JPWO2020022518A1 - 筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤 - Google Patents

筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤 Download PDF

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Abstract

Necdinを有効成分とする、筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤であって、Necdin又はその変異体、ならびに、それらの誘導体又は修飾体であってもよく、Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有するものであってもよく、Necdinの存在量や機能・活性を上昇させる化合物であってもよい。

Description

本発明は、筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤に関する。
筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)を含む神経疾患は、運動神経の変性により、全身の筋肉が萎縮して筋力低下が生じる神経変性疾患である。その一方で、知覚神経系は障害されず、感覚器官や視力・聴力、認知機能などの機能低下はほとんど起こらない。そのため患者の多くは自身の身体機能が次第に衰えていくのを日々実感することとなり、その精神的苦痛は計り知れない。
ALSの発症機序についてはよく分かっていない点も多く、残念ながらALSには未だ有効な治療法が存在しない。現在承認されているのはリルゾール(商品名リルテック)とエダラボン(商品名ラジカット)の2剤であるが、いずれも症状の進行を若干遅らせる程度の対症療法薬であり、十分な効果は認められていない。
一方、本願発明者らは、核蛋白質のNecdinがパーキンソン病において、ミトコンドリアの機能を上昇させることにより、強力な神経保護効果を有することを報告している(非特許文献1参照)。
Koichi Hasegawa et al., Nature Communications, 2016, doi: 10.1038/ncomms10943
本発明は、新規な筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤に関するものである。
本発明は、下記〔1〕〜〔7〕に関する。
〔1〕 Necdinを有効成分とする、筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤。
〔2〕 Necdinもしくはその変異体、又は、それらの誘導体もしくは修飾体を含む、前記〔1〕記載の予防剤及び/又は治療剤。
〔3〕 Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有する、前記〔1〕記載の予防剤及び/又は治療剤。
〔4〕 Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターを含有する、前記〔3〕記載の予防剤及び/又は治療剤。
〔5〕 アデノ随伴ウイルスベクターである、前記〔4〕記載の予防剤及び/又は治療剤。
〔6〕 血清型1、血清型8又は血清型9のアデノ随伴ウイルスベクターである、前記〔5〕記載の予防剤及び/又は治療剤。
〔7〕 神経疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)である、前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の予防剤及び/又は治療剤。
〔8〕 前記〔1〕〜〔7〕いずれか記載の予防剤及び/又は治療剤を含有してなる医薬組成物。
本発明の筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤は、生存期間が延長される、運動ニューロンの細胞死が抑制される、機能予後が改善するなどという優れた効果を奏する。
図1は、ALS培養細胞における細胞生存率を調べた結果を示す図である。 図2は、ALSモデルマウスに筋肉内投与により遺伝子導入したeGFPの発現を調べた結果(脊髄)を示す図である。 図3は、ALSモデルマウスに側頭静脈内投与により遺伝子導入したeGFPの発現を調べた結果(大脳及び脊髄)を示す図である。 図4は、ALSモデルマウスに側頭静脈内投与により遺伝子導入したNecdinの発現を調べた結果(脊髄)を示す図である。 図5は、ALSモデルマウスにおける運動機能障害抑制を調べた結果(ぶら下がり時間)を示す図である。 図6は、ALSモデルマウスにおける運動機能障害抑制を調べた結果を示す図(ローターから落下するまでの時間)である。 図7は、ALSモデルマウスにおけるKaplan-Meier生存曲線を調べた結果を示す図である。 図8は、ALSモデルマウスにおける運動機能障害抑制を調べた結果を示す図(ローターから落下するまでの時間)である。
本発明の筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤は、Necdin(ネクジン)を有効成分とすることに特徴を有する。以降、本発明の筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤のことを、単に、本発明の予防剤及び/又は治療剤と記載することもある。
本発明の予防剤及び/又は治療剤は、Necdin蛋白をアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いて、又は、Necdinを上昇させる化合物を、難治性かつ致死的神経疾患の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスに投与することにより、生存期間が延長される、運動ニューロンの細胞死が抑制される、機能予後が改善するなどという予想外の新知見を見出したことに基づくものである。当該Necdinは、本発明者らが既に、パーキンソン病においてミトコンドリアの機能を上昇させることで神経保護作用を示すことを見出しているが、パーキンソン病は一般にα-シヌクレイン蛋白質の異常凝集によって神経細胞死が誘導されることが知られており、そのような状況下でNecdinが作用していることが示唆される。一方、ALSにおいては、α-シヌクレイン蛋白質の異常凝集は認められないが、Cu、Zn-superoxide dismutase(SOD1)の遺伝子変異やRNA制御蛋白TAR DNA-binding protein(TDP-43)の細胞内局在異常が見出されており、本発明者らが鋭意検討した結果、詳細なメカニズムは不明であるものの、Necdinが、意外にも、SOD1の遺伝子変異に基づく活性酸素による傷害に対して保護作用を示すことを見出した。公知のALS治療薬は神経興奮毒性や酸化ストレスに対処するものであることを鑑みると、本発明のNecdinは従来とは異なる経路に基づいてALSに有効であることから、従来のALS治療薬に比べてより有用であると推察される。但し、これらの推測は、本発明を限定するものではない。
Necdinは、神経分化させた多能性幹細胞に誘導される蛋白質として同定された核蛋白質であり、necdin (NDN) 遺伝子は、哺乳類に特有のゲノム刷込み現象によって父親由来のもののみが発現する。Necdin は MAGE(melanoma antigen)ファミリーに属する蛋白質と高度に保存されたホモロジー領域を共有する。ヒトNecdin遺伝子はPrader-Willi症候群欠損領域である染色体15q11-12に存在し、同症候群の原因遺伝子と考えられている。Necdinは、最終分化したニューロンなどに発現し、ニューロンや筋肉などの分裂終了細胞の増殖や細胞死を抑制して分化状態を維持する。細胞周期やアポトーシスの制御に関わる転写因子であるE2F1やp53と結合し、その活性を抑制することが知られ、多方面な作用を介して神経保護に繋がる。また、Necdinは、ミトコンドリアの働きを促進するタンパク質PGC-1αを安定化する作用をも有することが本発明者らによって報告されている。なお、Necdinは、NCBI及びSWISS Protのような公知のデータベースを参照することにより、該タンパク質の分子量、等電点、構成アミノ酸、遺伝子配列等の情報を得ることができ、例えば、ヒトNecdinは、NCBI accession number NP_002478により参照することができる。
本発明においては、前記したNecdinを用いることができるが、体内においてNecdinとして機能することができるのであれば、その態様は特に限定されない。例えば、Necdinの「変異体」、「誘導体」及び「修飾体」が挙げられる。
Necdinの「変異体」とは、Necdinのアミノ酸配列の一箇所〜数箇所において、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は、付加(以下、まとめて「置換等」という)されたものであって、且つ、Necdin活性を有するもの、を意味する。「数箇所」とは、通常3箇所程度、好ましくは2箇所程度である。「数個」とは、通常10個程度、好ましくは5個程度、より好ましくは3個程度、更に好ましくは2個程度である。複数箇所で置換等される場合には、置換、欠失、挿入、及び付加の何れか一つであっても良く、二つ以上が組み合わされていても良い。また、置換等されるアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であってもよく、そのアシル化体等の修飾物であってもよく、人工的に合成されたアミノ酸類似体であってもよい。
Necdinの「誘導体」とは、Necdin又はその変異体のアミノ酸配列を含み、さらに別のペプチド又はタンパク質が付加された融合ペプチドであり、且つ、Necdinの有する生物活性の少なくとも一部を保持する融合ペプチドを意味する。このような生物活性の少なくとも一部を有する融合ペプチドを、Necdinの誘導体ともいう。本発明の誘導体において、Necdin又はその変異体の、C末端又はN末端の一方に付加ペプチドが融合されていてもよく、C末端及びN末端の両方に付加ペプチドが融合されたものであっても良い。付加されるペプチドとしては、特に限定されないが、そのペプチド自身が生理活性を有さないものが好ましい。また、付加ペプチドは直接結合していてもよく、1〜数個のアミノ酸からなるリンカー配列を介して結合していても良い。リンカー配列としては、様々なものが知られているが、Gly、Ala、Ser等を多く含むものが好ましく使用される。
Necdinの「修飾体」とは、Necdin又はその変異体に含まれるアミノ酸の1箇所から数箇所が、別の化学物質との化学反応により修飾されたもので、且つ、Necdinの有する生物活性の少なくとも一部を保持するもの、を意味する。修飾を受ける部位は、Necdinの活性を保持する限り、いずれの部位を選択してもよい。例えばポリマーのようなある程度大きな化学物質を付加する修飾では、Necdinの活性部位、又は、受容体結合部位以外の箇所において修飾されることが好ましい。また、分解酵素による切断を防止するための修飾の場合、当該切断を受ける箇所が修飾されたものも採用する事ができる。また、別の化学物質は直接結合していてもよく、1〜数個のアミノ酸からなるリンカー配列を介して結合していても良い。リンカー配列としては、前記と同様のものが好ましく使用される。
本発明においては、Necdin及びその変異体は、天然の細胞又は組織から採取されたものでもよく、遺伝子工学的、細胞工学的な手法を用いて調製したものであってもよく、化学合成したものであってもよい。このような調製は、公知技術に従って行うことができる。また、誘導体及び修飾体も、公知技術に従って調製することができる。
また、Necdinの薬学的に許容される塩を用いてもよい。薬学的に許容される塩としては、無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、又は有機酸、例えばギ酸、酢酸、酪酸、コハク酸、クエン酸等の酸付加塩を挙げることができる。また、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等の金属塩、有機塩基による塩の形態をとるものであってもよい。
本発明の一態様として、Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有する本発明の予防剤及び/又は治療剤を挙げることができる。具体的には、例えば、Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターを挙げることができる。
ベクターは、宿主細胞において自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、Necdinをコードする遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
また、本発明では、動物細胞での発現効率の観点から、ベクターはウイルスベクターであることが好ましい。本発明に用いられるウイルスベクターとしては、動物細胞への感染用ウイルスベクター等が例示されるが、なかでも、アデノ随伴ウイルスベクターが好ましい。アデノ随伴ウイルスベクターの血清型は特に限定されないが、異なる血清型を組み合わせたハイブリッドカプシドを有するアデノ随伴ウイルスベクター(例えば、AAV-DJ、AAV-DJ/8など)でないことが好ましい。アデノ随伴ウイルスベクターの血清型は、血清型1、血清型8又は血清型9のアデノ随伴ウイルスベクターであってもよい。アデノ随伴ウイルスベクターは、各血清型の野生型カプシドを有するものであってもよく、変異型カプシドを有するものであってもよい。変異型カプシドとしては、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は、付加されたカプシドが挙げられる。変異型カプシドを有するアデノ随伴ウイルスベクターは、血清型9のアデノ随伴ウイルスベクターであってもよい。
本発明では、かかるウイルスベクターを用いることにより、かかるベクターの形質転換体から産生されるウイルス粒子は動物細胞に感染可能となり、動物細胞においてより高い効率でNecdinを発現することが可能となる。従って、本発明の予防剤及び/又は治療剤としては、前記ウイルスベクターから作製されたウイルス粒子からなる剤や、ウイルスベクターと該ウイルスベクターから作製されたウイルス粒子を組み合わせた剤もまた、本発明に含まれる。
本発明におけるウイルス粒子とは、前記ベクターを各種宿主細胞に導入し、それらに適した通常の培養方法に従って培養することにより、形質転換体及び/又は培養液より回収される。得られた回収物、即ち、ウイルス粒子は、培養液と形質転換体のいずれも含んでいてもよいが、公知の遠心分離法により精製して、濃縮することができる。
またさらに、生体内におけるNecdin存在量や機能・活性を上昇させる化合物も本発明の予防剤及び/又は治療剤として挙げることができる。具体的には、アシルアミノフェニル基を有する化合物などを挙げることができる。
本発明の予防剤及び/又は治療剤は、Necdinを含有するのであれば、その他の成分は特に限定されない。本発明の予防剤及び/又は治療剤におけるNecdinの含有量としては通常0.00001〜100重量%程度である。
本発明のNecdinは、ALS、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症、多発性硬化症を含む神経疾患やそれに基づく症状の予防剤、改善剤、及び/又は治療剤として好適に用いることができる。神経疾患としては、神経変性疾患(ALS、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症など)、炎症性神経疾患(多発性硬化症など)、虚血性脳疾患、外傷性脳障害が含まれる。本発明において「神経変性疾患」とは、虚血以外を原因として神経系細胞が死滅する疾患を意味する。
本発明の予防剤及び/又は治療剤は、Necdinを体内にて存在させることができるのであれば、その形態は限定されない。例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、乳剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等の経口製剤又は非経口製剤等の剤として製剤化することができる。血中への吸収性や血中からの中枢神経組織への移行性が高いことから、経口製剤として製剤化してもよい。
本発明の予防剤及び/又は治療剤の投与量は、その形態や投与目的、当該剤の投与対象の種類、年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。例えば、本発明のNecdinの有効ヒト投与量としては、一日当たり、0.01〜100mg/kg程度が好ましく、1〜50mg/kg程度がより好ましい。投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で又は数回に分けて行ってもよい。投与期間も任意である。例えば、一日一回経口投与される態様が例示される。
本発明の予防剤及び/又は治療剤の投与対象とは、ALSを含む神経疾患の治療を必要とするヒトであるが、ウシ、ウマ、ヤギ等の家畜動物、イヌ、ネコ、ウサギ等のペット動物、又は、マウス、ラット、モルモット、サル等の実験動物であってもよい。また、神経疾患であると診断された患者以外に、神経疾患の症状が出ていなくても、家族歴や他の臨床検査データから将来神経疾患を発症する畏れがあると疑われる被験者であってもよい。症状の程度としては、初期・中期・末期のいずれであってもよい。
また、本発明は、本発明の予防剤及び/又は治療剤を含有する医薬組成物を提供する。該組成物の形態としては、Necdinを体内に取り込むことができる形態であれば特に限定はなく、例えば、外用剤組成物や内服剤組成物としての形態が例示される。
具体的には、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、液剤、乳剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤(例えば、経静脈内注、眼静脈内注、筋肉内注、経皮内注)、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等の剤に製剤化することができる。
上記形態を有する本発明の医薬組成物は、Necdinを含有するものであれば、常法に従って、製剤分野等において通常使用される担体、基剤、及び/又は添加剤等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合して調製することができる。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、及び必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤等を使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で適量配合して常法により製剤化される。Necdinの含有量は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、本発明の医薬組成物中、通常0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜95重量%である。
本発明のNecdinは、ALSを含む神経疾患全般に亘って適用できるが、その一態様として、以下の(a)〜(c)を例示できる。
(a)NecdinをALSを含む神経疾患の患者に投与する工程を含む、ALSを含む神経疾患の治療方法。
(b)ALSを含む神経疾患の予防及び/又は治療するための、Necdinの使用。
(c)ALSを含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤を製造するための、Necdinの使用。
以下、実施例によって本発明を詳述するが、これらの実施例は本発明の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以降において、室温とは25℃を示す。
実施例1 ALS培養細胞におけるNecdin過剰発現の効果
コントロールプラスミド、野生型SOD1発現プラスミド又はG93A変異型SOD1発現プラスミドをそれぞれ、運動神経様細胞株NSC34細胞に、GFPあるいはNecdin発現プラスミドと併せてトランスフェクトした。72時間後に、25μM H2O2で1時間処理し、WSTアッセイにより細胞生存率を解析した。結果を図1に示す。
結果、G93A変異型SOD1発現NSC34細胞は、H2O2処理に脆弱であるのに対し、Necdinを発現させた場合には保護的に機能することが示唆された。
実施例2 ALSモデルマウスにおけるeGFP、Necdin発現(1)
ALSモデルマウス(オス、4週齢、Jackson Laboratoryより提供)に、マウス1匹あたりeGFP発現アデノ随伴ウイルス(No.1、血清型9野生型)を1×1011vg(viral genomes)量で左大腿四頭筋に筋肉内注射し、2週間後に脊髄を摘出して、蛍光免疫染色によりeGFP発現を観察した。結果を図2に示す。
結果、コントロール(non-injected controlのALSモデルマウス)に比べて、eGFPの発現が亢進されることが確認された。よって、Necdinも同様にアデノ随伴ウイルスベクターで導入できることが示唆される。
実施例3 ALSモデルマウスにおけるeGFP、Necdin発現(2)
ALSモデルマウス(生後1日齢、Jackson Laboratoryより提供)に、マウス1匹あたりeGFP発現アデノ随伴ウイルス(No.1:血清型9野生型)もしくはNecdin発現アデノ随伴ウイルス(No.1:血清型9野生型、及び、No.2:血清型9変異型Y731F)をそれぞれ5×1011vg量で側頭静脈内に投与し、8週間後に大脳と脊髄を摘出して、蛍光免疫染色によりeGFPもしくはNecdin発現を観察した。Necdin発現アデノ随伴ウイルスについては、2種類のウイルスを調製して用いた。大脳及び脊髄でのeGFP発現の結果を図3に、脊髄でのNecdin発現の結果を図4に示す。
結果、コントロール(non-injected controlのALSモデルマウス)に比べて、eGFP及びNecdinのいずれも発現が亢進されることが確認された。また、変異型カプシドを有するアデノ随伴ウイルスを用いても、Necdinを導入できることが確認された。
実施例4 ALSモデルマウスにおけるNecdin投与による運動機能への効果(1)
実施例3と同様のマウスを準備し、該マウス1匹当たりにNecdin発現アデノ随伴ウイルス(No.2:血清型9変異型Y731F)を5×1011vg量で側頭静脈内に投与し、飼育ケージ蓋に逆さまにぶら下がっていられる秒数(Hanging time:ぶら下がり時間)、ロータロッド試験でローターから落下するまでの秒数(Latency to fall:落下するまでの時間)を計測し、運動機能障害の発症及び進行を評価した。結果を図5、6に示す。なお、参考のために、野生型マウス(WT)の結果も各図に併せて示す。
結果、コントロール(non-injected controlのALSモデルマウス)に比べて、運動機能障害の発症及び進行が有意に抑制された。
実施例5 ALSモデルマウスにおけるNecdin投与による生存期間への効果
実施例3と同様のマウスを準備し、該マウス1匹当たりにNecdin発現アデノ随伴ウイルス(No.2:血清型9変異型Y731F)を5×1011vg量で側頭静脈内に投与し、Kaplan-Meier曲線による生存期間を調べた。結果を図7に示す。
結果、コントロール(non-injected controlのALSモデルマウス)に比べて、生存期間が顕著に延長した。
実施例6 ALSモデルマウスにおけるNecdin投与による運動機能への効果(2)
実施例2と同様のマウスを準備し、該マウス1匹当たりにNecdin発現アデノ随伴ウイルス(No.2:血清型9変異型Y731F、及び、No.3:AAV-DJ/8)をそれぞれ5×1011vg量で左大腿四頭筋に筋肉内投与し、ロータロッド試験でローターから落下するまでの秒数(Latency to fall:落下するまでの時間)を計測し、運動機能障害の発症及び進行を評価した。結果を図8に示す。
結果、Necdin発現アデノ随伴ウイルス(No.2)を投与したマウスでは、コントロール(non-injected controlのALSモデルマウス)と比較して、運動麻痺出現が抑制される傾向が認められた。一方、Necdin発現アデノ随伴ウイルス(No.3)を投与したマウスでは、運動麻痺出現が促進された。
本発明の予防剤及び/又は治療剤は、神経疾患、なかでも筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)の予防剤及び/又は治療剤として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. Necdinを有効成分とする、筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤。
  2. Necdinもしくはその変異体、又は、それらの誘導体もしくは修飾体を含む、請求項1記載の予防剤及び/又は治療剤。
  3. Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1記載の予防剤及び/又は治療剤。
  4. Necdinをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターを含有する、請求項3記載の予防剤及び/又は治療剤。
  5. アデノ随伴ウイルスベクターである、請求項4記載の予防剤及び/又は治療剤。
  6. 血清型1、血清型8又は血清型9のアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項5記載の予防剤及び/又は治療剤。
  7. 神経疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)である、請求項1〜6いずれか記載の予防剤及び/又は治療剤。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の予防剤及び/又は治療剤を含有してなる医薬組成物。
JP2020532525A 2018-07-27 2019-07-29 筋萎縮性側索硬化症を含む神経疾患の予防剤及び/又は治療剤 Pending JPWO2020022518A1 (ja)

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