JPWO2020059635A1 - 紙筒 - Google Patents
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Abstract
Description
プラスチック製品の多くは、適切に処分されているが、その一部は、管理不十分や不法投棄により、環境中にごみとして流出してしまい、最終的に海に到達する。海洋中に流出するプラスチックごみの量は、年間800万トン以上にのぼると推測されている。これらのプラスチックごみの多くは非生分解性であるため、そのほとんどが海洋中に蓄積され、2050年には、海洋中のプラスチック総量は魚類の総量(重量ベース)を上回ると予測されている。
1.第一の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる内層と、第二の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる外層とを有し、
前記第一および第二の帯状原紙が低吸水面と易吸水面とを備え、
内面が前記第一の帯状原紙の低吸水面、外面が前記第二の帯状原紙の低吸水面から形成されていることを特徴とする紙筒。
2.前記第一の帯状原紙と前記第二の帯状原紙とが、接着剤で接着されていることを特徴とする1.に記載の紙筒。
3.内層と外層との間に、第三の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる中間層を有し、
前記第三の帯状原紙が、両面が易吸水面であり、各層間が接着剤で接着されていることを特徴とする1.に記載の紙筒。
4.前記第一の帯状原紙の低吸水面、第二の帯状原紙の低吸水面のいずれか、または両方が、外添サイズ剤が塗工されていることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の紙筒。
5.前記第一の帯状原紙の易吸水面、第二の帯状原紙の易吸水面のいずれか、または両方が、親水性界面活性剤が塗工されていることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の紙筒。
11 内層
110 第一の帯状原紙
111 第一の帯状原紙の低吸水面
112 第一の帯状原紙の易吸水面
12 外層
120 第二の帯状原紙
121 第二の帯状原紙の低吸水面
122 第二の帯状原紙の易吸水面
本発明の紙筒は、第一の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる内層と、第二の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる外層とを有する。本発明の紙筒に使用する第一および第二の帯状原紙は、低吸水面と易吸水面とを備えており、紙筒の内面が第一の帯状原紙の低吸水面、紙筒の外面が第二の帯状原紙の低吸水面から形成されている。
一実施態様である紙筒1は、内層11と外層12とを有し、内層11は第一の帯状原紙110が螺旋状に巻回されてなり、外層12は第二の帯状原紙120が螺旋状に巻回されてなる。第一の帯状原紙110は低吸水面111と易吸水面112を、第二の帯状原紙120は低吸水面121と易吸水面122を備えている。紙筒1は、その内面が第一の帯状原紙110の低吸水面111、外面が第二の帯状原紙120の低吸水面121から形成されている。また、第一の帯状原紙110の易吸水面112と、第二の帯状原紙120の易吸水面122とは、接着剤(図示せず)により、貼り合わされている。
本発明の紙筒は、各層間での剥離が生じにくく、耐水性に優れているため、水と接触する用途に利用することができ、例えば、ストロー、マドラー等として好適に利用することができる。
ここで、紙筒の一層を、2本以上の帯状原紙で形成することは、1本の帯状原紙を螺旋状に巻回して形成した紙筒において、帯状原紙を長さ方向に沿って2本以上に切断したことと同義であり、本発明の技術的思想の範囲内である。
本発明において、帯状原紙は、紙筒用原紙を所定の幅に裁断し、帯状とすることにより製造される。帯状原紙の幅は特に制限されず、製造する紙筒の径に応じて適宜調整することができるが、通常、8mm以上40mm以下程度である。
第一および第二の帯状原紙を形成するための紙筒用原紙は、低吸水面と易吸水面とを備えている。本発明で使用する低吸水面と易吸水面とを備える紙筒用原紙は、その両面で吸水量が異なる原紙を特に制限することなく使用することができ、例えば、基紙の片面に外添サイズ剤や親水性界面活性剤等の吸水性を調整する目的で配合する薬剤(以下、吸水性調整薬剤ともいう。)を含む塗工液を塗工する等により製造することができる。この際、基紙の他面には、吸水性調整薬剤を含まない塗工液、吸水性調整薬剤の濃度が異なる塗工液、または片面に塗布した吸水性調整薬剤とは吸水性への作用が相反する吸水性調整薬剤を含む塗工液を塗工することができ、または、塗工を行わなくてもよい。また、第一の帯状原紙となる紙筒用原紙と第二の帯状原紙となる紙筒用原紙において、低吸水面または易吸水面を形成するための塗工等の処理は、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、吸水性への作用が相反する吸水性調整薬剤とは、片面(裏面)に塗布した吸水性調整薬剤と吸水性に関して逆の働きをする薬剤を意味し、例えば、片面に吸水度の値を大きくする薬剤が塗布された場合、吸水度の値を小さくする薬剤のことである。
また、易吸水面は、低吸水面のJIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)により得られる吸水度よりも、吸水度が大きければよく、1g/m2以上大きいことが好ましく、3g/m2以上大きいことがより好ましく、5g/m2以上大きいことがさらに好ましい。
基紙は、パルプ、填料、各種助剤等からなる。
本発明の紙筒を、ストローやマドラー等の飲食品や口に接触する用途(以下、食器用途という)に使用する場合、原料として、食品添加物として認可を受けている、またはFDA認証取得済み等、食品安全性に適合したものを使用することが好ましい。
ただし、本発明の紙筒を、食器用途に使用する場合、異物混入が発生し難いLBKP、NBKP等の化学パルプが好ましく、また、古紙パルプの配合量が少ないことが好ましい。具体的には、化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、化学パルプの配合量が100%であることが特に好ましい。
基紙の製造(抄紙)方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。
また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
基紙の片面のみに吸水性調整薬剤を含む塗工液を塗工し、他面は吸水性調整薬剤を含まない塗工液を塗工する、あるいは塗工液を塗工しない、または、両面に吸水性調整薬剤の配合が異なる塗工液を塗工する、あるいは両面に吸水性への作用が相反する吸水性調整薬剤を含む塗工液を塗工することで、低吸水面と易吸水面を備える紙筒用原紙を得ることができる。吸水性調整薬剤としては、吸水度を大きくまたは小さくするものを特に制限することなく使用することができ、例えば、外添サイズ剤、親水性界面活性剤等が挙げられる。
本発明の帯状原紙は、片面が低吸水面、他面が易吸水面であり、一面に外添サイズ剤や親水性界面活性剤等の吸水性調整薬剤を含む塗工液を塗工することにより製造することができる。塗工方法は、吸水性調整薬剤を含む塗工液を塗工できる方法であれば特に制限されず、他面は、吸水性調整薬剤を含まない、吸水性調整薬剤の配合が異なる、吸水性への作用が相反する吸水性調整薬剤を含む塗工液を塗工してもよく、または、塗工を行わなくてもよい。塗工装置としては、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ビルブレードコーター、ベルバパコーター等の公知のサイズプレス装置を用いることが好ましく、紙筒用原紙を連続生産することができ、生産効率に優れているため、抄紙ラインに設置されているオンマシンタイプのサイズプレス装置を用いることが特に好ましい。
さらに、紙筒用原紙を所定の幅に裁断することにより、本発明で使用する帯状原紙を製造することができる。
本発明の紙筒は、各層間が接着剤で貼り合わされてなる。この接着剤としては、公知の接着剤を特に制限することなく使用することができる。例えば、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、澱粉系、アクリル系、エポキシ系等の接着剤を使用することができる。これらの中で、水溶性、または、水系エマルションを含む水分散性の接着剤が、製造時の環境負荷が小さく、また、食器用途として安心して使用できるため好ましい。さらに、生分解性である接着剤が、環境への負荷が小さい点から好ましい。
本発明の紙筒を、食器用途として使用する場合、食品添加物として認可を受けている、食品衛生法に適合している、またはFDA認証取得済み等、食品安全性に適合した接着剤を使用することが好ましい。
本発明の紙筒は、公知の方法で製造することができる。すなわち、紙筒用原紙を裁断して帯状原紙とし、帯状原紙をマンドレル(鉄芯)にスパイラル巻きしながら接着剤で貼り付けることにより、本発明の紙筒を製造することができる。接着剤は、ロール状の帯状原紙を繰り出してマンドレルに巻きつけるまでの間に、帯状原紙の片面、または両面に塗布することができる。
「実施例1」
坪量80g/m2の基紙の片面に酸化澱粉(日本コーンスターチ株式会社 SK100)を2.1g/m2で塗工し易吸水面を作製した。なお、JIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による易吸水面の吸水度は24.3g/m2であった。
ついでこの基紙の他面に、酸化澱粉(日本コーンスターチ株式会社 SK100)およびスチレンアクリルサイズ剤(栗田工業株式会社 PERGLUTIN A288)を固形分重量比15:3となるよう混合した塗工液を2.6g/m2で塗工し低吸水面を作製することで紙筒用原紙を得た。JIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による低吸水面の吸水度は18.7g/m2であった。
この紙筒用原紙を、幅16mmに裁断して、低吸水面および易吸水面を備えた第一および第二の帯状原紙を得た。
低吸水面のスチレンアクリルサイズ剤をAKDサイズ剤(星光PMC株式会社 SE2366)とし、塗工量を2.5g/m2とした以外は、実施例1と同様にして紙筒用原紙を得た。この紙筒用原紙のJIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による低吸水面の吸水度は16.7g/m2であった。
この紙筒用原紙を用いて、実施例1と同様の方法で紙筒を得た。
低吸水面の酸化澱粉をエチレン変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ社 エクセバールRS4104)とし、塗工量を2.6g/m2とした以外は実施例1と同様にして紙筒用原紙を得た。この紙筒用原紙のJIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による低吸水面の吸水度は14.8g/m2であった。
この紙筒用原紙を用いて、実施例1と同様の方法で紙筒を得た。
低吸水面の酸化澱粉をエチレン変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ社 エクセバールRS4104)、スチレンアクリルサイズ剤をAKDサイズ剤(星光PMC株式会社 SE2366)とし、塗工量を2.7g/m2とした以外は実施例1と同様にして紙筒用原紙を得た。この紙筒用原紙のJIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による低吸水面の吸水度は13.6g/m2であった。
この紙筒用原紙を用いて、実施例1と同様の方法で紙筒を得た。
坪量110g/m2、JIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による吸水度が両面とも16.3g/m2である基紙の片面のみに、界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール465)を塗工量0.02g/m2で塗工し易吸水面とし、紙筒用原紙を得た。易吸水面のJIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による吸水度は28.1g/m2であった。また、非塗工面である低吸水面の吸水度は、裏面への界面活性剤の塗工の前後で変化はなかった。
この紙筒用原紙を用いて、実施例1と同様の方法で紙筒を得た。
坪量60g/m2の基紙を用いた以外は、実施例5と同様にして紙筒用原紙を得た。塗工面である易吸水面、非塗工面である低吸水面のJIS P8140に規定されるコッブ法(接触時間30秒)による吸水度は、それぞれ29.9g/m2、16.2g/m2であった。
この紙筒用原紙を用いて、実施例1と同様の方法で紙筒を得た。
上記実施例で製造した紙筒を常温の水を入れたコップに30分浸漬し、浸漬部分で剥離の有無を目視で確認した。
実施例1〜6で製造した紙筒は、いずれも30分浸漬した後も、内層と外層との間で剥離が生じず、紙ストローとして好適に使用することが可能であった。
図2に、耐水性試験2の模式図を示す。
上記実施例で抄紙した各紙筒用原紙を5cm×20cmの短冊状に2枚断裁し、紙筒の作成に使用したのと同じポリ酢酸ビニル系接着剤を片側の原紙の易吸水面側にマイヤーバーを用いて固形分30g/m2となるように短辺側端部から3cmの領域を除いて塗工した。次いで、もう片側の原紙の易吸水面側を前記接着剤の塗工面に貼り合わせ、一晩乾燥させて試験片を得た。
試験片の接着されていない部分で、一方の原紙をクリップでワイヤーに固定し、他方の原紙の短辺側端部に100gの重りをクリップで固定した状態で、水7Lを入れた10L容器に重りが容器底面に接触しないよう試験片全体を浸漬した。試験片の接着面が重りを固定した端部側から5cm剥離するまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜6で製造した紙筒用原紙は、100g/5cm幅の加重が加わった状態で、5cm剥離するまでに5分以上の時間を要し、耐水性は良好であった。
Claims (5)
- 第一の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる内層と、第二の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる外層とを有し、
前記第一および第二の帯状原紙が低吸水面と易吸水面とを備え、
内面が前記第一の帯状原紙の低吸水面、外面が前記第二の帯状原紙の低吸水面から形成されていることを特徴とする紙筒。 - 前記第一の帯状原紙と前記第二の帯状原紙とが、接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1に記載の紙筒。
- 内層と外層との間に、第三の帯状原紙が螺旋状に巻回されてなる中間層を有し、
前記第三の帯状原紙が、両面が易吸水面であり、各層間が接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1に記載の紙筒。 - 前記第一の帯状原紙の低吸水面、第二の帯状原紙の低吸水面のいずれか、または両方が、外添サイズ剤が塗工されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紙筒。
- 前記第一の帯状原紙の易吸水面、第二の帯状原紙の易吸水面のいずれか、または両方が、親水性界面活性剤が塗工されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紙筒。
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