JP7248676B2 - 神経保護ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、MAPK3(ERK1 MAPキナーゼ)の阻害剤に関し、特に、脳内で全ERKシグナル伝達経路を刺激する能力を有するポリペプチド並びに神経保護剤及び/又は認知増強剤としてのその使用に関する。本発明はまた、MAPK3を阻害することができ、全ERKシグナル伝達経路の刺激を引き起こす関係するポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞及び医薬組成物にも関する。加えて、神経変性障害又は精神神経障害及び認知機能障害の治療における先の阻害剤又は刺激剤の使用も開示される。
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)カスケードは、細胞の増殖及び生存から分化及び行動可塑性まで様々な細胞プロセスに関与するシグナル伝達経路である。脳内で、このカスケードは、サイトゾル(イオンチャネル及びタンパク質翻訳の制御)及び核現象とのイオンチャネル型受容体、代謝型受容体及びニューロトロフィン受容体の間の結び付きをもたらし、文脈に応じて、遺伝子転写、新規タンパク質合成、並びにシナプスのリモデリング及び可塑性、記憶形成又は神経生存のいずれかにおける変化につながる。GTP/GDP交換因子によって神経伝達物質受容体により活性化されると、Rasクラス(p21 H-、K-及びN-Ras遺伝子産物)に属する低分子量GTPaseが、Rafサブファミリー(主にc-Raf及びB-Raf、MAPKキナーゼキナーゼティア)のセリン/トレオニンキナーゼ、トレオニン/チロシン二重特異性キナーゼMEK1/2(MAPKキナーゼ)及び最後にERK1/2タンパク質(MAPK構成要素)からなるプロテインキナーゼのカスケードを順次刺激する。さらに具体的には、MEK1/2の活性化は、特異的ドッキングドメインを通じたERKタンパク質との選択的相互作用につながり、その結果、ERK1/2の活性化ループ内でトレオニン及びチロシンの保存認識モチーフ(TEYドメイン)がリン酸化される。
それぞれMAPK3及びMAPK1としても既知のERK1及びERK2は、2の遺伝子、MAPK3及びMAPK1により産生された相同なアイソフォームである。ERK1及びERK2は、85%近くのアミノ酸同一性を共有するが、コア領域内でより高い同一性を示す。いずれのアイソフォームも実質的に全ての細胞内で発現するが、ERK2が脳内及び造血細胞内で優勢なアイソフォームである。活性化されると、脳内の2の主なMAPKであるERK1及びERK2は核内に移行することができる。そこで、それらはCREB様のクラスの転写制御因子などの転写因子を直接的に又は間接的に(RSKファミリーのキナーゼを介して)活性化したり、クロマチンリモデリングを(MSKファミリーのキナーゼを介して)制御したりすることができる。遺伝子発現及びクロマチン構築を制御するERKの能力は、正常な認知過程の根底にある神経適応の過程においてだけでなく、いくつかの精神神経障害の発症においても決定的なステップであると考えられる。
記憶の形成及び固定におけるERK依存性シグナル伝達の決定的な許容的役割は明らかに十分確立されている。しかし、初期の知見は実質的にMEKキナーゼの化学的阻害剤の使用に基づいてきており、これは、脳内でERK1及びERK2に間接的に影響を及ぼし、様々な学習課題において記憶欠損を招く。残念ながら、成体脳内のERK媒介性遺伝子発現の一般的な活性化及びクロマチンリモデリングが有効に認知増強につながる可能性はまだ証明されておらず、したがって、記憶障害及び神経変性障害の有効な治療の開発を妨げている。同時に、脳内のERKシグナル伝達の生存促進活性又はアポトーシス促進性の役割のいずれかを支持する相反する証拠が入手できる。
認知低下は、大部分の神経変性障害の主な特徴である。残念ながら、患者において記憶機能を改善することを目指した治療は変性過程を必ずしも遅らせないが、神経保護のアプローチは、健康な個体において観察される行動可塑性を維持又は回復するのに十分ではない場合がある。
満たされていない大きな医学的必要性が、神経変性障害及びその関連する不可逆的な認知低下の治療のための有効な製品のかなりの商業的可能性と共に依然として存在する。そのような障害の例は、パーキンソン病、アルツハイマー病及びハンチントン病であり、これらの障害では、神経細胞集団の進行性の減少により脳機能が損なわれ、学習障害及び記憶欠損につながり、最終的に死に至る。
本発明において、驚くべきことに、ERK1のN末端ドメインに由来するペプチドが細胞質内のMAPK3プロテインキナーゼの阻害を通じて核ERKシグナル伝達の選択的活性化を実現できることが明らかになった。本発明のペプチドは、ERKの核移行を特異的に刺激することができ、したがって、脳内でERK媒介性遺伝子転写及びクロマチンリモデリングを刺激することができる。これらのペプチドの投与は、グルタミン酸に応答してERK依存性核シグナル伝達を促進し;神経細胞死を減少させ、記憶固定を増強し、記憶獲得及び記憶形成を改善する。したがって、これらのペプチドの投与を通じて本発明者らは、i)健康な個体において記憶を改善することができ(認知増強)、ii)神経変性、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病及びハンチントン病において観察される神経変性を防止することができ、iii)記憶低下、例えば、認知症及びアルツハイマー病の形態で観察されるような記憶低下を遅らせることができることを示した。したがって、本発明のペプチドが、神経細胞生存及び認知の両方に対してプラスの効果を示し、現在有効な治療がないいくつかの主な脳障害の治療法となり、認知欠損を改善し且つ神経変性を阻止することが提案される。さらに、本発明のペプチドは、神経変性なく認知を改善するので、健康な個体における認知増強に適している。
本発明の第1の態様によれば、アミノ酸配列:
i)以下RB5と呼ぶQGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号1);又は
ii)少なくとも75%の同一性をペプチドi)と共有する配列
を含む、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3)プロテインキナーゼシグナル伝達を阻害するための神経保護ペプチドが提供される。
MAPK3は、ヒトにおいてMAPK3遺伝子によってコードされる酵素であるマイトジェン活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3)を指す。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、MAPキナーゼファミリーのメンバーである。細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)としても既知のMAPキナーゼは、様々な細胞外シグナルを受けて増殖、分化及び細胞周期進行などの様々な細胞プロセスを制御するシグナル伝達カスケードにおいて作用する。このキナーゼは、上流キナーゼによって活性化され、その結果、核に移行し、そこで核標的をリン酸化する。異なるタンパク質アイソフォームをコードするスプライス転写変異体が記載されている。MAPK3は、いくつかの異名、すなわちERK-1;ERK1;ERT2;HS44KDAP;HUMKER1A;P44ERK1;P44MAPK;PRKM3;p44-ERK1;p44-MAPKを有する。
本発明のペプチドは、核内で全ERKシグナル伝達の刺激を引き起こす。「全ERKシグナル伝達」により、この経路に関連するシグナル伝達機構を支配する主なERKアイソフォームであるMAPK1/ERK2の活性の増強を意味する。
ペプチドのホモログ、オルソログ又は機能的類似体も本発明の文脈において使用されることを当業者なら理解するであろう。したがって、例えば、1又は複数の付加、欠失、置換などを含むペプチドは本発明により包含される。加えて、1のアミノ酸を同様の「タイプ」の別のアミノ酸で置き換えることができる場合がある。例えば、1の疎水性アミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることは、アミノ酸配列を比較するCLUSTALプログラムなどのプログラムを使用することにより実現することができる。このプログラムは、アミノ酸配列を比較し、適宜いずれかの配列にスペースを挿入することにより最適なアラインメントを見つける。最適なアラインメントのためにアミノ酸同一性又は類似性(同一性とは、アミノ酸タイプの維持を意味する。)を計算することが可能である。BLASTxのようなプログラムは、最も長いひと続きの類似配列を整列させ、適合するまで値を割り当てる。したがって、異なるスコアをそれぞれ有するいくつかの類似領域が見られる比較を得ることが可能である。両方のタイプの解析が本発明において企図される。
対立遺伝子変異体は同種のペプチドの変異体を指し、本発明のオーソロガスペプチドは異種の変異体を指す。オーソロガスの例は、マウスMAPK3(NP_036082.1)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)MAPK3(NP_059043.1)、イヌ(Canis lupus familiaris)MAPK3(NP_001238964.1)ゼブラフィッシュ(Danio rerio)MAPK3(NP_958915.1)タイセイヨウサケ(Salmo salar)MAPK3(NP_001167267.1)、スマトラオランウータン(Pongo abelii)MAPK3アイソフォーム1(XP_002826343.1)、アヌビスヒヒ(Papio anubis)MAPK3アイソフォーム1(XP_003916792.1)、バンドウイルカ(Tursiops truncatus)MAPK3アイソフォーム1(XP_004316634.1)、コモンマーモセット(Callithrix jacchus)MAPK3(XP_002807461.1)、ウシ(Bos taurus)MAPK3アイソフォームX1(XP_005224976.1)、ガーネットガラゴ(Otolemur garnettii)MAPK3(XP_003795827.1)、タイヘイヨウセイウチ(Odobenus rosmarus divergens)MAPK3アイソフォーム1(XP_004397229.1)、アルパカ(Vicugna pacos)MAPK3アイソフォームX1(XP_006201318.1)、モルモット(Cavia porcellus)MAPK3(XP_003478275.1)、ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)MAPK3(XP_004856331.1)、ココノオビアルマジロ(Dasypus novemcinctus)MAPK3様(XP_004461533.1)、ウェッデルアザラシ(Leptonychotes weddellii)MAPK3(XP_006750264.1)、ウマ(Equus caballus)MAPK3(XP_001915560.1)、フロリダマナティー(Trichechus manatus latirostris)MAPK3アイソフォーム1(XP_004386681.1)、ミナミシロサイ(Ceratotherium simum simum)MAPK3(XP_004439579.1)、プレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)MAPK3(XP_005351990.1)、フェレット(Mustela putorius furo)MAPK3、XP_004774094.1、XP_004816989.1)、チンチラ(Chinchilla lanigera)MAPK3(XP_005405403.1)、チンパンジー(Pan troglodytes)MAPK3(XP_510921.3)、デグー(Octodon degus)MAPK3アイソフォームX1(XP_004622998.1)、ハイイロジネズミオポッサム(Monodelphis domestica)MAPK3(XP_001364363.1)、チベットアンテロープ(Pantholops hodgsonii)MAPK3(XP_005963252.1)、スマトラオランウータンMAPK3アイソフォーム2(XP_003778644.1)、アヌビスヒヒMAPK3アイソフォーム2(XP_003916793.1)、バンドウイルカMAPK3アイソフォーム2(XP_004316635.1)、アルパカMAPK3アイソフォームX2(XP_006201319.1)、プラティ(Xiphophorus maculatus)MAPK1様(XP_005813410.1)、トラフグ(Takifugu rubripes)MAPK1様(XP_003975118.1)、フロリダマナティーMAPK3アイソフォーム2(XP_004386682.1)、タイヘイヨウセイウチMAPK3アイソフォーム2(XP_004397230.1)、シーラカンス(Latimeria chalumnae)MAPK3様(XP_006005975.1)である。
本明細書において使用される「ホモログ/相同」という用語は、QGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号1)のアミノ酸配列に対する/との少なくとも75%の相同性又は類似性又は同一性を有する配列を有し、且つQGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号1)の生物学的活性又はMAPK3阻害機能を保持するアミノ酸配列を指す。ペプチドがi)のペプチド配列との少なくとも75%の同一性を有することが好ましく、好ましさが高くなる順に、QGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号1)との少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94% 95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有することが好ましい。
本発明の第1の態様のさらなる別の好ましい実施形態において、前記ペプチドは配列QGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号1)を含む又はからなる。
本発明のさらなる好ましい実施形態において、前記神経保護ペプチドは、膜、典型的には、これに限定されないが生体膜を横切って前記選択されたペプチドを輸送する目的のペプチド担体と共有結合的もしくは非共有結合的に結合されている又は会合している。この配置において、有利に、ペプチド担体は、脳血液関門及び/又は神経細胞の形質膜の通過を可能にする。したがって、ペプチドを細胞内に、特に脳の細胞内に送達することができる。
当業者によって理解されるように、前記生体膜は、細胞を取り囲む膜であり得る。これは、以下に限定されないが、単純な形質膜、又は頂端膜、側底膜、シナプス前膜及びシナプス後膜、鞭毛、繊毛、微絨毛、糸状仮足及び葉状仮足の膜、筋細胞の筋鞘、並びにニューロンの特殊なミエリン膜及び樹状突起棘膜を含むさらに特殊な膜構造などの膜を含み得る。追加的又は代替的に、前記膜は、細胞内に位置するオルガネラの膜であり得、ある特定の内部の細胞コンパートメントへのペプチドの送達を可能にする。この細胞コンパートメントは、以下に限定されないが、エンドソーム;滑面小胞体及び粗面小胞体;筋小胞体;ゴルジ装置;リソソーム;ミトコンドリア(内膜及び外膜);核(内膜及び外膜);ペルオキシソーム;空胞;細胞質顆粒;細胞小胞(ファゴソーム、オートファゴソーム、クラスリン被覆小胞、COPI被覆小胞及びCOPII被覆小胞)及び分泌小胞などのオルガネラを含み得る。
加えて、前記生体膜は、真核生物起源又は原核生物起源の任意の膜への参照を含む。
理想的には、前記神経保護ペプチドは、そのアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれかにおいて前記ペプチド担体と結合されている。
本発明の第1の態様のさらなる別の好ましい実施形態において、前記選択された神経保護ペプチドは、前記ペプチド担体のアミノ酸残基に又はそのすぐ隣に結合されている。あるいは、前記選択された神経保護ペプチドは、少なくとも1のさらなるアミノ酸残基又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20のアミノ酸残基を含むもしくはからなる群から選択されるいくつかのアミノ酸残基により好ましくは表されるスペーサーの存在のために、前記ペプチド担体のアミノ酸残基から遠位に位置する。当業者によって理解されるように、これは選択された神経保護ペプチドの透過性を改善し得るが、この機能を果たすことができる他のスペーサーが、理想的にはこれに限定されないが等しい効果を伴って、本発明の操作において使用され得る。
より好ましくは、前記ペプチド担体は細胞透過性ペプチド(CPP)である。本明細書におけるCPPへの参照は、少なくとも1の選択された分子と共結合されたとき形質膜を移行する能力を持つ短いペプチド配列、典型的には30未満のアミノ酸を指す。したがって、本発明のペプチドとのCPPの使用は、細胞内又はオルガネラ内への前記ペプチドの送達を容易にする。CPPは、典型的には、膜の不透過性を克服するために使用される。数百の異なるCPP配列が今や当技術分野において記載されており、全てが単独で又はカーゴに会合しているとき生体膜を横断又は突破して細胞に入る普遍的な能力を有する。適したCPPは、以下に限定されないが、HIV-TAT、Penetratin(商標)、高密度の塩基性(+)電荷を有するアミノ酸の短い配列(一般にリシン残基又はアルギニン残基の鎖、例えば、オクタアルギニン)又はアンテナペディアペプチドなど、当技術分野において既知である。最も理想的には、前記ペプチド担体は、
GRKKRRQRRR(配列番号2);
RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号3);
RRRRRRR(配列番号4);
XRRRRRRRX(配列番号5);
XRRRXRRRR(配列番号6);
RRRXRRRRX(配列番号7);
RRRRRRRXX(配列番号8);
XXRRRRRRR(配列番号9);
RRRRRRRRRRR(配列番号10);
XRRRRRXRRRRRR(配列番号11);
RRRRRXRRRRRRRX(配列番号12);
GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR(配列番号13);
SRRARRSPRHLGSG(配列番号14);
LRRERQSRLRRERQSR(配列番号15);
VKRGLKLRHVRPRVTRMDV(配列番号16)及び
RKKRRRESRKKRRRES(配列番号17)
を含む群から選択されるCPPである。
最も好ましくは、前記神経保護ペプチドは、以下CPP-RB5と呼ぶ配列GRKKRRQRRRPPQGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号18)を含む又はからなる。
本発明のさらに第2の態様によれば、本発明によるペプチドをコードする核酸分子が提供される。好ましくは、前記核酸は、RNA又はDNAを指し、最も好ましくはDNAを指す。前記DNAは二本鎖又は一本鎖であり得る。
本発明の第3の態様によれば、前記核酸分子を含むベクターが提供される。
本明細書において使用されるとき、「ベクター」という用語は発現ベクターを指し、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージ、脂質ベースのビヒクル及び細胞ベースのビヒクルの形態であり得る。そのような送達ビヒクルの例には、生分解性ポリマーマイクロスフェア、コロイド金粒子上にコンストラクトを被覆するリポソーム担体などの脂質ベースの製剤、リポ多糖、ポリペプチド、多糖、ウイルスビヒクルのペグ化などが含まれる。さらに、そのようなベクターには、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、泡沫状ウイルス、サイトメガロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ポックスウイルス、仮性狂犬病、RNAウイルスベクター及びDNAウイルスベクターも含まれ得る。そのようなウイルスベクターは当技術分野において周知である。さらに本発明には、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミド及びファージDNAの組合せに由来するベクターが含まれる。多数の適したベクターが当業者に既知であり、市販されている。以下のベクターを例として記載する。細菌:pQE70、pQE60、pQE-9(QIAGEN)、pbs、pDIO、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNHl[beta]a、pNH18A、pNH46A(STRATAGENE)、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(PHARMACIA)。真核生物:pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXTl、pSG(STRATAGENE)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(PHARMACIA)。しかし、その他の任意のベクターも宿主内で複製可能且つ生存可能である限り使用することができる。ベクター内のポリヌクレオチド配列、好ましくはDNA配列は、mRNA合成を導く(1又は複数の)適切な発現制御配列(プロモーター)に動作可能に結合されている。そのようなプロモーターの代表例として、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期及び後期のSV40、レトロウイルス由来のLTR並びにマウスメタロチオネイン-Iなどの原核生物又は真核生物のプロモーターを挙げることができる。発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位及び転写ベクターも含む。ベクターは、発現を増幅するための適切な配列も含み得る。
加えて、ベクターは好ましくは、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸還元酵素耐性もしくはネオマイシン耐性など、又は大腸菌(E.coli)におけるテトラサイクリン耐性もしくはアンピシリン耐性など、形質転換された宿主細胞を選択するための表現型形質を提供する1又は複数の選択可能なマーカー遺伝子を含む。
本発明の第4の態様によれば、前記ベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞が提供される。
本明細書において使用されるとき、「宿主細胞」という用語は、ポリヌクレオチドで又は先述のベクターで形質導入、形質転換又は形質移入された宿主細胞に関する。適切な宿主細胞の代表例として、大腸菌、ストレプトミセス、ネズミチフス菌などの細菌細胞、酵母などの真菌細胞、Sf9などの昆虫細胞、CHO又はCOSなどの動物細胞、植物細胞などを挙げることができる。適切な宿主の選択は、本明細書の教示から当業者の範囲内であるとみなされる。好ましくは、前記宿主細胞は、動物細胞、最も好ましくはヒト細胞である。
本発明のさらなる態様によれば、医薬品としての使用のための、本明細書において定義される神経保護ペプチドが提供される。
本発明のさらなる別の態様によれば、神経変性障害の治療又は防止における使用のための、本明細書において定義される神経保護ペプチドが提供される。
本発明のさらなる別の態様によれば、神経変性障害を治療又は防止する医薬品の製造における使用のための、本明細書において定義される神経保護ペプチドが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、神経保護ペプチド及び適した担体、軟化剤、希釈剤又はアジュバントを含む医薬組成物が提供される。
本発明のさらなる別の態様によれば、本明細書に記載の神経保護ペプチド及び/又は医薬組成物並びに脳の状態を治療又は防止するための少なくとも1の他の療法を含む、神経変性障害の治療又は防止における使用のための組合せ療法が提供される。
前記追加の療法は、
a)認知増強剤(向知性薬):メチルフェニデート、ラセタム、イソフラボン、ビタミン(B、C、D、E)、コリン、アンフェタミン、キサンチン、アドレナリン作動薬、コリン作動薬、セロトニン作動薬、ドーパミン作動薬、覚醒促進薬(アドラフィニル、アルモダフィニル、モダフィニル)、GABA遮断薬、アンパカイン、PDE4阻害剤及びその他;
b)神経保護剤:グルタミン酸アンタゴニスト、17β-エストラジオール、ギンセノシドRd、プロゲステロン、スタチン、酸化防止剤、ニコチン、カフェイン、カスパーゼ阻害剤、神経栄養因子、他の抗アポトーシス剤;又は
c)鎮痛剤
を含み得る。
本発明のさらなる別の態様によれば、有効量の本明細書において定義される神経保護ペプチド及び/又は核酸分子及び/又はベクター及び/又は医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、神経変性障害を治療又は防止するための方法が提供される。
本明細書における神経変性障害への参照は、以下に限定されないが、アルツハイマー病(AD)及び他の認知症;ハンチントン病(HD);パーキンソン病(PD);変性神経疾患;脳炎;癲癇;遺伝性脳障害;頭部形成異常及び脳形成異常;水頭症;脳卒中;多発性硬化症;筋萎縮性側索硬化症(ALS又はルー・ゲーリック病);前頭側頭型認知症(FTP);進行性核上麻痺(PSP);本態性振戦症(ET);多系統萎縮症(MSA);大脳皮質基底核変性症(CBD);脳虚血;リソソーム蓄積症(LSD)を含む。好ましくは、神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)及び他の認知症;並びにハンチントン病(HD);パーキンソン病(PD)を含む群から選択される。
本明細書における「有効量」のペプチド又はそれを含む組成物への参照は、所望の生物学的効果、この場合、神経保護及び/又は認知増強を実現するのに十分なものである。有効投与量は、年齢、性別、健康及びレシピエントの体重、併用治療の種類、治療がある場合、治療頻度並びに所望の効果の性質に依存することになるものと理解される。典型的には、有効量は治療を行う者によって決定される。
本発明のさらなる態様によれば、精神神経障害の治療又は防止における使用のための、本明細書において定義される神経保護ペプチドが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、精神神経障害を治療又は防止する医薬品の製造における使用のための、本明細書において定義される神経保護ペプチドが提供される。
本発明のさらなる別の態様によれば、本明細書に記載の神経保護ペプチド及び/又は医薬組成物並びに脳の状態を治療するための少なくとも1の他の療法を含む、精神神経障害の治療又は防止における使用のための組合せ療法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、有効量の本明細書において定義される神経保護ペプチド及び/又は核酸分子及び/又はベクター及び/又は医薬組成物を治療される患者に投与することを含む、精神神経障害を治療又は防止するための方法が提供される。
本明細書における精神神経障害への参照は、以下に限定されないが、自閉症スペクトラム障害(ASD)、知的障害(ID)、統合失調症、精神病、躁病(軽躁病としても、及びうつ病と交互に起こるときは双極性障害としても既知)、大うつ病、不安、外傷後ストレス障害、強迫性障害を含む。
本発明のさらなる別の態様によれば、認知増強剤としての使用のための、本明細書において定義される神経保護ペプチドが提供される。
本発明のこの態様において、前記神経保護ペプチドは、疾患を防止又は治療するためではなく、理想的には断続的に、しかしおそらくは慢性的に認知能力を改善するために使用されることを当業者なら理解するであろう。したがって、この文脈において、認知能力又は認知増強は疾患とみなされない。したがって、神経保護ペプチドは、栄養補助食品として又はこれに限定されないが健康食品などの食品の一部として処方することができる。
本発明のさらなる別の態様によれば、本明細書に記載のペプチド及び/又は医薬組成物並びに少なくとも1の他の認知増強剤及び/又は鎮痛剤を含む、認知能力の増強における使用のための組合せ療法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、前記改善された認知能力を必要としている又は望んでいる個体に有効量の本明細書において定義される神経保護ペプチド及び/又は核酸分子及び/又はベクター及び/又は医薬組成物を投与することを含む、認知能力を増強するための方法が提供される。
本明細書における認知能力への参照は、以下に限定されないが、最も単純な課題から最も複雑な課題まで何らかの課題を実施するのに必要な脳に基づく技能、例えば、記憶すること、注意を払うこと、聞くこと、見ること、集中すること、焦点を合わせること、推論すること、熟考すること、分析すること、感知すること、理解することを含む。それらは、何らかの実知識よりもむしろ、我々が学習し、記憶し、問題解決し、注意を払うメカニズムにより関係がある。
医薬における使用のための化合物は一般に医薬組成物中又は獣医用組成物中に提供されることになり、したがって、本発明のさらなる別の態様によれば、本明細書において定義されるペプチド及び薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
適した医薬賦形剤は当業者に周知である。医薬組成物は、任意の適した経路、例えば、経口、頬側、経鼻又は気管支(吸入)、経皮又は非経口による投与のために処方することができ、薬学の技術分野において周知の任意の方法により調製することができる。
本組成物は、上で定義したペプチドを担体と会合させることにより調製することができる。一般に、製剤は、液体担体もしくは細分された固体担体又はその両方とペプチドを均一且つ密接に会合させ、次いで、必要であれば生成物を成形することにより調製される。本発明は、薬剤的にもしくは獣医学的に許容される担体又はビヒクルと上で定義したペプチドを結合又は会合させることを含む、医薬組成物を調製するための方法に及ぶ。
本発明における経口投与用製剤は、所定量の活性剤をそれぞれ含むカプセル剤、サシェ剤又は錠剤などの別個のユニット;粉末又は顆粒として;水性液中もしくは非水性液中の活性剤の溶液又は懸濁液として;或いは水中油型乳濁液又は油中水型乳濁液として;或いはボーラスとしてなどとして提供され得る。
経口投与用組成物(例えば、錠剤及びカプセル剤)に関して、「許容される担体」という用語は、一般的な賦形剤などのビヒクル、例えば、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース及びデンプン;充填剤及び担体、例えばコーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム及びアルギン酸;並びに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム及び他のステアリン酸金属塩、グリセロールステアレート、ステアリン酸、シリコーン液、タルクワックス、油及びコロイド状シリカを含む。香味剤、例えばペパーミント、冬緑油、サクランボ香味料なども使用することができる。剤形を容易に識別できるようにするために着色剤を加えることが望ましいであろう。錠剤は、当技術分野において周知の方法により被覆することもできる。
錠剤は圧縮又は成型により作ることができて、1又は複数の副成分と共に作られてもよい。圧縮錠剤は、バインダー、滑沢剤、不活性な希釈剤、保存料、界面活性剤又は分散剤と混合されていてもよい、粉末又は顆粒などの自由流動形態のペプチドを適した機械内で圧縮することにより調製することができる。湿製錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適した機械内で成型することにより作ることができる。錠剤は被覆又はスコア化されていてもよく、活性剤の持続放出又は徐放を実現するように処方することができる。
経口投与に適した他の製剤には、フレーバーベース、通常スクロース及びアカシア又はトラガカント中にペプチドを含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性なベース中にペプチドを含む香錠;並びに適した液体担体中に活性剤を含むマウスウォッシュが含まれる。
皮膚への局所塗布に関して、ペプチドをクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などに作り上げることができる。薬剤に使用することができるクリーム製剤又は軟膏製剤は、当技術分野において周知の従来の製剤であり、例えば、British Pharmacopoeiaなどの薬剤学の標準的な教科書に記載されているような製剤である。
非経口製剤は一般に滅菌されたものになる。
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体にわたって、「を含む(comprise)」という語及びその変形、例えば「を含む(comprising)」及び「を含む(comprises)」は、「以下に限定されないが、~を含む」を意味し、他の部分、添加剤、構成要素、整数又はステップを排除しない。本明細書の説明及び特許請求の範囲全体にわたって、単数形は、文脈が特に要求していない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用されている場合、本明細書は、文脈が特に要求していない限り、単数のみならず複数も企図していると理解されるべきである。
本明細書において引用される任意の特許又は特許出願を含む全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。任意の参考文献が先行技術を構成することは認められない。さらに、先行技術のいずれかが当技術分野における一般常識の一部を構成することは認められない。
本発明のそれぞれの態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかに関連して記載されている通りであってもよい。
本発明の他の特徴は以下の例から明らかになるであろう。一般的に言えば、本発明は、(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)本明細書に開示されている特徴の任意の新規な1又は任意の新規な組合せに及ぶ。したがって、本発明のある特定の態様、実施形態もしくは例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物又は化学的部分は、それと適合しない場合を除き、本明細書に記載のその他の任意の態様、実施形態又は例に適用可能であると理解されるべきである。さらに、特に記載しない限り、本明細書に開示の任意の特徴は、同じ目的又は同様の目的を果たす代替の特徴で置き換えることができる。
ここで、以下の実施例及び以下の図を参照して、本発明を単なる例として説明する。
RB5が核ERKシグナル伝達を選択的に刺激することを示す図である。
a)RB5ペプチドがERK2の活性化を選択的に促進したことを示す。スクランブル(SCR)又はRB5ペプチド(50μM)のいずれかで前処置され、次いで、グルタミン酸(GLU)(100μM)で10分刺激された急性線条体スライス、又はビヒクルは、ウエスタンブロットで分析され(左パネル)、抗ホスホERK抗体(p44ERK1及びp42ERK2)及び抗ERK1/2抗体でプローブされた。GAPDHが負荷対照として使用された。(右パネル)定量化は、pERK1がSCR及びRB5処置スライスにおいて等しく増加したことを示す。注目すべきことに、ERK2活性化は、SCRスライスと比較してRB5処置サンプルにおいて有意により高い。総ERK1及びERK2レベルにおいて変化は検出されなかった。GAPDHが負荷対照として使用された。データは平均±SEM(n=4)として表される。b~c)RB5は、ERK1 KO細胞に見られる同じ表現型と類似して、グルタミン酸に応答して核シグナル伝達を選択的に増強した。b)CPP-SCR又はCPP-RB5ペプチド(50μM)で前処置され、グルタミン酸(100μM)で刺激された急性スライス上の抗ホスホ(Ser10)-アセチル(Lys14)-ヒストン-H3(緑色)及び抗NeuN(赤色)免疫蛍光は、CPP-RB5ペプチドに起因する強力な核内MAPK基質活性化を示した(平均±SEM、n=15)。抗ホスホ-S6リボソームタンパク質(Thr235/236)免疫蛍光(緑色)及び抗NeuN(赤色)は、CPP-RB5ペプチドがサイトゾルMAPK基質に影響しないことを示した(平均±SEM、n=15)。c)グルタミン酸で処置されたERK1 KOマウス及びそのWT対照からのスライスを使用して、同じ効果が見られた(平均±SEM、n=13)。d~l)CPP-RB5は、in vivoで単回注射後、核シグナル伝達を活発に促進する。単一用量のCPP-SCRペプチド又はCPP-RB5ペプチド(20mg/kg、i.p.)を注射されたマウスが1時間後に急速灌流され、脳が解剖され、IHC及び免疫蛍光についてさらに分析された。線条体におけるpERK1/2、pMSK、pAch3、pELK1及びc-Fos発現の代表的な顕微鏡写真。RB5ペプチドは線条体ERKリン酸化を増強し(d)、核ERK依存性シグナル伝達及び遺伝子転写の選択的活性化を促進した(pMSK、pAcH3、pELK、c-Fos(e~h))。対照的に、RB5は、細胞質マーカーのリン酸化に影響しなかった(pMEK-1、pVGK+、pS6)。m~o)RB5の単独投与は、ERK1 WTマウスにおいてpERK及びpAcH3の有意な活性化を誘導したが、この効果はERK1 KOマウスでは統計的有意性に達せず、これは、RB5がERK1阻害剤のように作用することを示唆する。追加の対照として本発明者らは、S6のリン酸化が両方の遺伝子型において同等であることを示し、RB5が核シグナル伝達を優先的に活性化することを確認した。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較:黒星印1個、p<0.05、黒星印2個、p<0.01、白星印1個、p<0.001。p)ERK活性化のためのRB5ペプチドの用量反応曲線。200μm厚線条体スライスが2カ月齢のマウスから新たに調製され、32℃の灌流チャンバー内に1時間移された。スライスが異なる用量のRB5又はスクランブル対照で前処置された。1時間後、各用量のスライスがPFA 4%中で15分間固定された。18μm凍結切片が免疫組織化学のために抗ホスホp44/p42MAPキナーゼで処置された。ImageJソフトウェアを用いて各スライス内のホスホ-ERK陽性細胞の数を計数することにより神経細胞の定量化が実施された。活性化のレベルは、Y軸上に任意単位(AU)として表される。用量は、X軸上に対数目盛(Log10)で報告される。EC50は、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算された。RB5は、3.4μMのEC50を有し、pERKの増強に有効であった。
時間経過及びERK活性化に対するRB5の用量反応調査を示す図である。
a)野生型マウス(各群n=5)にRB5(20mg/kg、i.p.)又はスクランブル不活性ペプチド(SCR、20mg/kg、i.p.)が注射された。RB5を注射されたマウスが異なる時点で灌流されたのに対し、スクランブルを注射されたマウスは1時間後に灌流された。免疫組織化学的解析がホスホ-p44/p42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)に対して行われた。背側線条体内のホスホ-ERK陽性細胞の定量化は、ホスホ-ERKレベルがRB5の注射後6時間まで有意に増加し、12時間時間後に基礎レベルに戻ったことを示す。一元配置ANOVA F5,29=9.137、p<0.0001。ボンフェローニの事後検定、SCR対RB5 1時間:p<0.001、SCR対RB5 6時間:p<0.001。データは平均±SEMとして表される。b)野生型マウス(各群n=5)に異なる用量のRB5又は20mg/kgのスクランブル不活性ペプチド(SCR)が全身注射され、1時間後に灌流された。免疫組織化学的解析がホスホ-p44/p42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)に対して行われた。背側線条体内のホスホ-ERK陽性細胞の定量化は、RB5がERKを用量依存的に活性化することを示す。一元配置ANOVA:F5,29=7.097、p<0.001。ボンフェローニの事後検定、SCR対RB5 20mg/kg:p<0.05、SCR対RB5 10mg/kg:p<0.01。データは平均±SEMとして表される。c)20mg/kgの単回i.p.投与後に異なる時間に質量分析法で測定されたRB5脳内レベル。高いレベルのRB5が6時間まで検出された(一元配置ANOVA、F4,18=17.469、P<0.0001、ボンフェローニの事後、SCR対RB5 1時間 P<0.01、SCR対RB5 3時間 P<0.0001、SCR対RB5 6時間 P<0.05)。結果は平均±s.e.mを示す。白星印 P<0.0001、P<0.001、P<0.01、P<0.05。
胎児線条体培養液においてRB5が神経細胞死を減弱させたことを示す図である。
スクランブル又はRB5ペプチド(20μM又は50μMの2の最終濃度)を含む培地に神経細胞の胎児線条体培養液(E17)が7日間曝露された。a)線条体ニューロンのTUNEL標識を示す代表的な顕微鏡写真。b)濃く染色されたアポトーシス核の定量化は、より高い用量のRB5で処置された培養液においてアポトーシスレベルの有意な減少を示した(p<0.01)。データは平均±SEM、n=5として表される。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 **p<0.01。
ハンチントン病の薬理学的マウスモデル(3-ニトロプロピオン酸;3-NP)においてRB5が神経細胞死を減弱させたことを示す図である。
a)スクランブルペプチド又はRB5ペプチド(20mg/kg、i.p.)を1日2回及び食塩水又は3-NP(50mg/kg、i.p.)を1回、連続7日間注射されたC57BL/6マウスの線条体からのTUNEL染色。b)RB5ペプチド及び3-NPで共処置されたマウスは、スクランブルペプチド及び3-NPで共処置されたマウスと比較してアポトーシスレベルの有意な減少を示した。重要なことに、この減少は生理的状態に似ていた(RB5 3-NP対RB5 食塩水 p=.85)。平均±SEM、各実験群n=10)。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 ***p<0.001 ****p<0.0001。c)スクランブル又はRB5ペプチド(20mg/kg、i.p.、1日2回)のいずれか及び食塩水又は3-NP(50mg/kg、i.p.、1日1回)で連続7日間共処置されたマウスの線条体におけるカスパーゼ-3免疫蛍光。d)RB5ペプチド及び3-NPで共処置されたマウスは、カスパーゼ-3レベルの減少を示した(二元配置ANOVA、ボンフェローニの事後、白星印 P<0.0001)。
ハンチントン病の遺伝的マウスモデル(HdhQ111)においてRB5が神経保護効果を示すことを示す図である。
WTマウス及びHdhQ111マウスがCPP-RB5ペプチド又はスクランブル(CPP-SCR)ペプチド(20mg/kg i.p.)で8日間処置された。
a)WTマウス及びHdhQ111マウスの背外側線条体におけるERK1/2リン酸化の代表的な写真。b)RB5ペプチドで処置されたHdhQ111マウスは、その同腹仔と比較してERK活性化の有意な増強を示した。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 **p<0.01 ***p<0.001 ****p<0.0001。c)WTマウス及びHdhQ111マウスの背側線条体におけるTUNEL染色の代表的な写真。d)RB5ペプチドで処置されたHdhQ111マウスは、スクランブル処置マウスと比較してアポトーシス細胞の有意な減少を示した。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 **p<0.01。e)切断カスパーゼ-3免疫蛍光染色の代表的な写真。f)RB5で処置されたhdhQ111マウスにおいてプレアポトーシス状態の有意な減少が観察された。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 ***p<0.001。
パーキンソン病の亜急性MPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロプリリジン)マウスモデルにおいてRB5が神経保護効果を示すことを示す図である。
成体マウスがMPTP又はビヒクル(20mg/kg i.p.)で4日間処置された。CPP-RB5ペプチド又はスクランブル(CPP-SCR)ペプチド(20mg/kg i.p.)がMPTP/ビヒクルの1時間前に注射された。a)黒質におけるTHの代表的な写真。b)RB5ペプチド及びMPTPで共処置されたマウスは、スクランブルペプチド処置群と比較してTH減少の有意な減少を示した。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 p<0.05 **p<0.01。c)黒質ニューロンにおけるTUNEL染色の代表的な写真。d)RB5ペプチド及びMPTPで共処置されたマウスは、スクランブル処置マウスと比較してアポトーシス細胞の有意な減少を示した。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 p<0.05。e)切断カスパーゼ-3免疫蛍光染色の代表的な写真。f)RB5ペプチドで前処置されたMPTPマウスにおいてプレアポトーシス状態の有意な減少が観察された。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 p<0.05 **p<0.01。
アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいてRB5ペプチドが神経保護効果を示すことを示す図である。
WTマウス及びTg2576マウスがRB5ペプチド又はスクランブルペプチド(20mg/kg i.p.)で7日間処置された。a)CA1におけるERK1/2リン酸化の代表的な写真及びb)WTマウス及びTg2576マウスの海馬領域の歯状回(DG)。c~d)RB5ペプチドで処置されたTg2576マウスにおいて、スクランブル処置マウスと比較してERK活性化の有意な増強が観察された。二元配置ANOVA、ボンフェローニ事後比較 **p<0.01 ***p<0.001 白星印 p<0.0001 e)切断カスパーゼ-3免疫蛍光染色の代表的な写真。f)RB5で処置されたTg2576マウスにおいてプレアポトーシス状態の有意な減少が観察された。二元配置ANOVAボンフェローニ事後比較 **p<0.01 ***p<0.001。
新規物体認識試験(NOR)を実施するWTマウスにおいてRB5が記憶の形成及び固定を増強することを示す図である。
a)1日目の空のアリーナ内の5分の馴化セッションの後、2日目の2の同一物体による訓練セッションの1時間前、マウスにRB5(20mg/kg)又はビヒクルが注射され、次いで、後日、その長期記憶が評価された。異なる時点24、48、72及び120時間で(a)並びに168時間まで(b)弁別指数(D.I.)が試験された。24時間で、RB5群のD.I.はスクランブル群より有意に高かった。後日、RB5群は高いままだったが、スクランブル群は基礎レベルに戻った。p<0.01 **p<0.0001。RB5は、NORにおいて5日目まで記憶の形成及び固定を有意に増強した。24時間で、RB5群のD.I.は高度に有意であり(独立標本t検定 t26=4.428 P<0.01、SCR(n=14)RB5(=14))、48時間でも同様であった(独立標本t検定 t38=4.210 P<0.0001、SCR(n=18)RB5(=22))。48時間で、スクランブル群のD.I.は偶然水準未満に低下する(1標本t検定 SCR t17=0.566 P=0.579)が、RB5群のD.I.は偶然水準を大きく上回った(1標本t検定 RB5 t21=8.077 P<0.0001)。72時間で、RB5群のD.I.は高度に有意なまま(独立標本t検定 t14=7.899 P<0.0001、SCR(n=7)RB5(=9))、偶然水準を上回った(1標本t検定 RB5 t=12.341 P<0.0001;SCR t=9.073 P<0.0001)。120時間で、RB5群のD.I.は依然として高度に有意であり(独立標本t検定 t23=4.290 P<0.0001、SCR(n=10)RB5(=15))、偶然水準を上回った(1標本t検定 RB5 t14=9.143 P<0.0001;SCR t=2.230 P=0.053)。168時間で、RB5群のD.I.は、SCR群と区別がつかない基礎レベルまで低下した(独立標本t検定 t18=0.777 P=0.447、SCR(n=10)RB5(=10))。結果は平均±s.e.mを示す。P<0.001、P<0.01。
健康な動物においてRB5が文脈的恐怖記憶の獲得を増強することを示す図である。
条件付けの20分前に覚醒ラットに2mg/mlスクランブルペプチド(n=6)又はRB5(n=5)のいずれかが背側CA1に向けた留置したスチール製カニューレを介して両側に注入された。a)訓練の3時間後及び2日後それぞれの2分の想起試験中に条件付け恐怖行動(すくみ)を測定することによりSTM及びLTMが評価された。b)RB5投与は、ラットのすくみ行動に重大な影響を及ぼした(試験×群、F(2.262,20.361)=9.439、e=0.754、P=0.000、反復測定ANOVA)。これは、恐怖条件付け中のフットショック後(postUS)のすくみ行動の増加(F(1,9)=21.532、P=0.001、PreUS対postUS すくみ行動×注入相互作用、反復測定ANOVA)並びにSTM及びLTMの両方の向上(p<0.05、**p<0.01、FLSD試験)として現れた。
アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいてRB5が文脈的恐怖記憶の獲得を増強することを示す図である。
7カ月齢のTg2576マウス及びWTマウスが文脈的恐怖条件付け(CFC)訓練前にCPP-SCR又はCPP-RB5(20mg/kg、i.p.)のいずれかで処置され、24時間後に記憶保持に関して試験された。Tg2576マウスにおける文脈的恐怖(CF)記憶障害は、RB5処置により完全に救出される。値は、すくみで費やされた時間の%として報告される。データは平均±SEMとして表される。p<0.05 **p<0.01。
ハンチントン病のzQ175マウスモデルにおいてRB5が認識能力を改善することを示す図である。
WTマウス及びzQ175マウスが毎日20分、連続10日間(1~10日目)、単純な定率強化(FR1)スケジュールでノーズポーク訓練を受けた。11日目からの開始で、マウスはRB5(20mg/kg.i.p.)の1回投与をノーズポーク訓練の1時間前に受けた。RB5は、zQ175雌マウスのノーズポーク反応を有意に改善した(遺伝子型×性間F1,57=4.383 P=.041及び処置×性間F1,57=28.120 P<0.0001の二元配置相互作用は有意であった)。平均ノーズポークスコアは、雌zQ175において雄zQ175より高く、平均差は21.893 P=0.001であった。a)RB5処置は、WT及びzQ175雌マウスの両方の能力を改善し(二元配置ANOVA、時間×処置相互作用F18,648=23.314、P<0.001)、雌WTにおいて雌zQ175より高いスコアとなった(46.175の平均差 P=0.001)。b)訓練中(Welch ANOVA、Games-Howellの事後、zQ175対WT P<.05)及びRB5処置中(Welch ANOVA、Games-Howellの事後、P<0.0001)に測定されたノーズポークの曲線下面積(AUC)の解析。結果は平均±s.e.mを示す。白星印 P<0.0001。
方法及び材料
ペプチドの調製
ERK経路並びにスクランブル対照(無効)に対する細胞透過性ペプチドはGENECUST EUROPE(Luxembourg)によりカスタム合成される。試験ペプチド(CPP-RB5)及びそのスクランブルバージョン(CPP-SCR)の配列は以下の通りである:
CPP-RB5:GRKKRRQRRRPPQGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号18)
CPP-SCR:GRKKRRQRRRPPRVGPGVPEGVGVAVFGVKEPGQTGDVGPVGE(配列番号19)
全てのin vitro実験及びin vivo実験について、D型のC末端アミノ酸(最後)及びアセチル化N末端(最初)アミノ酸を含む高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により高度に精製(≧95%)された200mgのバッチを使用した。in vivo実験については、ペプチドを1倍PBSに溶解し、示した用量で注射した。
薬理学的処置
L-グルタミン酸(G-6904、Sigma Aldrich)を滅菌水に溶解し、10分の刺激の間、100μMの最終濃度で使用した。
3-ニトロプロピオン酸(3-NP、N5636、Sigma、St.Louis、MO)を50mg/mlの濃度まで蒸留水に溶解し、pHを7.4に調整し、0.2μmフィルターに通し、使用するまで-80℃に保った。
動物
Charles River Laboratoriesから購入したC57BL/6マウスを免疫ブロット及び免疫蛍光の両方を実施するための線条体初代培養液及びex-vivo急性スライスの源として使用した。マウスには、3-NP及びペプチドによる共処置時の行動調査並びに免疫組織化学的調査も実施した。
CPP-RB5及びCPP-SCRの急性効果を試験するために、且つ物体認識試験とその後の免疫蛍光及びIHC分析のためにCharles River Laboratoriesから購入したCD1マウスを使用した。
HdhQ111ヘテロ接合体マウス(Jax(登録商標)、Bar Harbour、Maine、米国)、180から195の間のCAGリピートを持つzQ175ノックインヘテロ接合体(異性混合)(CHDI-81003003、Psychogenics,Inc.Tarrytown、NY)及びTg2576トランスジェニック雄マウス(C57BL6及びSLJ混合バックグラウンド、Taconic Biosciences)をIHC、IF及び行動試験に使用した。
ERK1雄KO及び同腹仔対照を先述の通り作成し、ex vivo解析に使用した。
Lister HoodedラットをHarlan Laboratoriesから購入し、文脈的恐怖条件付け試験に使用した。
急性脳スライス上のex-vivo系
成体マウスを麻酔し、断頭した。頭蓋から脳を速やかに切除し、氷冷したスクロース系解剖溶液(87mM NaCl、2.5mM KCl、7mM MgCl、1mM NaHPO、75mMスクロース、25mM NaHCO、10mM D-グルコース、0.5mM CaCl、2mMキヌレン酸)で満たされた冷却ガラス板上に置き、95%O及び5%CO2で酸素化し、続いてビブラトームステージ(Vibratome、VT1000S-Leica Microsystems)上にマウントした。200μm厚スライスを切り、脳スライスチャンバー(Brain slice chamber-BSC1-Scientific System design Inc.、Mississauga、ON、カナダ)内に移し、スクランブル又はRB5ペプチド(50μM)の存在下、カルボキシ化人工脳脊髄液(ACSF)の一定の灌流により32℃で1時間回復させた。100μMグルタミン酸を用いてチャンバー内で10分間、脳スライス刺激を実施した。4%PFA中、室温で15分間速やかに固定した後、スライスをすすぎ、スクロース溶液中、4℃で一晩凍結保護した。翌日、クリオスタット(Leica CM1850)を使用してスライスを18μmのより薄いスライスにさらに切り、SuperFrost Plusスライド(Thermo Scientific)上に集めた。
薬剤のin vivo投与
薬剤処置後の示した時間に、動物を麻酔し、氷冷した緩衝4%PFAで経心灌流した。脳を摘出し、一晩後固定し、30%緩衝スクロースに24時間移した。冠状切片を凍結ミクロトーム上で35μm厚に切り、免疫組織化学又は免疫蛍光のために処理するまで-20℃の凍結保護溶液中で保管した。
液体クロマトグラフィー及びタンデム質量分析法(HPLC-MS/MS)
20mg/kgの単回i.p.投与後に異なる時間間隔(1、3、6、12時間)でマウス脳におけるRB5のバイオアベイラビリティを決定した。次いで、HPLC-MS/MSを使用してマウス脳においてRB5を定量化した。ホモジナイザーultra-turraxを用いて脳サンプルを1:4w/vの50%アセトニトリル、水中の5%TFAとホモジナイズし、次いで、13000rpmで4℃で10分間遠心分離した。上澄みを回収し、13000rpmで4℃で2分間遠心分離した。次いで、上澄みを氷中に回収し、Sep-PakカートリッジC18を使用して抽出し、凍結乾燥し、HPLC-MS/MS分析まで4℃に保った。分析直前にサンプルをオートサンプラーバイアル内の水中の0.1%HCOOH/8%アセトニトリル100μL中に懸濁させた。
Agilent 6410 Triple Quadruple質量分析計と連結したAgilent 1200シリーズHPLCシステムからなるシステムを使用してHPLC-MS/MS分析を実施した。データ収集及び処理のためにMass Hunter Workstation v.B.01.03ソフトウェアを使用した(Agilent Technologies、Santa Clara、California、米国)。0.1から4ng/μlの範囲のペプチド濃度の内部標準曲線を使用してRB5ペプチド及びスクランブルペプチドのマウス脳レベルの定量化を行った。Jupiter C4 300 A分析カラム、2x150mm、粒径5μm(Phenomenex、CA)上に10μLの抽出サンプルを注入することにより、RB5ペプチド及びスクランブルペプチド並びに内部標準を室温で分離した。クロマトグラフ分離のために、溶媒Aとして水中の0.1%ギ酸を、溶媒Bとしてアセトニトリルを200μl/分の流量で使用する勾配溶離を使用した。溶離は92%の溶離液A及び8%の溶離液Bで開始して1分間保持し、その後、75%の溶離液Bまで4分の直線勾配、99%の溶離液Bまで1分の直線勾配、2分の定組成溶離及び8%の溶離液Bまで0.5分の直線勾配が続き、これを9.5分間保持してカラムを平衡化させた。サンプルをオートサンプラー内で4℃で保持した。
次いで、以下のパラメータを使用してAgilent 6410 QQQ質量分析計でペプチドを検出した:陽イオンモード、キャピラリー電圧 5kV、コーン電圧 500V、ガス流量 350℃で8L/分、ネブライザーガス圧 350℃で40PSI、ウェルタイム 75ミリ秒並びにユニット分解能に設定したQ1及びQ3。
免疫蛍光
スライドを加湿チャンバー内に置き、5%正常ヤギ血清及び0.1%Triton X-100溶液中でブロッキングして1時間後、スライドを以下の一次抗体のうちの1:抗ホスホ-S6リボソームタンパク質(Ser235/236)(1:200 Cell Signalling Technology、Danvers、MA)、抗ホスホ-S6リボソームタンパク質(Ser240/244)(1:200 Cell Signalling Technology、Danvers、MA)、抗ホスホ(Ser10)-アセチル化(Lys14)ヒストンH3(1:1000(Millipore、Billerica、MA)又は切断カスパーゼ3(1:200 Cell Signalling Technology、Danvers、MA)及び抗NeuN(1:1000 Millipore、Billerica、MA)と、続いて適切な二次抗体と4℃で一晩インキュベートした。対応するレーザー及び蛍光色素間のクロストークを回避する適切なフィルターセットを備えたレーザー走査共焦点顕微鏡(Leica SP2)を使用して一重標識画像及び二重標識画像を得た。40倍対物レンズを用いて線条体の背側領域全体にわたって細胞をサンプリングした。各スライド内のNeuN陽性ニューロンのうちホスホ-S6免疫反応性ニューロン又はpH3ニューロンをImageJソフトウェアを用いて計数することにより神経細胞の定量化が実施される(各実験群につきn=10)。総NeuN陽性ニューロン間のホスホ-S6又はホスホ-H3陽性細胞の比より、スライドを通じて取得された各視野のホスホ-S6又はホスホ-H3陽性ニューロンの百分率を得た(n=4)。GraphPad Prism 5ソフトウェアにおいて二元配置ANOVA及びボンフェローニ検定による事後解析を使用して異なる処置群間の比較を実施した。
ウエスタンブロット法
断頭によりマウスを屠殺し、脳スライスを上述のex-vivo系プロトコールに従って新たに調製し、灌流チャンバー内でペプチドとインキュベートした。グルタミン酸又は食塩水で刺激した後、次いで、スライスをホモジナイズし、DC Protein Assayキット(Bio-rad)を使用するタンパク質定量に使用した。各サンプルに対して等量のタンパク質(標的タンパク質に応じて5又は10μg)を12%ポリアクリルアミドゲル上に負荷した。タンパク質をSDS/PAGE上に分離し、ニトロセルロース膜に移した。ブロッキング溶液(1倍TBS、0,1%Tween)中で1時間インキュベーション後、膜を抗ERK2(K-23):sc-153(1:1000 Santa Cruz Biotechnology、Dallas、Texas)、ホスホ-p42-44 Mapキナーゼ(Thr202/Tyr204)(1:1000 Cell Signalling Technology、Danvers、MA)及び抗GAPDH(FL-335):sc-25778(1:1000 Santa Cruz Biotechnology、Dallas、Texas)と一晩インキュベートした。ImageJソフトウェアを用いて免疫ブロットを分析し、バンドの光学密度を測定した。各タンパク質のレベルをGAPDH負荷対照に対して規格化した。
神経細胞の胎児培養液
胎児培養液(E16)をWTマウスの線条体から調製し、ポリ-L-リシンをコートしたガラス上に播種し、先述の培養培地で10日間保存した(Fasano et al,Biol Psy 2009)。2の異なる濃度(20μM及び50μM)のCPP-RB5ペプチド及びCPP-SCRペプチドを3日目までに培養培地に加え、毎日交換した。11日目に、PBS中の4%PFA pH7.4を10分間用いて細胞を固定した。
免疫組織化学
1時間後、CPP-RB5/CPP-SCR(20mg/kg、i.p.)マウスを麻酔し、氷冷した4%PFAの心臓内注入により灌流した。脳を速やかに摘出し、一晩後固定し、25%緩衝スクロースに24時間移した。冠状切片を凍結ミクロトーム上で30μm厚に切り、免疫組織化学のために処理するまで-20℃の凍結保護溶液中で保管した。浮遊切片を抗ホスホ-p44/42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)、抗ホスホ-Elk-1(Ser383)、抗ホスホ-Kv4.2(Thr607)-R、抗ホスホ-MSK-1、抗ホスホ-MEK-1、c-Fos及びチロシンヒドロキシラーゼに対する一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。次いで、切片をビオチン化ヤギ抗ウサギIgG(1:200、Vector Labs)と2時間インキュベートした。標準的なペルオキシダーゼに基づく方法(ABC-kit、Vectastain、Vector Labs)、続いてDAB及びH溶液を使用して結合抗体の検出を行った。両側でマウスあたり2~3切片中の線条体から陽性ニューロンの定量化を計数した。盲検評価者によりLeica DM IRB顕微鏡の20倍対物レンズ下でサンプル領域を状態に対して視覚化し、ImageJソフトウェアを使用して領域あたりの計数を切片にわたって平均した。
TUNEL染色
DeadEnd Colorimetric TUNEL System(Promega)を使用して、改変TUNELアッセイを使用してアポトーシス細胞の断片化DNAを標識しながら培養細胞中のアポトーシス細胞を検出した。TUNEL染色は、ジアミノベンジド(DAB)とその後の製造のプロトコールを用いて実現させた。20倍対物レンズを使用したZeiss顕微鏡に接続されたビデオカメラ(Nicon)によりサンプル領域をデジタル化した。4の領域を計数し、各プレートについて平均した。
in vivoでの3-ニトロプロピオン酸投与
使用前に、CCP-SCR及びCPP-RB5を1倍PBS中に希釈し、12時間の間隔で1日2回注射した(20mg/kg)。ペプチドの1時間後、3-NPを1日1回、連続7日間、雄C57Bl/6マウスに注射した(50mg/kg)。全ての薬剤を10ml/kgの量で腹腔内(i.p.)注射により投与した。マウスを最後のペプチド注射の1時間後に安楽死させ、緩衝4%PFAで経心灌流し、免疫組織化学のために処理した。DeadEnd Colorimetric TUNEL System(Promega)を使用して、35mm厚の組織切片上のアポトーシス細胞を検出した。各動物について、3の連続する冠状切片を採取し、ガラススライド上にマウントし、推奨手順に従って免疫組織化学的解析のために処理した。定量化のために、両半球の線条体の背外側領域にわたって各切片中の陽性ニューロンの数を計数し、平均値を計算した。
物体認識課題(NOR)
薄明かりの静かな部屋に置いた開いた四角い箱(45×45×45cm)内で試験を実施した。使用した物体は、水で満たされた金属及びガラスバイアル内の平行六面体であった。マウスにとってそれらに自然的意義はなく、それらが以前に強化に関連することはなかった。プロトコールには3日を要し、以下の通り実施した:
1日目:アリーナに慣れさせ、マウスの不安(走触性試行)を測定するために、マウスを空のアリーナ内に個別に5分間置いた。走触性の百分率は、アリーナ内で費やされた総時間(300秒)のうち辺縁部で費やされた時間として計算される。90%超の走触性を示す動物は不安について偏りがあるとみなされるためサンプルから除かれる。
2日目:訓練の1時間前にマウスに20mg/ml CPP-SCR又はCPP-RB5のいずれかを注射し、次いで、マウスをアリーナ内に10分間置き、そこでマウスに2の同一物体を探索させた(訓練試行)。したがって、左の物体及び右の物体に対する2の異なる測定値(秒単位)を得た。10分内に少なくとも8秒の総物体探索が行われた訓練が成功とみなされ、動物がこの閾値に達しなかった場合、実験から除外した。次いで、各物体の探索の百分率を総探索時間(RO+LO)のうちLO又はROの探索に費やされた時間として計算した。この百分率に従って、実験者が試験試行の新規物体を配置する場所を決定した。
3日目:2の同一物体(平行六面体)のうちの1を新しい物体(バイアル)と交換し、マウスに物体を10分間探索させた(試験試行)。
既存物体(FO)及び新規物体(NO)の探索時間を訓練試行と同じ手順で個別に記録した。6秒のカットオフも考慮した。認識記憶を裏付けるために、弁別指数(D.I.)を(NOの総探索時間-FOの総探索時間)/(FO+NO)の総探索時間として計算した。D.I.指数は-1から+1の間に含まれる。D.I.が1のとき、FOの記憶保持が完全であることを意味するであろう。逆に、動物がFOの探索に長い時間を費やすほどD.I.値は低くなり、FOの記憶保持が劣ることを意味する。SMARTソフトウェア(Panlab、Barcelona、スペイン)を使用して実験を行った。
外科手術及び背側海馬への微量注入
対象は、体重280~350gの成体雄Lister hoodedラットであった。ラットを21℃に維持した逆転光サイクル(12時間明/暗;午後10:00に点灯)の待機部屋に対で収容した。全ての実験をラットの暗期に実施した。飼料及び水は実験全体にわたって自由に摂取できた。行動訓練及び微量注入の少なくとも1週間前に背側海馬(ブレグマに対してAP-3.50)に向けたスチール製ダブルガイドカニューレを麻酔下で外科的に移植した。ポリエチレンチューブで注射器(28ゲージ、ガイドカニューレから1mm突出)に接続されたシリンジポンプを使用して、条件付けの20分前に慢性留置カニューレを介した2mg/ml CPP-SCR又はCPP-RB5のいずれかの両側注入(pH7.0、片側1.0ml、速度=0.5ml/分)を覚醒ラットにおいて実施した。
文脈的恐怖条件付け
2の異なる文脈のうちの1で条件付けを実施した。これらの文脈は、サイズ、空間的位置、匂い及び照明を含むいくつかの特徴的な特性が異なるように設計された。
ラットプロトコール:3分の条件付け訓練試行の間、ラットは条件付け文脈のうちの1(CtxA)に置かれた2分後に1回のスクランブルフットショック(0.5mA、2秒間)を受けた。全てのラットが条件付け後にホームケージに戻った。想起の3時間後(想起後短期記憶、STM)又は2日後(長期記憶、LTM)の想起試験は再び、ラットを条件付け文脈に2分間曝露することからからなっていた。
マウスプロトコール:120秒の探索後、格子床を通じて与えられた5回のフットショック(0.7mA、2秒間、60秒間隔で分離)をマウスは受けた。マウスを条件付けチャンバーに5分間戻し、フットショックを与えないことにより、文脈恐怖記憶を24時間後に評価した。
全てのプロトコールについて、すくみ行動が行動手順の条件付け試験中及び想起試験中の文脈に対する条件付け恐怖の尺度となった。これを録画し、実験群を知らない観察者によって定量化した。10秒毎にサンプリングした1秒内に呼吸に必要な動き以外の連続した動きがないことを1単位のすくみと定義した。
9穴オペラント箱
オペラント試験を16の9穴オペラント箱内で実施した。各オペラント箱は、9の穴の水平配列及び各穴の前面に限局するノーズポークを検出するための赤外線ビームを含む。ペリスタルティックポンプにより液体強化(イチゴミルク)が箱の前面にあるマガジン内に送られる。
訓練開始の1週間前に、マウスは水が18時間/日に制限され、実験手順全体にわたってこのレジメン下に保たれる。マウスは単純な定率強化(FR1)スケジュールでノーズポークをするよう教えられる:報酬を得るために、マウスは1回のノーズポークにより中央の穴の中の光刺激に反応する必要がある。マウスは10日間、20分のセッションの間このプログラムの訓練を毎日受ける(訓練段階)。訓練したら、動物を4群に細分し、他の9日間、FR1スケジュールで試験される1時間前にRB5ペプチド又はスクランブル(10mg/kg、i.p.)ペプチドを動物に注射した。
結果
ERK1 MAPキナーゼの特有のN末端部分上に小さいポリペプチドを設計した。このポリペプチドは、キナーゼERK1と結合されたとき、核と往来するERK1及びERK2の能力を著しく低下させることにより全ERK依存性シグナル伝達に対して阻害効果を与え、これは、核膜の成分に結合することによる可能性が最も高い。重要なことに、ペプチド配列は機能ドメインであるように見受けられ、その理由は、ERK1から除去されたとき、このキナーゼはERK2のように挙動し、一方、ERK2と結合されたとき、このキナーゼはERK1のように挙動し始めるからである。
しかし、そのような分離したペプチドは、ERK1と結合されずに発現したとき、特に細胞透過性ペプチド配列に融合されたとき、以下の詳細の通り、MAPK3/ERK1阻害剤として作用する予想外の薬理特性を示す。本発明において、ERK1のN末端部分、特に配列番号1のペプチド配列、とりわけRB5ペプチド配列の周辺で設計されたこのMAPK3/ERK1阻害剤は、細胞内に又は生きている動物においてin vivoで投与されたとき、主なERKアイソフォームであるERK2の核移行を容易にすることにより核内の全ERKシグナル伝達を増強することが明らかになった。
RB5ペプチドによるERK活性の増強
ERK活性に対するRB5ペプチドの機能を生化学的に調査するために、本発明者らは最近確立されたex vivo系を使用した。この系では、脳スライスを成体マウスから新たに調製し、灌流チャンバー内でペプチドとインキュベートし、適切なアゴニスト及びアンタゴニストで刺激することができる。図1aに示す通り、あらかじめ50μM CPP-RB5ペプチド又はCPP-SCRペプチドと1時間インキュベートした脳スライスに100μMグルタミン酸を負荷し、ウエスタンブロットで分析した。ホスホ-ERK1はCPP-SCR及びCPP-RB5前処置スライスにおいて等しく増加したが、ERK2のリン酸化はCPP-RB5前処置スライスにおいてのみ選択的に増強され、これは、この細胞透過性ペプチドがERK2媒介性シグナル伝達の促進において非常に有効であることを示す。興味深いことに、ERK1タンパク質及びERK2タンパク質の基礎レベルの変化は検出されなかった。
さらに、このex vivo系を用いて、ヒストンH3リン酸化(pH3)又はリボソームタンパク質S6(pS6)のいずれかに対するホスホ-特異抗体を使用してERKシグナル伝達の誘導を単細胞レベルで監視した。RB5は、グルタミン酸適用に応答してERK依存性核シグナル伝達(ERK1/2移行及びヒストンH3リン酸化の誘導)を促進する(図1b、左パネル)。同時に、細胞質シグナル伝達は(リボソームS6リン酸化により測定される通り)活性化されない(図1b、右パネル)。この表現型は、ERK1 KO細胞に見られるものと等しく、これは、RB5が、ERK1活性が減弱され、したがってERK2が増強され得る薬理学的モデルであることを示唆する(図1c)。
これらの結果に基づいて、本発明者らは、in vivo実験を用いて核シグナル伝達におけるRB5の主な関与を調べた。単一用量のCPP-RB5又はCPP-SCR(20mg/kg)で前処置されたマウスを1時間後に灌流し、核マーカー及び細胞質マーカー用に脳スライスを処理した。図1に示す通り、ERK依存性核シグナル伝達と同様にERK誘導が有意に増強されることが明らかになった(パネルd)。実際、CPP-RB5を投与するとp-MSK-1、p-AcH3、p-ELK-1、c-Fosのような核分子が有意に増加することが明らかになった(パネルe~h)。一方、リボソームS6リン酸化により測定された細胞質シグナル伝達は、CPP-RB5処置マウスにおける低下の程度はより小さいことが明らかになったが、電位依存性カリウムチャネル(pKv4.2)及びMEK-1のリン酸化は、2の処置間で同等であった(パネルi~l)。最後に、スライスにおいて観察される通り、RB5 in vivo投与は、ERK1 KOマウスにおいてpERK(パネルm)、pAcH3(パネルn)又はpS6(パネルo)のいずれも変えず、RB5標的がERK1/MAPK3であることが確認された。
脳内のRB5ペプチドの薬物動態学的特性
図2において、ERKシグナル伝達をin vivoで増強するRB5の能力を評価した。第一に、RB5活性は注射後6時間まで高いままだった(パネルa)が、12時間で基礎レベルまで低下し、推定半減期は9時間となった。第二に、注射後1時間における用量反応曲線を決定し、20及び10mg/kg(i.p.)用量のいずれもpERKを増加させることができることを確認した(パネルb)。第三に、本発明者らは、20mg/kgの単回i.p.投与後に異なる時間に質量分析法でRB5脳内レベルを測定した。高いレベルのRB5が6時間まで検出された(パネルc)。
RB5ペプチドによって媒介される初代線条体培養液における神経細胞死の減少
神経生存に対するRB5の効果を分析するため、本発明者らは、胎児線条体から初代神経細胞培養液を調製した。細胞を20μM又は50μMの2の最終濃度のCPP-SCRペプチド又はCPP-RB5ペプチドを含む培地に連続7日間曝露した。
DeadEnd Colorimetric TUNEL Systemを24時間後に適用して、核DNA断片化を測定することによりアポトーシス細胞死を分析した。図3に示す通り、より高い濃度(50μM)のCPP-RB5は、CPP-SCR値と比較してアポトーシスを32%減少させた。
ハンチントン病の薬理学的マウスモデルにおける細胞死の防止
in vitroで及びex-vivo急性スライス系においてERK活性を増強するRB5ペプチドの有効な能力を検証した後、本発明者らは、ハンチントン病の薬理学的マウスモデルにおいてin vivoでの神経保護効果を試験した。3-ニトロプロピオン酸(3-NP)がハンチントン病に見られるものと同様の線条体病変を選択的に形成するということは周知である。
本発明者らは、雄C57BL/6マウスにCPP-SCRペプチド又はCPP-RB5ペプチド(20mg/kg、i.p.)を1日2回(12時間毎)、7日間注射し、ペプチド注射の1時間後、3-NP(50mg/kg)の1回注射を与えたプロトコールを設定した。処置の最後に、免疫組織化学と同様に動物を灌流し、脳を調製した。図4に示す通り、CPP-RB5は、アポトーシスを対照レベルまで減少させながら、in vivoでの3-NP誘導細胞死を防止することができ(パネルa~b)、プレアポトーシスレベルのカスパーゼ3マーカーを対照レベルまで減少させることができた(パネルc~d)。
ハンチントン病の遺伝的マウスモデルにおける細胞死の防止
本発明者らは、ハンチントン病の遅発性遺伝モデルであるhdhQ111トランスジェニックマウスにおけるRB5の潜在的な神経保護効果も評価した。hdhQ111マウスを7日間処置した(20mg/kg、i.p.、1日2回)(図5)。RB5がWT及びミュータント線条体においてpERKを増加させただけでなく(パネルa、b)、hdhQ111ミュータントにおいて変性を防止する(パネルc~f)ことが明らかになった。
パーキンソン病の薬理学的マウスモデルにおける細胞死の防止
本発明者らは、パーキンソン病のMPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)神経毒モデルにおけるRB5の神経保護効果を評価した(図6)。マウスをMPTP又はビヒクル(20mg/kg、i.p)で4日間処置した。MPTP/ビヒクルの1時間前にRB5又はスクランブルペプチド(20mg/kg、i.p)を注射した。チロシンヒドロキシラーゼ(TH)染色(パネルa、b)、TUNEL(パネルc、d)及び切断カスパーゼ3(パネルe、f)により評価された通り神経変性は防止され、強い神経保護効果が確認された。
アルツハイマー病の遺伝的マウスモデル(Tg2576)における細胞死の防止
アルツハイマー病の遺伝モデルTg2576及びそのWT対照をRB5/スクランブルペプチド(20mg/kg、i.p)で7日間処置した。図7に示したA、RB5はTg2576ミュータントにおいてpERKを増加させ(パネルa~d)、同時に切断カスパーゼ-3染色のレベルを減少させ(パネルe~f)、強い神経保護効果が確認された。
物体認識試験における記憶固定の増強
RB5ペプチドは、ニューロンにおいてERKシグナル伝達を上方制御すると考えられる。これは、経路の活性化を増強し、したがって、タンパク質合成を増強するであろう。遺伝子転写は記憶固定の根底にある生物学的機構であるため、記憶改善は予想される行動結果である。したがって、本発明者らは、げっ歯類において顕在記憶を研究するために一般に使用される試験である物体認識課題(ORT)を実施した。
この試験の様々な変種が存在し、選ばれた試験により、特有の事象に関する記憶の調査、すなわち、新規物体と既存物体との間の遅延弁別が必要な一試行物体認識試験が可能になる。試験開始の1時間前にマウスはCPP-SCRペプチド又はCPP-RB5ペプチドの腹腔内注射を受け、次いで、異なる時点(24、48、72及び120時間)の後に調べられた。図8に示す通り、CPP-RB5処置マウスは、そのCPP-SCR動物と比較したとき、24、48、72時間後及び驚くべきことに120時間後のいずれにおいても物体を記憶するより高い能力を有していた(パネルa)。最後に、168時間で、RB5群の能力はSCR群と区別がつかない基礎レベルまで低下した(パネルb)。これは、RB5がマウスの記憶固定を改善し、マウスが記憶試験日に新しい物体により長い時間を費やせるようになったことを意味する。
CFCにおける情動記憶形成の改善
本発明者らは、げっ歯類が文脈などの非侵害性条件刺激(CS)をフットショックなどの侵害性無条件刺激(US)と関連付けることを学習する文脈的恐怖条件付け(CFC)の獲得及び発現に対するRB5の効果も試験した。CFCは連合学習機能及び記憶機能を評価するための行動パラダイムとして広く使用されてきた。チャンバー箱内の条件付け(文脈)の20分前に覚醒ラットに2mg/ml CPP-SCR又はCPP-RB5のいずれかを海馬の両側に注入した。訓練の3時間後及び2日後に実施した試験中にすくみ行動を測定することにより短期記憶(STM)及び長期記憶(LTM)を評価した。図9に示す通り、CFC前の背側海馬へのCPP-RB5注入は、文脈的恐怖記憶の獲得を増強し、より強い長期恐怖記憶が生じた。
アルツハイマー病のマウスモデル(Tg2576)における記憶喪失の防止
さらに、本発明者らは、RB5ペプチドによるERK活性の増強がアルツハイマー病において認知機能障害を調節することができるか調査した。ADのトランスジェニックモデル(Tg2576-APPsweマウス)を後期症状期中に使用して認知機能障害を停止する可能性を試験した。老化Tg2576マウス及びWTマウスを文脈的恐怖条件付け(CFC)訓練前にCPP-SCR又はCPP-RB5(20mg/kg、i.p.)のいずれかで処置し、24時間後に記憶保持に関して試験した。図10に示す通り、CPP-RB5ペプチドは、老化Tg2576マウスに既に存在する記憶障害をWTレベルまで戻して救出した。
ハンチントン病のzQ175マウスモデルにおける認識能力の増強。
本発明者らは、認知欠損の早期発症を伴うHDのモデルであるzQ175トランスジェニックマウスにおいて「ノーズポーキング」などの手続き学習課題の獲得に対するRB5の効果も評価した。ノーズポーク訓練を9穴オペラント箱内で実施した。この課題において、マウスは、液体報酬を得るために1回のノーズポークにより中央の穴の中の光刺激に反応する必要があった。10日の訓練後、zQ175マウスは、この課題の学習において明確な機能障害を示した。しかし、RB5を投与すると、全ての動物が明確な性差を伴って経時的にその能力を有意に変化させた(図11a~b)。特に、野生型(WT)及びzQ175雌マウスの両方が、RB5処置の9日にわたって反応の有意な増強を示した。
全体として、この証拠は、神経変性障害によって影響された患者のための及び正常な個体において認知を改善するための有効な神経保護及び認知増強治療としてのRB5及び類似体又はホモログの使用を支持する。
結論
本発明者らは、ERK1 MAPキナーゼ(ヒト及びマウスの両方)のN末端に由来する短いペプチドがin vitro及びin vivoで神経細胞アポトーシスを防止することを示した。本発明のペプチドは、ERKの核移行を特異的に刺激する能力を有し、したがって、脳内でERK媒介性遺伝子転写及びクロマチンリモデリングを刺激する能力を有する。ペプチドの脳送達は、細胞透過性ペプチド配列による特異的タギングによって有利に達成される。次いで、ペプチドは、血液脳関門及び神経細胞の形質膜を通過することができる。そのようなペプチドは、いくつかの神経変性疾患又は障害の治療に有用であり得る神経保護剤として作用する。さらに、本発明のペプチドは、神経細胞生存及び認知の両方に対してプラスの効果を示し、現在有効な治療がないいくつかの主な致命的な脳障害の治療法となり、認知欠損を改善し且つ神経変性を阻止する。さらに、本発明のペプチドは、神経変性なく認知も改善するので、健康な個体における認知増強に適している。

Claims (20)

  1. アミノ酸配列:
    i)以下RB5と呼ぶQGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号1);又は
    ii)少なくとも96%の同一性をペプチドi)と共有する配列
    からなる、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3)プロテインキナーゼシグナル伝達を阻害するための神経保護ペプチドであって、
    膜を横切って前記神経保護ペプチドを輸送するためのペプチド担体と共有結合的もしくは非共有結合的に結合又は会合していてもよい、神経保護ペプチド。
  2. 膜を横切って前記神経保護ペプチドを輸送するためのペプチド担体と共有結合的もしくは非共有結合的に結合されている又は会合している、請求項1に記載の神経保護ペプチド。
  3. 前記膜が生体膜である、請求項2に記載の神経保護ペプチド。
  4. そのアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれかにおいて前記ペプチド担体と結合されている、請求項2又は3に記載の神経保護ペプチド。
  5. 前記ペプチド担体が細胞透過性ペプチド(CPP)である、請求項2~4のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド。
  6. 前記CPPが、
    GRKKRRQRRR(配列番号2)
    RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号3)
    RRRRRRR(配列番号4)
    XRRRRRRRX(配列番号5)
    XRRRXRRRR(配列番号6)
    RRRXRRRRX(配列番号7)
    RRRRRRRXX(配列番号8)
    XXRRRRRRR(配列番号9)
    RRRRRRRRRRR(配列番号10)
    XRRRRRXRRRRRR(配列番号11)
    RRRRRXRRRRRRRX(配列番号12)
    GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR(配列番号13)
    SRRARRSPRHLGSG(配列番号14)
    LRRERQSRLRRERQSR(配列番号15)
    VKRGLKLRHVRPRVTRMDV(配列番号16)
    RKKRRRESRKKRRRES(配列番号17)
    を含む又はからなる群から選択される、請求項5に記載の神経保護ペプチド。
  7. 配列GRKKRRQRRRPPQGGGGGEPRRTEGVGPGVPGEVEMVKGQPFDV(配列番号18)からなる、請求項1~6のいずれかに記載の神経保護ペプチド。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸分子。
  9. 請求項8に記載の核酸分子を含むベクター。
  10. 請求項9に記載のベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞。
  11. 請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド;請求項8に記載の核酸分子;又は請求項9に記載のベクター;及び薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
  12. 医薬品としての使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド。
  13. 神経変性障害または精神神経障害の治療における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド。
  14. 神経変性障害または精神神経障害を治療する医薬品の製造における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド。
  15. 請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド及び/又は請求項11に記載の医薬組成物並びに脳の状態を治療するための少なくとも1の他の治療薬を含む、神経変性障害または精神神経障害の治療における使用のための組合せ治療薬。
  16. 神経変性障害が、アルツハイマー病(AD)及び他の認知症;ハンチントン病(HD);パーキンソン病(PD);変性神経疾患;脳炎;癲癇;遺伝性脳障害;頭部形成異常及び脳形成異常;水頭症;脳卒中;多発性硬化症;筋萎縮性側索硬化症(ALS又はルー・ゲーリック病);前頭側頭型認知症(FTP);進行性核上麻痺(PSP);本態性振戦症(ET);多系統萎縮症(MSA);大脳皮質基底核変性症(CBD);脳虚血;リソソーム蓄積症(LSD)を含む群から選択される、請求項13もしくは14のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド又は請求項15に記載の組合せ治療薬。
  17. 精神神経障害が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、知的障害(ID)、統合失調症(精神病としても既知)、躁病(軽躁病としても、及びうつ病と交互に起こるときは双極性障害としても既知)、大うつ病、不安、外傷後ストレス障害、強迫性障害を含む群から選択される、請求項13もしくは14のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド又は請求項15に記載の組合せ治療薬。
  18. 認知増強剤としての使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド。
  19. 請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド及び/又は請求項11に記載の医薬組成物並びに少なくとも1の他の認知増強剤及び/又は鎮痛剤を含む、認知能力の増強における使用のための組合せ治療薬。
  20. 請求項1~7のいずれか一項に記載の神経保護ペプチド;請求項8に記載の核酸分子;又は請求項9に記載のベクターを含む組成物。
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