21に平行な直線とのなす角θabは、cとdとをつなぐ直線と、シリンダ内壁面21に平行な直線とのなす角θcdよりも小さくなっている。
そして、オイルリングは、第1の縮径部8Bがピストン上方側、第2の縮径部8Cがピストン下方側になるように、ピストンに取り付けられる。ピストン上昇時においては、距離abが長く、かつ、角度θabが小さい第1の縮径部8Bが、エンジンオイルの油膜を乗り上げることにより、オイルの掻き上げを抑制する。一方、ピストン下降時においては、距離cdが短く、かつ、角度θcdが大きい第2の縮径部8Cが、シリンダ内壁面の余分なオイルの掻き落としを行うことにより、オイルパンに効率よくオイルを戻すことで、オイル消費量を低減させることができる。
なお、図3Cに示すように、上記先端部8において、図3Aや図3Bで示すような第2の縮径部8Cを有さず、第1の平坦部8Aに直接的に連続する第3の平坦部8Eを有するオイルリングであっても、第1の縮径部8Bがピストン上方側になるように位置することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、同じくオイル消費量を低減させるため、オイルリング本体における第1レール及び第2レールの先端部は、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した断面視において、例えば、図4Aに示すような形状のものが用いられる場合もある。
すなわち、上記先端部8は、外周摺動面8Aにおけるウェブ4に面した側の隅部に凹部段差8Fが形成されている。第1レール5及び第2レール6の外周形状を、図4Aに示すような形状とすることで、オイルリングを長期間使用したとしても当該第1レール5及び第2レール6の外周摺動面8Aの面積に変化が起こり難く、オイル消費量の増大を抑止する効果を安定して長期間得ることができる。また、シリンダ内壁面の余分なオイルを掻き落とす機能と、シリンダ内壁面の油膜厚さをコントロールする機能との向上及び安定を図ることが可能となる。この結果、内燃機関用オイルリング1は、自身が掻き落としたオイルを速やかにオイルリングの背面側に設けられたオイルドレイン孔に逃がすことができ、オイル消費量を低減させることができる。
そして、上記のような、オイルリング本体における第1レール及び第2レールの先端部が特定の形状を持つオイルリングは、既にオイルリング用線材の状態において、コイリング成形後にレールの先端部となり得る部分が所定形状に加工されている。そして、コイリング成形後にオイルリング本体の外周摺動面をバレル研磨等により研磨した場合、うねりにより突出した部分とそうでない部分とで、上記先端部の形状が大きく異なってしまい、外周摺動面におけるシリンダとの当たり幅が不均一となってしまう。その結果、オイルリング本体は、その周方向における場所ごとにオイルの掻き落とし性能が異なってしまうため、オイル消費量の低減効果を十分に得ることができないおそれがある。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイル消費量の低減効果を確保しつつ、オイルリングの製造時に生じるうねりを低減し、オイルシール性能を向上させることのできる内燃機関用オイルリングを提供することにある。
本発明は、下記(1)の構成からなる。
(1) オイルリングの断面形状が略I字型のオイルリング本体と、該オイルリング本体の内周側に配置されるコイルエキスパンダとを備え、
前記オイルリング本体は、シリンダ内壁面と当接する第1レール及び第2レールと、該第1レール及び該第2レールがシリンダの内壁面より掻き落としたオイルをピストン裏面へ流下させるための複数のオイル戻し孔を備えるウェブとで構成され、
前記オイルリング本体の内周側における内周溝及びオイル戻し溝を除いた部分、及び前記オイルリング本体の外周側における摺動面を除いた部分の少なくとも一方におけるうねりが6.0μm以下であることを特徴とする内燃機関用オイルリング。
また、本発明に係る好ましい実施形態は、下記(2)〜(13)の構成からなる。
(2) 前記オイルリング本体は、前記オイル戻し孔が形成されたオイルリング用線材の巻き取り加工により形成される、(1)に記載の内燃機関用オイルリング。
(3) 前記オイルリング本体における前記オイル戻し孔の窓角度θが10.0°以下である、(1)又は(2)に記載の内燃機関用オイルリング。
(4) 前記摺動面における前記シリンダとの当たり幅は、0.01〜0.25mmである、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(5) 前記オイルリング本体の周方向における、前記オイル戻し孔の長さをC、前記オイル戻し孔のピッチをEとした場合、E/C≦3.8である、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(6) 前記オイルリング本体はスチール製である、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(7) 前記オイルリング本体の表面に窒化処理が施されている、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(8) 前記オイルリング本体の前記摺動面には、硬質皮膜として、PVD皮膜、DLC皮膜、及び樹脂皮膜の少なくとも1つを被覆している、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(9) 前記摺動面の隅部に凹部段差が形成される、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(10) 前記第1レールの先端部及び前記第2レールの先端部は、
前記シリンダ内壁面に当接する略平坦な第1の平坦部と、
前記第1の平坦部から前記オイルリング本体の軸方向の一方に沿って縮径する第1の縮径部と、
前記第1の縮径部に連続する第2の平坦部と、
前記第1の平坦部から前記オイルリング本体の軸方向の他方に沿って縮径する第2の縮径部を介して、又は直接的に、前記第1の平坦部に連続する第3の平坦部と、を備える、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(11) 前記先端部が前記第2の縮径部を備える場合、
前記オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した断面視において、
前記第1の縮径部の一端をa、他端をbとし、前記第2の縮径部の一端をc、他端をdとしたときに、
前記aと前記bとの距離abは、前記cと前記dとの距離cdよりも長く、かつ、
前記aと前記bとをつなぐ直線と、前記シリンダ内壁面に平行な直線とのなす角θabは、前記cと前記dとをつなぐ直線と、前記シリンダ内壁面に平行な直線とのなす角θcdよりも小さい、(10)に記載の内燃機関用オイルリング。
(12) 前記オイルリング本体の周方向における、前記オイル戻し孔の長さをCとした場合、C≧1.0mmである、(2)〜(11)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
(13) 前記オイルリング本体の軸方向における、前記オイル戻し孔の高さをDとした場合、D≧0.3mmである、(2)〜(12)のいずれか1つに記載の内燃機関用オイルリング。
本発明の内燃機関用オイルリングによれば、オイル消費量の低減効果を確保しつつ、オイルリングの製造時に生じるうねりを低減し、オイルシール性能を向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る、オイルリング本体とオイルリング本体の内周側に配置されるコイルエキスパンダとから構成される内燃機関用オイルリング(2ピースオイルリング)の斜視図である。 図2は、本発明の実施形態に係る本内燃機関用オイルリングをピストンのオイルリング溝に装着した状態を説明するために、ピストンの軸方向に平行な面で切断した場合の断面図である。 図3Aは、第1レール又は第2レールの先端部を、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した場合の一例を示す断面図である。 図3Bは、第1レール又は第2レールの先端部を、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した場合の他の例を示す断面図である。 図3Cは、第1レール又は第2レールの先端部を、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した場合の他の例を示す断面図である。 図4Aは、オイルリング本体のレール外周面の形状について、当該オイルリング本体を、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した場合の一例を示す断面図である。 図4Bは、オイルリング本体のレール外周面の形状について、当該オイルリング本体を、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した場合の他の例を示す断面図である。 図5Aは、本発明の実施形態に係るオイルリング本体を、オイルリング本体の径方向外側から見た場合の正面図である。 図5Bは、図5AのI−I断面図である。 図5Cは、オイルリング本体の合口部を0°として、合口部からの角度が時計回りに45°〜315°の範囲を示す模式図である。 図6は、真円度測定機でリング周方向を計測した結果の例を示す展開図である。 図7は、内燃機関用オイルリングの内周側の測定方法を示す断面図である。 図8は、内燃機関用オイルリングの内周側の測定方法を説明するための拡大図である。 図9は、内燃機関用オイルリングの外周側の測定方法を示す断面図である。 図10は、内燃機関用オイルリングの外周側の測定方法を説明するための拡大図である。 図11は、本発明の実施形態に係るオイルリング本体に備わるオイル戻し孔の形状を説明するために、オイルリング本体の径方向外側から見た場合の正面図である。 図12は、本発明の実施形態に係るオイルリング本体の外表面に窒化処理を施した状態を説明するために、オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した場合の断面図である。 図13は、試験例2(d)の結果に基づいた、窓角度とうねり量の相関関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態(本実施形態)に係る内燃機関用オイルリングについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
図1は、本実施形態に係るオイルリング本体2と、オイルリング本体2の内周側に配置されるコイルエキスパンダ3を備える内燃機関用オイルリング(2ピースオイルリング)1の斜視図である。図1に示すように、内燃機関用オイルリング1は、オイルリング本体2と、コイルエキスパンダ3を備えている。また、オイルリング本体2は、その断面形状が略I字型のリングであり、合口部2aを備えている。そして、オイルリング本体2は、上側の第1レール5と、下側の第2レール6と、これらレールを連結してオイルリング本体2の中間部分に位置するウェブ4とが一体化して構成されている。
オイルリング本体2を構成する第1レール5及び第2レール6は、内燃機関用オイルリング1の周方向に略円形に形成されている。この第1レール5及び第2レール6の各々の外周側における摺動面である、外周摺動面8A(図2を参照)は、シリンダ20の内壁面21(図2を参照)と油膜を介して接触し、ピストンの軸方向に摺動する。また、ウェブ4は、図1に示すように、オイルリング本体2の周方向に略円形であって、半径方向に貫通形成されたオイル戻し孔7を備えており、そのオイル戻し孔7がオイルリング本体2の周方向に複数配置されている。また、コイルエキスパンダ3は、螺旋状のスプリングを円弧状としたものである。なお、図示しないが、コイルエキスパンダ3には、コイルエキスパンダ3の合口部2aを接続し円環状のコイルとするために、当該合口部2aにジョイント用の芯線が用いられている。
図2は、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1をピストン10のオイルリング溝11に装着した状態を説明するために、ピストン10の軸方向に平行な面で切断した場合の断面図である。図2に示すように、オイルリング本体2の内周面には、第1レール5、第2レール6及びウェブ4により、コイルエキスパンダ収容凹部2bがオイルリング本体2の周方向に沿って形成されている。そして、オイルリング本体2の外周面側には、第1レール5、第2レール6及びウェブ4により、オイルリング本体2の軸方向に平行な面で切断した断面で見た場合に、凹字状の外周溝2cがオイルリング本体2の周方向に沿って形成されている。
また、図2に示すように、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1は、その内周側において、断面円弧状の内周溝2eが設けられており、内周溝2eにより形成されたコイルエキスパンダ収容凹部2bが、オイルリング本体2の軸方向に平行な面で切断した断面で見た場合において略半円状となっている。また、コイルエキスパンダ3が、オイルリング本体2の軸方向に平行な面で切断した断面で見た場合において、略半円状部内に包み込まれる状態で収容されている。よって、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1によれば、オイルリング本体2の内周を円弧形状とした場合に、オイルリング本体2とコイルエキスパンダ3との接触面積を大きく確保することができ、シリンダ内壁面21に対する押圧力の安定化を図ることができる。また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1のように、オイルリング本体2の内周を円弧形状とすることで、オイルリング本体2の周方向において、シリンダ内壁面21に対する押圧力に局所的なばらつきが生じにくく、オイルの掻き残しが起こりにくくなる。
ここで、図2を参照しつつ、内燃機関用オイルリング1のオイル掻き落とし機能について、一連の流れを説明する。まず、シリンダ20内をピストン10が往復運動する際に、オイルリング本体2に備わる第1レール5及び第2レール6の外周摺動面8Aが、シリンダ内壁面21に付着している余分なオイルを掻き落とす。そして、掻き落とされたオイルは、オイルリング本体2の外周溝2c内で一時的に滞留した後、オイル戻し孔7を通ってコイルエキスパンダ収容凹部2bに流れる。続いて、コイルエキスパンダ収容凹部2bに流されてきたオイルは、オイルリング溝11と連通して設けられたオイルドレイン孔12を通ってピストン10の裏面に流下し、オイルパン(不図示)へ戻される。
本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1によれば、内燃機関用オイルリング1のオイル掻き落とし機能における一連の流れの中で、掻き落としたオイルを、オイル戻し孔7を通してコイルエキスパンダ収容凹部2bへ流す際、オイル流れの阻害を防止することができる。これは、オイルリング本体2とコイルエキスパンダ3との間にオイル戻し溝2dを形成することで、オイルリング本体2に形成されたオイル戻し孔7が塞がれないためである。すなわち、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1においては、オイルリング本体2におけるコイルエキスパンダ配置側の形状が略半円状であったとしても、オイル戻し溝2dが存在することで、内燃機関用オイルリング1が掻き落としたオイルを直ちにオイルリングの背面側に設けられたオイルドレイン孔12に逃がすことができ、オイル消費量を低減させることが可能となる。
続いて、第1レール5及び第2レール6の先端部8の形状の一例について、図3A〜図3Cを用いて説明する。前述したように、内燃機関用オイルリングにおいては、ピストン上昇時にはオイルの掻き上げを抑制しつつ、ピストン下降時にはシリンダ内壁面の余分なオイルの掻き落としを行うことで、エンジンオイルの消費量を低減させることが要求される。
このため、第1レール5及び第2レール6の先端部8は、内燃機関用オイルリング1がピストン10に取り付けられる際、ピストン上方側とピストン下方側とで、その形状が異なっている。具体的には、図3Aや図3Bにおいて、上記先端部8は、シリンダ20の内壁面21に当接する略平坦な第1の平坦部(外周摺動面)8Aと、第1の平坦部8Aからオイルリング本体の軸方向(図3Aにおける上下方向)の一方(図中、上方)に沿って縮径する第1の縮径部8Bと、第1の平坦部8Aからオイルリング本体の軸方向の他方(図中、下方)に沿って縮径する第2の縮径部8Cと、第1の縮径部8Bに連続し、シリンダ内壁面21に略垂直な第2の平坦部8Dと、第2の縮径部8Cに連続し、シリンダ内壁面21に略垂直な第3の平坦部8Eと、を備えている。そして、第1の縮径部8Bの一端をa、他端をbとし、第2の縮径部8Cの一端をc、他端をdとしたときに、aとbとの距離abは、cとdとの距離cdよりも長く、かつ、aとbとをつなぐ直線と、シリンダ内壁面21に平行な直線とのなす角θabは、cとdとをつなぐ直線と、シリンダ内壁面21に平行な直線とのなす角θcdよりも小さくなっている。なお、第1レール5及び第2レール6の先端部8の形状は、同一形状を有している。
そして、内燃機関用オイルリング1は、第1の縮径部8Bがピストン上方側、第2の縮径部8Cがピストン下方側になるように、ピストン10に取り付けられる。ピストン上昇時においては、距離abが長く、かつ、角度θabが小さい第1の縮径部8Bが、エンジンオイルの油膜を乗り上げることにより、オイルの掻き上げを抑制する。一方、ピストン下降時においては、距離cdが短く、かつ、角度θcdが大きい第2の縮径部8Cが、シリンダ内壁面21の余分なオイルの掻き落としを行うことにより、オイルパンに効率よくオイルを戻すことで、オイル消費量を低減させることができる。
なお、図3A及び図3Bにおいては、第2の縮径部8Cは緩やかな曲線で示しているが、第1の平坦部8Aからオイルリング本体の軸方向の他方に沿って縮径するものであれば、例えば直線で示されるものでも良い。
また、図3Cに示すように、上記先端部8において、図3Aや図3Bで示すような第2の縮径部8Cを有さず、第1の平坦部8Aに直接的に連続する第3の平坦部8Eを有する場合(すなわち、第1の平坦部8Aと第3の平坦部8Eとが、交点eで交わる場合)であっても、第1の縮径部8Bがピストン上方側になるように位置することで、上記と同様の効果を得ることができる。
このように、第1レール5及び第2レール6の先端部8は、ピストン上方側と下方側とでそれぞれ所望の形状を持たせている。すなわち、第1レール5及び第2レール6の先端部8は、上下に非対称(すなわち、第1レール5又は第2レール6の厚さ方向の中心に対して非対称)な形状を有している。これにより、ピストン上昇時とピストン下降時の両方においてオイル消費量を低減させることが可能となる。
なお、上記した第1の平坦部8Aは、シリンダ内壁面21に当接できるものであれば、厳密な平坦でなくても良い。また、第1の縮径部8Bは、上記した条件を満足するものであれば、図3Aに示すようなテーパー状(直線状)のものであっても良く、あるいは、図3Bに示すような緩やかな曲面状のものであっても良い。さらに、第2の平坦部8D及び第3の平坦部8Eは、シリンダ内壁面21に対して厳密な垂直でなくても良く、第2の平坦部8Dや第3の平坦部8Eと、シリンダ内壁面21に平行な直線とのなす角度が45〜90°であることが好ましい。
また、第1レール5及び第2レール6の先端部8の形状として、両レールに図3Aに示すような形状を用いても良く、両レールに図3Bに示すような形状を用いても良く、両レールに図3Cに示すような形状を用いても良い。あるいは、一方のレールに図3Aに示す形状を、他方のレールに図3Bに示す形状を用いるような、異なる形状の先端部8を有するレールの組合せであっても良い。ただし、第1レール5及び第2レール6のいずれも、第1の縮径部8Bがピストン上方側になるように構成される必要がある。
続いて、第1レール5及び第2レール6の先端部8の形状の他の例について、図4Aを用いて説明する。上記先端部8は、外周摺動面8Aにおけるウェブ4に面した側の隅部に凹部段差8Fが形成されている。このように、第1レール5及び第2レール6の外周形状として、所定の凹部段差8Fを形成することで、オイルリングを長期間使用したとしても当該第1レール5及び第2レール6の外周摺動面8Aの面積に変化が起こり難く、オイル消費量の増大を抑止する効果を安定して長期間得ることができる。また、シリンダ内壁面の余分なオイルを掻き落とす機能と、シリンダ内壁面の油膜厚さをコントロールする機能との向上及び安定を図ることが可能となる。この結果、内燃機関用オイルリング1は、自身が掻き落としたオイルを速やかにオイルリングの背面側に設けられたオイルドレイン孔に逃がすことができ、オイル消費量を低減させることができる。
なお、上記先端部8に凹部段差8Fを形成することで、外周摺動面8Aにおけるシリンダ20との当たり幅X(図4A参照)を、例えば0.01〜0.25mm程度にすることができる。
このように、当たり幅Xを0.01mmよりも小さくすると、外周摺動面8Aの強度低下を招く可能性があり、先端部8の先端が欠けるなど破損の可能性が生じ得るため好ましくない。一方、当たり幅Xを0.25mmよりも大きくすると、外周摺動面8Aの摺動面積が大きくなり、フリクション及びオイル消費量の増加につながるため好ましくない。よって、当たり幅Xは0.01〜0.25mmとすることが好ましい。
なお、凹部段差8Fを形成するための具体的な加工方法としては、各種の研削加工や切削加工を適宜選択してもよいが、ピストンリング線材の製造過程において、当該凹部段差8Fをあらかじめ形成すると、研削加工や切削加工の加工工数が削減できるため、好ましい。
さらに、少なくとも外周摺動面8A付近(図4Aにおけるαで囲んだ部分)には、表面処理層8Gを形成することが好ましい。表面処理層8Gは、外周摺動面8Aに対して硬度が向上するように硬質な表面処理が行われていれば、どのような処理を行っても構わないが、例えば、PVD皮膜、DLC皮膜、窒化処理層、PVD皮膜の上にDLC皮膜を施した複合処理皮膜、ポリアミドイミドに固体潤滑剤(二硫化モリブデンやグラファイト等)を含有した樹脂皮膜などが好ましく用いられる。なお、表面処理層8Gの厚さは、1〜30μmであることが好ましい。
以上のように、先端部8に上記のような凹部段差8Fが形成する場合においても、上記と同様、先端部8は、ピストン上方側と下方側とでそれぞれ所望の異なる形状を有する。すなわち、第1レール5及び第2レール6の先端部8は、ウェブ4を挟んで対称位置にある。このような形状の場合、上下誤って組み付けてしまうおそれがない。
なお、第1レール5及び第2レール6の先端部8の形状は、上述した図3A〜図3Cや図4Aで示したような形状に限られず、例えば、図4Bに示すような、先端部8に凹部段差を有しない形状としても構わない。また、図4Bで示す形状においても、第1レール5及び第2レール6の先端部8に表面処理層8Gを形成することが好ましい。
続いて、オイルリング本体2における、オイル戻し孔7の窓角度θ及び外周摺動面8Aに生じるうねりについて詳細に説明する。本発明者らは、オイル消費量の低減効果を確保するために、オイルリング用線材をコイリング成形(巻き取り加工)した後に、オイルリング本体2におけるレール先端部8の外周摺動面8Aをバレル研磨等により研磨することなく、内燃機関用オイルリング1の製造時に生じるうねりを低減し、オイルシール性能を向上させることのできる内燃機関用オイルリングを得るために、鋭意検討を重ねた。
その結果、下記で定義されるような、オイルリング本体2におけるオイル戻し孔7の窓角度θを所定範囲に設定することで、オイルリング本体2におけるレール先端部8の外周摺動面8Aに生じるうねりを低減できることを見出した。
本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1は、オイルリング本体2におけるオイル戻し孔7の窓角度θを10.0°以下とすることが好ましい。また、上記うねりをより効果的に低減するために、窓角度θを8.0°以下とすることが好ましく、7.0°以下とすることが好ましく、更に6.0°以下とすることが好ましい。
ここで、図5Aは、本実施形態に係るオイルリング本体2を、オイルリング本体2の径方向外側から見た場合の要部正面図である。また、図5Bは、図5AのI−I断面図である。図5Bに示すように、オイルリング本体2におけるオイル戻し孔7の窓角度θは、オイルリング本体2の合口部2aが閉じた状態において、オイルリング本体2の中心点G(重心)と、あるオイル戻し孔7におけるオイルリング本体2の周方向の一端Eを結ぶ直線GE、及び、オイルリング本体2の中心点Gと、隣接するオイル戻し孔7におけるオイルリング本体2の一端Eとを結ぶ直線GEがなす角度で定義される。言いかえると、オイルリング本体2の中心点Gと、オイル戻し孔7における、ウェブ4の周方向におけるピッチEの一端Eを結ぶ直線GE、及び、オイルリング本体2の中心点Gと、オイル戻し孔7における、ウェブ4の周方向におけるピッチEの他端Eを結ぶ直線GEがなす角度としても定義される。
この窓角度θを10.0°以下とすることにより、オイル戻し孔7における、ウェブ4の周方向におけるピッチEが小さくなるため、オイルリング本体内で応力の集中が緩和され、ひずみが大きく、窓を有する部分(オイル戻し孔7)と、ひずみが小さく、オイル戻し孔7を有さない部分(ウェブ4)において、ひずみの差が小さくなることにより、オイルリング本体2に生じるうねりを低減することができる。
なお、上記窓角度θは、シリンダボア径(オイルリング本体2の合口部2aが閉じた状態での、オイルリング本体2の直径)と、オイル戻し孔7における、ウェブ4の周方向におけるピッチEにより、以下の式で表わされる。
窓角度θ=(360×ピッチE)/(π×シリンダボア径)
オイルリング本体2の内周側における内周溝2eを除いた部分、及びオイルリング本体2の外周側における摺動面(外周摺動面)8Aを除いた部分の少なくとも一方に生じるうねりは、6.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることが好ましい。該うねりが小さければ小さいほど、オイルシール性能をより向上させることができる。例えば、上記うねりを6.0μm以下にするためには、上記窓角度θを10.0°以下に設定すれば良い。また、上記うねりを2.0μm以下にするためには、上記窓角度θを6.0°以下に設定すれば良い。また、上記うねりをより小さくするためには、窓角度θを4.0°よりも更に小さく設定すれば良い。
なお、上記うねりは、オイルリング本体2の内周側における内周溝2e及びオイル戻し溝2dを除いた部分、及びオイルリング本体2の外周側における摺動面8Aを除いた部分の少なくとも一方において、周方向に隣り合う山谷の振幅の連続する3点を2箇所取り、平均とした値として定義される。なお、周方向は、図5Cに示すように、合口部を0°として、リング合口部2aからの角度が時計回りに45°〜315°の範囲内を取ることとする。
また、上記うねりは、一般的な真円度測定器を用い、第1レール5又は第2レール6の内周形状又は外周形状を測定することにより測定することができる(詳細は後述)。続いて、図6は、真円度測定機でリング周方向を計測した結果の例を示す展開図である。この展開図において、計測されるうねりは、周方向に隣り合う山谷の振幅の連続する3点を2箇所(A,B,CとD,E,F)取り、平均としたものである。シリンダへの追従性を考慮し、オイルの掻き残しが発生しないように、局所的に山谷の振幅の平均を見る必要があり、それを設定する必要がある。真円度では、うねりと同等の数字であっても、低次変形であればリングはシリンダボアへ追従できるが、高次変形の場合は追従しない可能性があるため、真円度では十分に考慮できない。
なお、第1レール5又は第2レール6の外周摺動面8Aは、研削や研磨加工など、又は、内燃機関用オイルリング1の使用後においてシリンダ内壁面との摺動摩擦により形状が変化するおそれがあるため、オイルリング本体2の内周側における内周溝2e及びオイル戻し溝2dを除いた部分、及びオイルリング本体2の外周側における摺動面8Aを除いた部分の少なくとも一方、としている。内周面は、研削や研磨加工がなく、又はシリンダ内壁面との摺動摩擦がないため、その使用後においても形状が変化するおそれがなく、第1レール5又は第2レール6の外周面及び内周面に生じるうねり量はほぼ同じであるため、オイルリングの製造時に生じるうねりが所定値以下を満足するか否かの判断するにあたっては、オイルリング本体2の内周溝2e及びオイル戻し溝2d以外の部位2fを測定する(図2や図4Aを参照)。
ここで、オイルリング本体2の内周形状又は外周形状の測定方法は、以下の通りである。まず、オイルリング本体2の内周形状の測定方法について説明する。図7に示すように、オイルリング本体2にコイルエキスパンダ3を取り付け、真円ゲージ40の内周面40Aに、オイルリング本体2におけるレール先端部の外周摺動面8Aが当接するように組み付ける。このとき、コイルエキスパンダ3の張力は、5N程度に設定されていることが好ましい。
このように、真円ゲージ40にオイルリング本体2を組み付けた状態で、図8に示すように、釜型の触針41をオイルリング本体2の内周のうち、内周溝2e及びオイル戻し溝2d以外の部位2fに接触させて、真円ゲージ40をオイルリング本体2と共に回転させて、内周形状の測定を行う。
次に、オイルリング本体2の外周形状の測定方法について説明する。図9に示すように、真円ゲージ40の内周面40Aに、オイルリング本体2におけるレール先端部の外周摺動面8Aが当接するように組み付けることで、真円ゲージ40によってオイルリング本体2を保持した状態で、オイルリング本体2を軸方向(図中、上下方向)から上下ゲージ42,42によって挟み込む。続いて、真円ゲージ40を取り外すことで、オイルリング本体2の外周側を露出させる。このとき、コイルエキスパンダ3の張力によって上下ゲージ42,42からオイルリング本体2が脱落しないように、コイルエキスパンダ3の張力は5N程度に設定されていることが好ましい。
このように、上下ゲージ42,42でオイルリング本体2を挟み込んだ状態で、図10に示すように、釜型の触針41をオイルリング本体2の先端部8における外周のうち、例えば、研削や研磨加工など、あるいは、内燃機関用オイルリング1の使用後においてシリンダ内壁面との摺動摩擦により形状が変化するおそれがない、凹部段差8Fなどに接触させて、上下ゲージ42,42をオイルリング本体2と共に回転させて、外周形状の測定を行う。
続いて、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1における、その他の好ましい条件について説明する。
オイルリング本体2を構成するウェブ4に設けるオイル戻し孔7は、当該オイルリング本体2の周方向における長さ(開口幅)C(図11中、Cで示す幅)が1.0mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましく、2.0mm以上であることが更に好ましい。
図11は、本実施形態のオイルリング本体2に備わるオイル戻し孔7の形状を説明するために、オイルリング本体2の径方向外方から見た場合の正面図である。図11より、本実施形態に係るオイルリング本体2は、開口幅Cが1.0mmより小さい場合には、オイル戻し孔7の開口面積が小さすぎるため、内燃機関用オイルリング1が掻き落としたオイルを速やかに内燃機関用オイルリング1の背面側に設けられたオイルドレイン孔12へ排出することができない。
また、開口幅Cは、4.0mm以下であることが好ましく、3.0mm以下であることがより好ましく、2.5mm以下であることが更に好ましい。開口幅Cが4.0mmより大きい場合には、オイル戻し孔7の面積が大きすぎるため、オイルリング本体2の強度が低下し、内燃機関用オイルリング1を内燃機関に適用した場合に十分な耐久性を得ることができない。更に、オイル戻し孔7の面積が大き過ぎると、オイルリング本体2の加工の際に変形が起こりやすく、オイル掻き機能の低下を招いてしまう。
また、オイルリング本体2を構成するウェブ4に設けるオイル戻し孔7は、オイルリング本体2の軸方向における高さ(開口高さ)D(図11中、Dで示す高さ)が0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましい。
開口高さDが0.3mmより小さい場合には、オイル戻し孔7の開口面積が小さすぎるため、内燃機関用オイルリング1が掻き落としたオイルを、速やかに内燃機関用オイルリング1の背面側に設けられたオイルドレイン孔12へ排出することができない。
また、開口高さDは、1.0mm以下であることが好ましい。開口高さDが1.0mmより大きい場合には、オイル戻し孔7の面積が大きすぎるため、オイルリング本体2の強度が低下し、内燃機関用オイルリング1を内燃機関に適用した場合に十分な耐久性を得ることができない。更に、オイル戻し孔7の面積が大き過ぎると、オイルリング本体2の加工の際に変形が起こりやすく、オイル掻き機能の低下を招いてしまう。
なお、オイル戻し孔7の形状は、図11に示すような、長方形形状の両端部の開口高さDに相当する辺を一定の曲率半径Rを備える弧状辺として形成したものに限定されない。例えば、オイルリングとしての要求特性を満たす限りにおいて、長方形、円形状、楕円形状、開口高さDに相当する辺を曲線形状としたもの等の種々の形状を適宜選択して使用することができる。
また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1において、オイルリング本体2の軸方向幅h1(図2中、h1で示す幅)は、1.0mm〜4.0mmであることが好ましい。
また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1において、オイルリング本体2の径方向幅a1(図2中、a1で示す幅)は、1.5mm〜3.0mmであることが好ましい。
ここで、図2に示すように、オイルリング本体2の径方向幅a1が1.5mmよりも小さい場合には、ピストンへの組み付け性が悪化するおそれがある。一方、オイルリング本体2の径方向幅a1が3.0mmよりも大きい場合には、剛性が高く、追従性が悪くなるおそれがある。
また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1において、内燃機関用オイルリング1のシリンダボア径に対する張力比は、0.05N/mm〜0.7N/mmであることが好ましい。
本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1は、シリンダボア径(図示せず)に対する張力比([オイルリングの張力(N)]/[シリンダボア径(mm)]で算出される値)を0.05N/mm〜0.5N/mmに設定している。ここで、シリンダボア径に対する張力比が0.05N/mmよりも小さい場合には、オイルリング本体2におけるレール先端部8の外周摺動面8Aのシリンダ内壁面21に対する押圧力が不十分となる。この場合、外周摺動面8Aは余分なオイルを十分に掻き落とすことができず、オイル消費量の増大を招いてしまう。また、シリンダボア径に対する張力比が0.5N/mmよりも大きい場合には、外周摺動面8Aのシリンダ内壁面21に対する押圧力が大きくなり過ぎて摩擦力が高くなり、燃費の低下を招いてしまう。一般的に、シリンダとオイルリングとの摩擦力は、オイルリングの張力の大きさに比例する傾向にある。
また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1において、オイルリング本体2を構成するウェブ4に備わるオイル戻し孔7の当該ウェブ4の周方向におけるピッチE(図11中、Eで示すピッチ)は、2.0mm〜6.0mmであることが好ましい。
図11には、オイルリング本体2を構成するウェブ4に備わるオイル戻し孔7の当該ウェブ4の周方向におけるピッチがEにより示されている。本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1は、ピッチEが2.0mm〜6.0mmの範囲内であることで、内燃機関用オイルリング1の耐久性とオイル消費性能とを共に向上させることができる。ここで、ピッチEが2.0mm未満の場合には、ウェブ4におけるオイル戻し孔7の間隔が短くなり過ぎて、オイルリング本体2の強度が低くなり、内燃機関用オイルリング1の耐久性が劣ることとなり、好ましくない。また、ピッチEが6.0mmを超える場合には、ウェブ4におけるオイル戻し孔7の間隔が長くなり過ぎて、内燃機関用オイルリング1が掻き落としたオイルをピストン裏側に逃がすことができなくなるため、オイル消費の増大を招いてしまう。
また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1において、オイルリング本体2を構成するウェブ4に備わるオイル戻し孔7のウェブ4の周方向におけるピッチをE、オイル戻し孔のウェブ4の周方向における長さをCとした場合、E/C≦3.8であることが好ましく、E/C≦3.0であることがより好ましく、E/C<2.0であることが更に好ましい。
図11には、オイル戻し孔7における、オイルリング本体2の周方向におけるピッチがEにより示され、また、オイル戻し孔7における、オイルリング本体2の周方向における長さがCにより示されている。本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1は、ピッチEと長さCとの関係「E/C」が、3.8以下であることで、オイル消費性能を向上させることができる。
ここで、ピッチEと長さCとの関係「E/C」が、3.8超の場合には、ウェブ4におけるオイル戻し孔7の間隔が長くなるため、内燃機関用オイルリング1が掻き落としたオイルをピストン裏側に逃がすことができなくなり、オイル消費の増大を招くこととなる。
また、本実施形態に係る内燃機関用オイルリング1は、オイルリング本体2の外表面に窒化処理を施す際に、窒化層30の厚さFを150μm以下に設定するのが好ましい。オイルリング本体2は、窒化処理を施すことで、外表面を硬化させて耐久性を向上させることができる。これは、近年の自動車用内燃機関の高速化及び高負荷化により、オイルリング本体2についてもより高い耐摩耗性が要求されているためである。
オイルリング本体2は、その材質として主に鉄鋼材料が用いられ、オイルリング本体2に窒化処理を行うことでクロムや鉄と反応して作られる窒化物からなる極めて硬い窒化層30を備える。すなわち、オイルリング本体2は、その表面に窒化層30を形成することで、耐摩耗性及びシリンダに対する耐スカッフ性に優れたものとなり、より過酷な状況下での使用に耐え得る内燃機関用オイルリング1を提供することができる。しかし、窒化処理を行うことによって、オイルリング本体2の母材全体が窒化されることとなると、オイルリング本体2は硬くなり過ぎて脆くなり、耐折損性を低下させてしまう。そのため、本実施形態のオイルリング本体2に窒化を施す場合には、窒化層30の厚さFが150μm以下となるように設定することが好ましい。
図12は、本実施形態のオイルリング本体2の外表面に窒化処理を施した状態を、オイルリング本体2の軸方向に平行な面で切断した断面図である。図12に示すように、オイルリング本体2の外表面に窒化層30が形成されている。ここで、窒化層30の厚さFは、150μm以下となるように設定することが好ましい。
また、内燃機関用オイルリング1の耐久性は、オイルリング本体2におけるレール先端部8の外周摺動面8Aと、シリンダ内壁面21との摩擦力の大きさに影響するため、上述したように、内燃機関用オイルリング1の張力の大きさを考慮するが、摺動する金属の組み合わせ方によっても影響を受ける。例えば、摺動する金属の材質をクロム同士やアルミニウム同士にすると、焼き付きを起こし易くなる。
そこで、金属の材質を考えた上で、耐摩耗性に優れたコーティングを施すのが一般的であり、オイルリング本体2の外表面に窒化処理を施すのも同じ理由による。同様に、外周摺動面8Aには、必要に応じ、硬質皮膜としてPVD皮膜、DLC皮膜、樹脂被膜を被覆するのが好ましい。特に、クロム窒化物(CrN、CrN)からなる皮膜や、クロム窒化物(CrN、CrN)とクロム(Cr)の混合物からなるイオンプレーティング皮膜を形成することも耐摩耗性の観点から好ましく、また、クロム−ボロンよりなる窒化物(Cr−B−N)、DLC(水素フリーDLC、水素含有DLC、金属含有DLC等)等の皮膜を形成することによってもオイルリングの耐久性を向上させることができる。
なお、オイルリング本体2の材質については、特に限定されることはなく適宜設計が可能であるが、例えば、スチール製(鋼製)であることが、強度の観点より好ましく、特に、8Cr鋼、SUS410J1相当、SWRH77B相当、SUS440B相当であることが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試験例1:レール先端部が図3Bで示すような形状を有する場合>
[(a)実施例1〜9及び比較例1〜2:シリンダボア径が86mmの場合]
排気量が2000cc、シリンダボア径が86mmの直列4気筒ディーゼルエンジンの実機試験を行い、オイル戻し孔の窓角度θの大小により、オイルリング本体に生じるうねり量に違いが生じるか否かについての確認を行った。また、オイル戻し孔の開口幅Cの大小による、オイル消費量の違いについても確認を行った。なお、エンジンの運転条件は、全負荷で回転数4000rpm、8時間とした。
また、ピストンリングの組み合わせは、1stリング、2ndリング、オイルリングとした。
1stリングは、マルテンサイト系ステンレス鋼(JIS規格で、SUS410J1相当)からなる軸方向幅(h1)2.0mm、径方向幅(a1)3.1mmのものに窒化処理(窒化層の厚さ:100μm)を施した後、PVD法により、外周摺動面に対し、膜厚20μmのクロム窒化物とクロムの混合物からなる皮膜を被覆したものを用いた。2ndリングは、10Cr鋼からなる軸方向幅(h1)1.5mm、径方向幅(a1)3.1mmのものを用いた。
1stリングを構成するマルテンサイト系ステンレス鋼は、炭素(C):0.65質量%、ケイ素(Si):0.30質量%、マンガン(Mn):0.30質量%、クロム(Cr):13.5質量%、モリブデン(Mo):0.30質量%、リン(P):0.02質量%、硫黄(S):0.01質量%、残部が鉄(Fe)及び不可避不純物の組成を備え、かつ、窒化処理を施した後、上記PVD処理を施したものである。
2ndリングを構成する10Cr鋼は、炭素(C):0.50質量%、ケイ素(Si):0.21質量%、マンガン(Mn):0.30質量%、クロム(Cr):10.1質量%、リン(P):0.02質量%、硫黄(S):0.01質量%、残部が鉄(Fe)及び不可避不純物の組成を備えたものである。
オイルリングは、上述の実施形態で述べた2ピース構成の内燃機関用オイルリングを使用した。実施例1〜9及び比較例1〜2で用いるオイルリングは、オイルリング本体の軸方向幅(h1)が2.00mm、オイルリング径方向幅(a1)が2.00mmに設定されたもので共通とした。
また、実施例1〜9及び比較例1〜2で用いるオイルリングは、図3Bで示すような、第1レール及び第2レールの先端部が、第1の平坦部8A、第1の縮径部8B、第2の縮径部8C、第2の平坦部8D及び第3の平坦部8Eを有するとともに、距離abが距離cdよりも長く、かつ、角θabが角θcdよりも小さいもので共通とし(距離ab=96.8μm、距離cd=65.0μm、角θab=7.7°、角θcd=36.6°)、第1の縮径部8Bがピストン上方側、第2の縮径部8Cがピストン下方側になるように、ピストンに取り付けた。なお、実施例1〜9及び比較例1〜2の全てにおいて、第1レールの先端部及び第2レールの先端部の形状は略同一形状のものとした。
図11で示される、オイル戻し孔の開口幅C(mm)、オイル戻し孔の開口高さD(mm)及びオイル戻し孔のピッチE(mm)の各条件を表1に示す。表1に示すように、オイル戻し孔の開口高さDは0.55mmで共通とし、オイル戻し孔の開口幅C(mm)及びオイル戻し孔のピッチE(mm)は、実施例及び比較例ごとに条件が異なるように設定した。
なお、オイルリングを構成するオイルリング本体は、炭素(C):0.65質量%、ケイ素(Si):0.40質量%、マンガン(Mn):0.30質量%、リン(P):0.01質量%、硫黄(S):0.01質量%、クロム(Cr):13.6質量%、モリブデン(Mo):0.3質量%、残部が鉄(Fe)及び不可避不純物の組成(JIS規格で、SUS410J1相当)を備え、かつ、窒化処理を施した後、PVD法により、外周摺動面に対し、膜厚20μmのクロム窒化物とクロムの混合物からなる皮膜を被覆したものである。また、外周摺動面8Aにおけるシリンダ20との当たり幅X(図3Bにおけるaとcとの距離ac)は、0.02〜0.10mmで調整した。
なお、窒化処理を施した際に、オイルリング軸方向断面にて外周摺動面の窒化層(図12中、Fで示す層)を確認した結果、オイルリング径方向において、厚さ100μmの窒化層が形成されていることを確認した。そして、コイルエキスパンダは、炭素(C):0.55質量%、ケイ素(Si):1.41質量%、マンガン(Mn):0.65質量%、クロム(Cr):0.68質量%、銅(Cu):0.06質量%、リン(P):0.01質量%、硫黄(S):0.01質量%、残部が鉄(Fe)及び不可避不純物の組成のもの(SWOSC−V材相当)を用いた。
また、シリンダの材質は、普通鋳鉄とした。
実施例1〜9及び比較例1〜2では、シリンダボア径に対する張力比を0.2N/mmとしたオイルリングを使用して、オイル消費量の確認を行った。表1には、比較例1のオイル消費量を基準「100」とし、これに対する相対比で、試験ごとのオイル消費量比を示している。
また、オイルリング本体におけるうねり(μm)は、真円度測定器(製品名:RONDCOM55B、株式会社東京精密製)を用い、オイルリング本体の内周側における内周溝2e及びオイル戻し溝2d以外の部位2fを測定することにより、算出した。うねりの測定結果についても、表1に合わせて示す。
Figure 2020067539
[(b)実施例10〜13及び比較例3〜4:シリンダボア径が70mmの場合]
排気量が1500cc、シリンダボア径が70mmの直列4気筒ディーゼルエンジンの実機試験を行い、オイル戻し孔の窓角度θの大小により、オイルリング本体に生じるうねり量に違いが生じるか否かについての確認を行った。また、オイル戻し孔の開口幅Cの大小による、オイル消費量の違いについても確認をおこなった。
なお、実施例10〜13及び比較例3〜4で用いるオイルリングは、オイルリング本体の軸方向幅(h1)が2.00mm、オイルリング径方向幅(a1)が2.00mmに設定されたものを使用した。
また、オイル戻し孔の開口幅C(mm)、オイル戻し孔の開口高さD(mm)及びオイル戻し孔のピッチE(mm)の各条件は表2に示すとおりである。表2に示すように、オイル戻し孔の開口高さDは0.55mmで共通とし、オイル戻し孔の開口幅C(mm)及びオイル戻し孔のピッチE(mm)については、実施例及び比較例ごとに条件が異なるように設定した。
また、実施例10〜13及び比較例3〜4においては、オイルリング本体に対して窒化処理は行わず、PVD法により、外周摺動面に対し、膜厚20μmのクロム窒化物とクロムの混合物からなる皮膜を被覆したものを用いた。また、外周摺動面8Aにおけるシリンダ20との当たり幅X(図3Bにおけるaとcとの距離ac)は、0.02〜0.10mmで調整した。
なお、上記以外の試験条件については、「試験例1(a):実施例1〜9及び比較例1〜2」と同一であるため、説明を省略する。
実施例10〜13及び比較例3〜4では、シリンダボア径に対する張力比を0.2N/mmとしたオイルリングを使用して、オイル消費量の確認を行った。表2には、比較例3のオイル消費量を基準「100」とし、これに対する相対比で、試験ごとのオイル消費量比を示している。
また、「うねり(μm)」の結果についても、合わせて表2に示す。
Figure 2020067539
[(c)実施例14〜19及び比較例5〜6:シリンダボア径が116mmの場合]
排気量が10000cc、シリンダボア径が116mmの直列6気筒ディーゼルエンジンの実機試験を行い、オイル戻し孔の窓角度θの大小により、オイルリング本体に生じるうねり量に違いが生じるか否かについての確認を行った。また、オイル戻し孔の開口幅Cの大小による、オイル消費量の違いについても確認をおこなった。
なお、実施例14〜19及び比較例5〜6で用いるオイルリングは、オイルリング本体の軸方向幅(h1)が3.00mm、オイルリング径方向幅(a1)が2.35mmに設定されたものを使用した。
また、オイル戻し孔の開口幅C(mm)、オイル戻し孔の開口高さD(mm)及びオイル戻し孔のピッチE(mm)の各条件は表3に示すとおりである。表3に示すように、オイル戻し孔の開口高さDは、0.70mm又は0.55mmとし、オイル戻し孔の開口幅C(mm)及びオイル戻し孔のピッチE(mm)については、実施例及び比較例ごとに条件が異なるように設定した。
また、実施例14〜19及び比較例5〜6においては、オイルリング本体に対して窒化処理のみを行い、PVD法によるクロム窒化物とクロムの混合物からなる皮膜の被覆は行わなかった。また、外周摺動面8Aにおけるシリンダ20との当たり幅X(図3Bにおけるaとcとの距離ac)は、0.02〜0.15mmで調整した。
なお、上記以外の試験条件については、「試験例1(a):実施例1〜9及び比較例1〜2」と同一であるため、説明を省略する。
実施例13〜15及び比較例8〜10では、シリンダボア径に対する張力比を0.4N/mmとしたオイルリングを使用して、オイル消費量の確認を行った。表3には、比較例5のオイル消費量を基準「100」とし、これに対する相対比で、試験ごとのオイル消費量比を示している。
また、「うねり(μm)」の結果についても、合わせて表3に示す。
Figure 2020067539
<試験例2:レール先端部が図4Aで示すような形状を有する場合>
[(d)実施例20〜40及び比較例7〜13:種々のオイルリングにおける最終形状の測定]
試験例1で示したように、実施例1〜19及び比較例1〜6で用いたオイルリングは、レール先端部が図3Bで示すような形状を有する場合であったが、レール先端部が図4Aで示すような凹部段差を有する場合のオイルリングについても、上記と同様、オイル戻し孔の窓角度θの大小により、オイルリング本体に生じるうねり量に違いが生じるか否かについての確認を行った。
本試験例では、シリンダボア径が64.0〜147.0mmのオイルリングの最終形状を測定した。なお、実施例20〜40及び比較例7〜13で用いるオイルリングは、表4及び表5に示すように、実施例及び比較例ごとに条件が異なるように設定した。
なお、実施例20〜40及び比較例7〜13においては、オイルリングを構成するオイルリング本体は、炭素(C):0.70質量%、ケイ素(Si):0.25質量%、マンガン(Mn):0.30質量%、リン(P):0.01質量%、硫黄(S):0.01質量%、クロム(Cr):8.05質量%、残部が鉄(Fe)及び不可避不純物の組成(8Cr鋼相当)とし、オイルリング本体に対して窒化処理をして、PVD法により、外周摺動面に対し、膜厚20μmのクロム窒化物とクロムの混合物からなる皮膜を被覆したものを用いた。また、図4Aで示す、外周摺動面8Aにおけるシリンダ20との当たり幅Xは、0.05〜0.20mmで調整した。
「うねり(μm)」の結果についても、合わせて表4及び表5に示す。
Figure 2020067539
Figure 2020067539
[(e)実施例41〜51及び比較例14〜17:オイル消費量比の測定も含めた試験] 実施例20〜40及び比較例7〜13と同様、レール先端部が図4Aで示すような凹部段差を有する場合のオイルリングについて、オイル戻し孔の窓角度θの大小により、オイルリング本体に生じるうねり量に違いが生じるか否かについての確認を行った。また本試験例では、更に、オイル戻し孔の開口幅Cの大小による、オイル消費量の違いについても確認をおこなった。
本試験例では、シリンダボア径が83.0mm又は95.0mmのオイルリングの直列4気筒ディーゼルエンジンの実機試験を行った。なお、実施例41〜51及び比較例14〜17で用いるオイルリングは、表6に示すように、実施例及び比較例ごとに条件が異なるように設定した。
なお、実施例41〜51及び比較例14〜17においては、上記試験例2(d)と同様、オイルリングを構成するオイルリング本体は、炭素(C):0.70質量%、ケイ素(Si):0.25質量%、マンガン(Mn):0.30質量%、リン(P):0.01質量%、硫黄(S):0.01質量%、クロム(Cr):8.05質量%、残部が鉄(Fe)及び不可避不純物の組成(8Cr鋼相当)とした。そして、シリンダボア径が95.0mmの場合は、オイルリング本体に窒化処理をして、PVD法により、外周摺動面に対し、膜厚20μmのクロム窒化物とクロムの混合物からなる皮膜を被覆したものを用いた。また、シリンダボア径が83.0mmの場合は、オイルリング本体に窒化処理はせず、直接PVD皮膜を被覆した。なお、シリンダボア径が83.0mmの場合も、膜厚20μmのクロム窒化物とクロムの混合物からなるPVD皮膜を用いた。更に、図4Aで示す、外周摺動面8Aにおけるシリンダ20との当たり幅Xは、0.05〜0.20mmで調整した。
なお、上記以外の試験条件については、「試験例1(a):実施例1〜9及び比較例1〜2」と同一であるため、説明を省略する。
実施例41〜51及び比較例14〜17では、シリンダボア径が95.0mmの場合は、シリンダボア径に対する張力比を0.26N/mmとしたオイルリングを使用し、シリンダボア径が83.0mmの場合は、シリンダボア径に対する張力比を0.2N/mmとしたオイルリングを使用して、オイル消費量の確認を行った。表6には、比較例14又は比較例16のオイル消費量を基準「100」とし、これに対する相対比で、試験ごとのオイル消費量比を示している。
また、「うねり(μm)」の結果についても、合わせて表6に示す。
Figure 2020067539
<実施例と比較例との対比>
表1(試験例1(a):レール先端部が図3Bで示すような形状を有し、かつ、シリンダボア径が86mmの場合)の結果に示すように、実施例1〜9は、うねり量が6.0μm以下と良好な結果が得られた。なお、窓角度θが5.33°以下を満足する実施例1〜8は、うねり量が2.0μm以下とより良好な結果が得られ、窓角度θが4.0°以下を満足する実施例2〜8は、うねり量が1.0μm以下と更に良好な結果が得られた。
一方、比較例1〜2は、うねり量が6.0μm超であることから、オイル消費量比は良好な結果が得られなかった。
続いて、表2(試験例1(b):レール先端部が図3Bで示すような形状を有し、かつ、シリンダボア径が70mmの場合)や表3(試験例1(c):レール先端部が図3Bで示すような形状を有し、かつ、シリンダボア径が116mmの場合)の結果についても表1の結果と同様、うねり量が6.0μm以下の場合は、オイル消費量比は良好な結果が得られたが、うねり量が6.0μmを超える比較例は、オイル消費量比は良好な結果が得られなかった。
また、表4及び表5(試験例2(d):レール先端部が図4Aで示すような形状を有し、かつ、種々のオイルリングにおける最終形状の測定を行った場合)の結果については、図13に示すように、窓角度とうねり量の相関があり、オイルリングの形状が種々の場合であっても、窓角度が小さくなると、うねり量も小さくなることが分かる。
さらに、表6(試験例2(e):レール先端部が図4Aで示すような形状を有し、かつ、オイル消費量比の測定も含めた試験の場合)の結果についても、表1〜表3の結果と同様、うねり量が6.0μm以下の場合は、オイル消費量比は良好な結果が得られたが、うねり量が6.0μmを超える比較例は、オイル消費量比は良好な結果が得られなかった。
以上の結果より、本発明に係る内燃機関用オイルリングは、うねり量を所定範囲に設定することで、オイルシール性能を向上させることができることが分かった。また、オイル戻し孔の窓角度を所定範囲に設定することで、内燃機関用オイルリングが掻き落としたオイルをオイルドレイン孔へ排出することが可能となり、オイル消費量を低減することができることも分かった。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2018年9月28日付けで出願された日本特許出願(特願2018−184525)に基づいており、その全体が引用により援用される。
1 内燃機関用オイルリング(2ピースオイルリング)
2 オイルリング本体
2a 合口部
2b コイルエキスパンダ収容凹部
2c 外周溝
2d オイル戻し溝
2e 内周溝
2f 内周溝及びオイル戻し溝以外の部位
3 コイルエキスパンダ
4 ウェブ
5 第1レール
6 第2レール
7 オイル戻し孔
8 (レール)先端部
8A 外周摺動面(第1の平坦部、摺動面)
8B 第1の縮径部
8C 第2の縮径部
8D 第2の平坦部
8E 第3の平坦部
8F 凹部段差
8G 表面処理層
10 ピストン
11 オイルリング溝
12 オイルドレイン孔
20 シリンダ
21 (シリンダ)内壁面
30 窒化層
40 真円ゲージ
40A 真円ゲージの内周面
41 触針
42 上下ゲージ
C オイル戻し孔の開口幅
D オイル戻し孔の開口高さ
E オイル戻し孔のピッチ
ウェブの周方向におけるピッチの一端
ウェブの周方向におけるピッチの他端
F 窒化層の厚さ
G オイルリング本体2の中心点(重心)
a1 オイルリング本体の径方向幅
h1 オイルリング本体の軸方向幅
θ オイル戻し孔の窓角度

Claims (13)

  1. オイルリングの断面形状が略I字型のオイルリング本体と、該オイルリング本体の内周側に配置されるコイルエキスパンダとを備え、
    前記オイルリング本体は、シリンダ内壁面と当接する第1レール及び第2レールと、該第1レール及び該第2レールがシリンダの内壁面より掻き落としたオイルをピストン裏面へ流下させるための複数のオイル戻し孔を備えるウェブとで構成され、
    前記オイルリング本体の内周側における内周溝及びオイル戻し溝を除いた部分、及び前記オイルリング本体の外周側における摺動面を除いた部分の少なくとも一方におけるうねりが6.0μm以下であることを特徴とする内燃機関用オイルリング。
  2. 前記オイルリング本体は、前記オイル戻し孔が形成されたオイルリング用線材の巻き取り加工により形成される、請求項1に記載の内燃機関用オイルリング。
  3. 前記オイルリング本体における前記オイル戻し孔の窓角度θが10.0°以下である、請求項1又は2に記載の内燃機関用オイルリング。
  4. 前記摺動面における前記シリンダとの当たり幅は、0.01〜0.25mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  5. 前記オイルリング本体の周方向における、前記オイル戻し孔の長さをC、前記オイル戻し孔のピッチをEとした場合、E/C≦3.8である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  6. 前記オイルリング本体はスチール製である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  7. 前記オイルリング本体の表面に窒化処理が施されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  8. 前記オイルリング本体の前記摺動面には、硬質皮膜として、PVD皮膜、DLC皮膜、及び樹脂皮膜の少なくとも1つを被覆している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  9. 前記摺動面の隅部に凹部段差が形成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  10. 前記第1レールの先端部及び前記第2レールの先端部は、
    前記シリンダ内壁面に当接する略平坦な第1の平坦部と、
    前記第1の平坦部から前記オイルリング本体の軸方向の一方に沿って縮径する第1の縮径部と、
    前記第1の縮径部に連続する第2の平坦部と、
    前記第1の平坦部から前記オイルリング本体の軸方向の他方に沿って縮径する第2の縮径部を介して、又は直接的に、前記第1の平坦部に連続する第3の平坦部と、を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  11. 前記先端部が前記第2の縮径部を備える場合、
    前記オイルリング本体の軸方向に平行な面で切断した断面視において、
    前記第1の縮径部の一端をa、他端をbとし、前記第2の縮径部の一端をc、他端をdとしたときに、
    前記aと前記bとの距離abは、前記cと前記dとの距離cdよりも長く、かつ、
    前記aと前記bとをつなぐ直線と、前記シリンダ内壁面に平行な直線とのなす角θabは、前記cと前記dとをつなぐ直線と、前記シリンダ内壁面に平行な直線とのなす角θcdよりも小さい、請求項10に記載の内燃機関用オイルリング。
  12. 前記オイルリング本体の周方向における、前記オイル戻し孔の長さをCとした場合、C≧1.0mmである、請求項2〜11のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
  13. 前記オイルリング本体の軸方向における、前記オイル戻し孔の高さをDとした場合、D≧0.3mmである、請求項2〜12のいずれか1項に記載の内燃機関用オイルリング。
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